07/08/10 21:34:52
35-3(3/3)
「提督が残った主流派をまとめ、ユーラシアとも協力し、ここまで死力を尽くしたことも知っております」
世界樹戦役の敗北によって多数の人材を失い、ハルバートンが囚われたことで、主流派は発言権を失った。
それによりブルーコスモス派の暴走―血のバレンタインやジオンへの核攻撃(失敗したが)を防げなかった。
彼が戻るまでABC兵器や捕虜の扱いなど、秩序を保てないことも多々あった。
「しかし、それと兵達を死地へ向かわせることは同義ではありません!」
「……」
「撤退しましょう! 提督!」
「大尉! 助けてください! 機体がッ……機体が動きません!!」
「くそ、こいつ……なんて奴だ! ジオンはこんな化け物を造っていたのか!」
第13独立部隊は空中砲台―アッザムを相手に苦戦を強いられていた。
こちらの戦力は105ダガー1機、デュエルダガー3機、リニアガンタンク10両。パイロットの腕は連合でも
屈指の腕利きが揃ってる。それでも既にデュエルを1機、タンク3両やられていた。
「ダメです。リニア砲が効きゃしねえ」
「戦車を下がらせろ」
アッザムは巨大な図体にありがちな装甲を持ち、タンクのリニア砲にダガーのライフルが通用しなかった。
しかも機体底部から射出された妙な兵器によって電磁波を浴び、デュエルダガーが動けなくなっている。
「機体を鹵獲するつもりか!」
アッザムは四本の足を地に下ろし、デュエルにゆっくりと近づいている。
「大尉、このままじゃあ」
「……スカイグラスパーを要請する」
MSが装備できて最大の火力を持つアグニならば奴を落とせるかもしれない。そう考え空軍に要請するが
返ってきた返事は満足のいくものではなかった。向こうも火の車らしい。
「どうします大尉?」
「命令なんだ、仕方ないだろ。もっとも……」
頭をかきながらアッザムとデュエルを見る。
「……アイツを助けてからだ」
しかし、どうやって? アッザムに死角はない。2連装メガ粒子砲を8門を円盤形の機体の周囲に上下に
4対張り巡らされている。さらに空中に浮ばれては妙な兵器を使われてしまう。
「……あったぞ死角が」
「本当ですか!?」
「全機、散開!」
デュエルとタンクがアッザムを囲い込むように展開し、リニア砲とライフルで集中攻撃する。
多少のダメージは受けているようだが、効果はあまりないようだ。
「それでいい。奴の注意を逸らしてくれ!」
ミラーの105ダガーは飛び上がると、そのままアッザムに向かった。上部メガ粒子砲が一斉にミラー機に
向けられる。その光の雨に触れた瞬間、彼の機体は一瞬にして蒸発するだろう。
ミラーはメガ粒子砲を避けながら、アッザムの真上の位置を押さえると動きを止めた。アッザムの砲塔が
射角を上げる。しかし、90度の時点で停止した。
「球根の真上には撃てないとはな!!」
ビームサーベルを引き抜いたミラーは急降下し、アッザムの中心に突き立てて、ようやく動きが止まる。
この隙にデュエルダガーを救出し後退を始めた。
そして五分後、第1軍に撤退命令が出されることとなった。
「今更何言ってやがる!!」
だったら始めからこんな所まで攻めるな。ミラーは本気で池沼に殺意を覚えた。