07/08/10 18:09:58
「やっと見つけた。みんな心配したんだよ、羽丸君?」
「あ、先生の下の妹さんの……」
「なのは。高町なのはだよ。さ、一緒に帰ろう?」
なのはは優しく微笑み、羽丸に手を差し伸べるがその手は振り払われてしまい、
羽丸も後ろを向いてしまう。
「……駄目だよ。おれ、今日も失敗ばっかりで……きっと先生、すごく怒ってる。
おれ、もう先生の弟子にはしてもらえないんだ……
弟子になれればひょっとしたら何かわかると思ってたのに……!」
「そんなことないよ。おにーちゃんは不器用さんだけど、ホントはすっごく優しい人。
たぶん私なんかよりずっと羽丸君の事を心配してる。
それに、あきらめるのはまだ早いよ。だってまだ一日目でしょ?
それじゃあ失敗とかいろいろやっちゃって当たり前だよー」
「けど!」
「私もね、この間結構失敗して、友達にたくさん迷惑かけちゃったんだ」
「……え?」
羽丸の隣に座り、同じ目的を持つ競争相手の少女に完膚なきまでに敗れたこと、
自分にできる最高の技術を駆使しても、足元にも及ばない人物と相対した時のこと。
念のため魔法や戦いに関わる真相を隠し、自らの失敗の体験を語り聞かせるなのは。
羽丸も真剣な顔つきでその話を聞いている。
「……だから、ホラ、んーと、何て言ったらいいのかよくわかんないけど……
私も頑張るから、羽丸君も頑張ろ? じゃないと、きっと後悔すると思うんだ。
何も分からないなら試しにできる事をやってみる事って、そんなに悪くないと思う。
おにーちゃんに怒られたら私も何か言ってあげるから、ね?」
「おれに……できる事……」
なのはが差し伸べていた手に羽丸が手を伸ばす。
しかし、その手は背後から忍び寄る影の放った飛苦無によって断ち切られてしまう。
「ウフフ……ジュエルシードを探しに来てみれば、こんな大物に巡り合えるなんて。
アナタ、堕悪羽流鋭様が仰っていた魔導師のお嬢ちゃんね?」
「私の事を知ってる……? あなたは一体誰なんですか!?」
羽丸をかばうようにして勇敢にその影を見据えるなのは。
それに答えるかのようにその影は実体を表した。