【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 7【一般】at ANICHARA
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 7【一般】 - 暇つぶし2ch150:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:36:31 XnC22b+p
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ジュン達は、自分らがただの暗闇のど真ん中にいることが分かった。地面はある。
暗すぎて互いの姿が確認できない。「みんないるか?」
「ですぅ」「なのぉ」2人の返事が返ってくる。すぐそばには居るみたいだ。
「ふぅ…」ジュンはひとまず息をついた。「こんなに暗いんじゃどうしようもないな…核とマントルの間にでも埋まったか?」
後ろを確認してみると、さっき通り抜けてきた扉の入り口はもうない。
完全に別世界へと来てしまった…闇の奥地。誰もきたことのないところ。
一緒に雛苺と翠星石がいることがすごく頼もしかった。こんな心淋しいところ一人では耐えられないだろう。
「何か明るく照らせるものはあるか?」
「あるですぅ」翠星石の声が闇の中から聞こえる。「スィドリーム!」
「ベリーベルぅ!」翠星石の真似するように雛苺も人工精霊をよんだ。
緑色とピンク色のほのかな光が闇の中に煌き、お互いの顔がその光に照らされた。
「うわ…」翠星石が顔を後ろに退かせるのが見えた。「暗闇で緑色に照らされたチビ人間の顔はまるでお化けですぅ」
ジュンはむすっとした。「ピンク色に照らされたお前の顔も古典に出てくる悪霊みたいだぞ」
「な…」
翠星石が反論しかけたそのとき、思いがけずラプラスの魔の声がいずこから聞こえてきた。「皆さんお揃いですかな!」
その声は、無限の闇にもう一度轟いた。「皆さん、お揃いですかな?」
ジュン達はあたりを見回したが、ラプラスの魔は暗闇に隠れてどこにも見当たらない。
「アリスのセレモニーが始まろうとしています!明かりが足りないようですね。姫君方」そこで間を取る。「それでは…メイメイ」
するとこの闇に、新たな光源が現れた。紫色の光源…浮遊している。第一ドールの人工精霊の光だった。
「そして…ピチカート」黄色の浮遊体がメイメイの隣に現れる。
「さらに、レンピカ」三つ目に、青い光がそこに現れる。
紫、黄色、青。「蒼星石のレンピカ!」翠星石が身を乗り出した。「どうして?いつの間に…!」
「この舞台を照らし出す照明はまだまだ足りません」
暗闇の先からラプラスは言う。人工精霊たちの色とりどりの光に照らされて、ついにその姿がおぼろげに見えた。
「真っ赤に燃える…ホーリエ!」
さらにもう一度ラプラスの声がしたあと、三つの人工精霊の隣に真紅の人工精霊が闇の中に姿を現した。
「真紅のホーリエまでここに…?」
ジュンは真紅がまだ無事なのか不安になった。

「全ての…」
突然、雪華綺晶が言いながら人工精霊たちの照らす光のもとに闇から躍り出てきた。
「全てのドールのマスターがここに集いました…」
その台詞をきくと、ラプラスの魔は意味深に笑った。

「それでは、ごらんあれ、いまここに - 六つの人工精霊たちが舞台照らそうと健気に飛び回っています。
しかしながらまだ全てではない。なぜか分かりますかなぼっちゃん?」
ラプラスは手持ちのステッキの先をジュンに向けると聞いて来た。
「えっ…」ジュンは、急に学校で先生にあてられたときの気分を思い出してたじろいた。「っと…薔薇乙女は七体…」
「その通り。薔薇乙女たちは七体。しかし私が名に出した人工精霊たちはまだ六つ。さて…七つ目の人工精霊は?」

「七つめの人工精霊…?」

ジュン達は一瞬考えたのち、いっせいに視線が雪華綺晶の方へと向いた。
「私はこの子を使ったことがない…」七体目のドールは、そう呟いた。「要らなかったから」
雪華綺晶の体のうちからどこからともなく、真っ白に輝いた浮遊体が姿を現してきた。
攻撃的にチカチカ光を点滅させながら、他の人工精霊たちの輪へ加わっていく。
「七つの照明!舞台はこうでなくては!」ラプラスが声高に言った。「七つ目は"スゥーウィ"!」
「スーウィ!?」
翠星石は、今まで見たことのなかった白く発光する人工精霊を見上げて皮肉そうに言った。「あれが七体目の人工精霊なのですか…!」
メイメイ、ピチカート、スィドリーム、レンピカ、ホーリエ、ベリーベル、スゥーウィ。
七つの人工精霊がそこには全てが集まった。
人工精霊達は互いに距離を縮めあいながら高度を上げてゆき、彼らの頭上へと上りつめていく。
「ウェークアップ!」
そのタイミングを見計らったかのように、ラプラスが足踏みするとハイテンションな声を張り上げた。
集まった七つの人工精霊たちそれぞれが、強烈な光を発するのと同時に互いが合体して一つの光の塊へと変化した。
ジュン達を取り巻いていた暗闇が一挙に退いて行く。夜が昼にる。
世界の光景が、一挙にその姿を現した。

151:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 02:47:26 t2+aSE97
>>140-150
本命が読めた
ありがとう

152:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 03:46:37 XnC22b+p
真っ白な地面。
白薔薇と氷の結晶の城が聳え立っている。
間違いなく、さっきPCの画面に映っていたところだ。
ジュンは空を見上げた。
何処までも広がる、透き通った明るい水色の空に星々が煌く。
昼間の世界なのに星々が空に輝いているのがはっきり見えること自体、ここが普通の世界ではないことを証明していた。
少なくとも地球上ではない。
やがて - ジュンはそれらが星ではなく、光を発している空に浮いた無数の扉であることが分かった。
「ついにここまで来てしまったか…」下手すれば、僕もまた他のマスター達と同じようにこの世界に封じられる。
その時第七ドールの雪華綺晶はアリスになる。もし僕がマスター達を救い出せればそれとは逆の結果になる。

ジュンは、少し離れたところの水晶の上に腰掛けてずっとこちらを見据え続けている雪華綺晶を見返した。
ただ笑みを口元に浮かべながらじっとこちらを観察している。向こうから仕掛るつもりはない。僕が先に動き出すのを待っている。

そこからジュンは全く動けなかった。
白いドレスに包まれた体のあの金色の瞳に見据えられ、自分の全てがスキャンされたように知り尽くされている錯覚を覚えてしまう。
どんな行動を起こしても彼女の想定の内に入っしまう気がする。
見えない何かに縛られてしまったかのように動けない。
…くそ、動け…!動け!

「扉はもう開かれたのです!」
ジュンの前方で雪華綺晶がにっこり微笑み、急に立ち上がるとジャンプしながら水晶から白い地面に飛び降りた。

「終わりの始まり!薔薇乙女は全て消える。残るのはアリスだけ!ようやくその刻がきたのです!」

みんなの前に降り立ってきた雪華綺晶を、ジュン、雛苺、翠星石の三人が見つめる。
薔薇乙女最後のドールは、さらに言う。「みんなみんな、みんな終わるの!みんな繋がって、張り詰めて、動かなくなるの!」
もう一度胸を張って飛び上がりながら、悪魔的な声を響かせて呼びかけてくる。
それから、見るに奇妙な動きをしだした。
「あの水晶の城があななたちに答えを出します!私達は全て終焉の水晶の十字路の上に立っている!」
編み上げのブーツを履いた脚をふらふらさせながら、上を向いて歌い出す。「朝になれば破滅が待っているの!」
それからも彼女は一人で熱狂していき、片足だけでぴょんぴょん跳ねながらあっちいったりこっちいったりした。
「白い水晶の城の中で、魂が入れ狂う!ぐるぐると!」
次に左手を上げて空を見つめると、ある地点に留まって右足で跳ねながらくるくる回りだした。「巡る、巡る!」

その人形の奇怪な踊りないし予測不可能な動きのパフォーマンスにジュンは釘付けになった。
回転しながら上を見つめる瞳は何処か外れたところに向けられていて、余計それが異様な印象を与えてくる。
あれはジュンや薔薇乙女に関係した者全てに誘いかける彼女の悪魔のダンスだ。
魂が入れ狂うとはきっと彼女自身の存在のことを言っているに違いない…
雪華綺晶は尚も踊り続けた。「手繰り寄せられる!ぐるぐる、どんどん、ぐるぐる巻かれていく!」
両手を掲げながらいきなり飛び上がる。「さあ糸に身を任せるのです!」
「あんの白薔薇ぁ!」
翠星石は、そんな踊り狂う末の妹を苛立ちに満ちた顔で見つめ、拳を握りしめた。「ジム・モリソンを気取ってやがるですぅ!」
そして手元に如雨露を召喚する。「こうしちゃおれんです!あの薔薇乙女一の問題児七番目が一人で暴れてる間に眠らせちまうですぅ!
この間の借りも残っていますしね!」そして図太い世界樹を伸ばした。雪華綺晶へ向けて伸びていく。

153:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 03:49:40 XnC22b+p
「あなたは無意識の海に滑り落ちる…あがっ」
まだ一人で歌を続けていた雪華綺晶の後頭部を世界樹が打った。バタと地面に転げまわる。
それでもまだ彼女は転がりながら壊れたテープ再生のようにまだ口ずさんでいた。「…前に…もう一度あなたに口付けを…目が廻った」
「雛苺、いまですぅ!」翠星石が雛苺を連れて雪華綺晶に接近する。「捕まえるです!」
翠星石の世界樹がまず地面に酔いつぶれたように伏せた雪華綺晶を上から拘束し、そらにその上から雛苺が蔓で拘束した。
世界樹と蔓によって、雪華綺晶は二重に縛られる。
「ジュン、いまですぅ!」
翠星石は顔を翻してジュンに向かって叫ぶ。
「ジュン!白薔薇野郎は私達に任せて、ジュンは真紅たちを探しにいくですぅ!」
「わ…わかった!」
ジュンはぎこちなく頷き、2人の薔薇乙女を最後にもう一度見つめると振り向いて遠くへと駆け出した。

アリスゲームの結末を掛けた雪華綺晶との追いかけっこが始まったわけだ。
ジュンの向かう遥か先には、巨大な氷の結晶でできた城が聳え立っているのが見える。
みんなを助けなければ。真紅も、柏葉も、他のドールのマスター達も。
指輪が熱い。今頃翠星石と雛苺が雪華綺晶と交えているのだろう。
いまはこうするしかない。出来るだけ早く終わらせるから、耐えててくれ。ジュンは心の中で祈った。
僕がやるしかない。
ジュンは、薔薇乙女にあって以来初めて、まるで自分がアリスゲームの主役になってしまったような気がした。

「前にも思いましたが、この白薔薇ってやつは」
すっかり縛り上げられてしまった雪華綺晶の上に片足をのっけ、翠星石は言った。「正面から対峙すれば意外と隙だらけなのですぅ。
目からしてなんかボケーとしてやるがるですぅ」前回の敗北への仕返しを果たした気分になって、少し得意気な表情を浮かべながら、
如雨露を振り上げる。「眠らしちまうです!」
うつ伏せの雪華綺晶の頭へ上から如雨露の先を突き落とす。果たしてアストラル体の後頭部を殴ったところで本当に眠らすことが
出来るのかはわからないが。
「あいたっ!」
殴られた雪華綺晶が喚く。それから起き上がろうとしたが、自分の体が縛られている状況にそのときようやく気付いたらしい。「ひどい!」
「しぶてーやろーです!」翠星石がもう一度如雨露を持ち上げる。「大人しく寝ちまうです白薔薇!」
「白薔薇じゃなくて,雪華綺晶ですよ!」背中だけで抗議する。「そろそろ覚えましょう」
「モリソン気取りめ!ですぅ!」
「27歳のままnのフィールドを彷徨い歩いてそう」
「じゅ、」翠星石は顔に皺を走らせしかめっ面を作った。「重症です…これは放っておいたら次は歌いながらドレス脱ぎ出しそうです」
と、突然に雪華綺晶の体から白い茨が伸びてきた。
うようよ動きながら翠星石の世界樹と雛苺の蔓の上にさらに被さるようにしてにくるくる巻きついてくる。
「いやっ!」「うわ!」
ゆがて伝ってきた白の茨が翠星石と雛苺の体に纏わり付きだす。
「しまった…こいつの体に触れるとロクなことが起こらないってことを忘れてたです…!」
彼女達三人は、お互いに体を拘束し合う状態となった。
誰も動かない。翠星石は、冷や汗が首の後ろで滴り落ちていくのを感じ取った。

