07/08/08 20:00:48
>・管理局では家族とか子供とかを副官にしている人は多い。
・佐官以上のコネがあれば士官学校に入れる。
ちょww
これって韓非子や孟子がこれが公然と行われ、
かつ批判する人が居ないようになると
その組織はヤバイって言ってるパターンじゃねーか!
215:通常の名無しさんの3倍
07/08/08 20:09:00
公の組織としてやっちゃいけない事もやりまくってるような気が・・・
216:通常の名無しさんの3倍
07/08/08 20:55:26
>>215
何を今更。組織物として破綻しているのは承知の上で視聴してるぜ。
217:207
07/08/08 21:06:20
>>209 >>211
おお、これは助かりますサンクス。
―ところで、スレの流れ的にこのスレにはアンチスレの住民が多いのか?w
218:通常の名無しさんの3倍
07/08/08 21:11:52
>>217
それもあるけど今まで普通に見てたのに
改めて知ってしまってビックリしてる人も多いと思うよ。
後、ファンであってもつい突っ込みたくなるとか
219:通常の名無しさんの3倍
07/08/08 21:33:21
俺もアンチになったつもり無いなぁ。
でも見てて「これはねーよwww」って思う事はかなりある。主に三期だけど。
220:通常の名無しさんの3倍
07/08/08 21:33:28
>>217
でかい組織への反抗はガンダムの基本だぜ!
221:通常の名無しさんの3倍
07/08/08 21:40:49
>>214
だって機動六課の監査役はクロノなんだぞ?
222:通常の名無しさんの3倍
07/08/08 22:03:13
>>217
URLリンク(d.hatena.ne.jp)
ここにStS14話までに分かっていることで考察した管理局の構成図があるよ。
223:通常の名無しさんの3倍
07/08/08 22:40:44
聖王のゆりかごがサテライトキャノンだった件について。
これはガンダムXとのクロスを書けとの思し召しか?
224:通常の名無しさんの3倍
07/08/08 22:42:40
>>224
ぜひ書いてくれ。
225:通常の名無しさんの3倍
07/08/08 22:50:30
>>224
StS完結まで待ってくれ、第三期は漫画やCDドラマで重要な設定が出てくるし、
ただでさえ設定のすり合わせが厄介なんだ。
例えばスバルが戦闘機人ということをエリオとキャロ以外はみんなとっくに知っていたとか。
226:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 00:58:32
あ、Xクロスの三期終了待ち、俺だけじゃなかったんだ
227:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 01:22:51
ふと思ったんだが、時空管理局の装備(デバイスとか時元航行艦とか)やガジェットを、
ミノフスキー粒子が高濃度(最低でも戦闘濃度)散布されている戦闘領域まで誘導したら、
装備の機械的な部分がダメになって、軽くパニックに陥るんじゃないだろうか?
そして始まる超一方的な虐殺劇ががが
228:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 05:47:47
>>227
ミノフスキー粒子は、誘導兵器やレーダーを無効化する粒子だから、
管理局員が目視で魔法を当てれば問題ないと思われ。
229:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 08:16:48
>>228
生身で戦えばOKなのは同意だが
理由部分は勉強不足
230:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 08:22:19
>>229
そうか…スマソ
231:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 08:24:41
シールドしてない電子機器は根こそぎ狂うからな、ミノ粉
232:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 08:26:06
たしか、デバイス無しでも魔法使えなかったっけ?
無印やASのユーノはデバ無しで魔法を使っていた気が
233:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 08:31:19
使える。
デバイスがあると処理能力か跳ね上がるのが大きい。
バルディッシュ持つ前のフェイトのフォトンランサーは
同時展開3発が限界デシタ
234:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 08:56:12
確か、デバイスが無いと魔法プログラムを一から組み立てて
完成した理論(魔法)を形にして打ち出すンだっけか?
で、デバイスはその魔法をZIP保存してて必要なときに解凍だっけか
235:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 08:56:21
どちらにせよ、ミノ粉まかれたら殲滅戦になるのは必至か
236:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 09:35:29
>>232
三期からはデバイスの強さに追いつけるのが魔導師の強さという設定になりました。
237:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 10:48:43 X2G73GQa
正直8話なのはさんのクロスファイア2発目のSEは色々とマズイ気がする
あの時なのはさんは明らかに9歳の自分を超越している気がする
238:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 12:04:49
>>236
三期からも何も…
デバイスの性能に追いつけないと
『デバイスに使われる魔導師』とか『デバイスに拒否される魔導師』とかになるのは
昔からの設定ですヨ
239:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 12:38:51
>>238
どこで出てきたんだぜ?
でも、なのはは昔からメディア分割だからな、知らくてもおかしくないんだぜ。
まあ、どう見てもデバイスの性能が全てにしか見えないけど。
240:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 12:42:51
>>238
初耳
241:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 12:46:37
ホントにある設定なのか?
242:通常の名無しさんの3倍
07/08/09 13:48:26
デバイスというよりインテリジェントデバイスの設定のことだな
設定自体は前からあったよ
243:811 ◆7UgIeewWy6
07/08/09 20:34:37
魔法少女リリカルオペレーションメテオ-外伝-後編
セプテム大佐とドクターJが並んで座っている。折りたたみ式金属製ベンチの冷たい感触が尻を冷してゆく
エアコンこそ備え付けられているものの何の苦もなく軍用トラックを搬入できる広さだ。
「しかしこの基地は年寄りをいたわる気持ちはないのかのぉ」
「新本部にそんな物を期待する方がどうかしている。」
典型的なコネ軍人のセプテムとドクターJでは当然ながら話が噛み合わない。
そしてここは規格外れのエレベーターの中である。
アラスカの地球圏統一連合新本部はルクセンブルクの旧本部が核攻撃に対応できない理由
に加え警備部隊すら満足に配備できない手狭感に伴い深宇宙開発局のフォールド研究所の隣に建造されたが
広大な平野に放射線状の広がりを見せながら様々な施設が並んだため研究所はあえなく新本部の中に埋もれた。
基地の中央には地下6㌔の超巨大金属製落とし穴がパックリと口を開けその更に下に司令本部がある。
シャフトに設置されたレールに沿って地獄の釜の底へエレベーターは下っていく
「しかしこれがグランドキャノンの砲身とはのぉ」
「貴様!最高機密を何故知っている!」
「そんなもの、技術者の間では誰でも知っている当然の噂じゃぞ?」
グランドキャノン。来るべき外宇宙の敵のためにリーブラの主砲を拡大する形で開発された超大型ビーム砲台である。
当初は資金面と資材面と環境面を考慮し廃棄コロニー6基を改造する予定であったのだが地球に利益を落とさない事に
不満を抱いたロームフェラ財団の圧力で地球上に設置される事になってしまった
そのため予算超過が著しく連合新本部の試作一号砲と南極周辺に建造予定の二号砲を以って計画は凍結されている。
244:811 ◆7UgIeewWy6
07/08/09 20:35:39
どう見ても宇宙人か何かと疑っている警備兵に態度で脅されながら二人は査問室に入室する
「久しぶりだな、セプテム大佐」と素っ気なくセプテムの実の父親のクラレンス将軍が言った。
明らかに椅子とテーブルが軍法会議そのままに配置されセプテム大佐とドクターJは中央の被告人席に座らされた
「セプテム大佐、それにドクターJ、私は君達をもう少し常識人だと思い込んでいたのだが」
幹部の一人が呆れ顔で言った。
「だいいち敵に無敵のバリアを持つ船やリーオーと対等に戦えるアストロスーツがあるならば
何故ピースミリオンは帰還できたのかね?」
「ですからその理由は報告書をお読み頂ければ」セプテムが弁明する
「そんなバカバカしい話などありえん」
太陽系外で隕石群に遭遇してピースミリオンが損傷したと思い込んでいる幹部達は鼻で笑った。
ドクターJが身を乗り出し「証拠なら幾らでもあるぞい。」
「いいかげんにしたまえ」幹部の一人が静かに怒り出す
「だが艦と修理と兵員の補充及び資材補給は引き続き行う。」
ピースミリオンが隕石群と遭遇したと言う事で査問会が終了しかけていた時に
血相を変えた士官が息を切らしながら扉を開けて飛び込んでくる。
「たっ、大変です!ニューエドワーズ基地が消滅しました!」
被告人席から水の入ったコップをふんだくって一気飲みしてから更に報告を続ける
原因は月軌道上にフォールドアウトした未確認艦が地球に近接し連合の警戒衛星を破壊した事に端を発する。
迎撃手順に従い地上から対衛星ミサイルを発射、着弾したが目に見えた効果はなくそれから三分後
ミサイルを発射した深夜のニューエドワーズ基地はアルカンシェルの砲撃で閃光と轟音と共に蒸発した。
……………幹部一同はあまりの事態に絶句して口篭る
「これにて査問会を終了とする。セプテム大佐は処分が決定するまで新本部での待機を命ずる」
その後セプテムとドクターJは警備兵の歓迎付きで応接室に軟禁され連合首脳部は地下会議室
にひたすら篭もっていた。
"長い、長過ぎる”セプテム大佐は会議からハブられた事に苛立っていたが、
ドクターJは肝が据わり過ぎていて特にやる事もなかった為ソファーで寝ていた。
そこにセプテムの父親のクラレンス将軍が入室してくる。
「父上、いかがでしたか」
すがるように聞く
「うむ、ピースミリオンの解析データを検討した結果、開戦の方向に決定した。」
顔面蒼白になりながらセプテム大佐が反論する
「父上!連合の戦力では管理局には勝てません!」
軍人と言うよりも実の息子を諭す方向でクラレンス将軍が答えた
「息子よわかっておる。だが無条件降伏すれば地球圏統一連合の存在をも否定する事になる」
セプテム大佐は地球全滅の恐怖で眩暈を覚え、ふらふらしながら失意の顔を露にした
「アリが象に踏み殺されるようなもんじゃな。」いつの間にか起きていたドクターJが
技術者らしい的確な暴言を漏らして陰鬱な雰囲気が更に増してゆく
「セプテム、お前はピースミリオンに戻れ。」
「父上……」
245:811 ◆7UgIeewWy6
07/08/09 20:37:35
月ドックで今や半分骨組みと化したリーブラから推進器や動力炉や装甲を剥ぎ取ったおかげで
ピースミリオンの修理はほぼ完了していた。それに加えてコロニー配備の宇宙軍を全て撤収し
地上配備のリーオーすらも宇宙へのピストン輸送が行われMSの数だけは月の外に展開する
地球圏防衛艦隊には過剰なほど配備されていた。
だが宇宙軍所属でないパイロットは元戦車兵などが多かったため無重力に慌てふためき宇宙酔いでのたうっている。
そのため彼らは戦闘など期待されず地球各地から掻き集めた大陸間弾道ミサイルの核弾頭を改造した
吸着反応爆雷を以って敵艦に体当たりする手筈になっている。おそらくは辿り着いても離脱する事などまず不可能だろう
そんな中で時空管理局基幹艦隊は、突如、何の前触れもなく現れた。平行世界から侵攻してくるので当然である。
アラスカ連合軍本部のグランドキャノンが活動を始める。貯水池に偽装した防護シールドは排水され黒々とした巨大な砲口が展開されてゆく、
宇宙や地平線の外側から見るとチャージ中のグランドキャノンが既に空前絶後のサーチライトになっていた。
そして光は更に溢れていき直径3000㍍の超巨大ビームが発射され夜空はその影響で雲と言う雲が
吹き飛びオゾン層を貫通しながらアラスカは真っ赤な光に染まった。
「地球北極上空にエネルギー反応!!」
観測室からの報告を通信士官が伝える
「敵艦隊の一部が消滅していきます」
地上から扇状のビームが放射されている。
グランドキャノンがあまりにも高出力だったためビームを浴びた艦艇群は
ディストーションフィールドを貫通され溶けるように消えてゆく。
「アラスカ本部がやったんだ!」
意気消沈していた地球圏防衛艦隊の士気が上がり歓声が満ちていた。
ピースミリオンから紫色のリーオー隊が次々に発進しMS輸送艦からも砂漠迷彩のリーオーが
写真に砂を吹きかけた様に放出されていく。
セプテム大佐が極限まで切り詰めた演説を始める
―ピースミリオンならびにリーオー、輸送艦の全軍に告げる。
我々はこれよりグランドキャノンの空けた空域を通って侵攻する。
諸君らの健闘に期待する―
ピースミリオンが、敵の攻撃を逸らすためのMS輸送艦が、リーオーが動きの鈍った
時空管理局基幹艦隊の中へと突き進んでいく、
複数のリーオーが敵先頭艦に特攻を掛けて爆発したのを目撃した事でカルチャーショックを受け
ただでさえグランドキャノンの混乱で対空砲火が散漫になっていた基幹艦隊の動きが一時的に止まる
「攻撃の手を緩めるな!」セプテムが叫ぶ
ビームが乱れ飛び双方の艦やリーオーが爆発する
グランドキャノンと特攻で敵軍は確かに混乱した。
そのスキを突いて攻撃する、しかしなにしろ数が違う。
フネの数こそ上回ったが単機で魔術師に勝てるパイロットは殆ど居ない。
リーオーは魔術師相手に苦戦を強いられていた。機動性と武装と装甲において勝るデバイスには
ビームライフルやマシンガンは効かない、正確には当たらないのだ。
リーオーは敵一人に対して2,3機が一度に攻撃を加え接近戦に持ち込む事によって
かろうじて一方的な戦いになる事を回避している状況である。
敵、味方、何隻もの艦が被弾し四散した。リーオーが魔導師を巻き込み自爆する
246:811 ◆7UgIeewWy6
07/08/09 20:38:52
そんな中アラスカ連合軍本部には復讐に燃える時空管理局艦のアルカンシェルの猛砲撃が繰り返されていた。
最初の一撃で地上施設が消滅し着弾する度に大地が削られ地下司令部も風前のともし火である
最後の通信が艦隊旗艦のピースミリオンに送信され艦橋スクリーンにクラレンス将軍の顔が現れた。
「セプテム、まだ生きていたか」
「父上、早く避難を!」
「無駄だ。もう間に合わん……」
「結局……お前の言っていた事が正しかったのかもしれ」
言い終える前にクラレンス将軍と生き残っていた地球圏統一連合首脳部は炎と瓦礫に押し潰され戦死した。
「…………艦長、議論の時間はないようだ。トールギスの発進準備は完了していたな」
その発言を聞いた艦長は確信した。セプテムは自分だけ敵前逃亡するつもりだと
「大佐、貴方が無能なのは誰もが知っています、しかし義を説き範をたれるべき指揮官ならば残るべきです」
そして艦長はいつでも発砲できるように拳銃に手を掛ける
「それでいい、だが生き残るつもりなどない。後の指揮は一任する。」
ピースミリオンの格納庫は喧騒の中にあった。生き残ったリーオーは、
弾薬を使い果たすと着艦し補給を受け再び出撃していく。
宇宙服を着たセプテム大佐はそんなものは見向きもせずに格納庫の片隅に放置されているトールギスに向かっていく
ドクターJが自嘲気味に警告する。
「おまいさんがトールギスに乗れば必ず死ぬぞ。」
セプテムが何の脈絡もなくドクターJ以下五人に拳銃を向けた
「構わん、早くそこを退け」
ヤレヤレと言った表情で五人ともさじを投げていたが説明責任を感じたのかドクターJが注意点を説明する
「一つだけ警告しておくぞ、ゼロシステムに流されて見失ってはならん。」
セプテムの頭の中ではルクレシオンから回収したデバイスを組み込んだ事と比類なき強大なバーニア出力こそ
気にはしていたが父親の戦死に激昂していたためゼロシステムの事は完全に抜けていた。
そしてカタパルトからトールギスが格納庫を埋め尽くす無数のリーオーの合間を縫って発進する。
247:811 ◆7UgIeewWy6
07/08/09 20:43:08
その直後、通信を聞いていた1機のリーオーがトールギスに急接近してきた。
「セプテム大佐?前に出ては!」
離れろ。と言いかけた時に接近してきたリーオーが敵に撃ち抜かれ爆発する。
そしてセプテムが気がついた時には周囲に砂漠迷彩の地上仕様リーオーが20機ほど控えていた
母艦を失い核爆弾を全て手榴弾代わりに使ってしまったため目立つトールギスに集まってきたのである。
トールギスは猛スピードで迫ってくる魔導師に的確に照準を付け105㎜マシンガンで瞬く間に撃墜した。
艦砲射撃の合間を縫いバリアを貫通し魔力炉に飛びこんだデバイスによって魔法強化されたドーバーガンの砲弾が敵巡洋艦を轟沈する。
更に魔導師の攻撃を先読みして回避していく。エースパイロットでも困難な動きである。
それを無重力MS搭乗訓練を受けただけのセプテムが軽々とこなしていた。
周囲のリーオーもトールギスの後ろからひたすら突っ込んでいく
”見える。全てが見えるぞ!”
