07/06/20 14:48:07
ガロードが目を覚ます数分前、一機の戦闘機がジブラルタル基地に近づきつつあった。
その機体の接近に基地は動きが慌しくなるになる。
それはザフトには登録どころか存在すらしていない代物だったからだ。
そんな戦闘機スタイルの機体がロールアウトされたという報告も無い。
しかし後続も無しに単機でジブラルタルの様な巨大な基地にのこのこ来るとは、相手が連合軍の人間なら殆ど自殺行為だ。
とはいえここは連合を成している国家の一つ、ユーラシア連邦が近くにあるので偵察や牽制の意味合いがあるなら油断も隙も無い。
直ぐに警報が発令され、管制塔からその機体に向け通信が入る。
『そこの未確認機体 !! そちらはザフト軍ジブラルタル基地の領空を侵犯している !! 直ちに転進せよ !! 転進しない場合攻撃意志のあるものとして迎撃する !! 繰り返す……』
何時でも迎撃出来るようMSの発進準備が整っていく緊迫した状況の中で、戦闘機の側から返信が帰ってきた。
「こちらはザフト軍クルーゼ隊所属認識番号二八五〇〇二、アスラン・ザラだ。現在事情あって連合軍の機体に乗っている。大至急基地責任者へ繋いでくれ !! 」
身元照会で問い合わせの間、焦る気持ちを抑えつつ待っていると、通信機から確認した、着陸を許可するとの連絡が入る。
それを聞いた彼は突進するかのように着陸態勢に入り、やがて滑走路に機体を走らせ、止まらせる。
機体が完全に止まったのを確認した後、アスランは感慨深い気持ちで目を閉じる。
やっと自分はいるべき場所に戻って来れたのだと。
自分は怪我をしているが戦えないという訳ではない。直ぐに治療してもらえば何とかなるだろう。
そんな事を思いつつキャノピーを開け、外に出ようとすると周りの様子に面食らってしまう。
数人の兵士がこちらに向けて銃口を向けているからだ。
いかに認識番号や声紋照合が本部で一致したとはいえ、実際にその本人なのかそうでないか裏が取れなければ安心してはいけないらしい。
相変わらずの厳重警戒だが、アスランは図らずも父から教えられた事を思ってしまう。そういう姿勢でいてこそザフトなのだと。
その時遠くから久しぶりに聞こえる声があった。
「アスラーンッ !! 貴様一体何処で何をしていた ?!! 」
同じクルーゼ隊に所属しているイザークがエレカに乗ってこちらに来ていた。
側には運転しながら、イザークに呆れ顔を向けているディアッカもいる。
その声と言葉に兵士達はアスランに向けていた銃口を下げ、二人の為に道を開ける。
ディアッカがエレカを止めると同時に、仏頂面のイザークがコクピットから降りたアスランの元に駆け寄る。
その表情にアスランは辟易した表情で応対した。
「ナチュラルの船に乗せられていただけだよ。そこから出て来ただけさ。……イージスは取り返せなかったけどな……」
取り返すというのも自分で言っておきながらなかなか笑えてくる表現だ。
元は向こうがこちらを討つ為に作った物をこっちが奪ったというのに。
その言葉を聞いてイザークは相手が負傷している事も忘れて、襟首を掴みながら乱暴に揺さぶる。
「だからこの機体で帰ってきたというのか ?! 」
「ああそうだよ……」
アスランはイザークの言葉を適当に受け流しつつ、ふらふらした足取りでエレカまで行き、座席に身を任せるかのようにどさりと座り込む。
後から乗ったイザークは後部座席に血が付いているのを見てぶっきらぼうに言う。
「後で貴様の冒険譚でも何でも聞いてやる !! 怪我の治療で後回しになりそうだがな !! 今はそこで寝ていろ !! 」
それが彼なりの気づかいの形だと気づくのに大分かかってしまう。
こいつは相変わらず素直じゃない奴だなと改めて思わされた。
101:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 14:50:00
そしてアスランは連合軍の船に乗って知り得たもう一つの事実を口にする。
「ナチュラルの船に乗っていて分かった事がある。……ラスティは捕虜になって生きている。」
「「ええっ ?!! 」」
次の瞬間前方の二人の声がかぶり、エレカもぐゎらと大きく左右に揺れた。
当然の反応だ。彼もアスランと同じ様に今の所MIA扱いになっているのだから。
そこでディアッカがアスランに一つ質問をぶつける。
「でもよ、それならどうしてお前と一緒に逃げなかったんだ ? 」
その質問に対しアスランは苦りきった表情をする。
思い出すのも忌々しいあの部屋から出る最後の瞬間に放たれたラスティの一言。
―俺はこの船でちぃとばかし探し物があるんでな。
あの時どれほど何も見つかりはしないと怒鳴ってやりたかったか……
「あいつは捕虜で居続ける事を選んだよ。ナチュラルの連中がさぞかし上手く丸めこんだんだろうな。あいつもあいつだよ。手も無く騙されてさ……」
「そうだったのか……」
ディアッカはやっとその一言だけを言う。
アスランは連合の機体を奪取した時から、仲間が手の中から次々に落ちていく様だった。
同じ隊に配属されたマシュー、オロール、ミゲル。そして生きているとはいえラスティさえも……
もうここに残っている面々しかいない。そう思った時、ある事に気づく。
イザークとディアッカがここにいるのなら同じ様に来ているであろうもう一人はどうしたのかと。
「なあ、ニコルはどうしたんだ ? 」
エレカが走り出すと同時に二人に向けられた質問は、ディアッカの方が答えた。
「俺達がここに来る少し前に近くの海でMSが発見されたっていう報せがあって、今はそこで回収されたMSパイロットに会いに行ってる。……お前がよく知ってる足つきに配備されてた特殊改造ジンのな。」
「何だって ?!! 」
それを聞いたアスランは驚いてしまう。
低軌道の会戦であのジンがこの近辺に落着しているだろうというのは容易に想像がついたが、このジブラルタル基地に収容されているとは……
それと同時に言いしれ様の無い感情が自身の中に渦巻いてくる。
ちらとしか知り得なかったが、あの二人のパイロットに関してはザフトレッドとして自分の持っていた矜持をズタズタにしただけでなく、自身を敵軍の捕虜にするという屈辱的な経験をさせたのだから八つ裂きの候補としてはキラの次に挙がっている。
何かの理由にかこつけてこの基地でさっさと消す事は出来ないか…… ?
「まあ、俺は止めといた方がいいぜって言ったんだけどな。仮にも敵兵だし。」
アスランの思い等全く知らない様にディアッカはニコルの行動が浅慮甚だしいとばかりにふふんと鼻で笑う。
格納庫に入ったエレカは軍施設への通用口の前で停止する。
それと同時にアスランはひらりとエレカから降り、そして脱兎の如く施設内に入っていく。
後ろからイザークが治療はどうするんだとか何か言っていたが、最早今の彼には何も聞こえて来ない。
会う人間に対し、手当たり次第にそのパイロットがいる場所を訊く。
その結果パイロットは男女で二人おり、少年の方が自分の今いる場所から程近いという事でその方向へ向かった。
逸る気持ちを必死で抑え、その部屋のドアの前に立つと先程のディアッカの言葉からある疑問が浮かんだ。
何故ニコルは自分達を何度も窮地に陥らせた敵兵と話がしたいと思ったのだろう ?
窮地に陥らせる事の出来た理由を訊くのなら頷けるが。
そう思いつつドアの前に立ち、インターフォンに向けて話しかける。
「ニコル。いるのなら入るぞ。」
目の前のドアがその問いに応えるかのごとくスライドする。
102:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 14:53:51
2~3歩中に入ってから室内を見ると、その中には寝台に横になっている少年に穏やかな表情で話しかけているニコルの姿があった。
そして、部屋に入ってきた人間が誰かというのをちらと見やった彼は、思わず椅子を勢い良く後ろに倒してしまう。
「ア、アスラン !!! あなた……どうしたんですか ?! 」
部屋の入り口へ振り向いた彼は改めて驚かされた。
MIA扱いになっていた人間が自分の前にひょっこり現れたのだから。
「あんたは……イージスのパイロットじゃねえか !! どうしてここに……まさか、アークエンジェルから脱走してきたって言うのかよ !!! 」
事情を知っているパイロットの少年―確かガロードとかいったか―も、アスランを見て驚かされた。
話しの内容を聞いてみようかという気も起きぬまま、アスランはその場ですぐに腰のホルスターからオートマチックを抜いて構えた後静かに言う。
「そこをどけ、ニコル。そのパイロットに俺達を苦しめた落とし前をつけさせてやる。」
その言葉でアスランがガロードの命を狙っていると分かるニコルはアスランの方に駆け寄る。
「止めてください ! 幾ら敵兵でも今捕虜ならその扱いはきちんとすべきです ! 身柄を引き渡す前に問答無用で射殺なんて条約違反ですよ !! 」
彼とて失った仲間の事を思えば悔しさが出てくる。
だが彼の性格上、今アスランがしようとしている事は絶対にしない。
だから相手の素性を穏やかな姿勢で訊こうとしていたが、それは死んだと思っていた戦友がいきなり表れあっさりと無しにした。
ニコルの言葉を全く意に介していない様にアスランは同じ姿勢のまま、更に険しく冷徹な声で続ける。
「こいつは正確には連合軍の兵じゃなくて、奴らに加担している傭兵だ。正規の軍人で無い者を射殺しようが、上への理由はどうとでも言える。
レッドの俺達、ましてやこいつらと少しでも同じ空間にいた俺の言い分くらいなら通してもらえるはずだ !! 」
そんな無茶苦茶なとニコルは言いかけたが、彼の目を見て言葉を失ってしまう。
その目は仲間を奪われた事による憎悪で輝いていたおり、表情も終始動かす事がなかったからだ。
本気だ。アスランは本気でガロードという少年を射殺しようとしているのだ。
単なる示威行為でも何でもなく、条約無視を知った上で。
103:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 14:56:39
その当の本人は同僚の内心に全く気を使う事無く、更に数歩前に出て銃のセーフティを外す。
「俺からすればお前はまだ甘いんだよ、ニコル……何故こいつをさっさと殺しておかなかった ? 尋問でも何でもやって素性を聞き出せば良いものを。」
その言葉と苛立たしげな口調はニコルを慄然とさせた。
やがて彼は今も逃げようと必死になっているガロードの直ぐ横にまでやって来て、こめかみに銃を突きつけた。
「お前も、もう諦めた方がいいと思うが…… ? 」
「うるせえ !! 俺はティファを助けに行かなきゃなんねえんだ。こんな所で時間喰ってるわけにはいかねえんだよっ !! 」
その横暴な言葉にアスランはトリガーに自分の指をかける。
「ナチュラルのくせに無駄な虚勢だとは思うが……一応、驚いておこうか。それはそうと非常に残念だ。お前は白馬の王子になる事が出来ずにここで斃れるんだからな。だが安心しろ。
別室にいる愛しのプリンセスも直ぐに身を緋色に染めてお前の元へ馳せ参じるだろう。あの世で無能なナチュラル同士幸せに暮らすがいい……」
「この野朗ッ !!! ティファに手を出すなァッッ !!! 」
アスランが並べ立てた言葉はガロードの怒りを爆発させるに十分な言葉だった。
状況が状況ならガロードはアスランをたこ殴りにしている所だ。
一刻も早くベッドから抜け出そうと更に身を捩じらせるが、全く効果は無い。
アスランは両の口端をふっと上げ、一片の憐憫さも無い冷徹な声で言う。
「何も出来ない事に絶望するんだな……さようなら……最大限の憐れみをもってお前を葬るよ……」
最後の瞬間が宣告されてもガロードは諦めたくなかった。
こんな所で死んでたまるか……ティファを死なせるもんか……っ !!!!