「ゲームはもう終わる!もはや盤はドールのものだけでない!」
いきなり言いながら雪華綺晶が地面で寝返りを打って顔を出してきた。
「げ!」「あぁっ!」
彼女とお互い繋がっている状態であった翠星石と雛苺の2人は、茨に引っ張られて危うくつんのめって転びそうになった。
「あなた達はもう盤を飾る主役ではない。お父様もそういっているのが私には聞こえてくるよう」
雪華綺晶の体の何処からともなく、白い小さな浮遊体が出てきた。
光るというより、燃えているように煌いている。
「"スゥーウィ"…」
さっきラプラスに呼ばれていた、七つ目の人工精霊。
それがいま、翠星石と雛苺の前に飛んできている。他の人工精霊と違い、動くたびにヴォンとう低音を轟かせる。
まずい…。翠星石は思った。茨に絡まれて体を動かすことができないが、この人工精霊は危険だ。
「私はあなたを知っていない。好きなようにしてごらんなさい、スゥーウィー」
声に応じて、スゥーウィーが己を巨大化させるが如くに白い光を強めさせる。
「まぶし…っ」
次の瞬間、フラッシュの如くスゥーウィーから放たれた強烈な白銀の閃光に、翠星石と雛苺の2人が包まれた。

154:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 04:02:45 XnC22b+p
110

「はぁ…、はぁ」
ジュンは息をきらしつつひたすら異空間の世界を走り続けた。前方にそそり立つ水晶城を目指して。
真紅も、ドールのマスター達もあそこにいたはずだ。
だが、いくら走ってもあの上空高くに伸びる水晶城との距離は一向に縮まらない。あれは目に見えているだけで、
実際には別次元のところに絵として存在していて、永久に近づけないものにすら思える。

走りを続けているうち、何処からともなく現れてきた真っ白な靄の中にジュンは呑まれた。
濃い霧と靄に視界が覆われ、何も見えなくなる。
「くそ…なんだ」もはや方向感覚すら奪われてしまった。後ろを向いても横を向いても、あるのは纏わりつくような白い靄だけだ。
夢の中に見る白い音のないあの世界に置かれてしまった気がする。いま自分がいるところは、nのフィールドの中でも、
特に深いところ - まさにnのフィールドという存在自体が見る夢の中であるかのようだった。
そこには人間も、人形も存在意義の区別なんか意味をなさないのかもしれない。

ああ、ここはもしかしてあの悪名高き無意識の海とやらの海底なのか。そんなことをふと考えてあたりを見回しているうち、
ジュンはとある人影をみつけた。第七ドールの影だ。
最初の一瞬は、ジュンは雪華綺晶が追い詰めてきたのだと思った。
やがてそれが違うと分かると、なおさら混乱した。
僕はやはり夢を見ているのか。心で思った。
目に飛び込んできたのは、雪華綺晶そっくりではあるがそうではない、"紫色のドレスを着た第七ドール"だった。

"誰か…そこにいるの?"

その影はいう。靄の先から僕に語りかけてくる..

"誰でもいい…願いを…私の願いを…聞いてください。お父様が騙されている。私の声…つ…て…とど…"

既に彼女の声は途切れ途切となり、消え行く声と共に影は遠くへ薄らいでいった。
白の霧の奥へ飲み込まれ、消えてしまうのと同時に、ジュンを覆っていた靄は突如として晴れてきた。再び視界を取り戻す。
驚いた。ジュンは圧倒されて後ろによろめかけた。
濃い靄から開放されたとき次にジュンが立っていたところは、あの聳え立つ水晶の城の真ん前だったからだった。
向こうが自発的にこちらを迎えてきたわけだ。

155:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 04:04:42 XnC22b+p
111

「あの…ここは、何処なんですか?」
空も、大地も真っ白だ。まるで巨大な白いプラスチックの箱の中に入ってしまったかのように。
咲くは白い薔薇。そり立つは透明な氷の結晶。
そのビジョン - 幻想的な世界の光景に巴はいつしか雛苺に鏡の中に連れ込まれたあの時の記憶が蘇った。

「綺麗だ!綺麗だ!」
巴の後ろで、すっかり人間らしい姿とはかけ離れたものに変貌してしまった槐がパンツ一枚のまま狂ったように叫び散らした。
「綺麗だ!私の、私のたった一つの薔薇水晶!」
彼は声高に絶叫する。
それからポケットの中から小さな透明の結晶を手に取ると、それにライターで火をつけた。
その焼かれた結晶から溶け出てきた白い煙を紙で出来た筒のようなもので吸っている。
それを見ているうち、巴は最近学校で配布された薬物関連のガイドを思い出した。彼が吸っているものは本物のLSD-幻覚剤だ。
0.03mgの微量でも人によっては発狂し死にいたるケースが報告されているこのLSDは、日本では服用すれば確実に罰則が待っている。
その厳しい取り決めが保障する、他とは群を抜いて強烈なLSDの幻覚作用は、しばしばサイケデリック・アートやディスコなどの
芸術や文献に貢献してきた。
ただでさえ現実世界とはいい難いこの世界でLSDを吸っている彼の目には、一体何が見えているのだろう。巴は思った。
「ここまで成長したのか!私の薔薇水晶!さあ、師の壁はすぐそこだ。」
巨大な水晶の城を両手を挙げて見上げながら、神に声を轟かせるように叫ぶ槐の手に、巴はそれを見つけた。
左手の薬指。
そこに、以前自分もつけたことのある指輪が嵌められているのを見た。
「槐さんが…ローゼンメイデンのマスター?」
恐らくそういうことなのだろう。でも、どのドールの?
槐はそれからも憑かれたように絶えず独り言を出して水晶城へと近づいていく。

心配気に見つめていた巴だったが、突然背後に大きな影が後ろから伸びて来ては彼女に覆いかぶさった。
その気配を敏感に感じ取り、後ろに振り向く巴。
真っ白な無意識の海に浮いた幻想的で透明なクリスタルでできた大きな船が、ひとりでにこちらへ流れてきているのだった。

156:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 08:10:07 P1Ulrf79
  ,_-- 、       , --…- /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナの出番が 
 |   !    ヽ'   ̄  - __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ない気がするかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| - _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'-'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / もっとカナを活躍させて
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいのかしら…  
¨ --  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ --  _ \________  

157:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 10:24:58 aAf7aLp7
>>155
投下、乙です
ここで薔薇水晶が出てくるとは…
駄目人間になってしまったお父様を見てどう思うやら

158:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 10:30:50 KPmtwlEl
きらきーのキャラが好きだわw味がある

159:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 10:40:36 qbrKDd54
>>140-155
おお、相変わらず質も量もずば抜けてますな。 GJ!


これを見る度に、俺もSSの続きが書きたくなってくる。
……よし、書いてくるか。

160:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 11:11:48 3GddzHPV
>>155
GJ!本当に続きが気になって仕方ないよ。

161:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 11:22:32 TIJtnZpm
>>155
GJです!
ですが、テンプレの保管庫にはⅢまでしかないから話が分からないorz
誰か追加してくれませんか?お願いします。

162:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 19:35:25 3FLm5oR+
           の         S         な                  
           か         S         ん                  
              し         が        で                  
              ら         少        カ                  
             . ・   .      く         ナ                  
           ・         な         の                  
           ・         い                          
                                             
                 , -──__-,、r z__                
          ,. -― - 、 /     r v´_ゝ- ,.=._、-、__フ              
       , '/ ´ ⌒7 ヽ   _r_ヽr' _ _f::rz::!:}´__}_}>             
       ,/      /   ' ヾ ゝ_ く {_{__ゞ:':_::ンヽフ、              
       /       '  /   ハ フ \___ |.ト、ヽノ>!ヽ             
       '        |:::     /  ヽ ヾレヽィv.j__Vノ ゝ  |             
            |:::.    /    \!`\ ゝ,ヽノ´!  ,ノ             
            ':::   /         \     ' /             
             ゝ、,./            \ヾ/ /_   べす・・・     
            l イ,|!!  --_‐'_     `_ー-- ヽ/、ヽ            
            ヽl |!|  ィt_:::_ォ     tr_:_,zr   ハノノ  べす・・・      
             /´ ̄ ヽ!ハ ` ´`´      `´ `´   j!::ヽ_,..--、          
         /    r ー- '.、     ,      ,.イ三!´   \        
         /_    ≧= 、_ゝ、._   ____   ,.へ_ 二ム,∠ _    )        
         jV´_ _VV_レL_  ≦ノ ミrrーrr彡  {二/l. _ ,-'、 /L_/        
  , ------ゝf | | r-、,-ア≡----' '--``----'-- / ハ fヽ,-、-------、   
  |       | | | | |                  ヽノ l _j j_ノ       |   
  ' ,       ` ゙ー`- `´                       `´         ,   
   ヽ                _       _     .__          /   
     '、     {ニ ヽ      / , - 、ヽ    / /  / , ― 、ヽ,       /    
      '.,      \\  ノ /   \\  l l   l (    ) |     /     
      ヽ        ゝ ニ ノ  ○   ー'  L.j  ゝ 二二ノ    /      

163:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 21:13:49 2XNrc4F0
金糸雀信者死ね

>>155
GJ!

164:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 21:31:46 qTHFrfOZ
>>155
投下乙です。
いよいよ最終章(?)
展開がますます楽しみになってまいりました。

165:Jun(*^^*)
07/10/29 00:25:18 qAm72WjI
今日は近所に新しいショッピングモールが開店したのでそこへ行った☆一通り見てすぐ帰ってきた☆blog写真どれもいいよヽ(´ー`)

166:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/29 01:15:45 cjeSeWxP
>>155
この毎週の更新が楽しみなんだ。GJ!
安部公房なんて、いつ知ったんだきらきー?
電波な雪華綺晶ぽいけどなw


167:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/29 03:25:03 Tfn8+SMQ
>>155
もう終盤らしいので無粋かもしれないが、タイトルの意味が分からなかったので独語辞典を調べたところ、

"Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization"
「最後の」は、×Latzt → ○Letzt
Regierenは動詞だから、(そのまま名詞として使えなくもないが)Regierung 辺りの方がよいかも。
ただ、統治、支配、政治、管理、監督の意味があるらしいが、訳語が今一つしっくり来ないのであるが。

ローマ数字の後も、独語で通さないとやや興ざめ(die Zivilisation)。

168:(*^^*)
07/10/29 23:30:31 qAm72WjI
では木曜日の夜、東京出かけるからね(*^^*)時刻と場所は当日書くことにするので☆
長旅お疲れさま☆(*^^*)

169:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/29 23:32:16 Uk0HwwAC
金糸雀信者へ
URLリンク(vista.undo.jp)
ほれ

170:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/29 23:40:42 aVUaHtBP
いらね

171:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/30 00:39:39 3IMdKOjN
434 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 00:43:32 ID:gU1nWbAA
アニメ最萌も漫画最萌も上位者にはもれなくアンチ〇年分がプレゼントされるから
再開してもエントリーしないで欲しい
ちゅーか最萌止めてくれって切に願う

436 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 01:08:16 ID:AHRAXAzE
去年優勝してから沸いた翠アンチは一週間ぐらいしたら消えたけどな
仮に今年真紅が優勝してもそんな感じになると思うよ




叩かれるのは金糸雀みたいなクズ人形だけwwwwwwwww
人気最下位で信者の民度も最下位(笑)

502 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 23:54:23 ID:yaVJ1JBr
漫画最萌で金糸雀みたいなクズが優勝した時は最萌終わったなって思ったけど、
今日の真紅の試合は勝ち負け関係なしに感動した。

505 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 23:57:07 ID:AHRAXAzE
>>502
同意
金糸雀みたいなクズと違って真紅はやっぱローゼンの主役だなって思ったよ

508 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 23:58:31 ID:wKCNEWIG
糞糸雀嫌われすぎだろwwwwwwww

513 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:14:06 ID:GeluJp0a
何で翠とか銀が負けて真紅が残ってんだよwwwww
最萌終わってんな

516 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:18:28 ID:ru0hnGBw
翠が金ごときに負けた漫萌の方が終わってる

517 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:19:20 ID:JAj7D3KD
>>516
俺もそれから金糸雀嫌いになった

518 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:19:54 ID:nZBOQIlo
キム死ね

520 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:22:00 ID:Ls+ord1B
おまえら実質最後のローゼン参戦なのに、ローゼン勢1人でも勝ち進めようって団結力無いのか
俺は水銀党員だったが真紅に入れたんだぞ。キムシジャンは死んでいいと思うが

521 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:22:18 ID:5rJA3iZt
今日の真紅の勝利>>>>>>>>>>キムシジャンの漫萌優勝

524 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:24:17 ID:vzTrNMyp
金糸雀が好きとかネタで言ってるとしか思えん

