08/03/21 23:03:52 qLPMGhvQ
支援させてくれい!
WELCOME!
651:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:05:52 NKZkwGDy
>>567
もしミーを召喚したのがギーシュだったら……
召喚当日
ギーシュ「いくら平民とはいえ女の子を床に寝させるわけにはいかないか。
仕方ないから今日はこのベッドに寝たまえ。
僕はソファで寝よう。」
ミー 「……ありがとう、ギーシュお兄ちゃん。」
ギーシュ「か、可愛い……
馬鹿な!? 僕にはそんな趣味など無いはずだ!!」
数日後
ギーシュ「ああ、なんて可愛いらしいんだ、僕のミー!!」
モンモン・ケティ「「このペド野郎が!!」」
そしてギーシュの二つ名は『青銅』から『ロリ』になり、女性達や友人からも見放されました。
しかし二人は仲の良い兄と妹のように仲睦まじく幸せだったそうです。
という展開には無理があるかw
652:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:07:00 elqO5GOZ
妹萌えという概念をハルケギニアに広めた先駆者として歴史に名が残るかもよ>「ロリ」のギーシュ
653:虚無と最後の希望
08/03/21 23:07:17 ZYuj8h+8
level-11 「想い」
『女神の杵』、ラ・ロシェールで一等と言う宿
一歩足を踏み入れると広がるのは中々豪華な酒場
流石に貴族を客に取るだけあって豪華なことこの上ない
勿論、そこが貴族たちに気に入られたのだろうが
また、気に入られた理由は他にもある
女神の杵宿はハルケギニアでもかなり珍しいらしい巨大な一枚岩の中にあり、床やテーブルは勿論、削り出された岩で出来ている
鏡の如く光を反射するように磨かれたテーブルはチーフたちの姿を映していた
反射した光を視界に捉えながら入り口、窓、二階への階段、カウンターの隣にある裏口への扉に視線をやる
理由は勿論、敵の襲撃に際してどう行動するかの判断材料にするため
「へぇ、中々良い作りじゃない」
宿内を見渡すチーフをよそに、キュルケはハルケギニアでも結構珍しい岩作りの宿を見て感嘆の声を漏らす
それを発端に3人は内装の話をし始める
「装飾が疎ら」「統一感が無い」「二流品だね」などと酷評、先ほどまでの評価とは裏返っていた
子供と言えど貴族と言うものは対面を気にするので仕方が無いのかもしれない
そこへ、乗船の交渉へ行っていたワルドとルイズが現れる
「あら、どこへ行ってたの?」
ワルドは羽帽子を近くのテーブルに置きながら、椅子に座る
その表情から見るに、結果はあまり芳しくなかったようだ
「乗る船を捜してたんだが、どうやら出発は明後日にならないと駄目な様だ」
「急ぎの任務なのに……」
口と尖らせるルイズを見て、キュルケは疑問を口にする
「あたしアルビオンに行ったこと無いんだけど、どうしてすぐに出せないの?」
「明日の夜は『スヴェルの月夜』さ、その翌日の朝にアルビオンが最もラ・ロシェールに近づくんだ」
「へぇ~、その時が一番効率がいいから明後日と言うわけね」
「そう言う事だね」
言いながらワルドは懐から鍵束を取り出し、テーブルの上に置く
654:虚無と最後の希望
08/03/21 23:08:38 ZYuj8h+8
「部屋を取っておいたが、一部屋に3人は厳しいかな?」
キュルケ・タバサ・モンモランシーを見てワルドが聞いてくる
3人は、正確には2人だが問題ないと言った
「それじゃあ、ギーシュとチーフが相部屋」
「そして、僕とルイズが同室だ」
「え、ちょ、ちょっと待って!」
予想もしていなかったと声を上げるのはルイズ
『使い魔は常に主人と共に在るべき』と常々思っている
同じ考えを持つメイジはたくさん居る、それを裏付けるようにメイジは召喚した使い魔を常に傍に置いている者が多い
「だ、だめよ! 私達結婚してないじゃない! それに……」
チーフを横目で見つめる、それに答えるようにチーフは口を開く
「ルイズとは同室が好ましい」
護衛の関係上、安全ではない場所で離れるのは出来るだけ避けたい
守るにしても逃げるにしても、すぐに近くに居なければ意味がない
駆けつけている間に死を招くこともあるが故にこれだけは譲れなかった
「ワルド、大事な話ってなに?」
先ほどの部屋割りの提案、チーフと同室がいいと言ったルイズは
『とても真剣な話があるんだ、二人っきりで話したい』
と真剣な表情で言われ、渋々その提案を呑みワルドと同室に相成った
この決定にチーフは何も言わなかった、不服そうな感じだったけど
ギーシュと同室になっていたが、その部屋で寝ることは無いと思う
私とワルドの部屋の前で一晩中立ち続けるだろうから、後で一言言っておかなくちゃ
「ねぇ、ワルドったら」
女神の杵で一番上等な部屋、室内は一般の宿と比べかなり広く複数人入っても広々していると感じられる
部屋に置かれた調度品も質の高い物ばかり、その中で一際目を引くのは天蓋付きのベッド
見るからに豪華なレースの飾りが付いたベッドに座るルイズは問いかけた
それを聞いていたワルドはワインのコルクを開け、一つの椅子を引いた
「こっちに腰掛けて、一杯やらないかい?」
655:虚無と最後の希望
08/03/21 23:09:15 ZYuj8h+8
屈託の無い笑みを浮かべたワルドは二つのグラスを並べてワインを注いだ
返事で答えず、ルイズは椅子に腰掛ける
先ほどと同じような笑みを浮かべてワインを手渡すワルド、それを受け取るルイズ
「二人に」
その言葉に戸惑いながらもグラスを軽くあわせた
「ルイズ、姫殿下から預かった手紙はきちんと持っているかい?」
手紙が入っているポケットを押さえて頷く
思い出せば手紙を書き綴っているアンリエッタの表情は憂いを帯びた悲しそうな
それでいて、少しだけ熱を持った瞳で書き認めていた
あの表情は王女としてではなく、恋する─
「─イズ、ルイズ?」
「あ、ええ。 ちゃんと持ってるわ」
「心配なのかい? 無事アルビオンのウェールズ皇太子に会えるかどうか、手紙を取り返せるのか」
身の安全が心配かと言われれば、別にそうでもない
いまや疑うことの出来ないチーフの力を信じている、ただ守られているだけなのは我慢できないけど
ワルドだって居るし、失敗なんて事態を想像することが出来ない
「………」
「大丈夫さ、きっと上手く行くよ。 僕が居るし、君の使い魔だって居る」
「それに他の4人もそこそこ出来るんだろう? 並みのメイジが来たってすぐに撃退出来るさ」
ワルドは自信満々で『何も危険なことは無い』と言い放った
「……そうね、皆居るしきっと大丈夫よね」
「ああ、ルイズを必ずウェールス皇太子のもとに送り届けよう」
「貴方は昔から頼もしかったもの、全員無事に戻ってこれるわよね」
ワルドはにっこりと笑う、ルイズも釣られて笑った
「ワルド、これが話したいことじゃないわよね?」
「ああ、これからが君と二人で話したかったことだ……」
ワルドは一呼吸、ルイズを見つめる瞳に炎が宿る
656:虚無と最後の希望
08/03/21 23:10:20 ZYuj8h+8
「ルイズ、この任務が終わったら僕と結婚しよう」
「ワ、ワルド、本気だったの?」
「勿論さ、ラ・ロシェールへの道中で言っただろう?」
「で、でも。 わたしまだ……」
「ルイズ、君はもう子供じゃない。 自分の意思を持って自分の事を決めれる歳だろう? きっとお父上だって認めてくださる」
「ワルド……」
「僕は君を何年もほったらかしにしてきた、これはどう考えても僕が悪い、謝るよ」
「婚約者と言えた義理じゃない事も分かってる、でも僕には君が必要なんだ、ルイズ」
「待ってワルド……私はまだ、ちゃんとしたメイジじゃないの。 いつも失敗ばかりして、まともな魔法は一度しか使えていないの」
「私ね、立派なメイジになりたいの。 いつか皆に認めてもらいたいの、ただ口先だけじゃないメイジになりたいの」
「私は貴方のような立派なメイジに相応しくないと思うの、だから……」
「……違う、違うんだルイズ」
「え?」
「君はもう立派なメイジだ、それも並の奴らとは違うんだよ」
「まさか、そんなわけ……」
「君は他人にはない特別な力を持っているんだ、今はまだその使い方が分からないだけなんだよ」
「買いかぶりすぎよ、私にそんな力……」
「いや、君は特別なんだ。 その証拠が君の使い魔だ」
「チーフのこと?」
浮かんだのは常に身を持って守ってくれる使い魔
その巨躯で自分を包み込んでくれる、頼もしいチーフ
「そうだ、彼が武器を握った時に浮き上がった左手にルーンはね、とても特別な物なんだよ」
「特別……?」
「ああそうだ、あれは伝説の使い魔のルーンなんだよ」
「伝説の使い魔?」
「そう、あれは『ガンダールヴ』、始祖ブリミルが用いたと言われる伝説の使い魔の印さ」
語るワルドの瞳には力強い光を放っている
始祖ブリミルといえば、誰もが知る偉大なメイジ
従えていた使い魔はいずれも強大な力を持っていたと言われている
「そんな、信じられないわ」
「確かに、信じられないかもしれないが、彼が伝説の使い魔であり、君の使い魔と言う現実なんだよ」
「さっき君が言っていたように、今は立派なメイジではないかもしれない、だがいずれは歴史に名を残すような偉大なメイジになるに違いない」
「きっと、誰もが君の名を偉大な、素晴らしいメイジとして知る日が来る、僕はそう予感している」
「……ごめんなさい、ワルド。 私、なんて答えればいいのか分からない」
「……わかった、今返事をくれとは言わないよ」
ワルドは背もたれに背を預け、ワインを呷る
「任務中にこんな話をしてすまない、でも僕は本気なんだ。 それだけは覚えておいてくれ」
ルイズはそれを聞いて頷く、その真剣な瞳を前に頷く事しか出来なかった
657:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:10:25 xw90Zu5d
支援
658:虚無と最後の希望
08/03/21 23:11:48 ZYuj8h+8
以上で投下終了です、かなり短かった・・・次は長くなる予定(次投稿間隔ではなく内容的な意味で)
659:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:21:14 qw+GQt9H
乙~
660:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:27:28 V22cLw9b
乙。
俺YOEEEといえばDTBの銀とか召喚したらどうなんだべ?
俺YOEEEってレベルじゃねーかな、潜伏か調査くらいしかできねぇwしかも水場のみ
661:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:28:26 PXJap0zY
バイオライダー呼ぼうぜ
662:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:30:17 u0dWv00j
もうあいつ一人でいいんじゃないかな
663:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:31:10 dkZxN43U
チーフの人乙です。
そういやあぶデカからタカ&ユージはまだ召喚されてないな。
ギーシュは間違いなくトオルポジションになるだろうけどw
664:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:36:36 evYAvEo4
>>614
あるよ。最近は。
幼馴染から電話がきたと思ったら、
見知らぬオジさんに調教されてる真っ最中、
しかも幼馴染がことこまかに実況してくれるときた。
665:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:39:07 vlpjSSJV
>>664
(*´Д`)'`ァ'`ァ'`ァ'`ァハァハァ八ァ八ァノヽァノヽァノヽァノ \ァ/ \ァ/ \ァ
買ってくるのでタイトルを教(ry
>>665エロゲ厨自重
666:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:39:10 l16voRsK
>>644
まてまて
リハクの目は節穴じゃねぇかwww
667:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:40:14 E70J3f2R
「帰るぞ>>549。ハン板…徹板のもとに」
スレ住人全員が荒山ファンである
なまあたたかく心地よい世界であるところの徹板でもない限り、
荒山ネタ(朝鮮・柳生・妖術・特撮・男色の混在)は刺激が強すぎる。
自重すれ。
668:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:40:36 +F2rtqNP
某○級生の続編では幼馴染がすでにやっちまってたことが発覚してDVD叩き割るやつまで出る始末
669:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:48:15 LQ3fhj4N
支援
670:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:49:05 MtNZ8I85
お・り・が・みのキャラを召還するルイズとか見てみたいなぁ。
魔王鈴蘭召還とかみーこ様召還とかドクター召還とか沙穂召還とか…
本当に文才が欲しい。何度自分で書こうと思って挫折したことか
671:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:50:56 jY866WxY
>>664
NTRマジ苦手だから、そんな状況聞くだけで鬱になるわ……。
672:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 23:55:33 PXJap0zY
ところでヤンって陸戦の指揮って執れるの?
673:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:02:27 QCFVisIC
流れ星銀牙の犬っ子を呼んで
ヴィンダールヴ
674:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:05:07 8fdWjPj7
>>672
古代中国の戦史まで知ってるような人ですからね。
ちょっと経験を積めば間違いなくできるようになるだろうし、経験を積まなくても、
作戦の立案は間違いなくできるだろうな。
675:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:06:46 qVR9XKjj
>>673
犬召喚出来たらルイズ満足しそう
676:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:07:32 WgIgoON4
さげろ!
677:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:08:42 dvZHmtbI
>>672
とれるんじゃね
銀英伝世界の戦闘は規模が違うだけで、古代中国とかと同じ感覚でやれるもんらしいし
普通なら魔法戦の知識がなくて一回くらいボロ負けすることもあるだろうが
ヤンは主役補正が凄いからな、無様な戦いにはならんだろう
678:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:09:27 A2hzpMyr
>>670
ルイズがE0召喚して学院が関東機関化するとか
聖地にアウター勢揃いor神器(使ったら死ぬ)沢山とか
リップルラップル召喚で契約時に制御に失敗してドラゴン大暴れとか
ウィル子召喚双方涙目とか
ルイーゼ社長召喚ルイズ大歓喜とか
679:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:09:41 qVR9XKjj
すまぬ
680:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:13:32 yWua7hph
>>677
逆に、魔法戦の常識に囚われてる連中の盲点突いたりして
原作からしてヤンはそういう戦い方が十八番だし
681:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:15:14 vsB4Fxo4
>>673
言う事聞かなくても犬呼ばわりも出来んなw
「そのとおりですが何か?」な状態だから
682:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:15:38 x8S/lQjU
>>672
どのランクかが問題だと思う。
最前線は無理だろうねぇ。
683:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:16:48 DUMxg7dT
命令の伝達に苦労しそうだな。
684:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:19:02 YgJfAdvu
>>673
ガリア王が赤カブトを召喚。
使い魔特典で知力が大幅にうpです、はい。
ジョセフ「どないせーちゅうねん……」
685:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:22:28 Jr106old
7万人にはハルケギニア中の犬で軍団作って立ち向かうのかw
686:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:23:04 igyqvRQk
>>683
鏡を使ったモールスが一番手軽かな?
ゴーレムをどれくらい遠距離で使えるか知らんが、小さいゴーレムを連絡用に使うとか――
手のひら大のゴーレムが命令を紙に書きます。
命令を受け取ったら、次の紙をセットしてください。
687:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:24:54 qVR9XKjj
>>683
オスマンが使ってた鏡の魔法と飛ぶ使い魔で代用
てか作戦とかの伝達って逐次なんですかね?
688:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:25:01 zoNEemoB
腕木通信という手もあるぞ
設置が大変そうだけど
689:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:26:01 7dd4VAqi
>>チキの人 亀だが投下乙。
誰も突っ込まないから言っておきますね。
第六話でボルガノンがボルカノンになってます
速さ20の司祭に持たせると敵司祭でもウォーム持ちとかなら倒せるからいいですよね。
690:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:31:30 7/xziTVK
LFOを読んでると世界名作劇場を思い出す
691:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:34:46 oSdhwjgD
ふと思ったんだがメイドガイってルイズが召還するのにぴったりな存在ではなかろうか?
お仕置き的に
692:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:35:14 d0cheyA0
>>678
トビノフスキー召還dead endとか
ドクター召還でギーシュにモテモテ回路を内蔵とか
ほむら召還でルイズ歓喜するも従ってくれなくて涙目とか
マリーチ召還で新宗教立ち上げとか
夢はふくらむけど肝心の文章が…
693:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:37:06 x8S/lQjU
>>691
既に呼ばれているぞ。
694:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:41:11 igyqvRQk
>>687
随時連絡が取れればかなり柔軟な戦闘ができるであろうが、
ゼロ魔の世界はあまり攻撃の射程も部隊の機動性もないから、
そこまで気にしなくてもいいとは思う。
極端な話、個人でも部隊でも、そのユニットが壊滅する前に、
隣のユニットの救援を受けられる程度の通信速度があれば問題ないわけで。
そもそも、戦場全体を見て命令を下すような人が、大雑把な命令さえしておけば、
あとは現場の判断で何とかしてくれるし、その程度は臨機応変に動けるように、
下士官とかそういう人がいるわけですよ。
軍がピラミッド状の組織体制になっているのは理由があるのだよ。
まぁ、ヤンが工夫して、高速機動部隊や大火力の砲戦部隊などを作った場合は、
それに応じて命令伝達の方法を見直す必要があると思うが。
695:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:47:21 oqar/bmG
つまり、プチネウスみたいなゴーレムがたくさん
命令書持って走り回ってるんですね。わかります。
696:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:48:03 Hsya5/Ym
てかヤンって現状レコン・キスタ側の立場の人間と誤解されてなかったっけ。
697:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:54:53 4Xgndmrv
>>671
なんという俺
698:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 00:57:08 rNBPHt0I
流れ星時代なのかWEED世代なのかそれが問題だ
>>696
ゼロ魔世界の常識以上の科学力を有する国家の将って認識じゃないの?
699:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:08:34 MsB6GD4h
ところで帝国側から呼ばれたら誰が当たり障り無いか?
一番衝突少なそうなのはキルヒアイスだと思うが。
700:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:10:43 bFpxFLTT
敗戦直後のファーレンハイトとか。
…いや、貧乏貴族の出だし、とことんルイズにむかつくかもしれん。
701:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:16:37 PwP7objP
原作の展開でキルヒアイスの死体が消えたら、話変わりそうだしなあ。
むしろ、衝突があった方が面白そうだから、
ロイエンタールかオーベルシュタインの方がいいのかも。
援軍方面ならシェーンコップとか。それこそ完品のバトルアックス持ちで。
702:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:22:33 bkEUt2mZ
>>474
一応ギーシュとマリコルヌ(+ルイズの使い魔)が決闘して「結果的に」ギーシュが勝ったのもあるよ
さらに決闘無し(でも使い魔に一撃喰らった)な奴もあるし
703:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:25:53 BjkSyEfQ
>>670
マスラヲが終わって情報出尽くしたらヒデオ&ウィル子召喚を書いてみたいな。
ウィル子の能力なら武器弾薬燃料なんでも生成できるし。
ヒデオの知名度は銀河を超えてるから、ちょっと通信機を作成して送信すれば
ハルゲキニア発展途上文明を監視してるであろうグレイともコンタクトできそうだ。
704:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:25:58 rNBPHt0I
疾風ウォルフも相性よさそうではあるが
フォン・メルカッツもよさそう
705:戦場での指揮伝達方法
08/03/22 01:27:27 1DFaxRuG
古代においても、「視覚」という光学知覚(約30万km/s)による意思伝達方法なら、
かがり火・煙(ほぼ日中限定だが)・凧(風があり視界がある時限定だが)・火矢と
数多くあったことが、各国の文献資料で明らかになっている。
音声(約340m/s)なら、それこそ銅鑼・太鼓・鐘・法螺貝といろいろ使われた。また
いわゆる「軍楽隊」の任務として、単なる士気鼓舞・戦意高揚のみならず、音楽による
指揮内容の伝達というものがあった(オスマントルコの場合)ことを忘れてはならない。
706:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:33:12 gYivAKxj
>>702
なんか久々にとあるコールをしたくなるような事を言うな
スレチだが
707:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:37:39 qVR9XKjj
素朴な疑問なんだがゼロ魔の世界に戦術 戦略 云々の概念あるのかな?物量任せの人海戦術が主流みたいだしルイズパパの考え方もそれだし
708:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:43:39 d0cheyA0
>>703
やべぇ、その日を楽しみに待ってるよ。
マジで楽しみにしてるから頼んだ。
709:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:45:57 BOFHLgyK
>>707
「戦国時代に戦術 戦略 云々の概念あるのかな?」と言うのとほぼ同義だぞ、それ
710:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:46:21 pB41Xidr
>>698
流れ星世代がいいなあ…
顧厨乙って言われそうだけど、あのころの方が渋くてかっこいい漢が多かった。
草世代ならジェロムがいいな。
711:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:49:40 yWua7hph
>>707
ノボルが以下略
712:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:51:39 gYivAKxj
>>707
まぁ日本でも戦国時代ぐらいまでは結局戦いになったら物量が物を言うって所が合ったからな
それまでの駆け引きはあれどもな
人海戦術をひっくり返せるだけの大きな何かがないと中々その辺の思想は変わらない
713:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:53:06 FWTiPPMH
カポニエールに落として機銃掃射で無問題
714:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 01:58:30 jr4enrn+
>>707
物量任せの人海戦術がメインって事はまともな戦略が存在するって事だよ。
多少の技術力の差、兵士の練度、攻めと守りの優位性。
それら全部が圧倒的物量があれば覆せるものだからなぁ。
715:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:03:33 dvZHmtbI
300人の相手に7万で攻めてくる世界だしな
716:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:04:09 qVR9XKjj
>>709
詳しく知りませが三國志の時代も戦国時代も現代と然程変わらないと聞いた事あるのですが・・・・・・・・・
>>711
納得。まぁミリタリーな話は本筋ではないですもんね
717:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:13:12 0tmXXsbZ
遅いレスだけど、ヤンは陸戦の指揮はとれると思う…というか、これいうたらアレだけど、銀英伝の戦術とか戦略は宇宙空間なのに二次元平面のものなので、な…。
宇宙と地上は違うとかいうことは考えなくてもいいと思う…よ。
718:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:13:15 F82MB6Xe
>>715
それでもレオニダスなら…… レオニダスならやってくれるっ!
URLリンク(ja.wikipedia.org)(%E6%98%A0%E7%94%BB)
719:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:14:41 1DFaxRuG
>>707
まぁ、数量差があっても、相手側に付け入る隙がなけりゃ逆転は極めて困難ってとこだな。
一例として、桶狭間の合戦なんて、2万の大軍にわずか3・4千の織田軍が勝てたとかいう
のも、
1.今川方が、数の優位に奢り、油断しきっていたため。
2.主戦力を、織田側の随所の砦攻めに回していたため、義元の本隊自体は手薄だったため。
3.そして何より、(以下、織田側/今川川で記述)
(1)土地勘があった/なかったか、あっても希薄だった
(2)切迫感(負ければ後がない)濃い/比較的薄い(比較したら大国ゆえに)
という要素があればこそ、武器性能や兵員の技量にさほど差があるは考えられない戦闘で
少ない側が多い側に勝てたといえる(これ以上の議論は板違いと思えるのでやめときます)。
720:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:14:42 FWTiPPMH
>>718
スパルタじゃあ仕方が無いな
いや、史実でも無双だからなぁ…
おそろしか
721:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:16:39 dvZHmtbI
まあ、大航海時代のヨーロッパなんかは鬼のように強くて
100倍の敵にも余裕で勝ってたなんて話も聞くがな
それを考えると魔法によって戦力の質が大きく変わる世界では
一般的な軍事常識が通用しない部分もあるかもな
722:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:17:52 pB41Xidr
歴史上最大のあれって言ったら赤壁だよな。
百万が五万(だったっけ?)に敗れるカタルシス。
723:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:20:33 0tmXXsbZ
中国では史実はてきとーにしてるみたいだから、あんまりそこら気にしても…。
というか赤壁の戦いが何処で行われたのか解らないと某小説で書いてあって、なんか逆に納得した俺。
724:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:26:16 L57gdlFN
とりあえずLFOの屑作者は氏んだほうがいいと思った
回線切ってチラシの裏でやれ
725:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:28:34 zmtfezSU
実際は、火計での被害よりも慣れない南の気候で疫病が蔓延して撤退したんだっけ?
そそ様も内政基盤をきっちりしようと再度攻めようとしなかったっていうのもあったみたい。
赤壁でめぼしい武将が討ち取られていないことからもわかる。
726:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:31:46 pB41Xidr
数にしても百万は眉唾でせいぜい半分程度だろって説もあると聞いた気がする。
ロマンがあるから百万だったと信じてはいるが。
727:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:31:47 MkhflLYA
ここがチラシの裏じゃないのか
728:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:32:28 +PPcUa4R
こーきん「今私を笑った奴ぁ誰だ!」
729:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:33:47 igyqvRQk
というか、現代でも戦闘は数だぞ。
戦術や戦略というものは、敵をかく乱して各個撃破するためのものなんだから。
要するに、100の軍隊を10の軍隊10個に分断して、50の軍隊で順番に撃破するためのもの。
敵よりたくさんの兵をそろえたのなら、力押しでせん滅するのが正しい。
戦術とか戦略というとかっこいいけど、しょせんは小細工でしかない。
力押しの正攻法こそが、小細工にとっては天敵なんだからな。
730:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:37:37 FWTiPPMH
数も大事だけど、物資も大事だしなあ
腹が減っては戦も昼寝も出来ん
封鎖作戦をすべきだってルイズのとっつあんも言ってたし
731:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:44:15 TeNqq3Sx
兵法の賢しきこと、
ただ進み押し潰し殺すべき也ってことか
732:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:44:52 dvZHmtbI
>>729
魔法の壁とか、産業革命の壁とかがあると小細工とか言ってられんよ
733:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:47:22 fOo2BnAZ
>>726
スルーの魔法が使えないおちこぼれリアルメイジの歴史がまたひとつ…
自分はこういうルイズも面白くてアリだと思うけどな、なんつっても二次創作なんだす
734:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:54:33 pB41Xidr
確かに数が多すぎると補給面で頭痛の種ができるな。
>>733
安価ミス?
735:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 02:59:00 fOo2BnAZ
>>734
安価ミスだw本当は>>724に向けてのレスだったんだ、教えてくれてありがとうw
736:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:02:58 igyqvRQk
>>732
まぁ、冷戦初期の戦闘機と冷戦末期の戦闘機のキルレキシオは1:1000だと聞いたことがあるが――
それだって、敵の1000ばいの数をぶつければ勝てるわけで。
弓矢と槍しか持たない原住民の部隊が、機銃を持つ宗主国の部隊を押し切った例だってないわけじゃない。
結局、100発100中の砲が一門あるより、100発1中の砲が100門あった方が絶対に使いやすいわけで。
737:ゼロのエルクゥ 0/6 ◆yxbMPy6fic
08/03/22 03:04:30 8ILSl5U3
キリのいいところまで書くとまたさるさんに引っかかりそうなので、半分ほどで投下したいと思います。
5分後に始めますー。
738:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:06:12 igyqvRQk
しえーん。
739:ゼロのエルクゥ 1/6 ◆yxbMPy6fic
08/03/22 03:08:05 8ILSl5U3
「はは。見たか? 驚いて目を剥いてたぞ」
「ぜーっ、ぜーっ、ぜーっ……うう、そんなの、見てる余裕なんかあるわけないじゃない……はぁ、はぁ、はぁっ……」
目的地らしき石の壁に囲まれた建物に到着したのでルイズを下ろすと、ルイズはそのまま地面にへたりこんでしまった。
荒い息をつきながら反論する口も、どこか勢いがない。
エルクゥの驚異的な動体視力ならともかく、時速100キロ超で駆け抜けていく人の表情なんて、通常の人間に観察できるわけもないのだが……。
「……ねえ。あなた、もしかして、亜人なの?」
「あじん?」
息を整えながら、ルイズはそんな疑問を口にした。
なんかさっきも聞いたような言葉だな、と耕一は首をひねった。
「人の形をしてるけど、人じゃない種族よ。エルフとか、翼人とか、獣人とか、オーク鬼とか。あんな非常識なスピードで走ったり、『フライ』で飛んでる人のところまでジャンプだけで跳んだりなんて真似、メイジでもできないもの」
よどみなく解説を返す様子に、馬鹿にされてたわりには、結構頭いいんじゃないのかなこの子。などと場違いな感想を頭に浮かべつつ。
「ふぅむ……」
ひとつ唸って、考える。
亜人。人の亜種。
ニュアンス的には間違いではないかもしれない。『鬼』という生き物も、そのカテゴリーに入るようだし。
――それに、まあ、この身が純粋なホモ=サピエンスだ、とは、お世辞にも言えないからなぁ。
いや、魔法使いが純粋なホモ=サピエンスと言えるかどうかはわからないけど。
事件の直後はちょっとその辺哲学的な意味で悩んだりもしたのだが、耕一よりはるか昔にエルクゥとして目覚めていた楓に心体共に慰められて、今ではそんな悩みもあったなぁ、程度のものだった。
貴方は貴方です。
愛する者からのその絶対の承認は、人をとても強くする。鬼を飼いならせるほどに、だ。
740:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:08:09 yWua7hph
>>734
ゼロ魔世界の農業生産力がどの程度なのかよくわからんから難しいな
現実世界の中世ヨーロッパだと、フランス首都のパリでさえ人口10万前後だったというし
そして支援
741:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:08:52 YgJfAdvu
ID:igyqvRQk
厨二の黒歴史がまた1ページ……w
742:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:10:01 igyqvRQk
しえん
743:ゼロのエルクゥ 2/6 ◆yxbMPy6fic
08/03/22 03:10:02 8ILSl5U3
「まあ、厳密には違いそうだけど、そう思ってくれていいんじゃないかな」
「……そう、なの?」
答えを返すと、ルイズはどこかぼんやりした表情を浮かべた。
もしかしたらすごい使い魔を引き当てたのかもしれないという劣等生の期待と、得体の知れない力を振るう亜人に対する畏怖とが入り混じった、微妙な心境を表していた。
「と聞かれてもね……こっちの世界の生態系なんて俺にはわからないし、どうにも」
「……こっちの、世界?」
「ああ。たぶん、俺はこの世界の人間じゃないから」
……しかしそれは、すぐに不機嫌な表情にとって変わってしまった。
「……なによ、それ」
「俺が住んでいたところじゃ、魔法なんて架空の存在だったんだよ」
「意味がわからないわ。ハルケギニアの人間じゃないって事?」
「うーん、この星というか、いや、星が違っても魔法なんか使えないか……この次元というか……ともかく、こことはまったく違うところ、というか……」
「…………」
首をひねりながら言葉を搾り出す耕一に、ルイズの眼が、どこかアレな人を見るようなソレに変わっていく。
一般相対性理論すらまったく知らない耕一には、次元やら空間やらを、ゲーム用語以上の言葉で語る事は出来なかった。
……まあ、よしんば、真の統一場理論が完成していて耕一がそれを朗々と語れたとしても、
それがこの世界でも通用するものなのか、そしてルイズが納得してくれるのかどうかは、まったくの別問題であるが……。
「……まあ、とにかく、俺はその『亜人』のようなもので、すごく遠いところから来たと思ってくれればいい。だから、魔法も含めて、この辺の事は何もわからないんだ。その、はるけ? なんたらって言うのも、全然聞いた事がない」
「……ふぅん」
今のところは、それで納得してもらうのが妥当だろう。
ルイズは胡散臭げな視線だったが、それ以上追及する気はなさそうだった。
「あー、それで、ちょっと聞きたい……っていうか、さっきコルベールさんに言いそびれた事なんだけど」
「なぁに?」
塩粒ほどだった『フライ』で帰ってくる組が豆粒ほどに近付いてくるのを見やりながら、ルイズは、ぱんぱん、とスカートの砂を払いつつ立ち上がった。
ショックからはとりあえず立ち直ったらしい。変な話を聞かされて機嫌がナナメに傾いて、ショックどころの話じゃなくなった、というのも小さくない要因だったが。
744:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:10:51 LyAFWMJe
>>741
その労力を支援に使え。
支援態勢、ガンホー!!
745:ゼロのエルクゥ 3/6 ◆yxbMPy6fic
08/03/22 03:11:15 8ILSl5U3
「俺を元の場所に送り帰してくれないか?」
「へ?」
ルイズは、きょとん、と耕一を見つめた。
「いや、たぶんその、『サモン・サーヴァント』の魔法だと思うんだけど、変な鏡みたいなのが目の前に出てきてさ。 それに吸い込まれかけてどう引っぱっても抜けられなかったから、近くにいた家族にすぐ戻るって言って鏡に飛び込んだらあそこに居た、というわけなもんで……」
「だ、ダメよ!」
できれば早く帰りたいんだけど、と続ける前に、ルイズが叫んだ。
「あ、あんたは私の使い魔として召喚されて、もう契約したのよ。さっきも、やり直しのできない神聖な儀式って言ってたでしょ?」
「……契約ってのは、お互いに同意があって成立するもんなんだけどね。まあ、そういう様子だったから言いそびれたんだけどね」
一応、空気は読めるほうだと自負している。この場合まったくありがたくなかったが。
「だ、だからよ。使い魔は主人を守るもの。ご主人様を置いてどこかに行っちゃうなんて許さないわ」
精一杯威厳があるように胸を張り、傲慢な言葉を口にしても……それが、せっかく召喚成功したのに逃げられでもしたらまた馬鹿にされる、という劣等感に満ちた震える声では、効果は半分以下だった。
同い年ぐらいの少年であれば売り言葉に買い言葉で有耶無耶になったかもしれないが、幸か不幸か、耕一は一応、少女の虚勢や我侭を受け入れてやるぐらいの、青年と呼べるメンタリティは持っていた。
「……ね、君、家族はいるかい?」
「い、いるわよ。それがどうしたの?」
「どんな人がいるんだい? 聞かせて欲しいな」
「な、なによ、気持ち悪いわね。……両親と、姉様が二人いるけど」
「そうなんだ。その中で一番好きな人は?」
「……なんでそんな事答えなくちゃいけないのよ」
病弱ながらとても優しかった下の姉を思い浮かべながら、ルイズは不審がる。
746:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:11:39 igyqvRQk
支援
747:ゼロのエルクゥ 4/6 ◆yxbMPy6fic
08/03/22 03:12:48 8ILSl5U3
「『今からお前とそいつを永遠に会えなくしてやる』」
「っ!?」
「『お前は今から見知らぬ土地でどこかの誰かに一生奉仕しろ。お前の一番好きなそいつは、お前に二度と会えない』」
「…………っ!」
少し迫力を込めた声色に、想像してしまったのだろう、ルイズの顔が蒼白になっていく。
「そう命令されたら、どうする?」
「ど、どうするって……そんな」
そんな横暴な命令聞けるわけないじゃない、と言おうとして、ルイズははっと口に手を当てた。
うん。気付いたか。やっぱり頭がいいし、いい子だな。と、耕一は頷く。
「そう。今君が言った事だよ」
「で、でも、平民は貴族に奉仕するのを喜ぶべきで」
「家族を好きな事に、好きな人と離れ離れになる悲しみに、貴族だの平民だのが関係あると思うのかい?」
「あ、あるわよっ! 平民なんて何よりも貴族への奉仕を喜びにすべきで、自分の悲しみなんて二の次でしょう!」
「じゃあ、貴族より偉い王様が君に命令しよう。『お前ごときの悲しみなんて二の次でくだらない事だ。王への奉仕に喜べ』」
「~~~っ! ヴァ、ヴァリエール公爵家の名誉にかけて、姫殿下の命は果たしてみせるわ!」
目尻に涙を浮かべて、声をあげるルイズ。
耕一は少し後悔した。このルイズという少女、予想以上に意地っぱりだった。こいつは梓以上だ。
自分で気付いてすら反発するタイプか……根はいい子っぽいんだけどな。よっぽど深く掘らないと根は見えなさそうだ。
「……とまあ、そういう事を言われると、今ルイズちゃんが感じているような心境になるわけだよ。ごめんな、変な事言って」
「べ、別に変な事なんて言ってないわ。下の者は上の者に従う。当然の事よ」
……とはいえ、ルイズの根を包む土であるこれまでの言葉は、ここの社会では真っ当な常識なのだろう、とも思った。
それを異邦人である耕一が取り除けてしまったら、ルイズは社会に溶け込めなくなってしまわないだろうか。
鬼の血を引く柏木の者が、いかに人間社会に溶け込む事に尽力しているか。祖父や叔父、親父に、遥か昔のご先祖様、代々の表裏に至る努力を千鶴や楓から聞いている耕一は、ついそんな事を考えてしまった。
いっそ、そんな事に気付かない少年ならば、まっすぐにルイズの根まで掘り起こしてしまうのかもしれなかったが。
748:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:13:07 jr4enrn+
支援
749:ゼロのエルクゥ 5/6 ◆yxbMPy6fic
08/03/22 03:13:50 8ILSl5U3
「それに……そもそも無理なのよ」
「何が?」
「あんたを……召喚したものを、元の場所に戻す魔法なんてないもの」
「…………マジで?」
「マジよ」
それは予想外だった。いくら神聖な儀式と言っても、緊急の手段ぐらいはあってしかるべきじゃないのだろうか。
「それは、君が使えない、というだけ……じゃないよな」
「ええ。そんなのがあるなんて、先生だって知らないと思うわ」
「マジか……」
「マジよ」
彼女が嘘を言っているようには見えない。
……うーむ。あのコルベールさんの態度からして、生徒には隠されているだけ、という線もない気がしないではないけど。
呼べるなら戻せるだろう、と楽観的だった考えが覆されて、耕一もさすがに焦り始めた。
「わかった? あんたは私の使い魔をするしかないの」
「……うーむ」
悩み出す耕一に、有利に立ったと思ったのか、少女の虚勢が貴族の矜持に変わり、ルイズの言葉に余裕が出てくる。
逃げるのは簡単だろうが、剣と魔法のファンタジー世界に逃げてどうするというアテがあるわけでもない。
自然は多そうだし、身体能力を駆使すれば狩猟採集で生きていけるかもしれないが……それでは逃げる意味がないし、野良エルクゥとか洒落にもならない。
「……ぬー」
……とにかく、彼女より知識のある人に話を聞かなければ。
元の世界への送還魔法なんて本当に存在せず、まったくのイレギュラーで呼び出されたのか。それとも何らかの関わりはあるのか。
「はぁ」
とりあえずのところは、彼女についていって、機会を見つけて責任者に掛けあってみるしかないか。学院というぐらいなら、校長先生ぐらいはいるだろう。
『平民風情がこの校長に向かって軽々しく口を利くなど無礼者め』などと無礼討ちされそうになったら、その時にはエルクゥ全開で逃げ出せばいい。
当面の方針をそう結論付けて、耕一は、ごめんよ楓ちゃん、ちょっとすぐには戻れなさそうだ、と空に向かって懺悔をすると、ひとつため息をついた。
750:ゼロのエルクゥ 6/6 ◆yxbMPy6fic
08/03/22 03:14:55 8ILSl5U3
「わかったよ。帰るのを諦めるつもりはないけど、手がかりが見つかるまでは君に従おう」
「……態度が気に入らないけど、まあいいわ。ゆっくり上下関係を思い知らせてあげるから」
「王様にそう言われて心から忠誠を誓えるなら、そうするといい。子曰く、天下は恐怖でなく仁徳にて治めるべし、ってね」
「……ふん。もうその手は喰わないんだから」
物騒な事を口走るルイズに苦笑しながら、お手柔らかに、と握手を求めると、見事に無視されてしまった。
代わりに、手の甲を差し出される。一瞬意味がわからなかったが、昔見た演劇を思い出して、もう1回嘆息。
そして、膝をつき、せいぜい精一杯恭しく、その甲に口付けた。
「そうそう、あんた、君とかルイズちゃんとか呼ぶのやめてよね。ご主人様に向かって馴れ馴れしいわよ」
「ふむ。じゃあ……ミス・ヴァリエール?」
「……あんたに言われると、なんかムズムズするわね」
「ルイズ?」
「気安く呼ばないで」
「じゃあ、ルイズちゃんで」
「……うー。なんか納得いかないけど、それが一番マシな気がするわ」
そんな会話をしている内に、他の生徒たちが次々と到着して、門をくぐっていく。
「はあ。私たちも教室に行くわよ。えっと……カシワギコーイチ?」
「耕一、でいいよ。柏木が苗字で、耕一が名前だ」
「そう。まあ……ありがと。あんたのおかげで授業に間に合ったわ。あのまま歩いてたら、きっと間に合わなかったもの」
それだけ言うと、ぷいっと踵を返して、門に向かって歩き出してしまう。
ルイズちゃんの方はこれで様子を見て、とりあえずコルベールさんと話してみるか……と、これから取るべき手段を考えつつ、耕一は少しだけ微笑ましい気分でルイズの後についていった。
751:ゼロのエルクゥ ◆yxbMPy6fic
08/03/22 03:15:25 8ILSl5U3
以上です。楽しんでいただければ幸い。
支援ありがとうございました。
752:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:18:02 igyqvRQk
乙~
753:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:18:52 jr4enrn+
乙。
頑固なルイズを見てると何故か安心してくるw
754:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:19:23 x8S/lQjU
乙
755:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:21:25 7566qMyG
乙!
756:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:31:59 TeNqq3Sx
乙!
>「『今からお前とそいつを永遠に会えなくしてやる』」
>「『お前は今から見知らぬ土地でどこかの誰かに一生奉仕しろ。お前の一番好きなそいつは、お前に二度と会えない』」
改めて言葉に出されると本当にぞっとしない話よのぅ。
真っ向から本人に突きつけたのってコレが初めてな気がするぜ
757:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:37:17 KRjZlFpS
北朝鮮の拉致の様だ
『今からお前とそいつを永遠に会えなくしてやる』
『お前は今から見知らぬ土地で将軍様に一生奉仕しろ。お前の一番好きなそいつは、お前に二度と会えない』
758:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 03:42:08 gV9lXPbm
乙です
面白いSSは原作に興味を持ってしまうから困る
759:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 04:00:15 fOo2BnAZ
エルクゥの職人さん乙!耕一の例え話の切り出し方が上手いなぁと思ったら
それに対するルイズの強引な返しが実にルイズらしくて吹きますたw
760:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 04:00:34 jrQcNBIz
乙です。
さすが耕一、小さい娘の相手は慣れてるなあ
これから初音ちゃん相手みたく
ルイズへセクハラ三昧なのだろうか
761:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 04:32:05 qVR9XKjj
乙です!
う~ん 手慣れてるなぁw
762:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 04:56:24 PwP7objP
おつー>エルクゥのひと
しかし、こうしてあらためて書かれてみると、
召喚者に無条件に服従する(=洗脳)って効果は
或る意味、被召喚者にとって救いなのかもしれんな。
まともな精神だったら、こんな悪夢みたいな状況にそうそう耐えられんぞ。
まあ、逆にいえば、だからこそ、そういう効果が付与されたのかもしれんが。
(力ある存在が一方的に呼び出されて戻れないとなったら、
怒りの矛先は真っ先に召喚者に向かうだろうし)
「狂気こそが救い」とでもいうことなのかね。
そう思うと、随分と綱渡りな儀式だよな。使い魔召喚って。
この効果なしだったら、危険すぎて昇級試験如きに使う儀式にはならんかっただろうし。
変な言い方だが、そういう意味では原作でも今回でもルイズって幸運なのかもな。
763:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 05:05:53 Z/TCz/M5
エルクゥ氏乙&GJっした。
耕介といいチキといいサララといい耕一といい温厚な人物が呼び出される話は見てて和むから好きだ。今後に期待してます。
764:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 05:26:48 h78jwcIe
エルクゥ氏乙&GJ
765:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 06:24:04 BxD1HToH
エルクゥ氏おつー
例えばルイズが、別の身分社会の、例えばゲルマニアの皇帝なんかに呼び出されて同じこと言われた場合従えるかは甚だ疑問ですね。
766:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 07:19:32 7kMWMtqn
>>719
最近今川義元が愚将であったというのは否定されてるぞ?桶狭間で酒宴なんてしてない。
織田信長が奇襲かけて勝ったのは確かだが。
後の創作で勝手にイメージを作られてしまった故の悲劇。
767:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 07:24:44 tg7YEcBL
みなさんおはようございました
ウルトラマンシリーズからウルトラマン達が超人化した原因である
人工太陽プラズマスパークを召還したら?
768:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 07:36:13 f/IDu2R0
>>767
間違いなくウルトラマンキングが取り返しにやってくるだろうな
あれがないと光の国は滅ぶ
というか、イーヴィルティガの群れが出現するようなものだぞ
769:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 07:46:00 FKQy/EUU
真の東海一の弓取りだからなー。
桶狭間の二万は明らかに多すぎってのが最近の通説らしいが
770:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 08:05:18 YGnNfiW4
>エルクゥの人
ついついエルルウの人と読みたく…
秘薬集めとか戦闘時の治療には役立ってくれそうだな
宝物庫にあるのは「破壊のキノコ」か「破壊のガチャピン」か…
771:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 08:16:36 tg7YEcBL
破壊のキノコ…?
赤い帽子と青いつなぎのMr.テレビゲームですか?
772:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 08:20:59 yWua7hph
>>770
つ【破壊のフォーク】
773:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 08:22:26 rFM2DAjv
>>707
戦争のために政略結婚を考えたり、国同士の関係とパワーバランスを考えたりする行動の
全てが「戦略」だよ。
774:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 08:24:22 sfoihce0
支援
775:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 08:25:10 skcO0bsW
でっかくなるキノコ食ったガチャピン(中の人付き)か。
七万も鎧袖一触、エルフも裸足で逃げ出すなwww
776:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 08:42:23 rs9rphcl
ツンデレが性格反転茸食べるとどうなるんだろう?
777:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 08:49:48 H2Rfq1MI
それはもうでれでれになるのですよ!
778:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 08:50:22 tg7YEcBL
ヤンデレになる
ごめん言ってみただけ
779:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 08:51:43 0e/UHK6V
普段デレ、二人きりでツン。
……ルイズが自分のサディスト振りを隠したい場合に発生しそうだ。無論デレはカモフラージュ。
780:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 09:20:07 psw2UjN9
人前では周囲も疎ましく思うほどのバカップルだが
二人きりになると途端に冷たくなる
世間でおしどり夫婦と言われてたけど実はアレだった芸能人夫妻とか
舞台を降りるとお互い一言も口をきかない漫才の名コンビみたいなもんか
781:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 09:31:59 rbXQwijj
性格反転キノコか・・・
タバサママにあげたら一時的に正気に戻ったりしてw
ガチャピンと聞くと最近見た某同人誌の傭兵なガチャピンを思い出してしまいました・・・orz
782:チキの人
08/03/22 09:35:36 NhqWJlK7
投下予約は入っていないでしょうか、それで無ければ第八話、投下します。
783:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 09:40:37 H2Rfq1MI
支援砲撃、開始!
弾種、キャンデー!
ッテーー!!
784:ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第八話
08/03/22 09:43:24 NhqWJlK7
ふと気がつくと、私の手を握りながらチキが眠っている。
暑いくらいの陽射しで徐々に意識が覚醒して来る、それと同時に昨日の出来事を思いだして背中がぞっとした。
タバサの顔に鼻水を……!
いや、そっちじゃない。
と、心の中で彼女に突っ込まれた気がして辺りを見回す。
うん、普通の自分の部屋だ。筋肉の痛みもないし健康状態は良好。
これならすぐに起き上がっても大丈夫そうと思うけど……。
チキの寝顔可愛い、可愛すぎる。
ルイズのお姉ちゃんとしてあるまじき、私が先に寝て早く起きる生活をしてたから、寝顔を見るのは初めてだ。
運んできてくれたのはタバサかキュルケか。
どっちでも良いんだけど、チキにうまい事話してくれたかなあ?
デルフをいっぱい振ってたら、筋肉痛になって動けなくなった。
それだけならまだしも、キュルケの謀略によってゴーレムの近くに飛ばされ、肝を冷やす事態に陥ったなんて。
あんな頭悪そうな姿、チキに見られてたら……だめ、だめよ。
きちんと誤魔化さなくちゃね、
「ん……ぅ、んー?」
と、考えている所に身動ぎをするチキ。
このまま起きるかな? 背筋が無駄に緊張した所で、
「んぁ、あ、おねー……ルイズのおねえちゃんだ」
まだ寝ぼけてると見える。
しばらく右を見て左を見て、そして繋がれた手を見て。
チキはがばっといった勢いで私に抱きついてきた。
「ルイズのおねえちゃん! よかったよぉ!」
「え?」
「周りの人が皆寝ているのに、ルイズのおねえちゃんは泥棒に立ち向かって。動けなくなるまで戦ったんだってね!」
違う違う。その泥棒に立ち向かう前に、筋肉痛で動けなかった。
と、口の寸前まで、“ち”まで出た所でごまかそうとしたのを思い出す。
「……あー、誰から聞いたの、それ」
キュルケか、はたまたタバサか。
しかし、私が聞いてみると途端にチキは困ったような表情を浮かべる。
何か、真実は知ってるんだけど、言ったらお姉ちゃん傷ついちゃうね!
そんな声が聞こえる。被害妄想かな?
「シ……シ……シルエスタ」
「シルエスタ?」
確かにトリステインの城下町で、そういった名前の舞台俳優のポスターを見た気がするけど。
私が首を傾げていると、チキは大げさに手を顔の前で振った。
「シ、シエスタだよ、シエスタ」
ああ、あの変わった使用人の。
前まで学院に務めている使用人と変わらないと思ってたけど、なかなかに度胸があるし腕っ節も強いし。
何よりチキを怖がらない、それだけで好感が持てる。
しかし、ゴーレムが現れたのに逃げずに私の姿を確認するなんて。
すぐに逃げたキュルケとは大違いね、まったく。
「でも、昨日の朝にシエスタはこの学院を辞めちゃったんだ」
「昨日の朝?」
あれ? 昨日の夜にゴーレムに殺されかけたんだから。
いやいや、この体調の戻り具合と今の発言から察するに。
もしかして一日中眠りこけていたとか! 筋肉痛で?
「そうなの……ま、シエスタなら他の所でもやっていけるでしょう」
仮に彼女が事実を知ってるとして、鉢合わせをした時に憐憫の表情でも浮かべられたら……いけない、筋肉痛で倒れたなんて事がチキにバレる。
シエスタには悪いけど、このままフェードアウトしてもらわなくちゃ。
「うん、ところでルイズのおねえちゃん、デルフはどうしたの?」
785:ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第八話
08/03/22 09:44:08 NhqWJlK7
「デルフ?」
どうも静かだと思ったら部屋の何処にもデルフの姿が無い。
そういえばあいつも事実を知ってるのよね。
「えと、デルフ……は」
考えるんだルイズ。
どうにかしてシエスタを亡き者にしたみたいに。
そうだ。
「うぅ!?」
「お、おねえちゃん、どうしたの」
「デルフはね、私がゴーレムに立ち向かった際に、うぅ、折れて! 最期に剣としての仕事が良かったぜお嬢って! おのれゴーレムめ!」
泣いたフリをしながらデルフの死を悼む。
あいつは良い奴だった、もし目の前に現れたらへし折ってくれる。
しかし悲しきかなチキの目は、どうしてそんな嘘をつくんだろう、私はすべて知ってるのに、ごまかしたほうが良いのかな?
いけない、さっきから被害妄想が過ぎる、チキに嘘をついているからか?
「そっかぁ、だからタバサのお部屋にあったんだね」
「タバサの?」
確か、タバサにぶん殴られて永遠の借しだって。
てことは、ここに運んで来てくれたのはタバサなのか、また一つ借しが。
膝と手をついて四つん這いになって、私は一生タバサの犬ですって宣言したい。
「でも、タバサはすごいね、折れたデルフを直しちゃうんだね」
「はは、すごいね……」
あー、こりゃ青い髪の彼女に頭が上がらないわ。
とてもとても顔を拝見できない、もういっそ忘れたいくらい。
そしてチキの無邪気な驚きが心に痛いなあ、あと一日くらい休めないかな。
「そういえば、チキ、声は聞こえなかった?」
デルフの最期の……もとい、魔法によって私の声が学院中に響いた夜。
当然チキにもその声が聞こえてるはず、あの声はなぁに? なんて聞かれてしまえば自分にマイナスになるのは確実。
「うん、聞こえたよ。でもアレは、学院の皆に危険を知らせるためにしたって」
わー、誰がそんな都合よく解釈してくれたんだろう。シエスタ?
やっぱりあの子には消えてもらうしか、少なくとも目に見える範囲で。
しかし、もう今の話の範囲でゴーレムに立ち向かったけど、デルフをへし折られて自身は動けなくなり、挙句の果てに助けを求めたって考えられない?
