シャアのスウィートウォーター日記at X3
シャアのスウィートウォーター日記 - 暇つぶし2ch137:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 10:41:31
私が一年戦争時ノーマルスーツを着なかった訳をここに書こう。

ズバリ 皆様ご存知の「下痢もち」だからだ。
ノーマルスーツを着るといざていう時に 訓練生時代だが何度も一線を越えてしまったことがある。 これでは赤い彗星の名折れになる。
対外的には また必ず戻ってくるからと風潮していたが 物事の核心はこれだ。
今は 良い薬とめぐりあい 戦闘中は安心できる。 だが いざ日常生活に戻るともうグダグダになってしまう。
私はネオジオンを束ねる男だ。 なんとかせねば。

138:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 12:20:51
カレーライスは大好きなのだが、つい調子に乗っていつも吐きそうになるくらい食べてしまう。

するとたいがい次の日はトイレと友達♪になってしまう。
誰も試したことはないらしいが、
カレー味のうんこ なのか うんこ味のカレー なのか
私の好奇心をくすぐってやまない問題だ。

ま、私の場合は今日本の札幌というところではやっているというスープカレー状だが。

139:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 13:10:25
>>137->>138のようなことを毎日壁にスプーンの柄を使って必死に書き込む
ことが多くなってきた。私ももうダメなのだろうか。

あの赤い彗星が、こんな最果ての収容所でうわごと書き散らして逝ったというのでは
私が倒した幾多の敵に申し訳が立たないではないか!

そう思っているうち、冷たいボルシチがまた運ばれてきた。
あれを食べると記憶が失われていくような気がする。
しかし、食べないわけには行かない・・
ああ、ナナイ!私を感じてくれ!



140:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 13:17:08
宇宙世紀0088、12月某日、シベリアの天気=雪嵐

強化人間育成のため、極限環境を持つこの土地にしばらく来なければならなかった。
大佐を放置しておくのは不安だったが仕方が無い。

追ってきた。追ってきたのはいいが、これまでに何人女性にちょっかい出してきたことか。
すべて10代というのが大佐の異常な趣味を表しているのか。
スペースノイドの未来を背負うお方が、このような異常な嗜好をもっていていいのだろうか。
私は悩んだ。

そして決断した。大佐の人格を矯正しようと。

-------------------------------ナナイ・ミゲルの日記

女はこえー((((;゚Д゚))


141:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 17:33:57 zi88He0/
地球の重力の底 シベリアの辺境の地で私は幽閉されている。
そこで ここの所長に取り入って見ることにした。
時には体を使って取り入る事に成功した私は 相手を油断させる事に成功した。
私の頭中では いろいろな脱出プランを考えて 時を待った。
その時が来たようだ。 覚悟を決めて まずは 収容所のコントールルームを制圧し 武器を奪い 所長を人質を取ろうと走り出した。
その時だ。 警備兵にあっさりと見つかってしまった私は ああもう終わりかも知れん。と覚悟をした。

「キグナンさん 釈放ですよ」。

ああ骨折り損だ……。

142:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 17:57:14
極寒のシベリアで失われかけた私のNT能力も
少しは取り戻せるかと思ったが
どうやら関係なかったようだ。

私は焦っている。
他のスレでは「赤い衰勢」よばわりされていますなどと
とキグナンから報告を受けているし
このままではネオジオン喪衰などと言われかねない。

早くナナイを探し出して精力をつけねば。

143:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 19:21:09
しかし私はやはり ニュータイプ端くれなんだと実感した事があった。
今はロシアの名もなき街にいる。が やはり私は人の子だ。 腹は減っては戦さができぬ。と思い 気の向くままぶらり途中下車の旅に出た。
思いつきに街を歩きある路地の先で 大好きでしかたがないカレーライスショップを発見!
しかも美味ときた。 何度も何度もお代わりした。 満足満足と楊枝を加え意気揚々とでてきた時 私は過信してた事に気付いた。


帰り道がわからん。

144:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 19:56:45
・・・というところで目が覚めた。やっぱりここには冷たいボルシチしかない。
とりあえず何が入っていようが食事は食事だ。ありがたくいただくことにした。

そしてまた眠くなった。

「大佐の様子はどうだ?」
「はっ!ボルシチを食べては寝たりおきたり・・時々暴れます。」

ロリを矯正する方法が見つからないのでとりあえず監禁を続けるナナイであった。
異常なほど性欲が強いのに、すさまじいプライドの強さが邪魔をして
大人の女を口説くことができず、ロリに駆り立てていたとは、ナナイも気がつかなかった。

繰り返すがシャアは真性ロリではない。ただの色魔だ。
他人がどうであろうと、ピンク色や赤色が趣味なのは、その現れである。

この欲求不満の果てに、隕石落としを思いつくのだから困ったものだ。


145:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 20:13:14
帰り道もわからない上にカレーライスを調子に乗ってたべすぎた。
急に便意を催したが公衆便所の場所も分からない。
なにせ私はロシア文字が皆目分からない。

何とか平静を保ってトイレを探していたが、もう阻止限界点だ!
あああああああ~


次の日のゴシップ誌に「逆噴のシャア」などと書かれたらもうおしまいだ。

146:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 20:56:46
帰り道がわからなかったので モスクワまでヒッチハイクをすることにした。
そうしたら巨大なコンボイが止まってくれて つたないロシア方言を交えたら ドライバーはOK! OK!との返事。
安心て疲れたのもあるが 寝てしまった。
朝 着いたぞみたいな感じで揺すられて起きてみたら… どこだここは?

147:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 21:58:26
オデッサ? あのオデッサか? またまた遠くまで来てしまったようだ。
ナナイにはいつ会えるのだ?

148:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 22:22:06
いや、違うな。ダカールか?いや、キリマンジャロ?


あれ、壁画があるな。
…モヘンジョダロなのか、ここは?

149:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 22:22:56 NmJQeHjT
宇宙世紀0088、12月某日、場所=不明 天気=砂嵐

わけのわからないままオデッサにきてしまったので、なんとかここから脱出しようと
山道を歩いていたら、旧ジオン残党に襲われ身包みをはがされてパンツ一枚にされてしまった。
「私はシャアー・アズナブルだ」と言ったら、マ・クベ派だったみたいで、さらに
集団リンチにあってしまった。私の最後の砦であったパンツまでめくられて、あらわな姿をさらしてしまった。
そしてこのとき私は地球寒冷化作戦を決めた。

150:通常の名無しさんの3倍
05/06/06 23:02:36 3goApEEZ
マ・クベの壺に入りたい気分だ…




151:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 00:17:00
こんな夢を見た。
私の大好きなインドカレー(中辛)のパッケージをふと見るとそこには
ターバンに髭ズラなララァの姿が…。
ふと目が覚めてみると身ぐるみ剥がされて辺境の地にただ一人…。
思えばララァが好きだからカレーが好きなのか…?
もしくはカレーが好きだからララァを…!?
そんなことは今はどうでもいい…ララァよ私をナナイの下まで導いてくれ…。

152:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 01:00:21
そうだ。
私のカレー好きの心の根底にあるのは やはりララァが関係あると思う。
オリエント風な所が共通だ。


しかし ロリコンな所はいまいち説明できん。

153:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 01:01:12
「大佐の様子はどうだ?」
「はっ!暴れ方がひどくなってます。それと所長の名をうわごとで・・」

赤面するほど子供ではないので、とりあえず監禁を続けるナナイであった。
「いっそ私の奴隷に強化するか・・??」
「なにか?」
「い、いやなんでもない、行動の解析を引き続き行ってくれ。記憶の複写もな。」

ずっと後になってこの記録の複写がメモリ・クローンの元になるのだが・・・。
ボルシチはやめてカレーにメニューを変えるかとふと考えるナナイであった。


154:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 01:06:27 YjdQ5h9x
宇宙世紀0088、12月某日、場所=不明 天気=見えません

私はあこぎなやつらに監禁されている。
近くにいるなら気づいてくださいアムロ!!



155:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 01:19:30
宇宙世紀0088、12月某日、場所=シベリア 天気=雪嵐

ナナイは悩んでいた。シャアを効果的に自分の理想の奴隷、いや指導者に
するため、ロリを排除しようとしたが方法が不明だったからである。

ニュータイプ研究の過程で、さまざまな人間の人格、記憶の複写が大量に
残されていた事に気がついたナナイであった。

「そうだ、あれだ・・」
最高重要機密の印がある、その記録をあえて彼女はシャアに移植することにした。
そう、女好きの稀代のカリスマ、ギレンザビのそれである。
作業は困難を極めた・・・。


156:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 01:23:48
「私にみ、道を示してくれぇ~」
「せっかく減った・・・」

親の敵と人格を融合させられるとはさすがのシャアも思わなかったであろう。
しかし、ナナイとスタッフによる不眠不休の努力で、それは完成した。
ネオジオンを統べる真のリーダ、キャスバル・レム・ダイクンがここに誕生したのだ。

すべてがうまくいったわけでは、なかった。目に見える副作用が残った。
そう、例のオールバックである。


157:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 10:06:51 zHR0uELb
んっ? 私は気がついた。体は汗でビショビショになっている。
ナナイがいる! 私は助かったんだと確信した。
マクベの元部下に捕まった時にはまたまた死を覚悟したが 結果オーライと言うことにしよう。
ここまでどうやってきたのかはわからない。ナナイは詳しい話は後でねとの事だ。



でも なぜ 私はベットの上でビキニパンツ一丁なんだ?

158:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 12:02:51
「お腹がすいてらっしゃるでしょ?ランチを用意してあります。一緒に食べましょう」
とナナイが言うと、下士官がランチを配膳しはじめた。

んん?この匂いは…


またカレーか…今日はウサギ肉のカレーらしい。
うまいのか?

159:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 13:05:02
宇宙世紀0088、12月某日、スウィートウォーター 天気=薄曇り

アイタタァ…クソッ、体のあちこちがまだ痛む。
先日のナナイ出奔騒動が、実は大佐の性癖矯正の為の狂言だったと、大佐の地球降下後にニタ研の副所長から説明を受けた。
ナナイ曰く、私に話すと大佐にすぐに悟られるからと、私は事前説明もなしに道化役を演じさせられた訳だ。
ニタ研の副所長から暴行の謝罪と、ナナイからの伝言として
大佐と自分の留守中の組織の運営を任せると伝えられ、
少し気を良くした。

…という訳で今、組織の実質的トップはこの私、キグナンである!


私は早速大佐の執務室に入り、次々と決済をしていく。
その中に、先日の亡命者に関する報告書があった。

この男は元フラナガン機関の研究員で、戦後もアクシズでニュータイプの研究に当たっていたとの事。
亡命理由は恐らくアクシズ内部の派閥抗争に嫌気しての事らしいと。

…派閥抗争!?
これは使えるかも!
アクシズを内側から混乱させて有能な人材を流出させ、こちらで確保させて貰うとするか。
大佐はこの手の汚いやり口はあまりお好きではないだろうが、
今の我々には、ジオン恩顧の優秀な人材は貴重な財産だ。
すぐさま私はアクシズの諜報員に派閥間の亀裂拡大工作と、
アクシズ各部署の人材リストを作成するよう指示しておいた。

例の亡命者の件は、こちらの事情で身柄保護したい旨を、副所長からナナイに報告して貰う事にした。
その亡命者から、是非とも派閥抗争の詳細を聞いてみたい。
大佐には申し訳ないが、ハマーンには我々の踏み台になって貰おう。

…そんな事を考え、ニヤニヤながら私は残りの決済を続けた。

160:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 14:07:49
宇宙世紀0088、12月某日、スウィートウォーター 天気=曇り

組織の実質的トップの私、キグナンはついに、旧公国派=ザビ家残党の
取り込みに成功した。ミネバの問題はあるが、大佐の人格にギレンの人格を
統合したことをデータを元に示してやったところ、ついに彼らも折れてきたのだ。

アクシズの連中はこのことを知らないが、連中はいよいよただのトリックスターと
して、我々の決起準備をカモフラージュする役回りを演じるだけになってきた。

残党の中にデラーズ派がまだいるらしいのが厄介なところである。
彼らにとって敬愛する総帥の人格を・・まあ、盗んだことになるからな。

オールバックに髪形を変えたことがこれほどインパクトがあるとは・・。
そういえば眉毛を剃りたがるのを止めるのに一個中隊が必要だったと
ナナイがいってきていたが・・。

大丈夫なのだろうか。まあ何とかしてくれるだろう。
…そんな事を考えると、まるで自分が世界を支配できるような気がするから
不思議なものだ。危ない危ない。

長生きしたければ黒子に徹さねば。責任は上司が取るものだ。

161:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 17:12:31
宇宙世紀0088、12月某日、スウィートウォーター 天気=晴れ

ここ数日大佐の執務代行をこなしながら、夜にはニタ研副所長と飲み歩いている。
支払いは勿論経費だ。
領収書の名も、キグナンではなく大佐の使っている名義にして貰ってある。
フッ、我ながら完璧な偽装工作だな。

今日も執務終了後に副所長に連絡を取り、いつものモノレール下の屋台で待ち合わせる。

先についた私は今夜は軽く飲んだ後、大佐行きつけのキュベ女にでも行ってみるか
…等とあれこれ考えながら一人ニヤニヤ飲んでいると、副所長がやってきた。

その後暫らくお互い日頃の愚痴を溢しながら飲んでいた所、例の亡命者の話題になった。
何でも、研究所宛に連邦閲覧済みのメールが何度か届いていて、この間の件のついでにナナイに送っておいた所、
その内容にかなり驚いた様子で、その男の確保に乗り気になったそうだ。
気になったのでメールの内容を聞いてみたのだが、サイコミュ使用下のニュータイプの戦場での精神波増幅がどうとかと、素人が聞いてもさっぱり分からない話を数式化したものらしい。

