【UC】リリカルなのはSS【種死】その3at SHAR
【UC】リリカルなのはSS【種死】その3 - 暇つぶし2ch45:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:48:24
死神サンダースじゃないの

46:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:50:41
八神家騎士団にユーリ・ケラーネの部下が追加されるのか

47:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:53:31
男くせぇ八神家www

48:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:57:09
暑苦しすぎるだろwwwww

49:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:58:44
じゃあホワイトディンゴin八神家で

50:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:58:47
なんか、空族とシータの飯が思い浮かんだ

51:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:00:41
マフティーin八神家はどうよ

52:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:01:38
あれ?
三人の前衛と支援車両って
まんま八神家騎士団じゃね?

53:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:01:59
管理局施設に対してにテロ実行か、そして演説。

54:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:02:37
暑苦しくなけりゃいいんだな?

じゃあシュラク隊in八神家で

55:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:05:12
ネネカ隊in八神家しかないだろう、常識的に考えて。

56:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:06:50
死んだ順番に海鳴で復活するのか?

57:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:06:54
八神家ってドンだけ広いんだよww


58:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:07:53
Vガンで死んだ人たちin八神家

59:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:08:37
何万人収容させる気だwww

60:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:13:43
エニル姉さんin八神家
デバイス名は「エスペランサ」
瑠璃色の甲冑をまとい戦場に立つ


「あの子は私の『希望』。
奪わせはしない!」

61:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:20:16
>>45
「私にいい考えがある」と言って一人高台に上ったところを落とされる姿がw

62:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:25:24
コジマ大隊丸ごとなら間違いなくStSだな

とりあえず、コジマ大隊の主要メンバーを管理局陸士部隊に当てはめてみるテスト
イーサン・ライヤー大佐:一等陸佐
コジマ中佐:二等陸佐
ジダン・ニッカード大尉:一等陸尉
シロー・アマダ:三等陸尉
カレン・ジョシュワ曹長:陸曹長
テリー・サンダースJr.:陸曹
エレドア・マシス伍長、ミケル・ニノリッチ伍長:一等陸士


63:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:31:46
イーサンは間違いなく中将の犬だな


ナカジマ陸佐とコジマ陸佐が一緒に飲んでるとかありそう

64:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:39:07
>>61
それだとギニアスが永遠のNO.2になるじゃないかw

65:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:42:10
むしろイーサン切り捨てて
コジマ陸佐の「私はクーラーが苦手でしてな」を
中将に向かって言わせりゃいいんじゃね?

66:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:52:02
今時「クーラー」って、どんだけぇ~

67:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:55:26
エアコンも苦手ぽ

68:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 02:04:48
…出遅れたらしい

08で盛り上がりすぎだろ、コレ

69:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 09:23:38
で、ヴァイスがジムスナイパーで狙撃する役なわけだな?

70:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 12:36:53
つ「融合型デバイス GMスナイパー」

もちろんヴァイスがジムスナイパーの格好するだけだが

71:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 12:40:21
>>70
08なら外付けのジェネレーターも必要だろw

72:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 18:32:51
ヴァイス大活躍しそうだなw

73:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 18:44:08
アホキャラなのにな

74:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 19:01:12
クルツみたいにやる時はやる男なんだよ、ヴァイスはwwきっと

75:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 19:33:11
あれを外すようじゃヴァイスはクルツの地下100mにも及ばんよ。
それに魔力の弾って風の影響受けるのか?受けないならとんでもないヤブということになるが。

76:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 19:53:37
見てないからなんとも言えない俺
DVD!DVD!

77:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 20:27:33
ルキノとかアルトが出撃の時に応援くれたら
俺はきっと幸せ



うん、報われない脇役は好きなんだ

78:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 20:40:48
脇役ズ、ガンダムだったら普通にメイン級だよな…

79:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 20:58:08
アースラスタッフのモブだけでエロゲ作れるだろ

80:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:14:24
というか、モブしか男いねぇよw

81:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:20:09
淫獣
パパ
兄貴
黒助
アレックスとランディとギャレオ(誰?)



あれ…これだけ?

82:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:20:24
アルフ……

83:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:30:10
>>82
お、お前にはアルフが男に見えたのかww

84:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:37:01
>>81の犬をアルフと勘違いしたんじゃね?

85:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:42:40
ロケット乳

86:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:49:37
>>81
三期じゃほんとそいつら出番ねーなあ…

87:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:50:13
ぶっちゃけ
アルフみたいのを使い魔にできるなら、
地球での人生捨ててもいいよね

88:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 22:06:51
ザッフィーを守護獣できるならアッー

89:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 22:47:20
ネガティブ管理局vsデラーズフリート

は止めよう

90:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:10:53
魔法少女リリカルオペレーションメテオ-外伝-前編

地球圏統一連合はその成立から軍事色の強いモノであった。
コロニー建造における各国の疲弊から起こる度重なる紛争を一気に解決する手段
として地球圏統一連合を創設したものの勢力拡大に伴い連合こそが巨大な支配組織
に変貌してしまい主力MSリーオーの宇宙配備が完了した頃には
スペースコロニーの軍事占領にまで至ってしまった。

一方でプロトタイプリーオーの概念が提案された頃に連合傘下の深宇宙開発局では
遅々として進まない火星開発を打開するために莫大な予算を投入し空間転移を可能せしむる
フォールドシステムの初実験に成功した。
だが旧冥王星軌道からでも快調に地球へ通信出来る筈の小型探査機の幾つかが未知の時空
に消えていた事に対して疑念を抱いた技術者はおらず問題も後におおむね解決されたため
連合上層部は開発局の意見を少しは汲む形で全長がMS輸送船に匹敵する実用型フォールドシステム
を搭載した深宇宙探査船ピースミリオンと超大型宇宙戦艦リーブラの建造を承認した。
だが起工一年目に巨大過ぎるリーブラの推進系に致命的な欠陥が発見されたため予定が大幅に遅延し
改修に三年もの歳月を要したため本来は2番艦のピースミリオンに人員と建造資材が優遇され
工期繰り上げであっさり進水してしまった。
だがその頃の連合上層部は威信をかけて建造したピースミリオンが破滅の引き金になるとは思いもしていなかった

91:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:11:56
アフターコロニー175年―新暦56年

フォールドの白光に包まれ宇宙ですらない空間に放り込まれた直後からピースミリオンが傍受できる
あらゆる周波数において意味不明の通信が湯水のように溢れている。
何しろ受信できるモノも言語すら判読不能なのである。
さらにいえばノイズにしか聞こえない凄まじい高出力雑音が全帯域に満ちている。
確かに電波は出ているのだがピースミリオンのメインコンピューターの性能では通信を解析できないのだ
困った事に実は親の七光りを凄く気にしていたセプテム大佐だけが渇を飛ばしていた
「早くフォールドシステムの修復と原因解明を急げ。地球への帰還方法を見付けねば我々は干上がる」
フォールドシステム責任者が官僚的答弁を始める
「メインユニットは過負荷で爆発しましたが予備部品は多量にありますので組み立てる時間さえあれば何とかなります
原因としては何の事はありません。単純にピースミリオンの巨大さを計算に入れ忘れていました。
今居る現在地が判明すれば座標計算が行えますので地球圏帰還の目処が立ちます。
なにぶんアラスカの実験施設ではリーオーを月軌道に転送するのが精一杯だったもので」
………………10秒後
血管を額に浮き上がらせて絶叫しようとしたセプテム大佐を艦長が宥めるように発言する
「お願いですから大佐落ち着いて下さい。備蓄物資は使い込んでも
半年は持ちますし艦内工廠でリーオーの部品と弾薬も供給できます」
だが少々落ち着いたセプテム大佐が危なげな発言をし始めた
「そうか、それならばリーオーの警戒機数を今の倍に増やしたまえ。ドラゴスの反応弾頭の使用も許可する」
会議室に通信士官から絶叫に近い報告が届いたのはその時である
「敵艦発見!単艦で接近中です!」
皆とうとう来る時が来たと覚悟を決めた
「動けるリーオーは全部出せ!ドラゴスも甲板に上げろ」

92:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:13:04
その頃ピースミリオンの出現を探知して警告通信を送ったが無視されたため接近していた
時空管理局巡洋艦ルクレシオンは目の前の巨艦に呆然としていた。
何故なら所属不明の全長1500㍍以上の超大型艦など見た事も噂も聞いた事が無かったからだ
当然ながら非管理世界の蛮族のフネだとは思いもしていない
一方ピースミリオンも光学観測で確認していたので通信は送っていた。
だが地球圏統一連合と時空管理局の通信技術は狼煙とデジタル暗号通信ほどの
格差があるためにお互いこれっぽっちも伝わらない。
「彼等は何者でしょうか?艦載機が持っているのは幻の質量兵器のようにも見えますが?」
創設時の実体弾兵器禁止規定に基ずきミサイル銃砲の類を時空管理局は全て放棄したため製造能力は既に失われていた。
トドメとして概念すら抹消しようとしたため現在では博物館にすら現物は残されてはいない。
「やはり直接乗り込んで話し合うしかないな」
そんなこんなで魔術師一人が臨検に向かったが
魔法の存在を否定して憚らない連合の兵士にはそれがマズカッタ
たまたま出撃していたピースミリオン第24哨戒小隊に所属する一人は
宇宙服無しで平然としている魔術師を見て発狂した
「アストロスーツを着ていない人間が生きている筈が無い……ブツブツブツ」
リーオーはパイロットの意思通りにドーバーガンの照準を調整してゆく
「止めろ!早く押さえるんだ!」
だが小隊長がそう叫んだ直後にリーオーは発砲した。
――ゴッ!
デバイスの防御魔法のおかげで分厚いコロニー外壁を一撃で貫通する破壊力にしては
随分とショボい威力を発揮したがそれでも人間を殺すには十分だった。
「リーオー発砲!敵兵は戦死した模様…」
あまりに異常な事態が続いていたためにセプテム大佐は疲れていた。
「何をバカな事を!全機攻撃用意!!集中砲火で撃沈する!」
即座にリーオー部隊が発砲を開始し間を置いて甲板上に展開したドラゴスと
ピースミリオン主砲も攻撃を始めた。

93:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:14:11
ルクレシオン艦橋
「騙し討ちか!返り討ちにしろ!」
接近していたリーオーの半数ほどが腹立ち紛れの対空砲火で破壊され
残りも半壊してあらぬ方向に流されていった。
ルクレシオンはピースミリオンを時空魔導砲アルカンシェルで殲滅するために最大出力でチャージを始める
その間にも無数の砲弾や大小のビームが山ほど着弾していたがディストーションフィールド
を持つ艦船には効く筈が無い。バリアを張っているため攻撃の密度は下がったが次第に数を減らしてゆく
リーオーのパイロットが絶叫する
「これだけ命中してが効かぬ筈が無い!フネならば沈む筈だ!」
「隊長!直接仕留めます!」
血気盛んな新米が興奮してルクレシオンに突っ込んでいった
だがその時ルクレシオンのバリアは主砲チャージの影響で出力が低下していたため
リーオーが粉砕される事も無く光の壁が浮き上がって突破するのに成功し船に取り付いた
「やったやったぞ!」
トリガーハッピーと化して興奮しながらマシンガンを装甲の薄いアルカンシェル本体や
艦橋に向かって乱射している最中に追い付いた20機以上のリーオーが
推進部にゼロ距離射撃を敢行しルクレシオンは沈黙した。

事の一部始終をハッキングした端末から見ていた博士5人衆
は大破漂流しているルクレシオンへの興味とコロニーへの先行き不安に思いを巡らせていた
「所詮は弱肉強食じゃのう。」(ドクターJ)
「コロニーを占領した連合ならばこうなるのも必然か」(プロフェッサーG)

この戦闘から2ヵ月後に中破しパイロットが餓死した漂流中のリーオーが拿捕され
記録されていた航路データによって地球圏統一連合はフォールドシステムの存在を
察知した時空管理局に宣戦布告をする事となる

94:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:15:59
久しぶりに見たらスレ落ちしてたorz
まだ残ってると思ったのに。
ここまでが前スレ分の前編

95:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:20:25
魔法少女リリカルオペレーションメテオ-外伝-中編

時空間のなか、スペースコロニーがヨットに見えてくるような
超巨大宇宙ステーションが時空管理局本局である。
会議室の大型スクリーンにはルクレシオンが大破する直前までの
ピースミリオンとの戦闘シーンが映写されている
リーオーのビームライフルに撃破される魔術師
軽量とは言え被弾し核融合炉が暴走中の全長十メートル以上のリーオーに
そのまま轢き潰されて爆発に巻き込まれる魔術師

魔術師の攻撃魔法がリーオーを射抜くと、敵が化け物でない事に安心した幹部一同の頬が緩んだ。
スクリーンには幾条ものビームが筋を引き。撃破されたリーオーの爆光が煌めいていた。
と、マシンガンを乱射するリーオーのアップで映像はストップモーションになった。
「なんだ、今の武器は!?」
幹部の一人が驚いて言う
「さぁ………」
眉を潜めたオブザーバーの技官は、遠い昔に見た資料を思い出してハッとした
「ま、まさか………」
「なんだ?」
「いえ、そんな筈は」
幹部が口篭った技官を睨み付ける
「この巨大艦が管理局の存在を知らない世界の代物とでも言うつもりか?」
「まさか連中が………」
「自力で辿り着いたと考えられます」
「バカな!未開の種族が時空航行技術を持っているなどとは信じられん」
「事実です。さすれば先ほどの映像も可能性が出てきます……幻の……」
驚愕のあまり列席者の声がハモった
「質量兵器か!!!!」
「とにかく、あの船を捕獲して調査する必要がありそうです」

96:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:21:34
鹵獲したルクレシオンを甲板に載せた深宇宙探査船ピースミリオンの通路で
艦隊司令のセプテム大佐が苦虫を噛み潰した顔で唸っていた。
―父上どうすれば―
すれちがう兵士達が敬礼するが反応は鈍かった。
宇宙空母ピースミリオンはフォールドした事により
通常空間に戻れなくなってしまったのだ。
セプテムは神妙な顔をしながら研究室に入った。
技術長が、正面の大型パネルに向かっている
セプテムが歩み寄り
「どうだ、フォールドシステムは復旧できそうかね?」
技術長は振り返ると敬礼しながら立ち上がった
「これをご覧ください」
パネルに据え付け中のよく分からない機械と動力炉が映し出される
「これが敵艦の魔力炉で、こちらが敵のフォールドシステムです」
指を刺して説明を続ける
「この鹵獲品が本当に動くのかね」
「はい、ドクターJによれば試運転には成功したそうです」
「なるほど」
「しかし問題はルクレシオンの航法システムを
解析しなければ地球圏に帰還できない事です。」
「ウム……どの程度の見積もりなのかね」
突然モニターが切り替わってドクターJの顔が全面に表示される
「心配要らんぞい。もうできとる、帰還した時の地球圏の安全は保障できんがな」
「構わん。座して死を待つわけには逝かんのだ。」

97:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:22:39
情報が大モニターに表示され通信士官が報告する
「後方に出現した未確認物体が急速接近中、敵艦隊です!」
セプテム大佐が厳しいシワを眉間にきざんだ。
「とうとうきたか!ただちに応戦体制だ」
通信士官は答えてマイクに向かう。
「敵機襲来!リーオー隊、全機スクランブル!
繰り返すリーオー隊全機スクランブル!」
艦内放送がMS格納庫に響く、整備員が必死で走り
駆け付けたパイロット達がコックピットに飛び込んでいく
リーオーはエレベーターで発進口へドラゴスは甲板へと押し出されていく

時空管理局の追撃艦隊は有効射程圏内に突入していた。
多くの魔術師が発進と言うよりも射出されていく
迎え撃つリーオーとの間で激しい戦闘が始まる
飛び交うビームは入り乱れながら瞬時にして空間を走り抜ける
爆発が点々としみのような光を滲ませる。
だが時空間での戦いは魔術師側に分があった
何しろ地上とは比べ物にならぬほど双方のスピードが速い
また彼らは空間戦闘に慣れていた。反面リーオー隊はMS隊創設時から
主な敵は宇宙機雷と戦車と航空機だけであり宇宙での空間戦闘すら
想定されていなかった為錬度はかなり低い。
「くそっ!アストロスーツの分際ですごい機動性だ!」
コロニー制圧作戦に参加したベテランも唇を噛む
それでも一人、また一人と打ち抜いていった。


98:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:24:10
追撃艦隊はピースミリオンに向けビームを放射した。
魔術師群は徐々にリーオー隊を押しやり、今やピースミリオンの鼻先で
激しい戦闘が繰り広げられていた
ビームは数機のリーオーを粉砕しピースミリオンに迫った。
砲撃の束は艦体すれすれに走りぬけ、ちょうどピースミリオン真上に居た
リーオーが餌食となった。
「いまのは!?」
セプテムが声を上げる
「敵の砲撃です!」
艦長が答え終わったとき、ピースミリオン艦上に降り立った魔術師が攻撃を始めた
ピースミリオンのあちこちや運の悪いドラゴスが爆発したが
旋回を終えた甲板配備のドラゴスの砲撃で魔術師は粉砕された
「攻撃システムの一部が損傷!しかし誘爆の危険なし!切り抜けられます!」
通信士官がタメージコントロール室からの通信を報告する
「頼むぞ!」
セプテムの声にも力がこもった。
だが敵艦の攻撃はまだ終わっていなかった。
突き出された砲身がピースミリオンに向けられていた。
砲身バレル内で光粒子が渦を巻き始める
やがて熟した白色の太いビームが闇を裂いた。
激震は乗組員に体を支える余裕すら与えない。
「グッ……」
運悪く立っていたセプテム大佐は司令椅子に体をぶつけて呻いていた
ビームは狙い通り完全破壊されない程度に船を掠めたのだ。
この攻撃で甲板に乗っていたルクレシオンは溶けた金属の何かになって千切れて離れていった
椅子から放り出されたオペレーター達が呻きながら持ち場に戻る
「ドラゴス隊壊滅!主砲の半数が損傷しました!即時修理不可能です!」
オペレーター達が損傷を早口に言い、
「第四機関区破壊状態!」
エンジンに損害が及んでいる事まで判明した

99:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:25:19
「よっよし……」
動揺したセプテム大佐が痛みに呻きながら長官椅子に腰を落とし、
「全乗組員とパイロットに告ぐ!フォールド航行準備!」
艦長がえっとなってセプテム大佐を見た。さらに続けて
「本艦はこれより地球圏に帰還する!」
艦長が声を上げ
「落ち着いてください。まだテストもしていない状態ですぞ」
「早くしろ!今度攻撃を受けたら最後だぞ!」
通信士官はマイクをつかむ
「全MSに告ぐ!全MSに告ぐ!フォールドシステム起動準備に入ります!」
「フォールド開始三分前!直ちに甲板上に退避して下さい!」
戦闘を続けていた部隊も通信を聞いて全力でピースミリオンに退避してゆく
「始動一分前!」
オペレーターがカウントダウンを続ける中で
セプテムは目に入る範囲で一同にすばやく視線を走らせる
「各セクション、異常ないか!?」
オペレーターが振り向き
「残存リーオーは全機甲板に取り付いて防衛戦闘中、なんとかなる筈です」
「よろしい、使用可能な戦略ミサイル発射菅を全て開きたまえ、信管無制限!」
その間にもピースミリオン前方に回り込んだL級巡洋艦がビームの再チャージを始める
セプテム大佐が命令を下す
「今だ!全反応弾発射!」
地球圏統一連合のミサイル衛星に装備されているコロニー殲滅用の最終兵器
が白煙を噴きながらピースミリオンを離れ、敵艦に向かってゆく
「始動5秒前………3,2,1、ゼロ!」
ピースミリオンが転移した直後にバリアが解除されたビーム発射態勢のL級巡洋艦に
無数の大型ミサイルが向かってゆき次々と着弾する。最初の核爆発には耐えたが
次々と命中する戦略反応弾には抗えず船体が爆散した。

戦闘によって殆どボロ舟のような有様になったピースミリオンが月の外側に出現する。
「フォールドアウト確認、地球圏に帰還できたのかは調査待ちです。」
通信士官が不信感を露にしながら警戒している
艦橋と言っても異様に広い室内のモニターに見覚えのある宇宙コロニーと地球が映写された
「地球……帰ってきたんだ!」
普段は我を出さないオペレーター達も帰還の喜びで絶唱していた。
「地球!地球!地球!」
コロニーや月生まれも多かったが嬉し過ぎてあまり気にしてはいない
セプテム大佐は柄にも無く死にそうな時のために隠し持っていた葉巻に火をつけた。
暗澹たる先行きに思いを馳せつつ葉巻の濃厚な煙が蒸せる。



100:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 23:37:49
支援要る?

101:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/25 00:26:04
いつ書き終わるんだろうか。本編行きたいのに
最後まで〆なきゃならんからえらい長い

102:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 00:28:39
とりあえず、投下終わらせる時は
一言いれとき

103:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/25 00:29:28
>>102投稿し過ぎでアク禁されたorz

104:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 00:33:53
10レスカウントしてたっけ


まぁあれだ
っケータイ

105:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 00:39:30
なんという泥沼…間違いなくセプテムの首は飛ぶ。

106:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/25 00:42:47
>>105そんな生温くないよ。後編は来週になると思う。

107:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 00:53:22
>>106
どこまで行くんだ!?www
ついでに使えそうな設定を伝えておく。
非殺傷設定の魔法で魔力のない生物を攻撃するとショック死する。
非殺傷というのはあくまで物理面のみで、魔力のない奴が非殺傷設定の魔法をくらうと
魔力という盾による減衰がないので身体的負担が大きくなるからだそうだ。

108:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/25 01:07:36
>>107なるほど。動力炉と装甲でできてるMS相手じゃ非殺傷は無理だな

109:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:10:58
ようやく帰ってきました。
前回「8話の投下は週末」と予告しておきながら気づけば水曜日。
野暮用が野暮用では無くなり、執筆時間を大幅に奪われている次第。
そんな状況ですが「月に花 地には魔法」第8話投下します。
全然話が進まないぜ…。
日常パートをスキップしたいとか思いつつ、スキップしたらまずい。

110:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:13:04
ロランが海鳴市の海岸で鯨を見つけようと目を凝らしている頃、グレアムは脇にいる愛娘に指示を出しながら、
モニターの向こうで横たわる巨人に視線を向けた。
「最重要機密ですか、父さま」
「そうだアリア。『ターンA』に関する全ての情報を最重要機密扱いとする。調査班及び関係スタッフ全員に徹底させろ」
アースラクルーがグレアムの故郷に捜査本部を置いて以降、彼の指揮下でロランから託された『ターンA』の調査及び整備が行われる手筈だったが、
一番に行われたことは「『ターンA』に関する情報の一切を外部に漏れないように遮断することだった。
「確かに『ターンA』は謎が多い代物ですが、そこまでする必要がありますか?」
思わず事務的な口調になるリーゼアリアにグレアムは表情を変えないまま答えた。
「ああ、ロラン君からの情報が真実ならそれだけする必要があるだろう。それに下手に情報を流して厄介事になっては計画に関わる。
『ターンA』の戦力が実用に耐えないならそれまで。だが…」
そこで言葉を切って、グレアムは静かな笑みを浮かべた。
「もし『ターンA』の戦力が期待通りなら、計画をより良い方向へ向かわせることができる。引き続き『ターンA』を頼む」
「わかりました。それとロッテは予定通りに行動を開始しました」
満足そうな父親の顔にリーゼアリアは喜びを感じつつ、報告を続ける。
「よし、なのは君達のデバイスの修理は順調だったな。修理と『ターンA』の起動。どちらかが達成され次第、行動を始めよう」
「はい、父さま」
11年前の出来事に縛られていることには彼自身気づいていたが、だからといって立ち止まるわけにはいかない。
グレアムがモニターの映像を切る寸前、ナノマシンに覆われた『ターンA』のメインアイが静かに光ったがそれに彼は気づかなかった。


111:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:14:09
「月に花 地には魔法」
from Called ∀ Gundam & Magical Girl Lyrical Nanoha A's
第8話 12月11日

八神家の朝は、家主である八神はやてが朝食を作り始めることから始まる。
そして同居人達が次々と起き始め、共に朝食を食べる。それが彼女にとって具体的な幸せの実感であり、
長らく忘れていた家族団欒の具現だった。
「シグナムは9時から剣道の稽古やったよな?ヴィータも老人会のゲートボールに参加するんやろ?二人とも弁当用意してあるからな」
「ありがとうございます」
「ありがとう!はやて」
落ち着いた物腰で凛々しいという表現が似合う女性、シグナムが静かに礼を述べると同時に
快活な赤髪の少女、ヴィータが元気一杯を体現するように返事をした。
「ヴィータちゃん、落ち着いて食べないとまた口の中を噛むわよ」
ショートボブの女性、シャマルはたしなめるようなことを言いつつも、ほんわかとした表情からは怒った様子は見受けられない。
「うるせー!はやての作ったご飯はうまいんだよ」
「ヴィータ、慌てて食べなくてもおかわりあるからな。ザフィーラもたくさん食べや」
犬というには大型な動物がゆっくり頷き、またご飯を食べ始める。
(幸せや。こんな毎日がずっと続けばええのに…)
少女のそんなささやかな願いは突然やってきた家族によって満たされたが、
その家族達がこの願いを叶え続けるために夜な夜な戦っていることを彼女は知らなかった。



112:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:15:48
シグナムとヴィータは、それぞれの目的地に向かう間魔力を使った遠隔会話を行っていたが、その表情に食事の団欒時のような柔らかさは無い。
あるのは騎士としての責務と使命に邁進する守護者の顔。
だが、片方には疑念が。もう一方には達観の念がそれぞれの顔に浮かんでいた。
「やっぱりおかしくねぇか?蒐集した魔力分以上のページが増えるなんてこと、今まで無かった。それなのに今じゃ1日に1ページくらいは勝手にページが増えてる」
「確かに奇妙だが、『闇の書』と繋がっている我々が何も感じられないのだ。そうである以上、現時点で我々が打つ手は無い」
「そりゃそうだけどよ…」
ヴィータが気にしているのは『闇の書』のページ数と蒐集したリンカーコアの魔力量が一致しないことである。
『闇の書』は魔導師の魔力の源であるリンカーコアを食い、その魔力を糧としてページを増やす。
少なくとも自分を含めた守護騎士はそう思っているし、『闇の書』と繋がっている以上間違いは無い。
それ故に蒐集した魔力値以上のページが増えるはずはない、はずなのだが現実としてページは増えていた。
「仮に我々が感知できない方法で『闇の書』が魔力を蒐集していたとしても、それを止める手段は無いし、止める必要も無い。
その件はシャマルが調べてくれている。いずれ原因がはっきりするだろう」
「でも何かが引っかかるんだよ、何かこうよくわかんねぇけど…」
懸念を訴え続けるヴィータにシグナムは現実を突きつける。
それに何より、主はやてにはあまり時間が無いのだからな」
「わかってるよ…。あー!イライラする」
後半部分は喉から声として出てしまっていたが、ヴィータにとってそんなことはどうでもよかった。
楽しいはずのゲートボールも、今日は楽しめない予感しかしなかった。



113:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:18:01
月村すずかは通いなれている図書館に足を踏み入れた時、ここ一週間で見慣れるようになった銀髪の青年の姿を見つけた。
「あっ、ロランさん。こんにちは」
「すずかさん、こんにちは。今日もお会いしましたね」
ロランがすずかとこのような挨拶をできるのは、それなりに理由がある。
この世界に来たロランには、早急にしなくてはならない仕事というものが無い。
無論『ターンA』が復活すれば成すべき事が生じるのだが、まだ『ターンA』の復活の報告は届いておらず、
彼にできることは住まわせてもらっている住居の家事の手伝いくらいなものであった。
もちろんそれだけで一日を過ごせるものでは無く、時間潰し兼とこの世界の事を知るために図書館に出向くというのはある意味当然の帰結だった。
そこで以前見たことのある顔を見つけ、それがすずかだったというわけである。
一週間前に翠屋で顔を会わせただけの二人だが、大した時間もかからずに打ち解けた。おおらかなお互いの性格が良い方向に作用したのだろう。
その日以降、ロランは3日に1度程のペースで図書館に出向くようになっていた。
施設にいた頃は教科書以外の本を読むことも無く、地球降下作戦の訓練の一環として地球の文学に触れた時以外には大して本を読んでこなかったロランには、
いいリフレッシュ効果を読書は与えてくれた。
「ロランさんは今日も本を読みに来られたんですか?」
「いや、今日は借りた本を返しに来ただけです。買い物に行かないといけないので」
ロランはそう言うと手に持っていた買い物籠を掲げて見せた。
「今日は僕が料理当番なんですよ」
「ロランさん、料理もできるんですね。でも本を借りたのって3日前でしたよね?もう読み終えたんですか?」
「ええ。面白かったですし、時間に余裕がありますから」
「きっと家でのお仕事をテキパキこなせるから、時間を作れるんですよ」
ロランはこの世界での自らの立場を「ハラオウン家のお手伝いさん」と説明している。平たく言えば家政婦のような仕事である。
リンディと相談した結果なのだが、思いのほかすんなりと出会う人々には納得されており、ロランは少し拍子抜けしたものだった。
「では、そろそろ失礼します」
「はい、リンディさんによろしくお伝えください」
律儀な子だと感じながらロランは図書館を後にした。
ふと自分が穏やかな生活をしているという実感が沸き起こり、何だか不思議な気持ちになった。
「もしこのまま『ターンA』が目覚めなければ、こんな生活が続いていくのだろうか」
それが嬉しいことなのか悲しいことなのか、ロランは判断しなかった。


114:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:19:01
「こんにちは、はやてちゃん。シャマルさんもこんにちは」
「こんにちは、すずかちゃん」
すずかにとってロランよりも関係が長い、八神はやてという少女にはいつもシャマルというショートボブの女性がついている。
「はやてちゃん。私はお夕飯の買い物に行ってきますから、帰りに迎えに来ますね。すずかさん、はやてちゃんのことよろしくお願いしますね」
「ありがと、シャマル」
そう言うとシャマルはその場から離れた。
はやてが言うにはシャマルの他にあと2人の同居人がいるらしい。
一体どういう関係なのか気にならないではなかったが、必要になれば話してくれるだろうと思っているので一度も尋ねたことは無い。
「すずかちゃん、今日は何の本を読みに来たん?」
「今日は何か小説を読みたいなぁって思って」
会話の中ですずかは、ふとロランのことをはやてに話してみようと思った。
買い物に行くというシャマルの姿からロランのことを思い出したに過ぎないのだが、図書館に通うあの青年の事を話しておけば、
はやてとロランが知り合うきっかけになるかもしれない。既に図書館で会っているかもしれないが、それなら話は早い。
「あのね、はやてちゃん。この図書館で銀髪の男の人見たこと無い?」
「銀髪?銀色の髪の人は見たことないなぁ」
「その人、ロラン・セアックって言う人なんだけど…」
すずかはロランのことを楽しげに語り、はやてもそれを楽しそうに聞いた。
だが、ロランとはやてが実際に出会う時。
それはそれぞれの「穏やかな生活」が終わるときに他ならなかった。



115:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:21:27
以上です。
…。
短い。
次数では前回より200文字程度しか差は無いはずなのに、異様に短く感じる。
時間的には一週間経過させましたが、日常パートはどうしても間延びしてしまう…。
他の職人さんの作品に学びつつ、細々と書いていこうと思います。
気長に待っていただけると幸いです。

116:マロン名無しさん
07/07/25 06:38:01
GJ!

あと、ぜひとも番外でロランの女装をやって欲しい

117:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 11:05:48
GJ!
おヒゲ様が…ガクブル。
これは碌なことになりませんよ。

118:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 13:44:29 ke4+MM9e
GJ!

そういえば劇場版∀ガンダムのエンディングを歌っている人って
レイジングハート役のドナ・バークだと初めて知ったぜ

119:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:17:11

「皆、聞いてくれ!」

―スマン、みんな―

「俺は……俺は武者をやめる!」

―本当は俺のわがままなんだ―

「……実は、俺にはもう鎧が無いんだ」

―これも嘘だ。父上の鎧を仕立て直した俺の命にも等しい宝を失うものか―

「何より、俺にはこの地で果たさなければならない責任がある」

―ラーメンのスープがどうこうしたくらいで天馬の国全体の運命は揺るがない―

「俺のせいで昔の味を失ったこの店を彼女一人で支えていくのは不可能だ」

―けれども、それでも、俺は―

「だから今、ナツミさんのそばを離れるわけにはいかないんだ」


第拾壱話「勇気は明日への道標なの」


「えーっ!?」
「な、何ですと!?」

夕暮れ時、夜が迫る博多の空の下、號斗丸の起こした爆弾発言は
集まった武者頑駄無たちを心の底から驚愕の坩堝に巻き込んだ。
なにせ號斗丸と言えば後々の世でも最強の武者は誰だ? と言う話題には
必ずその名が挙がるほどの屈指の実力を持つ武者。
特に雷鳴頑駄無は號斗丸が幼名の「舞威丸(ぶいまる)」を名乗っていた頃から知っていて、
鷲主は共に力を合わせて闇の軍勢と戦った戦友だ。
この二人の受けた衝撃たるや、ここであえて語るほどの事でもないだろう。

120:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:18:12
「……本気なんだな、號斗丸」
「鋼丸か……その通りだ。理解してくれとは言わんが……」
「確かに、理解する事は難しい……だから、俺はこれで確かめさせてもらう」

そう言うと、鋼丸は拳を握り締め、格闘術の構えを取る。

「わかった……鋼丸、手加減はしないぞ!」
「そんな事をすれば今度こそ俺はお前を軽蔑するぞ、號斗丸!」

……勝負は一瞬だった。
二人の渾身の力を込めた一撃は互いの顔面に会心の一撃を抉り込み、
そのまま崩れるように地に倒れ伏させてしまった。完全な引き分けだった。

「號斗丸さん!」

青ざめた表情で號斗丸のもとに駆け寄っていくナツミ。
しかし当の號斗丸と鋼丸はどちらからともなく底抜けに明るい笑い声を発し始めた。

「……お前の拳、効いたぜ……號斗丸。
 あれは腑抜けなんぞに出せる一撃じゃない。お前がそうじゃ無いと分かって安心した」
「鋼丸、俺は……」
「もう何も言わなくていい。正直天宮や天馬の国の運命がかかっているし、納得はできないが
 男が一度決めた事なら最後までやり通して見ろ。俺一人位なら応援してやってもいいぜ」
「私達も同じ気持ちですよ、號斗丸。あなた一人の穴くらい、我々が埋めて見せますよ」
「號斗丸の気持ちはよーわかったで! それも武者(おとこ)の戦いや、頑張りな!
 そやけど、ええスープできたらまた一緒に戦ってや! ええやろ!?」
「鋼丸、鷲主、それに武者丸……お前達……!」

仲間達の励ましに後押しされるように號斗丸はゆっくりと起き上がり、
集まった仲間たちと円陣を組んでその手を重ねあう。

「ああっ、わかったぜ! みんな、ありがとうよ! お前らも頑張ってくれ、頼んだぞ!」

澄み切った笑顔で仲間達の想いにそう応えた號斗丸。
そして彼らの後方でひっそりと彼らの友情と温かい善意に打ち震えるナツミ。
彼らの瞳には心なしか光るものがあったという。

121:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:19:21
「アルフ、ただいま」
「フェイト! おっかえり~♪」

なのはとの激突を制し、発動したジュエルシードを確保して
博多からこの世界での住居に帰ってきた黒衣の少女……フェイト=テスタロッサ。
狼を素体とした彼女の使い魔、アルフは狼というより飼い慣らされた大型犬といった風情で
その無事の帰還を彼女なりの愛情表現で祝っていた。具体的に言うとジャンピングホールド。
当然その耳は後ろに寝かせ、尻尾は勢いよくぶんぶん振り回している。

「ちょ、ちょっと、苦しいよ、アルフ!」
「あはは……ゴメンゴメン。けどさぁ、あたしだってずっと心配してたんだよ?
 そりゃフェイトの力は知ってるけどさ、一人残ってジュエルシード集めだなんて……
 何か痛い思いとか、しんどい目にあったりしなかったかい?」
「うん、私は全然平気。少し……邪魔が入ったけど、
 ジュエルシードもちゃんと確保したし、大丈夫だったよ」

その言葉を聞いたアルフの目の色が変わり、その容姿を本来の狼の姿から年頃の女性の姿へと変化させる。
人間の姿への変身能力は使い魔の得意とするところである。

「邪魔が入ったって……? 一体どこの何者だい!?」
「よくわからない……けど、インテリジェントデバイスを持って、
 白いバリアジャケットをした私と同じ系列の魔導師の女の子」
「まさか、そいつもあたしらみたいにジュエルシードを集めて……?」
「……多分。いくつかは、あの子が持ってるのかな……?」
「フェイト……そんな悲しそうな目で、次、その子に合った時、戦える?」
「大丈夫だよ、迷わないから……」

心配そうに自分を見つめるアルフに向けて、フェイトは儚げな笑顔を作りそう答える。

「そう……じゃあ、早速だけどご飯にする? お風呂? そ、れ、と、も……?」
「……アルフ、そういう知識一体どこから身に付けて来るの?」
「え? いやぁ、まぁ、その……だってさ、こっちの世界のテレビ番組って面白いんだよ?」
「ふふっ、変なアルフ。じゃあご飯がいいな。手を洗ってくるね」
「あいよっ! あんた達、フェイトはご飯がいいってさー!」
「了解でさ、アルフの姐御!!」

アルフの威勢の良いかけ声に答える野太い声。
もはやこの空間に存在するだけで罪深くさえ感じられる彼らは一体何者なのか?
ここで時間を少し遡ってみる事にしよう。

122:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:22:21
「そのジュエルシード、頂いて行きます」
「いやー、やっぱりたまには遠出してみるもんだねぇ!
 こんな所で大した苦労もしないでジュエルシードを拾えるなんてさ!」
「もう何、今日!? 天国から地獄へのフリーフォールの雨あられっすかー!?」

新幹線が事故でストップしたあの現場から少し離れた山の中。
フェイトとアルフは運良くというか悪くというかたまたまジュエルシードを手に入れてしまった
あのお笑い四人組……もとい、堕悪霧者愚連隊の四名を脅迫していた。
九歳児がとる行動ではないとは思うが相手がこいつらなので大目に見て欲しい。

「さぁてあんた達、わかってると思うけどそのジュエルシードを渡してくれないかい?
 もし嫌だってんなら……ガブッ!! と行かせてもらうよ?」
「できたら手荒な真似はしたくありません。素直に渡してください」
「いやいやいやいやいや、そんな物騒な凶器首筋にぴたぴた当ててくる時点で
 どこらへんが手荒な真似じゃないと言うのか小一時間ほどご説明願いたいのでありますがーっ!?
 ……ハッ、もしやこれが噂の『あててんのよ』と言う奴か! フラグ立ったルンルンシャッフル!?」

あいも変わらず余裕があるのかないのか微妙に古いネタを次々とまくし立てる堕悪圧愚。
対して他の三名はこの世の終わりのような表情をしてその場に座り込んでしまう。

「あぁ、我らも遂にここまでか……」
「これ以上汚名を挽回できなかったら処刑されちゃうんだな……」
「アディオス、現世。アディオス、俺たちの酒池肉林……」

そこまで言うとおいおい泣き出してしまう堕悪雑獄苦、呪圧愚、圧愚害。
あと汚名は基本的に挽回する物ではなく返上する物だ。そんな事ではジェリドになってしまうぞ。

「…………」
「えーっと、フェイト?」
「ごめんなさい。こういう時どういう顔したら良いか分からないの」
「……笑えb
「あんたには聞いてないっての、このサツマイモ腕!!」

アルフはしつこく食いついてくる堕悪圧愚を意味もなくバリアブレイクをかけた上で殴りつけた。

123:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:23:22
「あいたたた……サ、サツマイモ腕!?
 生まれてこの方そんな訳の分からんあだ名で呼ばれたのは初めてだぞ!?」
「知らないね! いいからとっとと出すモン出しな!」

もはやどこぞのスケ番のような口調になっているアルフ。
なお、サツマイモ腕の意味が分からない人は「アッグ」でイメージ検索推奨。
そんな一見さんお断りの無駄に濃いやり取りを繰り広げる二人を放置して、
フェイトは滝のような涙で水溜りを作っている三人に優しく話しかける。

「あの、処刑って、一体……?」
「どうもこうもないんだな」
「かくかく」
「しかじか」

かわるがわる自分達の境遇をフェイトに(ある程度の誇張込みで)語りだす三人。
親身な態度で聞いていたフェイトは、その内に泣きそうな表情になり、ある事を決意した。

「……ねぇ、アルフ」
「何だい?」
「この人たち、どうにか助けてあげられないかな?」
「ハイ!?」

そして、ここで時間は現在へと巻き戻る。

「……とまぁ、思い出すだけで何かクラクラ来るんだけどさ」
「やだなぁ、それは言いっこなしですぜ姐御」
「おいら、ヤキソバを作ってみたんだな」
「フェイトちゃん、おいしいですかい?」
「うん……ありがとう」

何はともあれ、彼らは一人の天使のような少女の救いの手によって保護され、
ささやかな幸せを手にしていたのであった。

124:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:24:28
「ケッ、なーにがフェイトちゃんにアルフの姐御だ。あいつらリーダーの俺を無視しやがって……」
「コラそこのサツマイモ、グダグダ言ってたら逆さ吊りだよ?」

ドッグフードをむさぼりながら鬼のような形相で堕悪圧愚を睨み付けるアルフ。
光の速さで順応した下っ端三人と違って、堕悪圧愚だけは安いプライドを捨てきれないでいた。

「まぁまぁ、あんなスィートポテト野郎はほっといてテレビ見ましょうよ、歌番組」
「あっ、そうだねぇ、フェイトぉ、ホラ、フェイトの好きなあの歌手が出るってよ」
「えっ、あの人が……! アルフ、録画、録画……」
「ハイハイ、ちょいと待っててね……準備OKだよ!」
「フェイトちゃんの好きな歌手かぁ……」
「きっと癒し系女性ボーカリストなんだろうなぁ……」
「ううん、そっちも嫌いじゃないけど私が好きな歌手は……」

