07/09/19 22:47:13
11時前後。むっすぅとした顔のアムロはちゃぶ台から動こうともしない。そのぬれたタオルを当てている右頬は、わずかにはれているようだった。
「何で殴るんだよ、シャア」
そして、呟くように言う。シャアはピキッと青筋を浮かばせながら今手に持っているフライパン(卵4個使用のスクランブルエッグ入り)を投げつけてやりたい衝動を抑えた。
「何で…だと?」
そして、ぐるりと振り返りながら言い放つ。
「貴様が目を開けたまま寝てるからだ!! しかも、ピクリとも動かず!!」
「別にどう寝たって俺の勝手だろ?」
「今までそんなことは全く無かっただろう! 貴様、某アニメのミドリ色した大魔王か!?」
「また、そういうマニアックなネタを…」
アムロはそう言いながら温まってきたタオルを一旦頬から離す。
「まあ、俺も悪かったよ。ここ1週間ろくに寝てなかったんだし」
アムロのその言葉に、叫んだことによってやや怒りが減退したシャアは落ち着いた動作で、皿にフライパンからスクランブルエッグを移す。
「それに、昨日の夜…。じゃなかった、今日の夜? …から、さらに厄介なことになったし」
シャアはそう続けられたアムロの言葉に僅かに眉をひそめた。その時チーンと音がして旧式の電気トースターが2枚のトーストが出来上がったことを知らせた。
アムロは立ち上がると、慣れた手つきでそれらを一枚ずつさらに乗せて冷蔵庫から牛乳とジャム瓶(ブルーベリー)、ケチャップを引っ張り出すとちゃぶ台へ運ぶ。
そして、ガラガラと少々乱暴に3分の2を占領してたパーツを2分の1まで押しやった。
そして、シャアはスタスタテーブルに近づき、手に持った皿とコップを置いた。
「いただきます」
「…いただきます」
いつの間にか言うようになったそれを自然と言い合うと、シャアは尋ねた。
「それで、厄介なこととは何だ」
だが、そう言いながらもしっかりとジャム瓶とスプーンは確保している。アムロは牛乳を自分のコップだけに注ぎながら、
「テレビをつければ分かるよ」
と、言う。シャアは少々不満げな顔をしたが、リモコンのスイッチを押した。パッと画面が明るくなり、ニュース番組らしいそれを見つめる二人。
『~というわけで、みなさんにはしばらくの間、ネットを自粛していただきたいのです』
いかにも『教授』と呼ばれそうな恰幅のいい男が、隣に座る女キャスターに言う。女キャスターは頷くと、カメラに向き直って言う。
『繰り返しお伝えします。昨日の夜24時、ネット上に悪質なコンピュータウイルスが発生しました。これは「チョコレイト」と言うウィルスで…。詳しい原因と対処方法は、追ってお伝えします。繰り返します…』
シャアは何か恐ろしいものを見るような目でゆっくりと視線をテレビからアムロに移す。アムロはしばしきょとんとしてそれを受けていたが、はっとすると、
「俺じゃない!!」
と、叫ぶ。半信半疑のシャアの表情にアムロは大きくため息をついた。
「むしろ、被害者だ。クソ、せっかくシュミレーションがうまくいきかけてたのに…」
そして、やけ食いのようにムシャムシャとパンをほうばる。シャアはその姿を見てウソではないと判断したのか、
「それで、朝までソレと格闘してたのか?」
「ああ。何とか半分ぐらいはセーブできたけど、もう半分は…」
そこで、ため息をつくと、「計算やり直すの面倒だな」とテレビを見ながらアムロは呟く。そして、はっと何かに気がついたかのようにシャアを見て、何かを言いかけて、口を閉じる。
「何だ?」
「あ、いや…」
一瞬、言おうか言うまいか迷っている風のアムロ。シャアは無言で催促する。アムロはもごもごと呟いた。
「…シャアのとってた株のデータ。……飛んだ」
丁度その時、テレビがCMに入ったのだろう『ダダダダ、ダダダダ、ダーダー』という某火スペのメロディが流れる。それは、やけに今の彼らの状況にマッチしていた。
334:過ぎ去りしヒビ。4
07/09/19 22:50:04
物凄い勢いでならされる電話。頭痛が酷くなってきた彼はヨロヨロと近くのイスに座り込んだ。場所はコロニー内の通信管制社。民間でありながらも少しずつ業績と信用を獲得しはじめたばかりの会社だった。
