【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 7【一般】at ANICHARA
【ノーマル】ローゼンメイデンのSSスレ 7【一般】 - 暇つぶし2ch100:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/21 21:33:40 M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

101:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/21 21:34:46 M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

102:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/21 21:35:53 M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

103:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/21 21:37:12 M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

104:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/21 21:39:19 M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

105:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/21 21:40:33 M8xWzPve
カナを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
カナ可愛いよカナ

106:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/21 23:44:02 PYrEgCop
ばらすぃを優しくお姫様だっこしてもふもふしたい
ばらすぃ可愛いよばらすぃ

107:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/22 00:20:31 MiWqqexv
                       , .-=- ,、
                     ヽr'._ rノ.'   ',
                     //`Y. , '´ ̄`ヽ
                     i | 丿. i ノ '\@
      .ィ/~~~' 、          ヽ>,/! ヾ(i.゚'Д゚ノ
    、_/ /  ̄`ヽ}              ;*∵
    ,》@ i(从_从)) ギュワーン       ,'; ∴+
    ||ヽ||#゚ -゚ノ||   ,、,、,、,、,、,、,、   ';∴+  ブシュァァァ
    || 〈iミ''つ|匚)巛|}三三三三)》 (kOi∞iミフ
    ≦ ノ,ノハヽ、≧ ^^^^^^^^^  (,,( ),,)
    テ ` -tッァ-' テ           じ'ノ'

108:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/22 20:57:42 KdMs3ba2
こうやってスレを荒らすから嫌われてるってことを金糸雀信者は理解してるんだろうか

109:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/22 23:22:59 Nnb9vVKI
いや、嫌われさせようとしてるに違いないだろ、荒らしなんだから
つか信者じゃなくてアンチの活動だろどうせ

110:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/23 06:20:39 WtVEKAaY
キャラだけを叩くならまだしも信者を装って印象悪くさせるとかタチ悪すぎ

111:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/23 11:51:28 gDuteX3s
つまり、信者もアンチも迷惑な存在ということで

112:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/23 17:15:01 BtJcn+WA
もしかしたら勘違いしている人がいるかもしれないので念のため言っておくよ。
>>94から>>111
は同一人物ですよ。

113:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/23 17:20:01 /TESMVsZ
つまり>>112が一番勘違いをしていると

114:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/23 17:28:21 CeYZoN1h
ローゼン関係スレはいつも信者とかアンチとか言ってるのか?
どこ見てもそんなことやってるような気がする

115:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/23 17:55:15 BtJcn+WA
>>113がお一人でいろんな所で頑張っておられるんだろ
お疲れな事だが少しは自分の事もしなければ後から困るよ

116:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/23 18:49:07 Uk2eBl5V
もうこういう論争はいいからおとなしくSSを投下するかされるのを待ちましょうよ

117:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/23 19:34:35 4OOpOOkp
テンプレの保管庫にこのスレの6スレ目が無くて涙目
「RozenMaiden LatztRegieren」の続きが気になって仕方が無いですorz

118:JUM(*^^*)
07/10/23 23:27:59 kTwh/Qbf
昨日はいつもの幼なじみ○君が休みだったため夕方から出かけた☆○君宅でパソコンの打ち込みスピードの競争を練習ソフトを使ってしたよ☆
いま○君は仕事現場で急に使うことになったため練習してるらしい☆
明日は午前から○○○○の番組があるね☆姫早めに寝た方がいいよ。おやすみ☆(*^^*)

119:ロックマンJUM3 テロス
07/10/23 23:54:23 aDiQ6qB1
ちょっとだけ燃料投下



「ジュウウゥゥゥゥゥンッ!!!!」
「水銀燈ッ!?(CV:風間 勇刀)」


ガバッ!

「あ~水銀燈がJUMに抱きついたの~! ヒナもヒナも~!」
「ちょっと水銀燈! それは私の僕よ!?」
「くぅおらあああああ!!! 翠星石を差し置いて抱っことはいい度胸ですぅッ!!」
「相変わらず俺に拒否権は無い訳だな」


「うう、JUM……JUM……!!」
「どうした、何があった?」
「めぐが……めぐがぁ……!!」
「ああ、お前のミーディアムか。 あの買出しの後、水銀党の連中が一年に渡って
 俺を追い掛け回したもんだから、体中の筋肉が(※)鍛えられてしまったんだぞ」

(※参照:URLリンク(www.capcom.co.jp) → URLリンク(www3.capcom.co.jp))

「そ、それはおいといて……めぐが、めぐがおかしくなったの!」
「「「「……?」」」」
「天使になりたいと言っていためぐが『人魚』になったのおおおおお!!!」
「落ち着け水銀燈、何がなんだかサッパリ分からん」
「だから! ジョークでも幻覚でもなくて本当の話し――」


「うゆ? どうしたの?」

「……敵の気配だ」
「おかしいです真紅! 窓の外が水中に沈んでるですぅ!?」
「これは……無意識の海!?」


「め、めぐが来たんだわぁ……!!」
「「「!?」」」
「……成る程、だんだん状況が読めてきたぞ」



とりあえず今回の投稿は最初の部分だけ。
そろそろ表現に限界を感じてきたし、やっぱり下手なりにでもナレーションは付けるべき?

120:ロックマンJUM3 テロス
07/10/23 23:57:21 aDiQ6qB1
しまった、文の修正し忘れた

「……成る程、だんだん状況が読めてきたぞ」 →「人魚に、なった……だと? まさかな」


121:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/23 23:58:45 7O/RCjzu
>>119
GJです 自分の思うようにかけばいいと思うよw

122:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/24 02:54:19 UWkxauWP
GJだ!

123:Jum(*^^*)
07/10/25 00:24:24 xQDEScVc
今手紙書いてるよヽ(´ー`)ノ
前に書いたのをもう一回推敲し直したら、字が下手な気がしてまた最初から書き直した☆(>.<)y-~
すると…φ(..)すでに紙面に貼ってしまったデザイン用のシールが足らなくなってしまった(ρ_―)o
そこで夕方追加用を買いにいく羽目になってしまった…(-.-)Zzz
…☆ところで心配なのは、「誕生日」の日は、ちょうど姫は地方出張日のような気がしてならない( ̄~ ̄)ξ
木曜日は出張が多い気がするので☆
それとも前日の水曜日なら確実に都内にいるのかも…と思った。
都内で午前中アレの仕事があるから(*^^*)
その読みは当たるだろうか?
うーん日をずらした方がいいかな?
とにかくもうじき手紙が着くのでよろしく☆(≧▽≦)/

124:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/25 01:12:34 X2dsKFij












125:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/25 20:31:01 PsRJH1V9
          /:::、::::::、::::::、::::/::::jL、
            /:::/::/\:::\:::辻-く仁、
         i::::i::/__  ` ー ミ _∧ ニ/{
         l::::レ.ァニ、ヽ   ィニ、ヘ_ノレ'
            ゙:」 ´込ソ  .  込ソ i::/
         /∧  ̄ r==┐ ̄ ∧ヽ
      , --、 {!`ーヽ.   、___ノ  メー' i}、
     / ̄>-、」::_:_:_-:i>┬<!:-:_:_:_:」i
   /  / / ト、7∠イ::i⌒i:::iヽ:ニ:ニ:ノ\
  _ヽ       ´/、 __ニ」:::! ゚ i:::l〉=:、. .ヽ   \
  \___\     ノ/r=_ _「i::! ゚ i:/{!三:`ー' i ,,  l
   /z{::::\ /::Y <<.     、ニr=_ノ .::i.:/ /
【ゴールデンレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後屋根から転げ落ちるわ火事に巻き込まれるわ
名前を間違えられるわたまご焼きをカラスに奪われるわでえらい事です

126:(*^^*)
07/10/26 01:44:02 JpB4rb1j
今日仕事に熱中してて書き込み遅れてしまった☆ヾ(^_^)
これから深夜アニメ観て寝ます☆


127:Jum
07/10/26 03:23:10 JpB4rb1j

ローゼン主人公桜田ジュンの日記です☆


128:Jum(*^^*)
07/10/26 03:36:20 JpB4rb1j
クラナド途中から観た☆ ボーっとしてたら思わず時計の針が過ぎてしまった。
昨日はマクロスも深夜観たがいいシーンだったな☆
あのシーンは劇場版と重なってるのでうっすらと覚えてた☆
80年代アニメのためか、リンミンメイの髪型は松田聖子カットだ(笑)
服装もどことなく当時の雰囲気☆でも絵は古さを感じない。
けっこう良かった(*^^*)最後のおちとかも☆

129:(*^^*)
07/10/26 03:58:16 JpB4rb1j
昨日はごめん☆
もしかしたら待ってたのかな?
blog見るタイミングがどうも遅くなってしまうが、もしかしたら姫の方が更新しても、最新画面がすぐこちらに現れないのかもしれない…?ワンテンポずれてる(-.-)Zzz
ケータイで見てるからかな…?☆
もうじき手紙着くからね(*^^*)

130:真紅の日記
07/10/26 19:01:20 Chf9J7rY
最近ジュンがキモいのだわ、おかしいのだわ

131:Jum
07/10/26 19:54:03 AEbsqnwB
真紅が俺を怪しんでいる。 何故だ?
俺が真夜中にNのフィールドに行って、ヒッフッハとJUMナックルの練習をしたからだろうか?
それとも皆に黙って「ザ・めしや」で昼食をとっているのを見られたからだろうか?
ともかくこれ以上下手に詮索されるとまずそうだ。

真紅達のためにはやおきして、おべんとうでもつくって機嫌をとるしかなさそうだな。

132:ロックマンJUM
07/10/26 19:55:05 AEbsqnwB
出来心で書いた。 だが反省は(ry

133:真紅の日記
07/10/26 22:07:45 Chf9J7rY
ジュンが突然早起きして弁当を作ってたのだわ

私が朝4時頃、一階の御トイレに行った時に、台所が明るかったから覗いてみたら
ジュンが台所で変な鼻歌歌いながら嬉しそうに腰振って唐揚げ揚げてたのだわ!ガクブル
腰抜かしそうになったのだわ。
どうしたのかしら・・・やっぱりジュン最近おかしいのだわ・・・


ってすれ違いなのだわゴルァ

134:Jum(*^^*)
07/10/27 02:30:26 Sc5Maazd
一応>>131は別人の書き込み(*^^*)なかなか良かった☆
先日松○聖子の名前を出してしまったけど、80年代というとベストテン番組がかなり流行っていて、なんだか当時の思い出が蘇ってくる…
久米○ろしと黒柳○子の早口コンビが懐かしい☆
久○といえばニュースステーションでなくベストテンの司会者時代の方が好印象だ。
アナウンサーでは姫もよく知ってる吉○照○という元文化放送アナがいて、おにゃんこクラブ(今のモー娘のような感じの)を配した「夕焼け○○」という番組があった☆
吉○照○というアナウンサーは個人的にけっこう好感を持っている☆
ところで男のアイドルはなぜいつもJ事務所ばかりなのかと当時、幼心に感じてた(笑)
まあいいか。
…とりとめのない話になってしまった…φ(..)
ケータイだとこれだけ打つのに30分かかってる…情けない(ρ_―)o
眠くなったので…おやすみ(≧▽≦)/

(-.-)Zzz

135:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/27 12:31:33 IqKH2aMO
>>130>>131>>133
吹いたw
あと両者共にGJ!

136:Jum\_>;・∀・|>
07/10/27 14:01:51 OgedPUXk
>>133
おべんとう自体は喜んでくれたようだ。 しかし余計怪しまれるようになった。
非常にまずい、アレだけは見られる訳には行かない。



ヘルメットをとったら、俺の髪はプリン頭だと言う事を……!!
見られた日にはティウンティウンしそうだ。
(元の髪型(黒毛)+金髪長髪の為。 元の髪型の部分はヘルメットで隠れている為分からない)

137:真紅の日記
07/10/27 19:47:58 QgHRtD9j
ある日の夜、ジュンが発する鼾の異常な煩さに私は目を覚ましたのだわ。

そう、あれはまるで道路工事や採石場で行われるハツリを耳元でされたような、
もはや人間業とは思えないほどの轟音だったのだわ。

あったまにきた私は一発絆ックルを顔面に食らわしてやろうと
ジュンのベッドの上に行ったのだわ。

するとその時!世にも恐ろしいものを見てしまったのだわ!
ジュンの頭が!いえ、正確には毛!毛よ!髪の毛!髪の毛が頭から少しずれてたのだわ!
なんというか、毛根そのものが右下にずれてたのだわ。そして少し変な物体が隙間から・・・

・・・いえ、何も無いのだわ。何もなかったのだわ。何も見てない。何も・・・

私は気持ち悪くて吐き気がしたからその日はそのまま鞄に引き返したのだわ・・・

ジュン・・・やっぱり最近変よ・・・
翠星石や雛苺に相談しようかしら・・・

138:Jum\_>;・∀・|>
07/10/27 20:40:12 OgedPUXk
油断も好きも無い奴だ……。 ヅラっぽくみせるように寝る前に
ハゲかつらとその上から、金髪カツラをかぶっておいて正解だった。


真紅には悪いが、プリン頭は拝ませないぞ。
万が一見られた時は……JUMナックルでローザミスティカをシージングしてやる。

139:Jun(*^^*)
07/10/27 22:13:13 Sc5Maazd
blog写真かわいいよヽ(´ー`)ノ
きょうも遠くにいるみたいだね☆いま電車の中かな、それともまだ現地かな?
パソコン代わりにすべてケータイ使ってるから、1日のうちかなりの時間小さな画面を覗き込んでる☆
パソコンより目が疲れるな(´Д`)
一休み(u_u)o〃

140:Rozen Maiden Latzt Regieren
07/10/28 02:12:21 XnC22b+p
..ローゼンメイデン
それは人形師ローゼンが造り上げた七体の少女人形
七人の姉妹に与えられた宿命はアリスゲーム
かくして姉妹は 仲良く殺しあったのでした...