まぁ、早い話が使えそうな奴だから確保しようという事か。
明日にでもナナイの代理で身柄引き受けにロンデニオンに向かうよう副所長に依頼し、私は連邦と公社の役人に根回ししておく事を約束した。

小難しい話はこの辺りで切り上げ、おでんというアジアのライトフードをつまみながら飲んでいると、いつの間にか屋台の隣で流しのアコーディオン引きが演奏していた。
少しもの悲しいメロディーをしみじみと聴きながら飲む酒というのも乙である。
暫らくして屋台での払いを済ませ、アコーディオン引きにもチップをやりその余韻に浸りながら…
…私と副所長はキュベ女へと向かった。

162:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 17:33:51
カレーを口に運びつつ、ここ・・しばらくのことを思い返そうとすると
激しい頭痛が沸き起こってきた。しかも眉がとても痒い。
剃りたい。いやむしろ、永久脱毛したい。

なぜ優良種たるスペースノイドの統領の私がこんな地上でカレーなんぞくっとるのだ!
計り知れない憤りが私の心にわきあがってきた。
「貴様、なぜ私を地上などに!」
「お、落ち着いて大佐!、何をしている警護兵、当番兵!」
「は、はっ!」

その後のことは覚えていない。気がつくと私はシャトルに乗せられていた。
傍らにはナナイがいるものの、目つきがおかしい。
まるで動物を見るような目で見る。顔ばかりでなく手にも傷があるようだ。

「ナナイ、その傷は?」
「い、いえ大佐、たいしたことではございません。」

加速度というものは心地よいものだ。通常の3倍あれば尚いい。
ポマードの香りが心を和ませる。

ふと、サングラスがほしくなったシャアであった。



163:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 17:41:54
私はまだ地球にいる。
どうやら 私はナナイに一杯食わされたようだ。
宇宙の事は いつの間にか大蛇を捜してた地球から宇宙に上がってたキグナンが仕切ってるみたいだ。 どうやら遅延しないみたいでやってるみたいだ。
このような有能な部下に恵まれて私は幸せのようだ。
しかし 匿名の報告書に目が止まった。
キグナンが組織の金で キュベ女に入り浸ってるみたいじゃないか! 私でさえ僧侶みたいな禁欲生活してるのに。 うらやましい…
帰ったらどのような制裁を加えてやろうか 思案中だ。 ギタギタのメタメタにしなきゃ腹の虫が収まらん。

164:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 17:48:42
とりあえず、シャトルは月に向かうことになった。
・・・アナハイムで試作している新型各種も見ておく必要がある。

「大佐、その、申し上げにくかったのですが、ハマーン・カーンが面会を・・」
小娘に用事などあるものか。おとりはおとりらしくせいぜい時間を稼げばいい。
正当なるジオンは私が復興する。

「かまわんさ、ナナイ。無視しておけばいい。それより今夜・・・」

思わずニヤリと笑みがこぼれた。舌なめずりしているのがわかってしまっただろうか。
女は豊満なのに限る。
「・・・ひっ」
ナナイの顔から血の気が引いた。いったいどうしたというのだ。
眉毛が痒い。眉なしは大衆受けしないということだが、大衆などどうとでも
扇動してやる。これからのことを考えると胸が躍った。
「クックックック」
いかん、威厳を保つにはあまり軽薄に感情を出すものではないな。
ナナイの表情に一瞬、恐怖がよぎったように見えたのは気のせいだろう。
将来の人類の支配者たる私に恐怖するなどありえんことだ・・。


165:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 17:54:15
ようやく宇宙に上がってきた。
やはり私は 宇宙が好きだと実感した。 スウィートウォーターの港で キグナン達の出迎えをうける。
キグナンが「やはり 大佐は宇宙がお似合いですな。」と笑顔で近付いて来た所を カウンターで右ストレート一発。
「た、た大佐!?」キグナンは訳がわからないようだ。
しかし私は知っている。お前が私のお気に入りのキュベ女に組織の金で入り浸ってる事を。
まだまだ制裁は続く…。

166:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 17:58:05
・・・そういえば、我が拠点であるスウィートウォーターの風紀紊乱が甚だしいようだ。
以前・・なぜか今となっては奇妙な気さえするのであるが、若すぎる女性を
売り物にしている風俗店などに入り浸っていたような気がする。

あのような不道徳な施設は、すべて排除しなければならないな・・。

別種の不快な記憶がよぎったのか、苦い表情が一瞬よぎる。
キグナンのにやけ面がなぜか併せて心地よさとともに思い出されたが、
すぐに真顔に戻るシャアであった。

「・・強化しすぎではないようね・・怖いけど仕方がない・・」
そんなシャアを冷静に見つめるナナイは、手の震えがとまらないのに
気がつかなかった。


167:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 17:58:44
>>165
アナハイム経由スウィートウォーター行きだ。 訂正する

168:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 18:13:00
宇宙世紀0088、12月某日、スウィートウォーター 天気=大雨

 大佐が帰ってきた。事前に連絡があったが、これほどとは思わなかった。
出迎えに出たのに、いきなり殴りかかってきたのだ。
殴りながらニヤニヤしてる。殺されるのではと真剣に考えたが、反撃するわけにもいかない。
ナナイが割って入ってくれたので死なずにすんだ。

病室で意識を取り戻したが、あれはもとの大佐じゃない!
恐怖に駆られて、強化のための資料をもう一度読み返してみた。
「ギレン・ザビ」まあこれは聞いている・・・名前がたくさんある・・
「バスク・オム」!
人格モデルにティターンズ幹部のものが混ざっている・・・
ナナイは何を考えているんだ。
 私の楽しみがひとつ無くなった。大佐がパブ従業員を全員月の鉱山に送ったのだ。
大衆は綱紀粛正の例として声援しているようだが・・・。
 
 ナナイに問いただしたが、顔色が悪く足元がおぼつかないようだ。
疲れ切っているらしい。返答も当を得ない。理由は聞くまでも無いが。
大丈夫なのだろうか。

 


169:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 18:13:04
ほんとにささいな事から私はある疑念に捕われている。

キグナンとナナイはデキているのではないか、と。
キュベ女に入り浸っている上にナナイまで!

ヤツを信用しすぎたか…?

170:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 18:19:15
キグナンは少々弛みすぎだ。ナナイにまでちょっかいを出すようなら問題だ。
あの女は私のものだ。

いいアイディアを思いついた。
ニタ研副所長を呼び出し、簡単に命じた。
「キグナンを強化しろ。モデルはそのリストにあるとおりのものを使え。」

まじめに仕事だけしてればいいのだ。能力はあるのだから。

・・・ファイルには一人の士官の名が記されていた。「ブライト・ノア」
弾幕だけは厚くなるだろう。
自分も遊び歩いていた副所長は、火の粉がかかることを恐れて、隠密裏に
事を運んだ。アナハイムに調整に出かけたことにして、強化作業を行ったのだ。

もう、シャア=ギレンを止めるものはどこにもいない・・・。



171:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 18:38:00
宇宙世紀0088、12月某日、スウィートウォーター 天気=雨

 強化されると予告されての強化作業は地獄だった。ニタ研副所長のすまなそうな顔ばかり
頭に浮かぶ。飲み歩きたいのは変わらないのだが、行こうとするとものすごい罪悪感がこみ上げる。
ブライトという男、相当な石部金吉であるようだ。多分女房一穴主義だ。
おまけにナナイの顔を見られないようにしやがった!俺はオタ餓鬼か?
 
 おとなしく艦隊の調練などを指揮しているほうが落ち着くようになってしまった。
大佐が地球圏の主になった暁には元に戻してもらえるのだろうか?
 「ほらそこ! 弾幕薄い! なーにやってんの!」

パイロットのレズンにちょっかい出そうと思ったのだが・・これも無理だった。
何やってるんだ俺は・・ハァ。





172:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 19:39:39 PrBbNkxe
>>117
以前注文していた 伝説ララァスン専用ダッチワイフが届いてた。
地球に行っててすっかり忘れていた。
局留めにしてたため ナナイにはバレてはいないと思う。 しかも擬装商品名は 地球の自然大百科と手が込んである。
私は もうワクワクして 郵便局に行き 商品を取りに行った。
もうニヤケながら商品を開封する。
ああ この瞬間を十年待ったのだ! この肌の質感は本人そのもの。

アムロ! お前の叶わぬ夢 私は叶えたぞ!

しかし 終わった後 かたす姿は我ながら情けない。

173:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 20:18:23
時々しょうも無い夢を見るのはなぜだろうか。
・・・今日もナナイを責めて責めて責めて責めさいなんだというのに。

ララアも今では小便臭い餓鬼だったと実感する。今生きていれば
責め甲斐のある女になっていたろうにと思うとまた欲情してきた。

執務時間中だが、仮眠室にナナイを呼びつけた。
最近顔色がものすごく悪くなっている。愛し方が足らないのであろうか。
今日も気合を入れてやるとしよう。




174:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 20:26:52
宇宙世紀0088、12月某日、ロンデニオン 天気=曇り時々雪

先日のキグナン氏の要請とナナイ所長からの指示により、亡命者の身柄引き受けにロンデニオンまで来た。
このコロニーは未だ戦禍に巻き込まれた事がない為、富裕層が多いようだ。
宇宙港のゲートを出ると、あちこちにクリスマス用の3Dが映写されている。

しかし久しぶりに研究所を出て、改めて私の名は特殊なのだと思い知らされた。
私のフルネームは長い上に発音しにくいらしく、どこの宙港ゲートでも職員は読む事を諦め、最後は身分証明書の肩書き…副所長さんと呼称されてしまう。
…ひょっとして、ナナイ所長も私の名前を呼ぶのが面倒になって副所長にしたのでは!?

…と疑ってみたが、まぁいいそんな事を考えても仕方ない。

ゲートを出て、キグナン氏から予め指定されていた出口に着くと、公社の職員が迎えに来ていた。
私は公社職員との挨拶もそこそこに、公用車に乗り込む。
移動の車中、迎えの職員に彼の今までの様子を聞いてみたが、今の所連邦の尋問にも反抗もせず普通に応対しているらしい。
キグナン氏の裏工作の成果なのか、連邦も軍事情報は持たない民間人と大差ないという結論を出し、地球ではなく宇宙のニタ研でこき使えという実に大雑把な対応で済ませたようだ。
戦時にこんな判断をするようでは、連邦も危ういな…
その後はこのコロニーの自慢話を職員から聞かされてされうんざりしてきた頃、亡命者の滞在するホテルに着いた。
何でも、ニタ研への引き渡しが決まった時点で収容所からここに移されたと職員が説明してくれた。
普通なら金がかかるのでこんな事しないと言っていたので、これもキグナン氏の手回しだと気付き、思わずニヤっとしてしまった。

職員に亡命者の待機する部屋へ案内され亡命者と対面した。
職員が離席し盗聴器の有無を確認した後、彼と話す事小一時間・・・

クロ-ン・・・
ナノ素材・・・
サイコ・・・

…何かもの凄い事言ってるみたいなんですが、この人。
と、とにかく所長の所に連れて行こう。

そう判断すると、私は別室で待機する公社職員を呼び、幾つかの書類にサインをするとスウィートウォーター行の一番早い便への変更を依頼し、足早にロンデニオンを後にした。

175:通常の名無しさんの3倍
05/06/07 21:14:10 YjdQ5h9x
宇宙世紀0088、12月某日、スウィートウォーターに向かう途中 天気=酸素なし

スウィートウォーターに向かう途中、亡命者の言っていることが難しすぎて
ほとんど聞き流している又は半分寝ている感じであった。
しばらくして本当に熟睡していたみたいで、起きたときには、かばんと時計と財布が盗まれていた。
秋か年末に警視庁24時でつかってもらえるだろうか?





176:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 00:08:35
アクシズ劣勢の報を聞き、居ても居られなくなった私は単身ミネバの救出にアクシズへ向かう。
その道中、私は昔、よく幼いミネバと遊んでいた頃を思い出した。
私の知っているミネバは今のおとなしいミネバではなく木星圏の頃の、とても明るく元気な少女の時だった。
「シャア、ジャンケンしよ」
私はミネバにジャンケンせがまれた。そして勝負をした結果、ミネバはパーで私はグーだった。
ミネバは自分が勝った事に喜びはしゃぐが、私はグーをしていた手を開き、かねてより仕込んでいた握りっ屁をミネバにかました。
ミネバは私の握り屁をまともに食らい、鼻を押さえ涙目になって苦しんでいた。
「勝負とは一手も二手も先を読む物だ」
私はそう言ってミネバにジャンケンを通して勝負の厳しさを教えていると
ふと、そこで私とミネバの様子を眺めていたハマーンの存在に気がついた。
私はハマーンもジャンケンがしたいのかな? と思って声を掛けるとハマーンは伏せていた顔を上げ、強烈に私を睨み付けた。
そして、「よくも……ミネバ様に……この……俗物が……」と声を震わせ、なぜか怒りの臨界点に達していて、その後……………………。



とても大事な急用を思い出した私は次のシャトルステーションで降りスウィートウォーターに引き返した。ミネバの救出は、また今度にしよう。すまん、ミネバ、もう少しだけ待っていてくれ

177:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 00:17:34
2歳の子供ににぎりっぺをかまし、その後つかみかかってきた少女をレイプしたのだ。
獣といわれても仕方が無い。ハマーンは手なずけたが、周りの大人はそうは行かなかった。
一年戦争の戦功を傘に押し切ったが、アクシズを出奔せざるを得なくなったんだった・・。
しかし、彼女たちへの愛情は誰にも負けないつもり・・
つも・・頭が激しく痛い。

子供などに興味は無い。死のうが生きようが知ったことか。
ジオンは最も優れた人間によって統べられるべきなのだ。すなわちこの・・
この・・・




178:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 00:23:15
気がついたのはベッドの上であったが、とりあえずナナイを呼びつけた。
とりあえず行為に没頭した。

「強化したのは・・私・・・」青息吐息のナナイであった。


179:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 06:01:07 oEctGnRa
宇宙世紀0089、元旦、スウィートウォーターの天気=ゆき

新年あけましておめでとうございます。旧年中はたいへんお世話に
なりました。今年もよろ…と年賀状を書いていたところ、突然はげしい
頭痛に襲われた。失踪したナナイを追って地球に降り、モスクワの免税店で
赤い髪の少女と親しくなったあと、そこからの記憶がどうにもあいまいだ。

冷たいロシア料理をたらふくごちそうになった気がする…
カレーもいっぱいごちそうになったような…
オデッサ…? 壺野郎は大嫌いだが…
わが新生ネオ・ジオンに亡命者…ダレダ?
キグナンがニタ研の副所長と謀議のうえ、貴重な予算で豪遊だと?
つーかキュベ女パート2だと? 聞いとらんぞ!
いつの間にか傍にいるナナイが、どうも私によそよそしい気が…

…どうにも解せぬ。おかしいことといえば、TVでどこかの政治家が演説
しているのを見聞きすると、無性に血が騒いでしかたがない。知らぬうちに
コブシをにぎりしめている自分がいる。「国民」とか「立てよ」などという言葉を
聞こうものなら、高まる郷愁を抑えきれずに涙があふれるというありさまだ。

まあよい。このわしがトップに君臨しておる限り、ティターンズは不滅である!