彼はそこの社長。父親がいる連邦の通信管制から独立してはや7年。この先もうまくいけるかもしれないという期待を抱いた矢先に、このコンピュータウイルスの事件。まさに、不幸というしかない状況だった。
「スィーホース社長」
そう呼ばれた男はゆっくりとそちらを見る。そんなつもりは無かったのだが、瞳が鋭かったせいか相手、秘書のイレナはビクリと体をすくませた。
シーホースは少なくとも、またも巻き舌で自分の名を呼ばれたことに腹が立ったが、ソレは無視する。
「何だ、こんな時に」
「それが…民間人の方が協力してくださると」
シーホースは僅かに目を細める。秘書は慌てて付け加えた。
「あ、いえ。もちろん、怪しい方ではありません。何でも、アナ・ハイムで通信系のメカニックをやっていた方々で…何かお手伝いは出来ないかと……」
最後の方は途切れ途切れになってきている秘書。僅かに涙目だ。
「社長! イレナを苛めないでくださいよ!」
第二秘書、バルトの言葉に、シーホースは思わず額を押さえる。シーホースとしては、全くそんなつもりは無かったのだが。
そういえば、久々にあった友人も
「相変わらず目つきが悪いねー。だからお嫁さん貰い遅れるんだよ」
と言っていた。
はっきり言って余計なお世話である。笑顔で同じことをのたまう友人を脳内で殴り倒すと、彼は立ち上がって言った。
「会うだけ会ってみるか。イレナ案内を」
「は、はい」
「バルトはケルン専務に一時的にここの権限を預けると伝えろ」
「はい」
そう言うと、既に地獄と化していたオペレータールームにバルトを残し、彼はイレナと共に応接間へ向かう。イレナは素早く先に行き扉を開き、シーホースは当たり前と言う表情で中へ入った。
そこにいたスーツを着た二人の男は、すっとソファから立ち上がる。金髪でサングラスをかけた男と赤毛で少しいずらそうな男。
シーホースは失礼にならない程度に二人を見ると、軽く挨拶を交わしてソファを進める。
「私が、社長のシーホースです。あなた方は?」
「申し送れて失礼しました。私たちはこういうものです」
金髪の男の方が慣れた手つきで手帳を開く。シーホースはそこにあったエムブレムを見つめて言った。
「…なるほど。連邦軍の方でしたか」
「今は私用の休暇でこのコロニーに。軍には内密にお願いします」
金髪の男はそう言って手帳をしまう。シーホースは言った。
「分かりました。そちらの方は?」
「ああ。彼は私の部下で助手です」
『部下で助手』という言葉に、赤毛の男は何か言いたそうな顔をしたが、結局は黙っている。
「それで、ご用件は?」
「先ほどお伝えしたが、我々は連邦軍でメカニック…主に通信系のそれをやっています」
金髪の男――キシクがそう言う。シーホースは軽く頷いて先を促す。
「このコロニーには休暇で何度もお世話になっています。それで、何かお手伝いできないかとここへ来た次第です」
「(いけしゃあしゃあと…)」
その言葉に赤毛の男――ディヴィスだったか。が何故か頭を抱えて何かを呟く。しかし、聞こえなかったシーホースはソレについてはあえて聞かずに、再び尋ねる。
「今回の騒動はご存知ですか?」
「ニュースで聞いた程度ならば」
シーホースはしばらく考え込んだ。いつもの癖で右手で口元を覆い、メリットとデメリットを天秤にかける。ふと、ディヴィスが口を開く。
「現代では通信が使えない状況となれば、どんな大惨事につながるかも分かりません。協力させていただけませんか?」
シーホースは目線をディヴィスに向ける。そして、一度目を閉じた後開いて、言った。
「分かりました。ご協力お願いいたします」
335:過ぎ去りしヒビ。5
07/09/19 22:54:20
「…まったく。いつもこういう無茶を言う」
アムロはブツブツと言いながら、物凄い速さでキーに指を滑らせる。その後ろでその言葉を聞いていたのかいなかったのか、シャアは言った。
「文句を言うならこのウィルスを作った奴に言え」
アムロは口を尖らせて文句を再び言う。
「株のデータなんて、いつだって採集できるだろ?」
「…そういう問題ではないのだ」
しばしの沈黙の後、シャアはぼそりと呟き、アムロは思わず眉をひそめた。
