ガロード達が種・種死世界に来たら -風景画10枚目-at SHAR
ガロード達が種・種死世界に来たら -風景画10枚目- - 暇つぶし2ch700:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 22:37:12
>>699
ヒント:こっちにだけ生息している

701:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 22:52:32
ということはGX氏のSSも読んでなかったって事だな
いや過去ログすら読んでないのか
とりあえずXスレの歴史
初代スレはただのネタスレ→コーヒー2杯目からGX氏が投下開始→三杯目の末期にX運命氏が連載スタート
四杯目の末期に五杯目がたったがGX氏は新スレを立ててX運命氏に花を持たせる→これが兄弟スレ
そして保守作品スタート→月の公転2週目へ→合流提案が出されて荒れかけたが保守氏がやんわりと抑える
*ちなみにこのころのスレは風景画9枚目
→GX氏が合流しないと発言し三週目へ突入するが00ショックからかスレが落ちる
でこのスレの>596からの流れになるわけだ

てかX運命見たことない人っているのかな、この中に

702:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 23:14:27
最近の、それもこっちのしか読んでない人には関係ない話だからな。

そもそも公転スレの添削氏にこっちのも添削してもらうかどうか、って話が出たときに
荒れるからやめとけという声があってこっちのは添削しなかったはず。

その程度の配慮も遠慮もしないと公言するヤツが気に入らないならあぼーんしろとか
荒らしの開き直り以外何物でもない。

703:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 23:17:43
とりあえず添削自重しろで言いじゃん
SSの余韻が台無しだ

704:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 23:21:38
X本スレとかGX氏のSSをまとめてるサイトの人はこのスレをまとめに置いてくれるのかな?
どうなのまとめさん?みてますか~?

705:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 23:23:53
いつからかGX-Pには保管されないようになってるよ。
なんか有った気がするが覚えてない。

あとX運命系は独立してしまってるのでこっちにもない。

706:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 23:26:00
確か、鯖とあぼんの関係でX運命全盛期からこっちは保管されなくなった
じゃなかったっけ?

707: ◆L1QckJlrlM
07/10/24 23:43:08
あれ? てことはここはまとめサイトからも見放されてる?

708:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 23:46:00
種クロスオーバー保管庫には作品のみ保管されてるけどな(手動で)。

709:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 23:51:13
あうあう・・・
それに種クロスの方も私の奴切れてるし・・・
保存したの失ったから切れてるのが一話位はあるんだけど・・・

710:通常の名無しさんの3倍
07/10/24 23:55:49
>>707
GX-Pの管理人さんはX運命の外部掲示板の管理人してたのをご存じない?
あそこの管理でかなり磨り減ったから荒れやすい種世界ベース系のクロスを
収録しないでX世界系ベースのクロスに絞ってるのだよ、多分。

まあご本人の答えが全てだけどね。

711:通常の名無しさんの3倍
07/10/25 07:26:06
GX氏がここに投下したSSはGX-Pにおいてあるが
>GX-Pの管理人さんはX運命の外部掲示板の管理人してたのをご存じない?
これはしらなかった

712:通常の名無しさんの3倍
07/10/25 11:07:05
前の添削の人も当初はウザがられてたけど、比較的腰が低く
余計な事も極力言わないようにしてたからいつしか黙認されていったが
今度のはダメだろ、上から目線の長広舌や開き直りが臭い過ぎる。
総スルーされるかもという自覚があるんならそれこそチラ裏に書いてろ。

713:通常の名無しさんの3倍
07/10/25 18:54:06
おいおい、取りあえずGJを入れないか?
見てると作品ほっぽり出しているように見えるのは俺だけか?

取りあえず>>685GJ!!
後俺もそうだがネタを見てもスルーされるのって
下手な罵声よりも最もこたえるんだぞ?
そこを評価すれば職人ももっと増えると思うのはもしかして俺だけ?
取りあえずキラがなんか素人っぽいのに最初違和感があったがよく考えたら納得
こいつ実戦は幾つかやっても大抵コクピットに一緒にだれかいたもんな
操縦桿を持つ手が震えるのも解るな。
っと、長文失礼


714: ◆AWGx990A9U
07/10/25 21:37:13
SSのまとめについては>710さんの推測でほぼビンゴ
ログ自体は保存してあるのでうpしてきましたが
種ベースのSSは現時点では整理してうpする予定はないです
(ヒント:鯖容量)

715:通常の名無しさんの3倍
07/10/25 21:40:27
>まとめさん
このスレの過去ログはまとめに置いてくれるんですか?