ああ…また頭痛だ。なんだかサングラスか水中メガネが欲しい気分になる。
私はほんとうにシャア・アズナブルなのだろうか…

180:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 06:02:09 oEctGnRa
179のつづき♪

ようやく頭痛がおさまり、私は年賀状の残りを片付ける。

アルテイシア宛
キグナンの実家宛
ナナイの実家宛
イカリングの常駐管理者宛
キュベレイ女学院御中
ニタ研御中
アナハイム・エレクトロニクス御中
いやいやながらハマーン艦隊御中
ラサの連邦本部にハガキに見せかけた爆発物を一通

われながら律儀だと思う。返事は最初から期待していないが。
年賀状とはそういうものだ。

みかんをむきながらコタツでTVを見ていると、障子が開いて
ナナイが姿を現した。赤い振袖を着て、結った髪に華美なかんざし
を挿している。美しいことこのうえない。
「大佐、初詣に参りませんか?」
はつもうで、ってなんだ。まあいい、ナナイが行こうというのなら
どこにだって行ってやるさ。ニュータイプのカンを頼りにロシアにすら
飛んだ私だ。カミシモはちょっとさむい服装だが、あれに比べりゃ
どうということもあるまい。


181:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 06:38:05
とりあえず欲情してきたので、そのまま一回ことを済ませてから
初詣に出かけた。あまりにあたり前過ぎるので、記録されることは少ないが
コロニーには神社はつきものだ。

あのグリプスにすら、当然のごとくあったのだ。
何でも、ヤスクニとかいう古い神社の系列に連なるものらしい。

ここにも、ややこしい由来(エンギというようだが)の神社が
祭られており盛況である。鳥居をくぐり、手を清め、賽銭を投じて
拝殿に参拝する。願うことはただひとつ、ネオジオンの覇権確立である。

帰ってからの姫初めが楽しみだ。ん?なにか問題があるのか?

182:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 12:48:52
宇宙世紀089、1月某日、スウィートウォーター 天気=晴天

年末は皆忙しいのか、亡命者の所長への紹介も出来ずに年があけてしまった。
思いかえせば私も、帰りの機内で無重力飛行中の荷物浮遊を
盗難と勘違いして大騒ぎして恥をかいたり、キグナン氏の
強化を指示されたりと、かなり多忙ではあった。

年も明け、少しは落ち着いただろうと判断し、所長への挨拶に
彼を連れていこうと考え研究所へ向かった。
この男、研究所に着くなりここのデータベースへのアクセス許可を要求してきた。
私は研究員同席を条件に、過去の記録に関しての閲覧許可を与えた所
彼はずっと閲覧室に籠もってしまった。
少し前に、データを解析している時の彼の様子を覗いたのだが、
目が逝っていて、正直恐かった。
マッドサイエンティストとはああいう人種の事を指すのだろう。
普段はともかく、研究中は余り関わりたくない人物だ。

とにかく私は自分の責務を果たそうと、所長の今日の予定を確認した所
午後から研究所に戻って来ているという話だったので、
早速彼を連れて所長室に向かった。


…今回の事で気になった、私の副所長就任の理由を聞いていたい
気もしたが、本当に名前だけが理由だったら凹むので辞めておこう。


所長室に入り、私もナナイ所長と久しぶりにお会いしたのだが、
地球降下以前に比べ憔悴した様子だったが、年齢以上の
妖艶な色気を醸し出していた。

ナナイ所長が彼に席を勧め、自己紹介をしようとした所
いきなり彼は先程まで見ていたデータから得た強化資料を持ち出し
延々と演説を始めてしまった。
話の内容としては、人格転写式強化の精神耐久の低さや、
連邦型強化人間の精神崩壊危険性をデータ的に指摘していた。

その話に所長も妙に納得したようで、大佐とキグナン氏の
人格転写を少しずつ解除するように、私に指示した。
その為、他の研究員と入れ替わりで途中退席する事になったが、
話はまだまだ続くだろうと想像しながら、私は強化用ラボに向かった。

私の転写したキグナン氏なら、後遺症も残らず比較的短期間に解除可能だろうが、
資料で見た限り大佐は・・・何か後遺症残るだろうな。
ただ、綱紀粛正政策だけは何とか中止するようにしなければ。

183:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 13:20:10
初詣を終えて、コロニー外縁をリニアで移動する。生きるものを阻むような
宇宙の深遠たる深みに、ますます清廉なものを感じる。

省みるに、このコロニー内部の猥雑さはなんだ!
これこそ、一部の楽観論者、いや享楽主義者の仕業に違いない。
ここは、我が理想の聖地であり、大宇宙のシンボルたるべき場所
なのだ!この聖地をゆるがせにしないためにも、我々ネオジオンは起ったのだ!
・・・むう、頭が少々痛い・・。

綱紀粛正の第二段として、オデン屋台を禁止する命令を作成し、署名した。
即日彼らはあのような心温まる食物・・いや違う、風紀を乱す猥雑な食物の
販売を取りやめ、半合成レーションプラントで軍のために働くことになるだろう。

アフターケアもしっかり考える自分に感動する私であった。
気分がよくなったので、ナナイを呼びつけて今日4度目の姫始めを行った。
いくらやっても飽きがこない。さすがは私の見込んだ女だ。

眉毛が痒いのはどうにかならないものだろうか。

184:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 13:30:15
宇宙世紀089、1月某日、スウィートウォーター 天気=晴天

大佐からわけのわからん命令書が回ってきた。オデン屋台禁止??
あの色ボケ・・いや猿・・いやなんだ、やはり強化が危険なレベルに達していたのか。
私の強化も後日解除してもらえるらしいと、内内に副所長から連絡があった。
しかし、その決済書類は大佐が署名しないと発効しない・・。
・・・軍用のレーションってオデン缶詰工場なんだが・・。資金稼ぎに大好評の
輸出アイテムの筆頭だ。連邦軍にも今は納入してるのに・・・。

ナナイは自業自得だが、ほうっておいたらあれは死ぬな・・。顔色がやばすぎる。
とりあえず、イカリングほかで建造中の各艦の弾幕の厚みをチェックしなければならないな。

などと、一人スルメでカップ酒をあおりつつ考え込むキグナンであった。


185:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 13:35:57
宇宙世紀089、1月某日、スウィートウォーター 天気=晴天

日差しが黄色い。ひざががくがくして物が二重に見える。
心なしか蟹股でふらふら歩くようになっていると思う。はしたないがどうにもならない・・。

強化オタから指摘されたことは事実で、対策しなければいけないのは
わかったのだが、いまはどうにもできない。気力が沸かない・・・。
今は大佐の正体がわかったと実感している。あれはまさに英雄なのだ。
彼の王国で、自分に妃たる覚悟があるだろうか。

大佐からまた呼び出しを受けた。用事はわかっている。
最低限度の身支度をして、ふらふらと、執務室を後にするナナイであった。


186:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 13:38:42 Sa9RrdrP
キグナンが年始の挨拶に来た。
奴からのお年賀を受け取る。 新年の挨拶を済ませると キグナンが遠慮がちに右手の掌を上に差し出して来た。

「あっ こいつ お年玉をせがんでるな?」 と一瞬で理解した私は 旧世紀からのベタな洒落で返してやった。

みるみるうちに キグナンの頭の上に漫画みたいな タンコブが膨れ上がっていったのを確認する。
まるで餅みたいで縁起がいいと 我ながら心の内でほくそ笑んだ。
新年早々清々しい気分になった。

187:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 14:01:19
宇宙世紀089、1月某日、スウィートウォーター 天気=曇り

松の内、ほとんど実務は私とキグナンで仕切っていた。大佐と所長は結局、
年賀の挨拶を受けて後、さっぱり姿を見せなかったからだ。

何をしていたかは想像に難くない。
キグナンと今後について相談してみたが、猿に別の猿をあてがう、
いや、別の女性をもう一人二人あてがうことで落ち着いた。
政務も外交交渉も陰謀に類するものもいろいろあるが、まずは
あれを何とかしないと先に進めない。

候補者はもうあてがある。パイロットのレズンだ。
本人の意思を尊重したいが、そんな余裕はない。必要だったら
強化するということで意見の一致を見た。



188:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 14:19:32
宇宙世紀089、1月某日、スウィートウォーター 天気=雨

副所長の発案で、レズンをあてがった。気質的にこういう場合には
ぴったりの相手だということだった。本人は意外にも、乗り気だった。
強化する必要がないというのはよいことだ。あれはたまらん。

ナナイ所長はしばらく静養するとのことで、保養所のあるサイド6へ向かった。
体調は最悪らしい。吐き気や悪寒も頻発するとのことだ。
この期に及んで女らしい嫉妬めいた言葉も口に出したが、命あっての物種だ。

強化オタの亡命者が、大佐のサイコグラムの最新の検討結果をまわしてきた。
それによれば、もともと持っていた人格の問題な面を吐き出しつつあることで、
転写強化された人格からポジティブな面を残して再統合しつつあるとの
ことであった。これならばそのうち落ち着くかもしれない。
さすがニュータイプだ。常人とは精神の骨格が異なるらしい。

しかし、暴力嗜好なのはとまらないのだろうか。早急に。
お年玉とかべたなジョークにかこつけて、したたかに殴られた。
ほかにもコーヒーに入れる砂糖の数を間違えただけで、骨が砕けけるまで
殴り合いをさせられた部下もいる。
もみ消しに強化ラボをつかうというのもかなり心が痛い。

恐ろしいアイディアも、口にしているのを聞かされてしまった。
そんなことをしたら地球に人が住めなくなる。この上何億殺すことになるのだ。
さすがの私も、空恐ろしさを禁じえなかった。
まあ、正気に戻っていただけば、忘れてくれるだろうと信じる。

自分でつぶしておいてキュベ女に年賀はがき出してるし・・・。
返送されてきたはがきは、5等の切手シートがあたっているようだ。
今年のは大佐の愛機コレクションシリーズだったな。
・・・キュベ女は仕方ないにしても、オデン屋にはまた行きたいものだ。

レズンは無事だろうか。まあ、かわりはいくらでもいる。


189:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 14:40:38
ナナイが静養するとの連絡が副所長から来た。
私の深い愛情に耐え切れなかったと見える。理性は納得しているが
本能がおさまりどころを知らずに困っている。

この血の昂ぶりをどうしろというのだ!
コーヒーを持って越させたが、砂糖を1個しか入れてこなかった。
私はいつも2個入れることにしているのにもかかわらずだ!
当番兵、少年兵だったが3名を、気合を入れるために殴り合わせた。
私が直接修正していたらその程度ではすまないのだから
感謝してもらいたいものだ。

これまで、なぜためらっていたのかわからなかったが、戦争に勝つシビアで
効率的な方法に思い至った。キグナンはあまりよい顔をしていなかったが。
勝利してこその戦争だということが理解できないらしい。

 久しぶりに寂しく一人寝をするつもりだったが、寝室になぜかレズンがいた。
すこし疑念と、ナナイの顔が頭をよぎったが、据え膳くわぬはなんとやらである。
ありがたくいただくことにした。

むう、この女、やる!



190:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 15:21:56
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=曇時々みぞれ

日に日に頭痛がひどくなってくる。
しかも頭痛が納まると女を抱きたくて仕方なくなる。
今日はナナイがくれた新しい薬が効いているのか、少し意識がはっきり
している時間が長く、久しぶりに仕事が出来そうだ。
キグナンを部屋から追い出し、執務室で様々な決済を行なっていると、
数人のパイロット士官が執務室の警護を引きずりながら
激怒した様子で怒鳴り込んできた。

余りに無礼な士官の態度にキレた私は、ドスの効いた声で一括すると
ようやく彼らも我に返ったようだ。
この無礼な士官共を纏めてその場で銃殺しようかとも考えたが、
貴重な戦力をむざむざ失うのは得策ではないと考え直し、
彼らに発言の機会を与えた。

彼らの代表が言うには、度の過ぎた綱紀粛正策は兵の士気に関わるので
即座に中止して欲しいと直訴しに来たらしい。

ちっ、愚民共が、この程度で士気低下とは話にならんな。
まぁ、そんな愚民共を理解し導いてやるのも真の指導者たる私の責任か…
…などと、心の中で呟きながら、その場で士官達には政策の緩和を
口約束して、自宅で暫らく謹慎するように命令した。

…士官達が退出する時、全員の顔を見ていたのだが、
その中の3人がまだ納得していないような表情をしていた。
まぁいい、偉大なる人類の指導者たるこの私を裏切るような事など、
愚民に出来る筈もない。
奴らには後で厳しい訓練プログラムでもやらせようと考えながら、私は決済を再開した。

191:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 16:03:38
宇宙世紀0089、1月某日、通称イカリング 天気=不明

今日は工場化の終わった島一号型コロニーの視察に来ている。
相変わらず頭痛や意識の混濁は起こるが、今の所はこの間の
薬のおかげでなんとかもたせている。

各施設を一回りして、MS設計部の担当者と新規汎用MSの
コンセプト案を話し合っている所に、キグナンが慌てた様子で駆け込んできた。

私がどうしたのかと問いただすと、私の留守中にキグナンがアクシズの諜報員に
指示した内部工作を止めるのを忘れていた為、派閥抗争が激化し内乱にまで発展
してしまったらしい。


コイツ・・・死ぬ程ブン殴ってやろうかと思ったが、
キグナン自身も強化の影響で若干記憶が混濁しているようなので仕方あるまい。

しかし・・・
頑張り過ぎたな、諜報員。

仕方あるまい、私は早急にアクシズへの非戦闘員の救助艦の準備を指示し、
設計部とは汎用MSの基本デザインに関するアンケートの実施を約束し、
スウィートウォーターへ戻る事にした。

192:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 17:30:24
アクシズの抗争は組織中の我が陣営にとってはポジティブな結果で
終わるようだ。大量の非戦闘員、多くは女性が補充されるに至ったからだ。
女日照りではなかなか士気もあがるものではない。

それらの報告を受けるうち、一部の士官の反抗の原因も納得した。
いまでは私の重要な・・・重要なパートナーであるレズンの個人的な
ファンだったというのである。

まあ、憧れのお姉さまを奪われた上、憂さ晴らしもできなければ無理も無いか。
しかしながら、軍は規律を持って成り立つのである。
我が軍は私の私兵ではないつもりだが、果てしなくそれに近いのだ。
崇高なる目的のためには仕方の無いことだ。

偵察をかねて、アクシズ抗争にそれらの士官を出撃させた。
表向きは双方の一般負傷兵の回収だが、自衛のための発砲は許可してある。
せいぜい憂さ晴らしをしてくればいい。帰って来れなければそれだけのことだ。
無駄なMSは無いので、鹵獲した廃ザック・・いやハイザックをあてがったが
問題は無いだろう。

とりあえず一通りの仕事を終えた私は、インターカムに手を伸ばして、
ふとにやりとして考え込んだ。・・・今日は2人とも呼んでやるか・・・。

やってることがあまりギレンと変わらなくなっているシャアであった。

193:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 17:53:55 iG9Kf+T+
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=曇時々砂嵐

最近私は現場から離れていることに気づいた。「事件は現場で起きてるんだ!!」
とよく言われるので、久々にモビルスーツで連邦の戦艦を沈めてやろうと、キグナンに連絡を取り
「モビルスーツを用意しておけ」と命令しておいた。
ウキウキ、ワクワクした気持ちでモビルスーツを引き取りにいくと、キグナンがはにかみながら私を待っていた。
そこには、アッガイが置いてあった。「このモビルスーツ・・」と言いかけたところ、
「偉い人には、わからんのですよ!!」「大佐ならうまくやれますよ!!」と言ってキグナンが去っていこう
としたので、敬礼しながらヤツの顔をめがけてバズーカを放ってやった。


194:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 17:59:42
・・・また大佐がうなされている・・・
足腰が立たないのでどうにもならないのであるが、女2人は奇妙な連帯感で
シャアの凄まじいうなり声を呆然と聞いていた。
まさか、庶民の英雄シャアが獣に果てしなく近い行為の後、凄まじい
悪夢に襲われているなどと他人に知らせることはできない・・・。

この後どうなるか、二人にはわかっていた。
半覚醒状態のまま、また襲い掛かってくるのである。

こんな人間に人類の命運が左右されてもよいのであろうか。


195:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 18:16:09
・・・朝になり、目覚めた大佐がこんなことを言い出した。

「戦艦を沈めたい!」「MSに乗って実戦に参加するのだ!」

目が血走っている。公務もあるし、なによりこれ以上は体が持たない。
そう考えたナナイは、とりあえずシャアをシミュレータルームに連れて行った。

「新型の機動試験に使うプログラムが入ってます、これでとりあえず気をお静めください。」

中には、古いリックディアスのデータと、この間大佐が強引に回収させたザクのデータが
入っている。つまりクワトロと過去のシャアと三つ巴で戦えというわけだ。
戦闘猿であるシャアは、当然ながら没頭した。

ナナイはため息をつくと、仮眠を取りにタンクベッドへ向かった。
レズンはすでに眠り込んでいるはずである。
仮想であっても戦闘が終わった後の彼の恐ろしさは身にしみてわかっている。
休息は必要だった。

「そろそろ本気で軍の準備をしないと、体が持たない」
ぼーっとした頭でそんなことを考えているナナイであった。

キグナンがこのデータを闇市場に流して一儲けしたのは後日のことである。
一部のデータはCG化され、コンビニエンスストア経由で一般に流されることになった。
爆発的な人気を呼んだのは言うまでも無い。


196:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 18:37:49
昨年末から 私はスウィートウォーター浄化作戦というのを推し進めている。
その作戦は徐々に成果を現し 乱れていたスウィートウォーターの風紀も正常に戻りつつある。

昨日 私の所に一通の報告書が上がってきた。
スウィートウォーターの下町の地下に 大規模なポルノ密売施設が見つかったという報せだ。

しかもポルノジャンルの一つに シャア専用にっかつロマンポルノてコーナーがあるみたいだ。
私は頭を抱えてしまった。
そうだ 私はシャアアズナブルである!

後日摘発と名を借りて そのポルノを私のコレクションにしてやった。

197:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 19:03:56
実際はデータであるから、ネットを流れるものまでは止められない。
まあいちおう摘発したものだから、あとでレズンとでも観賞しよう。
ナナイはこの手のものを嫌悪する。プライドが高いからなあれは。

・・・確かにシャア専用であった。
出演者もシャアだったからだ。市内での御乱行が逐一記録されていた。

「むう、たちの悪いCG物だな・・」
さすがのレズンも呆れていたのだが(合成で性癖まで再現できるものか)
「はははははっ」
・・・・ほんと、普通じゃないみたいだね・・・

なに、あとで製作者探して鉱山送りにすればいいだけだ。
普段の3倍の速度で腰を動かしながらシャアはほくそえんだ。


198:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 22:20:02 1GQnU3bt
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 時間=昼の時間

「若、貴兄弟は泥沼やなっ!!ほんましかし~」
今日は、やっさんみたいな大佐であった。


199:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 23:11:34
ああ カレーライス食べたい…

200:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 23:12:44
200ゲトC

201:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 23:21:57
大佐の人格が壊れていきます・・・・・・

202:通常の名無しさんの3倍
05/06/08 23:31:09
大佐のちんこが吸われていきますぅ~

203:通常の名無しさんの3倍
05/06/09 07:09:58 NKnwpXgH
宇宙世紀0089、1月某日、イカリングの天気=気象は存在しません

ハマーンが死んだ…エゥーゴのニュータイプを、あと一歩という
ところまで追い詰めておきながら。つくづく、慢心とは綻びを生む
ものなのだな。かつて理想をともにし、ぬくもりとやすらぎを感じ合い、
そして憎悪さえも分かち合った者よ…けっきょく年賀状の返事は
もらえずじまいだったが、いいさ。のんびりあの世で返事を書くがいい。
いずれ私もおまえのところへ逝くであろうから。

敗戦によって瓦解したネオ・ジオン軍の残党が、かねてからの手引きに
したがって続々とスウィートウォーター宙域に集まってくる。
「だいぶやられておりますなぁ…」
キグナンが苦い顔でつぶやく。右舷に大きく傾いだエンドラ級宇宙巡洋艦が、
死にかけた魚のように、ゆっくりと目の前を流れてゆく。護衛に出ている
モビルスーツ部隊にも、心なしか元気がないような印象を受けた。

「お、おお…グワダン級ですぞ、大佐!」
うれしそうなキグナンの声につられて視線を向けると、ほとんど被弾の
見られない真紅の巨躯が、スウィートウォーターの放つ光をうけて鈍く輝いていた。
グワダン級がまだ生き残っていたとは…望外の喜びとはまさにこれである。
「頼もしいですなぁ。艦隊旗艦は、やはりこうでなくては…」
そのとおりだと私も思った。かなり距離があるはずなのに、視界全体が
赤い艦体で覆い尽くされる。ブリッジが正面にきてはじめて、乗員が舷窓に立ち、
こちらに向けて敬礼している姿に気がついた。軽いうなずきとともに、礼を返す。

レウルーラの起工を急がねばならない。あぽん・ジールのプランも煮詰めねば
ならんし、停滞している主力モビルスーツ開発にも力を入れる必要がある。
モビルスーツの数もあるていど揃ったことだ、パイロット候補生の訓練メニューも
いろいろ変更せねばならんかな。ひさしぶりにおでん屋台でものぞいて、ダイコンと
ちくわをつまみながらのコップ酒も捨てがたいしな、キュベ女のアイナたんと
マウアーたんは元気だろうか…


204:通常の名無しさんの3倍
05/06/09 07:11:02 NKnwpXgH
203のつづき♪

「大佐……?」
はっとして振り返ると、険しい表情のナナイが腕組みして立っていた。
いつの間にかキグナンの姿が消えている。かなり長いあいだ、敬礼
したまま妄想していたらしい。私としたことが…疲れが出ているのだろうか。
「頭痛のほうは、もうよろしいのですか?」
私の顔を見ずに歩いてきて、肩を並べる。あきらかに頬がふくれていた。
頭の中では別のことを考えているに違いない。
左腕をナナイの肩に回す。一瞬、拒むかのように硬直したが、構わず
抱き寄せると、身体の力を抜いて頭をもたせかけてきた。
「…大佐。レズンとのこと…思い出していたのですか?」
レズン…? ああ、あのヤンキーあがりのあばずれか。んなばかな。
なにを思い出していたのかは言えないが、私が愛しているのは
おまえだけだ、ナナイ。
「シャア…大佐…」
ナナイのくちびるをやさしく奪う。彼女の目から一滴の涙がこぼれ落ちた。
「…艦隊の受け入れ準備を整えなければなりません。イカリングでお待ち
しております。大佐も、お早く…」
潤んだ瞳で微笑むと、ナナイはきびすを返して歩き去った。
私はため息をつく。おでん屋台もキュベ女もとりやめだな。また忙しい日々が
始まるのだ。

地球圏に散っていったアクシズの同志たちよ、見ているがいい。ジオン再興は、
このシャア・アズナブルがきっと成し遂げてみせよう。




205:通常の名無しさんの3倍
05/06/09 08:34:15
軽い頭痛が治まると、眉毛の痒みがなぜか消えていた。

ナナイが去っていく。大事な用事があるのだがどうしたことだ。
とりあえず見送ったが、もともと私はジオン再興などどうでもよい。
重力に魂を引かれたものどもを葬り、ニュータイプのための世作りを行うのだ。

もともとそれがただ唯一の目的・・ララァの死に誓った私の生きる証。
ニヤリとシャアは笑った。

とりあえず下腹部に違和感を感じたので、レズンが待機している部屋に
人払いをして押しかける。イカリングに行くのは少し遅れるが構うものか。
レコアもそうであったが、アバズレもいいものだ・・。

利用できるものは何でも利用してやる。私はいつも一人の男だったのだ。
手ごろな石ころの調査は、私独自のネットワークですでに開始している。
そう、ダイクン派の忠実なる影の者どもがだ。

普段の3倍の速度で腰を動かしながらシャアはほくそえんだ。

206:通常の名無しさんの3倍
05/06/09 11:29:31
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=晴

月のアナハイムから各種レアメタルの塊がスウィートウォーター港に大量に届いた。
ナナイ所長がイカリングの大佐に随行中の為、副所長の私が代わりに港に赴き
リストチェックをし、受領書にサインをしたのだが、これだけ大量の、
しかも種類も雑多な金属が強化人間の研究を主とする我が研究所に必要なのだろうか?