妙にチキが私の言葉を好意的に解釈しているような……気がする。
「まあ、いいや」
変に口を開いてボロを出すよりも、チキの素直な心に感謝しよう。
786:ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第八話
08/03/22 09:45:54 NhqWJlK7
虚無の曜日ではないので、当然のように授業はある。
休んだ方がいいんじゃないかな、とチキは言ってくれたけど。
あいにく体調はすこぶる良かったので、気が引けた。
どうにも暑いと思ったら、私が目を覚ましたのは昼過ぎだったらしい。
食堂で食事を採った後、チキを連れて教室に入る。
まだ大多数の生徒は警戒感を持っていているのが癪だけど、口にするのは憚られた。
チキも自分が原因で喧嘩なんてされたくないだろうしね。
ただ、キュルケとタバサの姿が無い、どうしたんだろう?
疑問に思うけど、ボロは出したくないのでそのまま一緒に席に着いた。
「はい、皆さんごきげんよう」
ミセス・シュヴルーズの授業が始まる、ただ若干元気がないな。
なんとなく声に張りが無いし、やつれてる気がする。
「今日の授業は土……いえ、風に関する授業を」
風? それはミスタ・ギトーの分担じゃなくて?
あの、なんか陰気で風に自信持ってる先生よりはマシか。
と、思い直して授業に臨む。
ただ、多くの生徒より私のパートナーのほうが真面目に取り組んでるって。
魔法学院の生徒としてそんな態度で良いの?
クラスメート達を見ながらそう思う、私のチキはこんなにノートも取って、しかも可愛らしいのよ?
ぽっかりと周りが開いた席で、私はそんな事を考えていた。
「そういえば今日はフリッグの舞踏会ですね」
授業も少し退屈になっていた頃、ミセス・シュヴルーズが雑談の種を蒔いた。
ここの所の騒ぎで忘れていたけど、そんな行事もあったっけ……。
特に興味も無いなあ、チキがドレスを着て私と一緒に踊ってくれるんなら参加しなくもないんだけど。
「一昨日の晩盗まれた破壊の杖も無事に戻り、開催できてよかったですね」
そうなんだ、戻って来たんだ……。
私が眠りこけてる間に誰かが取り戻してくれたのかな。
もしかしたら今いないキュルケとタバサだったりして、それで二人は授業をサボることを許されたとか。
うーん、無茶だけど納得はできる理由かも、キュルケがいないのはいつものことだけど。
「やはり今日の舞踏会の主役は、ミス・ツェルプストーと、ミス・タバサですね。爵位を与えられるほどの活躍をした……」
しかし、ミセス・シュルヴーズはさっきから自慢してばっかりだなあ。
よほど怪盗が捕まったことが嬉しかったのか、教えている生徒が活躍したのが良かったのか。
ただ、キュルケたちが自慢してるんなら喜んで聞くんだけども。
ああでも二人であのゴーレムを打ち破ったのか、私とは大違いだ。
チキも私じゃなくって、あの二人の内どっちかが主人だったら肩身の狭い思いもせずに済んだのかな?
787:ゼロのルイズとマムクートプリンセス 第八話
08/03/22 09:46:26 NhqWJlK7
いかんいかん、思考がマイナスの方に向かってる。
「ねえ、チキ」
「うーん?」
雑談に花が咲いてしまっているので、すっかり手持ち無沙汰になってたチキに声をかける。
「もっと魔法が使えるお姉ちゃんの方が格好良かった?」
「ううん」
意外にも即答だった。
あまりに早い答えに思わず、チキは優しいからそう答えるに決まってる。
何を聞いているのだ私はと反省してしまうほどに。
「私は、ルイズのおねえちゃんの使い魔で、良かったと思うよ」
「そう……」
たぶん、紛れも無い本音だと思う。
そうなんだけど、違う。このままじゃダメ。
チキは使い魔だと言った。
でも、私はチキをパートナーだと思ってる。使い魔じゃない。
私はチキを使役したりなんかしない。
先の事は分からないけど、一緒にいたい。
そう、私とちいねえさまのような関係になりたいのだ。
ちいねえさまは身体は弱いけど、トライアングルクラスの魔法が使える。
お父様やお母さま、エレオノール姉様だけじゃなく、動物にも慕われて、温和で綺麗でスタイルも良くて。
私なんてちんちくりんで、魔法も使えなくて、口も悪いし。
「だめ、ダメよチキ……」
「る、ルイズのおねえちゃん、授業中だよ」
「いけないわ! やっぱりね! お姉ちゃんはスクウェアメイジになるまで旅に出るわ!」
788:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 09:48:13 COR0ehql
支援!
789:チキの人
08/03/22 09:48:18 NhqWJlK7
投下終了です。
シエスタorz ですが。たぶん、ま、まだ出る機会は……
790:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 10:12:09 7eewP+oD
コイツは嫌な展開だ・・・
791:549
08/03/22 10:14:29 C+ge85FZ
>>667
ですよねー。構想はあったので残念。
792:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 10:29:44 H2Rfq1MI
チキの人、投下乙でした。
見せ場をまるっきりカットした英断に拍手(w
これでほのぼの路線(?)続けられますね。
793:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 10:35:07 /8y21Y+b
>>789GJ!
シエスタはモット伯かね?仮にそうだとしてもほのぼの路線で何とかなる
と信じつつ次回を待ってますー。
794:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 10:50:32 BOFHLgyK
だがほのぼのレイプ
795:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 11:27:38 qVR9XKjj
チキの方乙です
シエスタがwwでもキュルケが暗躍して戻ってくるんだろうなぁ~チキへのポイント稼ぎ&ルイズへの嫌がらせで
796:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 13:36:26 3YUycUq7
ゼロの世界って黒人ていないのかな?
797:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 13:38:48 fOo2BnAZ
ハルケギニアの南方にいるんじゃないかな?
ゲルマニアも色黒な人がいるし、そっち方面からの混血だったりするのかもしれん。
798:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 13:40:56 fkQUe3nE
女神転生ifから教師オオツキを召喚
フーケに負けて自分を改造
ワルドに負けて自分を改造
タルブ戦で負けて自分を改造
そして七万人戦
そこには既に元の姿がわからない程に魔改造が施された改造教師オオツキの姿が!
「お前達が、この街道を通ってもいい科学的根拠はないのだ!」
でもたぶんやっぱり負ける。
799:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 14:11:56 fZdww9qh
虚無魔法がプラズマで説明できると申すか
800:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 14:40:21 oRiIP0CF
誰もいないようなので、小ネタをば投下させていただきます
801:無敵で不死身の使い魔
08/03/22 14:42:21 oRiIP0CF
せまる七万の大軍勢を目前にしながら、ルイズは考えていた。
どんなピンチにもいかなる強大な敵にも打ち勝つ、絶対無敵の英雄。
それはおとぎ話や空想の世界には実にありがちな存在だ。
男の子はそんな存在に憧れて英雄ごっこをし、女の子はそんな英雄に助けられるヒロインになれたらと夢想する。
しかし、そう長くはない時間の中で、子供はそれがあくまで空想の中の存在であることを知る。
英雄と呼ばれている人間も、その実は傷つけば血を流し、命を落とせばそのまま土に還る、そんな当たり前の人間でしかないことに気づく。
それでも、そんな英雄の伝説や神話が語り継がれるのは、はかない現世でのせめてもの慰みなのかもしれない。
(そんな風に思っていた時期が、私にもありました)
ルイズはため息をつく。
こんなことがあればいいな、こんな英雄がいてくれたら。
人は誰でもそんなことを思う時がある。
でも? もしも、そんな空想だけの存在が、実在するとすれば、人ははたして素直に喜べるのだろうか?
やったあ、ラッキー!! で、すむものだろうか?
否。断じて否である、と今のルイズは断言できる。
不気味な怪物のようにせまってくる敵軍を見ながら、ルイズは初めてあいつに出会った時のこと、サモン・サーヴァントの儀式を思い出す。
最初は絶望した。
何故なら、そいつはどう見ても死体だったからだ。
何らかの処置がされているのか、ボロボロに腐っているということはなかったが、顔はもはや生前の様子すらわからない骸骨となっていた。
その格好や全身に施されている黄金の装飾からして、どうも生前はメイジのように思われた。
もしかすると王族かもしれぬ。
だが、死体ではどうしようもない。
それでも、規則は規則ということで、ルイズは泣く泣く死体に契約のキスをした。
胸に使い魔にルーンが刻まれると同時に、死体だと思っていたそれはむくりと起き上がった。
「お化け?」
「幽霊?」
そんな声がこだましたのをおぼえている。
驚く中、そいつはマントをなびかせ、高笑いと共に空高く飛び去っていき、そのままどこかへ消えてしまった。
あのおかしな骸骨を使い魔にしなくてラッキーだったのか、使い魔に逃げられたのを悲しむべきか、正直微妙だった。
多分二度と会うことはない、と思っていたのだが、そいつは思わぬ時に戻ってきた。
土くれのフーケが、学院を襲った時である。
使い魔召喚にすら失敗した今、ここで名誉を挽回するしかないとルイズは無謀にも巨大なゴーレムに向かっていった。
あわやつぶされそうなになった時、あの使い魔が高笑いと共にやってきたのだ。
使い魔は縦横無尽にそれを飛び回り、その銀色の杖でゴーレムを破壊した上、フーケを捕らえた。
フーケの正体ことミス・ロングビルはよほどショックだったのか、すっかりダメな人になっていたそうだ。
その代わり、寛大な措置とかで、死刑は免れたらしい。
その後も、アルビオン、タルブの村、とルイズがピンチになった時には、使い魔はどこからともなく飛んできて、悪を蹴散らしていった。
まさにおとぎ話の英雄が実在化したようだ。
顔が骸骨というのはどうにもいただけないが。
そこでルイズは思考を迫る軍勢に戻した。
ここまでは、確実にやられるどころか、勝負にすらなるまい。
しかし。
「いつものやつね」
いつの間にか自分の周辺を飛び回っている金色に輝くコウモリに、ルイズはため息をつく。
あの使い魔の現れる前兆。
そして、当然のように使い魔は高笑いと共にやってきた。
銀の杖を手に、黒いマントをなびかせて。
そして、やっぱり当然のように敵軍に向かっていくが、ルイズは心配などしない。
あいつはフーケのゴーレムに踏み潰されようが、ワルドの魔法を食らおうが、戦艦の砲撃が直撃しようが、何事もなく復活し、恐怖する敵をなぎ倒したのだから。
今も、敵兵たちは阿鼻叫喚の騒ぎになっている。
何をやっても通じず、疲れさえ欠片も見せない使い魔に、それはもうボコボコにされていくのが遠目にもよく見える。
あ、大砲の弾を受けて墜落した。
一瞬敵は沸いたようだが、歓声はすぐにそれ以上の悲鳴となる。
使い魔は何事もなかったように復活し、また敵に向かっていたのだから。
もはやルイズにさえトラウマになりつつある、おなじみの台詞を叫んで。
「黄金バットは無敵だ!!」
802:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 14:47:29 qVR9XKjj
支援です
803:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 14:54:15 4T/ySJV5
ググッてみたら漫画版の画像を見つけた
なるほどこれはトラウマになるのも当然w
804:無敵で不死身の使い魔
08/03/22 15:00:10 oRiIP0CF
神の左手ガンダールヴ。勇猛果敢な神の盾。左に握った大剣と、右に掴んだ長槍で、導きし我を守りきる。
神の右手がヴィンダールヴ。心優しき神の笛。あらゆる獣を操りて、導きし我を運ぶは地海空。
神の頭脳はミョズニトニルン。知恵のかたまり神の本。あらゆる知識を溜め込みて、導きし我に助言を呈す。
そして最後にもう一人……。
それは記すことさえはばかれる神の心臓。何者にも敗れぬ神の杖。不死の体と無敵の力、いかなる時にもいかなる場所にも、我を救いに現れる。
以上で投下終了です
この分は若干おまけ的でありますが……
支援してくださったかた、感謝です
805:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 15:05:05 fOo2BnAZ
>>801
超元祖無敵のヒーローキタコレw
806:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 15:08:40 qc1v4UIY
蝙蝠だけが知っているッ
807:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 15:15:03 NJlkGKwL
ルイズ「コウモリさん コウモリさん」
808:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 15:22:01 +2nLuuyr
歌詞を見た限りマッハで空とぶのな金色のアレが
809:黄金バット!
