07/08/26 15:06:37
あなたに保守を・・・
551:通常の名無しさんの3倍
07/08/28 13:48:42
保守は出ているか?
552:通常の名無しさんの3倍
07/08/31 09:14:22
保守
553:通常の名無しさんの3倍
07/09/01 21:16:39
保守
554:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/04 05:45:26
投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十七話「高くついた寄り道からな」
「こちらガロード ! アークエンジェル応答してくれッ !! くそっ、さっきからうんともすんともいわねえ ! 通信状況が酷すぎる !! 」
『Nジャマーの影響でしょうね……でも大丈夫です。こちらの事は断片的ながらあちらに伝わっているようです。』
通信を入れ続けるも上手くいかない様子のガロードをカリスが宥める。
ザフトが開発し、地球各地に把握しきれないほど落とされたNジャマーことニュートロンジャマーは全ての核分裂を抑制するものであり、
その影響下では核分裂は抑制させられる。そのために核ミサイルをはじめとするかつての最終兵器であった核兵器を始めとする核エンジン、そして原子力発電などは使用不可能となった。
更に電波も阻害するために、影響下では電波を利用した長距離通信や携帯電話は使用不可能となり、レーダーも撹乱される。
自然の中にいる時や戦闘中のモビルスーツとの通信も困難になるケースが多く、長距離通信手段としてレーザー通信が使用されている。
しかし今はそれを一からガロードに詳しく説明している時間は無い。
やがてアークエンジェルが有視界範囲に入った時、彼にとって待ちに待った返事が相手方から返って来た。
『こちらアークエンジェ……マリュー・ラ……ス !! それに乗っ……るのは本当にガロード……のね ?!! 』
それは何度か話した事のあるラミアス艦長の声。
ガロードの声が一気に明るくなる。
「おっ、艦長さんか ?! おーし、本格的に繋がったみてえだな。そうだよ。こっちの黒いMSに乗ってるのは炎のMS乗り、ガロード・ラン様だぜ。
んで、この機体を今持ってくれてんのは俺の頼もしい仲間だ。」
『カリス・ノーティラスです。アークエンジェルの皆さん、お初にお目にかかります。ザフトにいましたがガロードの言った通り僕らは仲間です。
色々とお話したい事は多々あるのですが、後ろからの追手の事もあります。先ずは着艦させてもらえませんでしょうか ? 』
少しの間だけ通信機が静かになる。
ブリッツにガロードが乗っている事は確認出来たものの、詳細が分からないカリスに関しては慎重が要されるといったところだろうか。
調整したモニターの別枠を見ると、追撃隊との差が段々詰まりつつあるのが分かる。
かなり長く待たされたガロードは少し声を荒げた調子でアークエンジェルに再び通信を入れる。
「カリスは味方だ !! 着艦許可だけでも早く下ろさせてくれ !! でねえとハッチに俺が突っ込んででも…… !! 」
『お、落ち着きなさい !! ……分かりました。着艦を許可します !! 』
「よしっ ! サンキュー、艦長さん !! 」
とても穏やかでない発言を抑えつつマリューは着艦の許可を出した。
やがてアークエンジェルの左側のハッチが彼らを受け入れるべくゆっくりと開いていき、ヴェルティゴはそこに一直線に向かっていく。
ものの五分としない内に二機は吸い込まれる様にハッチの中に突っ込んでいった。
デッキに着いた瞬間の下から突き上げる衝撃と見慣れた整備班の面々はガロードに帰ってきたという感情を起こさせる。
555:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/04 05:46:54
ガロードはブリッツのコクピット内で一息を吐く。
またしても成り行きとは言えXナンバーの一機の奪還をする事となった。
格納庫にいる皆はその事実に気づき、イージスや艦隊合流前の一戦で勝利した時の様に喜びたい雰囲気の様だったが、今は状況が状況なのでそんな悠長な事は言っていられない。
急いでハッチを開けると、下からいつも世話になっているマードック曹長が両手をメガホンの様にしてガロードに声をかけてきた。
「良くやったな、坊主 !! だけどお祝いは目の前の敵さん追っ払ってからになりそうだ !! 機体の応急処置が終わったら直ぐ出撃できるか ?! 」
「機体は別段何ともねえんだけどよ、OSがコーディネーター用だからナチュラル用の調整が必要なんだ !
自力で何とかしてえけどパソコンとかそういうのまださっぱりだから、キラが一緒にいたらスムーズにいくかもしれねえ !! 」
そうガロードが答えると、マードックは少し渋い顔になる。
「悪ぃがあっちの坊主もこれから直ぐにストライクで出撃しなきゃいけねえ ! けど安心しろ ! ウチんとこの技術班や工作班だってそんなに柔じゃねえさ ! 協力すればある程度は何とかなる筈だ !! 」
「オッケー、わかった !! それから……」
ガロードはちらと後ろの方を見やる。
先程は毅然とした態度でアークエンジェルのブリッジに通信を入れていたが、この状況でカリスはザフトの黒服を着ているのを気にしているのか何の反応もよこしてこない。
不審がっているスタッフを相手にガロードは咄嗟のフォローを入れる。
「こっちの機体に乗っているのはいろいろあってザフトにいた俺の仲間だ。名前はカリス・ノーティラス。」
するとすっとヴェルティゴのコクピットハッチが開く。
全員に姿が見える様に外を出たカリスは格納庫全体に響く様な大きく、そして努めて明るい雰囲気の声で簡単な自分の状況説明を始める。
「皆さん ! 僕は今ザフトの制服を着ています。ですが、ガロードの仲間です !! そしてたった今ジブラルタル基地を脱出し、彼と共にここまで来ました !! もし僕がお役に立てるのなら出させて下さい !! 」
突然の口上に周りの者達は一瞬動きを止める。
だがそこにもう一つガロードにとって聞き慣れた声が響き渡る。
「それでいいのか ? 君は。」
ふとガロード、カリス二人の視線が奥の方に向けられる。
そこには今から一つしかないスカイグラスパーに乗って出撃に向かうといった様子のムウが、カリスの方に真剣な眼差しを向けていた。
ムウは正規の連合軍軍人、そしてカリスは仮にもザフトでは高位の役職の人間が袖を通す黒服を纏っている事から、ガロードはムウが何を言おうとしているのか直感的に気づく。
「外の様子を見れば分かるが俺達は今からザフトと戦闘をするわけだ。今さっきまでジブラルタルで色々な人間に指図出来るほどの権利を持っていた君が、
直ぐに仲間を討つ覚悟がこの戦闘の中で出来るのか俺としては少し厳しい。幾ら坊主の仲間だと言われてもな。
……俺もあまり疑り深い性格だと思われるのは心外だし、来ている制服にとやかく注文をつけるつもりは無いが……本当に良いのか ? 」
カリスはコーディネーターではない。
今のところはガロード、ティファ、テクスしか知らないが、人工ニュータイプであるといった所を除けば彼もナチュラルだから、
コーディネーター達に対して同胞という意識は割合希薄と言った方が正しいかもしれない。
とはいえ、彼はザフトに入って少なからずともある程度の恩恵は受けた。
更に今アークエンジェルを襲おうとしているジブラルタルからの追撃隊にはカリスが昨日今日談笑したり寝食を共にしたりした人間がいるかもしれない。
ここで前線に出て行ってその時になってから迷いや躊躇いが出るようであれば安心してその場を任せるなんて事は出来ないし、勿論自分の背後を守らせるわけにもいかない。
556:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/04 05:47:53
しばしの沈黙の後、カリスは口を開いた。
「僕やガロード達は自らの意志でここに来たわけではありません。ですから残りの仲間を見つけた後に全員揃って協力して戻る必要があります。
一人として欠けてはならないですし、こんな世界で敵味方に別れて戦争を続けるなんて愚の骨頂です。
……もしそこまでお疑いなのでしたら、出撃後に僕が妙な動きをした時には即座に撃っても構いません ! 」
その言葉にガロードはギョッとして振り向く。
しかし、カリスの表情は穏やかなものそのもので、言葉にも一片の飾り気は見られなかった。
寧ろそれは心の中の真摯な意見であった。
それを聞いたムウの顔からふっと笑みが漏れる。
「そこまで言ったんならお前さんを信用しよう。但しその代わり、こちらの陣営の人間として戦闘も含めてしゃかりき働いてもらうぜ。それとこれから先の事はもう誰のせいにもできないからな。」
「そのつもりです。信用してくれて有り難う御座います。」
言い終えたカリスの口からも軽く笑みが零れる。
しかし、安心する事は出来なかった。
くぐもった音と強烈な振動が艦全体に響き渡ったからである。
遂に敵方からの砲撃が始まったのだ。
「ともかく艦長達に詳しい話を通すのは戦闘が終わってからだ。相手の数が数だが弱気な事は言ってられねえぞ。ブリッジ ! どうなってんだ ?! 」
ムウは近くにあった通信用パネルまで行き、ブリッジに通信を入れる。
画面には口をこれ以上は無いほど固く真一文字に結んだマリューが映った。
それから神妙な面持ちのまま現状報告をする。
『敵が本艦を捕捉し砲撃を開始しました。出撃準備が整い次第直ちに発進して下さい。……それと、ガロード君と共に来たというあのカリスと名乗る少年については ? 』
「こっちと共闘するとは言ってるぜ。自分の後ろに銃突きつけた状態のままでも良いって覚悟持ったままな。
まあ、あの坊主の知り合いだって言うし、こんな状況だから俺としては信用してやらんでもないが……どうする ? 」
問いかけられたマリューはしばしの間思案にふける。
すると下のCICからナタルの厳しい声が横槍を入れる様に割って入ってきた。
『艦長。いかにこちらに与する意志と覚悟があったとしても、この状況下では信用に欠けます ! やはり一度艦内で勾留した状態にした方が良いかと。』
アークエンジェルの近くでは引っ切り無しに砲撃が続けられている。
マリューの考えとしてはこのまま沈むわけにはいかないというのなら藁にもすがる気持ちでこのカリスという少年の助けを借りたかった。
例えそれが現状にとって焼け石に水程度の事であったとしても。
だが幾ら傭兵にしたガロード達の仲間とはいえ、そして信用が無いなら背中に銃を突きつけたまま戦闘に臨んでもいいとはいえ、元を正せば彼は敵軍の重要ポストにいた人間だ。
早々簡単に信用しても良いものだろうか ?
『敵艦尚も接近 ! 』
ミリアリアの声がその音色も手伝って、自分に素早い処断を求めるベルの様に聞こえてならない。
『艦長 ! 急がなければこちらがやられます ! 』
ナタルは一時勾留を進言しているが、ここで墜とされる様な事があっては勾留も何もあったものではない。
迷った末にマリューは一つの決断を下した。
557:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/04 05:49:56
『ストライク、スカイグラスパー発進用意。ブリッツは調整が済み次第発進して下さい。カリス少年の乗った機体については先に述べた三機と同様に処置します。
但し三機の迎撃照準の一部は常に彼に合わせておくように。』
『艦長 ! 』
マリューの判断にナタルは驚きの色を隠せない。
軍門の家で生まれ育った彼女の常識に照らし合わせてみれば、非常識も甚だしい事この上ない事なのだから。
だが近くからブリッジとのやり取りを聞いていたガロードは、そんな空気をあまり意に介さず明るい調子の返事をする。
「おっしゃ、そうこなくちゃあ ! あ……急いでるトコ悪いんだけど、出撃前にキラを少しだけ貸してくれねえか ?
機体はあんまし損傷はねえんだけどよ、こちとらOSの事はそれなりのプロがいねえと殆どさっぱりだし、ザフト製のMSしか動かした事ねえから。な、いいだろ ? 」
『許可します。だけどなるべく急いで ! 敵の接近している距離から判断すればもうそんなに時間的余裕は無いわ ! いいわね ? 』
「りょーかいっ !! 」
ガロードはそう言ってブリッジとの通信を切る。
その時先程より一際大きい振動が艦を揺さぶった。
本当に残された時間は少なさそうである。
直後、格納庫にパイロットスーツに着替えたキラが転がり込む様に入ってきた。
「坊主 ! もう一人の坊主……ガロードが帰ってきたぞ ! 」
マードックの威勢の良い胴間声がキラの耳に入る。
そしてキラは軽く頭を殴られたような衝撃に襲われた。
艦の中にブリッツがある。何故ブリッツがあるんだ ?
確かにあれは元々連合の物だが、あのヘリオポリス襲撃の時にザフト側に奪われ更に今までにも何回か対峙してきた相手だ。
しかもその近くには低軌道会戦の時MIAになったものだと聞かされ続けていたガロードがいる。
生きていた事は純粋に嬉しかったが一体どういう事なのだろう ?
ブリッツのコクピットにはあのティファもいる。
更にそのブリッツの後ろにある白い機体が謎を大きくした。
流線型が特徴的なフォルムのその機体は数日前にとりあえず目を通しておけと言われた連合、ザフト両軍の機体のどれにも一致しなかった。
決定的だったのはそれのコクピットの辺りに見慣れぬ服を着た少年がいる事。
いや、見慣れていなくても彼が一体どういう存在なのかは腕の辺りにあるザフトのマークが雄弁に語っていた。
ザフトの人間が何故この連合の艦にいるのだろうか ? 事情を知らないキラには正に全てが混沌としていた。
そこにキラの姿を確認したガロードが声をかけてくる。
「キラ ! 」
ガロードにとってキラの顔はそんなに長く離れていた訳でもないのに、何故か久しぶりに見るように感じられる。
敵の陣営にいたからだろうか。
やがてキラの目の前に来たガロードは親指をピッと上げて微笑み言う。
「戻ってきたぜ。高くついた寄り道からな。」
キラはそれを聞き一先ず安心する。
どうやら彼自身が何か大きな怪我を負っていたとかそういった事は無かったからだ。
「おかえり。」
キラは笑顔で答えた。
そして、それを聞いたガロードは話を続ける。
「後ろの白いやつに乗ってるのは俺の仲間で名前はカリスっていうんだ。訳あってザフトにいたけど今は俺達の仲間だ。安心してくれ。
それからあのブリッツは俺とティファが捕まってたザフトの基地から逃げる時に取り返してきたんだけどもよ、OSが良くわからねえんだよ。
キラ……これから出撃で時間ねえとは思うけど、出来る範囲で良い ! OS変えるの手伝ってくれねえかな ?! 」
「分かった !! 」
キラは直ぐにガロードの申し出を了承した。
残り少ない時間でどれまで出来るかは分からないが……
それにしても……今まで自分達を執拗に追いかけて攻撃してきたブリッツのOSの調整をやる事になるとは。
心に何がしかむず痒い物を感じたキラだった。
558:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/04 05:51:28
投下終了します。
次はいつになるかは分かりませんがなるべく早めにしようと思います。
では、また。
559:通常の名無しさんの3倍
07/09/04 13:25:28
久しぶりの投下、乙です
戦闘終了後のガロードとキラの会話が楽しみだ、特に凸に関してのw
560:通常の名無しさんの3倍
07/09/04 13:39:28
カリス、損な役回りだなあ。相変わらずってとこが泣けるぜ
マリューとナタルがらしいぜGJ
561:通常の名無しさんの3倍
07/09/09 22:41:42
ついさっきまで友軍だったのにあっさり戦うんだなと思っけど
カリスも結構盲目的なところがあったんで、らしいといえばらしいか。
562:通常の名無しさんの3倍
07/09/10 01:08:56
お久しぶりのGJ!
