07/07/22 18:52:02
軍事板から来た私から見れば、このスレは相当レベルが低いように思えますねw
5:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 21:02:11
>>4
うん、レベル低いから、見なくていいよ^^
6:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 21:15:52
>>1乙
7:通常の名無しさんの3倍
07/07/22 21:26:01
>>1
lヽ ,、,、./ ,-、_,-、 , '´ ⌒、ヽ
<)' ~´ハバ Y ;' A`) l(((!((("メi /゙Y /^ヘヘYヘ
| イノリノハ)): : : :`ヽ/´ ̄ ̄ 从^ヮ^ メij 刀. /,ィjミノレハ从リヾ )
ノ.人l|゚ -゚ノl| , '" ̄: : : : : : : : {十}゙ii゙゙゙ii゙`):\/: : : く+ハ(!`Д´ノハ+>,'`》'´⌒`彡.
ノノ /:/.:.:.:.:.:/.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.ヾ:ヘ\: : : : : : : : : : : : :::∪: :∪: :ノ,ィ∝ノノ)))))
ノノ l://.:.:/.:./ .:./ .:l.:.:,'.:.:{:.:.:.:.l.:.:ヽ.:.:.Vl:/(((从从〉*⌒: : : : ,(_: :_: :( ( ゝ(l!゚ -゚ノ|l
/.:.:/.:. l:.:.:.!>ト/{.:.ハ.:.:斗<:l:.:.:.l.:l |l゚ヮ ゚ノ|l ! ̄`7>f^⌒ヾYノ):: <(^!!つつ
.:.:/.:.:.:.|:l.: レ仟圷ヽl ヽfチ圷 |.:.:l:| ⊂!卯(⊃ t xくけ从ハル=ト<
/!.:.:.: 从.:.{. V;;リ V;;リ 'j.:.,' | t〈_|_ヽ.> )/: : : :.リ、∀`*リハヽ
ハ.:.:..)Ⅳト:.ゝ ' /.:/レ| _ し'ノ /: : : : セ二/,-' ̄ ̄ ヽ
ハ.:.:..:.. ::.ノ 彡 V 7 彡'.:.| ∠ =。= ヘ /: : : : :/ ( ((ハルヽ ,- ̄⌒ヽ
从从从) 、 ´ ,イ! .:./ i !!ノリノ))》 ,': : : : / `ゝ^o ^ノ: :i(《レノリノハ) )
. ::)l|゚ ヮ゚ノl|ヾ ト≧≦ュ| リ/ ノi゚リ.゚ ヮ゚从 i: : : : { 、 _☆ミつ介》| #`-´ノ: :
∪ ̄∪, / | >tく |ヽ、__ (つ)Ψ(^つ {:, -===、アヘヘ `ヘ___ノ::: <( つ[!;つ: :
/ヽ::::::::::::::::/ |/ l只lヘ| l:::::::::::::::: ̄ヽ {7/^ー^ヘ.ノ八从ハ : : : : : : : /
|:::: ヘ ̄ ̄ {____|{{<ハ>}}_j ̄ ̄`メ:::::::::| ∨ifノハヽhリ・ヮ・ノn :〈y <(^!!つつ
|::::{ \ / ∨⌒∨ \ / l::::::::| ルl| ゚ヮ゚ノル!弁{ ン ∠† _(†ヽ彡
/ll::::}\ ∨ \ ,VCV ∠ _∨ |::::/ハ / ,_厂})){ヒつつ 又 !从从))))
{ }}:::::ン  ̄}__/ ̄`^<_/ /,弖 l ::{{ } / /_j_j>j 〈y.リ(l|`(フノ|l!
__/ / / ●~`\r'〃ニフ }::V/. ん'(_ノノ、ノ 〈y <(^!!つつ
8:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 00:42:48
>>1乙
でも前スレと過去スレ(前々スレ)は続けて書いたほうが分かりやすかったんだぜ?
9:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 10:56:24
前スレ
【相互】種死リリカルなのはSS【乗り入れ】その11
スレリンク(shar板)
雑談スレ
【数の子】種vsリリカルなのは【一人三役】
URLリンク(same.u.la)
あの日胸に灯った永遠の姉妹スレ
【UC】リリカルなのはSS【種死】その3
スレリンク(shar板)
まとめサイト
ガンダムクロスオーバーSS倉庫
URLリンク(wiki.livedoor.jp)
10:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 10:59:04
すまん誤爆
11:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 14:31:46
誤爆wwwww
12:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 20:32:04
無印はともかくAsにXキャラの投入が無理くせぇと思った今日この頃
はやて、即みつかっちゃうよ……
13:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 20:34:10
「ご注文の薔薇入りカステラ3つ、お待たせいたしました、お美しいマダム?」
ここ、博多市内のデパートで行なわれている九州物産展で、
やけに気障ったらしい口調でご婦人方をうっとりさせながら接客をこなす店員。
彼もまた天馬の国こと日本にやってきた来訪者、武者頑駄無。
その名を武者鷲主(むしゃろーず)と言った。
「ふぅ……」
「ご精が出ますね、鷲主殿?」
「あいも変わらずご婦人方に人気がございますな」
「やぁ、これは雷鳴殿! それに紅蓮殿ではありませんか」
そして爆流と同じ超将軍の称号を持つ武者、雷鳴頑駄無と、
天宮の北方、緋珠(ぴーす)の国の紅蓮頑駄無達もまたこの催しの出店者として
九州各地から集まってきていたのであった。
「……それで、ご友人の機嫌は直ったのですか、鷲主殿?」
紅蓮は鷲主がいつも連れ歩いている相棒の青い大鷲、キャリバードを見つめてそう問いかける。
「いえ……どうやら私は嫌われてしまったようです。
友情の証に海岸で見つけた美しい石を贈って見たのですが、なんとも……」
なるほど、確かに恵まれた環境が整えられているものの、キャリバードはどこか不満そうな態度だ。
「やっと我々は戦乱の世界を越えて戦いの無い穏やかな平和を獲得したと言うのに、
一体何が不満だと言うのだ、我が友キャリバードよ……」
キャリバードは答えない。(まぁ所詮鳥だし)
その代わりにアクセサリーの中央、菱形の蒼い宝石は不気味に輝いていた。
巻之拾「されどその拳は烈火の如く! 対決、もう一人の魔法少女やでっ!」
14:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 20:35:16
「號斗丸、どうして爆流師匠の呼びかけに答えてくれなかったんだ?
堕悪闇軍団の侵攻が本格化しようとしている今、どうしてもお前の力が必要なんだ!」
「鋼丸よ、例え相手がお前や爆流頑駄無だろうと今は応じることが出来ない。
俺はただ、この地で果たすべき使命を全うするだけだ」
場所は変わってビルの合間の路地裏。
號斗丸と鋼丸はすれ違ってしまった互いの信念をぶつけ合っていた。
「それがあの少女の手助けをする、と言う選択か。
お前の気持ちは分からんでもないがな、しかし……」
「武者たるもの、一度口にしたことをやすやすと翻すわけにはいかん!」
「ええい、お前の責任感が強いのはもとより承知の上だが、頑固なのも大概にしろ!
今は平和に胡坐をかき、ただ座している場合ではないだろうに!」
必死に説得を続ける鋼丸だが、號斗丸は頑としてその訴えに応じようとはしない。
「まさかお前まで他の一部の連中と同じように武者魂を失ってしまったのか?
……何とか言え、頼むから何とか言ってくれ、號斗丸!」
「……何と思われようとかまわん。だが俺の答えは変わらないぞ、鋼丸」
「そうか……なぁ號斗丸、もし俺に涙を流す機能が備わっているのなら、
きっと今、泣いているんだろうな……じゃあな、號斗丸。もう会う事は無いだろう」
「…………」
そう言って、その場を去ろうとする鋼丸。しかし、鋼丸に与えられた優れた聴覚は
ただ悲しみに身を任せる事を許してはくれなかった。
「う、うわぁぁぁぁっ!? で、でっかい鳥が!?」
「バ、バケモンだーっ!!」
即座に頭を切り替え、大目牙閃光銃(おめがびーむらいふる)を手に駆け出していく鋼丸。
號斗丸はそんな鋼丸の姿を見て、屋台に残してきた面子のことを思い出し、
心配になり鋼丸とは正反対の方向に向けて走り出す。
それはあたかも分かたれた二人の道を暗示するかのようであった。
15:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 20:36:20
「な、何や、こいつらは!?」
「さあな……ただ……」
先程のデパートの屋上。逃げ遅れた人たちをかばうように
武ちゃ丸とトッキーは鳥の姿をした怪物と対峙し、その真意を推し量っていた。
「……あまり友好的では無さそうだ」
「お前はいちいちんな事分析しとったんかーいっ!? そんなん見たらわかる事やろーが!!」
「むぅ……」
「『むぅ……』やない! 鎧も戻った事やし、久々に全力で行くでーっ!」
「任せろ! 来い、ウェイブライダー!」
その合図と共に、二人の周囲を鎧の部品とエネルギーが渦を成し、やがてそれは
光を放ちながら武ちゃ丸とトッキーの体に重なっていった。
「行くぜ! 武者覚醒! 武者丸!!」
「武者武装! 斗機丸!」
そして光がやんだ頃、武ちゃ丸の顔は凛々しく引き締まり、その黄色い眼からは
戦いに生きる修羅と化したかのように武ちゃ丸の時のつぶらな瞳は姿を消していた。
「よっしゃあ、気分は最高! やっぱこの姿は気合が入るぜ!」
「……なぁ武者丸、関西弁はどうした?」
「何? 関西弁がどうしたって?」
「……何でもない。忘れろ」
「はぁ?」
鎧を装着した事で心なしか口調や性格まで変わって……というより元に戻ってしまった武者丸。
さすがの斗機丸も急すぎる変化にすっかり面食らってしまっていた。
「……まぁいいか。ところでノルマは一人五匹ほどか?」
「冗談だろ? リハビリ的な意味でもお前は七、八匹くらい斬り伏せて欲しい所だな」
「ゲッ、マジかよ!? ……まぁ、とりあえず見えてる分は斬って落とせばそれでいいか」
「頼もしいな。だが……それでこそだ!」
「おうよ! 遅れるなよ、斗機丸!」
「当然だ! この場の人々には足の爪一本、羽毛一本たりとも触れさせはせん!」
16:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 20:37:21
一方、ジュエルシードの気配を察知したなのは達は件のデパートにたどり着いていた。
「……人、いないね?」
「でもジュエルシードの波動は強くなってる。これはもう発動してると考えて間違いないと思う」
「発動って事は……こないだのでっかい木みたいにとんでもない事が起こってるってことか?」
シンヤの問いに首を振りつつユーノが答える。
「ええと……違うと思う。この感じは多分人間じゃなくて動物が……」
「う、うわぁぁーっ!?」
「何? 何なの!?」
その最中、三人の耳に悲鳴が飛び込んでくる。
三人が声のした方向に向かうと、大きな鳥の怪物が武ちゃ丸の親友、ススムを襲っている
「あれは、ええと……ススム! ……で良かったのか?」
「しまった……ジュエルシードに気をとられすぎて後を尾けられてるのに気付かなかったなんて」
「二人とも、そんな場合じゃないよ! 今は!」
「あ、あぁ、悪いが頼むぜ、なのは!」
一番心配すべき事柄から微妙にずれた考えを巡らせる男二名を横目になのはは叫ぶ。
「まかせて! 風は天に、星は空に……そして、不屈の魂はこの胸に!
レイジングハート! セェーット、アーップ!」
<<Stand by ready>>
なのははレイジングハートを起動させるプログラムである呪文を唱え、
その身に魔力によって構成される白い防護服、バリアジャケットを纏い、
左手にシューティングモードに姿を変えたレイジングハートを携え、次なる指示を下す。
「行くよ、レイジングハート!」
<<All right. Divine Buster>>
「ディバイィーン……バスターッ!!」
気合一閃。レイジングハートの先端から放たれる光の奔流が怪鳥を押し流し、
シンヤはよろけたススムをユーノの防御魔法に守られながら肩を支え、助け出した。
17:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 20:38:32
「馬鹿野郎! 何で付いてきやがった!?」
「だ、だって、いきなり飛び出していったから気になって……それに来るなとも言ってなかったし」
「あ、あのな……」
「それにさっきのはどう見ても魔法か超能力……だよね? キミ達は一体……」
「ぐっ! く、詳しいことは後で説明する! いいな? なのは、ユーノ」
「う、うん……」
「……何だかどんどん秘密が漏れていってるような……」
さり気に核心を突いてくるススムのまっすぐな視線から目をそらしながら、
なのは達は大きなため息を一つついた。
「と、とにかく上に行こう。さっきよりも魔力の気配が膨れ上がってる。急がなきゃ!