その時だった。
突然ドアが開き、その方向から銃弾が放たれた。
銃弾はアスランの拳銃を吹き飛ばし部屋の隅に追いやる。
銃弾を放った黒服の青年将校ははっきりとした口調でアスランに向かって言う。
「絶望は愚者の出す結論です。」
その場に居た三人はその方向を見る。
中でも一番驚いているのはガロードだった。
「お……お前……ええっっ ?!! 」
「御久し振りです。ガロード。」
青年将校は極めてにこやかに挨拶をする。
それが視界に入っていないのか、ガロードは相変わらず陸に上がった魚の様に口をパクパクとさせている。
何せその青年将校は、自分の元いた世界で剣を交えつつ解り合い、最後は共闘してくれる事になった頼もしい友なのだから。
アスランは衝撃で震える手を抑えつつやっと一言口にする。
「カリス……ノーティラス副司令殿……」
104:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 15:02:16
今の所はここまでにしておきます。
尚アスランの負傷の設定と医務室の一件については
両足の骨折→頭部の負傷のみ
サイレンサー付きの拳銃を奪う→医者と格闘戦をやらかし、勝ちはするもののデスクの下にあった警報機を押され、引き出しは全部ロック状態で得る物無し。
無傷で→銃撃戦の跳弾や流れ弾であちこち負傷。
という風に修正しました。
評価が非常に気になります。
では、また後程。
105:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 15:07:43
投下乙です。
何つーか最悪だな、凸さん
これは流石に遺作や炒飯でも引くだろ、常識で考えて…
106:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 15:13:50
んで、三人からハブられて孤立している凸にラクスもしくはクルーゼが近寄ってきて
洗脳されるというオチかもしれんw
107:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 15:32:09
パパの手となり足となり
アズラエル並みのぶち切れキャラになったりしてな
パトリックが逆にアスランに引いて冷静になりそうだw
108:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 15:49:15
パト「お前は知っているか、ウラジーミル・レーニンを」
凸 「レーニン?中世紀の人物ですね、それが何か?」
パト「革命家でな、世界を読みきれなかった男だ、
お前はそのレーニンの尻尾だな( 特 に 頭 )」
凸 「自分で組んだコーディネートを無視してよく仰る……(殺殺殺!)」
こうですか、わかりません!
109:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 16:19:28
>>108
特に頭ワロスw
110:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 18:36:18
GJ!
迂闊だな、アスラン・ザラ。
よりにもよってガロードの前でティファに危害を加えることを宣告するとは…
A.Wですらそれをして生き残ったのはたった二人しか居ない(それでも結構な後遺症付き)というのに。
そしてクロススレで初のカリス登場ktkr!
地位からすると少なく見積もっても2、3年前にはこっちに居たんだろうか。
まあシナップス・シンドロームのことをおけば棒立ちだらけのC.Eでは最上位にも食い込めそうな実力の持ち主だし、
手柄立て放題でもっと最近ということもあるかも試練が。
111:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 19:04:48
>「絶望は愚者の出す結論です。」
↑
これがガロードではなく己に向けられた言葉だという事を理解できるかどうかが
「アスラン」に立ち返れるか「凸」で固定のままかの分水嶺となる…かな?
GJ!
112:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 19:56:30
カリスは白服が似合うと思うけどな
113:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 20:00:25
>>112
幾らか成長した上で白服だと、
クル-ゼと若干被るからジャマイカ?
まあ今のカリスはガロードとの出会いの結果、
対極とも言える道を歩いているが。
114:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 20:05:47
Xでは濃いめのグレーじゃなかったっけか、カリス。
個人的には黒服のほうがしっくり来るかな。
115:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 20:09:24
てか評議会員みたいな薄紫。
116:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 20:21:27
それにしてもアスラン滅茶苦茶だな・・・
流石にニコルも幻滅するんじゃないか?
117:livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g
07/06/20 20:38:30
>Exceed4000氏
思ったより長引いてしまったせいか、さっき見たら流れてたので再うp願います。
あと、ガンダムクロスオーバーSS倉庫にもうpロダがあるので、そっちにうpして下さい。
URLリンク(www.uploda.org)は流れるのが早いので、お手数ですが宜しくお願いします。
118:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 20:59:59
>>116
ここのアスランは何気に心の奥底ではイザーク以上に差別意識が強かったんじゃないかな。
あるいはろくに知らない状態で植え付けられる差別意識や憎しみと、
何らかの実体験によって内から沸きあがるそれとでは根の深さが段違いという事なんだろうか。
119:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 22:54:07
>>117
ガンダムクロスオーバーSS倉庫にうpしました。
seed_uljp00015.txt
或いは
URLリンク(www3.uploader.jp)
です。
パスワードはTiffa 削除はXSEEDです。
前後の文章の脈絡をつける為に長大になってしまいましたが、何卒宜しくお願い致します。
120:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 23:25:48
>>108 ソ連以降のロシア国家元首「フサ・ハゲの法則」思い出したw
121:livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g
07/06/21 10:28:31
修正しようとまとめ行ったら、
第10話~第15話、第17話、第19話~第20話がうpされてないことに気づいた|liorz
というわけで、だれか上記の話のログ持ってたら「ガンダムクロスオーバーSS倉庫」のうpロダに上げて下さいo......rz
122:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 12:35:43
>>84
お前は何を言っているんだ?論点はそこじゃないだろ。
明らかに不条理な展開に対してであって、内容の質についてじゃない。
123:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 13:53:19 s1uNDs8a
>>121
第3話が第16話に間違ってうpされてましたよ。
ちなみに第3話は第3話のままですから修正の必要はないです。
124:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 14:03:43
変態兄弟とザフトの変態仮面はウマが合いそうだ
125:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 14:55:40 6BzY42kC
s
126:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 20:26:42
カナードってプレアに出会わなければ、
行き着く先は変態兄弟だったのかなぁ・・・。
まあ、共通点はどっちも偽物扱いってだけだけどさ。
127:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 22:05:55
案外、キラをフツーに真正面から打ち破って
その後種後半の主人公になってたかもよ?
ってか、なれ
128:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 22:14:56
おーい、凸やーい。
ティファちゃんに手を出したらガロードだけじゃなくて俺たちティファファンクラブがお前の髪の毛を毛根も残らないほどに全て引っこ抜くからな!
129:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 23:25:00
>>128
禿同。だがそれだけで済ますな!!
ピンク色の髪を植毛してやれ。
130:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 23:27:12
>>127
確かに。
対デストロイで、キラの馬鹿さは普通に証明されたしな。
アルミューレ・レミエール(だっけ?)を破れるとは思えん。
131:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 23:40:12
>>127
しかし、いいのかそれで?
あいつもナチュラルにDQNだぞ。(運命編に入っても)
まあ育った環境と憎しみのみを拠り所にして生きてきた過去がそうさせたのは分かるが…
子供がこうも悉くアレだとヒビキ夫妻の遺伝子にこそ、
種世界の不幸の元凶が詰まっていたような気がしてならない。
132:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 04:47:18
第二十四話投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十四話「逃げろ ! 」
カリスはアスランに銃を突きつけたまま静かに続ける。
「そこを退いて下さい。この者の処分は司令官の次に僕がどうするか権限があります。レッドとはいえ貴方に彼をどうこうする権利はありませんよ。」
それは確かな事だった。
いかにアスランが友人を討たれたとか、僚艦をやられたとか個人的な恨みを持っているとはいえ、このジブラルタルでは他にもごまんといるレッドの一人に過ぎないのだ。
アスランは苦々しい表情をしてそこから数歩後ろに下がる。
そしてカリスは銃を降ろした後、ガロードの元へやって来てベルトを外した。
ベッドから降り、肩を2~3回叩いた後彼はカリスに向かって握手を希望する様に手を差し出す。
「サンキュー、マジで助かったぜ、カリス。流石の俺ももうやべえって思っちまったぜ。」
そういう割には結講明るめに話すガロードを見て、カリスはふっと微笑んで握手に応じる。
「君がここいる事は先程目にした資料で知りました。中の様子は分からなかったのですが、今一度の力を使いました。」
「そうだ !! ティファの居場所は分かるのか ?! 」
「……その話に関してはこの部屋を出た後で……僕自身あまりこの先の事については力を使うのは止しておきたいので……」
その後彼はくるりと振り向き、呆然としているアスランとニコルに対してぴしゃりと言い放った。
「このガロード・ランと別室にいるティファ・アディールの両名に関しては今のところは司令官の代わりに僕が待遇に関しての詳細を決定します !
アスラン・ザラは今すぐ医務室に向かい然るべき処置を受けた後、南方にいる連合軍の新造戦艦の調査をするように ! ニコル・アマルフィは……アスラン・ザラがここまで帰投するのに使った戦闘機の調査及び自機のメンテナンスに向かうように ! 良いですね ? 」
そこまで言い切った時、ガロードがこっそりと二人に聞こえない様に耳打ちを始める。
「チョイ待ち !! 間違いねえとは思うけどさあ……俺その連合軍の新造戦艦にいるんだわ、今。乗ってたジンもそこで改造を受けたんだよ。」
「本当ですか ?!! 弱りましたね……おまけにそのジンはフレームの芯まで破損が見られたのでどの道廃棄処分だとは思うのですが……」
「げっ……」
ガロードがショックで固まるのを余所にカリスは目を伏せてしばし沈思黙考する。
連合軍が極秘開発した新型MSとそれを運用する為に作られた新型戦艦の話は、ここジブラルタルでもそれがあるといわれていたヘリオポリスへの襲撃関係者や、本部との繋がりのあるトップ陣営の間で話され半月ほど前から騒がれていた事だ。
現在あてにしている司令官はビクトリア陥落直前に一足先にここに戻っていたが、ガロード達の乗っていたジンが地中海に落着したとの報告を受けるほんの一時間ほど前に、急用が出来た為ビクトリアの方に十数機のMSを連れて出てしまっていた。
なんでも本人から直に聞いた話では地元のレジスタンスが急激に力を付け始め、陥落に伴ってビクトリア周辺が喧しくなってきているとの事だった。
ここであまり不審がられてしまうのは得策ではない。
そう思っていた時、アスランが鋭い声でカリスに問いかける。
「副司令殿……まさか、とは思いますが、その傭兵と内通していたという事はありませんよね ? 先程から会話の口調や内容に関してそういった事を伺わせる物があるのですが……」
133:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 04:48:26
その言葉に二人は一瞬ひやりとさせられた。
そこで咄嗟にカリスは頭の中で既に用意していた上手い言い逃れの台詞を口にする。
「この者が傭兵であるというのは完全に虚偽の報告です。このガロード・ラン並びにティファ・アディールはザフトが連合側に民間人を装って潜入させたスパイなのです。」
そう言った時、ガロードは息をヒュッと吸い込むようにして驚いてしまう。
カリスは知らないのかもしれない……自分が既にそんな言い訳が通じないほどに、ジンを討ったり、アスランの仲間を窮地に陥らせたかを……
ジンに乗っていたという報告を鑑みれば多少は、或いは……
そして案の定、その嫌な予感は的中してしまった。
アスランが更にきつい口調になって続ける。
「スパイですか……では何故彼は私の、いえ、私達の同胞を討ったのですか ? 私が出て捕虜になった戦闘では戦艦まで討とうという雰囲気でしたよ ?