08/03/22 15:27:26 1DFaxRuG
なんと懐かしいものを!おっさんホイホイもええとこやんけ!(私が住んでいた辺境地域
では、小学生時代に何度も再放送していた)
わが幼少時の懐かしきヒーローを思い起こさせてくださったことに感謝しつつ、小ネタに
終わらせず、是非とも長編をお願いいたします!!>ID:oRiIP0CFさま
810:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 15:47:02 tQFftqv/
次は月光仮面か力道山を(無理)。
811:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 15:50:23 fOo2BnAZ
少女椿のワンダー正光とかw
812:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 15:53:18 aXwfGjuv
小ネタ乙、再放送見たことあるな。
813:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 16:04:01 rs9rphcl
で、その黄金バットのオマージュがワッハマン
814:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 16:05:06 9g7uKlN/
のらくろとかどうだ?猛犬連隊を武装含め丸ごと召喚。
815:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 16:11:05 x8S/lQjU
だから動物呼ぶのは普通だって。
人間呼び出すのがあの世界の常識からして異常なんだって。
犬呼び出してもルイズも喜びそうなんだが。
二足歩行したり人の言葉しゃべったりするぐらいなら、
驚いたとしても優れた使い魔だとして自慢できるぐらいじゃない。
816:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 16:14:54 rs9rphcl
さすがに紙芝居で見てたっていう人はいないか
817:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 16:16:42 3QS8szip
ここにおるぞ
昭和末期だと普通に紙芝居も巡業してたし
818:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 16:32:24 s9eRlyAP
>>817
最後の紙芝居師というドキュメンタリーを思い出した。
咽頭癌の手術で声が出なくなる前に録音した自分の声で紙芝居巡業してる人の話
819:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 16:47:32 y9BBWdFz
仮面をつけた三人の部下を持ち、更に「ブキ96」なる乗り物に乗った使い魔の影響で
「そんなことでくじけるような 風呂の入り方はしてません!」
とか言っちゃうルイズ…
820:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 16:49:45 pB41Xidr
獣耳ついてたりしたら亜人として喜ばれるのかな?
単なる変態と思われることはない?
821:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:02:24 fOo2BnAZ
紙芝居がありなら、児童文学からの参加もありかな?
犬が好きなルイズの為にねじめ正一のピーコポンチャンからピーコ(ポンチャン)を召喚したりとかね。
あの侘しい結末の後にハルケギニアに流れ着いたピーコ(ポンチャン)に第3の飼い主現る!てな具合に
ルイズが新しい飼い主になったのはいいが、待遇が悪くて最後はやっぱりルイズの所からも逃げ出すというオチなんだが…。
822:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:06:52 VWFqq83r
>>821
昔話や夏目漱石からの召喚もあったからなぁ。
同人媒体でなきゃなんでも良いんじゃね?
823:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:13:21 UnfHY6fx
「あなただったのね、いつもクックベリーを持ってきてくれたのは」とか
『百万回死んだ使い魔』とかうっかり想像しちゃって涙腺がエラいことになったw
824:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:16:57 rs9rphcl
>>823
ごん狐を思い浮かべた。
涙腺エラいことになるのは同じ
825:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:21:21 qc1v4UIY
蝙蝠にはアニメも白黒実写映画もあるからな
創作物なら固い事言いっこなしで良いのは事実だが
その流れで紙芝居OKって発想はおかしい
826:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 17:34:41 qBQ2ZZxO
視界良好であれば五分後に第四話を投下したいのですが、
よろしいでしょうか?
827:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:37:46 VWFqq83r
視界良好。よーそろ。
828:ゼロの戦乙女第四話1/8 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 17:40:17 qBQ2ZZxO
第四話
幸運なことに、シエスタは厨房の裏庭の水場でちょうど洗濯をしているところだった。
「シエスタ」
声をかけると、顔を上げたシエスタがレナスの姿を見つけ、慌てて泡だらけの手を濯ぎ、立ち上がってお辞儀する。
「おはようございます、ヴァルキュリアさま!」
「洗濯を頼みたいのだが……一緒に頼めるか?」
「ヴァルキュリアさまのお召し物をですか!? よ、喜んで!」
「神様に衣服の洗濯を頼まれた!」と妙な舞い上がり方をするシエスタに、レナスは微かに苦笑して訂正する。舞い上がっているせいか、レナスの口調が昨日と違うことにも気にならないようだ。
「私ではない。ルイズの洗濯物だ」
早とちりに気付いたシエスタは、顔を真っ赤にする。
「そ、そうですか、では洗濯物をこちらへ」
「感謝する」
洗濯物を渡して、言いつけられた仕事を終えたレナスは、これからどう時間を潰そうかと歩きながら考え始め、その背にシエスタが声をかける。
「あの、ヴァルキュリアさま」
レナスが振り返ると、シエスタはおずおずと切り出す。
「昨日くださった黄金の鶏が、卵を四つも産んだんです。料理長のマルトーさんが私たちのまかないに出してくれるそうなので、洗濯が終わったあとでよろしければご一緒しませんか?」
売れば一生遊んで暮らせる財産が築けるだろうに、売るよりもまず食べることを考えるシエスタが微笑ましく、レナスは笑った。
「喜んで馳走になろう」
「はい! じゃあすぐに終わらせちゃいますね!」
シエスタは余程嬉しかったのか、あっという間に大量の洗濯物を洗い終えてしまった。
さすがはプロのメイド、仕事が早い。
洗濯に使った道具を片付けながら、シエスタは昨日から気になっていたことを何気なくレナスに尋ねる。
「ところで、ヴァルキュリアさまは神様としてどんなお仕事をなさる方なんですか?」
言葉を並べずに、レナスは力を行使することで示す。背中から光の翼が勢いよく飛び出し、光の羽が幻想的に舞い踊る。
829:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:41:17 FaMm9ueO
エーテルストライク支援
830:ゼロの戦乙女第四話2/8 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 17:41:41 qBQ2ZZxO
それと共に、レナスとシエスタを挟むようにアリューゼとメルティーナがマテリアライズされて実体化した。
予想外の出番を与えられた二人は、不思議そうな顔でレナスとシエスタを代わる代わる見比べる。
「おいおい、どういう風の吹き回しだ?」
「あら? 珍しいわね、戦闘でもないのに私たちを呼び出して実体化させるなんて」
「ど、どなたですかーー!?」
突然現れた二人に度肝を抜かれ、シエスタが声を裏返らせて絶叫し、思わず尻餅をつく。
レナスはシエスタに手を貸して起き上がらせ、きょとんとしているメルティーナと、戦いの場に呼び出されたわけではないので仏頂面になるアリューゼをちらりと見やり、説明する。
「戦乙女ヴァルキリーとして、彼らのような死者の魂を英雄として選定し、神界に送るのが私の仕事だ。今はそれと同時に、神界の創造主になっている」
「神様の世界を作った方だったんですか!?」
地位の高さに驚いたシエスタが、両手を振り回して絶叫した。
殆ど崇拝の念に近い尊敬の眼差しで見つめられ、キラキラしたシエスタの眼差しにレナスの顔が微かに赤くなる。
昨日のうちに、レナスの内でシエスタとのやり取りを見ていたメルティーナが前に出て名乗った。
「私はメルティーナ。今はヴァルキリーのエインフェリアをしてるわ。ついでにこいつはアリューゼよ」
「おいコラ。ついでだからって適当な紹介の仕方すんじゃねえ」
杜撰な扱いにアリューゼが文句を言ったが、メルティーナは澄ました顔で無視した。
理知的な魅力に溢れたメルティーナに、シエスタはぽーっと顔を赤くしていたが、メルティーナが手に持っている杖に気付いて目を見張る。
「メルティーナさまはメイジなんですか?」
「一応そういうことになるのかしら。でも、私の故郷ではメイジではなく魔術師と呼ばれていたし、貴族の出身でもないから畏まる必要はないわ」
「魔術師? もしかして、お二方は『ロバ・アル・カリイエ』のご出身なんですか?」
「……ええ、そうよ」
シエスタの言うロバ・アル・カリイエがどの場所を指すのか、メルティーナには分からなかったが、ここは話を合わせておいた方がいいと判断して頷く。
異世界から来たことを簡単に知られるわけにはいかないし、自分からわざわざ騒動の種を蒔く必要はない。
831:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:42:15 XoXnYXMK
支援します
832:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:42:48 oRiIP0CF
支援
833:ゼロの戦乙女第四話3/8 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 17:46:24 qBQ2ZZxO
「そうなんですか……」
二人を未知の領域である『東の世界』の人間だと思い込み、感心するシエスタだったが、心の中でレナスの説明を反芻していると、見逃せない事実に気がつく。
「え? ということは、メルティーナさんとアリューゼさんは─」
心なしか青い顔で自分達の顔を見つめるシエスタに、メルティーナはニヤリと笑った。
「私たちは死者よ。ヴァルキリーの選定を受けて英雄─エインフェリアに選ばれたの。ちなみに生前は、アリューゼは傭兵、私は魔術研究者として生きていたわ」
シエスタはぽかんとした表情でメルティーナを見つめる。
目の前にいる彼らが死者だなんてシエスタには信じられない。二人とも顔の血色はいいし半透明でもなく、シエスタの目にはどこからどう見ても生きている人間にしか見えない。
聞けば聞くほど、シエスタはこうして三人と一緒にいるのが場違いなんじゃないかと思えてくる。レナスたちはこんな所で自分みたいな平民と一緒にいるのではなく、貴族のように誰かに傅かれている方が似合っているのではないかという気さえする。
どうしようもない劣等感を感じて、シエスタは惹かれていながらも光を嫌うかのように、レナスたち三人から目を逸らした。
834:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:47:41 x8S/lQjU
支援
835:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:50:07 XoXnYXMK
お前は吹かれっぱなしの草か支援
836:ゼロの戦乙女第四話3/8 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 17:50:27 qBQ2ZZxO
何故か60行未満でもエラーを喰らったので3/8は3分割です。
以下続き↓
「ヴァルキュリアさまは神様、お二人は英雄、それに比べて私は……」
力なく呟いて項垂れるシエスタの脳裏に、ハルケギニアの人間ならば身分に限らず知られている有名な童話が過ぎった。
『イーヴァルディの勇者』。
平民の身で有りながら、始祖ブリミルの加護を受けて竜や悪魔、怪物といった強敵と戦ったとされるイーヴァルディの物語は、平民が主人公ということで、貴族だけでなく平民の間でも親しまれている。
平民は虐げられる身分だ。貴族の気分一つでその命すら左右される。こうして魔法学院でメイドとして働いているシエスタも、そこまで極端ではなくとも、理不尽な目に遭ったことは一度や二度ではない。
シエスタには目の前の三人が眩しく思えて仕方なかった。誰も恐れずに、自由に生きてみたいと心の底から願った。でも、平民の身分では叶えられるはずがないことをシエスタは知っていた。
黙ってシエスタの嘆きを聞いていたレナスが口を開く。
837:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:53:26 XoXnYXMK
文字数でエラー掛かってない?
4096bytesで制限掛かってるから2000字くらいで制限掛かる計算なんだけど
838:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:54:32 r1Zvq5Sa
黄金バットが来てるwww
あれってたしか微塵に砕かれようと
かけらも残さず消滅させられようと
宇宙の果てに放逐されようと
「なぜなら黄金バットだからだ」
で一切理由の説明なく復活するどうしようもない無敵のヒーローだったよなw
839:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:56:10 r1Zvq5Sa
リロードしてなかった
戦乙女さんごめんちゃい
支援
840:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:56:25 wCC6zYBw
ファイナリティブラスト支援。
841:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:58:44 wCC6zYBw
素晴らしいぞこの力!! 支援。
842:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:58:53 Q84sl4ti
お前の顔も見飽きたぜ、支援
843:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 17:59:26 KKxrzGxq
避難所で代理頼むよろし
【代理用】投下スレ【練習用】2
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
844:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:02:12 gV9lXPbm
支援せざるをえない
845:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:03:15 wCC6zYBw
セレスティアルスター支援
846:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:04:00 /7Zc3m93
本当に食べたのかw
支援 ニーベルンヴァレスティ
847:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 18:04:51 qBQ2ZZxO
投稿してたPC中がフリーズ起こしましたorz
原稿も入ってるPCなので、復旧させ次第代理スレに投下します。
復旧したらまた報告します。
848:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:06:51 wCC6zYBw
他の可能性……仮に一切の文字無しでエンターで最初の行を改行してる場合、異次元の彼方に放逐されるんで注意…とか?
849:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:09:38 BVD7zSP8
>>825
紙芝居に何か問題が?
850:ゼロの戦乙女第四話3/8 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 18:13:35 qBQ2ZZxO
復旧しました。
これを書き込めるようならこのまま投下、
書き込めない又は、投下時にエラーがまたきたら代理スレに投下します。
851:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:15:02 wCC6zYBw
総員、ニーベルン・ヴァレスティ支援!!
852:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:15:11 x8S/lQjU
支援
853:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:18:22 qc1v4UIY
ほぼ確実に文字数エラーだな
> 平民の身で有りながら(ry
の行一つ見ても全角90字ほどあるって事は
23~4行もあれば確実にレス容量超える
wiki登録後の読み勝手考えても40~50字程度が1行文字数の目安
それ以上は意図外の自動折り返し食らうからレイアウトの無意味化も招く
854:ゼロの戦乙女第四話3/8 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 18:18:49 qBQ2ZZxO
エラーの原因が分からないので、代理スレに投下に行きます。
855:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:21:19 qc1v4UIY
>紙芝居に何か問題が?
