あの作品のキャラがルイズに召喚されました part117at ANICHARA
あの作品のキャラがルイズに召喚されました part117 - 暇つぶし2ch650:魔法少女ラジカルイズ
08/03/04 23:54:51 xrAZ17/a
 物語はここで終わらない。当然その後教室に踏み込んだ教師達によって、ルイズは事件の首謀者として拘束されてしまうのでした。



「ミス・ヴァリエール。君は、君はそんなことをする生徒ではないと信じていたのに……」

 コルベールが目元を拭う。オスマンはそんな彼を気遣いながらルイズに優しく問いかける。

「何故こんなことをしでかしたのじゃ。君にはチャンスが与えられた…自棄になる必要はないじゃろう」
「ごめんなさいごめんなさい……」

 ルイズは謝罪の言葉を口にしながら心の中で助けを求めていた……そしてそれに呼応するものが現れたのだ!

「マジカールメイド、ロベルタちゃん、参上!」(猫耳)
「お、同じくマジカルメイド、シエスタちゃん参上!」(猫耳)



続きません


651:魔法少女ラジカルイズ
08/03/04 23:56:52 xrAZ17/a
投下終了です。
後悔はしてないけど反省はしてる。きっとあとで読み返して後悔するんだろうな・・・。
以上、ブラックラグーンよりレヴィ、ロベルタでした。コミック二巻のおまけ漫画のね…。

652:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/04 23:59:00 9/7o25yb BE:248054562-2BP(30)
>>651
乙!
ブララグネタは誰かがやると思っていたが、まさかこっちが来るとはwww
十二分に楽しませてもらいました。

653:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:00:09 dtDc7yiE
今までのどのルイズよりも不幸な気がするが……笑いが止まらんw
そして最後なんかキタ~!! ちょっとまて、シエスタ。何故お前がそこに居る!?
マジカ~ルツインズ☆ヘンゼルとグレーテルはまだですかw
GJだぜ!!


そして誰も覚えてないはずだが『ピッツアとか良くネ?』とほざいてた奴だが、何か書いてしまったw
まあ短編だしとりあえず投下してみる。『なぜJじゃねえの!?』と言う質問には『趣味です』と答えるぞ。


654:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:04:13 UBBuWSKu BE:413424454-2BP(30)
>>653
勇者なら支援だ!

655:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:05:39 pgqfHBqp
>>653
投下後10分くらい空けてから投下した方が良いかも。

ラジカルイズ乙。
ラブレス家の気持ち悪い女中その3
シエスタさん。 ホーッホアーッ!

656:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:05:56 +xWTMuFx
空はいい・・・
死ぬなら空の上だ支援

Jならキングジェイダーも使えるなぁ

657:空と戦士と……
08/03/05 00:15:39 dtDc7yiE
そろそろ良いかしら? 投下してみるとする。
支援とかしてくれたら、ゾンダーメタルをあげよう(なに

658:空と戦士と……
08/03/05 00:17:25 dtDc7yiE
「空はいい」

それはルイズが召喚した使い魔の口癖。名前をピッツァと言った。



「ピッツァ! 朝ごはん食べに行くわよ!」

桃色の髪をした魔法学院の生徒が寮の窓から空へと怒鳴った。
数秒の沈黙の後、風を斬るような音と共に人影が窓から室内へと飛び込んでくる。

「マスター、食事は不要だと言ったはずだが?」

飛び込んで来たのは、鳥の頭部のような真っ赤な仮面を被り、奇妙な服な服を来た亜人。
裾がギザギザになった緑のマントが翻り、静かに地面へと足をつけた。

「食べられるんなら、飾りでも良いから食べなさい。人の形をした使い魔を虐待してるみたいじゃない」
「ふっ、プライドの問題か。そういう事ならば仕方が有るまい」

無愛想なのはマイナスポイントだが、ルイズはこの使い魔がそれなりに気に入っている。
『ゾンダリアン』なる聞いたことも無い亜人であり、戦闘力 特に飛行能力がとても高い。
自由奔放に見えて、イザと言う時はいつの間にか現れる忠義心もポイント高めだ。


「おっ! 『我らの翼』が来たぞ!!」
「おはようございます、ピッツァさん」

ルイズの指示通りにピッツァが向かうのは厨房。他の生徒達は亜人と食事を共にするのは抵抗が有るらしく、諍いを起こさない為の対処だ。
もっとも召喚されて早々、某土のドットメイジに難癖をつけられていたメイドを助け(本人にそんなつもりは無い)、厨房ではその地位を確立されている。
『我らの翼』
それはシエスタを庇い、メイジを目にも留まらぬ速度で翻弄し、撃破した彼に対する厨房のメンバー、学園の平民なりの敬称だった

「こちらへどうぞ!」
「あぁ、世話になる」

特に彼に助けられたメイド シエスタは熱を上げていた。マルトーから渡されたシチューとパンをピッツァの前へと並べる。

「あのっ! 今日はちょっとだけ私が作ってみたんですけど、どうですか!?」
「わからん」
「……」

ただ残念な事に寡黙な亜人は『空』と『闘い』以外には興味が薄いらしい。




659:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:17:49 UBBuWSKu BE:206712252-2BP(30)
私の本当の名は・・・・支援

660:空と戦士と……
08/03/05 00:18:46 dtDc7yiE
ある昼下がり、学園では午後の授業が始まる頃、その上空を縦横無尽に飛び回る者が居た。
それは鳥ではなく、マントを翼のように広げた亜人だ。
口から漏れた感想は料理を食べたときは出てこない純粋な感性と思考の結果だった。

「やはり空は良い……しかしこの世界の空のなんと美しいことか」

ここには自分達ゾンダリアンが侵略を狙う、中途半端に機械化された文明の空に特有の澱みがない。
太陽系第三惑星地球で言う「中世」程度の科学力しかないハルケギニアには、化石燃料を燃焼させて動く動力機関は存在しない。
当然それによって排出される物質は存在しないか、存在したとしても極僅かだ。

「故にゾンダリアンとしての能力は使えないが、この美しい空とならば釣り合いも取れるというものだ」

最高の敵手との一騎撃ちの後、使えるべき主へと反逆し、空へと果てたはずの自分が何故このような場所に?
数秒思考を試みて、ピッツァの有機混合型電子頭脳はすぐさまその演算を放棄した。別に構うまい。
『ゾンダリアン』であることよりも、『■■■■』であることよりも、『戦士』である事を優先したこの俺がどうして考える必要があろう?

「どんな場所でも空を駆け、敵を倒す存在。それで良いはずなのだ……むっ!?」

不意にピッツァは己を追い越すように飛翔する物体に目を奪われた。
いかに戦闘時のような全力を出していないとは言え、彼の速度に追いつくのはメイジのフライでも無理だ。
速度や持続性においてフライの魔法はピッツァの翼には遠く及ばない。ならばいま彼を追い抜いた物体は?

「アレは……ドラゴン?」




661:空と戦士と……
08/03/05 00:19:51 dtDc7yiE
青い鱗に覆われ、しっかりとした翼を広げるその姿。人間とは異なる飛行を己の生業とする存在。
完全に風を読み、味方につけるその器量。そして……ちらっと振り向いてウィンドドラゴンは『笑った』のだ。
ソレは挑発、ソレは挑戦。

「面白い!」

ソレを受けピッツァも笑みを浮かべる。何時もの様子からは想像もできない楽しそうな笑みを。
『空での戦い』ほど彼を熱くさせるものはない。己の出力のギアを二つ上げ、青い機影に肉薄する。

『信じられないの! 亜人が私に空で追いつくなんて!』
「ふっ! この程度か!? 青き翼の竜よ!!
『まだまだなのね~キュイキュ~イ!!』

一瞬の会話の後、一人と一匹はすぐさま無言へ。そしてその速度が更に上がった。
直線での速度で決着がつかなければ急上昇や急降下を繰り返し、急減速と急加速を組み合わせ、空を天へ地へと縦横無尽に飛び回る。
雲を突き抜けるほど上昇したかと思えば、地面に落下するような急激な降下。
疎らに生えた木の間をジグザグに飛び、尖搭の周りを僅かな振れ幅で旋回する。
一瞬で追う者と追われる者が何度も入れ替わり、攻撃こそ飛び出さないがそこには熱い戦いがあった。


「ふっ……やるではないか」

結局二人して学園に帰ってきたのはいつの間にか青い空が茜色に変わってから。
目的など無い無限の闘いを終えた二対の翼は色濃い疲労とともに健闘を称え合う。

『お前も大したものなの、キュイキュイ。私はシルフィード、貴方は?』
「ピッツァだ。私に空で喰らい付いて来たのはお前が二人目だぞ。
 ……ところで恨めしそうな視線を向けている青い髪の小娘はお前の主人か?」

いつの間にか青い髪の少女 タバサは興味深そうに、または怒りを滲ませながら二人を睨みつけていた。
搾り出される感情を廃した声は逆に恐怖を煽る。ピッツァは別に良いとして、シルフィードは堪らない。

「喋っちゃダメって言ったのに……」
『おっお姉さま!? でもピッツァは使い魔だし…「問答無用」…なにするのやめ(ry』

結果から言えば……シルフィードの敗北と言えなくも無い終焉だった。


662:空と戦士と……
08/03/05 00:21:14 dtDc7yiE
その夜も習慣のようにピッツァは腕を組んで空を見上げていた。身に纏ったマントの裾が僅かに夜風に揺れる。
昼間でも実感できる透明な空気は夜ならば尚のこと容易く実感できる。そう、邪魔するものが一切無い満天の星空。

「ピッツァさん!」

「ん?」

不意にかかる声にピクリと僅かながら彼の肩が震えた。それは恐怖によるものではなく、純粋な驚きによるもの。
何せここは学園内でもっとも高い搭の上。広く人が数人乗ることが可能だが、何せ階段など無い。
メイジならばフライやレビテーションで上がって来ることも可能だ。
だが生徒達は自分の事をさんづけで呼ばないことくらい、ピッツァも認識している。そしてこの声は……

「シエスタ?」

「はい……よいしょっ!」

搭の縁にかかった大きいとは言えない手が引っ張り上げるのはシエスタだ。
転がり込むように搭の頂上に収まったメイド少女はピッツァの足に寄り添うように腰を下ろす。

「中々無茶をする。下りる時は如何するつもりだったんだ?」

「えっと……ピッツァさんに連れてってもらおう!って思ったんですけど……ダメですか?」

「私はしばらく降りんぞ?」

突き放すような冷たい言葉。だがソレにもシエスタは笑顔で答えた。

「じゃあ降りるまでお付き合いします」

「好きにしろ」

数分、いや数時間だったろうか? 二人は同様に空を見上げ続ける。
そこにはどんな『他』も存在せず、時間は決して変革を齎さないような不思議な空気に包まれていた。


663:空と戦士と……
08/03/05 00:22:39 dtDc7yiE
「空……お好きなんですね?」

最初に沈黙を破ったのはシエスタだった。夜空を見上げていた視線をピッツァに向けて問う。
これだけ空を眺めていられれば誰もが『空が好きなんだろう』という予測を容易くできる。
その問いにもシエスタへと視線を向ける事無く、彼は空を見上げたままで答えた。

「空はいい」

答えになってない気がするぞ。だがシエスタは何故か納得したように頷いた。
その様子を確認したわけでもないのだが、ピッツァは更に言葉を続ける。視線を合わせない会話だが、何故かリズムが一致していた。

「私は戦士だ。空で生まれ、空で育ち、そして……」

『死ぬなら空の上だ』
そんな言葉を年端も行かないメイドの少女に聞かせるべきだろうか?
彼なりの僅かな優しさを含めた葛藤なのだが、シエスタが口にした言葉がピッツアに更に大きな疑問を生む事になる。

「ピッツァさんって私のお祖父ちゃんに似ているんです」
「?」
「お祖父ちゃんは遠い東の国から飛んできたそうで……」

そこから始まるのはシエスタの祖父、半生の物語。
マジックアイテムで空から飛来した異邦人がタルブの村で生活を始め、伴侶を作り、子供を儲け、孫に恵まれて、老死するまでの話。
空飛ぶマジックアイテムに多少興味を引かれつつ、ピッツアはシエスタの語るに任せた。
そのシエスタだが口に出すうちに祖父の事を思い出したのか、徐々に涙声になる。
フワリと目の前を掠めた緑のマントで涙を拭い、『その祖父とピッツァが似ている』と言う意味の本懐へと言葉を紡ぐ。

「お祖父ちゃんもこんな風に、よく空を見上げていました。昼も夜も……長い間……」

確かにソレならば自分の行動とは重なるとピッツァは判断。だがシエスタの言葉はそれだけでは終わらない。


664:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:24:03 A/xgyfYx
やっぱりピッツァ格好良いわ……支援

665:空と戦士と……
08/03/05 00:24:33 dtDc7yiE
「見上げながらピッツァさんみたいな顔を…えっと…そう! 雰囲気が似てるんです!」

「ふむ? では私やその祖父はどんな雰囲気をしているのだ?」

他人からの評価と言うものを余り耳にしないし、気にもしなかった生涯を思い返して彼は問う。
こんな時でもピッツァはシエスタの方へと視線を向けない。だが祖父での経験か? シエスタは馴れた様子で語る。