…そんな事を考えながら、大量のコンテナの港湾倉庫に移動する為の打ち合せを
公社の職員としている所に、ナナイ所長がイカリングから帰還してきた。
所長は私にあの亡命者を連れて来るよう指示し、直接公社職員と話をつけていたが、
どうやらその資材は表向きにはニタ研の新しい実験施設とラボ建造に使用する実験的資材
という建前になっているようだ。
実際にはイカリングでのMS開発に転用される事が、私には容易に想像出来た。

私は研究所に連絡して彼を港に連れてくるよう手配し、説明を終えた所長に着荷した
レアメタルのリストやコンテナ番号を説明している所に彼が現れた。
彼は私の持つリストを奪うなり目の色を変えて書類をチェックし始めた。
私が少し不愉快な表情で彼の様子を眺めていると、所長が私に説明してくれた。


元々この資材の一部は彼がアナハイムに発注していた物で、
彼がジオン驚異のメカニズムの結晶である小型サイコミュの技術を提供する代わりに、
我々はMSや新素材の開発研究の為の援助を受けるという裏取引をしてあるという事だ。
更にはイカリング内には彼が持ち込んだ、アクシズで研究中の
サイコミュ内蔵合金の開発実験施設の増設も急ピッチで進んでいるそうだ。

・・・この男、一体専門分野は何なんだろうか?
少し恐いが、一度屋台にでも連れていって飲みながら話を聞いてみようか?
…などと考えながら、コンテナ内の資材のイカリングへの偽装持ち出し案を
キグナン氏と相談するよう所長に指示され、私はその場を後にした。

207:通常の名無しさんの3倍
05/06/09 12:03:40
今日はちょっぴり小咄。

私はイカリングを師匠と読んでいる。


ただそれだけ。

208:通常の名無しさんの3倍
05/06/09 20:55:07
宇宙世紀0089、1月某日、アンマン 天気=不明

材料開発部から不可思議な素材の試作品が回ってきた。
何でも、分子レベルでサイコミュの感度を大幅に上昇させる素材とのこと。
解析結果を見て驚いた。一定の高温環境下で構造が自己増殖するのだ。
しかもMSのフレームにも使用可能な強度も持ちうるらしい・・・

現在は繊維のように単一の方向にしか成長せず、強度的にも
糸のように弱いということなので、まあ参考程度にというところか。

連邦軍の某大尉にZ系の設計資料と、試作品を要求された。有名人だ。
もう数年前の計画なので、秘密も解除されていることだろうと、
データベースにアクセスしたところ、なぜか上司から呼び出されることになった。
大事な客先の事なのにいったいどうしたことだろう。
パイロットとのインタフェースに、擬似サイコミュともいえなくは無い、
バイオ・センサーシステムが載っているのがまずいという話だったが・・・。
誰にとって何がまずいのだろう。

納期と、変形機構に関して精度を保証できる作業員がいないという話をして、
ダウングレードした案を提示した。

ご本人が乗り込んでくるらしいが・・無理なものは無理だ。
私にも家族がある・・・。オリジナルZ、確かに優れた設計だ。
これを超えるには、サイコミュ導入ぐらいしか解決策が思い当たらない。
サイコミュは、通達で正規軍には納入自体が禁止されている。

これなら例のマイナーチェンジのMKIIのほうがバランスがよいような気もする・・。
一撃離脱でバックパックの使い捨て運用とは贅沢な話になってきた。

まあ、試作機なので請求はそれ相応に水増しということになるのだろうが。
ニュータイプというのも金がかかるものだな。

残党狩りなら制式ジェガンで十分だろうに。手を入れろというならそのほうが
面白そうだ。

~某アナハイム社・システムエンジニア O・S氏の個人的日記~

209:あんごる ◆RPzMoa7/As
05/06/09 21:16:26
良スレ認定^^

210:通常の名無しさんの3倍
05/06/09 23:27:31
宇宙世紀0089、1月某日、アンマン 天気=不明

某大尉が押しかけてきた。美人の工兵さん同伴だ。
みられるとまずい機体もあるので、急ぎ別棟に移動して封印する。

話を聞いて驚いた。Zplus乗ったことあるって??
あれはバイオセンサーなしのシステムだ・・・出力に見合った機動ができない。
反応速度が追いつかないのだ。人も、制御系も。危険極まりない。
一撃離脱に使うには高価すぎる。変形機構あっても意味が無くなる。
人的損失も事故も多発したはずだ。

ああ、この人はそうだっけ。味を占めたってわけか。

まあ、話の流れでこっちの思惑に乗せることはできそうだ。
ニュータイプっていっても心が読めるわけじゃないんだな・・・。
しかし、ほんとうにこの人、パイロットか?
自分で設計できるぐらいの知識あるぞ全く・・。まあ残党狩り程度なら
デグレードしたなんちゃってZでも不自由はしないだろう。

生真面目な人なのだろうが、妙に真剣なのが気にかかる。
戦争でもまたやる気なのか。まさかとは思う。

ZZはどうかとちょっと聞いてみたが、分離合体は使えないと判断しているそうだ。
複雑すぎて故障が多発することを危惧していた。
ハイメガキャノンについては苦笑されるだけだった。一発撃ったら行動不能だからな。

FAZZに関しては戦死者かなり出している事実をご存知なのか、一言も口にされなかった。
こちらも黙っていたが。

~O・S氏の個人的日記の続き~





211:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 05:09:30
テスト

212:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 07:00:38 4MMejJd/
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーターの天気=ゆきのちはれ

午前中は大雪である。公社事務局に問い合わせたところ、
「気象コンピュータのちょっとした故障」という話であったが、
こりゃどう見たって豪雪だろと言いたくなるような有様だった。
しまいにはコロニー内の循環水量が危険水準まで低下してしまい、
非常警報が鳴り出すしまつである。困ったものだな。

水量低下の警報を受け、積雪を速やかに水に還元するため、
オープン区画のミラーが最大仰角で太陽光を取り入れ始める。
密閉区画では人工太陽がフル稼働し、気温は低いのに日差しは
異様に熱いという、なんとも奇妙な現象に遭遇する。宇宙の神秘か。

午後。誰かの気まぐれから、合流したネオ・ジオン将兵との親睦会も
兼ねて、本部職員とニタ研合同の雪合戦を行うこととなった。場所は
港湾区画の広大な倉庫(無重力帯)。
空いているモビルスーツを総動員して倉庫内に雪をドカドカ放り込み、
人海戦術で雪玉とトーチカを製造してゆく。そのうち騒ぎを聞きつけた
公社職員までぞろぞろやってきて、ふだん無人の倉庫内は大喧騒に包まれた。

チーム編成はこうだ。
<チーム・新人類>私、ナナイ、ギュネイ、ニタ研のサルども。
<チーム・下克上>キグナン、レズン、ネオ・ジオン将兵、本部職員たち。
<チーム・甘水缶>コロニー公社職員たち多数。

シュツルム・ディアスの空砲バルカンファランクスを合図に、三つ巴の
大雪合戦が幕を開ける。ふっ、ニュータイプの血が騒ぐというものだ。


213:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 07:01:44 4MMejJd/
212のつづき♪

「あ、あたしが直撃を受けているっ!?」
レズンの悲痛な叫びがこだまする。単身<甘水缶>のトーチカ
に突撃したはいいが、公社職員たちの集中砲火を浴びたようだ。
なにしろ圧倒的な人数である。
「右! 弾幕薄いぞなにやってんだ!」
その<缶水缶>で指揮をとっている部長が怒鳴りちらしている。
いったいだれのモノマネか。

わが<新人類>はどうかというと、ニタ研の連中が大活躍中である。
強化人間が2人、人間ガトリング砲と化して他陣地に雪玉の雨を
降らせている。これでは勝負にもならんな、と気を抜いた瞬間、
「大佐ッ!」
ギュネイの鋭い声がしたと思ったら、狙いすました一撃が私の顔面に
命中した。雪でくもった視界の片隅に、してやったりといった感じの
キグナンのにやけ顔が入ってくる。おのれ…
「大佐あぶな…」
緊迫したナナイの声に重なって、もう一発の雪玉が顔面にヒット。
あいつ…たしかハマーンのお気にだったような…
ええいっ、まだだ、まだ終わらんよっ!

「このギュネイ・ガスの…このっ、このっ!」
目を血走らせたギュネイを供に、私は<下克上>めがけて突撃した。
ルウム戦役を思い出す。戦艦5隻の撃沈に比べれば、このようにチンケな
トーチカの攻略など、児戯にもひとしいハズであった。
「きたぞ! 狙いは大佐だ! メガ粒子砲一斉射、ってぇッ!」
キグナンが号令を下し、ネオ・ジオン将兵、本部職員一丸となって雪玉を
一斉投射。とっさにギュネイの陰に隠れるも、もろとも被弾・撃墜の憂き目に遭う。
薄れゆく意識のなか、私は頭の中でなにかが弾けるような音を聞いた気がした。

その先のことはよく憶えていない。あとでナナイから聞いた話によると、
私は、ベソをかくギュネイをひっつかみ、「メギドの火じゃあ!」と叫んで
<下克上>に放り投げたということであった。とうぜんトーチカは粉砕、この勢いに
恐れをなした<甘水缶>が降伏し、大雪合戦はわれわれの勝利で幕を閉じた
ということだ。

心身ともにくたびれ果てたが、とても頭がスッキリしていい余暇だったと思う。
部下の忠誠心に少しばかり疑問が残る結果となったが…まあいいさ。


214:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 09:25:49
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=晴

ストレス解消のための雪合戦イベントであったが、副所長たる私は仕事をおろそかに
しているわけではない。どうもこのコロニー全体が、風紀が乱れているわけではなく、
痴呆化しているようなのだ。

異常気象も、公社職員のポカミス・・ありえないポカミスが原因である。
そういうわけで、イベントの前後で健康診断と称して全員の検査を行った。
予想のとおりの結果が出た。

全員から、弱い向精神薬の反応が出たのである。
このコロニーの循環系そのものに、何かが混入されたらしい。
テロ、もしくは連邦の工作員の仕業であろうか。

ネオジオン将兵の一部には、熱烈なハマーン個人に対する崇拝者が
いるという。大佐とハマーンの個人的な関係は有名であるが、
経緯はどうあれ、存亡危急の折、同じくジオンの旗を掲げながら
見捨てた、といえる大佐に、反感や殺意を持つものがいるのであろうか。

キグナン氏に厳重な捜査を要請した。
大佐と所長への報告は控えた。もう少し調べたいことがあったからである。

215:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 09:39:28
循環系への異物混入は、結局コロニー全体を揺るがす大騒動になってしまった。
データが漏れたのだ。

いよいよ、反シャア派の存在を確信せざるを得ない状況が出てきた。
薬物自体の除染作業は、比較的簡単に汚染源が特定できたために順調に
進んでいる。住民全体のケアも必要である。

キグナン氏は、これを奇禍として、大佐の迅速な動きを喧伝するらしい。
ホルスト・ハーネスとかいう旧ジオン派の爺さんが、いろいろ注文をつけてきた。
宣伝の専門家というより、情報操作のプロのようだ。私には良くわからない。

大佐に報告が遅れた事で、修正を受けてしまった。痛い。
薬物の影響が残っているのかもしれない。また、所長の手を無理やり引いて、
自室にこもられてしまった。まあ、そのあたりのケアもあの人の仕事だ。
大佐は幼女趣味ではなく、大人の女しか愛さない、という評判も立っている。
ゴシップに類するものだが、大佐の場合はポジティブな印象を与えている。

英雄色を好む、か。





216:あんごる@KDDI
05/06/10 10:03:45
乙であります^^

217:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 11:59:57
職人さん乙です。

できれば、誰の日記か、日付や場所と一緒に書いてください。

218:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 12:55:52
【スウィートウォーター=共同】
 スウィートウォーター政庁は昨日、コロニー生命維持系に対するテロ行為が
発生したと発表した。住民の生命に影響は幸いなかった。
詳細に関しては模倣犯の恐れもあるため、公開しないとの事。
 記者会見した政庁主席と報道官は、この事件にはティターンズ残党の関与があったのではないかと示唆した。即日住民に対する大規模健康診断が
実施されたことから、生物化学兵器の使用が取りざたされているが、
連邦政府から当地への渡航制限などは特に発表されていない。

 なお、現地には連邦政府直轄の軍研究所が存在すると非公式には伝えられるが、本事件への直接の関連はない模様である。

【ロンディニオン=軍広報部】
 連邦軍は直ちにスウィートウォーターに対する部隊派遣を決定した模様。



219:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 13:10:13
宇宙世紀0089、1月某日、グラナダ 天気=晴 カイ・シデンの日記

 グリプス戦役終結から、俺はシャアの行方を追っている。奴がこのまま
大人しくしているとはどうしても思えない。あのネオジオンに参加しないのは
エウーゴでの奴の行動を見ればわかる。でもそれだけとも思えない。

 奴は必ず何かしでかす。

だが、ネオジオンを甘く見たのは失敗だった。
ハヤトの支援をもっとするべきだったのだ。悔やんでも仕方ないことだが。
・・・あいつは、地球連邦の首相になるべきだとか、シャアに言ったらしい。
あいつらしいストレートな物言いだな。

俺は素直じゃないから生きているのかもしれないが。
シャアの本質はテロリストだと俺は信じている。

 難民収容用の急造コロニーでテロ騒ぎだという。連邦の弱者切り捨てかとも
思ったが、きな臭いにおいも感じる。

渡航制限は無いが、定期便はすべて機体整備とかで欠航している。
何かあるとは思うが、動きが取れない。



220:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 13:21:44
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=曇り

今夜は副所長と例の亡命者と飲むために、久しぶりに高架下の屋台に来ている。
一部士官の直談判や先日の汚染騒動の発覚で綱紀粛正政策が緩和された為、
屋台は強制撤去を免れ、無事に営業している。
近々、キュベ女を始めとする各種風俗店も営業を再開するようだ。

私も汚染騒動時の迅速な対応や、アクシズへの事前工作
…といってもこれは結果的にではあるが…
の手腕を大佐に評価され、無事強化を解除して頂けた。
まだ若干の影響があるのか、戦艦のブリッジに上がるとつい、弾幕弾幕と呟いてしまいクルーからは影で、
キグナン艦長代理
…などと冷やかされているのだが。

今日は副所長達が先に屋台に着いていた為、亡命者との軽い挨拶以降は暫らく
小難しい話を二人は続けていたが、切りがついたのか汚染の件でこちらに話を振ってきた。
現在、汚染源の特定と浄化作業の完了、一連の騒動に対する大佐の迅速な処理能力を宣伝
しただけで、実行犯の特定・拘束には至っていない事を伝えた。
副所長達はそうですか頑張って下さい、といった感じで私のグラスにビールを注いでくれた。

その後はおでんをつまみながら元亡命者の研究者に酒を勧め、
程よく酔いも回ってきた頃に彼に話を振ってみた。
彼の経歴はアクシズ内でも特殊であったのだろう、結局諜報員も
彼の名前・過去の経歴・所属以外の情報が入手出来なかった。
副所長も彼の事を気にしており、今回の汚染事件もあったので一度胸襟を開いて
彼に直接聞いてみようという事になり今日この場に至った訳だ。

…以下、次回へ続く

221:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 13:40:29
宇宙世紀0089、1月某日、イカリング 天気=曇り