私の名は真紅 薔薇乙女の第5ドール
誓いなさい 薔薇の指輪にかけて 私のローザミスティカを護ると..

 - THIS ERA -
 
     この時代


7人の薔薇乙女が一斉に目覚めたのよ アリス・ゲームが始まるのよ

 - THE ALICEGAME ENDS -

       アリスゲームは終わる


敗けたドールは 勝ったドールにローザミスティカを托すのが掟
目を逸らさないで見るの これがアリスゲームなのだわ
あら、私は自分のことを可愛そうだなんて思っていないわ
だって...生きることって、闘うことでしょう?
姉妹の絆もマスターの絆も 最後にはぜんぶぜんぶ引き千切られてしまう 
私たちは 絶望するために生まれてきたの だってそれが薔薇乙女の宿命だもの

 - WE CAN NOT BECOME ALICE
       WITHOUT   LOSS       -

     私達は失うことなしにアリスになり得ない


かわいそうな水銀燈…
彼女のパパを殺してあげても あなたの呪縛は消えないのに
ぐるぐる…ぐるぐると ただ憎しみが廻るだけ すべてはアリスのために

 -     NO VICTORY
    WITHOUT SUFFERING -

       勝利には苦しみが伴う


アリスゲームに生きる事 それが私達の薔薇乙女の自然であり必然なのだとしたら…
私達ドールは人間のように老いる事も成長する事もない
けれど意識の器であるこの身体が物質世界の存在である以上 いずれ朽ちて塵となり 私達はいつか滅びるでしょう

 -   NO FREEDOM 
  WITHOUT SACRIFICE -

      自由には犠牲が伴う


…かわいそうなのは貴女だわ 器を持たない貴女は 生命の糸も必要としない 絆という繋がりを
本当に思いが繋がっていれば契などいらないのだわ 指輪がなくなっても繋がっていられる 信じていられる
だから真紅は...

 - THE MAIDEN CIVILIZES -

141:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:15:22 XnC22b+p
NEW LINE CINEMA.
presented by rozen maiden

fan fiction/side story film


世界は変わった。

時計の針がそう告げている。水からそれを感じる…

もうすぐで思い出すことができる アリスが私たちを呼びかけている

あったものが失われました...それはもう誰の記憶にも残っていない

   <支配は終わる>

第四ドール、蒼星石は死にました。
同時に彼女の持つ世界も朽ちていきます…三本の柱が並ぶ断続的な通路

第二ドール、金糸雀は殺されました。
遂に彼女の演奏が彼女の劇場で聞かれることはなかったのです

第一ドール、水銀燈は自殺しました。
愛の棘から己を解こうとしたお姉さまの、悲しい結末でした

お姉さまは…第五ドールとの戦いで…

「ここまでよ!水銀燈!」
真紅は溶岩を飛び越え、安全な土地に着地して言う。「地の利はもう私が得たわ!」
一人マグマの上の孤島に残され、状況的に窮地に立たされた水銀燈。
「あなたはまだ…」そんな水銀燈は、いまでは真紅に対する憎しみに心が完全に支配されている。「…心の中で私を見下している…」
彼女の激情に歪んだ顔が、何処までも執念深いダークピンクの瞳が、流れる溶岩をバッグに真紅を睨みつけた。攻撃の合図だ。
理性の限界がきていた真紅は必死で懇願する。「…やめなさい、…」
「うあああああ゛!!」
だが、その上からなだめるような真紅の言葉に返って逆上した水銀燈はついに溶岩の孤島から飛び上がった。
宙で一回転し、真紅の背を取ろうとする。
平静さを失い、宙を飛んだ水銀燈は隙だらけだった。真紅はステッキを振るい、彼女の腹部を裂いて真っ二つにするとつぎに左手を
砕いた。
バラバラになって斜面を転げていく水銀燈。この瞬間、真紅と水銀燈の長く続いた戦いに、終止符が打たれた。
そんな水銀燈を眺めて真紅は泣き叫ぶ。「こんな戦いだけはしたくなかったのに!薔薇乙女の中で最もアリスへの気持ちが純粋で、
気高くあったはずの第一ドールが堕ちたのだわ!」
いまや上半身だけの姿に逆戻りした水銀燈は左手だけで懸命に斜面を這い登ろうとしながら真紅に憎しみを吐き出した。
「あなたが大嫌いなのよ!!」
2人の間に言葉がしばし途切れる。
真紅は、最後水銀燈の手から落ちた剣を拾い上げながらやがて静かにそれに答えた。
「水銀燈、あなたはさっきいってくれたわ、私の初めて出来た友達って」
初めて出来た友達。19世紀の頃であった2人の仲の間に、アリスゲームなどという概念は全くなかった。
真紅のその言葉に、一瞬だけ理性を取り戻した水銀燈がそれに気付いた。瞳に押し寄せる恐怖を宿わせる。「…めぐが…」
彼女は真紅とのこの溶岩地の戦いで、めぐの力を完全に使い切ってしまった。真紅に怒りを覚えるあまり完全にわれを失っていた。
完全に自分が薔薇乙女としての生きかたを逸れ、ただの人殺しの悪魔に成り果てしまったことを水銀燈は悟り、
最期に真紅を見上げて別れを告げた。「…真紅。さようなら…」
そして彼女は自ら溶岩の中へと身を投じた。
「水銀燈やめなさい!!」
叫んだ真紅の声も結局最後まで彼女には届かなかった。

四つのローザミスティカがマグマの中に投じられ…焼かれ…魂が焼かれていく…魂は溶岩の中へ沈んでゆき、岩盤の底を突き抜けて、
岩と岩の間を潜り抜け、底より下の巨大な空洞に出ると、無意識の海へと落ちていく。
第一ドールの魂が…莫大な闇の地下世界で一点の光りを月のように輝かせながら…どんどん落ちる。
暗闇の底に広がる無意識の海の海面がみえてきた。魂はそれに吸い寄せられるように落下し…遂に水面に着水した。

142:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:17:11 XnC22b+p
102

「水銀燈!!」
真紅は目を開けた。目の前に広がるのはジュンの部屋。
ジュンは腰の骨を完治させて退院し、昨日に自宅へと戻ってきていた。
部屋の素朴な時計を見やる。午前9時34分。
ああ、普段ならば起きている時間だ。だが鞄から外に出るつもりはもうなかった。
もう一度目を閉じる。
鞄の中には、昨日の戦いで最後水銀燈の落とした剣が形見として中に入っていた。剣にはまだ人間の乾いた血の跡が残っている。
人形であるのに、この鞄の中で独り老いていく感じがした。変化のない取り残された世界の隅で時間だけが過ぎ老婆のようになって
いく気が…

彼女の鞄の外で、別の人たちの声がしている。「…ダメか?」「ですぅ…」「なのぉ…」
ジュンはため息をついた。無理もない。真紅は二度としないと誓ってこの時代で行動してきていたのに、最期には自分を守る為に
そうしてしまった。でも、そうする以外に真紅があの場で生き残る方法があっただろうか?彼女はその状況に甘んじた自分に絶望
していた。

そして何より、雪華綺晶の仕掛けた罠から最後まで抜け出すことができず、水銀燈との因縁が最悪の形で終わりを告げたことにも
絶望していた。2人は雪華綺晶に操られたままその戦いを終結させた。

かけてやれる言葉がみつからない。真紅は鞄の中で眠り続け - まるでそこで待っているかのように思えた。
誰もしらないときに。

143:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:18:38 XnC22b+p
103

巡る…巡る…宿命の先に…

「みんな、お疲れ様」
「お疲れ様です、柏葉先輩」
剣道部の活動が終わる。
柏葉巴は、制服に着替え終えて部室を後にした。
帰宅路を歩く途中、人通りのない静かな道ではその時間を惜しんで教科書や単語帳を片手に暗記に励む。
市道の階段を登りきり、ある地点にきたところで巴は歩く足を止めた。
自分の前に立つ店の入り口に掲げられた看板を見る。

"Enjyu"

そして店の入り口のドアに掛けられた木札。

"Closed"

巴はため息をついた。ここ一週間、ドールショップエンジュの店はずっとClosedだ。中で何かあったのかあるいは閉店してしまったか。
彼女はこの店を気に入っていた。ローゼンメイデンの雛苺と出会ってからは、すっかり人形関連のグッズに興味が集中している。
だがらこそ、この店「Enjyu」での買い物は、厳格でしきたりの多い家庭の現実からのちょっとした逃避にもなっていたのだが -。

「はぁ…どうしちゃったんだろう…」
諦めてその場を後にしかけた時、驚いたことにClosedの札がかけられた店の扉が開いた。木の軋む音を立てながら、ゆっくりと。
中からは店の店主・槐が姿を現した。
巴は息を張り詰めた。
槐の井出達は人間としての生活を捨てたようなそれだった。
髪の毛も乱れ、髭の処理も怠われ、パンツ一枚しか身に纏っていない。ずっと風呂にすら入っていないように全体的に不潔な
印象すら受ける。
そんな自分の姿など全く気に掛けていないように、槐は巴に声をかけ店に入るように招いた。
「…君と話したいことがある。入ってくれ」
彼の瞳はどこか夢見心地だ。異様な光景に一瞬たじろいたが、巴はやがて頷くと槐に誘われるまま店の中に入った。
「こっちだ」
巴が案内されたのは、彼女がいままで彼女が入ったことのない、槐の生活部屋だった。
強烈な異臭がする。
このにおいの正体はすぐに分かった。壁際に隙間なくズラリと並べられた黄色い液体の入ったビン。
ビンには"U - O - Y - S - I - …"といった無意味な順のアルファベットがひとつずつ記されている。
漂う悪臭の元はそれだけでなく、部屋のベッドの脇に大量に置き捨てられている酒瓶もまた嫌なアルコール臭を部屋に充満させていた。
さらにそのベッドのシーツには、点々とした乾いた血の跡がこびれ付いているのが見える。
一体槐に何があったというのだろうか。よほどのことがなければ人間は通常こんなことにはならない。
「あの…どうかなさったのですか?」
巴は恐る恐る聞いて見た。
槐の瞳は空虚なままだった。「一緒に来てもらおう」
「何処へ…ですか?」
「nのフィールドに」
「n…!」
巴は本能的に危険を感じ、逃げようとしたが、その肩を槐ががっしり掴まえた。「きゃっ…」
部屋の壁際には割られ、全体にヒビが行き渡っている大きな鏡台がある。
2メートル近くある長身の男を相手に巴はなすすべもなく、その鏡の中へと引き込まれた。

144:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:20:07 XnC22b+p
104

真紅は二度寝していた。
第五ドールの夢の世界。裕福そうな屋敷の部屋に置かれた椅子に腰をかけて紅茶を飲んでいる。全くおいしくない。
夢の中で飲む紅茶にはそもそも味なんかなかった。
…味がないですって?…
彼女は独りで笑いそうになった。

しょうもないことを考えながら、もう一度紅茶を口に含もうとする。

"…真紅…"

カップが唇に触れる直前、水銀燈の声がした。夢の世界に響いてくる。
真紅はカップをテーブルに置き、席を立った。「…水銀燈?…あなたなの?」

"…真紅…あなたを迎えにきたわ…"

「私を?」席を離れて応じる真紅。彼女は、水銀燈が戦いに使っていた剣を両手の平に置いて持つと前に進み出た。

"…ええ…真紅…聞いて…"

水銀燈の声が再び響いてくる。

"…わたしは限界なの。アリスになりたいしお父様にも会いたい…でも…私はこれ以上戦いを続けることができそうにないわ…"

「水銀燈…」
いまや完全に真紅は響いてくる声に夢中になっていた。

"…ねえ真紅…あなたには思い描くことができる?全てから解き放たれた自由を?他人の考えからの自由、自分自身からの考えさえからも
束縛されない自由を?"