716:通常の名無しさんの3倍
07/10/26 20:38:11
緊急浮上

717: ◆AWGx990A9U
07/10/26 20:51:05
>>715
風景画スレもうpしてある件

718: ◆L1QckJlrlM
07/10/27 00:48:18
ちょっと皆さんに質問です
原作ではエンジンに被弾したアークエンジェルですが
エンジンの修理にどれくらい掛かったんでしょう?
いや、私の所だと航行に支障がない副砲が一個大破だから
そのまま海に突っ込む事も出来ますし…
その事における時間的なラグも書けるしどうかなと思ったのですが…
ご意見あればよろしくお願いします


719:XSEED4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/27 11:28:08
携帯から失礼します。
32話以降の執筆が嫁並みに遅くなって申し訳御座いません。
続きは鋭意製作中ですので、もう少し待って下さい。

720:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/27 23:19:58
>>719
OK、その間は私がネタ投下します…
3週間も間が空いてすいません。
なんせリアルで交通事故に遭いまして…(まぁこっちも相手も物損で済んだのですが)


721:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/27 23:24:03
第七十一話『俺は俺のやり方でやり遂げる!!』(前編)

 サクラは空を舞う2機のMSの戦う光景から目を離す事ができずにいた。MS同士の戦闘をテレビで見たことは何度もあるが、
実際に見るのは初めてである。
 その光景は、彼女の現実とはかけ離れたとても幻想的で、それでいて激しいものであった。


「シン! お前は一体何を考えている!? なぜギルの考えがわからない!!?」
「議長のやり方で、本当に皆が笑えるのか!? それで本当に"誰もが幸せで、幸福に生きられる世界"が創れるって言うのか!」
 2機のMSは空中を高速で移動しながら戦っていた。相手がライフルのトリガーを引けば回避行動を行い、すぐに反撃をする。
お互い相手の隙をうかがい、戦況はどちらに傾くことなく膠着していた。
「創れるさ! ディスティニープランの中で人は己を知り、自らのすすむべき道を知る! そして、満ち足りた最高の人生を歩くことになる!!」
 レイの乗るレジェンドはディスティニーの動く先を予測しビームを放つ。
高速で移動しているディスティニーはそれを避ける事ができず、左肩に直撃を受ける。コックピット内を激しい揺れが襲う中、
シンは歯を食いしばってそれに耐えた。
「人間がなぜ戦争をやめられないか? それはすべての人間が己を知らず、道を知らず、自身の最大の"武器"を認識できていないからだ!!」
 身体能力の高い者にはそれを有意義に使うことのできる役目を与え、計算や分析、発想や考え方など頭脳を使うことに
長けた者にはそれに適した仕事を与える。自らが得意とする物の中で同じような仲間と一緒に切磋琢磨し、それを磨く。
そして限界まで磨かれたそれは、本人にとって最大の武器となるのだ。
「獅子のような強い動物は滅多に牙をむかん! 最大の武器であるその牙が絶対に相手に通じると言う"自信"があるからな!!」
レジェンドの攻撃は次第に激しさを増していく。ディスティニーはそれを紙一重でかわしつつ、かわしきれない物は
ソリュドス・ブルゴールを展開して防いでいく。
 徐々に激しくなる攻撃にシンはひたすら回避行動を続けた。
「どうしたシン! なぜ攻撃しない!? それとも、先日のフロスト大佐たちとの戦いで恐怖心でも芽生えたか!?」
「…ああ、怖いさ!」
 シンの返答に、レイは自らの耳を疑った。彼の口から出てきたその言葉が、あまりに予想外だったのだ。
「…本気で、言っているのか?」
「ああ、本気だ。俺は怖い、そして弱い!」
 ゾンダーエプタでの戦闘で機体はほぼ大破、どうにか修復できたものの、昨日のフロスト兄弟との戦いで自分の中にある
"戦いに対する恐怖"という物を改めて認識させられた。
「弱いからこそ、強くなりたいんだ!!」
そう言って、シンは回避から攻撃へ転じた
 シンはレイの癖を考慮し、攻撃のスタイルを少し変化させる。ただ撃ち続けたところで攻撃は命中しない。
"相手の移動方向を予測して攻撃する"、もしくは"よけられない状況を作る"か。シンは後者を選んだ。
「うおおぉぉぉっ!!」
左手でフラッシュエッジ2をビームソードモードで構え、レジェンドに向かって切り込む。瞬間的な加速力ならば背面に
大きなドラグーンシステムを装備しているレジェンドに比べて翼状の推進システムを持つディスティニーが勝る。
 しかしレイはそれを機体一つ分左へよけることで回避した。


722:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/27 23:29:10
第七十一話『俺は俺のやり方でやり遂げる!!』(中編)

「なるほど、機体の瞬間的な加速力は上がっているな。だが、そんな使い方では俺には当たらん!」
横を通り抜けたディスティニーが体勢を立て直す前にレイはさらにビームを放つ。ディスティニーはそれを強引に進行方向を
変えることで回避する。再び距離の開いた2機は互いに牽制しながら空中を舞った。
「レイの選別眼はまったく鈍ってない…! だったら!」
 シンは左手にフラッシュエッジ2を持たせたまま、再度機体をレジェンドめがけて加速させる。
正面から猪の様に突撃を試みるディスティニーにレイは先ほどと同じように機体一つ分左へ移動する。
 その瞬間、シンはニヤリと笑った。
「もらった!!」
 ディスティニーはレジェンドの正面を通過する寸前に進行方向に対して直角にスラスターを向けた。それまでのスピードと
別の方向から新たに加わった力により機体はきれいな半円の軌跡を描き、レジェンドの無防備な後ろを取た。
「な!?」
 ディスティニーの予想外の動きにレイの反応は遅れる。
回避行動の成功を確信したあとに、このような形で裏切られるとは彼も予想していなかった。
しかもディスティニーがレジェンドに向けているのは右手に持っているビームライフル。
トリガーを引いてビームが発射されるのが先か、レジェンドが回避するのが先か。答えは明かだ。
機体はディスティニーからの攻撃の衝撃で大きく揺れる。損傷箇所は右ビームスパイクの接続部分。ドラグーンシステム全体に
ダメージを受けたわけではないが、接合部分を破壊された右のビームスパイクは機体から力なく離れ、下の湖へと落下した。
「チィッ!!」
 唇を噛みつつレイは操縦桿を操り機体を安定させる。レイは間髪いれず追撃が来ると予想したが、予想に反して
ディスティニーは距離を置いて動きを止めていた。
「…なぜ今の攻撃で落とさなかった? 確実に仕留められたはずだ。」
「俺はお前を殺したくない。それだけだ。」
「偽善だな。戦士として互いに向かい合っていると言うのに、お前は敵に情けをかけると言うのか?」
「偽善でも何でも、俺は仲間のお前を殺したくないんだよ!」
「…やはりお前は弱くなったな! この世界に着てから!!」
 パイロットの苛立ちをあらわすかのようにレジェンドは自らの僕をすべて解き放つ。
"灰狼の長"と呼ばれる所以、それは群れを成して狩をする狼と同じように、レジェンド自らをリーダーとした
"群れ"を持っているためである。
「今のお前にギルを守りきるだけの力は無い! そして、そんなお前はもう俺の仲間などではない!!」
 8基のドラグーンと1基のビームスパイクがディスティニーに攻撃を開始する。前後左右、
さらに上と下からのオールレンジ攻撃をよけるためにディスティニーは空中を舞う。
「以前のお前は敵に容赦なくトリガーを引けていた。だがそれができなくなった今、お前はもう戦士としては使い物にならない!!」
「敵に銃を向けれる事がそんなにえらいことか!?」
回避行動で全方向に目を配りながらシンは叫んだ。
 自ら望んだこととはいえ、人に銃を発射することは今でも恐ろしい。MS戦においてはそんな風に感じなかったが、
機体を大破させられたことで初めて"死ぬかもしれない"状況を体験した。自分が敵をあんな状態に追い込んでいる。
最後の一線を越えさせていることを思うと、"銃を持って敵を撃つ"と言う行為がどれほど重たく、
心を苦しめる行為かを改めて考えさせられた。
「ギルがそう判断したのなら、たとえ神が相手でも俺は銃を向ける!!」
「…そうかよ! 俺はお前ほど強くはなれない、けどな!!」
 シンの中で、"何か"が弾けた。
「できないことは、できないってはっきり言うことはできる!!」
 SEEDによって静かになった彼に呼応し、ディスティニーが右手のライフルを構え狙いを定める。銃口はまっすぐ上空を向いていた。
「そして、俺は俺のやり方でやり遂げる!!」
右手がトリガーを引く。ライフルから発射されたビームはまっすぐに上空に向かい、上から彼を狙っていたドラグーンに命中した。


723:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/27 23:32:24
第七十一話『俺は俺のやり方でやり遂げる!!』(後編)

