あの作品のキャラがルイズに召喚されました part152at ANICHARA
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part152 - 暇つぶし2ch25:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 13:24:43 3w2zRUoh
>>1

偽テンプレタイミング外してワロタ

26:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 14:29:13 0JM6ZmMY
唐突だがおマチさんの魅力は足首と言ってみる

27:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 14:30:22 J5EtUXMb
>9

いらねっすw


28:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 15:01:06 tscp7w4E
>>25
構うと「荒らし」と判断されなくなるぞ。コイツのテンプレを荒らし報告しなくちゃいけないから

29:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 15:39:17 hzeq3Hh0
↓のBeで書き込み時の規制が緩和されます。
URLリンク(be.2ch.net)
投下時にご利用ください。

※規制が緩和されるのは アニキャラ総合板 のみです。

30:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 16:47:48 3iOSLPE9
そういえばネギまキャラは短編でいっこあるだけだな
かなり相性良さそうなんだが

31:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 16:56:40 mxtWH2kS
ネギまは色々あれだしなぁ・・・

32:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:10:31 I00DLLHI
どっちもある程度きっちり魔法を定義していて、大きな違いがあるってのはクロス物としては難しいような気もするけど
例えば明日菜の魔法無効化は系統魔法や先住魔法にも効果があるのか、とか

どーでもいいけど、どっちも術者を守る存在との契約方法がキスなんだなw

33:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:13:07 8pKj0qtz
というか明日菜の魔法無効化が効くなら、またデルフ涙目wwww

34:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:17:45 PBN1fNRq
>>33
明日菜の魔法無効化は「害になる魔法だけ選んで消す」という反則くさい効果だからなぁ。
自分の幸運まで消しちゃってる上条さんが地団駄踏んで悔しがりそうだ。
そして確かにデルフ涙目。存在意義がない(苦笑

35:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:21:40 BWKksDAW
存在を抹消された上条さんトコに比べりゃましじゃないか……
スルーよりひどいよなw

36:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:33:32 EiyLtaUX
お前らデルフの不遇ばっかり言ってるけど、ちゃんと主力で活躍してるSSもあるじゃないか。

37:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:37:27 errpLNvx
>>33
逆だ。デルフの人格が明日菜なんだよ!

38:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:38:29 errpLNvx
と、スマン
sageチェック忘れた

39:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:43:10 zMJkxUiz
明日菜の人格がデルフの方がインパクトあると思うけどな~

40:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:43:55 QisMsRvC
インパクトばかり重視すると身動きが取れなくなるぞw

41:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:45:34 BWKksDAW
活躍ねぇ……とりあえず真っ先に浮かぶのは蛮人でトラクスの相棒やってたアレだな。
イイ感じに「剣の人格」してて、トラクスの行動理念やはすっぱなおマチさんとでイイ雰囲気を作ってたよなぁ。

42:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:50:13 Wt1IgJnR
デルフの形状がハマノツルギとか。

43:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:51:23 dBRkMJi9
イヤハマノツルギに人格添付するとデルフに……。

さておきやめれ、伝法とっつぁん口調の明日菜も猪突猛進っ娘口調なデルフも
俺の腹筋が四分五裂するからやめれw
しっかしあのクラスの娘だと誰がルイズ達と相性いいだろうね?
一応木乃香は『三人』でマリコルヌに喚ばれてたが。

44:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:52:40 xBSkenC8
インパクトだけなら小ネタがお似合いだな

45:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:57:17 Wt1IgJnR
ガンダールヴっぽいのは明日菜と刹那くらいか?

46:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 17:59:02 rjovcWn3
カモ君が呼ばれる話がみたい。
ルイズが頑張るの。

47:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:01:04 1nrVmDgU
まあ、転送機での騒ぎでネギ一行がゼロ魔世界に飛ばされたならつじつまはあいますがコレだとクロスオーバーのスレ逝きになりそうだよ・・・

48:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:02:40 cHi6TQl+
実は、ハルケギニアは『魔法世界』とは別の、人種差別論者達が作り出した世界だとか。
で、夏休みの転送先が間違って其処に―というのは流石にアレか。

49:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:04:51 errpLNvx
導入はともかく、話の展開が浮かぶかどうかじゃね?

50:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:11:51 dBRkMJi9
まあどっちの子達もノリの良いおバカが多いから誰が喚ばれてもうまく馴染みそうな気がするんだが、ちと気になる。
包容力のある子が喚ばれて懐くルイズやタバサ、
ツン気がある子や魔法の使える子が喚ばれて張り合うルイズ、
天然無邪気な子を喚びだして何だかんだで懐かれてまんざらでもないルイズ
……などなど、色々妄想が広がる。自分が百合厨だからか(w
とりあえず誰が喚ばれようとギーシュとマリコルヌは大歓迎だろうなぁ……。

>>46
頑張るって……つまりカモがしでかした下着ドロやセクハラ事件の尻拭いを頑張るルイズという事っスか?
>>47-49
読みたい。が、理想郷臭芬芬に思えてくるのが悔しくもあり悲しくもありorz

51:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:12:38 xBSkenC8
>>47
ハルケギニアに来た後で全員学院生徒たちに呼ばれるとか。
ガンダ以外は異世界からの召喚は無理という事にして。
ルイズは飛ばされてこなかった誰かを召喚。

52:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:15:05 rjovcWn3
>>50
それもあるし、シリアスな場面でも基本カモは何もしない。
ワルドと戦うのも7万人を何とかするのも全部ルイズの役目。

原作のルイズの役目とサイトの役目+αを全部やってもらう。

53:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:16:06 ipMnr8Be
>>46
なんか、キスでガンダールヴを量産されそうな気がするな…
つっても、サイトとシエスタと……取り立てられるまでは在野のアニエスとか?

54:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:22:33 9IGXVAD6
>>34
でもアスナは、魔法をかけられてると気づかない場合は無効化できないんだ!
といってみる。
……ところで、何でアスナの能力でネギの村の人々を復活させなかったんだろう。

55:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:34:05 errpLNvx
大人の都合

56:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:35:55 I00DLLHI
実はネギの視界の狭さを演出していたり……しないか。しないよな

57:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:39:13 owTTKua5
まあRPG的に抵抗能力はあるけど治癒能力はないってことで説明できるけどな


58:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:44:19 XcPO8oiC
>>54
物体に付加された魔力には手出しできないってことじゃない?
もしできたらアーティファクトどうなるって話だし。

59:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:48:15 9NHfHj1N
希望する参戦キャラ。アニメ版『かりん』より真紅果林。
普段は冴えない増血鬼だけど血が暴走すると凄まじい戦闘力を発揮。ちなみに巨乳の持ち主かつ異端なことにコンプレックスを抱いていることからルイズとの衝突やシンパシーもあり。

60:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:50:37 9NHfHj1N
>>59
追記。
果林は増血することで相手の不幸をなくしたり、巨乳で的を倒すこともできる。

61:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:50:43 jd5W0KYz
>>59
先ずは小ネタでもいいから自分で書いてみたらどうかい?

62:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:53:35 1lYCJjZw
ナイトウィザードから柊を召喚


だめか・・・
何の障害もなくアンゼロットに捕捉されて物語終わりそうだな

63:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 18:59:51 9IGXVAD6
>>57 >>58
なるほど。そんな解釈もあったか。

64:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 19:05:40 jd5W0KYz
>>62
小ネタんところにあるよ

てか、ベル召喚が途中で止まってるのが残念でなぁ……

65:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:24:17 Fy6DnvPu
提督の人マダー?

66:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:25:22 X9yRI/xI
>>34
そうか?
原作見るあたり明日菜も十分不幸だと思うが。

67:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:28:43 sGkXWmkx
>>62
柊呼ぶなら、幻砦のアンゼロットによる人間大砲事件を利用した方がいい。
そんぐらいだと、レベルもそれほど高くない。
ゼロ魔原作三巻かアニメ第一期ぐらいのスケジュールで考えると便利。
 
>>66
明日菜って魔法兵器みたいなもんだったしな。

68:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:28:51 mewfzXMb
ネギま!だと、ネギとか小太郎は難しそうだが、タカミチあたりならできそうな気がする。
魔法が使えないあたりの境遇からなんとなく引き受けてくれそうだし。

69:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:35:51 u8NVhkyp
短編で読んだモルデスとカモが呼ばれるのは結構面白かった記憶がある
問題は掲載サイトが思い出せないOTZ

70:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:39:03 2KkiONy8
>>62

くれはの魂おっかけた時も下駄箱からにょきっと誘拐されたときもアンゼロット放置してたし
多分柊が居ないと世界の危機ですでもない限り放置プレイな気がする


面白そうだからって理由で放置されてた可能性も大だけどなっ

71:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:48:05 5f4UPcHm
アンゼロットってアンアン様とシャルロットをフュージョンさせたみたいな名前だな。

72:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:51:01 43SwGZhr
おいおいあの二人と比べるだなんて、小暮ロットさまに失礼じゃないか

73:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:54:45 6HUxZn2E
柊力でルイズの何かが下がる。
例えばバストサイズ。

74:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:57:44 2KkiONy8
いかん、NW話してたらワルドが転生者の《魂の共有》でやられても遍在だー無敵だーHAHAHA

とかやってたらやりすぎてGL0になってあっさりぬっころされたイメージとか出てきてしまったじゃないか

75:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 20:59:44 rGfENShX
>>73
これ以上下がりません。

76:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:00:08 h6wSPmHM
>>73
もう止めて! ルイズのバストはとっくにゼロよ!

77:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:02:06 Ua1nExUh
ラピュタから

「見ろ!これが始祖の力だ!この巨大な風石がアルビオンを浮かせていたのだよ!」

78:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:02:17 pyBIUfNt
肋骨削れってか?

79:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:05:33 I00DLLHI
>>73
柊力はすべてを無にする力だから、他の全員のバストサイズが…
と書きかけて、そーいやサイモンは召喚されてたかと気づいた

80:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:06:35 errpLNvx
>>77
誰もが一度は思うw

81:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:10:17 X1vaqB2A
>>65
お前は提督の人を殺す気かw

あんな長編、ポンポン書けるわけがねーだろ

82:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:13:18 pyBIUfNt
>>81
あれ?もう500kぶん書いたんじゃないの?
たしか一度にUPするかどうか質問してたような気がする

まあ、あの執筆速度は元ネタの原作者もみならってほしいもんだ

83:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:13:49 6HUxZn2E
提督の人も待ち遠しいが、さざなみの人も…私は待っている。

84:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:17:43 y27S/h2M
┌────────────
┤皆様の筆が進みますように
└────────────




85:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:21:03 6HUxZn2E
>>84
ああ、今日は七夕だったか。
うん、裁縫の上達を祈って素麺を食おう。



ルイズが神様を召喚しました。
「わらわは織姫!」

86:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:21:39 Ua1nExUh

「貴族のおまんざーい」

87:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:21:54 NuNFM1pm
>>85
GS美神の織姫を召喚したんですね、よくわかります

88:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:22:00 +vOU6ian
全てのメガテンSSを待ってます。
アクマがこんにちはの人以外停まっているのが悲しい。

89:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:26:28 W3swiwYi
私はトランスフォーマーSSが…。

90:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:27:03 Ri6UVD0h
>>87
超年配だっけw

91:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:27:14 +Vzjcvo1
>>87
よう兄弟。
奇遇だな、俺も全く同じ連想をしたぜ(苦笑

92:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:30:40 m+Ws4WYE
「ゼロのルイズがまほら学園を学園ごと召喚しました」

これなら登校地獄問題もあっさり解決だぜ!

93:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:32:08 6HUxZn2E
>>87
いぇす。 しかし、GSからの召喚は続く作品がないな。どこのサイトでも。

94:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:32:59 qDfXoQm0
>>87
牛乳はやめてぇぇぇぇ

95:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:34:29 16g1nGGo
>>87
ターミネーターで男前な性格の彦星が追っかけて来ました。

96:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:35:56 qDfXoQm0
そーいや、GS美神に織姫2人いなかったっけ?

変身能力の人と、エクトプラズムで服作る人と。

97:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:37:11 HoG8qJVQ
戦女神のセリカ・シルフィル&ハイシェラ様+召喚キャラで作成中、骨組みは出来てきたけど中々難しいな・・・・、

ちなみにハイシェラ様は、セリカの剣としてくるけど、場所の影響で剣、人型に自由になれると・・・・

98:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:39:10 BHJUJ4Wz
漂流教室が召喚されました

鳥になってお父さんとお母さんの所に帰るんだ!

99:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:39:21 6HUxZn2E
>>9
変身の方はアシュ変の後で、服の方はまだオキヌちゃんが幽霊だった頃だね。

100:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:40:26 sUVMCRnR
GSからの召喚だと、文珠を覚えた万能型丁稚のケースが多い。
むしろ、戦うことしか出来ないマザコンバトルジャンキーなどどうだろうか。戦う事に特化しているが、それ以外はからきし……そして横島のエロパワーに負けないほどのマザコンパワーを発揮……

101:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:41:41 ZX5WhOb3
>>97
どう考えてもルイズに従う姿が思い浮かばん。
召喚する時期にもよるが、基本的に無感情で冷酷有情な人ですよ?

つか、メイドさんのいない戦女神など・・・!?

そうか、シエがの使徒になるんですね。

102:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:42:24 6HUxZn2E
ブロンウィンが召喚されました。
でも俺的にはダルジィのが好きだ。

>>100
キュルケを見て「ママに似ている……」ですね、わかります。

103:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:42:36 TJIbQ5O7
>マザコンバトルジャンキー
カトレアさんあたりを見て、ママに似ている・・・となるわけですね?

104:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:42:52 Ri6UVD0h
>>100
あのマザコンの母親ってキツメ系の美女っぽいような感じだったが。

もしかしてエレ姐さんをママそっくりとか言ってぶちのめされるとか?


105:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:43:53 ZX5WhOb3
>>96
変身のほうは織姫本人。
服作りのほうは、機織の織姫の名を継いでいる人間?

106:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:44:51 jJQxcRvB
ピートさんなんてかなり万能くさくね?

107:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:45:03 6HUxZn2E
>>102-104
「ママがイッパイだ!」

108:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:46:04 dBRkMJi9
やめれ、雪之丞とのマザコン頂上決戦やらかすワルドなんざ見たくねーぞw

ベアトリスととーちゃん自慢合戦やらかす明石ゆーななんてのは……まだなんぼかマシか。

109:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:47:52 TJIbQ5O7
>ピート
使い魔としても素で有能っぽいですね
薔薇から精気を吸えるので、粗末な食事でも平気だろうし
ただ、吸血鬼ってことで周囲にエルフ並の反応されそうだけど

110:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:48:15 Pgt/jS+h
えーい、冬彦さんを呼べ!

111:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:48:38 qDfXoQm0
>>100
勘九郎を、魅惑の妖精亭で働かせるんですね、わかります。

112:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:50:52 Ri6UVD0h
>>111
あそこの店主が勘九郎そっくりでも問題ないかもw

113:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:50:54 6HUxZn2E
>>109
ハーフつながりでテファに召喚されそうだ。>ピート

ってことで、チチナシつながりでルイズがルシオラを召喚しました。
・・・・・・ハルケギニアぴんち。



114:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:51:54 BS3b+X1x
初期のほうの横島の召喚なら見てみたいかも…。

115:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:52:27 6HUxZn2E
そしてマリコルヌがコンプレックスを召喚。
学院が阿鼻叫喚の坩堝に。

116:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 21:54:28 6XX9AkJP
ゆっくりしていってね!より
おぜうさま召喚
吸血鬼だけとめっちゃ馴染みそう

ルイズがひっぱたこうとして泣きだしたり
逆にルイズに噛み付いたり
シエスタとうーうー言いながら遊んでたりしそうだ

117:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:00:15 Ntn3Z/2w
>>116
そして攻撃しようとするとどこからかナイフが飛んでくるんですね。わかります。

イメージはやっぱこれか?
URLリンク(blog-imgs-23.fc2.com)

118:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:01:55 16g1nGGo
>>97
いつの時代のセリカを呼ぶかで対応と戦力がダンチだな……
戦女神ファンとして、このスレにセリカが登場するのを心待ちにしている。

119:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:03:19 32Hj9mXJ
>116>117
夢防衛さんとこのおぜうさまかよ!
いやまぁ好きだけどさ。それだと三次創作になるだろ。
っつかゆっくり化したおぜうさまは可愛いけど役に立たなさそう。

120:MtL
08/07/07 22:03:44 wAsGu+Fd
何もなければ15分から投下しますー。

121:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:05:45 Ntn3Z/2w
>>118
冥色ではお世話になりました >セリカ
飛燕赤燐剣で全土統一したのはいい思い出…

>>119
タバサあたりが咲夜さんポジションになりそう…

122:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:06:32 G25EQYTf
>>117
ホムペに直リンやめろや
絵師がホムペが落ちやすくなってるって
困ってるんだよボケが

123:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:11:15 9NHfHj1N
ゼロ魔龍の人マダー?

124:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:12:12 gbHMVeTQ
事前支援

125:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:12:29 Ri6UVD0h
MtL開始待ち

126:MtL
08/07/07 22:15:29 wAsGu+Fd
マジシャン ザ ルイズ 3章 (37)女王の粛正

「おい、起きろ」
まどろみの向こうから、覚えのある女性の声が聞こえた。
眠気の海の中から、ふっと意識が浮上しかかるが、思い直して再び沈む。
眠い、眠いのだ、眠いのである。
ならば二度寝だ。タバサは内なる全タバサの賛成多数により再び夢へと旅出

「起きろって言ってるのが聞こえないのか!この愚図!」

て無かった。

タバサが目を覚ましたとき、彼女は馬乗りになったイザベラに頬を叩かれていた。
しかも『ぺちぺち』という、可愛らしいものではなく、『ばちんばちん』といった風味の、ほどよく手首のスナップを効かせたものである。
「ちっ、起きたか」
何がちっなのか聞きたかったが、それを口に出すのも面倒だったので聞かないことにした。
のろのろとした動作で手を動かして、気をつけないと容易く落ちてしまいそうな重い瞼をごしごし擦る。
眠いのは変わらないが、とりあえず起きる意志だけ表明しておく。
そうしてゆっくりと開いた目に映ったのは、明るく差し込む日の光、手の込んだ装飾が施された天蓋、馬乗りに跨った素っ裸の姉、胸先の桜色が可愛らしい。
「愚図め。あたしより先に起きろって何度言ったら分かるんだい」
そう言うと、一糸まとわぬ姿のイザベラは立ち上がって、近くのテーブルまで歩いていき、何かを手にとってまた戻ってきた。
「そら、さっさと着替えな。一日は短いんだ、のろのろやってたら直ぐに婆さんになるよ」
ぽいと手の中に放り込まれたのは、綺麗に畳まれた洋服一式。
タバサはそれをぼーっとした眼差しで眺めてから、コクリと一度頷いて、ゆっくりとベットから降りると、やはり亀のような緩慢な動きで着替えを始めた。
まずは身につけたシルクで出来た薄手のネグリジェを脱ぎにかかる。
手をかけて、引き上げて、めくり上げて、おへそが見えた辺りで指が外れてすとんと落ちる、今度は襟首に手をかけて、引き上げて
と、そこでベットの横にある椅子に座って、品無く貧乏揺すりをしていたイザベラがキレた。
「だあぁっ! 遅い! 遅すぎる! 着替えくらいさっさと済ませな!」
イザベラはそう叫んでタバサの服に手をかけると、迅雷の早さで脱がせにかかった。
「そらそら!」
「手を上げろ!」
「お次は右足だ!」
「次!」
「左足だ! 何でもう一度右を上げる!?」
「折角着せたのに脱ぐな馬鹿!」
「ボタンを掛け違えてる! そっちじゃない! 違う! こっちだ!」
「眼鏡が落ちるぞ! 愚図が!」
下着、上着、スカート、靴下とイザベラは手際よく小柄なタバサを着せ替えていく。
そうして大騒ぎの着替えが終わると、そこにはぴしっと服を着こなしたタバサが立っていた。
「上出来だね。自分を褒めてやりたい気持ちってやつだ」
言って優雅に手扇を開いて扇ぐ女王陛下。その所作も格好が裸のために威厳の欠片も感じられないが。
『私は自分の部屋にいる間は裸で過ごすって決めてるんだよ』とは、事件の翌日にイザベラがタバサに語って聞かせた言葉である。




127:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:16:47 FxzqvEUc
思わずニヤニヤしてしまう
支援

128:MtL
08/07/07 22:19:01 wAsGu+Fd
二人はあの事件から、既に三度目の夜明けを迎えていた。
《ヒドゥン・スペクター》を圧倒的な力で殲滅したタバサは、直ぐさまとって返してイザベラに水の魔法の治療を施した。その結果、彼女は危ういところで一命を取り留めることに成功した。
本来治療魔法がそれほど得意ではないタバサであったが、本職の施療師でもたじろぐようなその重傷を、彼女は難なく塞ぐことができた。
自分自身でも訳が分からず首をかしげるタバサだったのだが、そのことについてはカステルモールが、トライアングルからスクウェアへとクラスアップした為だと教えてくれた。
つまり、本人にはその実感が全く無いものの、今のタバサはスクウェア・クラスのメイジということなのである。


着替えを済ませたタバサが身につけているのは、仕立ての良い下ろしたての一着である。
「ふふん。馬子にも衣装、よく似合ってるじゃないか」
その服は一見するとトリステイン魔法学院の制服によく似ていた。
だが、細かなデザインが違ったり、全体的に拵えが丁寧になっていたりと、正確には別物である。
「気に入ったか? いや、気に入れ。私が特別に用意させた制服さ。これでお前は正式に私の近衛、『北青薔薇花壇騎士』ってことになる」
均等の美しさを持つ、形の良い胸を張ってイザベラはそう言った。

花壇騎士団、正式な名前はガリア花壇警護騎士団。
それはヴェルサルテイル宮殿に点在する花壇を王を守る騎士になぞらえた、ガリア王国が誇る国家騎士団である。
元々宮殿には「東」、「南」、「西」の三つの花壇が存在し、そこに植えられた花を冠した「南薔薇騎士団」や「東百合騎士団」といった騎士団が存在していた。
それにこの度、公式に「北青薔薇騎士団」が新たに加えられたのだ。
元来、ヴェルサルテイル宮殿には「北」花壇というものは存在していなかった。
しかし、その存在しなかった花壇の名前を冠した「北花壇騎士」という非公式の汚れ仕事を扱う花壇騎士達は確かに存在していた。
けれど、そこに所属していた騎士達は、タバサを除いて全員が死亡しており、団長であったイザベラが女王となった今、騎士団自体は事実上消滅したに等しい。
その「北花壇騎士団」が何故、公式なものとして認められ、しかも女王の近衛騎士団となったかと言えば、それは昨日の二人のやりとりに起因する。


昨日、二人が昼食を食べているとイザベラが唐突に切り出した。
『そう言えば、お前を私の妹っていうことにするのは異存ないが、私は女王だ、ってことはお前は私の部下ってことになる』
『………』
『つまり騎士だな。しかし女王の妹だ、騎士団長くらいの肩書きはないと私の評判にも影響する』
『………』
『……おいシャルロット。草ばっかり食べてないでお前も何か言え』
ハシバミ草のサラダを食べながら軽やかに聞き流していたタバサが、その言葉に初めて顔を上げてイザベラを見た。
『……北花壇騎士でいい』
タバサからすれば、イザベラの側にいるなら役職など気にしないという意志の現れだったのだが、イザベラはそうは受け取らなかった。
『ふぅむ、北、北か……いいな、それは。歴史に名を残す私の第一歩としては相応しい。うん、そうしよう。よし、それじゃシャルロット、一時間後に大臣達を北の門の前へ呼べ』
そう言ってイザベラは、大急ぎで昼食を飲み込むと放たれた矢のようにどこかへ飛び出していってしまった。
呆然としながらその様子を見送ったタバサ(それでもきっちり昼食は食べた)が、一時間後に捕まえた大臣達を連れてくると、そこには手足とドレスを泥で汚した、唇を挑戦的に吊り上げたイザベラが待っていた。

『おい、いいか。今からそこにいるシャルロットを『北青薔薇花壇騎士』の団長に据える。文句は無いな?』

彼女は開口一番そんなことを言った。
無論、文句が出ないはずがない。
ガリアの騎士団は「東」、「南」、「西」の三つ、それが伝統である。歴史あるガリア王国の大臣達は前例のない女王の決定に猛反対した。
だが、それに彼女は
『うるさい、花壇ならそこにあるぞ』
と切り返したのである。
イザベラが指さしたそこには……青い薔薇が一輪植えられたみすぼらしい花壇、らしきものがあった。
『父上の薔薇園から取ってきた。これで文句は無いな? あぁん?』
無茶苦茶である。




129:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:19:49 s6BQx9UB
支援

130:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:20:40 hGPVKvX7
まさに姉御w
支援

131:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:20:53 ILrY7F6Z
これでは面倒見の良いお姉ちゃんではないか、支援

132:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:21:34 TQ8rqHzt
しぇーん

133:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:22:03 TQ8rqHzt
あ、すまん

134:MtL
08/07/07 22:23:32 wAsGu+Fd
「くくくっ、あの時の大臣達の顔といったら……全くもって傑作だったわね。あれが見られただけでも価値があったわ。ついでに歴代の王がやらなかったことを、私自らが行ったと、後の歴史家には書かせてやる」
同じことを考えていたのか、イザベラも目を細めて意地悪く笑っていた。
「はん。既成事実さえ作ってやれば、あいつらは文句は言わないだろうさ。その為にお抱えの仕立屋に、一晩で作らせたんだからね」
そう言ってイザベラは、タバサの姿を上から下までをまじまじと見ると、納得したかのようにうんうんと頷いた。
つられてタバサも自分の着た服を見回した。すると、タバサは胸のところにある、青い薔薇を象った文様に目がとまった。
これもイザベラの意匠だろうかと見ていると、そのことに気づいたのかイザベラもそこを見た。
「ははん。やはりそんなすました顔してても、自分の胸の薄さはやっぱり気になるのかい?」
いや、違うしと思う間もなくイザベラはタバサの胸に右手を当てて、そこをぴたぴたと叩いていた。
「ふふん。悲しいくらいのぺたぺた具合だねぇ。草ばっかり食べてるからそうなるのさ、肉食いな肉を」
そういって、イザベラはほどよく発育した乳房を誇示するようにふんぞり返った。

「………」
「大体、ハシバミ草なんて、あんなものただ苦いだけじゃないのさ」
「………」
「牛馬じゃあるまいし、人間様はやはり肉に限るよ」
「………」
はっはっはとからから笑うイザベラに、タバサがぽつりと一つ、言葉を漏らした。
「だっこちゃん」

空気が凍る。

「………あん?」
意味が分からず聞き返すと、タバサがイザベラを指さしてもう一度言った。

「だっこちゃん」

「だっこちゃん?」
「そう、だっこちゃん」
「どういう意味だ?」
「……寝てるときに、抱きついてくる癖がある」
その指摘に自分を指さして「私が?」というジェスチャーをするイザベラ。
タバサが寝ていたその部屋は、今はタバサとイザベラが二人で使っている部屋である。
ベットは当然一つしかない。

イザベラは直ぐに気を取り直して皮肉げに笑い、
「はーん、ふーん、ほへーん。だから何だってのさ、心の広いこの女王イザベラ様はね、そんなことじゃ動じたりしないんだよ」
と寛大な態度で余裕の微笑みを見せた。
「さ、お次は……」
そしてイザベラはテーブルの上にある『とあるもの』、を手に取るために後ろを向いた。

次の瞬間
「だらっしゃあぁ!!」

遠心力を乗せた杖が、タバサの頭の直ぐ前を一直線に凪いでいった。
「避けるな!」
その心、全く持って広くなかった。


135:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:26:23 s6BQx9UB
ぺたぺた支援

136:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:27:08 sGkXWmkx
二人はらぶらぶ!支援!

