あの作品のキャラがルイズに召喚されました part163at ANICHARA
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part163 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 02:11:42 9AxAAVZE
管理人様
以下自作品の削除をお願いします。
(本人証明として、自ブログの方も削除致しました)

長編:1編
「ゼロのgrandma」
短編:2編
「色鮮やかな空へ」
「四系統だけど」

色々とご迷惑をお掛けしました。以降、忘却願います。






夜天の使い魔 第一部
夜天の使い魔 第二部

URLリンク(rein4t.blog123.fc2.com)

3:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 02:12:28 9AxAAVZE
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
 ※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
  最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大

1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり

4:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 02:13:03 9AxAAVZE
やる夫が小説家になるようです
URLリンク(urasoku.blog106.fc2.com)

完結:やる夫が小説家になるようです
URLリンク(urasoku.blog106.fc2.com)

やる夫が「売れっ子」ラノベ作家を目指すそうです
URLリンク(urasoku.blog106.fc2.com)

やる夫が同人小説家になるようです
URLリンク(urasoku.blog106.fc2.com)

5:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 02:13:58 9AxAAVZE
このぐらいまで単純化できそうな気がする。

爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会

最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち

爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
キュルケセクロスの誘いしかし使い魔はインポテンツか童貞w
ルイズ寝取られの歴史を切々と語る
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり

途中飛ばすけど、

 対7万戦と再召喚(一度使い魔契約が切れ、まっさらな状態からルイズとの関係を再構築)

6:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 02:15:35 9AxAAVZE
>>1

7:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 02:18:57 lsJEbQ6+
>>1

8:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 02:22:36 kG8Wr7Ux
1乙

9:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 02:41:22 Sd7Z3sHC
NGID:9AxAAVZE

10:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 03:35:14 daWqzeo1
>>1


11:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 07:20:55 GvqAe5Uk
新スレを立てた1が相手なら覇王翔吼乙を使わざるを得ない!

12:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 07:34:19 IkFMJ1Yj
>>11
最強の龍自重しろwwwwwwww

13:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 08:40:32 LLFUTf7+
>>12
混ざってるぞ

14:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 08:45:55 5qTQtWQS
ま・・・一言で言うなら

>>1

15:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 09:10:13 RP4dA/fH
>>11
無敵の龍、最強の虎だぜw

16:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 09:12:35 UcAm2DWQ
土くれのゴーレムが相手ならロケットランチャーを使わざるをえない

17:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 09:16:09 JnWyqU9r
ふと思ったんだけど強力な感知・分析能力持ってるキャラならルイズの虚無の力を見抜いて驚いたりとかするかな

18:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 09:16:39 bPm+1uq6
      ドオ---------ン!
           ,: ´ ⌒^ ヾヽ
          (,, ""⌒ '' .. " ヾ )                     コレデモクラエ!    (  ))
   ∩ ∩ ― ―:::::( ノ( ソ( 、ノノ..:::....    ヒューーーーーーン      __∧_∧__ ((  ⌒  ))
 ~|∪ |  - - (´´'''(, イ")ノ 三三三三三三三三三三三三三三) (・∀・ )   )≡)  ))
 ヘノ  ノ ― (´⌒(´:::::(’''....ノソ),,:::                    ̄⊂二二 )  ̄  (( ⌒ ))
..((つ ノ⊃≡≡≡(´⌒;;;ノ(~~ノ(’''''ソ、'                    〈 〈\ \
 ↑フーケ(´⌒(´⌒;;,,(、、...,,,Y),,,ノ:.:),, ,ツ..                   (__)(__)
      ズザーーーーーッ
「R ・ P ・ G-----!!」

こうですk(ry

19:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 09:23:43 NH+eBAlP
>17
初期段階で見破ってるキャラはけっこういるぞ

20:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 09:27:02 FPE9ZXmK
金色のガッシュ最終回後の清麿が召喚されたら、ルイズの特性と才能を見抜きつつ
支えてくれるんじゃないのかな。
……
……
いかん、ワルドがフォルゴレっぽくなってしまうw

21:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 09:28:50 cFjJeU0E
そういや幽白シリーズから召喚ってあんまり見かけないよね
人気ないんだろうか

22:毒の爪の使い魔
08/08/17 09:40:02 MOQlV/Rw
どうも、第5話が書き終わりました。
特に投下予定がなければ投下したいのですが、よろしいでしょうか?

23:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 09:46:30 OPg6E1mu
支援するのにやぶさかではない

24:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 09:46:30 DE9RT/3Y
支援ですねぇ

25:毒の爪の使い魔
08/08/17 09:51:41 MOQlV/Rw
では、投下開始します。今回はちと長いので、代理投下をお願いするかもしれません。



ギーシュが決闘の場として選んだヴェストリの広場は、学院の敷地内にある中庭である。
二つの塔に囲まれており、更に西側に位置している為、日中でもあまり日が差ささず、
普段はあまり人気の無い場所である。…が、今はギーシュの決闘宣言により、大勢の生徒達が溢れかえり、賑わっていた。
「諸君!決闘だ!」
手にしたバラの造花を高らかに掲げ、ギーシュが叫ぶ。それに合わせるように周囲の生徒達から歓声が上がる。
娯楽の少ない学院生活ゆえに、彼等も暇を持て余しているのだ。
それだけに今回の決闘は彼等にとってこれ以上無い暇潰しであった。…たとえ、結果が知れていようともだ。

「あ~…うるせェ」
広場を囲む生徒達の声にジャンガは顔を顰める。
目の前では自分に喧嘩を売った命知らずのガキが周囲の歓声に答えるように手を振っている。
暫く手を振っていたギーシュはようやく彼へと向き直った。
「とりあえず、逃げずに来た事は誉めてやろうじゃないか、ゼロの使い魔の亜人?」
「偉ぶるんじゃねェよ、気障なだけのガキが。そして喋るな、テメェの声は聞いててムカつくんだよ…」
広場の真ん中に立った二人は互いに相手を睨み付け、罵り合う。
「いいだろう、では始めるとしようか?」
ギーシュは手に持った造花のバラを構えた。それを見てジャンガは一瞬呆気にとられ、そして笑った。
「キキキ、オイオイ…そりゃ何の真似だ?まさか、それで俺と戦うつもりかよ?キキキ…」
小馬鹿にするジャンガを余裕の笑みで見据え、ギーシュは手にした造花のバラを振る。
花弁が一枚、宙を舞う。何の真似だ?と思う暇も無かった。
地面に落ちるやそれは眩い光を放ち、一体の等身大の人形へと変わったのだ。
姿は甲冑を着けた女戦士のようであり、陽光を受けて輝いている所を見ると金属で出来ているようだ。
手には槍の様な武器を持っている。
「何ッ!?」
ジャンガが目を見開くと同時だった。
人形は突如、金属製だとは思えない素早い動きでジャンガとの距離を詰めるや、拳を繰り出してきた。
人形の拳が右胸に叩き込まれる。身体を貫く衝撃にジャンガは一瞬、息が止まった。
次いで右の頬に一撃、そして顎へのアッパーの一撃を受け彼の身体は大きく吹き飛んだ。
背中から地面に激突し、ワンバウンドしてうつ伏せの状態になる。
吹き飛び、地面に落下したジャンガを見据えるギーシュ。
「言い忘れていたな。僕の二つ名は『青銅』。青銅のギーシュだ。故に、青銅のゴーレム『ワルキューレ』がお相手をするよ。
それにしても、それで終わりかい?亜人なのだから、もう少し楽しませてもらいたいな」
ジャンガはうつ伏せ状態からなかなか立ち上がらない。
その様子を暫く見ていたギーシュだが、やがて何かを思い出したように手を打った。
「ああ…そう言えば君は右胸を怪我していたはずだったね?うっかりそれを忘れてそこへ一撃を加えてしまったよ。
いや、失礼した…大丈夫かね?」
あまりにも白々しい発言に周囲からは冷ややかな視線が送られる。
離れた場所で決闘を見ているキュルケとタバサもそうだった。
「あれって、どう考えてもわざとよね?」
「わざと」
その時、人込みからルイズとシエスタが飛び出してきた。

26:毒の爪の使い魔
08/08/17 09:53:04 MOQlV/Rw

「待って!」
ルイズはギーシュに、シエスタはジャンガに駆け寄る。
「ギーシュ!いい加減にして!決闘は禁止されているはずでしょ!?」
ルイズはよく通る声でギーシュを怒鳴りつける。しかし、怒鳴られている当の本人は涼しげな顔だ。
「禁止されているのは貴族同士での決闘だ。彼は使い魔…それも亜人だ。何ら問題はあるまい?」
ギーシュの言葉に一瞬、口篭るルイズ。
「そ、それは…今までこんな事なかったし…」
ルイズはジャンガの傍へと駆け寄る。シエスタが地面に倒れるジャンガを心配そうに見つめながら声をかけている。
「あ、ミス・ヴァリエール?ジャンガさん…苦しそうに呻くばかりで、全然返事をしてくれないんです」
「ちょっとジャンガ、しっかりしなさいよ?」
ジャンガの肩を掴み、ルイズは声をかける。しかし、苦しそうな呻き声と呼吸音が聞こえるばかり。
ルイズはギーシュを振り返る。
「あんた、こいつに何したの!?」
「何、大した事はしていないさ。ただ…最初の一発が”不幸にも”彼の右胸に入ってしまってね…。
いや、彼が右胸を怪我していた事をすっかり忘れてしまっていたよ」
「あ、あんたねぇ…それわざとね。そんなの卑怯じゃないの!?」
「フッ…負傷している身で決闘の場に臨んだのは彼だ。だから卑怯ではない」
あくまでも自分の正当性を主張するギーシュ。
ルイズは悔しさに歯を噛み締める。と、ジャンガが身体を起こし始めた。
「あ、ジャンガさん?無理をしたら…」
シエスタが心配そうに声をかける。
ルイズは立ち上がろうとする彼の肩を掴んだ。
「これで解ったでしょ、メイジの力が…?あんたがどれだけの力を持っているかは知らないけど、
これ以上はやっても無駄―」
そこでルイズは言葉を止めた。…ジャンガの様子が変だったからだ。
初めは苦痛に身体を震わせているのだと思っていたが、どうやら違うらしい。
彼の口から聞こえてくる、それは呻き声ではない。…笑い声だ。
「ジャ、ジャンガ…?」
「キ…キキ…キキキ…キ…」
心配になったルイズの声にも反応せず、ジャンガは笑い続けた。

…そして小さく呟いた。



「決めたぜ……アイツ、八つ裂き決定だぜ…」


27:毒の爪の使い魔
08/08/17 09:53:55 MOQlV/Rw
ジャンガはゆっくりと立ち上がった。しかし、顔は俯いたままである。
「ちょっ、ちょっと…何で立つのよ?」
ルイズは彼を引き止めるべく、その腕を掴んだ。
ジャンガは掴まれた腕をゆっくりと振り上げると、勢いを付けて後ろへと振った。
「きゃあっ!?」
突然の事にルイズは悲鳴を上げながら弾き飛ばされる。
シエスタが慌てて彼女に駆け寄る。
「ミ、ミス・ヴァリエール…大丈夫ですか?」
「イタタ…」
痛みに顔を顰めつつ、ルイズは身体を起こす。
そしてジャンガの背を睨んだ。
「ちょっと!いきなり何するのよ!?私は主人としてあんたを気遣って上げたんじゃないのよ!?
それを突き飛ばすなんて、どういう事!?」
怒鳴り散らすルイズ。しかし、ジャンガは振り向きもしない。
そんな態度にルイズは更にイライラを募らせた。
「ちょっと、聞いているの!?返事ぐらいしなさ―」

「うるせェ…」

「ウッ!?」
「ヒッ!?」
小さい…しかし、とてつもなく冷たい響きを持った声を出しながら、肩越しにこちらを睨んだジャンガの目に
ルイズとシエスタはそれまでに感じたあらゆる恐怖を通り越した恐怖を感じた。
二人が黙った事を確認し、ジャンガはギーシュへと視線を戻す。
今のやりとりを知らないギーシュは未だ余裕の表情である。
「どうやら手加減が過ぎたようだな。まだ、やるつもりかい?まぁ、無駄だと思うがね」
そんなギーシュの言葉には関心が無いのか、ジャンガは無反応だ。
「どうした?負けた時の言い訳でも考えているのかな?」
「ウゼェ…クソガキが」
ジャンガの一言にギーシュは眉をピクリと動かす。
「…いいだろう。もう手加減は無しだ」
ギーシュの言葉にワルキューレが再び動き出した。
ジャンガに突撃し、左の拳を突き出す。誰もがその一撃に吹き飛ぶジャンガを思い浮かべた。
―だが、その考えは裏切られた。
ガギンッ!!
硬い物を砕くような音が辺りに響いた。
その場に居た―ギーシュを含んだ―誰もが目の前の光景に息を呑んだ。
突き出した左腕を切り落とされ、更に縦に四つに切り裂かれ地面に転がるワルキューレ。
それに一瞥もくれずにギーシュを睨むジャンガ。

自分のワルキューレが、あっさりと破壊された事にギーシュは驚愕の表情を浮かべた。
今の動きと爪の破壊力、先程の無様な姿からは想像もつかないものだ。
と、ジャンガは再び俯いていた。余裕のつもりだろうか?
歯を噛み締めながらギーシュはバラを振る。
再び花弁が宙を舞い、地面に落ちるや先程同様、光に包まれ6体のゴーレムに変わる。
「ゼロの使い魔とは言え、流石は亜人。僕のワルキューレを破壊するとはね」
未だ動揺を抑えられないギーシュは、それでも貴族としてのプライドを守る為、平然とした態度を装う。
そして、バラをジャンガに向かって突き出す。
「だが!君の頑張りもここまでだ。最早、遊びは一切無しだ……この6体のワルキューレが相手では流石に―」
「ウゼェ」
ギーシュの言葉をジャンガの呟きが遮った。