本編の凸だと裏切り、カリスだとゆるぎない仲間への想いに基づく予定調和
ずいぶんと印象の違いが大きいなあ
563:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/12 17:32:38
戦闘関係、機体が多かったのできつかったですが、
今晩辺りにまた一話投下していいですか?
564:通常の名無しさんの3倍
07/09/12 17:41:08
どうぞどうぞ
565:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:20:41
昨晩コンピューターがスパイウェアの為一時あぼーんしてしまいましたが、データは無事残っていました。
では、投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十八話「狼退治とキメますか !! 」
「ムウ・ラ・フラガ、スカイグラスパー、発進する!」
「キラ・ヤマト、ストライク、行きます!」
アークエンジェルのカタパルトから先にストライクとスカイグラスパーが発進する。
今回スカイグラスパーはエールパックを装備していた。
ビームライフルとサーベルという組み合わせがマードックを渋い顔にさせたが、これは歴戦を潜り抜けたムウのアイディアによる物だった。
地球では宇宙と違って当然の事ながら重力があるために、機動性で見るならば重い武装は極力避けなくてはならない。
おまけにここは砂漠に程近い場所である。
大気中における熱対流によるビーム兵器の減衰率がどれほどになるものか、それが一体どういう状態になるのかまだよくは分からない。
もし宇宙と同じ様にランチャーパックを装備していればそれらの問題にブチ当たるだけではなく、エネルギー消費問題ももれなく付いてくる。
何の考えも無しにアグニを放てば直ぐにフェイズシフトダウンを迎える事になる。
キラは最初のストライクの戦闘に於いて戦闘中にOSの書き換えを行ったと言うが、
この状況……ほぼ十機を一人で相手にしなくてはならない中でビーム兵器の減衰率計算が出来るかどうかなど本人に訊いたって怪しいものである。
またソードパックにすれば別の問題が浮上してくる。
近接戦闘に特化されたソードストライカーで出撃すれば、当然対MS戦闘も近接戦になる。
という事はそれだけ敵に距離的リーチを与えるという事になる。
捌き切れない敵が母艦であるアークエンジェルを狙い始めたら、蜂の巣になる事は免れない。
加えてガロードが取り戻したブリッツはそれこそ近接戦闘用の機体。
位置的なバランスが崩れてしまう事になる。
エールはその点中距離戦闘はビームライフルで行い、それを逃れてきた敵はサーベルで相手をし、短期戦で決着をつければ遜色は無い。
唯一の問題点、三つのパックの中で最重量である事に関しても四基のバーニアの働きはお釣りが帰ってくるほどにカバーしている。
566:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:21:42
それから遅れる事二分。
「ガロード・ラン、ブリッツ、出るぜっ!」
アークエンジェルのカタパルトから漆黒の機体、ブリッツが発進する。
キラがナチュラル用に調整した事もあってかガロードは直ぐに操縦の感覚を掴んでいた。
しかしブリッツには不安要素が幾つもある。
単機で敵陣に突っ込む様に作られている為に、中距離、或いは遠距離戦用の兵器が搭載されていない事だった。
近接戦と中距離戦にストライクが専念するだけに遠距離用兵器は必要だったが無い物強請りをしたところでしょうがない。
搭載されているレーザーライフルとてストライクのビームライフルと比べれば威力は格段に落ちるし、効果が何処まで効くかそれも分からない。
またブリッツの兵器はピアサーロック グレイプニールを除いて全てレーザーライフルもランサーダートも右に存在している。
頭部にはストライクにも付いているイーゲルシュテルンすら付いていない。
つまり右腕を破壊されればグレイプニールで奮戦するしかないのだ。
そのグレイプニールすらも戦闘慣れしたガロードにとって、使いどころって一体どういうところなんだと思わせる物であるが。
またランサーダートとて三発分しかないので使い所を見極めなければ全部スカで終わってしまう。
またブリッツを魅力的な機体たらしめているミラージュコロイドは熱対流の関係で使えないし、
ストライクの様なバーニアがあってもそこまで高くは飛べないので会敵方法は敵陣までえっちらおっちら走っていかなくてはならない。
地上戦では不自由する事この上ない。
詳細を聞いた時、ガロードは一瞬Xナンバーの機体でも貧乏籤をひいたかなとさえ思ってしまった。
しかし今は戦力の一つでも惜しい所である。出ない訳にはいかなかった。
567:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:22:43
そしてブリッツの出撃とほぼ同時にカリスも発進する。
「カリス・ノーティラス、ヴェルティゴ、発進します!」
ガロード達を救った純白の機体が猛烈なスピードでストライクとほぼ同じ位置に躍り出る。
内蔵ビームライフルとビームサーベルがあるだけにスペックや戦闘方法としてはストライクと同じだが驚異的な武装が一線を画す物となっている。
全方位攻撃とも言われている飽和攻撃を可能とする遠隔誘導端末、ビット。
A.Wにいた時、自身の出身地フォートセバーンでガロードと対峙した時全基打ち落とされてはいたが、第八次宇宙戦争の最終決戦時に修理自体は出来ていた。
死角無しともいえるこの兵器ならこの戦況を覆すどころか戦闘自体も勝利に導く事も容易い物かもしれない。
しかし今のカリスはそれを十分に分かっていたとはいってもビットを使うことに対し相当の自制心をかけていた。
今日はあの症状……シナップス・シンドロームが襲ってくる日ではない。
原因はこの世界のMSを詳細に調べていく仮定で分かった二つの事だった。
一つは材質が全く違う事。
ヴェルティゴの機体を構成しているのはルナ・チタニュウムであったが、この世界ではルナ・チタニュウムは大量生産出来ないばかりか、それ以前に生成する事も出来ない。
A.Wの工業概念に照らし合わせればもっと重くそして脆い金属が使われているのだ。
またビットは小さい故に機体より破損率が高くなる。
どちらかの陣営において微細工学に詳しい人間が手にしたら間違い無くこの世界のパワーバランスは崩れる。
物量で勝る連合が手にしたら尚更不味いだろう。
もう一つはビット攻撃自体がこの世界に存在しない事。
自身が人工的に処置を程された人工ニュータイプだと言う事もビット攻撃が可能になる一つの要因だったがその構造面でも知られてはならない。
しかしずっと自重はしていたが、ガロード達と共に基地から逃れる時に遂にそのシステムを解除した。
既に後戻りは出来ない所まで来たのだ。
568:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:23:47
今アークエンジェルの周囲はそこそこ小高い丘に囲まれている。
元々宇宙での運用を目指していた艦だけに飛ぶにしてもそこまで高い高度は取れない。
降りた場所にしても地形から言えば高度な部類に入るため逃げるにしても平地沿いをずっと進むしかないのだ。
ガロードが発進後直ぐに地面に降り相手を迎える為の位置につくと、通信機から緊張感漂うムウの声が入る。
『相手さんは二手に分かれたままでこっちとやりあう可能性が高い !
発進前に確認したように艦の前方はキラ、後方をザフトの坊主、ガロードは艦自体の防衛に回ってくれ。俺はキラにプレゼント配達し終わったら一旦母艦に戻ってもう一度別のモン付け直して来る ! 』
「OK ! ……9対1だろうとなんだろうとこんな所で負けるわけにはいかねえんだ ! ティファも……みんなも……一人も死なせはしない ! やってやろうじゃねえか !! 」
気合を入れるためにそう叫ぶと操縦桿を握る手に自然と力が入る。
そうでもしなければ、こんな状況を切り抜けなければという感情も沸いて来ないからだった。
やがてそれは丘の向こうにある空から地も震えるような轟音を上げながらやって来る。
艦の後方を向いていた為にモニターに映ったのはジブラルタルからの追撃隊だったが、発進前にあった報告どおり半端な数ではない。
先頭にはテールローターの無い戦闘ヘリと小型VTOL戦闘機が密集陣形で迎撃態勢の用意にはいっているらしく、
その上方にいる6枚の翼を広げたディンは早くも重突撃機銃を携えこちらに狙いを構えている。
またサブフライトシステムに乗ったジンは全機、以前ガロードが改造した練習用ジンと同じ武装、つまりD装備をしてヘリや戦闘機のやや後方からこちらに向かっていた。
最初に挨拶代わりとばかりに戦闘ヘリが対地機関砲、そして戦闘機が25mm機関銃を次々に撃ってくる。
大量の弾がアークエンジェルの周りに着弾し粉塵が舞い上がるもののガロードはそれを何とか回避しながら自分に一番近い位置にいた戦闘機の一つにレーザーライフルの狙いを定め撃った。
レーザー波が到達し狙いの一機が爆散したのは良かったものの、ヘリと戦闘機は密集陣形を解除し、ミサイルまで使いアークエンジェルをあらゆる方向から狙い撃ちし始める。
飛来するミサイルの幾つかは75mm対空自動バルカン砲塔システム イーゲルシュテルンをフルに使って打ち落とすが捌ききれずに着弾するものも少なくは無い。
なるべくそれを防ぐ為、ストライクがバーニアを吹かしながらビームライフルを駆使しヘリと戦闘機を打ち落とすが、前からもMSが接近している状況の中で気を配れる時間はほとほと少なかった。
またヘリと戦闘機が散開したのと同時にその上方にいたディン、そして前にいる味方などがいなくなった為に迫り出したジンが同時に重突撃機銃を斉射しだした。
大量且つ厚い弾幕にガロードは必死で機体を操って回避しながらレーザーライフルを撃つ。
しかし敵とてロックされている事ぐらい頭に入れて戦闘に臨んでいるのだから、ボーッとしながらその一撃を甘んじて受けるわけが無い。
とにかく狙いをつけてレーザーライフルを撃つものの、バーニアがあっても高くは飛べないという事と中距離戦用の兵器が乏しい事によるリーチの差はあまりに大きかった。
ヘリと戦闘機は相変わらずアークエンジェルにとりついて弾丸の雨を降らせていた。
569:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:25:34
だがそれは炎を上げながら落下する鉄塊と爆発音と共に徐々に止んでいった。
カリスとムウである。
彼の乗ったヴェルティゴは地上辺りからものの数秒で敵機のいる空域に上昇し、直ぐに一機のヘリにビームライフルの狙いを定め正確な一撃でしとめる。
その背後から高度を落としたもう一機のヘリが機関砲を構え接近するが、ランチャーパックを抱えたスカイグラスパーが120mm対艦バルカン砲を横っ面から打ち込みそれを撃墜した。
その時唐突にガロードにカリスから通信が入る。
『ガロード、無事ですか ?! 』
「ああ、今のところはなんとかな。この機体じゃ空は飛べねえし、レーザーライフルや槍以外は接近戦に持ち込むしか他ねえんだ。そっちは大丈夫か ?! 」
『正直な事を言うと、さっきから操縦桿を握る手の震えが止まらないんです。
僕も覚悟を決めて発進しましたがやはり慣れるまでに時間はかかりそうですね……あんな啖呵をきったのに情けないものですね……』
あまり心配する事はないと言うような調子の声だったが、事情が事情だけにやはり本人にはかなりの負担なのだろう。
覚悟するのと実際にそれを行動に起こすというのは全くの別物なのだから。
『ガロード。ヘリや戦闘機、ディンに関しては僕が引き受けます。君は地上に降ちた機体やキラ君の対処に回ってもらえますか ? 』
「分かった ! ……カリス !! 」
『はい ?! 』
「……有り難な。出来るだけ無理するんじゃねえぞ。」
『有り難う御座います。』
礼の言葉を言うが速いかカリスは自分の前に躍り出たディンに向けてビームライフルのトリガーを引いていた。
ディンは右腕と右翼を二枚破壊され地上に墜落するもその攻撃は止む事は無い。
更にジンもミサイルや無反動砲を乱れ撃ちしてくる。
しかしそれに負けじとスカイグラスパーが素早い動きを見せ、敵機が密集している場所に向け再度バルカン砲を打ち込みジンを二機空から引き摺り下ろした。
570:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:27:07
通信機からは相変わらず飄々とした感じのムウの声が聞こえてくる。
『俺も忘れてもらっちゃあ困るぜ !! 』
空の足がかりを失ったジンは、煙をあげるサブフライトシステムのグゥルから飛び降りブリッツに向け素早く重突撃機銃を構えて迫る。
間は自分に近い機体は距離にして約200mで遠い方は約300m程。
間合いとしては申し分無い。
ガロードはランサーダートを構えジンに狙いを構え直ぐに撃つ。
銀色の弾丸と化したそれはジンの胸部のやや上を串刺しにした。
ジンは完全にバランスを失い後ろに向かって倒れ、猛烈な火花を散らして爆散する。
それを確認したガロードはバーニアを目一杯に吹かし、もう一機のジンの方に急速接近する。
その過程においてガロードはトリケロスからビームサーベルを繰り出し爆煙の中に突っ込んだ。
一瞬モニターが真っ黒になり次に光を感じた瞬間、目の前にはやはりこちらに向かってきたジンが視界一杯に入る。
ジンは重突撃機銃をブリッツにありったけ撃ち込み、弾切れを起こしたと気づくやそれを捨て、今度は重斬刀を構えて切りこみにかかる。
しかし、フェイズシフト装甲の為に重斬刀は一つの傷も与える事は出来ない。
お返しとばかりにブリッツはすれ違い様にビームサーベルでジンのコクピットの辺りから真っ二つに切る。
分かたれたジンの両半身は空中で四散し、煙が晴れた頃にはただの鉄屑に変貌していた。
「こちとら2対1の戦闘はお手のもの !! 簡単にやられはしねえぜっ !! 」
爆発を背にしたブリッツの中でガロードは大きく叫ぶ。
だが、気を抜く事も格好を付けている場合でもなかった。
後方、アークエンジェルにとって前方からまたも弾丸の嵐が吹き付けてくる。
前方の防衛には確かキラが当たっているはず。
すぐさまガロードがその方向を向くと、様々な種類のMSとビームサーベルを使って接近戦をしつつ、近づいてくる敵にはビームライフルで応戦するキラの姿が映った。
だが素人目に見たって相手に出来ない数の敵を相手に奮戦している。
実体弾のダメージを受けないフェイズシフト装甲とはいえ、喰らっている数からしてもあと10分もしない内にシステムが落ちてしまうだろう。
迫り来るのは後方から襲ってきたのと同型の攻撃用ヘリと戦闘機、戦車の形をした鈍重そうなMS、黄土色に染められたジン、そして……
571:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:28:43
「い、犬ゥ ?? ちげーや、狼かぁ ? 何だ、あれ ?! 」
それはキャタピラを駆使して荒野を縦横無尽に動き回る野生の獣と言った方がいいだろう。
二足歩行ではなく四足歩行をするそれは見慣れていない事もあってか非常に奇異にガロードの目に映る。
が、その敏捷さは十分驚異になり得た。
動体視力ならある程度はあるといっていいガロードでも目でずっと追っていくのはきつかったからだ。
と、アークエンジェルから一本の通信が入る。マリューからのものだった。
「艦長さんか ?! どうした ?! 」
『ガロード君聞こえる ?!! それはザフト軍の地上作戦用MS バクゥよ !! 』
「バクゥっていうのか……」
『数も八機いるわ。キラ君と協力して迎撃して !! 』
しかしその声すらどこか遠くから聞こえているのではないかと錯覚してしまう。
八機もいるそれはブリッツを確認した後、ストライクを残りの連中に任せておき、一気にこちらに向かってやってくる。
その時ふいにガロードの頭の中にティファと始めて会った夜、彼女の導きに従ってGXを手にした時の事がフラッシュバックする。
あの時も……そう。GXの情報を聞きつけたとても一人では相手に出来ないMSを相手に必死に戦った。
撃墜スコアだって今この場にいるMSと同数くらいいっていてもおかしくなかったかもしれない。
もうこれまでか、と思った時に窮地から脱出出来たのはティファが力を使って発射したサテライトキャノンのお陰でもあった。
しかし、今は違う。
自分の乗っている機体にそんな物はついていない。
近接戦に優れたこの機体を上手く活用し、キラやムウ、そしてカリスらと共に連係しながら地道に倒していくしか他無い。
後ろに目をやるとムウは新たに一機のディンを撃墜し、カリスは素早い動きで戦闘機のコクピットを撃ち抜く。
ガロードは心の底に熱い物を感じ、直後小刻みに機体を動かしつつバクゥに向かっていった。
「へっ !! いっちょ、狼退治とキメますか !! 」
572:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/09/13 14:31:04
投下終了します。
今回は一寸した前後編ぽくなってます。続きは鋭意執筆中です。
ではまた後程。
573:通常の名無しさんの3倍
07/09/13 21:42:44
>>567
× ヴェルティゴ
○ ベルティゴ
574:通常の名無しさんの3倍
07/09/13 21:52:12
Bertigo(眩暈)だからヴェじゃなくてべだな。
575:通常の名無しさんの3倍
07/09/13 23:08:10
説明が長すぎ
ブリーフィングの形にして
キャラに説明させる。
最低限の事実のみ書き
図に当たった形にする。
など分散させる手もあります。
詰め過ぎのきらいがありますので打開の一助となればと
576:通常の名無しさんの3倍
07/09/14 00:01:56
乙でした
ガロードの奮戦が楽しみです
577:通常の名無しさんの3倍
07/09/14 19:56:23
一応突っ込むけどルナ・チタニウムだぞ、チタニュウムじゃない
>今回スカイグラスパーはエールパックを装備していた。
>ランチャーパックを抱えたスカイグラスパー
ストライクの間違いじゃね?明らかに後の文章と矛盾している
最大表示だけどやっぱり見づらい、もう少し改稿を何とかしてくれ
今回は楽しめたと思う、前に比べればなかなかのもの
とりあえずもっと読みやすくして欲しいから下記のスレをおいておく、参考にするしないは自由だがね
あとはX本スレを置いておくわ
機動新世紀ガンダムX-45
スレリンク(x3板)
【ドキドキ】新人職人がSSを書いてみる【ハラハラ】7
スレリンク(shar板)
【SS】新シャア板の職人相談室 7部屋目【イラスト】
スレリンク(shar板)
SS職人がコテ・トリを付けたまま雑談するスレ
スレリンク(shar板)
578:通常の名無しさんの3倍
07/09/15 06:07:25
乙~
579:通常の名無しさんの3倍
07/09/18 21:04:02
hosyu
580:通常の名無しさんの3倍
07/09/19 22:32:51
まとめのX-seed◆mGmRyCfjPw氏の第3話をクリックしたら16話に繋がるんだがどうすれば良い?
581:通常の名無しさんの3倍
07/09/20 01:50:16
>>580
修正すれば良い。
582:通常の名無しさんの3倍
07/09/22 22:19:59
保守
583:通常の名無しさんの3倍
07/09/26 06:33:32
保守あげ
584:通常の名無しさんの3倍
07/09/28 21:25:19
保守
585:通常の名無しさんの3倍
07/09/28 22:37:44
ガロinの完結以降、ここも寂しくなったな。
586:通常の名無しさんの3倍
07/09/30 17:18:25
だれか風景画一枚目のURL分からない?
587:通常の名無しさんの3倍
07/09/30 23:18:48
それがどうして必要なのかわからない
588:通常の名無しさんの3倍
07/09/30 23:27:35 qF+IPTqx
わかっている
589:通常の名無しさんの3倍
07/10/01 00:07:29 MREaNRrZ
読みたいからじゃないの?
590:通常の名無しさんの3倍
07/10/01 00:19:18
探してやったぞ
ガロード達が種・種死世界に来たら -風景画1枚目-
スレリンク(shar板)
591:通常の名無しさんの3倍
07/10/01 02:33:32
㌧!!
お前のやさしさに俺が泣いた
592:通常の名無しさんの3倍
07/10/04 23:02:50
もしジャンク屋組合にGXかDXが所属していたらどうなるかな?
593:通常の名無しさんの3倍
07/10/07 11:32:48
保守
594:通常の名無しさんの3倍
07/10/07 16:56:52
>>592
機体だけ・・・ロウorターミナルが解析して和田と隠者がパワーアップ。
サテキャ衛星を開発してラクシズの意のままにならぬ地域にぶち込むように。
ガロファ込み・・・ラクシズに反対して「過ちは繰り返さない!」→DX爆破
て感じになりそう。
595:通常の名無しさんの3倍
07/10/07 20:53:01
普通にジェネシスになるだけだろ、お前馬鹿?
596:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 16:58:29
兄弟スレがいつの間にか落ちていてビックリした。いったいなんで?
597:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:06:15
緊急浮上ついで・・・
598:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:11:23
GX氏がこっちに合流しないかね?これ以上スレ分けてても無駄だろう
落ちたら立て落ちたら立て、このエンドレスワルツだ
599:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:16:00
ワルツは3拍子だぞ?
600:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/08 22:18:22
エー、皆様始めまして(?)
月の公転スレでSS職人やってましたGX1/144です。
私もビックリしたのですが、なんかいつの間にやらスレが落ちてました…orz
以前合流するつもりはないと言いましたが、お願いです。
こ っ ち で 連 載 続 け さ せ て く だ さ い !
つうかあんな話の途中で止めるなんて不完全燃焼過ぎる!
でも皆さんがよければの話ですので、ご検討のほどよろしくお願いしますm(_ _)m
601:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:27:10
>>600
GX1/144氏、こんばんは。いつもお疲れ様です。
個人的には合流は大歓迎です。
X系のクロススレも外部移転やら完結やらで、良くも悪くも落ち着いたので合流しても問題は無いと思います。
それに、かなり初期の頃から読ませていただいていたので、やはり結末は気になりますね。
これからも頑張って下さい。
602:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:27:51
お待ちしておりました、GX氏
むしろこちらから連載してくださいと言いたかったです
コーヒー時代から連載を続けてきたあなたをみんな歓迎すると思います
どうかこの風景画で連載してください、お願いします
603:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:43:03
>>600
続き楽しみにしてますw
604:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 22:55:43
ついに一つとなったXスレ、GX氏の合流とともにこれも置いとこう
過去スレ
種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転3周目
スレリンク(shar板)
種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転2周目
スレリンク(shar板)
種・種死のキャラがX世界に来たら
スレリンク(shar板)
まとめサイト
GX-P 様
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
GX-P 「ディスティニー in A.W.0015」(作者トリップ:◆nru729E2n2)
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
GX-P 「機動新世紀ガンダムXアストレイ」(作者トリップ:◆XGuB22wfJM)
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
605:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 23:21:12
祝! 合流おめでとうございます。
606:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 23:25:04
スレタイどうすんの?
正直前スレに出てた厨くさいのは勘弁してもらいたいが。
607:通常の名無しさんの3倍
07/10/08 23:48:39
カテゴリー○(A~)
608:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/09 00:00:26
スレタイについては…この際風景画のままでいいんじゃないかと10枚目まで来て変えるってのも…
とか何とか言いつつ、さっそくネタ投下。今後は日曜日に投下していきます
第七十話『一体何様のつもりだ!?』(前編)
一瞬静寂に包まれたコックピットに警報が響く。シンはすぐさま操作パネルを叩き、
接近するMSの姿を正面のディスプレイで確認した。
「!!? くそ、こんな時に!?」
「シ、シン?」
「しっかりつかまって! これから少し荒っぽい操作になる!!」
「え、ちょッ、ちょっとぉ!」
サクラの返事を聞く前にシンは機体を反転させ、機体を雲の中へと躍らせた。
「…逃げたか。しかしこの距離で接近に気づくとなると、やはりこちら同様多少の改良を受けていると言うことか…。」
ディスティニーにひそかに近づいていたMSのパイロットは静かに口を開いた。月光に浮かぶ整った顔は
どこかうれしそうで、それでいて表情の裏で静かな炎が燃えている。肩までかかる長い金髪を後にまとめ、
緑色の双眸で前方を見つめながら男はスロットルレバーを押し込んだ。
彼の乗るMSはその指示を待っていたかのように加速を開始する。雲の中を突っ切っていくその中で、
二つのカメラアイがギラギラと獲物を狙う猟犬のそれのように光を放つ。
全身灰色のその機体で、カメラアイの次に目を引くのは背中に取り付けられている大きな円形の物体だった。
その周りにはまるで刃のように八本の突起物が生えており、その姿は戦前の東アジア、それも何百年も前に
描かれた"雷神"の雷太鼓を思わせる。
「逃がしはしない。お前には俺の代わりをやってもらわなければならないからな!!」
「くそ、やっぱり振り切れないか!!」
レーダーで相手の位置を確認しながらシンは舌打ちをする。この機体のスピードには自信があったが、
やはり自分1人の時と他人が同乗している時とでは格段に差が出ていた。
「もう何なのよ、一体!?」
シンがいつもどおりの操縦をできない"原因"が彼にしがみついたまま耳元で叫ぶ。シンからすればそれほど
たいした速度ではないし、Gもほとんどかかっていないのだが、初めてGを体験する彼女にとってはやはり
苦しいものがあるのだろう。
「地上に着くまでもう少し待っててくれ! できれば君を巻き込みたくないんだ!!」
「巻き込むって、一体何があるって言うのよ!?」
未だ状況のつかめていないサクラは苦しそうに声を絞り出す。シートに座っているシンに比べて、彼に
抱えられている彼女は無理な体勢でGを受けているせいか、体を完全に彼に押し付けている。
「戦闘になるかもしれないんだ! 君だって嫌だろ!? そんなのに巻き込まれるのは!? だから君を地上で下ろす!!」
「ち、地上まで後どれくらいなの!?」
「後1分もすれば!」
シートとサクラに挟まれた状態のシンも焦りを感じていた。
今はまだ相手が攻撃をしてこないから良い。もし本当に相手が彼の知る"あいつ"であれば逃げる必要は
無かったかもしれない。だが、彼の知る"あいつ"は今立場上敵になっていることも知っていた。
609:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/09 00:05:06
第七十話『一体何様のつもりだ!?』(中編)
「一刻も早く降ろしてあげないと…!」
以前彼の知るあるパイロットは彼の知人をコックピットに乗せて戦闘し、知人にケガを負わせている。
そんな二の足を踏むのは嫌だったし、もし戦闘になったら彼女は間違いなく彼の操縦を阻害する"お荷物"でしかない。
「ただ星を見にいっただけでなんでこんなことにあるのよ!!?」
「俺にそんなこと聞かないでくれ!!」
地上までの距離はもうわずか。シンは一気に減速し、強い衝撃に耐えながら大きな水しぶきを上げて湖に機体を着水させた。
