07/07/13 17:57:20
「おいサイーブ、聞いたか!?」
「ああ…タッシルにザフトのMS二機と歩兵部隊が入り込んでいろいろ聞きまわってるそうだ」
「どうする?」
「どうするも無い、放っておけ」
「だが奴らが町を攻撃したら…」
「それは無い、確かに俺達レジスタンスにタッシル出身者も居るのは知っているだろう。
だが今町に居るのはレジスタンスじゃない、砂漠の虎もそれぐらいは判っているだろ」
「じゃぁ本当に…」
「何もするな、むしろここで手を出した方がタッシル攻撃の口実を与える事になる」
「そうか…みんなにそう伝えてくるよ」
「頼む、俺も後で行く。
……問題は今、カガリ達もタッシルに居るって事だ……」
「カガリ達が? 俺達の“勝利の女神”に危ない事が無きゃいいが」
「ああ、(カガリが)先走らなければいいが…」
サイーブと彼に報告に来た仲間の心配する所は180度違っていたのだが幸いにも彼がそれに気が付く事はなかった。
その後もいくつか指示を伝え仲間の去り際にサイーブは呼び止めた。
「……ああそうだ、MSがタッシルに現れた事をAAにも伝えておけ。
確か投下物資を回収して一度タッシルに寄る予定だった筈だ。
それにタッシルに現れたMSは人型のMSで…あんたのとこのMSに似てるってな」
有線通信により伝送されてきた画像のプリントアウトを見ながら、サイーブは仲間にそう伝えた。
「なに!? タッシルにMSだと!?」
「そうだアフメド、連合のほら、あれに似たMSが二機街外の砂丘の上で威圧して、奴らはその中で街をいろ
いろと嗅ぎ回っているらしい…」
若いレジスタンスが指差した方向にはストライクと陸戦G各1機が棒の様な物を―彼はそれを踏み切りの
遮断機の棹に違いないと思った…MSサイズの物があればだが―持ってAAから出てくる所であった。
「さては俺達に手を焼いて街に直接手を下てきやがったか……サイーブはなんと言ってる!?」
「“手を出すな”だとさ、今手を出した方が逆に虎にタッシルを攻撃される口実になるとか」
「ちっ…それじゃ俺達が弱虫みたいじゃないか。
あのMSに似てるって? それじゃたいした強くないんじゃないのか!?
あの時だって俺達のトラップが無きゃバクゥに勝てなかったんだし」
「そんなのは知らないよ…サイーブはむしろ、カガリ達がタッシルに居る事の方を心配してたぜ。
確かに我らが“勝利の女神さまっ”に何かあったら困るけどそんなに心配する程の事でも……」
「おい、カガリがタッシルに居るだって!?」
「うぉっ、落ち着け、落ち着いて手を離せよ!
……ふぅ、今朝からタッシルに行ってるぜ、キサカと一緒にな。
しかしお前がカガリの事知らないなんて珍しいな」
「昨晩の騒ぎで昼まで寝てた。
それにしても…………おい、若い連中に声を掛けて密かに集めろ」
「は? 何をする気だ?」
「いいから、男を上げるチャンスだって事だ…!」
鋭い眼光で憎々しく見上げた先には、キラの乗るストライクが陸戦Gと長い棒で打ち合いをしていた。