あの作品のキャラがルイズに召喚されました part122at ANICHARA
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part122 - 暇つぶし2ch300:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 23:52:48 xx3pXbKr
>>296
フロに入ってどうする?w

支援

301:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 23:52:56 +e8Ef1gX
ヴァルキリーと言ったらやっぱり……駄目だVFやYFは「バルキリー」だった
>>286
真のインフレゲームは「日本一」の作品だと思うが…もちろん「岐阜」にある奴

でもヴァルキリー召喚って事はミョルはやっぱり「変態メガネ」なんだろうな

302:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 23:54:12 MFCur3kY
……改めて考えてみるとエロゲ出身者結構いるなぁ
つい最近でもとらハやら痕やら

濡れ場突入はまぁたぶんないだろうが……


>>296
セガガガのことかーっ!?

303:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/20 23:54:28 HZK7dB+o
ゼロの戦乙女
プロローグ


 光陰矢のごとしとはよく言ったもので、ラグナロクでレナスがロキを滅ぼしてからもう二十年が経つ。
一度はロキの終末の炎によって荒廃したアスガルドも、レナスの創造の力により元の美しい姿を取り戻し
て久しい。
 しかし、新しい世界の創造主となったレナスは、未だに多くの問題を抱えていた。
 ラグナロクが終わり、多くのエインフェリアがその役目を終えてミッドガルドに転生していく中、過去
に頑なに神界転送を拒み続けたアリューゼやメルティーナなど、一部のエインフェリアは転生を拒んで今
もなおレナスの内に存在している。
 また、旧世界においてアース神族の主神であったオーディーンが、ロキに破れたことを理由に主神の座
を退いた。代わって新たな主神の座についたレナスだが、彼女は同時に一つの幽体を三つの精神が共有す
る戦乙女ヴァルキリーでもあり、残った姉妹たちの精神をどうするのかという問題もあった。
 他にもロキに従ったヴァン神族に対する処遇や、人間界で暗躍している不死者の王ブラムス、今もなお
何処かでレナスを狙っているであろうレザード・ヴァレスなど、レナスが抱えている問題は挙げればきり
が無い。元々第六級神に過ぎないレナスは、創造主という新たな己の地位を持て余しているのが現状なの
だ。
 プラチナとしての記憶を取り戻したレナスは、主神としての日々で擦り減った己の心を、鈴蘭の草原で
癒すことを日課にしており、その日も夜風に揺れる鈴蘭に囲まれながら、実体化して独りルシオを想って
いた。
 冷徹な戦乙女として厳正に魂を選定するレナスにプラチナの影を見出し、ロキの姦計に乗せられ水鏡の
間の水鏡を無断使用するという大罪を犯した青年は、ドラゴンオーブを盗んだロキによって全ての罪を被
せられ殺されてしまった。その彼も、レナスによって再び魂を創造され、既にミッドガルドに転生してい
るはずだった。
 彼がくれたイヤリングは今もなおレナスの耳を飾っており、レナスはこの片方だけのイヤリングをあら
ゆるアーティファクトよりも大切にしていた。

(ルシオ)

 心の中でそっと彼の名を呟くだけで、レナスの心には十年経った今でも変
わらぬ思慕が沸き起こる。鈴蘭の草原に来るとプラチナとしての感情が強く
なり、ルシオが恋しくなってしまう。それでも、レナスは彼を転生させたこ
とを悔いてはいない。
 神と人では寿命も住むべき世界も違うし、そもそも人間の精神は、神々と
違って永遠の命に耐えられるようにはできていない。そのことをよく理解し
ているレナスは、転生したルシオが新たな伴侶を得て幸せになってくれれば
それでいいと思っている。それだけでもレナスは幸せなのだ。

「……あら?」

 ふと物思いから覚めたレナスは、自分の目の前に光り輝く鏡のようなもの
が浮いているのに気が付いた。
 夜の暗闇の中に輝くそれはどこか幻想的で、レナスは興味を惹かれ手を伸
ばす。

「何かしら」

 鏡の表面に触れた瞬間、強い力にレナスは引かれる。
 武装する間も無く鏡の中に引きずり込まれ、成す術も無くレナスの姿は鏡
の向こうに消えた。
 誰もいなくなり沈黙を取り戻した草原で、鈴蘭が静かに夜風に揺れていた。


304:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 23:57:06 42cVWl4y
支援

305:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 23:57:13 +e8Ef1gX
>>297
それはどうかな?

湖畔にて
変態メガネ「ウェールズ王子、彼は『不死者』となったのです!!」
アン「イヤァァァァーー」

注訳:ヴァルプロでは不死者になると倒されても消滅するだけで魂が残りません

306:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 23:59:11 7MmP2a/H
ふられストーカーがレナスのスキルニルを作ってにゃんにゃんしようと襲いかかってくるんですね
把握しましたb

307:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:01:24 K6CcJyHo
元ネタ知らないけど

支援

308:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:03:19 rcjj6yKl
流れはレナスか支援

309:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:06:01 7ZBt7v+F
ゼロの戦乙女
第一話


 レナスが突如現れた鏡に飲み込まれる少し前、アスガルドの神々が認識していない人間界─ハルケギニアで、使い魔召喚の儀式が行われていた。
 舞台となるのは国境をゲルマニアとガリアに挟まれた小国であるトリステイン。そのトリステイン魔法学院で、緩く波打った桃色のブロンドを背中ほどにまで伸ばしている少女が、何度も何度も杖を振っては爆発音を響かせている。

「おい、ゼロのルイズがまた失敗したぞ」
「サモンサーヴァントまで失敗するなんて、ゼロの面目躍如よね~。名は体を現すって感じ?」
「……十三回目」

 既に召喚を終え、契約まで済ませた生徒たちが、ルイズが爆発が起こす度に思い思いに騒ぎ立てる。
 また一つ杖を振り下ろして爆発を起こしたルイズは、観客の声に顔を真っ赤にして怒鳴った。

「五月蝿い! 集中できないじゃない! 特にツェルプストー!」

 名指しされた、赤毛の長髪に小麦色の肌を持ったグラマラスな少女がやれやれと手を掲げてぼやく。

「そんなこと言ったって、あんたの順番になってからもう一時間も経ったじゃない。つき合わされてる私たちの身にもなってちょうだいよ」

「次こそ成功させてみせるわよ! 見てなさい、絶対アンタより凄い使い魔を呼び出してみせるんだから!」

 噛み付くように赤毛の少女に言い返した少女は、掌の汗をローブで拭い、改めて杖を構える。その表情は真剣だが、心なしか焦りが窺える。見た目が可憐な美少女なだけに、失敗を重ねて追い詰められた姿は哀れを誘う。

(大丈夫、絶対できる。自分の才能を信じるのよ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!)

 誰も励ましてくれないので、心の中で自分を励ましてルイズは杖を振り上げた。

「宇宙の果ての何処かにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに答えなさい!」

310:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:08:52 7ZBt7v+F
ゼロの戦乙女
第一話


 レナスが突如現れた鏡に飲み込まれる少し前、アスガルドの神々が認識していない人間界─ハルケギニアで、使い魔召喚の儀式が行われていた。
 舞台となるのは国境をゲルマニアとガリアに挟まれた小国であるトリステイン。そのトリステイン魔法学院で、緩く波打った桃色のブロンドを背中ほどにまで伸ばしている少女が、何度も何度も杖を振っては爆発音を響かせている。

「おい、ゼロのルイズがまた失敗したぞ」
「サモンサーヴァントまで失敗するなんて、ゼロの面目躍如よね~。名は体を現すって感じ?」
「……十三回目」

 既に召喚を終え、契約まで済ませた生徒たちが、ルイズが爆発が起こす度に思い思いに騒ぎ立てる。
 また一つ杖を振り下ろして爆発を起こしたルイズは、観客の声に顔を真っ赤にして怒鳴った。

「五月蝿い! 集中できないじゃない! 特にツェルプストー!」

 名指しされた、赤毛の長髪に小麦色の肌を持ったグラマラスな少女がやれやれと手を掲げてぼやく。

「そんなこと言ったって、あんたの順番になってからもう一時間も経ったじゃない。つき合わされてる私たちの身にもなってちょうだいよ」

「次こそ成功させてみせるわよ! 見てなさい、絶対アンタより凄い使い魔を呼び出してみせるんだから!」

 噛み付くように赤毛の少女に言い返した少女は、掌の汗をローブで拭い、改めて杖を構える。その表情は真剣だが、心なしか焦りが窺える。見た目が可憐な美少女なだけに、失敗を重ねて追い詰められた姿は哀れを誘う。

(大丈夫、絶対できる。自分の才能を信じるのよ、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール!)

 誰も励ましてくれないので、心の中で自分を励ましてルイズは杖を振り上げた。

「宇宙の果ての何処かにいる私の僕よ! 神聖で美しく、そして強力な使い魔よ! 私は心より求め、訴えるわ! 我が導きに答えなさい!」

 今までとは違い、十四回目のサモンサーヴァントは、長い詠唱で行われた。
 不必要に華美な詠唱は、失敗を重ねている事実を鑑みると、勢いばかりが先行していると言わざるを得ない。だがそれ故に、成功を願うルイズの気持ちを代弁している。
 杖を振り下ろした瞬間、一際大きな音と共に、ルイズの眼の前で今までで一番大きい爆発が起こる。

「また失敗かよ!」

 爆発が起こり野次が上がるが、ルイズはその言葉が聞こえていないかのように爆発で出来た煙を凝視していた。
 いや、実際に聞いていないのだ。振り下ろした杖に、今までとは違う確かな手応えがあったのだから。

(お願い、来て、私の使い魔! ゼロと言われるのはもう嫌なの!)

 手に汗握るルイズを焦らすように、ゆっくりと煙が晴れていく。
 幻獣ならば言うことはないが、最悪小動物でもよかった。とにかく、ちゃんとした使い魔ならば、ルイズは何が来ようと文句をつけるつもりはなかった。
 しかしそんな願いとは裏腹に、煙が消えたルイズの眼前には、幻獣でも動物でもなく、平民の格好をした銀髪の女性が、突然の事態に混乱しているのか、眼を白黒させて座り込んでいるだけだった。


311:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:09:02 l16voRsK
支援


312:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:10:17 Q4s8jHnw
<302 
知ってる人が要るとわとは思わなかった。

支援

313:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:11:46 DBciDspB
戦乙女の皆さんって回復、白兵戦、錬金、ジェムで各種魔法と殆ど無敵な能力だな
炙られても、石像に殴られても余裕だし
あの「不遇な黒い長女」は出るのかな?

314:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:14:59 7ZBt7v+F
「へ、平民……? そんな」

 呆然とした表情でルイズが呟く。
 無理もない。他の生徒たちはあっさりと召喚に成功し、中にはドラゴンやサラマン
ダーといった強力な幻獣を召喚させている生徒だっているのに、
自分は十三回も失敗した挙句、幻獣でも動物でもなく、よりにもよって前代未聞の、
何の役にも立たなさそうな平民を召喚してしまったのだ。その
落胆は筆舌に尽くし難い。

「嘘でしょ……? こんなに、こんなに頑張ったのに、どうして平民なのよ……」

 ゼロと揶揄されながら、ヴァリエール家の三女として誇れる結果を出せるように、
誰よりも真剣に準備して召喚に望んだのに、小動物すら召喚で
きなかった。
 ルイズは泣きそうになりながら己が召喚した平民を見つめる。
 青色を基調にした上衣と、裾に装飾が施された長スカートは結構上質な生地ででき
ているようだ。整った顔立ちは貴族のルイズが見ても美しいと思えるものだったが、
杖を持っている様子がない以上ただの平民に過ぎない。召喚されたのがメイジだった
らメイジだったで色々と問題だったが、少なくともここまでコンプレックスを刺激
されずとも済んだだろう。
 追い討ちをかけるように、群衆から野次が飛ぶ。

「ルイズが平民を召喚したぞ!」
「さすがはゼロのルイズね!」
「……おめでとう」

 かなり凹んだ。特に拍手までした三人目の言葉に凹んだ。
 本人は純粋に労っているつもりなのかもしれないが、ルイズにしてみれば無表情
で、しかも本を読みながらおざなりにやられても嫌味にしか聞こえない。
 一縷の望みをかけて、ルイズは儀式の監督をしていた教師に頼み込む。

「ミスタ・コルベール! やり直させてください! 平民を使い魔にする
なんて、聞いたことがありません!」

 ローブを着た、禿げ上がった頭の中年男性は一瞬同情的な目でルイズを
見つめるが、真剣な表情で首を横に振る。


315:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:15:44 l16voRsK
今日は投下ラッシュでオレパッピー。
しかし、さざなみの人のキュルケとチキの人のタバサは自重しろwww

あれ?ヴァルプロの人書きながら投下してんの?さる食らった?

316:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:17:12 9MmmchWh
>>315
投下しながら調節かと支援

317:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:17:13 ZeapzxdL
新作の主役がまたしてもレナスでアーリィ様カワイソス支援。

318:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:20:20 7ZBt7v+F
「それは許可できない。春の使い魔召喚の儀式が伝統のある神聖な儀式だということ
は、勤勉な君ならよく知っているだろう。自分の意に添わない使い魔が出たからって
例外は認められないんだ」

「た、確かにそれはそうですけど……」

 言い返す言葉が見つからずに、ルイズは唇を噛み締めた。
 コルベールの言葉は一々もっともで、言われるまでも無くルイズはそのことをよく
理解していた。
 それでもやり直したかった。立派な使い魔を召喚して、自分をゼロと馬鹿にする人
間を見返してやりたかった。そして何よりも、大切な家名にこれ以上泥を塗りたくな
かった。
 落ち込むルイズを見かねたか、コルベールが励ましの言葉をかける。

「安心しなさい。慰めにもならないかもしれないが、一応召喚はできたんだ。君がゼ
ロでないことは証明されたじゃないか」

 指摘されて、ルイズは初めてその事実に気が付く。
 どういうわけかどんなに簡単な魔法でもルイズが唱えると全て爆発になってしまい
、ルイズは一度も魔法を成功させたことがない。それ故『ゼロ』という不名誉な二つ
名がつけられていたのだが、確かにもうゼロじゃない。『イチ』だ。イチのルイズだ。

(……全然嬉しくないわよ!)

 思わずへなへなとその場に崩れ落ちるように膝をつく。その拍子に自分が呼び出し
た平民と眼が合い、フツフツと怒りが湧き上がる。

(全部コイツのせいだわ。何で出てくんのよ)

 八つ当たり気味に理不尽な怒りをルイズが抱いているとも知らず、武装していなか
ったためにただの平民と思われているレナスは、真夜中の鈴蘭の草原から、燦々と太
陽が眩しい見知らぬ中庭らしき場所に飛ばされたことに困惑していた。
 自分があの不思議な鏡を潜り抜けたことは理解している。だが、何故夜だったのが
昼に変わっているのか、レナスにはさっぱり分からない。今いる場所が何処なのかさ
え分からない。

「……アンタ、誰」

 気が付けば目の前にへたり込んでいる、桃色の髪を持った少女が口をへの字にして
レナスを睨みつけていた。
 しかしレナスにはルイズの心情など分かるはずもない。状況を理解するために、中
腰になり目線を合わせ、目の前のルイズにコンタクトを試みる。

「人間よ。ここはどこだ?」

 レナスの口から漏れた意味不明の言葉の羅列に、ルイズは思わず目を丸くする。

「何言ってるの? 分からないわ」

319:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:20:57 7ZBt7v+F
「ふむ……お前たちの言葉は分かるのだが……こちらの言葉が通じていないのか?」

 ルイズはレナスの言葉が分からないことに動揺していた。
 サモンサーヴァントで召喚された使い魔は、その時点である程度精神的な改造を施
されている。そのため、どんなに遠くから召喚された使い魔でも、喋れるのなら言葉
が通じないということはないはずなのだ。

「ミス・ヴァリエール。一応サモンサーヴァントは成功したのだから、早くコントラ
クトサーヴァントを行いなさい。そうすれば言葉が通じるようになるはずです」

 困惑する二人にこれでは埒があかないと思ったのか、コルベールがルイズに告げる。
コルベールもルイズと同じ疑問を感じたのか、やや表情が硬い。

「はっ、はい! ─我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァ
リエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ……」

 レナスの頬に手を添え、ルイズは唇を窄めて顔を寄せる。
 そのような行為をされる理由が分からず、レナスは眉を顰めた。
 何か葛藤があるのかフルフルと睫毛を震わせるルイズを見て、ようやくレナスはあ
る程度の合点がいく。

(接吻することで、私と何かの契約をしようとしているのか? ホムンクルスと融合
して完全ではなくなったとはいえ、神に対して、同意も得ずに契約だと?)

 憤った瞬間、レナスの脳裏にある種のトラウマが過ぎる。
 嘗てレザード・ヴァレスの塔で、レナスとそっくりのホムンクルスたちを見たが、
その光景は今もなおレナスの記憶に悪い意味で焼きついている。そして、今レナスが
抱いている感情は、間違いなくその時と同じ『怒り』だ。
 しかし、レナスがルイズを振り払うことはなかった。
 ルイズの右耳に、見覚えのあるイヤリングが揺れているのを見つけたのだ。レナス
はそのイヤリングが何なのかよく知っている。何故なら、同じ物が今もレナスの左耳
を飾っているのだから。

(あれは、ルシオがくれたイヤリングの片割れ。転生したルシオに託した想いの証。
何故この人間が付けているの?)

 イヤリングを見たためにプラチナの思考が強く出たレナスは、一瞬我を忘れてルイ
ズの顔を見つめた。
 呆然とするレナスに唇に、僅かに頬を染めたルイズの唇がそっと合わされる。

「うぅっ……!?」

 ルイズが離れた途端、左手の甲に走る激痛にレナスはうめく。
 平民を使い魔にしたと勘違いしているルイズは、素っ気無い態度でレナスの頭を叩
く。

「使い魔のルーンを刻んでいるだけよ。我慢しなさい」


320:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:23:49 5676Rqb/
相変わらず導入部のルイズとコッパゲは糞だな

321:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:24:33 DBciDspB
そろそろアーリィ様もぐれるよなここまで来ると軽いいじめだなw

322:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:25:42 mYyoDai9
新作発表されたのかと驚きつつも支援。

323:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:27:04 rcjj6yKl
神族通り越して神なのにね、罰当たりだね。支援

324:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:27:33 7ZBt7v+F
 痛みを堪えながら、レナスは気安げに頭を叩かれたことにきょとんとし、呆気に取
られた顔をしてルイズを見つめる。もしフレイが今のレナスを見れば、その情けなさ
に頭を抱えるに違いない。

「ふむ。珍しいルーンですね……」

 横では禿げ上がった頭の中年教師が興味深げな様子で、手に持った羊皮紙に何かを
スケッチしている。
 レナスが己の左手に目を落とすと、見慣れぬ文字が刻まれていた。

「これは……ルーン文字?」

 幸いルーン文字ならば、失われたルーンでなければ大体は知識として持っている。
レナスは刻まれているルーンを読み取り、首を傾げる。

(……ガンダールヴ?)

 その言葉が何を意味するのかは分からないが、何かの契約の証であることは間違い
ない。面倒事になるのを予感してため息を付いたレナスは、ちらりとルイズを盗み見る。

(それに、ルシオとこの人間についての関係も調べないと。どうしてイヤリングを持
っているのか。……あのイヤリングは転生したルシオのもとにあるはずなのに)

 プラチナとしての感情を掻き乱されたレナスは、少々混乱しながらも今後の考えを
纏めた。
 とりあえず、ここがどこなのか、そして結ばれた契約が何なのか早急に把握する必
要がある。右も左も分からない以上、レナスにとっては業腹だが、何らかの契約者で
あろうルイズに従うしかないだろう。

「それじゃあ、ミス・ヴァリエールの儀式も無事済んだことだし、今日の授業は終了
だ。これにて解散!」

325:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:28:21 7ZBt7v+F
言い出したコルベールを始めとして、見物していた生徒たちが次々に『フライ』の
魔法を唱え、使い魔を従え思い思いに飛んでいく。
 中には飛び去り際に「お前は歩いて行けよ、ゼロのルイズ!」と暴言を投げかける
者もいた。

「……私たちも行くわよ。ついてきなさい、事情を説明してあげるから」

 向こうから説明してくれるというのなら是非はない。暴言を投げかける生徒に律儀
に怒鳴り返しながら歩いていくルイズを追いかけて、レナスも見慣れぬ地を歩き出した。


            □ □ □


 使い魔となったレナスを従えて部屋に戻ったルイズは、ベッドに腰掛けると己の使
い魔を見つめた。

「とりあえず最初に自己紹介しとくわね。私はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・
ド・ラ・ヴァリエール。で、アンタの名前は?」

「……レナスだ」

 レナスは無表情を崩さずに簡潔に名乗る。

「さっそくだが、ここが何処なのか聞かせて欲しい。正直今の状況が掴めない」

 平民らしき使い魔を召喚したのを認めたくないのか、ルイズはまだ不満そうな顔を
している。
 しかし、質問をされて腹を括ったようで、足を組んでレナスの質問に答えた。
「ここはトリステイン魔法学院にある女子寮よ。あなたはサモンサーヴァントってい
う使い魔召喚の儀式で召喚されて、私の使い魔になったの。左手に刻まれたルーンが
その証」
「私を使い魔として召喚しただと?」

 レナスは信じられぬ思いでまじまじとルイズを見つめた。仮にも新たな世界の創造
主である自分を使い魔として召喚するなど、聞いたことも無い。それに、人間に使役
されるなど、神々にとっては屈辱も同然だ。
「ええ、そうよ。本当は幻獣がよかったんだけど、この際アンタでも文句は言わない
わ。召喚できただけでも御の字だもの」

「私よりも幻獣を召喚したかったか?」

 暗に幻獣よりも格下に見なされていることに気付き、レナスはムッとする。幻獣の
中でもトップクラスの実力を持つであろうブラッドヴェインやフェンリルをエインフ
ェリアと共に屠ってきたレナスは、少なからず矜持を傷付けられ、苛立つ。
 そんなレナスの思いにも気付かず、ルイズはきょとんとした顔をした。

326:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:28:50 DQPLAtpr
神だけどレナスの普段着は質素だから支援

327:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:29:06 7ZBt7v+F
「当たり前じゃない。誰も好き好んで平民を召喚したりなんかしないわよ。私だって
できるなら、ドラゴンやマンティコアを召喚したかったわ」

 本気で残念そうなルイズを見て、レナスはようやく理解した。

(この少女は、私が神だということに気付いていないのか)

 レナスは何だか馬鹿らしくなって、自分から神だと言い出すことを止めた。
 そもそも今のルイズの様子では、言っても信じてもらえないだろう。ならば無用な
行為に時間を割くべきではない。
 さらに言うなら、レナスはトリステイン魔法学院などという施設の存在を今まで全
く聞いたことがなかったため、事態を把握するまでは正体をばらすことで余計な騒動
を起こしたくなかった。

「とにかく話に戻るわよ。で、使い魔に求められる役割なんだけど」

 気を取り直してルイズが解説を再会する。

「一つは感覚の共有よ。私たちメイジは使い魔と契約すると、その使い魔の視界を借
りることができるようになるわ」

「今も見えるのか?」

 何気なくレナスが尋ねると、ルイズは暗い顔をする。

「……できないみたい。私は『ゼロ』だもの」

 『ゼロ』の意味を尋ねようとしたレナスは、召喚当時ルイズが『ゼロ』と呼ばれる
と顔を真っ赤にさせていたのを思い出し、口を噤む。大方蔑称なのだろう。触らぬ神
に祟りなし、藪を突付いて蛇を出す必要はない。
 咳払いを一つして、気を取り直したルイズは説明を続ける。


328:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:31:55 7ZBt7v+F
「もう一つは、秘薬や薬草、鉱石などの調達。そして最も重要なのが、主人となった
メイジの身を守ることなんだけど」

 言葉を止め、ルイズはじろじろとレナスの服装を眺める。何処からどう見ても、ル
イズにはレナスが平民、それも荒事専門の傭兵などではなく、少々見目のいい村娘に
しか見えない。

「……まあ、アンタにはどれも無理だと思うから、とりあえずは身の回りの世話をし
てくれればそれでいいわ」

 言っているうちに自分で情けなくなってきたのか、ルイズの眉がハの字に下がった。

「よくよく考えてみると本当に役に立たないわね。メイドの真似事しかさせられない
なんて、使い魔の意味ないじゃない」

 レナスは言い返したかったが敢えて黙っていた。
 ルイズの誤解を解くつもりはない。不本意にも、同意なしに契約を結ばれ、無理矢
理使い魔にさせられたのだ。これくらいの意趣返しをしても罰は当たらないだろう。

「それで、今日はどうすればいい?」

 厳かにレナスが尋ねると、ルイズは疲れたのか足を崩して思案する。

「そうね、今は特に頼みたい用はないから、夕食の時間までは好きにしてていいわよ。
学院を探検するのもいいし、ここにいても構わない。好きにしなさい」

 自由時間を与えられたということで、レナスは学院の地理を把握しておくことにした。
 今はとにかく少しでも情報が必要だ。

「なら……少し辺りを散策してこよう」

「私は明日の授業の予習してるから。日が沈んだら戻ってきなさいよ」

 そう言ってルイズは机に向かう。勤勉そうなその様子に少しだけ感心しながら、レ
ナスは何気なさを装ってルイズに問い掛ける。

「一つ聞いてもいいか? その右耳のイヤリングは誰から貰った?」

 振り返ったルイズはきょとんとすると、自分の耳のイヤリングを触れる。

「これのこと? もとから私のよ。物心つく前にはもうつけてたもの。今じゃ外して
ると逆に不安になるのよね。それがどうかした?」

「いや、少し気になっただけだ」

「そう? じゃあ、迷子にならないようにね」

 ルイズが机に向き直るのを見て、レナスは部屋を出た。
 余計な人間に声をかけられないように、自分にアストラライズをかけて霊体化する。
 アストラライズとは、対象物のマテリアルをアストラルに変換し、霊体化する技術
である。人間は本来マテリアル(物質)、アストラル(幽体)、メンタル(精神)の三つで
構成されているが、神は魂と同等の存在なのでマテリアルが無く、アストラルとメン
タルの二つで構成されている。そのため、マテリアライズやアストラライズを行うこ
とで、自由に実体化したり霊体化したりできるのだ。ぶっちゃけ幽霊と大して変わり
が無い。
 霊体化したレナスは目の前のドアをすり抜け、散策がてら適当に生徒たちの観察を
始めるのだった。

329:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:32:00 ESq6serg
シェーン!カム(ry

330:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:32:33 DBciDspB
触るもなにもお前が神だろ
と突っ込んでみる。
新作はDSので主人公が妙に老けてるのだっけ?買わないけど

331:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:33:58 rcjj6yKl
タバサ失神フラグ支援

332:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:34:27 pBBCWgeI
大丈夫、戦乙女ヴァルキリー2ならメインヒロインはアーリィっぽいのだ
……ワルキューレっぽいのに人気とられなきゃいいが


タバサ失禁フラグ支援

333:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:34:34 7ZBt7v+F
以上、プロローグと第一話投下終了です。
まごついてしまって申し訳なかったです。
文字数ばかり気にしてたら60行128文字の規定に引っかかりましたorz
支援ありがとうございました。

334:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 00:36:55 7ZBt7v+F
追記として、一部二重投稿になってしまいました。
重ね重ねすまんです。

335:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:37:04 pcFaYIqj
霊体化…………タバサ逃げてーッ支援

336:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:39:02 rcjj6yKl
>>334
乙!