もうもうと水しぶきが舞い上がる中、シンはコックピットのハッチを開く。
「さぁ早く!!」
「で、でも…!」
「下は水だから落ちても死にはしない! 岸までは自分で泳いでくれ!」
シンに促され、サクラはまだ波しぶきの残る湖に身を躍らせる。泳いで岸まで向かう彼女の姿を確認すると、
シンは険しい表情のまま上空に目を戻した。
「…これからが、本番だ…!」
灰色の雲をバックに円形の物体を背負ったMSが降りてくる。その姿を確認し、シンは通信回線を開いた。
「久しぶりだな…、レイ。」
「ああ。久しぶりだな、シン。」
レイ・ザ・バレル。シンが元いた世界で共に剣を並べた頼りになる仲間であり、新連邦軍で『灰狼の長』と言うあだ名を持つエースである。
「お前、少し髪が伸びたな。」
「そんなことはどうでもいい。髪など長かろうが短かろうが、さして問題ではない。」
以前と変わらない淡々とした口調。士官学校時代から変化のないその様子にシンも真顔で話を続ける。
「で、俺に何か用か? 新連邦の兵士になったお前が、ただ俺と話をするためにここに来たってわけじゃないだろ?」
「俺の任務は、フロスト大佐が逃がしたお前の捜索と、そして抹殺だ。」
レイの言っている内容はシンにとってはとんでもないことである。だが、シンはそれを聞いても驚いた様子を見せなかった。
「そんなことだろうと思った。じゃあこれからお前と戦闘になるわけか?」
「任務に個人的な感情は必要ないからな。だが、俺たちにもいろいろと別の理由がある。」
「別な理由?」
シンも彼の発言に眉をひそめた。レイは淡々と話を続ける。
「この世界は俺たちがいた世界とは明らかに違う。だが議長は、ギルはまだあの計画を諦めたわけではない。」
「! 議長まで着ているのか!?」
ギルバート・デュランダル、プラント最高評議会議長である彼の名前が出るとは思っても見なかった。
シンが知る限り、この世界に来ている人物は彼とキラ・ヤマト、アスラン・ザラ、カガリ・ユラ・アスハ、そして目の前にいるレイ・ザ・バレル。
デュランダル議長がこちらにいると言うことは総勢6名がこの世界に飛ばされてきたことになる。
「ギルはこの世界を見て嘆いていたよ。"この世界は、ディスティニープランを導入しなかった我々の世界の末路だ"とな。
第七次宇宙戦争のおかげで地球はこのざまだ。二度とあの時の悲劇を繰り返さないためにギルは今新連邦にいる。」
「新連邦に?」
610:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/09 00:10:29
第七十話『一体何様のつもりだ!?』(後編)
「シン、今お前のいるべき場所はそちら側ではない。俺と一緒に来い。」
そう言って、レイは自身の乗るZGMF-X666S"レジェンド"の左手を差し出す。手を取れというのだろう。
「議長のプランを実行していくためには、お前の協力が不可欠だ。」
彼は手を取るのを静かに待つ。だが、シンはその手をなかなか取ろうとしない。
「…なぁレイ、いくつか質問させてもらっていいか?」
「? なんだ?」
「レイは、"運命"という言葉をどういう風に解釈してる?」
「"運命"?」
レイはシンの言葉に眉をひそめる。シンがなぜそんな事を聞いてきたのか彼にはその意図する事がわからない。
真剣な表情を浮かべる彼を前にし、レイは考えをめぐらせた。
「…そうだな、"生きとし生けるものすべてが抗うことのできない宿命"といったところか。」
「"生きとし生けるものすべてが抗うことのできない宿命"?」
「そうだ。鳥は当然のように空を飛び、魚は水中を泳ぎまわり、獅子は大地を駆ける。それは生まれ持った宿命であり、
抗うことのできない絶対的な摂理だ。」
鳥には大海を泳ぐヒレを持たず、魚は陸上で生活をする脚を持たず、獅子は空を飛ぶ翼を持たない。
それぞれが自らの生きるフィールドの中で生まれ、成長し、そして死んでゆく。自然界において、今時分のいる世界で
生きる術を知らなければ滅ぶのみである。
「人間とて、自然の摂理から逃れることはできん。各々の場所で各々の能力を生かし、各々の場所でそのすべてを磨いていく。
進化において、それが一番大切なことだ。」
「なるほど、それが議長の言う"ディスティニー・プラン"と言うわけか……。それは、"今まで"やってきた実績とかって加味されるのかな?」
「さてな。だが、たとえ実力でその地位にいるとしても、適性の無い者がその場所にいるべきではない。俺はそう思うがな。」
「…やっぱり俺、一緒に行けない。」
シンの言葉に、レイは表情を変えた。自分と共に戦い、自分と同じ人を慕い、その人の理想を実現させるために戦うと決意した
仲間が、彼を拒絶した。
「シン!?」
「確かに、議長の言っていることは正しいと思う。適性のある人間が適切な場所に配置されるのは至極当然なことだと思う。」
「ならば、なぜお前は俺と一緒にいこうとしない!?」
「やり方が理不尽なんだよ。」
シンはそう吐き捨てた。レイは目に怒りの色を浮かべ、操縦桿を強く握る。
「聞け、シン! 人間は自分がどんな風な適性を持っているか誰も知らずに生きている。それを知れば、人生の中でより多くの
結果を形として残す事ができるんだぞ!?」
「結果がよくなればそれで良いのかよ! まだ何にもやっていない子供だろうが、がんばってもぜんぜん結果を残せてない大人だろうが、
要領よくやって結果を残した大人だろうが、"結果がすべて"なんてことは俺は絶対に認めない!!」
「シン!?」
彫刻のように整った顔が怒りでゆがむ。シンは彼との溝の深まりを感じながら言葉を続けた。
「"適性があるからやらせる"、"適性がないからやらせない"。一体何様のつもりだ!? そんなことで簡単に他人の人生を勝手に強制したり、
一生懸命今までやってきたものを人のものをうばったりしていいわけないだろ!!」
自ら必死になって作り上げたものを奪われた男。一部の人間の理不尽な考え方によって左腕を失った少女。彼らが抱える
暗い過去は壮絶なものばかりでシンにはどんなものか想像がつかない。
一つだけ確かなことは、彼らが体験した過去の中には必ず"彼らが望まなかった未来"があるということだけだった。
「"そんなこと"? 適性の無い者がやれるはずのないことをやって、結果がついてくるとでも言うのか!!」
「結果がついてこなくても、がんばった中で"プラス"になることはある!」
「そんな非効率的で自分勝手なことをやっているから、世界から戦争は無くならんのだ!!」
レジェンドがライフルを構える。シンも火器管制システムを起動させた。
611:GX1/144 ◆nru729E2n2
07/10/09 00:21:05
はい。と言うわけで本日第七十話「一体何様のつもりだ!」お送りしました。
最初に言い忘れた事があったのでちょっとだけ。
今現在、私のSSのほうはX世界に来たシンが主人公やっとりますが、
X世界はX世界でも、ガロード達とは今ちょっとした理由で離れた状態になっております。
その辺の細かな事情はGX-Pのほうにある第六十五話前後から読んでいただけると幸いです。
結局の所オリジナルな話になっているわけですが、賛否両論有ると思いますけれども
その辺は容赦のほどをお願いします。
今回、一度勝手に本スレを離れたにもかかわらず、またこうやって向かいいれていただきありがとうございます。
今後とも頑張っていきますので皆さんよろしくお願いします。m(_ _)m
612:通常の名無しさんの3倍
07/10/09 00:42:02
>>611
ついにレイが出てきたか。
デュランダルまでAWに来ていようとは、正直驚きました。
今後の展開を楽しみにしています。
613:通常の名無しさんの3倍
07/10/09 00:49:37
保守は皆も気にしてるだろうしまあいいやと高を括っていたら…
ともあれこちらで続けられるのならそれはそれでいいか。
添削は荒れる元になるだろうから読者の初心に返って応援続けますね。
614:通常の名無しさんの3倍
07/10/09 14:51:16
おおう 存在すら知らなかった。
今から一話から全部読むぜ!
615:通常の名無しさんの3倍
07/10/09 19:20:55
レジェンドvsディスティニー 本編ではなかった対決カードってのはいいですね。
どちらもAW仕様に改造済みだけどレジェンドはルナチタ製ではないだろうから
耐久力はディスティニーが有利か?
ともあれ続き楽しみにしてますw
616:通常の名無しさんの3倍
07/10/10 09:28:42
新作が始まったし、これからは毎日(土日は半日に1回?)
保守したほうがいいんだろうな
617:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 07:51:18
保守
618:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/12 20:43:08
大分遅れましたが投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十七話「俺たちもいるぜ !! 」
ストライクのコクピット内でキラは、常人には考えられないスピードで手足を動かし、必死に機体を駆っていた。
戦闘は何回か経験済みだという事を考慮しても、それはあくまで宇宙空間内に於いてという条件がついている。
カタパルトから発進するまで、重力がある地表での戦闘がどうなるものかあれやこれやと考えてはいたが、そんな物は全て無駄に終わった。
計算していた以上に機動性が良くないのがそれの代表とも言える。
ムウが発進直後に届けてくれたエールパックにはスラスターが付いていたが、バッテリーの関係上機体をずっと飛ばし続けておく事は出来ない。
だが敵は大多数で攻めて来ているので、ヒットアンドアウェイの要領で応対しなければ直ぐにアークエンジェルは蜂の巣となってしまう。
それが頭の中で分かっているだけにさっさと対処出来ないこのもどかしさは言いようも無かった。
「くっ !! 皆頑張っているっていうのに……僕もやらなくちゃ !!! 」
戦闘が始まって六分。
キラにエールパックを渡したムウはすぐさま母艦に戻り、モーターレースのピット顔負けの速さでランチャーパックを換装して出撃したが、
やはり大量の機体を相手にせねばならない事からか上手く動けないでいる。
ガロードもレーザーライフルで対応しているが、いかんせんブリッツは近接戦に特化しているだけに苦戦しており、
ザフトから来たというカリスという少年も奮戦はしているが、同じ空を飛んでいるムウとの連係という形は少し、いやかなりぎこちない。
キラも不自由する状況の中でビームライフルを使って既に戦闘ヘリを二機ほど墜としてはいたが、焼け石に水もいいところである。
その隙を突いてそれらの後方から大量のMS群がアークエンジェルに取り付き始める。
「させるかっ !! 」
キラは身近にいたジンオーカーにライフルの狙いを定めトリガーを引く。
しかし相手はそれを鮮やかに避け、逆に極超高初速ライフルを撃ってくる。
とはいえフェイズシフト装甲が施されているストライクには実体弾は効果が無い。
無論、当たり続けていればあっという間にダウンを迎えるものだが。
その時になってやっと機体の調整が終わる。
レバーやペダルを使っての一挙手一投足が確実に反応するのは僅かばかりの安堵を齎した。
その時前方から強力な衝撃が襲ってきた。
撃ってきたのはザウート。敵は二手に別れ、アークエンジェルとMSを迎撃する組に分かれたらしく、正面から来た時の半数の機体がキラに攻撃の牙を向ける。
「アークエンジェルは、沈めさせはしないッ !!! 」
その次の瞬間、急激に視界がクリアになる。
まるで脳内の神経回路が戦闘という行為に対し能率的な行動をとる為に置き換わったかのようだった。
と同時に、大量の弾丸がストライクに厚すぎる弾幕となって襲い掛かる。
だがキラはそれを無言で一睨みし、上に向かってバーニアを吹かして上空に舞い上がると同時にペダルを踏んでザウートが場所をとっている右方向に突っ込む。
それまで鈍重にしか動いておらず、まともな反攻も見せていなかったストライクが急に目の冷める様な動きをとった事に、ザウートのパイロットは一瞬戸惑い動きを止めるがそれが命取りとなった。
キラはその機を逃さず、即座にコクピットをターゲットロックしライフルを撃ち込む。
光の槍に貫かれたザウートは一瞬機体をスパークさせた後爆散した。
敵のMSはストライクの機動の変わりように警戒したのか、一旦散開しフォーメーションを組みなおそうとする。
だがそういった瞬間もキラは見逃さない。
粉塵と爆煙の中から姿を現したストライクは次に近い位置にいたジンオーカーに向けてロックを定める。
しかし相手も軍人だけに戦闘に関しては相当な手練の様で、次々に素早く位置を変えながらライフルを撃ってくる。
それも撃ちっ放しなど野暮な事はせずに何十発かずつ区切りながら。
619:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/12 20:45:04
更に側面から撃墜されたザウートの敵といわんばかりに別のザウートが4門のキャノン砲を銃身が焼けつかんばかりに撃ってくる。
キラはそれらの何発かに当たりながらも相手二機のスピードと動き方を分析し頭の中で自分の力とそれを秤にかける。
弾き出された答えは……遅い。
ジンオーカーは通常のジンと違ってバーニアが無い事、ザウートはそれをやや下回るスピードで動いていた事がその結果に繋がっていた。
その時ジンオーカーは弾切れを起こしたらしく、ライフルを捨て重斬斧を構えてストライクに襲い掛かる。
キラはザウートの放つ砲弾を極力かわしつつ接近し、残り数10mというところでバーニアを吹かす。
相手は止めと言わんばかりに重斬斧をストライクのコクピット付近に向け振り下ろすものの、ストライクはその直前に姿勢を滑空出来得る極限にまで下げ、
構えたビームサーベルを敵機のコクピットへ下から上に斬りつける。
ジンオーカーは真っ二つに破断され爆発するが、ストライクはそれには目もくれず直ぐに右手にビームライフルを構え、側面にいたザウートに向けて数発撃つ。
始めはキャタピラを駆使し上手く避けていたザウートだが、徐々にそれが追いつかなくなり7発目で遂に爆散した。
だが新たに三機のジンオーカーがストライクの死角となる場所からフォーメーションを組んで集中的に攻撃を仕掛けてくる。
キラは銃弾を避けながらとにかくMSの移動の要の脚部か、悪くてメインカメラのある頭部を打ち抜こうとライフルを構える。
が、次の瞬間通信機から割れんばかりの大声が聞こえてきた。
「キラ !! そこを退いてくれぇっ !!! 」
その声にキラは反射的に反応し、アークエンジェルの船体の陰へと移った。
ストライクのメインカメラはジンオーカーを追う様にしていたが、それらの機体は後方から来た貫通弾によって一機が破壊される。