……敵を欺くには先ず味方からです、などという突拍子もない発言は幾ら私でも賛成致しかねますが…… ? 二重スパイであったのなら尚更です。」
カリスの表情は慌てふためいてはいなかったものの、その感情を押し殺したかのような硬いものだった。
恐らく彼としては二人が何事も無く戦闘に参加する事も無しにスパイの任務を終え、ザフト艦に戻ったとたんにその宙域で戦闘が始まり、着替える間も無くMSで戦闘に出てしまった後、そのまま大気圏降下に臨んだと思っていたのだろう。
そしてアスランは飛ばされた銃が転がっている方向に少しずつ足を動かしていく。
もう何の言い訳も効きはしない。
「逃げろ ! 」
アスランが銃を拾おうとしたのと、ガロードがカリスの手を引っ張って部屋の出入り口に向かったのはほぼ同時だった。
二人は出入り口のドアがスライドして自分達が部屋から出た後に、閉まったドアの向こう側から銃弾の当たった鋭い音が聞く。
その後はもう後ろを振り返ること無く、迷路の様な通路を右へ左へ追手を撹乱する様に走り続けた。
そう走り続けながら、ガロードは一番気になっている事をカリスに訊く。
「カリス ! ティファは……ティファは何処にいるんだ ? 」
「この基地の最下層、地下三階にある独房に収容されています ! そこに行くには先ずエレベーターホールまで行かなくては ! 」
「エレベーターホールって……何処にあるんだそれ ?! 」
「待ってください。ここからの最短ルートは……」
カリスは走りながら壁に表示されているプレート等を読み取りつつ、組み上げられたルートを必死で整理する
「この道を真っ直ぐ行って二つ目の角を右に曲がった後、地下一階に通じる階段を下って目の前です ! 」
「オッケー !! そこまで全速力で行くぜ !! 」
二人は通路を一陣の風の如く疾走し続ける。
息が上がってくるのも、人とぶつかりそうになるのももう気に留めたくなかった。
134:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 04:50:32
そしてカリスが言った通りの順路を辿ると、急に視界が開ける。
そこはエレベーターホールと言うだけあって、高さや広さだけで言うならさながら大きな教会の礼拝堂くらいはあった。
そして目の前には五基のエレベーターシャフトがあり、制服に身を包んだ人々が忙しなく歩き回っている。
その場で立ち止まっていると、不意にカリスの声が横から響く。
「最下層の地下三階に直通しているエレベーターは中央にあるやつです。着いたら目の前にある道を真っ直ぐ進んで『A-33』という独房に行って下さい !
今は交代の時間で警備は手薄な筈です !! 急いで下さい !! 」
「でもお前は……ッ ?!! 」
「君に加担したとばれた以上ここにいる事は出来ません。独房のキーを解除する為にここのホストコンピューターをクラッキングさせてきます !!
それに、君の手でティファを救い出した方が良いでしょう。彼女もそれを望んでいるようですし……上手くいったら同じエレベーターで一階まで来てください。その時に僕がMSで助けにも行きます。
その時はこのレーザー通信機で外にある格納庫に来るよう呼び出します。さあ、早く !! 」
「すまねえ !! 恩に着るぜ !! 」
言うが早いか、ガロードはカリスが投げた通信機を空中で受け取りながら、扇状になった十段ほどの階段を下り始める。
その時、中央のエレベーターに何人かが乗り込もうとしていた。
いちいち途中で止まっていれば、アスランが追手を何人もこちらにさし向ける。
無駄に出来る時間はなかった。
「そいつに誰も乗るんじゃねえーっ !!! 」
いきなり聞こえて来た大声に、中央エレベーターに乗ろうとしていた全員は数秒の間ぎょっとしてその場に立ちすくしてしまう。
その数秒があれば十分だった。
集まっている人々を掻き分け、最後は滑り込むようにしてエレベーターの中に乗り込む。
それと同時にエレベーターの扉はゆっくりと閉まった。
それを見届けたカリスはホストコンピューターのある中央制御室に向けて再び走り出す。
「ガロード……無事にまた会いましょう…… !! 」
135:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 04:51:48
鉄格子の外の天井にある弱々しい蛍光灯の光以外存在し得ない独房に彼女、ティファ・アディールはいた。
目を覚ましたのは今から三十分程前のこと。
着ていたパイロットスーツは誰がそうしたのかは分からないが、今は元着ていた落ち着いた色の服になっていた。
また両腕には彼女の力では絶対に外す事の出来ない頑丈な手錠がかけられている。
足音が聞こえてきたので外を見ると、ひょろりとした保安要員が少しばかり驚いた様な目をしながらこちらに向かって歩いてきていた。
こんな少女が一体何をやらかしたのだろうかといわんばかりに。
今は人が替わったものの、つい先程までは銃を持った厳つい保安要員がこちらを胡散臭そうにじろじろと見ながら警戒に当たっていた。
普通こんな所にいれば誰とて感じる物は絶望感ぐらいしかない。
正直な事を言えば、彼女自身大気圏突入前の戦闘に参加する段で自分がこうなる事は分かってはいた。
だが彼女は強く信じていた。
自分がそうなるというのと同時に、自分を助けに来てくれる存在がもう間も無く目の前に現れる事を……
ニュータイプという形である事を否定された力……ガロードがそう謳われた彼女の力による予見を覆した事は多かったが、今彼女が予見した物は彼以外のほかの誰にも覆されたくなかった。
その予見が間違いでなければ、保安要員がこの人物に替わって間もなくして事態は好転するはずだったからだ。
そしてそれはそう思った瞬間に的中した。
遠い方向からチン ! とエレベーターで誰かが来た事を示す音がなる。
保安要員がその方向を見てSMGを構えて走り出すが、直ぐに彼はティファのいる独房の前まで殴られた音付きで飛ばされる。
低い声で暫く呻いた後、眠ったような表情になった所を見ると、どうやら気絶しただけの様だ。
そして鉄格子の外に待ち焦がれていた顔が、荒い息と共にひょっこりと出た。
「ティファ !! 大丈夫か ?!! 」
「私は大丈夫。ガロードは……怪我とかは無い ? 」
「ああ、俺も大丈夫だよ。」
その時、鉄格子の電子ロックがカシャッと軽い音をたてて外れる。上にいるカリスが上手くやったようだった。
ティファは自分から牢の外へ出る。
その時クスリと笑って彼女はガロードに聞き覚えのある言葉を言った。
「待って……いました。」
紛れも無い。彼女が彼に初めて会った時に彼女から言った最初の言葉。
それにガロードは若干照れた調子で頭を掻きつつ答える。
「二度目だなぁ……それ聞くのさ。」
しかしその時、ガロードはティファの手元を見て表情を一瞬で曇らせた。
「ティファにこんな事……酷い事しやがるなあ……」
かけられていた手錠が金属の鍵を使って開錠する型の物だった為に、いつも手元にあるはずの便利道具が無いのは非常にもどかしい気がした。
だが今はそれに拘ってグズグズしている暇は無い。一刻も早くカリスと合流してこの基地から脱出しなければ。
136:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 04:54:47
「こっちだ !! 」
ガロードがティファの身をかばうような姿勢になった後、二人は必死で走り、エレベーターに乗り込む。
しかしその時、気絶していた保安要員が目を覚まし、SMGを構えて直ぐにエレベーターの方向にそれを乱射しながら猛然と走ってきていた。
ガロードは自分の身とティファを、外とエレベーターの死角に入れた後『閉』のボタンを押し、同時に『1』のボタンも押す。
軍配はガロードの方に上がった。
保安要員がエレベーターのボタンに辿り着く前に扉は閉まり、二人を乗せたそれは移動を開始し始めたからだ。
自分達の後ろにある壁が穴だらけのエレベーター内で、二人は束の間の一息を入れる。
「怖かった ? 」
「ううん……ガロードなら絶対、大丈夫だと信じていたから……」
ガロードの何気ない一言にティファの頬がぽおっと赤くなる。ガロードも半瞬遅れて顔が真っ赤になった。
しかしそんな雰囲気は次の瞬間、目的の階に着いたエレベーター特有の現象で終わりを告げる。
扉が開くと目の前に現れるロビーと思しき場所は騒然としていた。
職員らしき者達が重そうな書類を腕にしつつ、顔に殺気を顕にしながらあちこち走り回り、その他の兵士達はレッドもグリーンも関係なく大声で何かを話し合っている。
「ホストコンピューターがコントロール不能になってどれぐらいだ ?! 」
「最新型のウィルス駆除システムがどれも効かないだと ? そんな馬鹿な話がある物か !! 」
「副司令殿の居場所はまだ掴めんのか ?!! 」
切迫したやり取りの雰囲気はその場では明らかに場違いな格好をした二人を隠すのには十分すぎるほどだった。
だがボーッとしていれば捕まるのは時間の問題だ。
その時丁度通信機が振動を始める。外に出ろという合図だ。
「行くぞっ、ティファ !! 」
「ええ !! 」
二人はそこから外へ続く玄関口に向かって走り出す。
137:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 05:26:41
しかし、その時後ろからそれを阻害せんと兵士達を「退けっ ! 」と突き飛ばしながら、走ってロビーに出てきた一つの影があった。アスランである。
息も絶え絶えに後ろからは多くの兵士がついて来ていた。
そしてアスランはその場でオートマチックを構え、「止まれ」といった警告も無しに躊躇い無く引き金を三回引く。
「ガロード !!!! 」
その直前にティファがガロードを押し倒す様に倒れ掛かる。
その為に銃弾は二人をほぼ逸れたが、内一発はティファの髪を縛っている紐を千切り飛ばし、更に彼女の頬辺りの髪を幾筋か吹き飛ばし地面に散らせた。
狙いとしてはどちらでも良かったが、結局しとめる事が出来なかった彼はその場で銃を構えたまま、チッと小さく舌打ちをする。
その場に倒れたままになっている二人にアスランは早歩きで近づくが、それがいけなかった。
倒れて気絶していたと思われていたガロードが、信じられないスピードと低姿勢さでこちらに向かって走り出し、アスランの腹に一発のパンチを決めようかという体勢になる。
「このヤロォーッ !! よくもティファをっ !!!! 」
「……女一人ぐらいでギャアギャアと甘ったれがっ !! 」
そう叫んで突っ込んでくるガロードをアスランは軽くひらりひらりとかわす。
しかし、ガロードの狙いはそれではない。
何度かかわされた後アスランの銃を持っている右手に捕まり、そこに下に向かって全体重をかける。
そこにあるのはアスランの右足の甲。
「やめろぉーッ !!! 」
有無を言わさず、ガロードはしがみついている右手の銃のトリガーをアスランの指がかけられたまま引く。
至近距離から足を撃たれたアスランは短く低く呻きその場に倒れた。
彼がもうあまり動けない事を確認したガロードはその場から猛然とダッシュする。
しかし彼等二人を地獄へ引きずり込まんとする声は、苦しさを交えながら周りの人間に命令した。
「何をぼさっとしてるんだ !!! 奴等は連合に買われた傭兵だ !! 躊躇う必要は無い !!! さっさと撃たないかっ !!! 」
明らかに上官とも言える者もいたが、今は気にしているわけにはいかない。
一方、一斉に銃の構えられた音が耳に入り、ガロードはティファに近づこうとする兵士達を押し退け、蹴り退け、踏み退けながら彼女を姫様抱えで抱え上げた後、更に走るスピードを上げる。
そしてガロードが玄関口を出るのと爆発が起こったかのように背後の窓ガラスが自分達に向かって砕け散るのはほぼ同時だった。
その時、抱えられていたティファが目を覚まし、ガロードの服の袖をぐいぐいと引っ張る。
「んあ ? どうしたんだ、ティファ ?!! 」
「あそこに……向かってください。」
ティファはすっとある方向に向けて指を指す。
走ってなら行けなくもない遠めに見えたその場所はMSの格納庫だった。