そして画面が切り替わり、プラズマ大画面はその歌手の姿を映し出す。
その姿を目にしたフェイトの目は喜びに満ち溢れ、へっぽこ四人組の目は恐怖に見開かれた。

『……山形のサクランボ農家に身を寄せて早半年、
 のど自慢大会での優勝をきっかけに一気に花開いた演歌界の超新星!
 それでは登場していただきましょう! 曲はデビュー曲「人生大津波」!
 歌うは……紅 零斗丸(くれない れいどまる)!!』

「む、む、む、む、む、武者頑駄無だぁぁぁぁぁぁっ!?!?」

公共の電波に自慢の美声を乗せ、高らかに日本の心を歌い上げる新人演歌歌手。
それはその名の通り紅のステージ衣装に身を包んだ武者頑駄無、武者紅零斗丸(ぐれーどまる)の姿だった。

「……あ、あのですね、フェイト……さん?」
「大好きな歌手って、まさか……?」
「うん、そうだよ。零斗丸さん。私、ファンクラブ会員NO.78なんだ」

恥ずかしそうにパスケースからキラキラ輝く会員証を取り出し、皆に見せるフェイト。
今ここに再び堕悪霧者愚連隊四人の意思は一つになった。

「嘘だと言ってよ、フェイトォォォォッ!!」

125:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:27:01
「あ、お疲れ様です紅さん!」
「紅さん、お疲れです!」
「あぁ、お疲れ様です。今日も素晴らしいステージ、ありがとうございました」
「いいってことでさ! んな事より、紅さんも歌の方、頑張りなよ!」
「ハイ、今後とも精進します!」

その歌番組の舞台裏。出番を終えた紅零斗丸はスタッフと談笑を交わしていた。

「紅さ~ん、お疲れ! 今日もいいコブシ効いてたわよ!」
「あぁ、彩乃ちゃん。そちらこそ司会、お疲れ様」

紅零斗丸に親しげに話しかけるうら若き女性。
彼女は紅零斗丸と同じプロダクション、「鎧王ミュージック」所属の新人歌手、太田彩乃と言った。

「何の何の! それにしても紅さん、舞台を踏むたびにキレが増してきてるわね!
 このまま順調に行けばいずれは演歌界の頂点も……!」
「ま、まぁまぁ落ち着いてくれよ彩乃ちゃん」
「あ……いやはや、失敬失敬! 肝心な用事を忘れるところだったわ」
「肝心な用事? 一体何だい?」

彩乃は紅零斗丸に耳打ちし、周囲に気を配りつつ意味深な笑みを浮かべて小さな声で囁きかける。

「『シャチョー』が緊急の打ち合わせをしたいそうよ。紅さ……いえ、紅零斗丸?」
「……!」

彩乃がそっと紅零斗丸に手渡した写真。
そこには化け物と化した新幹線と戦う武ちゃ丸と斗機丸の姿が、
そして青い魔鳥に攻撃をかける武者頑駄無達の姿が写し出されていた。

126:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:28:30
「……っちゅうわけで、改めて紹介しよか! ワイのこっちでの親友でタコ焼き職人見習い!
 シュシュムや! あんじょうよろしゅうしたってや!」
「よ、よろしくお願いします!」

そして一夜明け、人気のない早朝の高速バス乗り場。
電車を使うことがはばかられるためにバスを使い名古屋に向かう事にした新生夢者遊撃隊。
新たにメンバーとして加わったススムを交えて改めてメンバーの自己紹介を行なっていた。

「よろしくな、ススム。俺は斗機丸。トッキーでいいよ」
「今更自己紹介ってのもなんだよなぁ……シンヤだ。ま、俺らみたいな凡人はほどほどにいこうぜ」
「大体はもう聞いてると思うけど、僕はユーノ。ユーノ=スクライア。
 得意な事は結界魔法。よろしくね、ススム」
「こ、こちらこそ……けど、何だか未だに不思議な気分だよ。
 魔法の世界に魔法使い、しゃべる動物、そして物騒な宝物だなんて……」
「それはお互い様です。純粋に科学の力だけでここまで発達した文明を目の当たりにするのは
 僕も初めてですし。大概はここまで発展するまでに滅んでしまいますから」
「そ、そうなんだ……褒められてるのか脅されてるのかよくわからないや……ハハ……」

インテリのジョークは性質が悪い。

「…………」
「なのは?」
「ふぇ?」
「なのは、自己紹介、自己紹介!」
「あ、ハ、ハイ! 私、高町なのは。小学校三年生! 魔法少女見習いやってます、よろしく!」
「あ、よ、よろしく……」

どこかぎこちない態度を崩せないなのは。それを見かねたユーノは彼女の肩に乗りその悩みを推察した。

「……その悩みの原因、あの魔導師の事だね?」
「……うん」
「あの杖、衣装や魔法の使い方……多分、うん、間違いなく僕と同じ世界の住人だ」
「うん……ジュエルシード集めをしてると……あの子とまた、ぶつかっちゃうのかな……?」
「……多分、ね。あっちもジュエルシードを集めている以上衝突は……避けられない。
 現場で上手く鉢合わせとまでは行かなくても、必ず相手のすでに持っているものを、
 逆に相手が僕らの持っているものを狙って……その……戦う事になる」
「そっ、か……」

127:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:29:56
うつむいたままのなのはを心配してか、トッキーもその会話の輪に入ってくる。

「……なのは、やはり彼女と戦う事に抵抗があるのか?」
「ううん、不思議なほどに怖くはないの……だけど……」
「だけど?」
「何だか、悲しいような……そんな気持ちで……」
「……そうか……だが、自分が間違っているとは思ってないんだろう?」
「えっ? う、うん」
「だったら自分を、そして仲間を信じてくれ。君の隣にいる奴らは俺も含めて皆同じ気持ちだ。
 だから胸を張って堂々としていればいい。そうしてれば勇気が勝手に沸いてくるさ」
「勇気……」
「あぁ。そしてその勇気は必ず君を導いてくれる、未来への道標だ」
「トッキー君……うん、わかった。私、今度あの子と会ったらもう一度お話してみる!
 このままじゃ、きっと何も分からないまま……そんなのは嫌だから!」
「よし、その意気だ!」

なのはの肩をポンと叩き、元気付けるトッキー。
トッキーはいつの間にかシンヤのみならず遊撃隊全体の良きアドバイザーとして
年若い一同の心の支えとなっていた。

「斗機丸、なのは、ユーノ! えらいこっちゃーっ!」
「? どうした、武者丸?」
「あ、あの、何かごっついリムジンが……!」
「何だって?」

武ちゃ丸の様子に慌てて集合するなのは達。
そこにはなのはの友人、アリサがいつも通学の際にバス乗り場まで利用している
高級リムジンに負けないほどのそれが一同を待ち受けていた。

「武者丸様、斗機丸様、それに新生夢者遊撃隊のご一行様ですね?」
「……あなたは?」
「申し遅れました。ワタクシ、鎧王グループの社長の遣いで参った者です」
「斗機丸、鎧王グループの社長て確か……!」
「あぁ……鎧丸の行方を知っていると目されている人物だ」
「社長からあなた方を名古屋の本社ビルにお連れするよう命じられております。
 ささ、皆様どうぞお乗りくださいませ」

128:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:32:14
その一言をきっかけに浮かれてはしゃぎだすシンヤと武ちゃ丸。

「やったぜ! バス代浮いた!」
「なんちゅうラッキー! 渡りに船とはこの事やな! ……? 斗機丸、どないしたんや?」

そんな二人をよそに深刻な考え事を抱えたような表情のトッキーは武ちゃ丸を誘い、
物陰でひそひそと相談を持ちかける。

「……武者丸、このタイミング、どうも都合が良すぎるとは思わないか?」
「……ワナかも知れんちゅう事か?」
「そこまではどうだかわからんが……その社長の素性も分からんし、
 何よりなぜ新生夢者遊撃隊の名称を知っている? 用心に越した事はない」
「そー言われたらそやなぁ……けど」
「けど、何だ?」
「鎧丸と知り合いっちゅうんやったらアイツに聞いたんかもわからへんし、
 ワナやったら正面からぶっ壊して、泣くまで鎧丸の居場所を問い詰めたる!」
「……虎穴に入らずんば虎児を得ず……か。危険だが、今はやるしかないか」
「よっしゃ、決まりやな」

そして二人はすでに荷物の積み込みを始めているリムジンの元へと戻る。

「あ、武ちゃ丸、トッキー、話は済んだ?」
「あぁ。運転手さん、それでは申し訳ありませんがお願いしてもよろしいでしょうか?」
「もちろんです。そのために参りましたので」
「よっしゃ! ほな名古屋に向かって……しゅっぱーつっ!」


愛知県、名古屋。
突如彗星の如く現れ、この半年であっという間に
日本経済において大きなウェイトを占めるようになった超巨大複合企業「鎧王グループ」。
その本社ビルの最上階にある社長室で、多くの書類に埋もれているこの会社の社長は
秘書から緊急性の高いとある報告を受け取っていた。

「シャチョー、現地エージェントが彼ら……夢者遊撃隊との接触に成功したそうです」
「そうか、ついにアイツらが来るかなも! ボクちゃんもついに覚悟を決める時が来ただぎゃー……」

129:リリ武者@携帯
07/07/25 19:10:17
本編はこれで全部。
次回予告はもうちょっと待っててね

130:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 19:33:22

次回予告(ねくすとぷれびゅう)

「やっとの思いで名古屋に到着した俺達、新生夢者遊撃隊! あぁ、長かったなぁ……」
「ハハ……そこでボク達を待っていた鎧王グループ社長。その正体と真意とは一体!」
「そこに襲い来る謎の堕悪武者! そいつは一体何者だ!?」
「あぁっ、みんな、危ないっ!!」
「次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之拾弐!」
「『謎が謎呼ぶ社長のシャチョーやでっ!』」
「……リ、リリカル、マジカ、ル……クソッ、やっぱ言えるかよこんなもん!」
「やっぱちょっとシンヤにはきつかったかな」


武者號斗丸 [ムシャゴッドマル]
出典:新SD戦国伝 超機動大将軍編
モデル:ゴッドガンダム

新世大将軍の次男で学術方面に深い造詣を持ち、神童と謳われた少年舞威丸(ブイマル)が
七人の超将軍の一人爆流頑駄無に師事し、武芸者として成長した姿。
魔界の力を手に政権の転覆を目論む魔星大将軍(マスターダイショウグン)の陰謀に立ち向かった
多国籍武者集団、「闘覇五人集」の中心的存在。
流派は師の機陣鉄剣流と兄の翼心一刀流を自己流にアレンジした翼心鉄剣流。
攻防一体の戦術を旨としており、爆流同様二刀流での戦いを得意としている。
同時に若き日の父のように体術にも優れ、鎧を装着しなくともかなりの実力を誇る。
胸に輝く宝玉は爆流より受け継いだ情報データベース「炎水の玉」。
責任感の強い性格で情に厚く、努力家で頭脳も明晰。一本気な性格の熱血漢。
必殺技は二刀から繰り出す炎の必殺剣、熱火爆輪斬(ネッカバクリンザン)と、
そして炎のような激しい闘志と水のように澄んだ心、「炎水の境地」が生み出す
神剣「石破天驚剣」により振るわれ、天にも通じるほどの力を持つ
恐らく個人レベルでは最強クラスの剣技、鳳炎水凰斬(ホウエンスイオウザン)。
秘めた力は居並ぶ武者頑駄無達の中でも絶大なのだが、
ラーメン屋の建て直しに専念するため突然の武者引退宣言を……?

131:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 22:41:09
フェイトのネタで敗北…

132:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 12:22:51
毎回マニアックだなぁ…

133:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 14:11:20
へっぽこ愚連隊が幸せを掴んでくれて良かった…
てなわけでGJ

134:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 17:15:44
マフティーことハサウェイがなのは世界に来てスカリエッティ陣営で6課や管理局と戦うってのを考えた
……が、アニメがまだ終わってないし、スカがテロをしている理由が未だにはっきりしていないからなあ……
今やっても需要なさそうだ

135:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 17:26:00
>>134

「管理局が犯した過ちは、マフティーが粛正する!」

こうですか?

136:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 18:18:20
ギギが魔法少女で中将の愛人?

137:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 19:00:19
URLリンク(rainbow.sakuratan.com)
DVDに載ってたなのはの設定解説。

138:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 21:19:44
>>134
需要有り有りですよ!
待ってますぜ!

139:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 21:23:32
>>134
いやいや、全然需要ありますからw
見たいです。まってます。

140:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 22:03:32
>>136
ギギの仕事は分かってるがそれだけは止めて・・・せめて三提督とかグレアムあたりで勘弁して
最後はクロノかゲンヤあたりと

141:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 22:06:53
ハサウェイには今度こそ成功して欲しいお

142:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 23:50:05
ケネスを管理局がスカウトしに来て
「きみ いいしごとしてたね かんりきょくに はいらないか?」

143:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 13:56:14
>>142
それなんて昔のスパロボのゲッターチーム?w

144:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:35:59

「おーっ! ホンマにごっついビルやなーっ!」

天を衝くようにそびえ立つ巨大なビル。
夢者遊撃隊、最後のメンバーである鎧丸の消息を尋ね、
武ちゃ丸たち新生夢者遊撃隊はついにここ名古屋の地に辿り着いたのであった。

「鎧王グループ……この半年で突如急成長を遂げた新興の巨大総合複合企業、か……」
「斗機丸、ホンマにここに鎧丸がおるんか?」
「それはわからんが、さる情報筋からのタレコミではここの社長が何かを掴んでいるらしい。
 しかし現在の社長は極端に人目に触れるのを避けていて、その素顔を知る人物はごく一握り。
 残念ながら情報元の人物も社長の個人情報については何も分からないそうだ」
「フゥム、正体不明の謎の社長はんか……」



巻之拾弐「謎が謎呼ぶ社長のシャチョーやでっ!」



「武ちゃ丸、頼むから恥ずかしい真似はしないでくれよ?」
「わーっとる、わーっとる! シュシュムこそ気ぃつけや!
 なのはやユーノを見てみぃ、ちっちゃいのにちゃんとお行儀よーしとるで」
「にゃはは、私はお行儀良いっていうか、友達付き合いで慣れてるっていうか……」
「あぁ、そういやなのはのガッコって坊ちゃん嬢ちゃんの通う名門校って言ってたな」
「あ、うん。今はこの間のジュエルシードが起こした騒ぎで短期休校中だけど……」

シンヤの話題でその一件を思い出したなのはの顔は暗くなる。
あの日の事件で自分の生まれ育った海鳴の街は決して軽くない被害を被ったのだ。
未だにライフラインの復旧していない地域も多いという。

「あの四人組が樹海造りよった事件やな? 今度会うたら百倍返しにしたり!」
「そうだよ、それにもう二度とあんな事が起こらないよう、
 僕達もしっかりジュエルシードを集めないと!」
「武ちゃ丸君、ユーノ君……うん!」

145:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:37:05
武ちゃ丸やユーノの励ましになのはが決意を新たにした時、
一同の元に数人の社員がやってきて、その中心にいた長身の女性が代表して彼らに話しかけてきた。

「新生夢者遊撃隊の皆様ですね? わたくし、社長秘書のナンシー阿久津と申します。
 社長が上でお待ちです。只今よりご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
「おっ、ついにご対面っちゅうわけやな!」
「お願いします。……さて、どう出るかな?」
「トッキーさん、いざと言う時は……」
「あぁ、君の結界魔法、頼りにさせてもらう。皆を守ってくれ」

噂の社長と遂に面会がかなう事になり、様々な思惑を胸に緊張して秘書のナンシーについて
警戒を崩さぬままエレベーターへと乗り込む一同。
そんな彼らの様子をモニターで確認し、警備員達は一息ついていた。

「社長のお客様、無事にエレベーターまで乗り込まれました。どうぞ?」
『キャピタル了解。それでは通常の業務に戻ってください』
「了解。ふぅ、少しは肩の荷が下りたか」
「あぁ。しかしどういう客なんだろう、武者頑駄無に子供の組み合わせって……なぁ?」
「そんな事俺達警備員が気にしたってしょうがないだろ? ともかくモニターから目を離すなよ」
「おう……うん?」
「どうした?」
「いや、今地下の金庫室付近のカメラになんか動くものが……」
「それは確かか? ちょっと確認してきてくれ」
「俺がか?」
「この間ドーナツ奢ってやっただろ? 頼むわ」
「へいへい……じゃあ現場を確認して来ます、と」

そう警備員の一人は言い残し、警防とライトを手に警備室を後にする。
残された一人がそのモニターを注視しても、そこにはもう誰の姿も映ってはいなかった。
しかしカメラはあの時確かに不審者の影を捉えていた。
巨大な死神の鎌を携えた不気味な黒い影を……

146:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:38:07
「シャチョー、お連れいたしました」
「うむ、入るだぎゃー!」

最上階まで何事もなくたどり着いた一行はとうとう社長の待つという社長室の前に立っていた。
ナンシーはその重そうな扉を何の苦もなく開き始める。

「いよいよやな!」
「鬼が出るか、蛇が出るか……!」
「し、失礼しまーす!」

ススムが丁寧に挨拶をし、ナンシーの後に付いて入る一同。
ついつい身構える武ちゃ丸とトッキー。ユーノも自然となのは達三人の前に立つ。
しかし、彼らを待っていたのは拍子抜けするような明るい声と意外な人物であった。

「よう、武者丸、斗機丸! 是断の門では世話になったな」
「ニャッハッハッ! よく来てくれただぎゃー! 待ってたぎゃー!」
「紅零斗丸!? それとあの武者は!?」

紅い鎧にその身を包んだ武者、紅零斗丸と見たことのない小柄な武者が一同を出迎える。
皆の顔を見渡したその武者は自信満々に笑顔を浮かべ、彼らの疑問に答えた。

「ニャ~ッハッハッハッハッ! 驚いたきゃー?
 ボクちゃんがこの天下の鎧王グループの社長なんだがや!!」

一同はその言葉を聞いて一瞬フリーズした後、大きな驚きの叫びをあげる。

「ボク達の住むアパートを経営している鎧王不動産を……」
「しつこくワイらの店とお客さん取り合うたタコヤ王チェーンを展開しとる鎧王フーズを……」
「そして鎧王エンターテイメントを傘下に収めるこの鎧王グループの経営者が……」
「武者頑駄無だったのかー!?」

異世界人であるユーノを除いた新生夢者遊撃隊の面々はあまりの事に衝撃を隠せない。
その様子を見てシャチョーは満足そうにニヤリと微笑み、懐に持っていた扇子を広げた。

147:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:39:16
「ニャハハハ! 豊臣秀吉の天下取りをヒントに経営ノウハウを構築しただけだぎゃー!
 あ、ナンシー、君は席を外してくれてもいいぎゃー」

それに相槌を打つ形で紅零斗丸も会話を補足する。

「俺の歌手デビューをバックアップしてくれているのもシャチョーでな。
 今日は……そう、ビジネス面での打ち合わせに来ているんだ」
「……しかし、これで必要以上に俺達の事を知っていた理由がわかった。
 そりゃあ社長本人が武者頑駄無なら知っていても何の不思議もないな」
「チミ達にはいらん心配かけさせてスマンかったぎゃー!
 けど、これで納得してくれたきゃー?」
「あ、あぁ。まぁ……そんな事より、俺達は大事な用事があってここまで来たんだ。
 アンタ、鎧丸という武者の事を何か知っていないか?」
「あっ、そやそや! 鎧丸の事知っとるやろ? どこにおるんや!?」

トッキーと武ちゃ丸が鎧丸の名を出すと、見るからに挙動不審となって慌てだすその社長。

「え……えええ……確かヤツは全戦争行為への武力介入を開始するとかで半年は戻ってこない…
 あっ、違う! コロニー開発のために宇宙に行って戻って来ない……
 それよりもっとオイシイものが食べられてカワイイ女の子と一緒にいるほうがいいだぎゃー!
 って、これはボクちゃんのことで……あわあわ……」

あからさまに怪しいを通り越して不審者丸出しの回答でお茶を濁す社長。
その姿を見て遊撃隊年少組はその身を寄せ合いひそひそと相談しだす。

「……オイ、ありゃどう見ても……」
「怪しい……よね」
「あ、でもでも! トッキー君がいるからきっと真実を解き明かしてくれるよ!」
「そ、そうだね! トッキーさんならきっと……」

トッキーに過大な期待を寄せる年少組。しかしこの後信じられない展開が!

「何で一言俺達に言ってくれなかったんだ!?」
「びえーん! もう三人で一緒に戦うことはできひんのかー!?」

どんがらがっしゃんと激しい音を立てて豪快にずっこける年少組一同。
今日この瞬間、武ちゃ丸はともかくトッキーの評価は彼らの中で底値を割った。

148:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:40:16
「……ま、まぁとにかく、鎧丸はボクちゃんにこう言い残して行ったぎゃー!
 『鎧王グループ社長のシャチョーの下で堕悪闇軍団と戦ってチョーよ』と!」
「おぉ! 鎧王グループがバックにいるなら心強い!」
「何かごっつい武器造ってくれへん?」
「お、おう! 任せるだぎゃー!」

盛り上がる彼らと対照的に年少組はため息をつきながらぼそぼそと呟いた。

「ねぇ、シンヤ……」
「ちょっといろいろ、その……アレじゃない?」
「放っておいていいの?」
「言うな。何だか俺、情けなくなってきた」

そんな武ちゃ丸たちの様子を見て、紅零斗丸は真剣な顔つきで悩みを抱えていた。

(……シャチョーは商売で大成功をおさめてから戦いを避けるようになってしまった……
 約半年……戦いが始まるには長すぎたのか?
 この世界にやってきた頃の俺達は仕事に戦いに互いにがんばることを誓い合った。
 だがシャチョーは金儲けの魔力に取りつかれて以来それに夢中になり
 すっかり武者魂を失ってしまった……このままでいいはずはないだろう?
 シャチョー……いや……!)

しかし、紅零斗丸の心の叫びに応えるものは誰もいない。
ただ焦る気持ちと、かつて間近で感じた不吉な予感ばかりが彼の胸を締め付けていた。


「……ありゃ、誰もいないな。見間違いだったのか?」

同じ頃、地下の金庫室周辺では先ほどの警備員が黒い影を追って周囲の警戒を行っていたが、
見回してもネズミ一匹見当たらない。もう一度確認して帰ろうと思ったその時であった。

「ファファファ……貴様は運がいい。
 この世界ではじめて俺様の戦を目の当たりにすることができるのだからな」
「!? だ、誰だ!?」

不気味な声に慌てて周囲を見回すがやはりそこには誰もいない。

「どこを見ている……俺はここだぞ、人間よ」

後ろを振り向くと、自分の影から浮き上がってくる禍々しい黒い鎧に身を包む存在。
その姿を確認するいとまもなく、その警備員の意識はブラックアウトしていった。

149:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:41:20
<<Master, Caution>>
「えっ?」

レイジングハートがなのは達に何らかの非常事態が起こったことを告げる。
しかし、ほかの人間にも分かる異変はそれからあまりに早く訪れた。
突如として巨大な地震が起こったかのような震動が鎧王グループ本社ビルを襲ったのである。

「わっ!」
「な、何や!?」
「警備室! いったい何が起こったんだぎゃー!?」
『こ、こちらは警備室……金庫室付近に侵入者確認!
 調査に向かった警備員一人の音信が途絶しました!』
「何ー!?」

シャチョーの顔は青ざめ、事態を信じられない様子だ。

「とにかく行こう! 人が行方不明になったいるというならなおさらだ!」
「わかった! ほな行くでシャチョーはん!」
「あっあっ、ちょっと待つだぎゃ! ボクちゃんは……」
「……いや、どうやらお客さんらしい」

紅零斗丸が背中の刀に手をかけ、油断なく周囲に気を配る。
その視線を見透かしたかのように床から幾体もの謎の武者が文字通り湧いて出てきた。

「な、何やこいつらは!?」
「下忍悪魅(あーみー)……魔界の者が自らの手下として使う闇の魔力から作り出された雑兵だ。
 こいつらとは何度もやりあったからな。そしてこいつらの親玉とも!
 そいつがおそらく地下の事故を起こした元凶だ! 急げ! この場は俺が引き受ける!!」
「おう!」
「スマン!」
「だ、だからボクちゃんはぁ~!!」
「ま、待ってよ武ちゃ丸!」
「俺も行くぜ、トッキー!」

囮になった紅零斗丸を残し、武ちゃ丸、トッキー、シャチョー、
それにススムとシンヤは非常階段を駆け降りる。
しかし、なのはとユーノはその場に残ることを選択した。

150:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:43:56
「下がるんだ君たち! こいつらは俺が……」
「いいえ! たった一人で戦うなんて危険です! 私達もお手伝いします!」
「お手伝いって何を……?」

なのはがそう宣言した後、彼女は即座にレイジングハートを起動し、戦闘準備に入る。

「リリカル、マジカル……まとめて動きを止めちゃえ! レストリクト、ローック!!」
「僕も行くよ、なのは! チェーンバインド!」

二人の拘束魔法が部屋を埋め尽くしていた下忍悪魅の大半を縛り上げ、その自由を奪う。

「き、君達は……一体……?」

動きを封じられた敵を斬り捨てながらも驚いた表情でなのはとユーノを見つめる紅零斗丸。
その紅零斗丸の問いに二人はポーズを作り笑顔でこう答えた。

「新米魔法少女と……」
「その相棒です!」

あっけにとられた表情で紅零斗丸は問い返す。

「ま、まほー……何だって? 巫女と、妖怪か式神のようなものか?」
「……いいかげんもう慣れたけど僕またそういう扱い!?」
「ユ、ユーノ君、ガンバ! それより、武ちゃ丸君達追わなくていいんですか?」

またも妖怪扱いされるユーノを励ましつつ、なのはは紅零斗丸に問いかける。

「あ、あぁ、そうだな。 えーっと、君たちはどうする?」
「はい。もちろんついて行きたくはあるんですが……」
「そうか。じゃあ……しっかり掴まっていてくれ!」
「えっ? きゃあぁぁぁっ!?」

紅零斗丸が扉を乱暴に蹴り開けると、廊下には先程以上の数の下忍悪魅が待ち構えていた。

「な、何これー!?」
「待ち伏せだ! この用意周到さ……下にいるのは、間違いなく……!」
「け、けど一体こんなのどうすればいいんですか!?」
「だから掴まってろって言っただろう? そうら、行くぞ!」

151:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:45:08
そう言うと紅零斗丸は身の丈の倍ほどもある巨大な刀、烈龍刀を軽々と振り回し、
気合いを集中させてその刀を放り投げ、なのは達を抱えたままその刀の上に乗ってバランスをとる。

「これが俺の必殺技! 天動奥義! 巨刃大津波(びっぐぶれーどうぇーぶ)!!」

まるでサーフボードのように刀を自在に操り、衝撃波の波の上を滑るように滑空して
並みいる雑兵を次々蹴散らしていく紅零斗丸。

「す、すごい……!」
「シャチョー達が心配だ、このまま一気に下まで行くぞ!」
「えっ? このままって……ひょっとしてこの状態のまま!?」
「あれ、僕つい最近似たような目に遭ったような……って、降ろしてぇぇぇぇぇ」

なのはとユーノの切なる訴えは聞き入れられないまま、紅零斗丸は刀を滑らせ、下へと向って行く。
先行した武ちゃ丸やトッキー、そして謎の侵入者の待つ地下へと。

一方、当の武ちゃ丸達は……

「うわっ、こらまた派手に壊されとるなぁ!」
「シンヤとススムはあまり奥までは来ちゃいけない。いくらなんでもここは危険だ」
「う、うん……? 武ちゃ丸、トッキー! あそこに人が!」