セプテムの目にはゼロシステムが見せる無数の死の選択肢が提示されてはいたが
並の人間なら死の恐怖が勝るのだが感情が先走り自殺願望に苛まれているセプテムには馬の耳に念仏である。
邪魔な選択肢を無視し、敵旗艦もろとも自爆する事のみに集中していた。
襲い来る魔導師を薙ぎ倒し、弾を使い切ったドーバーガンとマシンガンを投棄し
最初で最後のフルパワーでトールギスを加速させる。
すでに何者も追いつけない。その先には不自然に一隻だけ逃走を図る敵旗艦しかなかった。
「ゲホッ!ゴフッ!、うぉぉぉお!」
高Gによる大量の内出血で血を吐きながら言葉にならない絶叫とともにトールギスが敵艦にメリ込み自爆する。
その頃、設計当初から想定されていた移動要塞としての機能を存分に発揮していたピースミリオンは沈もうとしていた。
「一番、四番、3番エンジン大破、対空ビーム砲、カタパルト並びにエレベーター使用不能、甲板上のドラゴス隊、応答ありません。」
艦長が熟考するまでもなく決断する
「総員退艦だ、急げ」
言い終えた刹那、敵の砲撃で船体下部に取り付けられたブリッジが蒸発し船体にも着弾した。
その衝撃で動力炉の安全装置が破壊され炉心が暴走を始める。そして艦内に自動警報と機械音声が鳴り始めた
「自爆装置モシクハ動力炉ノボウソウニヨッテホンカンハ爆発シマス、ゼンノリクミインはテジュンドオリにタイヒシテクダサイ
900秒ゴニ全隔壁ヲヘイサシ緊急フォールドにイコウシマス。ナヲカイジョハ司令官ナラビニ艦長モシクハ士官ヨニンイジョウノ承認ガ必要デス」
自動放送が行われると言う事はブリッジが全滅した事を意味するため、それが更に二回繰り返された後、
動ける乗組員は全力で脱出ポッドに搭乗を始めた。重症で動けない者もドンドン押し込まれていく
格納庫の整備員も貨物艇に乗り切れない者は動けるリーオーが持つワイヤーに必死でしがみ付いて宇宙服で皆退避する
「ハワード、お前は逃げんのか?」
十人は引っ張れそうな長さの作業用ワイヤー付きの宇宙用バイクで
逃げる準備は万全のドクターJ以下五人が機関室に通信で話しかける
「ワシは行けん、やっておかねばならん事があるんでな」
「手動で動力炉を止めるつもりか?難しいぞ」
「生き残れたらまた会おう、達者でな」
通信を切り、ハワードと機関科の勇士は艦の内部を奥へ奥へと向かって行く。
数分後、ピースミリオンは閃光を放ちながら消息を絶った。
4時間後、無条件降伏を巡る意見の相違によって警備部隊同士での苛烈な戦闘が発生していたルクセンブルグ旧本部
の暴動がようやく沈静化し地球圏全域にアラスカで全滅した司令部が事前に用意していた降伏宣言が放送され
それにより地球圏統一連合は事実上も名目上も消滅した。
だが連合兵士の殆どは地球配備で戦闘に参加していなかったがために敗戦を認めず
部隊の殆どが脱走もしくはゲリラ化し弾薬を使い切るまでの数年に渡って抵抗運動を続ける事となる。
248:811 ◆7UgIeewWy6
07/08/09 20:44:18
あまり上手く書けないな俺orz
249:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 00:31:50
>>811氏
乙&GJ!
無茶すんなセプテム大佐wwwww
それはともかく、ハワードの安否がやたらと気になる今日この頃w
250:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 01:31:59
縦書きならこんなもんだけどここは横書きだし、
もうちょい文の長さを加減した方がよいかも
251:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 13:26:10
ところで、おまいらの中で陸士部隊の規模が分かるヤツって居る?
252:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 17:58:23
うーむ……俺は何故こんな所で倒れているんだろう? 少し思い出してみるか……
俺は高町恭也、大学一年生。趣味は盆栽、特技は剣術。家族は両親二人に妹が二人、
それに新顔でペットのフェレットが一本……よし大丈夫、自分の事くらいは覚えている。
確か……そう、そうだ。町内会に頼まれた夜の見回りの途中、山道の辺りで、
二刀流の武者頑駄無が見たこともない怪物と戦っていて……それもかなり押されていて……
それで、加勢したはいいが手負いの怪物の思わぬ反撃から彼をかばって……
あぁ……それでこんなに血が流れているのか。
どう考えてもこれはまずいな。油断したわけではないが、当たり所が悪かった。
このままでは……死んでも……まぁ、おかしくはない。
意外と落ち着いていられるものだな、死ぬ時というのは。
「……そこのアンタ、聞こえるか……?」
ん? 誰だ……そうか、あの武者頑駄無か。
俺の最期を看取るのが同じ二刀の剣士だとは、なかなか皮肉なものだな。
「……アンタには申し訳ないことをした。せめてもの償いに俺の命をアンタに託そう」
ちょっと待て。命というものはそう簡単にやり取りできるものなのか?
いや、仮にできたとしてもそんな事をすれば死ぬのはそっちの方になってしまうだろう?
「大丈夫。傷が完治するまでの間、俺自身にかつて与えられた生命力を貸すだけだ。
アンタも俺も『一応』死ぬことはない。ただ、やってほしい事がある」
やってほしい事……何だ? まさかとは思うが変身ヒーローにでもなれと言うつもりか?
俺はどこかの光の巨人か。それとも電光超人なのか?
「フフフ……心配することはない」
笑ってごまかすな。せめて詳細を語れ……うっ、だんだん視界が……ぼやけて……
一体俺は、俺達は何がどうなるって言うんだ……?
253:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 17:59:51
巻之拾四「夜空に舞う白い翼なの」
「おとーさん! おかーさん! たっだいまーっ!」
大きな庭のある広い家の玄関を勢い良く開けて、元気よく声をあげ中へ走りこむなのは。
アパートやマンション暮らしのススムとシンヤは大きな家に圧倒されている様子だ。
そんな彼女を、同じくらい元気そうな笑顔で出迎える人物がいた。
「おかえり~、なのは! おかーさん達、すっごく心配だったのよ~!」
「そうだぞ? なのはの乗ってた新幹線が事故に遭ったって聞いて……
電話してくるまでみんな気が気じゃなかったからな。とにかく無事でよかった。
おおっと、睨むなよユーノ。もちろんお前だって心配だったさ」
天真爛漫で優しそうななのはの母、高町桃子と東京駅でも会った父、高町士郎。
家族と仲良くしている様を見るとなのはも年齢相応に見えるな……などと、
まだ付き合いの浅いススム以外はそんなかなり失礼な事を思っていた。
もっとも、ススムはススムで海鳴に行くと決まった時から
何か別の事に気を取られている様子だったが。
「シンヤ君……だったね。娘が世話になったみたいでありがとう。そっちの君は?」
「は、初めまして! ボクはこっちの武ちゃ丸の友達のススムと言います」
「ススム君も、シンヤ君にトッキー君、武ちゃ丸君とおんなじ大事なお友達だよ!
あっ、ところでおにーちゃんとおねーちゃんは?」
「美由希なら今図書館に行ってて……恭也なら昨日の見回りに疲れたのかまだ寝てるな」
「見回り? 何かあったの?」
「そう言う訳じゃないんだけど、ホラ、あんな騒ぎがあったばかりで色々と物騒でしょ?
それでね、今、町内会で分担して夜の見回りをやってるの」
あんな騒ぎ……言うまでもなく堕悪武者幻妖の襲撃や、
へっぽこ四人組の手によるジュエルシードの暴走事件である。
その傷跡は根深く、交通やライフラインへの被害のみならず人々に与えた心の傷も大きい。
自分達がもう少し気を付けていれば防げたかもしれない事件の事を思い、
また少し暗い表情になるなのはを心配する一同。
「ただいまー!」
と、そこに大きな丸眼鏡と黄色いリボンでまとめた三つ編みが目を引く少女が
元気よく人でいっぱいの玄関を開け、きょとんとした表情でその光景を見渡す。
254:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 18:01:48
「おねーちゃん!」
「あれ、なのは、帰ってたんだ! お帰り! それに……
とーさん、かーさん、大変だ! なのはがボーイフレンド連れてきちゃった!」
その一言に驚いて、互いに真っ赤になった顔を見合わせるススムとシンヤ。
バスケットの蓋を勢い良く開けて過剰反応したユーノも二人を威嚇するように見つめる。
すでにフェレットというよりイタチ、それも恐ろしい形相の某白イタチを思わせる気迫だ。
「コラ、美由希? いきなりそんな事言ったら失礼よー」
「てへへ……ゴメンね、驚かせちゃって。なのはに男の子の友達って珍しいからつい……
あ、私はなのはの姉で美由希って言うの。なのはと仲良くしてあげてね?」
やはり底抜けに明るい笑顔でススムやシンヤ達を興味しんしんといった感じで見つめ、
くしゃくしゃに頭をなでるなのはの姉だという美由希に困ったような表情を崩せない二人。
そこに奥の部屋から騒ぎを聞きつけたのか、最後のなのはの家族が顔を出した。
「何の騒ぎだ……ん、なのは、帰ってきたのか。おかえり」
「あ、おにーちゃん、ただいま!」
「おはよ、恭ちゃん! この子たちね、なのはのお友達の……」
「……そうか」
なのはの兄は妹二人には優しい笑顔を向けるが、
当の友達が男だと分かると微妙に機嫌を損ねてそっけない態度で接する。
その態度を見かねてか、父、士郎は目にもとまらぬ早業で関節技を決めにかかった。
「くぉら、バカ息子! 君はちょっと妹離れができていないんじゃあないのかな~!?」
「うがが……あぎぎ……ギ、ギブギブ! 悪かった!」
「さしもの恭ちゃんも、とーさんには形無しだー……」
「ご、ごめんねススム君、シンヤ君! おにーちゃん、いつもは優しいんだけど……」
「い、いや、俺達は……なぁ?」
「うん。全然気にしてないよ、なのはちゃん」
仲良く? じゃれあう親子をうらやましそうに眺めるススムとシンヤ。
事情はそれぞれだが、二人とも父親とは満足に交流を持てないでいるため、
親子のスキンシップというものにいくらかの憧憬を抱いていたのだ。
「もう、二人ともいい加減にしなさい! 皆、いつまでもこんな所で立ち話もなんだから
あがってあがって! 旅の話も聞きたいし、お茶にしましょう?」
そしてどこの家でもやはり母は強し。
鶴の一声であっという間に騒動を収め、慣れた手つきで一同を居間へと案内した。
255:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 18:03:04
「うわっ、このシュークリームめちゃくちゃウマ……じゃなかった、その、美味しいです」
「ホントー? だったらおばさんうれしーなー! おかわりあるからどんどん食べてね!」
九州土産にと武者鷲主から頂いた香りのいいローズティーと
うず高く積み上げられた手作りのシュークリームを前に、話も弾む。
当然魔法や戦いの事は話せず、辛かった事や悲しかった事もたくさんあるが、
それに勝るとも劣らない楽しかった思い出の数々も語り出せば尽きることはない。
「えっと、このシュークリームって喫茶店で出してるやつで、全部手作りなんですよね?