そしてそこには、今まで使っていたジンがオダブツになったとカリスに聞かされたガロードにとって願ってもいない物があった。
奪取されたXナンバーの機体の一つがあるパイロットの整備下にあったのだ。
138:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 05:54:46
投下終了します。連投規制引っかかってしまいました。
よくここのアスランってという意見が聞かれますが、母親を殺されて、父親仕事漬けにされて、おまけに友人や同僚を殺されたとあっては、
ナチュラルにそういう感情を抱かないのが不思議ですし、個人的には軍というシステムに入っているのに途中であっさり陣営を変えるという行為が信じられません。
あと、軍で上官が新兵に罵詈雑言浴びせて罵倒するシーンがありますが、
あれは新兵の人の生死に関する感覚を狂わせてさっさと殺人マシンに仕立て上げる為の正当法なのだとか。
更に数年前にテレビで見た広島の原爆被害者と原爆を落とした飛行機のパイロットとの対談であったのですが、
原爆被害者が慰霊碑に一言の謝罪をと言ったのに対し、パイロット側は我々はあくまで仕事でやったのだと言い、共通の合言葉‘リメンバー・パール・ハーバー'を忘れないと返しました。
ここのアスランがイザーク以上のナチュラルヘイト且つ、旧友のキラについて葛藤するまでも無く突き放した設定になっているのは、
上記の様な人間感情と軍のシステムに則って変えたというところにあります(腐的な要素を極力廃したという事も有りますが)。
ですから、父親も排他的政策を緩める事はないでしょうし、
その息子、凸にしてもここではナチュラルを人質にするなんて事をしないでしょうし、するぐらいだったらさっさと撃ち殺してます。
で、責任追及されたら「軍人の仕事だから仕方ない」と言い切るでしょう。今の彼の前では恐らく戦時国際法は紙切れ同然の代物ではないかと。
あと、凸と髪の毛の関連とか女難とかそういった物は自分の中では一切取り扱わない事を信条にしています。
ここまで折角真面目にやって来てその雰囲気をパーにするのもなんですし。
全くスレの雰囲気らしからぬ話題をして御免なさい。
今回の後盤のティファの一件は書いていて勇気が要りました。色々と……
では、また後程。
139:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 10:19:52
GJッス。
しかし凸、流れ弾が他の人に当たる可能性とか考えなかったんだろうか。
……うん、考えなかったんだろうね。完全に視野狭窄に陥ってるし。
まあ、コーディネイター、特にエリート階層の人間は少なからず
「下等なナチュラルごときがコーディネイター様に逆らいやがって。粛正してやる」
みたいな認識をもってるでしょうしねえ……。
とはいえ、ティファに手ぇ出した時点で凸の運命は決まった気がしますが。
ともあれ、今後も期待しております。
140:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 10:58:37
「GJ!右足の甲だけですんでありがたいと思いやがりくされ凸」
だけで1000まで行くかもなスレと聞いて飛んできました。GJ!
141:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 11:49:20
よかったよ、続き頑張ってくれ!
あと凸はこっちで処分しておくから
142:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 12:01:22
次回でたぶんガロティファ、うまくすればカリスも一緒に脱出し、
ザフト側からすれば捕虜脱走、副指令ご乱心で大騒ぎになった所で
凸が反ナチュ感情をあおりつつ自分の都合のいいように事態の掌握を
謀ると見た。んで一応成功はするだろうが、金角銀角はともかく少なくとも
ニコルの不信感だけは逆に深まるとか…
143:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 12:41:55
カガリと出会って改心することもなさそうだな>凸
144: ◆L1QckJlrlM
07/06/22 13:37:12
遅レス失礼
>>86
確認しました…
もし機会があれば翼を手足ともどもぶった切ってひっくり返したいですね…
取りあえず現在作成中…
なんとしてもカガリの登場までは!! と頑張っています。
145:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 14:16:58
なんという種死並の展開
悪いがGJ出来ない
146:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 14:38:35
どの辺りがそうなのかkwsk
147:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 14:45:12
なんという厨並の批判
悪いが賛同出来ない
ピンクじゃないんだから批判は具体的にやろうぜ。
種死並みって言うんなら、作者を嫁レベルから引き上げると思ってさ。
と、今さっきSS倉庫でガロード IN DESTINYを読破した俺が言ってみる。
148:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 17:07:23
まあどいつもこいつも賢くは生きてらんねぇってなとこで
アスランが多少頭に血の上った行動しても仕方ないといえば仕方ない
ただ、作者の人もあとがきでフォローする必要のないくらいに
本文の描写を頑張っていただけるとありがたい
149:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 18:24:11
ガロードも後先考えて話をしろよw
150:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 18:35:52
ガロードと話する前に何で凸たち部屋から叩き出さないんだよカリス。
お偉いさんなんだからそれくらい出来るんじゃねーの?
迂闊なヤツがまた一人増えたのかい…。
151:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 18:52:01
真面目な話、EXceed氏は一旦時間を置いて推敲してから投下したほうがいいのでは?
少々遅くなっても自分は構いません。
152:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 19:27:04
ちょっと投稿を休止します。
盛り上げる場を作るが為にあちこちに穴と言える大ポカをやらかしてしまい、考慮と推敲をやった上で投下したのですが欠陥がやはり目立つ様で……
再投稿は一週間以内に行えたら良いと考えております。
では、また後程。
153:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 20:33:28
>>148
後書きは楽屋話程度に留めておくべきで、本編の補完にあるんじゃねえからなあ。
なんで作中でやらなかったの?ってなる。
154:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 20:52:00
次回投稿は2007/07/05(木) 20:10:18に行います。
_、_ 間を取るというのもあるのですが、
( ,_ノ` ) 理由はもう一つあります。
ζ
[ ̄]'E
 ̄
_、_ コーヒースレからの住人の方は何と無しの解るとは思いますが、
( ,_ノ` )
[ ̄]'E 執筆はコーヒーを飲みながら、とりあえず落ち着きつつやります。
 ̄
_、_
( ◎E
_、_ そして、 2007/07/05(水) 20:10:18以降は一話ずつ隔日で投下します。
( ,_ノ` )
皆様が、今以上にこのスレを楽しめる様に……。
[ ̄]'E
155:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 21:43:59
前も言われてたけどさぁ、きっちりした投下予告とか出さないほうがいいんじゃねぇの。
予告どおりに投下出来てないことのほうが多いだろ。
156:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 22:16:06
気取るほどのこともなし
傭兵だからこそ知己でもおかしくないのに
わざわざ嘘ついて窮地に陥るカリス萌え
傭兵ならどんな展開ができるだろう?
青枠のコウモリぶりを見るに
ガロティファ捕縛尋問
契約が切れていることの確認
ないし報酬の未払いを盾に契約の無効を立証すれば
ザフト側と契約することにして身柄の安全をとれそうな気がする
157:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 22:28:11
>>147
なぜそこでガロIN運命を引き合いにだす?
158:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 22:38:21
カリスの微妙な迂闊さが良い感じ
159:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 22:45:15
微妙ってレベルじゃねーぞw
160:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 22:48:05
引き合いに出てはいない気もするが。
批判は建設的にしろってことじゃね?
161:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 00:58:59
明日ランの境遇から考えるに、ここで『悪いほうに変わってしまう』ことに不自然さは感じない。
ただ、キャラクターにはそれなりの『らしさ』というか個性があるはずで、
これがイザークやシンなら感情をむき出しにするだろうし、ディアッカなら表面は軽そうに韜晦するだろう。
ニコルなら冷静に黒いことを考えそうだし、レイならば理詰めで怒りをつのらせるだろう。
そういう意味でアスランらしくないというか種死で見せた『追い詰められたアスラン』とはかけ離れてると感じた。
もちろんTVのアスランを「そんなヤツいねぇ!」と思ったならこの改変もありだが。
……と思った。
162:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 02:13:18
そう考えると、ガロIN運命の各キャラはそれぞれのキャラらしかったんじゃマイカ?(レイのキャラは新鮮だったが)
扱いが同人アヌメと違うのはテロリストが賛美されるか否かの違いくらいで。
163:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 02:36:20
俺的にはレイのキャラはガロードの熱が伝わったってことでアリかな。
それよりも虎にはカガリを連れてさっさと脱走してほしかった。
164:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 07:13:30
私はもう少しアスランにはザフトレッドとして、
また最高幹部の息子として自覚をもった行動をして欲しいです。
なんか反応が末端の兵士のそれと同じように感じられてなりません。
あとカリスもガロード達が傭兵と言われているのだから、
前の仕事で知り合ったとう言えばいいのになぜにそんなばれる様な言い訳を…
と、思うばかりです
165: ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:15:11
何とか期限までに間に合ったか?