再び、沈黙。
「それで、どうにかなるんだろう?」
それを破ったシャアは、アムロに当たり前のように言った。
「どうにかできなくてもしろって言うんだろ。するに決まってるよ」
「それでこそ、私のライバルだ」
「だったら、そっちもライバルらしいことをしてみたらどうだ」
「それこそ無理を言う」
そんなことを言い合っている二人が今いるのは、例の会社の『総合通信制御室』。
社長と社員達の話によれば、そこにはネット通信のすべての情報が収束・蓄積し、そして再びネットの海へと拡散していく場所らしく。ウィルス「チョコレイト」も一旦ここにストックされたらしい。
すでにその『総合通信制御室』全体のコンピュータもウィルスに犯されたらしく、既に廃棄された場所の様相をかもし出していた。
アムロが現在やっているのは、そのコンピュータを解析し、あわよくば「チョコレイト」の発信者を特定しようと言う作業だ。
が、前記したとおり既にコンピュータは意味不明な文字の羅列しか並ばせることしかできなくなったらしく、アムロは苦戦を強いられていた。
ちなみにシャアはすることが無いため、アムロの指示に従ってコードの配線を変えたり荷物もちをしていたりする。
「レッドのコードをBに」
「うむ」
「A-243のコンピュータを再起動」
「…これか?」
「デコイを使う。ハロを」
「ああ」
「マイナスドライバー」
「こっちだな」
「あ、C-15のコンピュータのコンセントを抜いて強制遮断」
「了解した」
「その場で優雅な飛び込み前転だ!」
「任せ…って、アムロ!」
本気でやりかけたシャアははっとして叫ぶ。アムロはなにやら「チッ」と舌打ちをする。さらにシャアが何か叫びかけて口を閉ざした。彼らのいる『総合通信制御室』の扉が開いたからだ。
現れた男女一人ずつは、確か社長の秘書二人だったと、シャアは思い出す。アムロは素早くハロの音声スイッチを切った。
そして、近づいてきた女性――イレナは手に持っていたトレーを差し出し、
「コーヒーですが…良ければどうぞ」
「ありがとう」
シャアはカップをとり、アムロもまた受け取ると、数個小さな包みのキャンディもつまむ。男の方――バルトは手持ち無沙汰に尋ねた。
「あの、それで、何かわかりましたか?」
アムロはその言葉に僅かに目を細めるが、次の瞬間には何事も無かったかのように笑みを浮かべると、
「いえ、何も。なかなか厄介ですね」
シャアはそんなアムロの行動に気づいてか、サングラスの奥の瞳を鋭くバルトに向ける。そんなことも露知らず、バルトは言った。
「そうですか。どうか無理はしないで下さい」
「…ええ。わざわざありがとうございます」
「ええ。では、イレナ…」
「あ、私。社長からこの二人のお世話をするようにと」
「…そうか。判った」
バルトは「では失礼します」と言って、去る。カップをイレナに返すなり再び没頭し始めるアムロを横目に、シャアは呟いた。
「なるほど」
「え?」
ソレが聞こえたのか聞き返すイレナに、シャアはいつものマダムキラー(?)微笑を浮かべて、「何でもありません」と言ったのだった。
336:過ぎ去りしヒビ。6
07/09/19 22:56:47
それから数時間後。アムロとシャアは席を外したイレナのいぬまにと、ハロやらお互いへの罵声やらを駆使しながら解析を進めていた。
アムロが言う。
「…それにしても、三文小説じゃあるまいし」
シャアが答える。
「まあ、事実は小説よりも奇にはならないということだ」
「三流小説にもないような隕石落としをしようとしたくせに、よく言う」
「前言撤回。それを止めたお前がいる限り、やはり事実は小説より奇なりらしいな」
「そうだな。どんな小説家でもシャア=アズナブル総帥がロリコンだなんて書かないからな」
「…アムロ。解析が進まないからと言って私に八つ当たりするな」
「チッ」
何度目かになるか判らない舌打ちをアムロはする。シャアは「やれやれ」と肩をすくめると、ついさっきのショートで千切れたコードをまとめ始める。
「見つけた。見ろよ、シャア」
「ん?」
アムロの言葉に、シャアは彼の指す画面を覗き込んだ。
「これは?」