すごいなぁ……いっぱい修行したんだろうなぁ……」
「そうね。最初は料理教室とか近所のお店のバイトから初めて、
ヨーロッパで修行して、その後ホテルのレストランでパティシエをやって……」
「ホンマか? シュシュム、世の中やっぱり凄い人はごっつう努力しとるで!
ワイらももっともっと頑張らんと!」
「やだー、そんな大げさなものじゃないわよ。好きな事をやらせてもらっただけだもの。
……って、あなた達も何か食べ物の修行とかしてるの?」
「はい……大阪の……タコ焼きを……」
「あらホント!? 私も関西出身で……」
互いに料理好きの血が騒ぐのか、ススム&武ちゃ丸との話に花を咲かせる母桃子。
そんな光景を見ながらなのはの兄、恭也は感慨深げに呟いた。
「しかし……新鮮だ」
「? 私のお菓子の素材はいつも新鮮よー?」
「違う。この食卓の男女比だよ、かーさん。
男性比率が女性比率を上回ったのなんて、初めてな気がしてさ」
「あ……そう言われて見ればそうかも」
「確かに! 忍さんとすずかちゃん姉妹に私やなのはの友達もよく来るしね」
「おにーちゃん、そういう時いつもすこーし肩身狭そうにしてるもんね……」
「と、言うよりお前の男友達が少なすぎなだけなんじゃないのか、恭也?」
「い、痛いところを……うん?」
ふと、玄関のインターホンが鳴って団欒が少し断ち切られる。
「誰だろう……今日は千客万来だな。あぁ、いいよとーさん。俺が出る」
ローズティーの注がれたカップを置き、恭也は玄関の方へと進んでいく。
……かと思うと、即座に戻ってきて士郎と美由希、
そしてなぜか武ちゃ丸とトッキーを連れてまた玄関へとせわしなく戻って行った。
256:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 18:04:17
「お初にお目にかかります! おれ、羽丸って言います!
こちらに高町恭也と申される剣豪の先生はおられませんか!?」
「あぁ、高町恭也は俺だが……って、なんだ剣豪の先生って」
木刀と荷物を脇に礼儀正しく正座をし、威勢良く挨拶する幼い少年がそこにいた。
ただ、け普通の少年と著しく違う特徴を持った少年が。
「初めまして……って、恭也、この子はいったい……?」
「わからない。でも……」
白い……というより純白の肌に短い手足、緑色の大きな瞳、胸に輝く金色の宝玉。
その人間ではありえない数々の身体的特徴に少々面食らう高町家の面々。
「……君達の知り合いじゃないのか?」
武ちゃ丸とトッキーの方を見てそう言う恭也。
そう、彼はただの少年ではなく武者頑駄無の少年だった。
「いや、ワイは知らんけど……斗機丸、お前はどないや?」
「スマンが俺のデータベースにも該当する武者がいないな。羽丸君……だったか?
君は一体何者なんだ? 少なくとも、あの日是断の門に君のような子はいなかったはずだが……」
トッキーの問いかけに対し、これまた元気に答える羽丸。
「わからない!」
「わからないって……ひょっとして記憶喪失なのか?」
「う~ん……それもよくわかんない。だって、おれは名前も故郷もちゃんと覚えてるし……
わからないのはなんでおれがこんな所にいるのかって言う事だけなんだ」
「そりゃまた随分複雑な記憶喪失だね。いつ頃からそんななの?」
色々とややこしい事になっている羽丸の記憶に対し、率直な感想を述べる美由希。
「それもよくわからないけど、何故かやらなきゃいけない事だけはわかってるんだ。
誰かがおれに教えてくれたような、そうじゃないような……」
「やらなアカン事……一体何なんや? よかったら教えてくれへんか?」
257:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 18:05:32
武ちゃ丸の一言を待ってましたとばかりに羽丸は意気揚々と語り出す。
「一つはこの地に現れた堕悪闇軍団と戦う事。そしてもう一つは……
そのために高町恭也さん、あなたの下で剣の修行を積まなければいけないという事!
お願いします! どうかおれをあなたの弟子にしてください!!」
だんだん熱を帯びてくる羽丸の語りと対照的に恭也は疲れた顔で
その突拍子もない発言に突っ込みを入れる。
「……待ってくれ。そこでどうして俺なんだ? 優れた剣の使い手なら他にもっといるし、
実戦的な剣術ならそれこそ他の武者頑駄無に教わればいい話だろう」
「いえ! あなたじゃないとダメだって、おれの心の中で何かが叫ぶんです!」
「いや、しかしだな。いきなり押しかけてきてそんなアレな理由を言われても……
そもそも一体どこで俺の事を知ったんだ?」
当惑し、何が何だかわからなくなり始めている恭也に外野が追い打ちをかけた。
「これはまたずいぶんと惚れこまれてしまったもんだな、恭也」
「私は構わないと思うけど? 恭ちゃん、教え方結構上手だし、
私の方も弟弟子ができたら嬉しいなー……なんて」
「とーさん、美由希……人事だと思って気軽に言わないでくれ」
「で、どうするんだ? お前の問題だ。答えはお前が決めるといい。
ただし、あの子は本気だぞ。だからお前も真剣に答えなきゃいけない。わかったな?」
士郎は恭也の肩をポンと叩き、答える事を促す。
「……そうだな。どうしてもと言うなら、考えてやってもいい。
何日か様子を見て務まるかどうか判断してからだ。それならいいか?」
「は、はい! よろしくお願いします、先生!」
その答えに満面の笑みをたたえて全身で喜びを表現する羽丸。
「ただし!」
恭也の強い語気に押され、羽丸は一瞬ビクっとして姿勢を整える。
「無理だと判断したらその時は……わかってるな?」
真剣……というより静かに燃える炎のような、
あるいは凍てつく絶対零度の氷塊のような恭也の鋭い視線が羽丸を貫く。
士郎と美由希はそんな彼の様を見て、「鬼コーチモード突入だぁ」だの
「おとーさんはあんな子に育てた覚えは約20%くらいしかありません」だの囁き合っていた。
258:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 18:06:46
「……で、なのは。結局その羽丸って子、どうなの?」
夕暮れ時、なのはと新たな魔法の習得を行うべく訓練に熱を上げるユーノは
一段落ついたところで気になっていた羽丸の処遇について訊ねてみた。
「どうなのって……うーん、私は詳しい事はわからないけど……
何て言うか、こう……気ばかり焦って空回りしてる……みたいな?
見てたでしょ、いろいろお手伝いしようとしてお皿割ったり、
お米を研ぐときに台所洗剤入れちゃったり……
おにーちゃんもずいぶんむつかしー顔してたし……
それに本人も自分の事あんまり分かってないみたいだし、一体どういう子なんだろう?」
今日一日だけで羽丸が台所で巻き起こした騒動を思い返すなのは。
この勢いだとトレーニング中に何かをやらかしていたとしても不思議ではない。
「そっか……とりあえず彼の調査はトッキーさんに任せてあるし、
僕達は僕達にしかできないことをやろう」
「そうだね。ディバインバスターの射程、集束の強化……それが最優先かな?」
「それだけじゃない。威力はともかく取り回しの悪いバスターの他に
小回りの利く他の攻撃魔法も覚えなきゃだし、劣るスピードを補う方法、
前衛で戦う武ちゃ丸やトッキーさんの能力を強化したり、
敵を妨害する支援魔法も充実できたらそれに越したことはないね」
「はぁ……問題山積みだね……」
思わずため息をついてしまうなのはを励ますようにユーノは話を続ける。
「そうでもないよ。新生夢者遊撃隊と言うチームを編成できたおかげで、
やらなければならない事がハッキリしてるからね。なのは一人だったらもう大変だよ?」
「得意な魔法が魔法だから、たいして変わらない気もするんだけど……
じゃあ、ユーノ君の使命のため、私のレベルアップのために頑張りますか!」
「うん、じゃああの子が使ってたみたいな魔力弾を遠隔誘導操作する魔法から……」
<<All right>>
ユーノの指示に答え、レイジングハートは記録されている魔法のいくつかをなのはに伝える。
ただし、モノになるかどうかはなのはの努力次第。
結局、前回の旅では黒衣の魔導師と言い、魔刃頑駄無と言い自らの技量を上回る相手には
手も足も出なかった。ならば結局は自分のスキルを高めるしかない。
その為に二人は熱心に特訓を重ねた……それこそ時間を忘れるほどに。
259:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 18:08:28
「ふえぇ、すっかり遅くなっちゃったよ! もう真っ暗!」
<<Sorry, my master>>
「ごめん、つい張り切りすぎちゃって……また怒られちゃうかな?」
「いちいち言い訳しなきゃならないのが余計に心に痛いね……」
案の定特訓に集中しすぎてすっかり暗くなった街並みの中、家路を急ぐなのはとユーノ。
その途中、たばこ屋の角を曲がったところで
二人は出来たら顔を合わせたくなかった身内二人と顔を合わせてしまう。
ランニングの帰りと思われる恭也と美由希だった。
「……なのは。ユーノの散歩に一体何時間かかっているんだ?」
「ごめんなさい……」
「もう、そんなの後でいいじゃない! なのは、途中で羽丸君見なかった?」
「羽丸君? あれ、そういえばいないね。まさか……」
少し憮然とした表情の恭也と不安そうな態度の美由希。
そこから事態を推理してしまったなのはは口に手を当て、顔を青ざめさせる。
「そう、ロードワークの途中で私達についてこれなくなったのか見失っちゃったのよ!
みんなで探してるんだけど、さっぱり見当たらなくて……」
「本当に!? じゃあ私も……」
「駄目だ。なのはは帰ってかーさんと一緒に待ってるんだ」
「でも……」
「なのは」
「……はい」
自分も手伝おうと食い下がるなのはを言葉少なに説得し、再び夜の街に探しに戻る恭也。
その姿を見て、美由希は落ち込むなのはを諭すように語りかけた。
「恭ちゃんね、ああ見えても結構心配してるし、責任も感じてる。
後はとーさんに、なのはのお友達の武者頑駄無さん達も探してくれてるから、
きっとすぐに見つかるよ。だから、なのはは安心して待ってて。ね?」
「うん……」
そう言った美由希もまた羽丸を探しに戻り、そこにはまたなのはとユーノが残された。
「なのは……どうするの?」
「放っておけないよ! 私達の魔法で何とか探せないかな?」
「そりゃ、前にジュエルシードを探した時のやつを使えばできるけど……
今日はもう今までの特訓で魔力も体力も結構消耗してるよ?」
「いい!」
260:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 18:09:58
「やっと見つけた。みんな心配したんだよ、羽丸君?」
「あ、先生の下の妹さんの……」
「なのは。高町なのはだよ。さ、一緒に帰ろう?」
なのはは優しく微笑み、羽丸に手を差し伸べるがその手は振り払われてしまい、
羽丸も後ろを向いてしまう。
「……駄目だよ。おれ、今日も失敗ばっかりで……きっと先生、すごく怒ってる。
おれ、もう先生の弟子にはしてもらえないんだ……
弟子になれればひょっとしたら何かわかると思ってたのに……!」
「そんなことないよ。おにーちゃんは不器用さんだけど、ホントはすっごく優しい人。
たぶん私なんかよりずっと羽丸君の事を心配してる。
それに、あきらめるのはまだ早いよ。だってまだ一日目でしょ?
それじゃあ失敗とかいろいろやっちゃって当たり前だよー」
「けど!」
「私もね、この間結構失敗して、友達にたくさん迷惑かけちゃったんだ」
「……え?」
羽丸の隣に座り、同じ目的を持つ競争相手の少女に完膚なきまでに敗れたこと、
自分にできる最高の技術を駆使しても、足元にも及ばない人物と相対した時のこと。
念のため魔法や戦いに関わる真相を隠し、自らの失敗の体験を語り聞かせるなのは。
羽丸も真剣な顔つきでその話を聞いている。
「……だから、ホラ、んーと、何て言ったらいいのかよくわかんないけど……
私も頑張るから、羽丸君も頑張ろ? じゃないと、きっと後悔すると思うんだ。
何も分からないなら試しにできる事をやってみる事って、そんなに悪くないと思う。
おにーちゃんに怒られたら私も何か言ってあげるから、ね?」
「おれに……できる事……」
なのはが差し伸べていた手に羽丸が手を伸ばす。
しかし、その手は背後から忍び寄る影の放った飛苦無によって断ち切られてしまう。
「ウフフ……ジュエルシードを探しに来てみれば、こんな大物に巡り合えるなんて。
アナタ、堕悪羽流鋭様が仰っていた魔導師のお嬢ちゃんね?」
「私の事を知ってる……? あなたは一体誰なんですか!?」
羽丸をかばうようにして勇敢にその影を見据えるなのは。
それに答えるかのようにその影は実体を表した。
261:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 18:40:55
意味無いかもしれんが一応支援
262:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 18:55:56
そしてまた落丁orz
>>259と>>260の間にこれ挟んどいてください。
そして支援㌧クス
即答するなのはにユーノは処置なしといった風情で首を振り、こう答えた。
「それなら、僕と同時に魔法を発動しよう。負担も半減できるはずだよ」
「ありがとう、ユーノ君! じゃあ広域探索魔法、いっくよー!」
<<Area search>>
そうして二人は疲れた体に鞭打って羽丸を探す。
発動自体はそれなりに力を使うものの、妨害などもないためすんなり羽丸は見つかった。
……場所が今までいた自然公園の近くという事実は割と二人をげんなりさせはしたが。
「……で、見つかったけどどうする? 恭也さん達に連絡した方が……」
「迎えに行こう、二人で」
「やれやれ、なのはの事だしそう言うと思ったよ。でも……」
「大丈夫! こう見えても私、結構丈夫なんだよ?」
先日トッキーに言われた事もあり、なのはの身を案じるユーノであったが、
同時に彼女の言い出したら聞かない性格も重々承知していたため、
その場は黙って従う事にした。
「あっ……いたよ、あの子じゃない?」
「シッ、なのは、少し静かに……何か言ってるよ?」
自然公園の広場、藤棚のベンチに一人座っている羽丸を見つけた二人。
羽丸が何か囁いているのを聞きつけた二人はそのまま様子を見る。
「綾乃……おれ、やっぱ駄目だよ……何が何だか訳がわからないし、
道に迷って先生達には置いて行かれるし、おふくろ様には迷惑かけっぱなしだし……
おれ、なんでこんな所なんかにいるんだよ……父ちゃん、母ちゃん、帰りたいよ……」
涙をぼろぼろと流しながら月を見上げ、遠い故郷の事を想う羽丸。
「……羽丸君、ホームシックにかかっちゃってるみたいだね……」
「無理もないよ……事情も分からず見たこともない世界に放り出されて、
しかもいきなり失敗ばかりじゃあ……って、ちょっと、なのは!?」
ユーノの制止を振り切り、悲しみに暮れる羽丸になのははそっと話しかけた。
263:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 18:57:54
では続き。
「ワタクシの名は堕悪翔妃(しょうひ)。堕悪闇軍団、空魔忍軍の紅一点。美しき蒼空よりの刺客ヨ」
「わかりました。なら翔妃さん、どうして私を襲うんですか!? 答えてください!」
なのははいつものように話し合いから入ろうとし、相手もそれに応じる。
「勇ましいですのね。そう言う娘、ワタクシ嫌いではありませんわよ?