投稿します
166: ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:16:02
「あ、あち~~!!」
「あふ…」
ガロードとティファはストライクから出るとその場でへなへなと座り込んだ。
「おめえ達、もうすぐたんか持ってくっからちょっと待ってろ!」
「あ~、頼むわ」
「…」
ガロードとティファは互いにパタパタと風を送りあいながら先ほどの戦闘の事を考えていた。
ストライクはゼロと共に早期に出撃、決死艦を抜けたMSの相手をしていた。
その時イージスのパイロットが色々と通信を繋げていたが、ガロード、ティファ共に無視を決め込んでいた。
しばらくイージスとデュエルの相手をしているとアークエンジェルより帰艦命令が来た。
とはいえこちらは2対1、重力圏に入ってすぐイージスは帰って行ったがデュエルはしつこくガロード
達に付いて行った。
その為デュエルの攻撃を避けている内にアークエンジェルに単身で帰還する事は困難となり、
アークエンジェルが移動、ガロード達を拾う事となる。
その時キラのプログラムが良かったのか、コクピットは少し熱くなる程度で済んだ。
もっともそれが長い時間続いたので二人とも暑さでダウンしているのだ。
「おめえら取りあえず病室行けよ」
「りょ~か~い」
ガロードがそう言うとガロードとティファは一つの担架に乗せられて運ばれた。
167: ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:17:08
「マニュアルは昨夜見たけど、なかなかたのしそうな機体だねぇ。
しかしまぁ、ストライカーパックも付けられますってのは、俺は宅配便か?」
「はっはっはっは。大尉なら、じゃねぇや、少佐ならどんなとこにもお届けできますってね」
「それに下手な戦闘機よりも火力が強力ですし」
「ま~な…ハルバートン提督の計らいとはいえ、この状況で昇進してもなぁ。
給料上がんのは嬉しいけどさぁ、いつ使えんの?」
「この坊主の調整のお陰で明日の朝には…」
マードックはそういいながらキラの頭をぐりぐりと撫でた。
「やめてくださいよ、けどいくら調整しても実際に飛ばしてみないと何とも言えませんね」
「確かにな」
「あ~、うん…そうだな」
フラガは何ともいえない顔でマードックとキラのやり取りを見ていた。
はたから見てもキラの能力は抜きに出ていたしナチュラルではありえない。
しかしその能力はアークエンジェルに欠かす事の出来ないものだし、
フラガも助かっているのだが人間だからといってすぐ納得できるものではない。
なのにマードックはキラの能力を認めていて、自らもそれに学ぼうという姿勢だった。
「ああいう奴が世の中に多かったら戦争は起きなかったのかねぇ?」
168:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:18:20
「ふー、少佐!今日はこれくらいにしときましょうや」
「調整はほぼ完璧ですが飛ばしてみないと解らない問題はありますね」
「ガロードも一晩寝てすっかり良くなったのはいいが…」
「あの嬢ちゃんはそうは行かないみたいだな」
フラガやマードックが言うようにガロードは大気圏突入の翌日けろっと直ったが、ティファは今だだる
そうにベットで寝ている。
ガロードはそれでもストライクのOSを宇宙用から陸戦用に切り替える為格納庫へ来ているが、
その間の看病はブリッチ要員をお払い箱になったミリアリアがおこなっている。
「こう言っちゃあなんだが…俺達ってダメな大人だね~」
「…そうですね」
ガロードはいつものように元気いっぱいと言う風に装っているが、実際は心ここにあらずといった感じ
だ。
それでもこのアークエンジェルにとってガロードの力の重要性は解っているので、
己を奮い立たせて調整をおこなっている。
「そういえばあのジンは使えるの?」
フラガはストライクの横に設置してある鹵獲したジンを指差した。
「取りあえずOSはガロードの坊主用に書き換えてありますがまだ調整が…」
「ふ~ん…俺でも乗れるの?」
「少佐用に調整すれば乗れない事もないと思いますが…結構慣れるのに時間がかかるんじゃ」
「けど俺も乗れるようにしないとね、MS…坊主達ばっかに戦闘を押し付けてちゃまずいっしょ」
「ですね」
フラガとマードックはそうしみじみと言った。
169:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:25:37
「ミリィ、ティファの調子は…」
「アハハハ、でねぇ…トール?」
トールが雑用<トール、ミリアリアは雑用係になっていた>を終えて病室に来るとミリアリアとティファの笑い声が響いていた。
「その調子なら大丈夫そうだな」
「はい」
「お医者さんの話じゃサウナに長時間入ってのぼせた状態だってさ」
「ふ~ん、なら平気か」
トールがそう言うとティファはこくりと頷いた。
「そっか」
「けど大事を取ってしばらく寝てなさいだって、それなら部屋でもいいのに」
「ティファ立てるのか?」
トールがそう聞くとベット端に背を預けていたティファはこくんと頷いた。
その後トールとミリアリアが面白おかしくアカデミー時代の話をして、
それを聞いてティファが笑うという構図ができていた。
「ティファ、大丈夫か?」
しばらくしてMSの調整が済んだガロードが病室に入ってきた。
ここまで走ってきたのか息を切らしていたが、ティファがミリアリア達と笑っているの見てほっと息を吐いた。
「大丈夫よ、ね? ティファ」
「はい、ガロード、私は大丈夫だから心配しないで?」
「そっか、うん」
ガロードはティファにそう言われ顔を赤くしながら頷いた。
それをこの前の逆襲とばかりにミリアリアとトールが攻め、ガロードはたじたじになっていた。
勿論ティファは顔をうつむかせて真っ赤になっていた事も追記する。
170:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:27:26
『第二戦闘配備発令! 繰り返す! 第二戦争配備発令!』
「とうとう来たか!」
「確かここってザフト圏だったんだっけ?」
「ああ、そんじゃ俺は言ってくっから、ティファはまだ大人しく寝ててくれよな!」
「私も…」
「「「駄目」」」
戦闘準備の放送が来ると病室はにわかに慌しくなった
ティファは今まで同様ストライクに自分も乗る為に起き上がろうとしたが、
それをミリアリア、トールそしてガロードに駄目だしを受けた。
その声が重なった為ティファは一瞬きょとんとしたが、意味を受けとると俯いた。
それに動揺したガロードであるがミリアリアに速く行くよう言われしぶしぶその場を後にした。
「大丈夫だって、ガロードはそん所そこらのザフトになんか負けないって」
「それにティファがここにいるんだから絶対帰って来るさ」
そんなティファをミリアリアとトールは励ました。
ティファはそんな二人を見て微かに頷いた。
171:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:28:40
「坊主! エールはまだ大気圏突入の時にブースターの回路の一部が焼けちまって使えねえ!」
「了解、そんじゃ…ソードとマシンガンをよろしく!」
「わかった」
「ガロード、一応照準は出る様にしているけど射撃はOSの補助は無いから気をつけてね!」
「俺はそっちの方がなれてっから大丈夫だよ」
ガロードはそういって手を挙げるとストライクのコクピットの中に入っていった。
『敵は戦闘ヘリだ、行けるな!?』
「へ、そんなもん余裕だぜ!」
『先に少佐のスカイグラスパーを出す! 重力に気をつけろよ?」
「俺は元々そっちの方が得意なんだよ」
『ふ、そうか。ハッチ開放、スカイグラスパー、ストライク発進!』
『先に行ってるぜ?』
ブリッチとの交信パネルとは別にもう一つのパネルが開き、フラガがそう言って来た。
「へ、おっちゃんこそ落とされんなよ?」
『お兄さんと呼べ! ああもう、スカイグラスパー、ムウ・ラ・フラガ、出るぞ!』
フラガがそう言うとストライクの横をスカイグラスパーが発信して行った。
『続いてストライク、発進どうぞ!』
「おう! ガロード・ラン、ソードストライク、いくぜ!」
それに続くようにストライクは発進した。
172:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 08:24:52
「よっ…は、っと!」
ガロードはフラガと共に難なくアークエンジェルの上に乗ったまま戦闘ヘリを落としていった。
「へへ、こんくらいなら楽勝だぜ」
『そうも言ってられなくなったぞ、お客さんだ!』
フラガがそう言うと、四足のキツネの様なロボットが3機地を這うように高速で来た。
「なんだありゃ?」
『TMF/A-802…ザフト軍モビルスーツ、バクゥと確認!』
「あれがモビルスーツ~?」
『そうだ! 陸戦用に特化しているから気をつけろ!』
「了解!」
ガロードはそう言うと右手に持つマシンガンでバクゥを牽制、
バクゥは1機がそのまま突進し、2機が左右にわかれた。
「そりゃ!」
ガロードはそんな掛け声と共にアークエンジェルを飛び降りた…が、
「うおっとっとっと…」
着地に失敗し砂に足を取られ、体制が崩れる。
しかしそれでも右手に持つマシンガンは正面バクゥに向けられていた。
そのバクゥは一度右に機体を流すと背中に背負っているミサイルランチャーを撃つ。
ガロードはそのミサイルをマシンガンとバルカンで迎撃すると、
バクゥとストライクの間に煙幕ができた。
バクゥはその場で煙幕の方を向いているとそこから一本のワイヤーが伸びてきて、
バクゥの右前足を掴み、ワイヤーは巻き戻った。
抵抗するように背中のミサイルランチャーを撃つも、
それを無視するかのようにストライクは右手を対艦刀に持ち換え、片腕でバクゥを切り裂いた。
173:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 08:25:43
「ますは一つ! ってね」
ガロードがそう言い砂漠を歩こうとするも足を砂に取られ、なかなか上手くいかなかった。
「くそ! どうす…うわ!」
アークエンジェルから離れるようにのたのた歩いているストライクを、
残りのバクゥ2機は取り囲んで攻撃を開始する。
その衝撃でコクピットが揺れたがダメージはさほど無いようだ。
「つってもこれじゃあ…ん?」
砲撃が一時やみ、バクゥが煙を上げている。
よく見るとバクゥの近くにジープが何台書いてバクゥを攻撃しているようだ。
「…にしては威力が弱いな~」
ガロードの世界では車に積む火器は大抵が対MS用の物だ。
これは総じて威力が高く命中精度も上がっている。
これは装甲が硬いMSの少しでも弱い所を狙えるようにそうなっているのだが…
ジープの攻撃はどう見ても嫌がらせ程度であり、当っている場所も装甲が厚そうな場所だ。
ジープはストライクにワイヤーガンを放つと、
『そこのモビルスーツのパイロット! 死にたくなければ、こちらに指示に従え!
そのポイントにトラップがある! そこまでバクゥを誘き寄せるんだ!』
そう言ってジープは走り出した。
「…それ以外の手も無いし…いっちょ乗ってみるか!」
ガロードはそう言うと機体をジャンプさせた。
指定のあった場所渓谷でそこまで行くとバクゥもそれを追ってきたが、
ガロードは崖の上へワイヤーを伸ばしてジャンプ、その数瞬後にその場所一体は爆風に包まれた。
174:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 08:31:39
「え~と、空は俺達の知って…いや、知らない空だな」
「え?」
「あそこになんか浮いてる」
ガロードが指差す先には砂時計状のコロニー、プラントがあった。
ガロードとティファは砂漠に抱き合って寝転んでいる。
時間を少し戻して、バクゥを追い払うことに成功したアークエンジェルは、
それに協力したレジスタンス『明けの砂漠』と武器を持ったまま話し合った。
それにより協力体制を一時取る事になったのだが、
話がまとまりガロードがストライクから降りると、
「ガロード!」
という声と共によこから誰かがタックル…もとい抱きつく。
ガロードは反応できず、しかし辛うじてティファと解るとティファが正面から倒れないよう自分を下敷きにした。
これに周囲も唖然となったが、それを無視してティファがガロードを気遣った。
それにガロードが大丈夫と答え、その後まが持たずにガロード達は先ほどの会話をした。
そこに金髪の少女が覗き込むように抱き合っている二人を見た。
「…大丈夫か?」
「平気平気…ティファ、起き上がるからそろそろ」
「…はい」
ガロードがそう言うとティファはしぶしぶという感じに起き上がった。
金髪の少女、レジスタンスのリーダーから『カガリ』と呼ばれた少女はそれを溜息を付いてみていた。
175: ◆L1QckJlrlM
07/06/23 08:34:47
ここまで、途中規制もあったけど何とかできたか…
さて、次は砂漠戦本格化っと…
クライマックスは決まっていても途中がまだあやふや…
次に投稿できるのはいつのことやら…
それではこれで
176:Exceed4000
07/06/23 08:52:41
リアルタイムGJです!接地圧の変更抜きでよく頑張った!と言いたいです。
やはり砂漠戦ではソードがメインな様で・・・
これからも頑張ってください!
以上携帯よりお送りします。
177:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 09:54:08
GJ!
毎度のがティファのほのぼのもさることながら、
こっちが動き難いのなら相手に来てもらおうとでも言わんばかりに、
本編であまり出番のなかったパンツァーアイゼンをうまい事使ってるガロードはやはり流石だ。
レジスタンスに対し抱いた感想のとこで思い出したが、
考えてみればガロードはいわば生身での対MS戦術のエキスパートなんだよな。
ガロードの指導を受けてレジスタンスがレベルアップしたりしてw
178:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 10:14:34
GJ!