ススムが指で示した先に、傷だらけで倒れている警備員の姿が見える。

「大丈夫きゃ? しっかりするだぎゃー!」
「うぅ……しゃ、社長……黒い、黒い死神が……鎌を……」

そこまで言うとその警備員は力尽き、気を失ってしまう。

「おいっ!?」
「大丈夫、気を失っているだけだ」
「黒、死神、鎌……まさかこないだの女の子か?」
「バカな。彼女は破壊工作を目的とした行動はとっていなかったはずだぞ?」
「そやなぁ……ほないったい何モンや?」

地下を荒らしに荒らした犯人について議論をぶつける武ちゃ丸とトッキー。
最後に武ちゃ丸がぽろりとこぼした一言に反応する形で奥からゆっくりと人影が迫ってきた。

「ファファファ……俺を呼んだか? 武者頑駄無どもよ……」

152:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:46:11
地獄の底から響くかのように低く、そして無意識に焦燥感を煽るその声。
武ちゃ丸達は確かにその声に聞きおぼえがあった。

「あっ、アイツは!?」
「まさか……堕悪魔刃頑駄無か!?」
「ホウ。誰かと思えばあの時是断の門に攻め入ってきたイキのいい連中か」

その男の名は堕悪魔刃頑駄無。強大な闇の魔力を持ち
すべての世界を支配せんと目論む堕悪闇軍団の首魁であった。

「答えろ、魔刃頑駄無! なぜキサマがここにいる!?」
「フン、この俺が鉄仮面の残したデータを元に作り上げたエネルギーの探知、吸収システム……
 『堕悪馬吸夢(だーくばきゅーむ)』が、ここにジュエルシードがあると分析したのよ」
「何やて!?」
「それは本当なのか、シャチョー!」
「う、うむ……チミ達に後で渡すつもりだったんだぎゃー……
 よりにもよってコイツに先回りされるとは……けど、ここでそうそう好きにはさせないぎゃー!」

そう威勢良く言ったかと思った瞬間、シャチョーは武ちゃ丸とトッキーの後ろに回り、
二人の影に隠れるようにしておっかなびっくりこう言い放った。

「その金庫には指一本触れさせにゃーだよ! この二人がおみゃーの相手するでよー!」
「……気が小さいんだなぁ~」
「ホントに武者なのか、コイツ?」

そんなシャチョーの情けない様子を見て、ススムとシンヤはそれぞれ苦笑いをしながらそう呟いた。

「ともかく、ここで会うたが百年目! 今度こそケリつけたるでーっ!」
「武ちゃ丸!?」
「ちゃう! 今のワイは……」

魔刃に勢いよく突っ込んでいく武ちゃ丸は額のハロの飾りを光らせつつ、ススムの呼びかけに答える。

「武者丸様だーっ!!」

刹那、魔刃に斬りかかる武ちゃ丸の姿は鎧を纏った彼の本来の姿、武者丸へと変貌していた。

153:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:47:22
「うぉぉぉぉっ! 魔刃! ここでテメーをぶっ倒して、全部終わらせてやるぜ!」
「何度打ち合ったとて同じ事。小僧、貴様では俺には勝てぬ!」

大上段から振り下ろされた真っ向両断を自慢の大鎌、ファントムハーケンで受け止めながら
魔刃は血気にはやる武者丸を余裕綽綽の表情で軽くあしらう。

「てっ、てめぇ……なめんじゃねぇーっ!!」
「フン!」

さらに熱くなり、魔刃頑駄無を滅多切りにする武者丸。しかしその全ての斬撃は見切られ、
むなしく宙を切るかファントムハーケンに打ち払われる。
そして渾身の一撃をかわされた際に発生した大きな隙を突かれ、ファントムハーケンの束で
激しくひび割れた柱へと叩きつけられ、武者丸は瓦礫に埋もれてしまう。

「単調!」
「武者丸!? このぉーっ!!」

今度は武装を完了した斗機丸がナギナタを手に超高速で魔刃をかく乱する。
しかし、魔刃は逆に微動だにせず、斬りかかってきた斗機丸の攻撃をあえて受け止める。

「何ッ、傷一つ付いていないだと!?」
「非力!」
「グハァッ!?」

白銀に輝く左掌、「ジーグ」によるプラズマを纏った掌底が斗機丸の急所をとらえ、
彼もまた一撃で吹き飛ばされてしまう。

「そ、そんな……まさか……」
「トッキーも、武ちゃ丸も……手も足も出ねえなんて……」
「わかったか、ヒヨッコども? ムダだということが!」

今まで無敵を誇った武者丸と斗機丸が二人がかりでも歯が立たない敵に戦慄するススムとシンヤ。
しかし、それでもなお武者丸は瓦礫を押しのけて立ち上がった。

154:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 19:18:32
「うるせえっ! まだ俺達はやられたわけじゃねぇ!!」
「まだ力の差を理解できんか、愚か者め!!」

刀を手に駆け寄る武者丸を迎え撃たんと魔刃もまたファントムハーケンを構え、走り出す。
そして互いの全力をぶつけあい、すれ違いざまに刃の一撃を加えあう二人。
その斬り合いに脇腹を切り裂かれ膝をついたのは、武者丸の方であった。

「ぐっあ!!」
「武ちゃ……武者丸!?」
「フン、他愛な……!?」

半死半生の武者丸を振り返ろうと魔刃頑駄無が一歩踏み出した時、バチッという大きな音とともに
兜の右側のしころの吹返しが外れ、落下した。武者丸の一撃が兜に命中していたのだ。
その地に落ちた吹返しを見て魔刃はあくまで冷静に事態を分析する。

「……成程。勢いも度を超せば見事な一撃になるというわけか……」

吹返しを踏みつぶし、倒れている武者丸にじりじりとにじり寄る魔刃頑駄無。

「その力、我が野望の妨げになるやもしれん! 勢いの増さぬうちに摘んでやろうぞ!!」
「!」
「武者丸、逃げろ、逃げるんだ! 武ちゃ丸ぅぅぅぅっ!!」
「バカトッキー、いつまで寝てんだ! 武ちゃ丸が危ねーんだよ! 起きろ、起きろよぉっ!!」
「あ、あわわわ……こんな展開、ボクちゃん聞いてないみゃー!」

敵首領、堕悪魔刃頑駄無の強大な力の前にに成す術なく倒れた武者丸と斗機丸!
果たしてなのはとユーノ、そして紅零斗丸は彼らの窮地を救うことができるのか!?

次回を待て!!

155:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 19:20:05

次回予告(ねくすとぷれびゅう)

「遂に私たちの前に姿を現した堕悪闇軍団のボス、堕悪魔刃頑駄無!」
「けど、ボクらの目の前で武ちゃ丸達はその魔刃頑駄無に倒されてしまった……」
「捨て身の覚悟で仇敵、魔刃頑駄無に挑む紅零斗丸さんの想いとは?」
「そしてとうとう出陣する最後の夢者遊撃隊、鎧丸の雄姿とその正体は!?」
「次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之拾弐!!」
「『剛力無双! 轟くその名は鎧丸やでっ!』」
「リリカルマジカル、想いはきっと……」


登場武者符亜意留(ふぁいる)

武者紅零斗丸 [ムシャグレードマル]
出典:超SD戦国伝 刕覇大将軍編
モデル:RX-78ガンダム

天界武将戦刃丸、魂武者闘刃丸を兄に持つ武者三兄弟の末っ子。
熱くなりやすい性格の熱血漢だったが、鉄機武者軍団や魔界の軍勢との戦い、
師、豪剣頑駄無の教えにより一人前の武者として、そして指導者として成長した。
戦刃丸から受け継いだ不思議な力の宿る巨大刀、烈龍刀を武器に戦う。
辛く長い戦いの末、鉄機武者真星勢多(テッキムシャマスターゼータ)と心を合わせて
一時的に「刕覇大将軍」の姿を得、一度は魔刃頑駄無ら魔界の軍勢を打ち倒したのだが、
パワーアップして復活した堕悪魔刃頑駄無と、ここ天馬の国こと日本で再び相対する事に。
必殺技は烈龍刀をサーフボードのように扱い、津波のような強烈な衝撃波に乗って
体当たりを仕掛ける「天動奥義・巨刃大津波(ビッグブレードウェーブ)」。
日本では秋田のさくらんぼ農園で働く傍ら、演歌界の超大型新人、
「紅 零斗丸」(くれない れいどまる)として歌手デビューも果たしている。
ちなみに名前の由来はガンプラ・マスターグレードクラスの「グレード」から。
先述の真星勢多の「マスター」と合わせて対になるようネーミングされている。

156:通常の名無しさんの3倍
07/07/30 20:28:04
紅零斗丸と魔刃頑駄無キターー


職人さん、ごっつGJ!

157:通常の名無しさんの3倍
07/07/30 22:46:55
ダークバキュームって確かペガサスの国沈没エネルギーをすいとるやつじゃなかったけ?

がどちらにしてもGJ!

158:通常の名無しさんの3倍
07/07/31 00:06:16
死神対決をこっそりと期待

159:通常の名無しさんの3倍
07/07/31 13:08:40
いかん!wktkが止まんねぇw

160:通常の名無しさんの3倍
07/07/31 17:56:44
GJ!
次回に大期待だな

161:通常の名無しさんの3倍
07/07/31 22:28:23
プラモはしょんぼりだったんだよな、○になってから……

162:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 00:57:13
それ以前の武者プラモも良かったとは言い難い。

163:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 01:14:43 O1qwKEiz
星屑と08が出て来るなら……
ノリスとガトーは魔法使い相手でも活躍できますか?

164:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 01:21:39
ヤツらは古代ベルカを普通に使いそうな気がします

165:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 01:26:38
まぁ、魔導師ってよりは騎士だよね、二人とも

166:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 01:36:02
騎士ってよりは武士のほうがしっくりくるけどね

167:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 06:25:34
ノリスはともかく、ガトーはテロリストにしか見えない

168:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 08:09:11
あ、すまん
ミッドかベルカかって意味の「騎士と魔導師」って意味だった

169:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 08:15:20
なんのことはない。

ジオンをベルカに置き換えれば
テロリストで騎士なヤツが出来上がる。

ん?ベルカ公国?

170:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 15:42:15
知ってるか?ヴォルケンリッターは三つに分けられる。

171:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 18:09:32
戦況の読める犬

172:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 18:19:59
戦いだけのバカ

173:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 18:30:24
ブチ撒け緑のおばさん

174:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 18:35:26
劣化の将

175:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 19:17:36
オイ、4つになってんぞ

176:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 19:36:01
台詞のない噛ませ犬

177:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 19:37:43
分裂してるのまでいるー!?

178:名無し ◆141aDzFMbk
07/08/02 23:22:23
分裂と聞いて小ねた

なのはA「(リリちゃ箱の)高町なのは九歳!」
なのはB「(無印の)高町なのは六歳!」
なのはC「(Asの)高町なのは六歳その2!」
なのはD「(StSの)高町なのは十九歳!」

なのはA,B,C,D「無敵カルテット!魔法少女リリカルなのは’s見参!!」

がんだむ「いやああ~!まともな人が壊れた~!!」





F・T・H「(鼻から大量出血)」
マーク2「うおおい!誰か医者呼べ!医者!!」

179:通常の名無しさんの3倍
07/08/02 23:37:59
9歳ですよ!

180:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/02 23:40:02
「その力、我が野望の妨げになるやもしれん! 勢いの増さぬうちに摘んでやろうぞ!!」
「!」

巨大な死神の鎌、ファントムハーケンを振り上げ、倒れた武者丸にとどめを刺さんとする
堕悪闇軍団首領、堕悪魔刃頑駄無。
しかし、その無慈悲な一撃はファントムハーケン同様の巨大な一振りの刀によって遮られた。

「!! 俺とした事が……貴様の存在に気がつかなかったとは!」
「久し振りだな。やはりお前が来ていたか……魔刃頑駄無!!」
「この世界でも刃を交えることが俺と貴様の宿命だというのか! えぇっ、紅零斗丸よ!?」

はるかな時空を越えて、再び対峙する紅の剣士と黒き魔王。
二人はかつて天宮の未来をめぐり、激しい死闘を繰り広げた大敵同士であったのだ―


巻之拾参「剛力無双! 轟くその名は鎧丸やでっ!」


「お前がその邪悪な意思を撒き散らし続ける限り、例え何度蘇ろうと俺はお前を止めてみせる!」
「フン、できるかな……真星勢多を欠き、刕覇大将軍の力も持たぬ今の貴様に!」

不敵に微笑む魔刃頑駄無に対し、紅零斗丸はあくまで毅然とした態度で立ち向かう。

「魔界の力と切り離されているお前も条件は似たようなものだ!
 付け焼刃の強化措置で水増ししようと、俺に打ち勝つことは決して叶わぬと知れ!」
「ほざくなぁーっ!」

互いに身の丈以上の巨大な武器を軽々と使いこなし、互角の戦いを繰り広げる紅零斗丸と魔刃頑駄無。
ススムとシンヤはただただその気迫に圧倒される他なかった。

「一気にケリをつけるぞ、魔刃頑駄無! 天動奥義、巨刃大津波!!」
「それはこちらの台詞だ! ファントムハーケン……狂鎌地獄葬(カオスインフェルノ)ォッ!!」

強烈な光と闇の力を秘めた刃がぶつかり合い、激しい火花を散らす。
辺りの崩壊した地下施設の様相もあいまって、
それはまさに最後の黙示録と呼ぶにふさわしい光景であった。

181:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/02 23:41:14
「も、もう始まってる……の……?」
「そう……みたい……だね……」
「うっわ、なのはにユーノか!? お前ら何でそんなにボロボロになってるんだ!?」

紅零斗丸にわずかに遅れて現場に辿り着いたなのはとユーノ。
しかし、ここに来るまで巨刃大津波でさんざん振り回されたためか早くも満身創痍の状態であった。

「こないだのウェイブライダーとか、かわいいもんだったよ、実際……」
「も、もうしばらく絶叫マシンは乗らなくてもいいかなー……なんて……」
「んな事言ってる場合かよ!? トッキーと武ちゃ丸が……」

