07/07/13 23:21:16
第2話 旅立ちとすれ違い 2/2
メイリンは立派なお婿さんを貰って、母親になる日も近い。一見幸せそうに見える。
だがメイリンは周りから自分がどんな噂をされているかを知らない。
―男に媚を売る術だけをコーディネートされた女。
―計算高さが顔に滲み出ている女。
―婚前交渉を恥だと思わない女。
聞くに耐えない破廉恥な噂もある。私はそんな噂を聞いて密かに幸せを感じている。
「メイリン、私が何をしようとアンタには関係無いわ。もう決めた事よ。オーブでの生活に慣れてきたら連絡するわ」
「関係あるわよ。お姉ちゃんは自分から幸せを棄てているじゃない。私はお姉ちゃんが哀れで―可哀想でならないのよ」
私はメイリンの話をこれ以上聞きたく無かった。一刻も早くこの場を去りたかった。
「私が幸せかどうかは私が決める事よ。アンタには判らないだろうけれど。それに私はアンタと違って赤なのよ。それを肝に銘じておきなさい。じゃあね」
メイリンの声が聞こえたが、私は無視して歩き出した。
ふしだらだのあばずれだのおてもやんだのおかめちんこだのあっちょんぷりけだのと言われても、私には関係無い。
除隊の手続きは進めてある。後は書類を提出するだけだ。
オーブに向かうのに荷物は要らない。新しい生活を始めるのだから、全てを新しい土地で揃えたい。
それ位の蓄えならある。何せ私はザフトの赤服だったのだから。
ねえ、シン。アンタは今オーブで何をしているの?
アンタはあの女の弟を殺したのよ。あの女から拒絶されたアンタの姿が目に浮かぶわ。
アンタには私しかいないのよ。私だけがアンタを救えるの。
だから、大きな声で今すぐ私の名前を呼んで。