アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ9at ANICHARA
アニメキャラ・バトルロワイアル2nd 作品投下スレ9 - 暇つぶし2ch360:名無しさん@お腹いっぱい。
07/12/03 01:24:57 DTWLnPI7
したらば厨どもめ
外にとびだしやがったな

361:名無しさん@お腹いっぱい。
07/12/03 23:11:28 BnAwu2aW
そのバトロワ、面白そうだな

362:奪え、全て、その手で 1/10 ◇1sC7CjNPu2
07/12/04 05:35:21 f25l5XK/
 アルベルトは不死の少女を小脇に抱えながら、ある場所を目指して走っていた。

 ―放送まであと数十分といったところか。

 アルベルトは、軽い苛立ちを積もらせていた。
 伝言が思うように伝わらないことから、アルベルトは別の手立てを考える必要があった。
 しかし、これといったものが考え付かなかったのだ。
 十傑衆の一人としてどうかと思ったが、そもそも初めの段階で最良と考えたのが伝言なのだ。
 その伝言と比べると、どれもこれも最良とは言いがたいものばかりになってしまう。
 どうも手詰まりな感触に、アルベルトがさらに苛立つと―目的の建物が見えた。

 「ふん、あれか」
 「え?」
 「黙っていろ、舌を噛み千切るぞ」

 アルベルトは声に反応した少女に、素っ気なく注意しておく。
 そして―アルベルトは、その場に急停止した。

 「ぐがはっ!」

 アルベルトの抱えた少女が、いささか下品な悲鳴を上げる。
 少女はアルベルトの注意を聞かなかったのか―というより、理解できなかったのだろう。
 慣性の法則というものがある。移動しているものはずっと移動しており、静止しているものはずっと静止しているという法則だ。
 少女もバスが急停車する時になど、その法則を実感することがある。
 少女は慣性の法則通りに進行方向に引っ張られ―胴体はアルベルトの腕でがっちり固定されているため、体が引き千切られそうな痛みに襲われたのだ。
 車以上の速度で駆け、人を握りつぶすぐらい朝飯前の腕力である。
 アルベルトとて、相手が不死身でもなければまずやらない。……苛立ち混じりだったのはいささか大人気ないと言うしかないが。

 「……もう……ちょっと、女の子は……労わり、なさいよ」

 息も絶え絶えのかがみの文句を黙殺し、アルベルトは眼前の建物に目をやる。
 まるで城のような建物だ。中央に四角形の城塞じみた建物に、左右に中央の四角形よりゆうに二倍の大きさはある塔が繋がっている。
 塔の二倍の大きさというのは縦もそうだが、横にも二倍の大きさなのだ。二かける二で、四倍と言った所か。
 その大きさのせいで、中央の建物がとても小さく見える。
 窓は、どういうわけか一切見当たらない。唯一内部を覗けるのは中央の建物に設けられた自動ドアだけだ。
 さらに自動ドアの上には達筆で書かれた看板が掲げられており、それが唯一その建物の役割を表している。

 私立図書館『超螺旋図書城』

 「断じて図書館には見えん」
 「城ってなんだ、城って」
 二人は思わず突っ込んだ。

363:奪え、全て、その手で 2/10 ◇1sC7CjNPu2
07/12/04 05:36:33 f25l5XK/
 アルベルトがこの図書館を目指した理由は、割とシンプルなものだ。
 四方八方に散った参加者たちは、おそらく地図上の施設を目的地として行動するはず。
 戴宗もまた、人が集まりそうな場所を目的地として行動しているだろう。
 アルベルトは地図上にある施設をすべてか、あるいは幾つかを回ればいずれ戴宗に出会うだろうと考えたのだ。
 空振りであっても書置きなどの手段があるし、人がいた場合は伝言という手がある。
 ……ただやはりアルベルトは、どうも十傑衆としていささか考えが安直すぎる気がしてならないのだった。

 ■

 
 ガラス張りの自動ドアが開き、アルベルトたちを館内に迎え入れる。
 外観通りかなり大規模な―そして、奇妙な造りだった。
 正面玄関からすぐに貸し出しのためのカウンターがあり、そこから左右に塔へ続く通路がある。
 通路の先には、螺旋状の書架がところ狭しと並べられていた。
 螺旋状の書架はそれ自体が柱として機能しているのか、床から天井まで繋がっている。
 書架の前には螺旋階段が作られており、それを上がって本を取れということだろう。
 螺旋状の書架の隙間には、読書のためと思われる机と椅子が幾つかあった。

 ―変わっているどころか、文字通り捻くれた図書館だな。

 上にある資料を取るためには、馬鹿みたいに高い所まで螺旋階段を上らなくてはならない。
 利用者にとって、わざとらしいほどに不親切な作りとなっている。
 ……もっとも現在この舞台において利用者とは参加者に他ならず、不親切な作りになっているのも頷ける話であるが。

 「本を読んでる暇があったら、他の所に行けということか」
 「は?……痛っ!」
 「そこらで適当に待っておれ。逃げても無駄だとは分かっているだろう」

 少女を床に放り出し、アルベルトは単身で貸し出しカウンターの奥に進む。
 カウンターの奥には、おそらく従業員用の通路が続いていた。

 ■

 アルベルトは、館内に入った時から人の気配を探っていた。
 しかしこれといった反応はなく、後は人が潜んでいそうなのはこの通路しかなかった。
 何者かが―特に戴宗が身を潜めていることを期待していたアルベルトだが、残念なことに期待は外れることとなった。
 通路の奥には会議室や職員用の更衣室など様々な部屋があったが、人が潜んでいるということはなかった。
 階段があり、上がってみたがどこも同じようなものだった。