シンヤは意識が朦朧としている二人に今現在自分たちが置かれている状況を必死で伝えようとする。
武者丸と斗機丸が倒されてしまい、直ちに治療が必要である事を。

「武者丸、しっかりして! 武者丸!」
「ス、ススム……か……このくらい、何とも……」
「武者丸……クッ!」

ふらふらの状態の武者丸を見て、ススムは何かを決意して階段で上の階に向かおうとする。

「オイ、ススム! こんな時にどこ行こうってんだよ!?」
「上に行って、タコ焼きを焼いてくる!」

それを聞いてシンヤは呆れ半分怒り半分でススムを問い詰める。

「タコ焼きだと!? お前、一体どういうつもりなんだよ!?」
「ボクが武ちゃ丸にしてあげられる事は、美味しいタコ焼きで元気付けてあげる事くらいだから!
 だからボク、行ってくる!」
「あっ、待てよ! 本気で言ってんのかそれ、ススム!?」
「ススム君!?」

シンヤの制止を振り切り、ススムは震える足を押さえ込み階段を駆け上っていった。

182:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/02 23:42:20
そうしている間にも紅零斗丸と魔刃頑駄無が繰り広げる次元の違う戦いは続き、
技に勝る紅零斗丸と勢いで上回る魔刃の激突は膠着状態を迎えていた。
両者ともにかなりのダメージのためか息を切らせ、その戦いの凄まじさを思い知らせる。

「グゥ……さすがに貴様と正面からやり合うのはなかなか骨が折れるな……」
「お前の手の内などとうの昔に割れている! いかに強力な力といえど、直撃さえ避ければ!」
「このままでは互いに消耗戦を強いられるのみ……久々に血沸き肉踊る戦いだったが、
 これを試してみるのもそれはそれで悪くない趣向だ!」

魔刃頑駄無はマントの影から長銃の形をした特殊装置、堕悪馬吸夢を取り出して
その照準を倒れている武者丸と斗機丸、その後ろであたふたしているシャチョーに定める。

「何をする気だ、魔刃!?」
「この堕悪馬吸夢は森羅万象ありとあらゆるエネルギーを吸収する装置……
 それは武者魂とて例外ではない! これだけ武者頑駄無がいればさぞかし力になることであろう。
 さぁ、我が野望の贄となるがいい!」

堕悪馬吸夢を作動させ、エネルギー吸引光線を照射する魔刃頑駄無。
これで勝ったと思ったのも束の間、その事態を黙ってみていらず、その矢面に立った者がいた。

「させるかぁーっ!!」
「なっ、紅零斗丸!?」
「くっ……しまった! こうなれば紅零斗丸、貴様だけでも武者魂を吸収してやる!」

紅零斗丸は全身にエネルギー吸引光線を浴び、少しずつその体組織が分解されていく。
文字通り体をバラバラにされるほどの苦痛に耐えながら、シャチョーに呼びかけた。

「ぐっ……今のうちだ! シャチョー! やつを仕留めるんだ!」

しかし、頼みのシャチョーは及び腰になって曲がり角の影にその身を隠してしまう。

「戦いはコワイだぎゃ、コワイのは……コワイのはイヤだぎゃ~!!
 ボクちゃんはもう戦いに戻る気はないのみゃー! 武者丸、なんとかしてチョー!!」

183:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/02 23:43:49
その光景を見て一番絶望したのはなのはでも武者丸でもなく、後ろで見ていただけのシャチョーだった。

「もう駄目だぎゃー! もうボクちゃん達はおしまいだぎゃー!!」
「シャチョー……」
「!?」

慌てふためくシャチョーに今にも消え入りそうな声が届く。
シャチョーはその声のした方向、堕悪馬吸夢の光線の商社地点、すなわち紅零斗丸の方を見た。

「くっ……シャチョー、聞こえて……いるか……?」
「紅零斗丸!?」
「ホホウ、まだ息があるか。さすがは紅零斗丸、かなりの武者魂を持っているな」

紅零斗丸はほとんど実体を失いつつも、最後に残された力でシャチョーに語りかける。

「なぁ、シャチョー……今日俺を呼んだのは打ち合わせのためなんかじゃなかったんだろ?
 本当はあの二人と一緒に戦うために今の自分をどう変えるか話したかったんだろう?」

ハッとした表情になり、ただじっとぼんやりとした紅零斗丸の輪郭を見つめるシャチョー。

「お前は戦おうとしている自分に気づいていないだけだ……お前の武者魂の火は消えていない!
 俺はお前の武者魂を……信じている!」

そして照射されていた吸引光線がついに停止する。紅零斗丸が立っていたはずのそこには、
もう何も、そう、鎧の一かけらさえそこには残されていなかった。
この瞬間、武者紅零斗丸はこの世界からその姿を消したのであった。

「ファファファ! 紅零斗丸の力、確かにいただいた! 次は……武者丸! 貴様だ!!」
「クソ……!」

打てる手はすべて打った。しかし、それでも自分の刀も、斗機丸の刃も届かなかった。
なのはの全力の砲撃も通用せず、回復も間に合いそうにない。
そして何よりこの中では一番の実力を持っていた紅零斗丸ももういない。
ここが自分の散り場所か……武者丸がそう覚悟を決めた時、運命の歯車に最後の部品がはめ込まれた。

184:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/02 23:45:21
「ム? なんだ、このチビ武者は?」
「シャ……シャチョー?」

ゲームのコントローラーに鍵が付いたような不思議な道具を手に、
シャチョーは涙を流しつつ両者の間に仁王立ちしていた。

「紅零斗丸……ボクちゃんなんかのために! 許して……許してほしいのみゃー!!」

シャチョーはコントローラーを天にかざし、今までの彼からは考えられないほど力強く吼えた。

「ボクちゃんは紅零斗丸のために今この瞬間だけでも、武者に戻るんだぎゃー!!」

シャチョーは高らかにそう宣言し、コントローラーの中心のスタートボタンを押しこむ。
そして鎧王グループ本社ビルのさらに地下深く、極秘に建設された秘密指令基地では……

「スタートシグナル確認……シャチョー、いよいよご出陣ですね!」

シャチョーのコントローラーキーのスタートボタンが押されると、
秘書のナンシーの元にシグナルが届き、とあるファイナルロックが解除される。
ロックが解除されると施設内にはホラ貝の音が鳴り響き、職員が忙しそうに右往左往する。

「89ゲート、90ゲート、91ゲート、オープン」
「シャチョーの現在位置を確認。3番デッキが最も最適です」
「了解! カタパルトデッキ三番に"ユニットY"を移送!」
「"ユニットY"、デッキ固定。射出カウント開始します」

ここはウルトラ警備隊かネルフかと言わんばかりのメカニカルな施設で、
厳重に封印されていたある物がついに動き出す。
それはシャチョーの武者魂そのものと言っていい代物であった。

「最終安全チェック、オールグリーン! 行けます!」
「わかりました。それでは"ユニットY"、射出してください」
「了解! "ユニットY"、射出!!」

185:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/02 23:46:45
魔刃頑駄無の後方に凄まじい音を上げて床が開き、背の高い人ほどの高さの「何か」がそこに姿を現す。
さすがの魔刃も何事かと目を白黒させてそちらに目を奪われた。

「な、何!? 何だ、コレは!?」
「オミャーをやっつけるものだぎゃー!!」

その隙を突いて、シャチョーはその影の後方に回り込み、コントローラーキーの鍵の部分を
その背後にぽかりと開いている鍵穴に差し込み、展開した。

「鎧鋼力服(よろいすーつ)、オープン! 始動!!」

シャチョーはその中に入り込み、コントローラーをセットし、
その内部のモニターに次々表示される情報にざっと目を通して異常がないことを確認すると
コントローラーを強く握りしめ、冷静な口調で自分を鼓舞するかのように呟いた。

「ひっさしぶりに、行くだぎゃー!!」

その影から何かの駆動音とともに激しい蒸気が噴き出したかと思えば、その蒸気を突き破って
太く、力強い腕が魔刃頑駄無に対して左フックから顎に右アッパーの連撃を決める。
無造作に繰り出された技にも魔力にも依存しない純粋に物理的なその力は
完全に魔刃の虚を突き、思わぬ痛手を与えることに成功した。

「な、なんというパワー!? あのチビは一体どんな手品を使ったというのだ!?」
「あの腕は、まさか……?」
「武ちゃ丸君、知ってる人なの?」

漂う蒸気の中、両足に仕込まれたキャタピラを全力で回転させ、飛び出してくるその姿。
そう、それは武者丸にとって何よりも見慣れた姿だった。
右手にダブルライフルを携え、落ち着いた色調の緑色に染め上げられたそのボディ。
歩く要塞といっても過言ではない火力と重装甲、そして強力なパワーを兼ね備え、
後方支援と戦略面でその力を発揮した旧夢者遊撃隊の要であった存在。
そしてこの最初の旅の尋ね人で、彼らにとって欠かすことのできない存在。
そう、その名は……

「シャチョーが……シャチョーが鎧丸だったのか!?」

186:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/02 23:48:00
よろめく体を刀で支え、鎧丸に話しかける武者丸に鎧丸は毅然とした口調で対応する。

「武者丸、話はあとだ! 今はこの悪魔を叩き潰す!」

キッと鋭い眼差しを魔刃頑駄無に向け、戦闘態勢を整える鎧丸。
魔刃はふらつく頭を抑え込みつつ、あくまでシビアに戦況を分析する。

「くっ……今のは油断したが、そのような鈍重な装備でこの俺に対抗できるとでも……」
「鎧丸の鈍さは俺がカバーする。それが俺達の戦い方だ!」

そして鎧丸の隣に傷が回復し、目を覚ました斗機丸が並び立つ。
斗機丸の回復に魔力を費やしすぎ、すでにバテているユーノはその脇に抱えられていた。

「トッキー君、それにユーノ君!」
「ようやくお目覚めか斗機丸、こっちが一番しんどい時におねんねしやがって……」
「スマン、遅くなったな武者丸、なのは、それにシャチョー……いや、鎧丸。
 紅零斗丸の分まで礼はたっぷりと返させてもらうぞ、魔刃!!」
「一番大事な時に間に合わなかった……ごめん、皆。役に立てなくて……」
「ううん、そんな事ない、そんな事ないよ! それよりユーノ君、大丈夫?」

斗機丸からユーノを受け取り、心配そうに抱きしめてその顔を覗き込むなのは。
何だかんだ言っても、ユーノは未だ本調子にはほど遠い状態なのだ。

「ぼ、僕なら平気だよ……それより早く武ちゃ丸の治療を……」
「バカ野郎、無理すんな! 俺の傷なんて大した事……クッ!」

ユーノの身を案じる武者丸だが、武者丸の傷も決して浅くはない。
そんなボロボロの武者丸のもとに暖かい声が届く。

「武ちゃ丸ーっ!!」
「ススム……?」
「ボクが魂込めて作ったタコ焼きだ! これで、元気を出してーっ!!」
「バカ! そんなんで何とかなったら苦労なんて……」

駆け付けたススムはタコ焼きを一個武者丸に向かって投げ、武者丸は反射的にそれを口で受け止める。
シンヤは若干の非難を込めてススムに詰め寄るが、
そのタコ焼きは武者丸にとって想像以上の効果を発揮していた。

187:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/02 23:49:12
「うおおーっ! ムッチャ力みなぎるぜーっ!!」

そのタコ焼きを口にした途端、武者丸は突然クリスタルのように光り輝き、
全身からかつてないほどのパワーをほとばしらせる。
それに従い先ほど負った傷も見る見るふさがっていく。
突然都合よく起こったこの奇跡に口をあんぐり開けてグウの音も出ないシンヤ。
なのははともかくユーノは今の僕には理解できないとばかりに固まってしまっている。
それはそうだろう。自分の全力を注ぎこんだ回復魔法が
たった一個のタコ焼きと等価扱いされてしまったのだ。さすがに同情を禁じ得ない。
だが意外にも、この事態を魔刃頑駄無は冷静に受け止めていた。

「堕悪馬吸夢が天馬の国沈没エネルギーを感知している……だがあれはどう見てもただの小僧……
 それがあのヒヨッコにここまでの力を与えるとは……これは少々認識を変える必要があるな」
「何をごちゃごちゃ言ってるんだ、魔刃頑駄無さんよ? 本番はここからだぜ!」
「!」

魔刃頑駄無が顔をあげると、武者丸、斗機丸、鎧丸の三人は武者丸を中心に陣形を組んで
戦闘準備を整えていた。三人は互いに顔を見合わせ、力強く頷きあいそれぞれの闘志を確かめた。

「元祖夢者遊撃隊! 時空を越えて今、ここに集結!!」

武者丸達の時代の頑駄無軍団で最強部隊と呼ばれていた元祖夢者遊撃隊が
背後に謎の爆発を背負うかのような勢いで高らかに鬨の声を上げる。

「フン、夢者遊撃隊といえど一人一人は単なる若造に過ぎん! 力の差を思い知らせてやる!!」
「そいつはどうかな? 三人そろった俺達は……無敵だぜ!
 斗機丸! 鎧丸! 久々にアレをやるぞ!!」

自信に満ち溢れた顔つきで武者丸は斗機丸と鎧丸にそう呼びかける。

「アレと言うと……『アレ』か?」
「よしっ、のったぜ!! ダブルライフル、ハイメガキャノン、チャージ開始!」

武者丸と斗機丸は鎧丸の前方に立ち、
鎧丸の三つの砲門が生み出すエネルギーフィールドにその身を委ねる。

188:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/02 23:50:25
「何をする気かは知らぬが、黙って見過ごしはせんぞ! 喰らえ、冥府真空刃!!」

魔刃頑駄無はファントムハーケンを振りかざして複数の魔力を纏った真空の刃を飛ばし、
夢者遊撃隊の合体攻撃を迎撃しようと試みる。

「そんな小細工は通用せん! 行け、武者丸! 斗機丸!!」
「おぉーっ!!」

鎧丸の掛け声で発射された高威力のビームはフィールドに包まれた武者丸と斗機丸を撃ち出し、
同時に放たれた幾筋ものビームの支援砲火とともに、
魔刃の放った技を消し飛ばしながらまさに弾丸のような勢いで突っ込んでいく。

