あの作品のキャラがルイズに召喚されました part120at ANICHARA
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part120 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/13 01:02:43 pRylzE3T
重複
スレリンク(anichara板)

3:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/13 01:32:26 bO9Cb5yW
>>1
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part120(実質part121)

もしもゼロの使い魔のルイズが召喚したのがサイトではなかったら?そんなifを語るスレ。

(前スレ)
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part120
スレリンク(anichara板)

まとめwiki
URLリンク(www35.atwiki.jp)
避難所
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

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    _              ■ 注意事項よ! ちゃんと聞きなさいよね! ■
    〃 ` ヽ  .   ・ここはあの作品の人物がゼロ魔の世界にやってくるifを語るスレッドよ!
    l lf小从} l /   ・雑談、SS、共に書き込む前のリロードは忘れないでよ!ただでさえ勢いが速いんだから!
   ノハ{*゚ヮ゚ノハ/,.   ・投下をする前には、必ず投下予告をしなさいよ!投下終了の宣言も忘れちゃだめなんだからね!
  ((/} )犬({つ'     ちゃんと空気を読まないと、ひどいんだからね!
   / '"/_jl〉` j,    ・ 投下してるの? し、支援してあげてもいいんだからね!
   ヽ_/ィヘ_)~′   ・興味のないSS? そんなもの、「スルー」の魔法を使えばいいじゃない!
              ・まとめの更新は気づいた人がやらなきゃダメなんだからね!

--------------------------------------------------------------------------------

     _        ・議論や、荒らしへの反応は、避難所でやるの。約束よ?
     〃  ^ヽ      ・クロス元が18禁作品であっても、SSの内容が非18禁である場合は
    J{  ハ从{_,      本スレへの投下で問題ないわ。
    ノルノー゚ノjし      ・SSの内容が18禁な展開をする場合はクロス元に関わらず、
   /く{ {丈} }つ       本スレではなく避難所への投下をお願いね?
   l く/_jlム! |      ・クロス元が型月作品のSSは、本スレでも避難所でもルイズの『錬金』のように危険よ。やめておいてね。
   レ-ヘじフ~l       ・作品を初投下する時は元ネタの記載も忘れずにね。wikiに登録されづらいわ。
               ・作者も読者も閲覧には専用ブラウザの使用を推奨するわ。負荷軽減に協力してね。

--------------------------------------------------------------------------------

   ,ィ =个=、       ・お互いを尊重して下さいね。クロスで一方的なのはダメです。
   〈_/´ ̄ `ヽ      ・1レスの限界最大文字数は、全角文字なら2048文字分(4096Bytes)。これ以上は投下出来ません。
    { {_jイ」/j」j〉     ・行数は最大60行で、一行につき全角で128文字までですって。
    ヽl| ゚ヮ゚ノj|      ・不要な荒れを防ぐために、sage進行でお願いしますね。
   ⊂j{不}lつ      ・次スレは>>950か480KBからお願いします。テンプレはwikiの左メニューを参照して下さい。
   く7 {_}ハ>      ・重複防止のため、次スレを立てる時は現行スレにその旨を宣言して下さいね。
    ‘ーrtァー’      ・クロス先に姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれますよ。
                姉妹スレについては、まとめwikiのリンクを見て下さいね。
              ・一行目改行、且つ22行以上の長文は、エラー表示無しで異次元に消えます。
               SS文面の区切りが良いからと、最初に改行いれるとマズイです。
               レイアウト上一行目に改行入れる時はスペースを入れて改行しましょう。

4:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/13 01:33:14 bO9Cb5yW
●     「こっ、こっ、こっ、こっ、こっ、この…バカ犬っ!!!」
┠~~~┐ちゃんとここにいてぇ、わたしのちかくでぇ
┃  ●  ∫ ずっとわたしをい~んつもい~んつもみ~んつめてなぁさぁ~い
┠~~~┘  よそみしてたでしょ、ほかのおんなのこぉ~
┃         おしおきするのふぅ~らりふぅ~らりふぅ~らちなやつうは
┃          (ん、ちゃちゃちゃちゃちゃちゃ)
┃           どんたーちきかないからねいーいーわ~けは
┃            たちみーつ~んかれたかぁ~ら
┃             ね・え・かたをっかしてよっ
┃              す~き~よ~ンなんてうそ~よっ
┃               き~ら~い~ンこれもうそだわん
┃                ないないないぃだめよかんちがいぃ~~~~~っ
┃                 だからすぅきぃよっなんていわない
┃                  のんのんのんどっこかへいったら
┃                   ぜえったいにっゆるさないからねぇ~~~~ん  ・・・だぁって
┃                    ほんと~はだれ~よ~りそンばンにンいンたあ~いの
┃                     あ~い~の~く~さ~り~でっさんっぽっしましょ
敬礼 (`・ω・´)ゞ

5:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/13 01:34:49 bO9Cb5yW
ルールじゃないけどマナー上しておく方が良い事・システム上の注意事項
投下時はタイトルをコテハンとする、トリップ推奨
予告でクロス元他必ず説明する(一発ネタ等でばらすと面白くないならその旨明示)
※過去「投下してもいい?・投下します」等の予告から
  最低の荒らし投稿を強行した馬鹿者が居たため同類認定されるリスク極大
実例を見た事が無いなら「Z武」で過去ログ検索するよろし

1時間に一定量超える投下は「さるさん」規制に遭うので注意
連投規制には有効な支援レスもこれには何の役にも立たない
文章量(kB)と分割予定数の事前申告をしておけば、規制に伴う代理投下をしてもらいやすい
投稿量カウントも規制も正時(00分)にリセットと言われている
他スレでの実験により規制ボーダーは8.5kBらしいという未確認情報あり

6:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/13 01:35:39 r9cZziC4
もはやオープニングテーマ

7:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/13 01:43:21 bO9Cb5yW
このぐらいまで単純化できそうな気がする。

爆発召喚
キス契約
「ゼロ」の由来判明(教室で爆発)
使い魔の能力が明らかに(ギーシュ戦)
デルフ購入
フーケ戦
舞踏会

最近はその流れでいかに飽きない話を作るかに凝りがち>>16

爆発
平民プゲラ
コルベール問答無用さっさと汁
キス契約
フライに唖然とする
説明はぁどこの田舎者?
何者であろうと今日からあんたは奴隷
二つの月にびっくり
洗濯シエスタと接触
キュロケフレイム顔見見せ
みすぼらしい食事厨房でマルトー
教室で爆発片付け
昼食シエスタの手伝い香水イベント
オスマンコルベール覗き見
ギーシュフルボッコ場合によって使い魔に弟子入り
休日街でデルフ入手 キュルケタバサがついてくる
ルイズが爆破訓練宝物庫破壊フーケ侵入お宝げっと
この段階でフーケは絶対つかまらない
翌朝捜索隊保身に走る教師一同
教育者オスマン犯罪捜索を未熟な子供にマル投げ
小屋で破壊の杖ゲットフーケフルボッコしかし絶対死なない
オスマンから褒章 舞踏会 終わり

8:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/13 01:46:04 bO9Cb5yW

>>1
なぎはらえー
                    _ ィ'   __    Ο____
          , ――r/   L/     \   |l\:::ll ll:::/|
ト、     ,. ―┬' ャtァ-  " ∠ / ネ//  l l l lハ, |lニニニニニニニ!
ヽ,\_,,∠-―く   __     z‐く  リ尤V尤カ |ヽヽ|l/:::ll ll:::\|
  ヽ, ←―‐X爻xxxY   乙  ≧/人 t ┐ノ h / ̄ ̄ ̄ ̄
    \「 ̄ ̄|   /入,,∨|  (,_人 (えハ圦  ソ/∠__
__ 1ヽ      !ヘ/  {___,/x.|   (_|:::ノ iィ芥-ハ / ,. --―‐
)'ヘ/"リ1       /___/xx.ハ  ( |Σ_ィ| . !!V::ソ/∠___
ヽ   {7.       /__lxXX∧ _≧_:::/λ >' ---- ―
 |   ',      {__,,|XⅩⅩ>ー‐┴ 7" 、<`丶ヽ
 リ  リ 、     |   |Ⅹ>' _ - 7// ∧ l \ ヽ   \/
ノ、∧ く\ __,,7ー∠,,__  ,〃 :l /: ',|_\V -‐┬

9:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/15 22:13:25 CYjsGa9Z
このレスを見たあなたの部屋にルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールが現れます

その方法はただ一つ
↓このスレに行き
スレリンク(wcomic板)


くぎゅがいちばんかわいくてすごい


と書き込んでください。
書き込めば確実にルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールがあなたの前に現れますよ


10:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/15 22:33:29 wvPLG+hc
>>9 だが断る

11:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 14:15:14 sCLROzvA
新スレはこちらでよろしいのかな?

12:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 14:29:45 /7judOPw
いいえ、ケフィアです。

13:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 14:32:10 kkBZnXJQ
>>8
コンパクトでいい感じだな

14:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 14:41:48 J+Q+Weo8
>>1

                                          ○________
                               なぎはらえー     |:|\\:::::||.:.||::::://|    /イ
                                              |:l\\\||.:.|l///|  .///
                         __ ィ   ,. -―- 、     |:|:二二二二二二二 !// /
                        /    ∟/          \.   |:l///||.:.|l\\\|/  /
                / ̄ ̄ ̄ ̄ 7 / / ./  / /   l l l lハ  |:|//:::::||.:.||:::::\\l    /
  ト、     ,.    ̄ ̄Τ 弋tァ―   `ー /  l从 |メ|_l  l_.l斗l |ヽ V |:| ̄ ̄ ̄ ̄ フ  ̄ ̄    |                  イ
  ヽ \__∠ -―く  __       .Z¨¨\   N ヒj ∨ ヒソj .l ヽ\|       / /     |                / !
   ヽ  ∠____vvV____ヽ   <   ≧__/ ゝ、t‐┐ ノ .|┐  . \   / /         \           /   l
.    \\_____ivvvvvvvv|   V.    (  (  /Tえハフ{  V   ‐一 '´ /     __. -―=-`      /  / l  l
       \!      |   / 入_.V/|      >-ヘ  \:::∨::∧  ∨ ∠二 -‐ .二二 -‐ ' ´ /        /   / l.  l
 __  |\       l/V  _{_____/x|    (_|::::__ノ   }ィ介ーヘ  /  ,.-‐ ' ´           /       ____  ̄ ̄フ ∧  l
  )-ヘ j ̄} /|        /___/xx|       _Σ___/| | |V::::ノ/ ∠___           {     /      `<  /  \|
  {  V  /`7.         /___./xXハ    ( |:::::::::::::::::ハ   >' ____ 二二二二二二>   /   __    〈
.  \_   |/        /___l XX∧     __≧__::::::::/:∧/   `丶、           /     {   {____ハ    }
    |   ヽ        /____|ⅩⅩ∧  __|__L.∠ ム'  <`丶 、 `丶、       /       \_____/    /
    |     ',         {     |ⅩⅩⅩ>'  __      ∧ l\ \   丶、 ` 、   ∠ -―-  ..____ノ   /
   ノ     }       l ̄ ̄ ̄.|Ⅹ >' ,. '  ̄ / .// :/  V'  \ ヽ    `丶\/                 /
  / ∧   { \      |      .|>' /      // :/ :/ :   ', l   \ ヽ  ,.-―┬      \         /
 入ノ. ヽ  く  ヽ______7 ー―∠__    〃  l :/    :l l     \V       ヽ       \    ,.  '´
`ー′   \  `<  | {      /   | /〃   :|/  __V/ ̄| ̄ ̄{_     \_      ` <
        \  `' ┴ヘ     {    .レ__r‐|ィ‐┬、lレ' |    /  ノ`y‐一'  >、_/   / ̄ 7丶、_   丶
         \    ヽ   /`ー「と_し^´ |  |    }  ム-‐'  /     /    \_/  /  /  ヘ    \
           ヽ   _>-ヶ--∧_}   ノ  j   /` 7 ̄ ̄ ̄{      (         ̄ ̄`ー‐^ーく_〉  .ト、_>
            ', /     人__/   .ィ  {__ノ`ー'    ヽ    人     \__              {  }  |
            V     人__/  / | /           ̄{ ̄  >‐ ァ-、    \             〉ー}  j
                {  / ./  ∨      __      ̄ ̄ >-</  / ̄ ̄         廴ノ  '
      <ヽ__      /し /        < )__ \   _r‐く___/  /    < ) \     {__ノ /
        Y__>一'    /         ___r―、_\ >'   `ー' ,.  ´       >.、 \__ノ    {
     ∠二)―、       `ー‐┐    ∠ ∠_r‐--―      <__       ∠ )__          \_
       ∠)__ノ ̄`‐⌒ヽ__|>      ∠)__r――-― ..__{>        ∠_廴,. ⌒ー'  ̄ \__{>

私はやはりこちらの方が・・・

15:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 15:15:19 VlYiqkfR
容量圧迫するからAAはほどほどに

16:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 15:15:30 VDyG+ai2
>>9
逆に、ルイズに召還されるにはどうしたらよいのでしょうか?

17:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 15:34:38 JW4wnKz4
何これ、このテンプレもどき>ID:bO9Cb5yW

18:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 15:41:23 BdJ6V0zJ
アブソープクイーン、フュージョンジャック

19:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 15:54:12 5SlqXITf
新スレ直後に投下予告。
55分から行くぜ。

20:小ネタ:鋼鉄の巨人 1
08/03/16 15:57:13 5SlqXITf
 ルイズが召還したのは、一人の男と、それから壊れ果てたゴーレムだった。
 一瞬戸惑いを見せた野次馬は、すぐにゴーレムが動きそうも無い事を見抜いて嘲い、
 それにたじろぐ事無く男との契約を交わしたルイズは、やがて自分の行動を後悔することになる。

 その男には何もできなかった。
 使い魔としての役目も果さず、朝から晩までゴーレムに掛かりきり。
 最早壊れてしまって動かない其れに、一体どんな魅力があるというのだろう。
 誰にもわからなかった。最初は協力していたコルベールも、仕舞いには匙を投げてしまった程だ。

 だから、彼女は魔法学院を襲った大事件の数々に、まるで関わることがなかった。
 例えば土くれのフーケが宝物庫を襲撃したときも、
 例えば王女の使者としてアルビオンまで赴いたときも、
 彼女と、彼女の使い魔は、何一つとして出来なかった。
 “破壊の赤子”を盗み出したフーケは未だに逃げ続けているし、
 貴族派の包囲網の只中から無事に帰還できたのも、婚約者たるワルドのお陰だ。

 そして例えば、今この時も。
 タルブの村に、敵軍が押し寄せている時も。
 親友である王女が戦場に向かっているというのに、何もできなかった。

 そんな時だ。
 使い魔の男が、ルイズを呼び出したのは。

 当然彼女は激昂した。
 国の一大事だというのに、まだあのゴーレムにかまけているのか。
 自分の使い魔だというのなら、何か一つでも役に立って見せろ。
 今まで溜めに溜めていた鬱憤が一挙に噴出したのだ。

 その罵詈雑言を、使い魔の男は黙って受け止め―そしてゆっくりと口を開いた。

「私はね、ルイズ。君に魔術の才能があると思っているんだ」

21:小ネタ:鋼鉄の巨人 2
08/03/16 15:57:33 5SlqXITf
 最初、その言葉が信じられなかった。

 使い魔は語る。
 万物の全ては、最終的には原子という絶対に分けられない小さな物の集合なのだという。
 そしてそれは、使い道によっては凄まじい力を齎すこともあるのだ、と。

「私が思うに……君の魔術、あの爆発は、原子を爆発させているんじゃないか、と思うんだ。
 生憎とそれがどんな系統に属するのかはわからないけれど、
 ……でも、だからこそ、君の力が欲しいんだ」

「…………どういう事?」

「その力は、とてもとても恐ろしいものだ。
 ただ威力が凄いという意味じゃない。
 凄まじい力を秘めている、という事さ。
 爆発一回分のエネルギーを利用すれば……。
 そうだな、馬百頭よりも凄い作業ができる筈なんだ」

 そして、半信半疑のルイズを伴い、彼は自分の作業場へと歩いていく。

 ルイズは気付かなかったのだ。
 彼が毎日、雨の日も風の日も、一日も休む事無くゴーレムを直していたことも。
 壊れていた脚を直し、
 千切れていた腕を直し、
 コルベールに頼み込んで『固定化』の魔術をかけてもらったことも。
 日に日にかつての姿を取り戻していく様を、彼女は気付かなかった。

 今其処にあるのは、ただの壊れたゴーレムではない。
 しっかりと二本の脚で地面を踏みしめ、立っている鋼鉄の巨人だった。
 巨人の姿を呆然と見上げるルイズに、使い魔は真剣な面持ちで告げる。

「―こいつは、君の魔法が無いと動かせないんだ」

22:小ネタ:鋼鉄の巨人 3
08/03/16 15:57:55 5SlqXITf
 土くれのフーケがレコンキスタに提供した“破壊の赤子”は、まさしくその名に相応しい存在であった。
 赤い透明な箱に閉じ込められていたそれは、戦場の中央で弾けるや否や、一気に巨大な異形の怪物へと成長したのだ。
 無論、ハルキゲニアのメイジ達は即座に魔法を打ち込んだが―……。

「ダメです! 火、風、水、土……いずれも効果ありません!」

 ―次の瞬間に出現した不可視の壁が、その悉くを阻む。
 アンリエッタは、はしたない動作とわかっていながらも、思わず爪を噛んだ。
 あの巨人、明らかに既存の魔術ではない。
 レコンキスタ―彼女の思い人を殺した軍団が、邪法に手を染めたのは明らかなのだ。
 だが、だが―……それに裁きを下すことがでいない。
 如何に彼奴らが悪であり、此方が正義でも、力なき正義では意味が無い。

「陛下! ここは撤退を―無意味に兵が死ぬだけです!」

「…………ッ!」

 ダメだ。
 それではダメなのだ。

 それはこの戦場にいる、全ての兵士共通の思いだった。

 故郷をあんな化け物に蹂躙させてはいけない。
 そんな暴虐が赦されてなるものか。

 だから祈った。
 あの怪物に神の鉄槌が下されることを。

 残念ながら、祈りは届かなかった。
 神は鉄槌を振り下ろさず―

「ジェエェエェェエエェェェットッ!! ハァンマァアアァアァァアァッ!!」

 ―それを怪物に叩き込んだのは、真紅の巨人だった。

23:小ネタ:鋼鉄の巨人 3
08/03/16 15:58:27 5SlqXITf
 誰もが言葉を喪った。
 なんという荒唐無稽な光景だろう!
 如何なる魔術や兵器をも弾き返していた不可視の防壁が、
 文字通りの……文字通り、ただ巨大な鉄槌によってぶち破られたのだから!

「陛下! 遅くなって申し訳ありません―あの怪物は、私たちに任せてくださいッ!」

 かすかに聞こえた声にアンリエッタが眼を見開いた。
 鉄の巨人のその肩に、見慣れた人影を発見したからだ。

 見間違えるはずもない桃色の髪。彼女の親友の―威風堂々とした立ち姿。
 その傍らに立っている男は……ルイズの使い魔だろうか。

「それじゃあ、良いのね、やっちゃって?」

「ああ、構わない。存分に魔術を唱えてくれ!」

 その言葉に答えて、ルイズは魔術を行使する。
 目前の怪物に対してではない。
 巨人の中に内臓された、『炉』に対してだ。

 失敗魔法として嘲られていた爆発が、凄まじい勢いで動力を生み出し、
 鉄の巨人へと活力をあたえ、振るうハンマーの威力へと繋がっていく。

 その光景に、ルイズの使い魔である男は、心底から嬉しそうな笑みを浮かべた。

 男は技術者だった。
 戦う技術者だった。
 世界を護る技術者だった。

 彼のいた世界は、あの巨人と同じ、異形の存在によって脅かされていたのだ。
 守らなければならない。その思いに突き動かされて、彼は立ち上がる。
 無論、周囲には様々な思惑があったのだろう。
 政治的な抗争などもあったのだろう。
 だが、男の想いは、願いは、純粋そのものだった。
 世界の平和を守るのだ。
 子供の夢と笑われてしまいそうな考え。
 だが、それを実現するために彼は奔走し―そして阻まれてしまった。
 偶発的な事故などではない。
 明らかに、男の気付かぬところで陰謀が張り巡らされていたのだ。
 絶望した。
 だが、失意に打ちひしがれる男には、新たなチャンスが与えられた。
 それがこの異世界への召還。魔法という未知の力。
 ―男は再び立ち上がる。
 世界の平和を守るのだ。

 そして今、彼と、彼の巨人は、まさしく世界の平和を守るために、ここにいる。

「やれぇっ、ジェットアローンッ! お前の力を見せてやれーッ!!」

 時田シロウの魂の叫びが響き渡り、ジェットアローン、そのハルキゲニアにおける最初の戦いの幕が切って落とされた。 

24:小ネタ:鋼鉄の巨人
08/03/16 15:59:10 5SlqXITf
以上、投下終了。

ジェットアローン格好良いよジェットアローン。
ジェットアローンだけで使徒を殲滅せよ格好良いよ。

規格外品0号はもうちょっと待ってね。

25:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 16:10:58 G2eD5eyk
投下乙
“破壊の赤子”って第八使徒かw
あんなでかくて気味の悪いもの学院の宝物庫に保管(封印?)してどーする学院長www
ところで>>24、EVA板の『ジェットアローンで使徒殲滅』スレ見たことあるでしょう?

26:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 16:12:47 sCLROzvA
乙でした~!
元ネタ知らんがカッコイイ!!

27:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 16:16:06 JE8uUWiD
>>24
ジェットハンマーとかいうからどこのスーパーロボットかと思ったら、
JAかよw

しかし、ぐぐってみたがJA改は普通に格好良いな。

28:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 16:34:07 Bi8ZzYOx
ジェットアローン、それは人類の希望
ジェットアローン、それは日本の未来
ジェットアローン、それは鋼鉄の巨人

嗚呼、ジェットアローン・・・素晴らしい

29:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 16:58:13 +iiLkORn
JA格好いいよ、強いよ
原子力万歳!!

30:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 16:59:23 jhypbAsn
原子を爆発させる=原子炉(核分裂炉)だったか?別次元の問題だったと思うが?


31:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 17:03:54 h9AVgUp1
>>30
臨界に達するにはエネルギーが必要だしな。
虚無の原理はわからんが、十分な純度のプルトニウムなりにぶつけたら、核反応が起きる類のものなんだろ。

32:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 17:08:29 PVCA/t/b
JA乙です
脇役なのに声優が豪華なあの人の名前が時田シロウと初めて知りましたw
最後の叫びにGRを思い出したのは自分だけじゃないはずw

33:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 17:09:02 jnBKE6SJ
先生。
召還キャラを考えていた作品がかつてアニメ化されていて。
で、そのキャラの中の人がゼロ魔にも出演していて。
で、同一の属性を持っているとネタにしたくなるのは本能というものでしょうか。

まあ、まぞっほ=オールド・オスマンのことなんですが。

34:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/16 17:09:57 07avkAhJ
こんばんは、次が出来たので投下してもいいでしょうか?

35:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 17:09:58 k1Gvo7YB
前スレ>>858
いえ!
おまえにはもう永久に…この世がなくなるまで活躍するチャンスはないの!

36:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 17:15:17 LFwd5BU7
支援

37:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/16 17:15:19 07avkAhJ
投下します。






「ルイズがおかしい?」

 キュルケは目をぱちくりさせて鸚鵡返ししてしまった。
 放課後、コルベールの小屋の前である。ムスタディオとコルベールが作業をしているところへお邪魔し、もはや恒例となってしまったお茶会を催しているところだった。
 お茶を一口飲んで、キュルケはムスタディオをまじまじと見た。あの夜キュルケの部屋で見せた鋭い眼光はどこへやら、落ち着きがない。

「あの子が変な子なのは前からだし、ムスタ、あなたが召喚されてからはずっとあの調子よ。というかむしろ、少し落ち着いたんじゃないかしら」
「ああ、それはそうなんだろう。対応はすごく変わったよ」

 ムスタディオは歯切れが悪い。言葉を捜すように視線が宙をふらふらしている。
 この一週間でムスタディオの性格は随分把握したつもりだ。竹を割ったようにからりとした、下町に住んでいそうな快活な男。洗練はされていないが多少のユーモアも持ち合わせている。
 その彼が再びこんな風になるなんて、何があったのだろうか。

「ならいいじゃない。あなたあの時、優しくされた覚えはないって腐ってたじゃない。それに比べたら何の不満があるの?」

 あえて煽ってみた。ムスタディオの主はあのルイズだ。悪いが問題が生じないわけがない。

「腐るって……まあそうだな、腐っていましたよ。優しくというか、以前のような剣呑な雰囲気は消えたさ。でも、何というか、」
「待った」

 ムスタディオが怪訝そうな顔をする。

「?」
「これは相談よね?」
「ああ」



38:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/16 17:16:59 07avkAhJ
 キュルケはにっこりと笑った。
 ここ一週間でキュルケはムスタディオのことを好ましい友人と認めるに到っていたが、それとは別の次元でムスタディオはあのルイズの使い魔である。キュルケのいたずら心に火がつく。
 簡単に言えば、ムスタディオを使って間接的にルイズをからかってやりたくなったのである。

「ねえダーリン、ゲルマニアでは何かを求める時には見返りを用意しなきゃいけないの」
「そうですね。オレもツェルプストー様に相談に乗ってもらう限りは、お礼はするつもりですよ」
「ツェルプストー・さ・ま?」
「え?」

 何か悪い予感がしたのだろうか、ムスタディオが若干たじろぐ。

「あたし、ムスタに散々言っているわよね。尊敬語なんて使わなくっていい、キュルケって呼んでって」

 唇に指を当て、いたずらっぽく流し目を送ってみる。
 ちなみにキュルケはムスタディオを誘惑する気はない。恐らくムスタディオには心に決めた女性がいる。百戦錬磨のキュルケの「女の勘」だ。
 しかしキュルケに対して気安い口調で接するムスタディオを見たら、ルイズはどんな顔をするだろうか。
 想像するだけで愉快な気分になる、いけないキュルケなのだった。
 