526 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:25:14 ID:6FKsmO8D
>>524
ネタでも言わねーよ

527 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:26:11 ID:FCJ35TXv
とりあえず金糸雀と金糸雀信者が糞ってことはわかった

172:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/30 19:33:49 oFa39BUz
  ,_-- 、       , --…- /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  - __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| - _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'-'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ --  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ --  _ \________  

173:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/30 22:23:25 tfPg+jN5
糞糸雀ヲタ消えろ

174:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/31 00:58:32 Law5dRv1
ローツェンマイデンの終盤を読みたいですぅ。。

175:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/31 01:05:40 EYu9yv1I
今日は…とくに変わったことはなかった(>ε<)あ?…それじゃ日記にならないか(^^ゞ
でもホントにいつも通りの平凡な日だった。またあした(*^^*)☆

176:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/31 23:36:05 h9znD2ZP
もう来るな(*^^*)☆

177:(*^^*)
07/11/01 00:05:29 H7xSPRhC
↑だれ?あと数日は使わせてくれ☆


178:(*^^*)
07/11/01 00:09:17 H7xSPRhC
明日の夜行くので♪(^^)/▽☆▽\(^^)

179:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 02:56:35 v+xzFDH/
>>177
数日なんて言わずにもっと使ってよ^^

180:(*^^*)
07/11/01 14:44:57 H7xSPRhC
反応がないけど一応出かけるかな(*^^*)

181:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 17:25:56 H7xSPRhC
反応がなさそうなのでまず中間まで行って下車するよ☆

182:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 18:17:27 H7xSPRhC
今、「中間地点」の駅西口ケンタッキーにいるけど、8時になったら同駅カフェ店移動するよ☆

183:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 19:04:19 H7xSPRhC
もうじき電源切れそうなので今日は中間駅までφ(..)8時から9時まで前回のスタバにいるよ(*^^*)

184:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 21:24:52 H7xSPRhC
今22番線ホーム先端(*^^*)

185:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 23:47:52 H7xSPRhC
今帰宅(-.-)Zzz
今日来た?

186:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 23:51:12 ThQwbwe9
ここは日記やチャット書く場所じゃねっぞwww

187:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/02 00:58:35 Zj+nvWCo
今日はまったく反応なかったから最初から無理だったのかな?
来れないなら来れないって一言、言ってほしいな(-.-)Zzz

188:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/02 16:47:15 +gwuyYEP
>>187
ウホッいい男
や ら な い か

189:(*^^*)
07/11/03 00:21:07 s2fsenKs
今日は…もう書く気力がなくなった…(-.-)Zzz読んでないことが分かったので☆

190:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/03 08:39:15 DVO9Elii
             /ヽ       /ヽ
            /  ヽ      /  ヽ
  ______ /     ヽ__/     ヽ
  | ____ /           :::::::::::::::\
  | |       //       \  :::::::::::::::|
  | |       |  ●      ●    ::::::::::::::| 何このスレ・・・・・・・?
  | |      .|             :::::::::::::|
  | |       |   (__人__丿  .....:::::::::::::::::::/
  | |____ ヽ      .....:::::::::::::::::::::::<
  └___/ ̄ ̄       :::::::::::::::::::::::::|
  |\    |            :::::::::::::::::::::::|
  \ \  \___       ::::::::::::::::::::::::|

191:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/03 20:07:44 QFjUy5I9
糞糸雀信者(荒らし)の巣
スレリンク(anichara2板)

これ以上、各地のローゼンスレを荒らされるのを防ぐためにも、
ここの監視を怠らないようにしましょう

192:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/03 21:26:44 WAJ07jo6
過疎ってることだし俺の低レベルSSでも投稿しようかな

193:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/03 21:51:57 WAJ07jo6
「欲しいの欲しいの!買って買ってぇー!」
私の一人娘、唯はまたいつものようにだだをこねだした。
ここ一週間はずっとこの調子だ。私が家のPCの電源を入れると同時に思い出したようにわめきだす。
原因は分かっている。先週ふと立ち寄った通販サイト。そこにかわいらしい女の子の人形が売られていたのだが、
横で一緒に画面を見ていた唯がそれに一目ぼれしたのだ。
金色の髪にピンク色のリボンとドレス。いかにも低年齢の女の子にうけそうなデザインだった。
「買って買ってーぇぇーーーえーーっ!」小さな子の喚き声というのは甲高くて耳に響く。
「あーわかった!わかったから!」しまった、つい口が滑った。
「ほんとぉ!」
唯は大きな目をキラキラと輝かせて私を見た。こ・・・こんなに可愛い顔されて・・・ダメだと言える筈が無い。
私は大人しく負けを認めた。
「もう!・・・わかった。買ってあげる。」「ほんとぉ!?やったぁー!」
唯は万歳して喜んだ。
「その代わり!ちゃんとママの言う事聞いて、おりこうさんにするのよ?」
「うん!おりこうさん!」
分かっている。甘やかしてはダメだ。母子家庭の我が家なら尚更だ。
頭で分かってはいるのだが、こんなに可愛いわが子。つい負けてしまう。もっと気を強く持たねば・・・

194:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/03 21:53:38 WAJ07jo6
あれから三日後。
私が仕事から帰ってきたとき、ちょうどマンションの玄関で宅配便の人と鉢合わせになった。
「・・・さんですね?」「はい。」「ハンコお願いします。」「はいはい」
私は慣れた手つきでハンコを済ませた。
「ではこれ、大きくて重たいんで、気をつけてくださいね」
「は・・・はぁ・・・」
よく見たら凄く大きな荷物だ。何だろう。こんな大きなもの買った覚えは無い。
私は半分引きずりながら玄関から部屋に運ぼうとした。
すると唯が居間から走ってきた。
「ママー!おかえりー!」
「ただいま、おりこうさんにしてたー?」
「うん!それは?」
「あぁこれ?さっき宅配便で来たの。」
私は居間に運び入れた。
「何だろうね。開けてみよっか」
「うん!」
カッターナイフと鋏を駆使してダンボールを解体していく。
「なっ・・・なに・・これ・・・」大きな革製の鞄だ。
「うわぁーすごーい」唯はおおはしゃぎ。
「なにかの間違いかしら・・・でも伝票は確かに私の住所と名前が・・・」
「うわぁーお人形さんー!」気づけば唯は既に鞄を開けていた。
「こらぁ勝手に開けちゃ・・・って、あーこれ通販で買った人形じゃないの」
「ホント!うわぁー、大きいー!」
唯と大差ないほど巨大な人形だ。あの値段でこんなに立派な人形が届くとは思いもよらなかった。
とても良い買い物をしたのかもしれない。
「ちょっとママにもよく見せてよ、唯。」
私は人形を鞄から取り出した。ずしっと重い。そして人間のように柔らかく弾力がある。
「え、えらく・・・リアルね・・・」
「凄いでしょー!」
ていうかリアルとかいうレベルの話ではない。もはや人間の子供にしか見えない。
が、子供にしては小さすぎる頭が、なんとかこれが本物の人間ではないと言う事を保障している。
ここまでリアルだと不気味だ。
「大切にするのよ、唯。」
「うん!」唯は満面の笑みで答えた。
「ひっ」
「どうしたの?ママ?」
「ううん、なんでもない・・・」
大切にするのよと言った時、唯と同じ様に人形もニッと笑ったように見えた。
しかしもう一度見てみたら、なんでもなかった。私は少し疲れているのかもしれない。


まだこの時点では知る由も無かった。この後、あんなに恐ろしい出来事が起きようとは。

っていうB級ホラーとかありそう。ちなみに呪い人形は雛苺ね。

195:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 08:58:11 r0z8kIMp
>>194
よし続きを頼む

196:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 14:27:10 PMssr2KY
よし、見切った。
その後段々人形と子供の見分けが付かなくなってきて、
人形と子供が入れ替わるという妄想に憑りつかれて
人形を包丁でメッタ刺ししたら、実は自分の子だった

197:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 16:19:53 ZTHnTPAv
>>196
怖えーよw

198:さて、叩かれるか!
07/11/04 17:08:45 UbFd0IR4
ふっふっふっ♪今日こそローゼンメイデン一の頭脳派金糸雀が
楽してズルして真紅達のローザミスティカをGETかし…

『ぐ~』

そ、その前に腹拵えかしら…

今日のお弁当はみっちゃん特製のあま~い卵焼き♪
…って中に入ってるこの紙は何なのかしら?
「カナごめんなさい。私、仕事で転勤になってしまったの
その転勤先のマンションってペット不可だからあなたは連れて行けないのよ…
本当にごめんなさい!良い人に拾われてね?それじゃあ、お元気で。」

………

…グスッ……カナは…グスッ…泣かない…のかし…ら…
う、うえ~ん!え~ん!!


一体この先どうなるカナリア!?
絶対に続かない

199:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 17:15:26 hVagbJmU
ドールはペットじゃないだろwww

200:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 20:51:01 Ez9Q4Nda
>>194
ハ~イ 私は雛苺 一緒に遊びましょう ハイディ~ホ~~
って恐怖映画の「チャイルドプレイ」張りの展開を妄想

201:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 21:14:21 hVagbJmU
暴走雛苺ならやりかねないな・・・
純粋故に恐ろしい

202:Jun(*^^*)
07/11/04 22:46:34 RMFbETbc
いっぱい色んな人からプレゼント貰えて幸福そうだなぁ(>.<)y-~
こっちは自分の誕生日誰からもゼロだからな(-.-)Zzz今後は自分を中心に人生を考えることにしたよ☆(´・ω・`)こっちばかり痩せ細るばかりだからな…いつまでも一方的な貢ぐ君では(-.-)Zzz

203:Jun(*^^*)
07/11/05 00:43:09 x1hJaiJV
もし仕事が原因で待ち合わせできないんだとしたら、そろそろ仕事辞めてくれないかな(-.-)Zzz
今まで待ち合わせ日の待ちぼうけ時間を合計すると100時間超えてるよ?(-.-)Zzz
もしきちんと連絡してくれればその時間、有意義に過ごせたはずなんだからさ(>.<)y-~
次は仕事休んででも来て欲しいな☆
ヽ(´ー`)ノ

204:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/05 01:12:44 x1hJaiJV
…次はクリスマスあたりかな?(*^^*)メールくれればもっと早くてもいいけど☆
昨日は自転車パンクして家具店の前に一晩起きっぱなし…今日はそれを取りに行って自転車転がしながら帰ってきた☆
途中でとんこつラーメン食べた☆帰りにドトール寄ったらいつもの習慣からかそのまま徒歩で帰宅してしまい、また自転車取りにいくはめに…
疲れた。おやすみ☆(≧▽≦)/

205:Jun(*^^*)
07/11/05 02:01:28 PQ/LXw6d
もうこの際だから正直に言うよ☆
お前、前からうざいと思ってたんだ(≧▽≦)/ だから死んでよヽ(´ー`)ノ


206:Jun(*^^*)
07/11/05 09:19:44 x1hJaiJV
↑別人です。
まぎらわしいから、違う名前で書き込みしてくれる?(>ε<)

207:(*^^*)
07/11/05 10:28:51 x1hJaiJV
ここ変な住人がいるのでコチラに移動です(´・ω・`)
姫専用
URLリンク(moon.ap.teacup.com)

208:(*^^*)
07/11/05 10:40:04 x1hJaiJV
以後ここには書かないのでスレ住人さん、お騒がせしました(≧▽≦)/


209:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/05 11:15:58 sqQ9YPKk
      ___    ━┓
    / ―\   ┏┛
  /ノ  (●)\  ・
. | (●)   ⌒)\
. |   (__ノ ̄  |
  \        /
    \     _ノ
    /´     `\
     |       |
     |       |

           ___   ━┓
         / ―  \  ┏┛
        /  (●)  \ヽ ・
       /   (⌒  (●) /
       /      ̄ヽ__) /
.    /´     ___/
    |        \
    |        |

210:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/05 17:44:16 nL29wPUm
>>201
蒼星石でやったら、さしずめ「ナイトメア」のフレディと言ったところかw
巨大な鋏を持ったシルエットだけでも結構怖いかも

211:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/07 22:32:26 rZx3UePn
  ,_-- 、       , --…- /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  - __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| - _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'-'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ --  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ --  _ \________  

212:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/07 22:43:15 xXEGTnkb
現在、金糸雀信者に荒らされているスレ

アニキャラ総合板のSSスレ(金糸雀関連のSSを催促するAA連投)
アニメ2板の総合スレ(容量潰しのAA連投)
VIPの総合スレ(ID切替えの自演)
VIPの絵スレ(金糸雀関連の画像を催促するAA連投)