28:毒の爪の使い魔
08/08/17 09:55:02 MOQlV/Rw

ジャンガはギーシュの言葉など耳に入っていなかった。
召喚されて、気が付いてから、これまで散々堪えてきたジャンガだったが……最早限界だった。
彼の堪忍袋は先程のワルキューレの攻撃で限界を向かえてしまったのだ。
それも、溜め込んだ怒りが半端でない為、堪忍袋の緒が切れるどころか…粉々に欠片も無く吹き飛んでしまい、
溜め込んでいた怒りが完全にぶちまけられる状態となってしまったのである。
何と言えばいいのだろう……怒りが頭どころか体中を駆け巡り、最早何がなんだか分からない。
ただ一つ言える事は……最早、我慢も遠慮も出来ないと言う事だ。
「裏切り、嘘つき、追い討ち…、闇討ち、不意打ち、騙し討ち…、どれも俺の専売特許だ…」
ジャンガは静かに…本当に静かに呟いた。
「よりによって、こんなクソガキにやられるたァな…。キキキキキキ……ウゼェぜ、まったく…」
そこまで呟いてジャンガは両目を見開き、顔を上げた。
その表情には彼の内に秘めた凶暴性が多分に現れていた。
「ちっ…ヤメだヤメだッ!情報を仕入れるとか、居心地を良くする為に大人しくしようだとか、
そんな事を考えているからこうなっちまうんだよッ!」
その場に居た全員が目を見開いた。
ルイズもシエスタも、キュルケも揃ってジャンガの豹変振りに目を見開いていた。
タバサすらも本から顔を上げジャンガを見ている。
もっとも…彼女は彼の言動ではなく、その身体から発せられる”殺気”に反応してだったが…。
そんな周囲の反応など気にも留めず、ジャンガは言葉を続ける。
「俺は俺のやり方でやればいいんだ…、欲しい物は力ずくで奪い、知りたい事は力ずくで聞き出す。
気に喰わねェ奴…、邪魔な奴…、ウゼェ奴…、そういう奴等は全員この毒の爪で切り裂く…。
そうさ…それが一番簡単なやり方だ。変に考える必要なんざ無かったんだ…」
一通り喋り終えるとジャンガは一旦言葉を切り、ギーシュを睨み付けた。
その視線に含まれた殺気にギーシュは怯んだ。
「テメェ、さっき言ったよな…”それで終わりかい?”ってな?ご要望どおり見せてやるゼェ…。
この『毒の爪のジャンガ』様の真骨頂をよォォォォォーーーーー!!!」
―叫ぶジャンガの左袖からは毒々しい紫色の輝きが漏れていた。

ジャンガの叫びが響き渡る中、周囲の誰もが先程のワルキューレが破壊された時以上の驚愕に包まれた。

無理も無い……一瞬の間に、ジャンガが数十人単位に増えたりすれば…。


29:毒の爪の使い魔
08/08/17 09:56:35 MOQlV/Rw

「な、何!?」
これには流石にギーシュも面食らった。
相手の亜人が叫んだかと思うと、背後から何かが左右に飛び出した。それが目の前の亜人である事に気が付く前に、
その飛び出した亜人の背後から、そのまた飛び出した亜人の背後から、亜人は次から次へと増えていき、
ついにその総数は数十人単位に増えてしまった。ジャンガの十八番である分身の術だ。
「分身とは…また変わった芸を持っているな?」
「キキキ…、楽に死ねると思うんじゃねェゼ?」
その言葉が終わると同時に数十人のジャンガが一斉に飛び掛ってきた。
それに対しギーシュはワルキューレを突っ込ませた。
数に惑わされてはいけない。風の系統の魔法『偏在』ならばともかく、普通の分身はただの影だ。
それは解っている……だが―
「速すぎる…」
ジャンガと分身はそれこそ文字通り目にも留まらぬ素早さで動き回り、ワルキューレを翻弄する。
攻撃を繰り出しても空振り、掠ってすらいないのでそれが分身なのか実体なのかも判らない。
ガギンッ!!
最初のワルキューレが破壊された時と同じ音が響き、ワルキューレが一体、左肩から右腰にかけて袈裟切りにされる。
次いで一体、また一体と次々にワルキューレはジャンガの爪の餌食となる。
ついに残り一体となり、ギーシュは慌ててワルキューレを自分の目の前に置いた。盾とする為だ。
すると、ワルキューレの前方、少し離れた所にジャンガが降り立った。
無数の分身が降り立った本体に殺到し、まるで水がスポンジに染み込む様に消えて行く。
凶悪な笑みを浮かべるジャンガ。右腕を大きく振りかぶり、爪で前方の空間をなぎ払う。
空気が渦を巻き、円盤状になるや回転しながら真っ直ぐにワルキューレへと、そして後ろのギーシュへと飛ぶ。
ギーシュの第六感が危険を促した。目を閉じ、慌ててしゃがみ込む。
硬い物を切り裂く音、頭上を何かが通り過ぎる音が聞こえ、背後から凄まじい爆音のような音が響き渡った。
恐る恐る目を開いたギーシュがまず目にしたのは、胸の辺りで真一文字に切り裂かれ、
別れた胴体がそれぞれ地面に倒れこむワルキューレだった。
だが、周囲の生徒はそんな事には目もくれていない。しきりにギーシュの背後を見て驚愕の声を上げている。
それに釣られ、ギーシュも後ろを振り返る。ひっ!、と悲鳴が口から漏れた。
学院を囲む城壁が切り裂かれていた。否、砕けていたと言う方が正しいかもしれない。
ほぼ真一文字であるが、中心に近い所が上下に膨らむようになっており、どちらかと言えば楕円に近い。
…そんな形の”穴”が空いていた。向こうの草原や青空がハッキリと見える。―とんでもない破壊力だ。
恐らく、爪を高速で振る事で”エア・カッター”のような風の刃を生み出したのだろうが、正直比べ物にならない。

―あんな物をまともに受けていたら…

ギーシュの背に冷たい物が走った。思わずあとずさり、背が何かにぶつかる。
振り向くとそこにはジャンガが立っていた。

30:毒の爪の使い魔
08/08/17 09:57:33 MOQlV/Rw
「ひっ、ひぃっ!?」
恐怖のあまり尻餅を付く。ワルキューレが破壊され、打つ手が無くなった事もあり、ギーシュは完全に戦意を喪失していた。

ジャンガは自分のカッターが開けた穴を見て少し驚いていた。…こんなに威力があったか?
考えてみれば先程も妙に身体が軽く感じた。こっちに来る前よりも動きが良くなっていた気がする。…どういう事だ?
だが、そんな事は今はどうでもいい。今は、そんな事よりも…。
足元で腰を抜かし、震えているガキを見据える。

「どうした?…顔色が悪いじゃネェか、キキキ…」
口元は笑っているが、その目は全く笑っていない。
「ま、参った…、降参だ…」
考える前にギーシュの口からは敗北を認める言葉が出ていた。
その言葉にジャンガは目を細める。
「降参だ~?」
「そ、そうだ…。もう、僕に打つ手は無い……素直に負けを認める…」
言い終わるとガックリと項垂れる。
そんなギーシュを見てジャンガは再び凶悪な笑みを浮かべた。
「そうか、降参か…。なら…後は俺に楯突いた事を―」

事は一瞬だった。

故に誰も止める暇が無かった。

唯一、何をしようとしたかを殺気で察知したタバサが杖を手に呪文を唱えようとするも……間に合わなかった。



「あの世で後悔しなァァァァァーーーーー!!!」



―次の瞬間…
全員の目に飛び込んできたのは爪を振り上げたジャンガと、血の糸を引きながら宙を舞うギーシュの姿だった…

31:毒の爪の使い魔
08/08/17 10:01:12 MOQlV/Rw
どうやら大丈夫だったようです。以上で投下終了です。
今回からジャンガの本来の魅力大爆発!てな感じで。
台詞などはナムカプや本家ヒーローズの流用なんかもちょくちょく入れていきます。

あと、この小説を書き始めて、ギーシュとガンツが同じ声優さんだと言う事を初めて知ったり。

32:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 10:25:59 B64Wh6+w
ギーシュ死亡www

33:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 10:26:02 ilmcUNGe
ガンダ補正付きの元々強い奴が殺す気で攻撃か…
如何にギーシュとて助かるまい…


          _,l;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;l,,_
        ,.r'´,.    -┐   ':..,゙ヽ
       ,r' ,::;:'    ,ノ ヽ、    ゙:::.ヽ
      ,.' _.,:;:'___ _立_  ___;;ミ゙、          ̄ノ ̄| ̄
     .l厄巳厄巳厄 i王i ,.巳厄巳厄巳l           ,勹 .├‐''
     l´ , "´  ̄ ̄ ̄ `'''′  ̄ ̄ ̄`.:`{         ´_フ  ヽ、_,
     | l ;;:.,.   ::、.       ...   '゙|
    ,.-''、.,! ,.::'    ヽ、:.゙、 ;;.:' ''  ヽ | ,.、       __l__
   ./  、/ `ヾー─tッ-ヽ''  kーtr─ツ'´〕. ヽ.        |
  / {´i Y::::..   ` ̄ ̄´.: "i! ::. 、` ̄´ ゙:::.、} r、 l        i,____
  | ヾ_,,入;:::.. `'' " ´.::; .::i! ::..  ```  :. }ツl l
  \  ノ ヾ ;:::.   .:r'' :: ll! :ヽ;:..:.   .: j,ノ ,!       ┬‐┌,┴┐
    ヽ',,;l  ゙i ;::.. _ `ヽ、;;,,,,'.ィ'' _,, .::,;r'1,,,/           l__ ノl士
  ッジ::::::|  ゙ ,r'´:::;;;;;;;::>  弋´;;;;;::::ヽ'" |:::::゙'イィ      ノ凵  l土
 弍:::::::::::l  /:::;r'´ ,,..-ー…ー-、 ヾ;:::'、  |:::::::::::ヒ
  シ:::::::::::l   i':::,!  ´  __  ゙  l::::l:. |::::::::::ス       __ヽ__‐┬┐
  彡;:;:::::l  l:::l     ''''''''⇒;;;:,   l:::l  |::::;;ャ`        ニ メ ,ノ
  ,r', 广'`ヽl:::l ::::. .::     ゙::.   l::l ノ^i`、         l ̄l ハヽヽ
 ,イ(:::j    i::;ヘ  :;:.       .::   l::l'"  l:ヽヽ         ̄   ̄
 |;:ヽヽ   l::l  ヽ ;:.... ..  .. :  /l::l   ノ ,.イ
 |;:;:;:;\\ l::l   ', :;.:;::::::::::..::.  /  l::l,r'' /;:;:;|

34:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 10:27:01 h3DqPVuf
王大人が死亡確認してくれれば大丈夫だ

35:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 10:32:35 5qTQtWQS
オスマンとかどう申し開きするんだろうか
事件は起こってからじゃ遅いんですよッッ

36:ゼロの使い悪魔
08/08/17 10:42:12 UFmGeDo/
小ネタを投下してもよろしいですか?

37:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 10:44:11 2doxWmIB
ルール守ってる自負があるなら「投下します」でいい

38:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 10:45:44 pvbuIcyS
>>35
実際止めてるケースが少ないよな
どう考えても手加減しそうにないようなヤバイ奴相手でも

39:ゼロの使い悪魔①
08/08/17 10:47:01 UFmGeDo/
 使い魔召喚の儀式の日、ルイズが召喚したのは1人の男だった。
 ルイズとその友人達は聞いた事も無いような男の奇妙な本名よりも、悪魔を意味する男の故郷でのふたつ名“ディアボロス”の名で呼んだ。
“ディアボロス”は魔法を使いこなそうとするルイズの世話を、何くれとなく焼いていた。
 なぜそこまでするのかというルイズの問いに、“ディアボロス”は自分も故郷では失敗を繰り返し挫折と転落を繰り返してきたのだと語った。
“ディアボロス”はルイズの姿から、自身が無くしていた希望を見たのかもしれなかった。

 召喚から数日後、“ディアボロス”は些細な事からギーシュと決闘するはめになった。
“ディアボロス”はギーシュのワルキューレを見てもまったく動じる事無く、
「ブラム=ストーカー/モルフェウスといったところか……。まあこんな小僧、油断しなければ負けは無いな」
 と笑みと共に謎の言葉を呟いたのみだった。
 戦いは一方的の一言だった。
 ワルキューレの攻撃は“ディアボロス”にはまったく通用しなかった。……いや、命中し手傷も受けるがそれが即座に完治してしまうのだ。
 逆に“ディアボロス”は素手で次々ワルキューレを引き裂いていく。メイジ殺しなどというものではない、明らかな異能の力だった。
 最後の一撃がそれをよりいっそう見せつける事となった。
 1体のみ残ったワルキューレの不意打ちの斬撃が切り落とした“ディアボロス”の手首が、ギーシュのすぐ傍にまで飛んでいった。
 片手を奪った事で一転優位に立ったと見たギーシュの降伏勧告に、“ディアボロス”が不敵な笑みで返した次の瞬間、
 ―ドッカアアン!
 突然発生した爆発にギーシュは回避を考える間も無く吹き飛ばされた。ルイズも自分の魔法によらない正体不明の爆発に唖然としている。ただ1人“ディアボロス”のみが再生した手首で眼鏡を押し上げ勝者の笑みを浮かべていた。
 結論から言えば、この爆発もまた“ディアボロス”の異能だった。不意打ちが回避しきれないと確信した彼はタイミングを合わせて自身の手首を外し、爆弾としてギーシュめがけて射出したのだ。
 ルイズは自身の使い魔が持つ恐るべき異能の力に戦慄した。

40:ゼロの使い悪魔②
08/08/17 10:50:45 UFmGeDo/
 そして程なくして、ルイズも“ディアボロス”の持つ異能の力を得る事となった。
 学院の宝物庫を襲撃し、秘宝「賢者の石」を強奪した怪盗“土くれの”フーケ。
 自身の命を惜しむ教師達に代わってフーケ討伐に向かったルイズ達は、首尾よく「賢者の石」を奪還したもののゴーレムによる急襲を受けた。
 自らの誇りのためゴーレムに立ち向かったルイズは、ゴーレムによる一撃を受けて瀕死の重傷を負った。
“ディアボロス”は躊躇しなかった。故郷にいた時の冷酷だった自分とは別人のように涙し、彼女の生命を繋ぐために手段を選ばなかった。
 自身と同じ異能者と化す、理性を失った獣と化す危険性を承知の上で彼女に2つの故郷の業を使った。
 同族食いの獲物を選ぶ籤の名を持つ自身の血で回復力を高める業と、「賢者の石」。
 その2つの力によってルイズは死の淵から復活した。―メイジとしての生を代償に異能者としての生を。
 ルイズの異能もまた凄まじいものだった。杖の一振りで大地から蠢く砂の手が無数に伸びたかと思うと、一瞬のうちにゴーレムは指1本動かせない巨大な石造になりはてた。
 しぶとくもフーケは抵抗を試みるも、“ディアボロス”怒りの一撃によって(そう、本当に腕の一振りで)両腕両脚を切断されて捕縛されたのだった。

41:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 10:50:58 pvbuIcyS
もしかして書きながら投下してるのか?