137:MtL
08/07/07 22:27:36 wAsGu+Fd
「だっこちゃん……だっこちゃん……だっこちゃん……だっこちゃん(ドップラー)」
不意打ちの一撃を回避したタバサは、いつの間に唱えていたのか『浮遊』の呪文を使って、器用にイザベラの方を向いて指さしながら彼女から遠ざかっていく。
顔を真っ赤にして、杖一つで怒濤の勢いをもってそれを追いかけるイザベラ。
「うおおおお、その記憶無くせえぇぇぇ!!」

「じょ、女王陛下……?」
侍女が扉から顔を半分だけ出して、声をかけたのはそんなタイミングだった。
「そろそろ会議の、お時間ですが……」
タバサがちらりとそちらを見ると、声をかけたのはイザベラが王女だった時代から仕えていた侍女の一人だった。
裸で杖を振り回す女王の狂態に戦きつつ、それでも職務を放棄しない生真面目さは美徳と言えよう。
「ちっ、もうそんな時間か」
イザベラが足を止めて悪態を一つついた。
改めて扉の方を見てみると、既に侍女の姿は消えていた。
諦めたのか、彼女はベットに杖を放り投げてため息をついた。
「それじゃシャッロット、私に服を着せろ」
自分で着ればいいのに、とは思っても言わないタバサであった。

―人の身体的特徴を、あげつらうのは、良くないことです。




謁見の間、そこには数名の男達が集められていた。
立派な服装に身を包み、手にはそれぞれ役職や位を表す精巧見事な杖を持っている。
彼らは皆、名のある名門の貴族達である。
「女王は我々をこんなところに集めて、一体どんな用事があるというのでしょうな」
背の低い頭のはげ上がった年配の男が言った。
「この忙しい時期に呼び出すなど、余程の用件なのでしょう」
憮然とした面持ちで、腰に軍杖を指したまるまると太った男が言う。
彼等は何故自分たちが呼び出されたのか、一切を知らされていなかった。
この場に集められた者達は、国の重要な役職に就いている者も多いが、基本的に年齢・役職・家柄、どれをとっても共通のものはない。
それだけに、彼らは自分たちが何故集められたかの見当がつかないのである。

男達がざわめいていると、良く通る女性の声で、女王の到来が告げられた。
「女王陛下の、おなぁぁぁぁぁぁりぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ」
彼等はその声を聞いて直ぐさま膝を突いて頭を垂れて、臣下の礼を取る。
そして、貴族達の前方にある扉が開き、タバサを連れたイザベラがその姿を現した。
身にまとったのはプリンセスラインの青いドレス。生地は光沢あるシルクのサテン織り。
肩から全体へとフリルで飾り付けをされた豪華なもので、バックはクロスラインのVカット、その胸元は下品にならない程度の大胆さで開いている。
全体的な印象は、フォーマルであるが圧迫感や堅苦しさは無く、彼女の気性によく合っていると言えよう。
左手には王杖、右手にはワインの注がれたグラスを持っている。
そしてイザベラは、タバサを横に立たせたままで、ずんずんと王座へと悠然と歩み寄ると、どっかと腰を下ろした。
本来なら王の間を使うべきなのだが、先日の事件の際にタバサが呪文で滅茶苦茶に破壊してしまったために、その補修がまだ完了していないのである。



138:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:28:16 sGkXWmkx
シ・エーン!

139:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:28:33 s6BQx9UB
ほどよく発育sien

140:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:29:06 FxzqvEUc
ぺたぺたに勝るものは無い支援

141:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:29:18 iYtjYqF7
イザベラ可愛いw支援

142:MtL
08/07/07 22:32:48 wAsGu+Fd
「表を上げて良いぞ」
ぞんざいな口ぶりでイザベラが言い放ち、男達が一斉に顔を上げた。
そのうちの何人かが、横に立つタバサの姿を見て心底驚いたような顔をした。
ガリア王国は一枚岩の国ではない。
イザベラの父である先王ジョゼフ一世に不満をもったも多く、彼に殺された弟のシャルルと彼の忘れ形見であるシャルロットこそが真の主人であると考えるオルレアン派と呼ばれる一派がそこかしこにいるというのは、
ヴェルサルテイル宮殿にいる者なら誰でも知っていることである。
そのオルレアン派の旗頭であるはずの、シャルロット・エレーヌ・オルレアンが女王と和解(もしくは服従)し、イザベラの側にあるという情報は、未だ一部の者だけが知るところのことであった。

「お前達に集まってもらったのは他でもない、私自らの口で伝えることがあったからだ」
そう言ってイザベラは、唇をグラスの縁に当てて一口中身を嚥下する。
前口上も挨拶もない。いきなり本題に入る彼女に、貴族達は顔を見合わせた。
「お前達はこれまで国によく尽くしてくれた。その功績を鑑み、相応の褒美を取らせようと思う」
イザベラが口にしたその一言、『褒美』の言葉に、男達は口にこそ出さないものの、色めき立った。
その反応を見て、頬杖をついて満足そうにイザベラは頷いた。
「嬉しいか?」
誰にともなく問いかける。
誰に問うたかわからぬその言葉に男達は口を開かない。不興を買わぬように、主人の機嫌を損なわぬ為に。
「……嬉しいかと聞いている、誰でもいい、答えろ」
繰り返された言葉に、仕方なく声が返される。最前列で頭を垂れる笑顔が顔に張りつているような印象を受ける鷲面の男である。
「光栄の極みであります」
「ふふん」
その言葉に、まるで何かを伺うように、イザベラは目を眇める。

「まあいい。さあ、褒美だ、存分に受け取れ」
男達の期待が満ちたことを見て取ってから、イザベラはにっと笑ってタバサへと目配せをした。

「永遠の休息を楽しめ」

その言葉と同時、タバサが杖を掲げて呪文を結んだ。
男達に感じられたのは、よそ風のような小さな風の流れまでだった。

刹那、謁見の間に、文字通りの血の雨が降り注いだ。

タバサが唱えたその呪文、『カッター・トルネード』。
竜巻に鋭い刃と化した真空を挟み込むという、凶悪な風のスクウェア・スペルである。
その風が竜巻となってその場にいた男達全員を巻き込んだのだ。

悲鳴もなく血と肉片となって撒き散らされる、元人間達。
彼等は先王ジョゼフの頃からよく仕えた者達である。
だが、同時にジョゼフが暗殺されてからは、その矛先をかえてアルビオンへと通じた者達であった。
つまり、彼等こそが傀儡の女王、イザベラを祭り上げた張本人達だったのだ。

「ははは、……ははははっ、……あははははははっ!!」
一面が朱に染まった謁見の間。
すでに風は止んでいる。
そこではただ一人、イザベラだけが声を上げて笑っていた。
「あはははははははははははははははははははははははっ!!」
狂ったように血まみれの姿で哄笑する女王。
「はははははははははははははははははははははははっ!!」
その青いドレスをどす黒く染めて笑う姿は、狂気の美とも言うべき美しさがあった。

そして彼女は血とワインが混ざりあったグラスの中身を、一気に煽った。
しかし、すぐさまそれをぺっと床へと吐き捨てる。

「……不味い」
彼女はそう呟くと、手の中のグラスを床に叩き付けたのだった。

                        彼女達が後世、どのように語られるか。私にはそこまでは分からない。
                        すべては歴史が決めることだ。
                        ――バッソ・カステルモール「氷の姉妹」末尾の言葉

143:携帯のウルトラ5番目の人
08/07/07 22:33:04 6QK03t93
では、私は23:10ごろに予約しておきます。

144:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:36:58 s6BQx9UB
MtL GJ

さすがイザベラ、歴代の王には出来ない事をやってのけるッ!

145:MtL
08/07/07 22:39:10 wAsGu+Fd
以上で投下終了です。

最初の話数のところが(37)となっているのですが、正しくは(38)話でした。
しょんぼりです。

今回でやっと複線回収も一段落、ガリアを取り巻く状況も一通り結末を迎えました。
次回からは別の話に入りますよー。
ではー。

146:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:40:45 jJQxcRvB
どうしてこう自然にイザベラ様って様付けしちゃうんだろう。。
タバサとのかけあいは特にGJです

147:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:41:16 pG05wVKq
イザベラ男前だなぁ乙

148:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:42:01 iYtjYqF7
GJ!これはいいかけあいw

149:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:45:41 wxrokKds
>草ばっかり食べてないでお前も何か言え
わかっちゃいるんだが
一瞬地面に生えてる草をむしって食すタバサを想像してしまった

150:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 22:45:54 FxzqvEUc
流石はおっとこ前なイザベラ様乙

151:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:04:50 TaD6zdXv
メイドさんを右にのレイチェルを召喚で書いてみようかな。
やたら死ぬけど

152:ウルトラ5番目の使い魔 8話
08/07/07 23:11:11 EiyLtaUX
遅ればせながらようやく8話が完成いたしましたので投下開始いたします。
今回は前回の予告どおりにあのウルトラマンが登場します。頭の中で、あのメロディーを再現しながら読んでみてください。
途中までは「どこがゼロ魔だ!!」とか言われそうですが、まあ今回は大目に見てください。

えーと、それで今回から読み始めた人のために念のために言っておきますが、
主役はあくまでウルトラマンAですので、そこのとこお間違えなく。
ちなみに今日、7月7日はウルトラマンAこと北斗聖司と南夕子の誕生日です。
つまり、36年前の今日、エースキラーと超獣バラバとの戦いがあったということです。ウルトラ兄弟が磔にされたあの戦いは、ご存知の人も多いでしょう。
この記念すべき日に投下しないわけにはいかないので頑張りました。
では、支援よろしくお願いします。
なお、途中で代理投下をお願いすることになるかもしれないので早めにお願いしておきます。

153:ウルトラ5番目の使い魔 8話 (1/9)
08/07/07 23:12:57 EiyLtaUX
 8話 ダイナミック・ヒーロー!
 
 宇宙有翼怪獣アリゲラ
 ウルトラマンダイナ 登場!!
 
 
 西暦2017年代
 地球最大の危機、邪神ガタノゾーアの危機を乗り越えた人類は、その夢見る心のままに大宇宙へと歩を進めるネオ・フロンティア時代を迎えていた。
 だが、突如宇宙から人類を狙う謎の敵、スフィアが地球に来襲、地球平和連合TPCはチーム・スーパーGUTSでこれに対抗した。
 彼らは、人類の前に姿を現したティガに続く二人目の光の巨人とともに、地球の平和を守り抜いていった。
 しかし、遂に姿を現した究極の敵、暗黒惑星グランスフィアの前に冥王星をはじめとする太陽系の惑星は次々と飲み込まれていく。
 これに対し、スーパーGUTSは封印された兵器、ネオマキシマ砲での最終決戦を挑む。
 そして、彼らは勝利した。ただし、その代償として光の巨人はグランスフィアの生み出したブラックホールの中へと消え、消息を絶った。
 
 だが、彼は死んではいなかったのだ!!
 
「光の……巨人」
 誰も知らない深い森の奥で、真紅の巨大な飛竜の前に銀色の体に金色と赤と青をあしらった巨人が立ちふさがっていた。
 その名はダイナ、かつて異世界の平和を守りぬいた二人目の光の巨人。
「デュワッ!!」
 ダイナは森の中に立ち、甲高いうなり声を上げてくる怪獣に構えをとった。
 その怪獣はゴツゴツと角ばったワイバーンのような体から生えた、まるで鉈のような翼を広げ、背中のジェット噴射口から炎を吹き出して飛び立った。
 怪獣の名はアリゲラ、異世界で時空波に導かれてウルトラマンメビウスと戦った宇宙怪獣の同族。
「シャッ!!」
 ダイナも跳んだ。向かってくるアリゲラに右足を向けてのジャンプキックだ。
 激突! アリゲラの右肩から火花が飛び、その巨体が森の中に滑り込んでいく。
「おおっ!!」
 地上からその様子を眺めていたオスマンは、アリゲラが倒れたのを見て思わず歓声を上げた。
 だが、アリゲラは倒れたままその尾の先をダイナに向けると、そこから真っ赤な火炎弾を放った。
「危ない!!」
「シュワッ!!」
 思わず叫んだオスマンの目の前でダイナは両手をまるで押し出すように前方にかざすと、そこに薄く輝く光の幕が現れた。
『ウルトラバリヤー!!』
 火炎弾はバリヤーに当たると粉々に砕け散った。
 オスマンはその光景を唖然として眺めていた。ファイヤーボールにしたら1000発分には匹敵しよう火炎弾を巨人は軽々跳ね返したのだ。
 しかし、驚くのはまだ早かった。

154:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:13:42 /MpnMi8v
前スレの相撲の流れを見てKOFから四条雛子召喚とか思い付いた
ハルケギニア女性がみんなして四股を踏んでるトコを幻視したが