志半ばにして散った、少佐を始めとする同志の志を新しきジオンに
継承するために私はここに参加している。

あの、誇るべき一撃を連邦に与えた我々の戦いの結果は、
呪わしい連邦の狂信者を台頭させてしまっただけに終わったのではなかった。
連邦内も矛盾に満ちていることを露呈させ、彼らは戦いあった。
シャア大佐も裏切ったのではなかったことを証明しつつある。
今は、大佐は名を騙り、連邦を分裂させ弱体化させたと言っている。

だがしかし、我々の手で少しばかり後押しをしてやる必要はあるだろう。

あの青き星はいつ眺めても美しい。しかし、やらねばならない。
重力に魂を引かれた連中を粛清し、スペースノイドに真の自治権を
確立させるのである。

同志はすでに少なくなったが、血気盛んな若者たちが加わってきている。

やるのだ。再び我々の手で。ジオン独立戦争はいまだ終わっていない。

                        ~某曹長の日記~





222:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 14:03:42 ht21FKur
シャア アズナブルである。
少し前の事だが わがネオジオンの制服をまだ 曖昧なままにしておいたので デザイナーに依頼して正式なデザインを決めることにした。

私が出した要望は 男は我がスペースノイドの矜持を 制服から出したいと言った。

問題は 女子のだ。 絶対スカートで丈は膝上20㎝まで。 上はブラウスが はだける感じ
そう 言うなれば女子高生をイメージしたものだ。

また私の性癖がでてしまった。

けれど 私はネオジオン総帥 シャアアズナブルである。

因みに 私の執務室下をマジックミラーにこっそり変えておいた。

223:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 14:18:52
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=雨
                       ニタ件所長、ナナイの日記

 一番恐れていたことが、意外な形で起こってしまった。
これまでの準備がすべて漏れてしまっては困る。でもどの道、各サイドの
連邦軍は動きたがらないはずだ。内乱は怖いだろうし、
加えて、戦争はアクシズ軍自壊で終わったと思っているだろう。

 うちの研究所で治安維持可能だ、とでも軍管区司令部には伝えてみるか。
なるべく頭を下げて、相手の面子を立てれば大丈夫だろう。
一部の部隊は受け入れざるを得ないだろうから、イカリングは活動を
停止させる必要があるかもしれない。まだうちも連邦軍なのだ。
現地駐屯部隊による任務遂行が優先されるはずだ。

ここまで書いて、ナナイは手を休めた。
「・・・ガチガチのジオニストどもの巣にならなければいいが・・。」
いらいらして髪を掻きあげながら、解毒剤のビンに手を伸ばす。

大佐は落ち着かれたようだが、相変わらず呼び出しは続いている。
いささか破廉恥だが、慣れるということはあるものだとわかった。

「レズンはいつか殺してやる・・。」

思わずビンを放り投げてしまった。 あんなあばずれと同列視されてたまるものか。
残念ながら体が持たないのでいまは手出しができないのが悔しい。
再開した風俗店にも通い始めているようだ。匂いでわかる。

「大佐は私の奴隷なのだ。なんのために強化したと・・。」

呼び出し音が鳴った。用事はわかっている。
ふらふらと、しかし楽しげに執務室を後にするナナイであった。



224:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 14:31:50
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=晴れ

大佐が所長と私室にひっこんでから数時間、またあれかと思っていたら、
血走った目をしていきなり私に連絡を入れてきた。

なんでも、制服のデザインが女子高生で矜持が曖昧だから新しいのに
したいとか・・・。
旧世紀ならまだしも、この時代に学生は制服など着ない。
士官学校ぐらいなものだろう。当然ながらそんなものはここには無い。

いきなり、大佐の姿が画面から消える。
所長が代わって、うおこれはこれは・・。ニヤリとしてしまった。
即座に映像が切られる。

強化の後遺症らしいということだった。映画鑑賞をなさっていたら、
旧世紀のそれをみつけて、しばらく没頭していたということなので
それに影響を受けたのだろうと。意識が混濁した折に出てきた症状だという。

どうせポルノなんだろうが・・・。
あほらしくなったので、適当に受け答えをする。所長もそれどころでは
なくなったようだ。

さっさと切り上げてキュベ女でも行こう。
連邦軍の部隊がお義理でやってきたらしい。
一応顔出しにでなきゃいかんか・・ああ、キュベ女で接待も悪くないな。
連中もまあ、いろいろたまってるだろうしな。

にやりと笑って、港に連絡を入れるキグナンである。



225:あんごる@KDDI
05/06/10 14:56:41
>>218
LDの学生のテロでしょうか?怖い怖い^^

226:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 18:09:45
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=晴れ キグナンの日記

 連邦軍がやってきた。やってきて早々に、オデン缶詰工場の安否を問いただされる。
聞けば、さびしい哨戒任務のお供に大人気だという。マクダニエルのバーガー自販機が
外されて、オデン缶詰販売機になっている艦も結構あるとの事。

・・・テロの調査はどうでもいいのかよ。

 所長の根回しがあったらしく、コロニー内にMSを入れるわけでもなく、
うわっつらだけの調査を行って引き上げるようだ。
ささやかな慰労の宴を設ける旨伝えると、大喜びで受けてくれた。
キュベ女で公費使って遊べるってわけだ。

所長は過労ってことで出てこない。まああれでお疲れなんだろうが。

レズンがパイロット連中と連邦軍相手に揉め事を起こしそうなので、
とりあえず休暇を出してやった。
大佐の所在をしつこく問いただされて嫌になった。

口より手が先に出る奴は大嫌いだ。なんで俺を殴る。しかも5発も。
「あの女の肩ばっかり持つんじゃない!」だとさ。知るか。
自分の男の金玉ぐらい自分で握ってろ。

・・・大佐の顔は、いくら髪型を変えても売れすぎている。
地球圏一の有名人だしな。
とりあえず、このコロニーから離れたんだろう。まあ、連邦の犬に
大佐を売るような奴がここにいるとも思えないが。

・・・ち、お土産の調査報告書は俺が作るのか。

ウラキとかいう中尉だけ、目つきがほかの奴とは違っていたような気もする。
実地に被害箇所を見たいとうるさいのなんの・・。
ラボが近いのにそうはいかんよ。
まあ、所詮下っ端が何を言っても通りはしないだろうが。
骨董品のジム改隊だからな・・・。さかってるんだろ手柄欲しさに。

実戦になれば、うちらの新型相手じゃ3分と持たないだろうがね。


227:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 18:32:45
シャアの日記
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=晴れ

髪型をオールバックに変えてから気分も一新し、いよいよやる気が出てきている。
しかしながら最近気になることがある。

ナナイが私に視線を向けると眩しそうに目を細めるのだ。
最初は私の魅力なせる業かと思っていたが、それにしては露骨過ぎる。
また目の細め方も物理的に「眩しい」雰囲気である。

今日はギュネイまで同じような視線だった。
レズンは内心、嘲笑しているようだった。
キグナンからは何故か同情の眼差し。

鏡に向かって額の辺りを良く見たが、以前とあまり変わらない。
ナナイに黙って、こっそり眉毛を細くしたのがいけなかったの?

228:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 18:46:04
レズンの嘲笑だけは許せなかったので、後で私室に呼びつけて
たっぷりと制裁を加えてやった。念入りにだ。
失神するほどの衝撃だったようだ。これで額の事など口にすることもあるまい。

次はナナイだ。軽く体を清めてからインターカムに手を伸ばした。

ギュネイのような子供でも、いつかは理解する日が来るはずである。
奴がそれまで生き残れれば、であるが。
私にはその予定は無い。所詮は強化人間。兵器は使い捨てにするものだ。
・・・いずれ似たような強化人間でもあてがってやるとしよう。

組織の幹部には私に隷従してもらわねば困るのだ。
無論、同志はそうではない。

229:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 20:43:13
>>220の続き…

あぁ、少し心搏数がいつもより早いな、たぶんもう一人では真っすぐ歩く事さえ困難だろうな…
今日は随分飲んで…いや、飲まされてしまったな。
私は自身の酩酊具合を他人事のような冷静さで分析していた。
やはり副所長やキグナン氏も私の過去が気になるのだろう。
酒の勢いを借りて喋らせようという魂胆がミエミエではあるが、ザビ家=ハマーン派の
アクシズが滅亡した今なら語ってもいいだろう。
もう終わった事だ。

…そして私は自身の過去を語り始めた…


サイド1出身の私は、フォン・ブラウンの工科大の卒業直前に聞いたジオン=ダイクン
の演説に感銘を受け、卒業後すぐに単身サイド3に渡り、工科大出身の経歴を買われ
実戦配備されたばかりの最新鋭の戦闘兵器『モビルスーツ』の整備班に配属された。

やがてジオン=ダイクンが暗殺され、ザビ家がダイクンの遺志を継ぎジオン公国を建国し
連邦に対し独立戦争を開始した頃、他の整備班よりも効率良く的確にMSの整備をする
手腕を見込まれフラナガン機関に転属が決まった。

そこで本物のニュータイプに遭遇し、私は彼らの為のサイコミュシステムを研究開発に従事する事になった。

そして・・・
私はそこで私の妻であった女性と出会い、そして結婚した。

230:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 20:57:12
>>229の続き…

私の妻となったその女性は、微かながらNTとしての素質があったものの、生来の温厚な性格と
年齢の為にこれ以上の能力発展は見込めないという上層部の判断で、各地から集められた
NT予備軍の子供達の世話をしており、子供達からはお母さんと親しまれていた。


そしてジオン劣勢で終戦も囁かれはじめた頃、妻はそれまでにNTとしての能力
が発現しなかった子供達を連れて非戦闘コロニーへ避難していった。

妻と離れ離れになった私に、機関に残っていた一人の少女がこう告げた…
お母さんにはいつかまた逢えるよ

…と。

大きな瞳と黒く長い髪が印象的な少女だったが、終戦の少し前に私もその建造に携わった
大型MAに搭乗し、戦場で命を落したそうだ。


そして戦争はジオンの敗戦で終結し、私は戦犯として処刑される事を恐れ、他の兵士達と共に
アステロイドベルトへと逃れていった。

231:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 21:17:45
>>230の続き

暗く何もない宇宙で、私は妻との再会だけを信じて研究に励んでいた。

数年の後、デラーズ紛争勃発を察知したアクシズから、援護に派遣される艦隊に従軍し遂に地球圏への帰還を果たした。

事前に先行して地球圏に入った同士に妻や子供達の捜索を頼んだ成果が実り、妻の生存と居場所が確認出来た。


そして・・・
私は黒髪の少女のあの日の言葉通り、妻との再会を果たした。

…妻は以前教えておいたサイド1の私の実家で暮らしており、沢山の子供達と私の家族と
一緒に私の帰りを待っていてくれたのだ。

このまま脱走してしまおうか…とも考えたが、これまで苦難を共にした仲間を裏切る事が出来ず、
妻にいつか必ず帰ってくると約束し、僅か数日の滞在で私は艦隊に戻っていった。

232:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 21:58:06
>>231の続き

デラーズ紛争から数年の時を経て、ようやくアクシズ艦隊の陣容も整った我々は、遂に地球圏への帰還を開始した。

その帰路の中
・・・悪夢のような事件を私は知らされた

あの、サイド1の30バンチ事件を・・・

事件発生の一報から暫らくして、地球圏で活動する同士が入手した非公式の犠牲者リストの中に、
私の妻や家族とあの子供達の名前が・・・あった

しかも、その中には私と同じ姓を持つ3才の子供の名が・・・
あの再会の時の!


その件以来、私は無念と、大きな喪失感から長い間塞ぎ込んでしまった。
やがてそんな私の許に、一年戦争時代からの顔見知りの子供達がやってきてくれ、こういってくれた…

・・・お母さんはいつも私達傍にいるよ
と。

そんな彼らに言葉に励まされ、何とか精神的再建を果たした私は、現場へと復帰した。
心の大きな喪失感を埋める為、以前にも増して精力的に働いた私の許に、ある膨大なデータ
の整理と分析作業が回ってきた。
何でも、新企画のサイコミュを開発する為のデータらしい。
その解析後のデータは今までに見た事のない程のもので、私は驚きを隠せず解析結果を
引き取りに来た研究員に誰のデータなのかを聞いてみたが、
今はまだ極秘だがいずれ分かると
言って解析結果を片手に去ってしまい、その時は知る事が出来なかった。

233:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 22:17:44
>>232の続き…

やがて私は新しいサイコミュの開発を命令され、その忌まわしい真実を知った。

地球連邦の内紛に乗じて地球圏での勢力を一気に拡大したザビ家=ハマーン派の狂信者共が、
地球の支配権を確立する為に、かつてフラナガン機関で発掘したあの子供達を
薬物投与や機械的な洗脳処理で戦闘マシーンに仕立て上げたのだ。
しかも、一年戦争の時代から連邦の捕虜や子供達を使って人体実験を繰り返し、
NTの遺伝情報から戦闘用のクローンNTの培養まで行なっていたとは。
宇宙に住む人類の革新を掲げたジオン=ダイクンの志を汚すようなこの行為に、
私のザビ家=ハマーン派への忠誠心は急速に薄れていった。

そして・・・私は苦悩の末、ある一つの結論を出した。
あの子達洗脳を解き、自由にしてやろう。

事が発覚すれば私自身の身が危ういだろうが
・・・妻も、会う事も叶わなかった我が子さえも失った私には、もう失うものなど何もなかった。

234:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 22:26:03
話がそこまで進んだとき、キグナンはオデン屋の親父が小刻みに肩を震わせているのに
気がついた。

「おい、親父。わかってるとは思うけど聞こえた話は口外するなよ」

釘を刺しつつ、どうして彼は震えているのか気になった。

「い、いえ、いい話だと思って・・。」
・・・・取り皿を落として割ってしまった。彼は泣き出した。

とりあえず、カップ酒を飲ませて落ち着かせると、舌が滑らかになったのか
彼は自分に関して突然語り始めた。

彼は、地球で昔情報機関の工作員をしていたと名乗った。いまは退役して、その仕事からは離れて久しいという。
そして、彼の口から出てきた言葉は、恐ろしいものであった・・・。