これから先、楽しみにしてます。

337:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:39:35 l16voRsK
調整しつつ投下されてたのね。
乙乙~。

338:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:40:54 JwyKR3c/
本気の神召喚って今まであったっけ?
なにはともあれ乙
ニーベルンヴァレスティで浄化されるのかギーシュ・・・
剣はグランスリヴァイバーか咎人の剣辺りでオーバーキルか

339:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:41:12 K6CcJyHo
投下乙です
神召喚のTUeeee系と見せかけてのこの展開は素敵だ

340:⑨な使い魔
08/03/21 00:42:27 ObgiKrVQ
夜分遅くに失礼します。小ネタ投下したいのですがよろしいでしょうか?
予約等なければ、10分後に投下したいと思います。
作品は東方Project、キャラは氷精チルノです。

341:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:42:55 t70rB2yF
つ アマ公(大神)
つ大十字九郎(デモンベイン)
つクトゥグア(クトゥルフ神話)
つ魔王マーラ(真・女神転生Ⅱ?)
ぱっと出せるのはこれぐらい?

342:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:43:10 F8okml3/

タバサはやくにげて~!

343:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:43:45 9MmmchWh
.>>340
ついに、ついに⑨が・・・

344:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:44:50 4z5Yx4Pc
あたいってあ最強ね! と見せかけてナインブレイカー支援

345:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:45:08 DBciDspB
乙、PS2でマンドラゴラ殺してフリーズしたこともあるので期待です
レナスが居るところには時をかけてでも現れる至上最強の変態で錬金術も嗜む魔術師にも期待

346:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:45:43 OC/3krqo
乙ー
「私ぁ、カミサマだぁよ」と分かった後のルイズの行動が楽しみだ

>>340投下支援


347:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:49:00 DBciDspB
>>340やっぱりあたいってば最強ねが来るのか

348:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:48:59 K6CcJyHo
うろ覚えなんですがガンダルーブってオーディン系に関係してた気が・・・ヴァルハラの戦士だっけか?

349:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:50:04 bv3kg+4V
>>340
チルノか…一応スペックは高い方なんだよな
二次の印象強くて⑨な面ばかり強調されてるけど
「花映塚2(?)」みたいなのが出たらケロ神様を氷漬けにして~

350:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:52:34 7ZBt7v+F
虚無の使い魔の名前は北欧神話の精霊からですねー
たぶん(ぁ

351:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:52:48 qg/Cjrj6
>>338
大日如来

そして支援

352:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:53:20 pBBCWgeI
よく考えたらレナスが「私は神だ!」とか言い出したら
世界違うんだから邪神扱いされたあげく
下手すりゃルイズが魔女狩りくらって
散々輪姦されたあげく見せしめに火あぶりとかなりませんかね

なんつーかこの世界の貴族は腐った奴が多いからなあ……


頭がパーフェクパーフェクフリーズ支援

353:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:53:35 DBciDspB
>>349 ゆうこ2花映塚?

354:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:53:56 NsXByg0V
氷支援

355:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:55:48 Q4s8jHnw
関係ないけど奥様は魔女だと男は魔法使いで女は魔女。

356:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:56:06 mPKzXrXM
>>338
小ネタでグローランサの疫病神マリア様

氷精といえば雪女を召喚させたいのう、ぬらりひょんの孫の
そして支援

357:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:58:22 bv3kg+4V
>>345
来るのは確実ですよ、それとも「既に来ている」のかも(ジョゼフに召喚されて)
でも変態メガネが来たら…ルイズはかなりヤバイな
「愛しのヴァルキリー」にあんな事やこんな事やらせる訳だから「死ぬよりも酷い目」は確実
不死者化されて各種拷問用生物で……寒気がするぜ

358:⑨な使い魔
08/03/21 00:58:23 ObgiKrVQ
自分で10分後と言っておきながら投下遅れましたorz
投下開始します。

359:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 00:59:56 N5JZ2H6d
ちょwww⑨ってwwwwまさかwww
支援

360:⑨な使い魔
08/03/21 01:00:45 ObgiKrVQ
「宇宙の(ry」

もうもうと立ち込める白煙の中から現れたのは、妖精でした。

「あたいは氷精チルノ!」

氷精?氷の精かしら?背中に生えてる羽みたいなものが氷みたいだから、きっとそうね。
苦節十数年、このルイズついにアタリを引きました。
今までゼロゼロと蔑んできた連中は地べたに這いつくばってごめんなさいと言うがいいわ。


チルノ?⑨だろ?
⑨!⑨!
⑨を召喚するとは流石ゼロのルイズ!
チルノっ、チルノっ、チルノちゃーん!


外野の反応は様々だ。おい、今ゼロとか言った奴後で校舎裏に来い。



361:⑨な使い魔
08/03/21 01:02:36 ObgiKrVQ
先生たちが何か騒いでいるけど、何かあったのかしら?
あの方向はさっき私をバカにした奴を失敗魔法で吹っ飛ばしてみた方向だけど…
後ろから仕掛けたから、気付かれないわよね。

そんなことはどうでもいいとして、安心したらお腹が空いたわ。今日のお昼は何かしら?

そういえば妖精って何食べるんだろ?
さすがに他の使い魔に与えるようなものという訳にはいかないだろうし…
普通のご飯でいいのかしら。後でメイドに頼んでみましょう。


授業が終わって部屋に戻る時、通りすがりのメイドが畏まってお礼を言ってきた。
なんでも、チルノのおかげで食品の日持ちがよくなって、経費が減ったとか。
後でコック長が正式にお礼を言いに来るとか言ってたけど、面倒だし断ったわ。
別に私がやった訳じゃないしね。

他にも果物のシャーベットを作ったりしてるみたいだから、平民には受けがいいみたいね。
べっ、別に今日出たデザートのシャーベットが美味しかったから言ってる訳じゃないんだからねっ!


362:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:05:06 JwyKR3c/
コック長がパット長に見えた
支援

363:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:08:31 DBciDspB
>>362
一瞬PADが目に写ったのは種のない手品ですね
ちょっと来客らしい、こんな真夜中に誰だろう見てきますね

364:⑨な使い魔
08/03/21 01:08:51 ObgiKrVQ
その後もチルノは使い魔として本当によく働いたわ。
ちょっと頭が足りないところもあるけど、ギーシュのゴーレムを弾幕?とかいうので蹴散らしたり、
色々あって実は裏切り者だと判明したワルド様を風の偏在含めてはたき落としたり。
そうそう、アルビオンで私が虚無の担い手だということもわかったんだっけ。
…何かちょっとはしょりすぎたような気もするけど、別にいいわよね。誰が困る訳でもなし。
今の私たちは、祖国を救った英雄として「ゆにっと」というものを組んで各地を回っている。
チルノ曰く、「みんなのアイドルになれる仕事」らしい。そういうものなんだ。

一番のヒット曲は「おてんば☆ラヴガール」。
雑務を任せているシエスタによると、毎日飛ぶように売れて売り上げも上々らしい。
私たちの名声はトリステインのみならずゲルマニア、果てはガリアやロマリアにも広まっている。
エルフにまで広まってるとか聞いたけど、本当かしら?

順風満帆、すべて世は事もなし。

さぁ、今日もステージが私たちを待っているわ!行くわよ、チルノ!



「「あたい(私)ってば最強ね!」」

365:⑨な使い魔
08/03/21 01:14:09 ObgiKrVQ
以上で投下終了です。支援ありがとうございました。

ちなみにチルノの脳内には、幻想郷に帰るという選択肢はハナからありません。
だって⑨ですもの。

それでは名無しさんの次回作をお楽しみにー。
そんな訳で失礼します。

366:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:26:36 W/v322ox
乙!&GJ

367:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:37:02 7ZBt7v+F
夜遅くで申し訳ないのですが、五分後に第二話、第三話を投下します。
今回はきっちり調整を済ませたのでスムーズに行くかと思います。


368:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:38:11 l16voRsK
⑨の人乙。
ヴァルプロの人、かかってこいやーっ!

369:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:41:12 QuBrISVO
ACのナインボールが来るのかと思った…

370:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:41:16 ObgiKrVQ
ヴァルプロの方、投下ペース速いですね。
自分も見習いたいですが、なかなかまとめるということができなくて。
支援支援

371:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:43:03 7ZBt7v+F
ゼロの戦乙女
第二話


 廊下を挟んでルイズの向かい側に自室があるキュルケは、己が召喚
したサラマンダーにとても満足していた。
 火竜山脈に住むサラマンダーの中でも一際大きく立派で、尻尾など
は見たことがない珍しい形状をしている。売るつもりなど無いが、好
事家に売ればおそらく値段はつけられないだろう。

「フレイム~」

 ベッドに寝転がりながら機嫌のいい明るい声で使い魔を呼ぶと、オ
レンジ色の大きなトカゲに似た幻獣がベッドの傍に近寄ってくる。

「……格好いい」

 キュルケに呼ばれて使い魔を見にきていた青い短髪の少女─タバ
サが、ベッドの上に腰掛けて本を読みながら、片目でちらりとフレイ
ムを見て無表情に感想を漏らす。

「でしょ? タバサの風竜には及ばないけど、あたしの属性にぴった
りの使い魔だと思わない?」

「……思う」

 傍から見ればお前ら本当に友達かと突っ込みたくなるようなやり取
りだが、これが彼女たちの普通だった。
 お互いの生活に過度に干渉しない程度の気遣いは持っているし、話
を聞く態度で一々文句をつけるほど子どもでもないから、結構これで
上手くやっていけている。
 レナスが扉をすり抜けてきたのはそんな時だった。
 ベッドの前で控えている使い魔に興味深そうな視線を送る。ベッド
にはキュルケとタバサがいるが、霊体化しているレナスは二人を気に
せずに堂々とフレイムを観察する。

『炎の幻獣? 見ない種類だな。新種か?』

 霊体化していれば声も聞こえなくなるので、レナスは遠慮なく声を
出す。
 突然の侵入者に、フレイムが慌てて振り向いた。

「フレイム?」

「……どうしたの?」

 人間であるキュルケとタバサには霊体化しているレナスの姿は見え
ない。
 フレイムをレナスは珍しそうにしげしげと眺める。

『霊体化した私が見えるのか? お前にしか見えないのか、使い魔な
らば誰でも見ることができるのか、実に興味深いな』

「フレイム? 何を見てるの?」

 使い魔の尋常ならない雰囲気を察したか、キュルケが真剣な表情に
なる。


372:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:43:08 LQ3fhj4N
⑨の人乙

戦乙女支援


373:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:43:36 ABIdRU04
作成段階からカウント系の機能がしっかりしてるフリーのテキストエディタ使っとけ
行・文字数の制約にはそれが一番手っ取り早い

374:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:43:48 7ZBt7v+F
「……使い魔が何もいないところを見るのは何かがいる証拠」

 本を読んでいたタバサは、本に栞を挟むと立て掛けていた身体に不
釣合いな大きな杖を取り、気配を探り始めた。
 心なしか顔色が青い。

「もしかして、幽霊かしら?」

 何もない空間に威嚇しているフレイムを見て、キュルケがピンとき
たように言うと、目に見えてタバサの目が泳ぎ出し、挙動不審になった。

(あっちゃー、そういえばこの子、お化けが苦手なんだっけ)

 キュルケは杖を抜き放ちながら、普段の落ち着きが嘘のように動揺
しているタバサを己の後ろに追いやる。

『驚かせてしまったか。だが人間には見えていないようだな。……な
らば気にするほどのことでもない』

 そう一人で合点したレナスはすぐに出ていこうとしたのだが、少し
茶目っ気を起こしてタバサの背後に回る。
 動きに合わせてフレイムが頭を巡らし、タバサに向き直った。

「……移動した? こっち?」

 動揺したタバサはフレイムの視線から逃れるため、ベッドの上を這
いずって壁際に移動する。
 レナスはアイテム生成で『ウサギの足』を創り出し、移動している
途中のタバサの肩の上に実体化させ、マイペースに壁をすり抜けてい
った。
 不意に肩に重みを感じたタバサが、四つん這いのまま肩に置かれた
ウサギの足をきょとんとした表情で見る。

「タバサ……それ、何?」

 続いて、慄いて乾いた声で問い掛けるキュルケにぽかんとしたまま
顔を向ける。
 ようやく事態を把握したタバサは、杖も本も放り投げてウサギの足
を振り払い、声無き絶叫を上げてベッドから転げ落ちた。

「ちょっ、大丈夫!?」

 慌てて声をかけるキュルケに、タバサは腰が抜けたのか四つん這い
のまま反対側の部屋の隅に高速で這いずっていく。

「ああ、もう、何なのよ」

 キュルケはベッドの上に落ちたウサギの足を拾うと、まじまじと見
た。

「何よ……よく見たらただの作り物のアクセサリーじゃない」

 呆れたように息を吐くキュルケの傍に、レナスがいなくなって緊張
を緩めたフレイムが、のそのそと寄ってくる。

「タバサ、幽霊じゃなくて、ただの悪戯みたいよ?」

 鼻先を摺り寄せてくる己の使い魔を撫でながら、キュルケがタバサ
に声をかける。


375:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:44:27 NyYSY+f4
我と共に生きるは冷厳なる勇者、支援!