ススム君は僕達から離れないように、シンヤ、サポートしてあげて」
「うわぁ……ど、動物が喋った……」
「……あ、やっぱそこから説明しなきゃダメなのか」
シンヤは肩で大きく疲れを表しながらまた一つため息をついた。
「くっ……キャリバード! 聞こえているなら返事をしてくれ、キャリバードォッ!」
当の上の階では、鷲主のしもべであるキャリバードが渦巻く魔力の激流の中心に取り残されていた。
そう、鷲主が贈った石こそ他でもないジュエルシードであったのだ。
「駄目だ、これでは手が出せない!」
「なぜだ……やっと私達は戦うことの無い世界に辿り着いたと言うのに……」
「どうして、どうしてこんな事に……」
鷲主達三人の武者頑駄無達は突如としてキャリバードを包む魔力の渦から現出した怪鳥の群れから
そのフロアにいた人々を逃がしたものの、今は全く身動きがとれずにいた。
そんな彼らを振り返ることも無く、どこからか現れた
黒い衣に身を包んだ金髪の少女がそこに向かって歩み寄っていく。
「ロストロギア、ジュエルシード……」
「……! 逃げ遅れた子供がいたのか!?」
「君、早くここから逃げるんだ!」
18:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 20:40:09
しかし、彼らの声が全く聞こえていないかのようにその少女は淡々と己の精神を集中させる。
<<Scythe form set up>>
「申し訳ないけど、いただいていきます」
<<Arc Saber>>
少女の携えていた杖が、その先端の形を変え死神の振るうような大きな光の鎌へと変貌する。
そして次の瞬間、その鎌の刃を魔力の渦に向け、投射した。魔力の刃は渦とぶつかり、
激しい爆発を起こすがその渦は若干速度をゆるめた程度で微動だにしない。
「やっぱり、まだ足りない。バルディッシュ?」
<<Yes, sir>>
「な……!? 何をするんだ! あの中にはキャリバードが……や、やめてくれーっ!」
鷲主の悲痛な叫びを背に、その少女は次弾に備え、バルディッシュと呼ぶ手の中の杖に念をこめて
光の球体をその眼前に出現させ、その力を増幅させる。
<<Photon lancer>>
「……ファイア!」
「だめーっ!!」
球体はまるで砲台のように渦に向け、電撃を伴う金色の魔力の槍を発射した。
しかしその間に割って入った影が一つあった。防御魔法を展開させたなのはだ。
一撃を防がれた少女は動揺を見せず、冷静に乱入者の性質を分析する。
「インテリジェントデバイスを持った同系の魔導師……ロストロギアの探索者か」
「えっ?」
「間違いない……僕と同じ世界の住人……そしてこれは、ジュエルシードの正体を!?」
「ユーノ、じゃああいつが武ちゃ丸が言ってた奴に間違いないんだな!?」
「そうだ、ボクもあの子を見たことがある……今年の正月、道頓堀で!」
ススムはつい昨日のことであるかのように、武ちゃ丸と初めて会った日の事を振り返る。
そこには確かに稲妻を自在に操る黒衣の少女の記憶があった。
19:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 20:41:16
「ここか、さっき物凄い音がしたのは!?」
「ン……あれはなのはにシンヤ!? じゃあきっとユーノもいるな。それに……!」
「……ススム……!」
屋上から怪鳥を駆逐しつつ、その根源を追って来た武者丸と斗機丸がそこに合流を果たす。
しかし、なのは達と共にいるススムを目にした武者丸の表情は暗かった。
「大丈夫だったか、みんな!?」
「遅いぜ! どこで油売ってたんだよ、トッキー!」
「おいおい、武者鷲主に雷鳴頑駄無、紅蓮頑駄無までいるじゃねーか!
揃いも揃ってこんな事になるまで黙って見てたってのかよ!?」
「ムシャガンダム……仲間か。でも……遅かった」
そう呟いた少女の後ろで魔力の渦が集束し、他のものとは比較にならない魔力を迸らせる
禍々しい姿の青い魔鳥が姿を現した。
「キャ、キャリバード……!? まさか、お前なのか?」
「ジュエルシードが動物をコアとして暴走を始めたんだ! さっきのはその分身に過ぎない。
こうなったらシーリングモードで封印するしかないよ。なのは!」
「……邪魔はしないでほしい」
「!!」
再び金色の魔力刃を発生させ、今度は狙いをなのはに定め、その足元めがけ横薙ぎに斬りかかる少女。
レイジングハートはその攻撃に反応し、自信の判断でフライアーフィンを発生させて宙に舞い、
一の太刀を避けるがその行動は彼女に予測されていた。
なのはは先回りをした少女の上段からの斬撃を辛うじて受け止める。
至近距離で互いを見詰め合うなのはと黒衣の少女。
彼女の瞳はどこまでも暗く、どこか別の世界を見つめているかのように思わせた。
「何で……何で、急に、こんな……?」
「答えても……多分、意味は無い」
「くっ……!」
20:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 20:44:04
魔鳥は自分のことがほったらかしにされていることが気に食わなかったのか、
地の底から響くようなおぞましい鳴き声を上げ、自らの存在を誇示する。
「マズイ、奴が外に逃げる! みんな、追うぞ!」
「了解した! 雷鳴頑駄無達も……」
大きな翼をはためかせ、じわりじわりと空中に浮き上がり、
突風を起こし窓ガラスを割って矢のように外へ飛び出していく魔鳥。
斗機丸は手助けを願うべく三人に視線を向けるが、
皆一様に申し訳なさそうな顔をしつつ目をそらしてしまう。
「……くっ、皆すっかり武者魂を無くしちまったか!」
「いや、ここにはまだこの俺がいるぜ! 上に乗れ、武者丸!」
「その声、鋼丸か! ありがたい! なのは、ユーノ、そっちの方は任せたぜ!」
苛立ちを隠せず吐き捨てる武者丸の元に、窓越しに目牙守羽多(めがしゅーたー)形態の鋼丸が
そう話しかけ、飛行能力に欠ける武ちゃ丸の足場となって斗機丸とともに魔鳥を追って行った。
「武ちゃ丸……」
「あいつらなら心配いらねーよ。それよりさっさと安全な所に退避して無いと邪魔になっちまうぜ?」
「……ゴメン、ボク、やっぱり武ちゃ丸に謝らないと!」
「謝るって……お前があいつに謝ることがあんのかよ?」
「あるよ! 武ちゃ丸の気持ち、分かってたはずなのにボクは自分が会いたいと言うだけで
武ちゃ丸が一番ボクを遠ざけておきたい世界に足を踏み入れちゃったんだ。
そりゃ勿論武ちゃ丸にも謝ってもらわなくちゃだけど……まずはボクの気持ちを伝えないと!」
「ススム、お前……わーったよ、ユーノ、武ちゃ丸じゃないがなのははお前に任せたぜ」
「ちょ、ちょっとシンヤ! ススムさんも! ……なのは! 二人が通る! 道を開けて!」
ススムの決意に応え、その手をとって階段へと駆け出すシンヤ。
しかし、彼らに気をとられたその一瞬がなのはにとって命取りとなった。
「ごめんね……」
「えっ? きゃあっ!!」
「なのはっ!」
その一瞬を逃さず、少女は小さな謝罪の言葉と共に魔力の閃光でなのはを撃ち落とす。
ユーノは辛うじてその身を魔法で受け止めたものの、そちらの方に目を向けると
すでにその少女の姿は窓の外へと消えていた。
21:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 20:45:08
その外では魔鳥がその羽ばたきと共に衝撃波を放ちビルの窓に被害を与えながら
糸の切れた凧のように無秩序に飛び回り、武者丸達は見失わないようにするだけで精一杯であった。
「チッ、何て速さだよ! なぁ鋼丸さんよー、もっとスピードは出ないのか?」
「オイオイ、無理を言うな! こっちはデッドウェイトを乗っけてるんだぞ?」
「なーるほど、そっかー……って、それは俺の事かいっ!?」
「二人とも、漫才なら他所で……!? おい、この道をこのまま行くと……
ナツミさんの屋台のある広場に出てしまうぞ!?」
「な、マジかよ!? あそこには人や動物がいっぱいいるじゃねーか!」
「だが、無闇な攻撃は被害を拡大させるだけだ。相対速度を合わせないと当たるものも当たらんぞ」
「まともに追いつけないのにどうしろって言うんだよ、斗機丸!?」
「今それを考えてるんだ! 黙ってろ!」
武者丸と斗機丸が口論している間にも、願いはむなしく魔鳥は公園に差し掛かろうとする。
ビル街の様子から判断して、恐らく通過するだけでも相当の被害が出る事だろう。
万事休す……! しかし、その行く手を燃え上がる炎のような強烈な闘気がを阻んだ。
「来るなぁぁぁぁっ!!」
「あ、あれは……!」
「號斗丸の武者魂か!? す、すごい!」
「號斗丸、お前……武者魂を失ったはずじゃ……まさか本当は……?」
足を踏ん張り、両手から全ての力を放ち魔鳥の進行を防ぐ號斗丸。
その號斗丸のもとに騒ぎを聞きつけたナツミが駆けつけ、必死に號斗丸に訴えた。
「號斗丸さん、私の、私の屋台の事はもういいんです!
だからあなたは本来の自分に……武者に戻ってください!」
「ナツミさん……一度武者の力に頼ってしまったら、
俺はもうこの暮らしには……ラーメン屋には戻れないと思っている! だからナツミさん、
俺は鎧にも剣にも頼らず、この姿の號斗丸(オレ)で……キミを守りたい!!」
「……號斗丸さん……!」
22:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 20:46:18
「す、すげえ……あれが最も最強に近い武者と呼ばれる男の力かよ……!」
「だが、あのままではいずれ力尽きてしまうぞ! 今のうちに俺たちで何とか……」
「それには及ばない……」
不意に三人の後ろからか細い声がする。振り返ると、そこにはあの黒い衣の少女が様子を伺っていた。
「!? お、お前、何でここに……なのはをどうした!?」
「白い魔導師なら大丈夫。気を失ってるだけ。
けど勝負は私の勝ち……だから、あのジュエルシードは私のもの。
バルディッシュ、封印、行くよ」
<<Sealing form set up>>
「……捕獲!」
バルディッシュは蜻蛉のような四枚の光の翅を展開し、
魔鳥のコア、キャリバードが持つジュエルシードに向け魔力を放射する。
だが、そのアプローチが行なわれても、魔鳥は依然としてその巨大な翼をはためかせ続けていた。
「!? 魔法が通らない……やっぱりまだ足りなかった……」
「魚でも大物を釣る時はまず適当に遊ばせて弱らせてからって言うしな……だったら、行くぜ!」
「お、おい武者丸!?」
鋼丸から飛び降りる武者丸を追って、斗機丸もまた魔鳥へと突撃を仕掛ける。
「何も付き合う必要は無いんだぜ、斗機丸?」
「……あの少女の素性には不明な点が多いが、
堕悪闇軍団にジュエルシードを渡しておくよりはマシだと判断しただけだ」
「気が合うな、さっすが相棒!」
「茶化すな。同時に仕掛けるぞ!」
「おう! 行くぜ、道頓堀断裂灼熱斬!!」
「必殺! 大江戸刻閃斬!!」
地上から空中から、二人の必殺の一撃が敵を裂く。しかし……
「まだ再生するのか! なんてタフな奴だ!」
「前と同じか。やっぱりジュエルシード自体を封印しないとどうにもならねぇ!」
「……ならばその役目、俺が引き受けた!」
23:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 20:55:50
次回が楽しみすぎて死にそうだ。
何この燃え展開
24:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 21:08:01
一旦魔鳥がひるんだ事で自由になった號斗丸が相変わらず鎧も身に纏わず、
しかし強い威圧感を放つ瞳で相手を見つめ、再生を続ける魔鳥の前に立ち塞がった。
「我が心、炎水の境地なり……されど、この拳は烈火の如く!!」
俺のこの手が真っ赤に燃える! コアを掴めと轟き叫ぶ!!
鬼哭掃滅破、至近距離から持って行けぇぇぇぇっ!!」
全身から熱く闘気を迸らせ、右手に力を集中させて再生箇所の中心に飛び込む號斗丸。
数秒の間を置き、彼はその背中から両手で何かを掴んで飛び出してきた。
「ジュエルシードは外したか……だが、コアになってしまった動物はここに……!?
こ、こいつは鷲主のキャリバードじゃないか?」
「……そうか! わかったぜ皆、ジュエルシードはこいつの願いに反応したんだ!
腑抜けてしまったご主人様にもう一度武者魂を蘇らせようとして!」
「その通りだ……私は、私達は大きな過ちを犯してしまったのだ……」
意識を取り戻したキャリバードは號斗丸の手から鷲主の下へと羽ばたいていく。
先行していたススムとシンヤを伴って三人の武者たちがその場に姿を見せた。
「鷲主、お前……!」
「號斗丸、鋼丸、それに未来の武者と白き魔導師の少女……
私達は皆の戦う姿を見て真に大切なモノを取り戻した! 心に宿る、武者魂を!」
「鷲主、待っていたぜ、その言葉!」
「我が誇りにかけて、自分で蒔いた種は自分の手で刈り取る!
キャリバードよ、その真の姿を今ここに! 転身、マッハウィングフォーム!!」
そのかけ声に応え、キャリバードはその姿を一振りの大剣に変え、
鷲主もまた左肩の鎧を展開し、翼のように背負い大空へと舞い上がる。
「聖剣ウイングキャリバーよ、その刃に我が魂を移し、邪悪なる者を斬り裂け!
必殺! ファイナルスラッシュ!!」
ジュエルシードの魔力のみでその体を保つ魔鳥に向け、
平和ボケと決別した鷲主の必殺の一撃が炸裂した。
そして敵を再生させまいと他の二人も追い討ちをかける。
25:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 21:09:08
「平和とは溺れるものではない、自分達で勝ち取り、維持していくものだ! 鷲主殿に続け!
我が魂、七天星が『火』の力、その身で味わえ! 灼熱業火弾!」
「この九州は……私達だって守っているのです!