 ―戦闘が起きた時お荷物にならぬように不死の娘を置いてきたというのに、無駄足か。

 アルベルトの苛立ちはさらに積もる。
 念のため他の参加者たちの書置きなどがないか調べ、アルベルトは最後に『書庫』とプレートに書かれた扉を開いた。


364:奪え、全て、その手で 3/10 ◇1sC7CjNPu2
07/12/04 05:38:02 f25l5XK/
 書庫は、一般利用者の立ち入りが禁止される資料や文書を保管する倉庫だ。
 本の劣化や損傷を防ぐため、基本的に窓はなく温湿度はほぼ一定に保たれている。
 基本的に希少だったり貴重な資料や文書を保管しているものだが、所詮は螺旋王によって作られた舞台装置。
 そうたいした物はない―そう、アルベルトは思っていた。

 「……これは、ロボットの設計書か」

 『ガンメンの設計図まとめ』。アルベルトが何気なしに手に取った本のタイトルだ。
 特に期待もせず本を開いてみると、そこにあったのはBF団の所有するロボットと並ぶほどのロボットの設計図だったのだ。
 数枚ページをめくり、それから今度は書架にある本のタイトルを凝視していく。
 『獣人の製造法』、『トビダマの原理』、『カテドラル・テラの運用について』、『アンチ・スパイラルに対しての考察』。
 どれもこれも、アルベルトの知らない単語ばかりだ。

 ―惜しい。

 そう、アルベルトは思う。
 これだけの未知の資料だ。持ち帰れば、BF団に取ってどれだけの利益になりえるだろうか?!
 しかし、今はこれだけの資料や文書を持ち運ぶことはできない。この殺し合いの場で、余分な荷物を抱え込む余裕などないからだ。
 そして一刻も早く戴宗との再戦を望むアルベルトに、これだけの資料に目を通す時間はない。
 しかたなくアルベルトは手に持った本だけをデイパックに詰め、書庫を後にすることにした。
 何も焦る必要はない。後々にBF団の力を持って奪取すれがいいだけのことだ。

 ―しかし、これだけの資料を会場に放置しておくだと?
 ―螺旋王とやらはいったい何を考えている?

 ■

 不死者の少女―柊かがみは、ひたすら落ち込んでいた。
 思えば、この殺し合いに参加させられてからいきなり襲われたのは初めてのことだ。
 木津千里との時とは違う。完全に、人を殺すのを躊躇しない襲撃者。
 あっという間に千里とかがみは殺され―かがみだけが、こうして生き残った。

 「いいのよ、別にあんなやつ……」

 不思議と襲撃者の恐怖より、千里が死んだことの方がかがみには重苦しかった。
 かがみはできるだけ、千里の悪いところを思い出すことにした。
 あいつは最低の人間だ。死んでもよかった、数時間だけ一緒にいただけの人間だ。
 そう思わなければ、やっていられなかった。

 『あなたはこう言いたいのでしょう?自分の友達が心配だって』
 『つかささんだけいればなんて言っても、他のお友達のことが気になるのでしょう? 私にはそうとしか聞こえなかったけれど?』


365:奪え、全て、その手で 4/10 ◇1sC7CjNPu2
07/12/04 05:39:06 f25l5XK/
 「―っ!!」

 激しく頭を振って耳に残る、暖かな千里の言葉を忘れようとする。
 思い出してはいけない。意識してはいけない。でないと、柊かがみは勝ち残ることができない。
 そう思い込まなければ、やっていられなかった。


 つかさが死んだとき時のことを思えば、千里の死んだことなんてどうということはない。
 無理矢理に考えを締めくくり、かがみは今後のことについて考えを巡らせた。
 第一に考えたのは、自分を助け出したズタボロのスーツの男についてだ。

 ―あの男は、不死の能力者は貴重だと言ってたわよね。
 ―そして、貴様のためにやった訳ではないと言った。

 ツンデレ、ということではないだろう。かがみは、不死者である利用するために助けたのだと予想する。
 だけど、いったい何に利用するというのだろう?
 あれこれ考えたものの検討が着かず、かがみは頭を抱えた。
 ―まあ、いいわ。とにかく私を利用するつもりなのは間違いないだろうし……
 だとしたら、自分はどうすべきか。
 立ち向かった所で、不死者である以外は普通の女子高生であるかがみに勝ち目はない。
 逃げたところで、あの脚力だ。間違いなくに追いつかれるだろう。

 ―逆に、あいつを利用する?

 そう悪くない考えだと、かがみは思った。
 あの男が何を考えているかは分からない。けど、あの男は間違いなく強い。
 支給品かアニメのような特殊能力なのかは分からないが、赤と黒の衝撃波をかがみは確かに見ていた。
 あの男を上手く他の参加者たちにぶつければ、自分は楽に勝ち残ることができる。

 ―こなたや、ゆたかちゃんだって……あの男をぶつければ。

 そこまで考えて、かがみは自分に嫌悪を覚えた。

 ―最悪だ、私。

 とにかくその事だけを思考から追い出し、考えを再開させる。
 とりあえず、従順なふりをして男の気を惹いてみよう。話し合えば、あの男を操作する手段が思いつくかもしれない。
 そこまで考えて、かがみは自分があの男を篭絡しようとしているのだと気づいた。
 苦い顔をして、思う。

 ―こなたに知られたら、趣味が良いって言われそうね。

 あの親友なら趣味が悪いとは絶対に言わないと、かがみには確信できた。

 ■




366:奪え、全て、その手で 5/10 ◇1sC7CjNPu2
07/12/04 05:40:26 f25l5XK/
 とりあえず、待っている間にあの男に好印象を与える策を考えておくべきだ。
 そう思い、かがみはカウンターの辺りを調べることにした。
 何か役に立ちそうなものを見つけてあの男に渡せば、少しぐらい印象は良くなるだろうという考えだ。
 『アイテム渡して好感度UPってやつだね』
 ……なぜかこなたの声が聞こえた気がしたが、幻聴だ。かがみは、無視して調べを進める。

