07/10/21 12:01:08
地下資源を失い貧窮の極に達しながらも、人革連の下風に立つ事を良しとしない王家の血に促される様に旅に出た
マリナ。
経済援助を乞うという行為に何らかの矛盾を感じながらも、彼女にとっては人革連の血に塗れた手の中で安逸を貪
る事よりも国民の為に跪く方が比較にならないくらい崇高な行為であった。
そして辿り着いた日本で運命は大きく動いた。
日本経済特区の首脳部によって催されたパーティー会場。慣れない愛想笑いも板に付いてきていたとはいえ、さす
がに俗物達の歪められた口元と笑う事のない目に付き合う事に疲労を覚え始めた頃、それは起った。
「何だあれは!」
どこからか起った場違いな叫び声に、マリナはそちらに目をやろうとした。その時、会場の天井の一角、先程咽の
渇きを癒す為にソフトドリンクを受取りに行ったバーカウンターの上方がいきなり轟音と共に崩れ始めたのだ。
そして、そこから繋がるガラス壁に見えるオレンジ色のMS群。
会場は一気に騒然となった。男も女も上品に見えるだろうと本人達が思っていたであろう微笑みの仮面を剥ぎ取り、
我先にと逃げ場所を求め、血走った目をギョロつかせて右往左往し始める。残骸に潰され、力無く手を動かす者も
いるが、誰もそれを気にするそぶりさえ見せない。
辛うじて正気を保っていると見られる者も「対空管制はどうなっていたのだっ!」「ユニオンの駐留軍は何をして
いたのだ!」「こんな事が許されるのか!だから法整備を急げとっ!」と、ここには居ない誰かの責任を追求する
事で自分の正しさを空しくアピールしようとする者ばかりだった・・・・・