「ブレイブストーリー/ゼロ」-14



   ◇


 相談する相手を間違ったかもしれない、とムスタディオは頭をかいていた。
 キュルケが適任だと思ったのだ。ルイズと顔を合わせれば言いあいばかりしているが、何だかんだいって一番気安い雰囲気だ。それに女の子のことをキュルケは熟知していそうだし、女学生たちをあしらう様子を見れば頭も切れる。
 教師陣やコルベールに尋ねてもよかったが、視点や立場的に、一番よい答えをくれそうだった。
 しかしそんなキュルケの様子を見ていながら、ムスタディオは自分がもてあそばれるという可能性に思い至っていなかった。

「ねえムスタ、あなた女の子と付き合ったことっておあり?」
「う……いや、ない」

 気持ちを確かめ合ったことだけは、この間、ある。
 しかし後に自分が事実を知っただけであり、あれは「何もなかった」と言えるだろう。悲しいことに。

「あとあなた、今まで男ばっかりの環境で生きてきたでしょう」
「……よく分かるなあ」

 彼は機械ずくしで育ったので、いかにもな年頃の女性に触れた経験がほとんどない。
 周りの機工士は筋肉ムキムキの男どもばかりだったし、旅の仲間といた時はいた時で、女性達は傭兵や騎士くずれなど一筋縄ではいかない者達ばかりだった。
 旅の最中、酒場で村娘と談笑することもあったが、娼婦みたいな女に誘惑されたことはなかった。好きな人がいたので、自然と避けていたのだ。

「当たり前よ。あたしの二つ名『微熱』は伊達じゃないわ」

 キュルケは片眉をひょいと上げてみせる。

「でも、ムスタのはそれ以前の話ねぇ」



39:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/16 17:18:38 07avkAhJ
 ……なんでこんな話になってるのだろう、とムスタディオはこっそりため息をついた。
 元々ムスタディオは女性があまり得意でない。
 シエスタは妹がいたらこんな感じなのだろうか、という認識だったし、ルイズは今は手間のかかる従妹くらいに考えるようにしている。キュルケも四つも年下だし、誘惑された夜はそれどころじゃなかったから平気だったのだが、いざ平静になるとこんなものなのだった。

 ―最初はルイズの話題だった。
 帰ってきてからというもの、ルイズの様子は今までとはまた変わった意味でおかしかった。
 ムスタディオを従者みたいに扱わなくなった。洗濯身支度等は自分でするしご飯もちゃんとしたものを食べさせてくれる。拘束しない。
 しかし何かの拍子にふと周りを見ると、ルイズがこちらを見ていることが非常に多い。何か気に障ることをしたのかと思うが何も言ってこない。元々会話はほとんどないのだ。でも視線だけはやたらと追いかけてくる。
 今までのことがあるから、ムスタディオとしては用心を禁じえなくなってしまう。ルイズのあくまでさりげない監視は、思い切りムスタディオにばれていた。
 ……そういった類を話したのだが、話が進むにつれて、キュルケの顔が何故か呆れたものに変わっていった。
 そして一言。「あなた女の子と付き合ったことっておあり?」

「……そのことがどう関係してくるんだい?」
「関係というか……逆に説明しずらいわよ。
 あなた、実は慣れてると見せかけて本当に朴念仁だったのね。ミスタ・コルベールと気が合うはずだわ」

 コルベールは小屋の中で作業をしている。例の自動井戸汲み機械を、限定的に厨房で使える物へと実用化を試みるべく奮闘していた。本人がいないのをいいことに言いたい放題なキュルケである。
 浪漫に生きる男ってそんなものなのかしら? とため息までつくと、あのね、と気を取り直した様子で人差し指を突き出してくる。

「あなたはルイズとどうしたいの?」
「そりゃ、和解したいさ」
「ルイズもきっとムスタと和解したいはずよ」
「……でもそれじゃ、あの警戒は一体何なんだ?」
 
 ルイズが自分のことを気にかけている。それは分かる。
 しかし、あの妙な様子はムスタディオからすれば警戒にしか見えなかった。

「……はぁ、不毛だわ。アドバイスはやっぱりやめるわ。自分で考えなさい。そもそもあたし、あの子のこと嫌いだし」

 労働と報酬が釣り合わないわ、とよく分からないことを口にするキュルケにムスタディオは慌てる。

「ちょ、ちょっと待ってくれよ! そこを何とか頼めないか。使い魔なんてものをするのは始めてだし、どうしたらいいか分からないんだ」
「……使い魔はどの獣も始めてなるものよ。じゃあちょっとだけね。とりあえずあなたはもっとルイズと会話なさい。内容は何でもいいわ。例えば……あたしが今あの子のこと嫌いって言ったわね。その話をするだけで、小一時間は興味深い話を聞けるはずよ。
 後は、トリステインの貴族のことをもっと知りなさい。あの子は貴族としての誇りが特に強いの。……あのいじっぱりは元々の部分が大きいでしょうけどね」
「最後のは何となく分かる気がするなあ」
「……多分それ、見当違いよ」

 再度キュルケがため息をつきかけるが、その顔が一点を見つめ、思案するような間の後急に活き活きとなる。
 何だろうとキュルケの見ている方へ顔を向けると―ルイズが庭を横断し、こちらへやってくるところだった。



40:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/16 17:20:01 07avkAhJ
「ほらほら、噂をすればなんとやらよ。うまくやってらっしゃいな」

 何か嬉しそうな声音だ。女は難しいとムスタディオは思った。
 ルイズが足を止める。その様子に妙な色をムスタディオは見て取った。
 何かやけに表情が硬いのである。陰鬱、とは違う。がちがちに緊張している。

「む、ムスタディオ。用事があるわ。ちょっと、こ、ここっちへいらっしゃい」

 キュルケに背中を押されて立ち上がる。
 ちょっと、と言った割にルイズはムスタディオを連れて校舎の中まで戻ってしまった。

「どうしたんですか、ヴァリエール様? 皆に聞かれたくないことでも」
「そ、そそそんなところね」

 声が震えている。帰ってきてからというもの、ルイズとのやり取りはちょっとしたものであろうとお互いに変な緊張をしてしまっていた。
 しかしこれはそれどころではない。一体どうしたのだろう。
 しばらく難しい顔をしていたルイズだったが、何か覚悟を決めたように切り出してくる。

「あんた今、なくて困ってる物とか、ない?」

 いきなりのことで少々理解が遅れてしまう。
 必要なもの。あるにはあるが、彼女に頼んでまで揃えなければならない物は、今のところない。

「いや……特にないです」
「そ、そんなはず、ないわ!」

 ルイズは焦ったようにムスタディオをじろじろ見回している。
 自分は何かおかしな格好をしているのだろうか。医務室で支給された服。それに、腰にはタルブの村で譲り受けた剣をさげていた。元々は名剣の類だったが、今や朽ちて切れ味は無銘にも劣る。それでもムスタディオはそれを手放すつもりはなく、肌身離さず身に着けていた。
 ルイズはあろうことかその剣を指差した。

「その剣! 前見せてもらったけどぼろぼろだったでしょう? け、剣を持ちたいのならもっと立派な物を買ってあげるわ」
「え?」
「元々、使い魔は護衛なんだし、でもそんな錆びた剣で守られたらたまったものじゃないわ。買ってあげるからそんなの捨てなさい。それに服ももうちょっと貴族の付き人らしい物を―」
「嫌ですよ」

 う、とルイズが口ごもる。ムスタディオが眼光鋭く睨みつけたせいだった。
 見得のせいなんかでこれを破棄されたらたまったものではない。

41:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/16 17:20:47 07avkAhJ
 そう思ったものの―やがてムスタディオはため息をつく。
 彼女の言い分はもっともだと感じたからだった。なまくらの剣で守られたら確かに困る。
 少々の言葉のあやは、自分だっていくらでもやってしまうのだ。こんなことで怒るのはそれこそ信頼していないことの証に思えて、自分が馬鹿馬鹿しく感じられた。
 第一、これは善意の申し出でもあるのではないか。
 とても喜ぶべきことのはずだった。

「……すみませんでした。ええと、この剣は大事なものなんだ。だから捨てるわけにはいきません。でも確かに、衣類はもう少しあれば便利だと思います」
「そ、そうよね!」

 妙に勢いごんでいるルイズ。それは何でだろうとムスタディオが首を捻っていると、こんなことを言った。

「だったら明日、街に買い物に、行くわよ。せ、せっかくの虚無の曜日だし!」

「あ……、はい」

 ムスタディオはぽかんとしてしまう。足りないものを買いに行く。至極当然のことだ。そういう申し出がルイズの方からあったのは驚いたし、嬉しいが、何故この少女はこんな万感の思いを込めるがごとく気合を発散させているのだろうか。
 ルイズはさも名案を思いついたかのように言葉を並べている。

「そうよ、そうしたらあんたの剣を磨き直してもらうのもいいかもしれないわね! 大事なものなら綺麗にしておいたほうがいいわ! ついでに他にも、……他にも、え、えーっと……」

 そこで、ルイズはムスタディオの気が抜けたような顔に気付いてしまった。言葉尻が萎むように消えていく。

「ああ、それは嬉しいです、ありがとうございます」

 ムスタディオがあっけに取られた風に言う。
 すると小さくなっていった声に反比例するように、ルイズの顔がみるみる林檎みたいに赤くなる。

「―なによ、ばかー!」
「うわあ!?」

 何故か分からないがけたぐりまわされた。
 こっちだなんなんだー!? と逃げ回りながらムスタディオは心の中で困惑の声をあげるのだった。



42:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/16 17:23:31 07avkAhJ
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました。

43:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 17:24:00 bEccMKS9
支援

44:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 17:24:57 Bi8ZzYOx
むぅ!?ムスタディオにフラグが立っていたのか?

45:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 17:29:05 JE8uUWiD
当初のこじれ具合が散々だったせいか、
ルイズのデレ表現下手が才人のとき以上だなw

46:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 17:30:06 h9AVgUp1
むぁ、支援に遅れた。

ともあれ乙!

47:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 17:33:01 DCCRLSee
ブレイク技覚えさせてよく使ってたなぁと思いつつ作者氏乙。
確かにメンバーは男のほうが多かったっけ。

48:ハガゼロ
08/03/16 18:28:51 1tdwQaXl
誘導されてこっちに投下
- 一章チビがチビって言うな -


「じゃあ買ってくるね、兄さん」
「おぅ、頼んだぜ……よっこらせっと」
俺たちは先月から大佐に呼び出されてセントラルに来てる
大佐の仕事の手伝いをさせられてるんだが…
まあそれはいいさ、仕事だしな俺だって大人なんだからそれくらいわかるさ。
でもな仕事の内容が書類を届けるだの、世間話に付き合うだのチェスの相手するだの…
俺じゃなくてもいような仕事ばかりだ。
何故だ、嫌がらせか?以前雨が降ったときに俺が大佐のことを湿ったマッチと言ったのが悪いのか?
そういやしばらく部屋からでてこなかったもんな。
まったく…何が悲しくてこんなことをしなきゃいけないのか。
あのニヒルでナルシストな大佐の顔に一発お見舞いしたいぜ
「ふぁ~あ、アルのやつまだかよ…」
欠伸を噛み潰し、食事と飲物を買いに言ったアルが消えた雑踏へと目をやる
かるく見渡すがあの特徴的な甲冑姿は見えない
「ふぅ…んぁ?」
ベンチでだらけるエドの前に…


49:ゼロハガ
08/03/16 18:29:38 1tdwQaXl
「やあ、鋼の」
「げぇっ…た、大佐…」
「げぇ…とは連れない反応じゃないか、私が居ては困ることがあるのかね?」
「別にねーよ、そんなの…それよりなんでこんなとこにいんだよ、俺たちが書類もってきた意味ねーじゃん!」
「私が職務の合間を縫って何を使用がそれは自由というものだそれに
 その仕事を放ってこんなところでくつろいでる君が言えた立場なのかな?」
まったく、こいつは一日に皮肉を100回言わないと死んでしまう病か
「へーへー、分かりましたよアルがもどってきたらさっさと渡しに行くよ、これで文句ねーだろ」
「ああ、そうしてもらおう……所で鋼の」
「なんだよ改まって」
「君は世界が一つだと思うかね?」
「はぁ?」
まーた、分けのわからないことをいいだしたよこいつは
「多くの人々は世界を一本の線…つまり私達が生きている今を点とし
 これが進むことによって後に残る線が過去…そう考えているはずだ
 いや思慮するまでもなく漠然と理解していると言ったほうがいいな」
「なんだ?大佐もそういうのに興味がわいたのか?俺は専門外だぜ」
「話は最後まで聞くと利口な人間なれるぞ」
「よけーなおせわだよ…」

50:ゼロハガ
08/03/16 18:30:00 1tdwQaXl
「私は世界は川のような物だと思う、数多の川が合流しそして支流が生まれる」
「で、けっきょくなんなんだよ?結論から言えよ」
「世界は一つではない…ということさ」
そのとき夏のセントラルには珍しい強い風が吹いた、思わず空を見上げる…大佐が何か言っているが知らん
……どこか、なつかしい草原の香りがしたのは気のせいだろうか…。
「あ」
ふと顔を下ろすと歩き去る大佐の背中が見えた
「全くなんなんだよ、今日の大佐は一際変だったな」
大佐が雑踏に埋もれ見えなくなるまで無言で見送り、アルの帰りを待つ


あぁ…思えばこれがネタフリだったのかもしれないな

51:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:31:17 1tdwQaXl
しばし落ちる、読みづらいなら指摘いただければもっと改行します

52:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:33:01 KUVFHTJW
>>51
投下前に予告しようぜ
あとハガレンは専用すれがあるからそっちでやるといいかも

53:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:34:50 1tdwQaXl
>>52
そっから誘導されたんだ、荒れてるらしくて
予告はすまんかった

54:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:38:39 dSkxUpvj
正直予告無しで投下は穿った見方になっちまうぜ
鋼は専用スレあるし、鋼ネタにかこつけて荒らす奴居るから駄目になったんだ
だから今回の投下は有無を言わさず投下して居座り続けようって魂胆に見えてしまう
これ以上続けたかったら非難所の運営議論にでも掛け合って決めて欲しい

55:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:38:43 BdJ6V0zJ
平成十人ライダーとかは(RX含む)

56:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:43:10 1tdwQaXl
>>54
向こうは廃れてるからこっちの方に投下しようと思ったんだ
元住人らしき人に誘導されたこともあるし、いいかな~っと
居座ろうとかそういうのは無かったんだ、スレが荒れるならやめるよ、うん


57:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:45:34 KKmI2yRx
>>32
バンキシャで時田シロウがナレーションをしてる

58:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:48:54 kZ0dhd/h
ハガレンもこっちでやっていいんじゃない?

