08/01/19 03:12:39 G0FMlmAv
「じゃあ、行って来るよ。近い内にそのドレス、ちゃんと洗ってやるからもう少しだけ、我慢してくれな」
( お気になさらないでください お父様 なんだかこの服 じぶんで黒くなってゆくんですから )
「いやいや・・・それが汚れというんだよ水銀灯」
( ? )
きょとんと首をかしげる水銀灯と苦笑する男。
自分の言っている事と水銀灯の言っている事にはどこかズレはあるが、それもまた会話の味と言うものだ。
男はそう思うことにした。途端にめまいがする。
( ! お お父様! )
「ん・・・んん、大丈夫、いつもの事だよ。もう気にしなくていいから、後はゆっくりしてなさい」
( ・・・でも・・・ )
「さ、もう行かなくちゃ。そうそう、本は新しいの図書館で借りてきてるから、続きが読めるぞ」
( ・・・はい・・・ じゃあ 気をつけて行ってきてくださいね )
「ん。行ってきます!なるべく早く帰ってくるから、留守番宜しくな」
( はい! お父様 )
男は微笑んで、水銀灯に小さく手を振りながらドアを閉めた。
ドアの内側には、水銀灯の少し寂しそうな顔だけが残っている。
やがて男の足音が聞こえなくなると、水銀灯は少し背伸びをしてそっと・・・ドアの鍵を掛けた。