糞糸雀信者(荒らし)の巣
スレリンク(anichara2板)

これ以上、各地のローゼンスレを荒らされるのを防ぐためにも、
ここの監視を怠らないようにしましょう

213:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 03:59:32 ZxcNgLAY
112

ジュンは水晶の城の目前に立った。
入り口と思えるアーチの扉の前に立ち、水晶城を改めて見上げる。首を限界まで持ち上げないと頂を視界に収めることが叶わない。
遥かな高さにまで伸びていく水晶城のてっぺんは、鋭くとがっていてまるで剣山のようだ。
これが雪華綺晶の生きている世界だというのだろうか。

ジュンは氷で出来た扉を押してみた。驚くほど軽い。それこそ実体がないかのように。
開け切った扉から水晶城の中に入ると、無数に埋め尽くされたひし形の水晶群がジュンを迎えた。
水晶の四角い面が光を反射してクロス状の模様を床一面に映している。
美しい。素直なジュンの感想だった。これぞ氷でできた"守護の塔(ミナス・ティリス)"だ。
そんなことを心で呟いたジュンの背後で入り口の氷の扉が独りでに閉られた。
帰り道はもうない。この水晶の城のなかで、決着がつけられるのだろうか。

水晶でできた幻想的な階段をジュンは駆け上っていった。シンデレラに出てきたような透明のガラスの階段だ。
それをまさか自分が登る羽目になるとは。
階段は緩やかに曲がりカーブになっていて、水晶城の外側を回っているらしい。
何もかもが透明なものでできている。外の白い世界をこの水晶城の中から透過して見渡すことが出来るし、踏んでいるガラスの階段も
最下層の床が透けて見える。まるで自分が空中に浮いているかのように。少し怖いが、幻想的で綺麗な光景には魅入ってしまう。
エメラレドの光の筋が水晶から差し込んできては床や壁に直線の光のラインを作る。
何処までも水晶城の奥へ奥へと誘われていく気がした。こんな美しく魅惑的な世界見たことも想像したこともない…

突然外側の壁がなくなり、ジュンは危うく水晶城の外にはみ出して下界へと真っ逆さまに落下しそうになった。
おそらく水晶城の中層あたりにまで上り詰めてきたに違いない。
本当にあるのかないのかが判断しにくい透明なガラスの床を踏み外すのではないかびくびくしながら、
ジュンはその水晶城の上から世界を見渡してみた。
遥か遠くまで真っ白だ。彼方の地平線を線霧のような白い靄が覆い、それより先の世界は想像すらつかない。恐らく雪華綺晶で
すら知らないだろう。そんな気がした。
ドラッグに溺れて頭がくらくらする程の美しさを持つ、幻のような光景だった。
だれがこのような世界に足を踏み入れることができただろうか。

だが、しばらくしてジュンは自分の目的を思い出した。
下の階にいたときと違って、水晶城を上に昇っていくにつれて自分を取り巻く水晶が四角いものから三角っぽい角ばった攻撃的な形へと
変わってきている。まるで水晶がこれ以上近づくなと主張するかのようだ。誰も知らなかった世界への入り口がジュンを警告している。
その先に、ジュンはついに踏み入った。

そして、ジュンは見つけた。
二手も三手も先のところに、夢をみているかのようにおぼつかない足取りで水晶の洞窟の中を進んでいく真紅の姿を。
ガラス張りの透明な床の上を歩き、いままでの平静の中に燃えるような情熱を持っていた第五ドールの姿とは見違えてしまうほど
にその後姿は頼りない。
あれだけのことがあったのだから、仕方ない。ジュンはとにかく駆け出すと真紅を追いかけた。「真紅!」
声が届いてないらしい。彼女はどんどんふらふらと水晶城の奥へと進み、複雑な構造の水晶の反射する入り組んだ光と影の模様
が照らされた床の上を歩いていく。
「真紅!」ジュンはもう一度叫び、追いかけた。真紅の後姿が視界の中で近くなり、大きくなる。もう少しで手が届く。
後ろから抱きかかえ、ジュンは真紅を掴まえた。彼女は掴まえられた状態にも関わらず浮いた足を動かし続ける。
それこそ人形が如きの動きだった。「真紅!何処に行くつもりなんだよ?」
キコキコと首を動かし、ゆっくり真紅が振り返った。うっすら微笑み、瞳は虚ろだ。「水銀燈が…私を呼んでいるわ」

214:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:01:23 ZxcNgLAY
113

地面に寝転がったまま、雪華綺晶は目を覆い隠した自分の腕をそっと下にずらした。
スゥーウィーの放った白い閃光が強烈すぎて、自分の目にも悪影響を及ぼしかねた。
見ると、翠星石と雛苺の姿は前から消え去っていた。まるで面影もない。一体自分の人工精霊が2人の姉達に何をしでかしたのか、
どこへ消えたのかは、あまり雪華綺晶は気にならなかった。

翠星石と雛苺は消えたが、自分を縛る世界樹と苺の蔓は依然体に残されたままだ。
雪華綺晶は苛立ちをわずかに覚えながらもその世界樹と蔓をどうにか自力で振りほどき、最後腕に残った一本の蔓を投げ捨てて脱出する
と起き上がった。

アリスへの基盤が完成しつつある。
邪魔者は消え、ここに揃えられたのは必要な素材のみだ。第五ドールの真紅に、その契約者。

アリスの幻影が自分に近づいているのが感じられる。nの世界で、失われ思い出せないその姿が。

とはいえ、真紅の契約者の前に少し軽く片付けておくべきことが一つある。そう時間はかからないはずだ。
"彼"にはよく動いてもらった - もうそろそろ休ませてやってもいい頃だと思った。

彼の夢の中では、いま自分は雪華綺晶の姿をしていない。然るべき、誰に見えているかその魂はこの世界に置かれている。
偽物の、作り物の魂が。

「それが偽りだと分かっていても」

「またそれが私の嘘だと知っていても」

「もしあなたにそれを告げたのなら…より至高の夢を見れるというのに」

「さあ 来るのです 私の心を灯して ゲームの夜に明かりを」

215:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:05:13 ZxcNgLAY
114

翠星石は、視界一面に青っぽい水晶が広がっているのに気付いた。
一瞬、記憶が飛ぶ。「ここはどこです?」
まるで自分がいるのは異空間だ。時計の針が乱れ狂って激しくいったりきているように安定していない。
とにかく、落ち着かない。胸騒ぎがする。まるで近くに化け物でもいるような…

「出やがったですぅー!」
振り返りざま目の前に現れた雛苺の顔を見て、翠星石は断末魔の叫びを上げた。雛苺の顔が真っ青に染まっていたからだ。
「ぎゃああああああ!!」
一方目の前で悲鳴を上げられた雛苺もつられて驚き叫び声を出した。
時間が一瞬こおりつく。
「な、チビ苺ですか…脅かすなですぅ」翠星石は息を吐いた。どうやらいつの間にやら自分達は大きな水晶の中にいて、
その水晶が外の世界から差し込んでくる光を青色っぽくしているらしい。それに照らされている自分達もまた青っぽい訳だ。

なんでこんな所に?
少し前に振り返れば、あの白薔薇の - あのドイツ語表記の名前が到底予想不可能な - きらきしょう?の出してきた
人口精霊スープ?の発した光に巻き込まれ、視界を奪われたと思ったら、ここにいた。
翠星石は自分達が既に死の世界にいるのではないかと不安になった。
そう、いつか自分が薔薇バラの薔薇水晶に水晶に閉じ込められたときのように - 薔薇の…バラスイショ…

「出やがったですぅー!」
翠星石はもう一度同じ悲鳴を上げた。
あの偽第七ドール薔薇水晶が - ああ - 自分達と同じようにこの水晶の中にいて、外に出ようと青いガラスの壁と格闘している。

素手のまま、両手でグーを作って壁をガンガン叩いている。水晶の壁の面はびくともしない。
翠星石は、どういうわけかバラバラに砕けてしまったはずのあの薔薇水晶が、ずっとここに閉じ込められていたのだと察した。
そして自分達もそこへ同じく来てしまったということも同時に悟った。さしずめやはりあの白薔薇のせいか。

「誰かいるの…?」
壁叩きに夢中になっていた薔薇水晶が翠星石の出した声に気付いてこちらを向いた。「あなた…あなたは…ローゼンメイデンの…」
それから、急に感情を爆発させたように金切り声を上げた。「ここから出して!!」
彼女の耳を劈くようなその声に圧倒されながら、翠星石がどうにかいま理解したことは、ここは9秒前の白に限りなく近いところ
あるいはど真ん中 - 本来迷子になった魂が彷徨うところ - しっかりとした自我を持たなければたちまち自分の姿はおろか
名前すら思い出せなくなってしまう - そんなところのなかで、時間を止められたように水晶の中に入れられてしまっているという
ことだった。いま自分の前にいるあの薔薇水晶はその魂の姿そのものだ。恐らくこの空間においても、水晶の中に封じ込められる
という形で自分を失わずにいられる、いわば無理やり精神だけが生かされているような状態にあるということになる。
いまあのの薔薇水晶に、既に実体はない。

そして所詮実体のない体では到底自分の力ではこの水晶の外には出れない。魂のバリアーを前に、いくら足掻いても無駄という筋だ。
だが翠星石は、一体どうして薔薇水晶がこのように本来迷子となり彷徨うべき魂をここに封じ込められてしまっているのかその目的までは
予想することが出来ないでいた。

216:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:07:36 ZxcNgLAY
「ううっ!」薔薇水晶は心底悔しそうに唸ってもう一度水晶の壁を内側から叩いた。「外に - 外に…!お父様のところへ
行かなければならないのに…」
薔薇水晶は、ここから外に出たいと切望しているらしい。そしたら無意識の海に呑まれて自分を失ってもおかしくないというのに。
余程強い自我と意思を持っているのなら別として。「あれは、あの白いドールは、私じゃない!お父様は騙されている…!」
「白いドール?」翠星石が反応した。「白薔薇のことですか?」
すると薔薇水晶は今にも食って掛かりそうな瞳で翠星石をにらみつけた。「ローゼン…メイデン…あなたたちは、弱い!弱い!
私はローゼンメイデンなんかより、美しく、強い人形になったはずだった!私が…私が勝ったはずだった!なぜ…なぜ、取るに足らない
ようなあなた達がまだ生きていて、アリスゲームに勝った私がどうして - どうして!?」
薔薇水晶は翠星石に詰め寄ってくる。ローゼンメイデンのドール全てへの憎しみを顔全体に刻んで、紫色の水晶で形作られた剣
を手元に召喚する。
「きゃああ!」
翠星石は、薔薇水晶の水晶の剣が自分の首を通過するのを見た。当時の恐怖が蘇る。
それから数秒後自分が全くの無傷だと分かるまでの間、翠星石はぎゅっと目を閉じていた。「…あ…れ?」
薔薇水晶は翠星石の身体を通り抜け、後ろに立ち尽くしていた。自壊して実体を失った薔薇水晶はもうまともにローゼンメイデン
と戦いあえることはない。互いに触れ合うことすらできないからだ。

「うっ…くぅぅ…っ」
薔薇水晶は絶望したように嗚咽を漏らし、身体を震わせながら膝をつくと次に両手を落とすように地についた。
青みがかった髪が垂れ、手からこぼれ落ちた剣が地面をバウンドする。
「倒せない…あんな弱いドールも…戦う資格すら、もう私には奪われてしまった」
嘆き、薔薇水晶はそれ以降もう立ち上がろうとしない。

こうなると、彼女も哀れだ。翠星石は思った。
ローゼンメイデンを超える。その戦いの宿命を与えられ、偽者として - アリスゲームに参加して、戦い続けた薔薇水晶は、
本当は誰の一人として姉妹の居ない、一人っ子だった。たった一人で自分を創った人形師の為に。それはある意味、まだ仲間を
持っていた自分たちよりも辛いものがあったのかもしれない。

「外に…ここから外に出なければならないのに…!」
泣き崩れたように言う薔薇水晶はそれでも尚そとに出ることを望んだ。
翠星石は一考した。もしかしたら薔薇水晶と自分達はもう敵同士ではないのではないか?
いま実体のない彼女なら、そんなに恐れる事だってないはず…