 「……流石にそう簡単に見つかるわけないか」

 特にそれらしい物はなかったため、かがみは男が入っていった通路を覗く。
 どうやら真っ直ぐ行くと裏口と繋がっているようで、それまでの道に幾つか十字路がある。
 ドアは幾つか見受けられ、男が点けていったのか照明の明かりがドアの隙間から漏れている。
 入ってきた時の大きさからして二階か三階ぐらいあるはずだが、ここからでは死角になっているのか階段もエレベーターも見当たらない。
 とりあえず、かがみはすぐ近くにある部屋に入ってみることにした。

 「……休憩所、てところかしら」

 ロッカーに、パイプ椅子と簡素な長机。長机の上には電気ポットと紙コップ、お茶葉にインスタントコーヒー、ティーバックが置かれている。
 それが図書館では一般的なものなのか、図書館について詳しいわけではないかがみには分からない。
 かがみとしては、そこにあるものを使わせてもらうだけだった。

 ■

 「べ、別にあんたのために作った訳じゃないからね!」

 貸し出しカウンターに戻ってきた男を、かがみはそう言って出迎えた。
 かがみは近くの読書スペースに座っており、机の上には自分用に入れた紅茶にと男用に入れたコーヒーが置いてある。
 好感度稼ぎの一つとして入れたのものだが、待っている間になんと声をかけようかと迷い、なんか恋する乙女っぽくないかと自身に邪推を抱き、自分に突っ込みを入れながら結果として出た言葉がそれであった。
 こなたが見たなら、ナイスツンデレと絶賛したことだろう。
 年頃の男たちから見てもおそらく十人中の十人は『可愛い』と称するだろうものだが―残念なことに相手が悪かった。

 「そうか」

 それだけ言い、かがみの対面に座りコーヒーを一口飲む。
 まずい、そう呟くのがかがみに聞こえた。
 て め ぇ。




367:奪え、全て、その手で 6/10 ◇1sC7CjNPu2
07/12/04 05:41:34 f25l5XK/
 「自己紹介がまだだったな。ワシの名はアルベルトだ」
 「……私の名前は、柊つかさ。……嘘よ、柊かがみ」

 つかさと名乗ったときに、男―アルベルトはかがみを強く睨みつけた。
 かがみは元々すぐに名乗るつもりだったので、あっさりと本名を告げる。
 アルベルトが不死者とは思えなかったが、念のためというやつだ。

 「まあいい、お前は戴宗という男を知っているか?」
 「……いいえ、知らないわ」

 小さく、アルベルトは舌打ちをした。
 かがみは少しビクっとしたが、出来るだけ平静を装う。
 ―戴宗、その人を探してるのかしら?
 幾つか疑問が浮かんだが、今は覚えるだけに留まる。

 「助けてもらった事もあるし、私から知ってることを話すわね」

 一口紅茶を含んで、かがみはこの会場に着てから判明したことを話す。
 会場の端と端が繋がっていることと―不死者についてだ。
 不死者について話すのにはもちろん、打算がある。
 何に利用されるにしろ、デメリットは把握してもらわなければならないからだ。
 偽名が使えないことは、その最もなことだろう。
 またこの会場に他に不死者がいるとすれば、対抗する手段としてかがみ自身が非常に有効なはず。
 そう考え、そのことをアピールするようにかがみは話す。
 そう話は長くなく、かがみは全て話し終える。そして、全てを聞いたアルベルトが少し時間を置いて口を開く。

 「この舞台には『不死の酒』なるものが支給されており、飲んだものは不老不死―不死者となる。
  不死者となったものは同じく不死者となったものに『食われる』他に死ぬ手段はなく、
  そして食った方の不死者は食われた方の不死者の知識と経験を我が物にできる。……そういうことだな?」

 確認するようなアルベルトの言葉に、かがみは頷く。
 ふと、かがみは疑問に思う。確認するにしては、アルベルトが言ったことは不死者のルールの一部だ。
 なぜ、その部分だけを確認するのか?
 かがみの疑問をよそに、アルベルトはゆっくりと口元を釣り上げて言う。

 「その不死の酒、まだ貴様は持っているか?」
 「……いいえ、持ってないわ」

 どこか、薄ら寒いものを感じながらかがみは答える。
 ひょっとしたら瓶に数滴分ぐらい残っているかもしれないが、あえて言うつもりはない。
 不死の酒を求めるということは、不老不死になりたいというのだろうか?
 ならば、そのことを餌に他の参加者たちを襲わせることは出来そうだが……。

 なにか違うと、かがみは思った。




368:奪え、全て、その手で 7/10 ◇1sC7CjNPu2
07/12/04 05:42:36 f25l5XK/
 アルベルトは、かがみを見ている。まるで物色しているような目だ。
 雄が雌を見るような厭らしさは感じない。ただ、使えるか使えないかを品定めされているような感じだ。
 知らず、かがみは冷や汗を流していた。

 「小娘、貴様はワシを利用しようとしているだろう?」
 「っ!……ええ、そうよ」

 ―見透かされてた!
 けど、まだ取り返しは利く。そう思い、かがみは不敵な笑みを浮かべる。
 ちゃんと考えた通りの表情になっているかは、自信がなかった。

 「なに、お前も気づいていただろう?ワシがお前を利用しようと考えていることに」
 「……ええ、とても分かりやすいセリフだったからね」

 やけに饒舌になったと、かがみは思った。
 喜んでいるのか、焦っているのか、何か考えがあってなのか。まったく分からない。
 とにかく、クールになることをかがみは心がける。

 「最初は、その不死の能力を目当てにお前を助けた。貴重な能力であり、死なぬことからメッセンジャーに仕立て上げようとした。
  しかし、お前の話を聞いてその利用方は随分と変わった」
 「……何?」
 「なに、お膳立てをしてやる。お前にも協力してもらうことになるがな」