42:ゼロの使い悪魔
08/08/17 10:53:06 UFmGeDo/
>>41
いえ、本文長すぎのエラーが出たので小分けにしてるだけです。

43:ゼロの使い悪魔③
08/08/17 10:54:16 UFmGeDo/
 レコン・キスタはその奇妙な2人の前に恐慌状態に陥っていた。
 対抗可能な軍は現れず、侵攻するのみという時に先陣を切る竜騎兵隊の前に竜に乗った1組の男女。
「今すぐ撤退しろ。死にたくはないだろう」
 男は恐怖の欠片も無く言い放った。
 先頭の隊長が嘲笑しつつ2人と1匹に戦闘態勢を取った時、
「残念だわ」
 竜の口から吐き出された砂嵐に覆い尽くされた視界、それが隊長の最後に見たものだった。
 次の瞬間、隊長は竜もろとも石像と化して落下していった。

 ホーキンスは胸騒ぎを感じていた。
 人間はおろか竜をも石化させる吐息を吐く魔竜を使うメイジが相手と知り、本来占領した都市の警備や威嚇に使う兵を全部隊呼び寄せた7万の軍勢。
「将軍! 例のメイジと男が現れました! 魔竜はいません!」
「よし、一斉攻―うわあああっ!!」
 その言葉をホーキンスは言い終える事ができなかった。

 時間はわずかに遡る。
 ルイズ・“ディアボロス”は、7万の大兵団のごく一部(それでも500は超えていたが)に完全包囲されていた。
「魔竜を呼ぶか? もっとも間に合わないだろうがな」
「間に合うわよ。しないけどね」
 そう言い終えるか否かのうちに、ルイズの杖がみるみる太く長くなり、胸元の「賢者の石」も輝き始めた。
 兵士達はそれに驚愕し、ルイズに恐るべき異能の力を振るう時間を与えてしまった。
「さようなら」
 戦場の大地から砂の手が伸び、7万の兵士全てに襲いかかった。
 7万人の悲鳴が止んだ時、大地には1人として倒れている者はいなかった。
 しかし動いている者もルイズ達以外にはまたいなかった。7万の兵士は7万の石像にその姿を変えていたのだ。

44:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 10:54:53 ge/gxjr5
家電量販店の店員支援
メイド喫茶の連中に負けるなー。

45:ゼロの使い悪魔④
08/08/17 10:55:50 UFmGeDo/
 戦場から去っていくルイズが作り上げた魔竜、その背でルイズ・“ディアボロス”は楽しげに会話をしていた。
「これからどうする、ルイズ?」
「そうね、命令で動かされるのには飽きたわ。しばらくどこかでこっそり動いて、伝説のメイジと使い魔として名前を轟かせるっていうのはどう?」
「悪くない。……それならふたつ名を考えなければな。もうお前は“ゼロ”ではないのだからな」
「そうね……、何かいい名前は無いかしら?」
「……“マスターレイス”。俺が故郷にいた頃所属していた組織で、指折りの強者に付けられるふたつ名だ」
「“マスターレイス”ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール……、悪くないわね。それじゃ行きましょう、キョウジ」
「了解しました、“マスターレイス”」

46:ゼロの使い悪魔
08/08/17 10:57:11 UFmGeDo/
以上投下終了です。
「ダブルクロス」から「春日恭二」召喚です。

47:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 10:58:43 ge/gxjr5
乙でしたー
…春日恭二もなー、有能なはずなんだけど、何で公式ではあんなことに…。

48:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 11:34:53 a0eLe53x
乙ー
強者に与えられるのは"マスター○○”って言うコードネームだから、
ルイズだったらマスターゼロとかマスターボムとかマスター釘宮とかがいいんじゃないかな?
レイス(幽霊)ってイメージでもないしね

49:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 11:42:49 yRzo9JqT
>>48
や、幽霊じゃなくて種の方でない?
賢者の石を持つ事でオーヴァードと言う超人を超越したオーヴァードになっているのディス

50:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 11:47:43 5adATZQj
毒の爪の人乙!

やっぱりジャンガはこうでないとね。
ナムカプ版は声が勇者王だったんで敵キャラの中でもお気に入りだった。

51:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 13:35:47 fR9j4xc3
>>35
そういえば、以前ゲッターチームが召喚されて、
竜馬がワルキューレフルボッコにした挙句、
隼人がギーシュを「目だ! 耳だ! 鼻! 」した小ネタがあったそうな。
過去スレの何番にあるのか、ご存知の方おられますか?

52:ゼロの女帝
08/08/17 14:06:54 esoIoYOA
どもー
予約無ければ十分頃から投下したいのですよー
よろしおまっかー

53:ゼロの女帝
08/08/17 14:10:40 esoIoYOA
すみません、書いてたの消えてしまいました
撤回です
ご迷惑おかけしました

54:ゼロの女帝
08/08/17 14:13:01 esoIoYOA
また失礼
無事何とかなりました
十五分から投下させて頂きます
重ね重ね失礼致しましたです、はい

55:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 14:15:23 iUMSfbR5
ゆっくり落ち着いて投下していってね!

56:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 14:17:20 Vk2/5UqU
爆撃支援?

57:ゼロの女帝
08/08/17 14:18:05 esoIoYOA
第十二話

「・・・・・・・と、いうわけで殿下、もといお頭。
 無事襲撃は成功。
 味方は勿論エモノにも怪我人は一切出ず、積荷の接取に成功しました。
 荷は食料に貴金属。あと大量の硫黄です」
「硫黄か、それはいい。
 間も無く始まるであろう戦いにおいて、その硫黄から作られる火の秘薬はさぞかし
 反逆者どもの心胆を痛めつけることだろうな」
「それと・・・・・・・貴族を五人に使い魔三体です」
「?」
「どうやらトリステインの貴族らしくお頭に面会を望んでおりますが」
「トリステインか・・・・・・よかろう」


「で、おめぇら貴族様が俺に会って、何話したいってんだ?」
その瞬間、髭を生やした金髪の男性を除く全員が笑い出す。
赤い髪の少女など笑いすぎて痙攣起こしているほどだ。
「何がおかしい!」
「だ、だ、だってぇ」
微笑みながら子供らを見つめる年長っぽい女性がぽつりと呟く。
「ずれてるわよ、かつらと付け髭」
「滑りやすい」
「いや、それ言う相手が違うから」


「あー、まあそういう訳で私がアルビオン王子ウェールズだ」
「トリステイン特使、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールでございます」
「同じく特使、ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルドと申します」
「以下略」
「酷いじゃないか、大体なんで僕の扱いはいつでもどこでもこんなに悪いんだ!」
「しょうがないじゃない、だいたいあなたたち、みんな正式の特使であるあたしとワルドさまに
 勝手についてきただけっつーんだし」
「そういやそうね」
「で、あたしがルイズちゃんの使い魔、瀬戸と申します」
「・・・・・・アルビオンでは聞いた事無いんだがトリステインでは平民が使い魔というのは
 よくある事なのかね?」
「史上初と聞き及んでおります。この一点をもってしても我が主が歴史に名を残すのは確実」
「歴史はともかく、彼女は平民ではありません」
「というと?」
「遠く遠く、馬で何日走ろうと船で何年飛ぼうと決してたどり着けない地の王族なのだとか。
 そして、王族とか平民とかそういった馬鹿らしいものを超越した存在なのです、彼女は」
「馬鹿らしいかね、王族というのは」
「少なくともこのハルケギニアにおいて彼女は評価されるべき血統ではありません。
 しかし彼女にわたくしは教えられたのです、魔法など芸のひとつでしかないのだと」
「それはともかく特使どの、用を聞かせてはくれまいか」
その言葉にルイズは慌てて懐の手紙をウェールズ王子に手渡す。
「姫は結婚するのか?あのアンリエッタが。私のかわいい…従妹は」
ルイズは無言で頭を下げて肯定した。
ウェールズは再び手紙に視線を落とす。最後の一行まで読んで、微笑んだ。
「了解した。何より大切な手紙だが、姫の望みは私の望みだ。返すことにしよう」
ルイズの顔が輝く。
「しかし、今手元にはない。空賊船に姫の手紙を連れてくるわけにはいかぬのでね」
ウェールズは笑って言った。
「ご苦労だが、ニューカッスルの城までご足労願いたい」

58:ゼロの女帝
08/08/17 14:19:18 esoIoYOA
ルイズ達を乗せた私略船「イーグル」号と捕獲された輸送船「ジーン・グレイ」号改め「フェニックス」号は
反乱軍の警戒網をすり抜け、ニューカッスルへとたどり着いた。
ルイズ達は王子の先導の下、城内のウェールズの居室へと向かう。
王子の部屋とは思えない、質素な部屋であった。
「高級品は戦費に変えてしまってね」
笑いながら王子は机の引き出しを開き、宝石のちりばめられた小箱を取り出す。
鍵を使い蓋を開けると、そこにはアンリエッタの肖像が描かれていた。
中から手紙を取り出すと、ゆっくりと読み返し始める。
何度もそうやって読まれたであろう手紙は、既にボロボロであった。
読み終わると、ウェールズは手紙をたたみ、封筒に入れてルイズに手渡した。
「ありがとうございます」
ルイズは深々と頭を下げ、その手紙を受け取る。
「明日の朝、非戦闘員を乗せて出航する『イーグル』号に乗って帰りなさい」
ウェールズの言葉に、ルイズはじっと俯いていたが、そのうち決心したように口を開いた。
「あの…殿下。王軍に勝ち目はないのですか?」
「ないよ。我が軍は三百、敵軍は五万。正面から戦って勝てってそりゃ無理だろう」
ルイズは再度、俯いた。


「殿下の討ち死になさるさまも、その中に含まれるのですか?」
「何で?」
きょとんとした表情でこちらをみやるウェールズ王子。
「いや、今勝ち目無いって仰ったじゃないですか」
「うん、そうだね。
 だから隙を見て我ら王党派は脱出し、ゲリラ戦を行う」
「ゲリラ戦って王子様がですか?」
キュルケの言葉に頷くウェールズ。
「繰り返すが正面から戦って勝ち目など無いから。
 かといって死にたいわけでもないし、なら精一杯正面以外で戦うべきだろう」
「亡命なさいませ!」
ルイズが絶叫する。
「卑しくもアルビオンの王子が野山で泥に塗れてゲリラ戦など・・・・・・今すぐトリステインに亡命なさいませ!」
「で、あの反逆者どもが今度はトリステインを責める口実を作れ、と?」
「多少早くなるだけにございます!」
「・・・・・・確かにほんの少しだけ早くなる、その程度だろう。
 でも今のトリステインにはその「ほんのわずかの時間」が宝石並に貴重なんじゃないのかい?
 それに、確かに泥には塗れるが勝算はある」
「勝算、ですか?」
「ああ。ゲリラ戦においてある国のバックアップを受ける手はずを整えてあるんだ。
 さんざんレコン・キスタとやらの心胆冷やしめてくれ、とね」
「ある国、ですか」
「そう、ガリア王ジョゼフの支援をね」
ぴくり、とタバサと、そしてワルドが身じろぎをする。
「あの無能王の手を借りたからといってどうなります!」
「ふっ 使者殿。
 君は見事に、あの無能王という評判に騙されているね。
 一度でも直接会えば、そしてあの目を見れば彼を無能とは呼べまいよ。
 彼は確かに道化だ。
 だが真の道化とは、最も優れた存在でなければならないのだよ」

59:ゼロの女帝
08/08/17 14:22:07 esoIoYOA
はい、今日はここまでです。
ご迷惑お掛けしちゃったのですよー

60:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 14:25:54 pvbuIcyS
投下乙です
何故かジョゼフがエルガイムのアマンダラみたく思えてきた

61:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 14:50:37 Cl3hss5t
ゼロと使い魔 同人誌タイトル

ボクはもっとルイズとSEXする!!
FOREIGN SIDE
銀幕少女
穢れても好きな人
ルイズの使いマ○
ふたなるいず
ゼロの3人
ZERO ZERO HEAVEN
Girl with a Pink Hair
雪風妖精 タバさ!?
ゼロ・ゼロ・ゼロ!!
集団暴行 強制受胎
そんなの許せないんだから!
Le beau maitre 2
脱いだらすごいんです。
ZEROX2
EROのルイズ
Kissのじかん るいずむ
Maid Girls Compilation Book
ゼロの種う魔 2
抜け駆けパラノイア
きょむ☆きょむ
ゼロいじめ。
ルイズと秘密の部屋
零のルイズ
素直好きって言いなさい!
スキっていってっていって!
SERVANT OF ZERO
ご主人様の桃色ぱんつ
ゼロの気持ち

62:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 14:54:13 Vk2/5UqU
ナナリー・ヴィ・ブリタニアがルイズに召喚されたようです
スレリンク(news4vip板)

63:ナイトメイジ
08/08/17 14:59:26 NH+eBAlP
続けて5分から投下させてください


64:ナイトメイジ
08/08/17 15:08:42 NH+eBAlP
「空賊だ!」
誰が発したのだろう。
その声と共に甲板は急速に慌ただしくなる。
ある者は帆にとりつき、ある者はロープを持ち、またある者は風石をため込んだ船内に駆け下りていく。
たたまれていた帆が音を立てて広がった。
途端にフネの速度が慣れていないルイズにもわかるほどに上がる。
今までの風石を節約する飛びかたから風石の消費を覚悟してでも速度を重視する飛び方に変えたのだ。
だが、それでも安心はできなかった。


空賊船で舵を握る男はマリー・ガラント号の帆が急速に広げられていく様を見ていた。
「やはりそう来るだろうな」
海賊に襲われた輸送船が取り得る逃走方法は限られている。
その一つが比較的大きな雲に隠れてしまうことだ。
通常ならアルビオンへの衝突防ぐためにそんな目をふさぐようなことはしないのだが、空賊に襲われたのならしかたがない。
だが、現在の天候はアルビオン近辺には珍しく快晴。
隠れる雲は遠くに見えるだけで近くにはない。
ならばこの勝負は速度が決め手となる。
先に雲に隠れてしまえばマリー・ガラント号の勝ち。
その前に捕まえれば空賊の勝ちというわけだ。
「だが、もう遅い。おい、こちらも船足を上げるぞ」
「アイ・サー」
男はその敬礼には不満だったようだ。
首を横に振り、部下の間違いを正してやる。
「今は違う」
「そ、そうでした……わかりやした、親分」
今度は男も満足したようで、深い首肯で返す。
わずかの時間の後、マリー・ガラント号を上回る速度を得た空賊船は猛禽の思わせる勢いでその爪を立てようとしていた。


マリー・ガラント号の甲板でルイズたちは後ろから迫る空賊船を不安げに見ていた。
マリー・ガラント号が速度を上げたときは、これで逃げられると安心した。
だが空賊船はそれを上回る速度を出して迫り、その姿を大きくしていく。
既に甲板に立つ空賊たちの服の色くらいなら見分けられるほどになっていた。
不安を覚えたルイズは婚約者に手を伸ばそうとしたが、その手は彼女の意に反して動かなかった。
アンリエッタがルイズの腕をつかんでいたのだ。
そのアンリエッタも不安を隠せずにいる。
ルイズは残ったもう一方の手も少しでも助けになればとアンリエッタの震える肩にのばした。
互いの息づかいと体温を感じるほどに二人の距離は縮まったが不安は消えはしない。
突如轟音がした。
雷の音に似ていたかもしれない。
だが、あたりには雲はない。雷のはずはない。
音の元はマリー・ガラント号の後方、空賊船。それが大砲を撃ったのだ。
ルイズはアンリエッタの肩に添えた手に力を込め、隣に立つワルドを見上げた。
「心配しなくていい。あの距離ではまだ大砲は届かない。ただの威嚇だよ」
ワルドが空賊船に目を向けた。
ルイズもそれにつられて後ろを見る。
空賊船はさっきよりさらに近づいていた。
「だが……これではまずいな」
見れば空賊船には片側に10を優に超える砲が据え付けられている。
対してこちらは射程の短い移動式の砲が3門。
敵の射程内に入れば勝負にならず、降伏か撃沈かの二者択一になる。
次にワルドは後甲板を見た。
船長は必死で指揮を執っているが、先ほどの威嚇射撃でおびえてしまった者も多く目に見えて船員たちの動きは鈍っている。
「む……う」
ワルドは後ろ甲板の船長に足を向けた。
歩き出す前に、後ろでおびえる少女たちに振り返った。
「着いてくるかい?」
ルイズはアンリエッタの震えを押さえながら、そして自身も震えながらワルドの後を追った。

65:ナイトメイジ
08/08/17 15:09:50 NH+eBAlP
マリー・ガラント号の船倉には誰にも気づかれないようにこっそり乗り込んでいる女性─ぶっちゃけ密航している─が一人荷物の間に体を押し込め直していた。
「本当に出会っちまったのかい?なんて不運だよ」
フネが揺れて、また荷崩れした荷物が転がってきた。
女性は溜息をつく。
とりあえず隠れ場所を作るのはあきらめることにした。


こんな状況だ。
自分達の仕事を邪魔する者なら相手がなんであれ扱いは悪くなる。
それが、たとえ貴族でもだ。
「貴族様。失礼ながら、こんなところにおられても邪魔なだけです。いいから、船室にでも引っ込んでおいてください」
八つ当たり気味にまくし立てる船長にワルドはきわめて冷静に、そして落ち着き払って言葉を返した。
「僕は風のスクエアのメイジだ。できることはあると思うんだが」
船長は思わず踊り出したくなった。
もっともそんな暇はなく、その希望は果たされることはなかったのだが。


空賊船の射程にマリー・ガラント号をとらえるまであと少しと言うときだ、二つのフネの間が徐々に開き始めた。
マリー・ガラント号が速度を上げたのだ。
あの形式の船としてはあり得ない速度だ。
ならば、考えられることは一つだ。
「ちっ、風のメイジが乗っていやがったか」
しかも輸送船と戦船の差を覆すかなり腕のいいメイジだ。
「おい、こっちも魔法だ。風を使えるやつを呼んでこい。総動員だ!」


トライアングルとスクエア。
クラスにしてみればわずか1つの違いだが、その差は歴然としたものがある。
今起こっているマリー・ガラント号と空賊船の争いはまさにその好例と言える。
「閃光のワルドね」
一人ルイズたちからは離れたところでベール・ゼファーは小さくつぶやく。
「スクエア……というのは伊達ではないみたいね」
ワルドの魔法により加速したマリー・ガラントに対して空賊船も魔法を使って加速している。
「このままだと逃げ切れそうね」
そして、マリー・ガラント号は船の性能差を超えメイジの実力差により空賊船を引き離しつつあった。
「運命はルイズたちに味方している……か」
フネの前には大きく濃い雲がある。
あれに突っ込めば、まず間違いなく空賊船はマリー・ガラント号を見失ってしまう。
「でも、それじゃいまいち面白くないわね」
ベルは人差し指と親指で何かを摘むような形を作り、その指を口元に添えた。
「運命なんて変わるものよ。そう、こんなふうに」
そこに吹きかけられた息はあっという間にかき消えてしまう。
それに宿る力が確かに運命を改変していた。


偶然と状況が重なった。
風の魔法を受ける帆はいつも以上の負担を受けていた。
その帆にはわずかだが綻びがあった。
その綻びは出航前の点検で偶然見逃されていた。
大砲の轟音で慌てた船員がその綻びに足を引っかけ、綻びを大きくしていた。
他にもいくつかの偶然がいくつも起こった。
結果、帆は破け、千切れ飛び、帆としての機能を失った。
そして、一番の偶然はそれがマリー・ガラント号のすべてのマストで起こったということだった。


「おおっ!」
海賊船に乗るその男の声は小さい者だったが、込められた感情は大きなものだった。
「神よ、あなたに感謝します。これで……」
男の祈りは神に届いたのだろうか。

66:ナイトメイジ
08/08/17 15:11:05 NH+eBAlP
「なにっ!」
マリー・ガラント号の甲板でワルドはうめいた。
「まさか、こんな事が!!」
普通ならとうていあり得ないことだ。
信じられない。
しかし、頭の上でばたばたと音を立てるそれは覆しようのない真実としてそこにあった。
「まるで悪魔の悪戯だな」
そう言ってワルドはつばの広い帽子で目を隠した。


そして彼らが感謝し、あるいは呪うべき神と悪魔はここ、マリー・ガラント号の甲板にいた。
それは彼らが考えていた神でも悪魔でもないだろうが、確かにここにいる。
神、そして悪魔である少女は落ちてきた帆の破片が風が吹くままに流される様を満足げに眺めた。


「ほら、運命なんて簡単に変わる」


*******************************
今回はここまでです

67:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 15:13:38 a0eLe53x
神にして悪魔な魔王様自重www
つーかそんな偶然ねーよwww
つうかルイズってやっぱ運がいいキャラなんだな

68:蒼い使い魔
08/08/17 17:48:04 uROOu8EE
皆様投下乙であります。
こちらも
18話完成いたしましたので18時に投下しとうございます


69:蒼い使い魔 第18話
08/08/17 18:00:31 uROOu8EE
バージルがラ・ロシェールへ向け馬を走らせる、
馬で二日かかる距離であったが
途中約束通りタバサがシルフィードに乗り迎えに来たため
その日のうちに無事一行はラ・ロシェールへと辿りつくことができた。
バージルがタバサと共にルイズ達が宿をとっている『女神の杵亭』へと降り立つと
ずっと入口で待っていたのかルイズが立っていた。
「バージル!なにをしてたのよ!ご主人様を待たせるなんてっ…!」
目に涙を溜め真っ赤にしながらバージルに走り寄る。
「こいつに乗る人数が合わなかっただけだ」
そう言うとさっさとバージルとタバサは宿の中に入ってしまった。
「ばかっ…!どれだけ心配したと思ってるのよ…」
その様子を見ながらルイズは地団駄を踏みながらつぶやいた。

「あ、ようやく来たようだね、いやぁ心配していたよ!」
そう言いながらもすでに酔っているのかギーシュとキュルケがテーブルにつきながらバージルを見る。
「そうよぉ、ルイズったら、ダーリンが来てないことを知った時ったらすごかったのよぉ、
もう泣いちゃって泣いちゃって―「わー!!わー!!何言ってるのよ!そんなわけないでしょ!」」
酔ってもいないのに真っ赤になりながらキュルケにルイズが飛びかかる、
その様子を見ながらいつものように無表情のままバージルもテーブルについた。
「おや?使い魔君、ようやく到着かね?」
ワルドが入口から入ってくるなりバージルを見て言う、
だがなぜか言葉は刺々しく、表情もどことなく険しい。
「…ここは…岩盤をくりぬいたのか?」
それをナチュラルに無視しながらバージルは目の前のタバサに話しかける
「魔法で床もテーブルも崖の岩盤から削りだした」
バージルの露骨な無視っぷりにワルドの表情がより険しくなる。
「そ…そういえば子爵、アルビオン行きの船はどうでした?」
そんな険悪な空気を感じたのか酔いが回っていながらもギーシュが話題を切り出す、
その声に我に返ったのか、ワルドはテーブルについた一同を見渡し少し困った顔をして切り出した。
「アルビオンに渡る船は明後日にならないと、出ないそうだ」
「急ぎの任務なのに……」
ルイズが口を尖らせながら呟く。
「あたし、アルビオンに行ったことないからわかんないけど、どうして明日は船が出ないの?」
キュルケの方を向いて、ワルドが答える。
「明日の夜は月が重なるだろう? 『スヴェル』の夜だ。その翌日の朝、アルビオンが最も、ラ・ロシェールに近づく、
船は限りある風石を使っていてね。最も近い距離で翌日飛べるのに、早くに飛んで無駄にしたがる船乗りはいないのだよ。」
「フン、前もってそんなことの調べも付いていないとはな、使えん奴だ」


70:蒼い使い魔 第18話
08/08/17 18:01:22 uROOu8EE
バージルの一言に場の空気が凍りつく
険悪だった空気がさらに険悪になる。
「どっ…どういうことかな?つ…使い魔君…?」
「わからんのか?だとしたら想像以上に無能だな」
「バッ…バージル…な…何を…!」
ルイズは顔を青くして二人を見比べる。
バージルは呆れたような表情でワルドをみて続ける
「言葉の通りだ、学院から馬で二日の距離、予定通りならその『スヴェル』とやらで足が止まらず先に進めただろう。
なのに貴様はグリフォンでさっさと先へ進み、ここで足を止める結果を作った、貴族派とやらに襲ってくださいと言っているようなものだ。
わかるか?貴様が足並みを乱したんだ。」
強烈な皮肉と挑発、しかも事実だ、ぐうの音も出ないほどの。
ワルドの額に青筋が浮かぶ。
バージルは相変わらず氷のように無表情だ。
「め…面目ない…ね…使い魔君…!」
言葉こそ穏やかだが、ワルドは確実に怒っている。
「フン…、婚約者の前で舞い上がっているのか知らんが、そのくらい考えろ」
そんなワルドをさらに挑発しバージルは目を瞑る。
言うまでもなく場の空気は最悪だ、ワルドは燃え上がるような怒りの目でバージルを睨みつけている。
杖を抜かないのが不思議な位だ。
「とっ…とりあえず、もう寝ましょう?ね?もう遅い時間だし、ね?」
キュルケが耐えられないといった悲痛な声で提案する、
ルイズとギーシュはうんうんと首を縦に振った。