砂漠に寝転んで空を見上げる二人……
なんかこそばゆいw
179:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 11:45:54
◆L1QckJlrlMさん、GJです。
うんうん、ティファ可愛いよティファ
ガロードから見て、レジスタンスが対モビルスーツ戦が下手なのは、しょうがないですね。
他の人も言っておられるけれど、そういう戦い方はガロードの方がプロだし、
逆に、レジスタンスの方は、対モビルスーツ戦なんて初めてに近いし、
こればっかりは経験したり、戦訓を重ねていくしかないですからね。
Exceed4000さんの話は、皆さんも色々言っておられますが、ちょっとカリスが迂闊すぎると思う。
好意的に見れば、性格的に嘘をつきなれていないカリスが、無理に嘘をついて、
状況を悪化させたともとれますけどね、あれは。
そこでちょっと、あの場面を俺なりに考えてみたのですが、
カリスが上官の権限で、ガロードの処分はこっちで決めると宣言、アスラン、ニコルを退出させる。
だが、その事に不満、納得できないアスランが、意見を言うために戻ってきたら、
カリスとガロードが馴れ合っている。これはどういうことだと詰め寄るアスラン、
咄嗟の事で、うまい言い訳、嘘がつけず、例の嘘をつき状況が悪化、ガロ&カリス逃亡へ
ちょっと面倒かもしれませんが、こういう流れではどうでしょうか?
180:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 13:22:41
>178
ティファが小麦色に日焼けしちゃうよヽ(`Д´)ノ
181:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 13:49:52
>>180
小麦色のティファ…
麦藁帽子とTシャツとミニスカの見た目活発そうな…
うん、新境地だww
182:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 13:59:55
ミニスカよりもキュロットを提案
183:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 14:42:22
>>180
グゥレイト!オレとこんがり同盟を結成しようぜ!
184: ◆L1QckJlrlM
07/06/23 17:33:35
う~ん…調べてみたけど今だ良くわからん
砂漠の熱対流ってビームを曲げるみたいですけど上空からの攻撃もやっぱり曲がったりします?
>>176
いえいえ、砂漠戦がソードじゃなくてヘリに一番有効なのがソードってだけです。
だってあれ切れるしブーメランはエネルギー殆ど使わないし弾ぎれないし…
>>177
後ガロードの世界とこちらの世界ではMSができてからの年数が違いますね
よってMSにする対策が専用のものか別のと同じかでかなり効果が変わりますね。
ガロードの指導…う~ん、考えてはいますがまだOSなり何なりの問題があるからな~
>>178
そのこそばゆさは別名ラブラブフィールドの効果の一つであると作者は信じます。
>>179
ガロードがプロと言うよりその世界の人はだれでもある程度対処可能と言うだけでしょう。
そうじゃないと生き残れない世界であったんだし…
>>180-181
小麦色とまでは行きませんが軽く焼けたティファと言うのはかなりおつだと思うのは私だけでしょうか?
>>183
はいはい、あなたはサイ君と同じ振られ同盟ですよ?
185:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 18:01:58
>>180-181
一念発起して自ら挑戦するが、元々頑健でもない所へいきなり砂漠の太陽に身を晒して、
たちまち日射病+赤焼けヒリヒリでKO、回復しても無念さと自分の迂闊さを恥じて
しばらく引きこもってしまうティファと、心配で戦闘待機どころじゃなくなるガロード…
というビジョンが速攻で見えた俺はフラッシュシステムに対応できるかも。
186:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 18:38:38
>>185
残念だが君はカテゴリーM(妄想、ちょっと萌え)と判定された。
187:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 22:27:37
>>184
>ガロードがプロと言うよりその世界の人はだれでもある程度対処可能と言うだけでしょう。
そうじゃないと生き残れない世界であったんだし…
ガロードは、AW世界でも抜きん出てた能力を持ってたよ。
初登場時の街でのシーンで、対MSのための自衛団?の人にも感心されたぐらいだし。
188:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 22:32:58
ふと思った。
最初にガロードを明けの砂漠のところに落っことして、
そこで戦い方教えたりMS奪って戦ったりしながら仲間を探す為に各地を渡り歩く…
そんなそれなんてボトムズ?なストーリーもガロードなら可能じゃね?
189:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 22:54:30
>>184
因みに、1/144ソードストライクの箱の側面の解説文
「アフリカ脱出戦では『砂漠の虎』率いるバクゥ軍団を相手に大立ち回りを演じている。」
190:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 22:56:29
街を焼かれてまたバカな真似をしようとするレジスタンスの末路が見えて彼らを止めようとするガロティファか。
191:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 23:14:05
ゲリラが拠点ばれた時点でヤバイしな。
192:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 23:30:38
っていうか良くも悪くも敵が軍事行動に出てる時に正面から行っちゃ駄目だろゲリラ
ブルコスよろしくテロで非戦闘時に襲って潰す
ザフトも傀儡立てて武器を与え
民族同士にやり合わせるのが基本戦術だろ
193:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 23:38:35
正規軍に正面戦闘挑むゲリラがあるかよ。
194:通常の名無しさんの3倍
07/06/24 00:03:31
>181
ティファにはミニスカではなくホットパンツを!ヽ(`Д´)ノ コレハユズレナイ
195:通常の名無しさんの3倍
07/06/24 00:05:22
お前らほどほどにしとかんと描くぞ、キュロットティファ。
板違いな気もするけど。
196:通常の名無しさんの3倍
07/06/24 00:22:19
ガロがバクゥをハンティングするのか?
で、かっぱらったバクゥはジャンク屋か武器商人にでも売って街の復興に当てる、と。
197:通常の名無しさんの3倍
07/06/24 00:27:49
>>195
描 け
198:通常の名無しさんの3倍
07/06/24 01:12:24
>>195
そして投下してくれるとうれしい。
199: ◆L1QckJlrlM
07/06/24 15:15:39
えっと、砂漠の熱対流は…
200:通常の名無しさんの3倍
07/06/24 15:28:32
真上からの射撃でもある程度はやっぱり曲がるんじゃないか?
水平に撃つよりは影響少なさそうな気がしないでもないが、なんとなく。
201:通常の名無しさんの3倍
07/06/24 17:12:50
そもそもレーザーに比べてビームに対する熱対流の影響って少ないと思うんだが。
202:通常の名無しさんの3倍
07/06/24 21:04:38
キュロットティファ…
高いところのものを取ろうと背伸びして、ちょっとスカートの奥が。でもキュロット
というシチュが連想で出てきた。想像は出来るが描き起こす技術は俺に無い
203:通常の名無しさんの3倍
07/06/25 01:33:32
>>199
想像で物言うと
地形・地理・季節・時間が影響するだろうからなんとも・・・
地形・窪地なら熱の逃げ口は南面の斜面方向?比較的冷気は日照の少ない面から進入?
地理・マクロで上昇した空気を補うためにどこかから補う?水がある地形や冷気の多い地形から?対流の方向に影響?
季節・陽光は何処から差しているか?季節風は?気圧配置?
時間・太陽はどの位置?どの面を照らしている?
とかが絡みそうで分からん
でベクトル決まったら計算だろ
対流の方向も素直に上にとは限らんだろうし,影響ありで適当にやれば?
204:通常の名無しさんの3倍
07/06/25 02:06:26
203に同意。
空気をイオン化できる程のエネルギーを持つビームを実際にぶっ放した例なんか無いし、
計算しようにも、量子力学における確率およびカオス理論の領域だ。
細かいことは気にしないほうがいいかも。
205:通常の名無しさんの3倍
07/06/25 22:27:18
ビームが曲がってるんじゃなくて
陽炎みたいに空気が揺らいでる所為で狙いが付けづらいんじゃないかな?
と勝手に思ってた
206:通常の名無しさんの3倍
07/06/25 22:42:20
つかそれらしく聞こえれば大嘘でも全然おk。
207:通常の名無しさんの3倍
07/06/25 22:43:28
>>205
確かに。
有視界戦闘だったら、そっちの方が深刻かもしれない。
下手すれば、目標を見失う可能性が高いと思う。
208: ◆L1QckJlrlM
07/06/26 12:20:41
了解です、でわそれらしく書いて見ます…
…私が思うNTの限界が出てくるやも知れませんね
209: ◆xLCCca1qz6
07/06/27 15:26:31
「そう言えばさ」
「ん?」
ガロードがストライクのOSを砂漠様に書き換えているキラに話しかけた。
「フラガのおっちゃん、俺があのキツネ野郎と戦ってる間何してたんだ?」
「ガロードが1機目を倒す前にヘリを全滅させて、
その後戦艦からの砲弾を食い止めたり敵艦の位置を特定したりしてたよ」
「敵艦? いたのか? 全然見えなかったぞ?」
ガロードがそういって首をかしげるとキラはプログラムし終わったのか画面からガロードへ視線を移し
た。
「うん、居たみたいだね…なんでも砂漠の…なんだっけ…キツネだったかな? そんな事いってたよ。
さっき襲ってきた部隊もその人の指揮する部隊だって」
「ふ~ん、キツネってのは同意だな、なんかそれっぽい動きするし背中から砲撃するし」
「そうだね」
そう言うとガロードとキラは笑いあった。
なおそれを横で聞いていたフラガは腹を抱えてピクピクと肩を動かしていた。
どうやらキラの『キツネ』発言が壷に入ったようだ。
210: ◆xLCCca1qz6
07/06/27 15:27:35
「な~んか慌しいな」
「こっちだって忙しいんだよ?」
キラはそう言うとエールストライカーパックの再調整をしていた。
なおその横ではキラ用の飲み物を持ったミリアリアと整備員の小間使いされているトール、
ミリアリアと一緒にガロードの飲み物と結局食堂に来なかった二人の夕食を持つティファがいる。
「キラ、そっちはどうなの?」
「あと少し…よし、これで地上ではある程度空を飛んでいられるよ」
「サンキュー、やっぱ空飛ぶとなるとエールが一番いいんだよな?」
「そうだね、ソードやバスターだとジャンプが精々で滞空はできないし」
「ねえガロード、やっぱり空からの攻撃って有利なの?」
ミリアリアはティファと共に夕食をガロード達に渡しながら訊いた。
「ああ、空飛んでるってだけで簡単に相手の死角に潜り込めるし、回避もラクだぜ?