「夢見る子供のような純粋さ、戦う騎士様のような凛々しさ。
そして……許せる条件ならば嬉々として死んでしまう……うぅん、違う……
理想の死を目指し、死にたがっているような……危険で儚い雰囲気です」

「っ!?」

『戦士として死にたい』
その目的の為にゾンダリアンに身を落としてまで、戦いに生き続けた男の胸にそのシエスタの言葉が突き刺さった。
初めて語り合う相手へと視線を向けたピッツァが見たのは、慈愛の微笑に悲しみを乗せた少女の顔だった。

「お祖父ちゃんはこうやって空を見上げながら、よく言ってました。『死ぬなら空の上が良かった』って。
 ピッツァさんもそんな事考えていませんか?」

戦士としての死を求め、幾つもの星を機械昇華させて来た生機融合体がこんな小娘に心理を見破られ、衝撃を受けるとは思っても見なかっただろう。
数秒の沈黙の後、ピッツァが返す。


666:空と戦士と……
08/03/05 00:26:33 dtDc7yiE
「そうかもしれん……だがその前にやるべき事がある」
「? なんですか?」
「戦士として死ぬには、戦士として生きねばならない。
 空で死ぬには、空で生きなければならぬ。
 成すべき事は死のみではないのだ。まずは……お前を下まで送らねばな」

マントの下で組んでいた手をバッと広げることで、体に巻きついていたマントが羽根のように広がる。

「えっ? えぇっ!?」

驚くシエスタを片手で抱き寄せ、ピッツアはその身を宙へと躍らせていた。

「スゴイ! 私……飛んでる!?」

シエスタの知識からすれば飛べるのはドラゴンとメイジと鳥だけ。
亜人の特殊能力だろうか?と首を傾げつつ、頬を打つ風の感覚と大きく移り変わる景色に、感激のタメ息が出た。
そんな彼女の様子に『類を得たり』とピッツアは問う。同じ思考の人物を知る者に心理を言い当てられたのだ。
逆にピッツァがシエスタの祖父の言葉を予測することは実に容易い。

「お前の祖父はこうも言っていなかったか?『空はいい』と!」
「クスッ……言っていました、もう一度飛びたいって!!」
「では祖父に代わってお前が空を存分に味わえ!」
「はいっ!」

空で生き、空で死ぬ事を望んだ兵士の異世界での一コマ。


667:空と戦士と……の人
08/03/05 00:28:20 dtDc7yiE
以上です。
本当はタルブの村とか竜の羽衣とか色々やりたかったのだが、次回に持ち越し~
とりあえず前後編みたいな形になるのかしら?

イヤ~久し振りにこのスレで書いたな、しかしw

668:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:31:30 UBBuWSKu BE:1302285997-2BP(30)
>>667
Jじゃないのがまたいい味を出してるじゃないか。
これはGJでは足りないな。
という事で、

さすがだ勇者!

669:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:32:37 pgqfHBqp
乙です。
続きと祖父に期待。

670:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:32:47 bQoLy8rP
この様子だと羽衣はジェイアークか、ジェイバトラーか……
いずれにしても楽しみだ

671:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:36:20 j5MBw9yS
>>667
眩い誓いGとJ

まあ、その話のピッツァには今の所どっちも関係ないけどな!

672:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:39:03 LeA1+Z63
投下乙です。
元ネタ知らないのに、思わず(・∀・)ニヤニヤしてしまった。
こういう未知の作品への興味を喚起してくれるって意味では、『クロスSSはいい』なw

673:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:39:52 +xWTMuFx
タルブでJに覚醒するとかかなぁ
続きが気になる

674:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:40:32 A/xgyfYx
>>651
乙です。まさかオマケネタで来るとは……でも上手い事合ってて良いなぁw
内容的に一発ネタにならざるを得ないのが残念な位です。

>>667
乙です。ピッツァが上手く活かされてて良かった!
Jだと既に守るべきものとか、最終的に相方とか出来ちゃうから案外ピッツァのが合うのかも。
次回も期待してます。然しルイズはシエスタに大きく水をあけられた感が……w

675:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:41:20 +xWTMuFx
>>674
シエスタは正統派ヒロインだからな

676:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:44:54 uCOvemh5
シエスタは、一歩間違えるとヤンデレだと思っちょる。

677:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:45:46 FY8J9GAF
レコンキスタを影から操っているジャーク将軍と四幹部

678:ゼロの魔獣
08/03/05 00:46:15 FlKQfUA+
5分後に投下してよろしいですか?


679:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:49:58 pgqfHBqp
支援

680:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:50:15 1Ng9SAV3
支援するっす!

681:ゼロの魔獣 第35話
08/03/05 00:50:52 FlKQfUA+
「ゲッタアアァァァ トマホオオォォォクゥッ!!」

ルイズの絶叫が轟き渡る。
右手に灼熱の闘志を込め、握り締めたレバーを力いっぱい押し倒す。
主の激情を受け止めるが如く、ロボの両眼が力強く輝く。

直後、ドシュウゥッ、という重低音を響かせ
巨大ロボの右肩のハッチから、何者かが高速で射出される。

飛び出したのは特殊合金のカタマリ。
放射線の影響を受け、音速の世界を突き抜けながら、鉄隗が分裂、増殖、変形を繰り返す。
ボコボコと膨らむ棍棒の側面から、ジャキリと肉厚の刃が生え、巨大な斧へと変化を遂げる。

重心の変化が高速回転を呼び、直線的だった軌道が大きく捻じ曲がる。
破壊の権化と化した大車輪が、箱舟の甲板を砕き散らしながら二人に迫る。

「うおおッ!?」

かろうじて我に返り、横っ飛びで難を逃れた慎一の脇を、ギロチンの烈風が通過する。
膨らみ続ける巨大な的に、避ける余裕はない。

「「「ウボえあアアアアぁアアァァああああ!!!!」」」

巨体の半ば以上を切断する鉄隗の一撃に、肉ダンゴの中の獣たちが多重奏を奏でる。
トマホークの勢いは止まらず、箱舟の内部まで突き刺さって、シャフトを甲板へと縫い付ける。

「まだまだああああああ!!!」
「や ヤヴェろオオおおおおおォォオオオ!!!!」

ルイズが特攻する。
磔となった獲物目掛け、赤い機体が稲妻の如く加速する。

ド ワ オ

―と
二本の角が身動きの取れないデカッ腹をブチ破り、
巨大ミートボールを摩り下ろしながら、箱舟の下層へと巻き込んでいく・・・。

慎一の耳には、ボゴンボゴンと箱舟の床を突き抜ける音だけが聞こえていた。






682:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:52:31 qJwSRRQy
>>651
レヴィをなぜかラビィと勘違いして?にw
ロベルタでやっとブラクラだと気づいて、でもブラクラってこんな話なのか?とww
おまけですか、GJ!!

>>667
原作知らないのでどんなキャラかは知らないがかっこいい!
GJっす!!

683:ゼロの魔獣 第35話②
08/03/05 00:52:40 FlKQfUA+
― 箱舟 中心部

頭上の大穴から降り立った慎一が見たのは、巨大なメイン・コンピュータに、対手を磔にしているイーグル号だった。

直ちに頭部のハッチをこじ開け、中からルイズを引きずり出す。
バイザーが大きく割れて気を失ってはいるが、特に外傷は見当たらない。
コルベールの暴走に感謝しつつ、デルフを担ぎ、ルイズを脇に抱える。


―シャフトはまだ息があった。
 串刺しとなった肉隗の頂点、痙攣する血みどろの頭がちょこんと乗っている。

「無様なもんだな シャフト・・・」

船内のあちこちで、ドウオズワオと爆発音がこだまする。
ズズズ・・・と地響きがして、一科学者の野望を乗せた要塞が、緩やかな落下を始める・・・。

「俺にしてみりゃあ テメエなんざ所詮十三分の一だ
 こうなっちまったら もう手を下すまでもねえ・・・
 ゆっくりじっくり時間をかけて ミジメにくたばるがいいぜ」

シャフトは答えない。 
震える唇で不気味な笑顔を作り、ふるふると頭を振るう。
ひしゃげたサングラスがずり落ち、カツン、と金属音をたてる。

―シャフトは眼球が無かった・・・。

窪んだ眼窩の奥にあるのは、ぬらぬらと蠢く液体のような虚穴。
キィキィとい耳障りな泣き声が聞こえ、甲虫のようなグロテスクな生物がカサリと動く。
肉隗のあちこちから紙魚のように虚穴が広がり、両目の穴からシュルリと触手が伸びる。

「ッ!? シャフト!! テメエ・・・!」

慎一が叫ぶと同時に、シャフトの穴という穴から虚空が噴出した。





684:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 00:53:47 qJwSRRQy
割り込んじまった… 申し訳ない… orz
支援

685:ゼロの魔獣 第35話③
08/03/05 00:54:07 FlKQfUA+
「・・・ン・・・」
激しい揺さぶりを感じ、ルイズが目を開ける。
目の前に現れたのは、慎一の横顔・・・。

「シンイチ! 見た! 見た!? 
 あたし 敵の親玉をやっつけたわ!!」
「よくやった! しゃべるな!! 舌噛むぞ!!」

慎一の間抜けな叫びに辺りを見回す

崩れ落ちる箱舟の中、慎一に抱えられて飛んでいる。
―そして・・・。

「・・・シンイチ!? 何!? 何なのアレは!?」
「しゃべんなッて言ってんだろうがッ!!」

だが、この場合うろたえない方が無理というものである。
足元に広がる暗黒のプール。遠くから近くから聞こえる断末魔の嵐・・・。

そして・・・ その中を悠然と泳ぐ異界の生物達。



甲板に飛び出した慎一が、落下速度を増す箱舟を駆け抜ける。

「・・・! アレって ウェールズさま!?」

傾く甲板を滑り落ちる亡骸を拾い上げ、慎一が飛ぶ。
その目の前に、見覚えのある風竜が現れる。
乗っているのは、赤髪と青髪の少女。

「乗って! ダーリン!!」
「泣かせる登場するじゃあねえか!? どこで出待ちしてやがった!」

軽口を吐きながら慎一が飛び乗る。 タバサがシルフィードを急旋回させる。

直後、箱舟の甲板を突き破り、暗黒が間欠泉の如く吹き上がった・・・。





686:ゼロの魔獣 第35話④
08/03/05 00:56:28 FlKQfUA+
ズズン・・・と音を立て、猛烈な砂煙を上げながら箱舟が不時着する。
大破した船の残骸、その表面をぬらぬらとした異形が塗りつぶしていくのが遠目にも分かる。

「ダーリン・・・ アレは 何なの?」
「ドグラだ!」

キュルケの問いかけに、シンイチが憎憎しげに答える。

― かつて、虚空での戦いの中、神の尖兵の持ち出した『兵器』のひとつ・・・

生物の体に取り付き、虚穴を広げ、自らの宇宙を作り出す化け物。
空間を奪い合うため創られた、虚空のような生物兵器。

自分なら制御できるという驕りから、シャフトが体内で飼っていたものなのか?
あるいは、全てが『神』の掌の上だったのか・・・?

いずれにしろハルケギニアは、空間侵略という、有史以来の危機に曝されていた・・・。


箱舟が見下ろせる小高い丘へと降り立ち、慎一は対策を考える。
ドグラに対抗しうる手段は、大きく分けて三つ・・・

ドグラが成長する前に、焼き払うなどして破壊する。
空間跳躍を使い、敵を彼方へと『追放』する。
相手よりも巨大な空間を支配して、その力を完全に掌握する。

現時点で、ドグラの破壊は不可能となっていた。
シャフトの巨体全てがドグラ化し、既に箱舟は彼奴等の巣窟となっている。
未だ真理阿の力が目覚めぬ今、『追放』も『掌握』も慎一には不可能だった。

箱舟サイズまで成長してしまったドグラが、タルブの大地を飲み込むのは時間の問題である。
そして・・・ ドグラ宇宙を通じ、『神』の尖兵がハルケギニアの地に光臨するであろう・・・。

「・・・キュルケ、タバサ お前らは姫さんの所へ行って 全軍を引き上げさせろ
 ああなっちまったら もう 焼こうが凍らせようが手遅れだ」

言いながら、慎一がキュルケへとデルフリンガーを手渡す。
タバサは頷きながら、ウェールズの遺体に自らのマントを被せる。

「待って シンイチ・・・ あなたはどうするの?」
「・・・・・・」
「何か 打つ手があるの?」

「・・・ある!」

慎一の断言に、キュルケもまた覚悟を決める。

「分かったわ ・・・無理だけはしないでよ ダーリン」
「シンイチ 死んでは駄目」

二人は慎一を激励すると、トリステイン本陣へと飛び去っていった。





687:ゼロの魔獣 第35話⑤
08/03/05 00:58:11 FlKQfUA+
丘の上には、慎一とルイズの二人だけとなった・・・。

「でも・・・ どうするの シンイチ?
 どうやってアイツを止めるの・・・?」

慎一は、無言で箱舟を指差す。
異形がひしめくドグラの海を、イーグル号が浮島のように漂っている。

「イーグル号はまだ死んじゃいねえ・・・
 今から俺がもう一度飛び込んで アイツの炉心に火を付ける」

「そんな!」

「黙って聞け! ここからが大事だ。
 エンジンがフル回転して 炉心が臨界状態に達したその時に・・・

 お前の『魔法』で、イーグル号を誘爆させるんだ」

「・・・ッ!!
 バ バカな事言ってんじゃないわよッ!?
 そんな事したら アンタは・・・
 それに この大地だって無事ではすまない・・・」

「問題ない」
慎一が言い放つ

「お前が魔法を発動した瞬間に 俺が真里阿の力を解放する
 真里阿は生じた爆発をエネルギーに変えて 虚空へとつながる『門』を開く
 うまく行けば あの粗大ゴミを宇宙に投げ捨て 俺は地球にオサラバって寸法さ」