376:ゼロの戦乙女 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:44:56 7ZBt7v+F
 部屋の隅でキュルケの様子を震えながら窺っていたタバサは、キュ
ルケの言葉を聞くや否や、自分の杖とベッドに投げ出した本を持って
足早に部屋から出ようとした。

「何よ、もう帰るの?」

 不満そうに言うキュルケに、タバサはドアに手をかけたまま振り返
り、何やらおどろおどろしい雰囲気で言った。

「……犯人、探して仕返しする」

 キュルケとタバサの間の空気が凍り、二人の間に気まずい沈黙が流
れる。

「そ、そう……。気を付けてね」

 無表情でもやる気満々なのが窺えて、キュルケは苦笑いした。
 数刻後、犯人を見つけられずに肩を落として戻ってきたタバサを、
キュルケがあの手この手で慰める破目になったのは言うまでもない。


377:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:46:09 qpRNwlcY
市宴

378:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:47:11 W/v322ox
支援

379:ゼロの戦乙女第二話2/3 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:47:37 7ZBt7v+F
 日が沈んだので実体化して部屋に戻ると、レナスはルイズによって
そのまま食堂に連れていかれた。
 通称「アルヴィーズの食堂」と呼ばれるトリステイン魔法学院の食
堂は、ヴァルハラの豪華絢爛な建物に見慣れているレナスの目を持っ
てしても、遜色ないと思えるものだった。
 テーブルには灯りとしてなのか、いくつもの蝋燭が均等に並べられ、
揺らめいた光が幻想的な光景を作り出している。また、所々に花が飾
られ、見る者を目を楽しませている。
 そして何よりも、晩餐に相応しい豪勢な料理の数々がテーブルに並
べられていた。

「見事なものね」

「でしょ? トリステインの貴族は、この魔法学院で魔法だけでなく
貴族に相応しい教養も身につけるの。この食堂もそのためのものなの
よ」

 得意げなルイズの説明を聞いて、レナスは素直に感嘆した。
 神々は本来食事を必要としないが、嗜好品としての需要は存在して
おり、現にヴァルハラでも祝勝会などが開かれた時には、酒や料理が
振舞われ、神々にとって数少ない娯楽の一つになっていた。
 それはレナスにとっても例外ではなく、プラチナの記憶を取り戻し
た分、他の神々よりも食に対する欲求は強く、期待は否応無しに高ま
っていく。
 そんなレナスを他所に、テーブルの合間を縫って、どこか得意げに
ルイズは歩いていき、空いている椅子の前で立ち止まってレナスを見
る。
 椅子を引いて欲しいのだと理解したレナスが渋々椅子を引いてやる
と、ルイズは満足そうに優雅な動作で椅子に腰掛けた。
 続いてレナスが隣に座ろうとするのを、素早くルイズが押し留める。

「この椅子に座っていいのは貴族だけなの。アンタはこっち」

 指し示された指に合わせて視線を下げると、床の上に申し訳程度に
豆が浮いた塩スープと、古くなってかちかちに硬くなったパンが置い
てあった。
 まるでプラチナとして生きた時代を再現したかのような献立に、レ
ナスの表情が曇る。
 困った顔で己の食事とルイズの食事を交互に見るレナスを見て、ル
イズがこっそり拳を握った。

(召喚したての使い魔にはしつけが肝心。まずは食生活で主従関係を
きっちり思い知らせるのよ)

「……この扱いの差は何だ?」

 感情を押さえて尋ねるレナスに、ルイズは当然のような顔を取り繕
って答える。

「そりゃ、私が貴族なのに対して、アンタが平民で使い魔だからよ。
本来なら使い魔はここに入れないんだから、入れてあげただけ感謝し
なさいよね」

 尊大な態度で言うルイズは、レナスがきちんと主従関係を認めれば、
きちんそれなりのことはしてやるつもりだった。

(ほら、ご主人さまにすがりなさい! そうしたら恵んであげないで
もないんだからね!)

 レナスは微妙に期待の篭ったルイズの視線を敢えて無視した。

380:ゼロの戦乙女第二話2/3 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:48:58 7ZBt7v+F
「……そういえば、今の私の立場は平民の使い魔だったな。食べられ
るものが出るだけマシということか」

 ルイズを他所にレナスはため息をつくと、スープとパンの皿を持っ
て立ち上がる。
 当てが外れたルイズは、きょとんとしてレナスを見上げた。

「食べないの?」

「ここでは食べにくい。外で食べてくるから、何かあったら呼べ」

「えっ!? ちょっと、待ちなさいよ─!」

 何やら憤慨して騒ぐルイズを尻目に、レナスはルイズを置いて外に
出る。
 外では夜空に星が煌き、それなりに落ち着いて食事ができそうだっ
た。
 食堂の傍に座り込み、夜空を見上げながら硬いパンを齧る。

「そういえば、ここまで貧相な食事をするのは、プラチナだった頃以
来か……」

 懐かしい記憶が甦り、レナスは感慨に耽った。
 プラチナだった頃は家が貧乏で、ろくに食事をさせてもらえなかっ
た。
同じコリアンドル村に住んでいたルシオの家も同様で、ある日ルシオ
の妹が人買いに売られていったのを、レナスはおぼろげな記憶で覚え
ていた。
 十四歳で神界に招致されてしまったので、ここまで貧しい食事はそ
れから取ったことがない。
 戦乙女である今は無理に食事をする必要などないのだが、レナスは
何故かそうする気にはなれず、黙々と食事を続ける。献立は貧相でも、
彼女なりに懐かしい味を楽しんでいたのかもしれない。
 そう考えると、具が豆しかない塩スープも何故か美味しく感じられ
た。

「……悪くはないわ」

 レナスの表情が緩む。
 量が少ないので、久しぶりの食事は呆気なく終わった。
 暇を持て余して夜空を眺めていると、横合いから声をかけられる。

「あの、こんな所で何してるんですか?」

 振り向くと、メイド服を着た短い黒髪の少女が、不思議そうな顔で
レナスを見下ろしていた。
 おそらく平民だろう。まだ少女のようだが、貴族並みに恵まれた愛
らしい容姿とメイド服の上からでも分かる胸の膨らみが、将来への期
待を感じさせる。
 レナスが口を開く前に、少女はレナスの横に置かれた空の食器に気
付いた。

「ああ、お食事をなさっていたんですね」

 何か言う前に納得されたために会話が終わってしまったが、少女は
立ち去る様子がなく、興味深そうにレナスを見つめている。


381:ゼロの戦乙女第二話3/3 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:49:58 7ZBt7v+F
「私はこの魔法学院でご奉公させていただいているシエスタといいま
す。もしかして、ミス・ヴァリエールが召喚した平民の使い魔って、
あなたですか?」

 おずおずと問い掛けてくる少女に、レナスは目を向けた。
 どうやら、ルイズが平民の使い魔を召喚したという噂は、もうメイ
ドの耳にも入るほど広まっているらしい。

「……本当は平民ではないのだけれど」

 プラチナの感情を引きずったまま、苦々しい顔で暗に肯定したレナ
スを、シエスタは興味深そうに見る。

「そうなんですか? じゃあ、使い魔さんはどんな人なんですか?」

 ここでレナスは戯れを起こした。
 この純朴そうな少女に、自分の正体を明かしてみたらどうなるだろ
うと、悪戯心を起こしたのだ。

「神よ」

 シエスタは一瞬きょとんとしたあと、わあ、と喚声を上げる。

「神様なんですか!? 凄い!」

 あっさりと信じたシエスタが意外で、かえってレナスの方が面食ら
ってしまった。
 普通は自分のことを神だと豪語する人間は、その殆どが気違いだと
相場が決まっているものだ。実際に神であるレナスがそんなことを考
えるのは間違いかもしれないが、実際にプラチナだった頃はそう考え
ていたことを覚えている。

「信じるの?」

 目を瞬いて思わず零した言葉に、シエスタは少し考え込むとにっこ
りと笑う。

「だって、召喚されたのが平民であるよりかは神様だった方がミス・
ヴァリエールだって嬉しいと思いますから」

 レナスは驚いてまじまじと目の前の少女を見詰めた。
 どうやらこのシエスタという少女は、純朴そうな外見だけでなく、
珍しいくらい思いやりに溢れた心の持ち主らしい。
 戦乙女ヴァルキリーとして多くの人間の魂に接し、今もなおそのう
ちに個性的な二人のエインフェリアを抱えているレナスは、目の前の
少女に好感を抱いた。

「ありがとう。信じてくれたあなたに、何か礼をしたいわ」

 淡い笑みを浮かべるレナスに、シエスタは慌てて胸の前で両手を振
る。

「いえ、私は何もしていませんし、お気遣いなく」

 素朴で純真、さらには無欲な態度に、レナスのシエスタに対する好
感度が鰻上りに上昇した。
 さらに笑みを深め、シエスタの手を握る。

「そんなこと言わずに、ぜひ受け取って。そうね、これなんてどう?」


382:ゼロの戦乙女第二話3/3 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:51:27 7ZBt7v+F
 手持ちのアーティファクトから『黄金の鶏』を選び、マテリアライ
ズをかける。
 その際にレナスの背中に現れた光の翼に、シエスタは息を飲んだ。

「綺麗……」

 陶然とするシエスタに、マテリアライズを終えたレナスは光の翼を
消し、黄金の鶏を手渡す。
 生命を感じさせる重みに、シエスタは慌てて黄金の鶏を抱えた。

「きゃっ……金色の……鶏?」

 黄金の鶏はシエスタに抱きかかえられても鳴きもせず、暴れもせず
に大人しく腕の中に収まっている。

「それは黄金の鶏という生きたアーティファクトよ。しっかり世話を
すれば毎日『金の卵』を産んでくれる」

「こ、こんな貴重そうなものいただけません!」

 なおも辞退しようとするシエスタに、レナスをゆっくりと首を横に
振る。

「あなたに貰って欲しいのよ」

 シエスタは困りきった顔でレナスと己が抱える黄金の鶏を代わる代
わる見比べ、恐る恐る言った。

「い、いいんですか? 本当にこんなの貰っちゃって」

 動揺のあまり恐縮するシエスタに、レナスは穏やかな気持ちで微笑
んだ。

「ええ。可愛がってやって」

 シエスタは頬を真っ赤に紅潮させて叫ぶ。

「ありがとうございます、使い魔さん! 大切にしますね! ……あ
の、お名前を窺ってもよろしいですか!?」

 自分を召喚したルイズとは違う、素直で奥ゆかしいシエスタの態度
に、レナスは好意的に己の本名を告げた。

「レナス・ヴァルキュリアよ」

「ではヴァルキュリアさまとお呼びしますね! 本当にありがとうご
ざいました!」

 シエスタは尊敬の眼差しでレナスを見つめてお辞儀すると、黄金の
鶏を抱え、興奮冷め遣らぬ面持ちで食堂脇の厨房へ小走りに駆けてい
った。
 その後ろ姿が完全に見えなくなってから、レナスもそろそろルイズ
がいる食堂に戻ろうかと思い、食器を持って立ち上がる。

「たまにはこういうのも、悪くはないかもしれない」

 呟いたその声は、どこか楽しげだった。

383:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:52:56 qpRNwlcY
レナス太っ腹 支援

384:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:54:07 ESq6serg
シエスタにいきなり金持ちフラグが

385:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:54:58 4z5Yx4Pc
太っ腹すぎるwww

386:ゼロの戦乙女第二話3/3 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:55:28 7ZBt7v+F
第二話終了、最初タイトルに「第二話1/3」をつけ忘れましたorz
あと、一回目の2/3の最初は場が転換してます。「□ □ □」を入れて
区別するのをおくのを忘れてました。
第三話に続きます。

387:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:56:17 RV5BLcje BE:413424645-2BP(30)
>>386
乙!
そしてすかさず3話支援!

388:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:56:57 LQ3fhj4N
猫って偶に何もないトコ見てるよね!