 アルベルトは、さも愉快に笑う。
 かがみは、アルベルトから不気味なプレッシャーを感じていた。
 何か、恐ろしいことを要求される。なぜか、そう思った。
 そして、アルベルトは告げる。



 「お前に、螺旋王を食ってもらいたい」



 ■




369:奪え、全て、その手で 8/10 ◇1sC7CjNPu2
07/12/04 05:43:40 f25l5XK/
 「……螺旋王を食うって……そんな、どうやって!」
 「それはまだ検討がついとらん」
 「何よそれ!」

 かがみの悲鳴じみた言葉に、アルベルトは飄々と答える。

 「なに、まだ情報が足りないだけのことよ」
 「……情報?」
 「そうだ。螺旋王の目的に始まり、この忌々しい首輪に、この舞台のこと。
 それらの情報を集めれば、活路は見出せるかもしれん」
 「……可能性の話でしょう」
 「確かにそうだ。しかし、それを言うならば螺旋王が願いを叶えるというのも可能性の話ではないか?」
 「そ、そうだけど……そもそも、螺旋王が酒を飲んでる保障なんて」
 「飲んでいないなら、飲ませればいい。
 この舞台のどこかにまだ残っているかもしれんし、不老不死となる妙薬を、サンプル一つ残さず参加者に分けるとは考えられん。
 おそらく、螺旋王の根城にまだ残っているはずだ」
 「……」

 かがみの疑問は、アルベルトによってことごとく叩き伏せられる。
 アルベルトの言葉は、あくまで可能性の話だ。
 かがみはそれを理解している。
 しかし―かがみはその可能性に、希望を見出していた。

 かがみの目的は、つかさを生き返らせることだ。
 そのために殺し合いに乗り、螺旋王に願いを叶えてもらうつもりだった。
 しかしアルベルトの言う通り、螺旋王が願いを叶えるかは可能性の話だ。
 なら、どうやって願いを『必ず』叶えるか?

 ―私が、螺旋王を食えば。
 ―願いは、思いのままだ。
 ―つかさを、生き返らせることが出来る。
 ―木津千里だって、生き返らせることが出来るかもしれない。
 ―こなたや、ゆたかちゃんを殺す理由なんかなくなる。

 それに、優勝するためには目の前のアルベルトや千里を殺した襲撃者たちを相手にしなければいけない。
 そう考えると、かがみには螺旋王を食うという手段の方が願いを叶えやすそうな気がした。
 ならば、かがみには拒む理由なんてどこにもない。
 ハッキリとした声で、告げる。


 「利用されてあげるわ。螺旋王は、私が食う」


 ■




370:奪え、全て、その手で 9/10 ◇1sC7CjNPu2
07/12/04 05:45:03 f25l5XK/
 ―乗り気になったようだな。

 かがみの宣言を聞き、アルベルトは満足げに頷いた。
 どうやらかがみは自分に対するメリットのことで頭が一杯のようで、アルベルトに対するメリットにまで頭が回らないようだ。
 アルベルトに対するメリット―それは、かがみが螺旋王を食うこと。
 正確には、かがみが螺旋王の知識と経験を得ることだ。

 アルベルトは書庫にあった本や、かがみの語った舞台がループしているという話を聞いて確信したことがある。
 螺旋王の持つ技術はBF団と同等か―認めたくないことだが、BF団以上のものである。
 その技術を、BF団が手に入れるにはどうすればいいか?
 螺旋王を直接BF団に連行するという手もあるが、それは難しいと言わざる終えない。
 しかし螺旋王の知識を持った、ただの小娘ならば?
 不死の能力に加え、かがみは最上の土産になるはずだ。

 ―本人が望むのなら、BF団のエージェントにしてやってもいいかもしれんな。

 不死の能力と、螺旋王の知識があるならそれも可能かもしれん。アルベルトは冗談交じりにそう考えた。

 ■

 「さて、取らぬ狸の皮算用はここまでするか」
 「……そうね」

 アルベルトの言葉に、かがみは静かに同意する。
 かがみは若干興奮した心を落ち着けるために、紅茶を一口飲む。
 図書館内の掛けられた時計を見ると、もうじき放送が始まる時刻だった。

 「放送を聞いた後にこれからの方針を話し合う。いいな」
 「あ、それなんだけど。提案があるの」

 なんだ。とアルベルトが眉根を寄せる。
 かがみはそれに構わず、一度深呼吸をする。
 今まで、あえて忘れていたことを思い出したからだ。
 必要なことだから、かがみは思い出した。
 それが自分の心の傷を抉る行為だとは分かっていたが、今はその先に希望があるから。

 「私、同じエリアにいる人間の名前と位置が分かるレーダーと、首輪が落ちている場所を知ってるわ」

 つかさの、首のない死体が横たわっている場所。
 そこに、かがみの希望があった。
 アルベルトが何か口を開こうとした時―ちょうど、放送が始まった。




371:奪え、全て、その手で 10/10 ◇1sC7CjNPu2
07/12/04 05:46:17 f25l5XK/
【B-4/図書館/一日目/昼(放送直前)】