それに相手の真上から落ちるだけでも結構な攻撃になるから」
「へ~」
ミリアリアはそういって頷くと、
『総員! 直ちに帰投! 警戒態勢を取る!』
とアナウンスがアークエンジェルに響いた。
「一体どうしたんだ?」
「何でもレジスタンスの拠点が攻撃されたんだと…
もしかしたら囮かもしれないから坊主達はこっちで待機だ」
「てことはフラガのおっちゃんが?」
「お兄さんだ! ったく…スカイグラスパー、出るぞ!」
フラガのスカイグラスパーが発進した後、格納庫は静かな緊張感に包まれていた。
211:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/27 15:28:35
「え? 援護?」
『ええ、そうよ…流石にレジスタンスじゃバクゥには勝てないわ』
「そうなの?」
ガロードはそう言うと首をかしげた。
ガロード達の世界では闇討ちすれば武装車両がみっつもいて訓練なり修羅場をくぐるなりしていれば、
旧式ならばどうとでもなる。
もっともこの世界とガロード達の世界とでは武装車両の火力が全然違い、
ここの世界はあくまで対戦車用、ガロード達の世界は対MS用だ。
まあ火力の他にMSが登場してから20年近くたっているのと、
1年以下と言うのならば対策の違いがあって当然である。
『と言う訳だからお願いね?』
「了解っす、ティファはどうする?」
「一緒に行きます」
傍らのティファに聞くともう行く準備万端といった具合で、
ベンチシートに座りシートベルトを装着していた。
『装備は一番速いエールで』
「あとバズーカと予備の弾ね! …うし!」
『APU起動…カタパルト、接続。エールストライカー、スタンバイ。
システム、オールグリーン。進路クリアー。ストライク、どうぞ!』
「ティファ・アディール」
「ガロード・ラン「エールストライクガンダム、行くぜ(行きます)!」」
二人の掛け声と共にストライクは四つの大型ブースターをふかし、
砂漠の夜を高速で飛行していった。
212:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/27 15:30:12
「お、見~っけ…なんだよまだ全然倒せてないじゃん」
「ガロード、あれ…」
ティファが指を指す先では、バクゥが3機バギー10台に囲まれてからだから爆炎を上げている。
もっともそれに応える様子はなく、そのバギーを潰そうとバクゥ達も必死になっていた。
「よし、チャンスだ!」
ストライクはエールパック装備で高高度を飛んでいる。
それでも備え付けのレーダーでバクゥ達を見つけられたのは、
バギーのロケットランチャーの爆炎があったからこそである。
「ティファ、しっかり捕まってるよ!」
「はい!」
ガロードがそう言うとストライクは右手に装備しているビームライフルを構え、ブーストを切った。
推進力を失ったストライクはそれから数瞬もしない内に落下を開始した。
バクゥ隊はストライクの存在に気が付いたのか上を見るものの、構造上真上への攻撃は難しい。
そうしてのたのたしながらもストライクへミサイルを向けたバクゥのすぐ横をビームが横切った。
「…あり?」
ガロードはそういいながら降下から一転上昇し、ビームライフルを2発撃つが、
しかしビームはことごとく外れた。
「…ビームが」
「曲がった…?」
ガロード、ティファはその現象に首を傾げたがミサイルが接近して来たので考えるのをやめ、
そのミサイルをかわし、打ち落としす。
「仕方ねえな、だったらこれで!」
ガロードはそう言うとビームライフルから持ってきたバズーカに切り替える。
213:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/27 15:31:49
「…く………そりゃ!」
バズーカの弾は再度降下したストライクから撃たれ、
バクゥの内一機がその攻撃によりミサイルランチャーに命中、吹っ飛ばされた。
ガロードは最初機体を上下逆にして降下したが、正位置に戻し足から着地した…
一瞬前までいた攻撃されてないバクゥの位置に。
どうやらキラの砂漠対応は完璧なようで、足が埋まったり滑ったりしなかった。
「ち、惜しい」
「ガロード、後ろ!」
ストライクの着地で砂が舞い上がり視界は見えなくなったが、
バクゥ達はそれを好機とミサイルを放ってきた。
ミサイルアラームもなってはいたが砂の影響かどこから来たのかは解らなかっただけに、
ティファの指摘はガロードにとってありがたい物だった。
「うおっと!」
ガロードはブーストを点火、砂を巻き上げつつ水平に左に移動、
偶然そこにいたもう一機のバクゥにケリを食らわせ、バズーカを撃った。
蹴られたバクゥは回避仕切れず翼に当たり、その爆炎がミサイルに誘爆した。
「おしい! …ん?」
すると今までばらばらに攻撃していたバクゥが前二機、後ろ一機の三角形の編隊を組んだ。
214:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/27 15:33:42
三機ははじめ一直線にガロードへ突進、
ガロードがバズーカを撃つと後ろの一機は後退しつつミサイルを発射。
後の二機は左右に別れ、ガロードがミサイルを迎撃しようとバルカンを撃つと、
後ろと斜め右方向から同時に体当たりをしてきた。
ガロードはそれをジャンプする事でかわしたが、バクゥ二機はお互い上手く交差し、
それぞれぶつからずに着地した。
それと同時にアラートが鳴り響き、ミサイルの第二派が来た。
これに対しガロードはミサイルの横に突っ込み、バルカンで当たるものだけを破壊、
そのままミサイルの持つバクゥへバズーカを向けた。
バクゥはそれに対し左右に蛇行しつつ後退し、当たらないようにしつつミサイルを発射するが、
ミサイルをバズーカをバルカンで相打ちにされ、煙幕ができた。
他の二機のバクゥも食いつこうとするも射撃武器を持っておらず、様子を伺っていた。
ガロードは煙幕を利用してシールドを投擲、バクゥはそれを右に避けると、左足にナイフが刺さった。
反対側にはバズーカの弾が当って爆発したことからこちらの方が正解なのだが、
左腕にビームサーベルを装備したストライクがそのままバクゥの胴体を切り払った。
爆発するバクゥを背に残り二体のバクゥを見るストライクに対し、バクゥは撤退をしていった。
215:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/27 15:35:14
「うへ~、結構やられたな」
ストライクから降りたガロードは、そうひょうひょうと言った。
これに対しカガリが、
「おい、そんな言い方は無いだろう!?」
と言うも、
「復讐って言っても俺が来なきゃ全滅してただろうし、装備も貧弱…
これじゃ八つ当たりって言われても仕方ないぜ?」
と返された。
「なんだと…貴様!見ろ! みんな必死で戦った…戦ってるんだ!
大事な人や大事なものを守るために必死でな!」
「戦えば良いという物ではありません」
「ティファ?」
いつの間にかティファが怪我人の手当てからこちらに来ていた。
「力がなければどの様な思いがあっても、それを叫んでも無意味な事があります…
勿論力があるからと言ってその思いが達成される訳でもありませんが…」
「それじゃあ…それじゃあ一体私達はどうすれば良いんだよ!」
「解りません」
「「え?」」
「思いは人それぞれであり、その思いによって必要な事は別だったりします。
その伝え方、解決方法は決して一つではありません…
その方法はあなたが自分で考えなければいけません」
「自分で…」
カガリはティファの言葉を呆然と聴いていた。
216:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/27 15:42:23
今日はここまで、最初名前間違ってました、すみません
ティファがカガリへ諭した最初の回ですがどうだったでしょうか?
ラクスと違いティファは自分のやりかたをあまり語らないと思います。
あくまでその人にあったやり方がある、
そしてそれは自分が予見した未来へ必ずしも続かない物であると解っています。
なんせガロードに何度も覆されたのですから…
まあ行動力と言う点でも多少は違いますが…
…砂漠のキツネ、もといトラとの会談、どうしようか悩んでいます。
やりますよ? けどその中身が…
戦争の傷跡は知っていても戦争の終わらせ方は…
217:通常の名無しさんの3倍
07/06/27 15:56:31
乙……なんだけど、いつにも増して文章が雑じゃないか?
218: ◆L1QckJlrlM
07/06/27 16:16:46
>>217
あう…
自分では気をつけているつもりではあるんですが…
今日のように昼間のみ無いというのは珍しく時間がある時に書いてるからどうも
戦闘シーンは頭に浮かべばすらすら行くのですが今回は難産で思いついては書き書いては考えを繰り返し…
結果指摘された通り雑になったやも知れません。
これからもこのようなことは無いようにしたいのですがどうなるかはわかりません
これからもご指導のほどよろしくお願いします
219:通常の名無しさんの3倍
07/06/27 17:03:59
せめて改行はちゃんとしようぜ!
220:通常の名無しさんの3倍
07/06/27 17:23:09
おいおい まずはねぎらおうな。GJってさ。
改行は問題無いようにみえるぜ?てにをはが、ちっと乱れてるけど。
まあとにかく、うpスゲーうれしい。
221: ◆L1QckJlrlM
07/06/27 17:39:33
>>219
あれ?
改行は気を使っているしPCでは問題ないと思ったのですが…
携帯からの場合変に写るのか? どうすれば…
>>220
ありがとうございます
>てにおはが
えっと…タイプミスでしょうか?
222:通常の名無しさんの3倍
07/06/27 17:47:00
てにをは……助詞のこと
223:通常の名無しさんの3倍
07/06/27 18:12:00
あなたを犯人です
こんなんだな、「てにをは」がおかしいってのは。
224: ◆L1QckJlrlM
07/06/27 18:15:32
なるほど…気をつけます
225:通常の名無しさんの3倍
07/06/27 19:01:51
>>221
いや俺もPCで見てるが>>209に変な改行で出来た空白の行がある
226:通常の名無しさんの3倍
07/06/27 23:37:06
虎との対談かぁ……
ここは一つ、「彼女」の活躍に期待するぞ。
227:通常の名無しさんの3倍
07/06/28 00:06:05
遅ればせながらGJ!
>「戦えば良いという物ではありません」
これを字面で見た時ラクスの言い様と被って見えてしまったorz
その後の発言で根本が違うのは容易に理解できたが、
どちらも一応『電波系ヒロイン』という同じカテゴリーに分類されるのだという事を今更ながらに思い出したよ。
そういえばAWでもビームの屈折云々は間違いなくあった筈なわけで…(流石に砂漠戦ほどではないだろうが)
その辺どうなってたんだろう、
地形、気候によって状況は千差万別だろうから自動調整とか付いていたのか?
228:通常の名無しさんの3倍
07/06/28 01:41:20
まあ、OSの精度が段違いだから
Xの方は照準自動補正ぐらいついてても
違和感ないな
229:通常の名無しさんの3倍
07/06/28 03:15:28
話変わるがACEでXと無印種が共演するそうな。
あのDOME行く時の戦闘がヤキン戦みたいに横から乱入して殲滅するとかいう
アホなことにならないか心配だ・・・
その逆でガロードがヤキンでサテライトぶっ放なすのも嫌だ・・・
230:通常の名無しさんの3倍
07/06/28 07:32:52
ジェネシスに向ける分にはいいんじゃね?>サテキャ
艦砲はろくに効いてなかったようだし…
231:通常の名無しさんの3倍
07/06/28 09:33:19
>>229
>ACEでXと無印種
を見てACE COMBAT Xと無印種だと思った俺は間違いなくスレ違い。
232:通常の名無しさんの3倍
07/06/28 13:31:04
<<南十字星を墜とせ!>>
動かせるエアマスターとレオパルドにドキドキが止まりませんぜw
233:通常の名無しさんの3倍
07/06/28 16:09:30
Gファルコンとの合体はあるかな?
あの変形機構と火力を手にしたパーフェクトDXで暴れてーぜw
234:通常の名無しさんの3倍
07/06/28 17:21:12
>>233
何そのまぬけなメル欄
235:通常の名無しさんの3倍
07/06/28 17:35:10
>>234
失礼。最近この業界はいった新人なもので。
236:通常の名無しさんの3倍
07/06/28 20:27:06
ちょwww
デザートロンメルwwwwwww
237:通常の名無しさんの3倍
07/06/29 12:06:05
ネタが・・・
238:通常の名無しさんの3倍
07/06/29 17:43:37
無いなら振ればいいじゃない。
というわけで一つ。
C.Eの遥か昔にA.Wが存在したとして(∀による文明埋葬等によって)、
それでもなお残っている物があるとしたらどんなのだろう?