若干緊張しながら、翠星石は言った。「な…なんなら、おまえをここから出すのにちょっと…ちょっと手伝ってやってもいいですぅ」
薔薇水晶の顔が持ち上がった。「え…?」
「わわ、私も、どちらにせよこっから出なきゃならんですからね!」
自然と体の動作が喋りに合わせて入りつつ翠星石は言う。「まだ実体を持ったまま気付いたらここに入れられてた私達なら、
この水晶の壁を打ち壊せるはずですぅ」
「…」
いまだ信じられないという訝しげな目つきで薔薇水晶は翠星石を見つめていた。
「そ、そんな怖い目で見るなですぅ!…私達はお父様に作られた人形で、おまえはその弟子に作られた人形です。いわば私たちと
あなたは…義姉妹みたいなものじゃないですか…だ、だからちょっと手を貸してやろうって…だけですよ」
薔薇水晶は始めその言葉の意味をあまり意味していないようだった。「義姉妹…あなたが…義姉…あなたが…?」
「そういうことですぅ!もうお互い争ってる暇なんかあったら一緒に力を合わせて解決しやがれってことですぅ!」
水晶の壁に向かって乗り出し、翠星石は如雨露を手元に召喚した。「スィドリーム!」
金色の如雨露の中身が美しく光る若緑の液体に満たされていく。
「どうにも照れくさいですぅ!とっとと終わりにしてやるですぅ!」

217:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:09:09 ZxcNgLAY
数秒後、水晶の壁には世界樹が飛び出ると同時に大きな穴が開いた。その瞬間無意識の海の奔流が水晶の中に入り込んでくる。
「チビ苺つかまるですぅ!」翠星石は隣の雛苺を手で捕まえた。「薔薇水晶!おめーも気をつけてちゃんと海面を目指すですぅ!」
「まっ…まって…」薔薇水晶は、一足先に水晶から出て行く翠星石たちを追おうとしたが、直後押し寄せる無意識の海に瞬く間に
呑まれた。「…がっ…」呼吸が出来なくなる。口から空気の泡がもれる。

頭の先の水晶の髪飾りまですっぽり全身が無意識の海に包まれてしまう。
すると、自分の持つ様々な記憶が脳裏に流れてきた…

「偽りの仮面をかぶり、あなたは夜明けの前に目覚める…私の影として」

218:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:10:29 ZxcNgLAY
115
   

   これは…夢…

 それとも…幻

ここは…

   "起きるんだ"

誰かが…呼んでいる。

   "私の娘"

  私の…娘…? 私は…娘。
…眩しい。

   "ああ…やったぞ"

     なんだろう?光に包まれて…暖かくて。

  "私が見えるかい?"

優しい手。

  "そうだ、上手だ。薔薇水晶"

    おとう…さま…

219:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:12:09 ZxcNgLAY
116

「違う…これも違う…これも…これも駄目だ…」
「わが師よ、何を作ろうとしているのですか」
「ああ…ラウエフ…わが弟子…私はいま人形師として最後にして究極の目的を果たそうとしている…完璧な少女だ」
「少女?」
「その最初の試作品はもう製作に入っている。…。恐らく私が生まれ人形師となったのが必然であるように、私がその少女を
夢見るようになったことは偶然ではない。私自身を語らずに、その少女を語ることは出来ないだろう。少女は私に語りかける…
私は今後彼女とときを過ごすのだ」
「語る?暮らす?一体なんの話しです?」
「言葉の通りだ。その少女は歩きもする。そしてどんな乙女でも適わない美しさを誇っている…」
「…そんなまさか。生きている人形を作るというのですか。いくらあなたでもそんなこと…」
「最初の試作品はもう製作に入っていると言ったはずだ」
「バカな…冗談だとおっしゃってください」
「ローザミスティカ。それが私のローゼンメイデンシリーズに命を与えた」
「ローゼンメイデン?ローザミスティカ?本当に人形に命を与えることに成功したと?」
「ああ…成功した。私の長年の成果だった」
「本当に?…ならば私にも見せてください!それなら…私も、それなら命のある人形を創りたい!」
「いや…これはお前には不可能なことだ」
「そんな?何故です!?私にも人形に命を与える方法を!私はあなたの教えを全て受けてきました。にもかかわらず、私には
その権利がないと言うつもりなのですか!」
「これから私は究極の少女の完成の為に、ローゼンメイデンシリーズの続きを手掛けるだろう。それはお前の面倒を見つつ没頭できる
ものでは到底ない。お前は弟子を卒業だ…ラウエフ。もうお前に合うことはないだろう」
「ま、…待て、待て!ローゼン!」
「弟子よ。お前は人形師として私の最高の教えを受けた。これから私のなるものはそれとは違っているのだ」
「待ってくれ!本当に生きた人形なんてものが…!ローゼン!待て!ではせめて、せめて最後に顔を…あなたの顔を私に見せて
くれてもいいのではないのか!!ローゼン!!!」

220:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:14:26 ZxcNgLAY
117

「…うああああっっ!!」
お父様はまた深夜に魘され、ベッドから飛び起きた。最近…毎日のように。
「ローゼン…」
お父様はまた…独り言のように"ローゼン"と呟いた。私にはローゼンというものが何かまだ知らない。
「ローゼン…命を持つ人形は、私にだって作れるぞ…」
「お父様…」私はお父様に、堪えきれなくなって聞いた。「お父様…毎晩うなされています…一体ローゼンとは何者なのですか…」
「薔薇水晶…」お父様はコップに水をいれ、そを飲み干すと私の顔を見つめた。お父様は汗だくだった…。「お前は私の作った、
命を持つ私の全てを注いだ最高の人形で…娘だ。ローゼンとは人形師、私の師匠だった」
「…ししょう…」
「…やつは…人形に命を与える方法を見つけたとだけいい…私から…」そこでお父様は言うのを突然やめた。「いや、やめよう…
薔薇水晶、いまはお前がいるのだから…」
私は、それだけではお父様の心がまだ欠けていることを分かっていました。「…お父様。それではなぜ、お父様は毎日悪夢を
見られるのですか…?」
「…」
お父様は急に深刻の顔になり、手で頭を深々と抱えました。それは、私の見たことのないお父様の苦悶の表情でした。
「薔薇水晶、ずっとお前に言いたくてもいえなかったことがある…」
私はその言葉を聞いて喜びました。「はい。なんでしょう?お父様。なんでも私に言ってください」
「薔薇水晶…」
お父様はいまにも泣き崩れそうな顔で私を見つめます。一体どんな言葉がかけられるというのでしょうか…
「もう一度お前に言いたい。お前は私の最高傑作なんだ。私の、二つとない、最高の人形だ…」
「お父様。ありごとうございます…でも、ためらわずに、言いたいことを聞かせてください」
「ああ…」お父様はもう一度コップに水を入れて飲むと、私にそれを告げました。「薔薇水晶…私はお前に、ローゼンメイデン
シリーズのアリスゲームに参加させたいと思っている」
「ローゼンメイデン…?アリス…ゲーム?」聞いたことのない単語が並び、私はただ聞き返すだけでした。
お父様は答えます。「ローゼンメイデンシリーズとは、私の師が手掛けたローゼンの人形達だ。お前と同じように命を持っている。
だが命を授かった手段は恐らくお前と異なるだろう。アリスゲームとはそのローゼンメイデン達の中で行われる、究極の少女アリス
を目指して互いのローザミスティカを奪い合うというものだ。端的にいってしまうと…それは戦いだ」
「戦い…」でも何より、私には惹かれた言葉がありました。「究極の…少女…?」
「アリスゲームを制し、全てのローザミスティカを集めれば、その者は究極の少女アリスとなる。それは紛れもなく世界一、
どんな少女よりも美しい存在となるんだ」
「世界一…どんな少女よりも美しい…」その言葉の持つ魅惑に私は思わず自分の中で想像してしまい、少し気恥ずかしくて
自分の頬を両手で触れました。。
「究極の少女アリスにお前がなれば…」少しためらいがちにお父様は言います。「私は紛れもなくわが師ローゼンをも越える、
最高の人形師になったことになるだろう…同時にお前も、本当の意味で最高の人形になるんだ」
それは私にとってはまるで必然のように投げかけられた、願ってもないような話に思えました。
「はい。お父様。私、アリスゲームに参加します。ローゼンメイデンシリーズからローザミスティカを奪って…アリスゲームを
制してみせます。」
「薔薇水晶…!」お父様は感極まった様子になり、私を抱きしめました。「お前は負けない。絶対に負けない。私が保証しよう。
何度もいうが、お前は私の最高の人形なのだから…」
「はい。私、ローゼンメイデンたちと戦います。必ず勝ちます」
意気揚々と答えた私でしたが、そのとき、左目に違和感を感じました。何かが頬を伝っている…「お父様…?これは…」
「な、涙が…!」お父様は急に心配げな顔になりました。「薔薇水晶、やっぱり…辛いのか!?戦うことが?」
「いいえ…」しかし、私の意志とは裏腹に涙とよばれたそれは止まりません。止められないのです。「お父様、私、辛くなんか
ありません。戦わせてください。アリスゲームを」

それからというものの、私の左目の涙はずっと一晩中やみませんでした。
お父様はその場で、戦いで相手に涙を見せてはならない、それは弱みを見せるのと一緒だ、と言って、私に薔薇を象った眼帯を
左目につけ、涙をおさえました。

私はその眼帯を自分でよりきつく結んだ…これから、戦いが始まるのだから。

221:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:18:01 ZxcNgLAY
118

「君の勝ちだ、薔薇水晶…僕の人形が、勝ったんだ…」
「これで、ローゼンメイデンより強い人形になったのですね」
私はアリスゲームに勝った。第七ドールを称して、ローゼンメイデンを倒し、お父様がローゼンより人形師として優れて
いることを証明した。本当に…本当に嬉しかった。
これで、アリスという、いえきっとそれ以上の…最高の人形になれる。お父様のおっしゃった、どんな少女よりも美しいという
存在に。同時にお父様も最高の人形師となれる。師匠だったローゼンを超えて。
「ああ…この腕は直してあげる」
でも違った…私もお父様も忘れていた。何故かはわからない。
私にはまだ倒していない、もう一体のドールがいたことを。
「胸が…熱いっ…」
顔面にひびが入る。
私の体は崩れていく…究極の少女になるはずだったのに…まるでそれと正反対の事態に私の頭は真っ白になるばかりだった。
そして、もう自分の命が長くないことが分かると、ただお父様のことだけを考えていた。
「お父様…お父様…」
さいごお父様の胸の中に抱きかかえられ、私の意識は闇に落ちた。

でもそれで終わりじゃなかった。
私はそれからあの水晶の中にずっと閉じ込められていた。
恐る恐る...水晶の壁に近づいてみる..壁の先に反射された私の姿が映る..白い..私は白いドレスを纏っていた。
私はこんな、白い人形じゃない..
白い人形は水晶の向こうから私に微笑みかけ、水晶の向こうへと行った。その先にはお父様がいた。
長年の願いが打ち砕かれ、自分の全てを注いだ私という人形も壊れ、お父様は何もかもに絶望していた。
酒を飲み、店も開かず、裸にも近い状態のまま泥酔する…
私はお父様を呼んだけど、声は届かなかった。水晶の壁が私とお父様を何もかもの繋がりから切り離していた。
水晶に隔たれたまま、私はただお父様を見ていることしか出来ない…
生活部屋の中で酔いつぶれ、ベッドの脇に寄りかかるお父様を。
するとさっきのあの白い人形が…お父様の元へと駆け寄っていき、私の代わりに声を掛けた。
お父様は白い人形に応える。
違う。あれは私じゃない。お父様は騙されている。あの白い人形に、ずっと幻を見せられている。
あの白い人形は…だれ?
白い人形はお父様の心を食い物にし、日を追うごとにお父様は…自身を失っていく…もはや自分が誰なのかすら、記憶からこぼれ
落ちそうになっている…

あの白いドールのせいだ… 何もかも終わったのも、あなたのせいだ…そしていう…私は努力をしなかったと…もう元には戻れない…

終わりです、お姉さま…これで終わりです、たった一人のお姉さま。

でも私は、アリスゲームに勝った!

いいえそれは幻。窓を覗いて御覧なさい、あなたの倒したはずのドール達は今も動いています

あなたはだれなの!

あなたはだれ?私はだれ?

私は…ふと行き詰る。私はだれ?突然、名前が思い出せなくなってしまった。

私は…薔薇乙女第七ドール…

222:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:20:08 ZxcNgLAY
苦しむお父様の顔が目に入る。お父様の顔が…でも、私は自分がだれなのかがでてこない。どうして!?