「やっぱり、起きたか…。」
ダイキは湖の方から響く轟音に顔をゆがめた。MSはその存在だけで争いを呼ぶ。乗っているものがどんなよい人間であっても、
"力"を持つということはそれだけで周りの不安をあおり、人々の心に影を落とすものだ。
 2機のMSは上空を飛び回りながら激しい攻防を繰り広げている。ダイキから見て状況は五分と五分。赤い翼を持つ方の機体は
おそらく昼間出会った少年なのだろうが、期待の損傷などを考えると見事な戦いぶりだろう。
「とっととサクラを連れ戻した方がいいな。良い森だったんだが…。」
 戦闘のおかげで森の中で火事が発生しているらしく、あたりに焦げ臭い匂いが充満している。
この森をでてどうしようか考えをめぐらせながらダイキは湖への道を走り出した。


 サクラは空を飛びながら戦う2機のMSをじっと見つめていた。
 外部スピーカーから聞こえる2人の話の内容は彼女の知っているものではない。
彼らの住んでいた地域で一体に何が行われていたのかはわからないが、シンが離反者であることは理解する事ができた。
「"誰もが幸福で幸せに生きることのできる世界"? "ディスティニー・プラン"? 一体、何があったって言うの…?」
 彼女の中で次々と疑問符が浮かぶ中、2機の戦闘は続いていた。
『お前だけでできることなど、たかが知れているということをなぜわからない!?』
『数字で書かれた苦しんでいる100万人よりも、目の前で苦しんでいる1人を助けることほうがよっぽど現実的だよ!』
 空中を飛んでいた金属製の板状のものがまた1基破壊される。これで4つ目、24回の射撃でようやくここまで減らす事ができた。
『世界の調和のために1人を殺すことなんてできない! そいつを殺すことでたとえ100億の人間が救えたとしても、
その1人がつらい思いをするなんて間違ってる!!』
 シンの言葉にサクラの脳裏にある映像がよみがえった。いつの頃なのかよく覚えていない。
靄のかかったその映像の中には笑顔の裏に不安を隠した男の顔がある。


私は100億人の命よりこの子の命をとった…。
本当によかったのだろうか……?


 男の口は、確かにそう動いていた。



724:通常の名無しさんの3倍
07/10/28 02:28:05
GX氏更新乙

725:通常の名無しさんの3倍
07/10/28 10:21:23
GX氏GJ!
しかし>>723の100万人は100億人の間違いでは?
というか交通事故・・・真面目に気を付けてください

726:通常の名無しさんの3倍
07/10/28 22:57:37
GX氏GJ

727:通常の名無しさんの3倍
07/10/28 23:53:20
おお! シンも秘技・ビット(ドラグーン)落としをマスターしたのか。
やったぜシン、これでおまえはキラはもちろんクルーゼすらもこえたぜw

728:通常の名無しさんの3倍
07/10/31 15:05:38
ドラグーンはベルティゴのビットより大きいから
まだガロードのが上じゃね?
そしてシンよ!さらなる上を目指すのだ!!

729:通常の名無しさんの3倍
07/10/31 23:51:38
ぶっちゃけ動かすだけなら誰でもできるドラグーンよりも
NTしか動かせんビットのほうが運動性に優れているだろうしな。
もっともベルディゴ以外でビットを装備しているMSが劇中存在しないので
シンもビット落としができるかどうかはもうわからんが。

730:CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs
07/11/02 01:15:43
【第6話:些細な変化】

「似合ってるじゃないか」
からかい半分に笑いながら誰かが言う。
周りにいる人達もまた笑いをこらえられない人がいるらしく、笑い声がする。
「まだ伸びるんだからな!…多分、いや絶対だ!」
ずいぶんとあまる袖を振り回し、すねたようにガロードは言った。
多分をつけるあたり自分でも身長が伸びるのか心配らしい。
「まあ、そういうことにしておくさ」
「しておくってなんだよ。伸びるったら伸びるんだからな!」
近くにいたクルー達がガロードをからかい、
それを見ていたティファも楽しそうに微笑む。和気藹々とした雰囲気が周囲を包んでいた。
「困ったわ。いくらなんでもサイズが合わなすぎるわね。でも予備にはこのサイズしかないし」
しばらくの談笑の後、頬に片手を当てながら少し困ったような顔をしてメリオルがつぶやく。
今ガロードが来ている服はオルテュギア内にあった男性用の軍服の予備だ。
一般的な成人男性に合わせて作られたその服は、まだ少年であるガロードにとって大きいものであった。
拠点へと向かう以上部外者だと簡単に悟られないように偽装はしなくてはならない。
いくら上司が節穴とて偽装IDカードがあったとしても私服のままでは騙されはしないだろう。
だから、このだいぶあまる袖はあまり好ましくはなかった。
ほかのクルーたちも考えだす。自分たちの保身のためである以上の何かを胸に。

