アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ12at ANICHARA
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ12 - 暇つぶし2ch322:ナイトメア・チルドレン ◆tu4bghlMIw
08/02/22 01:51:58 v907MW6E
夢、夢を見ていた。
拙者はグルグルと螺旋を描くマーブル色の海の中で躯を横たえていた。

俺は寝ている。そして夢を見ている。
つまり、これは明晰夢という奴なのだろう。

……いい機会だ。
ゆっくりと、自らの記憶のページを捲って行くこととする。



まずは分かり易い結論から行こう。
全ては、光の渦に飲み込まれてしまった。
奇妙な連帯感で結ばれた男と女は極光の奥に消えた。

二人は愛し合っていた。少なくともソレは間違いない。
妙な強迫観念が俺達を衝き動かしていたことは明白な事実だ。
だが、二人の間には確かな絆があり、愛情があり、そして互いを気遣う想いがあった。

猫である自分には人間の恋愛というモノは良く分からない。
かといって完全な獣でもないので、獣の恋愛について語れと言われても言葉を濁してしまう。
とりあえず傍目から見ても男―クレア・スタンフィールドと女―八神はやて、この両名はお似合いだった。


ぼんやりと、ゆっくりと黒く染まって行く黄昏にも似た意識の中。それでも拙者は一つだけ、思っていたことがある。
それはこの二人を祝福してやりたい、という気持ちだ。
拙者だって、別に悲観主義者って訳でもないんだから幸せそうな人間を見るのは好きだった。

そんな時、拙者達の前に現れたのはシンヤという男だった。
名簿の情報から判断するに本名は相羽シンヤ、と言うのだろう。今となってはどうでもいいことだが。

そう、拙者達にとって必要な情報は奴が―テッカマンエビルであるということだ。


奴は強い。もう在り得ないくらい強い。「ふざけんじゃねぇぇぇぇえええええ!!」と絶叫したくなるくらい強い。
拙者は公明正大な猫だから、事実は事実として認めようと思う。

何が強いって、少なくとも拙者より若干上の実力を持っていたかもしれないクレアの数倍は強い。
や、あくまで奴が「テックセッター」とか訳の分からん日本語を叫び、変身を遂げた後の姿に限定した話ではあるが。

前回は遅れを取ったが、もう一度生身で戦えば拙者が圧勝することは目に見えている。
キッドじゃこうは行かない。多分、何度戦っても負けちまうだろうな。


……ああ、キッドか。そういえば死んだんだっけな。……実際の所、本当なのかね。
正直疑わしい話だ。ただ、なんとなく嫌な感じはする。
機械と生身の身体で出来た俺自身の中で何がモヤモヤと疼いているんだ。
胸にぽっかりと空洞が出来ちまった……みたいな感覚さ。
何て言えばいいのかね、コイツは。とりあえず気持ち良くはねぇ。

……チッ。何か、物足りねぇ。暴れ足りねぇ。
って、おい! 本当に死んじまったのかよ、キッド!?
拙者との決着を付ける前に逝くたぁ、どういうことだっ!?

傷が疼く。胸が痛い。腕が痛い。頭が痛い。
ああ、クソッ!! 拙者はこんな所でグズグズしている訳にはいかねぇってのに!



――マタタビさん、起きてますか?


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