TVも終わったし、厨房や信者も減ったろう

59:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:51:11 uHaVNAGA
>>56
多少の事でちまちま荒れる事よりも、職人が自重して作品が投下されなくなってしまう事の方が問題なんだ。
だから遠慮なく投下して欲しいな。

60:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:51:58 mEchVD8Z
ルールさえ守れるのなら良いと思う。
というか鋼スレってまだ生きてたのかw

61:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 18:54:11 JE8uUWiD
向こうは機能不全に陥ってるみたいだからこっちでやったらいいと思うよ。
こっちに持ち込んで万一荒れるようなら、
そのときは向こうに投下してこっちには報告だけいれるようにすればいいんじゃないかと。

62:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:02:09 h9AVgUp1
とりあえず>>1さえ熟読して守ってくれるなら問題ないな。

63:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:02:59 pB4KtKg/
ここが腐敗しきった原因のひとつを誘導しないでくれ


64:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:07:33 CHvSTGFs
住人は完全に入れ替わってしまったんだなぁ……

65:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:10:55 +NwADS9B
鋼はNGなん?

66:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:12:44 ziDSqGbw
>>64
割と受け入れモードで驚いた…

>>65
型月と同じとは言わないが、かなり禁忌されてたはず。

67:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:17:33 h9AVgUp1
>>65
どうなんだろ。
月房は不滅だろうけど、江戸スレ荒しは恒久的なものじゃないと思うけどなぁ。

ただ、ちょうど春休みに入る時期だし、もう少しして新学期が始まってから来た方がいいだろうけど。

68:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:21:24 DUzblgPi
>>67
油断していると忘れた頃にやってくるのはよくある事


69:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:32:36 pB4KtKg/
今回のことに関してだけでいいから過去ログ呼んでくれ

70:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:37:13 /2HmrJ1v
>>65
アンチが多いと危険。
例えばなのは系のレスは特撮ロボット銀Aより占有率が低いけど
うざがられる率がはんぱない

71:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:41:30 1tdwQaXl
んと、投下は自粛すれば良いのだろうか?
自分の行為でスレがおかしなことになるなら投下はしないよ

72:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:43:14 uHaVNAGA
>>71
避難所に投下っていう手もあるでよ。
あそこは管理人さんがちゃんと見張ってる所だから、妙な連中も迂闊には手も出せないんじゃないかと。

73:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:46:21 6eiZiHE/
お、ムスタが来てた
投下乙であります!

74:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 19:46:55 7V72nlDs
住人の合意の元でルールとして決めた型月以外を追い出す道理は無い。

型月以外の特定ジャンルを追い出したいならまずルールを作れ。

避難所に掛け合え?
掛け合うべきなのは追い出したがってるヤツの方だろ

75:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:00:47 fTYOLC6L
姉妹スレって言うのかな?
専門のスレがあるから、投下ならそっちでやれ―という作品ってジョジョと、ハガレンと、型月と……他に何がありましたっけ?

76:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:01:42 JE8uUWiD
>>71
>>72の言うとおり、避難所に投下が無難ちゃ無難かもね。

77:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:03:20 7cJgziou
最近ダイの大冒険ができたよー。なんで突然できたのかわからないけど。
ソードワールドスレは、ロードス島やクリスタニアもあり。
あと、種死もあるけどあれは完全な隔離スレだね。

78:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:04:09 LPMpQOUb
>>75ヘルシングとシャナも追加で

79:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:04:35 CHvSTGFs
>>74
とりあえずお前みたいなのが出ていくべきでは?

80:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:05:14 DUzblgPi
>>75
トレーズ様スレ(ガンダム)もか

81:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:05:45 JE8uUWiD
>>75
> 専門のスレがあるから、投下ならそっちでやれ
厳密には型月ネタだけのはず。
他のスレは「姉妹スレがある作品については、そちらへ投下して盛り上げてあげると喜ばれます」
なので、姉妹スレがあるからそっちでやれ、ではなく、
あくまでも姉妹スレに投下するのが「推奨」というだけじゃね?

82:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:08:25 CHvSTGFs
てか板を移転せざるを得ない状況にした理由の一つの作品を合流させるなんておかしいだろ

83:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:10:08 LPMpQOUb
>>78シャナは違った
ジョジョとのクロスと勘違いしてた

84:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:14:27 DCCRLSee
隔離スレがあるならきちんと次からテンプレに加えればどうだ?
そうすれば、誘導とかも楽になるだろうし、少しは荒れづらくなるだろう。

85:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:18:22 5maJ146n
>>74
つ【鏡】

86:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:22:44 PGvAGKaO
ムスタの人投下乙
見てる分には楽しいが、実際付き合うとなると大変ですな。
ツンデレは

87:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:23:47 PGvAGKaO
専用スレってHELLSINGと型月しか知らないんだが、まだあるの?

88:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:27:27 JE8uUWiD
>>87
この板だけでも
型月、ハガレン、ダイ大、ソードワールドの4スレがある。
俺がこっそりROMってたハルヒ・シャナ・ルイズの3姉妹スレは落ちたらしい。

89:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:31:57 1tdwQaXl
すいません、俺のせいですね
投下は自粛しますすいませんでした

90:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:33:15 LFwd5BU7
投下云々はともかく、
次に何か書くときは地の文をもう少し多くして欲しいかな
ちょっと読みにくかった


91:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:35:00 DCCRLSee
あとほかはジョジョくらいだろうか?
現行スレでよければ一覧作ってくるが?

92:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:37:34 JE8uUWiD
>>89
ナイーブな人がいるからこのスレは避けた方がいいかもね。
でも、俺は続きが気になるので↓のスレにでも投下継続してくれると嬉しい。
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

93:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:37:55 PGvAGKaO
>>91
頼んだ

94:いぬかみっな使い魔
08/03/16 20:47:13 QJhagbnM
なんかやな雰囲気吹き飛ばしたいと思いますので
投下よろしいでしょうか?

予約無くて投下後の感想タイムも確保できるようなら投下します。

95:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:47:39 JE8uUWiD
>>94
どうぞっ。

96:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:50:19 DCCRLSee
とりあえずできたが、投下後にします。
支援。

97:いぬかみっな使い魔
08/03/16 20:51:51 QJhagbnM
では投下します。8話です。実質7話な8話です。

所変わって学院長室。決闘騒ぎを遠見の鏡で観察していた
オールド・オスマンとコルベールは、深刻な顔で相談していた。
「どう見た? 炎蛇よ。」
「はい。途中からしか見れませんでしたが。恐るべき強さですね。」
「うむ。ガンダールヴの名にふさわしい強さじゃ。しかし。」
「あれがガンダールヴゆえの強さかどうか、ですか?」
「うむ。」
「ケータ君は最初から圧倒的に強かった。素手でメイジを圧倒しています。
しかし、途中の要所要所で強さがまったく変わったと見ました。」
「ほう?」
コルベールは、己が軍人時代だった過去の経験から話している。
「ただでさえ速い速度が、武器を握ることによって倍加している、
と見ました。速度は戦いにおいて圧倒的なアドバンテージを与えます。
ガンダールヴの“あらゆる武器を使いこなし”という条件に合致します。」
「ふむ。やはり、そうなるか。」
「学長、早速王宮に伝えましょう、これは素晴らしい発見です!」

「ダメじゃ。」

オールドオスマンが、即座に止めた。
「これは当分の間内密にするのじゃ。こんなおもちゃを手に入れたら
王宮のクサレ将軍どもが戦争おっぱじめる格好の口実にするぞい。
その時、魔法の使えないミス・ヴァリエールも真っ先に巻き込まれる。
同時に国中が戦争に巻き込まれるのじゃ。それを望むわけではあるまい?」
「なるほど! 学長の深謀遠慮、感服しました。」
「大きな力を持つものはその力に対して責任を取らねばならん。
学院に抱えているということではわしらもまた、責任があるのじゃ。
わかってくれるな? 君は、まずはミスヴァリエールの能力開発をしてくれ。」
「! 虚無の担い手を育てよ、と!?」
「そうじゃ。やがて隠し切れなくなるその時に備えて。」
オールド・オスマンは遠くを見る目つきになった。

「啓太君が言ったように、ミス・ヴァリエールの無能ぶりは欠点ではなく
個性じゃった。失われた系統ゆえに伸ばし方がわからず、埋もれた才能。
わしらは、彼女の才能を伸ばしてやらねばならん。やがて彼女の双肩には
想像も付かないほどの重い運命と責任がのしかかるじゃろう。
そのとき潰れないよう、今は大切に育てる時期じゃ。」
「責任重大ですな。」
「うむ。禁書の持ち出しも許可する。学院内限定じゃがな。たのむぞ?」

コルベールが部屋を出て行った後。
オールドオスマンは、深いため息をついた。
「わしはいつ全てを打ち明けるべきなんじゃろう?」


98:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:53:14 DCCRLSee
支援

99:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:53:53 xwfbJD7+
しえん

100:いぬかみっな使い魔
08/03/16 20:54:11 QJhagbnM
うわ、>>96さん、ごめんなさい。
感想もらえる時間欲しいので、できれば投下終了後
しばらく空けてもらえるとうれしいです。

101:いぬかみっな使い魔
08/03/16 20:55:28 QJhagbnM
 その日の昼食時。アルヴィーズの食堂にて。
「ああっ!? ぼ、僕の座る場所が無い!?」
「俺の座る場所も無い!?」
「マリコルヌにギムリだったか? 場所は開いてるんだ、椅子持ってきて
座ればいいだろ。おおい、ちょっと詰めてやってくれ!」
「ケータどの。あなたはこちらで一緒に食事をするのですか?」
マリコルヌはそう言って、ケータに確認した。目で追うのはルイズ、ともはね、
ケータの3人が並ぶ席順だ。なぜか圧倒的強さを誇るケータが下座にいる。
「そんなかしこまった言い方しないでため口でいいぜ。
俺も今日から生徒だからこっちで一緒に食べることになったんだ。
まあ、しばらくはこっちの文字や魔法の基礎を習う補習授業だけどな。
よろしく頼むぜ?」
そういって、啓太は手を差し出した。二人と握手する。
その後二人は椅子を持ってきて食事をするのであるが、
啓太の気さくな性格に大いに感銘を受け、話は随分弾んだのである。

「ふむ、うまいけど野菜が少なくて栄養のバランスが悪いな。
貴族がこういう食事ばかり取ってるなら体調崩しやすそうだ。」
「エーヨーのばらんす? なんです、それ?」
小太りなマリコルヌが尋ねる。
「はいは~~い、それ、私が説明しちゃいます!」
ともはねが口を出してきた。ルイズは、昨夜姉の薬作りを頼んだのを
思い出し身を乗り出して聞き入る。

「あのですね、ご飯はおもに3種類に分かれていて、役目が違うんです。
お肉やお魚は主に体を作るのに役立ちます。ご飯やパンは体を動かすのに
役立ちます。そしてお野菜は体の調子を整えるのに役立つのです!
朝ごはんのときはそれほどでも無かったですけど、昼ごはんのこれは
野菜が少なくてお肉が多すぎるんです。お肉でも多少のビタミンは
入ってますしカロリー補給も出来ますけど、やっぱりちょっと
バランス悪いんです。これだと、病気になりやすくなったり
病気になったときに抵抗力が弱くて酷い症状になりやすくなるんですよ。」




102:いぬかみっな使い魔
08/03/16 20:57:13 QJhagbnM
啓太が、よしよしとともはねの頭をなでてやる。
むふ~~、と自慢げにともはねが鼻を鳴らす。
マリコルヌ、ギムリ、ルイズは良くわからない、という顔をしている。
「いきなりじゃあわからなくて当然だよな。要するに野菜を今の3倍から4倍、
肉を半分、パンは白パンじゃなくて良く挽いた粉で作った黒パンを2倍から3倍。
それくらいが体の調子を良くするのに最高のバランスだってことさ。」
「その、そんな事を気にして食べないといけないの?」
「ダメとは言わない。若いうちは結構何とかなるもんさ。けど、そういった
不摂生は必ず体に跳ね返ってくる。特に歳を取ってからは。
太りすぎて内臓が悪くなったり。」
マリコルヌが自分の腹を押さえた。
「肌がぼろぼろになったり。」
ルイズが自分の頬に手を当てた。
「病気になりやすくなったりする。」
ギムリが、あごに手を当てて何事か考え込む。
ルイズが、ともはねと啓太に聞いた。
「ねえ、もしかして、私の姉さまも食事を変えるだけで良くなるの?」
「それは今までの食事内容を聞いてみないとわからないですよ~~~」
「そうだな。あとは、生活環境とかも、だな。」
啓太が、ともはねの頭をなでる。心地よさそうにともはねが目を細める。
「私、思い出せる限りのことを教えるわ。実家にも問い合わせて
そのあたりの詳しいことを確かめるわ。だから、お願い、姉さまを助けて。」
「出来るかどうかわからないですけど、やってみますよ!」
「そうだな、医者の卵の俺たちじゃ、出来ることに限りがある。
それでもいいなら力を貸すぜ。」
「お願いします。」
ルイズが、わずかに頭を下げる。矜持の高い彼女にしては珍しい。
マリコルヌとギムリは、滅多に見れないそんなルイズを、
ぽかんとして見つめていた。ひそひそと話し合う。
「今日すでに何度目だ!?」
「あのとんでもないじゃじゃ馬を!」
「ここまでおとなしくさせるとは。」
「猛獣を飼いならす秘訣でも知っている職業なのかな?」

※↑そのとおりです!