支援

389:ゼロの戦乙女第三話1/4 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:56:59 7ZBt7v+F
ゼロの戦乙女
第三話


 夕食が終わり、ルイズが寝静まったのを見計らって、レナスは学院
を飛び出した。
 学院全体を遥かに見下ろせる高みにまで飛翔すると、全く見覚えの
ない地形が見渡せる。
 そしてレナスの頭上には、大きな赤と小さな青の二つの月が輝いて
いた。

「聞き慣れぬ地名……二つの月……やはり、この世界はミッドガルド
ではないのか?」

 彼女の呟きを聞くものは誰もいない。
 少なくとも人間では。

「─そうみたいねぇ。ラグナロクが終わったのに、今度は異世界だ
なんて。退屈しなくて済みそうだけど」

「俺としては、戦えればそれでいいんだけどよ」

「アリューゼ……メルティーナ?」

 何時の間にか、目を見開くレナスの目の前には二人の人間がいた。
 いや、人間というには語弊があるだろう。何故なら、彼ら死んだ人
間の魂なのだから。

「やっぱ転生を拒否しといて正解だったわね。異世界の魔法かー、私
も覚えられるかしら?」

 杖を持った女性の霊体─メルティーナが、興味深げに見慣れない
二つの月を眺める。
 メルティーナは太股にまで届こうかという長さの、ダークブロンド
の髪が美しい女性だ。勝気そうな瞳は猫のように好奇心で輝き、シル
クの襟がついた袖のない単衣と民族衣装風のミニスカートという、か
なり肌が露わになった服装をしている。その代わりにシルクの長手袋と、太股までのタイツをつけているのだが、それでも太股や二の腕が
剥き出しになっているため、もし某魔法学院の学院長が彼女を見たら、
必ずセクハラしたくなるような魅力を醸し出している。

「もっとも、ヴァルキリーがあの嬢ちゃんの使い魔じゃあ、当分戦え
そうにないけどな」

 つまらなさそうに鼻を鳴らすアリューゼは、華奢なメルティーナと
は対照的に、鍛え上げられた肉体を持つ大男だった。
 青色のアーマーとガントレットで武装し、背中に背丈ほどもある巨
大な剣を背負っている。精悍な厳つい顔と、左目にかするようについ
た古傷が歴戦の凄みを感じさせる男だ。
 彼の剣の腕は生前から凄腕の傭兵としてミッドガルド中に鳴り響い
ており、その剣腕は死してエインフェリアとなった今も全く衰えてい
ない。
 彼らはレナスが最も信頼し、ラグナロクが終わった今も、転生させ
ずにエインフェリアとして残している人間たちだった。
 レナスの内から見たルイズのことを思い出したか、メルティーナが
可笑しそうにニヤニヤする。

「それにしてもあのルイズって子、ヴァルキリーのことを本気でただ
の平民だと思ってたわねぇ。傍から見てて笑っちゃいそうだったわよ」

390:ゼロの戦乙女第三話1/4 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:57:55 7ZBt7v+F
 使い魔にされた屈辱を思い出したか、レナスは驚いていた表情を消
してむっつり顔になる。
 プラチナとしての記憶が解放されてから、妙に感情豊かになったレ
ナスにクスクスと笑いながらも、メルティーナは表情を真剣なものに
戻す。

「……で、どうなの? 使い魔契約は破棄できそう?」

 メルティーナはどこか心配そうな顔でレナスの左手を見つめるが、
レナスは首を横に振る。

「どうだろうな。できるだろうが、今すぐには無理だろう。まずはこ
のルーンを調べてみなければどうとも言えん」

 つまらなさそうにしていたアリューゼも、レナスの左手に視線を飛
ばしてため息をついた。

「破棄できなきゃこっちが困るぜ。異世界に来たのは別に構わねぇが、
俺がエインフェリアになったのは戦うためなんだからよ」

 子どものお守りなんてごめんだぜ、と肩を竦めるアリューゼに、メ
ルティーナは呆れたような顔をした。

「ラグナロクが終わって随分経つのに、相変わらずの戦闘狂ねぇ、あ
んた」

「知識狂のお前が人のこと言えるかよ。ラグナロクから二十年間、飽
きもせずに魔術の研究ばっかしやがって」

 負けじと言い返すアリューゼに、メルティーナは鼻で笑う。

391:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:58:48 W/v322ox
支援

392:ゼロの戦乙女第三話2/4 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 01:58:57 7ZBt7v+F
「当たり前よ。レザードに遅れを取ったままで済ませやしないわ」

 結局、戦いと研究の違いはあれど、一つの事柄に狂っている点で二
人は似たもの同士だった。
 二人のやり取りを、レナスは穏やかな表情で見守る。
 嘗てアーリィに破れ、アストラルボディから精神のみが弾き飛ばさ
れた時、自分が助けを求めたのはこの二人だった。
 それから続く三人の絆は、異世界に移動した今でも変わらない。
 レナスは少しでも恩を返せたらいいと思い、これからを二人の意思
に委ねることにした。

「メルティーナ、アリューゼ。お前達はこの世界でしたいことはあるか?」

 突然の質問に二人は面食らいながらも、思い思いに答える。

「私はやっぱり研究がしたいわ。まずはこの世界の魔法を調べて、で
きるなら使ってみたいわね。うまくやれば既存の魔法と組み合わせて
新しい魔法を編み出せるかもしれないし。ここは魔法学院らしいから、
私にはうってつけね」

「さっきも言ったが、俺は戦いだな。戦場に立てるなら言うことはね
えが、チャンスが来るまでは腕が鈍らないよう適当にやるさ。その代
わり、何かあったら必ず俺を使えよ、ヴァルキリー」

 二人の意見を聞いたレナスは重々しく頷く。

「……そうか。では当面はそのようにしよう。その間、私はこの世界
を脱出する術を考えておく。ビフレストのように世界を繋ぐ場所がこ
の世界にもあればいいのだが」

 深刻そうに呟くレナスに、メルティーナもまた腕を組んで考え込む。

「そうねぇ。永遠にここに留まっているわけにもいかないし、いつま
でもヴァルハラを放っておくわけにもいかないものね」

 アリューゼがこきこきと首を鳴らしながらしかめっ面になった。

「ヴァルハラ側に見つけてもらうのを待つのが一番手っ取り早そうだ
がな」

 同じく渋面になったレナスが困りきった様子で空を仰ぐ。

「だが、向こうに任せきりにしておくわけにもいかない。幸い、マス
ターとなった人間の証言で、私がこの世界の魔法によって召喚された
ことは分かっている。他の方法も探してはみるが、今はメルティーナ
の研究に頼るのがもっとも近道だろう。すまんな、メルティーナ。迷
惑をかけそうだ」

 神妙な様子でメルティーナに小さく頭を下げるレナスに、メルティ
ーナは気の強そうな外見とは裏腹に、レナスを慈しむような微笑みを
浮かべる。

「私の趣味とも一致してるんだから、気にしないで。それよりも、明
日からは私たちも外に出ていい? 霊体でもいいから歩き回ってみた
いのよ」

 断る理由のないレナスは快諾する。


393:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 01:59:17 2hhteJpw
戦乙女支援

394:ゼロの戦乙女第三話2/4 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 02:00:36 7ZBt7v+F
「構わない。だが、この世界の使い魔は霊体が見えるようだ。それに
だけ気をつけてくれ」

 メルティーナは再び好奇心に目を輝かせた。

「使い魔か~。私もそのうちこの世界の生き物で使い魔を作ってみよ
うかしら?」

 女二人が姦しい話をしていると、蚊帳の外に置かれていたアリュー
ゼがレナスに提案する。

「おい、この世界にも不死者はいるんだろ? なら腕試しに討伐に行
ってみねぇか?」

 アリューゼらしい提案に、メルティーナも頷く。

「そうね、私もこの世界で魔法がどこまで通用するのか知りたいし。
私はアリューゼの意見に賛成よ、ヴァルキリー」

 やる気になった二人の頼もしいエインフェリアに、レナスは微笑み
を浮かべた。

「そうだな。では、精神集中をして狩り出すとしようか」

「そうこなくっちゃ!」

「へっ、腕が鳴るぜ」

 メルティーナとアリューゼの魂を内に戻し、レナスは目を瞑って精
神集中を開始した。
 その夜、不死者ではないが、王都から遠く離れた村に被害を与えて
いたオーク鬼の群れが、謎の三人組に討伐されたという。


            □ □ □

395:ゼロの戦乙女第三話3/4 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 02:01:40 7ZBt7v+F
 朝起きると、見慣れない平民が部屋の床で毛布に包まって寝ていた。

「……ああ、昨日使い魔を召喚したんだっけ」

 寝ぼけ眼を擦りながらベッドから上体を起こし、伸びをする。
 使い魔は長い銀髪を中ほどから三つ編みにした状態のまま、着替え
もしないで寝たようだった。
 事実は全く違うのだが、勿論ルイズはそんなことは知らない。
 レナスの寝顔を見ていたルイズは、彼女が平民にしてはかなりの器
量好しであることに気付いた。
 滑らかな光沢を放つ銀髪はとても長いのに櫛を通す必要なんてなさ
そうなくらい真っ直ぐだし、普段は無表情なので分かり辛いが、顔立
ちも女神像のように清楚で神秘的な造形だ。
 身長もすらりと高く、それでいて高すぎるというほどでもない。体
型だってキュルケほどの凹凸はないが、出るところは出ていて、引っ
込むべきところはきちんと引っ込んでいる。
 全体的に見るとバランスがとても良く、欠点がどこにも見つからな
かった。

「……さっさと置きなさいよ!」

 見ているうちに嫉妬混じりの理不尽な怒りが込み上げてきたルイズ
は、八つ当たり気味にレナスから毛布を剥ぎ取る。
 レナスは何事もなかったかのように目を開け、ルイズに視線を向け
た。

「どうした、ルイズ」

「へ?」

 てっきり吃驚して慌てふためくか、眠りを妨げられたことに憤慨し
て突っ掛かってくるかと思い、それにかこつけてお仕置きする気満々
だったルイズはきょとんとした。

「何よ、起きてたの?」

 不満そうに自分を睨みつけるルイズに、レナスは上体を起こして身
体を解しながら答える。

「寝ていたに決まっているだろう。お前の性格は昨日の時点で大体把
握した。今更叩き起こされたくらいではいちいち驚かん」

 無理矢理起こされても怒りもせず、不機嫌にもならずに冷静さを崩
さないレナスだが、寝起きで虫の居所が悪いルイズはかえって腹が立
ったらしく、ジト目でレナスを睨む。

「むー……昨日もそうだけど、その口調どうにかならないの? 仮に
もご主人さまに向かって『お前』とか何様よ。敬語を使いなさい、敬
語を」

「断る」

 にべもなかった。
 拒否されるにしても、ここまであっさりばっさり切られると思って
いなかったルイズは反射的に声を荒げる。

「何でよ! アンタ私の使い魔でしょ!?」


396:ゼロの戦乙女第三話3/4 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 02:02:53 7ZBt7v+F
「一方的に契約しただけで、私の同意を得ていないだろう。逃げ出さ
ないだけありがたく思え」

 レナスは素っ気無く言って、立ち上がり、窓に歩み寄ってカーテン
を開ける。
 朝日が窓から差し込み、少しだけ部屋が明るく、暖かくなった。
 しかし、それでも活火山の溶岩並みに顔を赤黒くしたルイズの心を
宥めることはできなかった。

「アンタ、今日は朝ご飯抜き!」

 かくてお仕置きを言い渡されるが、昨日のような不意打ちでなけれ
ばレナスの心にはダメージを与えられない。
 案の定「そうか」とあっさり返される。

「……まあ、アンタの躾は後にするわ。服、着替えさせて。下着も含
めて着替えはそこにあるから」

 疲れたような顔のルイズが指差す先に視線を向けると、確かにミッ
ドガルドでもよくあるようなクローゼットや衣装棚があった。
 それを確認して、ルイズに視線を戻す。

「私が着替えさせるのか?」

 さすがに呆れて問い掛けるレナスに、ルイズが怒鳴る。

「貴族は使用人がいる場合は自分で着替えないの! つべこべ言わず
にさっさとする!」

 レナスはため息をつき、幼い子どもにするようにルイズの頭を一撫
でした。

「やれやれ、手がかかる子だ」

 子ども扱いされたことになおも騒ぐルイズを無視し、レナスは昨日
のルイズの格好を思い出して、クローゼットからマントとプリーツス
カートを、衣装棚から白いプリーツスカートと下着を取り出す。

「脱がせるぞ」

 一応断りを入れてから、ルイズのネグリジェを脱がせ、下着を取り
替える。未だに膨れっ面のルイズから細かい指示を聞きながら制服を
着せ、最後にマントを着せて金具で固定する。
 ルイズは部屋の姿見で制服が着崩れていないか、マントに皺が寄っ
ていないか確認すると、満足そうに笑った。

「初めてにしては中々じゃない。褒めてあげるわ」

 こんなことでルイズに褒められても全く嬉しくないレナスは、心中
を押し隠して無表情で佇む。

「じゃあ、朝食に行くわ」

 ルイズは杖を腰に差すと、レナスを連れ立って部屋を出る。

「あら、ルイズじゃない」

「げっ、ツェルプストー」

397:ゼロの戦乙女第三話4/4 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 02:04:09 7ZBt7v+F
 自分達と同じように、向かい側の部屋から出てきたキュルケがルイ
ズを見つけて不敵な笑みを浮かべる。
 対するルイズは顔を顰め、「朝から嫌な奴に出会っちゃったわ……」
などと小さく呟く。
 キュルケはルイズの横に佇んで二人のやり取りを眺めていたレナス
に目を向け、ルイズに一度ちらりと意味ありげな視線を向けると気安
げに話しかけた。