「私は、連邦政府の命令で子供狩りをしていたんです・・・」

連邦軍が一年戦争の後で、強化人間の研究を始めていたのは良く知られているところだ。
戦災孤児、資質のあるとされた幼年学校の生徒がその中核であったが、
サンプルとして最も重宝がられたのは、ジオンのフラナガン機関が集めたそれ。
そう、さっきまで語っていた研究者の妻子と同じ境遇の人間であった。

ジオンのニュータイプ研究が、どちらかといえば素質のあるものの発現補助と、
兵器システムの確立に傾いていたのに比して、連邦のそれはより、非人道的であった。

現在もナナイ達が研究しているのは、資質によらない強制的な兵士の資質強化である。
その、基礎過程がどのくらい残忍な手法を用いて行われていたのかは、
資料によってしか知ることはできない。それを知る、副所長は息を呑んだ。
・・・ムラサメ研・・・。

「子供を・・・集めて・・・。」研究者の彼。

「見てしまったんです、自分が集めた子供達が何をされているのか。」親父。

震えが止まらない様子で親父はコップ酒をこぼしながら呷った。
重苦しい沈黙がその場を支配した。

「す、すみません、今は一介のオデン屋の親父です。自分の罪は・・罪はわかっていますが・・。」

親父は肩を震わせながらであるが、自分の仕事に戻ろうとしている。
彼も今は、ここで必死に生きているのだ。
数年間の放浪の果てに、たどり着いたのがこのスウィートウォーターだったらしい。
人というものは引き寄せあうのであろうか。
驚きのためか、機密事項に属することをうっかり口外している自分達を
省みることも無く、我々の話は続いていった。

(中断ごめんなさい、どうぞ)

235:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 22:33:39
(ついでなので)

そんな話を酔いの回った頭で聞いていた副所長は、ふと思った。
「もしかすると・・生きているかも・・」

ティターンズが使えるものを使わずにいるはずは無い。
親父の言った話が本当であれば、30バンチからも有益な人員は回収したはずである。
「フラナガンの子供達」であるならば尚のことだ。
グリプス戦役中の、あの地獄の強化実験から生き残っていれば、ではあるが。
自分で手を下した数々の被験者の顔が、頭をよぎった。

彼に似た子供は、いなかったはずだ。

口に出してはいえない副所長であった。

キグナンが無言で、酒を注いでくれた。今日はつぶれるまで飲む。


236:通常の名無しさんの3倍
05/06/10 23:34:20
>>233の続き…

私はその命令に従いながら上層部に隙が出来るのを待った。
一年戦争時代からの仲間も察して協力してくれた。

そしてチャンスは訪れた。
ハマーン以下主だった将官がミネバに随行して地球に降下したのだ。

私はこの好機を逃さずすぐに計画を実行に移した。
留守番役に提出する報告書の一部を改竄し、
この状態でのサイコミュ使用は使用者の負担が大きく、長時間の戦闘に耐えられず短期間での精神崩壊の危険性が高い
と、虚偽の報告をし半ば強引に子供達の強化を解除していった。
全員の解除作業が終わった頃、ハマーンが地球から戻ってきてしまいデータの改竄があっさりと発覚してしまった。

ハマーンの親衛隊が開発室を訪れた時、私は死を覚悟していた。


その時・・・
強化を解かれ、意志を取り戻した数人の子供達が私を助けくれたのだ。

ハマーン親衛隊を振り払いアクシズ内を逃走する途中、子供達に何故私を助けたのか聞いてみた。
すると…
お母さんに助けてあげてと頼まれたんだ。
そうか・・・私はまた妻に救われたのか。


子供達は親衛隊の追跡を巧みに躱し、私は事前に用意してくれていた脱出用シャトルに辿り着いた。
そしてその時、子供達はアクシズに残ると私に告げた。
一緒に逃げるように説得したが、自分達の事は気にしないで、と言って私を半ば強引にシャトルに押し込み遠隔操作で射出してしまった。
最後の通信聞こえた彼らの声が、今も耳に残っている


・・・さようならお父さん

237:あんごる ◆RPzMoa7/As
05/06/10 23:47:26
乙でありました^^
今日は少々心がささくれていたのですが最後に癒されました^^
ラストリゾートですね^^

238:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 00:13:35
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=曇り 

~旧ジオン派アジトにて~

「・・こいつらは狂っている・・」
「人間を何だと思っていやがる・・・」
「ティターンズの連中と変わるところは無い!」
「変節者のハマーンともな。小娘め、分を超えてザビ家をのっとろうなどと・・」
「おいたわしい。ミネバ様・・」

オデン屋の密談を、盗聴している黒服の一団があった。
旧ジオン派である。ギレン・ザビの理想をこそ、自らの信条として
いまだ保ち続ける、戦士の一団でもあった。

・・・彼らは戦い続けてきたのだ。砂漠の日差しに耐え、デブリの海に潜み、
アクシズに身を寄せてさえ、その志を失ってはいなかった。

自分達の目指してきた、スペースノイドの自治権確立の戦いは、こんな連中によって
ゆがめられ、貶められてきたのか。幹部連中の動静を探らせていたが、まさかこれほどとは。
人の限界を超えて、マシーンとして人間を扱うなど・・ましてや子供を。

連邦も・・ネオジオンを名乗ろうとするこの連中も狂っている。
月の裏側のこの空域にも、多くの同志が、英霊が眠っているというのに!
・・・・我々が動くしかない。

今はシャア大佐、いやキャスバル・ダイクンの志に感ずるところありと、
この場に身を潜めている彼らであったが、ザビ家を倒した彼に心酔している
わけでもなかった。ジオンの遺児であることは認め、是々非々の態度で
機会をうかがっていたのである。

理想を体現するものが、ザビ家でなくてもよい。ダイクンの遺児がそうならば
それはかまわない。だが、彼が我らの大儀を忘れるのであれば・・。

散っていった同胞の魂に懸けて、それは認めない!
そうなれば、正しきジオンは、我々が再興する。

 「・・・少佐に、デラーズ閣下に・・そして星の屑の志に懸けて誓う!」
 「ジーク・ジオン!」
 「ジーク・ジオン!」・・・

彼らは誓い合った。
志異なるならば、われらは古き旗を掲げてまた起つだろう。と。

・・・・・ほろ苦い酒宴の、少々不躾な参加者がここにいた。
それぞれが身を寄せるこの、スウィートウォーターと同じく・・
・・・・・・・・・・・ネオジオンは一枚ではないのだ・・・・


239:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 00:48:00
>>236の続き…

射出されたシャトルの中で、私は一人泣き崩れていた。
やがて泣き疲れ、そのまま眠ってしまったらしい。
そんな私の夢の中に、
妻と子供達が、そして・・・顔さえ知らない私の愛しい娘が現れた

・・・あの子達を助けてくれてありがとう

これからは貴方の自由に生きて下さい

・・・そう言って、妻は優しく微笑みながら抱き締めてくれた。

伝えたい事がたくさんあった筈なのに、何一つ伝えられなかったが妻はそんな私に
・・・言葉にしなくても分かっていますよ
私達はいつも貴方の傍にいますからね

と。

そして眠りが覚めた時、私はジオン=ダイクンの言葉を思い出していた

・・・人類の革新

妻や子供達に、その言葉の本当の意味を教えられたような気がした。
そして、私は真に彼の意志を継ぐ者に全てを託そうと・・・


私を利用したザビ家は自ら破滅の道を進んだ。

次は地球にしがみつきながら宇宙を支配し、そして私から全てを奪った傲慢な連邦の官僚共の番だ。


私には戦う力も人を導く徳もないが、私の生涯をかけても必ずこの復讐は果たしてみせる。

見ていて・く・れ・・・

そう呟きながら、グラスを片手に私は屋台のテーブルに俯したまま深い眠りに落ちていった。

240:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 00:56:16
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=曇り 

~シャアの私室にて~

「ふん、二人とも寝入ったか・・毎日毎日、すまないな。」
 彼は女性を抱くことが嫌いではない。であるが実は好きでもないのだ。
ほかに考えることは幾らでもあったから。絶倫なのは親譲りであるらしいのだが。

彼はすこし考え込んだ。

「・・連邦の施設である、このコロニーのニュータイプ研究所をのっとる為に、
まず、ナナイを自らのものとした。痴話げんかやゴシップも、大衆の支持を
取り付けるためには必要なことだったのだが、ナナイは有能すぎる。
 そこでレズンを呼び寄せた。彼女はもともとの同志・・いや、家臣だ。
一年戦争・・いや、それ以前からのダイクン家に忠誠を誓うものに連なる女。
 ナナイによる精神改造の危険があったために、リスク管理の一環として
彼女をそばに近づけることにしたのだ。無論、データを偽装させて。
そういう女でもなければ、安心して身を任せることはできないではないか。
 自らの遺伝情報を残すプロジェクトも、この女達を介して実施されている。
そのことも含め、この地球圏の有象無象にさまざまな影響を行使する。
概要ではあるが、すべてを把握する。それが、いまの私の立ち位置である。」

 自らのカリスマ性を高めるために、あくまで計算して行動してきた。
冷酷な男である。強化実験も、実はすべて潜り抜けてきたのだ。
フラナガン機関設立時から付き合いのある、ある男を介して
入手した特殊な携行装置と、薬物で連邦型の強化は影響を消すことができるのだ。
・・・これまでの奇行も、すべて計算されたものである。

「・・連邦側にも、エゥーゴやカラバの分子として潜入させた工作員が、
いまでは何食わぬ顔で正規兵、官僚として内部工作を行っている。
このコロニーを把握するころに、奴・・やブライトが、それなりの力を得るだろう。
容赦はしないが、少しは手強くないと面白みに欠ける。
今度の戦争は、敵も味方も、そして結果も・・私がすべて作り上げるのだ。
シナリオの通りに動いてもらう。」

「・・地球に住む連中には気の毒だが、消えてもらう。人類は宇宙の民になるのだ。
ニュータイプになれない人々には、それを育む肥やしになってもらうしかない。
そういえば、アルテイシアに送らせた種は、木星に発ったのだろうか・・」

「・・・ララァ。私を導いてくれ!そして決着はつける。この私自身の力で。」

素顔のシャアは、孤独で、純粋である。

241:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 07:11:50
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=曇り 

~シャアの日記~

ニュータイプと強化人間は明確に異なる。人の革新は薬物や、電気的刺激で
なされるものではない。ましてや外科手術など愚の骨頂だ。
しかし、私はその愚行をあえて犯そうと思う。
連邦の強化人間の成果を、ニュータイプ資質のあるものに適用して
実利を得たのはハマーンであった。ギレンの坊やは・・遺伝子操作か。
人でないものに頼る気は無い。怪物は人を殺すだけだ。

ニュータイプの資質を重力に魂を引かれたものに利用され続けたり、
ニュータイプでもないのに無理に力のみを拡大させるマシーンたち。
この連中はすべて粛清する。私が作り出す次の戦争で。

ジオンの血は残さなければならない。カリスマとしての父は偉大すぎる。
その理想は、次代以降で形あるものになされるべきだ。女の手によって。

・・・ここまで書いて、シャアはため息をついた。
ジャミトフ・・シロッコ・・そして・・ハマーン・・。
彼らは、志を同じくするものだった。その時点で、自分では忌み嫌っていた手段も、結局
自分で行う羽目になってしまった。私は偽善者だ。
たくさんの人間を、自分の愚昧さに巻き込んできたのだな、と思い返す。

・・女達が目を覚ますまえに消えねば。
今日は予定の「御乱行」を行うつもりだ。種を撒き散らさねばならない。

・・・なんだかんだいっても、下半身に理性は無い・・・・

たくさんの女が、「ララァ」の名を聞いてしまうのはこんな訳である。



242:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 07:38:06
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=曇り 

~旧ジオン派アジトにて~

今ではすべての「計画」を知りうる立場にある、カリウスは「計画」の
壮大さに思いを馳せていた。少佐も、この「計画」のために駆け抜けたのだ。

・・地球連邦は、もともとの旧世紀の国際連合にその源がある。
したがって、その当時の「強国」そう、最強国家であるアメリカ合衆国。
そのなかの支配層に牛耳られてきた組織であった。

支配層とは・・・
「White Anglo Saxon Protestant(WASP)」と呼ばれる人々である。
産業革命以来、彼らは自らの国家さえ乗り越え、地球に工業と軍事の力で
植民活動を繰り広げた。条件のよい場所は、すべて彼らの支配下にある。

宇宙世紀も例外ではない。WASPの支配する軍産複合体は、強制移民を
実施し、自分達は連邦政府の権力を利用して地上に居残った。
棄民である。

ここに、エレズムを唱える、ジオン・ズム・ダイクンが現れる。
彼の理想に共鳴した人々が、独立を画策する。
ザビ家がその理想を乗っ取ったことは、結果的には良かったのかもしれない。

効率的に、「計画」を進行させる助けになったからである。
WASPに対する反感を持つものたち・・・その志は、東洋の小さな国に
端を発する・・・は、乾坤一擲の作戦を実施させた。
ブリティッシュ作戦である。公的にはジャブローを狙ったものが、
オーストラリアに反れた事になっている。

・・・違うのだ。

デラーズ閣下は星の屑を実施した。ガトー少佐の働きで、見事星の屑は成った。
そして・・ハマーン。
小娘も、きちんと「計画」のために働かされたのだ。

イギリス-アメリカ-オーストラリア。

地上におけるWASPの根を断ち切り、彼らの禍々しい呪縛から人類を解放すること。
そして、陰謀により散ったあまたの英霊に報いること。

ジオンはそのためにあるのだ。理想としてのスペースノイドの自立は、
当然なされるべき結果になる。私の苦労も報われる日が来るだろう。

根を断ち切った今、連邦政府そのものを瓦解させなければならない。
地球に人がしばらく住めなくなっても仕方が無い。まずはラサを潰す。

自らの不遇な生い立ちと、散り散りになった家族のことをふと思い出し、
涙するカリウスであった。WASP打倒にしか、人類の未来は無い。
やるのだ!我々の手で!