堕悪魔刃頑駄無様はアナタの事を大層高く評価しておいでなの。
いつかは恐ろしい障害になるってね。見つけ次第、勧誘するか洗脳するかして
こちらに引き込むよう仰せなのヨ。けど、美しい者はあまり多くても困っちゃうわ……
ダ・カ・ラ♪ よろしかったら、ここで死んで下さいませんこと?」
あくまで明るく、丁寧な口調で恐ろしい事をさらっと言ってのけるこの刺客に
背筋が震える感覚を覚えながら、それでも立ち塞がることをやめないなのは。
「死……!? じょ、冗談はやめてください!」
「アラ、冗談なんて言ったつもりはなくってヨ。
人間なんて私達に例のエネルギーを供給してくれる存在でしかないもの。
だからあんまり目立った事してくれると邪魔なのよね……
伸びすぎた雑草はさっぱり刈らないと、ネ?」
「そ、そんな事……」
「そんな事、させるもんか!」
なのはが反論しようとした時、物陰から飛び出してきたユーノの声と
なのはの前に躍り出て、木刀を構えた羽丸の声がシンクロする。
「あら、かわいいボクちゃんとオコジョちゃんね。けど、邪魔するなら容赦はできませんわヨ?」
「ふざけるな、オバサン! おれだって武者頑駄無なんだ!
堕悪闇軍団の好き勝手にはさせないぞ!」
「オバ……サン……? ……今、オバサンとか抜かしやがったかこのクソガキィィィッ!?」
その「オバサン」という羽丸の不用意な発言は翔妃の逆鱗に触れた。
それまでの遊び好きの淑女然とした装いはなりを潜め、その残虐な本性をあらわに
翔妃は羽丸の襟元をつかみ上げ、ぎりぎりとその首を締めあげ始めた。
「このアタイの美しさを理解しねぇようなゴミ虫は、死んじまいなァッ!!」
「は、羽丸君っ!!」
264:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 19:00:26
翔妃は羽丸の体を空中に放り投げ、鋭い爪の一撃でその小さな体を切り裂く。
羽丸は中に弧を描きながら藪の方に向って弾き飛ばされていった。
「せん……せぇ……なのは……やっぱ、おれ、駄目なのかなぁ……
何にもできないまま、ふるさとにも帰れないまま死んじゃうのかなぁ……
悔しいなぁ……おれが、もっと強かったら……」
(羽丸……)
「あれ……誰の声だろ……どっかで聞いたような……」
(羽丸……右手を掲げろ……胸の玉に意識を集中させるんだ……)
「みぎ、て……たま……」
羽丸は薄れゆく意識の中、幻か現実かも定かではない不思議な声を聞き、それに従う。
すると、羽丸の意識は閃光のような激しい光に包まれ、ホワイトアウトしていった。
そして……
「羽丸……くん……?」
「さぁ小娘、次はアンタの番さね! 覚悟おし!!」
「なのはーっ! バリアジャケットと防御魔法を、急いで!」
突然の凶行に呆然とするなのは。ユーノの叫びも聞こえず立ち尽くす彼女に
血に濡れてぎらりと鈍く光る爪が振り上げられる。
―絶対絶命!?
ユーノがそう思い、自らの魔法で攻撃を遮ろうとしたまさしくその瞬間だった。
雷を纏った金色の剣閃が双曲線を描き、翔妃自慢の爪を見事に切り落とす。
意識を取り戻したなのはやユーノが天を見上げると、白い大きな翼をはためかせ、
悠然と藤棚の上に降り立つ二振りの刀を携えた武者頑駄無の姿がそこにはあった。
「ア、アタイの爪がぁぁぁっ!? そこの鳥男! 何てことしやがる!?」
「たとえ女であろうと、堕悪にかける情けは存在しない。
ましてや貴様のような外道になど!」
その武者は冷徹なまでの威圧感に満ちた声音でそう吐き捨てると、
翔妃はさらに頭に血を上らせ、ヒステリックに喚き散らす。
「アンタ、よっぽど死にたいみたいだねぇ……だったら望み通りにしてやるよ!
出てきな、紅陽炎(べにかげろう)ども!」
翔妃が合図をすると、何もない空間から突如としてどことなく昆虫を思わせるフォルムの
赤い鎧と翅をもつ雑兵、紅陽炎が姿を現した。
265:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 19:01:42
「えっ、な、何!?」
「空間転送に似た術を使った!? これだけの数を一度に……まずい!」
「心配するな、なのは。あれ位、俺一人でも十分だ。そこで見ていろ!」
「えっ……な、なんで、私の名前を!?」
胸に輝く、どこかで見た記憶のある金色の宝玉を気にしながらその武者は構えをとり、
雲霞のごとく押し寄せる翔妃の呼び寄せた雑兵、紅陽炎を
まるで八艘飛びの様に刀を振った反動を用いて次々と斬り倒していく。
「しゃらくさいねぇ! だったらこれはどうだい? 堕悪乱撃鋭爪弾!!」
「……!」
闇の魔力で強化され、極端に圧力を高めた圧縮空気弾を乱れ撃つ翔妃。
さすがの白い翼の武者もよけきれずいくつかをその身に受けてしまう。
絶え間なく放たれる空気弾に身動きの取れない白い翼の武者の胸の宝玉は
いつの間にか光の明滅が始まっており、彼はしきりにその事を気にしている様子だ。
「ハハン……どうやらそれがアンタの命綱って所かい? じゃあ、フィナーレといこうかい!」
その様子を感じ取った翔妃はとどめをささんと一際大きな空気弾を作り出し、
その照準を動きの鈍くなった白い翼の武者に定める。
「ユーノ君……私、もう黙って見ていられない! アレ、使ってみる!」
「アレって……まさか!? 駄目だ! 今日覚えたばっかりでなのはだって消耗してるのに!」
「平気だよ。これくらい乗り越えられないと……私も失敗を越えて行けない!
行くよ、レイジングハート!!」
<<Yes, my master>>
なのははレイジングハートを起動し、純白のバリアジャケットを身に纏う。
すでに今まで相当の魔力を使っているのでこれだけでもかなりの負担になるはずだが、
それを押し殺し、目を閉じて新しく身につけたばかりの呪文を詠唱し始める。
「リリカル、マジカル……福音たる輝き、この手に宿れ。導きの下、鳴り響け!」
<<Divine Shooter>>
「ディバインシューター、シュートッ!!」
266:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 19:03:38
なのはの思念制御とレイジングハートの補助により、放たれた複数の魔力の光弾……
新魔法「ディバインシューター」は最小限の動きで正確にチャージ中の空気弾数発に命中し、
魔力同士の反発を起こして互いを対消滅させる。
この予想外の方向からの、予想外の相手による攻撃に動揺を隠せない翔妃。
「なっ!? こんな術、情報にない! あの小娘、この短期間でもう成長したってのかい!?」
「どうした? 戦闘中に余所見とは、余裕だな」
「!!」
「悪いがもう時間がない……これで終わりだ!」
攻撃が途切れた一瞬をつき、白い翼の武者は一瞬で距離を詰めてその刃を振るう。
「受けよ、必殺! 双爆雷斬!!」
電撃を振り撒きながら、白い翼の武者が持つ両手の刀は隙を見せた翔妃を十文字に斬り裂いた。
「そ、そんな……アタイがこの空で敗れるなんて……だ、堕悪羽流鋭様ーっ!?」
翔妃が炎に包まれ、消滅する様を見届けるとなのはは力尽き、その場にへたり込んでしまう。
ユーノは駆け寄って何とかなのはを助け起こそうとするが、
悲しいかなフェレットの力ではどうにもならない。
そこに銀色に光る月を背に白い翼の武者が舞い降り、なのはを抱きかかえてベンチまで連れていく。
そして武者は早くなる宝玉の明滅と警告音をしきりに気にしながら
無言でその場を飛び去ろうとするが、それをなのはが呼び止める。
「待って……あっちの藪に羽丸君って言う小さな武者頑駄無の男の子が倒れてるの……
すぐに手当てをしないと……」
息も絶え絶えになのはは弾き飛ばされた羽丸の身を案じ、白い翼の武者は
心配ないと言いたげな優しい瞳でこう答えた。
「……あの子なら大丈夫。すぐにまた会えるさ。保証したっていい」
「待ってください! あなたは一体……」
今度はユーノが白い翼の武者に質問を浴びせる。
「……武者ウイングゼロ。今の俺が答えられるのはこれだけだ……また会おう!」
267:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 19:04:59
そう言い残し、鳥のような姿に化身してはるか高空に飛び去っていくウイングゼロ。
それを見守りながらユーノはぽつりと呟いた。
「武者……ウイング、ゼロ。あの人は一体……って、考えてる場合じゃない!
なのはの回復を……いやいや、それより羽丸君を探す方が先で……
うあぁ、僕はいったいどーしたらいいんだーっ!?」
最優先事項が山積みとなり、軽いパニックに陥るユーノ。
そんな彼の混乱をさらに招く要因がすぐそこに近づきつつあった。
「おーい! なのはーっ!」
「あれ、その声……羽丸君!?」
「あっ、お前なのはの友達のいたちじゃないか……お前、しゃべれたのー!?
妖怪か? お前妖怪だったんだな!? すっげーっ!!」
「……もういいよ、妖怪でも何でも……それより今から君を回復させるから……!?」
そう言って先程羽丸が傷つけられた辺りを調べるユーノ。
しかし、傷があったはずの場所には何の痕跡もなく、胸の宝玉は静かな輝きを放っていた。
「? どうしたんだ、いたち?」
「……いや、何でもないよ。それよりなのはを回復させないと。
そしたら一緒に帰ろう。……あ、僕が喋れるって事は皆には伏せといてね」
「それはいいけど……なのは、一体どうしたんだ?」
「え? あぁ……疲れちゃったんだよ。色々無茶したから……それより、君はどうなの?」
「おれ? 全然だいじょうぶだけど、なんか堕悪闇軍団が出てきてからがよく分からなくて……
なぁ、いたち。いったい何があったの?」
きょとんとした顔の羽丸を見つめ、ふと、ユーノは疑念を抱く。
(……羽丸君が吹っ飛ばされて、ウイングゼロが現れて、そしてゼロが帰ったと思ったら
怪我ひとつない羽丸君が……まさか……いや、まさかね)
消耗したなのはを魔法で回復させつつ、その疑念を振り払ったユーノは次なる問題、
家に帰ったはずのなのはがどうしてこんな遅くに羽丸を連れ帰ったか……
という質問攻めの困難をいかにして乗り越えるかと言う問題と格闘することにした。
夜空に輝く月だけが、そんな彼らを物言わず見つめていた。
268:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/10 19:06:15
次回予告(ねくすとぷれびゅう)
「ギリギリまで頑張って、踏ん張って、それでもどうにもこうにもならない時……」
「いつもボクらを見守って、ピンチの時に駆けつける!」
「何かが終わりを告げる時、誰もが勇気を忘れちゃいけない!」
「轟く叫びを耳にして、いざ出陣、武者ウイングゼロ!」
「戦いの場所は心の中、光か疾風か音か、今燃える!」
「新たなジュエルシードの発動をめぐる騒動の中明らかになる
羽丸、恭也さん、そしてウイングゼロの関係に隠された秘密とは!?」
「次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之拾伍!」
「『二刀にかける男の誓いやでっ!』さぁ次回もみんなで読もう!」
「リリカルマジカル……男子ってみんなこういうのが好きなのかな?」
登場武者符亜意留(ふぁいる)
武者ウイングゼロ
出典:ムシャ戦記 光の変幻編
モデル:ウイングガンダムゼロカスタム
背中に巨大な白い翼、飛翔の翼を背負い、双刀・爆雷剣による二刀流を得意とする凄腕の武者。
霊鳥角と光翼刃(ビームエッジ)というカスタム武具を身に纏い、
「カスタム武装」する事で飛行能力を得てパワーアップする。
また、その状態では霊鳥ゼロバード形態に変形し、超高速で飛行することが可能。
幼い頃に命を助けられた旅の武芸者にあこがれ、修行を積んで武者となった。
元々は孤独を愛する一匹狼的な性格で、天魔軍団に妹を殺されたと思い込み、
その復讐心からたった一人で天魔軍団と戦っていたが、
ある事件を経て仲間の大切さを知り、最終的に討魔光刃隊(別名・機動烈士隊)の一員として
かつての命の恩人、ファーストガンダム大将軍と共に歴代大将軍の魂が見守る中
本来は調和と安寧のために使われるべき闇の力を悪用し、数百年の長きにわたって
天宮の人々や歴代の武者頑駄無達を苦しめた天魔大帝と壮絶な最終決戦を繰り広げた。
必殺技は爆雷剣から繰り出される双爆雷斬や天地一閃など。
ちなみに妹は綾乃と言い、少々シスコン気味のきらいがある。
日本では埼玉県庁の観光課で働いていたらしい。
269:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 19:16:29
ARMSwwww
270:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 23:00:06
GJ!