「こんにちは使い魔さん。お名前はなんていうのかしら?」

 教えようか教えまいか僅かに逡巡するレナスを見て、ルイズの眦が
釣り上がる。

「レナス、ツェルプストーなんかに答える必要はないわよ!」

 猫のように毛を逆立ててキュルケを威嚇するルイズは、キュルケを
意識するあまり思い切り墓穴を掘った。

「ああ、レナスっていうのね。ルイズ、教えたくないなら名前で読ん
じゃ駄目じゃない!」

 「あっはっはっは!」と腹に手を当てて大笑いするキュルケに、ル
イズは恥ずかしさからか顔を真っ赤にして反論する。

「ちちちち違うわよ! あああんたがちゃんと気付くか試しただけな
んだから!」

 誰がどうみても無理のある取り繕い方をするルイズに、キュルケは
生暖かい眼差しを送った。

「はいはい、そういうことにしといてあげるわ。でもね、ルイズ。ど
うせ使い魔にするんなら、こういうのの方がいいわよ? フレイム!」

 キュルケの呼びかけに、彼女の部屋からのっそりした歩みで使い魔
が出てくる。

「サラマンダー?」

 思わず声を上げたルイズの目に、露骨に羨望の眼差しが浮かんでい
るのを見つけてしまったレナスは、殊勝にも見なかったふりをした。
 レナスと同じようにルイズの目に浮かぶ感情を敏感に察したキュル
ケは、にんまり笑ってフレイムの尻尾を指し示す。

「そうよ? ほら見てこの尻尾。ここまで鮮やかで大きな炎の尻尾は、
間違いなく火竜山脈のサラマンダーよ? その中でも群れを束ねるボ
スだったに違いないわ。しかも、私の属性ともピッタリよ!」

 ふぬぬ、と悔しげに歯を噛み締めるルイズを他所に、レナスはゆっ
くりとフレイムに歩み寄った。
 ルイズが間にいたのでレナスの姿が分からなかったフレイムは、見
覚えのある姿に硬直する。
 予想外の事態に固まるフレイムの背を、レナスは優しい手付きで撫
でた。
 レナスに敵意がないことが伝わったのか、フレイムはしばらくする
と安心し、身体の力を抜いて撫でられるに任せ始める。

「立派な幻獣だな。サラマンダーというのか」

 己の使い魔を撫でるレナスに、キュルケはにっこり笑う。

398:ゼロの戦乙女第三話4/4 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 02:05:14 7ZBt7v+F
「あら、あなた、サラマンダーを見るのは初めて?」

 平民姿のレナスを見ても露骨に態度を変えない、歳に似合わぬ大人
びた物腰のキュルケに、レナスも微笑を返す。

「ああ。貴重なものを見せてもらった。礼を言う」

 二人の間に穏やかなムードが漂うのを敏感に察して、ルイズが爆発
した。

「ちょっと! 何ツェルプストーと和やかに会話してんのよ! アン
タはさっさと昨日の洗濯物を洗濯しに行きなさい!」

「……先に朝食を取るのではないのか?」

「アンタは朝ご飯抜きって言ったでしょ!」

 八つ当たり気味に洗濯を命じるルイズに、キュルケがしゃしゃり出
た。

「レナス、よかったら私の朝食を分けてあげましょうか?」

「人の使い魔を餌付けしようとするなーー!」

 朝から騒がしい二人に、レナスはこめかみを押さえてため息をついた。
 さっさと見切りをつけることにして部屋に戻り、ルイズが脱ぎ散ら
かした洗濯物を纏め、それらを抱えて外に出る。
 ただし、窓から。
 二階分の距離を苦もなく着地したレナスは、今もまだ言い合いをし
ているであろうルイズとキュルケを置いて、洗濯を任せられる唯一の
知り合いであるシエスタを探す。
 無論、自分でやる気など端からなかった。

399:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:09:00 GqdRkUqw
支援

400:ゼロの戦乙女第三話4/4 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 02:09:43 7ZBt7v+F
以上、第三話終了です。
番号振り分かり辛いですね、すみません……。
次から投稿順に1から振っていくことにします。
今はまだ原作をに近いストーリーで進んでますが、段々原作と
似ているようでも中身が別物になっていきます。
ギーシュ戦とか、ギーシュ戦とか、ギーシュ戦とか。

401:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:10:40 ESq6serg
一日で一財産できて、もうメイド辞めてたりして

402:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:13:23 JwyKR3c/

金の卵ってどれくらいの価値があるんだろ
シエスタなら売らずに持ってそうだけど
あとギーシュ逃げてギーシュ

403:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:14:07 kZQvN5TY
乙です
ギーシュ、レナスにフルボッコにされるかアリューゼにミンチにされるかメルに実験動物にされるか・・・嗚呼恐ろしい

404:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:14:13 UMhp1z8L
401それは無いと思う。
シエスタの性格上レナスに恩返ししようとすると思う。

405:ゼロの戦乙女第三話4/4 ◆5ZSwcPATsg
08/03/21 02:14:25 7ZBt7v+F
シエスタさんは平民ですから、

生きたアーティファクト→生き物→生き物が産んだもの
→食す

みたいな連想が働きます(ぁ

406:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:14:32 qpRNwlcY
>>401
ルイズの実家以上の金持ちになったりして

407:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:14:39 l16voRsK
ヴァルプロの人乙乙乙乙~。

408:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:18:36 XwFY/qMI
あ。何かひでえの思いついた。
使い魔召喚→何で平民なのよ!→悶々→限界


→そんな使い魔は存在しない。あなたの想像の(ry

409:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:18:38 4YAhDIe1

しかし金の卵なんて平民のシエスタが売りさばくのはちとやばくないか?

410:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:25:12 RV5BLcje BE:186041333-2BP(30)
乙!
しかしレナスかぁ。
レナスが召喚されたとなると、もしかすると彼がエインフェリアに・・・


411:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:26:34 ESq6serg
金の卵って殻だけ金なの?
中味も金なら1年もすれば相当な金持ちになれそう
グラム3500円で、普通の卵は60g程度だから金なら500gぐらいにはなる?
そうすると1日150万円超の収入で、1年で6億円以上かな?

412:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:28:06 ae1YAzEP
金の卵さえあればニート生活し放題じゃないっすか\(^o^)/

413:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:29:36 sGqU08EZ
オービタルフレームジェフティをボロボロの状態で召還したら


414:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:30:33 XBnjSYYS
金の卵か…
生んだ数が不満で何度もリセット押した人間がここに。

原子配列変換で生命の腕輪にしたのはいい思い出。

415:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:32:33 ZYOYk0as
金の卵という単語が出て金玉ネタが出てないあたり皆品があるな

416:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:32:43 F8okml3/
>>405
シエスタさんなにしたはるんですかwww

417:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:33:24 +F2rtqNP
レナスの人、適当にギーシュ戦とかやってtueeee展開やったら消えそうだね
悪いけど

418:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:40:08 RV5BLcje BE:165370324-2BP(30)
>>417
そういうのは避難所の毒吐きで言ってくれ

419:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:50:54 oxJy9AfQ
⑨と言うとハスラーワンな同士が多くて吹いたww

420:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:52:56 cZQHAHD5
金の卵・・・きんのたまご・・・きんたまご・・・きんたま・・・金玉!!

                    ,_,..,ィヽ,、       |
                   /;;::r‐~-ミ、     |   ウ ェ ル カ ム
                 4~/へi::::::;/,ヘミ7     |  W E L C O M E !
                 '-l|<>|:::::|<フ1|i'    ノ  ( よ う こ そ )
                    l! '" |::::l、~`リ    へ
              /`ー、  ハー;";::i:::ヾイl! ,r'~`ヽ、 \
           ,.ィ" ri l i ト、 1:|`丶:;;;:イ' ill!7、 、 y;  ヽ、_` ー―――
      ,. -‐''" 、 くゝソノリ~i | - 、 , -‐'7ハ ヾニト-    ~` ー- 、_
   , ィ ´      ,ゝ、_ `r'   l |  、レ // `テ三..ノく _ `       ヽ、
  /       , -' ,、  `、_)   l,i,  i //  (/  ...,,;;;;:` 、        ヽ
 ;'       '" ノ ;;;;::::      i !  : //    .....:::::;;イ、_、_\ _    _ノ
 l ..,, __,ィ"-‐´ ̄`i::::: ゙゙゙= ...,,,,,. l | ,//  - = ""::;; :/       ` '''' '"
            ヾ :;;;,,     ,i l,//     ,,..," /         _,,.....,_
   ,. -- .,_        \ :;,.   ;'  V ;!   `;  /;: ノ      ,.ィ'"XXXXヽ
  /XXX;iXXミ;:-,、     ヾ  '" ''' /./!  ヾ   /    ,. - '"XXXXXXXX;i!
 ,!XXXXi!XXXXX;`iー;,、  i   、. / ;:::゙i   ;: , |  ,. r'"XXXXXXi!XXXXXX:l!
 |XXXXX;|XXXXX;|::::::::|`ヽ、    ,! ,': : :|    ,.レ"::::|XXXXXXX|XXXXXXX;l!
 !XXXXX;|XXXXX:|:::::::::i  `   ;! : :  i!  / !:::::::::|XXXXXXX|!XXXXXXX|
 XXXXXx|XXXXX;!:::::::::::!   `. /::    | '"   l:::::::::::|XXXXXXX|XXXXXXX |
 XXXXXx!XXXXxリ:::::::::::!    |::     |    i:::::::::::ゞXXXXXツ1XXXXXXX|
 XXXXX/ \XXソ::::::::::/     i!::    ノ     i!::::::::::::ゞXX:/  lXXXXXXX|
 XXXX:/   `ヾ::;;;;;:ツ      ヾ;::: ; ノ      ヾ:;;:::::::ゝ'"     ヾXXXXX |
  XXX/       `ヽ 、     _ゝく      _,,. -`''"        i!XXXXX:|
 XXX7           `'''''''''''"    `'''''''''''´              |XXXXX !
 XXX|                                      |XXXXX|

421:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:54:05 ENur6yVd
>「それにしてもあのルイズって子、ヴァルキリーのことを本気でただ
>の平民だと思ってたわねぇ。傍から見てて笑っちゃいそうだったわよ」
ひでえw
まだ続きがあってね。
>使い魔にされた屈辱を思い出したか、レナスは驚いていた表情を消
>してむっつり顔になる。
>「一方的に契約しただけで、私の同意を得ていないだろう。逃げ出さ
>ないだけありがたく思え」
ヘイト補正ばっちり入ってるのになに言ってるの擁護乙。

>無論、自分でやる気など端からなかった。
見下しモードもばっちり完備。

なんてことはないキャラを利用した作者の解釈が透けとります。
でもってやっぱ次はテンプレ展開なギーシュ狩りでFAな件について。

422:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 02:54:25 9MmmchWh
    ─┼─┐─┼─  /  ,.                  _\ | / /
      │  │─┼─ /| _,.イ,,.ィ'        ‐──‐‐‐ゝ;。>>420──
      │  |  │     |  |  | イン             // | \
                                   / /  |  \
                                      /  |    丶
.                           .      / .;∵|:・.   \
                   ∴・|∵'               
         ,'`》'´⌒`彡      
         ノ,ィ∝ノノ))))) -=ニ_-この変態!
        ( ( ゝ(l!゚(フノ|l      三-
∠ニニニニニニ[i⊂^!、 yソ    __.- ―      
      '´ ,く '/".rヽ  -二. ―       
        !,ン''"´'-'

・・・ついノリでやってしまったOTL

423:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 03:08:56 NyYSY+f4
今日一日>>420よりも、お下品な事を書き込む奴はいない。
俺の120ガバスにかけて。

424:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 03:09:23 F8okml3/
金の卵というと、大胸筋矯正サポーターを思い出す
アングラなものかと思ってたら某有名メーカーのCMに抜擢されててクソワロタ

425:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 03:29:42 rcjj6yKl
戦乙女乙。

金の卵のステータスアップ効果はまさに黄金だったなぁ。
やっぱり食べるんだろうかw


>>413
ダメージドジェフティか……身長が15mぐらいだから
フーケのゴーレムもちょっとした大型OF戦といった具合で普通に戦えそうだな。

サブエネルギー∞だからサブウェポンがあれば完全に敵なしだが。

426:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 03:44:00 sGqU08EZ
たしか使える武装は
ブレード・ダッシュ・バースト・ゼロシフト
の4つだったような…


427:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 03:46:23 rcjj6yKl
>>426
ああそうか、二週目以降サブ全装備ONとかできるんだけど
物語上では使用可能装備はダッシュ、バースト、ブレード、グラブ、ゼロシフトだけだったな。

となると乗ってるディンゴと戦闘支援ユニットであるエイダも一緒に召喚されることになるんだろうか。

428:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 04:01:52 Sl8Bcorf
むしろ、捕らえたフーケを、免罪と引き換えに仲間に引き入れて、彼女の巨大ゴーレム
練成能力を味方側戦力につけた方が簡単なんとちゃう?と身も蓋もないことを言ってみる。

429:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 04:20:26 sGqU08EZ
えっと確か
通常ジェフティ・・・ゼロシフト以外の全ての武装
進化ジェフティ・・・全武装+ウィスプビット
壊れジェフティ・・・ゼロシフト以外のサブウェポン+ショットが御陀仏、但しエネルギー∞
全裸ジェフティ・・・ショット復活、弱いショットならバリアに遮られる、掴んだらそのまま頂きます?