物質世界に存在を縛られる事自体がアリスへの枷になってしまう不要の形骸なのか

違う…

ふと、さっきであった、別のドールの顔が記憶に浮かんできた…

もうお互い争ってる暇なんかあったら一緒に力を合わせて解決しやがれってことですぅ

あなたは、どうして…

だから薔薇水晶、おめーも気をつけてちゃんと海面を目指すですぅ

私は…私の名は…

223:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:21:56 ZxcNgLAY
119

「っふはぁっ!…」
薔薇水晶は、無意識の海の海面から顔が外の世界に出たのを感じた。
陸地が見つからない。視界に映るのは水色がかった異世界の空と白い水晶だけだ。
頭のなかが混乱したままとりあえず漕ぐ。「お父様…!」

と、海面でもがく薔薇水晶の腕を緑色の腕が掴まえた。
引っ張られる…

「けほ…!…けほ…!」
薔薇水晶は陸地についた。一歩先にそこへ到着していた翠星石が引き上げてやったのだった。
「初めて無意識の海に飲まれたやつにしては、上出来ですぅ」

「ここは…どこ?」
陸地に着いた薔薇水晶は地べたに手をついてむせつつ聞いた。
「どうやら」翠星石は後ろに聳え立つ巨大な水晶の城を指差した。「あの白薔薇の世界から遠く離れていないみたいですよ。
むしろ近づいているですぅ」
「白薔薇とは…」その人物名に薔薇水晶は過敏に反応した。「白薔薇とは、何者なの…ですか」
「えっ知らないのですか」翠星石はかなり以外そうな顔をした。「姿似てるからなんか関係あると思ってたですぅ。お前がそのまま
真っ白になって右目に白薔薇つけたような頭の飛んだやつですよ」
「そんなドール知らない!」薔薇水晶は再び翠星石に食って掛かるように睨みつけた。「私は私!他の誰でもありません…!」
「わわわわわ分かったですぅ」翠星石は降参の動作をした。
「その白薔薇というのは一体いまどこに!?」薔薇水晶は語調を荒げてさらに翠星石に迫る。「その者はいま何処にいるの!?」
彼女は翠星石のドレスを掴み上げようとするが、触れることかなわず体が透ける。「何処なの!?」
翠星石は困惑気味に答えた。「え、そんなこと聞かれてもはっきりわからんです…、」しかし自分を見澄ます薔薇水晶の顔が
これ以上険悪になるのを恐れるととにかく何処かを挙げなければならないと思った。「多分、…あの水晶の城あたりにいると
思うですぅ」
薔薇水晶の顔の向きが水晶城へと移った。巨大なその姿を見上げる。
それから急に意を決したように飛び上がると、水晶城を目指して猛スピードで飛行しだした。
かつて仮にも真紅を倒し、アリスゲームを制したあの薔薇水晶がかつての力の一端を再び発揮した瞬間にもそれは思えた。
「ああ、」翠星石と雛苺が彼女を追う。「待つですぅ!」
速い。翠星石は思った。薔薇水晶の姿がどんどん遠ざかっていく。
それから、あの似たもの同士の第七ドールと薔薇水晶がこれから衝突するのだろかとも思案した。
最も、それは見た目の話しであって、性格はまるで対極をなしているが。

224:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:24:52 ZxcNgLAY
20

雪華綺晶は一人、無意識の海に浮かぶ水晶の舟の上に乗り、ある目的を果たすべく水晶城を目指していた。
彼女の意思に従って、水晶の舟は海の上を進む。スピートばぼちぼちだ。
「クリスタルの舟は、満たされて」その舟の上から独り言を呟く雪華綺晶は、何処かで薔薇水晶の魂が再びここへ舞い戻って
きたことにはまだ気付いていない。「千の少女たちと、千の子たち。ときは百万通りあるのだから、戻ってくるときには」
目的地まで舟が辿りついた。雪華綺晶は水晶でできた縁を乗り越える。「すぐに私は列を降りましょう」そして陸地に着地した。
すぐに、目的のものが見つかった。

「あれは…?」
クリスタルで出来た美しい大きな舟の上から飛び降りてきた一体の真っ白いドールの姿を巴は発見した。
その現れた方は夢を見ているかのようにあまりに魅惑的で思わず目を奪われる。

自分を見つめてくる巴を雪華綺晶は見返した。彼女は真紅のマスターをおびき寄せるのに使ったが、もう彼はここに来ているので
用済みだ。少なくとも雛苺のマスターでなくなった今は。
「あなたは…だれなの?」
巴はそう聞いてきた。「ローゼンメイデンの一人…?」

雪華綺晶は巴のような存在には今や全く興味が沸かなかった。
アリスゲーム終焉の場に最も相応しくない者といえば彼女に違いない。
いま用のあるのは槐の方だ。

「ねぇあなた、一体、槐さんに何があったのか、知ってる?」巴は口を開いて再度問い掛けてきた。
そんなことはどうでもいいのです!
しかし雪華綺晶はアリスゲームに関わる話しの問いかけになると必ず答えてしまう癖がある。それも、謎めいた台詞で返す癖が。
「影に映る破滅…光すら絶えたとき。マスターは壊れました」
雪華綺晶がマスターと称した槐は、まさに彼女がいったように壊れているという表現が不気味なほど似合っていた。
幻想的な輝きを持つ水晶城を見上げ、散乱した目で薔薇水晶の名を連呼している。まるでその水晶城の中に薔薇水晶が見えている
かのように。とうぜん、水晶城の中にはクリスタルが敷き詰められているだけで、何も映ってはいない。少なくとも自分の目には。
「マスターって…」
巴は白いドールの言葉からある事実を導き出そうとしていた。「じゃああなたは…槐さんの契約したドールなの…?」
今度こそ雪華綺晶はそれを無視した。
彼女を尻目に、無機を変えて左手のひらを前に出すと後ろから槐に近づいていく。
「な、何をするの…?」にわかに胸騒ぎを覚えつつ巴を襲った感覚は、突然の電撃だった。
この白いドール…!私は見たことがある。この水晶の城も!
ずっと忘れていた。なんで思い出せなかったんだろう。
いつか雛苺のマスターであった頃、雛苺に鏡から彼女の世界に連れられた時に、ふと見たことがあった。

雪華綺晶は槐の背中へと迫っていった。あなたの役目もまたもう終わり。自然と顔が綻ぶ。偽りの夢に抱かれてお休みなさい。
だがその刹那、テレポートしてきたが如く彼女の前に現れた薔薇水晶が、槐への行路を絶った。すでに戦いの構えをとっている。
左目を雪華綺晶は丸くさせた。

225:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/10 04:56:05 jEjQ1OE/
いつも良作を読ませていただきありがとうございます

226:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/10 07:11:10 PrqlU3ko
  ,_-- 、       , --…- /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  - __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| - _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'-'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ --  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ --  _ \________  

227:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/10 08:08:11 jufcplJT
>>213-224
久々の投下GJ!
これから仕事なんで帰ったらじっくり読ませてもらいます。

228:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/10 19:25:02 +zZuBy58
    , .-=- ,、
 ヽr'._ rノ.'   ',
 //`Y. , '´ ̄`ヽ
 i | 丿. i ノ '\@
 ヽ>,/! ヾ(i.゚ ヮ゚ノ  かしらっら
  `ー -(kOi∞iミフ
      (,,( ),,)
       じ'ノ'
          ぽいんっ
      川
     ( (  ) )

229:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/10 22:41:10 SsW+hd4B
久々に来た、荒らされて中止なんてことになってなくて安心した
大詰め?みたいだけど最後まで頑張って
しかしすごいな、きらきのキャラ付けとかもまるでオリジナルみたいだ

230:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/11 00:27:42 Vr64cMl2
            , -―- 、_
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231:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/11 03:42:10 B/OXP36z
121

「また新しいドールが!?」
新たなドールの出現に、巴は驚きの声を出した。この人形もまたローゼンメイデンの一人だというのだろうか。
紫色のドレスに青みがかった髪を持ったドールだが、さっきの白い人形と顔も形もそっくりだ。一見するとまるで双子のような - 
それはあの蒼星石と翠星石以上に、いま向き合っているあの2人は服の細部まで似ていた。

薔薇水晶は、右手に紫色の水晶の剣を握りしめ、自分に似た白いドールに敵意むき出しで言った。「あなたにお父様は喰わせない…!」

その薔薇水晶の背後からは、ほどなくして追ってきた翠星石と雛苺がこちらへやってくる。
翠星石は息を切らしながら頭の上に雛苺を乗せていた。
「はぁ…あー…疲れだですぅ…」
「翠星石がんばったなのー!」
頭上の雛苺を翠星石は憎たらしげに見上げる。「人事だと思いやがってですチビ苺…!」
そんな言葉を雛苺は無視した。既に興味が次の対象へと移っていた。「あー!巴!」
「雛苺!」胸元へと飛び込んできた雛苺を、巴はうまくキャッチして抱きかかえた。
初めて見るドールが二体に、翠星石と雛苺までこの水晶城の世界にいる。
するともしかして。巴はふと思った。
ローゼンメイデンの全員がここに集っているとでも?

「ワットザ - どうやってあの水晶から?」
食い掛かるように睨み付ける薔薇水晶を見やりながら、雪華綺晶はひどく混乱した。「いいえ、いいえ、…口を開かないで!
たとえばあなたが-そうあなたが-あなたは、だぁれといったら?あなたは口を開かないで。言葉が回転するだけだから - 
まだ"if"という単語が"life"の真ん中にあることを知っているかとか話していた方がまし…」
「落ち着けです白薔薇」
「スゥーウィー!さっき第三と第六を何処に?邪魔っぽそうだから水晶城の真下の9秒前の白の底に吹き飛ばした?なんて
役立たずな、愚にも付かない人工精霊!」
雪華綺晶はスゥーウィーに向かってそう言い放った。「あなたは取るに足らないイエバトです…私から離れておいき!
遇劣なイエバト…あなたはただ上から西を見つめているだけのイエバトです…絶えて迷子になってしまえ!」

水晶城の下の無意識の海には薔薇水晶の魂を封じ込めていたというのに。そのせいで出てきたのか。
翠星石なら9秒前の白から簡単に抜け出す道筋を知っている。

232:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/11 03:44:02 B/OXP36z
薔薇水晶は水晶の剣を握りしめ、言った。「あなたに私のお父様へ手出しはさせません…!」
「あー!やめてください…口を開かないで…それにここまでやってきてまだ暴力の世界に走るつもりなのかしら?」
「ずっとお父様の心を食い物にしていたのですね!」
「それはまだこれから。いま眠らせて差し上げようとしていたのに - あなたには止めることは出来ない。あなたはもう実体を
失くした、かわいそうな偽のゲームを支配して最後に崩れた踊り子。いまのあなたはただの魂の残像。私に触れられることすら
叶わない。ふふ…かわいそうな霊た…!!!」
雪華綺晶の長々しいしゃべりの終わりを待ちきれないといった様子で、薔薇水晶は前に踏み込むと水晶の剣を振るった。
一瞬、本当に雪華綺晶が言ったとおり、その剣身は相手にあたることすらなく透けていってしまうように思えた。
ところが次の瞬間、ガーンと鈍い音がなり、雪華綺晶の頭にそれがあたった。
雪華綺晶は三回ほどふらふらと地面の上を回転し、やがてバタと転んだ。それを薔薇水晶は上から見下ろした。
「…実体のない者どうしならどうやら触れ合えるようですぅ」
翠星石はさっき薔薇水晶の剣が自分の体を透けていったのを思い出しながら、そういった。七体目の白薔薇は元からアストラル体。
「どこか…どこかで糸車の動きが狂いだした気がする」地べたに頬をつけたまま雪華綺晶は呟く。

一方の薔薇水晶は、雪華綺晶を一端放ってその場から離れると槐の元に急いだ。「お父様!」
パンツ一枚しか纏っていない槐を後ろから呼びかけ、太ももにしがみつこうとする。
だが、身体を失って意識の霊魂 - 幻となったいまでは彼に触れられない。「お父様!私…」
「美しい!美しいぞ!」槐はまるで薔薇水晶には気付かず水晶城を見上げたまま叫び続けている。「僕はローゼン以上の存在さ!」
「お父様…ここです!…私はここにいます!」
切り詰められるような恐怖を覚えながら、薔薇水晶は必死に槐を呼んだ。
気付いてもらえない。どうして?