「そんな事・・・」

慎一はコンビニにでも行くかのような気楽さで語るが、それは、あまりにも儚い可能性。

もし、イーグル号が故障していたら
もし、ルイズの魔法が失敗したら
もし、真里阿の力が目覚めなかったら

全ての条件をクリアした上で、慎一が元の世界に戻れる確立は・・・

「無理  無理  無理よ・・・ シンイチ
 あなたは私を買いかぶってる 私には あなたが思っているような・・・」


688:ゼロの魔獣 第35話⑥
08/03/05 00:59:38 FlKQfUA+
「出来るさ 
 さっき お前が助けに来てくれた時な 
 正直 俺ァ 震えたぜ・・・

 前にお前のこと 『恐るべきメイジ』と言ったが 訂正するぜ
 お前は 『恐るべき女』だ!」

「・・・なによ それ・・・」

「それによ・・・ 
 今の俺は 始祖ブリミルの加護とやらを信じてみたい気分なんだ
 この絶体絶命の状態で 1パーセントの可能性を残しやがるなんざ
 お前らの神様も ずいぶんと粋な計らいをするじゃねえか?」

「・・・・・・・・・」

「ちょっとばかし『伝説』ってやつを作ってやろうか? 『ご主人様』よお」

「・・・分かったわ
 やる・・・ やってみせる・・・!
 せいぜい足引っ張るんじゃないわよ 『使い魔』!!」

ヘッ、 慎一が笑う。 
ルイズも不敵に笑う。奥歯がカチカチと鳴る。

慎一が、バサリと翼を広げる。

「あばよ! ダチ公!!
 楽しいバカンスだったぜ!」

拍子抜けするほどの陽気さで、慎一がドグラの海へと飛び立った。


689:ゼロの魔獣
08/03/05 01:01:12 FlKQfUA+
以上で投下終了です。
支援ありがとうございました。
打ち切り漫画っぽい展開を交えつつ続きます。

690:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:05:23 pgqfHBqp
乙です。
これは燃える。

691:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:09:51 RitzJIyP
元ネタ知らないのに夢中にさせるSS!
GJ!!

692:空と戦士と……の人
08/03/05 01:28:38 dtDc7yiE
お~意外とピッツァ好きが多くて一安心。名言認定かしら「死ぬなら空」はw
そして逆に知らない人も多くて驚きだぜ。
あとピッツァ書いて勇者と呼ばれるとはコレいかにw
確かに眩い光、GとJには全く関係ないね、後編ではZが活躍?

色々と次回予想がされてますが、私は皆さんの期待を良い方にも悪い方にも裏切ります。
≫実例『アン様の使い魔はでかいヤドカリ』とかねw 


693:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:33:49 w0N/cyUw
ふとカオスレギオンからジーク召喚とか思い付いた
ガンダもヴィンダもミョズもいまいち当てはまらないから記すのも~だろうけど

問題は竜の羽衣に相当するものがないことだ
空中戦が全くできん

694:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:39:56 aEojQAwp
>>693
なんだっけ、あれ。究極のレギオンいなかったっけ。

695:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:42:16 aEojQAwp
うお、途中で送信してしまった。
ゲーム開始時に砕かれたアレのかけらってことにすれば。

696:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:43:49 w0N/cyUw
>>694
小説ではかろうじてファーガスが飛んでるだけだし、
ゲーム準拠ではタナトスちっちゃくてどうにもならないんだぜ

697:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:46:44 aEojQAwp
そういや小説あんだっけな~
PS2版ゲームしかやってないわ。

狙った敵の死角へテレポートしてサイコクラッシャーするだけじゃだめか。

698:ゼロの軌跡
08/03/05 01:50:22 i7h/68vQ
魔獣の人乙です!!


もすこししたら空気読まずに投下していいだろうか?

699:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:50:33 9DU0bhrV
>>692
あんただったのか
GやFで追加された連中に期待してもいいかい?

700:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:52:43 pgqfHBqp
皆口支援

701:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:53:52 w0N/cyUw
>>695
タナトスは幼生から始まるから復活直後は正直弱いという無残なことに…
てか小説版の「戦うことでしか晴らせない、強い恨みを晴らさせるために死んだ人間の魂を使役」っていうの見て、
アルビオンの軍人とかウェールズの魂を魔兵にしたら、対アルビオンで燃えじゃね?って思ったんだ。
王女様の脇の自分の屍体を見て魔兵と化したウェールズが~とか妄想

702:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:54:15 qJwSRRQy
支援

703:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:55:48 tKWIH7dT
>>692
ちょwwwモンハンの人だったのかよwwwww


704:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:55:59 Lgof/iY3


262 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/05(水) 01:54:25 [ Eb3rv572 ]
特撮雑談に毒吐き
お前らのせいで特撮作品全般が白い目で見られるから続きが投下しづらいんだよ
そんなに雑談したいなら特撮板に行ってくれ



705:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 01:57:25 w0N/cyUw
軌跡支援

706:ゼロの軌跡
08/03/05 01:59:38 i7h/68vQ
ゼロの軌跡

第三話 杖とオーブメント


 まだ日は傾き始めていないにもかかわらず学院長室はひどく薄暗かった。
 

 カーテンでも閉じているのかと思えばそうではない。部屋に入れない<パテル=マテル>が、まるで籠の中の小鳥を狙う大鷲のように窓の外に張り付いていたからだ。

 わずかに差し込む細い光はコルベールの禿げ上がった頭、そこに浮く冷や汗を見せ付けるかのように照らし出していた。
 白刃の上を素足で歩いているような緊張感を覚えるコルベールだったが、部屋の隅にいる彼はまだ立場的にも位置的にも気楽である。
レンと差し向かいで必死の交渉を行っているオスマンは既に胃が痛みを訴え始めていたし、秘書として同席しているロングビルはその視線を彼女の真正面の窓から外せずに固まっている。
 
「ふうん…ではこうしましょう。レンからの要求は三つ。
 私と<パテル=マテル>の行動の自由と衣食住の提供。そして元の世界に送り返す方法を探すこと。
 これを呑んでもらえれば、私から手を出すことはないと約束するわ」
「うむ…わかった。その条件を呑もう」
「うふふ、親切なお返事ありがとう。オールド・オスマン。
これからよろしくお願いするわね」





 話は少し遡る。
 ルイズが倒れた直後に飛んできたオスマンはその事態の容易ならぬことを見て取り、
おそらくは元凶であろうルイズに対して密かに悪態をつかずにはいられなかったが、ともかくも学院の責任者として事を収拾すべく行動を開始した。
 
 <パテル=マテル>に吹き飛ばされながらもさしたる怪我もなく済んだコルベールがルイズの息があることを確認すると、オスマンはロングビルにルイズの介抱を指示。そして<パテル=マテル>を擁して彼らに得物の切っ先を向けるレンの説得に取り掛かる。

 レンと<パテル=マテル>に何もしないと誓うのは容易いことだったが、武器を捨てろとの宣告には正直辟易した。
 天下の魔法学院長を春先の草原で下着姿に剥ぐとはどういうつもりじゃ、と声を大にしたくはあったが、<パテル=マテル>が急かす様に蒸気を噴出すのを見ては口を噤まざるを得ない。
 第一杖があった所で何かするわけでもない。正体不明の超兵器に対して一天地六、目の分からない賭けをする気にもなれず。ましてや掛けるチップが自分の命とこの学院とあっては是非もなかった。
 
 まったく、なんという厄日か。
 半裸で寒さに震える彼がレンをどうにか説得し学院長室に戻った頃には、心中で始祖ブリミルを罵る為の語彙もとうに尽き果てていた。


 
 
 

707:ゼロの軌跡
08/03/05 02:00:38 i7h/68vQ
オスマンとの会談、いや一方的な要求を終えたレンは学院長室を辞した後に客室へと案内された。
 
 レンならゆうに五人は寝られそうなの大きさのベッド。備え付けられている家具は例外なく高級品であったし、壁の鏡は曇り一つない。 窓や扉は言うに及ばず、ドアノブから櫛に至るまで精緻な装飾が施されていた。
 おそらくは王族級の賓客の為に用意されている部屋なのだろう、とレンはあたりをつける。
 
 この部屋だけでもこの学院の人間がレンをどう見ているか分かろうというものだ。
 腫れ物。融通も利かなければ感情の制御も出来ない、まさに子供。

 
 「<パテル=マテル>、いいお部屋ねー。あなたも入れれば良かったのに」

 窓を開けて、庭に立つ<パテル=マテル>に話しかける。嬉しそうにたてられた駆動音を聞いてレンは幾らか溜飲を下げた。




 しかし、レンにとってもこの状況は些か満足のいくものではなかった。いま少し正確に表現するなら、この世界の奇妙さというか、不可解さがどうにも気になるのだった。
 オスマンとの会話の中で生まれた齟齬、不審に思って問いただせばそこに大口を開いて待っていた未知の絡繰。
 

「四つの系統魔法に伝説の虚無?」
 
 オスマンからその言葉が出たとき、レンは思わず鸚鵡返しにそう問いかけていた。
 もしや、ここの連中は邪教徒で夜な夜な危ない宗教儀式でも催しているのではなかろうか。
 別に七耀教会に肩入れしてるわけでもないし、どこぞの不良神父のように外法の徒を狩る趣味もレンにはない。本来なら放っておいてもいいのだが、巻き込まれるのなら話は別だ。
 なし崩しに外法認定されて、教会の守護騎士達に束になって追ってこられては堪らない。

 レンの剣呑な雰囲気が伝わったのか、オスマンは慌てて実演する。フライといったコモンマジックから、偏在や錬金などの系統魔法。
 

 それを見てレンは考え込まざるを得なかった。
 レン達が日頃使っているオーバルアーツとは似ても似つかないものだったからだ。攻撃用の魔法ならともかくも、錬金などは今のオーブメントでは実装できそうにもない。

 そもそもオーブメント理論云々どころの問題ではなく世界の根幹、物理法則を根底から揺るがすものだ。
 それは既に神の御業。余程高位の古代竜などならやってのけるのかもしれないが、人間程度が行使できるものとは到底思えない。


 その上、彼らはオーブメントを一切所持していなかった。
 レン達がオーバルアーツと呼ぶ導力魔法は戦術オーブメントにクォーツ、七耀石の結晶回路をはめ込み、そこから現象として力を取り出すものだ。
 オーブメントの精密さ、クォーツが内包している七系統の力とその組み合わせによって多種多様のアーツが使用可能になる。それなりの訓練を受ければ老若男女、身分も人種も問わず行使できる導力魔法。




708:ゼロの軌跡
08/03/05 02:02:13 i7h/68vQ
それが彼らに言わせればどうだ。
 やれ使える魔法は四系統だの、行使できるのは貴族だけだの、杖を使うだのと。
 既に共通点を見つけるほうが難しい有様だった。

 それに加えて胡散臭い始祖ブリミルの伝説、機械という概念すら発生していないことなどを考え合わせると、次第にレンの中で疑惑の雲が湧き上がってくるのだった。



 この世界は<リベル=アーク>のアーティファクトが作り上げた虚構世界だとばかりレンは思っていた。
 演算装置にバグでも起きてそこに取り込まれたのか、とその程度の認識だったのだ。
 
 だからレンはこの世界に来たのだ。もしかしたらまたみんなに会えるかもしれない、エステル達と冒険できるかもしれないというそんな淡い期待を、頭では拒絶しながら心の奥底で抱いて。


 それは、ただの自分に都合のいい願望に過ぎなかったのではないか。

 
 この一見牧歌的な世界は、
 空の女神エイドスの加護も、七耀の輝きも、
 あのエステルやティータの手すらも届かない全く別の次元世界なのではないか。


 自分のあまりの愚かさに思わずレンは歯噛みする。
 己の見たい夢だけを見て、盲目的なマーチを歌ってしまった。
 
「これじゃあもう、エステルをおばかさんって笑えないわね」



 苛立ちを冗談に変えて、レンは立ち上がった。
 
 この世界がなんなのか、まだ明らかになってはいないのだ。
 ならば、今の彼女がなすべきことはただ一つ。




 「偵察に行きましょ、<パテル=マテル>。
  この学院をお散歩するの!きっととっても気持ちがいいわ」 

709:ゼロの軌跡
08/03/05 02:07:05 i7h/68vQ
支援感謝です。心に沁みます。

第3話 投下終了です。

710:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 02:08:14 qJwSRRQy
乙であります!

711:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 06:31:07 g/ZZWawL
GJです。
どうやらルイズはレンを使い魔にし損ねたみたいですね。
まあレンの性格を考えりゃ当然か。

続きを待ってます。

712:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 06:58:37 sD6xSXzU
エルンスト・フォン・バウアー大尉&アーカード召喚!
バウアー「おのれ露助!情無用、フォイア!!」
アーカード「お嬢ちゃん、処女かい?」

713:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 07:11:18 2AbIq1ud
>>712
実在の人物召喚しちゃらめぇぇぇ
あと、アーカードは姉妹スレにな?

714:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 07:11:34 ops2N3yV
やれやれ…

715:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 08:25:42 FY8J9GAF
それがどうした!

716:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 09:02:48 lV7ApxVW
バウアー大尉はいいんじゃないの?

717:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 09:02:57 p0d2u9rq
よろしい、ならばクリークだ!

718:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 09:03:17 u9Krzx9u
ゼロの軌跡乙です
セクハラ関連以外でオスマンがひどい目にあうというのは珍しい?

>>712
バウアーはバウアーでもジャック・バウアーの方だったり
召喚から24時間でどこまで話が片付いちゃうのやら

719:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 09:44:52 sD6xSXzU
>>713
バウアー大尉は実在じゃない筈よ。モデルになった人とかいそうだけど。
それにしてもいいねえ!情無用、フォイア!

720:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 09:48:19 fvlCPhva
シモ・ヘイヘ(2002年没)召喚。
ただの無口な小男と失望するも、驚異的な弓矢の能力に絶句。

721:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 09:58:12 IYb0W10M
ただの平民と思って舐めて森に入った部隊が全員帰ってこなかったり
相手をしないといけなくなったメイジが遺書を書いて向かったり
相手をした奴の死亡率が100%越えだったりするのか

722:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 09:59:06 xk/Is9Uu
素でガンダの奴を使い魔にしてもアレじゃん
あの人はスコープにも頼らずに狙撃したのがいいんだから、ガンダ付きなんて邪道の極み
佐々木さんと入れ替え召喚にしてガンダ付きサイトやワルドと戦わせたほうが良いと思うけどね

ていうか亡くなってたのか、彼。
黙祷。

723:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 10:05:54 FY8J9GAF
橘さん召喚


724:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 10:21:51 BBZOaU+6
旋風の橘ですね、わかりかねます

725:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 10:28:50 A/xgyfYx
流れを大きくぶった切るけど、ロボ物からピッツァが出たから
ロボアニメのライバルキャラって事で『電童』のアルテア兄さんを考えた。
でも単体で行けるものの逆に皇牙はエネルギーの面でキツいな。
コッパゲでも巨大電池はキツそうだし、自転車発電で戦う皇牙もビジュアル的に嫌だ……。

726:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 10:37:19 qJwSRRQy
>>724
竹刀投げたり、流血したり、竹刀が増えたり、流血したり、竹刀がグニャグニャ伸びたり、
流血したり、柳田が吹っ飛んだり、流血したり、突きできりもみしながら吹っ飛んだり、
流血したり、みかん食ったり、流血したり、玉竜旗コケにしたり、流血したり、
愛媛県民がかわいそうだったり、流血したりするあの変態剣道漫画か!
みとめん、断じて認めんぞ!

スパイラルで吹っ飛ぶギーシュの姿は奇麗に想像できたがな。

727:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 10:38:48 vC1tdc1t
アルテアさんはGEAR無しでも戦えるから、本人のみ召喚でも十分だな
言葉が足りずルイズに誤解される様が思い浮かぶわ
ルイズのいい兄になってくれそうだけど問題は言葉遣いか

728:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 10:47:54 mp7xtVBy
亀レスだが
>>621
服付き変身アイテムなしで呼ばれ
フーケ戦の時に装備一式とディスクアニマル入手でなんとかいけそうじゃないか?
>>723
どの作品の橘さんですか?


729:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 10:54:48 GFKgrQrA
>>725

だが少し待って欲しい。あの世界には ブ ラ ジ ャ ー が な い んだぜ?
魔法学院の生徒総出で自転車発電をすると考えるとだな、当然ルイズにキュルケやモンモンやタバサが汗を流して
自転車を漕ぐわけだ、もちろんノーブラで。場合によってはおマチさんやシエスタもありなんだぞ?
それが体操服にブルマやスパッツだった日には……後はもうわかるな?

730:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 11:00:27 A/xgyfYx
>>727
ヨルムンガンド相手とか位じゃないと釣り合わないか皇牙は。
騎士としてルイズに仕え出したらルイズの方が音を上げそうだなw

>>729
先ず皆激しい運動で摩擦g(ry

731:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 11:03:51 A/xgyfYx
というか凰牙のスペルずっと間違えてるじゃん俺orz

732:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 12:15:58 qsSjR8+7
>>731
GEARは凰牙。皇牙は相撲とりで去年まで弓取りやってた人な。
ちなみに同じころ幕下にいた力士に「雷」童って人がいたりする(現在の大雷童)。

733:虚無を担う女、文珠を使う男 ◆OceV/UzyoM
08/03/05 12:34:15 /73DCJyM
こんにちは。
第8話の投下準備が出来ました。
予約が無ければ5分後くらいから投下したいと思います。

734:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 12:36:20 D+dnQnOW
>>728
橘さんっていったら剣の橘さんしかいないじゃないかww

735:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 12:37:05 D+dnQnOW
おっと、支援。

736:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 12:37:44 H3EbA8zn
>>735
よし支援の準備は出来てるぞ

>>719
ルイズに向かって、「馬鹿モン! 俺のケツを舐めろ!!」とか言うバウアー大尉を見たい俺は多分変態

737:虚無を担う女、文珠を使う男-08 1/4 ◆OceV/UzyoM
08/03/05 12:39:59 /73DCJyM
第8珠 ~文珠使いの1週間~

「ヨコシマ。ちょっとあんたに聞きたい事があるんだけど」

夕食を済ませた後、特にやる事もなく藁布団の上でごろごろしていた横島だったが、その声でルイズの方に注意を向けた。
何でも、文珠で病気の治療は出来るかどうか知りたいらしい。
ダメな事もないんじゃねーのか、と思っていた横島だったが、いざ具体例を思い出そうとして、その考えが全然根拠の無いものだったと気付く。
過去に数度は厄介な病気の現場に立ち会ったが、文珠で解決した覚えがさっぱりなかったのだ。
仕方がないので、当たり障りのない返答をする横島。

「病気? 試した事ないからなー 分からん。
でも何でだ? 病気なんか魔法でちょちょいのちょいじゃねーのか?」
「魔法はあんたが思ってるほど万能ってわけじゃないのよ。残念だけど。
そういう意味じゃ、その文珠の方がずっとすごいアイテムよ。
まぁ三日に一回、ほんの少しの間しか魔法が使えないって考えると、あんたはドット以下って事になるけどね」
「そりゃ確かに俺は文珠が無きゃほとんど何にも出来ないけどさ、わざわざそんな事言わなくてもいいじゃねーか」
「ち、ちょっと不思議な力持ってるからって調子に乗らないように、気をつけてあげてるのよ! 文句ある!?」

高飛車なルイズのオーラに、意思に関係なく土下座の姿勢になって「すんません」を連呼する横島の体。
それに満足したのか、ルイズは話を再開する。

「…それで話は戻すけど、病人に使ったら逆に危ないとかそういう事はないわよね?」
「効果が無い事はあっても、危ないなんて事はさすがにねーと思うぞ」
「それなら安心ね。今度の文珠、病気の治療に試してみるから」

一瞬、横島は何を言われたのかを理解できなかった。文珠は、かなり貴重な物である上に、彼自身の命を護る切り札だ。
そんな文珠を、まるでデパートの試食品をつまむかのような気軽さで取りあげるなんて、そんなまさか…
思わずもう一度聞き返したのだが、残念ながら返ってくる返事は同じだった。
見ず知らずの奴の為になんだって貴重な(特に今は手持ちが0だ)文珠を使わにゃならんのだ、と言い返す横島だったが…
「あんたは使い魔なんだから、つべこべ言わずに私の言う事を聞いてればいいの!」と、ある意味で懐かしい感じがする台詞が返ってくる。
だが、彼の上司である、色気たっぷりな美神さんに言われるのとは訳が違う。

「そ、そんな事言うと使い魔なんてやめちまうぞ! こんな事やらんでも、文珠1個売れば一生暮らしていけるくらいの金には困んねーんだからな!」
「何バカな事言ってるのよ。あんたの力は無闇やたらに公表したらまずいって言われたばっかりじゃない」

横島の作り出す文珠は、使い方によっては億単位の価値があるアイテムと同様の働きをする。そんな事をいくら言ってみてもダメだった。
悲しいので、「どうせなら、キュルケさんやロングビルさんの使い魔になれれば良かった」とぼやく横島だったが…
それは、延々とルイズの実家・ヴァリエール家と、キュルケの実家・ツェルプストー家の因縁を聞かされる羽目になっただけだった。

(ふーん。美神さんとエミさんの関係、みたいに思っておけば間違い無さそうだな。
だけどなー エミさんみたいにええチチしてるキュルケさんがライバルなら、美神
さんポジションのルイズちゃんだってもってこう、ボンキュッボンってなっててもいいと思うんだけどなー)

「というわけで、キュルケはだめ。禁止」

(で、フレイムはさしずめタイガーの役どころっと。
虎じゃなくてトカゲだけど。
そういや、あいつここ最近は「出番無くて悲しいんじゃー」 とか言ってたが…
元気にやってっかなー)

まぁ、こんな感じで全然真面目に聞いちゃいなかったわけだが。

「分かった? そう言うわけで、あんたが文珠作ったら…
それを病気の治療に使えるようにして頂戴。
私の使い魔が生み出す、珍しい水の秘薬って事にして送るから」

話はいつの間にか再び元に戻っていて、横島もいい加減面倒になったので了承した。


738:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 12:41:59 H3EbA8zn
不憫だな横島支援

739:虚無を担う女、文珠を使う男-08 2/4 ◆OceV/UzyoM
08/03/05 12:42:38 /73DCJyM
そして翌日。
いつものように横島が目を覚まし、ルイズを起こそうとするが…

「今日は虚無の曜日だからお休みなの~ あんたもまだ寝てていいわよ~」

それならそうと昨日のうちに言っておけ、と思った横島だったが、これはこれで好都合。
ちょっと朝の散歩に、なんて似合わない事を言っても、寝ぼけているルイズは特に気にせず許可を出す。

「ふっふっふ。好機、今こそ来たりっ! 待ってて下さい、ロングビルさーん!!」

心の底から叫びながら横島はルイズの部屋を飛び出した。
そんな叫びを聞くは、休日でも規則正しい生活を心がけている数名の女生徒達。
ルイズが呼び出したのは、平民は平民でも変態の平民である事が、こうやって徐々に広まっていくのであった。



横島は、どこから準備したのかほっかむりをして顔を隠しつつ、一心不乱にロングビルの部屋を目指していた。
そのカサカサという擬音が聞こえそうな姿は、どこからどう見ても立派な変態だ。
ところが… そんな変態へ声をかける猛者がいた。

「むむ! そこにいるは、ヨコシマ君じゃな!?」

何を隠そう、学院一のエロじじい、オールド・オスマンだ。
彼はロングビルのいる部屋へ向って飛んでいる最中に、頭に頭巾のようなものを被っている横島を見つけたのだった。

「お主、こんな所で何をやっておるんじゃ?」

オスマンが疑問に思ったのも仕方が無い。彼がいるのは、ロングビルの部屋を窓から覗ける位置。つまり建物の外側というわけだ。
そんな彼に見つかった横島も、当然建物の外側にいる。しかもロングビルの部屋は1階にあるわけではない。
どういう事かというと…

彼は、垂直な壁をまるでごきぶりのように4本の手足を使ってよじのぼっていたのだ!!