よく考えたらたった一機でゼロ魔世界の軍事バランスをひっくり返す機体だ

430:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 04:32:19 rcjj6yKl
まさしく、コレを手に入れたものが
人類最高の権力を手に入れるっていう仕組み……だなぁ

そもそも15mという全長で空間を圧縮し、その反動で
亜光速移動をすることが出来るっていう時点でゼロ魔にはオーバースペックだな

431:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 04:35:41 W/v322ox
ゼロ戦一機ですら戦況を左右できるんだから
軍事バランスどころの話じゃないと思うw

432:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 04:42:54 sGqU08EZ
でも…
ジェフティクラスのC型(有人)OFを沢山持ってるはずなのに
なんで対ジェフティに無人機ばかり投入したんだろうバフラムは…

433:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 04:57:57 sGqU08EZ
いっそのことアヌビスVSジェフティの戦いをゼロ魔世界でやれと電波を受信した…
どうすれば良いと思う?

434:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 05:22:17 zczjvhb8
もしルイズが召喚したのがユーフロジーヌだったら。
ちょっと天然ボケだけど、使い魔契約はスムーズに行く……かなぁ。いかないか。
新しい“お父さま”になるルイズ、真面目にやってるのにドタバタになるユーフロジーヌ。
っても、書いたとて避難所向けかな?ってかマイナーすぎ?

435:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 05:22:25 cOKF2pbQ
>>433
二機が戦っている所を二機とも召喚すればいい
契約しようと思ったら、二機とも戦い始めて足元に居るだろうルイズ達は死ぬだろうがw

436:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 05:28:30 DAwCW1hA
>>433
どう考えてもやらない方がいいな

437:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 06:13:16 zczjvhb8
ちょっと書いてみた。召喚シーンだけ小ネタとして投下してもいい?

438:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 06:15:29 RV5BLcje BE:248055326-2BP(30)
>>437
OK
こちらの準備は整っている。
全力で支援させてもらおう。

439:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 06:16:03 zczjvhb8
ほんの少し、一時間で書きました的な出来だけど、いきます。

 光が眩しい。
 ユーフロジーヌは、瞼の上から感じるそれを感じ取り、目を覚ました。
 正確に言えば、突然の衝撃で目を覚ましたのだが、まぁこの際細かいことは良いだろう。
 ユーフロジーヌは、まるで生まれて初めて日光浴をするような気分だった。
 ゆっくり覚醒へともってゆく間、周りがざわついているのが聞こえてくる。ここは外なのだろうとユーフロジーヌは想像する。それも、地べたに倒れているのだと分かってきた。
 本来なら、うやうやしく控えた従僕<ミニストリアーレ>たちがいるはずである。しかし、それらはどうやら居ないように思われる。もっとも近しく仕えてくれていたアルマⅤが起こしたのでないあたり、それは容易に想像がついた。
「死んでるの……?」
 すぐそばで少女であるらしい声がする。いきなり、なんと無礼なと言ってみたくなったが、突然くちびるを開いては体に障る。そもそも瞼もこうしてゆっくり開けなければ、あまり慌てて開いては 瞼 が 破 れ て しまう。
 そうして、ユーフロジーヌはそろりそろりと瞼を開き、体の具合を確かめるようにして起き上がってみた。上半身をゆっくり、そうっとそうっと起こした。つもりだった。
「あだっ」
 そう、“つもり”だったのだ。
 体は思いのほか勢いよく起き上がり、何かに額をぶつけてしまった。凹んでなければいいのだけれど。
「いきなり起き上がるんじゃないわよ!」
 額を押さえ、涙目になった少女がこちらに叫んでいた。
 ユーフロジーヌは、安堵した。
 あの少女が無事なのだから、自分の頭も問題ないだろう。
 もし、自分が砕けているとすれば、彼女の頭などぐちゃぐちゃになってしまっているはずである。
 ユーフロジーヌは、少々、力が強い。
「ここは?」
 ユーフロジーヌが口を開いた。
 芝生の上に寝転がっているのは見ればわかったが、どうやらお父さまの研究室ではないらしい。見ればわかる。
「ここはトリステイン魔法学院です。お嬢さん」
 眼鏡をかけた男性が声をかけてきた。その姿を見止め、ユーフロジーヌは問いかけた。
「あなたが新しいお父さま?」
 かの男性は驚きの表情を見せる。どうやら違うらしい。
 よくよく見渡してみれば、若い少年少女たちがあたりを取り囲んでいる。さっき頭をぶつけた彼女も、そうした周囲の者達と同じ服装で、同じ年恰好であった。

440:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 06:16:46 zczjvhb8
 そこで一歩おくれて“魔法学院”という言葉を反芻する。
 決してユーフロジーヌの頭の回転が遅いわけではない。ただ、起きたばかりで頭が上手く働いていないのだ。
 もしかしたら、ブドウ糖が足りないのかもしれない。起きてから食事をするまでは血糖値が上がらないものなのだ。だから頭の回転が悪くなるのも仕方ないに違いない。
 一旦、そう結論づけてから、自分の体に血液なんて残ってないなとあえて気づいてみた。
 ああ、突っ込み役が欲しいわ。アルマⅤ。
「あなたは、わたしの使い魔として、呼び出されたのよ。でも、あなた何処の人……?」
 桃色がかったブロンド髪。その少女の特徴だ。あとは声がとても可愛らしい。とにかく、その子が言うには私は小間使いにされるということだろう。まぁ貧乏なお父さまもいらっしゃったから出来るだろう。ちょっと時々物を壊してしまうこともあるだろうけれど。
「ええ、分かったわ」
「……? ああ、うん」
 会話が成り立たないのはアルマⅤがいないからだ。そうに違いない。
「平民ってわけでもなさそうだけど……貴族にしてはボロだし」
 後半はぼそぼろと言ったのだが、ユーフロジーヌは耳がとても良い。ついでに目も壊れやすいことを除けば、良い部類であったし、体の質も元が良いから当然良い。ちょっと縫い目だらけだけれど。
 ユーフロジーヌは、ボロを纏っていた。
 着た当初は、とても良い素材を使ったすばらしいドレスだったのだが、時間というのは残酷である。
 少しユーフロジーヌが眠りすぎたせいで、衣服がぼろぼろになってしまったのだ。たった百年程度のことだというのに、時間というのは残酷である。もっとも、ユーフロジーヌはその具体的な時間経過を知りはしないが。
「まぁ、いいわ……。死体を呼んだかって大騒ぎしちゃって疲れたし……契約しちゃいましょ」
「我が名は、ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我が使い魔となせ」
 この子はルイズというらしい。
 そんなことを考えたら、ユーフロジーヌは口づけをされてしまった。
「最近の子って大胆なのね」
 ユーフロジーヌは暢気に感想を述べた。
 すると、ルイズは険しい目つきでこちらを見た。
「うぐっ……あなた臭いわよ……」
 そういって口を拭うルイズ。
 ゾンビが臭いのは当たり前である。
 継ぎはぎの縫い目だらけになったその体。その手術痕がそれまで美しいと羨望の的であったユーフロジーヌを化け物と呼ばしめるようになったのは、十四の時。それ以来、継ぎはぎこそすれど、ずっと変わらぬその蒼白の技術の結晶。
 あるゾンビ少女は、思いもよらぬ災難に巻き込まれたらしい。

441:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 06:17:50 zczjvhb8
召喚のところだけでしたので、以上です。

442:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 07:47:17 iPb6CGGB
過去ログひとっつも読んでなさそうな方ですね

443:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 08:21:51 ASeLWfSj
>443

話としては面白そうなんですけどね。
初めて投下するときには「タイトル」と「元ネタ」と「召喚キャラ」くらいは出しましょうよ。

444:443
08/03/21 08:22:35 ASeLWfSj
間違えた。アンカー>>443ぢゃなくて>>441だよ。

445:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 08:30:51 zczjvhb8
>>443
それか。書いたつもりになってた。申し訳ない。
臭いがやりたかっただけで、>一発ネタ等でばらすと面白くない のつもりでした。
行数ひっかかったときやらかしたらしい。

タイトルは考えてませんでした。
あるゾンビ少女の災難から、あるゾンビ少女の思いがけぬ災難です。

446:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 08:38:49 zczjvhb8
申し訳ないついでにもう一本、美味しい所だけを書いた単発をやりたいのですが許可はいただけますでしょうか?
本来、そっちを落としに来たはずだったのです。15kbほどなので二度に分けて落とそうかと考えているのですが。

447:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 08:44:34 LSgzlMqD
825 844

448:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 08:47:32 hWtE9dQF
提督こないかな

449:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 08:50:07 PXJap0zY
パエッタでいいなら

450:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 09:14:17 +JaNaggz
>>448
 あんなもんを連日投下って、どんな野生のプロなんだw
 ニートでも無理じゃ


 でもビッテンフェルトかオーベルシュタインなら来て欲しいな

451:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 09:32:31 tFFG9KrT
世の中にはろくに小説も書かずに漫画の原作とか文庫化で食いつないでるエロゲデブもいるんだぜ?

452:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 09:38:57 oxJy9AfQ
お前が佐藤大輔が嫌いなのはわかったから俺と一緒に皇国スレ帰ろうか…

453:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 10:04:40 OL9G1rua
前スレでギルティギアのテスタメントを召喚したいみたいな意見があったが…

ギルティのキャラはみんな化け物じみてるから扱い難しそうだよな
魔法の理論化に成功した世界だし

俺もテスタで妄想してみたが俺Tueee展開にならない様にするのが大変だし
何より人間嫌いのテスタが素直に使い魔になるとは思えないし
ルーンの影響でジャスティスの指揮下からルイズの指揮下に上書きされた、みたいな展開もあるかも知れないが…

アルビオンやらとドンパチしている場面を見て
「やはりどの世界でも人間は愚かだ」って思って協力してくれないだろうなあ

454:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 10:32:32 V22cLw9b
>>453
そうだね。
比較的真面目に働いてくれそうなのはカイかガチか、或いはジョニーくらいかなぁ?
遊びで髭とか。正義だと終わるし…

455:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 10:33:41 NKZkwGDy
>>420
ギーシュ戦直前で止まっている、『召喚!変態仮面!』を思い出してしまった
続き読みてーなぁ……

456:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 10:45:27 li2A9Pf+
チップは?
目指せ大統領とは言うものの、大統領が何なのか今ひとつ理解していない忍者。
……そういやγブレード以外の技は純粋な体術なんだよな。

457:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 10:46:47 KQIP5/9f
そもそも俺TUEEEEのなにがいけないのかわからない。クロスSSでも原作でも俺TUEEEE主人公で楽しいのはいっぱいあるけどな。
クロスSSは荒れそうだから名前ださないけど原作ならラグナロクかな。戦闘描写がすごいのと一人称でのキャラの語りと人間ドラマ、ギャグがおもしろいから俺TUEEEEは全く気にならない。
そういえばふと思ったんだがラグナロクが使えるノルンってそのまんま「虚無魔法が影響を与えて事象を発生させる原子より細かい物」そのものなんだよな。
エクスプロージョンとかノルンを使った破壊にすごい似てるし。
パクリとは思わないけど、この設定の酷似でおもしろいネタが書けそう。

458:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 11:03:14 ASeLWfSj
俺TUEEEEが駄目って訳じゃないよ。
ちゃんとキャラの特徴を掴んだ上で、ちゃんと話を作ってればね。

問題は、俺TUEEEEの話が、作者の自己投影的で自己満足な話になりやすい、って事。
TUEEEなキャラに大暴れさせて原作キャラの見せ場を奪ったりチャラい説教かましたりして。

それで話が面白ければまだ救いはあるけど、つまらないことの方が多いから。

459:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 11:07:14 2vurRWYg
まあ、世の中には良い俺TUEEEEと悪い俺TUEEEEがあるゆえ。
爽快感だのカオスさを演出するボーボボみたいなのがいい例ですかな?
やたら高ランクだの、かっこつけた厨二くさい都合よすぎるキャラが悪い例と
自分は記憶しております。

460:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 11:21:29 kKDYERc7
そういえば、良い意味での俺TUEEEEEEEな宵闇の使い魔はもう続きは来ないんじゃろうか…

461:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 11:22:44 uAL0cvQ7
強いのが悪いんじゃなくて、
なんでもかんでも主人公の望み通りになるのがつまらないんだろう。
戦いという戦いを全て楽勝しているのに、
世界情勢が何故か悪い方向に悪い方向に流れていって
気が付いたら/(^o^)\ナンテコッタイみたいな話は面白いかも。

462:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 11:32:36 cboIJIgb
TUEEEって言葉自体が馬鹿にした言葉だろ
強い描写がちゃんとバランス取れたシナリオになってるのはTUEEEじゃない
表現が稚拙でボキャブラリーが貧困な子が何でもかんでもTUEEETUEEE言ってみたり
煽りたいだけの奴が故意にTUEEE連呼して馬鹿にしてるだけだから鵜呑みにするない

463:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 11:35:27 SpjHGsYq
そこで俺YOEEEですよ

464:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 11:39:50 lfeKcawm
>>463
やわらか戦車の事かーっ!?
あれは面白かった

465: ◆ywwFnu6EWE
08/03/21 11:46:24 oxJy9AfQ
ルイズの使い魔が倒せない

気がついたら いつも香水 落としてる
そして使い魔に 拾われてる
相手によっては 香水スルーするけど代わりに メイドが拾っている
とぼけてみたりもするけど すぐにKY共 騒ぎ出すよ
何回やっても 何回やっても 決闘フラグ 
避けれないよ あの腹黒 わざと拾ってんじゃねえの?
僕のじゃ ないって言ってんだから 少しは察して下さい
言い訳 なんかも 試してみたけどモンモン相手じゃ意味がない!
だから つぎはフラグ潰すために
僕は 香水だけは ちゃんと管理しておく

そして僕は またヴェストリに来ている
使い魔の実力 見せるために
序盤だけは ちょっと押したりもするけど 多分最初だけだと 思うよ?
貴族の 威厳があれば 他の平民 怖くはないけど
何回やっても 何回やっても ガンダールヴ
倒せないよ あの使い魔 能力(ガンダールヴ)なくても強くね?
どっちに しても 相手は伝説 こっちはただのメイジです
7体 同時も 試してみるけど チートな相手じゃ 意味がない!
だから次は瞬殺避けるため 薔薇の花びら 後に 何枚か取っておく

466:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:06:22 vlpjSSJV
ニコ厨はかえれ

467:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:07:57 RV5BLcje BE:186041333-2BP(30)
>>465
能力(ガンダールヴ)なくても強くね?
がツボに入ったwwwww

468:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:08:03 9CoXEMXY
ギーシュが瞬殺はテンプレというが
本当に殺害されるパターンも見てみたい

469:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:08:42 nHcicbxg
>>461
つまり「90式戦車はブリキ缶だぜ!」ですね

470:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:08:57 V22cLw9b
アーカードの旦那とかじゃん。

471:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:09:42 4XMNRfT6
愛野狩人の弱さも捨てがたい。

472:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:12:55 Kbso7uIy
姉妹スレだとけっこう死んでるな

473:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:22:22 PXJap0zY
殺しそうなのは…


浅倉威とかか?

474:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:25:07 uAL0cvQ7
毎回毎回ギーシュじゃ可哀想だから
たまにはマリコルヌあたりと決闘させようぜ。
「僕の前でメイドといちゃいちゃして当てつけのつもりか? 決闘だ!」とか。

475:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:26:25 lfeKcawm
>>474
確か、マリコルヌと決闘してる作品もあったと思う

476:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:30:04 DAwCW1hA
>>474
その状況のぽっちゃりさんはギャグ補正で無敵だぞ

477:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:34:15 FbH7trkB
まあどんなに俺TUEEEEEでもギャグキャラの理不尽さには勝てんわな

478:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:42:57 RV5BLcje BE:744164249-2BP(30)
俺TUEEEEEキャラを召喚する

作品全体のバランスが著しく崩れる

じゃあ、敵も強くしてしまうか?

従来のキャラの出番が大きく減少する

だったら皆強くしてしまおう

作 品 崩 壊



やはりバランスというのは大切なんだな

479:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 12:58:11 onH7UwbW
>>468
ジョジョスレの『ゼロの兄貴』

480:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 13:00:39 K6CcJyHo
面白いは正義

481:チキの人
08/03/21 13:49:06 yVsBjILq
チキを召喚するにおいて俺TUEEE! な展開にならないように。
頑張れギーシュ、アリューゼにお前の顔も見飽きたぜ! っていわれないように。
と言うわけで第六話、『デルフ自重』編を5分後くらいから投下しても良いでしょうか?

482:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/21 13:57:43 uGgw+np6
いまだに爆裂やるいとらを名作だ名作だと持ち上げる層がいるあたり、
やっぱ俺Tueeeeeeは需要がなるんじゃねえの?


ま、自演乙の可能性には目をつむっての話だがな。

483:チキの人
08/03/21 13:58:06 yVsBjILq
「アーッ! もっと優しく握ってくれやお嬢!」
「うるさいわね! あんたの方こそもっと軽くなれないの、インテリジェンスソードは無理をすれば道理が引っ込むんでしょ!」
「これでも気合入れて軽くしてんだ、振り上げられないのはお嬢が悪い」
 ルイズです。
 夕日に染まる広場でデルフを振り上げようと四苦八苦しとるとです。
 ルイズです。
 あーもう、何でこんなに重いのよ剣って! 杖と同じくらい軽くなれないの。これだから平民が使う武器っていうのは野蛮なのよ。
 しかし、重い。剣先が地上から50サントくらいしか上がってない。このままじゃあ、右手にデルフで左手に杖、我ら魔を断つ二刀流という掛け声は夢のまた夢だ。
 何故こんな事になっているかというと、本日マリコルヌが授業に復帰したことが関係している。
 “それでもボクはやってない”と、シエスタ事件の冤罪を主張したのだ。
 周りの生徒達も、非はあるかも知れないがギーシュの行いは異常という結論に達し、困ったそのギーシュが私に決闘を申し込んだのである。
 ゼロのルイズの策略によって僕とマリコルヌの名誉が傷ついた、決闘をしてどちらが本当に悪かったか決めようじゃないか。
 こうして、私&チキとギーシュ&マリコルヌの決闘が授業中に開始された。
 結果の方は言うまでも無い、レイピアはアーマー系に強いんだよ、という謎の言葉を発したチキが鬼神のような動きで八体のワルキューレを薙ぎ倒した後、ギーシュに参ったと言わせた。
 マリコルヌは私のファイアーボールの魔法の失敗により、宝物庫のある塔まで吹っ飛ばされた。モンモランシーによれば、また救護室は彼の物ね。とのこと。
 話はまだ終わらない、私の魔法の近くにいた(ギーシュも巻き込まれて吹っ飛んだ)チキがルイズのお姉ちゃんのボルカノンは危険、これは人に対して使う物じゃないからデルフを使うべきだよ。との魔法禁止令を出されてしまった。
「はぁ……しかし重いわ」
「だがよ、お嬢。そんな使い魔の言う事を」
 柄を握る力を強くする。
「いい、チキの事を使い魔って言ったら、キュルケに溶かさせるわよ」
「あい」
 チーキのためーなーらエンヤコーラ! もう一つおまーけーにエンヤコーラ! 
 もう一度デルフを振り上げる、今度はさっきよりも剣先が地面から離れた。
 まだまだ、今は両手にデルフを持っているけど、いつかは片手でこれを振り回せるようになるんだから。
 そのためには努力を惜しまない、明日に向かって振るべし! 振るべし!
「相変わらず無理してるわね、ルイズ」
 四苦八苦してると後ろからキュルケの声をかかった。
 振り返るとやれやれと言わんばかりの表情をしつつ、面白い物を見るかのようにデルフに視線を送った。
「重いわよ、重すぎるわよこの剣、キュルケどうにかならない?」
「私やタバサや果てにはチキまで振り上げた剣をどうして持ち上げられないのよ、力無さ過ぎなんじゃないの」
 だって、剣なんて振るう機会なんて無かったし。
 唇を突き出して拗ねてみるけど、デルフに可愛くないと呟かれた。
 くそぉ、この剣いつか完璧に使いこなせるようになって、汚れ仕事ばっかりやらせてやる。
「それにしても、あんなに魔法に拘ってたルイズが、チキの一言で剣を使い始めるなんてどういう風の吹き回し?」
「んあ?」
 デルフを振り上げる最中だったので思わず変な声を上げてしまった。
「半年以上ゼロのルイズって蔑まれてても、諦めなかった魔法に対するこだわりを捨てたのはどうしてって事、まあ、私もマリコ……マリコリュヌ? だっけ、彼みたいな目に合うのは勘弁だけどね」
 うん、とりあえずマリコルヌだから。
「まー、うーん、キュルケなら話してもいいか」
 少し前にチキを助けてくれたし、プレゼントもしてくれたし。
 何より、キュルケがいなかったらチキは殺されてたかもしれないしね。
 ミスタ・コルベールはサモン・サーヴァントの試験を神聖な物と言っていたけど、それは建前に過ぎない。
 気に入らない使い魔を殺す主人というのは実在するし、それを特に何も思わない奴もいる。
「私はもう、魔法で後悔したくないんだ」
 もし、使い魔を殺す事を厭わない相手だったら。
 もし、タバサやキュルケが気が付いてくれなかったら。
 私は、自分の魔法の失敗の爆発音で大切なパートナーが襲われたことすら気が付かなかったのだ。
「ふぅん、なんかメイジにあるまじき発言ね」
「私もそう思う」
 キュルケも私も笑いを堪えながら、その後も会話を続けた。


484:チキの人
08/03/21 13:59:22 yVsBjILq
Side チキ 
 わたしは恵まれた状況にあると思う。
 ルイズのおねえちゃんは優しくしてくれるし、キュルケもタバサもいい人だ。
 この世界に来た時に近くにいたミスタコルベールという人も、時折世話を焼いてくれる。
 ロングビルもたまに目が怖いけど、優しい。オールドオスマン……たぶん、あの人はわたしと同じマムクートだと思う。
 竜石を捨てたマムクートは、代わりに様々な能力を得る。
 チェイニーは変身能力を、ガトー様は膨大な魔力を。オールドオスマンもガトー様と同じような能力を持っていると推測できる。
 わたしは前にルイズのおねえちゃんに説明した通り、二つの竜石を身体に含んでいる。だけど、実はそれらだけじゃない。 
 マムクートが捨てた竜石は、人の世界で取引されているのだ。
 わたしは別にいらないと言ったんだけど、ジェイガンは私に様々な種類の竜石を持たせた。部隊が一時撤退するとなれば、私がしんがりを務めた。
 魔道士がいれば魔竜に、氷竜がいれば火竜に……そして逃げる時には飛竜に変身して。
 マルスのおにいちゃんは優しかったけど、他の軍人の人は怖かった。
 大きな力を持っているからわたしを兵器みたいに……ううん、あの戦争はもう終わった事だから。今はこの世界で幸せに過ごしてるんだから。
 ルイズのおねえちゃんもキュルケやタバサ、少なくてもこの学院にいる生徒では敵わないほどの力を持っている。今はまだそれを発動させてないみたいだけど、行使出来るようになればどうなるか。
 トリステインだけじゃなく、このハルケギニアという世界は戦いに溢れてる。少なくても人が人に魔法(魔道書とは違う種類みたい)を遠慮なく放てる状況っていうのは異常だ。
 わたしはルイズのおねえちゃんとは違って、この世界がわたしのいた世界ではないことは分かっている。今のところは上手く誤魔化しているけど、勘が強いキュルケやタバサは薄々気が付いているかもしれない。
 ルイズのおねえちゃんはわたしを守ってくれると言うけど、平気。
 そうじゃなくて、優しくしてくれるルイズのおねえちゃんをわたしが絶対に守ってみせる。
 デルフと一緒に剣の修行に出たおねえちゃんを見送った後、大きすぎて宿舎に入れない使い魔が滞在している場所へと向かう。

 

485:チキの人
08/03/21 13:59:43 yVsBjILq
この世界の竜は、わたしみたいなマムクートとは違って竜石を使って変身するわけじゃない……みたい。韻竜っていうみたいだけど、ちょっとわからない。
 風竜のシルフィはその韻竜っていう、この世界の一般的に言われる竜とは違った存在みたい。
 子どもっぽくていつもタバサに叱られてばっかりの女の子、わたしみたいに人の姿になることもできて、ちょっとパオラに似ている。
 だけど、ルイズのおねえちゃんには秘密。
「きゅーい(おはようございますなの、チキちゃん)」
「もう夕方だよ、シルフィ」
 竜の姿をしている時には人語を発することは禁止されているので、鳴き声だけでお話をする。同族のよしみなのか、不思議と言葉が理解できるから平気だ。
「(初めて会った時は、おはようございますなの、これ、常識なの)」
 今日もタバサと一緒にどこかへ飛んで、さっき帰って来たところみたい。
 行き先はもちろん秘密、上手く聞けば答えてくれるだろうけど、そんな事すればタバサに本気で怒られると思う。
「(ねえねえ、今日は見せてくれないの? チキちゃんの竜の姿)」
「飛竜以外の姿はちょっと大きいから……」
「(いいなぁ、私ももっと大きくなってお姉さまを助けるの!)」
 神竜の時はシルフィの三倍くらい大きい。いくら夜になると途端に警護が甘くなる学院とはいっても、目撃者は出てくるはず。むしろ、出てくれなきゃルイズのおねえちゃんが危ない。
「シルフィは喋ってない? チキ」
「うん、きちんと言いつけを守ってるよ」
「えへー、撫で撫でして欲しいのー」
 油断大敵、タバサが戻ってきて安心したシルフィは思わず人語を発した。
 周りを見ても人影は全くない……というか、元々人が来辛い場所なんだけど。
 召喚しておいて放っておくって言うのはいまいち理解できないんだけどなあ。
「チキ、お仕置き、きりのブレス」
「そんな事したらシルフィが死んじゃうよ」
 タバサの秘密を知ってしまったと言うことで、変わりにわたしの秘密もタバサには打ち明けてある。韻竜とは違うけど、シルフィみたいな竜の姿になれる。火のブレスとは違うきりのブレスと言うのを吐くことが出来る。と。
「(でも、いつかは見せて欲しいの、チキちゃんの竜の姿)」
 シルフィの言葉に苦笑いしながら、できればずっとそんな日が来ないで欲しいと思うのだった。
 少なくても今は、人として生活できているんだから。    


486:ゼロの使い魔とマムクートプリンセス 第六話
08/03/21 14:01:39 yVsBjILq
ジェイガンの呪い絶好調発動中。
まさか全部タイトルを入れ忘れるなんて……投下終了です。
支援や感想いつもありがとうございます。感謝感謝です。


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