「あ、あぁ…そうしよう…使い魔君が来る前に部屋を取っておいた」
ワルドは鍵束を机の上に置いた。
「キュルケとタバサは相部屋だ。そしてギーシュと使い魔君が相部屋」
「あれ?男女二部屋ではないのですか?」
その言葉を聞きギーシュが口を開くが、ワルドは当然と言った風の表情で答える。
「僕とルイズは同室だ。婚約者だからな」
ルイズがその言葉にはっとして、ワルドの方を向く。
「そんな、駄目よ!まだ、わたしたち結婚してるわけじゃないじゃない!」
しかし、ワルドは首を振って、ルイズをみつめた。
「大事な話が有るんだ。二人きりで話したい」
「先へ行く」
そう言うとバージルはさっさと自分の部屋の鍵をとりさっさと階段を上り二階へと姿を消した。
ギーシュは険悪な空気の残り香がするこの空間にいたくないのか急ぎバージルの後を追う。
何も言わずさっさと去ってしまったバージルをルイズは複雑な心境で見送った。
「じゃ、わたし達も行きましょ」
キュルケも鍵を手にし、タバサに声をかけて続けて席を立った。

「バージル…君?あれでいいのかい?なんか彼女、止めて欲しかったみたいだったけど」
部屋に入ったギーシュはバージルに声をかける。
「フン…これ以上くだらん事に余力を割くつもりなら斬り捨てる」
「相棒…そりゃどっちの意味だ…?」
「…多分、置いて行く方…そうだと思いたいよ…、それにしても、なんであんなに挑発したんだい?見ていて怖い位だったよ…」
「事実を言ったまでだ」
「そ…そうかい、はぁ…」
ギーシュは深くため息をつき、これから先なにも起こらないことを祈った。


71:蒼い使い魔 第18話
08/08/17 18:03:08 uROOu8EE
一方その頃、『女神の杵』亭で一番上等な部屋だけあって、
ワルドとルイズの部屋は、かなり立派な内装だった。
ベッドは天蓋付きでレースの飾りのついた大きな物。
ギーシュとバージルの部屋が簡素なベッドであることと比べると、かなりの差だ。
ワルドはテーブルに座ると、ワインの栓を抜き、杯に注ぎそれを飲み干した。
「君も腰をかけて1杯やらないか? ルイズ」
ルイズは言われたままに、テーブルにつき、ワインが杯を満たすと、ワルドのそれと合わせる。
「二人に」
グラスが触れ合う音が響く。
「その…ワルド…?ごめんなさい、バージルが…あいつ、言いすぎる所があるから…」
「は…はは…ぼ、僕は気にしていないよ…はは…」
ルイズが先のバージルの非礼を詫びる、それをワルドは少々堅い笑顔で返事をする。
「その…それで…大事な話って?」
ルイズが本題を促すと、ワルドは急に遠くを見るような目になった。
「覚えているかい? あの日の約束……。ほら、きみのお屋敷の中庭で……」
「あの、池に浮かんだ小船?」
ワルドは頷いた。
「きみは、いつもご両親に怒られたあと、あそこでいじけていたな。まるで捨てられた子猫みたいに、うずくまって……」
そういうと二人は昔話に花を咲かせる、そしてその話はルイズ自身の魔法の話に変わっていく
そうして一通り話を終えた後ワルドが意外な事を語りだした。
「きみの使い魔、彼だって只者じゃない、彼の左手のルーンを見て、思い出した。
あれは始祖ブリミルが用いたという、伝説の使い魔ガンダールヴの印だ」
「…伝説の使い魔?」
今一理解できないといった具合にルイズが聞き返す。
「『ガンダールヴ』の印。始祖ブリミルが用いたもので
誰もが持てる使い魔じゃあない。つまり君はそれだけの力を持ったメイジなんだよ」
そう言われルイズはバージルの事を考える、
確かにバージルは強い、伝説の使い魔と言われれば頷かざるを得ない、
しかも彼が語るには彼の父親は悪魔でありながら愛と正義に目覚め、
魔界の侵攻から人間界を守り抜いた伝説の魔剣士だという、
その時点で彼は既に伝説の血を引く存在だ。
だが、そうだったとしても信じられなかった。自分は魔法の使えないゼロのルイズ
しかもあの使い魔を制御できていない。
とてもじゃないけど、ワルドが言うような力が自分にあるとは思えなかった。


72:蒼い使い魔 第18話
08/08/17 18:04:19 uROOu8EE
「この任務が終わったら、僕と結婚しようルイズ」
「え……」
いきなりのプロポーズに、ルイズは驚いた。
「僕は魔法衛士隊の隊長で終わるつもりはない。いずれは、国を……、
このハルケギニアを動かすような貴族になりたいと思っている」
「で、でも、私……。まだ……」
「もう、子供じゃない。君は16だ。自分のことは自分で決められる年齢だし、父上だって許してくださっている。
確かに、ずっとほったらかしだったことは謝るよ。婚約者だなんて、言えた義理じゃないこともわかっている!でもルイズ、僕には君が必要なんだ!」
「ワルド……」
かなり情熱的なワルドの態度に、ルイズは戸惑う。ワルドのことは嫌いではない。
だが、こんな勢いに任せて結婚していいものだろうか?
ルイズはバージルのことを考える、あいつはなんて言うだろうか?「俺には関係ない、貴様の問題だ」、そう言うかも知れない。
ワルドと結婚したら、バージルはどうするのだろう?
もしかしたら、もう二度と相手にしてくれなくなるかもしれない。
二度と振り向いてくれないかもしれない、それだけは嫌だ。
様々な思いが胸の中で渦巻く、やがて、ルイズは顔を上げ、ワルドを正面から見た。
「私はまだ、あなたに釣り合うような立派なメイジじゃない。『ゼロ』だもの……。
その前に立派なメイジになって見返したい奴がいるの、だから…」
それを聞くと、ワルドはルイズの手を離し、俯く。
「君の心の中には、誰かが住み始めたみたいだね」
「そんなことないの! そんなことないのよ!」
ルイズは慌てて否定した。
「いいさ、僕にはわかる。わかった。取り消そう。今、返事をくれとは言わないよ。
でも、この旅が終わったら、君の気持ちは、僕に傾くはずさ」
ルイズは頷いた。
「それじゃあ、もう寝よう。疲れただろう」
ワルドはルイズに近づいて、唇を合わせようとした。ルイズの体が一瞬、こわばり、ワルドを押し戻した。
「ルイズ?」
「ごめん。でも、なんか、その……」
ルイズはモジモジとして、ワルドを見つめた。ワルドは苦笑いを浮かべて、首を振った。
「急がないよ。僕は」
ルイズはもやもやする気持ちを抱えながら、再び頷いた。

翌日、時間的にはまだ早朝にも関わらず、バージルは浅い眠りから覚醒し
立て掛けてあったコートを羽織り閻魔刀を手に取る。
ギーシュは前衛的な格好で寝息を立てている
朝食の時間にはまだ余裕があるため、デルフを抜き、錆を落として時間を潰していた。
「相棒…おめぇってやつは…俺っちの手入れをしてくれるなんて…!」
「黙れ、時間つぶしだ」
泣きそうな声を上げているデルフを軽く流し錆を落としていると不意に扉がノックされた。
「相棒、誰か来たぜ?」
「…」
デルフを立て掛け無言のまま立ちあがりドアを開ける、そこにはワルドが爽やかな笑顔を浮かべ立っていた。
「おはよう、使い魔君」
「…失せろ」
そう言うやドアを閉める、
するとワルドが再びドアを開けて入って来た。
「話くらいしてくれてもいいじゃないか、使い魔君」
「…何の用だ」
バージルは鬱陶しそうな表情でワルドを睨む、それを気にせず微笑みながらワルドは続けた。


73:蒼い使い魔 第18話
08/08/17 18:05:16 uROOu8EE
「きみは伝説の使い魔『ガンダールヴ』なんだろう?」
「…なぜそう思う?」
「君の左手を見た時にルーンを見たんだよ、そのルーンは間違いなく伝説の『ガンダールヴ』のルーンだ」
「…左手を見たのか…」
バージルの表情が疑惑を含んだものに変わる、そして『グローブがついた左手』をみせた
「貴様の前でこれを外した覚えはない…この状態でよく判別できたな?」
「…ッ!それはその…」
虚を突かれワルドが動揺する。確かにこれではルーンの『一部』は見えても全体を見ることはできない。
それだけで判別は困難だろう。
「このルーンのことを知る者は、俺以外にはごく一部の学院の人間しか知らん…貴様…どこで知った?」
バージルから疑惑のこもった視線を受ける、だがワルドは軽く微笑むと
「オスマン氏から聞いたのだよ、同行が決まった時にね、それに僕は伝説や歴史を調べるのが趣味でね、
伝説に登場するルーンについても色々と王立図書館の書物で勉強した。
それはその時に見た、ブリミル四体の使い魔の一つの『ガンダールヴ』の物に間違いない、と
君のルーンの一部をチラと見た時に、おもったわけさ」
なるほど、この返答には一応矛盾はない、この秘密の任務とやらもオスマンの耳に入っている可能性はある、
それにワルドは魔法衛士隊の隊長という地位にいる、オスマンも『知っているのであれば』信頼に値すると考え話したのであろう。
「それに『ガンダールヴ』のルーンは左手に刻まれるというじゃないか、それが一番の証拠だよ」
「…」
その返答にバージルも納得したのか、憮然とした表情でワルドを睨みつける。
「それで…?貴様は伝説の講義をしにきたのか?」
「伝説の『ガンダールヴ』の強さがどれ程のものかを知りたいんだ。ちょっと手合わせ願いたい」
「フン、断る」
あっさりと拒否された。
「何故だい?」
ワルドは気に入らん男だと心で呟きながら口を開く。
「俺はそんなものに興味はない、力を貸さぬルーンなどただの足枷だ」
「だ…だが君自身の強さにも興味がある、本当に君にルイズを守れるのか。そしてフーケを倒した君の実力が、
君も、魔法衛士隊の隊長である僕と戦って見たいと思わないのかい?」
「悪いが貴様に興味はない」
昨日会ったばかりの人間に対しものすごい言い草である。
しかも昨日の今日だ、部屋の中に一触即発の空気が流れる
さすがにそのピリピリした空気に目が覚めたのかギーシュがいつのまにか起き上がり部屋の隅で固まっている
一歩間違えればこの部屋で戦闘が起きかねない。
「そうか、つまり君は怖いのかね?僕と戦って怪我をすることが」
「安い挑発だな、そんなに小娘の気を引きたいのか?もっとマシな趣味を持つことを勧めるな」
「ちょちょちょちょちょっと!やるんならここじゃなくて別なとこに行ってくれたまえ!」
ついに我慢できなくなってギーシュが叫び出す、その声に我に返ったのかワルドが苦笑しながらギーシュに話しかけた
「は…ははは、す、すまなかったねギーシュ君、とにかく!君には申し出を受けてもらう!
10分後この中庭で決闘だ!もし逃げたら君はそれまでの男だった、と言うことにする!」
そう言うとワルドは踵を返し怒りの歩調で部屋を後にする。
「はぁ~~~~。バージル君…もうなんていうか…なんでもない…起きたばっかりなのに…僕疲れたよ…」
ようやく重い空気から解放されたギーシュは昨日の祈りがブリミルに届かぬ事を悟り、再びベッドに倒れ伏した。


74:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 18:05:38 OTFgvio2
支援

75:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 18:06:41 Q2ZXeoe0
支援

76:蒼い使い魔
08/08/17 18:06:55 uROOu8EE
投下終了です
何気に筆が進みそうなきがするので
早ければ今日中に19話いけっかなー?
いけるといいなぁ
と、いうわけでどうもでした

77:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 18:06:56 xzT079s9
支援

78:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 19:19:33 5qTQtWQS
>もし逃げたら君はそれまでの男だった、と言うことにする!
子供かお前はwつーか偏在やられてんのに…

79:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 19:19:37 uvB+mONY
痛いところを突かれまくりだなw
さすがに気の毒になってきた

80:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 19:30:24 TvpiKzbt
むしろさっさと逃げたほうがいいというかw

81:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 19:35:51 qpOxF+rp
何なの?ワルドは死にたいの?自殺願望でもあるの?

82:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 19:47:24 6HeoDjp+
ワルドの首が空を舞っているのしか想像出来ない

83:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 19:48:40 iUMSfbR5
ワルドには頑張って一矢報いてもらいたい

84:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 19:52:56 The1UXZ/
つか、ワルドの心配するお前等のやさしさに泣いた

まあ、ワルドはまだバージルの恐ろしさをまだ理解してないだけだろうなw
遍在が瞬殺されたのもなにかをされたくらいしか・・・たぶん・・・

85:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:07:09 UjEb6LqE
よくわからない手段で殺されたとか、最大限に警戒しないといけない自体だろうjk

86:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:12:58 9Wg28VJQ
まぁ…アレだ女の前で恰好つけたかったんだよ…多分…生きろワルドw


87:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:15:49 UjEb6LqE
高卒の俺だって、そんなヤバイ奴相手なら遍在を身代わりにして本人は絶対に接触しないくらいの安全策は思いつくぜ
若くしてコネなしで魔法衛士隊の隊長様になんてなれるようなエリート(笑)がその程度わからないはずがねえw

88:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:16:14 xe2MXUJJ
>>85
むしろ「よくわからない手段で殺された」=「手段は不明だけど姑息な不意打ちでしか戦えない雑魚」と思ってるのかも
ワルドならありえる

しかし蒼の人早いなー、すげえ

89:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:24:19 AinmX6H3
ひょっとしたらワルドはいくらガンダールブでも所詮は平民だろプゲラとしか思ってないのかもしれない
偏在がやられたのも疲れてたから勝手に消えたんだろとしか考えて

90:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:29:50 1EmdBrhr
ギーシュと姉さんが生きてるのが奇跡的な位なのに
何でわざわざ死亡フラグを立てまくるんだよワルドw

91:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:33:09 2SJ8KYzC
どうでもいいんだけどさ、遍在が使う魔法の精神力はどっから来てるんだろう?
もし仮に、遍在が使う分は本体は関係ない仕様だったとしたらさ、遍在に遍在の魔法使わせるとか。
本体の精神力が消費されるとしても、ワルドさんの精神力が底なしってことなのか、スクウェアメイジってそんなに凄いのか?
やっぱり精神力が切れたら遍在も消えるんかな?

92:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:36:21 xe2MXUJJ
むしろ、本体が寝てたり杖から手を離しても偏在が実体化し続けられるのが不思議
いったん発動した後の魔法だから大丈夫なのかな

93:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:39:17 DtFRH58o
風のスクウェアなのに、
空気は読めないワルド萌え。

偏在が戦っている場をもう一体の偏在で監視させるとかすれば
或いはね。

94:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:50:11 6JnPa5Jz
そーいやメージャーどころのナルトは召喚されてないのか?

95:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:51:02 sVOfRWiz
>>94
聞く前にwikiで調べればいいんじゃない?

96:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:52:59 2SJ8KYzC
ナルトは理想郷で見た事があるな、原作知らないからスルーしてるけど。


97:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:53:31 c733B4PF
ワルド「さあ行け! 偏在達よ!」
偏在A「やだよ、お前が行けよ」
偏在B「お前こそ行けよ」
偏在C「俺は行かないぜ」


98:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:53:58 xxuXDjxv
メジャーだから召喚されるわけでもない

99:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:54:50 5qTQtWQS
まさしくその通り

100:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:58:01 TvpiKzbt
茂野吾郎はまだ召喚されてないしな

101:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:59:55 prFUAKWv
お前らが召喚されないなら俺が召喚されるよ

102:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 20:59:59 2SJ8KYzC
ワルド「さあ行け! 偏在達よ!」
偏在A「やだよ、お前が行けよ」
偏在B「お前こそ行けよ」
偏在C「俺は行かないぜ」
ワルド「じゃあ俺が行くよ!」
遍在ABC「どうぞどうぞ」
アルビオン行き決定!

103:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:01:50 FhOtB4DT
>>102
吹いた

104:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:04:05 FKI4R/qa
確かGS美神にあったなそういうのw

105:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:05:57 SokXo6gi
>92
とりあえず原作見る限りは
・全員独立した人格として行動可能だが、自分と本体の区別は付く
・精神力は共有しない。遍在使用分の精神力がマイナスされた状態で分身が生まれれる模様
・遍在自体が全力戦闘に耐えられることから、遍在使用による精神力の消耗は軽微な模様
・遍在使用時に持っていた装備品は複製される。
 (手紙を奪われていた場合、遍在が本物の手紙を持っている、というトリックプレイも可能?)

あとなんかあるかな。

106:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:06:46 xe2MXUJJ
偏在が食べた物はどこに行くのか
偏在はウ○コするのか
偏在は謎に満ちている

某NINJA漫画の影分身みたいに偏在も修行させる事で経験値倍増とかってできるのかな

107:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:09:06 c733B4PF
影分身って別人だろ?


108:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:09:11 VilkOnOD
横「俺が一人!俺が一人やられたー!?」
美「大丈夫よ!やられたのが(略)」
横「そっか!俺さえ無事なら大丈夫なのか!」

ってやつですか   

109:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:09:19 6JnPa5Jz
>>102
ドラえもんでんな話があったなw

110:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:17:35 2SJ8KYzC
のび太が分身するんだっけ?
>>97
ネタパクってすまんな

111:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:26:57 AinmX6H3
精神力を共有しないなら偏在が偏在を作ってを繰り返せばあっという間に偏在の軍隊ができるよね

112:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:28:20 6JnPa5Jz
のびたがドラえもんに大量の宿題を押し付けたがドラえもん1人だと終わりが見えてこない
んで人手不足をタイムマシンつかって1時間後、2時間後、3時間後、、、、の自分自身を連れて手伝わせ解消する話



113:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:28:39 /BHyrfd6
遍在って風のスクゥエアスペルだって言うけど、風×4なのかね。
フェイスチェンジは水×4?

114:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:30:32 /BHyrfd6
遍在は本体よりレベルがやや下がる、とか考えてもいいかも。

115:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:31:22 2SJ8KYzC
フェイスチェンジは風3+水1だったはず。勘違いだったらスマン。
遍在は風4なんじゃないか? 亀頭さんが風以外の系統を使えるとか想像つかないし。

116:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:33:52 c733B4PF
>>114
それがないから風が最強なんだよ。

117:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:34:46 2SJ8KYzC
>>116
むしろ風強すぎだよな……よくサイト勝利したよ。

118:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:37:04 /BHyrfd6
>>116
あ、わるどが「本体と同じ力を持つ(大意)」っていってたっけ。
これはしたり。

119:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:42:28 /BHyrfd6
>>115
亀頭さん?

120:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:42:28 j3Gp3F31
wiki見たが多すぎて見れない
お勧め教えれ

121:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:44:11 8CeS8vZ4
猪熊治五郎召喚

122:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:45:02 kZk2su0M
>>112
偏在(8時間後)「野郎、ブッ殺してやる!」
ワルド「ぎゃあ、自分殺し!」

ですね、分かります

123:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:46:28 Dt2YbqTN
>>114
遍在は、遍在分の精神力消費した後、それぞれの分身に精神力が分割して振り分けられるんじゃね。

たとえば、ライトニング・クラウド8回+遍在1回使える精神力がある状態で2分身すると、
それぞれの分身がライトニングクラウド4発分打てるとか。

使える魔法の種類は分身前と同じだが、大魔法は精神力が付いていかない、というくらいの縛りじゃないと便利過ぎだよ。

124:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:47:57 vHKTEOAA
>>120
提督、赤ずきん、ご立派、鬼作

125:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:49:29 vdXi7l5g
>>120
教えてあげません(AA略)

126:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:50:51 RJAm0rxo
>>120
ご立派、気さく、ヘルミーナ、目つき

全部完結。

127:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:52:22 j3Gp3F31
ありがと
見るわ

128:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:53:01 Hc5SKEwS
じゃあ完結してない作品でおススメは?

129:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:55:05 4tQ+Qy0i
みんなオススメだよ!

130:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:56:38 RJAm0rxo
>>129
君の心の中にある。

131:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:57:05 mqfYemI9
ガンパレード!

132:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:57:51 j3Gp3F31
ご立派ワロタww
メガテン好きだwww

133:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 21:58:55 sg+2IYF4
>>117
というか、他作品のチートキャラを連れてくる上で、数少ない同等以上に対抗可能な能力だからな。
>>128
カービィ、ゼロのエンジェル、ゴモラ、ネウロ
というか>>129の言うとおり。好みは人それぞれなんだから目についたやつから見てけばいい。

134:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:00:03 oV6UsyeL
クロス作品知ってれば大抵楽しめる

135:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:01:33 6JnPa5Jz
>>134
最初はね

136:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:02:53 KjagVmNJ
ナイトメイジの人乙
なんかぽんこつじゃないベル様とか違和感あるなぁ
まぁやっぱり最後は詰めの甘さが出てくるんだろうが

137:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:08:17 j3Gp3F31
銀魂おもしれええええww

138:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:08:25 jcRBPWp8
るるる が出ないとはどういうことだ
ゼロの黒騎士 も大好きだぞ俺は

139:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:09:15 mTNcjvU7
>>134
俺は原作知ってるがために地雷となったSSを二つ踏んだぞ
別作品の同名キャラを憑依させたようなキャラを召喚したやつと
最初っから被召喚キャラを理解する気無しでやってるやつ

どっちも更新止まってるけどな

140:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:09:36 j3Gp3F31
ハ○ーポッターか?ハ○ーポッターファンの集まりですか!?


141:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:12:22 iUMSfbR5
ID:j3Gp3F31は避難所へでも池

142:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:15:56 VilkOnOD
銀さんに見えた、俺はもう夏バテ

143:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:16:08 fI9Dydlr
>>140
答えはNo
ご○派か?ご立○ファンの集まりですか!?
が正しい

144:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:21:42 8WmUOLJy
>>120
小ネタから見たら?

145:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:27:11 /BHyrfd6
ポリー・ハッターですか?

146:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:29:24 RJAm0rxo
小ネタなら「ZEROPANMAN」、「あしたのルイズ」、「待つのと待たせるのとどちらが辛いね」
がお勧め。

147:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:47:12 i2hcfZDn
『トリステインの森の中』が個人的には好き。
クロス先と上手い具合に設定が融合してて。

148:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:50:05 ttVYVb4R
秋山スキーとしては黒騎士は見事だったなぁ
作者さんGAPS召喚で書いてくれないかしら

149:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 22:55:10 2uU918uf
>>148
あれは良かった。何が良いってナイトのツンデレ具合が(あれ?)

150:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:06:52 mAjdFCB2
>>120

完結作品なら
使い魔を買いに
眼つきの悪い使い魔
幽“零”楽団

継続中なら
マジシャン ザ ルイズ
虚無の魔術師と黒蟻の使い魔
戴天神城アースガルズッ!

小ネタ
虚無の雀士 スーチーゼロ

151:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:10:31 xe2MXUJJ
個人的には
爆熱の使い魔(Gガンのドモン)とか
無から来た使い間(FFVのバッツ)
が好き
止まってるけど

152:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:16:36 CjyqxoUm
俺は
ゼロの教師
虚無の鍛聖
ゼロの夢幻竜
ブレイブストーリーゼロ
GIFT
なんかがいいな。
そしてどれも絶賛更新途絶中orz

153:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:17:06 8F71+Z3L
完結作品ならゼロの魔獣もいいぞ! 
ケンイシカワ属性もつくし。

154:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:17:56 CjyqxoUm
あ、でもGIFTはまだ普通に更新されてるから大丈夫かも。

早く皆復帰しないかなあ…。

155:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:19:01 cJ0ULJnM
結局、全部ですねーw

156:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:19:41 6HeoDjp+
別のスレなるがジョジョのキャラがルイズに召還されたらのギアッチョの話が好きだった

157:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:19:50 /BHyrfd6
連載中なら
・イザベラ管理人
・ゼロのエンジェル
あたりがMyお気に入り。

158:ウサギの使い魔 第2話
08/08/17 23:21:49 KSOfOzdL
バージル兄貴の方、乙です。

25分頃から投下する予定ですが、おk?

159:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:24:00 aWB2p3Vq
ダイ大シリーズは好きだな
・爆熱
・獣王
・家庭教師
それ以外はるいずととらも好きだ

160:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:24:43 xe2MXUJJ
おー、グランゾードの彼か
支援

161:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:26:30 qzgKqm9q
>>151
俺もあの2つ好きだなぁ
もし全ジョブマスターだったら・・・と思うと恐ろしい


それと支援

162:ウサギの使い魔 第2話
08/08/17 23:27:09 KSOfOzdL
「ラビ……そう、ラビっていうの」
「ああ、二度と俺のことをウサギ人間なんて呼ぶんじゃねえぞ」

彼にとってウサギ人間という呼ばれ方はあまりいい思い出がないのだ。
ルイズが召喚した使い魔が平民ではなく亜人だったという事実に生徒達は少なからず動揺しているようだ。

「さあさ、皆さん。召喚の儀式は無事に終了いたしました。各自、すぐに部屋に戻るように」

コルベールが合図をすると、生徒達はフライの呪文を唱えて自分の使い魔と共に空中に浮かび上がった。

「お前はその亜人と一緒に歩いて来いよ、ゼロのルイズ」
「あいつ、フライはおろかレビテーションも成功したことないんだぜ」

去り際にルイズに対する暴言を吐く生徒が数名いた。
それに対してルイズは殺意を込めた目で睨み返す。

「うわああ! そそそそ空! 人が空飛んでる!」

ラビは、ここにいるのが普通の人間だと思っていたため、ひどく驚いた。
それは自分達耳長族の中でも特に修行を重ねたものにしかできないはずだったからだ。

「はっ!? もしかいしてこいつ等、邪動族か!?」
「じゃど……? なにそれ、空飛ぶくらい当たり前じゃない。魔法使ってるんだから」
「魔法!? ここにいる奴らは魔法が使えるのか!?」
「あんたねえ、ここをどこだと思ってんの。由緒正しきトリステイン魔法学院よ。」
「知らねえよ! つかそっちが勝手に連れてきたんだろうが!」
「だから呼びたくて呼んだんじゃないって言ってるでしょうが!」
「てめーー!」
「まあまあお二人とも。話がちっとも進んでいませんよ」

二人の間に割って入ったコルベールが二人の喧嘩を止めた。

「ミス・ヴァリエール、部屋に戻って彼にちゃんと事情を説明してあげなさい。不本意とはいえ、彼をここに呼んだのは紛れもなくあなたです。あなたにはその責任があります。
 それとミスタ・ラビでしたね? 悪いようにはしませんから、どうか話だけでも聞いてはくれませんか?」