白鋼の雷牙よ、我が雷砲、稲妻に雷神の力を与えたまえ! 砕け、稲妻爆雷撃!!」
続いて無数の火炎弾が、稲光のような青い閃光が魔鳥を貫く。
もはや敵に抵抗する力は残されていなかった。
「……何かさぁ、動けない相手に最大火力の集中砲火ってえげつなくないか?」
この光景を目の当たりにし、何だか世の色んな物を否定する問題?発言をさらっとしてしまった武者丸。
月の無い夜道で桜色の閃光に背中から撃ち抜かれない事を祈ろう。
「さぁ、マドモアゼル! 仕上げを!」
「……いまいち状況に付いて行けないけど……」
<<No problem. This is good situation>>
「バ、バルディッシュ? 順応が早いね……とにかく、今度は外さない!」
半ば置いてけぼりの少女と対照的にノリノリの杖。
内心こんな子だったっけ……?と思いつつ少女は再び封印の魔法をジュエルシードにぶつけ、
ジュエルシードはその本来の姿を取り戻し、無事少女の杖に封印された。
「捕獲、完了」
「あ! ま、待つんだ!」
ジュエルシードの封印を確認すると、少女は即座に飛び去ろうとするが、
情報を集めておきたい斗機丸は彼女にいくつか質問をぶつける。
何しろ敵か味方かで言うと敵の可能性の方が幾分か高い相手なのだ。
「君は一体何者なんだ? そのジュエルシードで何をしようとしているんだ!?」
「それは言わなくてもいい事。もし今後邪魔をするならその時は実力で排除します。それと……」
「それと?」
「どうして私を信じたの? 私はあなたの鳥をひどい目にあわせたかもしれなかったのに……」
少女は鷲主とキャリバードの方を見て逆に問いかける。
「簡単な事ですよマドモアゼル。最初から破壊が目的なら相手に向かって謝罪などしませんからね」
その答えに得心したのか、今度こそ彼女は去って行った。結局何一つ情報を得る事は出来なかったし、
やはり今後衝突は避けられない相手であろう事実を再確認したにとどまったが、
誰もが皆彼女に対して単純にネガティブな印象を抱くことは出来なかった。
26:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 21:10:17
「じゃあ、結局ジュエルシードは……」
「今回の最終的な決断を下したのは俺だ。すまないユーノ、君の足を引っ張ってしまって……」
「いえ。現時点で脅威的な度合いが高いと言えるのは明らかに堕悪闇軍団の方ですし、
それほど誤った判断ではなかったと僕も思います」
戦い終わって陽が暮れて。トッキーとユーノは戦闘の余波で散らかってしまった公園を清掃しつつ、
それぞれの状況を確認しあっていた。
「そう言ってくれると少しは気が楽になるよ……ところで、なのははどうしている?」
「まだ気を失ってます。今はシンヤが見てくれてるから大丈夫だけど……」
「そうか……ショックを受けてなければいいんだが……」
「彼女、表面上は大丈夫そうに見えても、やせがまんしたり、
いろいろ溜め込んで無理して自爆してしまうタイプだから僕らが気をつけないと」
「そうなのか……なぁユーノ、今日みたいに彼女に何かあったら側でしっかり支えてやれ」
トッキーは一旦竹箒を置き、ちりとりを支えるユーノにいつもより真剣な顔をして話しかける。
「互いの欠けている部分を補いあえるパートナーがいる限り、どんな事があっても乗り越えられる。
忘れるな、コンビを組む以上は二人で一人……相棒は自らの半身だって事をな」
「……なんだかトッキーさんと武ちゃ丸の事を言ってるみたいですね」
「俺と武者丸? ハハッ、そうかもな……個人的には全否定したい意見だが」
「ス、スミマセン……ところで武ちゃ丸、ススムさんと仲直りできてるんでしょうか?」
武ちゃ丸とススムが未だに仲直りできていないことを思い出し、不安そうに尋ねるユーノ。
しかし、再び竹箒を手にしたトッキーは何でも無さげな顔で余裕たっぷりにこう答えた。
「なに、大丈夫さ。あいつは喧嘩をすることはあっても、友を裏切った事は一度も無いからな」
同じ公園にある池のほとり。
武ちゃ丸とススムは話をつけるために二人きりでベンチに並んで座っていた。
「武ちゃ丸……ごめん。キミの気持ち、わかってたはずなのに、ボクは……」
「…………」
「けど、黙って見ていられなかったんだ! だって、ボクはキミの……一番の友達のつもりだから!
だから……黙っていなくなるなんて事……するなよ……」
「…………」
「……武ちゃ丸?」
ずっと憮然とした態度を崩さずにいた武ちゃ丸は急に勢いをつけ、ベンチから飛び降りる。
そしてススムの方を振り返り、少し言いにくそうにしていたが思い切ってその口を開いた。
27:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 21:11:55
「あー、ハラ減ったなー。こんな時はタコ焼きが一番やで!
どっかに焼きたてのタコ焼き食べさせてくれるトコあらへんかなー?」
「……!」
「……ワイの方こそゴメンな、シュシュム。
しんどい目ぇに会うてわざわざ来てくれたっちゅうのに……
ホンマは嬉しかったんやで? ワイとシュシュム、揃って初めて日本一のタコ焼き屋やさかいな!」
「うん! 待ってて武ちゃ丸、すぐに最高の奴を作るよ! だから戻ろう、みんなの所に!」
「よっしゃーっ!! 夢にまで見たシュシュムのタコ焼きやで!」
「よーし、みんなの所まで競争だ! 負けないぞーっ!」
ほんのちょっとの意地の張り合いが生んだすれ違い。
喧嘩の後は雨降って地固まる。二人の絆は前よりも少し固くなった事を感じていた。
「……遅かったな、武者丸。話は済んだのか?」
「勿論や! 號斗丸、お前さんらのほうはどないや?」
「うむ……その事も含めて、俺から皆に伝えなければならない事があるんだ」
「何や、あらたまって? もうハラ減ってしゃーないわ。言いたい事があるならはよ言うてや!」
號斗丸は片付けも一段落して集まった一同を前に、
屋台の片付けを続けるナツミを背景に神妙な面持ちでゆっくりとその口を開く。
「わかった……皆、聞いてくれ! 俺は……俺は武者をやめる!」
「何やそんな事か。武者やめるくらいでそんな勿体振らんでも……って、うえぇーっ!?」
全ての武者の中で最強と呼ばれ、そして最も熱い男の爆弾発言はその衝撃も最も強かった。
28:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/23 21:13:18
次回予告(ねくすとぷれびゅう)
「俺は武者をやめるぞ、Mushamaruゥゥゥゥッ! URYYYYYYYYYッ!!」
「いやそれ全然違うから、それじゃどっかの吸血鬼だから!」
「波紋を呼ぶ號斗丸の衝撃発言、謎の黒衣の魔法少女となのはの葛藤!」
「マイクを握る紅い武者の正体は、そして最後の夢者遊撃隊、鎧丸の行方は!?」
「ワイらのホンマの戦いは真の目的地、名古屋から始まる!」
「次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之拾壱!!」
「『勇気は明日への道標なの』!」
「リリカルマジカル、貴様は今までに食べたタコ焼きの数を覚えているのか?」
「聞きたいんか? 昨日までの時点で88888個や」
「適当な事言っても駄目!」
登場武者符亜意留(ふぁいる)
武者鷲主 [ムシャローズ]
出典:新SD戦国伝 超機動大将軍編
モデル:ガンダムローズ
誇り高く、正々堂々とした決闘を好む華麗なる高潔な騎士。
騎士ガンダムの世界、スダ・ドアカ・ワールドから航海の最中に遭難、天宮に漂着した。
その時自分を助けた飛駆鳥大将軍に恩義を感じ、頑駄無軍団の武者として彼に仕えるが
飛駆鳥が密かに魔星大将軍に成り代わられてから圧政を敷く頑駄無軍団に疑問を持ち、
討伐の命を下されていた相手、武者號斗丸に協力し闘覇五人衆の一人として戦う。
キャリバードという大剣ウィングキャリバーに化身する鳥を常に連れ歩いている。
必殺技はそのウィングキャリバーから繰り出すエネルギー衝撃波「ファイナルスラッシュ」。
その他、ミディアなどある程度故郷の回復魔法も使いこなす事が出来る。
後にその力を認められ、闘覇四天王「密林の鷲主」の称号と鎧を授かる。
日本では長崎のカステラ屋に勤務し、平和に溺れ武者魂が衰えてしまっていたが、
盟友號斗丸達の奮戦とキャリバードの願いを目の当たりにして戦線に復帰した。
29:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 21:17:08
ちょwww
ジョジョかよ
今回も笑ったので敗北……orz
30:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 21:37:40
ノリノリバルディッシュに麦茶噴いた
無印Asだとクロ助ですら14…
AW戦後組(キッド以外)より年下だわな
31:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 21:59:56
SDだと逆に9歳が生きてるなぁ、としみじみ思うわ
32:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 22:53:39
ポケ戦に絡ませようかと思ったが
あれは男の子だから引き立つとも思う。
なのはさんじゃ、アレックスを瞬殺しかねませんね
33:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:01:02
>>32
星屑か、08は如何だろうか?
34:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:04:44
>>33
激しくじゅ~すぃ~の悪寒
35:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:12:39
とりあえず、武者GJ
星屑→ニナが……
08→StSじゃないと厳しいか
36:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:32:01
密林だとBJが暑そうです。
九歳児をあんな泥臭い戦場に放り込むとか
どんだけ鬼畜ですか
37:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:36:23
>>36
STSだったいけるんじゃないか?
もしくは、ASエピまでの空白の時間
38:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:38:43
シローはなのはに拾わせ、アイナは八神家かプレシア側に置くとか。
39:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:41:18
アイナは八神家のほうがいいのではないかと。
プレシアがアイナを保護するとは考えにくい
40:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:42:21
八神家にアイナが来たらシャマルの立場が消える
かといってシローを入れてもイマイチ
はやての主治医がカレンさんだったらお前らどうするよ
41:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:43:54
プレシアのとこにアイナがいたら
リニスさんになっちまうぽ
42:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:45:26
シローとアイナは夫婦揃って管理局サイドに、
八神家にはノリスかギニアスでどうよ?
43:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:47:46
ユーリに決まっとる。
44:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:48:07
ノリスが孫(血のつながりないけどね!)の顔を見れるのか。
45:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:48:24
死神サンダースじゃないの
46:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:50:41
八神家騎士団にユーリ・ケラーネの部下が追加されるのか
47:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:53:31
男くせぇ八神家www
48:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:57:09
暑苦しすぎるだろwwwww
49:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:58:44
じゃあホワイトディンゴin八神家で
50:通常の名無しさんの3倍
07/07/23 23:58:47
なんか、空族とシータの飯が思い浮かんだ
51:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:00:41
マフティーin八神家はどうよ
52:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:01:38
あれ?
三人の前衛と支援車両って
まんま八神家騎士団じゃね?
53:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:01:59
管理局施設に対してにテロ実行か、そして演説。
54:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:02:37
暑苦しくなけりゃいいんだな?
じゃあシュラク隊in八神家で
55:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:05:12
ネネカ隊in八神家しかないだろう、常識的に考えて。
56:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:06:50
死んだ順番に海鳴で復活するのか?
57:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:06:54
八神家ってドンだけ広いんだよww
58:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:07:53
Vガンで死んだ人たちin八神家
59:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:08:37
何万人収容させる気だwww
60:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:13:43
エニル姉さんin八神家
デバイス名は「エスペランサ」
瑠璃色の甲冑をまとい戦場に立つ
「あの子は私の『希望』。
奪わせはしない!」
61:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:20:16
>>45
「私にいい考えがある」と言って一人高台に上ったところを落とされる姿がw
62:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:25:24
コジマ大隊丸ごとなら間違いなくStSだな
とりあえず、コジマ大隊の主要メンバーを管理局陸士部隊に当てはめてみるテスト
イーサン・ライヤー大佐:一等陸佐
コジマ中佐:二等陸佐
ジダン・ニッカード大尉:一等陸尉
シロー・アマダ:三等陸尉
カレン・ジョシュワ曹長:陸曹長
テリー・サンダースJr.:陸曹
エレドア・マシス伍長、ミケル・ニノリッチ伍長:一等陸士
63:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:31:46
イーサンは間違いなく中将の犬だな
ナカジマ陸佐とコジマ陸佐が一緒に飲んでるとかありそう
64:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:39:07
>>61
それだとギニアスが永遠のNO.2になるじゃないかw
65:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:42:10
むしろイーサン切り捨てて
コジマ陸佐の「私はクーラーが苦手でしてな」を
中将に向かって言わせりゃいいんじゃね?
66:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:52:02
今時「クーラー」って、どんだけぇ~
67:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 00:55:26
エアコンも苦手ぽ
68:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 02:04:48
…出遅れたらしい
08で盛り上がりすぎだろ、コレ
69:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 09:23:38
で、ヴァイスがジムスナイパーで狙撃する役なわけだな?
70:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 12:36:53
つ「融合型デバイス GMスナイパー」
もちろんヴァイスがジムスナイパーの格好するだけだが
71:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 12:40:21
>>70
08なら外付けのジェネレーターも必要だろw
72:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 18:32:51
ヴァイス大活躍しそうだなw
73:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 18:44:08
アホキャラなのにな
74:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 19:01:12
クルツみたいにやる時はやる男なんだよ、ヴァイスはwwきっと
75:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 19:33:11
あれを外すようじゃヴァイスはクルツの地下100mにも及ばんよ。
それに魔力の弾って風の影響受けるのか?受けないならとんでもないヤブということになるが。
76:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 19:53:37
見てないからなんとも言えない俺
DVD!DVD!
77:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 20:27:33
ルキノとかアルトが出撃の時に応援くれたら
俺はきっと幸せ
うん、報われない脇役は好きなんだ
78:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 20:40:48
脇役ズ、ガンダムだったら普通にメイン級だよな…
79:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 20:58:08
アースラスタッフのモブだけでエロゲ作れるだろ
80:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:14:24
というか、モブしか男いねぇよw
81:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:20:09
淫獣
パパ
兄貴
黒助
アレックスとランディとギャレオ(誰?)
犬
爺
あれ…これだけ?
82:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:20:24
アルフ……
83:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:30:10
>>82
お、お前にはアルフが男に見えたのかww
84:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:37:01
>>81の犬をアルフと勘違いしたんじゃね?
85:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:42:40
ロケット乳
86:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:49:37
>>81
三期じゃほんとそいつら出番ねーなあ…
87:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 21:50:13
ぶっちゃけ
アルフみたいのを使い魔にできるなら、
地球での人生捨ててもいいよね
88:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 22:06:51
ザッフィーを守護獣できるならアッー
89:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 22:47:20
ネガティブ管理局vsデラーズフリート
は止めよう
90:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:10:53
魔法少女リリカルオペレーションメテオ-外伝-前編
地球圏統一連合はその成立から軍事色の強いモノであった。
コロニー建造における各国の疲弊から起こる度重なる紛争を一気に解決する手段
として地球圏統一連合を創設したものの勢力拡大に伴い連合こそが巨大な支配組織
に変貌してしまい主力MSリーオーの宇宙配備が完了した頃には
スペースコロニーの軍事占領にまで至ってしまった。
一方でプロトタイプリーオーの概念が提案された頃に連合傘下の深宇宙開発局では
遅々として進まない火星開発を打開するために莫大な予算を投入し空間転移を可能せしむる
フォールドシステムの初実験に成功した。
だが旧冥王星軌道からでも快調に地球へ通信出来る筈の小型探査機の幾つかが未知の時空
に消えていた事に対して疑念を抱いた技術者はおらず問題も後におおむね解決されたため
連合上層部は開発局の意見を少しは汲む形で全長がMS輸送船に匹敵する実用型フォールドシステム
を搭載した深宇宙探査船ピースミリオンと超大型宇宙戦艦リーブラの建造を承認した。
だが起工一年目に巨大過ぎるリーブラの推進系に致命的な欠陥が発見されたため予定が大幅に遅延し
改修に三年もの歳月を要したため本来は2番艦のピースミリオンに人員と建造資材が優遇され
工期繰り上げであっさり進水してしまった。
だがその頃の連合上層部は威信をかけて建造したピースミリオンが破滅の引き金になるとは思いもしていなかった
91:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:11:56
アフターコロニー175年―新暦56年
フォールドの白光に包まれ宇宙ですらない空間に放り込まれた直後からピースミリオンが傍受できる
あらゆる周波数において意味不明の通信が湯水のように溢れている。
何しろ受信できるモノも言語すら判読不能なのである。
さらにいえばノイズにしか聞こえない凄まじい高出力雑音が全帯域に満ちている。
確かに電波は出ているのだがピースミリオンのメインコンピューターの性能では通信を解析できないのだ
困った事に実は親の七光りを凄く気にしていたセプテム大佐だけが渇を飛ばしていた
「早くフォールドシステムの修復と原因解明を急げ。地球への帰還方法を見付けねば我々は干上がる」
フォールドシステム責任者が官僚的答弁を始める
「メインユニットは過負荷で爆発しましたが予備部品は多量にありますので組み立てる時間さえあれば何とかなります
原因としては何の事はありません。単純にピースミリオンの巨大さを計算に入れ忘れていました。
今居る現在地が判明すれば座標計算が行えますので地球圏帰還の目処が立ちます。
なにぶんアラスカの実験施設ではリーオーを月軌道に転送するのが精一杯だったもので」
………………10秒後
血管を額に浮き上がらせて絶叫しようとしたセプテム大佐を艦長が宥めるように発言する
「お願いですから大佐落ち着いて下さい。備蓄物資は使い込んでも
半年は持ちますし艦内工廠でリーオーの部品と弾薬も供給できます」
だが少々落ち着いたセプテム大佐が危なげな発言をし始めた
「そうか、それならばリーオーの警戒機数を今の倍に増やしたまえ。ドラゴスの反応弾頭の使用も許可する」
会議室に通信士官から絶叫に近い報告が届いたのはその時である
「敵艦発見!単艦で接近中です!」
皆とうとう来る時が来たと覚悟を決めた
「動けるリーオーは全部出せ!ドラゴスも甲板に上げろ」
92:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:13:04
その頃ピースミリオンの出現を探知して警告通信を送ったが無視されたため接近していた
時空管理局巡洋艦ルクレシオンは目の前の巨艦に呆然としていた。
何故なら所属不明の全長1500㍍以上の超大型艦など見た事も噂も聞いた事が無かったからだ
当然ながら非管理世界の蛮族のフネだとは思いもしていない
一方ピースミリオンも光学観測で確認していたので通信は送っていた。
だが地球圏統一連合と時空管理局の通信技術は狼煙とデジタル暗号通信ほどの
格差があるためにお互いこれっぽっちも伝わらない。
「彼等は何者でしょうか?艦載機が持っているのは幻の質量兵器のようにも見えますが?」
創設時の実体弾兵器禁止規定に基ずきミサイル銃砲の類を時空管理局は全て放棄したため製造能力は既に失われていた。
トドメとして概念すら抹消しようとしたため現在では博物館にすら現物は残されてはいない。
「やはり直接乗り込んで話し合うしかないな」
そんなこんなで魔術師一人が臨検に向かったが
魔法の存在を否定して憚らない連合の兵士にはそれがマズカッタ
たまたま出撃していたピースミリオン第24哨戒小隊に所属する一人は
宇宙服無しで平然としている魔術師を見て発狂した
「アストロスーツを着ていない人間が生きている筈が無い……ブツブツブツ」
リーオーはパイロットの意思通りにドーバーガンの照準を調整してゆく
「止めろ!早く押さえるんだ!」
だが小隊長がそう叫んだ直後にリーオーは発砲した。
――ゴッ!
デバイスの防御魔法のおかげで分厚いコロニー外壁を一撃で貫通する破壊力にしては
随分とショボい威力を発揮したがそれでも人間を殺すには十分だった。
「リーオー発砲!敵兵は戦死した模様…」
あまりに異常な事態が続いていたためにセプテム大佐は疲れていた。
「何をバカな事を!全機攻撃用意!!集中砲火で撃沈する!」
即座にリーオー部隊が発砲を開始し間を置いて甲板上に展開したドラゴスと
ピースミリオン主砲も攻撃を始めた。
93:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:14:11
ルクレシオン艦橋
「騙し討ちか!返り討ちにしろ!」
接近していたリーオーの半数ほどが腹立ち紛れの対空砲火で破壊され
残りも半壊してあらぬ方向に流されていった。
ルクレシオンはピースミリオンを時空魔導砲アルカンシェルで殲滅するために最大出力でチャージを始める
その間にも無数の砲弾や大小のビームが山ほど着弾していたがディストーションフィールド
を持つ艦船には効く筈が無い。バリアを張っているため攻撃の密度は下がったが次第に数を減らしてゆく
リーオーのパイロットが絶叫する
「これだけ命中してが効かぬ筈が無い!フネならば沈む筈だ!」
「隊長!直接仕留めます!」
血気盛んな新米が興奮してルクレシオンに突っ込んでいった
だがその時ルクレシオンのバリアは主砲チャージの影響で出力が低下していたため
リーオーが粉砕される事も無く光の壁が浮き上がって突破するのに成功し船に取り付いた
「やったやったぞ!」
トリガーハッピーと化して興奮しながらマシンガンを装甲の薄いアルカンシェル本体や
艦橋に向かって乱射している最中に追い付いた20機以上のリーオーが
推進部にゼロ距離射撃を敢行しルクレシオンは沈黙した。
事の一部始終をハッキングした端末から見ていた博士5人衆
は大破漂流しているルクレシオンへの興味とコロニーへの先行き不安に思いを巡らせていた
「所詮は弱肉強食じゃのう。」(ドクターJ)
「コロニーを占領した連合ならばこうなるのも必然か」(プロフェッサーG)
この戦闘から2ヵ月後に中破しパイロットが餓死した漂流中のリーオーが拿捕され
記録されていた航路データによって地球圏統一連合はフォールドシステムの存在を
察知した時空管理局に宣戦布告をする事となる
94:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:15:59
久しぶりに見たらスレ落ちしてたorz
まだ残ってると思ったのに。
ここまでが前スレ分の前編
95:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:20:25
魔法少女リリカルオペレーションメテオ-外伝-中編
時空間のなか、スペースコロニーがヨットに見えてくるような
超巨大宇宙ステーションが時空管理局本局である。
会議室の大型スクリーンにはルクレシオンが大破する直前までの
ピースミリオンとの戦闘シーンが映写されている
リーオーのビームライフルに撃破される魔術師
軽量とは言え被弾し核融合炉が暴走中の全長十メートル以上のリーオーに
そのまま轢き潰されて爆発に巻き込まれる魔術師
魔術師の攻撃魔法がリーオーを射抜くと、敵が化け物でない事に安心した幹部一同の頬が緩んだ。
スクリーンには幾条ものビームが筋を引き。撃破されたリーオーの爆光が煌めいていた。
と、マシンガンを乱射するリーオーのアップで映像はストップモーションになった。
「なんだ、今の武器は!?」
幹部の一人が驚いて言う
「さぁ………」
眉を潜めたオブザーバーの技官は、遠い昔に見た資料を思い出してハッとした
「ま、まさか………」
「なんだ?」
「いえ、そんな筈は」
幹部が口篭った技官を睨み付ける
「この巨大艦が管理局の存在を知らない世界の代物とでも言うつもりか?」
「まさか連中が………」
「自力で辿り着いたと考えられます」
「バカな!未開の種族が時空航行技術を持っているなどとは信じられん」
「事実です。さすれば先ほどの映像も可能性が出てきます……幻の……」
驚愕のあまり列席者の声がハモった
「質量兵器か!!!!」
「とにかく、あの船を捕獲して調査する必要がありそうです」
96:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:21:34
鹵獲したルクレシオンを甲板に載せた深宇宙探査船ピースミリオンの通路で
艦隊司令のセプテム大佐が苦虫を噛み潰した顔で唸っていた。
―父上どうすれば―
すれちがう兵士達が敬礼するが反応は鈍かった。
宇宙空母ピースミリオンはフォールドした事により
通常空間に戻れなくなってしまったのだ。
セプテムは神妙な顔をしながら研究室に入った。
技術長が、正面の大型パネルに向かっている
セプテムが歩み寄り
「どうだ、フォールドシステムは復旧できそうかね?」
技術長は振り返ると敬礼しながら立ち上がった
「これをご覧ください」
パネルに据え付け中のよく分からない機械と動力炉が映し出される
「これが敵艦の魔力炉で、こちらが敵のフォールドシステムです」
指を刺して説明を続ける
「この鹵獲品が本当に動くのかね」
「はい、ドクターJによれば試運転には成功したそうです」
「なるほど」
「しかし問題はルクレシオンの航法システムを
解析しなければ地球圏に帰還できない事です。」
「ウム……どの程度の見積もりなのかね」
突然モニターが切り替わってドクターJの顔が全面に表示される
「心配要らんぞい。もうできとる、帰還した時の地球圏の安全は保障できんがな」
「構わん。座して死を待つわけには逝かんのだ。」
97:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:22:39
情報が大モニターに表示され通信士官が報告する
「後方に出現した未確認物体が急速接近中、敵艦隊です!」
セプテム大佐が厳しいシワを眉間にきざんだ。
「とうとうきたか!ただちに応戦体制だ」
通信士官は答えてマイクに向かう。
「敵機襲来!リーオー隊、全機スクランブル!
繰り返すリーオー隊全機スクランブル!」
艦内放送がMS格納庫に響く、整備員が必死で走り
駆け付けたパイロット達がコックピットに飛び込んでいく
リーオーはエレベーターで発進口へドラゴスは甲板へと押し出されていく
時空管理局の追撃艦隊は有効射程圏内に突入していた。
多くの魔術師が発進と言うよりも射出されていく
迎え撃つリーオーとの間で激しい戦闘が始まる
飛び交うビームは入り乱れながら瞬時にして空間を走り抜ける
爆発が点々としみのような光を滲ませる。
だが時空間での戦いは魔術師側に分があった
何しろ地上とは比べ物にならぬほど双方のスピードが速い
また彼らは空間戦闘に慣れていた。反面リーオー隊はMS隊創設時から
主な敵は宇宙機雷と戦車と航空機だけであり宇宙での空間戦闘すら
想定されていなかった為錬度はかなり低い。
「くそっ!アストロスーツの分際ですごい機動性だ!」
コロニー制圧作戦に参加したベテランも唇を噛む
それでも一人、また一人と打ち抜いていった。
98:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:24:10
追撃艦隊はピースミリオンに向けビームを放射した。
魔術師群は徐々にリーオー隊を押しやり、今やピースミリオンの鼻先で
激しい戦闘が繰り広げられていた
ビームは数機のリーオーを粉砕しピースミリオンに迫った。
砲撃の束は艦体すれすれに走りぬけ、ちょうどピースミリオン真上に居た
リーオーが餌食となった。
「いまのは!?」
セプテムが声を上げる
「敵の砲撃です!」
艦長が答え終わったとき、ピースミリオン艦上に降り立った魔術師が攻撃を始めた
ピースミリオンのあちこちや運の悪いドラゴスが爆発したが
旋回を終えた甲板配備のドラゴスの砲撃で魔術師は粉砕された
「攻撃システムの一部が損傷!しかし誘爆の危険なし!切り抜けられます!」
通信士官がタメージコントロール室からの通信を報告する
「頼むぞ!」
セプテムの声にも力がこもった。
だが敵艦の攻撃はまだ終わっていなかった。
突き出された砲身がピースミリオンに向けられていた。
砲身バレル内で光粒子が渦を巻き始める
やがて熟した白色の太いビームが闇を裂いた。
激震は乗組員に体を支える余裕すら与えない。
「グッ……」
運悪く立っていたセプテム大佐は司令椅子に体をぶつけて呻いていた
ビームは狙い通り完全破壊されない程度に船を掠めたのだ。
この攻撃で甲板に乗っていたルクレシオンは溶けた金属の何かになって千切れて離れていった
椅子から放り出されたオペレーター達が呻きながら持ち場に戻る
「ドラゴス隊壊滅!主砲の半数が損傷しました!即時修理不可能です!」
オペレーター達が損傷を早口に言い、
「第四機関区破壊状態!」
エンジンに損害が及んでいる事まで判明した
99:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/24 23:25:19
「よっよし……」
動揺したセプテム大佐が痛みに呻きながら長官椅子に腰を落とし、
「全乗組員とパイロットに告ぐ!フォールド航行準備!」
艦長がえっとなってセプテム大佐を見た。さらに続けて
「本艦はこれより地球圏に帰還する!」
艦長が声を上げ
「落ち着いてください。まだテストもしていない状態ですぞ」
「早くしろ!今度攻撃を受けたら最後だぞ!」
通信士官はマイクをつかむ
「全MSに告ぐ!全MSに告ぐ!フォールドシステム起動準備に入ります!」
「フォールド開始三分前!直ちに甲板上に退避して下さい!」
戦闘を続けていた部隊も通信を聞いて全力でピースミリオンに退避してゆく
「始動一分前!」
オペレーターがカウントダウンを続ける中で
セプテムは目に入る範囲で一同にすばやく視線を走らせる
「各セクション、異常ないか!?」
オペレーターが振り向き
「残存リーオーは全機甲板に取り付いて防衛戦闘中、なんとかなる筈です」
「よろしい、使用可能な戦略ミサイル発射菅を全て開きたまえ、信管無制限!」
その間にもピースミリオン前方に回り込んだL級巡洋艦がビームの再チャージを始める
セプテム大佐が命令を下す
「今だ!全反応弾発射!」
地球圏統一連合のミサイル衛星に装備されているコロニー殲滅用の最終兵器
が白煙を噴きながらピースミリオンを離れ、敵艦に向かってゆく
「始動5秒前………3,2,1、ゼロ!」
ピースミリオンが転移した直後にバリアが解除されたビーム発射態勢のL級巡洋艦に
無数の大型ミサイルが向かってゆき次々と着弾する。最初の核爆発には耐えたが
次々と命中する戦略反応弾には抗えず船体が爆散した。
戦闘によって殆どボロ舟のような有様になったピースミリオンが月の外側に出現する。
「フォールドアウト確認、地球圏に帰還できたのかは調査待ちです。」
通信士官が不信感を露にしながら警戒している
艦橋と言っても異様に広い室内のモニターに見覚えのある宇宙コロニーと地球が映写された
「地球……帰ってきたんだ!」
普段は我を出さないオペレーター達も帰還の喜びで絶唱していた。
「地球!地球!地球!」
コロニーや月生まれも多かったが嬉し過ぎてあまり気にしてはいない
セプテム大佐は柄にも無く死にそうな時のために隠し持っていた葉巻に火をつけた。
暗澹たる先行きに思いを馳せつつ葉巻の濃厚な煙が蒸せる。
100:通常の名無しさんの3倍
07/07/24 23:37:49
支援要る?
101:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/25 00:26:04
いつ書き終わるんだろうか。本編行きたいのに
最後まで〆なきゃならんからえらい長い
102:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 00:28:39
とりあえず、投下終わらせる時は
一言いれとき
103:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/25 00:29:28
>>102投稿し過ぎでアク禁されたorz
104:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 00:33:53
10レスカウントしてたっけ
まぁあれだ
っケータイ
105:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 00:39:30
なんという泥沼…間違いなくセプテムの首は飛ぶ。
106:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/25 00:42:47
>>105そんな生温くないよ。後編は来週になると思う。
107:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 00:53:22
>>106
どこまで行くんだ!?www
ついでに使えそうな設定を伝えておく。
非殺傷設定の魔法で魔力のない生物を攻撃するとショック死する。
非殺傷というのはあくまで物理面のみで、魔力のない奴が非殺傷設定の魔法をくらうと
魔力という盾による減衰がないので身体的負担が大きくなるからだそうだ。
108:811 ◆7UgIeewWy6
07/07/25 01:07:36
>>107なるほど。動力炉と装甲でできてるMS相手じゃ非殺傷は無理だな
109:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:10:58
ようやく帰ってきました。
前回「8話の投下は週末」と予告しておきながら気づけば水曜日。
野暮用が野暮用では無くなり、執筆時間を大幅に奪われている次第。
そんな状況ですが「月に花 地には魔法」第8話投下します。
全然話が進まないぜ…。
日常パートをスキップしたいとか思いつつ、スキップしたらまずい。
110:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:13:04
ロランが海鳴市の海岸で鯨を見つけようと目を凝らしている頃、グレアムは脇にいる愛娘に指示を出しながら、
モニターの向こうで横たわる巨人に視線を向けた。
「最重要機密ですか、父さま」
「そうだアリア。『ターンA』に関する全ての情報を最重要機密扱いとする。調査班及び関係スタッフ全員に徹底させろ」
アースラクルーがグレアムの故郷に捜査本部を置いて以降、彼の指揮下でロランから託された『ターンA』の調査及び整備が行われる手筈だったが、
一番に行われたことは「『ターンA』に関する情報の一切を外部に漏れないように遮断することだった。
「確かに『ターンA』は謎が多い代物ですが、そこまでする必要がありますか?」
思わず事務的な口調になるリーゼアリアにグレアムは表情を変えないまま答えた。
「ああ、ロラン君からの情報が真実ならそれだけする必要があるだろう。それに下手に情報を流して厄介事になっては計画に関わる。
『ターンA』の戦力が実用に耐えないならそれまで。だが…」
そこで言葉を切って、グレアムは静かな笑みを浮かべた。
「もし『ターンA』の戦力が期待通りなら、計画をより良い方向へ向かわせることができる。引き続き『ターンA』を頼む」
「わかりました。それとロッテは予定通りに行動を開始しました」
満足そうな父親の顔にリーゼアリアは喜びを感じつつ、報告を続ける。
「よし、なのは君達のデバイスの修理は順調だったな。修理と『ターンA』の起動。どちらかが達成され次第、行動を始めよう」
「はい、父さま」
11年前の出来事に縛られていることには彼自身気づいていたが、だからといって立ち止まるわけにはいかない。
グレアムがモニターの映像を切る寸前、ナノマシンに覆われた『ターンA』のメインアイが静かに光ったがそれに彼は気づかなかった。
111:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:14:09
「月に花 地には魔法」
from Called ∀ Gundam & Magical Girl Lyrical Nanoha A's
第8話 12月11日
八神家の朝は、家主である八神はやてが朝食を作り始めることから始まる。
そして同居人達が次々と起き始め、共に朝食を食べる。それが彼女にとって具体的な幸せの実感であり、
長らく忘れていた家族団欒の具現だった。
「シグナムは9時から剣道の稽古やったよな?ヴィータも老人会のゲートボールに参加するんやろ?二人とも弁当用意してあるからな」
「ありがとうございます」
「ありがとう!はやて」
落ち着いた物腰で凛々しいという表現が似合う女性、シグナムが静かに礼を述べると同時に
快活な赤髪の少女、ヴィータが元気一杯を体現するように返事をした。
「ヴィータちゃん、落ち着いて食べないとまた口の中を噛むわよ」
ショートボブの女性、シャマルはたしなめるようなことを言いつつも、ほんわかとした表情からは怒った様子は見受けられない。
「うるせー!はやての作ったご飯はうまいんだよ」
「ヴィータ、慌てて食べなくてもおかわりあるからな。ザフィーラもたくさん食べや」
犬というには大型な動物がゆっくり頷き、またご飯を食べ始める。
(幸せや。こんな毎日がずっと続けばええのに…)
少女のそんなささやかな願いは突然やってきた家族によって満たされたが、
その家族達がこの願いを叶え続けるために夜な夜な戦っていることを彼女は知らなかった。
112:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:15:48
シグナムとヴィータは、それぞれの目的地に向かう間魔力を使った遠隔会話を行っていたが、その表情に食事の団欒時のような柔らかさは無い。
あるのは騎士としての責務と使命に邁進する守護者の顔。
だが、片方には疑念が。もう一方には達観の念がそれぞれの顔に浮かんでいた。
「やっぱりおかしくねぇか?蒐集した魔力分以上のページが増えるなんてこと、今まで無かった。それなのに今じゃ1日に1ページくらいは勝手にページが増えてる」
「確かに奇妙だが、『闇の書』と繋がっている我々が何も感じられないのだ。そうである以上、現時点で我々が打つ手は無い」
「そりゃそうだけどよ…」
ヴィータが気にしているのは『闇の書』のページ数と蒐集したリンカーコアの魔力量が一致しないことである。
『闇の書』は魔導師の魔力の源であるリンカーコアを食い、その魔力を糧としてページを増やす。
少なくとも自分を含めた守護騎士はそう思っているし、『闇の書』と繋がっている以上間違いは無い。
それ故に蒐集した魔力値以上のページが増えるはずはない、はずなのだが現実としてページは増えていた。
「仮に我々が感知できない方法で『闇の書』が魔力を蒐集していたとしても、それを止める手段は無いし、止める必要も無い。
その件はシャマルが調べてくれている。いずれ原因がはっきりするだろう」
「でも何かが引っかかるんだよ、何かこうよくわかんねぇけど…」
懸念を訴え続けるヴィータにシグナムは現実を突きつける。
それに何より、主はやてにはあまり時間が無いのだからな」
「わかってるよ…。あー!イライラする」
後半部分は喉から声として出てしまっていたが、ヴィータにとってそんなことはどうでもよかった。
楽しいはずのゲートボールも、今日は楽しめない予感しかしなかった。
113:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:18:01
月村すずかは通いなれている図書館に足を踏み入れた時、ここ一週間で見慣れるようになった銀髪の青年の姿を見つけた。
「あっ、ロランさん。こんにちは」
「すずかさん、こんにちは。今日もお会いしましたね」
ロランがすずかとこのような挨拶をできるのは、それなりに理由がある。
この世界に来たロランには、早急にしなくてはならない仕事というものが無い。
無論『ターンA』が復活すれば成すべき事が生じるのだが、まだ『ターンA』の復活の報告は届いておらず、
彼にできることは住まわせてもらっている住居の家事の手伝いくらいなものであった。
もちろんそれだけで一日を過ごせるものでは無く、時間潰し兼とこの世界の事を知るために図書館に出向くというのはある意味当然の帰結だった。
そこで以前見たことのある顔を見つけ、それがすずかだったというわけである。
一週間前に翠屋で顔を会わせただけの二人だが、大した時間もかからずに打ち解けた。おおらかなお互いの性格が良い方向に作用したのだろう。
その日以降、ロランは3日に1度程のペースで図書館に出向くようになっていた。
施設にいた頃は教科書以外の本を読むことも無く、地球降下作戦の訓練の一環として地球の文学に触れた時以外には大して本を読んでこなかったロランには、
いいリフレッシュ効果を読書は与えてくれた。
「ロランさんは今日も本を読みに来られたんですか?」
「いや、今日は借りた本を返しに来ただけです。買い物に行かないといけないので」
ロランはそう言うと手に持っていた買い物籠を掲げて見せた。
「今日は僕が料理当番なんですよ」
「ロランさん、料理もできるんですね。でも本を借りたのって3日前でしたよね?もう読み終えたんですか?」
「ええ。面白かったですし、時間に余裕がありますから」
「きっと家でのお仕事をテキパキこなせるから、時間を作れるんですよ」
ロランはこの世界での自らの立場を「ハラオウン家のお手伝いさん」と説明している。平たく言えば家政婦のような仕事である。
リンディと相談した結果なのだが、思いのほかすんなりと出会う人々には納得されており、ロランは少し拍子抜けしたものだった。
「では、そろそろ失礼します」
「はい、リンディさんによろしくお伝えください」
律儀な子だと感じながらロランは図書館を後にした。
ふと自分が穏やかな生活をしているという実感が沸き起こり、何だか不思議な気持ちになった。
「もしこのまま『ターンA』が目覚めなければ、こんな生活が続いていくのだろうか」
それが嬉しいことなのか悲しいことなのか、ロランは判断しなかった。
114:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:19:01
「こんにちは、はやてちゃん。シャマルさんもこんにちは」
「こんにちは、すずかちゃん」
すずかにとってロランよりも関係が長い、八神はやてという少女にはいつもシャマルというショートボブの女性がついている。
「はやてちゃん。私はお夕飯の買い物に行ってきますから、帰りに迎えに来ますね。すずかさん、はやてちゃんのことよろしくお願いしますね」
「ありがと、シャマル」
そう言うとシャマルはその場から離れた。
はやてが言うにはシャマルの他にあと2人の同居人がいるらしい。
一体どういう関係なのか気にならないではなかったが、必要になれば話してくれるだろうと思っているので一度も尋ねたことは無い。
「すずかちゃん、今日は何の本を読みに来たん?」
「今日は何か小説を読みたいなぁって思って」
会話の中ですずかは、ふとロランのことをはやてに話してみようと思った。
買い物に行くというシャマルの姿からロランのことを思い出したに過ぎないのだが、図書館に通うあの青年の事を話しておけば、
はやてとロランが知り合うきっかけになるかもしれない。既に図書館で会っているかもしれないが、それなら話は早い。
「あのね、はやてちゃん。この図書館で銀髪の男の人見たこと無い?」
「銀髪?銀色の髪の人は見たことないなぁ」
「その人、ロラン・セアックって言う人なんだけど…」
すずかはロランのことを楽しげに語り、はやてもそれを楽しそうに聞いた。
だが、ロランとはやてが実際に出会う時。
それはそれぞれの「穏やかな生活」が終わるときに他ならなかった。
115:748 ◆OFvYbY6.e.
07/07/25 03:21:27
以上です。
…。
短い。
次数では前回より200文字程度しか差は無いはずなのに、異様に短く感じる。
時間的には一週間経過させましたが、日常パートはどうしても間延びしてしまう…。
他の職人さんの作品に学びつつ、細々と書いていこうと思います。
気長に待っていただけると幸いです。
116:マロン名無しさん
07/07/25 06:38:01
GJ!
あと、ぜひとも番外でロランの女装をやって欲しい
117:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 11:05:48
GJ!
おヒゲ様が…ガクブル。
これは碌なことになりませんよ。
118:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 13:44:29 ke4+MM9e
GJ!
