【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 8【一般】at ANICHARA
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 8【一般】 - 暇つぶし2ch221:名無しさん@お腹いっぱい。
08/01/22 00:49:19 EJio1SMG
>>193
蒼星石が男の肩に触れると、脳裏に残像のようなものが流れ込んできた。
(これは・・・彼の記憶の一部?)
若い女性、中年の女性、飛び散る血、そして涙の雫。
グロテスクなものが次々と蒼星石の頭に、目に明確なビジョンとして流れ込んでくる。
(ひどい・・・なんて苦しい過去なんだ)
彼女がラスティの記憶の断片を見ている中、彼はスパイダーをじっと観察していた
研ぎ済まれた感性を集中させ、鋭く中央コア部分を凝視する。足やケーブルは止まっていて、完全に停止している。
「時間だ。何を泣いている」
「え?」
蒼星石は気がつくと、頬から涙が零れ落ちていた。
「涙を流すなんて久々かな」
「赤の他人のために泣く必要はない」
ラスティの顔が始めて会った頃のように無骨なものに戻っている。
「泣いたことはないのかい?」
スパイダーのコア部分から人間の形をした物体が降りてくるのが見えると、ラスティは体性を起こした。
「涙?そんなものは枯れ果てた!」
そう言って瓦礫から飛び出すした。
正面に銃を構える人間のような姿をした物体、アンドロイドに突っ込んでいく。
ラスティは速かった。アンドロイドが銃を構える頃には既に終わっていた。
アンドロイド達は綺麗な断面図を描き、胴体を切り裂かれていた。
「終わった」
蒼星石は壊れたアンドロイドの中に佇むラスティの方へ向かった。
「今日はもう終わりだ」
「君は本当に人間?」
「ああ」
どう見ても人間とは思えない動き。彼もアンドロイド?という疑念が過ぎったが、きっと進んだ世界の技術なんだろうと結論付けておくことにした。
それよりも今は一刻も早くこの場から離れたかった。臓器や血が飛び散り、生々しい殺戮現場と化しているようなところには一分一秒でもいたくなかった。
「ねえ、そろそろ帰ろうよ」
「俺に帰る場所はない。ただ放浪するだけだ。それに」
ラスティは言葉を切ると、今はただの死体と化した人間のところへ行き、ナイフで胴体を切断した。
死体は強力な酸を浴びたかのように蒸発していった。
「こいつらの後始末もしておかないと後々厄介なことになる」
そう言ってスクラップとなった車の下敷きになった死体へ近寄る。
その時、蒼星石の脳裏に死体が動き出すビジョン、デジャヴが起こった。
「危ない!」
「!?」
ラスティが気づいたときには、死体の手は鋭い剣のようなものになっていた。
蒼星石は咄嗟に鋏を投げつける。
「間に合え!」
死体が手を振りかざした瞬間、鋏は脳を貫き、そのまま蒸発した。
ラスティは蒼星石の方を振り返った。
「つまりこういうことになるわけだ」
「ここからは危険な匂いがする。早く離れよう」
「そう言うなら仕方ない。命の恩人に逆らうわけにもいかないからな」
「恩人だなんて。大げさすぎるよ」
「この世界で他人を救うようなヤツはいない。お前くらいなもんさ、そんなお人好しは。さ、行くぞ」
二人はすぐにその場を去った。


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