【衝撃のアルベルト@ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日-】
[状態]:疲労中、全身にダメージ、右足に刺し傷(それぞれ消毒液や軟膏・包帯で応急措置済み)、スーツがズダボロ
[装備]:なし
[道具]:支給品一式、シガレットケースと葉巻(葉巻4本使用)、ボイスレコーダー、シュバルツのブーメラン@機動武闘伝Gガンダム、 赤絵の具@王ドロボウJING、
自殺用ロープ@さよなら絶望先生、ガンメンの設計図まとめ、不明支給品0~2(本人確認済み)
[思考]:
基本方針:納得の行く形で戴宗との決着をつける。
1:戴宗を再び失うことに対する恐れ。そうならないために戴宗を探し、情報を集める
2:複数の施設を回って人がいたら伝言を、いなかったら書置きを残す。メッセージの内容は決まっていません。
3:放送後、かがみの言ったことを確認する
4:かがみに螺旋王を食わせ、BF団に持ち帰る
5:脱出の情報を集める
6:いずれマスターアジアと決着をつける
7:他の参加者と馴れ合うつもりはない
8:脱出不可能の場合はゲームに乗る
[備考]:
※上海電磁ネットワイヤー作戦失敗後からの参加です
※ボイスレコーダーにはなつきによるドモン(と名乗ったチェス)への伝言が記録されていますが、 アルベルトはドモンについて名前しか聞いていません。
※会場のワープを認識


【柊かがみ@らき☆すた】
[状態]:不死者、私服に切り傷
[装備]:なし
[道具]:なし
[思考]
基本方針:つかさのために、もう少し頑張ってみる
1:螺旋王を、食う
2:1の目的のため、レーダーと首輪と不死の酒の入っていた酒瓶を回収する(B-2の観覧車前へ)
3:アルベルトに利用され、利用する
[備考]:
※第一放送を聴きましたが、つかさの名前が呼ばれたということ以外は覚えていません(禁止エリアはB-1のみ認識)
※会場端のワープを認識


【『ガンメンの設計図まとめ』『獣人の製造法』、『トビダマの原理』『カテドラル・テラの運用について』『アンチ・スパイラルに対しての考察』】
 タイトルそのままの書籍の数々。
 その他多くの書籍あり。




372:第2回放送◇10fcvoEbko 代理投下
07/12/04 21:23:24 cuTpR5Br
真っ白に輝く太陽が、天の最も高みへと至ったのと同時に、どこからともなく大気を震わせる音が響いた。
殺戮と疑心、そして脆くはかない友愛の舞台に隈無く届く声の主はその主催者たる螺旋王。
鉄壁の威信を放つ四天王が脇を固めるなか、ロージェノムによる放送が始まった。





さて、二度目の放送を行う。
無事にこれを聞いていられる貴様達には、ひとまずおめでとうと言っておこうか。
どのような方法をとったにせよ、今現在生き残っていることは確かなのだからな。
くくっ、貴様達にしてみればいささか表現が陳腐過ぎると思うかも知れんな。
そう思われてしまうのも仕方のないことだ。
私は貴様達程個性に富んではいないのでな。
順調に殺し合いを進める者、善良を装い機を窺う者、いずれの方法にせよ私の説明に従い殺しあおうとする者がいるかと思えば、未だ平然と己が道を行きこの放送すら意に介さぬ者もいる。
実に、面白い。
そのような豪胆な振る舞いもまた良いだろう。それはそれで一つの力であると言うことも可能だからな。
だが、それができぬ者達はせいぜいあがき、戦い、知恵を振り絞るが良い。
それぞれの持つ力を精一杯生かし、殺し合いに励むことだ。
命と引き替えにだが、新たに螺旋の力を目覚めさせた者も現れた。
そのような者が現れてこそ、この実験を行う意味があるというものだ。
と、知恵を武器にする者達のためにも言っておこうか。
それでは、禁止エリアの発表を行う。数は前回と同じく三つだ。

13時よりD-2
15時よりF-8
17時よりG-4

以上。…あぁ、付け加えておくとモノレールの車両内に限り、禁止エリアからは除外される。
続いて、死亡者の発表だ。

アイザック・ディアン
アルフォンス・エルリック
泉こなた
エリオ・モンディアル
木津千里
玖我なつき
クロ
ジャグジー・スプロット
パズー
パルコ・フォルゴレ
風浦可符香
マース・ヒューズ
間桐慎二
ムスカ
ヨーコ
ロイド・アスプルンド

以上、十六名。
前回よりも大幅に数が増えたな。やっと要領を掴んできたと言ったところか。
今まさに闘争を始めようとする者達もいることだ。その邪魔をするような不粋な真似は、この辺りでやめておくとしようか。
次の放送も、同じように六時間後に行う。
それまでの間、思う存分に闘争を続けるが良い。





声は止み、その残滓は海に、大地に溶けて消える。
実験の箱庭の中で、様々な願望を希求する者達の抗いが、続いていた。

373:名無しさん@お腹いっぱい。
07/12/06 01:03:29 5ojcHnCw
なにが代理投下だwww

374:好奇心は猫をも殺す ◇jbLV1y5LEw 代理投下
07/12/06 01:12:54 zeto7K9z
無人の商店街を一人の少女が歩く。
スカリエッティの作り出した戦闘機人の開発ナンバー4、クアットロはご機嫌だった。
先ほどの放送によればまた一人、自分とドクターの敵である機動六課の人間が死んだのだ。

(うふふのふ~。全く、螺旋王には感謝したいものですわ。ドクターの敵を労せず片付けてくれるんですから)

偽善者ぶった連中のことだ。
螺旋王を逮捕しようと動き回っているのだろう。
そして勝手に殺し合いに巻き込まれ、次々に死んでいくに違いない。
その想像に、クアットロは思わず頬を緩ませた。
もちろん、彼女自身もその殺し合いに参加させられている。
だが、クアットロはいつだって他人を操る側だった。
無力な命を弄び、蹂躙し、もがく様を観察するのが彼女の定位置なのだ。
今回も他の参加者を操り、殺し合わせ、最後の一人になってみせる。
最初は少ししくじったが、何、肩の傷もあの男に埋め込んだDG細胞を使って治せば万事解決だ。