問題は紙芝居そのものじゃない
黄金バットに紙芝居もあった→紙芝居もOKなら(ry
と言う発想の流れだけに問題がある
856:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:26:30 x8S/lQjU
紙芝居だと一発ネタならともかく
長編やろうとするとほぼオリキャラになっちゃうからな。
857:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 18:28:34 qBQ2ZZxO
代理スレに投下しようとしたら今度はPCの電源飛びました。
復旧までしばらくお待ちください……
今日は運が悪いみたいですorz
858:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:30:27 gmOqRLRh
投稿前に神様に挨拶をしておかないから(ry
859:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:32:54 rgbx/PFs
電源が神に召されたのか
860:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:34:37 wCC6zYBw
つまり電源がレナスのエインフェリアに(ry
861:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:44:47 x8S/lQjU
戦乙女殿乙
続きはノンビリ待たせていただきます。
862:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 18:49:11 8vybLJJ8
それは>>>>857の日頃の行いがわ(ry
863:代理 ゼロの戦乙女第四話3/8
08/03/22 18:50:54 gmOqRLRh
以下本編続きです↓
「……弱さは悪いことではない」
聞き捨てならない台詞に、シエスタは出会って初めてレナスを睨みつける。すぐに不敬だという気持ちがシエスタの中に沸き起こるが、湧き上がる怒りがそれを掻き消す。
レナスは平民の現状を知らないからそんなことが言えるのだ。シエスタは知っている。例えば、魔法学院では不定期にメイドがいなくなる。
いなくなったメイドは、貴族の屋敷に夜の相手込みのメイドとして無理矢理囲われている。でも、知っていてもシエスタにはどうすることもできない。
「何も知らないくせに、適当なことを言わないでください! 私たち平民がどんな目に遭っていても、貴族であれば、それで全てが許される。ここはそういうところなんですよ!」
威嚇するかのようにレナスを睨みつけるシエスタの言葉を、レナスは首を横に振って否定する。
864:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 18:52:47 qBQ2ZZxO
復旧&代理投下支援させていただきます。
支援ありがとうございました。
865:代理 ゼロの戦乙女第四話4/8
08/03/22 18:53:48 gmOqRLRh
「でも、弱くとも立ち向かうことはできる」
シエスタは本気でショックを受け、その場にへたり込んだ。
平民のシエスタでは、立ち向かったって死ぬだけなのに、それが分からないのか。何も変わらず、貴族に嬲られて無意味に殺されてしまうだけなのがレナスには分からないのか。
それだけならまだいいが、もしタルブの村にいる家族にまで責任が及んだら、それこそ死んでも死にきれないのに、それすら理解してくれないのだろうか。
レナスの表情は崩れない。片膝をついてシエスタと視線を合わせ、あくまで淡々と、感情を感じさせない声で言葉を紡ぐ。
「死を覚悟すれば、人はどんな障害にも立ち向かえるものだ。己の道を貫いた結果ならば、例えその結果がその途中で迎える無残な死であっても、残るものがある」
「ありませんよ、そんなもの─!」
咽喉から搾り出すようにシエスタは叫んだ。
本当にそうだったらどれだけいいことかと思うけれど、現実は甘くないことをシエスタは知っている。
死はあくまで死で、死んでしまったらそれで終わりで、その時は悲しむ人がいても、時が経てば悲しむ人は減っていき、やがて忘れ去られる。
平民の死はハルケギニアではとても軽くて、死んだことすら誰にも気付かれないこともあるほどだ。
なのに、レナスは分かってくれない。
「─誇りだ」
思いもしない答えを聞かされ、シエスタはレナスを仰ぎ見た。
シエスタは誇りなんて持ったことはなかった。誇りを掲げられるのはいつだって貴族や王族といった選ばれた立場の人間で、
平民であるシエスタは、彼らの怒りに触れないように生きていくのが精一杯だった。
レナスの言葉は、シエスタの憤りに水をかけるかのように告げられる。
「例え死んでも、己が信じるものを貫き通したという誇りは残る。あるいは生き様と言い換えてもいい。それこそが、魂の価値を決めるもの」
少しずつ、シエスタの心の中で燃え上がっていた炎が消えていく。炎が燃え尽きた跡に、その言葉がすとんと落ちる。
シエスタは自問する。今まで一度でも貴族に対して歯向かったことがあっただろうか。貴族に逆らい、理不尽に真っ向から
反発してみせたことが一度でもあっただろうか。
あるはずがない。シエスタは、貴族に逆らうことよりも、従順に振舞うことで生きてきたし、平民には多かれ少なかれ、
皆その傾向があるはずだと思っている。
心に刻み込まれた貴族に逆らうことへの恐怖はそう簡単に消せるものではない。シエスタだって怖いものは怖いのだ。
逆らうことを考えるだけで、シエスタの心は凍りつく。
それでも、あと一つ何かきっかけがあれば天秤が傾くほど、シエスタはレナスの言葉を聞いて揺れていた。
「そして、残された人間は死者の背に、英雄の姿を見出すのだ。かくて誇りは受け継がれ、新たな人間を英雄に導いていく」
レナスの言葉に、シエスタは思わずアリューゼとメルティーナに顔を向け、仰ぎ見る。彼らなら、レナスの言うような誇りを
貫けるだろうが、ただの平民に過ぎないシエスタには誇りを貫くために必要な力がない。
悩むシエスタの頭上から声が降ってきた。
866:代理 ゼロの戦乙女第四話5/8
08/03/22 18:55:04 gmOqRLRh
「プライドを貫くのに、力なんていらないのよ」
「……え?」
シエスタは意外そうな表情でメルティーナを見上げる。
力なしにどうやって誇りを貫けるというのか、シエスタには理解できない。力がなければ、貴族に逆らうことができないと痛感しているシエスタは、縋るような目でメルティーナを見上げる。
しかし、メルティーナはシエスタを突き放した。
「でも、今のあなたみたいに、平穏にしがみ付いて生きていると、例え力があっても絶対にプライドは貫けないわね」
シエスタの胸に、メルティーナの言葉がナイフとなって突き刺さる。
貴族を恐れながらも、シエスタはその貴族によって与えられた平穏を愛していた。目的もなく、心の底で反感を抱きながらも表面上は貴族に従い、降りかかる理不尽に怯え、
同僚の不幸に目を瞑り、それらを代償に得た平穏の中で惰性に生き続けていた。
─これではプライドなど、最初から貫けるわけがない。
揺れていた心に最後の一押しを押され、心の天秤が完全に傾く。逃げ続けて生きてきた人生への後悔が心に重く圧し掛かってきて、シエスタの目から涙が零れ、頬を伝う。
気付いてしまった以上、貴族に怯えつつも、貴族に与えられた平穏に浸り続けるような、恥知らずな真似はできない。自らの力で勝ち取る平穏の中で生きることこそが、
シエスタの望むものであるが故に。
「今からでも、私みたいな人間でも、皆さんのようになれるでしょうか─?」
「覚悟さえあれば、何だってできるだろうよ」
嗚咽交じりに小さく呟いた疑問は、野太く力強い声で返される。その人生の多くを、戦場で過ごしてきた男の声だ。
はっとしてアリューゼを見るシエスタに、鍛え上げられた彼の肉体が目に入る。彼もまた、その覚悟を以って平穏を捨てた末にその肉体を手に入れたのだろうか。
真剣な表情で俯くシエスタの、その小さな両拳がきゅっと握り締められる。大男のアリューゼと比べれば、小さすぎるシエスタの手。どんなに華奢であっても、
その拳だけはどこまでも硬くなれると信じて。
「シエスタ」
貴族の理不尽に立ち向かう覚悟を決めようとしているシエスタを、レナスの声が遮った。
冷厳な声に振り向くと、優しい銀色が視界を過ぎり、全身が温かい何かに包まれる。
「……ヴァルキュリアさま?」
思わずといった様子で、シエスタは幼い声を漏らした。
抱き締められたことよりも、まるで我が子を戦地に送り出す母のような態度をレナスが取っていることにシエスタは驚いた。
シエスタにとってのレナスは憧れと憧憬の対象だった。初めて会った時、シエスタはレナスを平民だと思っていて、貴族の使い魔にされたレナスに同情を抱いていた。
でもそれは間違いで、レナス自身の口から神だと告げられた。口では肯定するようなことを言ったけれど、シエスタはその時心の底から信じていたわけではなかった。
ただ、何となくそうだったらいいのにと思っただけだった。
867:代理 ゼロの戦乙女第四話6/8
08/03/22 18:56:10 gmOqRLRh
その後で黄金の鶏を貰い、シエスタはレナスのことを神だと認めた。レナスがルイズではなく、自分を見てくれたことが嬉しくて、シエスタは感動してレナスに崇拝の念を抱いた。
レナスのことを神だと思っていたから、まさか抱き締めてもらえるとは夢にも思わなくて、シエスタは恐る恐るその背に手を回す。全身でレナスの温もりを感じて、思わず赤子のようにすがりつく。
かけられる声は相変わらず厳しかったけれど、シエスタは声よりも表情よりも、抱き締められたという事実に、レナスが自分を心底心配しているのを感じ取った。
「けしかけた私たちが、こんなことを言ってはいけないかもしれない。でも、その決断をする前に、もう一度よく考え直してみて欲しい」
シエスタはレナスの言葉に小さく笑った。
今更そんなことを言われても、もうシエスタに止まるつもりはない。貴族の横暴に見て見ぬ振りをして過ごす平穏に比べれば、今からシエスタが生きる人生は、きっと輝きに満ち溢れているはずだ。
少なくとも、シエスタはそう信じている。
「その道を選べば、お前はきっと悲惨な死を迎えるだろう。誰にも理解されずに果てる未来しか、その道にはない」
レナスの言う通り、確かに道は険しいに違いない。
例え下げたくない頭を下げろと強要されようと、卑怯な手段で以ってこの身体を求められようとも、毅然として反抗することは、何の力も持たないシエスタにはとても難しいことだ。
貴族に手打ちに遭うかもしれない。巻き添えを恐れる同じ平民に、裏切られて人身御供として突き出されるかもしれない。もがき苦しみ、のた打ち回り、血反吐を吐いて死ぬかもしれない。
どちらにしろ、安らかな死は迎えられないに違いない。
だが、それでも。
「─ヴァルキュリアさまが、残るものがあると教えてくれましたから」
死ぬまでその理想を貫いたという誇りを残せれば、シエスタはそれで充分だった。
おそらく、誰にも理解されないだろう。殆どの人間が、死んだシエスタを見て馬鹿な奴だと蔑むだろう。シエスタ自身、心が挫けそうになることだってあるだろう。
それでも、その道を歩こうと決めたのだ。このハルケギニアで、多くの人間が憧れる童話の主人公のように、誇りを持ってこの生を駆け抜けると決めたのだ。今更迷いなど、あるはずがない。
答えを聞いたレナスは、シエスタを抱き締めたまま、僅かに身体を離して額に口付けを落とす。
その瞬間、神として冷徹に輝く瞳の中に優しい光が灯っているのを、シエスタは確かに見た気がした。
「ならばヴァルキリーとして、私は新たな英雄の門出を祝福しよう。お前は人として、最も辛く困難な道を歩み始めた。その死後は私が約束する。─ここに英雄の選定は成された」
「あ─ありがとう、ございます─」
心が奮え、感動に満ち溢れてくる。死後まで約束されたシエスタにもう怖いものはない。何の力がなくても、毅然として貴族の理不尽に立ち向かっていける。
その先に待っているものが何であれ、理想を貫いて生きていける。
今日この日、幼い英雄が平穏を脱ぎ捨てて産声を上げた。
868:代理 ゼロの戦乙女第四話7/8
08/03/22 18:57:04 gmOqRLRh
場面転換してます。以下本編続きです↓
その後、どこか照れ臭そうな顔のシエスタの案内で、レナスたち三人は厨房にやってきた。
厨房では大勢のコックが自分達の賄いを食べているところで、三人を引き連れたシエスタは、その中でも壮年のコック長に話し掛ける。
「マルトーさん、例の賄いはできてますか?」
「おう、シエスタか。できてるぜ。聞いてたより人数が多いみたいだが、量だけはあるからそこで食べてくれ。連れの嬢ちゃんもだ」
シエスタは予め話を通していたようで、厨房の隅のテーブルにサンドイッチが山盛りに盛られた大皿が置かれていた。
「お、美味そうじゃねぇか」
舌鼓を打つアリューゼにシエスタは微笑み、レナスとメルティーナに顔を向ける。
「いっぱいありますから、皆さんも遠慮なく食べてくださいね」
シエスタは三人に席を勧め、残った椅子に座る。
サンドイッチは美味だった。
賄いといえども、基本的に余った材料で作っているから素材は貴族に出すものと変わりない。貴族が暮らす魔法学院に勤めるだけあって、コックたちの腕も確かだ。
その中でも金の卵のサンドイッチは絶品で、初めて食べるシエスタなどは傍から見ても丸分かりなくらいに顔が緩んでいる。
メルティーナもご満悦なようで、満足そうな表情をしており、見る見るうちにサンドイッチは数を減らし、なくなった。
豪快に一番沢山食べたアリューゼ、一見してそうは見えないが同じくらい食べたレナスとシエスタ、実は四人の中で一番小食なメルティーナと食べた量こそ違うが、概ね皆満足している。
レナス達三人は、シエスタとマルトーに例を言うと、食堂を出た。
用を終えたレナスがメルティーナとアリューゼの実体化を解こうとしていると、後ろからシエスタが走って追いかけてきた。
「あのっ、皆さん」
三人が振り返ると、シエスタははにかんだ笑みを浮かべる。
「ありがとうございました。私、これから頑張ってみようと思います」
シエスタの透明な笑顔に、レナスが神としての冷徹な表情を和らげる。ここでようやく、シエスタはレナスの雰囲気と口調が昨日と違うことに気付いたけれど、今はもうどうでもいいことだ。
「お前は自分の手で自らの進むべき道を決めた。─ならば私はその道を照らそう」
レナスが口にした言葉は、それこそ魔法のようにシエスタの心を捉える。そこまで言って貰えるのが嬉しくて、シエスタはレナスに感謝の気持ちをこめて深く頭を下げる。
そのシエスタの頭を近寄ってきたメルティーナが撫でた。シエスタが顔を上げると、メルティーナはいつも浮かべる不敵な笑顔ではなく、柔らかな微笑を浮かべた。
869:代理 ゼロの戦乙女第四話8/8
08/03/22 18:58:00 gmOqRLRh
「途中で呆気なく死んだら笑ってあげるから、根性入れて生きなさいよ」
かけられる言葉は相変わらずきついけれど、メルティーナの表情を見たシエスタは嬉しくて頬を綻ばせた。
アリューゼが目を閉じて喉の奥で微かに笑う。
「まあ、頑張るんだな」
無骨な顔に浮かぶ笑顔が珍しくて、シエスタは思わずクスクスと笑う。
「ったく。笑うんじゃねぇよ」
額に手を当てて顔を顰めたアリューゼが、不満そうに文句を言うので、シエスタは満面の笑顔で笑って謝った。
「はい。すみません」
他愛無いこんなやり取りですら、温かい。
背を向けて遠ざかっていく三つの背中を、シエスタは見えなくなるまでずっと見つめていた。
いつか、自分も彼らのようにあの場所へ。そう思いながら。
以上、第四話投稿終了です。
870:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 19:01:42 qBQ2ZZxO
代理投下ありがとうございます。
そうか、一行の文字数をオーバーしてたんですね……。
次から気をつけます。
871:代理 ゼロの戦乙女
08/03/22 19:02:33 gmOqRLRh
1行が長すぎて書き込みにエラーが出たので一部改行を加えました。
作者様に確認をする前に修正してしまったことをお詫びします。
正式な物は代理投下スレにありますのでそちらをご覧下さい>読む人
872:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/22 19:05:54 qBQ2ZZxO
>>871
こちらこそ、改行を加えずに投下してしまって申し訳ないです。
手間を掛けさせてしまったことをお詫びします。
ありがとうございました。
873:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 19:10:56 qc1v4UIY
てかwiki登録後ですら
UXGA全画面表示でも自動折り返し入るってドウヨって事なんだけどな
874:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 19:14:52 KkcQnPmN BE:1322957388-2BP(30)
戦乙女さん乙です!
