06/11/27 23:31:04
とある比較的平穏ななコロニー。
「逃亡中だってのに、一ヶ月も前からクリスマス・イベント三昧なんて結構
な身の上だな」
相変わらず博打やら何やらで朝帰りが続くシャアに年末近くのアルバイトが
ぼちぼちと増え始め、忙しいアムロはそれとなくぼやいてみる。
「クリスマス・イベントって言ったってカジノじゃボーナスつぎ込んで負ける
下手糞から儲けを頂くチャンスだし、商売のお姉さんたちだってかき入れ時で
サービスが普段より数段いいんだよ。まぁ、その分サービス料は高いがな。私は
子供時代から追われる身の上で楽しいクリスマスの思い出なんてあまりないんだよ。
隠居の身の上となった今、少々はじけてみたっていいじゃないか」
そう言いながら脱いだトレンチコートにブラシをかけながら答える。
「それだったら俺だって同じだよ。シンから楽しいクリスマスの思い出なんて
ありゃしない。俺もたまには貴様みたいにはじけてみたいもんだな」
本心とも皮肉ともとれない口調でアムロがボソッとつぶやく。
「本当に楽しい思い出、ないのか?例えばハイスクールの頃とか・・私よりは
セイシュンしてたんじゃないのか?」
今度はシャアの方が皮肉交じりに言う。
「ハイスクールの頃の思い出なんて・・・」
そう言いかけたアムロはルウム直前のクリスマスの事をふと思い出す。
スクールの帰りに「手作りケーキを持ってくから」というフラウ・ボウ。
始まりつつある戦争の情報に怯えながらも好奇心が捨てられず、ネットに
噛り付いて情報収集をしては引きこもる俺の元に手作りケーキを持ってきて
くれたフラウ、そして相変わらずネットに噛り付きっぱなしで無関心に手作り
ケーキを食べている俺をみて怒りながら泣いてたあの時のフラウ・・・。