自分は構成考えるほどSSがレジアス中将寄りになっていってしまうwww
271:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 23:07:29
>>270
同志よ!!!
272:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 23:08:43
>>270
同じくw
本編で余りに不遇な中将だからな……
SSくらい、スーパーレジアスタイムを。
273:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 23:17:25
>>271-272
しかし、困ったことにアニメでアインヘリアルがと起動すらすることなくあっさり破壊さたので、
アインヘリアルがどんな攻撃能力があるのか、何が問題視されていたのかさっぱり分からんw
274:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 23:46:00
>>273
もういっそ中将がまとうBJにしてしまえww
どうせもう本編ではアインヘリアルは出てこねぇ、好きに改造してしまえww
275:通常の名無しさんの3倍
07/08/10 23:59:54
目欄とか次回予告とかいろいろ自重www
>>274
見える…見えるぞ!グランドマスターガンダムと化す中将の姿が!!
つかお前ら中将好きすぎw…と思ったら>>1の時点でなんじゃこりゃw
276:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 00:07:58
なにげに中将は登場している勢力やキャラのほとんどと関係や因縁があるので、
使い勝手はかなりいいキャラだと思う。
277:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 00:23:06
中将、武闘派なお方だし
魂のこもった拳には好意的だと思うんだがどうか?
278:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 01:11:49
>>222
無限書庫が本局直属の部署扱いなら、六課の上位部署の
遺失物管理部と同じクラスの部署って扱いなのか?
だとすると、六課の課長のはやてが二佐(中佐)なら、
無限書庫司書長のユーノってどんだけ偉いんだよ?(下手すると将官クラス?)
まあ、Sts八話で民間協力者って言ってるし、
この表自体が、このブログ書いてる人の考察に過ぎないなら、何とも言えないけど。
279:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 01:16:11
しかし無限書庫って巨大学園モノが似つかわしいと思う俺は色々と毒されてるのかもしれん
280:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 04:20:53
まぁ、ユーノは昇進できないだろうからねぇ
無限書庫を迅速に漁ることができるのは、今のところスクライア一族だけっぽい描写だし。
ある程度の階級を与えて飼殺しってのが現状じゃないか?
281:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 05:42:12
ぶっちゃけ
無限書庫司書長の肩書きは「ある程度」じゃすまないと思う
282:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 09:51:12
書庫での遭難者捜索やら救助やら遺体回収やらあるしねぇ
283:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 10:01:21
それなんてクレタ島の迷宮?
284:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 10:10:17
ヤミ帽?
285:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 10:14:00
聖王教会が黒幕だと予想していたのは俺だけじゃないはず。
OZみたいにクーデターかますと思ってたよ。
286:通常の名無しさんの3倍
07/08/11 18:21:00
>>207
ほい、スカさん動機。
>そーだん2「スカリエッティのおじさんが悪いことをしそうでこわいよう」
「>確かに、むっちゃ犯罪者やし、悪いこともしてるしな。そやけどスカリエッティは自分の好きなこと…
>主に生命研究やけど、それをしたいだけで、別にこの世界を壊すとか支配したいとか邪魔な奴らは皆殺しや!
>みたいなことを考えてるんとはちゃうからなぁ。フェイトちゃんの捜査では、
>スカリエッティが生命操作に執心するんは、彼の出身にも関係がありそうなんやけど…
>この先の捜査や、向こうの仲間内での会話なんかから、その事情が読み取れたりするかもやね」
287:通常の名無しさんの3倍
07/08/12 00:47:54
>>286
子供電話相談室でさらりと重要なネタをばらすはやてさん萌え……
……なわけねーよwwwそういう重要なネタは本編でしっかり描写しろよ
だから、アンチが叩くんだ……orz
288:通常の名無しさんの3倍
07/08/12 00:56:03
>>287
ここでキチガイじみた叩き方してるのは例のアレだぞ。多分本編見てないと思ふ。
289:通常の名無しさんの3倍
07/08/12 09:39:19
へー、そうなんだー(棒読み)
290:通常の名無しさんの3倍
07/08/12 20:08:18
>>287
それは逆だな、そういうことしてるからアンチが増えちゃう。
291:通常の名無しさんの3倍
07/08/13 00:52:47
ってか、なのはの分散程度なら、まだぬるいだろ。
292:通常の名無しさんの3倍
07/08/13 08:57:27
そろそろ貼っておくぞ
避難所
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)
アフォがあっち潰したから次はここかヂオンかアムロだ。各自警戒を怠るな!
293:通常の名無しさんの3倍
07/08/13 20:30:35
ちゃんと聖王や聖王教会に関する説明があるのか心配になってきたぜ、ブラザー。
なぜ崇められてどうして次元世界最大規模の宗教になったかとか。
294:通常の名無しさんの3倍
07/08/13 21:51:09
>>293
ツ○デレ○王マ○キ様萌え~
が勢いで突っ走ってたらああなったとか
295:通常の名無しさんの3倍
07/08/13 22:24:03
>>292
潰されるのはわざわざ相手するからだろ。
いちいち避難所作って出て行ったら調子付かせるだけだ。
296:通常の名無しさんの3倍
07/08/13 22:33:57
あの最高評議会の描写、管理局は基本的に悪ということでよろしいですね?
297:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 00:07:29
知らん。
とりあえず、上は問題だか下は真面目な組織かと……
本局サイドは「世界崩壊程度の災害には慣れている」ってだけぽい
298:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 00:11:50
真面目なのか?
「うわーーー」
299:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 00:19:20
漫画の方を読む限りではまともよな。
タントとミラ萌
300:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 04:52:48
プレシアさんが時空管理局を支配してたのが脳味噌の漬け物だと知ってたらエライ事になってたな。
ある程度自業自得と思っててもジュエルシード集めて結果的に大量虐殺しようとしてたぐらいだし
時空要塞の中に唸ってた大量の戦闘ロボも自分で建造するタマには見えないからスカリエッティから買ったんじゃねえか?
301:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 08:01:37
まあプレシアがとことん道化だった事が判明したな今回は…
スカリの掌の上で踊ってただけってことか
302:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 08:46:58
実はアリシアを生き返らせる方法があったのも判明した品。
何もかも騙し取られてあんな最後に
303:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 08:53:19
>>297
なるほど。真面目に被管理側にとって悪いことをしているわけだな。
304:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 09:45:10
下っ端って消防士とか警察官とかレンジャーとかじゃん
305:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 10:00:02
食堂の椅子を引っくり返したりするんだよ>悪いこと
306:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 11:09:56
しかしスカリは出生とかに全然コンプレックスとか持ってなさそうだな
まさに欲望の為だけに生きる純粋悪って感じ
こういう敵キャラが欲しかったんだよ
307:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 13:15:25
>>306
確かに
まぁ、スカをそんな存在にしてしまったから最高評議会はあのようなツケ払いをされてしまったのだが……w
308:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 22:32:32
>>306
そうかあ?五博士のほうがMADだろ。
309:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 22:37:59
狂科学者なら切り札は自分の発明品で戦いを挑むべき。
310:通常の名無しさんの3倍
07/08/14 22:52:59
スカって後のオレンジだろ?
311:通常の名無しさんの3倍
07/08/15 08:31:13
>>308
いや、別に他作品とは比べてないんで…
あくまで、なのは限定での話
そもそもマッドサイエンティストなんて、上には上がいくらでもいるぞ
五博士なんて全体で見れば下から数えた方が早いよ
312:通常の名無しさんの3倍
07/08/15 08:46:50
>>311
ここは新シャア板だぞ?なにバカなことを言っているんだ?
あげくになのは限定だなんて、あんな唐突に不自然な解説をする純粋悪なんて存在するわけねーだろ。
だいたいなんで全体の話になるんだ、誰もそんな話はしてない、妄想もたいがいにしていただきたい。
訳の分からん方向に話を逸らすなよ。
いっぺんトールギスで特攻してこい!
313:通常の名無しさんの3倍
07/08/15 09:27:51
>>312
こあだ訳い・・・?
314:通常の名無しさんの3倍
07/08/15 16:55:18
こ
げ
た
か
ー
暑すぎたんだな。
315:通常の名無しさんの3倍
07/08/16 19:00:35
「もう! いいかげんおとなしくしてってばーっ!」
ある日、新たに活動を始めたジュエルシードの暴走体。
いち早くその動きをキャッチした新生夢者遊撃隊は
対象を海鳴市に程近い採石場跡地に追いつめ、封印すべく行動を開始していた。
しかしその暴走体は武者頑駄無、とりわけ斗機丸にとって天敵とも呼べる能力を有していた。
「なのは、後は俺達が接近戦で弱らせる! 君は最後の仕上げを……
な、何だ? 体が……動か……な……」
砲撃で足止めしていたなのはと攻守を入れ替わる形で斗機丸が斬りこみにかかる。
しかし、突然斗機丸の膝が折れバーニアは炎を失い、地に墜ちてしまう。
「斗機丸!? おい、一体何が……ゲゲッ、こっちもブースターが作動しねぇ!」
「武者丸! トッキーが敵の真正面に! このままじゃ踏みつぶされちゃうよ!」
「分かってる! けどな……えぇい、動けこのポンコツ!」
「じゃあ私が! ディバイィーン! バス……」
「だめだ、なのは! トッキーさんにも当たっちゃう! ここはシューターを……」
斗機丸のみならず武者丸の装備まで悲鳴をあげ始め、その混乱は隊全体に拡がる。
あやうし、斗機丸!
「貴様の思い通りにはさせんぞ、怪物!」
その一声とともに天空から白い翼が舞い降り、暴走体に二筋の刀傷を刻む。
倒れ伏した斗機丸の前にすっくと立ったその姿は、なのは達にとって印象深いものだった。
「ウイングゼロ……さん?」
「武者丸、あの怪物が逃げる!」
「何だって!?」
奇襲攻撃に動揺し、暴れる暴走体は光に姿を変えて結界内部から逃走を図る。
ユーノはチェーンバインドを放つが結局振り払われ、ウイングゼロは追うそぶりを見せるが、
胸の宝玉の点滅を見て躊躇している隙に結局逃げられてしまう。
「バカヤローッ!! 何寝ぼけた真似してやがるんだ、お前!?」
「…………」
みすみす敵を取り逃したウイングゼロを叱責する武者丸。
だが、ゼロは何も言わずその場を飛び去ってしまい、残された者はただ呆然と立ち尽くしていた。
316:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 19:02:51
巻之拾伍「二刀にかける男の誓いやでっ!」
『……原因は敵の発しとった強力かつ特殊な攻性ECM電波や』
「こーせーいーしーえむ? 何や、それ?」
斗機丸のメンテナンスのため、たまたま秋田から来ていた爆流頑駄無は
月村家に回収を依頼し、修理に回されたトッキーの調査結果を武ちゃ丸達に伝えていた。
ちなみにシンヤは彼らのそばでトッキーの処置の完了を待っている。
『大雑把に説明すると、この場合電子機器をメチャクチャにしてまう電波や。
あのバケモンは終始体内からそれを放出しとる。
機械の体の鉄機武者には一撃必殺の効果を持つっちゅうても言いすぎやないな』
「それで武ちゃ丸のブースターもまともに動かなくなっちゃったんだね」
「あの、それでトッキー君は大丈夫なんですか?」
敵の能力に関する話題が続く中、なのははトッキーの容態を心配する。
『うぅ~む……電装系の部品は総とっかえになるし、対ECM用の備えもせなアカン。
治るのは治るけど、ちょいと時間かかってまうな』
「そう、ですか……」
「あれ? けど名古屋のとき、トッキーの怪我はユーノが治してくれたんだよね?」
「鉄機武者は機械と言っても魂が宿っているようだから回復魔法もある程度有効だけど、
電子情報が狂わされたり、破損、欠損した分まではさすがに……
だから、ここは爆流頑駄無さんに任せるしかないんだよ」
「悪いけど、ぐずぐずしとったら堕悪とかに嗅ぎつけられてまう。
増援を呼んでる余裕はあらへん。つまり、今ここであいつに対抗できるのは
電波の有効範囲の外からあいつを狙えるなのはと機械は関係無いユーノ、
ただの重りにしかならんブースターやらを取っ払ったらワイもいける。それと……」
武ちゃ丸はなのはとユーノの顔を交互に見つめ、少し困ったような表情をする。
ユーノはその表情から彼が懸案事項としている人物の名を類推した。
317:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 19:04:08
「武者ウイングゼロ……ですね?」
『……冷たいようやけど、あいつは頭数の計算に入れへん方がええ』
「そんな!? どうして、そんな事……同じ武者頑駄無さんでしょ?」
仮にも「将」を名乗る者として、長く戦場を渡り歩いたベテランの武者として
爆流は客観的な見地に立ち、あえてウイングゼロを突き放す。
『斗機丸のデータによるとあいつはつい最近仕事先から行方をくらましとるらしい。
今回もいいとこまで追いつめといてさっさとどっか行ってしもたし……
疑ってる訳やないけど、行動が読めへん奴を戦力として考えるのは危険や』
「でも! ウイングゼロさんは私たちを助けてくれました! 今日だって……」
『100%来てくれるっちゅうんなら話は別やけどな。こっちから連絡とる方法とかあるんか?』
「そ、それは……」
痛いところを突かれ、口ごもってしまうなのは。
少し言い過ぎたと思ったのか、爆流は不器用ながらも言い聞かせるように持論を語り出した。
『ええか? 仲間を信頼する事と人に頼る事は似てるようで別モンや。
運も実力のうちなんは否定せんけど、不確定要素にばかり頼っとったら甘えが生まれる。
甘えはケアレスミスや取り返しのつかない大失敗につながる。
とにかく、己ができる最善の事をやってみ? 奇跡を待つんはその後や』
作業が佳境を迎えているのか、それだけ言うと慌ただしそうに通信を切り持ち場に戻る爆流。
すれ違うウイングゼロへの想いの違いにショックを受け、なのはは落ち込んでしまう。
「人を信じる事って……そんなに難しい事なのかな?