結局、制服を邪魔にならないように捲り上げ整備班のクルーに紛れ込み、
できるだけ基地の人間と出会わないように行動し、もしもの時はクルーたちがフォローする、という形を取ることとなった。
正直なところあまり安全と言える策ではなかったが、これ以上の案は出ることはなく到着してしまった。

余談だがティファも女性用の予備の制服を着用している。
こちらは成人女性用のサイズ自体がもともと男性用と比べて小さいため、それほど支障はなかった。
普段のゆったりとした服装とは違い、キッチリと着込こんだ彼女の姿はガロードにとってとても新鮮で、
いつもより短いスカートに思わず彼はうろたえてしまう。それは周りを湧かせるに一役買ったのであった。



731:CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs
07/11/02 01:17:35

地球連合軍ユーラシア連邦所属の宇宙要塞アルテミス。
アルテミスの傘、あるいは傘と呼ばれる光波防御帯を基地の周囲に360度展開させることによって高い防御力を誇る要塞だ。
ハイペリオンに搭載されているアルミューレ・リュミエールはこれをMS用に改良したものである。
しかし、その防御力の高さが慢心を誘いザフト軍に襲撃され陥落し、傘は大破。
おまけに海賊の襲撃に対抗するため傭兵を雇うも、司令官ガルシアの失策―簡単に説明すれば、
雇った傭兵を敵に回してしまった事-により海賊に占拠されてしまう。今の傘はそのとき修理されたものだ。
その後連合の依頼により、アルテミスは傭兵サーペントテールの手で奪回される。
皮肉にも、彼らはガルシアが海賊の襲撃に対抗するために雇った傭兵たちであった。

そんな数奇な運命をたどるアルテミスの司令室において、司令官ジェラード・ガルシア少将は椅子を、
カナード・パルス特務兵は壁を背にピリピリとひどく張り詰めた空気をお互い作り出していた。
「で、キラ・ヤマトは見つかったのか?」
先に口を開いたのはスキンヘッドの中年。ガルシアだった。
「…いや」
呼び戻した理由がそのことを聞くためだけかと思うと、カナードは両腕を組みながら、ずいぶんと不機嫌な返事をしてしまっていた。
「役立たずが!」
司令室の机に叩きつけられたこぶしが大きな音を立て、
ガルシアはなかなか成果の上げられない―最もキラ・ヤマト関連に限定すればの話しだ―カナードを罵倒する。
もし呼び戻されなければ、キラ・ヤマトの情報を聞くことができたかもしれないというのに!
そうカナードは、表情を憎憎しげに歪める。無論、それを悟られさらに罵倒されるのを防ぐために若干うつむいて。
これは彼が学んだ少しでも自分を守るための数少ない方法のひとつ。
こんなときこの長い髪は、表情を少しでも隠しやすくしてくれるのだった。

「お前はユーラシア連邦によって拾われた身だぞ。働いて見せてこそお前の存在価値があるのだ」
恩着せがましいにもほどがある。カナードはそう思わずにはいられない。
ユーラシア連邦の対応は人間を"拾った"などという表現するのは正しいとは思えない。
表現するとすれば八つ当たりにするのにも丁度良い実験動物を"捕らえた"だ。
そう考えはじめてしまうと、理性ではわかっていても連鎖的に拭えない過去の苦しみが思考を満たし、
深く激しい憎悪の炎が燃えていく。油を注いだ火のように激しく容赦なく、全てを焼きつくすといわんばかりに燃え盛る。
この感情を爆発させることがなんの得にもならないことを思い出せなければ、
おそらく10分もしないうちに、この部屋に絞殺体、あるいは無残な撲殺体が転がっていたことだろう

732:CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs
07/11/02 01:19:10
「わかっている!!」
憎悪に歪んだ鬼のような表情をしながら、彼はいつの間にか近寄っていたガルシアの机に拳を強く打ち付ける。
その表情は鬼と呼ぶにふさわしいものだった。小心者にとってこれ以上恐ろしいものはないかもしれない。
「お前に言われなくても奴は俺の手で仕留めて見せる」
「そ、そうしてくれ、オレもアイツには恨みがある」
ガルシアの声に強い動揺と怯えが混じる。かつて何度もカナードが自分に対して反抗的な態度をとったことはあった。
だがいつもとは違う、狂気的な憎悪が強く目に宿っていた。
だがガルシアがその理由を知ることは無い。
カナードがジャンク屋との遭遇を口にしない限り、己の出した命令のタイミングが非常に悪かったことを気づくことはできない。
カナードはその一件を口に出すつもりは欠片も無いのだ。
そして彼は己の失言にも気づくこともなかった。