「ふふふ…ふっふふふふ…かわいそうな薔薇水晶…」
すると、薔薇水晶の後ろで雪華綺晶の静かなな笑い声が不快に響いてきた。「あなたがもう彼の目にとまることはない…かわいそうに」
「ど…どういうことです?」背中で聞き返しながら薔薇水晶は平静を装うとしたが、槐に関わることではどうにも動揺してしまう。
「ふふ…」雪華綺晶は寝転んだ状態のまま左手を持ち上げた。「少なくともこれがあるのだから」
雪華綺晶が薔薇水晶に見るように意図したものは、指輪だった。白い光を放っている。
「まさか…!」釣られて槐の左手へと視線を移したのは、薔薇水晶だけではなく翠星石や雛苺まで顔の向きを変えた。
槐の左手に嵌められた指輪。雪華綺晶のと同じく白色の煌きを放っている。
「あの弟子の人形師が白薔薇のマスター!?」
ゆっくりと、雪華綺晶は白い地面から起き上がった。白い髪がふわふわとしながら垂れ下がる。「夢の始まり」

233:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/11 03:45:58 B/OXP36z
122

雪華綺晶と薔薇水晶。
この2人が似ていることは雪華綺晶本人にとってもあまり本意的とはいえなかった。
そもそも第七ドールの雪華綺晶は、ドールの契約者の心を奪い、その力を以ってアリスになろうとするドールだ。
この日本という国でアリスゲームが始まったとき、既に雪華綺晶は絶望的な状況にあった。
生まれたて未完成品だったあの水銀燈が、どの人間とも契約することなくゲームを戦いだすのだ。
雪華綺晶にとってドールの契約者とい存在は必要不可欠だ。もしドールがどの人間とも契約しないまま壊れたり、
アリスゲームの敗者になったりすれば雪華綺晶は永遠にアリスへの道を絶たれることになる。

そして、事実その事態になってしまった。
第一ドール水銀燈は、どの人間とも契約しないまま真紅の前に破れ、燃やされた。壊された。
このままだと、水銀燈の契約者が以降出ることはない。
雪華綺晶がアリスになる為には、何が何でも水銀燈には復活してもらう必要があった。

お父様が水銀燈を直すか?
どうもそうにも見えない。そもそも水銀燈は元から薔薇乙女あらざるべきドールだったのだから。
ということはつまり、お父様以外に水銀燈を直せるような技術を持つ存在を探さなければならないことを意味していた。

そして、いた。
お父様の弟子。槐。
雪華綺晶は彼に目をつけた。幸運にも、槐の方としても19世紀より薔薇乙女を探し続けていて、それを元に自分も薔薇乙女、
いやそれすら超えるような人形を作ることを切望していた。
槐の心につけ込むには、あまりにも簡単だった。
夢の中で雪華綺晶は槐の前ら現れた。あえて何体目かは告げず、私は薔薇乙女とだけ言った。

次の週から、槐は憑かれたように人形創りに励みだした。薔薇乙女をも超える、命を持った人形を求めて。
槐が一日一日寝るたび、雪華綺晶は彼の夢に現れ、少しずつ心を蝕んでいった。
この時点で、雪華綺晶は槐と実質上一方的に契約を結んでいた。契約さえすれば…マスターの心など想いのままのひばりも同然だ。
こうして、マスターの心を薔薇乙女より素晴らしい人形を創ろうというだけでなく、本当に薔薇乙女を倒せるようなドールを作る
ように徐々に操作していき、最終的には自分の人形をアリスゲームに参加させるようにマインドコントロールした。

234:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/11 03:47:32 B/OXP36z
槐本人が知らない内に、心は雪華綺晶に啄ばまれ、作る人形も気付けば雪華綺晶ばかりを参考にした、雪華綺晶そっくりなドールへと
完成していった。槐をそれを薔薇水晶と名づけた。薔薇水晶はローザミスティカのない人形だったが、彼女には雪華綺晶が命を
吹き込んだ。いつか自分が水銀燈にしたように、精神で活動する自分の命の一部を分け与えたのだった。
これはローザミスティカがなくとも生けることのできる、神秘の魂だ。
つまり…かの槐は自分の実力で薔薇水晶に命を与えたと思っているが、その実そうではない。
そこまでくると、雪華綺晶は警戒を恐れ槐の記憶の領海からは姿を消した。槐から自分の作った薔薇水晶が雪華綺晶のコピー品にも
近い状態であるという意識はこれで完全に消えた。

実際…あとは放っておくだけで槐は見事に雪華綺晶の思い通りに動いてくれた。
薔薇水晶をアリスゲームに参加させるためまず彼がしたことは水銀燈の修理だった。
真紅に倒された水銀燈は、ローザミスティカを奪われることなくそこに放置されていたからだ。これではアリスゲームの続行が出来ない。
そう考えた槐はそのローザミスティカを使い、水銀燈を直すと同時に、その水銀燈を薔薇水晶の比べ台にしようとも考えた。
裏で雪華綺晶が思惑通りに動いたと笑っているとも知らずに。
直した水銀燈を鞄に入れ、薔薇水晶に持たせる。そして柿崎めぐの通う教会で待機し、彼女が来たところをタイミングよく鞄を
教会の中に落とし、めぐに気付かせた。あとはめぐが一方的に水銀燈と契約を結ぶ。知っての通りだ。

この瞬間、雪華綺晶がずっと望んでいたこと - 水銀燈を復活させ、かつ人間と契約させる目論見は遂に成功したわけだ。
これでマスターの力を狙える。
第二ドールも目覚め、彼女がアリスゲームに躍り出る条件は既に揃った。

だが、次にどうにでもなるだろうと高をくくっていた薔薇水晶が思ったより他のドールを圧倒した戦闘力を持っていることに
気付くと、まだ雪華綺晶は表に出ることを拒んだ。たかが自分の能力の一部である水晶の能力を与えただけなのに、それだけでも
こんなにも他の姉妹達を倒してしまうとは。雪華綺晶は、自分に与えられた能力があまりにも強大すぎてゲームのバランスなど
とうに崩壊していたことをただ一人悟った。

薔薇水晶は真紅をも倒し、六つのローザミスティカを集めた瞬間崩れ出した。これは偶然ではない。所詮薔薇水晶の器の命など
最初から雪華綺晶の手の内にあったのだ。自分が与えたのだから。器を失い、魂として無意識の海を彷徨い出した薔薇水晶を
雪華綺晶は捕まえ、水晶の中に封じ込めた。まだこの魂には利用する道がある。

薔薇水晶の魂を自分の世界に取り入れ、かつ槐と契約している状況を利用して、雪華綺晶は槐の夢の中では薔薇水晶の姿をする
という幻を造り上げた。槐を操り尽くし、三度目復活した水銀燈に人の命を延ばせる夢の樹の方法をそそのかした。水銀燈は
それにのってめぐの父親を殺した。そこから遂に、真紅と水銀燈のあの因縁の決闘が始まったのだった…
雪華綺晶を前にめぐを置いてきぼりにして。

235:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/11 03:49:54 B/OXP36z
123

「一体どの洋物推理小説の真犯人の回想ですか!」
翠星石はもう聞いてられないとばかりにまくしたてた。「いまどきくんくん探偵の犯人役もそんな回想しませんよ!」

「あなたの人形師は心を壊し、私の知る域をも超えかけている」
雪華綺晶は薔薇水晶を見やりつつ言った。「自分の人形が壊れたことも覚えてはいない。そしてそれは私には丁度いい…」

対面する2人の後ろで、槐は今も変わらず水晶城に向かって吸い込まれるように歩いていく。
追い討ちをかけるように雪華綺晶はさらに言った。「あの水晶の城は私そのもの。あの中に入れば彼の魂は私の養分となる。
眠る彼に根を張り巡らて」

それはまるで死刑宣告のように薔薇水晶の耳へと響いた。「そんな…お父様!」
とっさにまわれ右するように振り返り、槐の後姿を見る。彼はどんどん水晶城へと飲み込まれるが如くに近づいていく。
薔薇水晶は一端顔の向きを直し、雪華綺晶に怒りの視線を一瞬ぶつけると、踵を返して一直線に槐のほうへと飛んだ。

「お父様!」
もはや触れ合えないのも声も届かないのも承知で、槐の横につく。
以前には見受けられなかった彼の左手の指輪を確かに薔薇水晶は見つけた。それが、あの白いドールとの何かの結びつきを築いている
ことはほぼ疑いようがない。あの白いドールの話は本当らしい。だとすれば、お父様のかけられた偽りの夢を解く方法はただ一つ。
「少しだけ、あと少しだけ待っていて下さい…お父様。すぐに私が、幻を解いてみせますから…」
もはや以前とは変わり果ててしまった槐の傍で、薔薇水晶は自分という存在を生み出してくれた主にそう言葉を掛けた。

やがてゆっくりと彼から離れる薔薇水晶。
物静かな様子でこちらへ戻ってくるかと思えば、突然酷烈とした目をして雪華綺晶を睨みつける。
思わず翠星石は身震いした。以前見てきた薔薇水晶のどの顔よりもいまの視線は恐ろしい。
水晶の剣の剣先を雪華綺晶へと伸ばし、薔薇水晶は言った。「…あなたを壊す。それは避けて通れない道のようです」

ところが雪華綺晶はあまり薔薇水晶を相手にしようとはしていないようだった。
「実体のないドール同士で戦っても意味なんてないのに。ただ暴力が巡るだけ」
薔薇水晶はそれを無視した。
決意に満ちた戦士の如くまっすぐ雪華綺晶へと近づいていく。そしていきなり歯を食いしばると力を込めて剣を上から振り落とした。
雪華綺晶は飛び上がり、高く地面より離れた。剣は空ぶる。すぐに相手についていくように薔薇水晶も飛び上がり、雪華綺晶の
目の前まで迫って宙で対峙した。
これ以上ないほどに2人の距離が縮まる。

雪華綺晶は左目で薔薇水晶の右目を見つめた。「器を失った迷子の魂と、イデアのアストラル。分かってるのでしょう?勝てないと」
薔薇水晶の右目が雪華綺晶の左目を見返した。「そうは思いません」

先手を仕掛けたのは薔薇水晶だった。左肩を引いてから勢いよく手を前に突き出すと、そこから衝撃派が発生して雪華綺晶を
吹き飛ばした。
雪華綺晶は打ち上げられた砲弾のように空高く舞い上がっていきつつ、手元に氷の長剣を取り出す。
「こんなものもう使わないと思っていたのに。でもこれはきっとアリス誕生という大きな波紋の前の些細な波。七体目は
それに身を委ねましょう!」

対する薔薇水晶は、空中で剣を構え持つ雪華綺晶を目にしかと捉えると、戦闘態勢を取った。
「最高の人形師、槐の名にかけて!」
薔薇水晶はそう叫び、飛翔する鷲の如く突っ込んでいった。

236:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/11 03:51:44 B/OXP36z
124

聳え立つ水晶城の中層ほどのところで、ジュンはさらに奥へ上へと進もうとする真紅を必死に抑えている。
「真紅、それ以上いくな!」
ジュンの声は真紅に恐らく届いていない。「水銀燈が…呼んでいるわ」
「水銀燈はもういない!もういないんだ!もう…!それ以上前にいっちゃだめだ!真紅!」
「彼女ならいるわ。あなたには分からないのよ!私は聞いているわ - 水銀燈、まって…いまいくわ…」
真紅が進もうとする先には、ガラスの床が割れて大きな穴が開いている。
それ以上進むと下へとまっ逆さまに転落してしまう構造だ。
「だめだ!いくな!七体目の罠だよ!真紅!僕はいかせないぞ!お前まで水銀燈のところなんかへ - 僕は力づくでも止めるぞ!」
そして、ジュンは真紅を羽交絞めするように抱きかかえると、力いっぱい後ろへ引き倒した。
2人して地面に転げる。「いかせない!目を覚ませ!」
「いやあああああ!!」
すると彼女はジュンの胸の上で大暴れした。瞬く間にジュンの胸から脱出し、発狂したように奇声を張り上げると、
手に持っていた水銀燈の剣先を握ってジュンの喉元に上から突きつけた。
激しく息を切らしながら、ジュンを殺すような青い瞳を向けている。
ジュンはしばし言葉を失った。真紅のこんな目を見るのも初めてだったし、剣を喉元ぎりぎりのところまで伸ばされれば恐怖心
に身体も硬直してしまう。