いや~、シエスタが仲間フラグとはな。
シエスタが使う必殺技・・・・以外と叫んでるのが目に浮かびやすいwww
875:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 19:17:56 wCC6zYBw
シエスタがエインフェリアになったら、どの武器を使う事になるんだろうなぁ…?
大剣か、槍か、弓か……まず片手剣は無いだろうな(ぉ
876:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 19:21:43 4cTI8cfI
GJ!
さて、ギーシュ君はどんな必殺技で昇天するのかw
877:無重力巫女の人
08/03/22 19:32:32 fXGk/1A7
どうも、お久しぶりです。
前の投稿から二ヶ月と随分経っていますが第7話を投下致したいと思います。
40分ぐらいからの投下を予定していますのでもしよろしければ支援の方お願いします。
878:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 19:36:40 KkcQnPmN BE:124027823-2BP(30)
なんとなくシエスタの決め技セリフっぽいを考えてみた
「私は……もう逃げない!」
「奥義!(必殺技名)」
「ヴァルキュリア様に楯突く者は、私が全てなぎ払う!」
879:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 19:38:13 KkcQnPmN BE:496109546-2BP(30)
支援だ!
待っていたぞ!
880:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/22 19:39:25 LY+3lRsS
誇りある惨めな死か
惰性なる安穏な生か
それが問題だ・・・
GJです
ところで金の卵入りサンドイッチてw
881:無重力巫女の人
08/03/22 19:40:01 fXGk/1A7
「ヴァリエール家やトリステインの貴族様ってのはどうしてこう見栄を張るのかしらねぇ~?」
「あ、アアンタたちとは違ってこちらには貴族として、てのプププププライドドドドがあ、あるのよ!!」
安易な挑発に乗りまくってどもりまくっているルイズに対しキュルケは顔に微笑を浮かべながら挑発している。
置いてけぼりにされたタバサは活字に目を通しながらもちらちらとその光景を眺めていた。
詳しいことは知らないが代々ツェルプストー家とヴァリエール家は犬猿の仲らしい。
お互い戦争の時には殺し殺され、ヴァリエール家はツェルプストー家に愛人を寝取られまくったりと、色々と凄まじい。
ふとタバサは肩を振るわせ顔を真っ赤にして怒鳴っているルイズを見て、彼女が召喚した変わった服を着た少女の事を思い出した。
あの時自分はキュルケと一緒にギーシュとの決闘を見に行ったが序盤から度肝を抜かされた。
使い魔召喚の儀式で見た針投げと、先住魔法と思われる空中浮遊。
そして一瞬でギーシュの背後に移動した正体不明の魔法、それに青銅のゴーレムを一撃で粉砕した謎の紙。
どういう仕組みか少し分からないが彼女はあの少女が持っている力をもっと知りたくなってきた。
そんなことを考えつつもタバサは活字から隣にいる紅白の少女へと視線を変えた。
――隣には誰もいなかった、見えるのは棚にたくさん詰められた分厚い辞典だけ。
「?」
何処に行ったのかと思い、顔を動かすといつの間にかあの少女は書店の出入り口へと足を運んでいた。
ふと視線を動かすと表通りで一人の貴族―確かモット伯とかいう名前だったはず―が給士の手を掴んでいるのが見えた。
「いい加減見栄張るのはどうかと思うわよ~?」
「アンタなんかに張ってないわよ!!」
一方ルイズとキュルケの二人の口げんかはそろそろキュルケの勝利で終わりそうであった。
ルイズは大声で叫んでいるため、息切れしそうなのだが…それにもかかわらず更に声を上げて叫んでいる。
店の者達が止めればいいのだがここを経営しているのは全て平民であるため。下手に声を掛けられないでいた。
「だいたいアンタたちゲルマニアの貴族は不躾なのよ!聞けば金さえ出せば平民でも貴族になれるらしいわね!!なんて非道い国!」
「毎年伝統やしきたりに拘りすぎてどんどん国力を減らしてる国が言える言葉?」
「うっ!!そ…それは。」
弱いところを突いたと思っていたら逆に突かれてしまい一瞬怯んだルイズだが再び口を開いた。
「と、トリステインの貴族達はアンタたちとは違って皆上品よ!!それだけは他の国に負けはしないわ!」
「じゃあ表で痴漢行為を働いている貴族は何処の国から来たのかしらね?」
そう言ってキュルケが外の方を指さし見てみると王宮勅使であるジュール・ド・モット伯爵が真っ昼間から女性の手を無理矢理掴んでいる光景があった。
一瞬ルイズは目を見開き口をポカンと開けていた。キュルケはそれを見てクスクスと笑うと追い打ちを掛けかの如くこう言った。
「あれじゃあ貴族の数が減るのは当たり前ねぇ。上品の『じょ』の字も無いわ。」
次の瞬間ルイズは荒ぶる獅子の如く猛ダッシュで入り口へと向かい突っ立っていた霊夢を突き飛ばし外へと出た。
キュルケと事がよくわからないタバサは口をポカンと開けただただ見つめていた。
882:無重力巫女の人
08/03/22 19:41:34 fXGk/1A7
「ルイズっ…!全くあの子…。」
さっきまでルイズをおちょくっていたキュルケが苦笑混じりにそう言い、床に倒れている霊夢に目を向けた。
「突き飛ばされたそこの紅白ちゃんは…大丈夫?」
「だから紅白紅白言うなって…あいてて。」
霊夢はズキズキと痛む頭を抱えてゆっくり立ち上がった。
突き飛ばされた霊夢はそのまま後頭部を本棚で強く打ってしまっていた。
「何かあった?」
事を理解していないタバサが少し目を丸くしてキュルケに話しかけた。
「あぁ…いやね?あの子をおちょくってたら外から声が聞こえて見たらトリステインの貴族さんが痴漢紛いの行為をしてるのを見て…。」
「それで止めに行ったって訳?イテテ…。」
霊夢は後頭部を手でさすりながらも外の方へと目をやった。
その頃、数時間ほど前にルイズが入った杖専門の店から出てきた男が騒ぎに気が付いていた。
「何かあったのか……?」
男は被っていた羽帽子を上にずらし音のする方へ目を向けた。
そこでは数人の人だかりが出来ており、新たに二、三人来るとほかの数人が追い出されるように去ってゆく。
それだけならただ一瞥するだけに終わり他の所へ行くつもりだったが人だかりの真ん中に貴族と話し合っている少女の姿が見えた。
その少女は綺麗な桃色のブランドヘアーで、まだまだ小さい身長。
それは親同士が決めた婚約者であり。小さな小さな彼の恋人であった。
「僕のルイズ…。」
彼はそう呟くと少女の元へと歩を進めた。
「あ~らら、何か大変なことになってるわね?」
「なにがあ~らら、よ。」
とりあえず外へ出たキュルケ、タバサ。それに霊夢は随分と展開が早くなったことに驚いた。
あの後猛ダッシュでモット伯の所へ接近したルイズがモット伯の手を掴み。素早く給士を自分の後ろへ下がらせた。
突如出現した少女に少し怒ったモット伯は今にもルイズに掴みかからん勢いだったがルイズも負けじとモット伯を睨む。
どうやら彼は相手があのヴァリエール家の三女だと知らないらしい。
「あなたの御主人様が大変な事してるわよ。止めに行かなくて良いの。」
行ってこいといわんばかりな風に言うキュルケはいかにも面白いものが見れるという目で霊夢を見ていた。
霊夢は首を横に振って返事をした。
「いやいや。いつあいつの従者になったのよ私は?でも…」
一呼吸置いて続けた。
「でもまぁ、確かにマシな食事と寝床を提供してくれているし。今日だってお茶を買って貰ったからあいつを守ってやらないとね。」
霊夢はそう言いルイズの所へ行こうとしたが自分の他にルイズの所へ行こうとした男を見つけた。
「ん、誰かしらアレ?」
霊夢は足を止め、その男を見て首を傾げる。
そのとき横からタバサが丁寧にも説明してくれた。
「恐らく、王宮の魔法衛士隊の一つ、グリフォン隊。」
「あれ、あんたも外に出てきたの?影が薄いからわからなかったわ。」
「………酷い。」
タバサのその言葉に霊夢は気まずそうな顔をして頭をかいた。
先ほど打った後頭部を掻いたため、再び頭を押さえることになったが…。
883:無重力巫女の人
08/03/22 19:43:36 fXGk/1A7
「すまない、モット伯とお見受けしたが。」
「あ……貴様、衛士隊の者か?」
ピンク髪の少女もといルイズと睨み合っていたモット伯は最中突如声を掛けてきた男に視線を向ける。
羽帽子を深く被っていて顔がよく分からないが付けているマントでその者が魔法衛士隊とわかった。
「左様。私は魔法衛士隊の内一つ、グリフォン隊の隊長です。」
男は帽子を取るとその場でモット伯に頭を下げた。
顔から見て年齢は20代後半といったところで。もう少し若ければ「美男子」と呼ばれるほどである。
ルイズはその顔に見覚えがあり思わずその男の名前を言ってしまった。
「し、子爵!ワルド子爵ですか!?」
ワルドという名前にモット伯は驚いた。
「なに!あの「閃光」の!?」
最近モット伯は「閃光」の二つ名を持つ魔法衛士隊隊長が活躍しているという話を聞いていた。
その仕事ぶりは熱心で、常に自身の魔法もしっかりと磨いているらしい。
「いかにも。」
そう言ってワルド子爵は笑顔でそう言った。
モット伯は数歩後退すると服装を正し、口を開いた。
「して、そのワルド子爵が何用でここに?」
最近街では悪徳役人、徴税官がいるらしいのでそれを取り調べるため街のあちこちに調査員や衛士隊が送られている。
モット伯自身はそのような事はしない。するといえば街での美少女さがしなものだ。
しかし万一と言うこともある、モット伯は冷静に対処することにした。
「いやなに、今日は非番でして。それを機に少し調子が悪かった杖の修繕をして帰るところでしたのだが…。」
ワルドはそう言い後ろにいるルイズへと視線を移した。
「何分そこにいるヴァリエール家の三女とあなた様が喧嘩をしていたので…。止めようとついつい。」
「ヴァ…!?ヴァリエール家の三女…まさか!」
モット伯は先ほどまで睨み合っていた少女があの名家の三女だと信じられない顔つきでルイズの方を見て、すぐに なるほど… と呟いた。
「…目元はあの「烈風カリン」にそっくりだ。」
「でしょ?だから今正に起ころうとしていた荒事を止めに来たのです。」
そう言ってワルド子爵はモット伯の傍によるとポンポンと肩を叩き、あることをモット伯の耳に直接吹き込んだ。
「それにミス・ヴァリエールはあのアンリエッタ王女と幼少の頃遊び相手として付き合っていて、私とは親同士が決めた婚約者
もしここで厄介事を起こしてしまい彼女が怪我をしてしまったら王女様に何を言われるかわかりませんよ。まぁそれ以前にこの私が許しはしませんが。」