ガロードだった。
バーニアを最大に吹かし、ランサーダートで敵機の内一体をしとめたのだ。
「おっしゃあ !! これでイーブンってやつ ? 」
ガロードの快活な声が響くが敵はそんな事などお構い無しに一機ずつ銃撃を行う。
「キラ ! 俺は左の奴、お前は右の奴を頼む。」
「分かった !! 」
620:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/12 20:47:33
戦術的に二対二ならインチキではないだろうと踏んだガロード。
攻盾システムからビームサーベルを繰り出し、前方に向かって猛然とダッシュする。
キラもまた船影から身を躍らせビームサーベルを構えて突進する。
ジンオーカーのパイロットはフェイズシフトシステムの事は知らないのか、出来るだけ移動を繰り返しながらライフルを撃ち続けるが、彼らにとってモニターが死んだであろうその時決着はついた。
ガロードは相手機を袈裟切り、キラは先程と同じ切り結び方でしとめる。
お互いに息を合わせたかのような一撃には少しの無駄も無かった。
だが、今度は上空から後方より合流したディンとジンがアークエンジェルに向けて一斉砲撃を行い始める。
また、残されたジンオーカーが地上戦に特化されたバクゥと再度編隊を組みなおしてアークエンジェルの右翼側から攻めてくる。
あまりの状況にキラは低く呻いてしまう。
「ちぃっ !! ……これ以上ダメージを受け続けたらマズいっていうのに !! 」
『落ち着きな ! 俺達もいるぜ !! 』
と、再び通信機から入る頼もしい大人の風格あるムウの声。
それと同時に戦闘ヘリの一つが、スカイグラスパーから放たれたガンランチャーをまともに喰らい、唐突に火を噴出し空中で四散する。
他機は空中で散開し攻撃をやり過ごそうとするものの、その後方から突然現れたベルティゴのマシンキャノンによって次々に屠られていった。
『空は僕達がカバーします !! 』
カリスが少々荒い息を混じらせてムウに追随するように言う。
『お前一人で戦ってるわけじゃあねえんだぜ ? さあ、皆で協力して早いトコ終わらせちまおうぜ !! 』
最後に聞こえてきたのはガロード。
丁度、こちらに向けて始めに撃ってきたザウートをランサーダートでしとめていた。
そうだった。次々に襲い掛かってくる敵との戦闘に必死になってキラはすっかり忘れていた。
頼もしい味方……背中を預けて戦う事の出来る仲間がいる事を。
その時、地を震わす轟音が辺りに轟く。
相手と対峙した状態で睨み合っていた四人ははっと息を飲む。
敵の攻撃が遂にアークエンジェルの機関部を捉えたのか、左舷後方部から赤々と燃え盛る炎と黒煙があがっていた。
次いで同じく左舷側のゴッドフリートも被弾し、爆発に因る大音響が周囲に木霊する。
『って、カッコつけてる場合でもねえか…… ! 俺は連中の近くまで行ってビームサーベルで切りこみをやる。墜としきれなかった機体はそっちがビームライフルで対処してくれねえか ?! 』
「分かった !! 」
その返事を聞くや否やガロードはバーニアを全開にし、驚くべき敏捷さを見せるバクゥの群れの中に突っ込んで行った。
621:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/12 20:49:02
「エンジン被弾 !! 48から55ブロック、125ブロックから144ブロックまで隔壁閉鎖 !! 」
「1番、5番、6番イーゲルシュテルン被弾 !! ゴッドフリート1番、バリアント1番沈黙 ! 艦の損害率、30パーセントを突破します !! 」
「推力……50パーセントに低下 !! 高度維持できませんッ !!! 」
戦闘が始まって十分近くが経とうとしている。
アークエンジェルの艦橋では矢継ぎ早に絶望的な報告がなされ、あちこちのコンソールからはワーニングランプが引っ切り無しに明滅していた。
悲鳴にも程近いその声は、敵がじっくりと大天使を空から引き摺り下ろし完膚なきまでに叩きのめすまでの質の悪いカウントダウンのようにも聞こえてくる。
「生きている火器は全て敵機の迎撃に合わせろ ! ヘルダート、スレッジハマー装填 ! 撃ぇーッ !!! 」
ナタルがブリッジクルーの不安を打ち消すように叫ぶ。
だが、マリューにはその言葉の端々に見られる本人の焦りがはっきりと読み取れた。
メインモニターにはミサイルに気づくのに遅れたヘリが一機回避出来ず着弾する様子が映し出される。
だがまだ敵はヘリが計7機、MSが半数近く残っている。
出撃している者達が確実に敵機を迎撃している事は間違い無い。
マリューもその点に関しては彼等の尽力ぶりを良く分かっているつもりだ。
だが決着を早めにつけなければ、敵陣であるこの場で身動きが出来なくなる等の取り返しのつかない事態に陥ってしまう。
完全撃破などという贅沢は言わない。せめて撤退させるだけでもこの状況なら上出来だ。
その時、ディンの放った対空ミサイルが残っていたイーゲルシュテルンを襲う。
至近距離で爆発が起こった為に艦橋が衝撃でビリビリと震えた。
「イーゲルシュテルン被弾 !! 完全に沈黙 !! 」
「何ですって ?!! 」
チャンドラの報告にマリューは思わず唇を噛んでしまう。
頼みの綱とも言えるメインの火器はもう右舷側にしか残っていない。
致命的なダメージを与えたディンはベルティゴの放ったビームライフルを胸部に二発喰らって爆散するものの、
更にアークエンジェルの死角から別のディンが二機、艦前方部に躍り出て再び対空ミサイルを放つ。
「ミサイル、来ます !! 」
「回避ーっ !! 」
だがノイマンの必死の操縦を嘲笑するかのようにミサイルは両舷蹄部で炸裂する。
「両舷フライトデッキ、被弾ッ !! 」
再びチャンドラの報告が入る。
彼もナタルと同じ様に冷静でいるよう努めようとして……失敗していた。
「高度現在5m !! 両舷バランス、著しく不安定です !! 」
敵の攻撃をかわしつつも、高度計から地面すれすれを航行している事に気づいたノイマンが警告する。
「艦長 !! この陣容では対処しきれませんよ !! 」
パルがマリューの方をちらと見やり抗議するかのような口調で叫ぶ。
言われなくても…… ! と怒鳴りつけようとしてマリューはそれを必死で抑えた。
だが戦闘が始まってから今この時までそれを通し続け、やっと相手の戦力の三分の一ほどを削ぐほどに至ったのだ。
今更文句を言ったとて始まるまい。
すると、丘陵地帯の向こうから敵の戦艦が二隻のっそりとした動きで現れる。
恐らく王手(チェック)は近いと踏んで自ら出てきたのであろう。
モニターに映し出される相手の巨体にとめどない恐怖感がブリッジクルーを襲う。
マリューは思う。長い死闘はまだ続くのだと。
622:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/12 20:52:26
投下終了します。以前前後編になるかもと言っていましたが三部構成になってしまいましてすみません。
あと二十七話ってなってますけど二十八話でした。すみません。
チラ裏ですが最近00も始まって皆さんの話題も尽きないと思います。
それではまた後程。
623:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 21:48:51
投下乙、まあ今回は普通に読めたね
続きは期待しないでまってるから
>>606-608
・そのまま風景画11枚目
・GX氏が合流したので月の公転4週目
・あるいはコーヒー1杯目
・X的にサテライトキャノン1発目
・カテゴリーF1人目
とか考えりゃあるだろーけど
「ガロード達が種・種死世界に来たら」をまず変えなきゃいかんと思うんだがどうよ?
624:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 21:50:56
キラが仲間が居ることでだいぶ安定しているのが良いですね。
アークエンジェル大ピンチですけど。
ただ細かい誤字や
エールストライカーって推進剤で飛ばしてるだろうしバッテリー関係ないんじゃ?
等、気になるところも多々ありました。
625:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 21:52:17
>>623
「ガンダムXと種・種死のクロスSSスレ」とか?
626:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 21:54:30
>>623
機動新世紀ガンダムSEEDとか?
627:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 22:05:52
そんなかんじってゆうかなんとゆうか
GX氏が合流してくれたからスレタイを変えた方がいいと思ったんだよ
流石に
Xキャラと種キャラがコラボしました
とかは不味いと思うけど
628:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 22:10:04
AWとCEの人間が出会ったら見たいな感じかな?
それとももっと話を広げて、ガンダムXのクロスオーバー全般みたいにして、UCや他のガンダムも取り入れてみるとか?
629:通常の名無しさんの3倍
07/10/12 22:17:14
そういうのは旧板にいくつもあるから
どれもほのぼの路線だったり、シュールなギャグ路線だったりするが
630:通常の名無しさんの3倍
07/10/13 02:15:34
日登町が懐かしいぜ…
631: ◆L1QckJlrlM
07/10/13 05:02:16
皆様お久しぶりです
新たなる道の作者です。
前回投稿の次の日にサブを含めパソコンがクラッシュ、
ネットに繋ぐのに2ヶ月ほど掛かりました
現在内容を思い出してやっているのですが、
まとめサイトのほうが途中で切れていているのですが…
誰かあの切れている部分を持っている方はいないでしょうか?
あ、今ようやくトラとガロの2対2を書いています
投稿は…最悪でも今月中には…
それではよろしくお願いします
632:通常の名無しさんの3倍
07/10/13 09:13:56
投下のペースは気にしなくても良いよ、あんたのSSはおれ好きだからがんばって
後はフロスト兄弟のSSと保守作品(GX-ASTRAY)かな?
>>628-630
てかその話題後日談スレでもやってるんだけどな、あそこでラン家スレネタもやればいいだろとか思ったけど
あとスレタイは容量かレスがやばいときにまた考えよう、公転スレで無駄なレスのつけあいになったから
しかし・・・GX氏が日曜日に投下するがWスレのようにならないように気をつけなければな
633:通常の名無しさんの3倍
07/10/13 21:36:23
OOのOPに出てるティファの育ったの誰?刹那とガロティファやってるの
634:通常の名無しさんの3倍
07/10/14 19:00:32
>>633
マリナだろ?てか公式サイトぐらい見ておけよ
>>627
ウッソスレがあるんだし「Xキャラが種キャラと出会ったら」なり
「ガロード達がキラ達と出会ったら」でもいいんじゃない?
サブタイにあたる風景画は別に考えて
635:通常の名無しさんの3倍
07/10/14 21:08:51
>>634
「が」と「と」を逆にした方がいいな、それだと「ガロード達が種・種死世界に来たら」と同じで意味がない
「Xキャラと種キャラが出会ったら」か「ガロード達とキラ達が出会ったら」ならどちらの世界にいてもおかしくないし
636:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 00:52:50
>>635
添削の人ですか?
どこで会ったか限定されるわけじゃなし、Xキャラメインになるなら
「ガロード達がキラ達と」のほうがなんとなくいいと思うけど……
ってか正直どっちでも(ry
637:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 01:51:38
正直どっちでも(ryではあるのだが
別にXキャラメインとは限らないんだぜ
というかXキャラに触れることによって種キャラがうんたらすんたらどうたらこうたらで
その辺にカタルシスを感じるわけなのでむしろメインは種・種死キャラじゃね
638:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 02:05:58
確かにどっちメインかはSS次第か。
639:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 11:53:31
「キラ達」という表現には引っ掛かりしか感じないので「種・種死キャラ達」にしてくれ
640:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 13:02:31
AWとCEが出会ったら
でいいよもう。
641:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 13:29:29
>>636
俺は添削の人じゃないが彼がやらないならやってみようかと考えてる
今は亡き向上スレの叩き男氏や新人スレの批評家に比べれば拙いものだがね
まあやるにしても誤字脱字を指摘するぐらいだが
で、スレタイの話だが今のままじゃCEにXキャラがきたらってSSしか書けない訳だ
しかしGX氏が合流したからスレタイを変えないかって話になったんだろ?
俺が言いたいのはガロード達(Xキャラ、もしくはキラ達)がの場合だとガロード(キラ)達がメインになってしまうから
ガロード達、ないしキラ達とガロード達が出会ったらなら問題ないんじゃないかって言ってるだけだ
微妙なニュアンスで説明不足だったから申し訳ないとしかいえんな
642:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 13:40:21
>>639
種死って言うのは語呂が悪いし種キャラで十分じゃね?
>>640
よけい意味がわからねーよ
てか一時中断しようぜこの話題、この空気じゃSSの投下もできないぞ
643:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 13:52:04
ガンダムXと種・種死のクロスSSスレ
機動新世紀ガンダムSEED
Xキャラと種キャラがコラボしました
AWとCEの人間が出会ったら
Xキャラと種キャラが出会ったら
ガロード達とキラ達が出会ったら
ガロード達と種キャラ達が出会ったら
AWとCEが出会ったら
今のところスレタイの候補はこのぐらいか
この中から職人さん達に選んでもらったら?