「ここの通信ログだよ。最後のコレが『チョコレイト』の発信源だ」
「…やはりな。それにしてもネーミングセンスがゼロだな。あの男は」
その言葉にアムロは思わずオドロキをあらわにしながらも、ハロをそれに接続した。
「何だ、気づいてたのか? と言うか、いつ?」
「イレナ嬢がコーヒーを持ってきてくれた時だ。君より恋愛経験は豊富だからな」
「それを言うなら、修羅場の数だろ」
「それこそ貴様に言われたくはないな」
どうやら今回の舌戦の勝敗も決まりそうな時、ガクンという音と共に『総合通信制御室』の電気がすべて消えた。
その『彼』は拳銃を両手に持つと、暗視装置によって見える、金髪の男がいる場所へ向かって走り出した。金髪の男が振り向くが、遅い。
が、何故かその男はニィっと笑った。そして、『彼』は転んだ。
「うぐっ!?」
盛大に腹を床にぶつけた後、暗視装置で足元を見れば、いつの間にかそこにはピンと張られたコード。ガクンと音がして再び電気がつく。彼は眩しさに思わず暗視装置を投げ出した。
「動くな」
銃身が頭に突きつけられる感触。恐る恐るそちらを見ると、右手にピンと張ったコードを持った金髪の男が、左手に持った拳銃を自分に突きつけているのが見えた。
「こんなトラップで転んでくれるとは、ありがたいな。…良いぞ」
そして、言う。すると、ハロを持った赤毛の男が隠れていた場所から現れ、画面を覗き込むと、言った。
「あ、やっぱりデータが消えてる」
「何!?」
「表示したままで電源落とされたんだ。たぶん、復帰は…」
そんな二人の会話を聞いていた『彼』は、思わず笑みを浮かべる。金髪の男が、やれやれと肩をすくめるのが見え――ガンッ!
後頭部に衝撃を受け、『彼』は思わず呻く。そして、そのまま意識を手放す。ちなみに、『彼』の最後に見えたものは、ハロを両手で抱え「あ、少し凹んだ」と呟く赤毛の男の姿だった。
337:過ぎ去りしヒビ。7
07/09/19 22:59:17
“
「アムロ、そういえばこの間そのハロの外装を取り替えてなかったか?」
「ああ。ガンダリウム合金に」
「…」
”
カタカタと滑らかにキーボードを叩くその男に、
「良いご身分だな、シャア」
つなぎをかなり汚したままのアムロは、そう呻くように続けざまにシャアに言った。
「俺に改造は押し付けて自分は小説家気取りか?」
そういわれたシャアは、ノートパソコンからアムロを振り返って言った。
「あの日の記録をとっていたまでだ。読むか?」
「遠慮しておくよ」
アムロはひらひらと手を振って、着替えを引っ張り出す。ちらりとそれを見た後、シャアは視線を画面に戻し、思い出したように言った。
「ああ、それと、あの男…バルトだったか? 裁判が終わったらしい」
「早いな。どうなったんだ?」
シャアの言葉に、アムロが思わず尋ね返す。シャアはカチリと画面をネットニュースのページに切り替え、アムロはそれを覗き込んだ。そして、拾い読みをする。
「えー、甚大なる被害…ああ、救急車が動けなくなったのか。火事もあったみたいだな…自己中心的な犯行…無期懲役か…。厳しいけど、こんなもんだろ」
そう勝手に言うと、バスルームへと向かう。シャアはアムロが見えなくなると、再び画面を切り替えて、キーボードを叩き始めた。
338:過ぎ去りしヒビ。終
07/09/19 23:01:34
シーホースは、目の前で何だか通常の3倍は大きいたんこぶを作って気絶したバルトと、ディヴィスの差し出したデータの中身を何度も見比べた。
そして後ろでオロオロとしている秘書に言う。
「イレナ」
「は、はい!」
「ホットチョコレート」
「………は??」
「後、医者と警察もだ」
「は、はい! ただ今!」
バタバタと『総合通信制御室』から出て行く秘書が見えなくなると、シーホースは言った。
「まさか、バルトが…」
ディヴィスが言いにくそうに、だがハッキリと告げる。
「何とか修復した記録のアクセスに社員証と、証明用の網膜キーを使っています。間違いようはないです」
シーホースはその言葉に頭を抱える。そして、尋ねる。
「動機は? …いや、すまない。こればかりは本人に聞くしかないな…」
ディヴィスとキシクは一度顔を見合わせて、キシクが言った。