「では次の作戦行動についてだが、我々ユーラシアの情報部が……」
机から取り出した資料を手に取り、ガルシアは命令を下そうとするが、
「なっ!何をする!!」
カナードはそれを奪い取ってしまった。冷たい視線を置き土産にして。
「情報だけよこせばいい。どう動けばいいかは俺が自分で決める」
すぐに冷たい視線をガルシアからはずし、カナードは資料に目を通す。
戦闘跡に出向いて新技術が施されたと思わしき残骸が有るので回収してこい、といったようなものだ。
正直たいして苦労するような内容ではない。
「貴様……上官に向かって……」
さすがにここまで自分勝手に振舞われたとなればガルシアのプライドが許さないらしく、怒りを面する。
しかし彼は怒りに任せた言葉をすんでで飲み込み、
「好きにしろ。だがあくまでも隠密行動だ。わきまえろよ!!」
カナードの振る舞いに目をつぶった。
それがガルシアにとって、カナード・パルスという人間を、上手く動かす現時点での最善の方法なのである。
本音としては、もっと言ってやらなくては怒りが収まらなかったが、
続ければおそらく数十分後、あるいは数分後に自分は死体として転がっているかもしれない。
怒りとともにありながら、頭はそんな身の危険を理解していた。


733:CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs
07/11/02 01:21:11
「まったくコーディネイターというやつは…」
カナードが去り扉が閉まった音を聞き届け、飲み込んだ怒りを吐き出す。
一度飲み込んでしまったおかげか、吐き出しかけた言葉は呆れが混じっていた。
「最高のコーディネイターだかなんだか知らんが、本物を殺したからといって出来損ないは出来損ないだ」
その呆れ交じりの言葉からは、さらに酷く冷たいものが漏れ出す。
「人間というものは生まれ持ったモノを変えることなどできないのだからな」
そう、たとえ失敗作が成功体を殺したところで別々の人間なのだ。
成り代わることなど不可能なことだった。

そして、失敗作というレッテルを剥がそうにも、他人の嫉妬や劣等感により張られたこのレッテルは、
より歪んだ方向に強固なものとなってしまっていて、まず変わる事は無いだろう。

「まあいい…。利用価値があるうちは自由にさせておいてやるさ」



「お前、見ない顔だな」
要塞内部の格納庫の奥、整備点検中のハイペリオンの背中側。
そこで作業中強く肩をつかまれ振り返ったガロードに、一人の男が問いかける。
「え?あ、えーと…」
やはり大人の中に子供がいるという光景は要塞として、特に格納庫にいるというのは、非常に違和感があるものだ。
だからこそなるべく事情を知らない大人達が通る場所に出て行かないように手伝いをしていたのだが。
運悪く彼の目に留まってしまったらしい。
もしもちょうどいいサイズの制服さえあれば、彼は特に気にすることもなくこの場から去っていたかもしれない。
なぜなら仕事の邪魔だから袖をまくっていると言うよりは、子供が大人の服を背伸びして着ているという感じだったのだから。
だが、想定していなかった事態ではない。落ち着いて対処すれば深く探られることもなくこの場をやり過ごせたはずだったのだ。
しかし、いきなり後ろから話かけられると人間というものは焦りを隠せなくなってしまうようだ。
現にガロードの心臓はバクバクと言っているのを感じている。
結局考えていた返事も真っ白になり、変わりの返事もすぐに浮かばずしどろもどろになってしまった。
「IDを見せて貰おうか」
それで怪しいと判断されてしまったのか、ガロードはID提示を求められる、
威圧的なのも子供だと思ってのことだろう。もしこの男がIDを照合する機器やらなにやらを持っていたとすればアウトだ。
むしろそれ以上に、こんな状態ではこの要塞の責任者の前まで連れて行かれかねない。


734:CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs
07/11/02 01:23:55
「おー、こんなトコにいたのか。探したぞ」
助け舟が出た。近くで作業していたアルコフだ。
近づいてきた彼はガロードの肩に腕を回すと、口の端を吊り上げてニィっと笑いながら言う。
「こいつ、俺の息子でね、この間戻ってきた時部隊に入ったんだ。こんな子供でも腕は確かなんだぜ。はは、親バカなんていうなよ?」
彼はガロードの頭をその大きな手でワシャワシャと撫でながらフォローという名の息子自慢をしていた。
あるいは、彼がやりたかったことなのかも知れない。
「何だ、あなたの息子だったんですか」
少し無理があるんじゃないかとガロードは思ったのだが、男は案外あっさりと納得してくれた。
アルコフが築いてきた信用の賜物だろう。
元の世界の仲間のジャミルもガンダムに乗って戦争に参加した歳が、
今の自分と同じくらいだったということを思えば、そこまでおかしいことじゃなかったのかもしれない。
ガロードは、結局自分のせいか、と思うと少し情けなくて悔しい気持ちになった。
「まあ、確かに最近少年兵が増えてきたとは聞きますけれども」
エイプリルフール・クライシス以来、年少者の軍人志願者が増えていて、最近になり少しずつある程度形になった少年兵が戦場へと出てきているらしい。
「そういうことさ。こいつも国のために戦いたいんだってよ。あんまりにうるせぇからな」
そんなことしたいなんて言ってない、一瞬で頭に血が上り、判断力の鈍ったガロードがそう声を張り上げようとしたとたん、
大きな手で頭の上から押さえつけられ、グリグリとかき乱される。嘘も方便だ、我慢しろといわんばかりに。
そのおかげですぐに判断力が戻り、事態をややこしくする事なく進む。
「でもですねえ、それだけ自慢されれば、親バカともいいたくなりますって。自分の子供を甘やかしすぎて損害を出さないでくださいよ?」
いつの間にか男は息子自慢に付き合ってアルコフと談笑していた。やれやれ、といったように肩をすくめて笑ったりしている。
そんな彼の表情を見ると先ほどまでの威圧的な態度が嘘のようだった。

「…信用されてんだな」
男の去る姿を見届けてからガロードはつぶやいた。
「伊達に長年軍にはいねぇってことさ」
亀の甲より年の功。もっともその言葉で表現するほど歳をとっているわけではないのだが。
年月を重ね彼が勝ち得た信用は、非常に強力な切り札となりガロードを救った。
ガロードもまた彼がオルテュギア内でも非常に信頼されていることは知っていたのだが、
改めて目の当たりにするとやはり本当に凄いことなのだと思わずにはいられない。
しかし今彼は基地の人間を、仲間を欺いたのだ。
それがばれてしまえば彼の信用は底の底まで落ちてしまうというのにガロードを助けるために嘘をついた。
信用とは、勝ち得ることは非常に難しく、失うことはあまりに簡単なものなのだ。
ガロードは罪悪感を感じずにはいられなかった。
「どうだ、どうせなら本格的に俺たちの仕事に混じってみねぇか?」
そんな罪悪感に駆られるガロードに突然アルコフは声をかけた。
今まで片付け程度の手伝いではなく、本格的に自分達の仕事をやらないか、と。
「ほ、本当にいいのか!?だったらやる!やらせてくれ!」
思わぬ申し出に、先ほどまでの罪悪感などどこかへと飛んでいってしまって、やや興奮気味にガロードは即答した。
「おいおい、少し静かにしろよ。俺たち以外の奴らに聞かれちゃまずいだろ?」
この大声を聞かれ、また別の者に怪しまれてはたまらない、と口の前で人差し指を立てガロードを制止する。
何故急にガロードが興奮気味になったのかはわからない。
よっぽどうれしかったのだろうとアルコフは解釈した。それだけで十分であった。

735:CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs
07/11/02 01:25:59
「ゴ、ゴメン。でも何で」
あわてて謝り、理由を聞き出そうとする。
軍の機密事項であり、中でも優秀な人材たちを集めに集めた中だ。
彼らと出会ってまだ数日しか立っていない自分が、
本格的にそこにまじることを誘われるなど常識的には考えられないことだったからだ。
ガロードにとって実父と同じエンジニアになるという、戦災孤児になり生きるがためにあきらめかけていた夢が、
夢の入り口が、手を伸ばせば届く場所にある。だから彼は興奮せずにはいられない。
しかし、唐突に目の前に転がってきたこのチャンスは、
あまりに常識から逸脱していて飛びついて本当にいいのかどうか、彼は判断しかねていた。