あるいはスレを立てる人に任せるとか
しかしいい加減この話題飽きたな
644:通常の名無しさんの3倍
07/10/15 14:05:29
X本スレで曹操ガンダムが良いとか言ってた
三国志好きだから三国伝見てみようかな
645:通常の名無しさんの3倍
07/10/16 22:24:43
ガンダムVSガンダムか・・・
646:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/17 03:57:40
投下します。間をかなり開けてしまい済みません。
機動戦士ガンダムXSEED 第三十話「お疲れ様。」
ガロードはトリケロスからビームサーベルを繰り出し、バクゥを切りつけにかかる。
「おりゃああああっ !!! 」
前の右足をもらおうと切りつけると、案の定敵機は一歩引いた姿勢でそれを避ける。
その次の出方は……既に掴んでいた。
バクゥは足をキャタピラに変形させ更に後方に下がって距離を取った後レールガンを発射する態勢に移る。
だがそれは火を噴く事は無い。
ガロードがブリッツの姿勢を下げ、思いっきり前に踏み込みバクゥの様に出来るだけ高速で撹乱する様に移動しながら接近し、目標としていた右の前足を刎ね飛ばしたからである。
正直な話、そこまでコクピットを集中的に狙う必要性はそこまでない。
寧ろ足の一本でも切り落とすか圧し折るかしてやれば機動性に相当な枷が出ると踏んでいたからだ。
それに獣の様な姿で右へ左へと飛び回る動きは、目が慣れてくると案外掴みやすいものとなった。
ザフトの軍人は『このMSに乗った時はこのように動かなくてはならない。』というのを地でいっているのがよく分かるきっかけともなったが。
しかし相手もなかなかにしてしぶとい。
残された足を必死に動かして地面を這いずり、ブリッツに再び狙いを定めようとする。
だがその様子に気づいたキラが後方からビームライフルで上手く撃ち抜いた。
腹部が貫かれたバクゥはその場で一瞬スパークし、爆発する。
そのキラも別の二機のバクゥにとりつかれだしたので身動きが上手く取れなくなった。
その様子はまるでうっかり野犬の群れに襲われだした新米兵といった感じだ。
ガロードはストライクの援護に行きたかったが、あっという間に両側からサブフライトシステムをやられ地上に降りたジンが二機同時に迫ってくる。
先ず左側の一機に向かってグレイプニールを放った。
クローが相手機の頭部を吹き飛ばし、その場に硬直したのと同時に右側の機体は反対側の味方機に当たらぬよう位置を変えて射撃を始める。
クローを戻してその方向を向いたブリッツは直ぐに猛然と走り出す。
そしてトリケロスからビームサーベルを出し、必死に動きで惑わそうとする相手の右腕を切り落す。
そして仕上げとばかりに、ほぼ零距離から上下半身の境目辺りにグレイプニールを撃ちこんで相手機を沈黙させた。
これで前方から来たジンオーカーと後方から来たジンは全て屠った事になる。
そして目的の物……射撃の出来る飛び道具、重突撃機銃も手に入れる事が出来た。
レーザー砲から出されるレーザー波は確かに空気中では見えないが、その波が拡散して味方に当たりでもしたら洒落にもならない。
尤も、右腕に持つのは最初から無理だとして左手に持つとしても、グレイプニールが邪魔にならないか心配だったが。
ふとメインカメラを少し離れた場所にやると、二隻のピートリー級の戦艦が出撃した直後の時よりかなり突出していた。
それぞれは単装砲と連装広角砲の合計9門を絶え間なく撃ち、既に傷だらけのアークエンジェルに更に新たな傷を作っていく。
647:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/17 03:59:31
再びモニターを元の位置に戻すと、今度はキラの相手をしていた一機のバクゥが、骨のある相手を見つけたとばかりにこちらに向かって突っ込んできた。
また少し離れたアークエンジェル側からも最後に残されたザウートが駆動系の限界を無視したかのような動きで向かってくる。
ガロードはジンの落とした重突撃機銃を左手に持ち、バクゥにその狙いを定めて思いっきり引き金を引く。
しかし標的は左右に上手く避けながらこちらにミサイルを乱れ撃ちしてくる。
ガロードはここまでにザウートは動きが遅いというのを、キラが戦っていた時に一種の見方として出していた。
そこで、先ず動きの速い相手を優先的にしとめるべくバクゥの方向に時計回りに回り込むようにして接近する。
そしてバクゥとすれ違う一瞬に残された一本のランサーダートをそのボディの首筋付近に撃ちこむ。
流石の威力にバクゥは頭部と胴体部が完全に分離し、胴体部は轟音と共に四散する。
そして火の粉混じりに立ち昇る爆煙の脇からあのザウートが出て来る。
今度はこの重突撃機銃でもどうにかなるだろうと思ったガロードは、相手に狙ってトリガーを引く。
しかし、敵機は当たりそうになる寸前でタンク形態となって回避し、弾丸は虚空を空しく薙いでいく。
次に角度や方向を様々な物にして撃ってみるが、上手く当たらない。
当たったとしてもボディの、それも活動には何の支障もなさそうな場所を掠めていく程度だ。
お返しとばかりにザウートが、両肩合計4門のキャノン砲を殆ど一発の無駄も無くブリッツに発射する。
その命中精度と動きからガロードは被弾しながらも気づく。
乗っているのはかなり戦闘慣れしたプロなのだと。
それの更なる証拠にMS形態の時は鈍重極まりない動きだというのが分かっているのか、殆どがタンク形態での攻撃に絞られていた。
また格闘攻撃を持たないが為に迂闊に近づくといった動作もしない。
なら、そういう人間が出くわした事の無いような戦法を取って対処すればいい。
とは言ってもそうそう簡単にそんな戦法が思いつくわけではないが。
そんな時、ブリッツのメインモニター隅に先程の爆発で吹き飛ばされたバクゥの頭部がちらと映った。
これを使えば、或いは…… ?
その時止めといわんばかりにザウートが全ての砲を撃ってくる。
ブリッツは右方向に前転しながらグレイプニールを開き煙に紛れながら相手に分からぬようバクゥの頭部を掴む。
中距離以上を保ちながら戦っている相手には接近戦を持ちかけるしかないし、意表をつく手段としてはこれぐらいしか無い。
機体にキャノン砲や副砲の弾が度々直撃するのも構わず、ガロードはブリッツのバーニアを吹かし敵機に接近する。
「こいつを喰らってみやがれええっっ !!! 」
互いの距離が20m程をきった時、ガロードはグレイプニールを相手の真正面に撃ちこみ、勢いを付けた状態でバクゥの頭部を相手のメインカメラの辺りに叩きつける。
接近戦を挑んでくると思い込んでいた相手は、いきなり正面に有り得ない物を映し出されたせいか一瞬動きを硬直させる。
その次の瞬間には大質量に因る攻撃の為、ザウートの頭部は大きく拉げスパークを繰り返す回線が機体との間に見え隠れしていた。
その機を逃さずガロードはザウートの前部を踏み台にしながら前転し、空中ですれ違い様にビームサーベルの付け根をその回線の集中している所に零距離で当てスイッチをオンにする。
ザウートは凄まじい音をあげ爆発し、ブリッツはその衝撃の為に上手く着地できずごろごろと転げる。
648:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/17 04:00:40
ザウートも、ジンオーカーも、空中を飛んでいたジンも全機連係プレーで墜としきった。
後はキラの援護に回らなくては…… !!
だがその時遂に恐れていた事が起こった。
けたたましい警告音がコクピットに鳴り響き、ブリッツのフェイズシフトがダウンしたのだ。
また時をほぼ同じくしてアークエンジェルも機関部とバランサーが持たなくなったのか、地表に力尽きたかのごとく機体が落ちた。
空中の様子は最早飛んでいる戦闘ヘリと戦闘機はムウとカリスを除けば残り一機になっている。
ガロードは再び右手で重突撃機銃を握りキラの方向へと走る。
キラは丁度その時ビームサーベルをバクゥの頭部に突き刺し、止めとばかりにその胴体にビームライフルを撃って二機目をしとめていた。
だがそこに生まれた一瞬の隙を突いて残された最後のバクゥが、ストライクの死角を突いて突進してくる。
ガロードはブリッツを走らせながら大急ぎで機銃を構えバクゥに向かって撃った。
弾丸はレールガン発射機の付け根を捉えそれと機体とを分けるには至ったが、機体自体を捉える事はなかった。
後方からの攻撃にバクゥはその方向に向かって猛然と走り出す。
ガロードは再び機銃を撃とうと試みたが、最悪な事にトリガーを引いても何の反応もない。
機銃は既に弾を切らしてしまっていたのだ。
「ガロード !!! 」
ブリッツのフェイズシフトが落ちている事に気が付いたキラの大声がガロードの耳に入ってくる。
敵機はどんどん近づいてくる。
その時、モニターに戦闘の最初の段階でジンオーカーをしとめた際に使ったランサーダートの一本が映った。
ブリッツはバクゥの方向に向かって用の為さなくなった機銃を残された力で放り投げ、よろめくような姿勢でその一本を掴みにかかる。
バクゥはその鼻っ面に思いっきり機銃を当てられたせいか、その場で数秒硬直してしまう。
その数秒だけでも十分と言えた。
「うおおおっっっ !!! 」
ガロードが発する、あらん限りの声がその場に響き渡る。
槍の如きランサーダートの一本はその数秒の間にバクゥの機体をメインカメラから首の付け根までの間をあっという間に突き抜けた。
相手機は機体全体からスパークを起こしながらその場にドテッと倒れこみ、次いで強烈な爆発を起こす。
その炎と衝撃は自分を沈めた事への最後の足掻きの如く、直ぐ側にいたブリッツを巻き込んだ。
「ぐああぁぁっ !!! 」
コクピットの中でむち打ちを起こしかねない衝撃に襲われたガロードが呻く。
更に機体は激しく地面に叩きつけられ、ブリッツは後背部のバーニアを大きく破損してしまう。
だが遂に最後のバクゥも沈んだ。
ノイズと砂嵐混じりのブリッツのモニターが映す空を仰げば敵機は一機もいなかったが、やはり機体のあちこちに損傷を負ったスカイグラスパーと、
実体弾の爆発に因る煤で黒ずんだベルティゴが滞空していた。
肝心の敵戦艦は全てのMSと戦闘機、戦闘ヘリが墜とされた事から、砲撃は一種の小康状態となっていた。
「……終わった……のか ? 」
苛烈極まりない戦闘が一時的にせよ終わった事に因る安堵感からか心なしか口にする言葉が震える。
終わったとそう信じたい。
だがそうとは思えていない者が一人いた。
649:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/17 04:01:44
キラの頭の中は戦闘に関すること以外は相変わらず穏やかで静まり返っていた。
フェイズシフトダウンしたブリッツの事は気がかりになってはいたが、それ以上に敵戦艦の動きが気になる。
断続的に続いている砲撃は見過ごせた物ではないからだ。
最早ほぼ全ての火器が使用不能になっているアークエンジェルがこれ以上砲撃を受ければ確実に沈む。
次に何をするべきか……決心したキラは二隻の敵戦艦を凄惨な目つきで睨みつける。
そして未だ黒煙を上げ続けているバクゥの残骸から、真っ黒に変色したランサーダートの一本を左手に持ち、バーニアを吹かして敵戦艦に向かった。
通信機からはマリュー、ナタル、ガロード、ムウの声が混線している様にごちゃごちゃになって聞こえてくる。
しかし誰の言葉もキラの耳には入って来なかった。
絶対に守ってみせる……沈めさせるものか……沈められてたまるか…… !!
キラの心ではその言葉が輪の様に何度も何度もやって来ていた。
アークエンジェルに向けられていた砲門が直ぐに自分を捕捉し砲撃を開始する。
しかし、小回りの効くMS専用に作られた代物ではないが故に弾は易々と避けられてしまう。
ストライクは左腕を大きく振りかぶってランサーダートを投擲する姿勢に入る。
狙う場所はたった一箇所……艦橋(ブリッジ)。
だが左腕でそんな所にこれを刺す事など出来るだろうか。
相手との距離がおおよそ100mをきった所でキラはつい自問してしまう。
やるしかないだろ !! でなきゃ皆が死んでしまう !!
ブリッツはフェイズシフトダウンして、且つあの爆発のせいで損傷したからかまともに動く事は出来ていない。
スカイグラスパーもエネルギー切れが近いし、ザフトから来た少年の乗っているあの白い機体も殆ど満身創痍の様なものだ。
アークエンジェルはこれまでの攻撃で全ての火器が死んだし、あの損害状況であと10発でも攻撃を喰らったら轟沈してしまう !!
キラはそれ以外もう何も考えなかった。
そして直ぐにランサーダートが確実に命中するであろう距離に達した。
だが何とも間の悪い事に、そこでキラのストライクもまたフェイズシフトもダウンした。
と言ってもこの距離では最早選択の余地等有りはしない。
「いっけえええぇぇっっ !!! 」
ストライクが放ったランサーダートは、風を切り鋭い矢となって艦橋へ鈍い音と共に突き刺さった。
次の瞬間艦橋が閃光に飲み込まれ、艦の上方部を中心として爆発が起きた。
しかし更に惰性ともいえる力でアークエンジェル側に進もうとする戦艦に対し、キラはそれだけでは済ませようとはしない。
炎が赤々と燃え上がるその場所に向かって弾が尽きんばかりの勢いでイーゲルシュテルンを叩き込む。
その結果、艦全体に大規模な誘爆が引き起こされ、忽ち砲台やMS発進口から勢い良く紅蓮の炎が吹き上がった。
そして遂に機関部にそれが到達したのか戦艦はやっとその場で停止する。
650:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/17 04:04:47
キラは自機のフェイズシフトダウンの事も忘れて、次の獲物はお前かとばかりにもう一隻の戦艦の方に目をやる。
しかしそこにあったのは、こちらに向けて砲を構える戦艦の姿ではなく全速で撤退していく戦艦だった。
距離にして3~400m程離れているが狙えないという距離ではない。
キラは尚もイーゲルシュテルンで相手の機関部を狙おうとしたが、その時に通信機からアークエンジェルの艦橋にいるマリューから通信が入る。
「キラ君、戻って !! 敵は撤退し始めているわ ! 深追いする必要は無いのよ !!
それに、フェイズシフトがダウンして、イーゲルシュテルンしか使えない今の状況じゃどうにもしようが出来ないわ ! 」
その声が聞こえてからキラははっとした。
どこか遠くへ追いやっていた意識が急激に自分の方に向かって引き戻されたかのような感覚だった。
周囲に散らばったMSの残骸、自分の今目の前で原形を残しながらも黒煙と真っ赤な炎をあげて燃え盛る戦艦。
これを自分がやったというのだろうか ?
息はやけに荒っぽくなって視界も一瞬ぐゎら二重三重にぶれる。
体のあちこちからも汗が吹き出し、いやにパイロットスーツがじっとりとした感触を持ってもいた。
「損害は大きかったけどアークエンジェルは何とか持ち堪えたわ。お疲れ様。他の皆は回収したから貴方も早く帰投してちょうだい。」
マリューのその声がやけに心地よくキラの耳に入ってくる。
そしてその先は……何も聞こえなかった。
651:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/17 04:12:29
投下終了します。戦闘、ムウ兄さんやカリスの描写が上手くなかったかなあと思っていたり。
次回はメイン:艦内点景、サブ:虎とレジスタンス、そしてあるキャラの登場っぽいものをやろうかと思っています。
それではまた後程。
652:通常の名無しさんの3倍
07/10/17 17:20:21
乙でした
キラの方が活躍してるけど、どうしてもガロードを応援してしまうw
あるキャラに期待
653:通常の名無しさんの3倍
07/10/19 22:35:14
サントラにガロードとティファのキャラソンが収録されてた・・・
654:通常の名無しさんの3倍
07/10/19 23:26:57
あれOPやEDがフルバージョンで入ってるんでお買い得感があるんだよなぁ
655:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/22 17:42:33
保守ついでに投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第三十一話「戦います。」
キラが次に目を覚ましたのは医務室のベッドの上だった。
目を動かすと、室内には今のところ一応アークエンジェル専属の医師となったテクス以外他に誰も見当たらない。
目覚めると同時にキラの脳裏に様々な事が去来してくる。
ガロードやムウさん、艦の皆は無事なのだろうか、アークエンジェルはどれほど損傷を負っているのだろうか、そしてザフト側から来たと言うあの少年は…… ?