大佐も、自分ももちろんそうであるが、「計画」の駒に過ぎないのだ。

別の感慨を込めて、彼は唱和する。
「ジーク・ジオン!」

・・・・ガトー少佐、私の魂はあなた方とともにあります・・・。


243:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 07:44:53
おーこの時間に人がいる。
そりゃ♪



244:シャアの日記
05/06/11 07:46:00 dA2V9uF0
宇宙世紀0089、2月某日、イカリングの天気=昼白色の天井照明

私がクワトロ・バジーナの名を捨ててから、もうすぐ1年になろうとしている。
月日が経つのはほんとうに早いものだな。わずか1年のあいだに、自分を
とりまく環境がここまで激変するとは、エゥーゴに身を置いていた頃には
想像もつかなかったものだ。

本日は、イカリングにて試作モビルスーツの起動実験に立ち会った。
試作モビルスーツといっても、既存モビルスーツをベースとして、現状で
想定している運用目的に沿った強化改造を施しただけという、なんとも
お粗末な代物にしかすぎないのだが。

ザクⅢ→固定兵装のメガ粒子砲を廃し、各部アクチュエーターを余剰出力に
見合ったものへ強化換装、白兵戦における機動を強化。次期主力モビルスーツの
ベースとして、いまのところ筆頭候補となっている。やはりジオンといえば
ザクであろう。

量産型キュベレイ→脚部を廃し、搭載制限ギリギリの大径バーニア・スラスターを
二基追加。元来の機動力を発展させ運用目的を対艦戦にシフトし、
一撃離脱能力を強化してみた。…場合によってはサイコミュの廃止もありうるな。

ドライセン→量産に適し、かつ白兵戦への適応力の高さから、ザクⅢに並ぶ
次期主力モビルスーツ・ベースの候補。各部アクチュエーターを強化換装して
いるが、出力不足による機動低下が懸念される。最も簡素な改造に終わって
いる。ようするに手抜きということか。

いまのところ、以上の3機種による性能試験が半年間にわたって予定されている。
強力な大型機と高価な可変機に関しては、運用コストはもちろん、整備の面でも
苦労するのは目に見えているので、できれば手をつけたくないというのが本音で
あったりする。
艦隊旗艦であるレウルーラはともかくとして、主力となる巡洋艦にはできる限りの
ダウンサイジングを施し、コストダウンを図りたいという思惑もあることだしな。

245:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 08:03:32
宇宙世紀0089、2月某日、アンマンの天気=蛍光色の天井照明

アナハイム:MS営業技術部 某営業マンの日誌

ネオジオンに売りつけるモビルスーツの企画案が大体まとまった。
とにかく、コストは掛けられないらしいので安く上げなければならない。
連邦軍に納めているものより、少しだけ性能向上させろとの指示もある。

 量産案1:外観ザク系の改良型
 ティターンズに只同然で供給した、マラサイのコンセプトを元に
 一応の最新技術と、出力と機動力の向上を果たしたタイプ。
 サイコミュやバイオセンサーなどはまったく無いが、
 兵装の変更により対応戦場にバリエーションを持たせる。

 量産案2:ジェガンそのもの
 どうせムーバルフレームなので、外装を張り替えてザク系に見せかける。
 とにかく安上がり。

 量産案3:量産案1を少し改修して、筐体容積を拡張したもの。

「・・・どっちにしても、丸型のジオンデザイン被せればいいだけだしな・・・」
「・・・あのときみたいにな。」

周囲を見回して、自分の発言に冷や汗をたらした彼である。
・・もとの上司である、オサリバン氏のような死に方はしたくない。きちんと子会社と、ダミー会社を
介して、直接注文があったのではなく、連邦のニュータイプ研究所からの
試作機発注であったということに偽装しなければならないのだ。

案3の機体には、サイコミュ搭載するであろうことは、はっきりわかっていたが。
スウィートウォーターでのプレゼンは近い。

資料をまとめないと・・・・。




246:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 11:49:38 6UVgtS62
宇宙世紀0089、2月某日、グラナダ 天気=湿度80%

アナハイムの下請けの下請けのモノアイづくりの名人 人間国宝左ちんご朗の日記
「おい!ジオンのヤツに言っとけ!!モノアイづくりって物は命がけの仕事なんだよっ!!
あんたらが考えるような甘っちょろい仕事じゃーないんだよっ馬鹿やろう!!」
モノアイ作成工程 したづくり3→日干し→熟成→焼きいれ→漆→乾燥→すみ入れ
 

247:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 13:41:09
宇宙世紀0089、1月某日、スウィートウォーター 天気=晴

あの屋台の夜以来、私は彼に対して罪悪感を抱えながら接するようになってしまった。

あの夜の翌日、彼は私とキグナン氏に対して、忘れてくれと言っていたが、あの話を簡単に忘れる事の方が無理というものだ。
特に、今もニタ研の副所長を務める私には。
集団の狂気によって、良心を摩滅させていった自分の姿を語られたような気分だ・・・


今、彼は研究所の一室でアナハイムに提供する小型サイコミュの製作に充たっている。
ここの設備や工作機械ではかなりの時間がかかってしまうらしいが、彼は必ず作り上げるだろう
・・・彼の真の目的達成の為に


・・・そんな事を考えながら彼の様子を別室からモニターしていた所、キグナン氏が部屋に入ってきた。
キグナン氏は、あの夜以来彼が自分と同じジオン=ダイクンの信奉者だと分かり、
疑念も消散し寧ろ彼に親近感さえ覚えているようだ。
音声が拾えない為、映像からの判断しか出来ないが、どうやら何かを頼み事をしている様子だ。
彼も最初は断っていたようだが、キグナン氏の熱意に根負けしたようだ。
キグナン氏は了承を得ると足早部屋から立ち去ったのだが


・・・最後に映った、満面に浮かべたあの、エロい笑顔がとても気になる。

248:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 14:18:22 sehzb9HB
宇宙世紀0089、2月某日、スウィートウォーターの天気=コロニー公社気象実験中

AE技術者の日記

しかし、ひどい天気だな・・・。なんでも、大気中と地表間の放電現象「かみなり」の再現実験らしいが・・・
コロニー壊す気か?
それはそうと、今日面白い論文がフロンティアサイドから届いた。
「バイオコンピューター概説・その基礎と発展可能性」・・・?
・・・ふむ、どうやら使用者との同調が可能な擬似サイコミュのようなものらしい。バイオセンサーの
発展型みたいなもんか? モビルスーツに組み込めば、相当な働きが期待できそうだな・・・
サイコミュのようなプレッシャーもなさそうだし。
しかし複雑きわまるシステムだな、こりゃ。モビルスーツに組み込む手間も考えると・・・
配線なんかもえらいことになりそうだ。
ま、こんなもんを実用化するにはあと30年はかかりそうだな。フロンティアサイドの連中も
おヒマなこって。


249:通常の名無しさんの3倍
05/06/11 15:17:35
宇宙世紀0089、1月某日、暗礁空域 天気=曇り 闇の声

・・今日の作業が終わった。ずっと機械に接続されて過ごしている。
考える時間だけはたくさんある。人殺しでなく、人の意識を操作するだけだというから
・・引き受けたのに。

・・もう10年近く、大・・の意識を操っている・・・。
彼は私が死んだと思っている。あの状況下では仕方が無いけれども。
「せいふてぃしゃったー」とかいう特殊装備が装備されていたので
後で機関の方々に回収していただくことができた・・。

・・彼の純粋な意識に触れるのは楽しい。でも、誤った考えを押し付けるのは
心苦しい。機関の方々は大・・に大量殺人をさせるつもりでいる。
私は・・私はそれに手を貸すのだろうか。いまさら偽善が通るわけでもない。
・・操り人形に過ぎない大・・・かわいそうな方。・・もう刻はわたしには見えない。
いまさらお会いすることなどできはしないし。
・・生きていくためにはしかたがないの・・。

暗がりの中で時折光る怪しい装置・・意思そのものを発する威圧感が
あたりの空域から人を自然と排除している。
記憶自体が妨害を受けるため、気がつかないが、そばを航行する船舶に
乗った人々は、歌うような声を頭に直接響かせたはずである。

解き放たれることの無い、囚われたニュータイプの悲しい歌を。
 

250:シャアの日記
05/06/11 21:08:07 lL2eTAvn
宇宙世紀0089、2月某日、イカリングの天気=昼白色の天井照明

試作モビルスーツの性能試験が本格的に始まり、イカリングに
泊まり込む日々が続いている。べつにスウィートウォーターから
通えなくもないのだが、コンセプト・プラナーとテストパイロットを兼ねて
新型モビルスーツの開発に携わることに対して、新鮮味とやりがいを感じだし、
夢中になりかけているのだと思う。
かつて私は生粋のパイロットであった。エゥーゴの首脳陣に感化され、
政治に関わる分野にも首を突っ込むようになり、いまでは新生ネオ・ジオンの
総帥として、みなの期待を背負っている立場なわけだが…
パイロットとしての私は、永遠に不滅であろうとも思っている。
赤い彗星の二つ名は伊達ではないということだ。

それでも週に3日ほどは、短時間ながらスウィートウォーターに顔を出す。
くわしい経緯は知らないが、キグナンとニタ研副所長、それに亡命者の博士が妙に
仲良くなっているのが気にかかる。運命共同体とでもいおうか、3人の雰囲気が
なんだか似通ってきているように感じるのだ。最近は3人でよく飲み歩いている
らしいしな。共通の新しい趣味を見つけたとでもいうのか。

量産型キュベレイの高機動タイプは、じつはナナイの密かなお気に入りであったが、
対艦攻撃特化への運用シフト実現のさいには、サイコミュが切り捨てになるかも
知れないと説明したところ、やはりいい顔をしなかった。ニタ研の所長としては、
自分の部署の功績を最大限に発揮し得るシステムこそ、強化人間とサイコミュ
の組み合わせである。当然の反応といえよう。
サイコミュの運用に特化した試作機も開発しているさ、ととっさにホラを吹くと、
ナナイはようやく笑みを見せてバスルームに消えた。シャワーの音がかすかに
聞こえてくる。鼻歌も混じっているようだ。

強化人間用にきちんとした機体を開発せねばならんな…ぶっちゃけたはなし、
素で忘れていたものだ。休養を取る必要もありそうだな…




251:あんごる ◆RPzMoa7/As
05/06/11 22:44:46
乙であります^^

252:通常の名無しさんの3倍
05/06/12 02:03:30 w/m8YZy7
最近の日記はまじめであります 大佐!

253:通常の名無しさんの3倍
05/06/12 09:29:39
昨日は人が少なかったんだね…orz

>251
いつもレスありがとん。

>252
では、ちょっとくだけたヤツを…と思ったが、
激烈に長くなったうえに失敗したっぽい…orz

254:シャアの日記
05/06/12 09:30:41 CXrvmbHJ
宇宙世紀0089、2月某日、スウィートウォーターの天気=くもり

ここのところ試作モビルスーツ関連で根を詰めていたし、満足にナナイを
いたわってやることもできなかったので、1日か、せめて半日でも休暇が
取れないものかとキグナンにかけあってみることにした。

イカリングのモビルスーツ研究・開発ブースから、ランチ発着場までの
連絡通路に売店がある。昼間しか開いていないのが唯一の難点だが、
新聞・雑誌・お菓子・飲み物から、ちょっとした日用品まで扱っている便利な店だ。
店員はスウィートウォーターから派遣されている若い娘で、なかなか魅力的な
おしりをしていたりする。
「あ…いらっしゃいませ、大佐」
私が近づいてゆくと、かすかに頬を赤くして笑顔を見せてくれるものだ。
きみはいつも元気だな、と挨拶代わりに言うと、ますます顔を赤くしながら
低糖のパック・コーヒーと新聞を手渡してくれた。
「それから…お義理で申しわけないんですけど」
私が持つ新聞の上に、小さな包みをちょこんと乗せる。なんだろうか。
「今日はバレンタインデーなんですよ。でも、ナナイさんには、ないしょ…」
そう言って、小さく舌を出す。ふとアルテイシアの顔を思い出した。顔は
まったくといっていいほど似ていないし、性格もしぐさも異なるタイプなのだが。
バレンタインか…菓子屋の企みによるそんなイベントもあったな、などと
内心苦笑しつつも、ありがとう、と礼を言ってコーヒーと新聞の代金を支払い、
ランチに向かう。

スウィートウォーターの本部に着くやいなや、おかんむりのレズンにつかまった。
ギュネイの態度がデカいだの、そもそも強化人間など必要ないだの、
ハンマ・ハンマを次期主力モビルスーツの候補から除外したのが気に食わない
だのと、日ごろため込んだストレスを洗いざらいブチまけようとしている気配が
ありありと伝わってきた。ちょっとした思いつきで、てのひらを上にして右手を
突き出してみせる。
「……?」
ガトリング砲のように愚痴をこぼしていた口が動きを止め、不意打ちを食らった
ような顔になる。
今日はバレンタインデーなんだがな、と生真面目な口調で言ってみた。
「…ばっ、バカ言うんじゃないよっ! こどもじゃあるまいし…」
レズンは私から視線をそらすと、逃げるようにして足早に去っていった。ほんの
思いつきにすぎなかったのだが、驚くほどに効果ばつぐんであった。やはり私は
ニュータイプなのだ。つくづく自分の才能が怖くなるというものだ。


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