―ダメな親の罪滅ぼしさ。
そう言いそうになりアルコフは、無理矢理咳払いをして止めた。直前に言い表せない罪悪感が頭の中を一瞬にして支配したからだ。
ガロードに対して父親のように振舞ったところで、実の息子が帰ってくるわけではないのだ、罪滅ぼしになどなりはしない。この罪は滅ぼせない。
そして何より、自分の息子と重ねることはガロード・ランという個人の蹂躙に過ぎないのではないかと頭によぎったからだ。
それでも彼は重ねずにはいられない。罪の意識がそうさせていた。
「いやなに、お前さんは教えがいがありそうだからな。ただの気まぐれ、深い意味はないさ」
もっともらしい理由など無いのだ。親として子に自分の仕事を継がせたい、そんな欲からの申し出なのだから。

ノーマルスーツを着用したカナードが戻ってきたのはそれから数十分後のことであった。
メリオルと彼の会話の内容によれば、準備さえ完了すればすぐにでも次の任務へと向かう事になったらしい。
さして他のクルーと話もせず、仏頂面のままカナードはハイペリオンのコックピットへ乗り込む。
その表情から察するに、司令が何か失言したのだろうと、クルーたちも話しかけることは無い。
触らぬ神に祟りなし、といったところだ。
ただ一人、ティファだけが彼の表情に中に隠れた怒りと苦しみ、そして小さな悲しみがぐちゃぐちゃに交じり合った心に気づき、悲しい表情を向けていた。

目を閉じればまぶたの裏に過去が映る。楽しい思い出などひとつも無い記憶が。
走馬灯のようによみがえるのは、後もう少しでこの苦しみを終わらせられる、という期待からなのだろうか?
ハイペリオンという刃を手にしたカナードは、その答えを出ださない。答えの先に自覚してはいけない何かがあったからだ。
「カナード特務兵。準備完了です、いつでも出られます」
声をかけられ目を開ければ、コックピットの外、そのすぐ横にメリオルがいた。
「わかった」
長い髪の毛を布で器用に纏め上げ、彼はヘルメットをかぶる。
「私たちも追って出ます。無茶はしないでください」
一瞬、メリオルの言葉の後半の意味が理解できなかった。
すぐに意味自体は理解はできたが、何故彼女が自分に対してそんなことを言うのかはわからなかった。
まだ彼にとって大人というものは大部分が憎たらしい存在であり、
かつ大人側もまた自分を道具として扱っているのだという感覚が強かったからだ。
勿論、オルテュギアのクルーのほぼ全員はすでに彼を道具として見てなどいない。
カナードの大人への強い不信感が生み出した被害妄想のひとつ。
それから数分のち、会話も思考もそこそこに終わらせ、出撃の準備は全て完了する。
「カナード・パルス。ハイペリオン出す!」

アルテミスから射出されたハイペリオンは、勢いよくバーニアで宇宙に光の線を描いた。



736:CrossASTRAY ◆n/pJcmlREs
07/11/02 01:28:49
投下終了です。

737:通常の名無しさんの3倍
07/11/02 07:25:40
>>736
久し振りの投下、GJ!! 

オルテュギアのクルーってCE軍人じゃ珍しくいい人ばかりだな~。
なんかものすごく和む。
今後の展開が気になって仕方がないです。

あと連合の制服を着たガロード&ティファ、ちょっと見てみたいかも。

738:通常の名無しさんの3倍
07/11/02 08:51:47
アルコフとガロードの無くした親と子のやり取りがなんか哀しい
GJっした

739:通常の名無しさんの3倍
07/11/02 22:19:27
GJ!です

740:通常の名無しさんの3倍
07/11/03 12:11:46
GJ! このスレもまだまだいけるぜ!

741:通常の名無しさんの3倍
07/11/03 21:47:21
GJ!

742:通常の名無しさんの3倍
07/11/05 12:05:34
保守

743:通常の名無しさんの3倍
07/11/05 12:10:19
そういえばオルテュギアのクルーってXASTRAY終了後に軍を抜けて、そのまま傭兵部隊Xになったんだっけ?

744:通常の名無しさんの3倍
07/11/08 00:24:00
保守

745:通常の名無しさんの3倍
07/11/09 18:28:21
保守

746:通常の名無しさんの3倍
07/11/09 21:13:04
そうだよ>743

747:通常の名無しさんの3倍
07/11/10 21:40:03
URLリンク(www.youtube.com)

748:通常の名無しさんの3倍
07/11/10 21:49:30
また微妙な二番煎じを・・・

749:通常の名無しさんの3倍
07/11/10 22:32:01
ってかタイミング合わせとかしろよと


最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch