【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 8【一般】at ANICHARA
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 8【一般】 - 暇つぶし2ch350:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/18 18:26:37 wv2bVFRJ
乙~よい話・・・翠星石が切ない・・・

351:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 14:33:58 OU31bnvZ
さて、ローゼン復活記念として
上の話を書いていたときに
軽い感じで書いたのでも出しておきませうかの

352:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 14:34:37 OU31bnvZ
「じゃーーーん、金糸雀颯爽のデビューかしら!さあ、契約するかしら!!」
あるバイオリニストの夢の中、金糸雀は初めてのミーディアムを探していた。
ローゼンが第3ドールを作り始めて、かなり焦っていたのだった。
「実際このままでは、カナの立場があぶないかしらぁぁ・・・」
バイオリニストの青年は、金糸雀の突然の出現にかなり狼狽し、腰を抜かしておろおろしている。
たたみ込むように、契約を強要する金糸雀。
「この金糸雀様と契約すれば、あなたはチョー有名人間違い無し、
バイオリンだってカナのテクニックを持ってすれば、チョーチョー一流間違いなし、
もう良い事尽くめかしら~」
目の前で奇妙なポーズで決めている金糸雀に、何かヤバイものを見ているとしか思えず、青年は逃げ腰になっている。
「あ、ちょっと、引かないで、待つかしら!」
完全に信用を失っている金糸雀は、バイオリンに手をかけた。
「ほらほら、こんな風に演奏、することだって出来るかしら~」
逃げ腰だった青年が反応する。一応、演奏技術は一流なので、それに食い入るように見とれ始めたのだった。
好感度を与えることに成功した金糸雀は、すかさず超絶技巧や作曲の絶妙さをアピールして、青年との契約になだれ込もうと画策する。
「うほ、この完璧なまでのトリル!ほらほら、契約すればもっともっと聴かせてあげるかしら~」
しかし、ここでタイムオーバー。青年は夢の世界から現実へと戻る時間になった。
「あ、ちょっと、待つかしら~!!」
そんな金糸雀の叫びなんかお構いなく、青年は目が覚めた。
そして、さっきまで金糸雀が演奏していたバイオリンソナタを、不思議な思いで五線紙に写し取った。


時は流れてみっちゃんのアパート。
休日のひと時にオーディオから流れるバイオリンソナタ。
みっちゃんは今日もご機嫌でカナと戯れている。
「む~、みっちゃん、その曲・・・かんべんして欲しいかしらぁ~」
「あら、カナこういう曲ダメだった?曲調がカナに似てたものだから……」
2人一緒にお菓子を作りながら、今日もラブラブな一日が過ぎてゆく。
「ねぇみっちゃん……みっちゃんは最初、カナと出会った時、どう思ったのかしら?」
幸せででろでろ状態なみっちゃんに、金糸雀は聞いてみた。
「んもう、天使が私の処にやって来たのかと思ったわ」
その答えに気を取り直した金糸雀は、過去の自分に言い聞かせるのだった。
「そうよね、あの時はどん底まで落ち込んだりしたけど、
結局、あのバイオリン弾きがカナの魅力にこれっぽっちも気付かなかっただけなのかしら!!」
金糸雀がチラッと目にしたそのCDは、今日では結構有名な曲として、その逸話と共に語り継がれている。
作曲者の名前はタルティーニ。
曲名は『悪魔のトリル』である。


353:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 15:28:22 AlzywCNV
投下乙です
つまり有名な曲で不吉なタイトルがついてるやつは
全てカナの曲がオリジナルだったんだよ!!
モーツアルトの『魔笛』とか


354:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 15:53:42 AP14NGrq
ローゼン復活記念として俺も何か書かざるを得ないな

355:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/20 20:02:16 OU31bnvZ
>>354
go-!

356:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/28 19:46:19 5aVgckPs
>>354
まだかな?
まだかな?

357:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/31 01:04:17 IgIoHOMf
一応、書いてみた・・・長くなりそうな予感

変な日本語だよ・・・どんどん指摘してくれ・・・

ローゼンは天才だった。自分が作るものには他を寄せ付けない魅力がある。
昔から自分でその才能を自覚していたし、周りにもその実力を高く評価してくれる人も、僅かではあるが居た。
だがその才能だけでは生きていけない。
天才でも金を儲け、飯を食わねば死ぬ。そしてドールを作るのにも、やはり金無くしては何も出来なかった。
だがローゼンには人形作りしかなかった。それ以外、何も出来なかったし、能力もやる気もなかった。
親には見捨てられ、身内には変人だと陰口を言われた。が、彼にとってそんなことどうでもよかった。
「ドール」これが彼の全てだから。だが、その異常な熱心さは次第に彼を一人にしていった。
世の中の愚民共はなかなかローゼンの作り出すドールの真の魅力を理解しようとしなかった。
もちろん、素晴らしいとよく褒め称えられるが、そもそも奴等の脳内ではドールはオモチャの域を超えなかった。
だから相当な評価を貰えない時が殆どだった。所詮、「オモチャ」だった。だれもそこから芸術性を見出そうとはしなかった。
ローゼン自身、別に誰かに理解して欲しいとは思ったことは無かったが、自分が作ったドールに相応だと思う値段を付けても誰も買おうとしなかった。皆口をそろえて高いと言った。
値を下げて売らざるを得ない。だから収入は少なかった。

彼は「作品」と「商品」を分けて考えていた。
作品は自分の全てをかけて作るものであり、彼自身のために作るものだ。
それに対して商品は、ただの資金集めのためのもの。だが彼は全ての商品にもそれなりの愛情は注いでいるたつもりだった。
いや、正確には「愛情」というより人形師としてのただの「プライド」なのかもしれない。

358:名無しさん@お腹いっぱい。
08/03/31 01:08:58 IgIoHOMf
最近のローゼンはひたすら「商品」作りに追われていた。「商品」を作らなければ収入も無く、作品を作る事が出来ない。
が、「商品」の制作費と生活費で収入の殆どが消えた。このままでは何も出来ないではないか。
そんなことで悩んでいたある日。
ふと街中を歩いていると、何やら人が集まっているのが目に入った。
ローゼンはそれが気になり、その人ごみを掻き分けて最前列に出た。
するとそこには、ピチピチのタキシードを着込んだ、中年中背中肉の男が一人、椅子に座り一体の人形を抱えていた。
何の変哲も無い人形だ。塗装ははみ出ているし、腕の関節の合いも最悪だった。隙間だらけだ。服も服だ。素人臭がプンプンする。
なにより致命的なのは、その人形には「生気」が感じられない。もはやそれは人の体を成していない。いわゆるゴミ同然の出来だ。
なのにこの人集りは何なのだ。ローゼンには理解出来なかった。彼は興味津々な目でその男と人形を見つめた。
「今日はお集まりいただき、有難うございます。」
男は突然立ち上がると、ハットを取り、頭を下げて観衆に適当な挨拶を述べた。
「では、はじまりはじまり。」男がそう言うと、拍手やら喋り声やらでざわついていた人々は一斉に静かになった。
そして、それは始まった。
「君がボクのパンを食べたのかい?」その男が人形に話しかけた。
すると人形がパクパクと口を開けて男に返した。
「いいや、僕じゃないよ」
「嘘だ。パン粉が口についてるじゃないか」と男。
「ギクリ。バレたぁ」と人形。
「はっはっはー。ひっかかったな」
ローゼンは驚いた。人形が主人と会話をしているではないか。
「こ、これは・・・魔法か何かの類か・・・・」ローゼンは思わずそう言った。すると横に居た観客の少年が言った。
「おじさんバカじゃね?腹話術だよ。」
「ふ、ふく・・・わじゅつ?」あまり世間と関わる事が無いローゼンにとってそれは初耳だった。
「うわまじかよ。」少年は信じられないという表情でローゼンをあざ笑った。
「あのね。あの人形は自分で喋ってるんじゃないんだ。あのおっさんが人形の代わりに、口を閉じて声を出してるんだよ。」
少年はそう説明すると、その男の方を指差した。そして言った。

359:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/01 22:43:46 XPOawt+o
wktk

360:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/05 19:38:35 WYX+PES6
続きまだー?

361:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/06 14:04:15 ghks4G75
かなり古くなるがケットシーさんの「あべこべろーぜんめいでん」の続きが読みたい・・・

KYすまん。



362:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/12 02:21:46 kjSzI2hV
つづきは?

363:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/12 02:46:33 bxkfeWxo
ち、ちょっと待ってくれすまん
学校とバイトが忙しすぐる
今日はもう寝る・・・

364:sage
08/04/12 09:44:03 7YuGF0pE
よし、続きはこうだ

少年はそう説明すると、その男の方を指差した。そして言った。
「君がぼくによって作られた人形であることと同じようにね」

そう、この物語の全てが寂しい少年の人形遊びだった。

365:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/16 14:09:40 4Wnm0NS0
みんな連載再開を確かめるまでは自粛してるのかな?

366:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/17 09:19:15 7PrhErVZ
まさかあんな展開にするとは…。
矛盾無く展開できるのかな>作者

367:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/17 11:14:59 SBG2nKWo
gdgdに終わらせたラスト無理矢理繋げるために
平行世界とか持ち出したんだろ

368:357
08/04/17 20:54:53 0QI4mQzQ
すまぬ・・・忙しすぎる
一応話はある程度考えてあるんだが、結構長くなりそうなんだ・・・
でもこのまま放置はしない・・・つもり。たぶん。

>>366
>>367
さんは俺に言ってるのかな?
俺は>>364じゃないよ

369:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/18 00:36:07 bXEtVn8I
>>368

つ今週号のYJ

370:名無しさん@お腹いっぱい。
08/04/30 01:01:33 TxnyYTLW
保守

371:Rozen Maiden LatztRegieren
08/05/02 00:52:53 uOez24ef
久しぶりです。Rozen Maiden LatztRegierenを書いた人です。

切なるお願いがあって今回書き込みました… よかったら手を貸していただけないかと。

いま、というより結構まえから、新しいローゼンSS「アリスゲームが終わったら」ってものを書いているのですが、
そこで、一緒に協力して書いてくれる人がいると嬉しいのです。というのは、やはり自分ひとり手だけで書いていると、
キャラクターの書き方にムラが出てしまうのです。つまり…、まあぶっちゃければ、気に入ってるドールの活躍する場面だけ
文がやたらすすんで、そうでないドールが活躍するときはやっつけ仕事みたいな文になっちゃうのです。

それぞれのドールのバランスが絶妙だからこその原作なので、SSを書くときに、こういう傾向があると展開がうまくいかなくなります。

自分が特に描写に苦戦しているドールは、雛苺、双子、金糸雀で、他はまあ生き生きとした(?)書き方はスラスラいけるんです…。
特に双子にまつわる話しがダメでダメで仕方がない…


なので、そういう部分の描写を、だれか、手伝ってもらえないでしょうか。
「アリスゲームが終わったら」は、相変わらずドアーズのジ・エンドが(以前よりも増して)テーマ曲みたいに登場していて、
LatztRegierenと似たような展開もありますが、話の規模じたいは、LatztRegierenの二倍か三倍くらいの大きさになると思います。
(量的には少なくなる。LatztRegierenは770kbだったが、今回は500kb前後で完成したい。現在の製作段階で129kbある)


もし、以下に書くようなストーリー設定のSSのなかで、自分なりに苺とか双子とか金を活躍させたい!というSS書きの方が
いらっしゃれば、是非是非協力お願いします。また、もうちょっとどういう話しになるか具体的に教えてくれ、
そうしたら考えるという人も、よかったらメールください。

372:Rozen Maiden LatztRegieren
08/05/02 00:54:51 uOez24ef
「アリスゲームが終わったら(When the Alice-Game’s over)」

・ストーリーは、アニメ二期の純粋な続き。前半はアニメ三期の予想みたいなSSになり、例によって第七ドールが
顔を出してきて、真紅達を追い詰めて、そして後半になると、いろいろとカオスになってくるという流れ。だと思う。

・話の規模はアリスゲームのうちにはとどまらない。(○○がアリスになった、アリスゲームとは○○だったんだ、
ジュンがヒキコモリを脱した、といったところで、話は終わらず、むしろそのへんは中盤の通過点にしたい)つまり…、
このSSで語りたいのは、アリスゲームが終わったら、ドールはどうなるんだという話や、アリスゲームを超えたところで起きる、
nのフィールドのとある事件なのだ。

・言ってしまえば、このSSは、第七ドール主人公の、雪華綺晶が視点の話になる。(しかしもちろん、雪華綺晶が雪華綺晶らしい
活躍をするには、他のドールの行動や心情があってこそだ)

・LatztRegierenは、結構ふざけたところがあったが、今回は真面目さを最後まで突き通したい…


ちょっと分かりにくいと思うので、次は具体例。このへんの描写で苦戦してる。。というものです。でも、こうなるとは限りません。

・雪華綺晶のあの手この手で惑わされる、真紅とか双子…の、反応!(原作のように絵画にピシっとなったりはしない。けれど、
雪華綺晶サイドのアイデアが肥大化しすぎて、真紅達がリアクションに困っている!)
・薔薇水晶とエンジュとか
・とにかく、双子(SSは、アニメ二期の続きがそうなるであろうように、蒼星石が眠ったままの状態からスタートする)
・その他、ジュンの家でワイワイやる系

373:Rozen Maiden LatztRegieren
08/05/02 00:57:09 uOez24ef
以下はSSの序章です。次のやつを呼んで、どんな感じの話か掴んでくれれば、嬉しいです。
興味持ってくれた方で、双子を活躍させたいぜ!という方や、また,きらきーならオレに任せろ!という方でも
構いません。よかったらメールください。くださった方には、おおまかなストーリーを公開して、後に自分の描写の苦戦している
部分をメールに張ってを送信して、相手に書いてもらって、それををまたこちらに送り返してもらえれば、と思っています。
どうかよろしくお願いします。

374:アリスゲームが終わったら
08/05/02 00:58:04 uOez24ef
phase 0 : 序章

アリスゲームは最終局面を迎えている。

でもこれは到底、お父様がかつて望んだような状況ではありません。
それはお父様が一番知っているはずでしょう。

貴方が私を破滅させるために用意された敵に対して、私の力は何の効力も発揮しないのです。
私の姉妹たちも,それぞれの判断で闘っているけれど,いまnのフィールドを支配する敵は,nのフィールドに自分の法則を
忘れさせるほどの力で,薔薇乙女の姉妹を散り散りにするのです。

私の人工精霊スーウィも,取るべき道が見つからずに,ただ,すぐ目の前に存在する強大な混沌に抗して,消え入りそうな
白い輝きを放っているだけ…。

薔薇乙女に許された時間は,もう尽きようとしています。
この破滅が終わったあと,伝説には再生が始まると耳にしていますが,伝説が本当かどうかは第七ドールの知り得る領域の圏外です。


最後に私が告げられる,お父様への永別の言葉は,私がさっきにも紅薔薇の第五ドールに告げたこの言葉の他には,何もありません。

「私はゲームの盤上を動くドールの駒を勝者の目で見てきた。いま,私はそれを敗者の目から見ている。
お父様の心が引き起こした恐怖が,すべてを破滅させるのも,きっとそれは運命なのでしょう………」

375:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/02 04:14:22 i96S97mw
なんだか面白そうな事になってるね。
自分は実力ないのでROM専だけど、期待しております。

376:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/02 11:42:52 +DV3KjNS
話がものすごく複雑そうですね
真紅たちの反応に困っていると言うと?

377:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/02 15:13:15 gN8Y+9HT
六神合体ローゼンメイデンとか言ったり。

378:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/02 21:52:50 78jkIFw/
しかし人の作品に手を入れるとかえって悪くなったりしないだろうか
多分破綻しちゃうんじゃないか?
返ってきた物をそのまま使うのではなく、ヒントや取っ掛かりにするってことかな

379:374
08/05/02 23:44:57 uOez24ef
ううむ,真紅たちの反応というのは、つまり、話しの中盤あたりかな、雪華綺晶が真紅達に喧嘩ふっかけにいくときに、
その雪華綺晶に対して、

真紅たち「(゜д゜)」

みたいな反応しかかけなくて、困ってしまう。原作とかの真紅様ならもっとたくましいリアクションと勇気を見せてくれるだろう…
というか…。

いわばリレー小説みたいにSSを創っていきたいと思っています。>>378さんのように、

>返ってきた物をそのまま使うのではなく、ヒントや取っ掛かりにするってことかな

ということもすると思います。
とある場面限りに至っては、ほとんど協力者側にまかせっきりにもなるかも。アバウトです。

また、こちらの考えたストーリーだけで相手に協力してもらうのも一方的なので、協力してくれる人の、

「こういう話を書いてみたいぜ」

という提案があれば、その設定の話が「アリスゲームに終わったら」に織り交ぜることができるかどうか、積極的に考えて見ますし、
むしろ、そういうほかの人のSSネタに飢えてます。(が、しかし、第七ドール関連に限っては、もうネタが満杯になりつつある。
銀と紅も、もう結構たくさん、たまってしまっているが、他はガラガラ!是非ストーリーを提供してくれ!)

一緒にストーリーを考えて大作SSを創り上げてゆきましょう。


メール待っています。
まだ他に疑問などもあればきいてください。

d3ck.ses1on.own@gmail.com

380:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/03 05:51:45 Q9DJLeV1
確かに氏の雪華綺晶は生き生きしてる印象。キャラへの愛あればこそなんだろうな。
やられっぱなしでしゃくにきた真紅達が、逆に罠を仕掛けて雪華綺晶を迎え撃つ…なんちって。

381:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/03 10:18:02 3pT7q2Jh
>>374
おいらは>>333とか短編を何作か投下してたけど
作風的に戦闘主体で長編はムリかなぁ。
あと残ってる弾は書く気の失せた>>112位しか今のところ無いし。

382:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/03 10:22:17 3pT7q2Jh
あれ、アンカーミス。
>>112じゃなくて>>121でした。
50年の時を越えて届いたラブソング。な話ね。

383:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/03 15:39:02 Sigb0wgZ
糞キムは出さない方がいいと思う

・もともとストーリーにいなくても何ら問題ない
・シリアスな雰囲気が壊れる・嫌われてる

こんなクズ出しても作品の質落とすだけだろうし

384:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/03 21:44:10 3pT7q2Jh
>>374
ヒントや取っ掛かりという意味では
こんなのどうかな??

URLリンク(www.nicovideo.jp)

385:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/03 22:47:36 qwZ6vIdJ
SSに限らず他人の作品を見るのはいい刺激になるな。Latzt作者氏じゃなくても、詰まってる書き手は
色々焦ってみるといいぞ。MADとか音楽伴ってるのは書きながらでも聴ける
「薔薇乙女の楽園」とかURLリンク(www.nicovideo.jp)とかは俺も昔書いてた頃は世話になった
最近でもないが、俺的に最近当たったのはこれURLリンク(www.nicovideo.jp)
あとは普通にアリプロ聴きまくった。劇中使われてる曲もそうでないのも
ただ、それだけでは「情景が浮かぶ」程度なんだよな。Latzt作者氏も音楽は聴きまくってそうだし
普通に手伝いたいが、俺も2年くらい一文も書けてないからなぁ

386:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/04 04:37:08 q/A5Q68i
リレー小説か、自分も某アニメのリレーに参加した事ありますよ。
何もかもが懐かしい・・・製本にまでなったもんなぁ・・・

老婆心ながら374さんに一言。
共同リレー小説は以下にお互いの思考や理解を文面で表すかが重要です。
そして次にリレーしてもらう相手に、状況を解ってもらう様な書き方も必要になってきます。
多分脚本書くのと同じでしょうね、感覚的に。
本格的にやりたいのならメールでのやり取りより、専用スレを立てたほうが
より色々な声も聞けるでしょうし打ち合わせもし易いんじゃないですか?
後、リレーでどんな展回にされても、それをある程度納得して
筋書き立てして行けるだけの気構えだけは持っておいたほうがいいですよ。
応援してますんで、焦らずに趣味としてやっていって下さい。
そうしないと持ちませんよ?

387:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/04 07:34:16 hrohZpzR
374氏がメイン脚本&シリーズ構成みたいなものか。

388:374
08/05/05 20:38:11 D4Jlt/bH
いろいろ悩みが発生して書き込みがおくれてしまった…

>>384さん>>385さん MAD紹介してくれてありがとう。動画のコメントとかみてると自分も頑張りたい気持ちになってくるよね。

(ついでですが、これは自分が前につくったMADです。かなり重症なMADですけど…。水銀燈のMADです。
URLリンク(www.nicovideo.jp)


話を戻すと…、正直じぶんもこういう試みは初めてなんでうまくいく自信はあまりありませぬ。
また、このSSのために専門スレ立てるのもちょっと恐縮…。あと、製作途中のSSや大まかなストーリーは、
協力してくれる人に見せたりするのは当然だけれども、そうでない人にまでまだあまり見せたくない気持ちも。
やっぱ、公開するときは完成SSをドンと載せたいというか。2chスレだと誰でも見れてしまうのが難。

かといって、いまのところ、ぶっちゃけメールが一通も届いてないという、悲しい事実も。
そこがちょっと悩んでいるところです。

でも、確かに、スレ立てすれば、割とやりやすいし色々な人がすぐ意見だせたりしますよね。
>>386さんの助言はおおいに参考になります。

あとは、確かにリレー形式みたいな感じでいければと書きましたが、他にもちょっと考えた形式があります。
それが、自分のかいたSSをばっと見せて、それを協力者に、どんどん修正してもらったり勝手な話を付け足してもらったり
という形です。

ただ、やっぱり断らなければならなさそうだなと思うことは、ちょっと自分のわがままが強めになりかねない予想がされる
ということ…というのは、ストーリーは大まかに決まっていて、こればっかりは、あまりは壊したくないんですよね。
つっても、その決まっているという部分は、雪とか銀とか紅で、ほぼ双子とか苺はぜんぜんフリーですが。(金は少し決まってる)
もちろん雪とか銀とか紅に関する話のアイデアでも、ストーリーとズレが大きくなければ、普通に導入を考えますが、
そうでないときは、ちょっとわがまま発動するかもという断りを…させていただければと。まあじゃあそのストーリーはなんだ、
ってなって、それを教えなければなかなか話しも始まりにくいのかもしれませんね。あと他にありえるパターンとして、
考えていたストーリーとはズレちゃうけれども、そっちの話のほうが普通に面白そうなので、急遽そっちに路線変更!
なんてのもありそうで、ほんと、予想できない。しかも、せっかく路線変更したのに、ふと気が変わって、やっぱり元に
戻そうというのも起こりうる。まさに脚本つくりあれこれという感じですね。

結論をいうと、悩んでいます。どうすればいいのだろうか。
ただ言えることは、やはり、このまま自分一人だけで書くと、かたよったSSになっちゃうよ。:p

特定の人だけで会話を交し合える掲示板みたいなところがあればちょっと理想的だけど、そんなところ、誰もこなさそうだよね。
2chにしろよ、みたいなね…


もし、どっかのスレで打ち合うのだとすれば、

1.SS全体のストーリーを教えて、協力してくれる人がいるかどうか確認する
2.ストーリーは章ごと12話に分けてある。一話ごとのおおまかなストーリーの流れを話し合いで決める
3.実際にみんなで書いてみる
4.自分一人で最終調整(→2あたりにくり返し)

といった流れでしょうか。まあ実際やってみなきゃ何起こるかわからんですけどね。

389:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/06 05:09:31 1+z/DEqA
それ用のブログでも作ってみては?

390:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/09 01:04:31 QGcevZvR
まぁ確かに、実際に作品を見てみないことには何とも言えない。>>374氏、メールさせて頂きました。
何かそれっぽいのがそうです。しかしこのGmailとやら容量ウハウハwww

391:374
08/05/10 11:38:21 Gfr7jHLn
>>390
ありがとうございます!
さっそく返信の内容を考えさせてもっています。

392:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/12 20:08:22 OSnl6E/B
もうメールのやり取りしてるのかな?何か展開あった?
しかし連載始まったってのにいまいち活気が感じられんな

393:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/13 17:35:38 VRRvB2jV
やりとりも見てみたい。

394:390
08/05/13 22:57:03 DDUdpc4u
>>374氏は今本編書いてる途中と思われるので自分が勝手に言ってしまおう。
既にメールのやりとりしてます。ストーリーの要約など頂いて本格的に動き始めた感じです。
メールの内容はネタバレ臭くなるので晒すのはやめた方がよさ気。
SSが入ってるわけじゃないからスレ違いになるし。
出来上がるのもまだ先になると思うし、それまでは忘れてた方がいいかと。

えーと、あと>>374氏の作品に他の人間の手が入るってことで、>>374氏の世界が壊れちゃうんじゃないかと
不安な人もいると思いますが、自分はちょっと添え物させてもらうくらいで、書かれるのは氏の物語です。
ストーリーや世界観が変わることは多分ないから心配はいらないです。それじゃうざがられる前に帰る。

395:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/15 23:36:40 EjF23Aoy
>>392
連載も本格化するまではな。今くらいのペースで投下があれば充分だろう
本スレの方は賑わってるから行ってみれ

>>394
おk期待

396:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/17 14:19:51 758dKE05
書くなら自分のHPでやってくれ
延々とスレに投下されると他の作者がいなくなる

397:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/18 01:08:29 HYZS0nWH
キム信者乙

398:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/26 00:00:01 4yrBEIOj
保っ守

399:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/31 00:09:21 7NmpSUA5
いつのか忘れたが、JUNと真紅が秋葉原に行くSSが面白かった

400:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/31 02:59:04 m6mf+STV
………めぐも………
・ベットを起こして窓を見ながら歌を歌っているめぐ
・看護士がめぐに郵便袋を渡す
看護士「めぐちゃんに宅配便よ」
めぐ「ありがとう」

・看護士が立ち去り
・水銀燈が姿を表す
・宅配袋から2冊の本を取り出すめぐ
水銀燈「珍しい。外の世界に興味をもったの」
めぐ「ううん。新装版ローゼンメイデンがでるって聞いたから、お父様に頼んだの」

水銀燈「新装版、ローゼン、メイデン?」
めぐ「ええ、だって私は水銀燈のミーディアムだもの」
水銀燈「全く、私は貴方をミーディアムだなんて認めたわけじゃ…」
めぐ「見て!一巻は天使さんが表紙よ」
水銀燈「えっ、どれどれ?やだぁ、二巻は金糸雀じゃないのよぉ」

・二人とも読み続ける
めぐ「私も少し載ってるわ!水銀燈のミーディアムですものね!」
水銀燈「だから、私は認めてないんだから」
めぐ「額装イラスト、欲しいなぁ(ボソッ)」

・その場を何も言わず立ち去る水銀燈

水銀燈の心情「めぐのためなら」

401:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/31 03:01:23 m6mf+STV
そんなこんなで新装版ローゼンメイデンを買った人を次々に襲っては、本を奪って行く水銀燈。
こんなんでアリスゲームが開始されます☆

皆さんに比べて、とても稚拙で単純なストーリーだと思います。
私自身、トピが独占化されてるようで不快に思ってました。
けれども、トピ主さんが独りなのが可哀相に感じたので悩んだ末、
勇気だして、稚拙な文章を書かせて頂きました。
皆さんも、この趣旨に沿った小説やコメント、
批評、賛否や苦情を書かれては如何でしょうか?
ストーリーでなくても趣旨にあってれば良いと思うので。
もっと皆さんが意見交換出来れば良いと、私個人は思います。

402:名無しさん@お腹いっぱい。
08/05/31 08:33:21 us++uNGt
色んな意味で話が見えない

403:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/02 11:59:01 8SV2V7xN
ローゼンとクロス物でオススメは?

404:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/04 18:27:22 FMG8pm4k
水銀燈と衛宮士郎の組み合わせってのがあったなぁ<クロス

405:オリ設定で投下。NGワード 「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/09 22:23:21 2ti3jiZF
「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
毎号3,480円 創刊号は特別価格1万円。
うん、あれだ。
創刊号が馬鹿高いけどディアゴスティーニとかそんな感じの週刊誌?だ。
毎週パーツ付の本が発売され、それを全巻コンプリートすると鞄付の水銀燈が完成するという代物。
当然俺は買い始めたが、後少しで全て揃うという時になって休刊しやがった。
多分何かの…いや、かなりの確立で金糸雀の仕業だ。
残りが鞄だけという所でぱったり休刊になる所から考えても、ヘッポコ策士の仕業に違いあるまい。

まあ、

そ ん な 事 は

ど う で も い い。

だって鞄以外は全部揃ってるんだもん。
では、早速組み立てましょうかね…。

406:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/09 22:23:49 2ti3jiZF
…えーと、記念すべき創刊号は…と…。
ふんふん…ドールの紹介を書いたうっすいテキストとローザミスティカだけ、か…。
これで1万円はお買い得なのだろうか、うーむ…。
とりあえず散財して7冊買ったが…いきなりローザミスティカ揃ったらどーなるんだ??
やる事無いのでローザミスティカを真空パックから出してみる。
と、同時に光り輝き始めるそれ。
…キラキラしててお世辞抜きに綺麗だな、これは…。
2号のゼンマイネジと組み合わせてペンダントとしてもお勧め…か…。
商売上手だな。2号は1冊しか買ってないけど。

407:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/09 22:24:12 2ti3jiZF
さて、3号は服…の、一部。
そこから30号の辺りまでずーっと、服。
いや、訂正。
たまに髪の毛(一部)とか目(右目だけ)とかも入ってるな。
しかし、7号の針と糸だけってのは、切ない物が、ある。
ンでもってその針と糸でドレスとかをチクチク縫っていくのは更に切ない物があった。
そして切ない上に当然疲れる。
ので、カボパン完成した時点で今日はお休みなさい。

408:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/09 22:24:37 2ti3jiZF
「Zzzzzzz…」
『………ココハ………』
「…ムニャ…助けて銀様…」
『…………………フフッ…オヤスミナサァイ』
「Zzzzzzz…」
『…デモ…イビキウルサイワァ…』

409:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/10 00:01:24 k0uWbU38
投下していいですか?

410:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです
08/06/10 00:07:23 G1+8RS2T

ねぇ、メグ

歌ってくれない?

ねぇ、メグ

髪をとかして頂戴

ねぇ

メグ・・・・・・

411:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです
08/06/10 00:11:31 G1+8RS2T


深夜

寝静まった病院の一室

窓を開けて歌う
一人の少女、メグ

『今日は来てくれないのかな、』

メグは歌うのをやめて呟いた

『あらぁ、歌やめちゃったの?』

気がつくと窓の外には
漆黒の翼を持った天使
水銀燈がいた

『水銀燈、今日は来てくれないかと思った』

嬉しそうにメグは言った

『そろそろ貴女が寂しがる頃だと思って来てあげたのよ』

病室の窓に腰掛けて
水銀燈は答えた


412:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです
08/06/10 00:13:45 G1+8RS2T

『ねぇ、髪をとかせてくれない?』

メグは窓の外を見ている
水銀燈に言った

『いいわよ、別に』

最初の方は嫌がっていたりもしたが
最近ではメグがとかしたいと言えば素直に応じるようになった


『ねぇ水銀燈』

髪をとかしながら水銀燈に話し掛ける

『どうしたの、メグ?』

『貴女の髪、とっても綺麗ね、まるでお月様の光をそのまま髪にしたみたい』

うっとりしたように
水銀燈の髪をとかすメグ

『貴女の長い黒髪も綺麗よ、きっと私が似合うような髪は自分の髪以外は、貴女の髪だけよ、』

水銀燈の細い指が
そっと、メグの髪を撫でる

『貴女に誉められるなんて、明日は雪でも降るかもしれないわね、』

メグがそう答えると

『フフフ、最近は言うようになったじゃなぁい』

と感心する水銀燈




夜が明ける

『また来るわぁ』

そう言い残し、水銀燈は
飛び去っていった

413:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです
08/06/10 00:16:31 G1+8RS2T

その日の夜


『こんばんわぁ、メグ』

水銀燈が病室に入ると
メグはいなかった



次の日も


その次の日も


しばらくたったある日
いつもの様に
夜、病室に行くと静かに
眠っているメグが居た

そっと、隣に腰を掛ける

そして言葉を失った


414:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです
08/06/10 00:19:46 G1+8RS2T

メグの病気はもう、
メグの生命を食い荒らし終わり
メグの体は最後の時を迎えようとしていた。

『ねぇ、メグ・・・』

聞こえるか聞こえないか
解らないくらいの小さな声


『貴女は私が来るといつも歌ってくれたわよねぇ』

震えた声は
徐々に大きくなる

『ねぇ、歌って頂戴、せっかく来たのに、寝たままなんてひどいんじゃない?』

水銀燈の瞳から一滴

大粒の涙が零れた

415:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/10 01:44:10 ulsfsmZ9
泣いた

416:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/10 01:53:08 zRUER3ap
>>405
糞キム死ね

417:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです
08/06/10 06:34:42 G1+8RS2T

夜の病室に水銀燈の
声だけが響く


水銀燈の声に気付いたのか
目を覚ますメグ

『どうしたの、水銀燈?そんなに悲しい顔しないで』

『メグ・・・』

水銀燈普段と変わらない態度のメグを見て
胸が締め付けられるようだった


418:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです
08/06/10 06:37:21 G1+8RS2T

『メグ、ダイジョブなの?』

水銀燈は冷静さを
保とうと必死だった

少しでも気を緩めたら
溢れだしそうだったから


『ねぇメグ、せっかく私が来てあげたのに髪もとかしてくれないの?』

普通を装うが、
それも限界に近かった

『ごめんなさい、水銀燈
少し体調が悪くって、』

メグは体を起こし、
弱々しく微笑んだ


『貴女が体調悪いのなんていつもの事じゃない、それより髪をとかしてくれない?何だか今日は貴女の傍にいたい気分なのよ』

そう言って水銀燈はメグの体に寄り添った


419:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです
08/06/10 06:41:24 G1+8RS2T

髪をとかしながらメグは言った

『ねぇ水銀燈、覚えてる?この前貴女、私の髪の事誉めてくれたわよね、すっごく嬉しかったわ』

本当に嬉しそうにメグは言った

『覚えてるわぁ、だってそれぐらい貴女の髪も綺麗だから・・・』

普通の会話をしてるだけでももう駄目だった、
大粒の涙が水銀燈の頬をつたって零れ落ち、
ベッドのシーツに涙の跡が何個もつくる


『そんなことより、ねぇ、歌ってくれない?貴女の歌
私けっこう好きなのよ?』

髪をとかされている間
水銀燈はメグの歌に聞き入っていた。


420:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです
08/06/10 06:56:10 G1+8RS2T


夜が明ける頃、メグは水銀燈にある話をした

『力を使いすぎると指輪に取り込まれちゃうって本当?』

メグの質問に水銀燈は
ぶっきらぼうに答える

『えぇそうよ、指輪に取り込まれ、最後にはドールと一つになる、』

メグの質問の先にある言葉に想像がつき胸が締め付けるような感覚になった


『じゃあ、私がもし死んじゃいそうになったら、水銀燈、貴女に力を使いきってほしいなぁ、そしたらずっと貴女と居れるでしょう?』

『何言ってるの?まるで今すぐ死んじゃうみたいな言い方しないでよ、縁起悪いわぁ、それに貴女を取り込んだりしたら私まで病弱になりそうだもの、』

水銀燈が冗談として流そうとすると

『お願い、たぶん・・・最後の、』

あまりにも真剣なメグの態度に思わず

『わかったわよぉ、でも、もし死にそうになったらよ?貴女はまだまだ死なないわぁ』

それは、メグに言ってるというより
自分に言い聞かせるための言葉だった


『なら嬉しいわ、最近は水銀燈が来てくれるから生きてるって楽しいって久しぶりに思えたから・・・』







翌日

メグの容体はやはり急変した

421:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです
08/06/10 07:45:00 G1+8RS2T



『メグ!!』

水銀燈が病室に入ると
メグはにっこり笑った

『じゃあ、よろしくね』

メグはそれだけ言って目を閉じた


もう助からない、
水銀燈ははっきりと感じた

『メグ、』

一言呟いたあと、
水銀燈は大きく翼を広げた


水銀燈は外に出て
がむしゃらに力を使った


まわりの景色が涙で歪んでいく
それと対照的に
メグと過ごした日々は
鮮明に思い出される


徐々に指輪から
送られてくる力が弱まってくるのを感じ、
水銀燈は思わずメグの名前を何度も呟いた

『メグ、』
最初は聞こえるかどうか
わからないような
小さな呟き

『メグ』
だんだん名前を呼ぶ声は大きくなる


『メグッッ!!』
最後には悲鳴の様な
悲痛な叫び声に変わっていった

涙で何も見えなくなり
水銀燈は泣き崩れた

意識が薄れていくなか

『ありがとう、水銀燈』

メグの声が確かに聞こえた気がした。


422:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようです 終
08/06/10 07:47:36 G1+8RS2T



次の日


『しってる?○○○号室の患者さん失踪したらしいわよ』


『知ってるわ、前からちょっと変な子だとは思ってたけどまさか失踪するとはねぇ、』







確かに貴女は、私と一緒になったのかもしれない



貴女は、本当にこれで良かったのかも知れない

でも私は・・・

でも、貴女の歌声は、
私はもう聞けない


貴女に髪をとかしてもらうことも

胸(ここ)に居るなら答えてくれてもいいんじゃなぁい

ねぇ、


メグ





水銀燈は
病院の屋上で呟いた


寂しげな秋の風が
水銀燈のいぜんより少し長くなった

綺麗な黒い髪を揺らした





423:どうやら水銀燈の髪が黒くなったようですww
08/06/10 07:50:05 G1+8RS2T
悲劇っぽく真面目に書いた
反動で書いちまったwww
悲劇の良い話で終わりたいなら
読まない事をオヌヌメする











~舞台裏~

銀『髪染めたり今回は大変だったわぁ』

『お疲れさま水銀燈、』


銀『いや~貴女死んじゃったわねぇwww』

メグ『確かにアニメでも原作でも弱ってたけど殺すことないわよね』


銀『乳酸菌とれば一発で生き返ったのにねぇ』

メグ『ならそのヤクルト頂戴、』

銀『それとこれとは話が別よぉ、』


メグ『ちょーだいちょーだいちょーだいちょーだい!』

銀『わかったから駄々こねるのやめなさい!』

メグ『やった~』



ちょきん


ぱたん


すとん




『悲劇だけじゃ悲しいものねぇ』



おしまい

424:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/10 12:32:13 G1+8RS2T
保守

425:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/10 13:24:51 ulsfsmZ9
舞台裏ひでぇw

426:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/10 19:00:49 d4hJkCFt
鞄以外は揃った「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
重要パーツ(ローザミスティカ等)は当然複数購入して万一にも備えている
一週間、仕事で疲れた体に鞭打って裁縫した結果、何とか服は出来た。
31号はお腹のパーツ…だけ。
…念のために3個買った:けど…これだけでどーしろと言うのだろうか…。
やる事も無いので理解に苦しみつつ32号の胸へと進む。
うむ、やはり胸は“ぽんよぽんよ”と柔らかい。
一時ほど弾力を楽しんだ後、33号のお尻へ。
これまた柔らかい。
仮組みと称して重ねてみる。
うむ、ナイスバデー。

427:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/10 19:01:29 d4hJkCFt
その後、腕や足の身体パーツに混じって人工精霊の申し込み用紙が…。
申し込み用紙が…入ってました…有効期限が2ヶ月前に切れてる申し込み用紙が…。
…ごめんよ、水銀燈…そしてメイメイ…。
今日はもう寝ます。
失意のまま、寝ます。
水銀燈の現状は…。
胴体手足=パーツ揃うもガランドウ。
服   =一応完成。ハンガーに掛けてる。
それ以外=ほぼ手付かず。
人工精霊=俺のポカミスのお陰で無し。
…馬鹿馬鹿、俺の馬鹿…。
枕元に輝くローザミスティカを見つつ失意のまま今日はもう寝る。

428:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/10 19:01:54 d4hJkCFt
「うーん…銀様…鞭はダメェ…ムニャムニャ…」
『…ヤク…早く…リナサイョォ、コノ…』
「ムニャ…銀様ゴメンナサイ…グー…」
『…ドンナ…ゲンガマス…ナルノカ…』
「Zzzzzzz…」
『…キョウモイビキウルサイワァ』

429:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/11 11:00:13 IgInv+10
鞄と人工精霊以外は揃った「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
重要パーツ(ローザミスティカやお腹等)は当然複数購入して万一にも備えた。
いや、正確に言うなら2体は確実に作れる。
俺の体持たないと思うから作りはしないけど。
一週間の摺り合わせの結果、何とか本体は説明書通りに出来た。
次は中身(生命の糸含む)だ。
3,480円払って歯車一個とかマジ勘弁して。
まあ、綺麗な彫刻に…金メッキか?
とにかくそれ単体でも溜息出るほど綺麗だけどさ…。

430:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/11 11:01:00 IgInv+10
何とかギアボックス1を完成させ、胸部分にはめ込む
生命の糸を滑車などを介して肩からダラン。
次はギアボックス2。
これまたネジ一個とかマジ殺す。
やっとの思いで完成させてお腹に(ry
その次はやっぱりギアボックス3。
デアゴ商法にいらいらしつつお尻に(ry
生命の糸は太ももの球体間接が収まる所からダラン。
時計みたいに小さい部品ばっかりが連続で続いたので疲労と怒りがピーク
今日は胴体完成したところでお休みなさい。

431:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/11 11:01:34 IgInv+10
「ムニャ…うーん…ネジはイヤァァァ…ムニャムニャ…」
『…順調に…進んでるのかしら…』
「ムニャ…銀様歯車のメイメイマジ止めて…」
『…ふふっ…かなり、楽しみねぇ…』
「Zzzzzzz…」
『…このイビキにもだいぶ慣れたわぁ』

432:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/11 19:28:50 J4mgTRuM
ここって桃種の漫画版Rozen Maidenの
二次創作SSを投下してもいいんでしょうか?
アニメ版のストーリーに即したSSじゃないとダメですか?

433:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/11 19:34:34 J4mgTRuM
ここって桃種の漫画版Rozen Maidenの
二次創作SSを投下してもいいんでしょうか?
アニメ版のストーリーに即したSSじゃないとダメですか?

434:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/11 22:49:54 J4mgTRuM
二重投稿してすみません…orz

435:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/11 23:11:19 H/2kdCWJ
別にいいと思うぞ
確か過疎だったから統合したんじゃなかったっけ
よく覚えてないが

436:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/13 19:39:03 AS6Hk+vP
鞄と人工精霊以外は揃った「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
いよいよ今回で完成だ。
お約束のように複数冊を組み合わせて植毛し、目を入れてヘッド完成。
胸、お腹、お尻を組み合わせ、生命の糸を繋げる。
繋がった生命の糸を更に手や足へ繋げる。
そして余った生命の糸を翼取り付け部分から出し、
目立たないように切って…。

「よし!マイ水銀燈完成!!」

437:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/13 19:39:27 AS6Hk+vP
いや、完成ではない。
正確には完成と言うべきではない。
だってローザミスティカ、まだ水銀燈の体外にあるもん。
それに服着せてないし。
しかし、時刻は午前1時。
お仕事今日の午前7時30分から。
更に付け加えると明日は日曜でお仕事お休み。
ちょっと勿体無いけど起動は日曜にして、お休みなさい。

438:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/13 19:39:53 AS6Hk+vP
「ムニャ…銀様銀様…ムニャムニャ…」
『やっと、完成ねぇ…』
「ムニャ…銀様と…アハーン♪」
『…マエストロとまでは行かないけど中々だったわよぉ?』
「Zzzzzzz…」
『…よろしくねぇ、イビキの大きなマスターさぁん』

439:432
08/06/14 13:58:52 ohTRqW2J
>>435
どうもです。
書きあがったら投下させてもらいます。

440:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/14 19:41:43 Ift/qAUQ
鞄と人工精霊以外は揃った「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
いよいよ飾りっぱなしだったローザミスティカその1を水銀燈に入れる。
…をを、吸い込まれるよーに入って行く。
次にペンダントの役目から開放されたネジを背中のネジ穴に突っ込んで…。

キリキリキリ…。

をを、説明書のように巻かなくても巻かれて行く。

…キリキリキリ。

緩慢に起きる水銀燈はしかし、俺をじっと見て、言った。

「…ドレス、先に着せなさいよぉ…」

441:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/14 19:42:21 Ift/qAUQ
俺はその願いを無視し、水銀燈を後ろから抱きしめた!
「ち、ちょっといきなり何するのよお馬鹿さぁん!」
ぢたばた暴れる水銀燈を無視してモフモフ。
ひんやりしたボディがゆっくりと温まっていくのを堪能する。
「銀ちゃんマジ暖ったけーwww翼もフワフワ、マジたまんねーwwwwww」
「…い、いいから放しなさいよぉ!」
嬉しさのあまり芝を生やす俺。
動き始めたローザミスティカに戸惑っているのか真っ赤っかな水銀燈。
むふー…耳の先から足の小指までほんのりピンク色なのは何かこう…。

そ そ り ま す な 。

「…い、いいから…そ、そろそろ放しなさいよぉ…」

や だ 。

442:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/14 19:42:45 Ift/qAUQ
結局30分位モフり続けた結果、水銀燈はゼンマイが切れたのか、真っ赤になってダウン。
俺はこの隙にとドレスを着せる事にした。
ではまずカボパンからなんだけど…何この背徳感…。
とてつもなく悪い事しているようでドキドキしますぞ!?
越えてはいけない一線を越えてしまいそうでワクワクしますぞ!?

『…そのために…私を買ったんじゃないのぉ?』

…ぬ?
何?この声。
この声、何?
頭に…っつーか心に響くこの声何?

『いい加減気付きなさいよぉ…このお馬鹿さぁん…』

443:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/15 21:34:10 4aZ80sLu
「あー、やっぱりお前かー…」
ドレスを着せている手を止め、動かない水銀燈を見つつ言う俺。
『…やっぱりって何よぉ…』
動かないはずなんだけどちょっと機嫌が悪くなったように見える水銀燈の声が頭に響く。
よーし、そんなに可愛いんだから拗ねるな拗ねるな。
『拗ねてなんか無いわよぉ…』
あらまあ…何か照れて困って赤面してませんか?水銀燈さんや…。
『…そ、それはぁ…あ、貴方がお馬鹿さん過ぎるからよぉ!?』
まあとにかく服をちゃんと着せましょうかね。
下着だけってのは刺激強過ぎるし。

444:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/15 21:35:03 4aZ80sLu
ドレスを着せ終えた水銀燈を見る。
まずはとっても綺麗な顔。
ほんのりピンク色。
うむ、キスしたい。
ペロペロ頬を舐めまわしたい。
『…お、お馬鹿さぁん…』
次はボディ+ドレス。
流石は薔薇乙女。
どこに出しても恥ずかしくないボディラインにゴシック調ドレスが良く映える。
さっきはこのボディを抱きしめてたんだよなぁ…。
まだ足りん!もっと抱きしめさせろ!!
『…は、恥ずかしいじゃないのよぉ!』

445:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/15 21:35:35 4aZ80sLu
翼+手足。
そんなに大きくない翼は飛べそうに無いけどとってもラブリー。
細っこい手足もとってもキュート。
差し出されたら手と言わず足と言わず全身にキスしたい。
そしてそのまま抱きしめたい。
…今回は言わないの?
『…お、お馬鹿さぁん!貴方が恥ずかしい事ばっかり思うから混乱しちゃったのよぉ!!』
そして心!
間違う事無き純真無垢な乙女!!
気高き騎士の如き精神と純情可憐な少女が同居するはこの世の至宝!!
ビバ、マイラブスイート水銀燈!!
『…い、幾ら何でもそれは褒め過ぎよぉ…』

446:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/15 22:09:52 d0qOH5ua
妄想爆発ワロタ

447:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/16 22:33:00 ApDHDmLr
まあ、それはさて置きドレス着せ終わったし再起動しましょうかねぇ…。
さて、…と…ネジどこへやったっけ?
『…い、今は巻かないでよぉ?』
何故?
『…あ、貴方が恥ずかしい事ばっかり言うから…。
 あ、貴方の事まともに見れなくなっちゃってるのよぉ…』
そんなもん当然、無視します。
『馬鹿馬鹿馬鹿馬鹿!このお馬鹿ぁあああぁぁぁーっ!!』

448:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/16 22:33:23 ApDHDmLr
何やら喚き声が頭の中に響くがそれを無視して水銀燈を抱き上げ背中の穴にネジをインサート。
キリキリ…と自動巻きされるはずだけど何故か動かない。
さては組むの失敗してジャンクになっちゃった!?
『誰がジャンクよこのお馬鹿ぁ!恥ずかしいから動きたくないのよぉ!!』
何この我侭。
俺は貴方をそんな風に育てた覚えは無い。
育てられた覚えも無いだろうけどやっぱりそんなの関係無い。
巻き巻き…巻き巻き…。
…そう言えば俺の事見れないって言ってたよな?
見なくて済むよう後ろから抱きかかえて巻き巻き…巻き巻き…。
うっはwww水銀燈の胸マジやーらけーwwwwww
興奮して芝を生やしつつ巻き巻き巻き巻き…。

449:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/16 22:33:45 ApDHDmLr
『…貴方って本当にお馬鹿さんよねぇ…感心しちゃうわ…』
巻き終わってるんだから喋れ。横着するな。
『だからぁ…その…恥ずかしい…っての…理解できる?』
勿論。
だったら…とか響きだす声を無視して思う。

そんなお前も大好きだ。

…?
おや?
…何か…変ですぞ?
反応が無くなりましたぞ!?
緊急事態発生ですぞ!!

450:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/16 22:34:50 ApDHDmLr
>>446
Youも妄想炸裂しちゃいなYo!!

451:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/17 19:04:36 366vH3Ry
姉さん!緊急事態です!!
「…は、恥ずかしすぎてどうしていいか分からなくなっただけよぉ!」
おお、再起動成功!
「まったく、このお馬鹿さんは本当に…」
よしよし、膨れるな。綺麗な顔が台無し台無し。
そう思いつつ頭を撫でてるとしばらく固まった後、膝の上に座りましたぞ?
「本当に、貴方ってばお馬鹿さんねぇ…良い意味、悪い意味両方で…」
溜息を吐きながら俺に体を委ねる水銀燈。
俺はそんな彼女の頭を再び撫で撫で。
「ねえ…」
ん?

452:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/17 19:05:16 366vH3Ry
「…どうして私を…買ったの?」
それは当然聞かれると思ってた。
だから用意していた事を言う。
「まあ、いろいろあるけど綺麗なお人形…ってのが一番目。
 二番目はその人形が自分の意志で喋って動くから」
「綺麗なのは当然としてぇ…本当にそれだけで買ったの?
 他に隠してる事あるんでしょ?人には言えないコトしたいとかぁ…」
即聞き返してくる水銀燈。
しかし悲しいかな、彼女の期待に沿うような事は全くこれっぽっちも考えてない。マジで。
でも、そう言っても水銀燈の目にはますます疑惑の色が膨らむわけで。
人には言えないコト=エッチなコト=ぶっちゃけ性交渉したい…と言って欲しそうな顔してるわけで。

453:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/17 19:06:02 366vH3Ry
「お、おおおおお馬鹿さぁんッ!誰もそんな事思っちゃいないわよぉッ!!」
切れられたので逆に聞く。
じゃあ、どう答えて欲しかったの?
そしたら水銀燈、真っ赤になって再び無反応。
…乙女心は複雑だね…。

454:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/17 19:07:48 366vH3Ry
再び固まった水銀燈を後ろから抱きしめて椅子に座る。
外を見る。
馬鹿みたいに良い天気。
よっぽどの馬鹿以外はお外ではしゃぎたくなるほどの良い天気だ。
ひとしきり田圃なぞを眺め終えたので膝の上に座りこちらを見ている水銀燈を一撫で。
「…俺が水銀燈を買った本当の理由は人を信じる事が出来ないからなんだ」
「…人を信じる事が出来ない?…何それ…馬鹿みたぁい…」
人を信じる事すら出来ないのに、人形を信じれるのか?
そう言いたげな水銀燈に苦笑する。
「…俺…小学校の時にさ…スケープゴートで晒し者にされたんだ…。
 スカート捲りを流行らせた真犯人として…俺は全く係無いのに…さ…」

455:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/17 19:09:42 366vH3Ry
「はぁ!?何それ!?貴方って本当のお馬鹿さんね!違うなら違うって言えばいいじゃないのよ!
 黙って嘘の罪を受け入れるのが格好良いとでも思ってるのぉ!?貴方って本当に最低の馬鹿ね!!」
…と、何故か激怒して剣を振り回してる水銀燈に苦笑い。
彼女は俺が苦笑いしたのに怒って更にヒートアップ。
…本当に純真だねぇ、この子ってば…。
「何ヘラヘラ笑ってるのよぉ!?真面目に答えなさいよぉ!!」
「いや、違うって言っても俺、その先生に嫌われてたし…。
 それに、小学生が夜遅くまで職員室に一人立たされて…。
 挙句の果てにぶん殴られてまで抵抗できる訳無いじゃないか」
「それでも違うなら違うって言いなさいよぉ!」
「じゃあ、逆に聞くけどさっき俺が抱きしめた時…何で本気で抵抗しなかったの?」
気楽に聞いた。
そして俺は後悔した。
この時の水銀燈の表情の変化を記録する術を持ってなかった事に。

456:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/17 19:10:12 366vH3Ry
「だ、だってほらぁ…あれよぉ?…マスター…ううん…あの、そのぉ…。
 …み、みみみミーディアムになるかもしれない人間、傷付ける訳には行かないじゃなぁい…」
ほんにもーこん子はめんこいのぅ…。
再び抱きしめて頭撫で撫で。
「な、何するのよぉ…話はまだ終わってないわよぉ…」
「小学生にとっちゃ先生ってミーディアム…いや、親みたいなもんなんだ。
 だからそいつがどんな奴でも黒と言ったら黒。白と言ったら白」
「貴方ってば本当にお馬鹿さんねぇ…」
ため息を吐いて苦笑する水銀燈に微笑み、言う。
「そんな事が繰り返しあったんで人を信じる事が出来なくなりました。
 でも、それでは寂しいのでずっと信じる事が出来る何かを探していました」

457:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/17 19:10:48 366vH3Ry
言い終わった俺を水銀燈は真剣な目で見、口を開く。
「だから、この水銀燈をずっと信じたい…貴方はそれを本気で言っているのね?」
「もちろん」
肯く俺に水銀燈は溜息を吐いた後、最高の笑顔を見せてくれた。
「私は週刊ローゼンメイデンシリーズの第1ドール、水銀燈。これからよろしくねぇ「」」
「こちらこそ。よろしく、水銀燈」
俺は水銀燈が差し出した手を優しく握った。

458:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/18 01:08:40 piOYwCvN
>>450
俺には出来ねーぜ!Yeah!
そしてちょっと予想外の展開にビビったZe!

459:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/22 17:45:58 VwHpu/3z
「まあ、それはそれでさて置き…」
握った手を離した瞬間、水銀燈から笑顔が消えた。
あれ?俺達良い雰囲気じゃなかった?
「…メイメイが居ないのは知ってるけどぉ…鞄は…どこぉ?」
「無い」
即答する俺に水銀燈は目をパチクリさせた。
「…え、えっとぉ…銀ちゃんよく聞こえなかったわぁ…」
「もう一度言うけど、無い。鞄が…」
始まる時に休刊になった。
それを言う事は出来なかった。
水銀燈が先ほど振り回してた剣の切っ先を俺の首に押し付けたからだ。

460:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/22 17:46:23 VwHpu/3z
「あ、貴方って本当にお馬鹿さぁんッ!
 いったい私にどこで寝ろって言うのよぉッ!!」
言われて考えてみる。
布団。
水銀燈に手を付ける前日、寂しいからと飼い犬(黒レト)を抱いて寝たので毛だらけ。
ここに寝かせようものならドレスが酷い事になるのは目に見えてるので却下。
椅子。
一応埃等は積もってないけどこれで寝るのは無理。
水銀燈がこれに腰掛けて居眠りしているのは絵になると思う。
思うんだけど、水銀燈が凄い目で睨んでるから没。
それ以外は…と…。

461:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/22 17:47:16 VwHpu/3z
「…私に情熱を注ぐのはいいんだけどぉ…後の事…考えてるぅ?」
疲れた溜息を吐かれたので、俺は微笑んで言った。
「考えてるわけ無いじゃないか、このお馬鹿さんめ」
「か、す…す、すす少しは考えなさいよこのお馬鹿ぁああぁぁーッ!!」
思いっきり剣でビンタされました、はい。
ミーディアムになるかもしれない人間、傷付ける訳には行かない。
そう言ったのどこの誰だよ?
そんな事を考えながら俺は意識を失った。
これってアレだね。
殴られると同時に水銀燈にドレインかけられたね、間違いなく。

462:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/22 17:47:52 VwHpu/3z
こりゃ、仕事首かもしれんね。
何とか電話機まで這って行って明日仕事休むと伝え、ぶっ倒れた俺の正直な感想。
こんな時まで仕事の事を考えるオレサマ、マジでワーカホリック!
そして突き刺さる水銀燈の冷たい視線!!
「この水銀燈を無視して何するかと思えば…そんなくだらない事したかったのねぇ?」
何だとメガトロン!
「許さなぁい…そう言ったのよぉ?お馬鹿さぁん…」

463:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/22 17:48:17 VwHpu/3z
「怒っちゃ駄目だぞ?血圧上がっちまうから」
今度はこちらが溜息を吐く番だ。
ただ、水銀燈が俺の喉に剣の切っ先を押し付けるのは予想外だったが。
「それでぇ?」
良いから続きを言え。
でも、変な事言ったらこのままサクッと逝く。
そんな顔の水銀燈。
それに答えたのは。
「…乳酸菌…採ってる?」
間の抜けた俺の声だった。

464:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/22 17:49:15 VwHpu/3z
「言われてみれば…乳酸菌…採って、無いわねぇ…」
「ははッ、すぐ用意いたしますです、はい」
すぐ用意しろと視線で命令する水銀燈に、慌てて返事するけどへたり込んだままの俺様、マジ情けない。
それより情けないのは…水銀燈、お前だあっ!
雨の日に捨てられた泥だらけの子犬のような視線勘弁してくれませんか?
「…ち、ちょっとぉ…何で動かないのよぉ…」
「水銀燈に叩かれ吸われて力が出ない…マジで」
「…私の乳酸菌はぁ?」
「力が出るまで待って」
指をくわえ、心底寂しそうに聞く水銀燈に答える。
お前ってばそんなに乳酸菌食品が好きなのか?
いや、知ってたけどさ…。

465:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/22 17:50:01 VwHpu/3z
「まあ、鞄は次の休みにどーにかするとして…。
 とりあえずの寝床…適当な空き箱にタオル詰めたので良い?」
ヨーグルトにミックスフルーツを混ぜつつ聞く俺。
「もう、それでいいわぁ…」
これ、水銀燈さんや。近づき過ぎです離れなさい。
素っ気なく答えても目が輝いてる状態では雰囲気ぶち壊しですよ?
こーら、つまみ食いしようとするなって…いいから皿に盛るまで待てってばよ。
「いいじゃなぁい…生まれて初めての乳酸菌なんだからぁ…」

466:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/22 17:50:26 VwHpu/3z
ヨーグルトを美味そうに。
本当に美味そうに食う水銀燈と、それを眺める俺。
「美味い?」
「ふふっ…食べてみるぅ?」
「それは水銀燈のだからだ~め」
「このお茶目さんめぇ~」
言って俺のおでこを突付く水銀燈。
これだよ、これこれこれぇええぇぇっ!
この伝説の黄色い救急車がすっ飛んで来そうな甘ったるい空気ッ!
これを堪能したいがためにドール買ったんだよッ!!
「…本当に、お馬鹿さんねぇ…」
いや、そこで素に戻って呆れないで。

467:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/22 18:01:26 VwHpu/3z
      そんな>>458に手紙が届きますた・・・
          _____
         / ヽ____//
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       / YOU巻いちゃいなYO /ヽ__//
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     /  人工精霊一同    /  /   /
    /   ____     /  /   /
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  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/   /   /

468:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/23 03:01:15 MtKn6r29
www

469:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/24 02:16:35 2oOEBHJF
なんか俺、勧誘されてるW

470:貼り付け
08/06/26 23:16:53 /x7kghUq
クラスメイト「あれー柏葉さん、いい指輪してるね。ちょっと見せてよ」

     巴「さわらないでぇ~(発狂)」

    教室 ざわざわ 「今のなにー」「指輪くらいでね~」
       「桜田から貰ったんじゃねw」「あ~図書館で仲良しだもんね~w」

    梅岡「柏葉、規則はちゃんと守ろうな。先生が授業終わるまで
       預かっとくよ」

     巴「いえ、これは大切なものなんではずしませんから」

    梅岡「桜田と仲良しだもんな。大切な友達から貰ったものは、
       思いがこもっていて、とても大切だと先生も思うけどここ
       は学校だからな。今は外そうな」

    教室「やっぱりね~」「あいつら付き合ってんじゃねえの?」

     巴「あの先生、何か勘違いされてませんか?」

    梅岡「何かな柏葉、言いたいことは何でも先生に言いなさい」

     巴「では。先生、わたしは桜田君みたいなオタひっきーじゃなくて、
       店長一筋です」


471:貼り付け
08/06/26 23:18:24 /x7kghUq
梅岡「・・・店長ってまさか、あの駅前の雇われのことか、柏葉?」

 巴「はい、そうです」(きっぱりと宣言)

梅岡「・・・あいつは高校の時、先生の同級生だったんだ。あいつほど不真面目な
   奴はいない。先生は不真面目な奴は大っきらいだ。柏葉、あいつとは別れなさい」

 巴「何で先生にそんなこと言われなきゃならないんですか?私たちは本気で愛し合っています」

梅岡「柏葉、先生はあいつがどれだけ多くの女をたぶらかしてきたか知っているから言ってるんだよ。
   先生は生徒が不幸な目に逢うのに耐えられないんだ。分かってくれるか、柏葉」

 巴「先生は店長のこと嫌いだから、そんなこと言うんです。いい加減なこと言って、証拠でもあるんですか?!」

梅岡「あるさっ!先生はあいつに彼女を3回も取られたんだ!そしてあいつは欲望を発散したらすぐに次の女に
   手を出した。先生は許さない、、、今度は柏葉まで俺から奪い取ろうというのか、、、」


472:貼り付け
08/06/26 23:19:33 /x7kghUq
生徒「おいおいマジかよ」「柏葉さんって」「先生なんか燃えてねえか?」

梅岡「とにかく柏葉、もうすぐ授業だから放課後に職員室に来なさい。いいね」

 巴「構いませんが、先生が何を言おうと私の気持ちは変わりませんよ?」

梅岡「先生は信じているよ柏葉。柏葉がいい子だってことは、先生が一番知ってるからね」

  ラプラス「おやおや梅岡先生、柄にもなく取り乱してどうしちゃったんでしょう。
       それに、俺から奪い取るって、フフフ。それに先生が一番知ってるって、、、」

  くんくん「くん、くん、くん、先生の背後から事件のニオイを感じるの。これはきっと何かあるの!」

  ラプラス「流石は私のくんくん、鋭いね、フフ。これはもしかすると、、、おっと、もうこんな時間。
       この先の筋書きを兎風情に語る術など、一体どこにありましょう。」

  くんくん「ラプラスは何か知っているのっ!」

  ラプラス「フフフ、くんくん。君だけには続きを教えてあげるよ、私たちの愛の語らいの後で。
       如かして、次の扉を見つければ、開けたくなるのが人のサガ。この扉の向こうには何があるのやら、、、」

  くんくん「扉の向こうで梅岡先生と巴ちゃんが体育倉庫にいるニオイがするの、くんくん」

  ラプラス「相変わらず鋭いね、私のくんくん。・・・もう時間がない、私たちも先に行こうとしましょう。
       それでは皆さん、ごきげんよう」

  くんくん「次回も、よろし~くんくん」


473:貼り付け
08/06/26 23:22:04 /x7kghUq
ちなみにBAD END は

クラスメイト「あれー柏葉さん、いい指輪してるね。ちょっと見せてよ」

     巴「さわらないでぇ~(発狂)」

    教室 ざわざわ 「今のなにー」「指輪くらいでね~」
       「桜田から貰ったんじゃねw」「あ~図書館で仲良しだもんね~w」

    梅岡「柏葉、規則はちゃんと守ろうな。先生が授業終わるまで
       預かっとくよ」

     巴「いえ、これは大切なものなんではずしませんから」

    梅岡「桜田と仲良しだもんな。大切な友達から貰ったものは、
       思いがこもっていて、とても大切だと先生も思うけどここ
       は学校だからな。今は外そうな」

    教室「やっぱりね~」「あいつら付き合ってんじゃねえの?」
       ははは くすくす ひそひそ ははは くすくす ひそひそ・・・・・・・・・・・・・・

     巴「ぅえろうぇろうぇろ~おえ~」

    教室「うわ~吐いた~」「きたね~」

こうして、巴も不登校になりますた。めでたしめでたしww


474:名無しさん@お腹いっぱい。
08/06/29 19:18:26 rxQ7G7uF
保守

475:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/30 00:08:52 EMgLy17U
「お腹も膨れたし今日の寝床も安心ねぇ…」
空になった食器を見ながら幸せそうに言う水銀燈。
目まで細めちゃってまぁ…。
これで『にゃー』と鳴いたら猫ですよ?
しかし水銀燈は『にゃー』と鳴く代わりにちろりと唇を舐め、
「これでぇ…この家の案内してくれたら言う事無しよぉ~?」
そう言って更に目を細めた。
妖艶である。
だけど…ああ、だけどっ!
ほっぺにヨーグルトが付いてたりするので雰囲気ぶち壊しである。
「よしわかったお姫様。早速案内致しましょう」
水銀燈をお姫様抱っこしつつ、ほっぺのヨーグルトを味見。
うむ、旨い。
そして、トマトみたいに真っ赤になった水銀燈。
とても、可愛い。
「…お、お馬鹿さぁん…」

476:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/30 00:09:20 EMgLy17U
黄色い救急車を呼びたそうにしている母者を横目に案内開始。
まずは、台所。
「…今、居る所じゃないのよぉ…何がしたいのぉ?」
「カアサマに水銀燈の紹介を…」
言われて母者を見る水銀燈。
一度俺を見、もう一度母者を見て。
「私は週刊ローゼンメイデンシリーズの第1ドール、水銀燈。
 この人間に作られたお人形よ。よろしくねぇ」
うむ、ナイス猫かぶり!
「黙りなさい!」

477:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/30 00:09:41 EMgLy17U
まあ、お約束の洋物ダッチネタはさて置き次は店場に移動。
「…服屋…なのねぇ…。
 …でも…年を召したご婦人方向けばーっかりよぉ?」
私のは無いのか?と、少々呆れ気味の水銀燈。
あるにはあるがと陳列棚の一角を指差す俺。
視線を辿った水銀燈は…真っ赤になって、切れた。
「…ば、ばばばば馬鹿じゃない!?貴方本当に本当に馬鹿じゃない!?
 どこをどうしたらこの水銀燈に幼稚園の服やブルマを着せたりなんて事を考え付くのよぉ!
 …何ニヤニヤしてるのよぉ!?何、頭の中で着せてるのよぉ!!」
いや、似合うと思うんだけど…。
「この、お馬鹿ーッ!!」

478:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/30 00:11:07 EMgLy17U
「…貴方の母親に幼稚園の服を押付けられた時は眩暈がしたわよ、本当に…。
 …で?…次はどこを案内してくれるのよ?」
…庭…と、呼べないような、庭ですな。
雑草は伸びてないから良いんだけど…。
「…言えてるわねぇ…庭園…って、雰囲気は微塵も無いしぃ…」
元々芋畑にする予定で耕したからなぁ…。
ほら、よく見れば植わっている所が畝上に…。
「…芋…ねぇ…庭師でも雇えばぁ?」
暗に双子も買えと言う水銀燈。商売熱心な奴め。
しかし、そんな金なぞ欠片も無い。全部水銀燈につぎ込んだしな。
「お馬鹿さんねぇ…」
「…何なら水銀燈がしてみる?庭師」
「…黒薔薇だらけの手入れされていない庭がお望みならして良いわよぉ?」
よしわかった勘弁してくれ。
「…ちょっと…それ、どーゆー意味よぉ…」

479:「週刊ローゼンメイデン(水銀燈)」
08/06/30 00:11:46 EMgLy17U
さて、一通り案内は終わったわけだが何故かお姫様はご機嫌斜め。
「犬小屋の案内とか良いわよぉ…見たらわかるしぃ…。
 それよりも…何であの建物は案内しないのよぉ…」
小石蹴飛ばしてたりする水銀燈の指差す先に佇むのはちょっと大き目の倉庫。
俺は溜息を吐いて、言った。
「ジャンクで中がいっぱいだから」
「…ジャ!?」
目を大きく見開いた水銀燈は血相を変えて倉庫の入り口へ走っ…。
…走って行こうとして、こけた。盛大に。顔面から。
「…ったぁ…い…」
「よーしよし。ジャンクッつっても今がそんなだけだ。
 お前含めて捨てたりしないから落ち着け」
真っ赤になってる水銀燈を抱き上げ…何故真っ赤なの?
「…あ、貴方が“お前”なんて言うからよぉ…」
涙を溜めたままこっちを見上げる水銀燈。
…さっきの殺気が消えた可愛いお嬢ちゃんですな、まるで。

480:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/01 21:27:36 2JFmZtBs
突然ですが、人形板や漫画板のスレの話題にインスパイアされて作ったSSを投下します。

「草笛みつの遭遇」
-今日も仕事を終えて帰宅する人形愛好家の草笛みつであったが・・・-

みつ「ただいまー!仕事終了~って、そういえば今日もカナはジュンジュンの家でお泊りか・・・
    ジュンジュンの家で大事な用があって今日も帰れないらしいけど・・・。
    あれ・・・部屋の鏡が・・・」

URLリンク(rozen.no-ip.org)

雪華「ギチギチギギチギチギ・・・・ミツケタミツケタ、金糸雀のマスター・・・」
みつ「あぁ・・・・なに・・・これ・・・」
雪華「こんばんは。私はローゼンメイデン第7ドール......雪華綺晶。」
みつ「・・・・・」
雪華「あなたのことを鏡の中から見ていました・・・。
    どうやら人形愛好家のようですね・・・。金糸雀のマスター・・・。
    可愛らしい趣味.....ですね・・・。」

481:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/01 22:38:03 X+t0C07K
>>480
やべえ…この雪華綺晶マジでやべえよ…(((( ;゚Д゚))))

482:名無しさん@お腹いっぱい。
08/07/02 00:43:36 Vu3UqG8N
PEACH-PITの漫画原作のSSです。

483:雪華綺晶はここにいる 1/38
08/07/02 00:46:12 Vu3UqG8N
病室に備えられたベッドの上で、柿崎めぐと水銀燈は身を寄せ合って眠りに就いていた。
時刻は午前2時を過ぎ、部屋は夜の闇に満たされている。
静かに寝息をたてるめぐが唐突に目を覚ましたのは、何かに呼ばれたからだ。
鼓膜を震わせる人の声ではなく、心に直接語りかけるような不思議な声がめぐを呼んでいる。
めぐは上半身を起こし周囲を見やったが、声の主はどこにも見当たらない。
奇怪な現象に不安を覚えためぐは隣の水銀燈を一瞥したが、彼女はこの異変に何ら
反応することなく、それまで通り眠ったままだった。
めぐがどうするべきか迷っていると、不意に呼び声は止み、代わりに新しい変化が訪れる。
部屋に設えられた洗面台の鏡が、仄かに光り始めたのだ。
めぐはそっとベッドから降りるとスリッパを履き、鏡の前へと向かう。
まるで水面のようにいくつもの波紋が鏡面に広がり、鏡自体が光を放っている。
めぐは鏡の前に立っていたが、鏡に映るのはめぐの姿ではなく、白い少女の姿だった。
右の眼窩から咲く白い薔薇。金色の瞳をそなえた左の目。淡い桃色を帯びた白髪に純白のドレス。
雪華綺晶は微笑を浮かべ、穏やかな眼差しをめぐに向けている。
あまりに幻想的な姿の少女に、めぐは息を呑んで見つめ返す以外にない。

「死に魅入られた飛べない小鳥。黒薔薇のお姉さまのお友達」

鏡から声は響かない。代わりに、鏡の中の雪華綺晶が口を動かすと、彼女の声がめぐの心に
流れ込んでくる。とても清らかで澄んでいて、乾いた心にすっと深く浸み込むような声だった。

「あなたは……誰? 私を迎えに来てくれた天使なの…?」

半ば反射的に胸の前で右手と左手を組み合わせるめぐに応える事無く、雪華綺晶は
笑みを浮かべたまま瞼をやわらかく下ろす。

「貴女は可哀想な小鳥。
 大空を舞うことも、死ぬことも許されない籠の中の鳥。
 私はそんな貴女を救いたい」

瞼を上げ、金色の瞳がめぐを捉える。その眼差しは慈愛に満ちているが、大切な何かが
致命的に欠け落ちている。眼前のめぐを見ているようで、実は誰も見ていないかのような
どこか空虚で奇妙な視線。

「救う……? 私のことを救ってくれるの? 白い天使さん」

「夢を見せてあげる。
 生の痛みも、死の苦しみもない楽園へ連れていってあげる。
 幸せな夢に抱かれて安らかにお休みなさい」

そんな雪華綺晶の囁きに、めぐは目をしばたたかせる。
心臓に障害を抱えて生を享けためぐは、世界に絶望しきっていた。家族は彼女の前から去り、
将来も夢も希望もなく、外を歩くだけのささやかな自由さえも許されない病床のとりこだ。
非情なこの世を見限っていためぐは、自分自身の存在を消去する"死"に一縷の希望を見出し、
もはや自分に残された救いはそれ以外にないとまで考えていた。
しかし目の前に突然現れた白い天使は、それまで思いもよらなかった別の救済をめぐに
もたらそうとしている。
彼女の言うような理想的な世界へと導いてくれるというのなら、めぐとしては是非もなかった。

「そう…。素敵なお誘いね」

陶然と微笑むめぐをいとおしげに見つめた雪華綺晶は、未だにベッドの上で眠り続ける水銀燈に
視線を移した。つられてめぐも水銀燈を見やる。

「お姉さまと指輪の契約を」

「水銀燈と…?」

484:雪華綺晶はここにいる 2/38
08/07/02 00:48:26 Vu3UqG8N
問いかけるめぐに雪華綺晶は鷹揚に頷き、目を閉じたまま自身の左手に優しく右手を添える。

「黒薔薇のお姉さまの指輪を、貴女の左手の薬指に。
 それが叶ったときに、迎えに上がります」

そう言い残して、雪華綺晶はめぐの制止の願いも聞かず、鏡の奥深くへと消えてしまった。
鏡は輝きを失い、部屋は元通りの暗闇と静寂に包まれている。
現実味を欠いた出来事に、めぐはしばらくの間鏡の前から動くことができなかった。



翌日。
窓から陽光が射す病室のベッドで、めぐはさも幸せそうに微笑みを浮かべていた。
水銀燈は壁に背を預け、そんな様子のめぐを冷ややかな面持ちで見つめている。
水銀燈の表情はいつも通り不愛想もあらわだったが、その実内心ではめぐの状態を
いぶかしんでいた。めぐが夢見がちであるのは今に始まったことではないが、
今日の彼女はいつも以上に楽しげで想像の中に浸っているように水銀燈は思った。
めぐも水銀燈が自身の変化に気づいたことを知り、悪戯めいた笑みを送る。

「ねえ水銀燈。知りたい? どうして私が笑っているのか」

「別に。興味ないもの」

心を見透かされたことが屈辱で、水銀燈は反射的にそっぽを向くが、
それでもやはり好奇心には抗えず、ちらちらとめぐへの視線を送ってしまう。
そんな妙に子どもじみた様子の水銀燈にめぐは苦笑すると、満を持したように
極上の笑顔で昨晩の顛末を説明し始めた。

「夜にね、天使がやってきたの。二人目の天使」

「……天使…? 二人目…?」

思ってもみなかっためぐの言葉に、水銀燈は眉を顰めた。
めぐは昨夜の出来事を、必要以上に叙情的に話す。
自分を呼ぶ声が心に響いたこと。鏡が光り、その中に白い天使が立っていたこと。
彼女がめぐを夢の世界へ導いてくれること。
そのためには水銀燈と指輪の契約を交わすことが必要であること。
歓喜もあらわに話を続けるめぐとは対照的に、水銀燈の紅い瞳は怒りに満たされていった。
めぐの話の内容から考えるに、ローゼンメイデンシリーズの誰かがめぐと話したことは明らかだ。
水銀燈を激怒させるのは、ベッドで人間と共に眠る彼女を覗き見て、あまつさえ自身を
無視し、めぐと話を続けていたという点である。
人間など薔薇乙女が動くために必要なエネルギー源に過ぎないと公言している
水銀燈にとって、成り行きからとはいえ人間と同居し、同じベッドで眠るという馴れ合い。
それを目撃されたことは水銀燈の孤高と沽券を貶める恥辱以外の何物でもない。
その上その妹は、昏々と眠る水銀燈をまるで取るに足らないを言わんばかりに捨て置いたのだ。
やすやすと寝首を掻けるはずの水銀燈を、その姉妹は無視した。
薔薇乙女は互いの気配を概ね察知できるため、たとえ眠っていようと水銀燈が
姉妹の接近に気づかないはずはないのだが、事実として不覚にも彼女は敵の陣地侵入を
まんまと許してしまった。
その姉妹に水銀燈への敵意があったのならば、水銀燈は痛恨の不意打ちを喰らって
アリスゲームを脱落していてもおかしくはなかったのだ。
水銀燈が今もこうして動いていられるのは、謎の薔薇乙女に見逃してもらったからと
考えても差し障りは無い。
それに加えてそんな危機を露知らず、安穏と眠りに耽っていた自分自身の迂闊さにも
腹が立つ。
姉妹の中でも一際高い自尊心をもつ水銀燈を三重の屈辱が責めさいなみ、
真紅の双眸に激昂の情を滲ませていた。

485:雪華綺晶はここにいる 3/38
08/07/02 00:50:55 Vu3UqG8N
「天使の貴女が私の命を使ってくれないから、二人目の天使が見かねて
 来てくれたのね、きっと。私を天国まで運んでくれるのよ。素敵よね」

「バカじゃない。つまり殺されるってことじゃないの」

怒りを面に晒しては品位に欠ける。それを良しとしない水銀燈は、胸に渦巻く激情を
秘め隠したまま冷えた眼差しをめぐに向けた。
めぐと語ったという姉妹の意図は、今のところ全く不明だった。
苦痛のない理想郷へ導くなどという子供騙しの甘言でめぐを釣ろうとしている思惑は
理解できなくもないが、たとえめぐと水銀燈が契約を交わしたとしても、その姉妹が
利することなど何も無い。それどころかかえって状況が悪化するだけだ。
なぜなら媒介を得た薔薇乙女の戦闘能力は増大し、結果的には水銀燈と敵対する
その姉妹の首を自ら絞めることにしかならないからだ。
そんなことも分からないほどその姉妹は愚鈍なのか、はたまた水銀燈とめぐの
2人を冷やかしに来ただけなのか。

「ねえ水銀燈…指輪の契約、交わしてよ。
 黒い天使の水銀燈と、白い天使のあの子の2人で
 私をこの世界から解放して欲しいの」

「……まんまと騙されて踊らされて。どうしようもないバカね、貴女って」

そう嘯きつつも、水銀燈の胸に去来するのは得体の知れない焦燥感だった。
目の前の死に取り憑かれた少女は水銀燈の心をかき乱す。
めぐが死を、自身の存在の消滅を願うたびに、水銀燈はなぜかいたたまれない気持ちになる。
得体の知れない薔薇乙女に誘惑されて、めぐが一層強く死にたがるという今の状況は、
水銀燈自身が下手人に愚弄された事実と等しいまでに不快であった。
水銀燈は猫なで声で契約をねだるめぐを軽くあしらうと、宙を飛んで病室の鏡の前で
静止した。

「どこに行くの? 水銀燈」

「そのふざけた妹を潰しにいくの。この水銀燈をからかった罪は死に値するわ」

めぐを一瞥する水銀燈の目には、まぎれも無い怒りと憎悪に満ち溢れている。
そんな恐ろしげな様子の水銀燈にひるむ事もなく、めぐは残念そうにため息をつくと
なぜか嬉しげな笑顔を浮かべた。

「そっか。殺しちゃうんだ、あの子。
 さすが水銀燈。黒い天使だから死神って訳ね。
 私の命も、そうやって刈り取ってくれればいいのに」

「……天使だの死神だの…私はローゼンメイデン第1ドールの水銀燈。
 想像をめぐらせるのは貴女の勝手だけど、現実と妄想の区別が
 つかない子はイカレてるようにしか思えないわ」

「またまた。すぐにそうやってはぐらかすんだから」

めぐはけらけらと笑い、水銀燈は不満げな面持ちの程をより一層強くする。
めぐが自分の命を使い切ってくれるように水銀燈に頼む度に、彼女はこうして
話を逸らしたり何らかの言い訳を見繕って願いをはねのける。
今ではこのやり取りも、お互い馴れたものだった。

「気をつけてね。負けちゃ嫌よ」

「…………」

めぐの声援に応える事無く、水銀燈は鏡を入り口としてnのフィールドへと進んでいった。

486:雪華綺晶はここにいる 4/38
08/07/02 00:53:25 Vu3UqG8N
同刻、薔薇屋敷にて。
瀟洒なテーブルを挟んで、翠星石と屋敷の主人である結菱一葉が椅子に座っている。
テーブルには両者の前に薫り高い紅茶を湛えたティーカップが置かれ、中央には瑞々しい
薔薇の花を生けた器が備えられていた。

「ジュンはチビ苺に甘すぎるのです。そんなことだからチビ苺がつけあがって暴走するです。
 真紅も真紅ですよ。雛苺の主なら家来のしつけはしっかりするべきです!」

「子どもは元気なのが一番だ。無理に押さえつけてはいけないと私は思う」

微笑んでささやかな助言を送る一葉に、翠星石はつんとそっぽを向いて容赦の無い
ののしりを浴びせかける。壁一面をガラス張りにあつらえさせたその部屋は
清潔な日光を余すところなく透過し、翠星石と一葉を温かく包み込んでいる。
ガラス越しに望む一面の薔薇園は、見ているだけで心が洗われるような明媚な眺めだ。
愚痴をこぼしながらもこうして茶飲みの相手を律儀に務めてくれる翠星石を前に、
一葉は心地よい時間を過ごしていた。



翠星石は帰り際にいつも、鞄の中で眠り続ける蒼星石の顔を見るようにしている。
鞄の中で身体を丸めたまま動かない蒼星石は、本当にただ眠っているだけのように見える。
魂を込められた生きた少女人形であるローゼンメイデンシリーズ。その一人の蒼星石は、
こうして動かない本来の人形になっていてもなお瑞々しい。
繊細な焦げ茶色の髪。薄桃色の唇。男装の麗人を思わせる凛々しいかんばせ。
不意に瞼を上げ、その澄んだ紅と翠のオッドアイを覗かせながら長寝を恥じ入って
そっと頬を赤らめる。そんな光景を翠星石は幻想して止まない。
壊れ物を扱うかのように、翠星石は蒼星石の頬に優しく手を添える。
翠星石の面持ちは穏やかで、微笑さえ浮かんでいる。しかし雨水を限界まで
溜め込んだ曇り空のように、危うい色が常にその面持ちに見え隠れしていた。
そんな翠星石の姿を後ろで見守っていた一葉は、いくらかの逡巡の後に、
かすれた声で尋ねた。

「蒼星石は…元に戻るのだろうか」

翠星石は後ろを振り向くと、申し訳なさそうにうつむく一葉を鋭く睨みつける。
愛らしい少女の顔には不似合いな、憎悪に満たされた眼差しだった。
しかしそんな目つきから、一瞬後には憎しみが霧散し、代わりに悲哀の色が
彼女の双眸を彩っていた。
蒼星石が魂の抜け殻になってしまった原因の大本は一葉にある。
一葉はその罪を悔い、せめてもの贖罪として蒼星石を紅茶を嗜む際に同席させ、
まるで植物状態の患者の意識を取り戻させるかのように彼女に声を掛け続けてきた。
一葉とて、蒼星石が復活することは翠星石と同様に悲願であるのだ。
それを知った翠星石は彼の意を酌んで茶会に同席し、一葉に対する憤りを
少しずつ赦しへと塗り替えてきた。

「―戻るです……戻るですよ。おじじ」

一葉とて、いたずらに翠星石を怒らせるために先のような質問を投げかけたのではない。
彼も真実を知り、希望をもちたいのだ。蒼星石の心が還ってくるという望みを。
それを悟った翠星石は、悲しみを紛らわせるように胸を張って普段の強気な口調を取り戻す。

「蒼星石のローザミスティカは水銀燈のアンチクショウがもっていきやがりましたが、
 翠星石達が必ず水銀燈から取り返すです。翠星石の意識も、nのフィールドのどこかを
 さまよっているはずなのです。絶対に連れ戻すですよ!」

堂々とそう言ってのける翠星石を前にして、一葉はしばし無言で彼女を見つめた後、
目礼でもするかのように目を瞑り、「よろしく頼む。翠星石」と力強く応えた。

487:雪華綺晶はここにいる 5/38
08/07/02 00:55:27 Vu3UqG8N
その頃、桜田宅。

「ふんふんふ~ん♪ お掃除しましょ~ぴかぴかに~♪」

桜田のりが鼻歌を口ずさみながら床に掃除機をかけていた。
掃除機の大きな駆動音にまぎれて、のりの歌声はほとんどかき消されている。
普段通りの上機嫌を保ったまま、のりが物置部屋の前まで掃除機を滑らせていくと、
彼女はある異変に気づいた。物置部屋のドアが開かれたままになっていたのだ。

「あらぁ~? 変ねぇ。いつもちゃんと閉めてるはずなのに…」

何気なく部屋の中を覗くと、入り口の正面奥にはいやおうなしに目に付く大鏡が
据えられている。
しかしその鏡面に映るのはのりの姿だけではない。不可解な存在も一緒に映っていた。
薄桃色の白い長髪に白い服。美しい容姿を具えているにも関わらず、その眼差しは
白痴のように虚空の一点を凝視したまま動かない。雪華綺晶だった。
全く予想していなかった異常事態に、のりの思考は空白と化し、身体は金縛りにでも
あったかのように動かない。
すぐ傍で硬直する人間の存在に気づき、雪華綺晶が首をかしげてのりの顔を見つめる。
彼女は悠然と笑って白い歯を晒した。金色の左目に狂気の入り混じった親しみの情が灯る。

「ウ キ ャ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ァ ァ ァ ~~~~! ?」

掃除機の騒音を遥かに上回るのりの絶叫が桜田家に轟き渡った。

「な、何だ!?」

ジュンが自室から飛び出し、階段を駆け下りて声の出所へ走る。
ジュンの部屋にいた真紅と雛苺も人間用の階段をそろそろと降りて、のりの元へと向かった。
のりは腰でも抜かしたかのように床にへたり込み、悲鳴の残滓を喉から搾り出している。
ジュンは耳障りな音を上げる掃除機の電源をオフにすると、事の次第を訪ねた。
遅れて真紅と雛苺の2人も到着する。

「か、かか鏡の中に…お化けがいたのぉ…!
 ゆ、幽霊がお姉ちゃんをじっと見てたわぁ……!」

震えながら自らの肩を掻き抱いて、のりは懸命にそう訴えた。
今にも泣き出しそうなその顔は、恐怖の程を言葉よりもなお雄弁に物語っている。
「幽霊ですって…?」と小さく声を上げ、意外に臆病な真紅の顔がわずかに引きつる。

「お化け? ゆうれい?」

特に臆した様子も見せずに雛苺が大鏡の前まで歩き、鏡を検めるがおかしなものは
何も映っていない。

「なにもいないわ、のり」

「そ、そんなぁ~~! お姉ちゃん、確かにこの目でぇ~」

座ったままそう訴えるのりの背中を雛苺がよじ登ると、雛苺は満面の笑みを浮かべて
小さな手でのりの頭を撫でる。

「のりってば怖がりなのねー。ヒナはゆうれいなんか怖くないわ!」

「大方掃除機かけながら夢でも見てたんだろ。姉ちゃんはいつもボケっとしてるからな」

488:雪華綺晶はここにいる 6/38
08/07/02 00:56:37 Vu3UqG8N
つまらない下らないとばかりに鼻を鳴らすと、ジュンはさっさと自室へ戻っていってしまった。
「信じて~ジュンく~ん」というのりのすがる声にも、ジュンはまるで取り合わない。
相変わらず怯えているのりに雛苺はまとわりついて思う存分にはしゃぎ、その一方で真紅は
左手を軽くあごに添えて黙考している。

「3人そろって何してやがるですか?」

背後からの不意の掛け声にのりがびくんと大きく震え、のりの肩に乗っていた雛苺がころんと
床に落ちて「きゃっ!」と可愛らしい悲鳴を上げる。
声の主は今しがた薔薇屋敷から戻ってきた翠星石だった。
妙な雰囲気の3人を見かねて声を掛けたのだ。せめて翠星石だけにでも信じてもらおうと、
のりは鏡の中に潜む亡霊を目撃した顛末を彼女に説明した。
話が進むにしたがって翠星石の表情は次第に明るくなっていき、話を聞き終えた後は
満面に喜色を浮かべ、興奮した様子でこう断言した。

「蒼星石です! きっとその子は蒼星石ですよ! 蒼星石が帰ってきたです!」

翠星石はのりが見た幽霊の正体を、nのフィールドでさまよっている蒼星石の意識だと
考えているのだ。身体に戻れずに困っているので、翠星石達が集まる桜田家を訪れ、
助けを求めに来たのだと翠星石はそう判断した。
蒼星石の復活を切望している翠星石の希望的観測の色は強いが、確かに可能性の
一つとしては考えられる。
真紅としても、鏡からのりを見つめ返したという幽霊の正体は、ローゼンメイデンの誰かでは
ないかという確信に近い思いがあった。
鏡の中の幽霊うんぬんというのりの言葉には不覚にも慄然としてしまったが、よくよく考えれば
鏡をnのフィールドの出入り口にしているのは幽霊などといういかがわしいモノではなく、
自分達薔薇乙女ではないか。

「のり。鏡の中にいた幽霊の姿形を、できるだけ詳しく教えて頂戴」

真紅の凛とした声に、のりはようやく冷静に物を考えられる程度の落ち着きを取り戻した。

「うう~~んと…。ほんの一瞬だけしか見られなかったからよく覚えていないんだけどねぇ。
 白っぽい色の髪をしてて、髪は長めだったと思うの。お姉ちゃんを見て、ニタッて
 笑ったのよぅ。怖かったぁ~…もう失禁ギリギリよぅ」

「う……。そ、蒼星石と似ても似つかんですぅ…」

傍から見ても気の毒になるほどに翠星石は肩を落とし、よく状況が飲み込めない雛苺は
「蒼星石が来たのね!」と翠星石の前言内容を鵜呑みにし、はしゃいでいる。

「何という不謹慎なのです! このおバカ苺! やっぱりオマエの頭は金糸雀以下なのです!」

唐突に怒り出した翠星石に追いかけられて逃げ回る雛苺には構わずに、真紅は思考を続ける。
のりの証言内容から考えるに、その薔薇乙女と思しき誰かは水銀燈か、ジュンの心の領海で
以前に見かけた謎のドールであると考えられる。どちらも白い長髪であるからだ。
水銀燈は前に物置小屋の大鏡を入り口として桜田家に攻め込んできたことがあるし、
他人を小馬鹿にするかのような彼女の不敵な態度は、のりに向かってニヤリと笑ったという
下手人の行為と一致する。犯人が水銀燈である可能性はかなり高い。
真紅達を陥れるための策略の一つとして鏡の中から桜田家を覗いていたと考えるのなら、
その計画の内容をつきとめて阻止しなくてはならない。蒼星石に続くアリスゲームの犠牲者は、
もう一人も出してはならないのだ。
もう一人の容疑者である謎のドールが犯人であったと仮定するなら、事態は水銀燈が
関わっている場合よりも一層由々しいものと考えざるを得ない。
件のドールは、その能力や思想や気性などの一切が不明だ。
謎のドールの正体はローゼンメイデンの第7ドールではないかと密かに疑っている真紅としては、
その実体を早急に掴んでおく必要がある。

489:雪華綺晶はここにいる 7/38
08/07/02 00:58:11 Vu3UqG8N
水銀燈と謎のドールのどちらが犯人であろうと、鏡の中に現れた理由と目的を知ることは
真紅にとって重要な急務だった。

「翠星石。雛苺」

未だに追いかけっこを続けている2人を呼び止めると、真紅は手短に自分の推理内容を
披露し、犯人をつきとめて桜田家を訪れた理由を問い質す必要性を説いた。
彼女達の不安を煽ってはいけないので、謎のドールに関しては極力言葉をにごし、
不審人物程度に説明を留めておいた。

「真紅すごいのよ~。くんくんみたいなの~」

雛苺のそんな反応に真紅はピクンと片眉を上げた。照れは隠しているようだが普段の
澄ました顔はいくらかほころんで、隠しようのない嬉しさがにじみ出ている。

「くんくんには及ばないにしても、私がその気になればこのくらいは造作もないことよ」

「おのれ水銀燈~! 蒼星石だけでは飽き足らず、今度は翠星石達のタマまで
 とりに来やがりましたか~!」

翠星石は、犯人の正体を蒼星石のローザミスティカを奪った怨敵・水銀燈だと思っている。

「さあ。ぐずぐずしていたら犯人に逃げられてしまうのだわ。さっそくnのフィールドへ
 向かうわよ」

蒼星石のローザミスティカをもつ水銀燈を懲らしめ、ローザミスティカを彼女から取り返すべく
意気込む翠星石以上に、雛苺はいつにも増してはしゃいでいる。全身を使って喜びを表現し、
その童顔には満面の笑みが輝いていた。
不思議に思った真紅がその理由を尋ねると雛苺曰く、
謎の犯人を捕まえてこれ以上の犯罪行為を食い止め、目的を自白させるというこれからの
行動はくんくん探偵のそれそのものである、と。
そんな雛苺の子どもじみた発言に真紅はハッとすると、彼女はやわらかい笑みを浮かべ、
労をねぎらうかのように雛苺の左肩に右手を乗せた。

「雛苺。この真紅の家来としての役割がようやく板についてきたようね。
 中々の仕事を働いたわ」

意図が不明な真紅の言葉に雛苺は困惑するが、真紅はそれに構わず恍惚とした表情で
二階のジュンの部屋へと向かっていった。
後に残された翠星石と雛苺はお互いに顔を見合わせるしかない。
しばらく後に真紅が2人の前に戻ると、彼女は探偵帽をかぶり、胸元を飾る紅いケープの
上に探偵ケープを重ねて羽織っていた。
桜田家に住む真紅達薔薇乙女が揃って熱を上げる人形劇の「くんくん探偵」。
その番組プレゼントに真紅が応募し、見事射止めたくんくん変身セットだった。
ジュンの部屋の本棚に大事に納められていたその宝物を持ち出し、彼女はくんくんを
想いながら廊下でそれを身に纏ったのだ。真紅の肩には小綺麗なポシェットが
下げられ、その中には彼女が集めた探偵必携アイテムがしまわれている。

「し、真紅…。その格好は…」

「犯人は私達が必ず捕まえるわ。そして見事事件を解決するのよ。
 私達、薔薇乙女探偵団が!」

拳を握り締める真紅に、「ヒナも探偵やりたいのよ~」と嬉しそうに飛び跳ねる雛苺。
そんな2人の様子を、やや引いて見つめる翠星石。

「良い点に気づいた雛苺には、探偵助手という名誉ある役目を与えてあげるわ」

490:雪華綺晶はここにいる 8/38
08/07/02 00:58:57 Vu3UqG8N
「うーいっ、ヒナジョシュやるのよーっ!」

真紅が差し出すポシェットを雛苺は嬉々として受け取り、大切な宝物であるかのように
胸の前で抱きしめた。探偵助手などという名前の役割を振られて彼女ははしゃいでいるが、
その仕事内容の実際は、真紅にとって都合の良い荷物持ちでしかない。
盛り上がる真紅達をよそに、動き回れる程度まで恐慌から回復したのりは困惑していた。

「ううぅ~……。お掃除は大体終わったけど、今度はお買い物に行かなくちゃならないわ…。
 お姉ちゃん、お化けが怖くて外なんか歩けないわぁ。
 ジュンくーん! お買い物に行くんだけど、お姉ちゃん怖いから付き合ってよ~う」