小手投げですぅ支援

155:ウルトラ5番目の使い魔 8話 (2/9)
08/07/07 23:14:53 EiyLtaUX
 ダイナが両手を十字に組むと、その右手からまばゆい光の束がほとばしる。
『ソルジェント光線!!』
 輝く光の奔流がアリゲラを襲い、右肩から胴体までの外骨格を爆砕した。
 アリゲラはガラスを引っ掻くような鳴き声をあげて苦しんだ。しかし強靭な生命力を発揮してまだ戦意を失っていない。噴煙の中から炎を吹き上げて、空へと飛び上がっていく。
「ヘヤッ!!」
 ダイナは2発目のソルジェント光線を放つが、マッハで飛ぶアリゲラには当たらない。
 アリゲラはそのまま急降下するとダイナに体当たりを仕掛けてきた。
「グワァッ!!」
 超音速の体当たりにはさしものダイナも持ちこたえきれずに吹っ飛ばされてしまった。
 アリゲラはその後Uターンして、起き上がったダイナの背中へと再び激突した。
「グワァァ!」
 地響きを立てて地面に崩れ落ちるダイナ、そのときダイナの胸のカラータイマーが赤く点滅し始めた。
「頑張れ!」
 オスマンは固く拳を握り締めて名も知らぬ巨人の苦境を見守っていた。
 そしてダイナはその声が届いたのか、ひざを突きながらもゆっくりと立ち上がった。
 アリゲラはよろめくダイナに安心したのか今度は真正面から突っ込んでくる。マッハ3、いや4、ものすごいスピードだ!!
「デヤッ!!」
 だがダイナはまっすぐアリゲラに立ち向かう。
「危ない、避けるんだ!」
 このまま直撃されたら今度こそ危ない。しかしダイナはまったく避けようとはしない。
 正対するアリゲラとダイナ、もう両者とも避ける隙はない。
 そのときだった。ダイナの額が眩く輝いたかと思うと、その身が一瞬にして燃えるような真紅に包まれた。
『ウルトラマンダイナ・ストロングタイプ!!』
 赤いダイナはアリゲラの突進を正面からがっちりと受け止めた。

156:ウルトラ5番目の使い魔 8話 (3/9)
08/07/07 23:16:42 EiyLtaUX
「ヌォォォッ!!」
 突進の勢いで大地をガリガリと削りながらもダイナはアリゲラを離さない。そして100メイルほどすべったところでアリゲラの突進は完全に止まった。
 さらにダイナはアリゲラの首根っこを掴んで、その巨体を砲丸投げの様に振り回した。
『バルカンスウィング!!』
 回る回る、アリゲラの巨体がまるでプロペラのようだ。さらに、1万1千tの体重がもたらす遠心力によってアリゲラの体は千切れんばかりのGに襲われる。
 そして思うさまにぶん回した後、ダイナはアリゲラの体を大地に思いっきり放り投げた。
「ダァァッ!!」
 地響きとともに7、80本の木をへし折ってアリゲラは大地に叩きつけられる。
 さらにダイナはフラフラと起き上がったアリゲラに強烈なストレートパンチをお見舞、残った左肩の砲口も叩き潰される。
「赤い巨人は、力の戦士……」
 今のダイナの前には強固な外骨格も何の役にも立たず、もはやアリゲラには武器も戦意も残ってはいない。2
 そして、ついに敵わぬと悟ったアリゲラは、残った力を振り絞って空へと飛び上がった。
「デヤッ!!」
 逃げるアリゲラを見据えながら、ダイナは胸の前で拳を突合せた。
 するとダイナのカラータイマーを中心にエネルギーが集まって巨大な火球と化していく。
「ダァァァッ、シュワッ!!」
 ダイナの半身を覆い尽くすほどに火球は巨大化した、そしてダイナはそれをアリゲラに向けて一気に押し出す。
『ガルネイトボンバー!!』
 火球はアリゲラに向けて一直線に飛び、飛ぶのがやっとのアリゲラにはそれを避ける力はもはやない。
 直撃、開放されたエネルギーの奔流がアリゲラを焼き尽くす。一瞬後、アリゲラは断末魔の遠吠えを残し、大爆発を起こして粉微塵に吹き飛んだ。
「やった!」
「シュワッ!」
 オスマンとダイナは、共にガッツポーズを決めた。
 そしてダイナは腕を下ろすと仁王立ちのポーズをとった。
「ダッ!!」
 ダイナの体が一瞬輝いたと思うと、その体が光の粒子へと変わって小さくなっていき、やがて元の人間の姿へと戻っていった。
 
 

157:ウルトラ5番目の使い魔 8話 (4/9)
08/07/07 23:17:58 EiyLtaUX
「じいさん、無事だったか」
 彼は駆け戻ってくるなり、先程までの戦いがうそのようなまばゆい笑顔でそう言った。
「あ、大丈夫じゃとも、それよりおぬしこそ大丈夫なのか? あれだけやられたのに」
 そのあまりにまっすぐな瞳にオスマンも警戒心を解かれて問い返した。
「え、ああ見られちまってたか。まあ、この世界ならいいか……なんてことはないよ、いつものことさ」
「いつものことって! おぬしはいつもあんな化け物と戦っておるのか!? 君はいったい何者なんじゃ?」
 すると彼はニッと笑って。
「いや、名乗るほどの者じゃないさ……って、一度言ってみたかったんだよねー。俺はアスカ、スーパーGUTSのアスカ・シンさ。あー、と、言ってもわからねえか……」
「スーパー……ガッツ? いや、ともかく君はアスカ君というのだね。わしはオスマンという。あの巨人の姿は……いやいや、そんなことはよいか、ともかく君はわしの命の恩人じゃ、本当にありがとう」
「いいってことよ。それに、ウルトラマンダイナのことは正直俺もよくは知らねんだ。それよりも、またあんなのが来る前に、急いで帰ったほうがいいぜ」
 見ると、そろそろ日の光が赤みを帯びてくるような時刻だ。
「ああ、本当にありがとう。それで、よかったらわしのうちに来てはもらえんかね? せめてもの礼がしたいんじゃ」
 だが、アスカは残念そうな顔をして首を横に振った。
「悪いけど、俺も急いで国に帰らないといけないんだ。仲間が待ってるからな」
「国にって、とても遠いのじゃろう、あてはあるのか?」
「正直あんま自信はない。ただ、必ず帰るって約束したんだ。俺は約束は絶対破らない。だから、俺はずっと前に進み続ける」
 そう言って、空の果てにあるという彼の故郷を見つめるその視線には一点の迷いも無かった。
「わかった。そういうことなら止めはせん。旅の無事を祈ってるよ」
「ああ、じいさんも元気でな」
 オスマンは名残惜しさを振り切って別れようとした。だがそのとき自分の杖がどこかに行ってしまっていたのに気がついた。
「しまった、わしの杖……弱ったのう、あれがないと」
 メイジの使える魔法はとても便利だが、反面杖が無いとその一切が使えないという欠点もある。
多分戦いのさなかに怪獣の巻き起こした突風で飛ばされたのだろうが、この深い森の中を探すのはちと困難だった。

158:ウルトラ5番目の使い魔 8話 (5/9)
08/07/07 23:19:10 EiyLtaUX
「なんだ、うっかりしてるなあ。この森を丸腰で帰るのは厳しいぜ……しょうがない、これ持っていけよ」
 アスカはそう言って腰の銃をオスマンに差し出した。
「い、いかんいかん、そんなもの受け取るわけには、それに君はどうするのだね?」
「俺は平気さ。そいつの使い方はこっちの銃とたいして変わらないからわかるよな。まだエネルギーは十分残ってるはずだ。じゃあ、元気でなじいさん!」
「あ、待ってくれ! 君はいったいどこへ行くつもりじゃ!」
「さあな、けどまたいつか会おうぜ!」
 アスカは大きく手を振りながら、森の奥へと消えていった。
「アスカ……ウルトラマンダイナ……」
 オスマンは、その手に残った銃を握り締めながら、彼の去っていった森の奥をいつまでも見つめていた。

 
 そして現代、昔話を語り終えたオスマンは、椅子に座りなおすと才人とルイズに視線を戻した。
「それが、30年前にわしが体験したことの全てじゃ。あんなまっすぐな目をした若者をわしはこれまで見たことはない。
その後わしはこの銃で身を守りながらなんとか学院へ帰ってきた。
銃はそのときもまだ使えたが、下手な魔法よりはるかに危険なために『破壊の光』と名づけて封印したんじゃ」
「エース以前にも、ウルトラマンがハルケギニアに来ていたのか」
(だけど、ダイナなんて名前のウルトラマンは聞いたことないぞ。エース、あなたは知ってますか?)
 才人は、自らのなかに眠っているエースへ向けて呼びかけた。

159:ウルトラ5番目の使い魔 8話 (6/9)
08/07/07 23:21:37 EiyLtaUX
 普段エースはふたりの傷の治療もあって、ふたりの心の奥深くでじっとしているが、ふたりが同時に強く願えば答えてくれる。
(いや、私も聞いたことがない。しかし、学院長の話を聞く限りでは彼もまた異世界から来たのは間違いない)
(どういうことよサイト、ウルトラマンはあなたの世界の戦士なんじゃなかったの?)
 ルイズもエースごしにテレパシーで才人に聞き返してきた。エースが表に出てきているときだけの特典だ。
(そう言われてもなあ。ダイナってウルトラマンもそうだが、スーパーガッツなんてチームも聞いたことがない……)
(なによそれ、あんたがわかんなきゃわたしが分かるわけないでしょうが、この犬)
 そう言われても分からないものは分からない。才人が困っているとエースが助け舟を出してくれた。
(考えられる可能性としたら、パラレルワールドというやつだろうな)
(パラレルワールド?)
(このハルケギニアと地球、ヤプールの異次元世界があるように、ほかにも私たち光の国の住人とは違う、
ウルトラマンのいる世界があるのかもしれない。もしかしたらハルケギニアはそうした世界の境界が薄い世界なのかも)
 それはかつてのTAC隊員北斗聖司としての経験と知識から導かれた仮説だった。
 単純に異次元世界とは言っても、ヤプールの異次元世界のほかにも、四次元怪獣ブルトンや四次元宇宙人イカルス星人の異次元はそれぞれまったく別のものだ。
(と、いうことは、あなたやそのダイナ以外にもウルトラマンが現れる可能性があるってこと?)
(可能性はあるだろうな)
(おお! ウルトラ兄弟以外のウルトラマン!? そりゃ燃えるぜ!)
(なに喜んでるのよ、このバカ犬!)
 と、テレパシーで話し合っているが一応表面上は静かなものだ。
「それで、そのアスカって人はその後どうしたかわかりますか?」
 才人はとりあえずオスマンにそう聞いてみた。
「うむ……わしもその後これを返そうと四方手を尽くして探してみたのじゃが、とうとう見つけることができなかった。
あれほどの力を持つのじゃから、もしものことはないと思うが、おそらくは彼の国へと帰ったのじゃとわしは思う」
「そうですか、これでなんとか元の世界への手がかりが見つかるかと思ったのですが」
 地球への手がかりが見つかるかと思っていた才人はがっくりと肩を落とした。
 もしハルケギニアがどこかの星ならウルトラマンAなら飛んで帰ることは簡単だが、星空にはエースの知っている星は地球とM78星雲を含めてひとつも無かった。
 ダイナがどういう世界から来たのかは分からないが、帰れたにせよ帰れなかったにせよ、もうこの星にはいないだろう。
 するとオスマンは、何かを考え込むような仕草を一瞬見せた後、才人の目を見据えて驚くべきことを言った。
「君は、ミス・ヴァリエールの召喚でここへ来たのだったね。すると君もまた異世界の住人なのだろう、ウルトラマンA」

160:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:23:00 j0D2G7UR
羞恥心支援

161:ウルトラ5番目の使い魔 8話 (7/9)
08/07/07 23:23:03 EiyLtaUX
「え!?」
「え、い、サイトがエース、な、なんてそんなわけないじゃないですか!」
 突然のオスマンの指摘にふたりは驚いた。しかし才人はまだしもルイズはごまかしが下手すぎる。
「やはりの、エースが現れて消えるまで、ずっと君達ふたりだけがいないままで、エースが消えたとたんに戻ってきた」
 もはやごまかしようも無かった。
 才人とルイズは仕方ないと自分達とエースの関係を簡単に説明した。
「なるほど、君達そのものがウルトラマンなのではなく、その体を貸しているだけというわけか」
「あの、学院長、このことは」
「わかっておる。誰にも言いはしない、かつてダイナに救われたようにエースはわしの恩人じゃ」
 オスマンはにっこりと笑って見せ、才人とルイズもほっと胸をなでおろした。
 それを見たオスマンは、一回咳払いをして呼吸を整えると、また才人に向かって話しかけた。
「それから、もうひとつ伝えておくことがある。サイト君、君の左手のルーンについてじゃ」
「俺の?」
「うむ、それはガンダールヴ、伝説の使い魔のルーンじゃ。伝承ではあらゆる『武器』を使いこなしたと言われている。君にも心当たりがあるのではないか?」
「ええ、まあ……」
 才人は、その質問には適当にお茶を濁しておいた。
 ギーシュとの決闘からホタルンガに斬りかかったときまで心当たりは大有りだったが、それよりもやはりこのルーンがエースにも影響を与えたのだということを、改めて確信していた。
(たかが使い魔のルーンがウルトラマンに影響を与えるとは、まあプラスなんだから別に悪くは無いか)
 疑問はまだ残っていたが、元々ひとつのことをいつまでも深刻に考える性質ではなかったので、才人はガンダールヴのことを「まあいいか」で済ませた。
「ともかく、その『破壊の光』はここではとても危険なものです。二度と盗まれないように厳重に保管してください」
 この世界に来てからいくつかの攻撃魔法を見てきたが、単純な破壊力だけでなく、射程、使いやすさ、奇襲性など汎用性で
『破壊の光』は完全にそれらを上回っている。悪用されたとしたらトライアングルクラスとやらでもまず止められまい。
 そのことを承知している才人は、オスマンに強く訴えた。しかしオスマンの返答はまったく予想外なものだった。

162:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:24:12 l96+ETnT
ウルトラ支援

163:ウルトラ5番目の使い魔 8話 (8/9)
08/07/07 23:25:23 EiyLtaUX
「いや、この武器はサイト君、君が持つべきだろう」
「えっ!? な、なんですって」
 30年間守ってきた恩人の宝を譲る。信じられないオスマンの言葉に才人は仰天し、ルイズはまっこうから反対した。
「オールド・オスマン! この犬! い、いや使い魔に学院の秘宝をなんて!」
「ミス・ヴァリエール、わしではこれは扱いきれん。しかしウルトラマンであり、ガンダールヴである彼ならこれを正しく使ってくれるじゃろう。
受け取ってくれサイト君、そしてミス・ヴァリエールととともに、ハルケギニアを守ってほしい」
 最後にオスマンは深々と頭を下げた。
 ルイズは、こんなのに頭を下げる必要はないですと慌てているが、才人はオスマンの態度が真剣であることを感じて、無言で『破壊の光』を手に取った。
 すると、彼の左手のルーンが光り、『破壊の光』の使い方やその他の細やかな情報が頭の中に流れ込んできた。
「ガッツブラスター……」
「おお、それがそれの本当の名前なのか。どうか、大切に使ってやってほしい。一応わしが固定化の魔法で保護してあるから元より頑丈だろうし、下手な手入れもいらんじゃろうが、ただし一つだけ……」
「わかってます。おおっぴらに使ったりはしませんよ」
 学院の秘宝を一平民が持ち歩いてると知れたらいろいろとまずいだろう。それを察した才人はそう言ってオスマンを安心させたが、実はそれだけではなかった。
 本当のところ、ガッツブラスターにはもうあまりエネルギーが残っていなかったのだ。20発以上は撃てるだろうが、これからのことを考えると余裕のある数字ではない。
 その不安が顔に出ていたのか、オスマンは少し強い調子で才人に言った。
「不安なのじゃな。無理もない、じゃが、ウルトラマンダイナはたった一人でもあきらめずに常に明るく前に進もうと頑張っておった。君もウルトラマンなのじゃろ、ならもっと心を強く持ちなさい。そうすれば、彼のように必ず道は開ける」
「……わかりました。よーし、ヤプールなんか俺が八つにたたんでやるぜ!」
 才人はウルトラマンとしての重圧を感じていたが、すでに2匹超獣を倒していることだしなんとかなるだろうと、もちまえの気楽さを発揮して答えた。
「そうか、申し訳ないがよろしく頼む……この部屋にはいつでも入れるようにミス・ロングビルに話をつけておこう。何か困ったことがあったら遠慮なく来たまえ」
「はい。では、この辺で失礼します」
「うむ、ヤプールはまたいつ攻めてくるかわからん。今夜はゆっくり休みたまえ……ああそうだ、サイトくん、
実は1週間後にここで『フリッグの舞踏会』というものが執り行われるんじゃ。本当ならもっと前にやるはずじゃったのだが、
ベロクロンの襲撃のせいで延期になっておったんじゃ。君もメインで参加できるよう取り計らっておこう。楽しみにしていたまえ」
 『フリッグの舞踏会』とはこの魔法学院の行事のひとつで、娯楽の少ない学院では大勢の生徒が楽しみにしている食べて踊れるお祭り騒ぎだ。
 しかし普通の学生であった才人はあまり興味はないようだったが、それを察したオスマンは才人の耳元でぼそっとささやいた。
「学院中の女子生徒が着飾って踊りを楽しむぞ、もちろん手を取り合ってな」
「ぜひ参加させていただきます」
「聞こえてるのよ、この馬鹿犬!!」
 
 

164:ウルトラ5番目の使い魔 8話 (9/9)
08/07/07 23:27:40 EiyLtaUX
 その後、ルイズと才人は学院長室をあとにした。
 すでに夜もふけて廊下も静かなもので、ふたりの足音だけが響いていた。
「やれやれ、おーいて」
「学院長の手前、蹴り一発で許してやったんだからむしろ感謝しなさい。ったく、この色ボケ犬!」
 ルイズはカッカッと怒っている。
 才人は、相変わらずのルイズの態度に辟易していたが、やがて思い出したようにルイズの肩を叩いた。
「なによ?」
「あとで言うことがあるって、言ってあっただろう?」
 ルイズの顔が固くこわばった。
 あのときの無茶は、正直どんな弁明をしても正当化できようはずもない。身構えるルイズに才人はやがて口を開いた。
「今度は俺も連れてけ」
「は?」
「お前が俺の言うことなんか聞く気がないのはわかってる。だったら次からは俺も連れてけ、多少はお前より頑丈なんだから盾くらいにはなってやる、俺はお前の使い魔なんだろ?」
「……」
 あまりに意外な言葉にルイズは絶句していた。
 ウルトラマンは決してひとりで戦っているわけではない、信じられる仲間たちがいるからこそどんな強敵とも戦い抜いてこれたのだ。
 しかし、他人を信じようとしないルイズでは、先のように命の投げ捨てに行くようなものだ。
 頑ななルイズにそのことを説いても聞き入れはしまいと分かっている才人は、あえてそういう言い方をしたのだった。
(ダイナも、仲間の元へ帰ろうとしていた。ウルトラマンがなんで強いか、いつかこいつもわかってくれる……かもしれないな)


 続く

165:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:31:16 iYtjYqF7
GJ!
絆こそがウルトラマンの強さだな

166:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:45:01 +5mPOfL/
GJです!
ウルトラの光線銃だとダッシュライザーが好きだったなぁ。玩具まだ持ってるぜ!

167:ゼロの旋風 その3
08/07/07 23:47:05 vSGCDYzk
ウルトラ5番目の使い魔の方、GJ!私も幼少時からウルトラマンシリーズ好きであるが
ゆえに、今後ゼロ魔世界とどうすり合わせて、面白い展開にされるか、楽しみに待って
おります。

ところで、投下予定が他になければ、0時過ぎくらいから投下したいのですが、よろしい
でしょうか?

168:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/07 23:57:28 tscp7w4E
ウルトラの人乙!と思ったらさらに投下だとぉぅー!?
私は一向に構わん!!!

169:携帯のウルトラ5番目の人
08/07/07 23:57:51 6QK03t93
ご感想、どうもありがとうございます。
すいません、実は最後のご挨拶だけさるさんにかかってまだなので、先に代理投下をお願いします。

170:ゼロの旋風 その3
08/07/07 23:59:59 vSGCDYzk
了解。ではしばらく待ちます。

171:代理 ウルトラ5番目の使い魔 8話
08/07/08 00:02:26 s6BQx9UB
申し訳ありません。本編のほうはなんとかすべて投下できたのですが、最後のご挨拶のところだけ引っかかってしまいましたので代理をよろしくお願いします。



支援ありがとうございました。すいません、最後の最後で規制に引っかかってしまいました。
初めての他のウルトラマンの客演、楽しんでいただけたらうれしいです。

ちなみに、作中で明言はしてませんがアスカはその後、なんらかの方法で帰還していますので、後の話でじいさんになったアスカが出てくるとかはありませんのでご安心を。
いや、決して年をとったハヤタやダンが悪いと言っているわけではないのですが、アスカが年とった姿は正直想像できませんので。

ところで、このSSはウルトラマンAから召喚となってましたけど、よく考えたら
「ウルトラマンメビウスTV本編終了後の世界からの召喚」
ですよね。
すいませんが、これからはそういった方向でよろしくお願いします。
なお、メビウス外伝アーマード・ダークネスとの時系列の関係についてはまだ決めていません。

次回からは新展開です。どんな怪獣や星人が登場するかお楽しみに。
もちろんゼロ魔のキャラも逐次登場させていきますし、キュルケ、タバサやロングビルも活躍させていくつもりです。
では、しばしのあいださようなら。

シュワッチ!!

172:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 00:10:06 Mng9Ih4U
ヘキサゴンの人か

173:ゼロの旋風 その3
08/07/08 00:17:35 XiScc3fL
ウルトラ5番目の方、お疲れ様です。なるほど、メビウス後の世界という設定ですか。
それはそれで、どのように料理されるか、いろいろと想像が膨らみます。続きを楽しみ
にいたしております。

それでは、0時30分前あたりから投下いたしたいと思いますが。よろしいでしょうか?

174:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 00:20:56 ESQiak7m
sien

175:ゼロの旋風 その3(1/9)
08/07/08 00:26:31 XiScc3fL
「新たなる仲間、H(ハルケギニア)J9誕生!」

月夜に映える 大巨人
肩に乗りたる その主
なす術さぐる 闖入者
異世界ゆえに 戸惑いも(ナレーション:柴田勝秀)

もしこれが俺が元いた世界で、J9として依頼された仕事の最中で、しかも相手がコネクション構
成員といった「敵対勢力」であることが明らかであったなら、躊躇も容赦も一切なく「即」急所を
狙って射殺し、

「今度生まれ変わる時には、いい子に生まれくるんだよ」

とその死体に向けて軽口を叩いていたはずだ。ついでにあのゴーレムも、ブライガーのブライソー
ドで瞬殺出来るだろう。

だが、今は状況が違う。
第一に、少なくとも現時点では、契約している「ご主人様」であるルイズに直接の危険が迫ってい
るわけではない。もっとも、本人自身もその2人の学友達も対決姿勢満々の意気軒昂だが…

第二に、ここが異世界である以上、自分や主人の身に危害が加わる可能性がない限り、この世界に
大きな影響を及ぼすような干渉の類は闖入者である俺はなるべく避けるべきだ、という俺自身の信
念がある(逆に、俺たちがいた世界に異世界からの闖入者が来て殺人などをしたら、俺たちは不快
に思うだろうから)。俺は戦士ではあるが、決して血を見るのを楽しむ殺人狂ではないし、自分で
言うのもなんだが必要以上に好戦的でもないつもりだ。一応…

第三に、これが最も重要だが、これほど大掛かりなゴーレムを作れるような術者で、しかも魔法学
院という重要施設に堂々と侵入して犯行に及ぶことから考えて、奴には相当大きな背後関係がある
可能性を俺は想起したからだ(一見些細と思えるような事件の背後に、実はコネクションの大掛か
りな陰謀の影があったことはザラだったという俺自身の経験に基づく)。だとしたら、ここで「実
行犯」だけを殺ったところで、背後の黒幕が健在なら禍根は残り続けることになる。
ましてや、相手が本当に、昼間に武器屋の店主から聞いた『土くれのフーケ』であれば、なおさら
だ。もっとも、フーケならば「貴族のお宝」ばかりを狙う理由を個人的に知りたいという俺自身の
願望も含まれてはいたが…

そして第四に、物理的な制約として、俺の手持ちの武器であるブラスターのエネルギーを補充する
手段はこっちの世界では今のところまだ見つかっていない。つまり撃てる回数は限られてるってこ
とだ。無論、ナイフや長剣デルフ程度の武器であの巨大ゴーレムを相手にするのは論外だ。

…と思考をめぐらしてこの場での最適解…「最良の選択肢」は、

1)ゴーレムを動かしている主の、
2)杖を握っている右腕を、
3)ブラスターの出力を抑えて撃つことで、
4)生かしたまま賊を捕らえて、動機や背後関係について徹底的に泥を吐かせること、

との結論に達した。
幸いなことに、賊自身がゴーレムの肩の上に姿を見せてくれている。術者の魔法を使用不能にすれ
ばゴーレムも崩れるはずなので、数日前の対ギーシュ戦の時と同様、杖の使用を封じるべく奴の腕
を狙うことにする。杖だけを狙えれば一番良いが、さすがに異世界へ来て初めてのブラスター射撃
故にそこまで細い標的に当てられるか不安なので、より太くて狙いやすい手首にしたのだ。

176:ゼロの旋風 その3(2/9)
08/07/08 00:28:01 XiScc3fL
ブラスターを手に取り、用心鉄に指を入れて銃を数回転させて銃把を握る。安全装置を解除し、本
体左側の出力調整目盛りを「ショック最小レベル(最弱)」に合わせた。無論、エネルギー節約と、
万一狙いが狂った場合の相手の殺害を防止するためだ。この間、約2秒。

それにしても相変わらず武器を手に取った時に発動している『正体不明の能力』は、身が軽くなり
五感が研ぎ澄まされて、根っからの「戦士」である俺には気持ちがいい。ブラスターを「射撃目的」
で握るのも、この異世界では初めてなのに、不安感より高揚感と自信の方が、なぜか勝る。

「お嬢とお二方、危ないからちょっくら後ろに下がっててもらえないか?俺に考えがある。」

「どうする気なのキッド?あんなバケモノ、いくらあんたでも相手が大きすぎるわっ!」

「なーに、心配ご無用。お嬢様方はこのキッドさまの妙技をとくとご覧あーれ!イェ~イ!」

「いいわダ~リン、あなたの腕前、あたしがしっかり見届けてあげるわよぉ~イェ~イ!」

「…敵は強大。おそらく土のトライアングルクラス以上。十分注意…」

お嬢様方を背後に下がらせて、膝撃ちの姿勢から俺はゴーレム上の術者の右手首を狙った。幸い、
そのゴーレムは俺たちの方には向かってこない。術者の奴はどうやら俺たちに気付いていないか、
たとえ気付いていても、少なくとも現時点における自分の目的遂行上の支障とはならない「取るに
足らない存在」としか認識していないかのいずれかだろう。
…すごいぜ、距離はたっぷり百メートル以上はあろうかというのに、レーザー利用超高倍率ターゲ
ットスコープも顔負けの精度で、標的の狙点とした部分が手に取るように「見え」て、おまけにブラスターの射撃後の「未来着弾地点」まで知覚できるようだ。
俺の意識内で両者が重なった瞬間に引き金を絞る。その時、手首を極細の熱線で打ち抜かれた相手
の悲鳴が聞こえたように思った…いや、おそらく実際に聞こえたのだろう。何せこの能力のことだ
から、標的とした相手の周囲の音声も俺に知覚できるようになっている可能性は大だ。今のピンポ
イント超精密射撃成功が示すように、召喚後、俺に付加された能力は只者じゃない!