水銀燈の声が続く。

"…だから…一緒に来て…真紅…"

黒い羽が一枚、真紅の夢の領域の空間に舞い落ちてきた。
落ちた羽はまるで水面に着水したように波紋を広げ、床に別世界への穴をあけた。

そこに入ったとき、自分が何を見つけるのか、何をするのか、真紅はある部分で感じていたことは、恐れよりも遥かに強い欲望、
水銀燈にもう一度会いたいという欲望だった。

"…待ってるわ。真紅。時期に私達は集えるわ…"

145:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:22:56 XnC22b+p
105

独りでにジュンのPCの画面が明るくなった。
以前もPCの画面からは水銀燈が飛び出してきたことがある…それを思い出したジュンははっとして画面に顔を向けた。
しかしそこに映っていたのは水銀燈ではなく、雪華綺晶だった。

その場の全員が慌てふためいて身構えた。鞄の中に閉じこもっているであろう真紅ただ一人を除いて。
「こんなにも早くくるなんて…しかも僕の部屋に…!」
「何しにきやがったですか白薔薇!」「来ちゃだめなのぉー!」
雪華綺晶は両手を画面についたまま、口元に笑みを浮かべてしかし傲然とした目で部屋の中を見渡した。

「…恐れ…」

彼女が最初に口にした言葉は、それだった。「…恐れが…感じられます…」

「何の用なんだ!?」ジュンが大声で聞いた。

金色の右目が開いた。「ふふ、真紅のマスター!」急に打って変わって、彼女は喜んだように声を張り上げた。「あとはあなただけ!」
ジュンは恐怖と困惑が入れ混じったような表情を顔に浮かべた。「…何の話なんだ?」
すると雪華綺晶は答えた。「実のなるマテリアル。終焉はすぐそこ、全てが呼ばれ、見届けます!開花の刻がやってきました。」
そういいながら雪華綺晶は流れるような動きで自分の体を横に逸らした。後ろに映し出される、背景。白い薔薇と氷の結晶の世界…
視点は少しずつ下へと降りてゆき、その世界を見下ろしていく。
そうなっていくに従って、ジュンは身の凍りつくような光景を目撃するに至った。

ジュンのよく知っている人たちがそこには沢山いた。最初に目に入ったのは草笛みつ。金糸雀のマスターだ。
大事そうに幸せそうな笑みを浮かべながら…"がらくた人形"を抱えている。
だがおかしいことに、そこだけ時間がとまったしまったように、みつは身動き一つしない。
ジュンは悟った。
彼女がそびえ立つ水晶の城の一部と融合し、中に閉じ込められてしまっていることを…
いつか薔薇水晶が翠星石にしたように…

彼女だけではない。蒼星石のマスターであった柴崎時計店の元治や昨日病院で出会った水銀燈のマスター柿崎めぐの姿もそこには見えた。
いずれも、彼女の世界に閉じ込められてしまっていることは分かった。いや…柿崎めぐの方については、どういう訳か一人だけ少し
隔離されているかのように、水晶の中には閉じ込められることなく大きな白い薔薇の花の上に吊るされ、足先だけが花弁の中に
沈んでいる。
瞳は閉じられ、やはり夢を見ているかのようだ。
「一体…なんだよ、これは…。ローゼンメイデンのマスター達が…」
ジュンは震えながら声を絞り出した。
「私の実の成るマテリアルたちです」
「どういうことだよ!」
「つまり…」ふわふわと浮遊しながら彼女はまたPCの画面に近づいてくる。「ローザミスティカを奪い合うことだけが、アリスになる
方法ではなく…私のような実体のないドールが」前も思ったが、彼女の声はまるで頭の中から直接響いてくるかのようだ。「人の心
を素材に志向の少女になることもあるということです」

ジュンも雛苺も翠星石も愕然とした。
ローザミスティカを奪い合わずにアリスになる。人間の心を"素材"に?
ふと三日ほど前、水銀燈のフィールドでラプラスから聞いた言葉が思いだされた。"七番目の姉妹が糧とするものは、人間のこころ。"
…まさか。
「ドールズの契約者全ての力を以ってアリスになる…」
そう呟く翠星石の声は震えていた。
「そんな…そんなバカな…まってくれよ…」
水晶の中に封じ込められた哀れな人間達を見ながら、ジュンは後ろへと退いていった。
「そんなことあるもんか…"薔薇乙女は、人間を傷つけたり不幸にする存在じゃない"って真紅が言ってたじゃないか!!」
人間を傷つける存在でないはずの薔薇乙女が、人間の心を奪い、水晶の中に封じ込めてアリスになろうとするだって?
そんなことあって…あっていいのだろうか。
「ただ一人の私を除いて、それに従った姉妹がいたというのですか?」すると不穏に笑う雪華綺晶。「可笑しなことを言いますね…
ジャン?ジュン?ジャム?あーもうこの国の"gook"たちのおなまえはみんな同じに聞こえてしまうのでしてよ?近頃ではとてもへんな
当て字をしたおなまえも多いですし」
「お前がいうなですう!」翠星石がすかさず槍を入れた。

146:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:26:34 XnC22b+p
「まあ、」左手で自分の髪に括り付けられた白薔薇をいじって言う。「そう…あー、七体目は愛に満ち溢れていますよ!ふふ…
…えーと、何言ってんだろ私、つまり…彼らをごらんなさい!」
少しふらふらしながら彼女は水晶の中のドールのマスター達を指差した。
「みんな幸せそうにしているでしょう?私の愛に抱かれて安らかにそして幸せに眠りについているのです」
そして金色の瞳がジュンへと向けられる。「第七ドールは誰よりも夢と幸福を理解できるように作られました。あなたも外れては
いない。私は知っている、あなたの願いを。全ては私の世界で知ることができる…」

彼女の言っていることは無茶苦茶だとジュンは思った。
それが本当だとしたら、ローゼンは…あの創り主ローゼンは何を考えているというんだと問い掛けたくなったが、
恐ろしくて彼女を機嫌を逆撫でするような言動をするのを堪えた。
みんながあの世界の中に閉じ込められている…助けなければ。

…でも、どうやって?

そんなジュンの心の様子を察知したのか雪華綺晶は画面の中でにっこり微笑んだ。
「この私を以って、あなたを迎えに上がります…真紅のマスター。あなたを縛り付けるしがらみは全て消え、あなたはインテグアル
タンジェントスリーシータだとか、ダブルエックスマイナスコスシータサインシータディバイズワンエックスプラスワンパレンジシス
デルタエックスだとかに頭を悩ますことはなくなります…さあ、おいでなさい!」

以前水銀燈のフィールドでであったときに比べたら、ジュンはこのドールが随分と明るく、というか、饒舌だなと思った。
あのときはおどけて静かな印象だったが…いまはこの人形、喋りに喋る。
恐らく自分の策略がうまくいきすぎて楽しくて仕方がないのか、完全にキマグレで飛んだ性格なのかどっちかだ。

「ところで、私の世界は確かにnのフィールド」雪華綺晶はさらに続ける。「この"n"を考えたことはありますか?」
誰もが閉口してしまって答えない。
切り詰めるほどの静粛がしばし流れる。
「恐れることなんて何もないのに!」彼女は画面の中で喚いた。あい変わらず虚ろなままの瞳で。「自然数"n"がまず浮かびますが…
実はこのnって、"literal-mindedness n"といったりするように"現実的"を意味する字なんです…要するに、数学的でも倫理的でも
よろしいのですが、帰納で説明できるんです。演繹ではありません、帰納で…空白の証明。それがnのフィールドの世界」
これほど謎めいたことばかり語ってくる姉妹がかつて薔薇乙女にいただろうかと思いながら、ジュンは喋りを続ける雪華綺晶の口の奥に
隠された異様に鋭く発達した犬歯に気付いた。口に入れればなんでも噛み切ってしまいそうな犬歯だ。
「例えるなら…そう…ここは私の家でなかったでしょうかとあなたに問いかける…もし私の家でないというのならあなたにそれを
証明して頂こうと迫り、証明ができないのなら私の家だと考えてもいいという帰納です。たとえ実際にここがあなたの家だとしても、
私の家でないとは限らない。そうでしょう?nのフィールドとはそういうところなのです。だから…」
いいながら彼女は左手の指先を画面にくっつけた。
「nのフィールドへの入り口は鏡とは限りません。知っていましたか?」

「知るかっ!」
ジュンはピシャリと画面の中の白い少女に言い放った。
「ちったあロクなこと喋ってみせろですぅ!」その隣で翠星石が雪華綺晶に批判の言葉を放射していた。
雛苺については頭を傾げてまさに"?"マークが頭上に浮いているイメージだ。
「nのフィールドというとこは」見かねた雪華綺晶が自分で答える。「創造がむしろ欠如したところなのです。あなたの見る夢が
実在しない世界などという証しがありますか?あなたには見えているのに。永遠の器が存在し得ないと真に証明できるような"知性"が
それを否定しましたか?nのフィールドは、本当にどこにでもあって、どこにでもないところ…そう!そこへいくには"向こう側に
突き抜けられるか"どうかだけなのです!」
雪華綺晶の後ろで、一つの扉がストンとおちてきた。PCの画面内にそれが映る。
「あれは"知覚の扉"…」
彼女はその扉を指差して言う。
「もし知覚の扉が浄化されるならば、全ての物は人間にとってありのままに現れ、無限に見える。あの扉の先には何が見えるのでしょう?
その先にいってみなければわかりません。ふふ…とても開けたくなってみるでしょう?何故ならあの扉の先には、アリスがあるからです」

147:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:28:45 XnC22b+p
「ちくしょ…」
ジュンはそんなことよりも、彼女の世界に閉じ込められてしまったドールのマスター達のことを気にしていた。
何かがおかしいが、くるところまでアリスゲームがきてしまったと、ジュンは認めざるを得なかった。
薔薇乙女が人間の心を奪うことでアリスを目指す?ローゼンがかつて言ったことと矛盾しているじゃないか!
「彼らが気になるのですか?真紅のマスター」
その様子を察した雪華綺晶が言ってくる。
「あなたは現実世界を好きでない…昼は夜を壊し、夜は昼を裂く。"ある"ない"ある"ある"ない"ある"ない"…それだけの世界。
突き抜けてみたいと思っているのでしょう?           1  0  1  1  0  1  0
彼女もその内の一人…」
「彼女?」ジュンは顔を上げて聞き返した。
画面の中に、迷い込んだように首をきょろきょろさせながら彷徨い歩いている彼女の姿 - ジュンの同級生 - 剣道部にして
クラスの学級委員長の巴がいた。
「ああっ!ともえ~っ!」
雛苺がすぐに画面を見て反応した。ジュンの膝の上に飛び移って顔をのばす。
「あ、あいつ…!」ジュンは呟きながら、自分の眉間が痙攣するのを感じた。「おまえ、柏葉にまで手を出す気か!?」
「夢の扉を自分で見つけることも」さらに雪華綺晶は言った。「それが薔薇乙女の場合、行き先はただひとつ…」
そう言い、今度は水晶の城の上部、鋭く尖った頂上より少し下辺りを白い指先を伸ばして差した。
彼女が意図したとおりに、恐る恐るジュンは目を凝らして彼女の差した先をよく見てみた。
かなり嫌な予感がする。
そして見つけたのは、まるで夢遊病のようにふらふらと夢見心地な瞳で聳え立つ水晶の城の中ををふらふら歩いている、
真紅だった。両手に水銀燈の形見であるあの剣を持って、今は亡きその持ち主を探しているかのように彷徨っている。
「真紅!?」ジュンと翠正石の声がはもった。「どうして真紅まで!?」
ジュンは飛ぶように椅子から離れ、真紅の鞄の駆け寄ると蓋を開けた。「いない!ずっと鞄の中にいたと思っていたのに!」
鞄の中は、空っぽだった。
するとPC画面の中の雪華綺晶がふふっと笑って言った。「nのフィールドへの入り口は、鏡だけでないと私は言いましたわ?」
「お前!みんなをそこに集めてどうするつもりだというんだ!?」
「それは扉を突き抜けなければわからない」雪華綺晶は人指し指を口にあてて言った。「あなたも一緒ですよ、真紅のマスター」
そしてそこから飛び降りていくように雪華綺晶はきえた。さいご舞い上がった彼女の白い髪が画面には映った。

148:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:32:20 XnC22b+p
108

「くそ…どうする」
薔薇乙女たちのアリスゲーム。まさか自分の知らないうちにこんなことになっていたなんて。薔薇乙女に関係していた人間全てがそれに
巻き込まれてしまっていた。
「ジュン~!ジュン!!巴が…巴がぁ…」
雛苺が椅子の上からジュンの腕を引っ張っていう。
「分かってる。いくしか…」
「ちょっと待てですぅ!ジュン!」翠星石が突っ込んだ。「白薔薇の狙いはチビ人間だと分かったです…ジュンがそこで正面から
出向いたらヤツの思う壺なのですぅ!ちったあ頭を使うです!だから私たちが…」
「いや…だめだよ…僕がいかなければ、お前たちはnのフィールドで十分に力が出せないんだろう?それに、30分までしかいられないって」
それは紛れもない事実であった。「…ですぅ」

You know the day destroys the night
Night divides the day

「みんなでいくしかないってことさ!向こう側に!」

Tried to run
Tried to hide

「真紅やみんなが七体目に連れ込まれてるってのに、部屋にいられる訳がないじゃないか…!」
ジュンは言う。誰も反論しない。その場の雛苺と翠星石も、同じ気持ちだった。

Break on through to the other side
Break on through to the other side
Break on through to the other side, yeah

「nのフィールドへの入り口は、鏡だけじゃない…」
ジュンは雪華綺晶の言っていた言葉と同じことを呟いた。「向こう側に尽き抜けられるかどうか、かよ。そうかよ…それなら」
PCの前にたち、狙いを定めると、ジュンはPC画面にむかって頭から飛び込んだ。PC画面が光り、ジュンはそこから向こう側へと
入り込んでいった。

We chased our pleasures here
Dug our treasures there
But can you still recall
The time we cried
Break on through to the other side
Break on through to the other side

「あっジュンが!」
PCの中へと入っていったジュンを見て雛苺が驚いたように声を張り上げた。
「一生の不覚です、チビ苺」翠星石がその横でいう。「チビ人間如きに先を越されてしまったのですぅ!」
そして彼女達2人もすぐにあとを追って、勢いよくPC画面からnのフィールドへと入っていった。

Everybody loves my baby
Everybody loves my baby
She get
She get
She get
She get ... high!