「恐らく、イレナ嬢がですね…」
「イレナが?」
いいにくそうなキシクに、シーホースは訝しげな表情になる。
「彼をフッたのではないでしょうか?」
そして、続けられた言葉にきょとんとした顔になる。そして、それが徐々に驚きの表情となり、バルトを見た。
「ま、まさかそれで自暴自棄になって?」
「「…」」
無言で二人が肯定すると、シーホースは大きくため息をついて頭を抱えた。後に、ディヴィスことアムロは言う。
「第一、ウイルスの名前からしてそんなのだったんだ。バレンタインデーに『チョコレイト』っていうウイルス…。察しは着くだろ」
と。
やがて、茫然自失の状態から立ち直ったシーホースは、ディヴィス達に言った。
「…何はともあれ、ありがとうございました」
キシクは言う。
「いえ。ただ、軍には我々のことは内密に願います」
「はい、わかっています」
「そういえば――」
シャワーを浴びてきたらしいアムロが、テレビをつけながら言った。
「あの社長、あの子と結婚するらしいよ」
「そうなのか?」
代名詞ばかりの言葉にもかかわらず、見当がついたシャアはキーボードを叩く手を休めて尋ねる。
「ああ。本人以外は大体予想してたらしくてね、『やっとかよ』ってことらしいよ」
アムロの言葉にシャアは思わず笑う。テレビの中では、噂の人物が臆することなく記者会見に臨んでいる姿が映し出されていた。散々再放送されているそれからチャンネルを変えると、アムロは続ける。
「…まあ、何にしても丸く収まったじゃないか」
と、笑う。が、ふと、気がついたように言った。
「にしても、シャア。何でもまた株のデータくらいであんなに怒ったんだ?」
シャアはぎくりと僅かに肩を強張らせる。アムロはソレに気づいてか気づかずにか、テレビのチャンネルを変えながら言葉を続けた。
「あのフォルダだけ、わざわざパスワードかけて俺にも見れないようにしてたし…。おい、シャア。聞いてい――」
振り返って、アムロは言葉を失った。
先ほどまでノートパソコン(倹約のため二人兼用である)と向かい合っていたはずのシャアの姿が消えていたからだ。
そのアムロの耳に、バタンという扉の閉まる音が響く。
アムロはその意外な行動に思わず唖然とし、
「まあ、そこまで言うのがいやなら聞かないけど…」
と、聞こえるはずの無い言葉を呟いた。
シャアは行くあてもなく出てきてしまった自分の墓穴行動に、思わず頭を抱える。
にしても、彼にしては言えるはずは無い。そのフォルダに、妹とのやり取りが入っていたなどと。
とりあえず夜風に吹かれながら、彼は何となく空を見上げた。
遥かかなたまで見通せる、真空の宇宙を。
339:過ぎ去りしヒビ。あとがき
07/09/19 23:03:36
投下の後押しありがとうございました。
流し読みで頼みます。
340:通常の名無しさんの3倍
07/09/19 23:35:27
妹とのやり取りねw
(・∀・)ニヤニヤ
341:通常の名無しさんの3倍
07/09/20 01:09:34
久々にここでSS読んだよ。面白かった、GJ。
ストーリーもおちゃらけ部分も水準以上だし、分量もいい感じ。
俺的には「ギルバート・キシク」とか「ヨタハチ」とか設定使ってくれて嬉しかったりw
しかしあれだ、コーヒー持ってきてくれたイレナ嬢とバルト氏に
アムロの名前聞かれたかもしんないな……
つるかめつるかめ。
342:通常の名無しさんの3倍
07/09/24 19:28:02
本当に久しぶりにのぞいてみたら投下あったんだ知らなかったorz
SSはほのぼのしました
ハロと妹出してくれたのが嬉しかったり
なにはともあれGJ!
343:通常の名無しさんの3倍
07/09/28 17:41:35
ほしゅ
344:通常の名無しさんの3倍
07/09/30 08:28:23
久しぶりに来たら投下キテタ――!!!
職人さんGJ!
相変わらず読み応えのあるストーリーの中に散りばめられた
ギャグと生活感がいいなぁ。
スクランブルエッグとブルーベリージャムがシャアらしい。
アムロだったらオムレツとイチゴジャムなんだろうな。
また気が向いたらお願いします!