コルベールの説得にルイズは渋々と、ラビは「チッ」っと舌打ちをしながらも応じた。

「仕方ないわね。付いて来なさい」
「しゃあねえな。」

ラビはすでに歩き始めているルイズの後に付いて行こうとしたが、

「ああ、すみません。ミスタ・ラビ」

コルベールに呼び止められてラビは振り返った。



163:ウサギの使い魔 第2話
08/08/17 23:29:38 KSOfOzdL
「なんだよオッサン。話を聞けって言ったのはあんただろ」
「お……おっさ……オホン! いえ、時間は取りません。その左手のルーンを見せてもらうだけです」
「ルーンってこれの事か?」

ラビは左手の甲に刻まれた謎の文字を指差した。

「ふむ、やはり今までに見たことのないルーンだな」

そう言って紙と取り出し、サラサラと筆を走らせた。ルーンとやらを写しているようだ。

「ったく、どうしていつもいつもこの日に限って……」

今日この日だけ、暗黒大邪神を打ち倒したこの日だけは月面でかつての仲間達と再会することの出来る記念日のはずだった。
それなのに去年も、一昨年も変な事件に巻き込まれてそれ所ではなくなってしまったのだ。
だからこそ、今年こそは一年ぶりに再会する仲間達と普通に遊び尽すはずだったのに、それがどういう訳か、変な場所に連れてこられたり……

「もういいですよ。ミス・ヴァリエールを待たせてもいけませんからね。では、私はお先に」

そう言って、先ほどの生徒達と同じ様に空を飛んでいってしまった。

「何ボサっとしてるのよ。終わったんならさっさと来なさい」

さらには自分をこんな世界に呼び出した張本人に使い魔になれと言われたりと、

「あ~、もうどうなってんだよったく……」

毎年重なり続ける不運を嘆きながらラビはルイズに続いて歩き出した。






164:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:30:19 lVhC/771
しえん

165:ウサギの使い魔 第2話
08/08/17 23:30:47 KSOfOzdL
「月から来たですってーーーー!?」
「ああ、そうだよ。俺は月の裏側にあるラビルーナって所から来たんだ」

ルイズの部屋を訪れ、最初に質問したのはルイズだった。

「そういえばあんた一体どこから来たのよ?」

と。
そしてそれに対してそっけなく。「月」とラビは答えたのである。

「ちょ、……ちょっと待って! 月ってあの空に浮いてる月よね!?」
「違えよ。俺が居たところにある月は一つだけだ」
「つっ月が一つだけーーーー!? それこそありえないわ!!
 でたらめ言うのもいい加減にしなさいよ!!」
「っるっせえな! 本当なんだから仕方ねえだろ!!
 つかそっちが聞いてきたんだろうが!!」
「それがご主人様に対する口きき方なの!?」
「誰がご主人様だ!」

そこからまた暫く口喧嘩が続いたのだが、どういうわけかその喧嘩と同時に、
ラビが月で友人達と待ち合わせしていた事、使い魔との契約は使い魔が死なない限りとかれない事、ルイズは月の世界など全く知らず、元の場所に戻す方法など聞いたこともない事、使い魔としての役割り、等々、
大体の情報交換も一緒に済んでしまったのだ。

「よ……ようするに……ハー……ここは……俺がいた世界とは……ゼー……全く別の世界な……訳だな……ゼー……」
「し……信じ……ゼー……られないわ……ね……ハー……」

お互い息が上がってまともに会話できないので息が整うまで待つことにしたようで、しばし二人の荒い呼吸と沈黙だけが部屋の中に満たされた。
そして、その沈黙を先に崩したのはルイズだった。

「はぁ……いいわ。もうこの際だから月だろうが異世界だろうが信じてあげる。
 だから私の使い魔としてちゃんと働きなさい。その変わりあんたが元いた世界に帰す方法も調べてあげるわ」


166:ウサギの使い魔 第2話
08/08/17 23:32:35 KSOfOzdL
「……しゃあねえ。わぁったよ。ようはボディガードみてえなもんだろ?」
「ま、まああんたにこなせそうなのはそのくらいだしね。他のは無理そうだし……
その代わり、私の身の回りの世話も一緒にすること。いいわね」
「はぁ? なんで俺がそこまでお前の面倒見なきゃいけねえんだよ」

ピキッと、ルイズは額に溝を作っり、ラビに詰め寄った。

「あんたね……寝床と食事の提供してあげるってだけでも十分過ぎるのにその言い草は何!? それとも外で野宿でもしたいの!?
 どうなのよ!!」
「うっ……」

ルイズの勢いに気圧されて、ラビは思わず後ずさる。

「わ……わかったよ。世話でも何でもやってやるよ」
「ふん。最初から素直にそう言えばいいのよ」

ルイズは勝ち誇ったように鼻を鳴らしたら、いきなり服を脱ぎ始めた。

「ちょっ!? お前いきなり何やってんだ!?」

顔を真っ赤にしたラビは思わず手で顔を塞いだ。

「は? 別に自分の使い魔に見られたってなんだって言うのよ。じゃあ明日はちゃんと起こしてね。
 あと、これの洗濯も朝起きたらやっておく事。それじゃ」

と、脱いだ服をラビに投げ渡すと、ルイズはベッドの中に入り込んでしまった。



167:ウサギの使い魔 第2話
08/08/17 23:34:03 KSOfOzdL
「ちょ……ちょっと待て。俺はどこで―」

その質問が終わる前に、ルイズは毛布投げてよこし、床を指差した。

「当然、床よ」
「て……テメーは!―」

またしてもラビの言葉を遮り、ぐるりと寝返ってラビを鬼の様な目つきで睨み、

「そんなに野宿がしたいの?」
「ぐっ……」

それが止めの言葉になった。
ラビはもう反撃の糸口が無くなったようで、渋々とした様子で毛布に包まった。
それを見てルイズも

「わかればいいのよ」

と納得し、指をパチンと鳴らしてランプの火をを消して、自分も枕に顔を埋め、数秒もしないうちに寝息を立て始めた。
ラビとの喧嘩で結構疲れていたのだ。
それはラビも同じだったが、こちらは床の上なのでかなり寝辛い。
さすがに疲れているとは言ってもそんな所では中々寝付る物ではない。

(あ~あったく。寝るだけでこんなに辛いのはマジカルゴで旅してた時以来だぜ……あ……)

マジカルゴ。
その単語がかつての、あのラビルーナでの仲間達との冒険の日々を思い出させた。

(大地……ガス……あいつら今頃俺のこと心配してんのかな)

かつての、ラビルーナと宇宙を守る為に共に戦った賭け甲斐のない仲間達。
暗黒大邪神との戦いの最中、初めて出会い、共に暮らしてきた母との思い出。
三年前から始まった日々が、スライドショーのように次々と頭の中に投影されて行く。

(大地、ガス、ばあさん、グリグリ、そして母さん。変な事になっちまったけど、絶対にに、絶対に月に帰るからな。絶対……かな……ら……ず……)

自然と気持ちが落ち着くにつれて、瞼の重みが増してくる。
かつての思い出を胸に抱きながら、ラビもまた深い眠りについた。



168:ウサギの使い魔 第2話
08/08/17 23:36:01 KSOfOzdL
これにて第2話、投下終了です。
うむ、やはり書いていくと“キャラらしさ”を出し続けていく難しさがよくわかります。
今後も精進する事にしましょう。
読んでいただき、ありがとうございました。

169:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:36:06 lVhC/771
しえーん

170:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:39:35 xe2MXUJJ
おつー

しかし召喚した相手が人間で、その相手に将来の夢や友達との約束、その他諸々の生涯の事情よりも
貴族様の学生のテストの方が優先されるってのは酷い話だよなぁ
人間が召喚されるって言うのは本来ありえない、って事でパニクッてたとかが有ったとしても

171:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:41:05 1Cy61CmF
ウサギのひと、乙でした。

>>170
まあ、それを言っちゃあおしめぇよ、ってことで。

172:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:44:59 I9dYYTjj
>170
人間が召喚されるのは虚無のメイジ特有のようです。しかしアンリエッタやウェールズがルビーの指輪をしていた事を考えると、王位継承者以外は虚無に覚醒するチャンスに恵まれないと想像できるます。
つまり、人間を召喚したメイジが過去に存在したとしても『無かった事』にされてしまっているのでしょう。
……前例があれば、もう少し別の対処がありえたんでしょうか。『人間を召喚した?! まさかミス・ヴァリエールは虚無のメイジなのか!』って感じで。

173:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:45:00 xe2MXUJJ
まぁ、おしめぇだよね

でもたまには召喚された相手が使い魔になることを拒否した上に独力で生活しながら帰る方法探すから
って事でルイズの元を去って、結果ルイズが留年or退学の憂き目にあったり・・・なんて事も有っていい気がする

174:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:45:50 TSXrjiVq
投下乙です。

アクアビートの出番は、この先あるのか。
普通の戦いはラビがどう切り抜けるのか、楽しみです。

175:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:48:49 ZIwFxDR5
>>173
それやるとよっぽど上手くやらない限り「あの作品のキャラがハルケギニアで冒険するだけ」になるからだろうね

176:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:49:55 LPzU/n2y
おかしいよね、あれだけ大絶賛されていた提督を誰もすすめないなんて

177:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:54:05 hgDgg8uY
一番最初にお勧めになってたからだろ

178:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:54:34 dK+rycDb
目が悪いんでしょう

179:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:55:53 yPK6Fbdy
自分で物語を紡いでいく力量が無い奴ばっかだからな。

ノボルの作ったストーリー展開を借りないと。

180:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:55:58 mAjdFCB2
>>175
召喚されたキャラがルイズの下を逃げだし、帰還の方法を探しつつ、いつしか伴侶に恵まれ子孫もでき、やがては帰還も諦めてそれなりにいい人生だったと顧みる

ってどこかできいた話だなと思ったら、佐々木武雄さんじゃないか

181:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/17 23:56:53 LPzU/n2y
>>177
一人だけね
投下されていた当時の反響を考えればもっとすすめる人間が多くなきゃおかしいでしょ

182:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:00:08 aWB2p3Vq
なぜ既にあがったものを更にあげようとするのか…
無意味だろそりゃ

183:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:00:20 TD2RtPNq
薦める相手が一人だけなのに同じ物を何回も薦めても意味無いから、すでに出てる作品は避けるダロ普通

184:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:01:56 7+D0fX1P
アンチが必死w

185:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:02:21 jD0UDd8Y
しからばゼロの蛮人を・・・初見さんにはキツいかな

186:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:02:38 2doxWmIB
見落としを取り繕っただけだろw

187:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:03:05 +3qMubvy
まだ出てない作品のオススメをあげるのは、当たり前だろうが。

188:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:05:31 1QGjRIo5
複数人が挙げてるのは
ご立派、キサク、目つき、縛熱、エンジェル
がそれぞれ二人ずつってとこか?
この流れで一つの作品に集中するってことはなさそうだけど

189:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:08:15 Wi/ULfHm
>>181
提督は良作だと思うが、さすがにその考え方は常識的に考えてどうかと思うぞ

190:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:08:20 pJijEeXn
とりあえずナイトライダーが好きだな。あのルイズとシエスタの豪快さが。

191:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:09:04 qesL8vSC
熱血系ならこれ、ほんわか系ならこれ、ダーク系ならこれ、イザベラ様ものならこのSS
てな具合に傾向で紹介していくのもいいかもしれませんな

192:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:10:20 ej5woqVf
縛熱ってちょっとエロい。


193:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:11:37 vv/yzCkw
人気投票と勘違いしてる馬鹿がいるな・・・

194:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:13:51 Xv27khRX
完結作品で一番なのは?

195:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:14:45 Sg4AMyO/
人それぞれ

196:蛇の使い魔
08/08/18 00:15:21 JCdjsFZ+
20分より投下します

197:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:15:27 iaGzQ3tm
あなたが一番と思うものです。

198:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:16:15 v4Oc3VFG
しえーん

199:蛇の使い魔
08/08/18 00:19:59 JCdjsFZ+
ここはニューカッスル。
かつてのアルビオン王党派の最後の砦だ。
しかし、今ではそこも彼らが敵として憎んだ貴族派の根城となっていた。
その貴族派の長であるクロムウェルの足元に亡骸を横たえるのはかつての王子、ウェールズ。
いや、亡骸を“横たえていた”というべきか。
今彼はクロムウェルの“虚無”とやらによって蘇生させられていた。
その目はかつての目と違い、虚ろで、何も見ていないかのようだ。
顔色には精気が満ちている。だが、どこか儚げであった。
生きていてながら死んでいる。所謂生ける屍といったところだ。

「アンリエッタ…。」

口から漏れたその言葉は彼女に届くことはなかった。

200:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:20:28 DtYm5L9A
支援

201:蛇の使い魔
08/08/18 00:21:22 JCdjsFZ+
スネークの朝は早い。決して老人だから早く起きるというわけではない。
使い魔としての仕事と、訓練のために早く起きる必要があるからだ。
日が昇り始めたころに藁束で目を覚ますスネーク。
今来ているのはマルトーから譲ってもらった寝巻き。
枕元でくるくる回っているアイテムボックスを引っ掴み、衝立の裏へ直行。

シュル シュルシュルシュル ジー

一瞬で着替えが完了した。
テーブルの上に置かれた長く青いバンダナを頭に締める。
やはりこれがないと締まらん。

「まだわがまま姫はお休み中か。」

わかってはいたが口にしてみる。
少しルイズの眉間にしわがよった。夢見が悪くなりますように、と呪いをかけておく。

まず行うのは洗濯。
シエスタに教えてもらった場所で選択を行う。
時々ここでシエスタに出会うこともあるのだが、今日は会うことは無かった。
少しがっかりする。

洗濯を終えて部屋に戻る。
そろそろルイズを起こす時間だ。
さて、どうやって起こすか…決めたぞ。

「ルイズ、朝だ。おきろ。」
「…う~ん、うるさい~。」
「朝飯、持ってきてやったぞ。」

もちろん嘘だ。

「めにゅーは~?」
「オットンガエルの姿焼きだ。ほら、いいにおいだろう?」

ガバッ!とルイズが跳ね起きた。作戦通り、効果覿面。

「ああああ、あんたね!なんて物を朝食に持ってくるのよ!
 そんなものを主人に食べさせようなんて使い魔失格よ!
 いや、変態だわ!変態!ド変態!変態オヤジ!」

ルイズが目をさましてわめき散らす。
朝から元気な奴だ。

「おはよう、お嬢さん。今日も元気だな。」
「おはよう、娘っ子。今日もいい天気だぜ。」

壁に立てかけられたデルフもカタカタと体を震わせて笑っている。
ようやくだまされたことに気が付いたらしい。
だんだん顔に血が上っていく。まずい、と気が付いたときは既に手遅れで、
ルイズは杖を振り下ろしながら怒鳴っていた。

「ここここ、この馬鹿蛇ーーーー!!!!」

スネークとデルフが強烈な爆発を食らって、今日も騒がしく一日が始まる。

202:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:22:50 iaGzQ3tm
支援

203:蛇の使い魔
08/08/18 00:23:04 JCdjsFZ+
「まったく、最悪の朝だわ。」
「こっちも酷い朝だ。おかげで体中痛いぞ。」
「そうだそうだ。さすがの俺ですらばらばらになるかと思ったぜ。」

デルフがスネークに同意して囃し立てる。
しかし、そんな言葉には耳も貸さずに、すたすたとスネークに背を向けて歩くルイズ。

「自業自得。主をバカにする使い魔には朝ごはんをあげないわよ?」

少しやりすぎた、と反省する。
だが、ルイズがそれほど本気で怒っていないのがなぜかわかった。
ようやくこの娘の扱いに慣れてきたということだろうか?

食堂に到着し、いつもどおりに粗末な食事が出されるのを待つ。
どうせこの後厨房に行くのだから、ここの食事など大して興味は無い。
ほとんど今日のメニューの確認程度にしか興味を持っていない。
だが、今日はどうしたことか椅子に座るように言われたのだ。

「…オットンガエルがそんなに効いたのか?」
「その名前を出さないで。いやなら地べたに座りなさい。」
「いや、座らせてもらおう。」

ルイズの隣の席に座る。
料理も前にあるものを食べていいらしい。
いったいどういう風の吹き回しだ?と少し警戒したが、すぐにやめて目の前の料理に集中することにした。

204:蛇の使い魔
08/08/18 00:24:14 JCdjsFZ+
そんな気まぐれだってあるだろう。
その程度に考えていたのだ。

だが、そんなスネークを快く思わない人もいる。
もともとこの席だった生徒―マリコルヌだ。
精一杯の虚勢を張ってスネークに文句を言う。

「お、おい使い魔!そこは僕の席だ!さっさとどけ!」

ため息をつく。また貴族貴族ってそんな話か。
まあ、彼の言うことは正論だし、間違っているのは明らかにこっちだ。
別に貴族だと主張しなくてもこの席くらい空ける。
立ち上がって椅子を取りにいこうとするが、腰に鈍く重い痛みが走る。

「…。」

痛みに耐えかねて、上げた腰を思わず下ろしてしまった。
その表情には鬼気迫るものがあったのだが、それをマリコルヌはスネークが怒っていると思ったらしい。
マリコルヌの体が強張る。
その瞬間を見逃さず、ルイズがマリコルヌに文句を言う。

「あんたが椅子を持ってきなさいよ。」
「貴族が椅子をとりに行って、使い魔が椅子に座る?そ、そんな馬鹿な法は無い!」
「スネーク、やっていいわよ。」

それだけ命じて顔を正面に戻すルイズ。
俺の平和的な和解案はルイズには聞き入れてもらえるだろうか。

「若い者はすぐに武力で解決しようとする。
 ルイズ、お前に必要なものは穏健さだ。」

もう腰は痛まない。一体なんだったんだ?
ルイズの命令を無視して椅子を取りに行った。
後ろでくすくす笑い声が聞こえる。
見なくてもわかる。今頃ルイズは真っ赤だろう。
すれ違ったマリコルヌが安堵の溜息をついた。
なんとか平和的に終わって良かった。

俺がルイズの怒りを買って朝飯を抜かれた事を除けば、平和に朝食は終わった。
ルイズ曰く、「ご老人に朝からこんな塩辛い食事をとらせるわけにはいかない。」だそうだ。
俺はまだそんなに年寄りじゃあない。

205:名無しさん@お腹いっぱい。
08/08/18 00:25:31 5zmth2ve
子守をする蛇支援

206:蛇の使い魔
08/08/18 00:26:26 JCdjsFZ+
当初の予定通りに厨房で朝食を終え、装備をすべて装備して外へ出る。
今日もトレーニングを欠かすことはできない。
フル装備で学院の周りを走りこむ。
下半身には持久力をつける必要があるためだ。


その後は上半身の筋力トレーニング。
上半身には瞬発力をつける。

「頑張ってください♪」

背中の上からシエスタのエールが聞こえる。
そう、こうして背中に乗ってもらい、腕立て伏せだ。
いつもこうしているわけではないが、今日は暇をもてあましているらしく、トレーニングに付き合ってもらっていた。

なかなかどうして気分が良い。
背中のやわらかい感触を楽しみながらの腕立てなら何時間でも出来そうな気がする。
むしろ、何時間でも楽しみたい。素直にそう思う。

「すごいですね。力持ちです。」
「軍人は、力が、命だからな。」

腕立てをとめずに答える。

「スネークさんは軍人なんですよね?」
「そう考えてもらって、構わない。」

そろそろ400の壁が見えてきた。
それと同時に腕がしびれてくる。
さあて、シエスタの前で無様な姿を見せたくはないものだ。
500までは持ってもらいたいものだ。
この老体め、少しは根性見せろ。

「大変な職業ですね。」
「怖く、ないのか?」
「戦争は怖いです。大嫌いです。
 …でも、スネークさんは怖くありません。」

シエスタがころころと笑う。

「どうして?」
「だってあんなにおいしそうにご飯食べてくれる人ですもの。
 悪い人なわけないじゃないですか。」

そこまで言われると返す言葉がない。

「そんなに信用しないでくれ。」
「うふふ。ほら、やっぱり良い人です。」

頭を上からなでられた。
今、俺が弱いのは「気の強い女性」ではなく「女性」全般、という事を悟った。

207:蛇の使い魔
08/08/18 00:28:07 JCdjsFZ+
午後はルイズに捕まってしまい、授業に参加させられるスネーク。
魔法について知っておくのは世界について知る事になるから無駄とは思わないのだが、
なにせ魔法については基本の「き」の字すら知らないのだ。
いくらIQ180の天才スネークであっても理解など出来るはずがない。
色々ルイズに質問すれば迷惑がかかるのもわかるし、黙っているほかないのが常だった。

ただし、この人の授業は別だった。

「さて、皆さん!楽しい授業の時間です!」

ぴかりと頭と顔を輝かせるコルベール。
彼は授業が好きで好きでたまらないのだ。
なにせ合法的に給料を貰いながら自分の研究について話せるのだから。

だが、生徒は誰もまじめに聞いていない。
それでもいい。話しているだけでも心が躍るのだ。

いつもこの授業だけはスネークがついていく事が出来た。
彼の授業はスネークの言葉で表すなら「科学」だ。
ふと、かつての友人を思い出す。
ずいぶんと長くここにいるな…。奴は今頃何をしているだろうか?
自分を助けようと必死になっているに違いない。

…救出をあきらめてジャパニメーションなんて見ていないだろうか。
そういえば、この前何かジャパニメーションを見ていたな。
珍しくロボット物ではなかった。
なんといったかな…確か、ニッポンの普通の男子高校生が魔法使いの世界に召喚されて、
魔法使い達と協力して巨大な敵を倒していくと言うファンタジーな話だったか。

…どっかで聞いたような話だ。

そんな記憶に思いをはせた後、今日の授業に耳を傾ける。
今日コルベールが持ち出したのは奇妙な筒。
筒の上にはさらに金属のパイプが伸びている。
パイプはふいごのようなものにつながり、筒の頂にはクランクがついている。
そしてそれは円筒の脇に立てられた車輪につながっていた。
そしてさらにその車輪はギアを通して箱につながっている。
いったい何なのやら。

「それは何ですか、ミスタ・コルベール?」

生徒の一人が質問する。
コルベールは待ってました!といわんばかりだ。

「誰か、この私に『火』系統の特徴を開帳してくれないかね?」

もったいぶるな!といつだか、あの友人に言った事を思い出す。
あの時と同じく言ってやりたい衝動に多少駆られたが、キュルケの方を見ることにした。
爪を磨いている。
元の世界には授業中に化粧をする女子高生もいるのだから大して驚きもしないが、どこも同じだなと思う。
まったく若いもんは。

208:蛇の使い魔
08/08/18 00:29:36 JCdjsFZ+
「情熱と破壊ですわ。」

そっけなく答える。
彼女はどうやらこの授業には価値を見出せないらしい。
授業に出ているだけまだまし、と思えるような態度だ。
だが彼はそんなこと意には介さず、授業を続けた。

「そうとも!だが、君たち、その火系統が破壊だけでは寂しいとは思わないかね?
 私は常日頃から、『火』を戦い以外に活用する術を探求してきたのだ。」
「トリステインの貴族は頭が『火』の熱でやられているみたいですわね?」
「きっつい冗談だが、私はすこぶる正常さ!」

コルベールは既に自分のペースで授業を進めている。
そこにちょっとしたキュルケの皮肉が入ったところで、そのペースが乱されるわけがなかった。
そこまで話し終えて、ようやく発明品の説明に入った。

ふいごを踏んで油を気化させて火をつける。
その圧力でクランクを動かし、車輪を回転させる。
するとギアを解して箱から蛇がぴょこぴょこと顔を出した。

―空気が凍った

「これは一体?」
「これこそ、『愉快な蛇くん』さ!面白いだろう?」

隣でルイズが盛大に吹いた。
キュルケとギーシュがスネークを見ながら笑いをこらえている。
タバサですらスネークを見つめていた。
教室中の目がスネークを見ていた。

だが、そんなことより目の前のもののほうがスネークの心をつかんでいた。
間違いない。どこからどう見ても『エンジン』だ。
これを自分で考案したと言うのだろうか?だとしたらとんでもない天才だ。

「ミスタ・コルベール。」

たまらず手を上げていた。
これでこの教室のすべての目が俺に向いていることになる。

「なにかね?」
「それは自分で考えたのか?」
「もちろんだが?」

何を言おうとしているかわからないようだ。

「あんた天才だ。たいしたもんだよ。」
「はて?」
「そいつの発展型は俺の故郷で動力として使われていた。
 そいつの力は折り紙つきだ。それをたった一人で考え出したとはたいした科学者だ。」

その言葉を聴いてまるで子供のような顔をするコルベール。
スネークは、大人でもこんな顔ができるのだな、と少し羨んだ。
そんな風に考えていたら、いつの間にか手を握られていた。

「もっと詳しく話を聞かせてくれ!授業は自習にします!」
「ちょ、ま、待て―」

言うが早いか、コルベールは火のような速さで研究室までスネークを拉致していく。
教室にはスネークの悲しい悲鳴が響いていた。

209:蛇の使い魔
08/08/18 00:31:27 JCdjsFZ+
「俺はあんたの知っていること以上の事はわからない。」

知らないと言うのは真実だ。スネークは技術者ではないのだから。
構造については何をを質問されても、スネークはそれ以外答えることができなかった。
残念だがコルベールに話すことは何もなかった。

「そうか…残念だよ。」
「ああ。力になれなくてすまない。」

本当に残念そうな顔だ。
少し心が痛む。

「東か…。どんなところだね?」

コルベールの言葉で、スネークはしばらく帰っていない故郷に思いをはせる。…いや、故郷などなかったか。
自分が帰る場所はどこだろうか?

硝煙と血、反吐、そして腐臭の交じり合う不快な、あの世界のどこにでもあるあの場所が思い浮かんだ。
自分は所詮あそこに縛られる身。あの世界にいる限り、それから逃れることはできない。
この世界にいるとそれを少しだけ忘れることができる。
だからこそ、ここでは戦いは避けたいとココロのそこから願う。

「どうかしたかね?」
「いや…、なんでもない。」
「そうか。」

スネークの表情を見て、コルベールは何かを感じ取ったようだ。
沈黙が部屋に満ちる。

「…俺のいたところもここと同じだ。
 人々が生き、死んで、愛し合い、殺しあう。
 違うところと言えば魔法がなく、科学技術が発展しているくらいだ。」

お互いに人の作り出した恐ろしい業を相手にしてきた。
そのことは言葉を介さずとも、お互いに感じ取ることができた。

「…いろいろ聞いてすまなかったね。」
「いや、また何かあったら伝える。」
「助かるよ。いつでもきてくれ。」

すこしコルベールに対する印象が変わった日であった。


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