そういえば劇場版∀ガンダムのエンディングを歌っている人って
レイジングハート役のドナ・バークだと初めて知ったぜ
119:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:17:11
「皆、聞いてくれ!」
―スマン、みんな―
「俺は……俺は武者をやめる!」
―本当は俺のわがままなんだ―
「……実は、俺にはもう鎧が無いんだ」
―これも嘘だ。父上の鎧を仕立て直した俺の命にも等しい宝を失うものか―
「何より、俺にはこの地で果たさなければならない責任がある」
―ラーメンのスープがどうこうしたくらいで天馬の国全体の運命は揺るがない―
「俺のせいで昔の味を失ったこの店を彼女一人で支えていくのは不可能だ」
―けれども、それでも、俺は―
「だから今、ナツミさんのそばを離れるわけにはいかないんだ」
第拾壱話「勇気は明日への道標なの」
「えーっ!?」
「な、何ですと!?」
夕暮れ時、夜が迫る博多の空の下、號斗丸の起こした爆弾発言は
集まった武者頑駄無たちを心の底から驚愕の坩堝に巻き込んだ。
なにせ號斗丸と言えば後々の世でも最強の武者は誰だ? と言う話題には
必ずその名が挙がるほどの屈指の実力を持つ武者。
特に雷鳴頑駄無は號斗丸が幼名の「舞威丸(ぶいまる)」を名乗っていた頃から知っていて、
鷲主は共に力を合わせて闇の軍勢と戦った戦友だ。
この二人の受けた衝撃たるや、ここであえて語るほどの事でもないだろう。
120:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:18:12
「……本気なんだな、號斗丸」
「鋼丸か……その通りだ。理解してくれとは言わんが……」
「確かに、理解する事は難しい……だから、俺はこれで確かめさせてもらう」
そう言うと、鋼丸は拳を握り締め、格闘術の構えを取る。
「わかった……鋼丸、手加減はしないぞ!」
「そんな事をすれば今度こそ俺はお前を軽蔑するぞ、號斗丸!」
……勝負は一瞬だった。
二人の渾身の力を込めた一撃は互いの顔面に会心の一撃を抉り込み、
そのまま崩れるように地に倒れ伏させてしまった。完全な引き分けだった。
「號斗丸さん!」
青ざめた表情で號斗丸のもとに駆け寄っていくナツミ。
しかし当の號斗丸と鋼丸はどちらからともなく底抜けに明るい笑い声を発し始めた。
「……お前の拳、効いたぜ……號斗丸。
あれは腑抜けなんぞに出せる一撃じゃない。お前がそうじゃ無いと分かって安心した」
「鋼丸、俺は……」
「もう何も言わなくていい。正直天宮や天馬の国の運命がかかっているし、納得はできないが
男が一度決めた事なら最後までやり通して見ろ。俺一人位なら応援してやってもいいぜ」
「私達も同じ気持ちですよ、號斗丸。あなた一人の穴くらい、我々が埋めて見せますよ」
「號斗丸の気持ちはよーわかったで! それも武者(おとこ)の戦いや、頑張りな!
そやけど、ええスープできたらまた一緒に戦ってや! ええやろ!?」
「鋼丸、鷲主、それに武者丸……お前達……!」
仲間達の励ましに後押しされるように號斗丸はゆっくりと起き上がり、
集まった仲間たちと円陣を組んでその手を重ねあう。
「ああっ、わかったぜ! みんな、ありがとうよ! お前らも頑張ってくれ、頼んだぞ!」
澄み切った笑顔で仲間達の想いにそう応えた號斗丸。
そして彼らの後方でひっそりと彼らの友情と温かい善意に打ち震えるナツミ。
彼らの瞳には心なしか光るものがあったという。
121:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:19:21
「アルフ、ただいま」
「フェイト! おっかえり~♪」
なのはとの激突を制し、発動したジュエルシードを確保して
博多からこの世界での住居に帰ってきた黒衣の少女……フェイト=テスタロッサ。
狼を素体とした彼女の使い魔、アルフは狼というより飼い慣らされた大型犬といった風情で
その無事の帰還を彼女なりの愛情表現で祝っていた。具体的に言うとジャンピングホールド。
当然その耳は後ろに寝かせ、尻尾は勢いよくぶんぶん振り回している。
「ちょ、ちょっと、苦しいよ、アルフ!」
「あはは……ゴメンゴメン。けどさぁ、あたしだってずっと心配してたんだよ?
そりゃフェイトの力は知ってるけどさ、一人残ってジュエルシード集めだなんて……
何か痛い思いとか、しんどい目にあったりしなかったかい?」
「うん、私は全然平気。少し……邪魔が入ったけど、
ジュエルシードもちゃんと確保したし、大丈夫だったよ」
その言葉を聞いたアルフの目の色が変わり、その容姿を本来の狼の姿から年頃の女性の姿へと変化させる。
人間の姿への変身能力は使い魔の得意とするところである。
「邪魔が入ったって……? 一体どこの何者だい!?」
「よくわからない……けど、インテリジェントデバイスを持って、
白いバリアジャケットをした私と同じ系列の魔導師の女の子」
「まさか、そいつもあたしらみたいにジュエルシードを集めて……?」
「……多分。いくつかは、あの子が持ってるのかな……?」
「フェイト……そんな悲しそうな目で、次、その子に合った時、戦える?」
「大丈夫だよ、迷わないから……」
心配そうに自分を見つめるアルフに向けて、フェイトは儚げな笑顔を作りそう答える。
「そう……じゃあ、早速だけどご飯にする? お風呂? そ、れ、と、も……?」
「……アルフ、そういう知識一体どこから身に付けて来るの?」
「え? いやぁ、まぁ、その……だってさ、こっちの世界のテレビ番組って面白いんだよ?」
「ふふっ、変なアルフ。じゃあご飯がいいな。手を洗ってくるね」
「あいよっ! あんた達、フェイトはご飯がいいってさー!」
「了解でさ、アルフの姐御!!」
アルフの威勢の良いかけ声に答える野太い声。
もはやこの空間に存在するだけで罪深くさえ感じられる彼らは一体何者なのか?
ここで時間を少し遡ってみる事にしよう。
122:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:22:21
「そのジュエルシード、頂いて行きます」
「いやー、やっぱりたまには遠出してみるもんだねぇ!
こんな所で大した苦労もしないでジュエルシードを拾えるなんてさ!」
「もう何、今日!? 天国から地獄へのフリーフォールの雨あられっすかー!?」
新幹線が事故でストップしたあの現場から少し離れた山の中。
フェイトとアルフは運良くというか悪くというかたまたまジュエルシードを手に入れてしまった
あのお笑い四人組……もとい、堕悪霧者愚連隊の四名を脅迫していた。
九歳児がとる行動ではないとは思うが相手がこいつらなので大目に見て欲しい。
「さぁてあんた達、わかってると思うけどそのジュエルシードを渡してくれないかい?
もし嫌だってんなら……ガブッ!! と行かせてもらうよ?」
「できたら手荒な真似はしたくありません。素直に渡してください」
「いやいやいやいやいや、そんな物騒な凶器首筋にぴたぴた当ててくる時点で
どこらへんが手荒な真似じゃないと言うのか小一時間ほどご説明願いたいのでありますがーっ!?
……ハッ、もしやこれが噂の『あててんのよ』と言う奴か! フラグ立ったルンルンシャッフル!?」
あいも変わらず余裕があるのかないのか微妙に古いネタを次々とまくし立てる堕悪圧愚。
対して他の三名はこの世の終わりのような表情をしてその場に座り込んでしまう。
「あぁ、我らも遂にここまでか……」
「これ以上汚名を挽回できなかったら処刑されちゃうんだな……」
「アディオス、現世。アディオス、俺たちの酒池肉林……」
そこまで言うとおいおい泣き出してしまう堕悪雑獄苦、呪圧愚、圧愚害。
あと汚名は基本的に挽回する物ではなく返上する物だ。そんな事ではジェリドになってしまうぞ。
「…………」
「えーっと、フェイト?」
「ごめんなさい。こういう時どういう顔したら良いか分からないの」
「……笑えb
「あんたには聞いてないっての、このサツマイモ腕!!」
アルフはしつこく食いついてくる堕悪圧愚を意味もなくバリアブレイクをかけた上で殴りつけた。
123:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:23:22
「あいたたた……サ、サツマイモ腕!?
生まれてこの方そんな訳の分からんあだ名で呼ばれたのは初めてだぞ!?」
「知らないね! いいからとっとと出すモン出しな!」
もはやどこぞのスケ番のような口調になっているアルフ。
なお、サツマイモ腕の意味が分からない人は「アッグ」でイメージ検索推奨。
そんな一見さんお断りの無駄に濃いやり取りを繰り広げる二人を放置して、
フェイトは滝のような涙で水溜りを作っている三人に優しく話しかける。
「あの、処刑って、一体……?」
「どうもこうもないんだな」
「かくかく」
「しかじか」
かわるがわる自分達の境遇をフェイトに(ある程度の誇張込みで)語りだす三人。
親身な態度で聞いていたフェイトは、その内に泣きそうな表情になり、ある事を決意した。
「……ねぇ、アルフ」
「何だい?」
「この人たち、どうにか助けてあげられないかな?」
「ハイ!?」
そして、ここで時間は現在へと巻き戻る。
「……とまぁ、思い出すだけで何かクラクラ来るんだけどさ」
「やだなぁ、それは言いっこなしですぜ姐御」
「おいら、ヤキソバを作ってみたんだな」
「フェイトちゃん、おいしいですかい?」
「うん……ありがとう」
何はともあれ、彼らは一人の天使のような少女の救いの手によって保護され、
ささやかな幸せを手にしていたのであった。
124:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:24:28
「ケッ、なーにがフェイトちゃんにアルフの姐御だ。あいつらリーダーの俺を無視しやがって……」
「コラそこのサツマイモ、グダグダ言ってたら逆さ吊りだよ?」
ドッグフードをむさぼりながら鬼のような形相で堕悪圧愚を睨み付けるアルフ。
光の速さで順応した下っ端三人と違って、堕悪圧愚だけは安いプライドを捨てきれないでいた。
「まぁまぁ、あんなスィートポテト野郎はほっといてテレビ見ましょうよ、歌番組」
「あっ、そうだねぇ、フェイトぉ、ホラ、フェイトの好きなあの歌手が出るってよ」
「えっ、あの人が……! アルフ、録画、録画……」
「ハイハイ、ちょいと待っててね……準備OKだよ!」
「フェイトちゃんの好きな歌手かぁ……」
「きっと癒し系女性ボーカリストなんだろうなぁ……」
「ううん、そっちも嫌いじゃないけど私が好きな歌手は……」
そして画面が切り替わり、プラズマ大画面はその歌手の姿を映し出す。
その姿を目にしたフェイトの目は喜びに満ち溢れ、へっぽこ四人組の目は恐怖に見開かれた。
『……山形のサクランボ農家に身を寄せて早半年、
のど自慢大会での優勝をきっかけに一気に花開いた演歌界の超新星!
それでは登場していただきましょう! 曲はデビュー曲「人生大津波」!
歌うは……紅 零斗丸(くれない れいどまる)!!』
「む、む、む、む、む、武者頑駄無だぁぁぁぁぁぁっ!?!?」
公共の電波に自慢の美声を乗せ、高らかに日本の心を歌い上げる新人演歌歌手。
それはその名の通り紅のステージ衣装に身を包んだ武者頑駄無、武者紅零斗丸(ぐれーどまる)の姿だった。
「……あ、あのですね、フェイト……さん?」
「大好きな歌手って、まさか……?」
「うん、そうだよ。零斗丸さん。私、ファンクラブ会員NO.78なんだ」
恥ずかしそうにパスケースからキラキラ輝く会員証を取り出し、皆に見せるフェイト。
今ここに再び堕悪霧者愚連隊四人の意思は一つになった。
「嘘だと言ってよ、フェイトォォォォッ!!」
125:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:27:01
「あ、お疲れ様です紅さん!」
「紅さん、お疲れです!」
「あぁ、お疲れ様です。今日も素晴らしいステージ、ありがとうございました」
「いいってことでさ! んな事より、紅さんも歌の方、頑張りなよ!」
「ハイ、今後とも精進します!」
その歌番組の舞台裏。出番を終えた紅零斗丸はスタッフと談笑を交わしていた。
「紅さ~ん、お疲れ! 今日もいいコブシ効いてたわよ!」
「あぁ、彩乃ちゃん。そちらこそ司会、お疲れ様」
紅零斗丸に親しげに話しかけるうら若き女性。
彼女は紅零斗丸と同じプロダクション、「鎧王ミュージック」所属の新人歌手、太田彩乃と言った。
「何の何の! それにしても紅さん、舞台を踏むたびにキレが増してきてるわね!
このまま順調に行けばいずれは演歌界の頂点も……!」
「ま、まぁまぁ落ち着いてくれよ彩乃ちゃん」
「あ……いやはや、失敬失敬! 肝心な用事を忘れるところだったわ」
「肝心な用事? 一体何だい?」
彩乃は紅零斗丸に耳打ちし、周囲に気を配りつつ意味深な笑みを浮かべて小さな声で囁きかける。
「『シャチョー』が緊急の打ち合わせをしたいそうよ。紅さ……いえ、紅零斗丸?」
「……!」
彩乃がそっと紅零斗丸に手渡した写真。
そこには化け物と化した新幹線と戦う武ちゃ丸と斗機丸の姿が、
そして青い魔鳥に攻撃をかける武者頑駄無達の姿が写し出されていた。
126:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:28:30
「……っちゅうわけで、改めて紹介しよか! ワイのこっちでの親友でタコ焼き職人見習い!
シュシュムや! あんじょうよろしゅうしたってや!」
「よ、よろしくお願いします!」
そして一夜明け、人気のない早朝の高速バス乗り場。
電車を使うことがはばかられるためにバスを使い名古屋に向かう事にした新生夢者遊撃隊。
新たにメンバーとして加わったススムを交えて改めてメンバーの自己紹介を行なっていた。
「よろしくな、ススム。俺は斗機丸。トッキーでいいよ」
「今更自己紹介ってのもなんだよなぁ……シンヤだ。ま、俺らみたいな凡人はほどほどにいこうぜ」
「大体はもう聞いてると思うけど、僕はユーノ。ユーノ=スクライア。
得意な事は結界魔法。よろしくね、ススム」
「こ、こちらこそ……けど、何だか未だに不思議な気分だよ。
魔法の世界に魔法使い、しゃべる動物、そして物騒な宝物だなんて……」
「それはお互い様です。純粋に科学の力だけでここまで発達した文明を目の当たりにするのは
僕も初めてですし。大概はここまで発展するまでに滅んでしまいますから」
「そ、そうなんだ……褒められてるのか脅されてるのかよくわからないや……ハハ……」
インテリのジョークは性質が悪い。
「…………」
「なのは?」
「ふぇ?」
「なのは、自己紹介、自己紹介!」
「あ、ハ、ハイ! 私、高町なのは。小学校三年生! 魔法少女見習いやってます、よろしく!」
「あ、よ、よろしく……」
どこかぎこちない態度を崩せないなのは。それを見かねたユーノは彼女の肩に乗りその悩みを推察した。
「……その悩みの原因、あの魔導師の事だね?」
「……うん」
「あの杖、衣装や魔法の使い方……多分、うん、間違いなく僕と同じ世界の住人だ」
「うん……ジュエルシード集めをしてると……あの子とまた、ぶつかっちゃうのかな……?」
「……多分、ね。あっちもジュエルシードを集めている以上衝突は……避けられない。
現場で上手く鉢合わせとまでは行かなくても、必ず相手のすでに持っているものを、
逆に相手が僕らの持っているものを狙って……その……戦う事になる」
「そっ、か……」
127:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:29:56
うつむいたままのなのはを心配してか、トッキーもその会話の輪に入ってくる。
「……なのは、やはり彼女と戦う事に抵抗があるのか?」
「ううん、不思議なほどに怖くはないの……だけど……」
「だけど?」
「何だか、悲しいような……そんな気持ちで……」
「……そうか……だが、自分が間違っているとは思ってないんだろう?」
「えっ? う、うん」
「だったら自分を、そして仲間を信じてくれ。君の隣にいる奴らは俺も含めて皆同じ気持ちだ。
だから胸を張って堂々としていればいい。そうしてれば勇気が勝手に沸いてくるさ」
「勇気……」
「あぁ。そしてその勇気は必ず君を導いてくれる、未来への道標だ」
「トッキー君……うん、わかった。私、今度あの子と会ったらもう一度お話してみる!