それに、何かとても大事な事を忘れてるような……」
誰に問いかけるでもなく、なのははぽつりと呟くが、
武ちゃ丸もススムも、そしてユーノもその問いに答える事は出来ない。
「なのはちゃん、元気だしなよ。なのはちゃんが頑張ってたら、
きっとウイングゼロも答えてくれる。とにかく今度出てきたらトッキーの分まで頑張ろう?」
「そうだよ、なのは! 逆に何にもしなかったらそれこそ呆れられちゃうよ」
「うん……ありがとう、ススム君、ユーノ君……」
だからただ、彼らにできる事は落ち込んだ彼女を励ますことだけであった。
318:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 19:05:30
「やぁっ! とおっ!」
「ホラ、また肩に力が入りすぎだ。もうちょっと自然に身を任せてみろ」
「はい、先生!」
凛とした空気の張りつめる板張りの道場に、羽丸の勇ましい掛け声が響く。
先日の一件でなのはともどもこっぴどく叱られた羽丸も、持ち前のガッツと才能で
次第に恭也の課す訓練に付いて行けるようになっていた。
道場で鍛錬に汗を流す羽丸とそれを見守る恭也。そんな二人の元をなのはが訪れた。
「おにーちゃん、羽丸君、頑張ってるね」
「ン……なのはか。何かあったのか?」
「何かあったってわけじゃないんだけど……何となく、足がこっちに向いちゃって。
おとーさんとおかーさんはお店だし、おねーちゃんはお友達とお買いものだし」
「そうか」
「……あのね、おにーちゃん?」
「なんだ」
「……やっぱり、何でもない」
「そうか」
今日に限って寡黙モードが発動しているのか、ろくに会話が成立しないこの兄妹。
そのじれったさに、真っ先に業を煮やしたのはずっと素振りを繰り返していた羽丸だった。
「あーっ! もー! 見てらんないよ、先生、なのは! 二人とも正座!
まず先生! なのはが何か困りごとを抱えてる気配なんだから、
少しは話を聞くとかしたらどーなんですか!?」
「む……とーさんから妹離れができていない事を指摘されてな。
それであえて冷たく接してみたのだが……」
「それとこれとは別問題! 次、なのは! 甘えたいときはハッキリと甘える!
家族に遠慮なんてしてちゃあ駄目! 気付いてほしい事にも気付いてもらえないよ!?」
「あうぅ……羽丸君、ちっちゃいのに厳しい……」
「一応、俺はお前より立場は上のつもりなんだが……」
その出所が不明の気迫でもってなのはどころか剣の師、恭也まで圧倒する羽丸。
「兄妹はもっと仲良く! おれにだって簡単にできる事ができなくてどーすんですか先生!
悪い事をしたらごめんなさい、助けられたらありがとう!
二人とも、いろいろ難しく考えすぎだよー!」
幼い子供らしく、単純で、それ故に最も核心をついた問題を羽丸は指摘した。
319:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 19:06:44
「……申し訳ない。だが、それはさておき剣の道を説くものとして、
口のきき方に対する指導はしないとな」
少ししゅんとなった後、師の威厳を保つためとほんの少しのいたずら心で、
どこからともなく取り出した発泡スチロールの塊をこすり合わせ、
一部の者にとっては不快極まりない、文字では表現しがたい音を発しながら
涙目で必死に逃げる羽丸を追いかけまわす悪ガキモードの恭也。
そんな大人げない兄の醜態がまるで目に入っていないかのような様子で、
なのはは喉の奥につっかえていたものが取れたと言わんばかりのさわやかな表情で、
結局捕まえられ耳元で発砲スチロールをぐりぐりされている羽丸の手を取って告げた。
「そうだよね、助けられたら素直にありがとうって言わないとね!
私、そんな事も忘れてたなんて! ありがとう、羽丸君!」
「? う、ううん、気にすること……せ、先生、もう生意気な事は言いません! ごめんなさい!
だからその音は、その音だけはやめてくださーい!」
そんななのはの様子を見て、柔らかい笑みを浮かべて恭也はなのはに話しかける。
ただし発泡スチロールをこすり合わせる手はそのままに。
「どうやら俺の助言はいらなかったようだな、なのは」
「そうだね。ごめんねおにーちゃん、余計な心配かけちゃって」
「なぁに、妹を心配するのは兄の仕事だ。それでいいんだろ、羽丸?」
「そ、そうですけど……おれの心配もしてー!」
羽丸がそう叫んだ瞬間であった。
突然爆音が外の庭から生じ、庭を遊び場にしている野良猫たちが悲鳴をあげて逃げ出していく。
なのははその異常事態から、記憶に新しい魔力の波動を感じ取り、一人この事態を想う。
(この感じ……ひょっとして昨日逃げられたジュエルシードの……!?
いけない! どうしてこんな所に……! まさか、私が尾けられて?)
ふと顔を上に向けると、いつのまにか壁に掛けてあった二振りの木刀を手にしていた恭也が
すっと前に歩み出て、外の様子を確認しに出て行こうとしていたので、
なのはは恭也にすがりついて出て行くのを必死で止めようとする。
「おにーちゃん、だめーっ! 今出て行ったら……えっと、その……
すごく危ない事になるの! だから、今は出ていっちゃ、だめー!!」
そんななのはの目線に合わせて恭也は膝を付き、その眼を見つめて語り出した。
320:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 19:07:58
「……妹や弟子を守るのは、男として当然の仕事だ。
危険だからと言って引き下がれば、取り返しのつかない事になる」
「でも!」
「大丈夫、とーさんから受け継いだ俺の剣は大切なものを守るための力だ。
なのはは何の心配もすることはない、すぐに戻るさ。羽丸、なのはを頼む」
「先生……お気をつけて」
「あぁ、行ってくる」
微笑みだけを残して外へと駆け出していく恭也。
その直後から、何かと何かがぶつかり合う激しい音が絶え間なく聞こえてくる。
兄の前で自分が魔法を使い、危険な事に身を投じている事を知られるわけにはいかない。
そう思い、武ちゃ丸とともにパトロールに出ているユーノに念話を送ったのだが……
(ユーノ君! 聞こえる、ユーノ君?)
(なのは! 何かあったの!?)
(昨日逃がしちゃったジュエルシードの暴走体が……今、家の庭に!)
(何だって!? ……けど、ごめん、今、そっちに行けそうにない……
こっちは堕悪闇軍団が襲ってきて、武ちゃ丸と一緒に迎撃している最中なんだ!
すぐに終わらせて助けに行くから……何とか持たせて!)
ユーノはこの状況下で最悪のシナリオが進行中である事をなのはに知らせた。
なのはは何もできない事に耐えられず外の様子をのぞき見る。
すると、そこには普段の兄からは想像もつかない、いや、
もちろん只者ではないと思っていたが、目で追えるか追えないかぎりぎりの、
人間の限界に挑むかのようなすさまじい速さで木刀を白昼の襲撃者に対して振るっていた。
少なくとも「疾さ」に関して言うなら武者丸の太刀筋を上回るかもしれない。
そうなのはは思ったが、よく見るとその斬撃は攻撃には使われていない。
すべて敵からの攻撃を捌くために用いられている。
何事においても達人は道具を選ばないと言う。事実、木刀と言えども
鈍器としては十分な殺傷能力を持つのだが、真剣と比較してどうしても強度で劣る。
そのために敵からの攻撃は受け止められないで、捌いてそらす程度のことしかできず、
思い切った攻勢に転じられないのではないか?
門前の小僧何とやら。なのははごく短い時間でそこまで判断するが、
結局このままでは自分には何もできないという結論にたどり着く。
魔法を使わない、ただの小学三年生の自分がどれほど無力なのかを思い知らされるなのは。
こうなったら背に腹は代えられない、兄を助けようとレイジングハートを握りしめたその時、
なのははふとある事に気づく。隣にいたはずの羽丸の姿が見えなくなっている事に。
321:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 19:09:19
「先生! やっぱりおれ、助太刀します!」
「その声、羽丸か!? だめだ、来るな! お前の歯が立つ相手じゃ……ない!」
恭也は敵の背中から伸びる副腕による連続打撃を叩いてそらし、
直撃を避けるのに精いっぱいのため振り返れずに言葉だけを返す。
「先生……先生の戦いを見てて、少しわかりかけてきたんです、おれ。
おれがここにいる理由……おれが剣を持ったその意味を……」
熱に浮かされたかのように虚ろな目をした羽丸はゆっくりと暴走体に歩み寄っていく。
その異常な状態を察知した恭也は何とか説得しようと試みる。
「いいから落ち着け、一時の感情に支配されれば、それは命取りになる!」
「だから、見てください……おれの戦いを!」
「よせ! やめろ、羽丸っ!」
恭也の制止も耳に入っていない様子で、羽丸は木刀を大上段に構え、跳躍する。
目の前の二刀流の使い手に気を取られ、羽丸の事など眼中になかった暴走体は
自分を襲った意表をついた攻撃で後頭部をしたたかに打ち、天を仰いで甲高い呻き声を上げる。
その隙を見逃さず、恭也は丸出しになった生物の急所の一つ、喉元に全力の突きを繰り出した。
呼吸困難と激痛にますます我を忘れ、暴走体は手当たり次第に周囲の物を壊し、
ほとんど棒立ちの羽丸に手をかけようとする。しかし、その凶刃は羽丸には届かない。
羽丸の胸の宝玉がかつてないほどの眩い輝きを放ち、現れた光の結界が攻撃を受け止めたためだ。
そして羽丸を包む光の結界はそのままふわりと浮きあがったかと思うと、
その光を白い鳥の羽のような余剰エネルギーの粒子とともに炸裂させる。
やがて閃光が収まり、眩しさに細めた目に映るさながら天使のようなシルエット。
そこにいたのは幼い羽丸ではなく、一人の雄々しい姿の武者頑駄無だった。
「羽丸……? いや、違う。お前はあの夜の!?」
恭也はその顔に見覚えがあった。自分でも夢で間違いないと断定したある夜の事件。
その時ともに戦った二刀の武者頑駄無、致命傷を負ったはずの自分、
そんな自分に「命」を分け与えたその男……忘れようとしていたわけではないが、
何となく頭にこびりついて離れないその姿。それが今、目の前に現実として存在していた。
「そうだ、高町恭也。アンタのおかげで羽丸……いや、
この俺、ウイングゼロは存在していられる。礼を言わせてくれ」
「今更礼など……お前の話が真実だと言うなら、俺が今こうしていられるのは……」
322:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 19:10:28
と、そこに、恭也の発言を遮るかのような暴走体の叫び声が届く。
「まだ……足りないか。話は後だ、今は奴を叩く!」
「ウイングゼロ……でいいのか? それなら俺も!」
「いや、この戦いは本来俺達武者の役目。お前は……妹を守ってやれ。」
そう言ってゼロはいつの間にか外に出て来て、一部始終を目撃していたなのはを指し示す。
「家族を、妹を大切にする気持ちは俺も痛いほどよく分かるからな」
「なのは!? 外に出るなとあれほど……」
「ごめんなさい! けど、ウイングゼロさんの姿を見たらいてもたってもいられなくて……
私、ずっとゼロさんに言い忘れてた事があるの! だから……」
「それも後だ! とにかく、ここは俺を信じてくれ……『先生』、なのは!」
ウイングゼロは己の力を確認するかのように二、三度空中で翼をはためかせたかと思うと、
矢のように暴走体に向かって一直線に飛び、そのまま体当たりを仕掛ける。
たまらずその場に倒れ伏す暴走体。しかし嵐のようなラッシュは収まらず、
倒れこんだ暴走体に対しマウントポジションをとり、拳を浴びせる。
一発、二発、そして三発!
痛烈な打撃にもがき苦しむ暴走体から跳ね退き、副腕による正確な攻撃を
バック転で回避しつつ距離を取る。怒りにまかせ策もなくウイングゼロを追って
突撃を敢行する暴走体。そのがら空きの胴体に対しゼロはついに背負っていた二本の刀……
「爆雷剣」に手をかけ、瞑目して次の一撃を必殺の域にまで高めるべく神経を集中させる。
「技を借りるぞヘビーアームズ! 『天地一閃』……ィイヤァッ!」
その名の通り天と地を貫く一条の稲光の如く、袈裟がけに右手の爆雷剣が振り下ろされる。
断末魔の悲鳴とともに暴走体の肉体は四散し、後にはジュエルシードが浮かび上がる。
ウイングゼロはそれを確保しようと手を伸ばす。しかし……
「まだだ、ウイングゼロ! ヤツはまだ……力尽きていない!」
その恭也の声の意味は最初、ウイングゼロには何のことか分からなかった。
しかし、即座にその言葉の意味を身をもって理解させられる事になる。
四散したはずの暴走体の肉体が、核を求めてジュエルシードに集まってくる。
その中心でジュエルシードを手にしようとしていたウイングゼロは敵の再生に巻き込まれ、
再生が終了するころには暴走体に片手で鷲掴みにされている格好となっていた。
323:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 19:11:45
「ウイングゼロさん!」
「な、何の、これ……しき……グアァァァッ!」
強くなる締め付けに耐え切れず、ウイングゼロは刀さえ手放して激痛に悶え苦しむ。
そしてその悲痛な叫びに対応しているかのように、胸の宝玉がまた明滅を始めた。
「だ……駄目だ! まだ、俺がウイングゼロでいられるうちに……
何としてもこいつを、こいつだけは……!」
「……!」
やっと自分を苦しめた武者が斃れる。そう思ったのか、
暴走体は喜びとも悲しみともつかない不気味な鬨の声を上げる。
だがしかし、あの兄妹はこんな事態を許すはずがなかった。
(俺の手元にはくたびれた木刀、そして鋭い刃は敵の足元……それでも、俺なら届く!)
(今、レイジングハートには頼れない……だけど目くらまし程度でも、
一発だけでもいい……私の魔力だけで放てる魔法を!
福音たる輝き、この手に宿れ……導きの下、鳴り響け……!)