彼女達三人の前には、待っていたように先ほど雪華綺晶が"知覚の扉"とよんだのと同じ、大きな扉が置かれていた。
「この扉の先に何がみえるか…もし知覚の扉が浄化されるならば、全ての物は人間にとってありのままに現れ、無限に見える…」
ジュンは扉へと近づていく。「あるとないをも超えた世界…そんなことはどうでもいい」
選択をせままれている。

149:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:33:32 XnC22b+p
I found an island in your arms
Country in your eyes
Arms that chain us
Eyes that lie
Break on through to the other side
Break on through to the other side
Break on throuoww! oh yeah!

この扉を超えたら最後そう簡単には帰ってこれないような気がする。
だが迷いなどはない。猛烈な意志の力がここには働いている。僕の引きこもり生活はこうしてグッバイするのか。
「待ってろよ…七体目のドール…真紅も水銀燈も金糸雀も、みんなをひどい目に合わせて…やってやるさ。僕は扉を突き抜けていく!」
すると大胆にも、正面の扉にむかってジュンは駆け出した。「うおおおお!」そして飛び上がった。
ジュンの体が浮き、足先が前に出るとまるで空中でスライディングするかのような形でジュンの足が扉へとぶち当たった。
扉が勢いよく開かれる。ジュンは扉の先へと体を滑り込ませていった。
「おおっ!」「人間にしてはやるですぅ!」
雛苺と翠星石が目を大きく開いて感嘆の声を出した。それからすぐにジュンを追って開け広げになった扉へと彼女たちも入っていった。

「あいててて…」
当然の成り行きなのだが、ジュンは扉の先では痛そうに腰を手で撫でながら転げていた。
それを目撃した翠星石のコメントが「見直しかけて損したですぅ!」だ。
ついに扉の向こう側へとやってきた。
三人は周囲の世界をまじまじと見回した。

Wait and see
Week to week
Day to day
Hour to hour
The gate is straight
Deep and wide
Break on through to the other side
Break on through to the other side
Break on through
Break on through
Break on through
Break on through
yeah - yeah - yeah - yeah - yeah - yeah..

150:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 02:36:31 XnC22b+p
109

ジュン達は、自分らがただの暗闇のど真ん中にいることが分かった。地面はある。
暗すぎて互いの姿が確認できない。「みんないるか?」
「ですぅ」「なのぉ」2人の返事が返ってくる。すぐそばには居るみたいだ。
「ふぅ…」ジュンはひとまず息をついた。「こんなに暗いんじゃどうしようもないな…核とマントルの間にでも埋まったか?」
後ろを確認してみると、さっき通り抜けてきた扉の入り口はもうない。
完全に別世界へと来てしまった…闇の奥地。誰もきたことのないところ。
一緒に雛苺と翠星石がいることがすごく頼もしかった。こんな心淋しいところ一人では耐えられないだろう。
「何か明るく照らせるものはあるか?」
「あるですぅ」翠星石の声が闇の中から聞こえる。「スィドリーム!」
「ベリーベルぅ!」翠星石の真似するように雛苺も人工精霊をよんだ。
緑色とピンク色のほのかな光が闇の中に煌き、お互いの顔がその光に照らされた。
「うわ…」翠星石が顔を後ろに退かせるのが見えた。「暗闇で緑色に照らされたチビ人間の顔はまるでお化けですぅ」
ジュンはむすっとした。「ピンク色に照らされたお前の顔も古典に出てくる悪霊みたいだぞ」
「な…」
翠星石が反論しかけたそのとき、思いがけずラプラスの魔の声がいずこから聞こえてきた。「皆さんお揃いですかな!」
その声は、無限の闇にもう一度轟いた。「皆さん、お揃いですかな?」
ジュン達はあたりを見回したが、ラプラスの魔は暗闇に隠れてどこにも見当たらない。
「アリスのセレモニーが始まろうとしています!明かりが足りないようですね。姫君方」そこで間を取る。「それでは…メイメイ」
するとこの闇に、新たな光源が現れた。紫色の光源…浮遊している。第一ドールの人工精霊の光だった。
「そして…ピチカート」黄色の浮遊体がメイメイの隣に現れる。
「さらに、レンピカ」三つ目に、青い光がそこに現れる。
紫、黄色、青。「蒼星石のレンピカ!」翠星石が身を乗り出した。「どうして?いつの間に…!」
「この舞台を照らし出す照明はまだまだ足りません」
暗闇の先からラプラスは言う。人工精霊たちの色とりどりの光に照らされて、ついにその姿がおぼろげに見えた。
「真っ赤に燃える…ホーリエ!」
さらにもう一度ラプラスの声がしたあと、三つの人工精霊の隣に真紅の人工精霊が闇の中に姿を現した。
「真紅のホーリエまでここに…?」
ジュンは真紅がまだ無事なのか不安になった。

「全ての…」
突然、雪華綺晶が言いながら人工精霊たちの照らす光のもとに闇から躍り出てきた。
「全てのドールのマスターがここに集いました…」
その台詞をきくと、ラプラスの魔は意味深に笑った。

「それでは、ごらんあれ、いまここに - 六つの人工精霊たちが舞台照らそうと健気に飛び回っています。
しかしながらまだ全てではない。なぜか分かりますかなぼっちゃん?」
ラプラスは手持ちのステッキの先をジュンに向けると聞いて来た。
「えっ…」ジュンは、急に学校で先生にあてられたときの気分を思い出してたじろいた。「っと…薔薇乙女は七体…」
「その通り。薔薇乙女たちは七体。しかし私が名に出した人工精霊たちはまだ六つ。さて…七つ目の人工精霊は?」

「七つめの人工精霊…?」

ジュン達は一瞬考えたのち、いっせいに視線が雪華綺晶の方へと向いた。
「私はこの子を使ったことがない…」七体目のドールは、そう呟いた。「要らなかったから」
雪華綺晶の体のうちからどこからともなく、真っ白に輝いた浮遊体が姿を現してきた。
攻撃的にチカチカ光を点滅させながら、他の人工精霊たちの輪へ加わっていく。
「七つの照明!舞台はこうでなくては!」ラプラスが声高に言った。「七つ目は"スゥーウィ"!」
「スーウィ!?」
翠星石は、今まで見たことのなかった白く発光する人工精霊を見上げて皮肉そうに言った。「あれが七体目の人工精霊なのですか…!」
メイメイ、ピチカート、スィドリーム、レンピカ、ホーリエ、ベリーベル、スゥーウィ。
七つの人工精霊がそこには全てが集まった。
人工精霊達は互いに距離を縮めあいながら高度を上げてゆき、彼らの頭上へと上りつめていく。
「ウェークアップ!」
そのタイミングを見計らったかのように、ラプラスが足踏みするとハイテンションな声を張り上げた。
集まった七つの人工精霊たちそれぞれが、強烈な光を発するのと同時に互いが合体して一つの光の塊へと変化した。
ジュン達を取り巻いていた暗闇が一挙に退いて行く。夜が昼にる。
世界の光景が、一挙にその姿を現した。

151:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 02:47:26 t2+aSE97
>>140-150
本命が読めた
ありがとう

152:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 03:46:37 XnC22b+p
真っ白な地面。
白薔薇と氷の結晶の城が聳え立っている。
間違いなく、さっきPCの画面に映っていたところだ。
ジュンは空を見上げた。
何処までも広がる、透き通った明るい水色の空に星々が煌く。
昼間の世界なのに星々が空に輝いているのがはっきり見えること自体、ここが普通の世界ではないことを証明していた。
少なくとも地球上ではない。
やがて - ジュンはそれらが星ではなく、光を発している空に浮いた無数の扉であることが分かった。
「ついにここまで来てしまったか…」下手すれば、僕もまた他のマスター達と同じようにこの世界に封じられる。
その時第七ドールの雪華綺晶はアリスになる。もし僕がマスター達を救い出せればそれとは逆の結果になる。

ジュンは、少し離れたところの水晶の上に腰掛けてずっとこちらを見据え続けている雪華綺晶を見返した。
ただ笑みを口元に浮かべながらじっとこちらを観察している。向こうから仕掛るつもりはない。僕が先に動き出すのを待っている。

そこからジュンは全く動けなかった。
白いドレスに包まれた体のあの金色の瞳に見据えられ、自分の全てがスキャンされたように知り尽くされている錯覚を覚えてしまう。
どんな行動を起こしても彼女の想定の内に入っしまう気がする。
見えない何かに縛られてしまったかのように動けない。
…くそ、動け…!動け!

「扉はもう開かれたのです!」
ジュンの前方で雪華綺晶がにっこり微笑み、急に立ち上がるとジャンプしながら水晶から白い地面に飛び降りた。

「終わりの始まり!薔薇乙女は全て消える。残るのはアリスだけ!ようやくその刻がきたのです!」

みんなの前に降り立ってきた雪華綺晶を、ジュン、雛苺、翠星石の三人が見つめる。
薔薇乙女最後のドールは、さらに言う。「みんなみんな、みんな終わるの!みんな繋がって、張り詰めて、動かなくなるの!」
もう一度胸を張って飛び上がりながら、悪魔的な声を響かせて呼びかけてくる。
それから、見るに奇妙な動きをしだした。
「あの水晶の城があななたちに答えを出します!私達は全て終焉の水晶の十字路の上に立っている!」
編み上げのブーツを履いた脚をふらふらさせながら、上を向いて歌い出す。「朝になれば破滅が待っているの!」
それからも彼女は一人で熱狂していき、片足だけでぴょんぴょん跳ねながらあっちいったりこっちいったりした。
「白い水晶の城の中で、魂が入れ狂う!ぐるぐると!」
次に左手を上げて空を見つめると、ある地点に留まって右足で跳ねながらくるくる回りだした。「巡る、巡る!」

その人形の奇怪な踊りないし予測不可能な動きのパフォーマンスにジュンは釘付けになった。
回転しながら上を見つめる瞳は何処か外れたところに向けられていて、余計それが異様な印象を与えてくる。
あれはジュンや薔薇乙女に関係した者全てに誘いかける彼女の悪魔のダンスだ。
魂が入れ狂うとはきっと彼女自身の存在のことを言っているに違いない…
雪華綺晶は尚も踊り続けた。「手繰り寄せられる!ぐるぐる、どんどん、ぐるぐる巻かれていく!」
両手を掲げながらいきなり飛び上がる。「さあ糸に身を任せるのです!」
「あんの白薔薇ぁ!」
翠星石は、そんな踊り狂う末の妹を苛立ちに満ちた顔で見つめ、拳を握りしめた。「ジム・モリソンを気取ってやがるですぅ!」
そして手元に如雨露を召喚する。「こうしちゃおれんです!あの薔薇乙女一の問題児七番目が一人で暴れてる間に眠らせちまうですぅ!
この間の借りも残っていますしね!」そして図太い世界樹を伸ばした。雪華綺晶へ向けて伸びていく。

153:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 03:49:40 XnC22b+p
「あなたは無意識の海に滑り落ちる…あがっ」
まだ一人で歌を続けていた雪華綺晶の後頭部を世界樹が打った。バタと地面に転げまわる。
それでもまだ彼女は転がりながら壊れたテープ再生のようにまだ口ずさんでいた。「…前に…もう一度あなたに口付けを…目が廻った」
「雛苺、いまですぅ!」翠星石が雛苺を連れて雪華綺晶に接近する。「捕まえるです!」
翠星石の世界樹がまず地面に酔いつぶれたように伏せた雪華綺晶を上から拘束し、そらにその上から雛苺が蔓で拘束した。
世界樹と蔓によって、雪華綺晶は二重に縛られる。
「ジュン、いまですぅ!」
翠星石は顔を翻してジュンに向かって叫ぶ。
「ジュン!白薔薇野郎は私達に任せて、ジュンは真紅たちを探しにいくですぅ!」
「わ…わかった!」
ジュンはぎこちなく頷き、2人の薔薇乙女を最後にもう一度見つめると振り向いて遠くへと駆け出した。

アリスゲームの結末を掛けた雪華綺晶との追いかけっこが始まったわけだ。
ジュンの向かう遥か先には、巨大な氷の結晶でできた城が聳え立っているのが見える。
みんなを助けなければ。真紅も、柏葉も、他のドールのマスター達も。
指輪が熱い。今頃翠星石と雛苺が雪華綺晶と交えているのだろう。
いまはこうするしかない。出来るだけ早く終わらせるから、耐えててくれ。ジュンは心の中で祈った。
僕がやるしかない。
ジュンは、薔薇乙女にあって以来初めて、まるで自分がアリスゲームの主役になってしまったような気がした。