このままじゃ、きっと何も分からないまま……そんなのは嫌だから!」
「よし、その意気だ!」
なのはの肩をポンと叩き、元気付けるトッキー。
トッキーはいつの間にかシンヤのみならず遊撃隊全体の良きアドバイザーとして
年若い一同の心の支えとなっていた。
「斗機丸、なのは、ユーノ! えらいこっちゃーっ!」
「? どうした、武者丸?」
「あ、あの、何かごっついリムジンが……!」
「何だって?」
武ちゃ丸の様子に慌てて集合するなのは達。
そこにはなのはの友人、アリサがいつも通学の際にバス乗り場まで利用している
高級リムジンに負けないほどのそれが一同を待ち受けていた。
「武者丸様、斗機丸様、それに新生夢者遊撃隊のご一行様ですね?」
「……あなたは?」
「申し遅れました。ワタクシ、鎧王グループの社長の遣いで参った者です」
「斗機丸、鎧王グループの社長て確か……!」
「あぁ……鎧丸の行方を知っていると目されている人物だ」
「社長からあなた方を名古屋の本社ビルにお連れするよう命じられております。
ささ、皆様どうぞお乗りくださいませ」
128:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 18:32:14
その一言をきっかけに浮かれてはしゃぎだすシンヤと武ちゃ丸。
「やったぜ! バス代浮いた!」
「なんちゅうラッキー! 渡りに船とはこの事やな! ……? 斗機丸、どないしたんや?」
そんな二人をよそに深刻な考え事を抱えたような表情のトッキーは武ちゃ丸を誘い、
物陰でひそひそと相談を持ちかける。
「……武者丸、このタイミング、どうも都合が良すぎるとは思わないか?」
「……ワナかも知れんちゅう事か?」
「そこまではどうだかわからんが……その社長の素性も分からんし、
何よりなぜ新生夢者遊撃隊の名称を知っている? 用心に越した事はない」
「そー言われたらそやなぁ……けど」
「けど、何だ?」
「鎧丸と知り合いっちゅうんやったらアイツに聞いたんかもわからへんし、
ワナやったら正面からぶっ壊して、泣くまで鎧丸の居場所を問い詰めたる!」
「……虎穴に入らずんば虎児を得ず……か。危険だが、今はやるしかないか」
「よっしゃ、決まりやな」
そして二人はすでに荷物の積み込みを始めているリムジンの元へと戻る。
「あ、武ちゃ丸、トッキー、話は済んだ?」
「あぁ。運転手さん、それでは申し訳ありませんがお願いしてもよろしいでしょうか?」
「もちろんです。そのために参りましたので」
「よっしゃ! ほな名古屋に向かって……しゅっぱーつっ!」
愛知県、名古屋。
突如彗星の如く現れ、この半年であっという間に
日本経済において大きなウェイトを占めるようになった超巨大複合企業「鎧王グループ」。
その本社ビルの最上階にある社長室で、多くの書類に埋もれているこの会社の社長は
秘書から緊急性の高いとある報告を受け取っていた。
「シャチョー、現地エージェントが彼ら……夢者遊撃隊との接触に成功したそうです」
「そうか、ついにアイツらが来るかなも! ボクちゃんもついに覚悟を決める時が来ただぎゃー……」
129:リリ武者@携帯
07/07/25 19:10:17
本編はこれで全部。
次回予告はもうちょっと待っててね
130:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/25 19:33:22
次回予告(ねくすとぷれびゅう)
「やっとの思いで名古屋に到着した俺達、新生夢者遊撃隊! あぁ、長かったなぁ……」
「ハハ……そこでボク達を待っていた鎧王グループ社長。その正体と真意とは一体!」
「そこに襲い来る謎の堕悪武者! そいつは一体何者だ!?」
「あぁっ、みんな、危ないっ!!」
「次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之拾弐!」
「『謎が謎呼ぶ社長のシャチョーやでっ!』」
「……リ、リリカル、マジカ、ル……クソッ、やっぱ言えるかよこんなもん!」
「やっぱちょっとシンヤにはきつかったかな」
武者號斗丸 [ムシャゴッドマル]
出典:新SD戦国伝 超機動大将軍編
モデル:ゴッドガンダム
新世大将軍の次男で学術方面に深い造詣を持ち、神童と謳われた少年舞威丸(ブイマル)が
七人の超将軍の一人爆流頑駄無に師事し、武芸者として成長した姿。
魔界の力を手に政権の転覆を目論む魔星大将軍(マスターダイショウグン)の陰謀に立ち向かった
多国籍武者集団、「闘覇五人集」の中心的存在。
流派は師の機陣鉄剣流と兄の翼心一刀流を自己流にアレンジした翼心鉄剣流。
攻防一体の戦術を旨としており、爆流同様二刀流での戦いを得意としている。
同時に若き日の父のように体術にも優れ、鎧を装着しなくともかなりの実力を誇る。
胸に輝く宝玉は爆流より受け継いだ情報データベース「炎水の玉」。
責任感の強い性格で情に厚く、努力家で頭脳も明晰。一本気な性格の熱血漢。
必殺技は二刀から繰り出す炎の必殺剣、熱火爆輪斬(ネッカバクリンザン)と、
そして炎のような激しい闘志と水のように澄んだ心、「炎水の境地」が生み出す
神剣「石破天驚剣」により振るわれ、天にも通じるほどの力を持つ
恐らく個人レベルでは最強クラスの剣技、鳳炎水凰斬(ホウエンスイオウザン)。
秘めた力は居並ぶ武者頑駄無達の中でも絶大なのだが、
ラーメン屋の建て直しに専念するため突然の武者引退宣言を……?
131:通常の名無しさんの3倍
07/07/25 22:41:09
フェイトのネタで敗北…
132:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 12:22:51
毎回マニアックだなぁ…
133:通常の名無しさんの3倍
07/07/26 14:11:20
へっぽこ愚連隊が幸せを掴んでくれて良かった…
てなわけでGJ
134:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 17:15:44
マフティーことハサウェイがなのは世界に来てスカリエッティ陣営で6課や管理局と戦うってのを考えた
……が、アニメがまだ終わってないし、スカがテロをしている理由が未だにはっきりしていないからなあ……
今やっても需要なさそうだ
135:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 17:26:00
>>134
「管理局が犯した過ちは、マフティーが粛正する!」
こうですか?
136:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 18:18:20
ギギが魔法少女で中将の愛人?
137:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 19:00:19
URLリンク(rainbow.sakuratan.com)
DVDに載ってたなのはの設定解説。
138:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 21:19:44
>>134
需要有り有りですよ!
待ってますぜ!
139:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 21:23:32
>>134
いやいや、全然需要ありますからw
見たいです。まってます。
140:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 22:03:32
>>136
ギギの仕事は分かってるがそれだけは止めて・・・せめて三提督とかグレアムあたりで勘弁して
最後はクロノかゲンヤあたりと
141:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 22:06:53
ハサウェイには今度こそ成功して欲しいお
142:通常の名無しさんの3倍
07/07/27 23:50:05
ケネスを管理局がスカウトしに来て
「きみ いいしごとしてたね かんりきょくに はいらないか?」
143:通常の名無しさんの3倍
07/07/28 13:56:14
>>142
それなんて昔のスパロボのゲッターチーム?w
144:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:35:59
「おーっ! ホンマにごっついビルやなーっ!」
天を衝くようにそびえ立つ巨大なビル。
夢者遊撃隊、最後のメンバーである鎧丸の消息を尋ね、
武ちゃ丸たち新生夢者遊撃隊はついにここ名古屋の地に辿り着いたのであった。
「鎧王グループ……この半年で突如急成長を遂げた新興の巨大総合複合企業、か……」
「斗機丸、ホンマにここに鎧丸がおるんか?」
「それはわからんが、さる情報筋からのタレコミではここの社長が何かを掴んでいるらしい。
しかし現在の社長は極端に人目に触れるのを避けていて、その素顔を知る人物はごく一握り。
残念ながら情報元の人物も社長の個人情報については何も分からないそうだ」
「フゥム、正体不明の謎の社長はんか……」
巻之拾弐「謎が謎呼ぶ社長のシャチョーやでっ!」
「武ちゃ丸、頼むから恥ずかしい真似はしないでくれよ?」
「わーっとる、わーっとる! シュシュムこそ気ぃつけや!
なのはやユーノを見てみぃ、ちっちゃいのにちゃんとお行儀よーしとるで」
「にゃはは、私はお行儀良いっていうか、友達付き合いで慣れてるっていうか……」
「あぁ、そういやなのはのガッコって坊ちゃん嬢ちゃんの通う名門校って言ってたな」
「あ、うん。今はこの間のジュエルシードが起こした騒ぎで短期休校中だけど……」
シンヤの話題でその一件を思い出したなのはの顔は暗くなる。
あの日の事件で自分の生まれ育った海鳴の街は決して軽くない被害を被ったのだ。
未だにライフラインの復旧していない地域も多いという。
「あの四人組が樹海造りよった事件やな? 今度会うたら百倍返しにしたり!」
「そうだよ、それにもう二度とあんな事が起こらないよう、
僕達もしっかりジュエルシードを集めないと!」
「武ちゃ丸君、ユーノ君……うん!」
145:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:37:05
武ちゃ丸やユーノの励ましになのはが決意を新たにした時、
一同の元に数人の社員がやってきて、その中心にいた長身の女性が代表して彼らに話しかけてきた。
「新生夢者遊撃隊の皆様ですね? わたくし、社長秘書のナンシー阿久津と申します。
社長が上でお待ちです。只今よりご案内いたしますのでこちらへどうぞ」
「おっ、ついにご対面っちゅうわけやな!」
「お願いします。……さて、どう出るかな?」
「トッキーさん、いざと言う時は……」
「あぁ、君の結界魔法、頼りにさせてもらう。皆を守ってくれ」
噂の社長と遂に面会がかなう事になり、様々な思惑を胸に緊張して秘書のナンシーについて
警戒を崩さぬままエレベーターへと乗り込む一同。
そんな彼らの様子をモニターで確認し、警備員達は一息ついていた。
「社長のお客様、無事にエレベーターまで乗り込まれました。どうぞ?」
『キャピタル了解。それでは通常の業務に戻ってください』
「了解。ふぅ、少しは肩の荷が下りたか」
「あぁ。しかしどういう客なんだろう、武者頑駄無に子供の組み合わせって……なぁ?」
「そんな事俺達警備員が気にしたってしょうがないだろ? ともかくモニターから目を離すなよ」
「おう……うん?」
「どうした?」
「いや、今地下の金庫室付近のカメラになんか動くものが……」
「それは確かか? ちょっと確認してきてくれ」
「俺がか?」
「この間ドーナツ奢ってやっただろ? 頼むわ」
「へいへい……じゃあ現場を確認して来ます、と」
そう警備員の一人は言い残し、警防とライトを手に警備室を後にする。
残された一人がそのモニターを注視しても、そこにはもう誰の姿も映ってはいなかった。
しかしカメラはあの時確かに不審者の影を捉えていた。
巨大な死神の鎌を携えた不気味な黒い影を……
146:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:38:07
「シャチョー、お連れいたしました」
「うむ、入るだぎゃー!」
最上階まで何事もなくたどり着いた一行はとうとう社長の待つという社長室の前に立っていた。
ナンシーはその重そうな扉を何の苦もなく開き始める。
「いよいよやな!」
「鬼が出るか、蛇が出るか……!」
「し、失礼しまーす!」
ススムが丁寧に挨拶をし、ナンシーの後に付いて入る一同。
ついつい身構える武ちゃ丸とトッキー。ユーノも自然となのは達三人の前に立つ。
しかし、彼らを待っていたのは拍子抜けするような明るい声と意外な人物であった。
「よう、武者丸、斗機丸! 是断の門では世話になったな」
「ニャッハッハッ! よく来てくれただぎゃー! 待ってたぎゃー!」
「紅零斗丸!? それとあの武者は!?」
紅い鎧にその身を包んだ武者、紅零斗丸と見たことのない小柄な武者が一同を出迎える。
皆の顔を見渡したその武者は自信満々に笑顔を浮かべ、彼らの疑問に答えた。
「ニャ~ッハッハッハッハッ! 驚いたきゃー?
ボクちゃんがこの天下の鎧王グループの社長なんだがや!!」
一同はその言葉を聞いて一瞬フリーズした後、大きな驚きの叫びをあげる。
「ボク達の住むアパートを経営している鎧王不動産を……」
「しつこくワイらの店とお客さん取り合うたタコヤ王チェーンを展開しとる鎧王フーズを……」
「そして鎧王エンターテイメントを傘下に収めるこの鎧王グループの経営者が……」
「武者頑駄無だったのかー!?」
異世界人であるユーノを除いた新生夢者遊撃隊の面々はあまりの事に衝撃を隠せない。
その様子を見てシャチョーは満足そうにニヤリと微笑み、懐に持っていた扇子を広げた。
147:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:39:16
「ニャハハハ! 豊臣秀吉の天下取りをヒントに経営ノウハウを構築しただけだぎゃー!
