07/10/05 20:36:40
お前馬鹿?明らかに高畑のSSじゃないだろ、それに向上スレの過去ログがあるならとっくに出してる
29 :名も無き花散る頃 [sage] :2007/05/21(月) 22:48:36 ID:???
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あれから季節は幾つ巡っただろう。
彼がプラントへと旅立った時は肩に掛かる位だった私の髪は、気が付けば腰まで伸びていた。
私の周囲の環境も変わっていた。妹が産まれ、すぐ下の弟は戦場に散った。
私自身も飛び級でカレッジに入学し慌ただしい毎日を送っている。
少し前までは空を見上げる度に彼の事を思い出していた筈なのに、今は彼と過ごした日々は夢のように思える。
「大人になるってこういう事なのかしら?」
「あら、急にそんな事をいうなんてどうしたのよ?」
昼下がりのカフェテラスで私は親友と他愛の無いお喋りをしている。
彼女は法学部で私は医学部。お互いの進む道は離れてしまったが、暇を見付けるとこうやって会っている。
「何となく言ってみただけよ。他意は無いわ」
私はティーカップに視線を落とした。ゆらゆらと揺れる私が映っている。
―カズミ・アマダ。貴女は幸せ?
私は紅茶を飲み干し親友に別れを告げた。
そろそろ次の授業が始まる。
「―休講なんだ。」
教室の黒板に大きな字で書かれている。私は拍子抜けしたように教室を後にした。
今日の授業はこれで終わり。男の子達からお茶をしないかと誘われたが丁重に断りを入れた。
向かう先は慰霊碑。途中の花屋でカサブランカを一輪買い、散歩がてら歩いて向かった。
慰霊碑には先客がいた。見慣れない紅い服を来た女性だ。彼女は一心不乱で慰霊碑の名前を探しているようだった。
私は彼の亡くなった家族の名の下にカサブランカの花を捧げた。
しゃがみ込み手を合わせる。彼の分も祈りを捧げる。
「きゃっ」
先客の彼女が私にぶつかって来た。私は転ばなかったものの彼女は尻餅をついている。
「大丈夫ですか?」
とっさに私は彼女に手を差し延べた。彼女は私に会釈をしながら私の手を掴み立ち上がった。
―月の聖母。
私は彼女の事を知っている。彼から届いた手紙に添えられていた写真に映っていたのだ。間違いない。
彼の肩に手を置き微笑む彼女の姿に当時の私はちょっぴり嫉妬したものだ。
心臓の鼓動が高鳴って行く。何故かは判らないけれど、私は何となく虫の知らせのような物を感じていた。