不意に、キラの目覚めに気づいたのか、テクスは書き物の手を止める事無く話しかけてきた。
「目は覚めたかい ? 」
「はい……」
あれ、おかしいじゃないか。
自分はストライクに乗っていた訳で……ラミアス艦長が帰投を命じたからアークエンジェルへと向かおうかとしていた訳で……
じゃあ何故自分はこんな所で横になってるんだ ?
その答えはテクスの方から告げられる。
「君はラミアス艦長が帰投命令を出した直後にその場に倒れた。助けに行ったのは機体の応急処置を済ませたガロードでね。」
そうだったんですか、とキラは小さく呟き視線を天井へと戻す。
後でガロードにあったらお礼を言わなくちゃと思った時、体の節々に疼痛がやって来る。
機体を素早く効率的に操る為に、体も恐らく相当な無理をしていたのだろう。
衣擦れの音と小さな呻き声を聞いたテクスは、特に口調を変えるでも無く淡々と続ける。
「ガロードの方はあれでしぶとい所もあるし、君に比べると体もそんなに悲鳴をあげる様な状態じゃなかったが君の方はまだ動かない方が良い。
今日一日は安静にして動くのはそれからにしても遅くはないはずだ。」
それから彼はやれやれといった感じで上に向かって大きく背伸びをし、首を二、三回横に振る。
無理もない。戦闘で多くの重軽傷者が出た為に、テクス自身にも目の回る様な忙しさに振り回される思いがあったからだ。
そんな彼から目線を少しずらしキラは訥々と語りだす。
「先生。僕……この戦闘でやっと決心がつきました。……戦います。」
やや間が有ってからテクスは書き物の腕を止め、キラの方に体を向ける。
「……何と戦うんだね ? 」
「僕の友達を、いえ、僕にとって身近な人達を死なせようとする敵からです。」
「その敵という一つの括りの中に君の昔の友人が含まれているが、それに関して君自身はどう捉えている ? 」
その言葉を聞いて半瞬体が硬直してしまうが構わずに続けた。
「その事はもう諦めました。前にも言いましたけど、アスランが捕虜になっていた時に物凄い剣幕で色々言われましたから……もう何か考えたりして後れは取りません。
そんな事をしていたら自分は勿論皆まで死んでしまう事になります。もう誰も死なせはしません。」
言い終えてからキラの心に何かすっとする物があった。
そうだ……自分は遂に言いきった。後は言葉の通りの事を実行すればいい。
そんなキラの心境を見透かしたかのようにテクスは短くこう告げる。
「すっとしているところで水を差すようだが、言葉には常に何らかの責任という物が付いてまわるものだ。
ここには艦長も君の友人もいないが君がそう言った以上そういう風に行動しなければならない。常にね。……綸言汗の如しとはよく言ったものだな。」
「あのう……綸言汗の如しって何ですか ? 」
「一度口から出てしまった事は取り消したり無かった事にしたりする事が出来ないという事さ。
……ま、良い言葉かなと思ったら心の片隅にでもピンで留めておいて損は無いと思うがな。さ、気分が落ち着いたらもう一眠りした方が良い。」
言われてキラは視線を再び天井へと戻す。
目を閉じる前に言われた事を自分の頭の中で繰り返してみる。
言葉には常に何らかの責任という物が付いてまわるもの……
自分の選び取った道が如何に茨の道となるかを自覚しながらキラは眠った。
656:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/22 17:43:44
「それで……君もガロード君達と同じ世界から来たのですね ? 」
「はい。」
事情聴取が行われている士官室には重苦しい空気が満ちていた。
臨席しているのは当事者のカリス、尋問する側に艦長のマリュー、副艦長のナタル、戦闘に立ち会ったムウ、そして一種のオブザーバーとしてガロード、ティファ、テクス。
内容は勿論、カリスについての処遇をどうするかである
彼はガロード達と同じ世界の住人であり、更に彼等は旧知の仲とも言える間柄にある。
しかし生きていく為に些か仕方が無かった判断とはいえザフトの軍人になった事、そして仮にもジブラルタル基地の元副司令官であった事が余計に事態解決への道に暗い影を落としていた。
本部に知らせれば絶対に黙ってはいないだろう。
最悪の場合、離反してこちらの陣営に有利になる働きを山とする、あるいはアラスカに着くまでにするであろうという事を考慮に入れたとしても、待っている物は銃殺刑ぐらいだろう。
だがこれまでにも戦闘で尽力を尽くしてくれたガロードの友人という事もあったので、
彼の感情を酌まなかったり、簡単に反故にして処断を決めてしまえば、これからのお互いの関係に歪が生じてしまう。
そんな風にマリューが判断に困りかねていると、横からナタルが一つの提案をしてきた。
「艦長。ノーティラス氏の処遇についてはガロード・ラン、ティファ・アディール両名と同じ位置にし、その引き換えとして氏の知り得る情報……
つまりはザフトがこれから計画している戦略、ジブラルタル基地の詳細等を詳細に供述するという判断は如何でしょうか ? 」
それはつまり一種の取引だ。
必要最低限の行動の自由と生活水準を約束する代わりに情報を洗いざらい話してこちら側に提供せよという物。
それを聞いたマリューは少し眉を顰めてしまう。
確かにこれは看過する事の出来ない非常に重要な戦術の過程におけるワンシーンとも思えてくる。
軍と言う組織に所属する以上そういう処断の方法の一つが出てしまうのは致し方無いものだ。
しかしどちらかと言えば‘手を上げないで済む問題’なら、なるべく仁徳的な方法であらゆる事態の解決を図ろうとするマリューにとってあまり気持ちの良いものではなかったのだ。
彼女はナタル自身から自分は軍人の家系に生まれたと数日前に聞かされた。
その為、こういった状況においても実に四角四面な回答しか出来ないというのは些かしょうがないものだと内心匙を投げかけていた。
思えばその違いはあの苛烈な戦闘の直後から顕著になっていたのかもしれない……
657:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/22 17:44:46
戦闘の後、例によってガロードは整備スタッフから多くの拍手と激励、そして祝いの声を受けたが彼自身そんな事に気を使っている余裕は粉微塵も無かった。
先ず、アークエンジェルの具合は一体どういうものになっているのか、出撃直前に部屋のベッドで寝かせたティファは無事なのだろうか。
そして、ザフトから来たカリスの処遇は一体どうなるのか。
ブリッツがストライクを引き摺る様な形で帰還して間も無くスカイグラスパーが帰還し、ベルティゴが到着する。
その途端、ガロード達が初めてアークエンジェルに来た時の様に銃を持った兵がその場に集まり始める。
「止せ ! あいつは俺達の味方だ ! 俺の仲間なんだよ ! そりゃザフトから来たから警戒するのも無理ねえけど銃くらい下ろしてくれないか ? 」
諭す様にガロードは言ってみるが兵士は同じ姿勢のまま返答する。
「いや、こちらに与した行動を取ったとはいえ、相手はまだザフトの制服に腕を通している。第一、一回の戦闘でそう判断するわけにはいかん !! 」
少しムッとする言い様にガロードは口ごたえをしてしまいそうになるものの、それは外部スピーカーから聞こえてくるカリスの声で止められる。
「ガロード、落ち着いて下さい。いいんですよ。ザフトから来た僕にはこれが正当な出迎えだと思いますから……」
それから直ぐにコクピットハッチが開き、両手を上げたカリスが姿を現した。
先程聞こえた声の口調はいつもの様に丁寧その物だったが表情は硬く、自分に向けられている銃に対しても眉一つ動かす事はない。
そして兵の一人が銃を構えたまま、ベルティゴから降ろされた乗降用ワイヤーに乗りカリスの元へと行く。
兵は無表情のまま簡単な身体検査をし、次いでカリスの両腕を手錠で後ろ手に拘束する。
ガロードにとってはその行動の一つ一つが此処は連合の戦艦なのだという事を頭に入れていても気に喰わない物だった。
そして兵とカリスはベルティゴから降り、多くの視線を集める中、艦の居住区へと向かって行った。
二人が見えなくなった辺りでガロードは隣にいた兵の脇腹を肘で軽く小突き質問する。
「おい、こういう風に対処するように言ったのって、まさか副艦長さんか ? 」
「ん ? ああ。念の為という事でな。」
やっぱり……あの真面目が服着て歩いているような人ならと、つい思ってしまう
内心少し苦々しい思いもしたが、空気も読めないのかとしばしの間呆れてしまった。
658:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/22 17:47:05
そんな事があっただけに、ガロードとマリュー達の間には士官室に入る前から非常に気まずい空気があった。
マリューは自分もそんな目で見られているのだろうかと軽く頭を抱え小さく溜め息を吐いてしまう。
しかしそんな空気を打破するようにカリスがナタルの質問についての回答を出す。
「そこに関しては悩む所ですし、また非常に複雑でデリケートな問題だと言う事も重々承知してはいますが……
いいでしょう。取引に応じます。但し ! そちらもこの場で一度取り決めた事は厳守して下さい。後から理不尽な理由や補填的な説明を基にして取引自体を反故するような事はしないと約束して下さい。」
「心配するなって。連合軍側の人間とはいっても一応軍人なんだからさ。それに……お前さんの心意気はさっきの戦闘の前にしっかりと受け取ったからな。」
回答に対してやはり飄々とした態度で受け応えるムウ。
ナタルは「少佐、少しは真面目に応対して下さい……」と小声で窘める様に言うが、当の本人はやれやれと言わんばかりに肩を竦める。
そのやり取りを見てカリスはほんの僅かばかり口元を綻ばせる。
それを見たマリューはほっとして手元にある小冊子を閉じ、努めて明るい声を出して聴取の終了を告げる。
「ともかく事情聴取はこれで終了よ。カリス君。これから色々と大変な事があるとは思いますが……頑張って下さい。」
「はい。御期待に沿えるよう尽力します。」
それから直ぐに部屋の片隅にいた兵の一人がカリスの両腕にかかっていた手錠の鍵を外した。
それと同時にガロードが左手の親指をピッと立てる。
それを見てカリスは少しきょとんとするが、直ぐにその意味を理解して同じ動作をする。
それ以上言葉も動作もいらない、青年同士のある意味爽やかささえ感じられる間柄。
見ていて微笑ましい所があるものだとマリューは思う。
「あの……もう行っても宜しいでしょうか ? 」
「え ? ええ、良いわよ。但しその服は着替えた方が良いわね。生活班に変わりになりそうな物を直ぐに用意させるわ。」
「何から何まで本当に有り難う御座います。では失礼します。」
カリスはそう言って立ち上がり深々とお辞儀をした後、ガロード達と共に士官室から出て行った。
ナタルも自分が詰めているCICの様子が気になるらしく部屋を出て行った。
部屋に残ったのはムウとマリューの二人きりになる。
「やれやれ、またまた前途多難な事が山と転がり込んできたねえ、艦長さん ? 一度しっかり休んだ方が良いんじゃないの ? 」
「そういうわけにもいきませんわ、少佐。こういう時は今自分がするべき事から手を付けていってこなしていかなければ部下に示しがつきませんもの。」
ムウの提案をマリューは制帽を脱ぎながら軽く受け流す。
しかしムウは少し困った顔をして続ける。
「こういう時だからこそさ。艦長さんがそんなボロボロのクッタクタで仕事に当たってたんじゃ示しも何も無いのと同じだぜ ? それに、こなした仕事の質も落ちちまうぜ。」
「……そうね。」
その言葉にマリューは何も言い返せなくなり、机に突っ伏して目を瞑ってしまう。
悔しいがこの場はムウの勝ちだ。
山積している問題を逐一解決するにはこの体力ではいつか限界が来てしまうだろう。
しかもその山積している内容も内容である。
あの戦闘でアークエンジェルの火器は殆ど使用不能になり、機関部も少なからずやられた為に数日はここ、ザフト制圧下で足止めを喰らうという事になった。
おまけにその修理に必要な資材自体や減りつつある弾薬、燃料、食料も何処から調達すれば良いものか。
更に今後の航路も未だに決まっていない。
そんな事をあれやこれやと考えている内についまどろんでしまう。
ムウはそんなマリューを見やりながら出来るだけ静かに部屋を後にした。
659:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/22 17:49:15
「『噂の大天使』……ねぇ。教義を説く場所を間違えたとみえるな。」
「は…… ? 」
資料に目を通す上官が発した比喩的な意味を持つ言葉に彼の部下、マーチン・ダコスタは少々間の抜けた返事をしてしまう。
「まあ、我々の制圧下の地に単艦で降りてくるなんざ、ちいとどうかしたんじゃないのかっていう行為にも等しいって事さ。」
「はあ……」
ここはアークエンジェルの降りた地より南東に約2270kmの地点。
ザフトの大型陸上戦艦レセップスの中で一人の男が白磁のカップ片手に部下が持ってきた資料を見ていた。
男の名はアンドリュー・バルトフェルド―通称『砂漠の虎』とも呼ばれる、ザフト軍地上部隊における屈指の名将にして名パイロットである……
のだが彼のその肩書きを吹けば飛ぶような存在にしている物がたった一つあった。
手に持っていたカップを口に運んで直ぐ、バルトフェルドは「んっ ?! 」と表情を変える。
「なにか ?! 」
資料の中に注目すべき点でもあったのかとダコスタは身構えるが、そんな彼を茶化す様に相手は楽しげな表情を浮かべて応対する。
「いや、今回はジャワとトラジャを7対3の割合で混ぜてみたんだがね。やはりオールドビーンズよりカレントクロップの方が良かったかもしれんな……」
それを聞いてダコスタはがっくりと拍子抜けしてしまった。
カップの中身は彼がやっているコーヒーの自己流ブレンド。
彼はその結果を子供の様に嬉々として述べただけだ。
コーヒーは黒くて苦い飲み物としか考えていないダコスタにとって、上官のこのあまりの入れ込み様には少々呆れてしまう。
正直な事を言えばこれさえなけりゃと何回か思ったものだが。