「な、何!? この俺の技で……止められんだと!?」
「覚悟しやがれ魔刃頑駄無!!」
「この一撃でチェックメイトだ!!」
「もはや退路はない! 貴様の野望は今日この地で我らの友情の前に潰えるのだ!!」

三人は三者三様の決め台詞を魔刃に向かって言い放つ。
武者丸と斗機丸のエネルギーフィールドに挟まれ、身動きの取れなくなった魔刃頑駄無は
その勢いのまま地上に向かって突き進み、ついに空中にまで運ばれてしまう。
そこでついに武者丸と斗機丸は武器を構え、乾坤一擲の一撃を繰り出した。

「こ、この……ヒヨッコどもがぁぁぁぁーっ!!」
「必殺奥義、三位一体! 夢者遊撃断!!」

鎧丸のエネルギーフィールドが刀とナギナタの刃に集まり、十文字に魔刃頑駄無の体を斬り裂く。
……いや、斬り裂いたはずだった。
空中でろくに動けない魔刃頑駄無にこの連携をかわす術はない。
にもかかわらず、決め手の一撃は浅く鎧をかすめたにとどまった。
周囲にから立ち入る術はほとんどない閉鎖空間である地下とは違い、
ここ空中はいかなる乱入者も簡単に出入りできる開放空間である。
そう、空中は翼をもった者にとってはホームグラウンドにも等しい戦場なのだ。

「遅くなりました、堕悪魔刃頑駄無様」
「羽流鋭(ばるす)か……手間を取らせたな」

魔刃頑駄無を抱える堕悪武者、その名は堕悪闇軍団、空魔忍軍・軍団長の羽流鋭。
真っ赤な鎧に身を包み、ゴーグルのような目と巨大な翼を背負った正々堂々たる武人。
いつまでたっても帰還しない魔刃頑駄無の身を案じ、彼は機会を伺っていたのであった。

189:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/03 00:08:38
「堕悪魔刃頑駄無様、お一人での行動はお控えください。あなたは我々を束ねる長なのですから」
「フン……聞こえるか、ヒヨッコども……いや、夢者遊撃隊よ!
 今回は不覚を取ったが次はこうはいかんぞ! いずれ我らの総力を以って貴様らを粉砕してくれる!
 その日を楽しみに待っているのだな! フフフハハハハ……ファファファファファ!!」

地面に空いた穴から飛んでくるなのはと鎧丸の砲撃をかいくぐりながら、
羽流鋭に抱えられた魔刃頑駄無はあっという間に空の彼方に消えていってしまった。

「クソッ! 魔刃の野郎を取り逃がしちまうとは!!」
「あそこまで追いつめておいて……無念だ……!」

やり場のない想いを抑えきれない武者丸達。
武者丸は怒りと自らの不甲斐なさに震える拳に魔刃頑駄無打倒を誓っていた。



「ところで……」

戦いが終わって一段落し、武装を解いた武ちゃ丸とトッキーは
集まってきた一同を前に二人の息をぴったりと揃えてその口を開いた。

「俺を」
「ワイを」
「騙してたってワケかーっ!!」

とりあえず目先の怒りを鎧丸から降りてきたシャチョーにぶつける武ちゃ丸とトッキー。

「人聞きの悪いこと言って欲しくないにゃー……わからなかったおみゃーらも悪いんだぎゃ!」

天宮にいた頃はシャチョーは終始鎧丸から降りて来なかったため、
二人はその正体を知る由もなく、鎧丸をただの武者だと思い込んでいたのだった。
だが、そのあまりの不自然さに遊撃隊年少組は次々と突っ込みを入れる。

「まぁ、確かにず~っと一緒にいて気付かないのもねぇ」
「特にトッキー君は頭脳明晰なはずなのに……」
「本当に分からなかったのか?」

190:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/03 00:09:59
一切反論することができず、そのまま黙り込んでしまう武ちゃ丸とトッキー。
ちなみに一人突っ込みを入れなかったユーノは……

「大体おかしいよ、あんなの……炭水化物の塊たった一つであそこまで異常に回復するなんて……
 生物、物理、魔法学的にも質量保存の法則的にもあんな事ありえないよ……」

タコ焼きショックから未だに現実に戻れず自分の世界をさまよっていた。
彼の辞書に天馬の国沈没エネルギーという文字が記載されるのはもう少し先の事である。

「……で、シャチョーはこれからどうするの?」

なのは以外の誰もそんなユーノに気づくことはなく、そのまま話を続けるススム。
そんな彼の問いかけに、シャチョーは背中に哀愁を漂わせながらこう答えた。

「今、ジュエルシードをめぐる状況や天馬の国の事情は理解しているつもりだぎゃー。
 それより何より紅零斗丸の仇は討たにゃならなければ……」
「鎧丸! そしたら、またワイらと一緒に……」
「……いや、それはできないぎゃー」
「ふにゃ!? な、何でや!?」

てっきり一緒に来てくれるとばかり思っていた武ちゃ丸は驚き、問い返す。

「今、ボクちゃんは一人の武者以前に鎧王グループの総帥だぎゃー!
 ここは天宮じゃない、天馬の国みゃー! 資金や物資を供給するラインはここにはない!
 後方からみんなの後ろ盾になり、バックアップする存在が頑駄無軍団にはどうしても要求される。
 ボクちゃんみたいに一人くらい裏方に回る役も必要ぎゃー!」
「鎧丸、いや、シャチョー……お前、そこまで考えて……」

その答えに思わず感動するトッキーだが、このシャチョーが一筋縄でいく人物なわけがなかった。

「ちゅーわけでそれ以外の戦いはおみゃーさんらにまかせるだぎゃー!
 社長業はそんなにヒマじゃにゃーのよ!」

いやらしい笑みを浮かべて平然とそう答えるシャチョーに怒る武ちゃ丸。

「オンドレはーっ!!」
「一度覚えた金儲けの味はそう簡単に忘れられないみゃー!!」
「……アイツ、堕悪闇軍団より手強いかも……」

そんな破天荒なシャチョーに苦笑いするしかない新生夢者遊撃隊一同。
トッキーが最後にボソっとこぼした一言が皆の思っていたことすべてを代弁していた。

191:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/03 00:11:35
その頃、アジトに向かって飛び去る最中の魔刃と羽流鋭はようやく余裕ができたのか、
一言二言言葉を交わしていた。

「……堕悪魔刃頑駄無さま、お怪我の方は……」
「あぁ、おかげで大したことはない。しかしお前が来なければ俺は討たれていたであろうな」
「そのようなお戯れを……」
「俺は部下には真実しか告げん。あの紅零斗丸がその身を投げ出すだけの事はある……か。
 それにあの魔導師の小娘だ。放っておけばかなりの傑物に育つぞ。
 天馬の国沈没エネルギーの異常な数値も気になる。夢者遊撃隊……ゆめゆめ油断するでないぞ」
「御意に……して、その傷ついた兜はどうなさいます? いっその事新調なさいますか?」

羽流鋭は武者丸の一撃で破損した魔刃頑駄無の兜を見つめ、そう進言する。

「よい。修繕もいらぬ。これは俺自身への戒めだ。敵を侮ってかかった事に対する……な。
 あの若造、武者丸といったか……その名、忘れん」

魔刃頑駄無は羽流鋭と話しながらもその眼は新たに立ちふさがる強敵との再戦に向けられていた。
握りしめた拳から滴る血はどす黒く、彼の業の深さを表しているかのようであった。


「……ったく、シャチョーにも困ったもんやで!」
「まぁそう言ってやるな。アイツの言ってる事、アレはアレで間違っちゃいないさ。
 ……とりあえず疲れはしたけどな」
「ハハハ……それで、用は済んだんでしょ、二人とも。これからどうするの?」

とりあえずの目的を果たしたので、当面の目標を失った新生夢者遊撃隊。
当然ジュエルシード捜索という最優先事項はあるものの、情報がなければ動くこともできない。

「あぁ、それはもう決めてある。俺自身今日の戦いで結構なダメージを負ったから、
 一度爆流頑駄無に診てもらおうかと思っている。
 なのは達も家に送り届けないといけないし……海鳴に戻ろう」
「家に戻るの? だったらみんな、家においでよ!
 私の家って喫茶店をやってて、おかーさん手作りのすっごく美味しいシュークリームが自慢なの!
 今までのお礼ってことで私にごちそうさせて!」

トッキーの意見に便乗する形でなのはは笑顔でそう提案する。
しかし、その笑顔はどこか陰のある、無理をしているかのような笑顔で、
彼女は彼女なりにこの旅で見つけた問題点と向き合っているかのようであった。
そしてここにもう一人、頭に浮かんだ記憶の欠片と格闘している少年がいた。

「……あれ、海鳴って確か……はやてちゃんが引っ越していった……?」

192:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/03 00:12:53

次回予告(ねくすとぷれびゅう)

「艱難辛苦を乗り越えて、戻ってきました海鳴市!
 旅の疲れは甘いものでリフレーッシュ! と、いきたいところなんだけど……」
「……大体、アレ一個で回復するなら病院も何もいらないし……」
「ふぇ? ユ、ユーノ君どうしたの? ひょっとして、まだ悩んでる!?」
「……それに治療系の魔法概念が根底から覆されて……」
「……ユーノ君! ねえってば~!!」
「……ブツブツ……」
「……話を!」
<<Divine>>
「聞いてってばぁっ!!」
<<Buster>>

― しばらくお待ちください ―

「……ケホ。そこに突然現れた正体不明の少年武者。
 彼はいきなり剣術の達人ななのはのお兄さん、恭也さんに弟子入りを志願する!」
「この子はいったい何者? そして復興途中の町に忍び寄る魔の手って!?」
「次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之拾四!」
 『夜空を舞う白い翼なの』! リリカルマジカル、頑張ります!」


登場武者符亜意留(ふぁいる)

羽流鋭 [バルス]
出典:新SD戦国伝 伝説の大将軍編
モデル:ベルガ・バルス

新生闇軍団の誇る四魔忍軍、空魔忍軍を統括する武者。
その名の通り空中戦を得意とする団員達の長で、自らも高い空戦能力を有する。
自分の力に絶対の自信を持っていて、正々堂々とした戦いを好む。
某天空の城の滅びの呪文との関係は無い。

193:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/03 00:15:29
ついでに感想でも

>>178
彼女は最高よwww

194:名無し ◆141aDzFMbk
07/08/03 00:17:10
間違えたorz
と言うわけで修正版

なのはA「(リリちゃ箱の)高町なのは十二歳!」
なのはB「(無印の)高町なのは九歳!」
なのはC「(Asの)高町なのは九歳その2!」
なのはD「(StSの)高町なのは十九歳!」

なのはA,B,C,D「無敵カルテット!魔法少女リリカルなのは’s見参!!」
後方でメイオ○攻撃並みの爆発

がんだむ「いやああ~!なのはが壊れた~!!」







F・T・H「(鼻から大量出血)」
Z「増えたなのはを見た瞬間、倒れながら鼻血を吹いていたな」
マーク2「冷静に状況説明してないで医者呼べ!医者!!」


それと、リリカル武者○伝の作者様GJです!

195:通常の名無しさんの3倍
07/08/03 00:38:36
>>194
リリ箱の大人版なのはさんは?

196:通常の名無しさんの3倍
07/08/03 03:05:20
武者の人GJ

>>194
OVA板とらハのなのちゃんは~?


○、ネタは熱いんだが納得いかないことが一つ
……北海道を一人でカバーするのは無理だろ

197:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/03 07:21:42
ごめんなさい一部落丁ありましたorz
>>182>>183の間にこれを入れてください


涙まで流し、あくまで戦うことを拒むシャチョー。
それを見かねてか武者丸は瀕死の重傷をおしてなお立ち上がろうと試みる。

「た……立てよ、オレ! 夢者遊撃隊の誇りにかけて、命を燃やせ!!」
「む……夢者……遊撃隊……」

シャチョーは武者丸の言い放った夢者遊撃隊という言葉に反応する。
武者丸も力を振り絞るがどうしても立つことができない。
その武者丸をかばうように立ち塞がった小さな白い影。
なのはがレイジングハートをシューティングモードにセットし、チャージを始めていた。

「なのは、やめろ……お前の叶う相手じゃ……」
「……わかってるよ、私だってそれくらいは……正直、怖くて手が震えそう。けど!」

なのはは魔刃頑駄無から視線をそらさずに武者丸と言葉を交わす。

「今、ユーノ君がトッキー君に回復の魔法を使ってる。次は武ちゃ丸君の番。
 だから、動ける私が二人が治るまでの時間を稼がないと。それに……」
「……それに?」
「忘れたの? 私も新生夢者遊撃隊だよ? 武ちゃ丸君の守りたい誇りは、私の誇りでもあるから!
 ちょっと無茶するかもだけど、お願いね、レイジングハート!」
<<Yes, my master>>

武者丸は彼女の背中を見つめていた。まだまだ未熟で、この重荷を背負わすにはあまりにも小さい背中。
しかし、同時に未知の可能性を感じさせる頼りなくも後光が差すかのような背中。
だからこそ、自分が守り育てるべきその背中の後ろに甘んじていることが悔しくて仕方なかった。

<<Full charge>>
「ディバインバスター! フル! パワーッ!!」

反動で吹き飛ばされつつもなのははまさに全身全霊の一撃を動けない魔刃頑駄無に撃ち込む。
猛烈な爆風が巻き起こり、周囲の視界が完全に煙と塵に覆われてしまう。
その煙が晴れた時、一縷の希望を抱いたなのは達の目は再び驚愕に見開かれた。
全身かすり傷と煤まみれになりながらも、未だ魔刃頑駄無は直立不動のまま健在であった。

「そ、そんな……今のが効いてないなんて……」
「……小娘よ、なかなか肝を冷やしたが、見た目ほど大した事はなかったな。
 パワー自体は見上げたものだが、実戦経験が不足しているとみた。
 魔力の集束にまだまだムラが多い。だからよく見極めれば片手でもやりすごせる。
 だが人間でここまでの魔力を秘めた者がいたとはな……これは退屈せずに済みそうだ」


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