恭也は木刀を逆手に構え、目にも留らぬ速さで懐に潜り込み、勢いに任せ木刀を振り上げる。
今までの戦いで酷使され、素材の耐久力の限界を超えた木刀は乾いた音を立てて
真っ二つに折れるが、その衝撃は暴走体をのけぞらせる。そしてのけぞった暴走体の顔面には
桜色に発光する小さな光球が直撃、炸裂し、その視界をホワイトアウトさせる。
とどめにウイングゼロが落とした一本の爆雷剣を蹴りあげ、その掌中に収めた恭也は
ウイングゼロを掴む敵の腕に刀を抉りこみ、その腕を鈍い音とともにねじ折る。
自由を取り戻したウイングゼロは恭也と目で合図を交わし、空いている手で爆雷剣を受け取った。
「すまないな、俺の不注意で余計に苦しませてしまって……今、楽にしてやる」
顔面に受けた軽いダメージと腕を折られた痛みにもがき苦しむ暴走体に
ウイングゼロは今度こそ最後にせんとばかりに刀を握る両手に力をこめて刃を閃かせ、
虚ろな肉体に宿るかりそめの命を忌まわしき魔道の肉体から解き放った。
不思議と、粒子となって消えゆくその眼は安らかなものであるようになのはには映った。
324:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 19:13:44
「……手品の種明かしは、この俺の胸の宝玉……『心の玉』の力だ」
すべてが終わり、ぼろぼろになった庭の中心で、ウイングゼロは恭也と居合わせたなのはに
自分と羽丸、そして恭也の因果関係について語り出した。
「この玉は俺が幼い頃、魔物に襲われた妹をかばって深い傷を負った時、
俺の命を救うためにさる旅のお方から頂いた生命力の結晶体なんだ」
激しく明滅を繰り返すその宝玉を見つめ語り続けるウイングゼロ。
心なしか早口なその語り口から察するに、あせっているようにも思える。
「先日、堕悪闇軍団の妖怪と戦った俺はあわやと言うところを高町恭也、アンタに救われた」
「あぁ、それは覚えている。尤も、さっき言ったかもしれんが夢だとばかり思っていたが」
「そう。そして俺はその旅の方のように心の玉の力を使えばアンタを救えると思った。
しかし所詮は借り物の力。ただかざすだけでは完全に傷を治すことは俺にはできなかった。
そこで俺は考えた。傷がいえるまで玉の持つ生命力を、そのまま移すことはできないものかと」
「じゃあ、俺がこうしていられるのは……」
恭也は半信半疑といった顔で質問をぶつける。
「そうだ。試みは成功し、アンタは今も玉の力で内側からゆっくりと傷を治している最中なんだ。
だが、心の玉がアンタに与えたのは生命力だけではなかった」
「生命力以外に……与えたモノ?」
「そうだ。一言で言うならば、玉を与えられてから俺の過ごした時間そのもの。
玉の力を与えたことでそんな思わぬ副作用が発生した俺は、
幼いころの姿に逆戻りしてしまった。体も技も力も、そして記憶も……何もかもだ」
「記憶も!? と言う事は……」
驚くなのはに、ウイングゼロは答える。
「そうだ。幼いころの俺の姿……羽丸は何も知らないただの子供と同じ。
しかし、俺は幸運にも心の玉を通して少しだが羽丸にメッセージを伝える事が出来た」
「じゃあ、羽丸の言っていた道を指し示す何者かの声……
俺の事を羽丸に教えたのはお前自身だったのか」
それを聞いて、納得した顔で恭也は頷く。
325:通常の名無しさんの3倍
07/08/16 19:50:01
支援?それともGJ!していいのかな?
326:リリ武者@携帯
07/08/16 19:51:24
規制食らったので続きはもうちょっと待ってくださいorz
327:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 20:51:23
「そうだ、恭也。そして俺はそれでも生きねばならないし、堕悪とも戦わねばならない。
アンタの様子を監視する事と、羽丸に身を守るため剣の心得を体得させる意味でも
羽丸はどうしてもアンタの側に置いておかなければならなかったんだ」
「じゃあ、どうして今、ウイングゼロさんはその姿でいられるの?」
なのはは核心の一つとも言える重大な点について触れる。
「玉の力はその全てが傷の治療に使われているわけじゃない。余剰の力が少しは発生する。
その力を使えば、わずかな間とはいえ俺はこの姿を得る事が出来る。
とはいえ、まだ一日に大体180秒程度……だが傷の治療が進めばもう少し長くなるだろうし、
完治すれば俺は完全に元の姿を取り戻すことができる」
「そうか……それで、俺の完治にはどれくらいかかるんだ?」
残り時間が長くない事を理解した恭也は最後の質問として、自らの傷について訊ねた。
「それならおそらく後四ヶ月程度と言ったところだろう……そろそろだな。
これだけは覚えておいてくれ。恭也、俺はアンタに助けられた。だから何かがあった時、
今日のようにアンタとアンタの家族、そしてこの街を守る切り札としていつも見守っている。
堕悪闇軍団だろうと何だろうと、手出しはさせない。だから、無責任だが……
俺を、羽丸の事を頼む。生意気かもしれんが、まだまだ小さな子どもなんだ……」
「あぁ、まかされた。何しろ俺は『先生』だからな」
「安心して、私、羽丸君にさびしい思いさせたりしない!
だって、一人ぼっちの辛さは誰よりも知ってるつもりだから……
それと……今まで私を、私たちを助けてくれて……ありがとう、ウイングゼロさん!」
胸の宝玉の明滅が止まり、柔らかい光に包まれて目を閉じるウイングゼロ。
「そうだ。その心からの真っ直ぐな、素直な気持ちを忘れないでくれ……じゃあ、またな。
ありがとう、恭也、なのは……」
「あぁ」
「……おやすみなさい、ウイングゼロさん……」
328:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 20:52:43
「へぇー……そんな事があったんか! あの羽丸がウイングゼロやったなんてなぁ」
「その『心の玉』って、下手したらジュエルシードより強い力を持ったものかもね」
「けど今回はジュエルシードも無事手に入ったし、よかったねなのはちゃん」
後日、修理とバージョンアップの作業が終了したトッキーを迎えに行く道中、
なのはは新生夢者遊撃隊の仲間に事のあらましを話していた。
ちなみに荒れ果てた庭を見たなのはの両親の思考回路が停止したことは言うまでもない。
そうこうしているうちに一行はトッキーを預けた機械会社社長宅……
つまりなのはの親友の一人、月村すずかの自宅の玄関……と言うより門の前までたどり着いた。
「……なのはちゃんの家も大きな家だと思ったけど、これは……」
「ホンマモンのお屋敷って感じやなぁ……」
素直な感想を漏らす小市民二人がボソボソ言っていると、扉が開き
古式ゆかしいメイド服に身を包んだ使用人の女性がその姿を現した。
「なのはお嬢様とそのお友達の皆様ですね? 準備が整いました。どうぞお入りください」
「ハイ! ありがとうございます、ノエルさん。それでは失礼しま……」
「見たかシュシュム!? 今度はホンマモンの女中さんやで!」
「女中さんってなんだよ!? メードさんだろメードさん!」
挙動不審な小市民二名のおのぼりさん会話に顔を赤くしながら、なのはとユーノは奥に進む。
そこで待っていたのは、イライラしながら何杯も紅茶を飲みほすシンヤと、
おろおろしながらそれを見ているすずかの姿だった。
「なのはちゃーん!」
「あっ、すずかちゃん! ……ひょっとしてシンヤ君、ずっとあんな感じだったの?」
「うん……いつも機嫌悪そうにああしてて……私、ちょっと怖かった……」
「シンヤらしいと言うか、何と言うか……ごめんね、ボクらの友達が迷惑かけちゃって」
声を潜めて訴えるすずか。シンヤのようにちょっとヤンチャしてそうな外見の子は、
純粋培養箱入り娘のお嬢様なすずかには少々刺激が強かったのかもしれない。
329:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 20:53:59
「待たせたなそこでお待ちの御歴々! ようやっと我らが斗機丸君の治療が終了したで!」
そんな空気を読んだのか読まなかったのか爆流頑駄無が徹夜明けのナチュラルハイで
大きな音を立てながら地下室から出てきてそう告げた。
「トッキーは!? トッキーの奴はもう大丈夫なのかよ!」
「コラ、シンヤ! 相変わらず後先考えず周りの人に迷惑かけて……少しは反省しろ!」
「その怒鳴り声、やっぱりトッキーだな! へへっ、安心したぜ!」
爆流に続いて姿を現したトッキーはいつもの調子でシンヤを叱りつける。
そのあまりにも変わらなさすぎの様子に、改良もしたと聞いていた武ちゃ丸は
怪訝そうな顔で爆流頑駄無に伺いを立てる。
「……何やあんまり変わってへんみたいやけど、どこチューンナップしたん?」
「ECMカウンター対策は当然として、後はソフトウェアの最適化、防塵、防水加工、
さらには装甲素材の見直しにセンサー周りの強化、アブソーバの転換に
各関節のマグネットコーティング……要するに全体的なスペックの底上げや。
当然やけど見た目にまで影響があるようなモンとちゃうで」
「何や、ガッカリやなー。もっとこう……ハンマーがズガーン! とか、ミサイルボーン! とか、
変形合体バリバリー!! みたいなん期待しとったのに……」
「……お前が技術者の事をどう思とるかよう分かったわ、武者丸」
「でも、時間と予算の都合がつけばそっちも面白そうじゃありませんか、爆流さん?」
爆流の背後から澄んだ女性の声がする。二人が振り向くと、
ほとんど爆流の助手状態で作業を補佐していたすずかの姉、忍が二人を見下ろしていた。
「何にも面白ない! んな事するくらいやったら一から作った方が早いっちゅうねん!」
「えー、やっぱりそうですか。ちょっとガッカリ。
じゃあ追加装備で白バイ隊員型装備とか、ヘリの上からショットガンで狙撃型装備とか……」
「そのキレイな顔を吹っ飛ばしてやる! ……ってか?
忍はん、あんた顔に似合わんとおっそろしい事言わはるなぁ……」
そのぶっ飛んだ会話を耳にしたシンヤは、憤然と喰ってかかろうとする。が……
「オイ、そこのアンタ! トッキーをどこの大門団長にするつも……り……
なんで、ございます、で、しょうか……?」
330:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 20:55:32
忍が振り向いた瞬間、シンヤの様子が一変した。
「うふふ、ごめんね。ちょっと盛り上がっちゃって……冗談だから気にしないでね」
「ハイ、気にしません! 今後何があろうとも絶対に思い出しませんから安心してください!」
「あっはは、キミ面白い子ね。名前は?」
「ハイ! シンヤです! 漢字で書くと……」
姿勢は気をつけのまま硬直し、声は妙に上ずり、機関銃のように単語を並べたてる。
そのあからさまな姿を見て、一同はぼそぼそと内緒話を始めた。
「ねぇねぇ皆、あれって……いわゆる一目惚れってやつ!?」
「シンヤ……お前もついに大人の階段を登りはじめたんだな……!」
「う~む、若いなぁ。俺もブイブイ言わせとった十代の頃思い出すわ。
ヘイそこのねーちゃん、俺の自動牛車に乗って一緒に茶ぁしばかへんかってなぁ……」
「お姉ちゃん、あんな怖い人に……大丈夫かな?」
「忍お嬢様も意外な所でガードが甘かったり鈍感だったりしますから……」
「あのなすずか、シンヤはそんな言うほど悪い奴とは……」
「キュッ!」
ススムが、トッキーが、爆流が、すずかが、ノエルが、そして武ちゃ丸が(頭上にユーノ)
話し合っている中、ただひとり状況の意味が分からず置いてきぼりをくらっている
ザ・朴念仁クィーンがいた。その名は……
「……ねぇ皆、何の話をしてるの? ……ねえってばぁ~っ!」
高町なのは。
彼女の鈍感さが後に二人の少年と一人の少女の心をやきもきさせることになるのだが……
それはまた、別の話である。
331:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/16 20:57:08
次回予告(ねくすとぷれびゅう)
「読者の皆さん、残暑お見舞い申し上げまーす!
けど、ホントに毎日あっついよね~。私もどこか海とか行きたいな……」
「おねーちゃん、聞いて聞いて! 沖縄の武者頑駄無さんが私たちを招待してくれたの!
輝く白い砂浜、エメラルドブルーのきれいな海に新鮮な魚介類!」
「ホント!? 生きててよかったーッ!」
「本当はジュエルシード捜索のついでっていう話なんだけどね……
ちょっと変わった三人組とかもお待ちかねらしいし……」
「? なのは、何か言った?」
「う……ううん、何でもないよ!
次回、SD頑駄無対魔法少女 リリカル武者○伝、巻之拾六!」
「『敵はウリ科の植物なの』……って、敵って何? 何なの? 瓜!?」
「リ、リリカルマジカル! 頑張ります!」
「ちょっと、なのは? おねーちゃんにも教えてよぉ~!」
登場武者符亜意留(ふぁいる)
羽丸 [ハネマル]
出典:ムシャ戦記 光の変幻編
モデル:ウイングガンダムゼロカスタム
本来は武者ウイングゼロが妖術師ハイドラによって子供にされてしまった姿。
もしくは幼少時のウイングゼロ本人の事を指す。
この状態では戦闘能力はおろかウイングゼロとしての記憶も無い。
しかし、幼い頃に怪物に襲われ、生死の境を彷徨っていた彼を救うために
修行中であった旅の武芸者(後の大将軍)から渡された頑駄無結晶の半身、
「心の玉」の加護によって一時的にだがウイングゼロに変幻進化する事ができる。
ただし帰っ○きたウ○トラ○ンよろしく羽丸の思い通りに変身する事は出来ない。
事態を悟った大将軍直々の命により討魔光刃隊の一員になる事に。
生意気で無鉄砲だが直感に優れ、この頃からすでに剣の才覚の片鱗がうかがえる。
羽丸として数々の試練を乗り越え、ウイングゼロがこの姿に戻る事はなくなったのだが、
かつての自分と同じように致命傷を負ったなのはの兄、高町恭也を救うべく
心の玉の力を使ったため、心身ともに羽丸の状態にまで退行してしまった。
現在は半ば押しかける形で恭也の弟子となっている。
332:通常の名無しさんの3倍
07/08/16 21:29:06
忍さんにふいた
メイドさんバトルは読めますか?