マリコルヌとギムリの二人は。
「これだけでも尊敬に値する人物だ。」
とひそひそうなずきあったのであった。





103:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 20:58:17 DCCRLSee
支援

104:いぬかみっな使い魔
08/03/16 20:58:46 QJhagbnM
 その日の放課後。
啓太、ルイズ、ともはね、マロちんはかごや移植べら、鎌などを借りて
薬草採取に出ようとしていた。しかし。
「あのね、なんであんたがここにいるのよ!?」
「面白そうだったんだもの。」
なぜか同じ装備でキュルケがここにいる。
食ってかかるルイズを、なんだか妙に生暖かい目で見ている。

 さらに。
マリコルヌ、ギムリ、ペリッソン、スティックス、マニカン、エイジャックス。
なんだか大量の男子までいる。啓太は、戸惑いながら聞いてみた。
「あ~~、すまない。君達は一体?」
「ケータ君がポーションを調合すると聞いたので。実に興味深くて。」
「ケータ君はロバ・アル・カイリエ仕込みだそうじゃないですか。」
マリコルヌとギムリが、誇らしげにケータ君、とタメ口をきいた。
啓太に許可をもらっているのは今のところこの二人だけなのだ。
「薬草を探しに森の奥まで行くと聞いた。」
「そう、暗い森の奥まで。」
「キュルケ嬢とともに行くと聞いて。」
「ちょっと気になっただけさ。」
「HAHAHAHAHAHAHAHAHA!」
 そう言って、5人の男子がわざとらしい笑いをあげる。
小太りなマリコルヌが、不思議そうにそれを見ている。
隣で、ともはねも不思議そうに見ていた。
実はこの5人、キュルケに5股をかけられている連中なのであり、
ケータについてキュルケが森へ行く、と聞いて気になってやってきたのだ。
マリコルヌはギムリがカモフラージュにと連れてきたのである。

 啓太は、そんな事はわからない。
が、薬草摘みに人手があるのはありがたい。素直に認めることにした。
とりあえず歩き出しながら話す。
「おし、じゃあ一緒に行くか。採った薬草のうち余った分は
町まで売りに行く予定だったからな。その売上金は労働量なんかに
合わせて分配することにしよう。」

「「「ええ!?」」」
一同から驚きの声が上がる。
「それは、どう分配するんだ!?」
なんだか妙に必死な男子が数名。

「そりゃあ、まずは当面使いそうな薬草を保存して、ルイズの部屋に
棚でも作って貯めることになるかな。残りを売りに行く。
摘んだ量と陰干しなんかの前加工作業に従事した時間で
割合決めて分配。そんなとこかな?」
「「「おお!」」」
異様に盛り上がってる。

105:いぬかみっな使い魔
08/03/16 21:00:38 QJhagbnM
「お前ら貧乏貴族なのか? この学院に通ってるのはトリスティンでも
名家の子女ばかりだと聞いてたんで金回りがいい奴ばかりだと思ってたんだが。」
 マリコルヌが啓太に説明した。
「この学院に来る貴族の子は皆名家の出だよ。でも、名家と金回りは直接の
関係は無いんだ。世の貴族の半分は貧乏でね。事業に失敗したり戦争で
見栄を張ったり体面保つために収入に見合わないほど豪勢な暮らしを装ったり。」
「へえ~~、そうなんですか。」
ともはねが感心して聞き入っている。啓太ほど歴史を知らないのだ。
ギムリが説明を引き継ぐ。
「特に僕達はまだ爵位をついでいない書生の身だ。しかも次男三男
であることも多くて、名家であろうとお金を稼げるに越したことはないんだ。」
「大変なんですね。」
ともはねが、ちょこんとかわいく首をかしげて納得している。

「それだけじゃないわよ~~?」
 キュルケが割り込んだ。
「メイジは強力な魔法を使うためにいろいろな秘薬を使わなくちゃ
いけない事が多いの。秘薬はそこいらから普通に見つけられることもあるけど
多くは購入する事になるわ。見栄を張って強力な呪文を
使いまくったりすると、とたんにお金が底を突くことになるのよ。」
「なるほどな。」
啓太は納得した。啓太自身、カエルの消しゴムを呪符として使っている。
手ごわい敵と相対すると、大量の呪符が必要になり出費が馬鹿にならない。
「どこも同じなんですね。」
ともはねも、納得したようにうなずいた。
啓太は、ふと暴力の海”を殺した余波で極貧生活をしていた頃を思い出した。
アパートを追い出され、稼いでも稼いでも金を落としたり
思わぬ出費を強いられたりで橋の下で暮らしていたあの日々。
当然電気もなく、スクーターをちょっと改造してかろうじて電化製品を使い。
それですらガソリンを滅多に買えないためにごくたまにだった。
米を買うのが精一杯でくず野菜を拾ってきたり河から採った魚を
おかずにし、それでも足りずに雑草を食べる必要に迫られ、薬草学の基礎を
学ばせてくれた祖母や猛省蘭土の仙人達にどれだけ感謝したか。
「あの頃の俺があるから、この世界でも金を稼ぐ目処が立っている。」
低くつぶやいた啓太は、誰にともなく感謝の祈りを捧げた。




106:いぬかみっな使い魔
08/03/16 21:01:41 QJhagbnM
 学院を少し離れると、そこはすでに刈り込まれた芝生や手入れのされた
庭ではなくなり、自然の草原となる。森まではまだまだ距離があるが、
ともはねと啓太は早速薬草を見つけては摘むことを指示した。
「こんな普通の草原に生えてる草が薬草になるのかい?」
「ああ。薬草なんてどこにでもあるぜ?」
「必要な薬草かどうかはまた別なのですけどね!」
「うん。医食同源といってな。薬草探しの基本は、食べられる野草か、
食べられない野草かの見分け方から始まる。毒なら食べられない。
毒でなくて、食べておいしいもの。それが山菜や食べられる草だ。
食べられる草を栽培するのが農業。栽培種を品種改良したのが野菜。
その中で、食べられるだけでなく体を健康にする草が薬草。
薬草で作った料理を薬膳という。毒をうんと薄めれば薬になることもある。
それが、扱いの難しい薬草。どれも繋り身の回りに密接に関連している。
薬草もまた草の一種であるのだから、そこいらに生えていて当然なのさ。」
「「「「おお~~~」」」」

皆、感心して聞いている。水系統のメイジなら薬草学を採っていて
こういったことに詳しいものもいるだろうが、いいところのお坊ちゃん
ぞろいの彼らからしてみれば、薬草など買えばいい、というものなのだろう。
知らない知識のようだ。皆、素直に指示に従って摘み取りを開始する。

「いいか、全部は摘むな。せいぜい半分までにして置け。
薬草を採り尽くしたら次に薬草が必要になったときに困る。
摘む薬草は形の悪いもの、元気の無いものからにして、
形良く元気のあるものは残せ。そうすれば来年は少し質のいい薬草が生える。
自然から薬草をもらう以上、せめてもの恩返しをしないといけない。」
「「「「「は~~い」」」」」」

「いいですか~~~、憶測で摘み取らないで下さいね~~~!
薬草ってのは似ているけどまったく効果が違う別の草も多いんです!
ちょっとでも自信が無かったら聞きにきてください!
何度でも見分け方を教えますから!」
「「「「お~~~う!」」」」



107:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:02:03 DCCRLSee
支援

108:いぬかみっな使い魔
08/03/16 21:03:41 QJhagbnM
 ともはねが元気良く駆け回り、草のにおいをかぎ、啓太と相談する。
相談の末、問題がなさそうだとなると摘み取りを啓太が指示する。
ハルケギニアのトリスティンと日本とでは当然ながら植生が違う。
生えている薬草も違う。だがそこはそれ、外国から輸入する薬草も多いし、
情報はパソコンですぐに検索できる環境だったしで、
外国のものだからまったく知らないというわけでもない。
さらには人間にはありえないほど高いともはねの嗅覚が物を言う。
匂いで薬効が同じかどうか、大体わかるのだ。そもそも同じ薬草でも
地味の肥え方や日射量などによって薬効成分の含有量は違う。
ともはねとごきょうやはそれを匂いで嗅ぎ分け、緻密な調合を行っていた。
同じ温帯域のこの程度の植生の違いならなんとでもなった。

どうせだからとマリコルヌに命じて地図を作らせ、どこにどのような薬草が
生えているかを記入していく。一同は、徐々に場所を森の奥へと移していった。
環境が変わるたびに違う薬草が得られる。季節が合わなくて
今は採取しても意味が無い薬草なども見つけ、それらの場所も記していく。
時間はあっという間に過ぎていく。皆、結構楽しそうだ。

「お~~い、そろそろ休憩にしよう。」
きれいな泉のほとりに倒木が1本。まだ倒木の上にコケは
生えておらず乾いている。絶好の自然のベンチだ。
厨房に頼んで分けてもらったクッキーと水でおやつにする。
会話が弾む。今までいじめられていたルイズが、普通に話している。
いい傾向だな、と啓太は目を細めた。こうやって少しずつでも
皆に打ち解けることを覚えていけば、過剰な警戒心から来る高慢さも
減っていくかもしれない。

「それにしても、ケータ君? あなた、すごいのね。魔力だけじゃなくて
肉弾戦も武器戦闘も出来て、さらに薬総学、さらにはお金儲けの才覚もある。
まさに万能じゃない。素敵だわ・・・どうやってこんなに優秀になったの?」
赤い長髪に褐色の肌、豊満な胸のキュルケが、啓太の隣に座って
しなだれかかってきた。場が一気に緊張した。
(「私の啓太様に昼日中から!」)と反対側に座っていたともはね。
(「私の使い魔に色目を使うなんて、なんてこと! ツェルプストーが
いるのに気を抜いていた私のバカ馬鹿馬鹿!」)と少し離れた所で
クラスメイトの男子と話していたルイズ。
(「うお! ボクのキュルケが!? でもポット出だけどケータは
すごく強くて優秀、どうやっても勝てない!?」)とギムリ、ペリッソン、
スティックス、マニカン、エイジャックス。
「い、いや、その、ちょっと、くっつきすぎじゃないかな?」
とずり下がりながら啓太。でもなんだか鼻の下が伸びている。
そして当のキュルケは、ルイズが嫉妬の炎をめらめら燃やして
今にも爆発しそうなのを見て、うっとりするような快感を感じているのだった。

その後。

森の奥では魔法が飛び交ったとかいう噂もあるが、
ともあれ薬草は離れたところにまとめていたために無事だったそうな。

109:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:04:02 xwfbJD7+
支援

110:いぬかみっな使い魔
08/03/16 21:09:06 QJhagbnM
以上です。
ちなみにSSの啓太は18歳、3年の2学期末~3学期初め
という設定です。

時間経過は、少なくとも連載分に関しては順不同な分もあると仮定して、
1巻冒頭で16歳1年2学期末~3学期初め、
2巻ラストで3学期、5巻死神戦が2年初夏以前、
8巻が2年クリスマス前後
14巻が3年夏くらいかな、と思っています。
もっともサザエさん進行な世界みたいですが。

111:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:16:14 uHaVNAGA
>>110
職人さん乙です~

112:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:22:12 DCCRLSee
投下乙でした。
↓以下、専用スレの一覧です。

【アニキャラ総合】
【ジョジョ】ゼロの奇妙な使い魔【召喚79人目】
スレリンク(anichara板)l50

ソードワールドのキャラがルイズに召還されました
スレリンク(anichara板)l50

ダイの大冒険のキャラがルイズに召喚されました
スレリンク(anichara板)l50

ハガレンのエドがルイズに召喚されたようです
スレリンク(anichara板)l50

型月のキャラがルイズに召喚されましたpart4
スレリンク(anichara板)l50


【漫画サロン】
HELLSINGのキャラがルイズに召喚されました part5
スレリンク(csaloon板)l50

【旧シャア専用】
もしルイズが召喚したのがトレーズ様だったら
スレリンク(x3板)l50

【エヴァ】
もしルイズが召喚したのがシンジだったら 第弐話
スレリンク(eva板)l50


「ルイズ」で検索したりしてそれっぽいスレッドをとりあえず突っ込んでみた。
あと海馬社長が召喚されるスレッドがVIPあたりで立っていた記憶がありましたが、そっちは見つからなかった。
たぶんミスが多いと思うので、これをベースにしていただければ幸いです。

113:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:26:26 zRMaCH1l
社長やベーダー卿はあくまでも個人だからそこに投下するのは……

114:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:28:20 uR2et/rX
社長のほうは不定期だしな

115:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:41:37 DCCRLSee
なるほど。個人スレだったのですね。
あとほかに専用スレはありましたっけ?

116:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:42:05 2TsBinf1
いぬかみの人、乙。
こういう地味な話がある長編は秀作が多い法則。

117:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:42:34 QJhagbnM
>>96>>112
なるほど、SS投稿だと思っていましたがスレリストでしたか。
乙です。

時にいくつか覗いてみましたが。
雑談スレが多くてSS投稿してるの少ないような?


118:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:43:55 6VwfEWDn
専用スレがあるのは、>>75に加えてHELLSINGとトレーズ様…………もとい、ガンダム系だったかな。
wikiのお預かりに登録されてる作品はそれらのスレに投下されてた奴だし。

119:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:45:31 6VwfEWDn
っと、割り込み遅レスしちまってゴメンなさい

120:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 21:46:39 V0j/Qvj1
ともはねかわいいよかわいいよともはね

121:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:02:24 vX1oWrje
>110
アニメしか見てない自分にはケータがなんか完璧超人過ぎて違和感あるけど楽しめてます。
なにはともかく可愛いよともはね、ともはね可愛いよ

122:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:02:53 etXsv6nn
>>117
雑談の方が盛り上がってスレを圧迫するから隔離してるという意味もあるし
その作品のファンだけなら雑談し続けても嫌な顔する人はいないからな

あとは作品限定すると職人が圧倒的に少なくなるから降臨待ちの保守代わり的な…

123:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:08:24 QJhagbnM
>>121
啓太って、基本スペック高いですよ。性格アレですけど。
13で独立して自分で稼ぎながら学校行って、休みがちなのに成績は悪くない。
それどころか現役での獣医大合格を目指せるスペックです。
猛省蘭土の修行で1年間学校を休んでいたのに普通に学年追いついてますし。
しかも日常はそんなに勉強もしていない。それでそこそこの成績です。
戦闘能力は言わずもがなですしね。

124:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:13:42 QJhagbnM
ともあれ皆様、感想ありがとうございました。
感想はSS作成の原動力、やる気がもりもり沸いてくる!
ありがとうございます!


追記:裏設定ですけど、啓太達の知力はかなり上がっています。
動物が使い魔になると話せるくらいに知力があがるのが
ゼロ魔世界の設定だからです。これも作中で書かないとなあ。

125:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:16:59 +NwADS9B
いぬかみの方乙です!
鋼の方避難所に投下してもらえませんか?続きが読みたいッス

126:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:29:56 5HP43ioZ
>>124
悪いけど自作品や登場キャラのスペック、特徴、改変点なんか語りたいときはタイトルつけたまんまにしてくれ


127:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:40:53 DZphTLvf
なんで指摘や注意するとき、皆上から目線でえらそうなの?

128:ネタ
08/03/16 22:41:45 RRak6NEt
魅惑の妖精亭の嬢と特技一覧

キュルケはパイズリ
タバサはパイパン
ルイズは貧乳
アンリエッタはアナル


129:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:43:59 HJnwGSdC
各SSでも魅惑の妖精亭ってあんまネタになっとらんよなー。

130:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:44:15 5maJ146n
>>127
何か勘違いしてるんだろうなw

131:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:48:44 QAyVq7iV
タバサは意外と凄い

132:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:51:05 kZ0dhd/h
どう凄いのか説明kwsk

133:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:51:27 u+dr3oOm
ちんちくりん故か

134:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:53:50 QAyVq7iV
11巻P199の中ほど参照
才人の感想が一行だけだが書かれてる

135:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:53:54 z0Skk/ca
単なる箇条書きや説明文と見下した態度の区別が付かない輩が多いな

136:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:55:25 7Uj6CWzc
タバサはテクニシャン。
毎日きゅいきゅいと練習に余念が無い。

137:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:57:31 ZBJJIxSc
俺はブラストハンド。
モテモテなPC1。

138:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 22:59:01 QJhagbnM
ごめん、11巻P199中ほどだとティファニアの胸がすごいことなのが
わかるだけでタバサはわからんかった。

139:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:00:38 QAyVq7iV
12巻だった。すまない。
別に俺がテファが超好きってわけではない。

140:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:01:39 ElQGLDsI
>>137
君はPC④に格下げされたはずでは?

141:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:02:13 PGvAGKaO
>>112
ダイスレが不憫でならんな

142:名無しさん@お腹いっぱい
08/03/16 23:06:24 pAM8UKmG
トランスフォーマーがアリならビーストウォーズはアリなのかな

143:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:06:50 QJhagbnM
確認した、タバサも結構すごかった。
しかしなんとはまりすぎな間違いするんだ(w

144:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:09:40 YoHgxBxz
今まとめ読んできた
ゼロのガンパレードの人ありがとう。
数年ぶりに感動して泣いた。
これからも頑張って書き続けてください。

145:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:10:30 kZ0dhd/h
>>143
 それは無意識化の願望が顕在化したのだよ

 つまり君は私の同志、同じ変態紳士ということだ

146:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:15:14 hCqXN8YG
このHENTAIダンサー共めw

いぬかみ、10巻当たりからメディアミックスで話が
伸ばされてるっぽく感じて俺的に読む意欲が失速して読んでないんだが
今どうなってるんだ?

147:さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo
08/03/16 23:21:33 cZhayVBq
皆様こんばんは
変態紳士の方々が有意義な討論をしていらっしゃるところ申し訳ありませんが、進路グリーンでしたら13話を30分くらいから投下してよろしいでしょうか(・ω・`)

148:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:25:39 5Dpq63pc
ふむ。前哨支援だ。

149:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:29:57 jHsS+293
>>146
現在サイトはハルケギニアから地球に帰還する瀬戸際なんだぜ。
SS的にはこの辺で区切りを付けてサイト以外の使い魔を召喚したルイズってのも悪く無いかもね。

支援ですとも!

150:さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo
08/03/16 23:30:35 cZhayVBq
それでは、投下開始させていただきます

イザベラ管理人第13話:貴族というモノ・前編


イザベラは、一歩を踏み出した日から数日、精力的に活動を始めていた。
まず、朝早く…耕介が起きるのと同程度の時間に起きるようになった。
次に書庫に篭る時間が多くなり、食事もそこに運ばせている。
耕介は一度、本を読みながら食べるのは行儀が良くないと注意したことがあるが、『時間は有限なんだよ!』と一蹴された。
その際、ついでに耕介に字を教えてくれることもある。
努力し始めたイザベラの時間を潰すのは悪いと思い、他の人に教えてもらうと言ったこともあるが…
『別にあんたに字を教える時間くらいいくらでもある!それとも…あたしが教えるんじゃ不満だってのかい?』
『いや、そういうわけじゃないんだけど…まぁそれならこれからもお言葉に甘えることにするよ』
『ああ、それでいいんだよ。それにあんたはあたしの使い魔なんだから、できる限りそばにいないとダメなんだよ!』
というやり取りの末、耕介の教師はイザベラのままとなった。
さらには軍の教官クラスや政務官の補佐をしている人材などに声をかけ、家庭教師になってもらうように話もつけたらしい。
『あたしに魔法の才能がないのはもう仕方ない。なら、他の部分でなんとかするさ』
とは彼女の弁である。
北花壇騎士団団長としての仕事もこなしつつそれらをやっているのだから見上げたものである。
耕介としては、少々無茶に詰め込みすぎている気もするが、彼女のやる気を殺ぐのも忍びないので今は見守るのみにしている。
そしてそんなある日、この事件はイザベラの声から始まった。

「………はぁぁ?」
書斎で耕介の作ったサンドウィッチを食べながら北花壇騎士団に割り当てられた任務の書類に目を通していたイザベラが、呆れたような声を出した。
「どうしたんだ、イザベラ?」
こちらもサンドウィッチを食べながらイザベラが教材に指定した絵本を読んでいた耕介が、本から目を上げて問う。
イザベラはすぐには答えず、書類をもう一度読み直し、自分の目がおかしくなったわけではないことを確認した。
そして、再度内容を吟味し、昨今の政治情勢などを鑑み、この任務が全く字面通りの任務であることを読み取り…
「………アホじゃないのかい!?」
と叫んだ。ついで、耕介にその書類を突きつける。
「おっと…うーん…ド・アナル家…?からの…えーっと…………ごめんイザベラ、ほとんど読めない」
書類を睨みつけてしばし停止していた耕介だったが…文字を習い始めて数日ではさすがに1/3も読めなかった。
「あ……貸しな!」
どうやら書類の内容に気をとられて耕介がまだほとんど文を読めないことを忘れていたらしい。
わずかに頬を朱に染めながらイザベラは書類をふんだくるように奪い取り、読み上げた。
「ド・ロナル家からの要請さ。要約すると、魔法学院に行きたがらない息子を行けるようにしろ…とさ。全く、騎士団をなんだと思ってるんだい、雑用係じゃないんだよ!?」
引きこもった息子の説得を騎士にさせようと考える貴族も貴族だが、汚れ仕事専門の北花壇騎士団にこの任務を回す政務官も政務官である。
「それって…どう考えても親の仕事だよな…」
「当たり前だろ。けど、このド・ロナル家ってのがクセモノでね…結構な有力貴族なのさ。だから無碍にもできない上に失敗したらまずい。だからこっちに回してきたんだろうね。体のいい厄介払いさ」
苦々しげな表情でイザベラが怠惰な権力者の厄介さを口にする。
しかし、任務として正式な手順を踏んで北花壇騎士団にきた以上、やるしかないのもまた事実だから頭が痛い。
「ったく仕方ないねぇ…えぇっと、手の空いてる騎士は…」
額に手を当て、悩みだしたイザベラのカップに耕介は紅茶を注いでやる。
しばらく書類と睨めっこしながら悩んでいたイザベラだったが…何か思いついたのか、突然ニヤリといった擬音の似合う笑顔を浮かべた。
その笑顔になんとなく耕介は嫌な予感を感じる。
「ど、どうしたんだ、イザベラ」
「ふふん、丁度いい。耕介、いくよ!」
耕介の淹れた紅茶を一気に飲み干し、最後のサンドウィッチを口に詰め込んで、イザベラは傲然と立ち上がった。
イザベラを見上げて呆然としている耕介の首根っこを引っつかみ、書斎の出口へと向かう。
「お、おい、イザベラ、何がどうしたんだ!?行くってどこへだ?」
身長差のあるイザベラに引きずられるようにして歩く耕介は中腰にならざるを得ず、とても情けない格好だ。
ぶち破るかのような勢いで書斎の扉を開けたイザベラが振り向きもせずに答えた。
「ド・ロナル家に決まってるだろ!」

151:さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo
08/03/16 23:32:59 cZhayVBq
ハルケギニア最大国ガリアの王都リュティスに旧市街と呼ばれる中州がある。
このほぼ中央にあるのが、タバサの留学先トリステイン魔法学院に匹敵する格式と歴史を誇るリュティス魔法学院である。
リュティスには他にも魔法学院はあるが、その中でもこのリュティス魔法学院が別格であるのは王都の名を冠されていることからもよくわかるだろう。
そこは国内外でも特に裕福で有力な貴族の子弟しか通うことを許されぬ選ばれた者たちの学院だ。
今回、問題となるド・ロナル家の子息とは、その選ばれた者の一人であるのだが…
「ド・ロナル家ってのはね、昔から大臣や将軍を輩出してる古くからの名家なのさ」
王族が乗るには貧相に過ぎる馬車の中で、耕介は魔法学院やド・ロナル家に関する講義をイザベラから受けていた。
「そうなのか、確かにそれほどの名家からの要請なら断るわけにいかないんだろうなぁ…。で、イザベラ。もう一度確認するけど、本気で俺達でやるのか?」
脳内メモにそれらを書きつけ…耕介は無駄と思いつつも最後の確認をする。
「くどいねぇ、やるって言ったらやるんだよ!気分転換しろって言ったのはあんただろ」
そう、イザベラはなんとこのふざけた任務を自分でこなすと言うのだ。
なんでも今フリーの騎士がタバサしかいないらしく、わざわざ彼女をこんなことで呼び出すのも時間の無駄。
ついでにド・ロナル家に恩を売るつもりもあるらしい。
加えて、耕介が散々無理をするな、気分転換をしろと言ったことも理由。
こうまで言われては耕介に止めることはできないが…
「本当にいいのかな…」
王女がこんなにほいほいと街中に出ていいのだろうかと悩む耕介であった。
「あたしがいいって言ってんだからいいんだよ。それともなんだい、耕介。あんた、あたしを護ってくれないのかい?」
耕介の前に座るイザベラが、明るい笑みを浮かべる。その笑みは、耕介への全幅の信頼を表現していた。
そんな笑顔を向けられては、折れるよりないというものである。
「まさか、必ず護るよ」
もちろん、王女であるイザベラが直接出向くなど、プチ・トロワの衛士たちともめないわけがない。
だが、食い下がる衛士たちをイザベラは全て一蹴していた。
『あたしがこうするのが最良だと判断したんだ、ケチつける気かい!?護衛もいらないよ、コースケだけで充分さ。馬車!?あんなでかくて遅いのに乗っていったら日が暮れちまうよ!』
護衛を申し出る衛士たちも、北花壇騎士を追い詰めたという謎の男耕介が護衛につくとあっては退くしかない。
馬車を用意するのも時間がかかるし、王族用の馬車は見栄えが重視され、移動速度も遅い故にイザベラはいらないと断言する。
納得いかないといった風の衛士たちをことごとく言葉の斬撃で斬り捨てたイザベラは宣言通り耕介だけを護衛にこうしてリュティスまで出てきたわけだ。
その後、イザベラ先生による魔法学院講座を耕介が受けていると…行く手に巨大なマンティコアの像を擁する門が見えてきた。
馬車は門の前でゆっくりと停止する。
「ここがド・ロナル家さ。ほら、とっときな」
耕介が大貴族の豪邸を見上げて惚けている隣で、イザベラは極度の緊張で顔を青くしていた御者に貨幣を渡していた。
「殿下をお乗せできる栄誉に与り、えっと…恐縮の極み…うへ!?で、殿下、これはさすがに多すぎですぜ?」
イザベラが渡したのは銀貨であった。馬車代としては破格どころの騒ぎではない。
慣れない敬語を使おうとしていた御者が素に戻ってしまったのも致し方ないことだろう。
「あたしは『とっときな』って言ったんだよ。王宮の馬車なんぞよりよほど早くて便利だったよ、また使わせてもらう」
「へ、へぇ、そんときゃ是非!」
降って湧いたように現れた幸運…それを与えてくれた王女にぺこぺこと頭を下げる御者を追い払い、イザベラはド・ロナル家の門に向き直った。
すると、驚いたことにマンティコア像の口が開いた。
「当家に何の御用ですかな?」
完全に石像だと思っていた耕介が素っ頓狂な声をあげるが、それを無視してイザベラが答える。
「ガリア花壇騎士団長イザベラ。他に何か言うべきことがあるかい?」
「お、王女殿下!?」
慌てた声をあげる石像…なんとも異様である。わずかの間の後、門が開かれ、そこには冷や汗をかいた老人が待っていた。
「お、王女殿下、当家に何の御用でございましょう?なにぶん、突然のご来訪故に歓迎の準備もできておらず…」
「別に歓迎なんて必要ないさ、あたしは今日は花壇騎士団長としてきたんだ。任務でね。とっとと家人に会わせな」
長々と続きそうな老人―執事であろう―の時間稼ぎをバッサリと斬り捨て、案内を要求するイザベラ。

152:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:34:04 pgOqVQgx
進路確認、HE☆NN☆TA☆Iな紳士軍団に全車突撃命令を下す!

153:さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo
08/03/16 23:35:18 cZhayVBq
老執事は髭と皺に埋もれた顔を真っ青にし、慌てて一礼してから先導し始めた。
耕介は思う。
(…本当に良かったのかなぁ…)
おそらく、イザベラ以外で喜んでいるのは先ほどの幸運な御者だけであろう。

「こ…これはこれは王女殿下におきましてはご機嫌うるわしゅう…」
二人が通された、たくさんの煌びやかな装飾品に彩られた居間。
その真ん中で、今回の任務の依頼主であるでっぷりと肥え太った豚…もとい、ド・ロナル夫人が脂肪でぶよぶよの顔を卑屈に歪ませながら挨拶をしていた。
豪奢な特大サイズのドレスに身を包み、金銀の目がちかちかするほどの装飾品を身につけた肉塊…いや、夫人は、このガリアの退廃の象徴といえよう。
耕介の第一印象は
(うわぁ…)
だった。
「久しぶりだね、ド・ロナル夫人。今日は騎士団の団長として来たんだ、特に歓迎なんていらないよ」
これまた長々と続きそうなおためごかしを一蹴し、イザベラは案内を催促する。
「で、殿下、騎士団の団長として…と仰いますが、それはどこの…」
だが、夫人の方もそんな情けない理由で王女の手を煩わせたという噂がたつのを避けたいのだろう、必死に言葉を重ねる。
「あたしが『とある』騎士団の団長をしているって…聞いたことはないのかい?」
豚のように太った夫人が本物の豚のようにダラダラを冷や汗を流す様が面白いのか、イザベラはニヤリと笑う。
夫人たちの社交場であるお茶会で、無能王女イザベラの噂が上ったことがある。
それは、かの王女は本来存在しないはずの北花壇騎士団という影の騎士団を統率し、ガリアに仇なす不埒者どもを片っ端から暗殺している…というものだ。
確かに夫人は騎士を呼べとは言った。しかし、まさか北花壇騎士が出てくるとは…。
「い、いえ、愚息が少々、勇気が足りず、学院で不便な思いをしているようなので…勇気を与えてくださるような立派な騎士様にお出で願えないかと考えただけでして…わざわざ王女殿下のお手を煩わせるほどでは…」
イザベラの不機嫌度が加速度的に増しているが、さすがに有力貴族相手に怒鳴りつけるわけにもいかないのか、笑顔を不気味に引きつらせ、なんとか耐えている。
「安心しな、こいつはあたし直属の近衛騎士さ。実力はトライアングル、充分だろう?」
事前に余計なことは言うなと言い含められている耕介は、礼をしただけで沈黙を護った。
今迂闊に喋ればイザベラの制裁がくることは必至である。
そして、逃げ道を封じられた夫人はだらだらと冷や汗を流し…結局、折れた。
「こ、こちらでございます、王女殿下」
重たげに体を動かし、夫人が案内しようとするが、イザベラはそれを遮った。
「いや、夫人にそこまでしてもらう必要はないよ。執事かその息子付きのメイドでも呼んでくれりゃぁいい」

「イザベラ、良かったのか?あの夫人、物凄く嫌そうだったけど…」
「ハン、あんなのについてこられちゃ、息子から話も聞けないじゃないか。かまいやしないよ」
先導するメイド―問題のド・ロナル家の嫡男オリヴァン付きでアネットというらしい―に聞こえぬように声を潜める。
イザベラの言うことはもっともであろう。ド・ロナル夫人は典型的な貴族、故に外面を何よりも大事にする。
そんな母親と一緒では、子どもから本音を聞きだすなど無理な話だ。
(でも、それは王女に聞かれても無理な気がするんだけどなぁ…)
それもまたもっともである。が、イザベラは自信満々で歩を進めている、とりあえずは彼女に任せようと耕介は考えていた。
「こ、こちらです、王女殿下。アネットでございます、坊ちゃま、扉を開けてくださいませ。お、王女殿下がいらっしゃっているんです」
アネットが緊張した面持ちで派手なマンティコアの紋章が刻印された扉を示し、ノックと共に声をかける。
だが、返事はない。鍵がかけられているらしく、扉も開かない。おそらく『王女殿下が来た』という言葉もまともに受け取っていないのだろう。
一瞬で待つことを放棄したイザベラはアネットを押し退け、コモンスペル<<アンロック>>をかけた。しかし、反応はない。
「チ、かなり高位のメイジが<<ロック>>をかけてやがるね。耕介、ぶっ壊しな」
「え!?」
イザベラの行きすぎな果断っぷりに耕介とアネットは顔を青くする。
「ほら、早くしな。多分<<固定化>>もかかってるから、シャルロットとの戦いの時に使ったあれでやりな」
耕介とアネットの視線の抗議を軽く黙殺し、イザベラはなおも促す。

154:149
08/03/16 23:36:06 jHsS+293
あ、いぬかみの話だったのね・・・完璧に間違えたよ
それはそうと支援

155:さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo
08/03/16 23:37:35 cZhayVBq
だが、このままオリヴァンが出てこなければ何も始まらない上に、あの夫人にご登場願うのは本末転倒…仕方なく耕介は御架月を抜いた。
「き、騎士様!?」
アネットがさらに顔を青くし、耕介を止めようとするが、イザベラに一瞬視線を送られただけでへなへなと尻餅をついてしまった。
「こんなことに使って悪い、御架月…神咲無尽流・洸牙!」
苦い笑いで御架月に謝り、霊力の白炎をまとった刀を扉に振り下ろす。
威力的にはトライアングルクラスに匹敵する斬撃を受け、扉はあっさりと半分に断ち割られ、用を成さなくなった。
部屋の内側に向かって倒れた扉の残骸を踏み越え、オリヴァンの部屋に入り…最初に気づいたのは異臭であった。
散乱した食器、ワインの空き瓶、脱ぎ散らかされた服…それらが放つ匂いが交じり合っているのだ。
書棚に囲まれ、遊具が散らばるこの部屋は、まさしく少年の砦なのだろう。
「ひぃ!な、なんだお前たちは!」
そして、部屋の中央にある天蓋つきの巨大なベッドにその主はいた。
まさしく『あの親にしてこの子あり』という格言を体現するでっぷりと太った少年だった。
突然の手荒な闖入者に恐怖し、それでも自身が特別な存在だと誇示することで自分を守ろうとする。
その姿は、イザベラにどうしようもない不快感と…シンパシーを与えた。
「フン…なんだい、このあたしを知らないってのかい?ええ、オリヴァン坊や?」
「お、お前なんか知るわけが……………え、えぇ!?お、おおおお王女殿下!?」
イザベラの正体を知り、オリヴァンはにわかに慌てだした。
当然であろう、正真正銘のあの残酷で傲慢なことで評判の王女が突然現れ…自分は今しがた暴言を吐いたのだ。
一瞬で恐怖に支配され、ガタガタ震えるオリヴァンを見下ろして、イザベラはいまだに腰を抜かしているアネットを呼ばわった。
「メイド!この汚い部屋の掃除をしな、こんな部屋じゃ臭くてまともに尋もn…いや、話し合いもできないよ。向かいの部屋は空き部屋かい?」
「い、いえ、向かいの部屋は坊ちゃまの勉強部屋でございます」
「なら、そこを使わせてもらうよ。ほら、オリヴァン、いくよ」
アネットはすぐさま掃除用具を取りに去っていった。
オリヴァンは恐怖と電光石火の状況の推移についていけず、呆然としている。
そしてイザベラは…やはり、待つことなどしなかった。
「うわぁ!?」
オリヴァンに<<レビテーション>>をかけて強制連行である。
耕介はもう一度思った。
(………本当に………良かったのかなぁ……)

全体的に埃っぽい勉強部屋へオリヴァンを拉致したイザベラは適当なところで<<レビテーション>>を解除した。
「いたぁ!」
オリヴァンが顔面から落下するが、そんなものにはおかまいなしに扉へと反転、<<ロック>>をかける。
次にオリヴァンの目の前に椅子を持ってきて、そこにドカッと座る。
背後に刀を持った耕介を従え、傲岸不遜にオリヴァンを見下ろすイザベラはまるで罪人を裁く裁判官…いや、尋問官と言った方がいいかもしれない。
「さぁ、洗いざらい喋ってもらおうじゃないか」
「え、えっと…あの…」
鼻を押さえ、どうすれば良いのかわからずオリヴァンはうろたえる。
耕介は心の底から同情するが…実際、彼からまともに話を聞くにはこうやるのが一番手っ取り早いのかもしれない。
「あたしだって暇じゃないんだ。ほれ、学院に行きたくない理由があるんだろ。それを話しなって言ってんのさ。あぁ、嘘なんてつくんじゃないよ、王女を謀ったらどうなるか…言うまでもないね?」
「ひぃ!?わ、わかりました…」
哀れなオリヴァン少年は、とても王女…いや、貴族とは思えない凶悪な笑みを浮かべるイザベラに圧倒され、すっかり怯えている。
それでもわずか迷っていたが…結局、イザベラの圧力に負け、ポツリポツリと話し始めるのだった。

156:さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo
08/03/16 23:39:50 cZhayVBq
(イジメ…かぁ…)
気弱な少年が引きこもる理由としてはポピュラーなもの、と言えるだろう。
魔法の腕前が重要視される学院において、オリヴァンは風のドット。
それだけならばまだいいが、説明する姿を見る限り、彼は自分に自信がない。それがクラスメイトに『イジメてもいい相手』と認識される最大の原因だろう。
先ほど、部屋に踏み込んだ時の態度と考え合わせるに、典型的な内弁慶というわけだ。
正直なところ、耕介はイザベラがいつ爆発するか、冷や冷やモノであった。
もごもごと必要以上に自分を卑下しながら話すオリヴァンは誰が見てもイライラを煽る。
だが、意外なことにイザベラはオリヴァンが説明する間、ずっと黙って聞いていた。
オリヴァンが口ごもっても、先を促すこともしない。
その代わり、相槌を打つこともないが…その方がオリヴァンには話しやすかったことだろう。
やがて全てを話し終わり、オリヴァンは泣き出した。
過去の屈辱を思い出し、我慢し切れなかったのだろう。
見かねて耕介が声をかけようとした…が
「泣くな!!」
それよりも早く、イザベラの屋敷中に響き渡りそうな一喝が轟いた。
オリヴァンはあまりのことに泣くのも忘れ、ぽかんとイザベラを見つめている。
そして、イザベラは打って変わって平静で真剣な声でオリヴァンに語りかけた。
「泣いたって何も解決しやしないよ。それより、あんたをイジメてる連中に一泡吹かせる策を練った方がよほど建設的ってもんさ」
「で、でも、あいつらは皆ラインクラスで…」
イザベラの一喝で考える程度の余裕を取り戻したオリヴァンだったが、再びへたり込む。
ハルケギニアの魔法体系において、クラスの差というものはとても大きい。
ドットからラインにあがれば、その恩恵は系統を足せる数が増えるだけではない。
ドットの魔法は消費する精神力が半減するし、威力は倍に上昇する。戦術にも幅が出る。
相性の問題はあれど、上位クラスの者に下位クラスの者が勝つことはほぼ不可能と言えるだろう。
加えて、オリヴァンはドットでも最下級。故に、オリヴァンは卑屈にならざるを得ないのだ。
どうしようもないからこそ、オリヴァンは自分の砦で空想の中に遊んでいた。
――あぁ、もう本当に……!
その呟きは誰のものだったか。
ドンッ!と床を踏み抜こうとするかのような足音を立ててイザベラが立ち上がった。
オリヴァンが怯えた目でイザベラを見つめるが、イザベラは既に背を向けて窓へと向かっている。
「耕介、そろそろ昼だ、食事の用意しな」
耕介を見もせずにイザベラはそう言って、窓を開けた。
イザベラの態度の理由をなんとなく察した耕介は、了解の言葉だけ返して扉へと向かう。
そして、扉を開ける前に小声で聞き耳を立てている相手に忠告する。
「今から開けますよ、ぶつからないように気をつけて」
耕介が扉を開けると、そこには案の定、オリヴァン付きのメイドのアネットがばつの悪そうな表情で俯いていた。
背後からはイザベラの指笛の高くて澄んだ音が響いた。

「そうかぁ、君は忠義者なんだね」
耕介は厨房で用意してもらった昼食をアネットと共に勉強部屋へと運んでいた。
アネットが一人で運ぶと言っていたのだが、どうせコックに昼食の際のイザベラの好み云々を報告しなければなかったし、耕介も出向いたのだ。
「そ、そんな…私は、坊ちゃまにご恩をお返ししようとしているだけで…」
アネットはまだこの屋敷に奉公に来たばかりの頃、失敗ばかりで塞ぎこんでいる時にオリヴァンに助けてもらったことがあるらしい。
だから彼女はオリヴァン付きのメイドに志願し、先ほども危険を冒してまで聞き耳を立てていたのだろう。
「旦那様と奥方様は坊ちゃまの御教育には関心がおありでないのです。それに、その…お世辞にも使用人たちにも人気があるわけではありません。ですが、私だけは坊ちゃまのことを信じようと思っているのです」
本人は否定するだろうからこれ以上口にはしなかったが…
(やっぱり、忠義者だと思うよ、君は)
オリヴァンに味方がいてくれたことに、耕介は嬉しくなるのだった。
程なく勉強部屋につき、その扉を開けると、そこにはナイフを持ってオリヴァンを追い回すイザベラの姿があった。
その肩にはフクロウが留まっている。
「おら、待ちな!血がいるんだって言ってるだろ!」
「い、痛いのは嫌だぁー!」
耕介の脳裏を一瞬だけ『いつの間に吸血鬼になったんだイザベラ』などというバカな考えが過ぎった。

157:さざなみ寮生 ◆ZMP6Ne1FYo
08/03/16 23:43:10 cZhayVBq
「全く、この程度の傷でギャーギャー喚くんじゃないよ!」
「で、でも痛いものは痛いんですよぉ…」
イザベラはオリヴァンの指にナイフで傷をつけ、血を小瓶に集めていた。
耕介が理由を訊いても『ふふん、秘策って奴なのさ』と自慢げな…正直に言うと悪ガキが悪戯を思いついたような笑顔でそう言うだけである。
「ま、まぁまぁイザベラ、その辺にしておいてやれよ」
耕介の言葉を聞いたオリヴァンとアネットが信じられないような目で耕介を見るが、彼は気づかなかった。
一国の王女を騎士風情が呼び捨てにし、敬語すらも使っていないのだから当然ではある。
「ハン、メイジにとっちゃこの程度傷にも入らないよ、魔法で治せるんだからね」
そして、当の本人であるイザベラが気にしていないことに二人はさらに驚愕の視線を向けた…が、やはり耕介とイザベラはどこ吹く風だ。
イザベラは小瓶に満たされたオリヴァンの血液を見て満足そうに頷き、オリヴァンに治癒をかけてやった。
「お、王女殿下に魔法をかけていただけるとは、光栄の極みです…!」
冷酷で傲慢と評判の王女の意外な行動にオリヴァンは慌てて社交辞令を述べるが、イザベラはご機嫌に口笛など吹きつつ完全に聞いていない。
「ところでイザベラ、どうするつもりなんだ?」
それはオリヴァンとアネットも聞きたいところ、二人ともイザベラに視線を向けた。
「ふふん、決まってるだろ。昼食が終わったら…」
イザベラは満面の笑顔―ただし、ニヤリという黒い笑み―を浮かべながらテーブルからフォークを取ると、オリヴァンにビシッと突きつけ、宣言した。

「そのいけ好かない奴らに決闘を挑むのさ!」


以上で投下終了になります、支援ありがとうございました!
ちなみに自分は貧も巨もどちらもイけます。
1作品につき一人は嫁がいると友人に話したら『この節操なしめ!』と罵られましたが、普通ですよね(´・ω・`)

158:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:45:56 uhtE+Klk
乙です。
1作品に一人しか嫁がいないなんてむしろ異常ですよ?

159:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:46:22 F10n0lz1
>>1作品につき一人は嫁がいる

いや、普通は2~3人いるもんではないのか?

160:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:46:51 75h35rCM
何てぇワイルドな姫なんだ(w
裏を返せば頼もしいといえるかも……しれない?

161:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:46:55 F10n0lz1
>>158
ナカーマ

162:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:47:05 PVCA/t/b
イザベラ可愛いよイザベラ乙

163:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:47:18 pgOqVQgx
貴方とは友達になれそうですb
各作品に二人は嫁が居ますとも
このスレの95%が同意してくれるはず

164:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:55:04 5Dpq63pc
投下乙。イザベラ様吹っ切れすぎだw
血を採取したということは……ミョズさんお得意のアレの出番なんだろか。

165:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/16 23:55:06 CnTmGaM3
ぬはー続き読みてー

さざなみの人がんばってください

166:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 00:00:56 vcGljka2
乙!
イザベラ……たくましくなられたのぅ…ww

2,3人は脳内嫁居るねぇw
まれにみんな終わってるな~って感想を抱くゲームとかあったりするけどw

167:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 00:02:57 XIKvmsDT
そうですね、出来れば複数で(w

それととても楽しいお話でした!
後編も期待します!

168:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 00:05:30 jZHvA4kD
しかし残念かな……
すべてはこの私、ブラストハンドの嫁だ!



>>140
昇進したんだよ! よ!

169:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 00:08:21 y2ef2xDm
>>168
卓ゲ好きとして言わせてもらうが
関係ないスレでブラストハンドブラストハンド叫び続けるな。
迷惑だ。

170:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 00:11:44 6rjTxqNQ
いぬかみは変態が多くて遠慮してたが、こんど読んでみようかな。
ともはねが可愛い…自分どっちかっていうとごきょうやが好みだったのに。

171:蛇の使い魔
08/03/17 00:20:32 qY5y4b5i
お久しぶりです。
投下準備OK?

172:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/17 00:22:41 iJMC5wFS
スネーク、カモン

173:蛇の使い魔
08/03/17 00:23:17 qY5y4b5i
それでは投下開始


―船尾 第二船倉 物置―

「よくここまでこれたな。さすがだよ、使い魔君。」
「脱獄は慣れているんでな。」

まるで自分が犯罪者だったかのような事を言う。
確かに迷いのないその拳は一般人ではなかったが。

「さて、脱獄したはいいが、これから何処へ行くんだね?」
「船長室だ。考えがある。」

部屋の外の杖を回収するスネーク。
先ほど殴り倒した兵士を引き摺って船倉まで運んできた。

「何をしてるの?」
「あのまま外においておいたら誰か見つけるだろう?」

そういいながら近くにあった兵士の服を脱がし、兵士をロープでぐるぐる巻きにし、箱に突っ込んだ。
部屋の隅にそれを置き、まるで元からそこにあったかのようにカモフラージュした。

「さっさと行きましょうよ。」
「そう言うな。まずどうやって潜入するか伝えてからだ。」

手に持った兵士の服をワルドに手渡し、着替えるように言う。

「なるほど。変装だね?」
「その通りだ。ルイズにはこの箱の中に入ってもらう。」

丁度先ほどスネークが入っていた箱を取り出すスネーク。

「私はお荷物って訳ね。」
「そんな事は無い。…お荷物どころか危険物だ。」
「なんですって!?」

スネークがルイズにシメられている間にワルドの着替えが終了し、いよいよ船倉の外へと歩き出した。

174:蛇の使い魔
08/03/17 00:23:49 qY5y4b5i
―船尾甲板 上部―
船員があわただしく働いている。
先ほどの船の連中は皆捕虜としてどこかに幽閉されているらしい。

「おい、そこのお前達!」

船長室の前で呼び止められる。
ばれたか…?と身構えつつ、足を止めた。

「その箱の中身は何だ?」
「あの貴族の使い魔らしい男の持っていたものだ。
 変なものばかり持っていたからな。頭が興味を持ったらしい。」

もちろん口から出任せだ。
だが、船員は忙しいらしくあまり深く考えなかった。
そのまま歩き去るのを見送ってから船長室の扉をノックする。

「誰だ?」
「ベケットです。頼まれていたものを持ってきました。」
「…?とにかく入れ。」

不審に思われながらも船長室に招き入れられる。
スネーク達が入ったのを確認して、頭が扉の鍵を閉める。

「さて…、貴様達は一体何者だ!」

頭が杖を構える。どうやら変装に騙されていないらしい。
同時に銃に手を伸ばすが、ルイズの入ったダンボールを抱えていたため、一瞬動作が遅れた。
ワルドも同じく、動く事が出来ない。
取り落としたダンボールの中からルイズの悲痛な声が聞こえた。

「とぼけなくていい。船員の事は誰よりもよく知っている。」
「ちょっとスネーク!?いきなり手を離すなんて酷いじゃない!」

箱の中からビックリ箱のように両手を上に掲げたルイズが飛び出した。
それに驚いたのか一瞬隙が生まれる空賊の頭。
スネークはその隙を逃さず、クイックチェンジでM9を装備し、ヘッドショットで頭を眠らせた。

「ナイスだ、ルイズ。」
「…え?」

自分が何をしたのか分かっていないルイズであった。


「…ん?」

どうやら自分は眠っていたようだ。誰かに身体をゆすられている。

「わかった。いま起きる。」

目を開けるとそこには、見た事のない男たち…いや、先ほど部屋に侵入してきた連中だ!
一気に意識が覚醒し、記憶が蘇る。

「おっと、動くな。別にとって食おうって訳じゃない。」

バンダナの男が警告する。
縛られてもいないし、杖も奪われていない。
本当に危害を加えようとしているわけではないようだ。

「あんたに用があってきたんだ。プリンス・オブ・ウェールズ。」

175:蛇の使い魔
08/03/17 00:24:30 qY5y4b5i
スネークの発言でその場にいた全員が驚く。

「あ、あんた一体何言って…。」
「どういうことだね、使い魔君?」
「この船にはおかしい点がいくつかあった。
 まず第一に船の大きさ。賊の船がこんなに大きく小回りのきかないものにするわけがない。
 第二に船員の会話。教育は徹底するんだな、殿下。」

そしてスネークが空賊の頭の顔に手を伸ばし、その顔を拭うと、色が落ちて白い肌が顔を出した。
頭は観念したように頭を振った。

「いかにも、私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官…
 そして、アルビオン王国皇太子、ウェールズ・テューダーだ。」

頭が黒髪を剥ぎ、眼帯をとり、作り物の髭をはがした。
そこには確かに上品な皇子の顔があった。

「君たちは一体何者だね?」
「アンリエッタ姫殿下より密書を言付かってまいりました。」

ウェールズの問いにワルドが答える。

「ふむ。姫殿下とな?君は?」
「トリステイン王国魔法騎士隊、グリフォン隊隊長、ワルド子爵です。
 こちらが姫殿下より大使の大任をおおせつかったラ・ヴァリエール嬢とその使い魔にございます。殿下。」

恭しく一礼するルイズ。手紙を取り出し、ウェールズの元へ歩み寄った。
真剣な面持ちで手紙を読むウェールズ。

「ふむ…。彼女は結婚するのか。私の従妹が結婚、か。」

若干あきらめていたようなため息をつくウェールズ。
最後の一行まで読み、顔を上げた。

「手紙の件、了承した。お返ししよう。ほかでもない姫の願いだからな。
 だが、ここにはない故、ニューカッスルの城まで足労願いたい。」



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