そんなことを考えながら、クアットロは重傷の男にDG細胞を埋め込んだ辺りにやってきた。
何やら遠くで火災が起きているようだったが、あからさまに危険そうな場所にわざわざ一人で出向く必要はない。
まずは苗の経過を見るつもりだったのだ。
だが、そこにいるはずの実験体は、どこに行ったのか、姿がなかった。
場所を間違えたかとも思ったが、残された血痕から見て、ここに間違いはない。

「あら、あらあら~? まさか、もう動けるようになったの?」

少々驚きながら周囲を探索していると、別の強い血の香りがクアットロの鼻をついた。
その臭いの元はどうやら一軒の店舗のようだった。

(これはもしや……)

クアットロはなるべく息を、足音を殺して店の中へと入っていく。
中に入って飛び込んできたのは予想通り血の赤。
辺り一面には赤黒く染まったタオルが散らばっていた。
予想とは違ったのは死体そのものの有無だ。
とはいえ、その残された血の跡からして、ここでおそらくは複数人が死亡したのは間違いない。

(殺害方法は近接武器による刺殺や斬殺……ってところでしょうか?)

弾痕や銃の薬莢などがなく、屋内であることから狙撃などによる銃殺も考えにくい。
特殊能力による殺害という線もあるが、辺りにそれらしき焦げ跡、破壊痕もない。
おそらくはここにあの男の身体を運び込んだ集団が仲間割れを起こしたか、侵入してきた第三者によって殺害されたのだろう。
いずれにせよ、争った形跡がほとんどないことから、不意をついての一瞬だったに違いない。

(一人で来たのは下策だったかもしれませんわね)

ゲームに乗った殺人者がこの辺りをうろついているとしたら、クアットロも危ない。
冷静に考えれば、早々にこの場を離れ、ヴァッシュの元に何食わぬ顔で戻るのが良策だろう。
だが、クアットロはどうしても気になることがあった。

(う~ん、それにしても……。なんで死体がないのかしら?)

あのDG細胞を植え付けた男もおそらくは死んだだろうが、その細胞の効果がいかほどであったか、確認したい。
それに、ここで死亡したであろう、他の参加者はどうなったのか?
さきほど、螺旋王は放送で言った。
命と引き換えに螺旋力に目覚めた者がいる、と。
ここで死亡した者がそうだとしたら?
螺旋力がいかなるエネルギーか、想像もつかないが、その死体には螺旋力の痕跡が残っているのではないか?
DG細胞と螺旋力、この二つの未知なる存在への好奇心がクアットロの冷静さと慎重さを削いだ。

375:好奇心は猫をも殺す ◇jbLV1y5LEw 代理投下
07/12/06 01:14:30 zeto7K9z
死体を運んだ時についたであろう血の跡をたどって店の裏側に回る。
そこには木簡が刺さった土饅頭四つあった。
墓のようだったが、名前を確認してクアットロは首をかしげた。

(無名の少女はおいておくとして……ロイ・マスタング?)

名前の確認できる他二名と違い、ロイ・マスタングの名前は先の放送で呼ばれていない。
殺した相手とともに、死んでもいない相手の墓を作る。
この行為に一体、何の意味があるのか?

(ま、改めれば分かることですわね)

そう思い直し、クアットロはまだ動く右手に支給品を握りしめ、スコップの代わりに土をほじくり返す。
『ロイ・マスタング』の墓には何もなかったが、次に掘り返した『マース・ヒューズ』の墓からは見知らぬ中年男の死体と、大量の支給品が出土した。

「あらあら。何を考えてるのかしら、もったいない。私が有効活用してあげましょう」

上機嫌でクアットロは支給品をデイバックの中に入れ、次いで後で調べるためにヒューズから細胞サンプル……つまり肉片を削ぎ取っておく。
この分だと、他二つにも死体の他に何か埋まっているかもしれない。
鼻歌を歌いそうな調子で次の墓に振り返ったクアットロは、その場で硬直した。
いつそこに来たのか、赤いコートと黒い鎧に身を包み、銀色の鱗と真っ赤な眼を持った異形の怪人がそこに立っていたからだ。
まさか、それが自らがDG細胞を植え付けた男のなれの果てとは、さすがのクアットロも想像すらできなかった。




今や悪魔の錬金術師、デビルマスタングとなったロイ・マスタングだった者は激怒していた。
周囲に他の参加者がいないか探索している途中、北東で火災が起きているのを発見し、
そちらへの通りがかりに墓を覗いてみれば、見知らぬ少女が親友の墓を暴いているのだから。
その憎しみがまたわずかに彼の体に潜むDG細胞と同調し、その侵食を許す。
だが、本人はそれに気づきはしない。
今はただ、この不埒な侵入者をどう処罰しようかということだけを考えていた。
その場から炎で焼くことも考えたが、万が一外して親友の遺骸や他の墓に当たっては元も子もない。
生まれ変わった身体の性能テストも兼ねて、音を殺し、なおかつ素早く近づいた。
そして刃の右腕を使って半殺しにしようとした瞬間、何の拍子か、少女が振り向き、目が合った。
突然現れたロイに、少女の瞳が驚きと恐怖に染まる。
その表情に心のどこかでわずかな愉悦を感じながら、彼は右腕を振り下ろした。
最後は殺すとはいえ、ロイの当座の目的は半殺しにした上での能力の吸収である。
そのため、右肩から背中にかけて引き裂くつもりだった。

「ひぃっ!?」

しかし、少女は意外に素早く、転がるように前に伏せる。
結果として狙いは外れ、わずかに背中の肉を抉るに留まった。
だが、DG細胞に侵されたロイの一撃はかすっただけで髪を縛っていた紐を両方同時に引き千切る。
縛めから解放された茶色い髪が宙を踊った。