「一人で行けよバカ!」

階段下からののりの呼び掛けに、ジュンは部屋から一歩も出る事無くそんな返事をした。

「うう……。つれないのねぇ、ジュンく~ん…」

くすんと鼻を鳴らして、のりが買い物の支度のために物置部屋の前から立ち去っていく。

「さあ。事件解決のために! 薔薇乙女探偵団、出動よ!」

真紅の号令のもと、3人は意気揚々と大鏡からnのフィールドへと進んでいった。


隔たったフィールドとフィールドを繋ぐ暗黒の亜空間を3人は飛びながら先へと進んでいる。
真紅はくんくん探偵になりきってやる気に満ち溢れ、雛苺は真紅から預かったポシェットを
肩に掛けたまま楽しげに後に続いている。翠星石はやや2人の空気に乗り切れていないものの、
蒼星石のかたきである水銀燈を倒すべくその瞳に強い意志の光を宿している。

「籠目 籠目」

暗闇をわずかに震わせる澄んだ歌声が響き、見渡す限りの闇の海に呑まれて儚く消える。

「籠の中の鳥は 何時 何時 出会う?」

そんな声の主の問いかけにも、高速で空間を飛翔している真紅達は全く気づかない。

「夜明けの晩に 鶴と亀が 滑った」

千年生きるといわれる鶴と、万年生きるといわれる亀。
ともに長寿の象徴とされる縁起の良い動物だ。その2つが滑って死ぬという不吉な歌詞。
わらべ歌にあるまじき不気味で奇妙な凶兆を意味した歌だった。

「後ろの正面 だぁれ?」

誰にも気づかれることなく闇の中から真紅達の背中をじっと見つめる、炯々と光る金色の
瞳が一つ。
白い髪と白い服のその姿は、夜闇を漂う白い人魂のようにも映る。
実体をもたない精神体である雪華綺晶は、現実の中では存在できない幻の少女人形だ。
そのため、そこに在りながら気配を誰にも認識されることがない。
真昼の太陽の下を浮遊する透明な幽霊のような薔薇乙女である。
その眼差しに愛情と親しみとやわらかな殺意を孕ませて、雪華綺晶は遠ざかる3人の姿を
いつまでも静かに見つめていた。




491:雪華綺晶はここにいる 9/38
08/07/02 00:59:41 Vu3UqG8N
真紅達がnのフィールドへ出かけた少し後。
パソコンに向かってインターネットショッピングにいそしむジュンは、部屋の窓ガラスを叩く
ノックの音に気がついた。
音の出所を見やれば、日傘を片手に掲げて宙に静止する金糸雀がそこにいる。
彼女の意図を酌んだジュンは窓を開け、部屋の中へと入れてやった。
常に真紅達薔薇乙女がたむろしているはずのジュンの部屋が、今日はとても静かだった。
部屋の主のジュン以外には誰もいないからだ。

「ジュンジュン。真紅達はどこにいるのかしら」

「知らないよ。犯人を見つけ出す、とか妙なことを言ってたけど…」

部屋の本棚に納めてあったくんくん変身セットを真紅が持ち出す際、何に使うのかと
ジュンは何気なく尋ねてみたが、彼女は詳細を語らず、ただ犯人を見つけて事件を
解決する、としか言わなかったのだ。

「真紅達…またカナを仲間はずれにしてどこかへ遊びに行ったのかしら!
 この策士金糸雀を怒らせると後になって怖いのかしら!」

頬を膨らませてぷりぷりと怒る金糸雀を無視して、ジュンはネットサーフィンを再開する。
そんな様子のジュンに金糸雀は一層不機嫌になり、苛立たしげに腕を組む。

「ジュンジュン! お茶とお菓子を用意して欲しいかしら。この金糸雀がわざわざ
 足を運んできてあげたのに、それを無視する真紅達なんてもう知らないのかしら。
 平和のための話し合いをかねたお茶会も、カナ一人で始めちゃうのかしら」

「煩いな。下にティーセットとお菓子が置いてあるから、勝手に食べてればいいだろ」

「なっ、なんて冷たいのかしら!? もういいのかしら! カナ一人でできるんだから!」

そう言い捨てて、金糸雀はその顔に不満を露にしてジュンの部屋を出て行った。
階段を乱暴に降りる金糸雀の両目には、うっすらと涙が滲んでいる。

「皆でカナをバカにして…! やっぱりカナを分かってくれるのはみっちゃんだけかしら。
 ここまでコケにされて、黙って引き下がるほどカナはお人よしでも甘くもないのかしら。
 こうなったらこの家のお菓子を全部食べ尽くしてやるのかしら! 兵糧攻めかしら!」

『金糸雀……』

突然の声に、金糸雀は周囲をきょろきょろと見回すが、傍には誰もいない。
ただの思い違いか空耳だろうと考えて金糸雀がまた歩き出すと、再び奇妙な声が
金糸雀の胸に届く。
人や他の姉妹の声とは違う、心に直接響くような不思議な声だった。

「な、何かしら…? …………。分かったかしら! 真紅達かしら! どこかから
 カナをからかっているのね! そう簡単にはこの金糸雀は騙されないのかしら!」

金糸雀は近くの部屋を片っ端から覗き込み、天井も見上げるが、どこにも誰もいない。

『金糸雀…。来て。こっちよ』

正体不明の声に、金糸雀はだんだん恐怖を覚え始める。
姿は見えないのに声だけは聞こえるのだ。
これは前にみっちゃんの家のテレビで見た、人をたぶらかし冥府へと引きずり込もうとする
怨霊とかいう恐ろしい存在ではなかろうか。

「か、カナはもう負けを認めてあげるのかしら…。いい加減姿を見せるのかしら…。
 真紅。雛苺。翠星石…」

492:雪華綺晶はここにいる 10/38
08/07/02 01:00:42 Vu3UqG8N
声に誘われるまま金糸雀は恐る恐る歩を進め、声の出所であると思われる部屋まで
たどり着く。着々と募っていく恐怖と危機感が命じるままに、一目散にこの家から
逃げ出した方が賢明だっただろう。しかし謎の呼び声にはそれを許さない、不可思議な
魅力があった。まるで好奇心を直接揺さぶりかけるようでいて、心理を巧みに操る術を
熟知しているかのようである。
部屋のドアは背の低い金糸雀でも入れるように半開きになっていた。
まるで金糸雀が部屋に入ってくるのを見越していたかのように。
ドアを引いて中に入ると、そこにはぬいぐるみや玩具、額縁に入った絵画や何に使うのか
分からない奇怪なオブジェが山と積まれ、混沌の様相を呈して余りある。
そんな中で一際目を引きつける大鏡。その偉容に魅了されるかのように、金糸雀は
鏡の前まで歩いていく。
今の彼女の行動は、甘い匂いに釣られて食虫植物の口へと自ら足を運ぶ、
小虫のそれと大差がない。
その事実に金糸雀が気づかないのは、彼女が愚かしいからなのか、それとも声の主の
魔力によって思考の一部に霧がかかっているからなのか。
鏡の前に立った金糸雀の姿が、鏡面に映し出されている。
緑がかった灰色のロールヘアに赤い薔薇をあしらったハート型の愛らしい髪止め。
翠緑の瞳に桃色の頬。日の光を思わせる黄色の上着に、オレンジ色のドロワーズ。
そんな鏡の中の絵が揺らぎ、一瞬後には雪華綺晶のそれに切り替わる。
予想だにしない異変に金糸雀は声を失い、雪華綺晶はゆったりとした笑みを浮かべて
右手を開いて前にかざす。雪華綺晶の右手から伸びる白い茨は鏡面を通り越して
白蛇のように金糸雀の首に巻き付き、先ずはその悲鳴と助けを呼ぶ声を封じた。
苦悶の表情もあらわな金糸雀の全身を次々と茨が縛り上げ、彼女は何が起こったのか
理解する暇もなく、鏡の中の世界へと引きずり込まれていった。



蜘蛛が巣にかかった獲物を糸でがんじがらめにするように、金糸雀の全身は白の茨で
縛り上げられている。金糸雀は首を始めとした身体の拘束の痛みに耐え切れずに、
とっくの以前に気を失っていた。そんな金糸雀をいたわる慈悲など一片も見せず、
雪華綺晶は茨で束縛した彼女をずるずると引きずりながら暗黒の中を進んでいる。
雪華綺晶の顔には何の表情も浮かんでおらず、ただ爛々と光る金色の瞳が前を
見据えているだけだ。
現在の状況は雪華綺晶にとっては僥倖だった。ローゼンメイデンシリーズの大半が
集う桜田家を監視するべく、物置部屋の大鏡を覗き窓としていた彼女が、うかつにも
家の住民に見つかってしまったのは用心深く狡猾な彼女にしてはらしくない失敗だった。
しかしそんな損得勘定を度外視したある種の狂気が、雪華綺晶には備わっている。
一秒でも早く身を隠すべき局面でもなお相手に微笑む程度の異常性は。
しかし事態は雪華綺晶の思ってもみない方向へと進んでいく。何を思ったのか、
真紅、雛苺、翠星石の3人が揃ってnのフィールドへと入ってきたのだ。遥か彼方の
領域には水銀燈の気配まで感じる。昨夜、彼女の媒介候補に契約の誘いを
かけたことが水銀燈の心情に何らかの影響を及ぼしたらしい。
さらに好都合なことに、残りの金糸雀まで桜田家にやってきていた。
渡りに船とはまさにこのことだ。
彼女を利用してある計画を実行するべく、雪華綺晶は動くことにした。
実体をもたないアストラルより成る雪華綺晶は、nのフィールドの中では十全に
活動できても、現実世界の中では存在することが許されず、現実に及ぼすことができる
影響力も姉妹の中では格段に弱い。鏡の中から話掛けて相手の心を揺さぶったり、
現実と虚構の境界面である鏡の近くのドアを開いたりするだけで精一杯だ。
雪華綺晶は巧みに金糸雀を蟲惑し、彼女が内側に潜む大鏡の前まで招き寄せた。
四肢は物質化できないものの、霊体という身体の制約には関係ない具現化した
茨ならば現実側にいる金糸雀を絡め取って捕まえることが可能だ。
まんまと金糸雀の虚を衝いた雪華綺晶は、素早く金糸雀の手足を縛り上げ、こうして
nのフィールド側へと引きずり込むことに成功した。まずは上々の成果を収めた
雪華綺晶は、次の段階へと手を進めるべく金糸雀を闇の奥深くまで引きずっていった。




493:雪華綺晶はここにいる 11/38
08/07/02 01:03:20 Vu3UqG8N
「お姉さま。お姉さま」

少女の甘い囁き声が届き、金糸雀は目を覚ました。
まず気づいたのは辺りの暗闇だ。
気を失う寸前まで居た桜田家の物置部屋も薄暗かったが、今居る場所はそこの比ではない。
星一つない夜よりもなお暗い濃密な黒闇が、空間の全てを支配している。
ついで気づいたのは身体の節々をうずかせる鈍い痛みだった。
白い茨によって幾重にもきつく縛り上げられた金糸雀の身体には、その苦痛の痕跡を
感覚の上ではっきりと残している。
最後に気づいたのは闇の中に在ってもなお白くまばゆい少女の姿だ。
うっすらと笑みを浮かべ、左目には温情が満ちている。
その瞳の奥におぞ気立つような冷酷な色が潜んでいようと、彼女の本性を知らない
者にとってはかすかな違和感を感じ取る以外にその狂気を見破る術はない。

「あ、貴女は一体誰なのかしら…?」

おずおずと尋ねる金糸雀の質問に何の反応も見せず、雪華綺晶はただにやにやと
微笑むだけだ。
同性でさえも虜にしてしまいそうな美しく甘い笑顔。甘すぎて吐き気を催すほどの。
黙ったまま何も喋ろうとしない得体の知れない少女に、えもいわれぬ不安が金糸雀の胸で
増大していく。何とか自分のペースで話を進めようと、彼女は空元気を振り絞って
雪華綺晶を威嚇するかのように胸を張る。

「ひ、人に名を尋ねる前に自分から名乗るのが礼儀というものね!
 このカナとしたことがうっかりしていたかしら。
 ローゼンメイデン筆頭の策士金糸雀よ!
 貴女も一度くらいはこの名を耳にしたことがあるはずかしら」

「………誰?」

きょとんとした様子で首をかしげる雪華綺晶に、金糸雀は見事に出端を折られて
意気消沈する。彼女の名前が相手に覚えられていないということは、もうこれで
何度目だろうか。そんなにも金糸雀という薔薇乙女は姉妹の中で影の薄い存在
なのかと、快活な彼女をして落ち込ませるほどだ。
そんな彼女が見えていないかのように、雪華綺晶は自身を指差してうわごとのように
つぶやく。

「私はだぁれ?」

「え…? う…ええっと…。ば、バラバラの姉妹か何か…かしら…?」

そんな噛み合わない問答を経て、金糸雀は無性に帰りたくなった。奇妙な呼びかけで
彼女を誘い出し、ここまで引っ張り込んだのは状況から考えて目の前の少女だという
ことは明らかだ。そんな不気味なことをする下手人と暗闇の中で2人きりというこの状況。
それでもなお安穏としていられるほど、金糸雀の肝は太くもなければ馬鹿でもない。
それに何より、この少女はどこか怖いのだ。乱暴な言葉で威嚇するわけでも武力を
突きつけるでもないが、正気を疑いたくなる奇矯な態度と、左目の瞳を覆う慈愛の
ヴェールの先に時折垣間見える、尋常でない何かが金糸雀の背筋を凍えさせる。
帰りたくなっても、nのフィールドの出口の場所はおろか自分が今どこにいるのかさえ
分からないことに、今更ながら金糸雀は気がついた。

「お姉さまは可哀想」

「えっ…? お姉さまって…カナのことかしら? 可哀想って突然何を言ってるのかしら?」

「認めてもらいたくても認めてもらえない可哀想なお姉さま。誰にも愛でられず、
 小さな籠の中の世界で、届かない唄をさえずり続けるか弱いカナリア」


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