万が一手をすべらしたら良くて大怪我、運悪く頭でも打てばそれどころでは済まない…のだが。

「またまたー オスマンの爺さんだって俺と同じっしょ? 今日は休日なんすよね?
もしかしたら、まだベッドの中でお休み中のロングビルさんに会えるかも知れないじゃないっすか」

なんとこの男、ロングビルの寝姿(+α)を見たいが為だけに、命を懸けている!
オスマンだって、毎度毎度ロングビルから折檻される事を覚悟して尻をなでまわしているわけだが…
それとこれとは全く意味合いが違う。
オスマンの場合、カーテンが閉まってたり、ロングビルがすでに起床していたとしても、ただそのまま残念に思うだけだ。
しかし横島の場合、そのようになーんの成果も得る事が出来なかったとしても、落っこちる危険性が無くなるわけではない。
いや、そもそも目的地へたどり着くより前に落ちる事だってありうる。
そんな状況なのに、「ちょっと散歩に来ました」のような軽いノリで自らの目的を述べる横島に… オスマンは、正直感服した。
長いこと生きてきたが、ここまで自分の欲望に忠実な奴はいただろうか、いやいない。

「ヨコシマ君よ。ワシは今、猛烈に感動しておる!
長年君のような人材を探しておったのじゃ。
どうじゃね、ワシと一緒にミス・ロングビル同好会を…」

夢にまでみた同好の士に、思わず熱が入るオスマン。
コルベールも同好と言えなくはないのだが、いかんせん彼はくそ真面目すぎる。
それに比べて、横島は放って置くと目的と手段が入れ替わってしまうような、そんなバカらしさにあふれている。実にいい。

だが、オスマンは重要な事を忘れていた。
考えるまでもないことだが、ここはすでにロングビルの部屋を窓から見れる位置。
そんなところで、特に注意もせずにしゃべっていたりでもすれば…


740:虚無を担う女、文珠を使う男-08 3/4 ◆OceV/UzyoM
08/03/05 12:44:10 /73DCJyM
「学院長、また覗きに来たんですか? あれほどやめて下さいと…
それにヨコシマさん、そんな所にいたら危ないですわよ?」

とっくに着替えていたロングビルが、窓を開け放して二人にあきれたように声をかける。
「ああ、ロングビルさん、いつ見ても綺麗っすね!! ところで、今日はお休みなんすよね!? 二人でどこかに行きませんか!?」
「ほっほっほ。ミス・ロングビルや。ワシはたった今、このヨコシマ君と二人でミス・ロングビル同好会を立ち上げたのじゃ。
その名誉会長のワシにキスをしてくれても構わんぞ。
ほれほれ、どうした、やらんのか?」
「…はいはい、いつまでもバカな事を言ってないで、朝食を食べに行きますわよ」

やれやれ、といった顔のロングビル。
その後、三人は朝食を取り(横島は学院長の計らいで、特別に一緒に食べられる事となった)、その席で大いに親交を深めたのだった。
(実際は、横島とオスマンがセクハラ魔人となる中、ロングビルが適当にあしらいつつ文珠の情報を引き出したり、横島を軽く誑かそうとしていたのだったが)



それぞれにとって楽しい、または意味のある長時間の朝食会が終わった後、虚無の曜日とは言え仕事が残っているという二人と別れた横島は、ルイズの部屋へと戻っていた。

「あんたねー 一体どこまで散歩に行ってたのよ!? もうこんな時間じゃない」
「もうこんな時間っつったって、まだ昼前じゃねーか。無断でいなくなったわけじゃねーのに、なんで怒ってんだよ」
「本当は今日、あんたを街まで連れて行ってあげようと思ってたのよ。
この時間だと、帰りが夜遅くになっちゃいそうだからダメだけど」
「街? なんだ、街には何か面白いもんでもあんのか? 言っとくけど、俺金なんか持ってねーかんな? 金のかかる遊びなんか出来ねーぞ」
「あんた、たまにはちょっと考えて物言いなさいよ。
いい、あんたが力を使うと、使った分だけ文珠を作るペースが落ちるんでしょ?」
「まあな。どっちも俺の霊力を元にしてるのは一緒だし」
「それで、私は出来るだけ早く文珠が欲しいのよ。
だからあんたが余計な力を使わなくてもいいように、剣を買ってあげようと思ったの。分かった?」
「言いたい事は分かった。非常に良く分かった。
でもなー 俺、剣なんか買ってもらっても多分うまく使えないんじゃねーかなー?
俺のハンズ・オブ・グローリーは、ある程度俺の自由な形になるっていうのがミソなんだから」
「何言ってるのよ?
正直、文珠がレアすぎて忘れがちになるけど、あんたにはもう一つ、使い魔の能力があるじゃない。
普段は普通の剣を使って、どうしてもダメだって時以外は力を使うのは止める事。
それに剣を持っていれば、あんたみたいな平民が私のような名門貴族の側にいても、護衛だって言えば面倒な説明をしなくてもすむしね」

ここまで説明されて、ようやく事の次第を理解した横島。
いざ街に行くと決まれば、次はそこがどんな街なのかが気になるのも道理で…
そのまま、ルイズ先生によるトリステイン講座が始まったのだが…

「あんたは私がわざわざ説明してあげてるのに、どうして寝てるのよー!!」
「しゃーないやんか、何か聞いてると眠くなるんやー」
「あんた、やっぱり不思議な力があるからって調子に乗ってるんじゃないの?
普通貴族相手にそんな態度とったら、下手すれば打ち首だってこの間言ったばっかりじゃない!!」
「そんな事ねーよ。霊能力つける前から俺はこんなだしなー」
「何それ、本当? あんたの国って一体どうなってるのよ。良くそれでやっていけるわね」
「俺の国? こことはもうまるっきり正反対って言ってもいいぞ。
魔法使いやら貴族やらはかなり少ない、というかむしろ魔法使いなんて国中探しても数名いるかいないかじゃねーか?
代わりに、と言えるほど多いわけじゃねーけど、俺みたいな霊能力者は数いるけどなー」
とまぁ、その内容はほとんど雑談のような物であったのだが、別に魔法を使わないとならないような場面もなく、ストライクゾーンからはハズレまくってるとは言え、美少女が相手だという事もあり、それなりに楽しい一日を過ごした両者であった。




741:虚無を担う女、文珠を使う男-08 4/4 ◆OceV/UzyoM
08/03/05 12:45:43 /73DCJyM
それからの1週間は、瞬く間に過ぎて行く。

まず最初に記すべきは…
ルイズの努力の甲斐むなしく、とうとうある授業の最中に、ゼロの渾名の由来が横島に知れてしまった事。
魔法の成功率ほぼゼロという不名誉な理由に、使い魔がバカにしてくるのではないかと不安になるルイズ。
そんな彼女に横島は…

「あー、この間、冥子ちゃんの事話した時に泣いてたのって、自分も上手く力が使えないからって事か」

初めてみたご主人様の失態だというのに、手馴れているように周囲の掃除をしながら、何でもないように声をかけていた。
実際のところ、ちょっと感情を高ぶらせるだけで、家一軒ダメにしてしまう暴走娘が知り合いにいるのだ。
その被害を受けたことも一度や二度ではない横島にとってみれば、部屋が半壊する程度の事はそれほど驚く事でも無かった。

「まぁ俺の知り合いには、ふとしたきっかけで今まで上手く使いこなせていなかった力をコントロールするようになった奴もいるし、そのうち何とかなるんじゃねーかな。
俺も何か出来る事があれば手伝ってやるし。
…でも冥子ちゃんは今でも結構暴走させてるんだよなー」
「なんであんたは最後に不安になるような事言うのよ、ばかー」

なんて事があり…


次に記すべき事は、ロングビルの横島へ向けたアプローチだろう。
毎日というわけではないが、ロングビルと食事をとっている横島の姿が、数度ほど目撃されている。
ルイズにしてみれば、キュルケに誑かされるよりははるかにマシ、一応自分の言う事も聞いているし、ロングビルが今は平民であるという話も横島から聞きだしたため、黙認をしているそうだ。
また、クラスを偽っている理由について聞いてみたい横島ではあったが、その度に上手くはぐらかされてしまい、未だに聞き出すには至っていない。


そして最後になったが、やはり文珠による病気の治療について述べなければなるまい。
横島には言ってないが、ルイズが治したいと思っている人物は、ヴァリエール家の次女、つまり彼女の姉であった。その名を、カトレアと言うのだが…
【治】の文珠を早馬にて送った際、カトレア宛てにだけは、本当の事を書いて手紙をしたためていた。
自分の使い魔が人間である、という事は、到底信じてもらえそうにない事であったが…
魔法が使えなくて、いつも家族から叱られていた自分の、ただ一人の味方だったカトレアにだけは、嘘をつきたくなかったのだ。

その結果は、翌日の夜に伝書フクロウにて戻ってきた。
うさんくさいと言う両親の反対を押し切って、カトレアは文珠を使い…
結果、数時間ほどの間だけであったが身体の調子が今までに無いほど回復したそうだ。
その後、残念ながら体調は元に戻ってしまい、治療という意味ではさほど前進しなかったのだが…
急な発作が起きた場合の一時しのぎに使える為、数個ほどさらに送って欲しいと言う事。
そして、その使い魔と同種の生物を探す為に… 
エレオノールを魔法学院に向わせる、という事が記されていた。

「ま、まずい事になったわ…」

エレオノール、つまりヴァリエール家長女であり、アカデミーに勤めているルイズの姉であるが…
アカデミーというのは、先日注意されたばかりの、「何をしでかすか分からない組織」の一つである。
どう考えたってまずい。
来訪の予定は未定との事だが、近日中にやってくる事は間違いないだろう。
ある意味で自業自得なのだが、ルイズはこの件でここ2・3日の間、ずっと頭を悩ませ続けていたのだった。


742:虚無を担う女、文珠を使う男 ◆OceV/UzyoM
08/03/05 12:46:26 /73DCJyM
今回の投下はここまでとなります。
支援ありがとうございました。

743:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 13:06:04 xk/Is9Uu
今度こそ「模」の文殊でエレオノールコピーしてトイレに篭るんですね!
よくわかりました!!

744:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 13:09:21 H3EbA8zn
投下乙
ロングビルさん、横島たぶらかして利用する気満々だなw

745:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 13:48:49 Vee6Mu2+
体質は数時間で元に戻る

つまりルイズの胸やコッパゲ先生の頭を何とかしても数時間で…
持ち上げてから落とす事で破壊力アップ!

746:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 13:52:09 L76wHmKO
乙。
同じ利用されるにしてもルイズよりロングビルの方が良いと思うのはいけないことでしょうか。

747:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 13:58:58 H3EbA8zn
>>746
それは正しいものの見方だ
ところで原作のGS美神はあまり読んだことないんだが、妖刀とか魔剣が出てきたことあるんだろうか?
例の武器屋にGS世界の武器が置いてあったら面白そーだが

748:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:02:47 qJwSRRQy
>>747
覚えてるだけでも二つはあるな。
名前は忘れてたけど前にも挙がってた持ち主を操る妖刀とか、
人狼が持ってた一振りで八回切りつける刀とか。

749:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:03:13 YPNK/C3d
包丁にされたシメサバ丸

750:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:13:49 H3EbA8zn
>人狼が持ってた一振りで八回切りつける刀とか。
>包丁にされたシメサバ丸
いろんな意味で無茶苦茶だw
持ち主を操る妖刀ってのは某アヌ○ス神とか他の作品でも結構あるけど

751:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:24:22 SpBbx2zd
持ち主に通り魔殺人をさせた剃刀の妖刀もあったな

752:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:26:21 N8h8lvMB
炎のキツネ(魔法の箒)とか有ると面白いかも。
・・・っとすると、タブル村には逆天号が?!

753:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:30:09 GjG6XqRj
氷雅の霊刀ヒトキリマルと、西条の霊剣ジャスティス
あと、小竜姫様の神剣位か

754:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:32:37 mp7xtVBy
ドリル戦艦轟天号を召k……うわなにをするやめ…アッー

755:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:33:14 SEnreKca
sageんか馬鹿者

756:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:37:23 9rn9Muma
>>752
タルブ、な?

757:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:40:12 /73DCJyM
一応、オカルト世界なんでそこら辺の刀は結構ごろごろしてます。
ちなみに>>748,>>749,>>751 は、整理すると3本の妖刀に。

【シメサバ丸】
意思あり。
ターゲット操作能力あり。
除霊事故で、美しかった刀身がポッキリいっちゃいました。
上でも言われているように、包丁に仕立て直されて平和利用されてます。

【八房】
一振りで8回切りつける特殊能力あり。
また、切った相手から霊力を吸収したが、その霊力は持ち主の物となった。
そういう能力を持っているという言い伝えも無いので、もしかしたら持ち主だった犬飼の能力かも。

【名称不明】
意思あり。
ターゲット操作能力あり。
霊力吸収能力あり。
切り裂きジャックが使っていたというカミソリ。
このカミソリの自白によると、切り裂きジャックという人物は存在しなく、自分が次々とターゲットを乗り換えていった結果だ、という事らしい。
能力としては、某ア○ビス神に一番近いと思う。

後、霊刀・霊剣って説明されてたけど…
【ヒトキリマル】
GS試験での氷雅の台詞
「一度人を斬ってみたかったんです」

【ジャスティス】
西条が持ってる霊剣。横島と対峙したときの台詞
「人も斬れる」

持ち主がこんなんじゃ、将来妖刀になるんじゃないかと凄い心配。

>>752
そういえば、確かに意思ある箒だったなぁ…
きゅいきゅい辺りと絡ませるにはいいキャラかもしれん。
でも逆天号はどう考えても敵側兵鬼。
だめ、絶対。

758:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:46:37 SpBbx2zd
マリアかテレサでも面白いかも

759:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:56:21 eKXjjAGg
>>758
待て、マリアは確か電気がないと動けなくなっちゃう

760:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:57:10 uCOvemh5
ならカオスの爺さんも同時召喚で。

761:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 14:57:40 SpBbx2zd
つ(電)

762:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:06:49 SEnreKca
>存在しなく
「○○しなく」と言う言い回しは日本語としておかしいので注意
この場合「○○せず」もしくは「○○しなくて××」と言う形が正解

763:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:16:59 XGYfRj+8
このさいタルブの村にルシオラの墓が…

764:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:18:31 xk/Is9Uu
いきなり話を重くすんなw

765:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:19:19 eKXjjAGg
>>760
見える、カオス爺さんがボケ老人扱いされているのが
……あ、元々ボケてたっけ?

766:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:21:05 N8h8lvMB
ではタルブの村にはカオス爺さんがいると言う事で!!

767:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:23:03 SEnreKca
>>766
sage進行のローカルルールすら守れんなら元から書き込むな

768:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:24:12 zP3EWMQj
提案でも推測でもどっちでも良いが度が過ぎると迷惑にしかならんぞ。
普通どこに何があってとかは作者は考えてるもんだし。

769:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:24:49 qJwSRRQy
なるほど、アルビオン襲来あたりで電池が切れてピンチ。
なんだかんだでタルブへ行ったらシエスタのおじいちゃんであるカオスがボケてて、
でも電池切れなマリアとの再開ですべてを思い出して覚醒、
マリアを直していざ、アルビオン戦へ!
こうですか? わかりません!

770:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:34:07 ehKPD16z
展開予測は作者の迷惑にしかならん

771:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:34:14 L76wHmKO
いい加減ネタつぶしはやめろ。

772:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:37:52 XGYfRj+8
そういや同じ作者の他の作品はほとんどネタにされないな
真・豊臣秀吉とか小学生超能力少女公務員とか…

773:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:44:09 E3aVgKp2
三橋と伊藤呼ぼうぜ


774:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:45:09 OF+Sw4ZA
>>772 単に面白くないからだろ。

775:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:45:56 H3EbA8zn
最初にネタ振った自分が言うのもなんだがそろそろ自重したほうがいいだろうね
特撮やDQに軍オタの次はGSファンが叩かれかねんし
とりあえず古本屋でGS美神探してみようと思った今日この頃

776:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:46:23 SEnreKca
>小学生超能力少女公務員とか…
小ネタで既出

777:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:53:32 tKWIH7dT
GSオタもなのはオタも軍オタも特撮雑誌も全部まとめて消えればいいのに

778:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:56:01 YPNK/C3d
そして誰もいなくなった

779:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:57:11 fvlCPhva
そう言い残して>>777は消滅した。

780:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:57:54 zP3EWMQj
そして誰もいなくなった

真にいなくなるべきはオタじゃなくて厨だと思うよ

781:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:58:52 tKWIH7dT
どうやったら雑談と雑誌を間違えるんだよ俺

782:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 15:58:55 BBZOaU+6
だから毒行けと(ry

783:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:02:10 tKWIH7dT
お前ら正直言ったらゼロの使い魔なんてどうでもいいんだろ?


784:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:04:36 Zn3qtMaX
>>783
お前の存在がどうでもいい

785:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:08:43 XGYfRj+8
>新刊も出なくなったのでゼロ魔ファンは考えるのをやめた

某マグマよりの大使を呼び出す笛を召喚する話はどうだろう?
この場合笛一つで呼び出せるのは召喚者をモデルにした小型ロケット人間だからルイズそっくりということに
烈風カリンをどう人間モドキとすり替えるのが難だが

786:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:09:02 5QFvgkby
私は良く女に「どうでもいい」といわれる

首吊ってくる

787:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:09:54 MjrdtFTz
言い合いは止めよう
マッタリしようよ

788:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:11:24 +ITNqOSX
>>786
漢だけの世界に来いよ。

789:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:20:21 qJwSRRQy
中出しクンニ君 ◆QU0HKDB7ak
【学名】バルカンクンニ
【生息地】静岡
【血液型】ケチャップ
【年齢】おっさん
【年収】80万
【記憶力】鳥
【性癖】ペド 小4~中2とセックスしたい
【資格など】英検初段 TOEIC 95点 TOEFL 950点
【備考】プロトコルレベルでネットワークに詳しい  早朝に女子社員からチョコを20個もらった夢を見たが、実際は27個もらった
    中学時代にPSG-1のモデルガンを所持していた  大麻を吸ったことがある
    中学高校時代はバスケ部で7番のポイントガード 自らドリブル突破してのダンクが得意技
    ジャンプ力は小学校の頃、垂直とび93cmで今なら推定120cmのトップアスリート級 世界記録の129cmにも迫る勢いである
    でもスタミナは絶望的だった
 大学時代は武闘派で影の番長 相手の頭を陥没させることが可能な拳の持ち主だが、酒の席で自称番長を思いっきり殴ったのに
    次の日には、殴られた自称番長は平然としていたらしい
体重60Kg以下の連中はクリーンヒットで10発以内に倒せる
    高校生と合コンした二次会のカラオケで 女の子をレイプしようとしていたらしい
    俺が日本経済を止めようと思えば簡単に止めるどころか崩壊させる事が出来る
    18歳の小僧に腹パン食らう  DVD-ROMで出血
    高校のときはバンドでヴォーカル  大学時代、新車で300万(諸経費別)のGL1800を中古で購入。購入額300万
    最高裁判長の知り合いがいて無実でも無期懲役でぶち込む事はたやすい。死刑までは無理
    独自理論の包帯巻きのサラシ巻きができる。再現は不可能  しゃべるときにはビブラート(笑)をかける
    負ければ官軍 コーヒー豆は炊くものらしい
    
    さらにはロンドンへ出張の際、UKでプロパイダ業務免許を持っていないはずのNTTグループ傘下の
    OCNの回線にて書き込むという荒業も披露 ちなみにロンドンからフシアナすると太文字になるらしい
    現地時間の朝っぱらから酒盛りは当たり前
    また、PCを持っていかなかったため、現地の人間にPCを借りた際、即日本時間に修正するという大和魂の持ち主
    その割にはちゃっかり箱○は持参してGRAW2などで遊んでいた模様
    さらにはプレゼンの研修を終えたのか、借り物のPCに張り付いて徹夜で2ちゃんに書き込むなど、
    充実した出張期間を送っている様である何故か同じ北半球に位置するはずのイギリスが、今現在真夏らしい
    と、思ったら真冬だけどイギリスに限らずヨーロッパ全土が今エルニーニョのおかげで
    昼間は初夏の日差しなので、真夏と勘違いしただけだった
    ロンドン滞在中、佐川からバイオショックが届くのが待ちきれず、わざわざ家族に連絡し郵便受けを見に行かせた


    秋葉に行くことが親の死に目にあう事と同じくらい大切
    著作権のある画像はうpろだに貼ればどんな著作権もフリーになるという裏技を知っている
    彼の睡眠はわずか1分という短さで覚め、その引き換えにレスをすると1レスにつき10秒寿命を縮めてしまう
    相手が敗走していても自分も敗走してしまうという彼の辞書には敗北という文字も勝利という文字も記されてはいない
    アイマスキャラを服の上から透視可能
    2008年2月28日、悟りを開く

    本人曰く、これらは出所不明の情報だが真実らしい


790:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:20:42 qmfcVsTb
竜王「味方になれば世界の半分をやろう」

788「はい」

竜王「ではお前には男の世界をやろう」


791:789
08/03/05 16:21:11 qJwSRRQy
すまん、誤爆した…  orz

792:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:24:16 E3aVgKp2
こんな荒んだ時にこそイデオンをだな・・・


793:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:38:44 aEojQAwp
イデ発動ですか

794:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:45:12 XGYfRj+8
宇宙規模のバッドエンドをハルケギニアで今さらやてもなあ…精々惑星レベルのでどうか?
ザ・ムーン召喚でハルケギニアがカビで覆われ聖地まであと一歩というところで才人がルイズに結婚を申し込んで全員死亡というエンディングでどうか?
ザンボット召喚でエレオノール、カトレアは特攻、ルイズのみが生き残るのでも可

795:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 16:51:31 H3EbA8zn
ソロシップの面々にとっては召喚された方が幸せかもしれんが、コスモやカーシャあたりは思いっきり反発しそうだ
イデオンのパワーってイデの思惑というか機嫌しだいだから、異世界に呼び込まれたことで調子が悪くなって
バリアーすらありません状態ならさして脅威ではないかも

796:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 17:27:34 ILOZGYAh
ダンガイオーとそのパイロット4人組を召喚
ターサン博士が見つけるのが早いか、バンカーが見つけるのが速いかの勝負になりそうだ
前者ならダンガイオーを整備できる上に、ターサン博士の宇宙船で主要キャラだけでも逃がす事が出来る
後者ならダンガイオーの整備を気にしつつも、戦う駆け引きが出来る

797:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 17:44:27 XGYfRj+8
ロボットものなら破壊の人形=ジアースしかないじゃないか
最初の犠牲者は当然、才人。一週間ごとにルイズはサモン・サーヴァントを繰り返…

798:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:05:34 A3TRvIqX
ロボならQコちゃんがいいな

799:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:06:24 SEnreKca
Gダンガイオーでミアだけ昏睡状態で地球に居るんだから
残りの誰か呼び込んだって話にならなんとでも出来る
ちなみ破邪大星の方のダンガイオーなら自己再生能力持ってるから
時間さえありゃコックピットの残骸からでも復活はするぞ

800:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:15:21 L76wHmKO
作品投稿と感想と「ボクの考えたネタ」でこのスレは出来ているのか。

801:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:20:54 7S0Vp8R/
元々そういうスレですよ

802:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:23:35 qJwSRRQy
>>800
そのとおりですが何か?

803:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:25:12 XhMQ9uff
>>800
なんという的確な要約

804:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:25:33 0HOz2QQ2
>>800
> 「ボクの考えたネタ」
雑談ネタになるネタって結構貴重なんだぜ。
適当に思いつきを書いてもスルーされるだけだしな。
あるネタが連載の邪魔をするほど盛り上がったなら、
最初にネタ振りした奴やそれを膨らませた連中が素敵だったんだよ。

805:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:41:37 q9dcU+Im
雑談の中で好きだったゲームのタイトル出されて
熱が再燃して作品書き出した自分もいるわけで
雑談が悪いとは言えないよな
投下の邪魔は自重すべきだがな

806:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:44:15 ehKPD16z
現在はその程度の自重すら出来んのが多いから困る

807:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:45:12 SEnreKca
それにな、作者が雑談連中の膨らませたネタ食って
消化できれば思いついた面子は喜びこそすれ
怒る事は無いと言う事も認識しとかなきゃいかん
別に「それイタダキ」だってかまわん話だ
二次創作って他人の発想におんぶ状態から始まってるものに
人のネタ使うなとか言ってたらそれこそただのバカ
丸写しじゃなくアレンジ出来てれば逆にどんどん使うべき

808:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:45:54 ehKPD16z
作者本人が書きにくく思うこともあるだろうJK

809:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 18:57:23 xwQn2p71

301 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/05(水) 17:32:14 [ iWgWSoCw ]
雑談うぜーじゃなくて、俺の知らないネタうぜーだろ

どうせ自分の好みのネタの時には嬉々として雑談してんだろうさ。


302 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/05(水) 17:35:27 [ LfZKR6SE ]
>>301
ぶっちゃけそのとおり。
ただ特定の話題が長すぎて
ずっと俺のターン!!     ……が来ないのがなんとも。



810:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 19:15:45 qJwSRRQy
中出しクンニ君 ◆QU0HKDB7ak
【学名】バルカンクンニ
【生息地】静岡
【血液型】ケチャップ
【年齢】おっさん
【年収】80万
【記憶力】鳥
【性癖】ペド 小4~中2とセックスしたい
【資格など】英検初段 TOEIC 95点 TOEFL 950点
【備考】プロトコルレベルでネットワークに詳しい  早朝に女子社員からチョコを20個もらった夢を見たが、実際は27個もらった
    中学時代にPSG-1のモデルガンを所持していた  大麻を吸ったことがある
    中学高校時代はバスケ部で7番のポイントガード 自らドリブル突破してのダンクが得意技
    ジャンプ力は小学校の頃、垂直とび93cmで今なら推定120cmのトップアスリート級 世界記録の129cmにも迫る勢いである
    でもスタミナは絶望的だった
 大学時代は武闘派で影の番長 相手の頭を陥没させることが可能な拳の持ち主だが、酒の席で自称番長を思いっきり殴ったのに
    次の日には、殴られた自称番長は平然としていたらしい
体重60Kg以下の連中はクリーンヒットで10発以内に倒せる
    高校生と合コンした二次会のカラオケで 女の子をレイプしようとしていたらしい
    俺が日本経済を止めようと思えば簡単に止めるどころか崩壊させる事が出来る
    18歳の小僧に腹パン食らう  DVD-ROMで出血
    高校のときはバンドでヴォーカル  大学時代、新車で300万(諸経費別)のGL1800を中古で購入。購入額300万
    最高裁判長の知り合いがいて無実でも無期懲役でぶち込む事はたやすい。死刑までは無理
    独自理論の包帯巻きのサラシ巻きができる。再現は不可能  しゃべるときにはビブラート(笑)をかける
    負ければ官軍 コーヒー豆は炊くものらしい
    
    さらにはロンドンへ出張の際、UKでプロパイダ業務免許を持っていないはずのNTTグループ傘下の
    OCNの回線にて書き込むという荒業も披露 ちなみにロンドンからフシアナすると太文字になるらしい
    現地時間の朝っぱらから酒盛りは当たり前
    また、PCを持っていかなかったため、現地の人間にPCを借りた際、即日本時間に修正するという大和魂の持ち主
    その割にはちゃっかり箱○は持参してGRAW2などで遊んでいた模様
    さらにはプレゼンの研修を終えたのか、借り物のPCに張り付いて徹夜で2ちゃんに書き込むなど、
    充実した出張期間を送っている様である何故か同じ北半球に位置するはずのイギリスが、今現在真夏らしい
    と、思ったら真冬だけどイギリスに限らずヨーロッパ全土が今エルニーニョのおかげで
    昼間は初夏の日差しなので、真夏と勘違いしただけだった
    ロンドン滞在中、佐川からバイオショックが届くのが待ちきれず、わざわざ家族に連絡し郵便受けを見に行かせた


    秋葉に行くことが親の死に目にあう事と同じくらい大切
    著作権のある画像はうpろだに貼ればどんな著作権もフリーになるという裏技を知っている
    彼の睡眠はわずか1分という短さで覚め、その引き換えにレスをすると1レスにつき10秒寿命を縮めてしまう
    相手が敗走していても自分も敗走してしまうという彼の辞書には敗北という文字も勝利という文字も記されてはいない
    アイマスキャラを服の上から透視可能
    2008年2月28日、悟りを開く

    本人曰く、これらは出所不明の情報だが真実らしい


811:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 19:18:57 qJwSRRQy
すまん、またやっちまった… orz
気にせずに続けてくれ…

812:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 19:22:17 OTeE2Td1
今日は啓蟄、冬ごもりをしていた虫が湧いて出る頃というが本当のようだ
それにしてもこれはいったいどこの誤爆なのだろうか

813:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 19:29:22 H3EbA8zn
>>811
本当に誤爆だったんなら、悪いことは言わんから今日はROMるだけにしといた方がいい
何をやっても上手くいかない時ってのはあるもんだ

>>812
アイマスキャラなどから考えるとゲハ板あたりじゃないか?

814:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 19:34:40 0qbMf2gm
262 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/05(水) 01:54:25 [ Eb3rv572 ]
特撮雑談に毒吐き
お前らのせいで特撮作品全般が白い目で見られるから続きが投下しづらいんだよ
そんなに雑談したいなら特撮板に行ってくれ

280 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/05(水) 16:08:29 [ Eb3rv572 ]
しかし本スレは見事に釣り堀になってるよな
針が丸見えどころか餌が付いてない針でも全員で群がるから困る

313 名前:名無しさん 投稿日:2008/03/05(水) 19:26:31 [ Eb3rv572 ]
しかし「雑談最高!ゼロ魔?知らねーよwwwww」なやつが間違いなくいるよな
どんなマイナーな話題振られてもなぜかわかるやつがいるのも本スレが腐った原因な気がする



スレが腐ったと思うならお前が出て行けよ。
それとも何か、特撮の書き手を騙って、さらに特撮を追い出そうって陰謀か?

815:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 19:40:06 qJwSRRQy
>>813
すまない、そうさせてもらう。
いや、アーマード・コア関連のスレのものなんだが……

816:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 19:56:02 QPA3eU6f
>>797
破壊の人形が破裂の人形に見えた。
ブオンブオンブオンブオン モボボボボボボボボ ブボボブボブボ
ボイボボボイボイ ブボボボ ボイボイ モンモンモンモン

>>815
ACスレ住人としては聞き捨てならんな。

817:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:01:02 cgrHxVSq
こんだけ何人ともキスしてルイズは淫乱な変態女だな!

818:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:04:54 tKWIH7dT
よく毒吐きは便所に例えられてるがその便所から汚物を持ってくるここは下水処理場なのか

819:ゼロの軌跡
08/03/05 20:24:30 i7h/68vQ
空気読めないトーナメント王者の俺が通りますよ。


ってことで投下していいかい?

820:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:26:26 wrADiw98
支援準備!!

821:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:27:58 KwuEo8m7
私は一向に構わんッッ!

822:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:28:49 qJwSRRQy
支援!

823:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:31:22 xk/Is9Uu
まだSCの箱開けてないのに!と思いつつ支援

824:ゼロの軌跡
08/03/05 20:31:59 i7h/68vQ
ゼロの軌跡

第四話 乙女の決意


 ルイズが自室で目を覚ましたのは夕刻、太陽がその身を地平線の下に隠そうとする頃だった。
 


 真っ先にルイズの脳裏をよぎったのはあの少女、レンの顔。
 急いで起き上がろうとしたが首筋の痛みに耐えかねて呻きながらそのまま体を横たえた。

「あら、お気づきになりましたか」

 その声に視線をやれば一人のメイド。給仕や洗濯の折にしばしば見かける顔だ。
 名前はなんと言ったのだか。

「シエスタと申します。お体の具合はいかがでございますか」

 嘆きとも呻きをもとれる曖昧な答えを返しつつ、今度はゆっくりと体を起こす。深呼吸。幸い、体は無事であるようだった。
 差し出された熱いタオルを受け取って顔を拭く。時折痛みの走る頭にそれはひどく心地良かった。

「それでは先生方をお呼びして参ります。少々お待ちくださいませ」



 しばし放心していたが、誰かに会うのだということに思い当たりルイズは慌ててベッドから飛び降りた。
 いくら臥せっていたとはいえ、女性ならまだしも、今の姿は男性には見せられない。
 あれだけの騒ぎになったのだ。やってくるのはおそらく学院長、オールド・オスマンその人だろう。

 いつの間にか着せられていたネグリジェを脱いで、丁寧にたたまれた制服に袖を通す。
 髪を整えようと鏡に向かえば、視界に飛び込んだ首筋に付けられた赤黒い手の痕。



 ルイズは思わずその手形に自分の手を添えた。小柄なルイズよりも更に幾分か小さいそれ。
 だがレンの膂力は彼女の体躯とは違い、ひどく年不相応なものだった。

 力だけではない。
 大鎌も。身のこなしも。ゴーレムも。


 レンのことが気になって、いてもたってもいられなかった。
 既にこの学院を離れたのだろうか。それとも捕まって地下牢にでも放り込まれているのではないか。
 いや、<パテル=マテル>がついているのだろうから、レンに何かあればこの学院が無事であるはずがない。ならばこの静寂は彼女の息災の証なのだろう。


 しかし、何故こんなにもレンのことが気に掛かるのだろう。 
 武器を突きつけられ、首を絞められて殺されかけたというのに、恐怖も嫌悪もルイズは感じなかった。
 その理由を探しても、まとまらない言葉が脳裏をよぎるばかり。

  



825:ゼロの軌跡
08/03/05 20:32:48 i7h/68vQ
 「ヴァリエール様、学院長がおいでになりました」


 シエスタの呼びかけに沈んでいた思考が引き戻される。
 髪に櫛も通していないが仕方がない。急いで身支度を確かめて、声をかけた。

 
 恭しく開かれた扉から現れたのは、眉間にしわを寄せたオスマンと悲痛な顔をしたコルベールだった。






 女性の部屋に上がりこむのは失礼とは思うが病床の君を呼び立てるのも、と椅子に腰掛けたオスマンは型通りに述べ、ルイズもお気になさらずこちらこそ学院長にご足労頂いて、とそれに応じた。

 中身のないやりとりの後に訪れたのは質量さえ感じられそうな重苦しい沈黙。
 話さなければならない事があるというのにオスマンは口を開きかねていた。
 実際、彼は押し潰されかけているのかもしれなかった。降って沸いた災厄の、その重さに。



 なら私が問わなければ、とルイズは声を上げた。


「レンは…レンは一体どうなったのですか?オールド・オスマン」

 うむ、と仕方なくオスマンは口を開いた。

「客分としてしばらくこの学院に逗留することになった。
 元いた場所に帰る方法が見つかるまではここに滞在することになるじゃろう」
「元いた場所…とは?」
「ゼムリア大陸のリベールという国らしい。心当たりがあるかね?」

 そんな地名は耳の端にも聞いたことがない。ルイズはかぶりを振った。

「わしにも覚えのない地名じゃ。手すきの教師総出で書庫を探させておるが果たして見つかるものかどうか」
「見つからなければどうなるのでしょうか」

 益体もない質問だ。
 そう思いながらもルイズは聞かずにはいられなかった。

「さてな、全てはあの少女の気分次第じゃ。考えたくもないのう」

 返ってきたのは予想と寸分違わぬ返答。
 
「あのゴーレムは一体何なのですか?」
「名前は<パテル=マテル>。父と母という意味らしいの。
 我々の知るゴーレムとは根本から別物のようじゃ。
 レン君が言うには、この学院など四半時もあれば瓦礫の山に出来る、と」

 恐らく嘘ではあるまい。多少の誇張があるにせよ、な。
 深いため息とともにオスマンはそう吐き出した。
 
 ルイズには、眼前の偉大なる魔法使いが一息つく度に年老いていくようにも見えた。
 




826:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:33:55 H3EbA8zn
学院長に同情しつつ支援

827:ゼロの軌跡
08/03/05 20:33:59 i7h/68vQ
「レン君自身についてもわかったことは殆どない」

 オスマンは続ける。

「年齢は十二歳。孤児。
 おそらくは特殊な訓練をつんでおる。相当戦闘技術に長けているようじゃな。
 確証はないが、我々とは違う体系の魔法を操る。
 その他の様々な文化もワシらより進んだものをもっておるようじゃ」
「レンと直接話してたったそれだけ…」
「あれは対話と呼べる代物ではなかったな。
 彼女が問いワシらが答える。ワシらの問いははぐらかされ、確たる答えは得られなんだ。
 挙句にレン君の要求を全て呑まざるを得なかった」

 
 いや、あれでは既に脅迫か、とのオスマンの呟きに今度はルイズが貝のように黙りこくる番だった。
 恐れていた予想だけが悉く現実のものとなり、知りたい情報は何一つとしてその手にすることが出来なかった。答えは亡羊として手の届かぬ霧の中にあった。
  


 その沈黙をルイズの自責と取ったのか、初めてコルベールが口を開いた。

「奇跡的に死傷者は出ませんでした。ルイズ君さえ無事なら気にやむことはありません」

 ルイズは首肯する。
 だがそれもルイズの心に立ちこめた暗雲を払うことは出来なかった。

 ルイズははそんなことは先刻承知だった。
 レンはルイズの宣言を撤回させるためだけにあの光を放ったのだ。
 ただ殺すだけでは足りなかった。<パテル=マテル>を取り戻してからでないと殺せなかったのだ。
 最も、首を絞め始めた時には怒りと恐れでそんな理屈も頭から消し飛んでいたのだろうけれども。








828:ゼロの軌跡
08/03/05 20:35:28 i7h/68vQ
 それでも、とルイズは思う。

 
 私はレンを傷つけたままではいられない。

 レンに<パテル=マテル>を返さなくてはならない。


「明日、レンと私を会わせて頂けませんか」
「何を言っておる!出会い頭に殺されるのかもしれんのだぞ!」
「<パテル=マテル>を使い魔にはしないと、レンに謝ります。レンはきっとわかってくれます。
 もし殺されるようなことになっても文句はいいません。
 だから、だから」


 魔法に対する執心が消えたわけでは決してない。
 ゼロと呼ばれることは辛く苦しい。
今だって使い魔が、<パテル=マテル>が欲しくてたまらない。
 この瞬間にも私の心はちりちりと焼け焦げているかのよう。


 皆が手足のように操る魔法を私はただ一人使えない。
 ゼロの私がレンに何をしてやれるというのか。
 私一人で立つことさえ叶わないのに、人を救おうなどと烏滸がましい。


 けれど、
 レンから奪った父と母で、
 私が救われることは絶対にない。



「お願いします。レンに会わせてください」
「何故じゃ、ミス・ヴァリエール。
 何故自分の身を危険に晒してまでレン君に関わろうとする?
 そんな無駄なことのために命を粗末にしてはいかん」

 彼に問われる前からずっとそれを考えていた。
 
「オールド・オスマンともあろうお方がそのような愚かなことを仰るのですか」

 分を超えた物言いにコルベールが制止の声をあげるが、意に介することなく続ける。

「レンと私は奇しくも出会いました。この眼を塞がんばかりに広い世界で、細い一本の糸のような縁で。
その縁は二人を繋ぐ絆になり、生まれた絆は決して切れることがありません。
メイジであるから、使い魔であるから共にあるのではないでしょう。
互いにそうあろうとする意思があるから、一緒に歩んで行けるのです。

私はレンと共にありたい、彼女の力になりたい。それ以上の理由が必要でしょうか」
 
 
 
 
「このように老いて尚、若人に諭されることになるとはのう」

 齢すら定かではないその老人は最後にそう言った。

「思うようにするがいい、ミス・ヴァリエール」 

829:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:35:30 KwuEo8m7
しえん

830:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:37:51 wrADiw98
読みふけっている場合じゃなかった、支援!

831:ゼロの軌跡
08/03/05 20:38:58 i7h/68vQ
第4話投下終了です。
支援感謝、烈海王乙。

次でやっと決闘に入れそうです。殆どイベントこなしてないのになんだこの遅さ。

832:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:47:28 wrADiw98
乙でした~
じっくり丁寧に書いてるって事で、長くても構わないと思うけど

833:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:48:18 KwuEo8m7
投下乙です。
最近はなんかルイズが欝気味な作品が多いけど、そこからなんとか這い上がってくる展開に期待。

834:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 20:55:46 qJwSRRQy
乙っした!

835:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 21:06:12 NlQc7/bP
乙。
それにしても、サイトをルーン補正無しで戦わせるきかっけを作るのって結構ムズイなあ。


836:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 21:34:19 o+bVhOnR
お代官様、乙でごぜぇます。

>>835
そもそもガンダールウの示す『武器』ってのが曖昧だよな。
石ころでも武器として使えるとかいう屁理屈でも通りそうだけど、
そこら辺考えないと、背景含めきっかけ作るのも苦労する。

837:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 21:38:29 KwuEo8m7
石ころが武器・・・タクティクスオウガとか?
ちょっと高低差があったりすると戦場の端から端まで届いたりするからなかなか凶悪だな。

838:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 21:40:43 YX5OGLOI
石つぶてか
ミギーがいれば……

839:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 21:43:34 qJwSRRQy
アニメの双月だと木刀も武器に認められなかったよな。
元剣道部に言わせてもらえば木刀って結構ヤバい武器なんだが。
だから石は認められないんじゃ…


840:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 21:45:55 S3If60H5
>>837
投石は近世初期まで立派な兵器でしたよ。
武田信玄の合戦でも、石合戦で始まる事がしばしばでした。

仮説ですが、サイトが武器として認識するかってのもあるんじゃないでしょうか?

841:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 21:49:24 KwuEo8m7
>>840
ああ、そういえば「センゴク」に確かそんな描写が。
かの宮元武蔵が島原の乱で活躍できなかった原因は普通の農民兵の投石で足に怪我したからだとか。

842:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 21:50:43 qJwSRRQy
>>840
本人の認識によって基準が変わる、か…
それだとキートンに出てきた赤い風なんかだと
小枝一本、ネクタイ一本でガンダ発動するな。それはそれで見てみたいぜ!

個人的には上記の理由でそれを製造した時に武器として作られたかどうかが関係してると思う。

843:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 21:51:10 sTobYM+9
世の中にはスリングなんて武器があるくらいだし、石は十分武器になり得るな
言うまでもなく木刀も

でもまあ>>840の言うように「使い手が武器と認識する物を手にする事」がガンダ発動の
条件なんじゃないかなとは思う


844:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 22:01:15 o+bVhOnR
>>840-843
『武器として認識する』か……。
場合によっては危険人物発見装置になる訳だ。
存在する物全て武器って認識の人とか出て来たらミューズの立場がなくなる。

845:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 22:03:44 joV6aBvA
冒険野郎マクガイバー召喚とか?

846:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 22:03:54 FQXmUc2g
石が武器と言えば戦国BASARA2の宮本武蔵とか?

847:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 22:05:55 wT7UtWNz
そういやミューズ&エルフのゴーレムは立派に兵器なんだから
ガンダなら触っただけで乗っ取れないのかね

848:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 22:06:31 oZ8hj8vF
中出しクンニ君 ◆QU0HKDB7ak
【学名】バルカンクンニ
【生息地】静岡
【血液型】ケチャップ
【年齢】おっさん
【年収】80万
【記憶力】鳥
【性癖】ペド 小4~中2とセックスしたい
【資格など】英検初段 TOEIC 95点 TOEFL 950点
【備考】プロトコルレベルでネットワークに詳しい  早朝に女子社員からチョコを20個もらった夢を見たが、実際は27個もらった
    中学時代にPSG-1のモデルガンを所持していた  大麻を吸ったことがある
    中学高校時代はバスケ部で7番のポイントガード 自らドリブル突破してのダンクが得意技
    ジャンプ力は小学校の頃、垂直とび93cmで今なら推定120cmのトップアスリート級 世界記録の129cmにも迫る勢いである
    でもスタミナは絶望的だった
 大学時代は武闘派で影の番長 相手の頭を陥没させることが可能な拳の持ち主だが、酒の席で自称番長を思いっきり殴ったのに
    次の日には、殴られた自称番長は平然としていたらしい
体重60Kg以下の連中はクリーンヒットで10発以内に倒せる
    高校生と合コンした二次会のカラオケで 女の子をレイプしようとしていたらしい
    俺が日本経済を止めようと思えば簡単に止めるどころか崩壊させる事が出来る
    18歳の小僧に腹パン食らう  DVD-ROMで出血
    高校のときはバンドでヴォーカル  大学時代、新車で300万(諸経費別)のGL1800を中古で購入。購入額300万
    最高裁判長の知り合いがいて無実でも無期懲役でぶち込む事はたやすい。死刑までは無理
    独自理論の包帯巻きのサラシ巻きができる。再現は不可能  しゃべるときにはビブラート(笑)をかける
    負ければ官軍 コーヒー豆は炊くものらしい
    
    さらにはロンドンへ出張の際、UKでプロパイダ業務免許を持っていないはずのNTTグループ傘下の
    OCNの回線にて書き込むという荒業も披露 ちなみにロンドンからフシアナすると太文字になるらしい
    現地時間の朝っぱらから酒盛りは当たり前
    また、PCを持っていかなかったため、現地の人間にPCを借りた際、即日本時間に修正するという大和魂の持ち主
    その割にはちゃっかり箱○は持参してGRAW2などで遊んでいた模様
    さらにはプレゼンの研修を終えたのか、借り物のPCに張り付いて徹夜で2ちゃんに書き込むなど、
    充実した出張期間を送っている様である何故か同じ北半球に位置するはずのイギリスが、今現在真夏らしい
    と、思ったら真冬だけどイギリスに限らずヨーロッパ全土が今エルニーニョのおかげで
    昼間は初夏の日差しなので、真夏と勘違いしただけだった
    ロンドン滞在中、佐川からバイオショックが届くのが待ちきれず、わざわざ家族に連絡し郵便受けを見に行かせた


    秋葉に行くことが親の死に目にあう事と同じくらい大切
    著作権のある画像はうpろだに貼ればどんな著作権もフリーになるという裏技を知っている
    彼の睡眠はわずか1分という短さで覚め、その引き換えにレスをすると1レスにつき10秒寿命を縮めてしまう
    相手が敗走していても自分も敗走してしまうという彼の辞書には敗北という文字も勝利という文字も記されてはいない
    アイマスキャラを服の上から透視可能
    2008年2月28日、悟りを開く

    本人曰く、これらは出所不明の情報だが真実らしい

849:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/05 22:09:02 KbtanL6L
こんばんは。
次ができたのですが、投下してもいいでしょうか?

850:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 22:09:56 q2Bo23Bp
支援

851:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/05 22:10:47 KbtanL6L
   ◇

 草笛の音が、たどたどしく、しかしだからこそ素朴に墓場に響く。
 鳴らしているのはシエスタだった。
 泣き止んで落ち着いたムスタディオが、ばつの悪さをごまかすために聞いてみたのだ。草笛を吹けるか。吹ける様だったら、自分にも教えてくれないか。
 墓の外は、見渡す限りの草原が広がっていた。黄昏はじめた陽光が、それを金色に染め上げ始めている。
 そんな様を見ていたら、無性に自分でも草笛をやってみたくなったのだった。

 ―思い出す。
 こんな草原に野営する際は、いつもラムザが草笛を鳴らしていた。
 一番の親友だった男と共に、父に習ったと言っていた。少しさびしげに。
 彼らと過ごした日々。この世界にやってきてからたった数日で、距離も心も遠い、と感じたそれらが、再び身体に少しずつ染み渡ってくる気がする。
 沈みゆく太陽を見つめる。
 それは旅先で何度も見た夕暮れのように美しく、無常で。
 それだけで、何かやっていけそうな気がした。




「ブレイブストーリー/ゼロ」-11



   ◇


 教えてくれ、と言ってきたムスタディオは、しかしいざシエスタが草笛を鳴らし始めるとその真似すらしようとしなかった。
 草の上に座り込み、ただ聴いている。
 旋律も何もなくただ鳴らしているだけなのに、すごく安らいだ表情をしていた。
 シエスタは草笛に何か思い入れがあるのかなと考える一方で、この人こんな顔もするんだ、と変な感心をしてしまっていた。
 ずっと鳴らしていると、段々疲れて空気が吸えなくなって来る。何だかムスタディオの安らぎを壊したくないと思ってしまったシエスタは、無茶をして吹き続けてみたが、

その内どんどん顔が赤くなっていくのを気付かれ、止められてしまった。

「…………」

 なんとなく、気まずい沈黙が降りる。
 何か話しかけなきゃいけない気がしてあれこれ考えるシエスタだったが、思いつく話題、彼への質問はどれもこの状況では地雷な気がしてことごとく二の足を踏んでしまう


 頭をぐるぐるさせている内に、ムスタディオから質問が来てしまった。

「さっきの遺品の話なんだけど」
「はっ、はい! なんでしょうか!?」

 思わず大声を出してしまったシエスタに、ムスタディオが怪訝な表情をする。

「? ……ええと、遺品の中に、何か宝石みたいなのはなかったかい?」
「ああ」

 それなら覚えている。


852:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/05 22:12:10 KbtanL6L
「大きな原石みたいなのですよね。ありました」

 そういった瞬間、学院の朝のように掴みかかられそうになった。

「本当か! どこにあ……っと、わ、悪かった」

 いきなりのことに悲鳴も飲み込んでしまったシエスタに、しかし途中で我に帰ったムスタディオが頭を下げる。

「だ、大丈夫です。びっくりしましたけど……あれも探しているんですか?」
「ああ。どこにあるんだい?」

 まっすぐにムスタディオが見つめてくる。シエスタは少し気まずさを感じ、目を逸らしてしまう。
 ―それは祖母が、口紅と同じくらい大事にしていた品だ。調査隊の人間に持ち去られようとしたところを拒否し、隠し持っていたと聞いた。これもまた、シエスタにだけ見せてくれたのだ。
 これは自分が墓の下に持っていかなければならない、と言っていた。
 その言をシエスタは遺言とみなし、祖母の墓にたくさんの花束と共に埋めた。

 ……しかし。

「ごめんなさい」

 シエスタはムスタディオに、頭を下げ返した。

「この村にはもう、ないんです。盗まれてしまいました」

 シエスタはムスタディオに説明する。
 葬式が済んで間もなく、墓荒らしが出た事を。
 祖母の墓を含めたいくつかが荒らされ、宝石はその際に持ち去られてしまっていた。

「……その石には、何かの文字が刻印されていたはずだ……いや、その宝石の色は、何色だった?」
「深い青色です」
「―ヴァルゴか、なんてこった……」

 ムスタディオが両手で顔を覆う。
 その声には、悲しみや苛立ちなんかを通り越した「疲れ」が滲み出ていた。

「ご……ごめんなさい」
「いや、仕方ないよ。シエスタは何も悪くない」

 しばらくして手を外したムスタディオの顔は、今までになく精悍な面持ちをしていた。
 そしてその口から出た言葉に、シエスタは驚かされることになる。

「シエスタはいつ学院に戻るつもりだい?」

 早く学院に戻らせてくれ、と。
 ムスタディオの表情と、口調が言外の意思を物語っている。

「学院に戻るつもりなんですか?」

 思わず聞いてしまった。

853:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/05 22:12:21 UnTVqP4Q
彼女はお前のものなんかにはならない!支援

854:ブレイブストーリー/ゼロ
08/03/05 22:12:49 KbtanL6L
 ―だって、とシエスタは思う。村へ来る道中のムスタディオは、夜逃げしてきた人のような表情をしていた。
 何を考えていたかは分からなかったが、鎖を千切った家畜のように、どこか遠くへと離れていく風にしか見えなかったのだ。

「……ミス・ヴァリエールともうまく行ってないんですよね」

「ゼロのルイズ」はしばしば使用人達の間でも話題になっている。というより、貴族を快く思わない人々の間で密かにこき下ろしの対象になっている。シエスタはそういった話に加わった事はないが。
 決闘後は特にその話題でもちきりで、その中でムスタディオとルイズの仲のことも聞いていた。かなり険悪で、使い魔が主に虐待すらされている、と。
 シエスタがムスタディオが逃げようとしていると思ったのも、その噂を知っていたからだった。

「そんなことまで知ってたのか」
「はい、かなり酷い扱いを受けているって。その現場を、使用人仲間が見たことがあるって」

 言いながら、ルイズへのほのかな敵意が胸の中に灯る。
 シエスタは、祖母のことを理解してくれ得る存在としてムスタディオに好感を抱きつつあった。それだけに納得し難いものがある。

「……うん、そうだな。あれは酷かった」

 ムスタディオは色々な事を思い出したのか、弱った顔でため息をついた。墓標の一つと化した剣の柄を右手で握る。
 すると、左手に刻まれていたルーンが光り始めた。鼓動を刻むように、光が強まっていく。何が起こっているのか自分でもわからないのか、ムスタディオ自身もその様子を眺めているが―その顔が、光に呼応するように引き締まっていくのをシエスタは見ていた。

「なあ、シエスタ、この剣を貰ってもいいかな? ……依頼主に、形見分けをさせてほしいんだ」
「あ、はい。家族にも聞いてみないと分からないですけど……事情を話せば、たぶん大丈夫だと思います」

 ず、という音に少し驚く。シエスタがそう言った瞬間、ムスタディオが墓から剣を引き抜いたのだ。
 錆びた剣を、ムスタディオが構える。正眼だ。祖母が教えてくれた。そしてその構えは、剣を持った祖母の立ち振る舞いと驚くほど似ていた。
 まるで、祖母の戦う様子を見ていたかのように。
 ルーンの輝きが増す。

「彼女なら、きっと逃げないと思うんだ」

 その姿に半ば見とれていたシエスタは、え? と聞き返してしまう。
 少しの間の後、何かの覚悟を決めたようにムスタディオが口を開いた。

「たぶんさ、オレはあそこから逃げてきたんだ」



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