「あ、ああ……!」

少女はうめきを上げながら、赤ん坊のように四つん這いになって逃げようとする。
その無様な姿に、ロイは思わず笑みを漏らした。
以前の彼ならば考えられない反応だが、体を蝕むDG細胞は彼の残虐性、嗜虐性を本人すら気付かぬうちに増幅していた。
外しようもない距離になったことを確認し、ロイは指を擦り合わせる。
金属音と同時に炎が発生し、逃げようとする少女の左腕が燃え上がる。
もちろん、殺しはしない。
イシュヴァール殲滅戦を経験したロイは、どの程度の炎が人間にどの程度のダメージを与えるかを知り尽くしていた。


376:好奇心は猫をも殺す ◇jbLV1y5LEw 代理投下
07/12/06 01:15:16 zeto7K9z
「っ!!!」

声にならない声をあげ、少女は涙を流しながら痛みに悶える。
その姿を見たロイはわずかに目を見張った。
焼き尽くしたはずの少女の炭化した左腕から、鈍い金属の輝きが覗いていた。
絶妙の火力によって生身が焼かれたことにより、戦闘機人の機械部分が露わになったのだ。

「ほウ……。お前モ、たダノ人間ではなイヨうダな……」

その姿に満足すると、ロイは右腕を振り上げた。

「こレデ……終わリだ」

あとはこの少女に刃の右腕を刺し、その能力ごと取り込むだけである。
だが、そのロイの目の前に、奇妙な光景が展開した。
少女の背後に数本の短剣が浮いているのである。
しかも、その短剣はあたかも水面から突き出ているように、周囲の空間に波紋を作っている。

「ナンだ……? コレハ……?」

警戒して一歩退いたロイの耳に、女のか細い声が届く。

「い、や……死に……たくない」

その声と共に、短剣がロイめがけ、弾丸のような速さで飛んできた。

「チぃっ!」

舌打ちと共にそれらをたたき落とすが、突然のことに反応がわずかに遅れ、一本、体に刺さる。
怒りと共に女へ眼を向けるが、左腕を焼いたはずの女は霞のように消え、奴が落としたらしい眼鏡だけがそこにあった。

「……逃ガしたカ……」

無造作に短剣を引き抜いて捨てると、短剣もまた霞のように消えて行く。
刺さった場所は鎧に覆われていたところだったため、大した傷ではない。
一撫でする間にDG細胞が体を再生していた。

「今のガ奴ノ能力カ……? マア、いィ……」

悪魔の錬金術師は落ちている眼鏡を踏み潰す。

「今度ハ確実に仕留メるマデだ……」

遊びすぎたことを反省しつつ、ロイは手早くヒューズの遺骸に土をかけ直す。
墓が荒らされないか少し気になるが、ロイには目的があるし、先の少女もあれほど脅せば同じことはすまい。
それに、今はどこへ逃げたかわからない獲物よりも、確実に獲物がいる場所へと急ぐべきだ。
人間をやめた男は煙を上げるデパートへと足を向けた。

377:好奇心は猫をも殺す ◇jbLV1y5LEw 代理投下
07/12/06 01:17:18 zeto7K9z
【F-5/北東部/1日目-日中】
【ロイ・マスタング@鋼の錬金術師】
 [状態]:デビルマスタング状態、以前よりも身体能力が向上。
      健康(?)、DG細胞の意識支配率…およそ8%
 [装備]:アルの鎧(DG細胞寄生、黒い色)、制服(DG細胞寄生、赤い色)、
      ロイの発火布の手袋@鋼の錬金術師
 [道具]:デイバッグ(×1)、支給品一式(×4、-ランタン×1)、ジャガイモカレー(大)、マチェット
 [思考]
 基本思考:優勝して願うか、螺旋王を殺して吸収し螺旋王の能力(死者蘇生や戦闘能力など)を
      手に入れて現実へ帰還。その力を持って世界に大変革を齎して、新世界の神になる。
 1:火災現場へと足を運び、参加者を探す。
 2:参加者は、発見しだい半殺しにして取り込む。そして力を吸い尽くし次第捨てていく。
 3:どんどん力を吸って、自らを螺旋王に対抗しうるだけの力を持つ生物へ『自己進化』させる。
 4:もう迷わない。迷いたくない。
 5:茶髪の少女(クアットロ)に再度出会った時は今度こそ取り込む。
 6:リザ・ホークアイに出会った時の対応は考えたくない。


 ※DG細胞は全身に行き渡りました
 ※強い精神力で、DG細胞をある程度支配しています。
 ※精神的にダメージを受けているので、DG細胞による意識支配への抵抗力が多少低下。
   精神的なダメージをさらに受けて侵食が進むと「人間を絶滅させたくなる」や、「自我を失い
   暴走する」などといった症状が現れる可能性があります。

378:好奇心は猫をも殺す ◇jbLV1y5LEw 代理投下
07/12/06 01:18:34 zeto7K9z



ロイが立ち去った後、モザイクが晴れるようにして、クアットロの姿が現れた。
クアットロはもちろん、その場から逃げたわけではない。
そんな余裕は彼女にはない。

インヒューレントスキル、略してISと呼ばれる先天固有技能。
彼女たち戦闘機人はそれぞれ違った技能を所持している。
クアットロのそれは『シルバーカーテン』。
幻影を操り、対象が生物であろうと機械であろうとその知覚を騙す能力である。

そして彼女が殺害したキャロから奪い取った最後の支給品、ゲート・オブ・バビロン。
使用者の宝物庫、この舞台においてはデイバックへと空間をつなげ、中の物を自由に出し入れすることのできる、英雄王の所持品たる宝具。
襲撃を受ける直前、土を掘り返すために持っていたそれは、今まで弾になる支給品がない故に役に立たなかった。
だが、今しがた手に入れた短剣は十分に射出するに値する武器だったのだ。