345:通常の名無しさんの3倍
07/10/01 23:42:17
アクシズ落としに大失敗 でもそんなの関係ねぇ~
成功してたら環境破壊 でもそんなの関係ねぇ~
地球にゃ身内もいたってね でもそんなの関係ねぇ~
自分の部下だけ捕虜になり でもそんなの関係ねぇ~
風呂は熱めが大好きだ でもそんなの関係ねぇ~
以外に逃げ足早いのよ でもそんなの関係ねぇ~
金塊出所謎だらけ でもそんなの関係ねぇ~
ララァといいつつハマーンと”ピー” でもそんなの関係ねぇ~
ララァといいつつナナイと”ピー” でもそんなの関係ねぇ~
ロリコン犯罪なんですか? でもそんなの関係ねぇ~
ツッコミ(A・Rさん)
関係あることばっかりだろ
懺悔で来年48時間マラソン走れや!
346:通常の名無しさんの3倍
07/10/03 00:52:10
V作戦阻止、失敗した~下手こいた~
↓
ガルマ潰しは成功したけどクビになった~下手こいた~
↓
ジャブロー発見したけどまたガンダムにやられた~下手こいた~
↓
雪祭り仕事入ったけど真冬だった、下手こいた~
↓
ララァとられた上に身代わりにしちまった~下手こいた~
↓
キシリアに正体バレた、下手こいた~
↓
ハマーンに手をだしたのは大誤算だった、下手こいた~
↓
レコアの扱い間違えた、下手こいた~
↓
・・・シロッコとカミューについては下手こきすぎて触れたくない・・・
↓
サイコフレームのデータやらなきゃよかった、下手こいた~
↓
サザビーボコられた、カッコワルイ、下手こいた~
↓
脱出ポット逃げ損ねてアクシズに押し付けられた、下手こいた~
↓
あげくアクシズ落と失敗した、下手こいた~
以下>>345
コイツって遡って考えてもマジで海パン王子なみの滑りキャラだなw
是非赤い海パンで「おっぱっぴー」する赤い彗星が見たいもんだ
by A・Rさん
347:通常の名無しさんの3倍
07/10/04 19:25:47
ヒドスww
348:通常の名無しさんの3倍
07/10/05 23:08:32
保守
349:通常の名無しさんの3倍
07/10/09 20:27:36
保守
350:通常の名無しさんの3倍
07/10/10 03:11:26
このころカマリア母さんは生きてるのかな
351:通常の名無しさんの3倍
07/10/10 23:21:26
>>350
年齢的な点では生きてても不思議ではない
ただ、アムロと再開した時の難民キャンプって
軍事境界線に近かったし、アムロがジオン兵を
撃っちゃったって事件もあったからその後
ジオンからの報復やら圧力やらが無かったらの話だけどね
352:通常の名無しさんの3倍
07/10/10 23:22:38
追加
アムロが離れていってしまったって心労も寿命縮める要因かもね
353:通常の名無しさんの3倍
07/10/11 00:10:00
そんなことで寿命が縮まるような人なら一緒に宇宙に上がると思う
けどアムロ未帰還のニュースをどんな気持ちで聞いたんだろ
あとアムロの財産を相続したかどうかも気になる
354:通常の名無しさんの3倍
07/10/11 00:49:59
アムロってCCA時代どの程度メディアに情報露出してたんかね。
あとカマリアは1年戦争でアムロが有名になっても
周りには黙ってそうな気もするなあ。
アムロとも音信不通だったんじゃないだろか。
355:入浴外伝・・・阿呆話 弐
07/10/14 00:33:01
>>353
母心ってのはそういうもんでないかい?
まぁ、確かに本当にアムロを大切に思っていたのなら宇宙に一緒に
上がるか無理にでも自分の手元に置いておくだろうという点は否定
しないけど
356:通常の名無しさんの3倍
07/10/14 00:38:00
>>355
書き込みばっかに気ぃとられてヘタこいた~
357:通常の名無しさんの3倍
07/10/14 20:15:19
気にすんな。オレもよくする。
358:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 19:10:47
保守
359:通常の名無しさんの3倍
07/11/03 16:39:07
hosyu
360:通常の名無しさんの3倍
07/11/10 01:38:07
ひっそりと保守してみる。
361:通常の名無しさんの3倍
07/11/13 23:27:49
ほしゅ-
362:通常の名無しさんの3倍
07/11/18 22:17:48
前から、前から、アクシズきてーるー
ぼくはーそれをー後ろへ押し返す~
前から来た石を~後ろへ押し返す~
ぼくは それを 後ろへ押し返す~
あぁあ~ 今大気圏スレスレ~
363:通常の名無しさんの3倍
07/11/23 11:29:37
保守ネタ乙!