「このブレンドはいけると思ったんだがなぁ。8対2でやってみたところでやたら苦味だけが残るものだからそれは避けたんだが……」
しかしそんな部下の思いは何処吹く風といったようにバルトフェルドはコーヒーの感想を述べながらアークエンジェルのデータに目を通していく。
もう何度目か分からない小さな溜め息をダコスタが吐いたその時だった。
660:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/22 17:50:27
「失礼します !! 」
一人の兵士が隊長の前だということも忘れたように大慌てで入ってきて、一つのメモリースティックをデスクの上に置いた。
「先程、ジブラルタル基地よりカリス・ノーティラス副司令官が我が軍より離反し逃亡したとの報せが入りました !! 」
「何だと ?! 」
突然の報にダコスタも上官の前だという事を忘れて驚いてしまう。
その兵士はその後に起こった事の報告を続けた。
「また我々の制圧下に降下した敵新造艦が、先日陥落したビクトリア基地を査察に出発したジブラルタル基地総司令官の乗った艦と交戦したとの事です !! 」
「それで……被害の程は ? 総司令官殿は ? 」
バルトフェルドが神妙な面持ちで出したその質問に、兵士は涙を堪える様に絞り出した声で答える。
「ジブラルタル基地よりも応援が出ましたが、奮戦空しくMS隊、戦闘機部隊は全滅……総司令官殿は……戦死されました…… !!! こちらのメモリーは……撤退した兵が捉えた戦闘の一部始終との事です ! 」
ダコスタは驚きのあまり声も出ないようだった。
無理もない。ジブラルタル基地はたった数時間で総司令と副指令、二人の大きな立場にいる責任者がいなくなったのだから。
一方バルトフェルドは自分の元にもたらされた情報を頭の中で必死に統合していた。
それを踏まえた上で自分達の力と彼等の力を改めて秤にかけてみる。
その結果はじき出された答えは……しばしの間事態を静観していた方が良いというものだった。
何せ何十機というMS部隊と戦闘機部隊を撃墜しておきながら、未だにそれが存在しているのである。
戦闘でかなりの損傷を負っていると見積もっても下手に手出しをしない方が良い。
尤も、手を出そうにも2000km以上離れているここからではそうそう簡単には出せそうにもないが。
「分かった。取り敢えず報告どうも。」
「はっ !! 」
バルトフェルドは軽く労いの言葉をかけて兵を持ち場に戻す。
それを視線だけで見送ったダコスタは重々しく口を開いた。
「隊長……これからどう動きますか ? 」
「それをこれからじっくりと考えるんじゃないか、ダコスタ君。幸い、敵も直ぐにはアクションを取る事が出来ない様だからな。」
かなり深刻な事態といえるにも拘らず、バルトフェルドはどこと無く『面白くなってきた』という雰囲気の口調で答える。
やれやれといった雰囲気でダコスタはあさっての方向を見るが、上官が次に発した言葉で居住まいを正した。
「どちらにせよ、久し振りに手応えのある相手がやって来たという事だ……」
661:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/22 17:52:43
エーゲ海は北方の山脈。
人の気配が感じられない内陸部にそれは確かに存在していた。
それは連合が所有する一種の研究施設であり、近隣住民からは何をしているか分からないという事で気味悪がられていた。
まあ、本当の事を知ったら余計に気味悪がられ追い出されそうな雰囲気にもなりそうだが。
その研究施設の一室で一人の男性研究員が一心不乱にパソコン画面と格闘していた。
今日中に各部署から集められた膨大な量の実験データを纏め上げなければならないのだから無理も無い。
その部屋に一人の女性研究員が気配を悟られないようにあらゆる音を殺して入室する。
彼の方はまだ気がつく気配はない。
我慢出来なくなった彼女は、彼の背中をそっと人差し指で上から下へとなぞっていく。
その瞬間彼は弾かれた様に椅子から軽く飛び上がり後ろを振り向く。
「な、なんだ、君か。お早う。」
「お早う、エディ。……今日、またここに缶詰なの ? 」
「済まないけど所長の命令でねぇ。どうしても今日中にこいつを片付けなきゃいかんのさ。」
エディと呼ばれた彼は自分の両脇に、さながら摩天楼の様に聳えている書類とファイルの山をパンっと叩く。
彼女はそれを見て微笑みながらも不服そうに文句を言う。
「今日はあなたも私も非番だから、気分転換も兼ねて近場の海まで行こうって言ったじゃない、先週。」
それを言われてエディの手は気まずさのあまりぴたりと止まる。
しかし直ぐに何も無かったかのように指はキーボードの上を滑る様に動き始めた。
「あー、無理だよ。見てくれよ、この量。これだけでも大変なのに、今度発表しなきゃいけない例の計画の概要もやらなきゃいけないんだ。」
口調は残念であるという事をアピールしているが行動がそれに伴っていない。
女性は試しに彼の顔を横から目を逸らす事も、瞬きする事も無く見つめてみた。
始めは軽く無視を決め込んでいた彼だったが、やがてその愛くるしい視線と表情に耐え切れ無くなり彼女の方を向いて気弱そうに笑いながら話し始める。
「この計画が採用されれば生体CPUの常識はもう通用しなくなるんだよ ! 最小限の機材と費用で素晴らしい戦士を……」
「ええ、知ってるわ。あなたと知り合った頃から何度となく聞かされてきた事だから。
恐怖やストレスといった戦闘におけるあらゆるマイナス要因を、メンテナンス効果を持つ専用ベッドを使って調整する、通称『幻肢痛計画』。
投薬量や精神操作期間をこれまでの半分以下にし、尚且つ本人達の性格の原形を殆ど留めたままに出来るから、完成すれば直接プラントに侵入させて破壊活動を行う事も可能になる……でしょ ? 」
「ああ……」
自分の頭の中で思い描いている構想をそらですらすらと言ってのけた彼女を、エディは驚嘆の眼差しで見つめる。
と、同時に毎日吹聴していて悪くはなかったなとも思った。
少なくともこの共通の話題で関係は深まり、お互いの事をよく知ろうと思うきっかけになったのだから。
だがその後がいけなかった。
エディは再び何事も無かったかのようにパソコン画面に向き直り仕事を再開したからである。
彼女は頭を軽く抱えつつも、彼の耳元で優しい吐息混じりに囁く。
「私とその仕事とどっちが大事なの ? 」
その言葉にエディは目の前が真っ暗になった様に感じる。
悲しいかな男という生物は疑問形で提示された話題について、ついつい一方的に論理的思考で相手に畳みかけ、感情抜きにさっさと問題解決の為の具体案を出して話を終わらせようとするもの。
他愛もない話も大事だと感じ、感情込みで自分への同情を求める女性にとってはこれ程不愉快な話し方も無いものなのだが。
故にこの質問はどっちに答えても女性の術中に嵌るというある意味酷な質問だ。
それを知っていたエディは悩みに悩みぬいて……パソコンの電源をシャットアウトする。
662:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/22 17:54:43
「僕の負けだ。今日はとことん付き合うよ。」
「寝台の中まで ? 」
「なっ !! それは無いだろ……」
意地の悪い質問に思わず顔を赤らめてしまうエディ。
その時女性研究員は彼の元に来たもう一つの理由を思い出し、俯いてしまった彼に向かって再び話しかける。
「あ、そうそう。あなたの開発セクターから一人配属が決定した子がいるそうよ。」
「うちのセクターから ? まさか。確かにうちのところはかなりの猛者揃いさ。でも皆ステージ4以降の連中だから使い物になるかどうか怪しいんだが……で、誰なんだい ? その子ってのは ? 」
「……ステファン・ヒルパート」
その名前を聞いた瞬間、エディの顔から血の気が一気に引く。
彼はその人物を知っていた。
ここでは一つのセクターで何人かの研究者が数人に分けた生体CPUを、交代で面倒を見るといったシステムを採っている為に、彼もその人物を担当した事があったのだ。
しかし正直言えばその感想は恐怖その物だった。
強化インプラントステージ5にまで差し掛かっていたその人物は、模擬戦に於いて常に刃物を利用して対戦相手の首を切りつけるという戦法を取っていた為に、
関係者からは「3H(スリーアッシュ:Head Hunter Hilpert)」という仇名さえ貰っていたからだ。
おまけに日常生活においても精神状態が常に不安定極まりなく、特定の薬数錠を数時間おきに服用しなければならない上に、
異常なまでに敵味方の区別無い排除行動に移ろうとする為、正直施設も匙を投げかけていた代物なのだ。
そんな人物、いや生体CPUを本気で採用しようというのだろうか ?
エディはその内容に暫くの間呆気に取られていたが、気を取り直して会話に戻る。
「そうか……あの子か。……やっと貰い手が見つかったんだな。」
「満足そうね。その様子じゃ手塩にかけた子だったっぽいけど。」
「人の事言えないんじゃないのか ? 君だってこの間ここから試験採用された子に母さんと呼ばせていたそうじゃないか。お互い思い入れは深くは出来ないな……」
エディは小さく溜め息を吐く。
この行為自体が非人道的だというのは十分に理解している。
この部屋を出て数ブロック先に行けば、これから生体CPUになるであろう子供達の阿鼻叫喚が聞こえてくるのだから。
だが戦闘に勝利する為には手段等選んでいる場合ではない。
相手も同じ様な化け物なのだからそれに比する力を持つ何かをぶつけなくてはいけないからだ。
全ての感情を押し殺して接しなければとても精神が持たない。
「もうっ ! しんみりしている場合じゃないでしょ ! さ、外に出て羽でも伸ばすわよ。」
「お、おい、そんなに腕を引っ張るなって……」
こんな場所でこんなシーンは呆れるほど不釣合いだ。
エディは頭の片隅でそう思う。
本当なら今話題にあがったヒルパートもこういう他人との心のふれ合いを楽しんでも良い年頃だ。
だがそれが許される事はない。
消耗品の一つでしかない生体CPUの彼女にそれを楽しむ時間も余裕も無いのだ。
つくづく自分の陣営が行っている事の業の深さを思いつつ、エディは彼女と共にその部屋を後にした。
663:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/10/22 18:05:59
投下終了します。アークエンジェル降下地点と虎との位置、その間の距離把握にはgoogle earthが一役かってくれました。
最後の部分に関して:エディはオリジナルですが、女性研究員とアークエンジェルに配属が決まった強化人間は
種・種死本編で一応出ています(ホントにチョイ役でですが)。
気になる方は探してみては如何でしょう(コアなファンなら一瞬で分かるでしょうけど(汗))?
それではまた後程。
以前あるサイトにて書かれていた言葉
「男から見た男同士の友情と、女から見た男同士の友情は根本的な所から全て違う物だ。」
肝に銘じながら男キャラの友人との接し方を描いています。蛇足ですみません。
664:通常の名無しさんの3倍
07/10/22 21:59:17
女のほうは分かった、強化人間は微妙(名前を気にしなければ多分想像道理かな
ただエディの名前はいらなかったかな、その女の夫にでもすれば辻褄は合うと思うし
まあ投下乙、細かいところはちゃんと見直してくれ
665:通常の名無しさんの3倍
07/10/23 15:19:10
遅ればせながら乙!
666:通常の名無しさんの3倍
07/10/23 20:04:17
え、どこ?
ヒントキボンヌ
667:通常の名無しさんの3倍
07/10/23 20:48:59
ヒントもなにも答えかいてあるじゃん。
668:通常の名無しさんの3倍
07/10/23 22:45:02
580 :通常の名無しさんの3倍 [sage] :2007/09/19(水) 22:32:51 ID:???
まとめのX-seed◆mGmRyCfjPw氏の第3話をクリックしたら16話に繋がるんだがどうすれば良い?
581 :通常の名無しさんの3倍 [sage] :2007/09/20(木) 01:50:16 ID:???
>>580
修正すれば良い。
631 : ◆L1QckJlrlM [sage] :2007/10/13(土) 05:02:16 ID:???
皆様お久しぶりです
新たなる道の作者です。
前回投稿の次の日にサブを含めパソコンがクラッシュ、
ネットに繋ぐのに2ヶ月ほど掛かりました
現在内容を思い出してやっているのですが、
まとめサイトのほうが途中で切れていているのですが…
誰かあの切れている部分を持っている方はいないでしょうか?
あ、今ようやくトラとガロの2対2を書いています
投稿は…最悪でも今月中には…
それではよろしくお願いします
誰か過去ログ持ってるはいないんか?あとIDもちとか
669: ◆n/pJcmlREs
07/10/23 23:20:40
支援UPローダーに上げてみました。
おそらく不足分はこれでいいはず。
670: ◆L1QckJlrlM
07/10/24 01:59:22
出来ましたので順次投稿します
671:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/10/24 02:02:16
「キラ~、出来たか~!?」
ガロードとティファは帰って来た後一番にストライクの元へ向った。
「ずいぶん遅かったわね」
「心配したんだぞ?」
「わりぃわりぃ、ちょっとテロに巻き込まれて狐の所にお邪魔してたんだ」
ガロードがそう言うとフラガは一度首をかしげ、
狐と言うのがキラ達の間でバルドフェルドの事を指す事を思い出した。
「大丈夫…だったんだよな、傷はなさそうだし」
「まあな…」
「お帰りガロード、ティファ…今やっと試射が終わった所だよ」
「よし、これでまともに銃が撃てるな!」
ガロードはそう言うとガッツポーズをとり、
その格好をヘリオポリス残留組+フラガが見て笑った。
「なあ、私にもあれのシミュレーションさせてくれないか?」
その笑声の中にカガリが入ってきた。