彼女はこの二つを使い、短剣によって一瞬、相手の眼をそらしている間に、幻影によって自らの姿を隠したのだ。
まんまと逃げおおせた彼女ではあったが、解けた髪に覆われた肩は小刻みに震えていた。
眼鏡をなくした目からはとめどなく涙が流れ続けている。

彼女は突然現れた怪人の怒りと敵意、そして殺意に満ちた目を見た瞬間、悟ったのだ。
この殺し合いの舞台において、自分は狩る側ではないのだと。
ちっぽけな自分程度ではどうにもならない存在がいるのだと。
実のところ、彼女が本物の殺意を向けられることは、この舞台に来るまでほとんどなかった。
何しろ、彼女の世界では追手のほとんどは犯罪者を生け捕りにすべく、非殺傷設定で挑んでくる。
仮に撃墜されても、命は助かるのだ。
そんな相手が本物の殺意など持ちようはずもない。
もちろん、長く生きていればそうでない相手に会うこともあっただろう。
しかし、彼女は後方の指揮者であることに加え、稼働期間は十年程度。
そう、彼女はしょせん、自らが安全な環境で一方的に相手をいたぶってきた温室育ちなのだ。

それでも、自分がその程度であると気付く機会はあった。
黒衣の男に遠距離からあり得ない反撃を受けた時、彼女は自分の考えを正すべきだった。
だが、そのあと、ヴァッシュ、クロに出会って取り入り、首輪を手にし、トントン拍子に物事が進むうちに、彼女は自分を強者だと過信した。
至近距離で浴びせられた漆黒の殺意と命の危機は、そんな彼女の過信を今度こそ粉々に打ち砕いた。
飛行能力を使うことも忘れるほどに我を忘れた彼女がそれでも逃げられたのは、いたぶられることで目覚めた「死にたくない」というその一心のおかげだった。
だが、それが本人にとって幸せであったかどうか。
彼女はこれから先、ずっと死への恐怖に苛まされなければならないのだから。

その場でしばらく泣きながら震えていたクアットロだったが、やがて今の状況を思い出す。
今、自分を守る者は誰もいない。
もしもあの怪人が戻ってきたら、今度こそ殺されるだろう。

(誰か、誰かに守ってもらわないと……)

魔力を消費し、心は打ちのめされ、左腕を失い、それでも残った死への恐怖に引きずられ、クアットロはふらふらと歩き出す。
恐怖に歯を鳴らしながら、己を庇護してくれる誰かを求めて。

379:好奇心は猫をも殺す ◇jbLV1y5LEw 代理投下
07/12/06 01:19:44 zeto7K9z
【F-5/商店街・布団屋の裏庭/1日目-日中】
【クアットロ@魔法少女リリカルなのはStrikerS】
[状態]:左肩に銃創 左腕喪失 背部に裂傷(小) 疲労(大) 死への恐怖 自信喪失 魔力消費(小)
髪が解けている 眼鏡喪失(視覚は問題なし) 左肩から機械部分露出
[装備]:ゲート・オブ・バビロン@Fate/stay night
[道具]:支給品一式、暗視スコープ、ゼオンのマント@金色のガッシュベル!!、首輪(クロ)
S&W M38(弾数1/5)、S&W M38の予備弾数20発、エンフィールドNO.2(弾数5/6)、短剣×12本
単眼鏡、水鉄砲、銀玉鉄砲(銀玉×60発)、マース・ヒューズの肉片サンプル

[思考]
基本:死にたくない。自分の安全を最優先し、とにかく生き延びる。
1:一人で居たくない。他参加者に取り入り、保護してもらう。
  (とりあえずヴァッシュが候補)
2:無力、足手まといだと確信した参加者は殺して支給品を奪う。
3:傷を癒したい。
4:螺旋力や螺旋王、首輪、DG細胞などは後回し。
5:怪人(ロイ)にはもう関わりたくない。

[備考]
※ヴァッシュの元へ戻ろうとしていますが、半ば錯乱しているため、方向を間違える可能性があります。
 (ロイが行ったデパート方面へは行きません)
※支給品はすべて把握しています。
※首輪及び螺旋に関する考察は以下のとおり。
 ・首輪はネジを回すことで解除できる。ネジを回すには、螺旋力が必要。
 ・死者から採取した首輪でも、上記の条件は適用される(未検証)。
 ・シルバーカーテンで首輪の爆弾としての機能を停止できるかもしれない(不安材料が多すぎるため未検証)。
 ・螺旋力とは、殺し合いのような極限の環境下において、誰にでも目覚める可能性があるもの。
 ・螺旋王の目的は、あくまでも『実験』。殺し合いはそのための手段でしかない。

【首輪について】
銀色のリング。首の後部に二つの小さな溝があり、その間に所有者の名前が刻まれている。
これは実はシールになっており、見ただけではわかりにくいが、よく触ってみると裏に隠れたネジの窪みがわかる。
シールを剥がすとプラスのネジが隠れており、これを回そうとすると螺旋王の音声が響き、所有者に謎の苦痛を与え気絶させる。
クアットロの推理どおり、このネジを回す方法に螺旋力が関係あるかどうかは不明。
また解除に失敗した場合、どういった方法で所有者を気絶させたのかも不明。その後の影響も一切不明。

【ゲート・オブ・バビロン@Fate/stay night】
王の財宝。
ギルガメッシュの宝具にして黄金の都に繋がる鍵剣。
鍵剣自体に攻撃力はない。
使用者の宝物庫に空間を繋げ、中にある道具を自由に出し入れしたり、弾丸のように射出することができる。
当然、使用者の財があるほどに強力になる。
今回のロワにおいては使用者の宝物庫とは所持しているデイバックに制限されている。


380:名無しさん@お腹いっぱい。
07/12/06 02:25:14 1CL+f7ao
>>374
何度も言われてるはずだけど
代理投下認められてないからね

削除依頼だしとけよ


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