「前にも思いましたが、この白薔薇ってやつは」
すっかり縛り上げられてしまった雪華綺晶の上に片足をのっけ、翠星石は言った。「正面から対峙すれば意外と隙だらけなのですぅ。
目からしてなんかボケーとしてやるがるですぅ」前回の敗北への仕返しを果たした気分になって、少し得意気な表情を浮かべながら、
如雨露を振り上げる。「眠らしちまうです!」
うつ伏せの雪華綺晶の頭へ上から如雨露の先を突き落とす。果たしてアストラル体の後頭部を殴ったところで本当に眠らすことが
出来るのかはわからないが。
「あいたっ!」
殴られた雪華綺晶が喚く。それから起き上がろうとしたが、自分の体が縛られている状況にそのときようやく気付いたらしい。「ひどい!」
「しぶてーやろーです!」翠星石がもう一度如雨露を持ち上げる。「大人しく寝ちまうです白薔薇!」
「白薔薇じゃなくて,雪華綺晶ですよ!」背中だけで抗議する。「そろそろ覚えましょう」
「モリソン気取りめ!ですぅ!」
「27歳のままnのフィールドを彷徨い歩いてそう」
「じゅ、」翠星石は顔に皺を走らせしかめっ面を作った。「重症です…これは放っておいたら次は歌いながらドレス脱ぎ出しそうです」
と、突然に雪華綺晶の体から白い茨が伸びてきた。
うようよ動きながら翠星石の世界樹と雛苺の蔓の上にさらに被さるようにしてにくるくる巻きついてくる。
「いやっ!」「うわ!」
ゆがて伝ってきた白の茨が翠星石と雛苺の体に纏わり付きだす。
「しまった…こいつの体に触れるとロクなことが起こらないってことを忘れてたです…!」
彼女達三人は、お互いに体を拘束し合う状態となった。
誰も動かない。翠星石は、冷や汗が首の後ろで滴り落ちていくのを感じ取った。

「ゲームはもう終わる!もはや盤はドールのものだけでない!」
いきなり言いながら雪華綺晶が地面で寝返りを打って顔を出してきた。
「げ!」「あぁっ!」
彼女とお互い繋がっている状態であった翠星石と雛苺の2人は、茨に引っ張られて危うくつんのめって転びそうになった。
「あなた達はもう盤を飾る主役ではない。お父様もそういっているのが私には聞こえてくるよう」
雪華綺晶の体の何処からともなく、白い小さな浮遊体が出てきた。
光るというより、燃えているように煌いている。
「"スゥーウィ"…」
さっきラプラスに呼ばれていた、七つ目の人工精霊。
それがいま、翠星石と雛苺の前に飛んできている。他の人工精霊と違い、動くたびにヴォンとう低音を轟かせる。
まずい…。翠星石は思った。茨に絡まれて体を動かすことができないが、この人工精霊は危険だ。
「私はあなたを知っていない。好きなようにしてごらんなさい、スゥーウィー」
声に応じて、スゥーウィーが己を巨大化させるが如くに白い光を強めさせる。
「まぶし…っ」
次の瞬間、フラッシュの如くスゥーウィーから放たれた強烈な白銀の閃光に、翠星石と雛苺の2人が包まれた。

154:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 04:02:45 XnC22b+p
110

「はぁ…、はぁ」
ジュンは息をきらしつつひたすら異空間の世界を走り続けた。前方にそそり立つ水晶城を目指して。
真紅も、ドールのマスター達もあそこにいたはずだ。
だが、いくら走ってもあの上空高くに伸びる水晶城との距離は一向に縮まらない。あれは目に見えているだけで、
実際には別次元のところに絵として存在していて、永久に近づけないものにすら思える。

走りを続けているうち、何処からともなく現れてきた真っ白な靄の中にジュンは呑まれた。
濃い霧と靄に視界が覆われ、何も見えなくなる。
「くそ…なんだ」もはや方向感覚すら奪われてしまった。後ろを向いても横を向いても、あるのは纏わりつくような白い靄だけだ。
夢の中に見る白い音のないあの世界に置かれてしまった気がする。いま自分がいるところは、nのフィールドの中でも、
特に深いところ - まさにnのフィールドという存在自体が見る夢の中であるかのようだった。
そこには人間も、人形も存在意義の区別なんか意味をなさないのかもしれない。

ああ、ここはもしかしてあの悪名高き無意識の海とやらの海底なのか。そんなことをふと考えてあたりを見回しているうち、
ジュンはとある人影をみつけた。第七ドールの影だ。
最初の一瞬は、ジュンは雪華綺晶が追い詰めてきたのだと思った。
やがてそれが違うと分かると、なおさら混乱した。
僕はやはり夢を見ているのか。心で思った。
目に飛び込んできたのは、雪華綺晶そっくりではあるがそうではない、"紫色のドレスを着た第七ドール"だった。

"誰か…そこにいるの?"

その影はいう。靄の先から僕に語りかけてくる..

"誰でもいい…願いを…私の願いを…聞いてください。お父様が騙されている。私の声…つ…て…とど…"

既に彼女の声は途切れ途切となり、消え行く声と共に影は遠くへ薄らいでいった。
白の霧の奥へ飲み込まれ、消えてしまうのと同時に、ジュンを覆っていた靄は突如として晴れてきた。再び視界を取り戻す。
驚いた。ジュンは圧倒されて後ろによろめかけた。
濃い靄から開放されたとき次にジュンが立っていたところは、あの聳え立つ水晶の城の真ん前だったからだった。
向こうが自発的にこちらを迎えてきたわけだ。

155:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/10/28 04:04:42 XnC22b+p
111

「あの…ここは、何処なんですか?」
空も、大地も真っ白だ。まるで巨大な白いプラスチックの箱の中に入ってしまったかのように。
咲くは白い薔薇。そり立つは透明な氷の結晶。
そのビジョン - 幻想的な世界の光景に巴はいつしか雛苺に鏡の中に連れ込まれたあの時の記憶が蘇った。

「綺麗だ!綺麗だ!」
巴の後ろで、すっかり人間らしい姿とはかけ離れたものに変貌してしまった槐がパンツ一枚のまま狂ったように叫び散らした。
「綺麗だ!私の、私のたった一つの薔薇水晶!」
彼は声高に絶叫する。
それからポケットの中から小さな透明の結晶を手に取ると、それにライターで火をつけた。
その焼かれた結晶から溶け出てきた白い煙を紙で出来た筒のようなもので吸っている。
それを見ているうち、巴は最近学校で配布された薬物関連のガイドを思い出した。彼が吸っているものは本物のLSD-幻覚剤だ。
0.03mgの微量でも人によっては発狂し死にいたるケースが報告されているこのLSDは、日本では服用すれば確実に罰則が待っている。
その厳しい取り決めが保障する、他とは群を抜いて強烈なLSDの幻覚作用は、しばしばサイケデリック・アートやディスコなどの
芸術や文献に貢献してきた。
ただでさえ現実世界とはいい難いこの世界でLSDを吸っている彼の目には、一体何が見えているのだろう。巴は思った。
「ここまで成長したのか!私の薔薇水晶!さあ、師の壁はすぐそこだ。」
巨大な水晶の城を両手を挙げて見上げながら、神に声を轟かせるように叫ぶ槐の手に、巴はそれを見つけた。
左手の薬指。
そこに、以前自分もつけたことのある指輪が嵌められているのを見た。
「槐さんが…ローゼンメイデンのマスター?」
恐らくそういうことなのだろう。でも、どのドールの?
槐はそれからも憑かれたように絶えず独り言を出して水晶城へと近づいていく。

心配気に見つめていた巴だったが、突然背後に大きな影が後ろから伸びて来ては彼女に覆いかぶさった。
その気配を敏感に感じ取り、後ろに振り向く巴。
真っ白な無意識の海に浮いた幻想的で透明なクリスタルでできた大きな船が、ひとりでにこちらへ流れてきているのだった。

156:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 08:10:07 P1Ulrf79
  ,_-- 、       , --…- /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナの出番が 
 |   !    ヽ'   ̄  - __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ない気がするかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| - _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'-'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / もっとカナを活躍させて
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいのかしら…  
¨ --  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ --  _ \________  

157:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 10:24:58 aAf7aLp7
>>155
投下、乙です
ここで薔薇水晶が出てくるとは…
駄目人間になってしまったお父様を見てどう思うやら

158:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 10:30:50 KPmtwlEl
きらきーのキャラが好きだわw味がある

159:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 10:40:36 qbrKDd54
>>140-155
おお、相変わらず質も量もずば抜けてますな。 GJ!


これを見る度に、俺もSSの続きが書きたくなってくる。
……よし、書いてくるか。

160:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 11:11:48 3GddzHPV
>>155
GJ!本当に続きが気になって仕方ないよ。

161:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 11:22:32 TIJtnZpm
>>155
GJです!
ですが、テンプレの保管庫にはⅢまでしかないから話が分からないorz
誰か追加してくれませんか?お願いします。

162:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 19:35:25 3FLm5oR+
           の         S         な                  
           か         S         ん                  
              し         が        で                  
              ら         少        カ                  
             . ・   .      く         ナ                  
           ・         な         の                  
           ・         い                          
                                             
                 , -──__-,、r z__                
          ,. -― - 、 /     r v´_ゝ- ,.=._、-、__フ              
       , '/ ´ ⌒7 ヽ   _r_ヽr' _ _f::rz::!:}´__}_}>             
       ,/      /   ' ヾ ゝ_ く {_{__ゞ:':_::ンヽフ、              
       /       '  /   ハ フ \___ |.ト、ヽノ>!ヽ             
       '        |:::     /  ヽ ヾレヽィv.j__Vノ ゝ  |             
            |:::.    /    \!`\ ゝ,ヽノ´!  ,ノ             
            ':::   /         \     ' /             
             ゝ、,./            \ヾ/ /_   べす・・・     
            l イ,|!!  --_‐'_     `_ー-- ヽ/、ヽ            
            ヽl |!|  ィt_:::_ォ     tr_:_,zr   ハノノ  べす・・・      
             /´ ̄ ヽ!ハ ` ´`´      `´ `´   j!::ヽ_,..--、          
         /    r ー- '.、     ,      ,.イ三!´   \        
         /_    ≧= 、_ゝ、._   ____   ,.へ_ 二ム,∠ _    )        
         jV´_ _VV_レL_  ≦ノ ミrrーrr彡  {二/l. _ ,-'、 /L_/        
  , ------ゝf | | r-、,-ア≡----' '--``----'-- / ハ fヽ,-、-------、   
  |       | | | | |                  ヽノ l _j j_ノ       |   
  ' ,       ` ゙ー`- `´                       `´         ,   
   ヽ                _       _     .__          /   
     '、     {ニ ヽ      / , - 、ヽ    / /  / , ― 、ヽ,       /    
      '.,      \\  ノ /   \\  l l   l (    ) |     /     
      ヽ        ゝ ニ ノ  ○   ー'  L.j  ゝ 二二ノ    /      

163:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 21:13:49 2XNrc4F0
金糸雀信者死ね

>>155
GJ!

164:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/28 21:31:46 qTHFrfOZ
>>155
投下乙です。
いよいよ最終章(?)
展開がますます楽しみになってまいりました。

165:Jun(*^^*)
07/10/29 00:25:18 qAm72WjI
今日は近所に新しいショッピングモールが開店したのでそこへ行った☆一通り見てすぐ帰ってきた☆blog写真どれもいいよヽ(´ー`)

166:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/29 01:15:45 cjeSeWxP
>>155
この毎週の更新が楽しみなんだ。GJ!
安部公房なんて、いつ知ったんだきらきー?
電波な雪華綺晶ぽいけどなw


167:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/29 03:25:03 Tfn8+SMQ
>>155
もう終盤らしいので無粋かもしれないが、タイトルの意味が分からなかったので独語辞典を調べたところ、

"Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization"
「最後の」は、×Latzt → ○Letzt
Regierenは動詞だから、(そのまま名詞として使えなくもないが)Regierung 辺りの方がよいかも。
ただ、統治、支配、政治、管理、監督の意味があるらしいが、訳語が今一つしっくり来ないのであるが。

ローマ数字の後も、独語で通さないとやや興ざめ(die Zivilisation)。

168:(*^^*)
07/10/29 23:30:31 qAm72WjI
では木曜日の夜、東京出かけるからね(*^^*)時刻と場所は当日書くことにするので☆
長旅お疲れさま☆(*^^*)

169:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/29 23:32:16 Uk0HwwAC
金糸雀信者へ
URLリンク(vista.undo.jp)
ほれ

170:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/29 23:40:42 aVUaHtBP
いらね

171:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/30 00:39:39 3IMdKOjN
434 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 00:43:32 ID:gU1nWbAA
アニメ最萌も漫画最萌も上位者にはもれなくアンチ〇年分がプレゼントされるから
再開してもエントリーしないで欲しい
ちゅーか最萌止めてくれって切に願う

436 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 01:08:16 ID:AHRAXAzE
去年優勝してから沸いた翠アンチは一週間ぐらいしたら消えたけどな
仮に今年真紅が優勝してもそんな感じになると思うよ




叩かれるのは金糸雀みたいなクズ人形だけwwwwwwwww
人気最下位で信者の民度も最下位(笑)

502 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 23:54:23 ID:yaVJ1JBr
漫画最萌で金糸雀みたいなクズが優勝した時は最萌終わったなって思ったけど、
今日の真紅の試合は勝ち負け関係なしに感動した。

505 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 23:57:07 ID:AHRAXAzE
>>502
同意
金糸雀みたいなクズと違って真紅はやっぱローゼンの主役だなって思ったよ

508 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/29(月) 23:58:31 ID:wKCNEWIG
糞糸雀嫌われすぎだろwwwwwwww