当然のように奴は握っていた杖を落とし、程無くゴーレムはその巨体を崩し始めた。

このままでは奴も数十メートル(こちらの単位ではメイル)の高さから転落するか、さもなければ
崩れたゴーレムの残骸に生き埋めになる可能性もある。そうなっては生かして口を割らせることが
できない!背中のデルフも、

「相棒!急げ!このままゴーレムが崩れると、奴も巻き添えになる可能性が高い!」

と叫んだ。

俺は腰のホルスターにブラスターを戻し、その銃把に手をかけて、先程よりは弱いながらも『例の
能力』を保ったまま、まるで低重力下にあるような速さで元ゴーレムだった崩壊中の土砂の山に接
近し、自分でも信じられない速度と身軽さでその頂上まで駆け上がり、右手首を押さえて苦悶の表
情と声を発する奴さんを抱き上げた…

って、女!?暗くて表情は確認できなかったが、体型や「匂い」からも明らかにその賊は女性だっ
た。狙った時は、とにかく手首だけを狙って確実に撃つことだけを考えていたから、相手の性別に
までは頭が回らなかったが…これがボウィの奴だったら口笛を吹いてデレるところだろう。

「口を閉めてろ!これだけの土砂が一気に口から入ったら窒息間違いないからな!」

抱き上げながら彼女に警告すると、俺はお嬢様方が待つ方向へ一気に駆け出した。時々、抱き上げ
ている彼女から、指を両手首のナイフに当て直して…
やはり弱いとはいえ、『あの力』が発動したので、その力を借りて加速できた。

177:ゼロの旋風 その3(3/9)
08/07/08 00:30:20 XiScc3fL
その女を救い出すために抱き上げて走っている最中、俺は念のために、触っただけで対象が武器で
あるか否かとその性能を判別できる『例の能力』の特性を最大限に利用して女の体を精査した。こ
うした大掛かりな犯罪では、犯人が巨大コネクションの工作員や反政府組織のテロリストだった場
合、自殺用の毒薬や最悪の場合、自分自身を含めた証拠隠滅と相手組織への少しでも大きなダメー
ジを与えることの一挙両得を狙って自爆用の強力な爆薬を身に付けていたり体内に埋め込んでいる
場合も、俺の経験上決して少なくないからだ。

幸いなことに、『例の能力』は彼女が特にそのような危険物を所持していないことを俺の意識の深
層に教えていた。もっとも、俺が見聞きした範囲でのこの世界の科学技術レベルでは、小型強力な
爆薬の作成はもともと困難だろうが…

それならば、こいつの杖の使用さえ封じれば、後はあのお嬢様方でも十分相手できそうだ。キュル
ケはかなりの『火』の使い手だし、タバサは大人しそうな外見を一見していたが、俺から見れば若
さに似合わぬ殺気を秘めていた。あれは「戦士」の気配で、かなり「出来る」使い手と見るべきだ、
、と俺の勘が教えている。だから昼食時での批評のように、ギーシュ戦で俺の技量を正確に見抜け
たのだろう。第一、二人とも「トライアングル」クラスの魔法の使い手だ。ルイズも…まぁ、魔法
の発動がいつも爆発という結果になっているから、こういう相手の場合はかえって好都合かもしれない。
万一この女が右手の負傷を省みず格闘戦に持ち込もうとしたなら、お嬢様方の盾となってこの俺自
身が相手をすればいい。

少々余談だが…


それにしても、この世界の支配階層である「メイジ」ってのは、つくづく『哀れな奴ら』だと思う。
なんせ、どんなに高位高官かつ高度のメイジランクを誇ろうと、「杖」無しでは、どんな初歩的魔
法も発動できないのだから。手首さえやられたら単なる役立たずに過ぎない。


「獲物を捕らえてまいりましたのでご笑納を、お嬢様方、イェ~イ!」

元ゴーレムの土の山を背景に、俺は大仰な身振りと台詞で3人の前に賊を置いた。

奴さんは、自分の身に起きたことがまだ理解できない当惑した様子で、痛む右手首を左手で押さえ
ながら、呆然と俺や周囲に立つ3人の少女を見回していた。

「さすがわがダ~リン、見事な腕前だわ~。ではでは、獲物を拝見…ってあんた、学院長の秘書さ
んじゃない!?どういうこと、これって!?」

「…学院長秘書ロングビル女史である可能性大であること、認めざるを得ない…」

「わたしも思い出したわ!ほらキッド、あんたもついこの前、学院長室で会ったばかりでしょ!?」

そういえば、ルイズと契約した直後に、一応この世界では『平民』という区分ながら「人間の使い
魔」という特殊性から、俺にいろいろと特別な便宜を図ってくれることになったため(例:学院の
図書館での一定の図書の閲覧許可、生徒が使用していない時の各種体育施設や運動場の使用許可、
食事の際の厨房への出入り許可他<ただしそれらの対価として、特殊事例ゆえに学院長や教員によ
る俺に対する各種調査への協力を要求された<後で知ったが、これらは俺が「最低限度でも人間的
に学院内で過ごせるように」との配慮から、ルイズと彼女の主担任教師コルベールが学院長に訴え
て実現してくれたものだったそうだ)一応その説明と手続きのためルイズと一緒に中央塔最上階の
学院長室へ連れて行かれた時に、応接してもらった記憶がある。あの時の秘書だったか!

だとすると、事態は重大だ。彼女に対する詮議は慎重に行う必要を感じた(なにせ「学院長秘書」
という、いわばこの学院内の「要人」の一人といえる)。幸か不幸か、少なくともこの場には俺た
ち以外の人間の姿は見えない。他の生徒や教師は、この騒動に気付かないのか、あるいは巨大ゴー
レムの出現という事態に恐れをなして見て見ぬ振りをしているのか、この中庭に姿を見せる気配が
今のところ全く感じられない。
本当に大丈夫か?この学院…暮らしている身として少々不安になったが…

178:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 00:30:57 htBTVkB4
支援

179:ゼロの旋風 その3(4/9)
08/07/08 00:32:37 XiScc3fL
「誰か来たら面倒だ。ここは皆さん、ひとまず物陰に隠れて話を続けた方がいいかも」

どうやら彼女に対して抱いた懸念は他の3人も同様だったようで、うんうんと頷くや否や、手近な
物陰に向かって5人で移動した。無論、賊を抱き上げて走ったのは俺だ。

「相棒、その植木の物陰がいいや。そこならこの学院で現時点で人間が起きている部屋の全ての窓
から死角になるはずだ!」

と背中のデルフが言うので、一応信用することにした。

「ここなら、他の連中の目はないようだな。では、尋問を始めさせて頂きましょうか、侵入者さん」

ようやく事態が飲み込めながらも、手首をやられて魔法が使えない故か、わずかな光でも分かる程
の悔しそうな表情を浮かべて彼女は口を開いた。

「殺すなら殺しなよ…あんたたち恵まれきった貴族連中に話すことなんてないね!」

「なんですって!?この盗人風情がっ」

「よしなさいよヴァリエール、相手を不用意に刺激しちゃ、聞きたいことも話してくれないわよ」

「…相手も一応メイジ、それもゴーレムの大きさと動きからして、かなりの高位能力者。普通なら
盗賊をせずとも十分な身分・収入が保証されるはずの実力クラス。従って相当な『訳あり』…」

確かにメイジの中には、投機失敗や債務超過といった経済的事情や、権力闘争の結果政争に敗れた
などといった政治的事情から『メイジ』でありながら貴族階級から没落したり追放された者達が、
傭兵化したり、用心棒や子女の家庭教師といった上級貴族の家事使用人と化したり、またある者達
は正業に「就かない」か「就けない」かして犯罪者化し、最悪は自分達を没落させた現体制への復
讐を図るテロリスト化する例も多々みられることをルイズから教わった。彼女もそうした『浪人メ
イジ』の一人ということか。

「俺はあんたが何者かはあえて尋ねない。ただ、なぜここを狙ったかが知りたい。この学院には、
俺を召喚し、現時点では俺を養ってくれている『ご主人』がいる。俺はその主人を守る『使い魔』
として、その理由を知りたい。大丈夫、これ以上、肉体的な危害を加えるつもりは俺にはない」

しばらくの沈黙の後、うつむき加減で彼女は口を開いた。

「…憎かったのさ、あたしもかつて貴族だったけど、いろいろあって貴族って奴らが大嫌いになっ
た。だから何回も大貴族の邸宅ばかり狙って、それらの家の『家宝』のマジックアイテムを取り上
げて奴らの鼻を明かしてやったのさ。まっ、いい収入源になるってこともあったけどね…
そしてこのトリステイン魔法学院の宝物庫に、飛び切りのマジックアイテムが保管されてるって噂
を聞いてね、それであの色ボケ学院長行きつけの店を調べてそこに店員として応募して、あの色魔
オヤジのご機嫌を取って、学院長秘書としてここへもぐりこんだってわけさ…」

180:ゼロの旋風 その3(4/9)
08/07/08 00:36:39 XiScc3fL
「ってことは、やっぱりあんた『土くれのフーケ』なのね。でもあれほどの実力だったら、さぞや
名のある貴族だったはずのあんた、がなんで自分自身も属していたはずの貴族階級を憎むわけ?」

「…まぁ、あんた達に話しても分からないかもしれないけどね、王家や貴族社会の醜悪なゴタゴタ
に巻き込まれて、愛する家族を殺され、財産も何もかも奪われちまったのさ…自分がそれまでいた
世界がいかに腐って汚れていたか身を持って思い知らされて、それで一転して、奴らにせめて一矢
報いたいと思うようになって、この稼業を始めたわけさ…」

…俺の杞憂で、どうやら背後の無い単独犯だったようだ。あまりに潔すぎるし、口も軽すぎる。
第一、囚われた場合の対策を何ら準備していた様子が感じられなかった。

それにしても、彼女の言葉は俺にはなんとなく分かる気がする。自分が信じていたものに裏切られ
たが故に、かつて自分が所属していた世界あるいは組織に復讐することをJ9時代に依頼されたこ
とも1度や2度ではないからない。いや、俺自身、軍隊という組織を信じて入ったが故に、裏切ら
れ幻滅して、たまたま勧誘されたアイザックの『J9』に走った人間ではないか?

と、そこで『J9』の文字が脳内に浮かんだ時、俺にひらめくものがあった。

「なぁフーケさんよ、取引しないか?」

「えっ!?」

「あんたが『土くれのフーケ』なら、少なくとも平民、特に貧しく虐げられた人々の苦しみは分か
っているだろう。」

「まぁね…少なくとも、自分自身がいかに『守られた』世界で過ごしていた世間知らずであること
とだけは実感させられたよ…だから時々、気まぐれで、盗品を売った金の一部を、自分が印象に残
った貧民街にばら撒くこともしたさ。おかげであたしのことを『義賊フーケ』ともてはやす連中も
いるみたいだけどね…あたしは単に一時的な義憤に駆られてやっただけなのに…あたしの本当の目
的は別にあったことも知らずに…」

「だったら話は早い。どうだい?ここにいるみんなで、チームを組んで、世の強者に虐げられてい
る『弱者』のために、晴らせぬ恨みを代わりに晴らす稼業を始めないか?」

「はぁ?」

ロングビルことフーケのみならず、3女生徒も目を丸くしながら俺を見た。

「俺は前にいた世界で、軍を辞めてから、法や権力の壁にぶち当たって本来泣き寝入りさせられる
人々の恨みを代わりに晴らす稼業をしていた。こっちの世界でも、『権力』を握っている連中は、
やりたい放題。地道に真面目に日々働いている者達が一方的に搾り取られている現実がある。だか
らこそ、そうした虐げられた人間の側に立って、少ない報酬であっても、搾り取る強い奴らに立ち
向かう存在が必要なんじゃないか、って俺は思うんだ」

そして一呼吸置いて、理念面からのみならず、俺は『利得』という現実面からも論じた。

181:ゼロの旋風 その3(6/9)
08/07/08 00:38:56 XiScc3fL
「もちろん、金集めだけだったら、富み栄えた貴族層御用達の稼業にした方が儲かるだろう。だが、
それでもなおかつ、あえて困難で見入りも少ない階層を相手にする方が、競争相手がいない分、そ
れだけ『需要』は見込めるんじゃないか?富裕層に媚び諂おうとする奴らは多いから、それだけ競
争も激しく、従って『選ぶ側』である富裕層側は選り取りみどりなのに対して、売り込む側はどれ
だけ媚びても買い叩かれるのが常だ。だったら、たとえある程度小額であろうと、弱い立場の人間
の側に立って、社会的強者、とりわけ権力を振りかざす連中を懲らしめる稼業ってのは『小利多売』
の効果で、長い目で見れば依頼する側もされる側も得じゃないか、とビジネスとして十分に採算が
見込めると俺は思うんだが…しかもこの場には、あんたにミス・ツェルプトー、それにミス・タバ
サと土・火・風と、水以外の3系統のトライアングルクラスメイジが3人も揃っている。我が主で
あるミス・ヴァリエールは、系統魔法こそ使えないが、『爆発』という結果を生めるなら、悪党退
治にはむしろもってこいなんじゃないのかい?」

「ちょっと、キッド!今の言い方、主であるわたしに対してかなり失礼よ!それに盗賊を見逃して、
あまつさえ仲間にしようなんて!」

「…フッ…ものは言い様だね。でも、あんたが言うとなぜか説得力があるよ。あたしが見たところ、
あんたは相当な腕利きの殺し屋だったね。少なくとも二桁は殺ってるだろ。なのに、こんなに涼や
かな表情をしていて、それでいて温かみを感じさる…さっき自分の危険も省みずにあたしを助けて
くれた時にはっきりと感じたよ。あたしの勘に過ぎないけど、あんたは信頼できる」

