07/08/02 23:43:49
その光景を見て一番絶望したのはなのはでも武者丸でもなく、後ろで見ていただけのシャチョーだった。
「もう駄目だぎゃー! もうボクちゃん達はおしまいだぎゃー!!」
「シャチョー……」
「!?」
慌てふためくシャチョーに今にも消え入りそうな声が届く。
シャチョーはその声のした方向、堕悪馬吸夢の光線の商社地点、すなわち紅零斗丸の方を見た。
「くっ……シャチョー、聞こえて……いるか……?」
「紅零斗丸!?」
「ホホウ、まだ息があるか。さすがは紅零斗丸、かなりの武者魂を持っているな」
紅零斗丸はほとんど実体を失いつつも、最後に残された力でシャチョーに語りかける。
「なぁ、シャチョー……今日俺を呼んだのは打ち合わせのためなんかじゃなかったんだろ?
本当はあの二人と一緒に戦うために今の自分をどう変えるか話したかったんだろう?」
ハッとした表情になり、ただじっとぼんやりとした紅零斗丸の輪郭を見つめるシャチョー。
「お前は戦おうとしている自分に気づいていないだけだ……お前の武者魂の火は消えていない!
俺はお前の武者魂を……信じている!」
そして照射されていた吸引光線がついに停止する。紅零斗丸が立っていたはずのそこには、
もう何も、そう、鎧の一かけらさえそこには残されていなかった。
この瞬間、武者紅零斗丸はこの世界からその姿を消したのであった。
「ファファファ! 紅零斗丸の力、確かにいただいた! 次は……武者丸! 貴様だ!!」
「クソ……!」
打てる手はすべて打った。しかし、それでも自分の刀も、斗機丸の刃も届かなかった。
なのはの全力の砲撃も通用せず、回復も間に合いそうにない。
そして何よりこの中では一番の実力を持っていた紅零斗丸ももういない。
ここが自分の散り場所か……武者丸がそう覚悟を決めた時、運命の歯車に最後の部品がはめ込まれた。