513 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:14:06 ID:GeluJp0a
何で翠とか銀が負けて真紅が残ってんだよwwwww
最萌終わってんな

516 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:18:28 ID:ru0hnGBw
翠が金ごときに負けた漫萌の方が終わってる

517 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:19:20 ID:JAj7D3KD
>>516
俺もそれから金糸雀嫌いになった

518 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:19:54 ID:nZBOQIlo
キム死ね

520 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:22:00 ID:Ls+ord1B
おまえら実質最後のローゼン参戦なのに、ローゼン勢1人でも勝ち進めようって団結力無いのか
俺は水銀党員だったが真紅に入れたんだぞ。キムシジャンは死んでいいと思うが

521 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:22:18 ID:5rJA3iZt
今日の真紅の勝利>>>>>>>>>>キムシジャンの漫萌優勝

524 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:24:17 ID:vzTrNMyp
金糸雀が好きとかネタで言ってるとしか思えん

526 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:25:14 ID:6FKsmO8D
>>524
ネタでも言わねーよ

527 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2007/10/30(火) 00:26:11 ID:FCJ35TXv
とりあえず金糸雀と金糸雀信者が糞ってことはわかった

172:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/30 19:33:49 oFa39BUz
  ,_-- 、       , --…- /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  - __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| - _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'-'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ --  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ --  _ \________  

173:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/30 22:23:25 tfPg+jN5
糞糸雀ヲタ消えろ

174:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/31 00:58:32 Law5dRv1
ローツェンマイデンの終盤を読みたいですぅ。。

175:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/31 01:05:40 EYu9yv1I
今日は…とくに変わったことはなかった(>ε<)あ?…それじゃ日記にならないか(^^ゞ
でもホントにいつも通りの平凡な日だった。またあした(*^^*)☆

176:名無しさん@お腹いっぱい。
07/10/31 23:36:05 h9znD2ZP
もう来るな(*^^*)☆

177:(*^^*)
07/11/01 00:05:29 H7xSPRhC
↑だれ?あと数日は使わせてくれ☆


178:(*^^*)
07/11/01 00:09:17 H7xSPRhC
明日の夜行くので♪(^^)/▽☆▽\(^^)

179:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 02:56:35 v+xzFDH/
>>177
数日なんて言わずにもっと使ってよ^^

180:(*^^*)
07/11/01 14:44:57 H7xSPRhC
反応がないけど一応出かけるかな(*^^*)

181:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 17:25:56 H7xSPRhC
反応がなさそうなのでまず中間まで行って下車するよ☆

182:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 18:17:27 H7xSPRhC
今、「中間地点」の駅西口ケンタッキーにいるけど、8時になったら同駅カフェ店移動するよ☆

183:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 19:04:19 H7xSPRhC
もうじき電源切れそうなので今日は中間駅までφ(..)8時から9時まで前回のスタバにいるよ(*^^*)

184:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 21:24:52 H7xSPRhC
今22番線ホーム先端(*^^*)

185:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 23:47:52 H7xSPRhC
今帰宅(-.-)Zzz
今日来た?

186:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/01 23:51:12 ThQwbwe9
ここは日記やチャット書く場所じゃねっぞwww

187:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/02 00:58:35 Zj+nvWCo
今日はまったく反応なかったから最初から無理だったのかな?
来れないなら来れないって一言、言ってほしいな(-.-)Zzz

188:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/02 16:47:15 +gwuyYEP
>>187
ウホッいい男
や ら な い か

189:(*^^*)
07/11/03 00:21:07 s2fsenKs
今日は…もう書く気力がなくなった…(-.-)Zzz読んでないことが分かったので☆

190:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/03 08:39:15 DVO9Elii
             /ヽ       /ヽ
            /  ヽ      /  ヽ
  ______ /     ヽ__/     ヽ
  | ____ /           :::::::::::::::\
  | |       //       \  :::::::::::::::|
  | |       |  ●      ●    ::::::::::::::| 何このスレ・・・・・・・?
  | |      .|             :::::::::::::|
  | |       |   (__人__丿  .....:::::::::::::::::::/
  | |____ ヽ      .....:::::::::::::::::::::::<
  └___/ ̄ ̄       :::::::::::::::::::::::::|
  |\    |            :::::::::::::::::::::::|
  \ \  \___       ::::::::::::::::::::::::|

191:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/03 20:07:44 QFjUy5I9
糞糸雀信者(荒らし)の巣
スレリンク(anichara2板)

これ以上、各地のローゼンスレを荒らされるのを防ぐためにも、
ここの監視を怠らないようにしましょう

192:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/03 21:26:44 WAJ07jo6
過疎ってることだし俺の低レベルSSでも投稿しようかな

193:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/03 21:51:57 WAJ07jo6
「欲しいの欲しいの!買って買ってぇー!」
私の一人娘、唯はまたいつものようにだだをこねだした。
ここ一週間はずっとこの調子だ。私が家のPCの電源を入れると同時に思い出したようにわめきだす。
原因は分かっている。先週ふと立ち寄った通販サイト。そこにかわいらしい女の子の人形が売られていたのだが、
横で一緒に画面を見ていた唯がそれに一目ぼれしたのだ。
金色の髪にピンク色のリボンとドレス。いかにも低年齢の女の子にうけそうなデザインだった。
「買って買ってーぇぇーーーえーーっ!」小さな子の喚き声というのは甲高くて耳に響く。
「あーわかった!わかったから!」しまった、つい口が滑った。
「ほんとぉ!」
唯は大きな目をキラキラと輝かせて私を見た。こ・・・こんなに可愛い顔されて・・・ダメだと言える筈が無い。
私は大人しく負けを認めた。
「もう!・・・わかった。買ってあげる。」「ほんとぉ!?やったぁー!」
唯は万歳して喜んだ。
「その代わり!ちゃんとママの言う事聞いて、おりこうさんにするのよ?」
「うん!おりこうさん!」
分かっている。甘やかしてはダメだ。母子家庭の我が家なら尚更だ。
頭で分かってはいるのだが、こんなに可愛いわが子。つい負けてしまう。もっと気を強く持たねば・・・

194:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/03 21:53:38 WAJ07jo6
あれから三日後。
私が仕事から帰ってきたとき、ちょうどマンションの玄関で宅配便の人と鉢合わせになった。
「・・・さんですね?」「はい。」「ハンコお願いします。」「はいはい」
私は慣れた手つきでハンコを済ませた。
「ではこれ、大きくて重たいんで、気をつけてくださいね」
「は・・・はぁ・・・」
よく見たら凄く大きな荷物だ。何だろう。こんな大きなもの買った覚えは無い。
私は半分引きずりながら玄関から部屋に運ぼうとした。
すると唯が居間から走ってきた。
「ママー!おかえりー!」
「ただいま、おりこうさんにしてたー?」
「うん!それは?」
「あぁこれ?さっき宅配便で来たの。」
私は居間に運び入れた。
「何だろうね。開けてみよっか」
「うん!」
カッターナイフと鋏を駆使してダンボールを解体していく。
「なっ・・・なに・・これ・・・」大きな革製の鞄だ。
「うわぁーすごーい」唯はおおはしゃぎ。
「なにかの間違いかしら・・・でも伝票は確かに私の住所と名前が・・・」
「うわぁーお人形さんー!」気づけば唯は既に鞄を開けていた。
「こらぁ勝手に開けちゃ・・・って、あーこれ通販で買った人形じゃないの」
「ホント!うわぁー、大きいー!」
唯と大差ないほど巨大な人形だ。あの値段でこんなに立派な人形が届くとは思いもよらなかった。
とても良い買い物をしたのかもしれない。
「ちょっとママにもよく見せてよ、唯。」
私は人形を鞄から取り出した。ずしっと重い。そして人間のように柔らかく弾力がある。
「え、えらく・・・リアルね・・・」
「凄いでしょー!」
ていうかリアルとかいうレベルの話ではない。もはや人間の子供にしか見えない。
が、子供にしては小さすぎる頭が、なんとかこれが本物の人間ではないと言う事を保障している。
ここまでリアルだと不気味だ。
「大切にするのよ、唯。」
「うん!」唯は満面の笑みで答えた。
「ひっ」
「どうしたの?ママ?」
「ううん、なんでもない・・・」
大切にするのよと言った時、唯と同じ様に人形もニッと笑ったように見えた。
しかしもう一度見てみたら、なんでもなかった。私は少し疲れているのかもしれない。


まだこの時点では知る由も無かった。この後、あんなに恐ろしい出来事が起きようとは。

っていうB級ホラーとかありそう。ちなみに呪い人形は雛苺ね。

195:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 08:58:11 r0z8kIMp
>>194
よし続きを頼む

196:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 14:27:10 PMssr2KY
よし、見切った。
その後段々人形と子供の見分けが付かなくなってきて、
人形と子供が入れ替わるという妄想に憑りつかれて
人形を包丁でメッタ刺ししたら、実は自分の子だった

197:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 16:19:53 ZTHnTPAv
>>196
怖えーよw

198:さて、叩かれるか!
07/11/04 17:08:45 UbFd0IR4
ふっふっふっ♪今日こそローゼンメイデン一の頭脳派金糸雀が
楽してズルして真紅達のローザミスティカをGETかし…

『ぐ~』

そ、その前に腹拵えかしら…

今日のお弁当はみっちゃん特製のあま~い卵焼き♪
…って中に入ってるこの紙は何なのかしら?
「カナごめんなさい。私、仕事で転勤になってしまったの
その転勤先のマンションってペット不可だからあなたは連れて行けないのよ…
本当にごめんなさい!良い人に拾われてね?それじゃあ、お元気で。」

………

…グスッ……カナは…グスッ…泣かない…のかし…ら…
う、うえ~ん!え~ん!!


一体この先どうなるカナリア!?
絶対に続かない

199:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 17:15:26 hVagbJmU
ドールはペットじゃないだろwww

200:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 20:51:01 Ez9Q4Nda
>>194
ハ~イ 私は雛苺 一緒に遊びましょう ハイディ~ホ~~
って恐怖映画の「チャイルドプレイ」張りの展開を妄想

201:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/04 21:14:21 hVagbJmU
暴走雛苺ならやりかねないな・・・
純粋故に恐ろしい

202:Jun(*^^*)
07/11/04 22:46:34 RMFbETbc
いっぱい色んな人からプレゼント貰えて幸福そうだなぁ(>.<)y-~
こっちは自分の誕生日誰からもゼロだからな(-.-)Zzz今後は自分を中心に人生を考えることにしたよ☆(´・ω・`)こっちばかり痩せ細るばかりだからな…いつまでも一方的な貢ぐ君では(-.-)Zzz

203:Jun(*^^*)
07/11/05 00:43:09 x1hJaiJV
もし仕事が原因で待ち合わせできないんだとしたら、そろそろ仕事辞めてくれないかな(-.-)Zzz
今まで待ち合わせ日の待ちぼうけ時間を合計すると100時間超えてるよ?(-.-)Zzz
もしきちんと連絡してくれればその時間、有意義に過ごせたはずなんだからさ(>.<)y-~
次は仕事休んででも来て欲しいな☆
ヽ(´ー`)ノ

204:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/05 01:12:44 x1hJaiJV
…次はクリスマスあたりかな?(*^^*)メールくれればもっと早くてもいいけど☆
昨日は自転車パンクして家具店の前に一晩起きっぱなし…今日はそれを取りに行って自転車転がしながら帰ってきた☆
途中でとんこつラーメン食べた☆帰りにドトール寄ったらいつもの習慣からかそのまま徒歩で帰宅してしまい、また自転車取りにいくはめに…
疲れた。おやすみ☆(≧▽≦)/

205:Jun(*^^*)
07/11/05 02:01:28 PQ/LXw6d
もうこの際だから正直に言うよ☆
お前、前からうざいと思ってたんだ(≧▽≦)/ だから死んでよヽ(´ー`)ノ


206:Jun(*^^*)
07/11/05 09:19:44 x1hJaiJV
↑別人です。
まぎらわしいから、違う名前で書き込みしてくれる?(>ε<)

207:(*^^*)
07/11/05 10:28:51 x1hJaiJV
ここ変な住人がいるのでコチラに移動です(´・ω・`)
姫専用
URLリンク(moon.ap.teacup.com)

208:(*^^*)
07/11/05 10:40:04 x1hJaiJV
以後ここには書かないのでスレ住人さん、お騒がせしました(≧▽≦)/


209:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/05 11:15:58 sqQ9YPKk
      ___    ━┓
    / ―\   ┏┛
  /ノ  (●)\  ・
. | (●)   ⌒)\
. |   (__ノ ̄  |
  \        /
    \     _ノ
    /´     `\
     |       |
     |       |

           ___   ━┓
         / ―  \  ┏┛
        /  (●)  \ヽ ・
       /   (⌒  (●) /
       /      ̄ヽ__) /
.    /´     ___/
    |        \
    |        |

210:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/05 17:44:16 nL29wPUm
>>201
蒼星石でやったら、さしずめ「ナイトメア」のフレディと言ったところかw
巨大な鋏を持ったシルエットだけでも結構怖いかも

211:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/07 22:32:26 rZx3UePn
  ,_-- 、       , --…- /            
 i/   `\   /     ̄`¨,'   カナのSSが 
 |   !    ヽ'   ̄  - __ 〈|             
 l   i  / 〈` - 、   丶 く:!   少ないかしら……
 l!  i  /'´  ス \ 丶    く!             
 lヽ. !_ /'´  /\ \ 、 \ ム            
 !  \ | , ' /    \ 、  丶 込、           
:|も l:\,/ __    丶、  丶L ト..,,__, ィ_! r、 
: l: じ !: ∨  ̄´      丶、 `ヽ |:::| T |:::l__「 ̄  
: !: :   ,〈!  、_.,          ` ト、-l:::|/|/|::::l     
|   ,/i イ::;:::rY        _    `|:::|、l i::::| - _ 
:.!  r /'、 ', ゞZ::ソ       ィr'-'、 ヽ| l  ト:l    , 
:i /ゝ|, -ト、! ,,¨´      i::{:::::r'Y  /lj/     / 
:! ハ/`   ヽ    ,:     ゞ='シ / l|'_     /  
lL/     ' 、 i\   tっ    ''' ∠  ィ 丿    / / 
 {       _, -‐_>、 __. ィ´ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄  
 ハ    〈 r‐i'´_/lcl,〈¨ヽl  |∨            
 | \/ / ヽ二 イ/cl|ヽl l| / 誰か書いて      
f二ゝ ヽ  ハ //ーl|-l| l/               
l/|   l l_|/| lr: ュl| lL」   ほしいかしら…    
¨ --  _くノ| l/ハ」|ヽ/¨|               
        ¨ --  _ \________  

212:名無しさん@お腹いっぱい。
07/11/07 22:43:15 xXEGTnkb
現在、金糸雀信者に荒らされているスレ

アニキャラ総合板のSSスレ(金糸雀関連のSSを催促するAA連投)
アニメ2板の総合スレ(容量潰しのAA連投)
VIPの総合スレ(ID切替えの自演)
VIPの絵スレ(金糸雀関連の画像を催促するAA連投)


糞糸雀信者(荒らし)の巣
スレリンク(anichara2板)

これ以上、各地のローゼンスレを荒らされるのを防ぐためにも、
ここの監視を怠らないようにしましょう

213:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 03:59:32 ZxcNgLAY
112

ジュンは水晶の城の目前に立った。
入り口と思えるアーチの扉の前に立ち、水晶城を改めて見上げる。首を限界まで持ち上げないと頂を視界に収めることが叶わない。
遥かな高さにまで伸びていく水晶城のてっぺんは、鋭くとがっていてまるで剣山のようだ。
これが雪華綺晶の生きている世界だというのだろうか。

ジュンは氷で出来た扉を押してみた。驚くほど軽い。それこそ実体がないかのように。
開け切った扉から水晶城の中に入ると、無数に埋め尽くされたひし形の水晶群がジュンを迎えた。
水晶の四角い面が光を反射してクロス状の模様を床一面に映している。
美しい。素直なジュンの感想だった。これぞ氷でできた"守護の塔(ミナス・ティリス)"だ。
そんなことを心で呟いたジュンの背後で入り口の氷の扉が独りでに閉られた。
帰り道はもうない。この水晶の城のなかで、決着がつけられるのだろうか。

水晶でできた幻想的な階段をジュンは駆け上っていった。シンデレラに出てきたような透明のガラスの階段だ。
それをまさか自分が登る羽目になるとは。
階段は緩やかに曲がりカーブになっていて、水晶城の外側を回っているらしい。
何もかもが透明なものでできている。外の白い世界をこの水晶城の中から透過して見渡すことが出来るし、踏んでいるガラスの階段も
最下層の床が透けて見える。まるで自分が空中に浮いているかのように。少し怖いが、幻想的で綺麗な光景には魅入ってしまう。
エメラレドの光の筋が水晶から差し込んできては床や壁に直線の光のラインを作る。
何処までも水晶城の奥へ奥へと誘われていく気がした。こんな美しく魅惑的な世界見たことも想像したこともない…

突然外側の壁がなくなり、ジュンは危うく水晶城の外にはみ出して下界へと真っ逆さまに落下しそうになった。
おそらく水晶城の中層あたりにまで上り詰めてきたに違いない。
本当にあるのかないのかが判断しにくい透明なガラスの床を踏み外すのではないかびくびくしながら、
ジュンはその水晶城の上から世界を見渡してみた。
遥か遠くまで真っ白だ。彼方の地平線を線霧のような白い靄が覆い、それより先の世界は想像すらつかない。恐らく雪華綺晶で
すら知らないだろう。そんな気がした。
ドラッグに溺れて頭がくらくらする程の美しさを持つ、幻のような光景だった。
だれがこのような世界に足を踏み入れることができただろうか。

だが、しばらくしてジュンは自分の目的を思い出した。
下の階にいたときと違って、水晶城を上に昇っていくにつれて自分を取り巻く水晶が四角いものから三角っぽい角ばった攻撃的な形へと
変わってきている。まるで水晶がこれ以上近づくなと主張するかのようだ。誰も知らなかった世界への入り口がジュンを警告している。
その先に、ジュンはついに踏み入った。

そして、ジュンは見つけた。
二手も三手も先のところに、夢をみているかのようにおぼつかない足取りで水晶の洞窟の中を進んでいく真紅の姿を。
ガラス張りの透明な床の上を歩き、いままでの平静の中に燃えるような情熱を持っていた第五ドールの姿とは見違えてしまうほど
にその後姿は頼りない。
あれだけのことがあったのだから、仕方ない。ジュンはとにかく駆け出すと真紅を追いかけた。「真紅!」
声が届いてないらしい。彼女はどんどんふらふらと水晶城の奥へと進み、複雑な構造の水晶の反射する入り組んだ光と影の模様
が照らされた床の上を歩いていく。
「真紅!」ジュンはもう一度叫び、追いかけた。真紅の後姿が視界の中で近くなり、大きくなる。もう少しで手が届く。
後ろから抱きかかえ、ジュンは真紅を掴まえた。彼女は掴まえられた状態にも関わらず浮いた足を動かし続ける。
それこそ人形が如きの動きだった。「真紅!何処に行くつもりなんだよ?」
キコキコと首を動かし、ゆっくり真紅が振り返った。うっすら微笑み、瞳は虚ろだ。「水銀燈が…私を呼んでいるわ」

214:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:01:23 ZxcNgLAY
113

地面に寝転がったまま、雪華綺晶は目を覆い隠した自分の腕をそっと下にずらした。
スゥーウィーの放った白い閃光が強烈すぎて、自分の目にも悪影響を及ぼしかねた。
見ると、翠星石と雛苺の姿は前から消え去っていた。まるで面影もない。一体自分の人工精霊が2人の姉達に何をしでかしたのか、
どこへ消えたのかは、あまり雪華綺晶は気にならなかった。

翠星石と雛苺は消えたが、自分を縛る世界樹と苺の蔓は依然体に残されたままだ。
雪華綺晶は苛立ちをわずかに覚えながらもその世界樹と蔓をどうにか自力で振りほどき、最後腕に残った一本の蔓を投げ捨てて脱出する
と起き上がった。

アリスへの基盤が完成しつつある。
邪魔者は消え、ここに揃えられたのは必要な素材のみだ。第五ドールの真紅に、その契約者。

アリスの幻影が自分に近づいているのが感じられる。nの世界で、失われ思い出せないその姿が。

とはいえ、真紅の契約者の前に少し軽く片付けておくべきことが一つある。そう時間はかからないはずだ。
"彼"にはよく動いてもらった - もうそろそろ休ませてやってもいい頃だと思った。

彼の夢の中では、いま自分は雪華綺晶の姿をしていない。然るべき、誰に見えているかその魂はこの世界に置かれている。
偽物の、作り物の魂が。

「それが偽りだと分かっていても」

「またそれが私の嘘だと知っていても」

「もしあなたにそれを告げたのなら…より至高の夢を見れるというのに」

「さあ 来るのです 私の心を灯して ゲームの夜に明かりを」

215:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:05:13 ZxcNgLAY
114

翠星石は、視界一面に青っぽい水晶が広がっているのに気付いた。
一瞬、記憶が飛ぶ。「ここはどこです?」
まるで自分がいるのは異空間だ。時計の針が乱れ狂って激しくいったりきているように安定していない。
とにかく、落ち着かない。胸騒ぎがする。まるで近くに化け物でもいるような…

「出やがったですぅー!」
振り返りざま目の前に現れた雛苺の顔を見て、翠星石は断末魔の叫びを上げた。雛苺の顔が真っ青に染まっていたからだ。
「ぎゃああああああ!!」
一方目の前で悲鳴を上げられた雛苺もつられて驚き叫び声を出した。
時間が一瞬こおりつく。
「な、チビ苺ですか…脅かすなですぅ」翠星石は息を吐いた。どうやらいつの間にやら自分達は大きな水晶の中にいて、
その水晶が外の世界から差し込んでくる光を青色っぽくしているらしい。それに照らされている自分達もまた青っぽい訳だ。

なんでこんな所に?
少し前に振り返れば、あの白薔薇の - あのドイツ語表記の名前が到底予想不可能な - きらきしょう?の出してきた
人口精霊スープ?の発した光に巻き込まれ、視界を奪われたと思ったら、ここにいた。
翠星石は自分達が既に死の世界にいるのではないかと不安になった。
そう、いつか自分が薔薇バラの薔薇水晶に水晶に閉じ込められたときのように - 薔薇の…バラスイショ…

「出やがったですぅー!」
翠星石はもう一度同じ悲鳴を上げた。
あの偽第七ドール薔薇水晶が - ああ - 自分達と同じようにこの水晶の中にいて、外に出ようと青いガラスの壁と格闘している。

素手のまま、両手でグーを作って壁をガンガン叩いている。水晶の壁の面はびくともしない。
翠星石は、どういうわけかバラバラに砕けてしまったはずのあの薔薇水晶が、ずっとここに閉じ込められていたのだと察した。
そして自分達もそこへ同じく来てしまったということも同時に悟った。さしずめやはりあの白薔薇のせいか。

「誰かいるの…?」
壁叩きに夢中になっていた薔薇水晶が翠星石の出した声に気付いてこちらを向いた。「あなた…あなたは…ローゼンメイデンの…」
それから、急に感情を爆発させたように金切り声を上げた。「ここから出して!!」
彼女の耳を劈くようなその声に圧倒されながら、翠星石がどうにかいま理解したことは、ここは9秒前の白に限りなく近いところ
あるいはど真ん中 - 本来迷子になった魂が彷徨うところ - しっかりとした自我を持たなければたちまち自分の姿はおろか
名前すら思い出せなくなってしまう - そんなところのなかで、時間を止められたように水晶の中に入れられてしまっているという
ことだった。いま自分の前にいるあの薔薇水晶はその魂の姿そのものだ。恐らくこの空間においても、水晶の中に封じ込められる
という形で自分を失わずにいられる、いわば無理やり精神だけが生かされているような状態にあるということになる。
いまあのの薔薇水晶に、既に実体はない。

そして所詮実体のない体では到底自分の力ではこの水晶の外には出れない。魂のバリアーを前に、いくら足掻いても無駄という筋だ。
だが翠星石は、一体どうして薔薇水晶がこのように本来迷子となり彷徨うべき魂をここに封じ込められてしまっているのかその目的までは
予想することが出来ないでいた。

216:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:07:36 ZxcNgLAY
「ううっ!」薔薇水晶は心底悔しそうに唸ってもう一度水晶の壁を内側から叩いた。「外に - 外に…!お父様のところへ
行かなければならないのに…」
薔薇水晶は、ここから外に出たいと切望しているらしい。そしたら無意識の海に呑まれて自分を失ってもおかしくないというのに。
余程強い自我と意思を持っているのなら別として。「あれは、あの白いドールは、私じゃない!お父様は騙されている…!」
「白いドール?」翠星石が反応した。「白薔薇のことですか?」
すると薔薇水晶は今にも食って掛かりそうな瞳で翠星石をにらみつけた。「ローゼン…メイデン…あなたたちは、弱い!弱い!
私はローゼンメイデンなんかより、美しく、強い人形になったはずだった!私が…私が勝ったはずだった!なぜ…なぜ、取るに足らない
ようなあなた達がまだ生きていて、アリスゲームに勝った私がどうして - どうして!?」
薔薇水晶は翠星石に詰め寄ってくる。ローゼンメイデンのドール全てへの憎しみを顔全体に刻んで、紫色の水晶で形作られた剣
を手元に召喚する。
「きゃああ!」
翠星石は、薔薇水晶の水晶の剣が自分の首を通過するのを見た。当時の恐怖が蘇る。
それから数秒後自分が全くの無傷だと分かるまでの間、翠星石はぎゅっと目を閉じていた。「…あ…れ?」
薔薇水晶は翠星石の身体を通り抜け、後ろに立ち尽くしていた。自壊して実体を失った薔薇水晶はもうまともにローゼンメイデン
と戦いあえることはない。互いに触れ合うことすらできないからだ。

「うっ…くぅぅ…っ」
薔薇水晶は絶望したように嗚咽を漏らし、身体を震わせながら膝をつくと次に両手を落とすように地についた。
青みがかった髪が垂れ、手からこぼれ落ちた剣が地面をバウンドする。
「倒せない…あんな弱いドールも…戦う資格すら、もう私には奪われてしまった」
嘆き、薔薇水晶はそれ以降もう立ち上がろうとしない。