「お褒め頂いて光栄だ。ただ一つ訂正させてもらえれば、元いた世界で殺ったのは少なくとも実数
四桁に達する。」

フーケはもちろん、他の3人も驚いた表情で俺を見据えた。無理もない、この世界では、ロボット
やミサイルやレーザー砲といった大量破壊兵器は存在しない。実際、ブラスターによる射撃のみな
らず、ブライガーの戦闘担当要員としてブライソードやブライカノンそして何よりブライガー自体
の三本指の手や頑強な足を操作して殺した人間の数は、各コネクションのロボット・戦闘機・宇宙
艦船・車両や惑星・衛星上の基地あるいは宇宙ステーション内にいた者を含めれば四桁どころか、
場合によると五桁すなわち万単位になっているかもしれない。特に水星決戦以降では、ヌビアと対
立していたオメガコネクションの連中を殲滅し、さらにその後ヌビア本体やその傘下に入った各惑
星コネクションの連中との戦いでは、当たるは幸いとばかりに船や基地・コロニー・ステーション
ごと斬り、撃ち、投げ、殴り、蹴り、握り、踏み、潰しまくったからなぁ…ひょっとしたら、ヌビ
ア関連だけでも十万単位になるかも…

この世界の魔法では、いくら強力でも千人単位の人間を、焼く火系魔法や、溺れさせる水系魔法や、
吹き飛ばす風系魔法や、一度に踏み潰すゴーレムを作る土系魔法というものは想像できないだろう。

「無論、人殺しは人殺しさ。時には、好きだった女の兄貴でしかも長年の親友だった男すら手にか
けたり、軍隊時代の元同僚と危うく銃撃戦という場面になったり、またある時は長年憧れてその射
撃の腕に追いつく目標としていた人の最期を看取ったこともあった。多くの人間が暮らす町のよう
場所を、弱い人々に害なす悪党ばかりが居るという理由で全滅させもした。それでも俺は自ら銃に、
そして戦いに生きる道を選んだ。そのことを後悔する気も、また言い訳する気もない。だからとい
って、人の命の重みが分からない訳じゃない。殺した命の重さを一生背負う覚悟と決意はあるつも
りだ。だからこそ、安易な人殺しはしたくないし、助けられる命なら助けたいと思うまでだ…
言い訳はよそう…俺は矛盾の塊であることを隠すつもりはない」

昼間俺が話した内容を思い出したのだろう。フーケもさることながら、3人の女生徒達の表情が重
いものとなるのが分かった。俺の体験談の背後にあるものに思いが到ったが故だろう。

「フッ…まぁいいだろう。どうせこんな稼業は長く続けられるとは思っていなかったし、逮捕され
て身の破滅につながるよりは、あんたが言う『始末屋稼業』の仲間になった方がいいかもね。それ
に、腐った貴族連中を懲らしめることも続けられそうだし、そこそこの実入りも見込めそうだしね」

182:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 00:41:41 IgWxjAy4
sien

183:ゼロの旋風 その3(7/9)
08/07/08 00:44:44 XiScc3fL
「面白そうだから、あたしは賛成だな。ちょうどトリステインでのボーイハントにも飽きてきたと
ころだし、何より思いっきり暴れまわれそうなところにツェルプトーの武門の血が騒ぐわ。無論、
ダーリンと一緒にいられることが一番の魅力だ・け・ど!」

「…同意、武人としてのキッド、あなたについてもっと知りたいしもっとあなたから学びたい…」

「しょうがないわねぇ。まぁ、非合法なことをするのは気が進まないけど、世の中の虐げられた人
々を守るために力を尽くすことが、『貴族』たるものの本来の責任だと思うし」

「とか何とかいっちゃって、あんた、あたしにダーリンを取られるのが怖いんじゃないの」

「バッバカ言わないでよね!わたしは純粋に貴族ヴァリエール家の人間としての本分を尽くしたい
だけなんだからぁ!」

「はいはい、ではそういうことにしておきましょうね」

「ではでは、合意成立ということで。で、一応チーム名なんだが、俺が前の世界で同様の仕事をし
ていた時にちなんで、『J9』としたい。ただし、ここはハルケギニアだから、俺の世界の文字で
『ハルケギニア』と書く際の頭文字『H』をつけて、『HJ9』としたいんだが、どうだろう?」

「いいわ、洒落てるんじゃない?話でしか聞けなかったダーリンの活躍が実地に見れる期待にあふ
れるような名前よっ!」

「…異存は無い…」

「まぁいいわ。キッド、今後は単なる使い魔や用心棒じゃなくて、仕事を共にする『仲間』として
も付き合ってもらうんだからね!だから戦慣れしたあんたの知識や技能を惜しみなくわたしにも教
えなさいよ!」

「へいへい、合点ですお嬢様。イェ~イ!!」

「なかなか今後が楽しみな『仲間』たちじゃないか。あと、ちなみにあたしの本名はマチルダ、マ
チルダ=オブ=サウスゴーダだよ。学院の『表』ではともかく、仲間内だけの時はマチルダって呼
んでくれたら嬉しいね」

マチルダねぇ。略して「おマチ」って呼んだら、元祖のマチコ=バレンシアにどう思われるだろう
か?もっとも、元の世界の「お町」がボウイやアイザック同様にまだ見つかっていない以上、とり
あえずマチルダを「おマチ」呼ばわりする支障はないだろう(再会したら、その時にまた考えよう)。
「そうかい、ではこれからよろしくな、ロングビルでもフーケでもない『おマチ』さん」

「で、HJ9の件は決まったとして、当座の急務として、この騒動の後始末はどうするの我がダー
リン?」

「そこはこのキッド様、抜かりはないでございますよぉ!」

俺がそこで、4人に口裏合わせとして説明した内容は次のようなものだった。

1)俺たちがゴーレムに気付き、中庭に飛び出したことまでは事実どおり。
2)宿直教員がサボっている様子に憂慮して、おマチことロングビルが代わりに夜回りをしていた
最中にゴーレムによる襲撃を目撃。
3)そこで、遠方から駆け寄ってくる俺たちに気付いたロングビルが、生徒に害があってはならな
いと一人で賊に挑み、結果、手を射抜かれる負傷。なお、賊が彼女の手を傷つけるために用いた手
段は不明(ひょっとしたらマジックアイテム?)
4)ロングビルが賊に傷つけられるのを見たこの俺キッドが、とりあえず手近に転がっている石を
探し、何とか見つけて賊目掛けて投擲。見事に賊の体に命中し、ゴーレムは崩れる。
5)賊に負傷させられたロングビルを救出することを優先したため、その隙に賊は「フライ」の魔
法を使ったかマジックアイテムを使ったか、とにかく飛んで逃げられた。

というものだ。

184:ゼロの旋風 その3(8/9)
08/07/08 00:47:19 XiScc3fL
「そんなにうまくいくかしらねぇ~キッド、確かにあんたの武人としての戦術的才能は買いたいけ
ど…」

「きっとうまくいくと思うぜ相棒。だってよぉ、この事件の詳細を目撃できている奴は、少なくと
も『伝説の剣』であることを誇るこの俺様が感知している限りじゃ、ここに居る5人だけみたいだ。
当直の教師すら出て来やがらねぇ」

「だってさ、というわけで、朝一番に学院長にみんなで報告に行こう!誰がなんて言おうと、それ
で全てうまくいくさ、きっと…」


こうして、俺はこのハルケギニアの地で、新たな仲間を得て、新たなる『J9チーム』を結成した。
下のJ9の仲間のことを忘れてはいないが、かけがえのない、おそらくは生死すら共に出来るであ
ろうと見込める仲間と、新天地で出会えたと今は思いたい。


なお事件の後始末がどうなったかの後日談は。

結局、学院の方では俺たちが口裏合わせした内容が公式のものと認められることになった。もっと
も、ゴーレムが出てきたあの場に実際に居たのは結局俺たちだけだったのだから、そこでの出来事
の詳細が他の人間が目撃するところとはならなかったから無理からぬことでもある。たとえ目撃し
ていたにしろ、外に出ずに室内から窓を通して見ていただけでは、双月の下とはいえ人間の細かい
動きやその発言までは分かろうはずもない。
石を30メイル(メートル)近い高さにいた賊に当てたという話も、ギーシュ戦での俺の石投げの
腕前が、元いた国では俺が軍人として相当な地位にあったらしいという噂話と共に既に学院中の語
り草となっていたこともあって、比較的すんなりと受け入れられた。

賊は逃がしたものの、宝物庫は守ったということで、3人の女生徒は賞金や叙勲こそなかったもの
の、『生徒の鑑』とされ学院長名による表彰状を授与されることになった。3人とも、実際に賊を
退けたのはこの俺キッドで、自分達は何もなす術が無く立ち尽くしていただけだったから(事実そ
うなのだが)、と辞退しようとしたが学院長曰く、結果よりも何よりも学院の危機を見過ごさずに
現場へ赴いたその勇気と決断力と行動こそが重要なのだ、とのことで結局受けることになった。
俺から言わせれば、賊の侵入を許し、あまつさえ学院の中でゴーレムを暴れさせるという緊急事態
に当夜の宿直を含めた教員達が何らの対処も出来なかったという「大不祥事」から衆目をそらす為
に、危機を救った「英雄」が必要だったが故の表彰だろ、とツッコミを入れたくなるところだ。

ミス・ロングビルことフーケことマチルダは、生徒を救おうとして負傷したことになっていたため、
職員の誇りだとして学院長自ら賞金とやはり表彰状を授与しようと言ったが、『自分は学院職員と
して当然の責務を果たしただけであり、一切表彰などには及ばない。むしろ眼前で賊をみすみず逃
がしてしまった責任があるので、それらの栄誉を受ける資格はない』と主張して結局全ての表彰の
類を辞退し通した。その代わり、水系魔法での速やかな治療と午前中だけの半休を与えられた(も
っともそのせいで、午後に右手首も治癒して出勤してから処理しなければならなかった仕事の量が
いつもの倍以上だった、と後でぼやいてたっけ)。

宝物庫自体は、外壁に少々ひびが入ったものの内部構造や保管物には特に異常はなく、修繕の上あ
らためて強力な固定化魔法をかけられることになった。これが作業を担当するメイジの人選から、
固定化の手順からそれらの経費見積もりやら日程決めやらが、関係各方面とも綿密な折衝を要する
相当面倒な仕事であり、それを事務方としてほぼ一手に引き受ける羽目になったのが、そのひびを
入れた当人自身だったというのは大いなる皮肉だ。後に曰く

「後始末がこんなに面倒と知ってたら、ひび一つ入れるんじゃなかったよ。おかげであの壁の構造
やかけられた固定化魔法の種類と強度は全部分かったけど、あたし個人としては縁起でもないから
もう二度と手を出す気にはなれないね。あの壁にかけられていた最大の魔法は、『あたしへの呪い』
だったんじゃないのかい?」

と。もっとも、

「今に、俺たちHJ9の仲間とめぐり合えるきっかけになった『幸運の魔法』と思える日が来るさ」

と返したが。

185:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 00:48:08 E5i+xFSf
夜空に星が輝く影で支援

186:ゼロの旋風 その3(9/9)
08/07/08 00:51:42 XiScc3fL
なお、俺は一応ルイズの『使い魔』ということになっていたから、直接には一切の表彰の対象には
ならなかったが、そのかわり新たに

・学院保管の「魔法を要しない」武器を閲覧し、必要に応じて担当教員や場合によっては学院長の
許可を得て使用できる許可と、
・「トリステイン魔法学院特別警備員」として、他の学院常駐警備員(衛兵)のような交代で定期
的巡回や門番に当たる任は免除されながらも、彼らと同等の権限-即ち、不審者を見かけたら誰何
(すいか)し、必要に応じて警備員詰所へ連行して尋問する権限-

を与えられることになった。後日、正式に辞令と特別警備員であることを示す腕章を与えるので、
改めて学院長室へ来てくれとのこと。それらの手続きでまたマチルダの仕事が増えるなぁ…

だが、後日談で俺個人として最も重要と思えた事柄は、その特別警備員任命の時にあった。俺に辞
令と、明るい黄地に鮮やかな赤いハルケギニア文字で「トリステイン魔法学院特別警備員」と書か
れた腕章を授与した後、相変わらず秘書をしていたロングビルことマチルダを人払いした学院長は、
コルベールを横にしたまま、俺とその主ルイズに対して曰く、

「おぬしのその印(ルーン)と力、ありとあらゆる『武器』を使いこなす能力があるという伝説の
使い魔『ガンダールヴ』のものじゃよ。お主がグラモンの末っ子との戦いでも、今回の学院に進入
したゴーレム使いの賊との戦いでも、単なる石といえど、それを『武器』として利用しようといて
いたが故にガンダールヴの能力が発現したのではないか、とわしは思っておる。じゃが、おぬしも
その主であるミス・ヴァリエールもよく聞いて欲しい。王国政府の上層部には、昨今アルビオンで
同王室を脅かしているレコン・キスタ軍への警戒感から、王党派軍に加担しての同国内戦への介入
を主張する重臣も多いらしい。そんな時に、宮廷に『伝説のガンダールヴ発見』などという報告が
上がったらどうなる?対レコン・キスタ主戦派の好戦的な連中の駒として利用されるのがオチでは
ないかとわしは危惧する。極めて危機的な内外政治状況であるがゆえに、わしはそうした騒乱から
生徒達を守りたい。よって、このルーンの意味とガンダールヴの件はくれぐれも内密にせよ。これ
は君たちだけではなく、トリステイン王国の命運も左右しかねない重要事と心得て欲しい」

この時、俺は主ルイズやその仲間達と共に、今後この世界での大きな時代の渦に巻き込まれていく
予感をひしひしと感じた。この地で新たに結成した『HJ9』の前途にも多くの試練が立ちふさが
る気がする。

だからって、負けないぜ!俺はJ9そしてHJ9のブラスターキッドさまだ!どんな状況でも心の
中では絶望なんて言葉とは無縁のつもりさ。イェ~イ!