あ、ナンシー、君は席を外してくれてもいいぎゃー」
それに相槌を打つ形で紅零斗丸も会話を補足する。
「俺の歌手デビューをバックアップしてくれているのもシャチョーでな。
今日は……そう、ビジネス面での打ち合わせに来ているんだ」
「……しかし、これで必要以上に俺達の事を知っていた理由がわかった。
そりゃあ社長本人が武者頑駄無なら知っていても何の不思議もないな」
「チミ達にはいらん心配かけさせてスマンかったぎゃー!
けど、これで納得してくれたきゃー?」
「あ、あぁ。まぁ……そんな事より、俺達は大事な用事があってここまで来たんだ。
アンタ、鎧丸という武者の事を何か知っていないか?」
「あっ、そやそや! 鎧丸の事知っとるやろ? どこにおるんや!?」
トッキーと武ちゃ丸が鎧丸の名を出すと、見るからに挙動不審となって慌てだすその社長。
「え……えええ……確かヤツは全戦争行為への武力介入を開始するとかで半年は戻ってこない…
あっ、違う! コロニー開発のために宇宙に行って戻って来ない……
それよりもっとオイシイものが食べられてカワイイ女の子と一緒にいるほうがいいだぎゃー!
って、これはボクちゃんのことで……あわあわ……」
あからさまに怪しいを通り越して不審者丸出しの回答でお茶を濁す社長。
その姿を見て遊撃隊年少組はその身を寄せ合いひそひそと相談しだす。
「……オイ、ありゃどう見ても……」
「怪しい……よね」
「あ、でもでも! トッキー君がいるからきっと真実を解き明かしてくれるよ!」
「そ、そうだね! トッキーさんならきっと……」
トッキーに過大な期待を寄せる年少組。しかしこの後信じられない展開が!
「何で一言俺達に言ってくれなかったんだ!?」
「びえーん! もう三人で一緒に戦うことはできひんのかー!?」
どんがらがっしゃんと激しい音を立てて豪快にずっこける年少組一同。
今日この瞬間、武ちゃ丸はともかくトッキーの評価は彼らの中で底値を割った。
148:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:40:16
「……ま、まぁとにかく、鎧丸はボクちゃんにこう言い残して行ったぎゃー!
『鎧王グループ社長のシャチョーの下で堕悪闇軍団と戦ってチョーよ』と!」
「おぉ! 鎧王グループがバックにいるなら心強い!」
「何かごっつい武器造ってくれへん?」
「お、おう! 任せるだぎゃー!」
盛り上がる彼らと対照的に年少組はため息をつきながらぼそぼそと呟いた。
「ねぇ、シンヤ……」
「ちょっといろいろ、その……アレじゃない?」
「放っておいていいの?」
「言うな。何だか俺、情けなくなってきた」
そんな武ちゃ丸たちの様子を見て、紅零斗丸は真剣な顔つきで悩みを抱えていた。
(……シャチョーは商売で大成功をおさめてから戦いを避けるようになってしまった……
約半年……戦いが始まるには長すぎたのか?
この世界にやってきた頃の俺達は仕事に戦いに互いにがんばることを誓い合った。
だがシャチョーは金儲けの魔力に取りつかれて以来それに夢中になり
すっかり武者魂を失ってしまった……このままでいいはずはないだろう?
シャチョー……いや……!)
しかし、紅零斗丸の心の叫びに応えるものは誰もいない。
ただ焦る気持ちと、かつて間近で感じた不吉な予感ばかりが彼の胸を締め付けていた。
「……ありゃ、誰もいないな。見間違いだったのか?」
同じ頃、地下の金庫室周辺では先ほどの警備員が黒い影を追って周囲の警戒を行っていたが、
見回してもネズミ一匹見当たらない。もう一度確認して帰ろうと思ったその時であった。
「ファファファ……貴様は運がいい。
この世界ではじめて俺様の戦を目の当たりにすることができるのだからな」
「!? だ、誰だ!?」
不気味な声に慌てて周囲を見回すがやはりそこには誰もいない。
「どこを見ている……俺はここだぞ、人間よ」
後ろを振り向くと、自分の影から浮き上がってくる禍々しい黒い鎧に身を包む存在。
その姿を確認するいとまもなく、その警備員の意識はブラックアウトしていった。
149:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:41:20
<<Master, Caution>>
「えっ?」
レイジングハートがなのは達に何らかの非常事態が起こったことを告げる。
しかし、ほかの人間にも分かる異変はそれからあまりに早く訪れた。
突如として巨大な地震が起こったかのような震動が鎧王グループ本社ビルを襲ったのである。
「わっ!」
「な、何や!?」
「警備室! いったい何が起こったんだぎゃー!?」
『こ、こちらは警備室……金庫室付近に侵入者確認!
調査に向かった警備員一人の音信が途絶しました!』
「何ー!?」
シャチョーの顔は青ざめ、事態を信じられない様子だ。
「とにかく行こう! 人が行方不明になったいるというならなおさらだ!」
「わかった! ほな行くでシャチョーはん!」
「あっあっ、ちょっと待つだぎゃ! ボクちゃんは……」
「……いや、どうやらお客さんらしい」
紅零斗丸が背中の刀に手をかけ、油断なく周囲に気を配る。
その視線を見透かしたかのように床から幾体もの謎の武者が文字通り湧いて出てきた。
「な、何やこいつらは!?」
「下忍悪魅(あーみー)……魔界の者が自らの手下として使う闇の魔力から作り出された雑兵だ。
こいつらとは何度もやりあったからな。そしてこいつらの親玉とも!
そいつがおそらく地下の事故を起こした元凶だ! 急げ! この場は俺が引き受ける!!」
「おう!」
「スマン!」
「だ、だからボクちゃんはぁ~!!」
「ま、待ってよ武ちゃ丸!」
「俺も行くぜ、トッキー!」
囮になった紅零斗丸を残し、武ちゃ丸、トッキー、シャチョー、
それにススムとシンヤは非常階段を駆け降りる。
しかし、なのはとユーノはその場に残ることを選択した。
150:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:43:56
「下がるんだ君たち! こいつらは俺が……」
「いいえ! たった一人で戦うなんて危険です! 私達もお手伝いします!」
「お手伝いって何を……?」
なのはがそう宣言した後、彼女は即座にレイジングハートを起動し、戦闘準備に入る。
「リリカル、マジカル……まとめて動きを止めちゃえ! レストリクト、ローック!!」
「僕も行くよ、なのは! チェーンバインド!」
二人の拘束魔法が部屋を埋め尽くしていた下忍悪魅の大半を縛り上げ、その自由を奪う。
「き、君達は……一体……?」
動きを封じられた敵を斬り捨てながらも驚いた表情でなのはとユーノを見つめる紅零斗丸。
その紅零斗丸の問いに二人はポーズを作り笑顔でこう答えた。
「新米魔法少女と……」
「その相棒です!」
あっけにとられた表情で紅零斗丸は問い返す。
「ま、まほー……何だって? 巫女と、妖怪か式神のようなものか?」
「……いいかげんもう慣れたけど僕またそういう扱い!?」
「ユ、ユーノ君、ガンバ! それより、武ちゃ丸君達追わなくていいんですか?」
またも妖怪扱いされるユーノを励ましつつ、なのはは紅零斗丸に問いかける。
「あ、あぁ、そうだな。 えーっと、君たちはどうする?」
「はい。もちろんついて行きたくはあるんですが……」
「そうか。じゃあ……しっかり掴まっていてくれ!」
「えっ? きゃあぁぁぁっ!?」
紅零斗丸が扉を乱暴に蹴り開けると、廊下には先程以上の数の下忍悪魅が待ち構えていた。
「な、何これー!?」
「待ち伏せだ! この用意周到さ……下にいるのは、間違いなく……!」
「け、けど一体こんなのどうすればいいんですか!?」
「だから掴まってろって言っただろう? そうら、行くぞ!」
151:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:45:08
そう言うと紅零斗丸は身の丈の倍ほどもある巨大な刀、烈龍刀を軽々と振り回し、
気合いを集中させてその刀を放り投げ、なのは達を抱えたままその刀の上に乗ってバランスをとる。
「これが俺の必殺技! 天動奥義! 巨刃大津波(びっぐぶれーどうぇーぶ)!!」
まるでサーフボードのように刀を自在に操り、衝撃波の波の上を滑るように滑空して
並みいる雑兵を次々蹴散らしていく紅零斗丸。
「す、すごい……!」
「シャチョー達が心配だ、このまま一気に下まで行くぞ!」
「えっ? このままって……ひょっとしてこの状態のまま!?」
「あれ、僕つい最近似たような目に遭ったような……って、降ろしてぇぇぇぇぇ」
なのはとユーノの切なる訴えは聞き入れられないまま、紅零斗丸は刀を滑らせ、下へと向って行く。
先行した武ちゃ丸やトッキー、そして謎の侵入者の待つ地下へと。
一方、当の武ちゃ丸達は……
「うわっ、こらまた派手に壊されとるなぁ!」
「シンヤとススムはあまり奥までは来ちゃいけない。いくらなんでもここは危険だ」
「う、うん……? 武ちゃ丸、トッキー! あそこに人が!」
ススムが指で示した先に、傷だらけで倒れている警備員の姿が見える。
「大丈夫きゃ? しっかりするだぎゃー!」
「うぅ……しゃ、社長……黒い、黒い死神が……鎌を……」
そこまで言うとその警備員は力尽き、気を失ってしまう。
「おいっ!?」
「大丈夫、気を失っているだけだ」
「黒、死神、鎌……まさかこないだの女の子か?」
「バカな。彼女は破壊工作を目的とした行動はとっていなかったはずだぞ?」
「そやなぁ……ほないったい何モンや?」
地下を荒らしに荒らした犯人について議論をぶつける武ちゃ丸とトッキー。
最後に武ちゃ丸がぽろりとこぼした一言に反応する形で奥からゆっくりと人影が迫ってきた。
「ファファファ……俺を呼んだか? 武者頑駄無どもよ……」
152:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:46:11
地獄の底から響くかのように低く、そして無意識に焦燥感を煽るその声。
武ちゃ丸達は確かにその声に聞きおぼえがあった。
「あっ、アイツは!?」
「まさか……堕悪魔刃頑駄無か!?」
「ホウ。誰かと思えばあの時是断の門に攻め入ってきたイキのいい連中か」
その男の名は堕悪魔刃頑駄無。強大な闇の魔力を持ち
すべての世界を支配せんと目論む堕悪闇軍団の首魁であった。
「答えろ、魔刃頑駄無! なぜキサマがここにいる!?」
「フン、この俺が鉄仮面の残したデータを元に作り上げたエネルギーの探知、吸収システム……
『堕悪馬吸夢(だーくばきゅーむ)』が、ここにジュエルシードがあると分析したのよ」
「何やて!?」
「それは本当なのか、シャチョー!」
「う、うむ……チミ達に後で渡すつもりだったんだぎゃー……
よりにもよってコイツに先回りされるとは……けど、ここでそうそう好きにはさせないぎゃー!」
そう威勢良く言ったかと思った瞬間、シャチョーは武ちゃ丸とトッキーの後ろに回り、
二人の影に隠れるようにしておっかなびっくりこう言い放った。
「その金庫には指一本触れさせにゃーだよ! この二人がおみゃーの相手するでよー!」
「……気が小さいんだなぁ~」
「ホントに武者なのか、コイツ?」
そんなシャチョーの情けない様子を見て、ススムとシンヤはそれぞれ苦笑いをしながらそう呟いた。
「ともかく、ここで会うたが百年目! 今度こそケリつけたるでーっ!」
「武ちゃ丸!?」
「ちゃう! 今のワイは……」
魔刃に勢いよく突っ込んでいく武ちゃ丸は額のハロの飾りを光らせつつ、ススムの呼びかけに答える。
「武者丸様だーっ!!」
刹那、魔刃に斬りかかる武ちゃ丸の姿は鎧を纏った彼の本来の姿、武者丸へと変貌していた。
153:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/07/30 18:47:22
「うぉぉぉぉっ! 魔刃! ここでテメーをぶっ倒して、全部終わらせてやるぜ!」
「何度打ち合ったとて同じ事。小僧、貴様では俺には勝てぬ!」
大上段から振り下ろされた真っ向両断を自慢の大鎌、ファントムハーケンで受け止めながら
魔刃は血気にはやる武者丸を余裕綽綽の表情で軽くあしらう。
「てっ、てめぇ……なめんじゃねぇーっ!!」
「フン!」
さらに熱くなり、魔刃頑駄無を滅多切りにする武者丸。しかしその全ての斬撃は見切られ、
むなしく宙を切るかファントムハーケンに打ち払われる。
そして渾身の一撃をかわされた際に発生した大きな隙を突かれ、ファントムハーケンの束で
激しくひび割れた柱へと叩きつけられ、武者丸は瓦礫に埋もれてしまう。
「単調!」
「武者丸!? このぉーっ!!」
今度は武装を完了した斗機丸がナギナタを手に超高速で魔刃をかく乱する。
しかし、魔刃は逆に微動だにせず、斬りかかってきた斗機丸の攻撃をあえて受け止める。
「何ッ、傷一つ付いていないだと!?」
「非力!」
「グハァッ!?」
白銀に輝く左掌、「ジーグ」によるプラズマを纏った掌底が斗機丸の急所をとらえ、
彼もまた一撃で吹き飛ばされてしまう。
「そ、そんな……まさか……」
「トッキーも、武ちゃ丸も……手も足も出ねえなんて……」
「わかったか、ヒヨッコども? ムダだということが!」
今まで無敵を誇った武者丸と斗機丸が二人がかりでも歯が立たない敵に戦慄するススムとシンヤ。
しかし、それでもなお武者丸は瓦礫を押しのけて立ち上がった。