「…」慎重に、出来るだけ彼女を刺激しないように、ジュンはゆっくりと両手を上げて口を開いた。「…真紅…?ぼ、僕だよ…」
真紅の瞳に変化はない。ジュンにのしかかって剣を喉に突きたてたままだ。
ジュンはもう一度静かな口調で言った。「…真紅…僕が…分からないのか…?ジュンだよ…お前の契約した…」
真紅の瞳がピクリと動いた。殺気が次第に引いていき、やがて驚いたような顔つきにかわると、次に絶望したようにジュンから
離れ水銀燈の剣を手元から落とした。剣が地面に当たって音を鳴らす。
真紅はその場にへたれ込むように座り、後ろの水晶に寄りかかると呟くように声を出した。「私はもうダメだわ…ジュン」
「ああ…分かってる」ジュンは答え、ゆっくりと水晶城の中を起き上がった。「こんな所まで来てしまって…」
水晶城の上から外の世界を見つめる。
「こんな辛い事ばかりが立て続けに起こるアリスゲームってなんなんだろうと思うよ」
ジュンは言う。「でも不思議だよな。アリスゲームがなければ僕は真紅にも翠星石にも出会わなかった。アリスゲームの辛い運命を
みんなと一緒に - 僕もそれに巻き込まれるというか、…脇役でもアリスゲームの一部となることが」
ジュンは自分でも何言っているんだろうと思った。「それが、すごく生きている、って実感するときがあるんだ」
朦朧と座り込んだまま真紅は受け答えした。「アリスゲームは殺しあうものなのに?」
「真紅、」ジュンは真紅の前に再び座り、肩に手を添えるとその青い瞳をまじまじと見つめた。「僕はお前達のアリスゲームに
巻き込んできたことを、とても感謝したい気持ちで思っている」
肩に触れてきたジュンの手の上に真紅は自分の手を乗せた。「…愚かな下僕ね。そこまで成り下がってしまっては私の手に負えないわ」
「手に負えないのはお前の方だろ。らしくないな。さあ、真紅。」
ジュンは真紅の肩を掴み、立ち上がるように促す。「いこう。みんなを助けに。」
「みんなを…助けに?」ジュンにせかされるままに立ち上がった真紅は不思議そうに聞く。
「七体目のドールがみんなのマスターを狙っている」
「そう…」青い瞳を悲しげに落とす。「それで…」
一度ジュンから真紅は離れた。ガラスの床に落ちた水銀燈の剣をもう一度拾い上げる。
「ジュン…」
それからジュンに背を向けたまま、重々しい、深刻な語調で語りだした。
「翠星石や雛苺と一緒に飲んだ紅茶はどこへいってしまったの? - 姉妹で見たくんくん探偵はどこに? - 全ては過ぎ去ったわ。
山に降る雨のように…草原を吹く風のように…」
真紅は恐らく水銀燈の剣を武器にこれからを戦うつもりなのだろう。それが一体何の決意の表れであるか、それは真紅だけが
知る水銀燈の何かだとジュンは思った。「私達の幸せな日々は海の彼方へと過ぎ去っていったのね……扉の後ろ、影の中へ…」
溶岩地帯での水銀燈との死闘を戦いぬいて身も心もボロボロの真紅から放たれるその言葉は、まるで自分の死を予言しているかの
ようだった。「…すべてはアリスのために…」
ジュンは真紅の前に座ると、乱れた彼女のドレスを手で直してやった。「いこう、真紅」

237:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/11 03:53:19 B/OXP36z
125

空中で繰り広げられる雪華綺晶と薔薇水晶の戦いは、奇怪さを極めたものとなっていた。
水晶で出来た剣を振り翳す薔薇水晶に対して、雪華綺晶は全く予想不可能なフォームて氷の剣を扱っている。その彼女の身体
からは白い茨が生き物のように伸びる。
薔薇水晶の顔にはにわかには信じ難いというような困惑が浮かんでいた。自分の剣術がまるでこの白いドールには通用しない。
突きをしてみる。すると相手の白いドールは宙返りしてかわしたかと思うと、次の瞬間思わぬところから相手の剣先が伸びてくる。
「くっ!」
その突きを薔薇水晶は頭を仰け反らせて辛うじで避ける。いや…たとえこの剣先が当たったとしても、霊魂となったいまなら
彼女にダメージはないはずだった。だが、先に攻撃を受けてしまうことは薔薇水晶にとってはドールとしての誇りの面で負けを
意味している。
なぜなら自分はローゼンメイデンに勝ったはずのドールなのだから。例え後に第七ドールが新たな敵として出てきても技で
負けてはならない。
お父様に応えるため。
薔薇水晶は前に出た。白いドールの剣を持つ右手に切りかかる。「ほっ!」すると相手は右手を引っ込めると同時に
氷の剣を左手へとお手玉のように投げ渡し、薔薇水晶の剣は空ぶった。「くっ…」気を取り直して次は左手へ向けて攻撃をする。
すると白いドールは左手からも剣を放り投げ、体を丸くして前回りした。予想できない動き。急に目の前に現れてきた編み上げ
のブーツのヒールに薔薇水晶は顔面をけられた。
「あっ…!」
一度手放して宙を舞った氷の剣を、雪華綺晶は逆立ち状態から再びキャッチする。人間にはまず出来ない動きだ。
「憎たらしい曲芸師…!」薔薇水晶は相手をそう皮肉った。
「尖り物の戯れはもう十分でしょう?」
雪華綺晶は逆さのまま剣を持った右手を軸に、一回転して喋る。「少なくとも私のお父様が求めているのはジャンヌダルクの
ようなものの再現ではないのだから」
自分の戦いを戯れと称されたことが勘に触ったが、薔薇水晶はそれ以上に槐のことが気がかりで仕方なかった。
もういっぺんだけ下を歩く槐に向き直る。まだ水晶城の側を歩き回っているようだ。
お父様はまだ大丈夫なのだろうか。その心配が薔薇水晶を焦燥に駆り立てる。
急がなければならない。薔薇水晶はもう一度雪華綺晶へと迫り、剣を水平に振った。すると相手の白いドールは倒立状態から
上に飛び上がり、視界から消えた。
「後ろ…!?」
とっさに振り返ろうとする薔薇水晶。
だが、相手を見出すより先に彼女の首に雪華綺晶の白い茨が絡まった。「う!」薔薇水晶は反射的に首もとの茨を掴んで解こうとする。
「だから…」彼女の背後からぬっと寄ってきた雪華綺晶が薔薇水晶の顎を後ろから撫で上げた。「私達にしかできない、もっと
楽しいことをしましょうか?さあ…私の魂を火に灯して」

238:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/11 03:55:23 B/OXP36z
126

「薔薇水晶と白薔薇が戦ってるです…」
翠星石は上空で戦いを繰り広げる2人を見上げた。雪華綺晶と薔薇水晶。
薔薇水晶の方がローゼンメイデンでないと分かったいまでは、その2人の戦いはアリスゲームを超えた何かの戦いに思えた。
「…いや!」
そんなことは余計な考えだとばかりに翠星石はそれを頭から掻き消すと、巴と雛苺の方に向き直った。
「いまです!薔薇水晶には悪いですが、あいつには白薔薇のひきつけ役をやってもらうこととするです!いまがチャンスです!
ジュン達と合流しにいくです!」
「え…!?」もしかしてとは思っていたが、巴にはやはり一驚を隠しきれなかった。「やっぱり桜田君もここにいるんだ…」
「急ぐです!ジュンならきっとあの水晶の城を登っていったはずです!真紅が見えていましたから!」
翠星石がせかす。時間はそう多くないことを、その場では翠星石だけが知っていた。「こっちです!」
彼女に導かれるまま、巴は雛苺を抱えたまま水晶城の中へと入った。その時水晶によって作られたお城の内部のあまりの美しさに
しばし目を奪われたが、再び翠星石の呼ぶ声にわれを取り戻すと階段を登る。

ジュンと真紅とは早く合流しなければならない。翠星石は思った。いまあの白薔薇の気を薔薇水晶が引いているが、長く持たない。
翠星石はそれを知っていた。一度器を失い、本来迷子となるべき霊体は、たとえ例外的に自我を取り戻して無意識の海から抜けだせ
ても、もって30分で再び魂は迷子になってしまうだろう。薔薇水晶…気の毒に。だから哀しいかな時間はあまりない。

水晶城の上へ上へと目指してゆきながら、翠星石は果たして今日という日を生き延びられるかどうかを考えた。

239:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/11 07:35:20 ne2rSA8s
  ,_-- 、       , --…- /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  - __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| - _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'-'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ --  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ --  _ \________  

240:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/11 12:28:40 u0MeG/hk
    , .-=- ,、
 ヽr'._ rノ.'   ',
 //`Y. , '´ ̄`ヽ
 i | 丿. i ノ '\@
 ヽ>,/! ヾ(i.゚ ヮ゚ノ  かしらっら
  `ー -(kOi∞iミフ
      (,,( ),,)
       じ'ノ'
          ぽいんっ
      川
     ( (  ) )

241:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/11 16:32:04 KzIft8Tt
>>213-224 >>231-238
GJ!
連続で投下お疲れ様です。

242:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/11 20:59:29 0aZJM3L4
現在、金糸雀信者に荒らされているスレ

アニキャラ総合板のSSスレ(金糸雀関連のSSを催促するAA連投)
アニメ2板の総合スレ(容量潰しのAA連投)
懐漫板の原作スレ(金糸雀関連の話題を催促するAA連投)
VIPの総合スレ(ID切替えの自演)
VIPの絵スレ(金糸雀関連の画像を催促するAA連投)
VIPの陰陽師スレ(金糸雀の出番を催促するAA連投)


各地のローゼンスレへの荒らしをもう放置してはおけません。
皆で協力して↓のスレを潰し、ローゼンスレに平和を取り戻しましょう。

糞糸雀信者(荒らし)の巣
スレリンク(anichara2板)

243:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/11 22:07:13 3T+g15DB
>>213-224 >>231-238
    ___
  く/',二二ヽ>
   |l |ノノイハ))
   |l |.リ゚ ー゚ノl|   リサーチの合間に執筆お疲れ様ですぅ、そこの人間。
  ノl_|(l_介」).|   翠星石もじきに迷子にされそうですが、とりあえず感謝するですよ。
  ≦ノ`ヽノヘ≧
 .ミく二二二〉ミ

244:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/12 00:11:48 dVtX7J8v
書くテンションをここまで維持し続けてるのは凄い
大抵の奴はある程度進むと筆が止まってしまうことが殆どだ
はじめはガンガン書けるんだけどいきなり書けなくなるんだよ

245:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/12 17:35:25 CY5YtnXj
実装石のSSはどこに投下したら良いんだ?

246:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/12 20:21:28 o6EZFTA/
  ,_-- 、       , --…- /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   もうカナのSSは  
 |   !    ヽ'   ̄  - __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   書いてくれなくていいかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| - _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'-'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / どうせカナは 
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   嫌われ者かしら…  
¨ --  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ --  _ \________  

247:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/16 19:50:17 +kr6mqF4
今投稿されてる大作が終わったらここも終わりだな

248:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/17 19:37:28 2giGF7d8
保守

249:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/18 12:49:12 ReUnCSDq
                                                                      
                                                                      
                                                                      
                                                                      
   /       ヽ ヽ     \、 _                                                
  /        /\ \  、  ノr、L,                                               
. /      _  ´ .::ノ`ヽ、.... \..フ  ハュ、                                              
∧.    / ./::;;- ´     `丶、.. ゝヘ」八}   カナのSSが少ない糞スレなんてなくなっちゃえばいいのかしら!!!  
{::i::::. / .:::/"´  - 、      \「 「ヽ「                                              
'、:、:::/.  .::::/   、、、.._\__,     トV「 /〉                                              
.ヘ::V::::r'⌒i{   ´r弋い    -‐ v:::コ/V                                               
. \::::ゝr/__    弋フ    ,rぃ//ヒソ                                               
  _.>‐i{ _>┐``    , ヒ/´                 __                                 
. ヽ_ ‐ "´  `ヽ   , ‐、_ ´ "ハ \             〈V'´ ` ― ___                           
. /       、 ヽ ゝ_ノ .∠. `ヽj}             _/_     └─┘ ̄ ̄                       
/         ┴- ∠て三>┴ … ――ッッ-zて__  ̄  ─ ___                         
        . :      ̄ ̄             , ', ' ∠`´  、_`丶、__└─                         
: .     . : : : : : . .               /:/ -、__ゝ  、`rr、 ̄て」」                              
、: -‐、: : : : : : :/て> ‐、: i:\  : . . . . .    j i 、 ヽ   ゝ 、>ヘ. ̄ ̄                               
..〉_/ ` ---‐'ヽヽ:`='o_ヘ:、: : : .    : : : : // \下 `  ̄jヽノ\i                                 
j      : : : : : :` ミ 、__ノヘ: : : : : : .      //  、 └、 \/不 、i                                  
   __     : /:::::水`ヽ\: : : : : : . . . l:l  ゝ/  下.i / 、 |                                  
-‐ . ._. -―  .ゝ::::::/人ヽ::::> \: : : : : : : .i:i 、 |  ト、i ∧、jヽノ                                  
: -‐:    . : / `彡'__」 _弋_ \ 丶、: : : : i:|  ト、i\| }ノ、 ノ                                    
                                                                      
                                                                      
                                                                      
                                                                      


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