腕は試しと 抜き撃てば
月夜に浮かぶ 白美人
前世の因縁 割り切りて
新たに集う 始末人
ゼロの旋風 HJ9
お呼びとあらば 即参上!(ナレーション:柴田勝秀)

187:ゼロの旋風 その4(次回予告)
08/07/08 01:01:56 XiScc3fL
集いし精鋭 初仕事
色情貴族の 魔の手から
可憐なメイド 救えよと
そびえる土の 大巨人

ゼロの旋風 HJ9
お呼びとあらば 即参上!(ナレーション:柴田勝秀)

というわけで、遅ればせながら「ゼロの旋風」その3です。仕事が更に多忙に
なっておりますが、なんとか2週間以内には、「その4」をUPしたいと思い
ます(タイトルからご想像通り、「あの人」がメインのお話です)。

188:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 01:24:54 UWsKHi2n
乙でした!

189:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 02:19:27 IcYDRxze
乙です!

しかしナレーションが見事に脳内再生されますなぁw

190:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 02:31:04 Tmz69X2d
面白かったぜ、ゼロの旋風!
イェ~イ!w

191:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 09:58:44 0QYyQKyu
乙したー。
ここでフーケを抑えちゃう展開は珍しいな。

ただ、ルイズが聞き分けが良すぎると言うか……
貴族至上主義でプライドの塊なルイズの反応としてはちょいと違和感あるかも。
まあ作者的にはここからが書きたかったことだと思うんですけど、
(実際、ここまでが大分駆け足でしたし)
できればルイズの心情の変化を丁寧に書いておけば、
違和感もでなかったかなーと思います。まる。

192:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 10:13:24 +s8qoyXL
フーケ改めエンジェルおマチですね、わかります

193:鋼の人 ◆qtfp0iDgnk
08/07/08 10:57:30 lACz6fEt
聞き分けが良すぎるルイズなら負けないぜ(そこは負けておけ
と、いうわけで書けたよ。なーんだが、書くほどに小ネタが増えつつあるんだけど大丈夫だろうか。
11時から投下するよ

194:鋼の人 ◆qtfp0iDgnk
08/07/08 11:01:33 lACz6fEt
 トリステイン魔法学院は教師・生徒・奉公平民含めた全寮制である。
 無論、長期の休暇がもらえた場合は各々の故郷に帰る事ができる。生徒達は父母の待つ領地へ、教師は留守を任せた屋敷などへ。
とはいえ、どこにでも天涯孤独を称する人物はいる。魔法学院教師の一人、ジャン・ジャック・コルベールもその一人である。


自らの鎧を貸したギュスターヴは、数日後コルベールの下へ鎧の安否について聞く為、彼の部屋を訪ねようとしたのだが…。
「ミスタ・コルベールの部屋?」
 なんとなく日課になってしまった、広場の木陰の集まりの中で、貸し出してもらった本を読みながらギュスターヴは隣でコロコロと
午睡を取ろうとしていたルイズに聞くのだった。
尚、タバサは勿論として課題として出された構えの練習中。たまにキュルケがやってきて、厨房からもらってきたレモン水などを片手に
おしゃべりしていく。
 使い魔の質問にルイズは顔をしかめた。彼女は鎧をコルベールの部屋に持ち込む時についていったため、場所がわかるだろう、と
ギュスターヴは踏んでいた。
「そろそろ鎧を取りに行ってもいいかな、と思ってな。…まぁ、何も問題がなさそうならそのまま置いておくって言うのも悪くないのだけど」
「無防備だなぁ相棒は…」
 タバサのお目付け役を買って出たデルフがぼやく。ギュスターヴがルイズの使い魔である以上、たまに小間使いをこなす時がある。
剣の修行に付き添えない時などは、デルフと短剣だけをタバサに貸し、デルフに稽古の具合を見てもらっていたりするのだ。
「あの人の部屋…って言うか、部屋なんだけど、部屋じゃないような…あぁ、面倒ね!あの人が居るところに連れて行けばいいんでしょ!」
 傍から見てもルイズはコルベールの元に行くのが面倒くさそうだ。しかし特に用がなければ教師寮には入れないため、学院内を歩き回った
ギュスターヴでもコルベールの部屋はわからないのだ。
「すまないな、ルイズ」
「まったく…本当に世話の焼ける中年使い魔ね!やったら平民に好かれてるみたいだし?そこのタバサにも重宝がられてるみたいだし?
ご主人をほったらかしで良い身分ね!」
「拗ねるなよルイズ」
「すっ、拗ねてなんかないもん!」
 ぐちぐちと草をむしりながらやっかむルイズをギュスターヴは宥める。タバサはそんな光景をここ数日何度も見て、
これが彼らの日常なのだな、と思ったのだった。


タバサの相手をデルフに託し、そんなご主人に引き連れられてギュスターヴが向かったのは、教師向け寮のある塔ではなく、他の
学院施設から廊下が繋がっていない、単独で立っている小さな塔の前だった。
「ここよ」
「ここって…寮じゃないじゃないか」
「知らないわよ。この前鎧を持っていく時はここに持ち込んでいたのよ」
 閉じられた両開きの扉に貼り付けられた真鍮の巨大なノッカーを叩く。すると扉は内側の人間の手で外側に向かってゆっくりと開かれた。
開いたのは何を隠そう、この『塔』の主人コルベールその人だった。
「おや、誰かと思えばミス・ヴァリエール、ミスタ・ギュス。いかがなされましたかな?」
 コルベールはどうやら何かの実験中だったのだろう。くすんだしみやら何やらがついた実験着らしき麻布の服を着けている。
「いや。鎧の方はどうなったかな、と思いまして」
「おお!そうですか。実はその事で二、三お聞きしたい事があったのです」
 その言葉にギュスターヴの表情がわずかに崩れる。脇のルイズはハッと明らかに顔に出て驚いているが、研究に心傾いているコルベールは
それが見えなかった。
「ささ、立ち話も妙です。中へどうぞ」
 



195:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 11:03:31 b/LV3KKl
ひさびさの支援


196:鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk
08/07/08 11:04:50 lACz6fEt
 そこは他の教師達から「コルベール『専用』研究塔」と呼ばれている。
 もっとも、これは賞賛や嫉妬からではない。意味するのは皮肉が大多数である。
 そもそも、コルベールは元は他の教師達と同じく、学院内にある教師達向けの寮で生活していたが、彼が余りに自室で研究に没頭する為、
隣室や他の階の教師達からオスマンに向けられて苦情が殺到してしまった。
 曰く『薬品の匂いが絶えず』、『時より異臭とともに黒煙が窓から上がり』、『扉から踊るゴミ箱や箒が飛び出してくる』などなど。
最後の方は殆ど事実無根の中傷レベルだが、とにかく苦情や抗議がコルベールとオスマンの元に届いた。
コルベールへは再三の注意がされたのだが、一向に抗議は減らず、コルベールも、自らの研究に費やせるスペースを欲した。
数度の協議の結果、コルベールが費用の半分を出す条件に、学院内にある塔の一つを大幅に改築し、自らだけが使える専用の研究施設を
敷地内に作ることになった。
 本来、緊急時などの為の食料他保存物資を貯蔵する為の3階建ての塔を、たった一人のための施設に作り変えたのである。
その代わり、貯蓄物を保管する為の地下室が新たに学院内に作られた。これもコルベールが費用を折半した。
尚、これらのためコルベールは相続していた貴族としての領地や権利の多くを手放して財貨を用意した。彼が今現在持っているのは、
実に僅かな領地と、そこにある林野伐採権、並びにそこから上がる収益ぐらいで、あとは学院が支給する教師としての給料が
彼の生活を支えている。

ギュスターヴが研究塔に入って一番に感じ取ったのは、埃や脂が交じり合って出来たような異臭である。
「やや、お二人とも。むくつけき我が城へようこそ。少々散らかっておりますが、どうか気になさらずにくつろいでくれますかな」
 塔は三階建てで本来作られたものだったが、改築の際に天井の一部が抜かれ、1階から3階の天井が見えるほどの吹き抜けになっていた。
階段が壁を添うように走り、階段のない壁面はほぼすべて何らかの書籍か器具が占有していた。それでも物は溢れ、数脚のテーブルや机の上に
は紙や本、なんだかわからない物体が積まれている。
ギュスターヴは呆然として塔の内部を見渡す。吹き抜けの天井には、人一人は入れそうな球体が吊り下げられている。
あれは一体なんだろうか……。
 ルイズはルイズで、ポケットから出したシルクのハンケチーフで鼻を覆っている。清浄な暮らしに慣れた少女にはこの環境は苦しい。
「見てのとおり、生徒指導以外は研究に費やす日々でしてな。お陰で40余りの年月を生きてますが、嫁のなり手もおりません」
 呵呵と笑うコルベール。
「さて…鎧の件でしたな。あれは実に面白い。見てくれますかな」
 そういうと部屋の脇に置かれた車のついた台を押して二人の元へ運んでくる。それはくみ上げられて元の形にされたギュスターヴの鎧だった。
コルベールは鎧から板を一枚外し、机の上にある器具の一つに挟み込んだ。
「ミス・ヴァリエール。この穴から鎧の板を覗いて御覧なさい」
「ふぁい……」
 鼻を押さえたままのルイズが器具に開けられた穴から覗く。歩くたびに埃が目を刺激して涙が出そうだ。
「何が見えるかね?」
「縞模様が見えまふ…」
「ふむ。では、これではどうかね」
 次にコルベールは引き出しから鉄板を取り出して器具に挟んだ。
「特に何もみえまふぇん」
「ふむ。上出来ですぞ」
「コルベール先生。縞模様が一体何か…?」
「ふむ。お教えしましょう。貴方の鎧をこの器具で拡大して観察すると、独特の縞模様が何本も入っている。次にミス・ヴァリエールに
見ていただいたのは、ゲルマニアで作られている鎧用の板金です。ゲルマニアはハルケギニアで最も鉄鉱業が盛んな国。
そこの板金ともこの鎧の素材は違うのです」
 さらに、とコルベールは続ける。

197:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/08 11:05:40 6KTCGzog
sien

198:鋼の使い魔 ◆qtfp0iDgnk
08/07/08 11:05:52 lACz6fEt
「失礼ながら強度実験もさせていただきました。単純な衝撃の耐久度で、ゲルマニア鋼が割れた力が1とすれば、貴方の鎧の鋼材は
その3倍以上の耐久性を持っている。これは研究者として脅威を感じますぞ」
「ぐすっ…鉄なんてどれでも同じじゃないんですか」
 鼻声になりながらルイズが聞く。
「それは大きな間違いですぞ。ただの鉄なら曲げや焼きで強度を多少変えることが出来ますが、鋼となるとそうはいきませんぞ。
ただの板金なら知らず、着込む為に形を変える鎧ならなおさらですな」
「そう…ですか」
 コルベールの熱い説明がルイズをむしろ冷やすようで、たじろいたルイズがよろけて転ぶ。
「あうっ!…ほ、埃が!…くしっ!くしっ!」
 転んだ拍子に舞い上がる埃でくしゃみの止まらないルイズ。その様が可笑しくてたまらないとギュスターヴは笑った。
「ハハハハ、何やってるんだよ。…さて、コルベール先生がお聞きしたい事は結局なんでしょう?」
「はい。ずばりこの鎧の鋼材の原産、あと製法をお知らせ願えますかな」
 コルベールの目は真摯だ。本当に研究意欲の結果として話を聞きたいのだろう。果たしてギュスターヴは知られずに悩む。
(うーん…製法は、まぁ、いいとして。鋼材の出所…か…)
 まさか異世界サンダイルはワイド候領製です、なんて真正面から言っても聞きはしないだろう。
「鋼材の製法は、多少はお教えできます。その鎧は俺が自分のために作ったものですから」
「なんと!それは本当ですか?!」
「ええ。その代わり、原産や由来については、お教えできません。それでもよろしいですか」
「ええ!ええ!いいですとも!」
 鋼材の作り方と加工の簡単な仕方を提供する代わり、原産については伏せる。簡単な交換条件だが、情報の優先度からみれば
妥当だと言える。
そんな具合にコルベールがギュスターヴの話に夢中になっているのを見て、ルイズはタバサに感じたような、疎外感を受けた。
(コルベール先生も、ギュスターヴの話に耳を向けるのね…皆、ギュスターヴばかり見て…!嫌ね、私。使い魔に嫉妬してる)
 身体にまとわりついた埃を払いながら、あてどなく部屋を物色し始めたルイズ。しかし思考は目に映るものを捉えていない。
(私も何か出来るようになりたい…魔法じゃなくてもいい。人として人の役に立ちたいわ。今のままじゃ、どう転んでもゼロのルイズだもの…)
 ぼんやりと部屋壁に沿って並ぶ棚のものを眺めていたルイズは、一つの奇妙な櫃(はこ)を発見した。
「これは…?」
 それは、縦横が20サント、高さが80サント程の細長い櫃。それは棚に収まらず、棚と棚の隙間に押し込むように置かれていた。
そっと指で櫃を撫でてみる。指先に積もった埃が残るが、指痕の下は光沢のある黒だった。
櫃は手をかける所がまるでない。装飾らしきものはあるが、鍵穴も取っ手もない。一体これはなんなのだろうと、よく見るべく両手を
伸ばしたその時。
「それに触れてはなりませんぞ。ミス・ヴァリエール」
 背筋に氷が突き刺さったような感覚が走る。数拍して、それが後ろに立っていたコルベールの声だと気付いた。
「え…あ…その…」
 ルイズの反応に気付いたコルベールは、顔に困ったような表情を浮かべた。
「いやぁ、その。その中にはかなり私物が入っていましてな。流石に…それを見られるのは困りますぞ」
「えっ?!その、失礼しましたっ!」
 ルイズもなんだか判らない。声をかけた瞬間のコルベールは、まるで冷たい鱗が首をなぞるような雰囲気を纏っていたが、次には
いつもの穏やかな顔に戻っていたのだ。
 話の途中ですっ飛んでいったコルベールをギュスターヴが呼び戻す。
「先生、話の途中ですよ」
「あー!いや、すみません」
 そそくさと戻っていくコルベールの背中を見送るルイズは、びっくりしたまま混乱する頭を抱えた。
「な、なんだったのかしら…」
 
 
 
 『シエスタは何処へ?』






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