こうなると、彼女も哀れだ。翠星石は思った。
ローゼンメイデンを超える。その戦いの宿命を与えられ、偽者として - アリスゲームに参加して、戦い続けた薔薇水晶は、
本当は誰の一人として姉妹の居ない、一人っ子だった。たった一人で自分を創った人形師の為に。それはある意味、まだ仲間を
持っていた自分たちよりも辛いものがあったのかもしれない。

「外に…ここから外に出なければならないのに…!」
泣き崩れたように言う薔薇水晶はそれでも尚そとに出ることを望んだ。
翠星石は一考した。もしかしたら薔薇水晶と自分達はもう敵同士ではないのではないか?
いま実体のない彼女なら、そんなに恐れる事だってないはず…

若干緊張しながら、翠星石は言った。「な…なんなら、おまえをここから出すのにちょっと…ちょっと手伝ってやってもいいですぅ」
薔薇水晶の顔が持ち上がった。「え…?」
「わわ、私も、どちらにせよこっから出なきゃならんですからね!」
自然と体の動作が喋りに合わせて入りつつ翠星石は言う。「まだ実体を持ったまま気付いたらここに入れられてた私達なら、
この水晶の壁を打ち壊せるはずですぅ」
「…」
いまだ信じられないという訝しげな目つきで薔薇水晶は翠星石を見つめていた。
「そ、そんな怖い目で見るなですぅ!…私達はお父様に作られた人形で、おまえはその弟子に作られた人形です。いわば私たちと
あなたは…義姉妹みたいなものじゃないですか…だ、だからちょっと手を貸してやろうって…だけですよ」
薔薇水晶は始めその言葉の意味をあまり意味していないようだった。「義姉妹…あなたが…義姉…あなたが…?」
「そういうことですぅ!もうお互い争ってる暇なんかあったら一緒に力を合わせて解決しやがれってことですぅ!」
水晶の壁に向かって乗り出し、翠星石は如雨露を手元に召喚した。「スィドリーム!」
金色の如雨露の中身が美しく光る若緑の液体に満たされていく。
「どうにも照れくさいですぅ!とっとと終わりにしてやるですぅ!」

217:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:09:09 ZxcNgLAY
数秒後、水晶の壁には世界樹が飛び出ると同時に大きな穴が開いた。その瞬間無意識の海の奔流が水晶の中に入り込んでくる。
「チビ苺つかまるですぅ!」翠星石は隣の雛苺を手で捕まえた。「薔薇水晶!おめーも気をつけてちゃんと海面を目指すですぅ!」
「まっ…まって…」薔薇水晶は、一足先に水晶から出て行く翠星石たちを追おうとしたが、直後押し寄せる無意識の海に瞬く間に
呑まれた。「…がっ…」呼吸が出来なくなる。口から空気の泡がもれる。

頭の先の水晶の髪飾りまですっぽり全身が無意識の海に包まれてしまう。
すると、自分の持つ様々な記憶が脳裏に流れてきた…

「偽りの仮面をかぶり、あなたは夜明けの前に目覚める…私の影として」

218:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:10:29 ZxcNgLAY
115
   

   これは…夢…

 それとも…幻

ここは…

   "起きるんだ"

誰かが…呼んでいる。

   "私の娘"

  私の…娘…? 私は…娘。
…眩しい。

   "ああ…やったぞ"

     なんだろう?光に包まれて…暖かくて。

  "私が見えるかい?"

優しい手。

  "そうだ、上手だ。薔薇水晶"

    おとう…さま…

219:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:12:09 ZxcNgLAY
116

「違う…これも違う…これも…これも駄目だ…」
「わが師よ、何を作ろうとしているのですか」
「ああ…ラウエフ…わが弟子…私はいま人形師として最後にして究極の目的を果たそうとしている…完璧な少女だ」
「少女?」
「その最初の試作品はもう製作に入っている。…。恐らく私が生まれ人形師となったのが必然であるように、私がその少女を
夢見るようになったことは偶然ではない。私自身を語らずに、その少女を語ることは出来ないだろう。少女は私に語りかける…
私は今後彼女とときを過ごすのだ」
「語る?暮らす?一体なんの話しです?」
「言葉の通りだ。その少女は歩きもする。そしてどんな乙女でも適わない美しさを誇っている…」
「…そんなまさか。生きている人形を作るというのですか。いくらあなたでもそんなこと…」
「最初の試作品はもう製作に入っていると言ったはずだ」
「バカな…冗談だとおっしゃってください」
「ローザミスティカ。それが私のローゼンメイデンシリーズに命を与えた」
「ローゼンメイデン?ローザミスティカ?本当に人形に命を与えることに成功したと?」
「ああ…成功した。私の長年の成果だった」
「本当に?…ならば私にも見せてください!それなら…私も、それなら命のある人形を創りたい!」
「いや…これはお前には不可能なことだ」
「そんな?何故です!?私にも人形に命を与える方法を!私はあなたの教えを全て受けてきました。にもかかわらず、私には
その権利がないと言うつもりなのですか!」
「これから私は究極の少女の完成の為に、ローゼンメイデンシリーズの続きを手掛けるだろう。それはお前の面倒を見つつ没頭できる
ものでは到底ない。お前は弟子を卒業だ…ラウエフ。もうお前に合うことはないだろう」
「ま、…待て、待て!ローゼン!」
「弟子よ。お前は人形師として私の最高の教えを受けた。これから私のなるものはそれとは違っているのだ」
「待ってくれ!本当に生きた人形なんてものが…!ローゼン!待て!ではせめて、せめて最後に顔を…あなたの顔を私に見せて
くれてもいいのではないのか!!ローゼン!!!」

220:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:14:26 ZxcNgLAY
117

「…うああああっっ!!」
お父様はまた深夜に魘され、ベッドから飛び起きた。最近…毎日のように。
「ローゼン…」
お父様はまた…独り言のように"ローゼン"と呟いた。私にはローゼンというものが何かまだ知らない。
「ローゼン…命を持つ人形は、私にだって作れるぞ…」
「お父様…」私はお父様に、堪えきれなくなって聞いた。「お父様…毎晩うなされています…一体ローゼンとは何者なのですか…」
「薔薇水晶…」お父様はコップに水をいれ、そを飲み干すと私の顔を見つめた。お父様は汗だくだった…。「お前は私の作った、
命を持つ私の全てを注いだ最高の人形で…娘だ。ローゼンとは人形師、私の師匠だった」
「…ししょう…」
「…やつは…人形に命を与える方法を見つけたとだけいい…私から…」そこでお父様は言うのを突然やめた。「いや、やめよう…
薔薇水晶、いまはお前がいるのだから…」
私は、それだけではお父様の心がまだ欠けていることを分かっていました。「…お父様。それではなぜ、お父様は毎日悪夢を
見られるのですか…?」
「…」
お父様は急に深刻の顔になり、手で頭を深々と抱えました。それは、私の見たことのないお父様の苦悶の表情でした。
「薔薇水晶、ずっとお前に言いたくてもいえなかったことがある…」
私はその言葉を聞いて喜びました。「はい。なんでしょう?お父様。なんでも私に言ってください」
「薔薇水晶…」
お父様はいまにも泣き崩れそうな顔で私を見つめます。一体どんな言葉がかけられるというのでしょうか…
「もう一度お前に言いたい。お前は私の最高傑作なんだ。私の、二つとない、最高の人形だ…」
「お父様。ありごとうございます…でも、ためらわずに、言いたいことを聞かせてください」
「ああ…」お父様はもう一度コップに水を入れて飲むと、私にそれを告げました。「薔薇水晶…私はお前に、ローゼンメイデン
シリーズのアリスゲームに参加させたいと思っている」
「ローゼンメイデン…?アリス…ゲーム?」聞いたことのない単語が並び、私はただ聞き返すだけでした。
お父様は答えます。「ローゼンメイデンシリーズとは、私の師が手掛けたローゼンの人形達だ。お前と同じように命を持っている。
だが命を授かった手段は恐らくお前と異なるだろう。アリスゲームとはそのローゼンメイデン達の中で行われる、究極の少女アリス
を目指して互いのローザミスティカを奪い合うというものだ。端的にいってしまうと…それは戦いだ」
「戦い…」でも何より、私には惹かれた言葉がありました。「究極の…少女…?」
「アリスゲームを制し、全てのローザミスティカを集めれば、その者は究極の少女アリスとなる。それは紛れもなく世界一、
どんな少女よりも美しい存在となるんだ」
「世界一…どんな少女よりも美しい…」その言葉の持つ魅惑に私は思わず自分の中で想像してしまい、少し気恥ずかしくて
自分の頬を両手で触れました。。
「究極の少女アリスにお前がなれば…」少しためらいがちにお父様は言います。「私は紛れもなくわが師ローゼンをも越える、
最高の人形師になったことになるだろう…同時にお前も、本当の意味で最高の人形になるんだ」
それは私にとってはまるで必然のように投げかけられた、願ってもないような話に思えました。
「はい。お父様。私、アリスゲームに参加します。ローゼンメイデンシリーズからローザミスティカを奪って…アリスゲームを
制してみせます。」
「薔薇水晶…!」お父様は感極まった様子になり、私を抱きしめました。「お前は負けない。絶対に負けない。私が保証しよう。
何度もいうが、お前は私の最高の人形なのだから…」
「はい。私、ローゼンメイデンたちと戦います。必ず勝ちます」
意気揚々と答えた私でしたが、そのとき、左目に違和感を感じました。何かが頬を伝っている…「お父様…?これは…」
「な、涙が…!」お父様は急に心配げな顔になりました。「薔薇水晶、やっぱり…辛いのか!?戦うことが?」
「いいえ…」しかし、私の意志とは裏腹に涙とよばれたそれは止まりません。止められないのです。「お父様、私、辛くなんか
ありません。戦わせてください。アリスゲームを」

それからというものの、私の左目の涙はずっと一晩中やみませんでした。
お父様はその場で、戦いで相手に涙を見せてはならない、それは弱みを見せるのと一緒だ、と言って、私に薔薇を象った眼帯を
左目につけ、涙をおさえました。

私はその眼帯を自分でよりきつく結んだ…これから、戦いが始まるのだから。

221:Rozen Maiden Latzt Regieren Ⅶ:The Civilization
07/11/10 04:18:01 ZxcNgLAY
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「君の勝ちだ、薔薇水晶…僕の人形が、勝ったんだ…」
「これで、ローゼンメイデンより強い人形になったのですね」
私はアリスゲームに勝った。第七ドールを称して、ローゼンメイデンを倒し、お父様がローゼンより人形師として優れて
いることを証明した。本当に…本当に嬉しかった。
これで、アリスという、いえきっとそれ以上の…最高の人形になれる。お父様のおっしゃった、どんな少女よりも美しいという
存在に。同時にお父様も最高の人形師となれる。師匠だったローゼンを超えて。
「ああ…この腕は直してあげる」
でも違った…私もお父様も忘れていた。何故かはわからない。
私にはまだ倒していない、もう一体のドールがいたことを。
「胸が…熱いっ…」
顔面にひびが入る。
私の体は崩れていく…究極の少女になるはずだったのに…まるでそれと正反対の事態に私の頭は真っ白になるばかりだった。
そして、もう自分の命が長くないことが分かると、ただお父様のことだけを考えていた。
「お父様…お父様…」
さいごお父様の胸の中に抱きかかえられ、私の意識は闇に落ちた。

でもそれで終わりじゃなかった。
私はそれからあの水晶の中にずっと閉じ込められていた。
恐る恐る...水晶の壁に近づいてみる..壁の先に反射された私の姿が映る..白い..私は白いドレスを纏っていた。
私はこんな、白い人形じゃない..
白い人形は水晶の向こうから私に微笑みかけ、水晶の向こうへと行った。その先にはお父様がいた。
長年の願いが打ち砕かれ、自分の全てを注いだ私という人形も壊れ、お父様は何もかもに絶望していた。
酒を飲み、店も開かず、裸にも近い状態のまま泥酔する…
私はお父様を呼んだけど、声は届かなかった。水晶の壁が私とお父様を何もかもの繋がりから切り離していた。
水晶に隔たれたまま、私はただお父様を見ていることしか出来ない…
生活部屋の中で酔いつぶれ、ベッドの脇に寄りかかるお父様を。
するとさっきのあの白い人形が…お父様の元へと駆け寄っていき、私の代わりに声を掛けた。
お父様は白い人形に応える。
違う。あれは私じゃない。お父様は騙されている。あの白い人形に、ずっと幻を見せられている。
あの白い人形は…だれ?
白い人形はお父様の心を食い物にし、日を追うごとにお父様は…自身を失っていく…もはや自分が誰なのかすら、記憶からこぼれ
落ちそうになっている…

あの白いドールのせいだ… 何もかも終わったのも、あなたのせいだ…そしていう…私は努力をしなかったと…もう元には戻れない…

終わりです、お姉さま…これで終わりです、たった一人のお姉さま。

でも私は、アリスゲームに勝った!

いいえそれは幻。窓を覗いて御覧なさい、あなたの倒したはずのドール達は今も動いています

あなたはだれなの!

あなたはだれ?私はだれ?

私は…ふと行き詰る。私はだれ?突然、名前が思い出せなくなってしまった。

私は…薔薇乙女第七ドール…


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