333:通常の名無しさんの3倍
07/08/16 22:14:19
>>331
GJ!! スイカ割り(゜∀゜)キター!!
334:通常の名無しさんの3倍
07/08/17 08:18:16
みゆきち!みゆきち!
335:通常の名無しさんの3倍
07/08/17 21:59:24
>334
陣内ですか?
336:通常の名無しさんの3倍
07/08/18 01:57:58
いいえ アルルゥの中の人です
337:通常の名無しさんの3倍
07/08/18 11:01:23
いいえ めがねです
338:通常の名無しさんの3倍
07/08/19 08:59:56
いいえ 御神です
339:通常の名無しさんの3倍
07/08/20 22:14:15
面白いが話題につながらない武者
その理由はズバリ漢字だとおも
340:通常の名無しさんの3倍
07/08/20 22:46:26
>>339
むしろ、ROMメンバーの多さだと思う
341:通常の名無しさんの3倍
07/08/20 23:33:55
>>332
スレリンク(shar板)
342:通常の名無しさんの3倍
07/08/21 08:18:08
今更気が付いた
兄の中の人、グリーンリバーライトで
組んでるキャラがウィングゼロ
343:通常の名無しさんの3倍
07/08/21 08:38:12
>>342
貴様には(中略)邪気眼が足りないッ!!!
344:通常の名無しさんの3倍
07/08/21 08:55:46
しかも二刀流でシスコンだぜw
345:通常の名無しさんの3倍
07/08/21 16:34:41
んで、小学校卒業と同時に武者修行の旅に出て、
実は高校3年なのに19歳
346:名無し
07/08/21 21:47:34 n0izfmYT
新西暦
「死ね」
ベルゲルミルのシックス・スレイブが発射される。
「イヤー」
ゼオラのビルトファルケンがビルトビルガ―を庇う。
「キャー」
「うわ-」
アラド達の視界が光に包まれる。
「アラド、ゼオラ」
ラトゥーニとシャインは必死に二人の反応を探す。
だが、その空間には2人の機体は存在しなかった。
AC
ヒイロは、シェルターへウイングゼロのツインバスターライフルを打ち込んでいく。
最後の一撃を加えようとするヒイロ、だが
「くっ」
自分が殺した少女が頭をよぎり照準をはずす。
ウイングゼロが、爆発する.。
その時
「な、なんだ」
ヒイロの視界が光に包まれる。
347:名無し
07/08/21 23:28:39 n0izfmYT
新西暦
「死ね」
ベルゲルミルのシックス・スレイブが発射される。
「イヤー」
ゼオラのビルトファルケンがビルトビルガ―を庇う。
「キャー」
「うわ-」
アラド達の視界が光に包まれる。
「アラド、ゼオラ」
ラトゥーニとシャインは必死に二人の反応を探す。
だが、その空間には2人の機体は存在しなかった。
AC
ヒイロは、シェルターへウイングゼロのツインバスターライフルを打ち込んでいく。
最後の一撃を加えようとするヒイロ、だが
「くっ」
自分が殺した少女が頭をよぎり照準をはずす。
ウイングゼロが、爆発する.。
その時
「な、なんだ」
ヒイロの視界が光に包まれる。
348:名無し
07/08/21 23:38:36 n0izfmYT
「う、うーん」
アラドは目を覚まし辺りを見回す。
あるのは、小さな町があるだけだった。
(俺は、日本海で戦ってたはず。そうだゼオラは、)
アラドは、もう一度辺りを見回す。
だが、ゼオラのファルケンの姿はなかった。
「くそ」
アラドは、自分の不甲斐無さに頭を立てた。
その時
突然の砲撃。アラドは何事かと砲撃のあった方向を向いた。
(何だアレ…?PT?…でも見たことが無いタイプだ…)
そこにいたのは傀儡兵の集団だった。
傀儡兵はアラドに攻撃を仕掛けようとしている。
「くそ、ここが何処だか分からねえのに、」
アラドは、左手の3連マシンガンで攻撃する。
3連マシンガンが、命中した傀儡兵は爆発する。
だが傀儡兵は怯むこと無くビルガ―に向かって攻撃をしかけてくる。
349:通常の名無しさんの3倍
07/08/22 00:56:42
書きながらの投下か?
350:通常の名無しさんの3倍
07/08/22 01:11:02
いちどメモ帳にまとめてから投下するのがおすすめ
351:通常の名無しさんの3倍
07/08/22 01:18:04
というか、sageて
352:sage
07/08/22 11:33:06 kUu7wEVd
そもそもスレ違い気味じゃね?
ってのは禁句?
353:通常の名無しさんの3倍
07/08/22 11:34:26
やっちまった!orz
354:通常の名無しさんの3倍
07/08/22 12:33:19
名前欄でさげてどうするwww
スパロボの人は、文末の母音のuの数を
少し減らしたほうが文章にリズムが出ると思うの
355:通常の名無しさんの3倍
07/08/22 20:20:42
文章がブツ切りすぎるのではないか
356:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/22 23:43:18
「……きゃっほーっ! 着いた着いた、沖縄よ、沖縄ー!」
「あぁっ、アリサちゃん! そんなに走っちゃだめだよ!」
「あー、子供達は元気だねぇ……私、飛行機は苦手かも……」
「だらしがないぞ美由希。そうやってへばってるのはお前だけだ」
「恭ちゃんひどーい! いいよ、私にはユーノがいるもん。ねー?」
「キュッ!」
青い空、白い雲! ここ沖縄は夏真っ盛り!
こんにちは、高町なのはです。今回は私達高町家とお友達のアリサちゃん、
すずかちゃんに、そのお姉さんでおにーちゃんの彼女さん、忍さんと
二人のメイドさんのノエルさんとファリンさん、
そして毎度おなじみ新生夢者遊撃隊の総勢16人(ユーノ君含む)は、
南海の楽園、沖縄県のとある島にやって来ています。
喫茶翠屋は年中無休ですが、連休などの時はお店を店員さん達にお任せして、
ちょっとした家族旅行に出かけたりもします。
今回は沖縄にやって来た武者頑駄無、獅頑駄無(ししがんだむ)さんのお誘いで、
とっておきのビーチに無料御招待されちゃいました!
けれどもこのお誘い、夢者遊撃隊的にはいろいろ「ウラ」があるお誘いで……
実のところ、私ちょっと心配です。けど、まぁ……それはそれとして、
なのはも年相応のお子様らしく、めいっぱい遊んでしまおうと思います!
巻之拾六「敵はウリ科の植物なの?」
「ハイサイ、ハイサーイ! みんなよく来てくれたねー! めんそーれ、おきなわ!」
能の連獅子のようなド派手な赤いたてがみを垂らした白いライオンの頭部を模した?
兜をかぶり、胡散臭さを演出するサングラスをかけて三線(さんしん)を手にした
この南国にふさわしいいでたちの武者頑駄無、獅頑駄無が
普段と違う空気に浮かれる一行を外のマイクロバスで待ち受けていた。
「おぉー、獅頑駄無! わざわざ出迎えおおきにな!」
「高町士郎です。今回はこんな素晴らしい所にお誘いいただき、本当にありがとうございます。
それもこんな大勢で押し掛けてしまって……」
フランクに話しかける武ちゃ丸と、丁寧に挨拶をして手を差し伸べる士郎。
獅頑駄無はサングラスを取って笑顔で握手に応じた。
357:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/22 23:45:04
「こんりゃどうもご丁寧に。ま、固い挨拶はこの辺にして、早速皆お待ちかねの海に出るさー!
さぁさ、みんなバスに乗って……あぁ武者丸と斗機丸はこっちさー、俺のリムジン」
嫌が応にもテンションが上がる一同をマイクロバスに乗せながら、後方を指さす獅頑駄無。
「おぉ、これは立派なリムジンだな。色も白いしこのへんなんかサビも浮いてる。
後ろ半分以上はオープンスペースか。これは斬新な……って、
ドコがリムジンだーっ!? どう見ても中古の軽トラだろ、これ!」
「自分の愛車にリムジンってあだ名つけて何が悪いね!?
あ、定員は二人だから一人は荷台に乗ってもらうさー」
「のっけから不安な滑り出しやなあ、今回……」
トッキーと獅頑駄無の漫才同然のやり取りが繰り広げられる中、
不安を隠せない武ちゃ丸のボヤキは千の風になって大きな空に吹き渡っていった。
30分ほどのバスの旅を終え、他の客は多くもなく少なくもなく、
程よく賑わっている海岸に到着した一行。女性陣の着替えが長引いているため、
手持無沙汰な男性陣はレジャーシートや日よけパラソルの準備を整え始める事にした。
「恭也さん、こっちはパラソル立て終わりましたよ」
「あぁ、ありがとうススム。準備はこれでよし……しかし遅いな、女性陣」
「恭也、女性の身だしなみには相応の時間がかかるものなんだ。
退屈ならお前も羽丸君を見習って海を満喫してこい」
「羽丸を?」
父士郎にそう言われ、ユーノを捕まえて波打ち際に遊びに行った愛弟子の姿を探す恭也。
だが、探すまでもなくその小さな好奇心の塊はあっさりと見つかった。
「うおーっ、うみだーっ!! すげーっ!! ザザーンとか言ってるー!
ぶわっ、しょっぺー! うみすげー!! うみやべー!!
ん? なんだこれー!? うわ、いってぇー! カニだーっ!!
お前食えるのか? あっ、逃げるな待てこいつー!!
いたち、お前も手伝え! こんやはカニ鍋だー!!」
以上の展開に要した時間、約10秒。使用したエクスクラメーションマーク、19個。
振り回されて被害に遭ったフェレット、一本。かけがえのない思い出、プライスレス。
全身全霊で砂浜を楽しみつくしている羽丸を見て、恭也が抱いた感想は……
358:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/22 23:46:56
「……いや、あれは……ちょっと、真似できそうにない」
「スマン、俺も無茶言った」
大学生が衆人監視の中でやるものではないなと言う極めて常識的な感想であった。
「えーっ、たまには弾けてる恭ちゃんも見たかったなー」
視界の外から見知った者の声がする。
それもこちらに声をかけてきた一人だけではない気がする。
心なしかビーチの男たちの視線がそちらに吸い寄せられているような気もする。
意を決してスローモーションのようにゆっくりとそちらに顔を向けるススム、シンヤ、恭也。
高なる心臓の鼓動だけが彼らの聴覚を支配する。
その瞳に映った物は夏の海と言う聖域が地上に使わした薄衣の天使たちであった。
「パラソルとか準備してくれてたからすぐ見つかったよー」
エントリーナンバー1、高町美由希。
日々、父や兄に付き従い鍛錬を欠かさない事によって引き締まった四肢のライン、
それとはアンバランスにメリハリの付いたプロポーションは溢れんばかりの健康美を感じさせ、
また身に着けているシンプルな黄色系統のタンキニはその素質を十二分に輝かせている。
「どうかしら、この水着? ちょっと派手だったかな」
エントリーナンバー2、月村忍。
肉感的な色香が漂うしっとりとした艶かしいその身体、そしてその魅力を強調するビキニ。
南国沖縄と言う事でハイビスカスの絵柄をあしらった華やかなパレオが
意外なほどのマッチ感を演出し、浜辺でひときわ美しく咲き誇っている。
「いえ、とてもよくお似合いです忍お嬢様」
エントリーナンバー3、ノエル=K=エーアリヒカイト。
彼女が仕える忍とは対照的に欧米系のグラマラスな魅力を存分に発揮していて、
その美しさは人間と言うより女神を模した彫刻像のような精緻な印象を見る者に与える。
シックな濃紫のハイレグを纏って、忍と互いを引き立て合っている。
359:リリカル武者○伝 ◆IsYwsXav0w
07/08/22 23:48:48
「いいなぁ、皆さまとてもお美しくいらっしゃって……」
エントリーナンバー4、ファリン=K=エーアリヒカイト。
彼女はノエルの妹であるが、スタイルは同年代の美由希と比較して少々発展途上な印象がある。
しかし、可愛らしさを重視したポップな配色と胸元にあしらわれたリボンがアクセントの
コミカルなイラストプリントのワンピースタイプ水着との相性は決して悪い物ではない。
「そんな事ないよファリン、ファリンだってすっごくかわいいよ!」
「そーよ、だからもっと自信を持ちなさいよね?」
「そうですよファリンさん。私達、応援しちゃいますから!」
エントリーナンバー5~7、順にすずか、アリサ、なのは。
プロポーション的には特に語るべきこともないので割愛。
すずかは浅葱色で、端にフリルをあしらったワンピーススタイル。
アリサは性格同様アクティブにデニム地のセパレートスタイル。
なのははすずかのそれに印象が似てはいるが、装飾は控えめでその色も桜色である。
「みんなー、海に入る前は準備運動、忘れちゃダメよー?」
しんがりを務めるはエントリーナンバー8、高町桃子。
すでに九歳の子供もいるので、成熟した大人の魅力が……と、書くべきところだが、
鮮やかさを控え目にしたワンピースとアウターの白い薄手のケープ、麦藁帽子で隠し切れない
三十代とはとても考えられないような若々しいスタイルが異彩を放っている。
「おう、待ってたぞ。とりあえずこれで全員集合か?」
「あれ? おとーさん、武ちゃ丸君達はー?」
「ああ、獅頑駄無さんと用事があるらしくてさっき出て行った。なに、心配はないさ」
「そう、なんだ……」
全員集合と言いつつ、姿が見えない武ちゃ丸とトッキーの姿を探すなのはに与えられた
士郎の答えは、この島にやってきた本来の目的からすれば不安を煽るものであった。
それにつられるように、美由希も先程までそこにいたはずの人間がいない事に疑問を抱いた。
「武ちゃ丸君達もそうだけど恭ちゃんやススム君にシンヤ君もいないよ?
さっきまでここにいたと思ったのに……って、あー! あんな所に! おーい……」
「美由希、今はちょっとあっちの事は放っておいてやってくれるか? しかし、若いねぇ……」