239:通常の名無しさんの3倍
07/06/29 17:57:34
地球と月。
240:通常の名無しさんの3倍
07/06/29 19:02:10
月は何時でもそこにある
241:通常の名無しさんの3倍
07/06/29 20:48:08
パソに触ってなかったらSS投下されてた、GJ!ただ少し今回はやっぱり雑だった気もする・・・
砂漠の狐ロンメル元帥(将軍?)か、役でいうとMSVのモーガン・シュバリエだね
戦車隊にエル・アラメインは月下の狂犬と共通してるし
ちなみに生物学者のモーガンと顔が似ている(手かこの人がモデルだろうな、顔と名前は
横にそれたけど投下乙、カガリとティファのシーンはよかったよ
本スレも見たけどACEでXとSEEDが参戦か、Xファンとしては嬉しいね
待遇が良ければいいんだけど・・・楽しみだな
242:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 00:16:01
種世界のビーム兵器はビームとは名ばかりのレーザー光線のようなもの。
砂漠の熱対流ごときで曲がったり、ラミネート装甲なんてもので防げる位だし。
ネロブリッツとやらのクリスタル化装備の説明で確信した。
何でもビームを内部屈折させて撃ち返すといった使い方をするものだが、
プラズマ化した金属粒子が固体を通り抜けたり跳ね返ったりするものだろうか?
243:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 01:22:07
い、言われてみれば……
244:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 09:00:45
確かに粒子ビームなら熱量のみならず運動エネルギーで
ダメージを与えられるはずだし・・・
UCでは粒子ビームがメインで
CEではレーザービームがメインなんだろうか?
245:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 13:03:29
だがCEのビームはプラズマだと言う謎。
246:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 13:54:25
つまり種のビームは心霊現象と同レベル。
そりゃ簡単に無効化されるわ。
247:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 14:00:17
レッドフレームはプラグからびビームに使うエネルギーを直接出して球状にできるし
種のビームは謎が多い。
248:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 15:07:57
>>246
大○教授乙
成金ピカツキの「装甲表面でビームを受け止めて、任意の方向に撃ち返す」
なんて超技術を出した種世界で物理を語っちゃいけないような気がするぜw
249:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 16:24:44
種のビームは陽電子砲なども含めて、その全てが怪しい光線、すなわち
『怪光線』であるという説をここで発表する
250:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 18:17:01
つまり機械獣や戦闘獣と同じか。マジンガーの出番だな。
251:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 19:06:30
よし、割れるバリヤーの開発だ!
252:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 20:31:06
ゲシュマイディッヒバンツァーやアルミューレ・リュミエールはUCのビームに対しては全くの無力であろう。
最強武器もレーザー対艦刀だからな……
ビームサーベルもビームとは名ばかりのレーザー剣なのだろう。
ところでCEのビームもどきはUC他のMSに通用するのだろうか?
気休め程度のビームコーティングで弾かれてしまうような気がするのだが……
253:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 20:43:17
CEの怪光線は粒子ビームの短所とレーザーの短所を併せ持つ!
254:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 21:05:56
つまりプロテクトシェードにもミラーコーティングにも無力だと
255:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 21:36:19
ああ、そうかだからPS装甲なんて代物が流行ったんだ
実弾技術が恐ろしいほどに発展したからそれに対しての対抗策は進んだけどビームと言うかレーザーには
まったく防御方法を考えていなかったからこそある意味全盛期なわけだ
256:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 22:07:39
しかしCEにはチタン系の合金を安く大量に精製する技術がない。
やっとの事で開発された新合金はジャンク屋に奪われ、無駄遣いされてしまった。
257:通常の名無しさんの3倍
07/06/30 22:32:40
Ex氏が水曜日から投下する訳だが08スレの三人目よろし大ポカやってド顰蹙食らわなければいいけど
クロスアストレイ氏もDC氏もやっぱり忙しいのかな・・・
258:通常の名無しさんの3倍
07/07/01 15:17:16
>>256
いくらチタン合金だろうと負債製のスーパー合金作ろうと、
CEの連中は一枚板の硬くて衝撃をよく通すワケわからん装甲しか作れんよ。
複合装甲を知らないんだから。
259:通常の名無しさんの3倍
07/07/02 22:09:53
トランスフェイズ装甲はある意味複合装甲じゃないか?
260:通常の名無しさんの3倍
07/07/02 22:42:49
PS装甲を通常装甲(どんなもんか知らんが)で覆っただけだろ。
結局ビームに弱いし圧力センサーおしゃかになったらPS化もしなくなるしな。
通常装甲がよほど衝撃を吸収しないとただ二枚板にしただけで意味なさそうだ。
261:通常の名無しさんの3倍
07/07/02 23:10:08
ビームに弱いのは極端に厨臭いヤツ以外どれも一緒じゃん。
262:通常の名無しさんの3倍
07/07/02 23:17:28
PS装甲は通常装甲よりはビームに強いとされてはいるんだが……
ビームコーティングの類が出来ないんだろうな。
あれ?TP装甲って、ビームにも強くなれる可能性があるんだ。
263:通常の名無しさんの3倍
07/07/02 23:29:55
つーか通常装甲にアンチビームコーティングした方が種前半はともかく
後半と種死以降ならVPS・TP装甲より強いだろ。
264:通常の名無しさんの3倍
07/07/02 23:42:42
主任「ええい、わがままな連中だな。ならば基礎となる装甲は発泡金属、その上にTP装甲を重ねようじゃないか。
さらにビームへの耐性を付けるため、TP装甲の外側部分は通常装甲からラミネート装甲に置き換えてみたぞ。
なに、MSサイズでラミネート装甲は意味がないだと? 心配するな、強制廃熱装置を大幅に増設して廃熱対策も万全だ。
次期量産MSを決めるコンペティションで有象無象を蹴散らす日が楽しみだな!」
~コンペ当日~
助手「……重過ぎていい的になってます」
265:通常の名無しさんの3倍
07/07/02 23:46:49
子供の時に皆が一度は考える、「盾の材質で装甲作ればいいのに」と同じだw
266:通常の名無しさんの3倍
07/07/03 00:01:24
>>265
実際問題盾の欠点である寿命の短さも
一会戦乗り切れる
何十機も落とされている
ことを考えると、コスト的に考えても
優秀なパイロットの機体に付けてもいいような気が駿河
267:通常の名無しさんの3倍
07/07/03 00:11:56
>>264
そこまでしなくても発泡金属にビームコーティングだけで十分。
コーティング量にもよるがアグニクラスまでなら耐えるとみた。
268:通常の名無しさんの3倍
07/07/03 00:56:50
UCのMSは盾も装甲も素材は変わらない希ガス……
但し盾は分厚くできるし、デッドウェイトになりそうなら捨てるなり、最初から装備しないといった選択肢がある。
269:通常の名無しさんの3倍
07/07/03 01:08:05
ベテランならその方が強いかもな。
「当たらなければどうということはない」このためにある言葉だな。
270:通常の名無しさんの3倍
07/07/03 18:47:32
ヤタノカガミの下にPS装甲してTS装甲にすればいいんじゃね?
271:通常の名無しさんの3倍
07/07/03 19:44:02
陽電子リフレクター+PS装甲でFAじゃね?
272:通常の名無しさんの3倍
07/07/03 21:09:19
アルミューレリュミエール常時展開しとけばビーム・実弾
ばっちこーいじゃん。
273:通常の名無しさんの3倍
07/07/03 21:39:25
いい加減スレ違いだぞ、明日Exceed氏が投下するんだしそのくらいにしておけ
274:通常の名無しさんの3倍
07/07/03 21:54:18 oAyPnaHF
オーケー、コーヒー飲んで落ち着こうぜブラザー。
275:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/07/04 02:40:55
久々にスレの中を見に来ましたが、曜日を間違ったせいか、1日違っているせいか、なかなか大変な事になっているようで……
次回投下を2007/07/05 20:10:18としたのはよく見に行っているX運命氏の第一話が投下されたのが
一年前の2006/07/05 20:10:18だった訳で(X運命氏のサイト、コーヒー過去ログを参照に。まさか気づいていた人板のかな?)。
と言ってもミナさんをこれ以上待たす訳にもいかないので、明日投下します。
一応37話、オーブ近海の戦闘まで書き終わったのでコーヒー飲みつつ一息吐いています。
Xからのキャラも、声ネタ含め更に二人も出して整合性を取るのは結構きつかったなあ……と。
ガロード、ティファ、カリスの脱出行は?ジブラルタルは?ビクトリアは?カガリとは、虎とはどうなるの?アスランたちの動向は?
疑問は尽きないと思いますが、他の種再構成スレを参考に色々と頑張りました。
38話以降の続きは鋭意執筆中ですので、これからも宜しくお願い致します。
では、また後程。
276:通常の名無しさんの3倍
07/07/04 11:04:02
あのままフェードアウトかと思ったが続き書いてたんだ。
今まで散々突っ込まれてたのに、そんなにまとめて書いて大丈夫か?
277:通常の名無しさんの3倍
07/07/04 18:35:37
続き書くのは別に構わんが、
ストーリー展開のためにキャラを不自然なレベルの阿呆に貶めるのは勘弁してくれ。
278:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/07/04 20:10:25
第二十五話投下します。凸とわかめの扱い苦労しました。
機動新世紀XSEED 第二十五話「仕方ありませんね……」
基地内に警報が鳴り響いた時、ニコルは格納庫のメンテナンスベッドにある自分の機体に向かっている途中だった。
あの傭兵が捕えられている部屋でアスランが銃を撃った直後、傭兵と副指令……だった人を追おうと出入り口に向かって走る彼から、直ぐに自分の機体に向かうように直接言われたのだ。
理由は訊く前に相手が言ってくる。曰く、『MSを使って逃亡されたら洒落にもならない』との事。
野暮な事をしてあの状況で彼をあれ以上怒らせれば、間違いなく冗談抜きで脅しの矛先は自分に向いていたのではないかと思うと、ニコルは背筋に僅かばかりの悪寒を感じた。
今彼は正直な事を言えば、アスランに対して良い感情を抱けないでいる。
確かにあの傭兵が乗った機体によって多くの仲間達が散っていき、アスラン自身も先の戦闘に於いて彼等に当たったせいで捕虜となった事は事実だ。
だが、だからと言って問答無用で射殺して良いという事ではない。
尋問くらいは許されているので訊くべき事……あの超能力じみた戦闘能力は一体何なのかと……は訊いておかねばならない。彼らの仕事上自分達が知っていない事を知っていそうだったからだ。
だから出来るだけ人払いをさせて簡単な事を訊こうとしたその時にアスランが来た為にそれは頓挫してしまった。
そうこう考えている内に自分の機体の前にやって来る。
格納庫の中は地球のあちこちに回される数多くのMSの周りを、やはり多くのスタッフがあちこちに忙しなく動き回り、起きている事の重大さを鮮やかに物語っていた。
ニコルはすぐに近くにいたスタッフの一人を捕まえて、自分の機体の状態について訊こうとする。
だがその時、格納庫の出入り口から凄まじい轟音と爆風が襲い掛かってきた。
背後に気を配っていなかった者達は一瞬にして方々に吹き飛ばされる。
彼もやはり同じ様に吹き飛ばされるが、床に身が当たる直前にとった受身の姿勢で何とか手負いにはならずに済んだ。
ふと2~3m程右隣を見ると、先程自分に応対しようとしていたスタッフがその場に転がっている。
ピクリとも動かない所を見ると、どうやら気絶しているか、打ち所が悪くてこと切れたかのどちらかのようだった。
次に意識が朦朧とした中で濛々と煙のたちこめる入り口付近に彼が見たのは、ノーティラス副司令官が数多の戦場で駆っていたとされているMSだった。
真っ白な色で流線型且つシャープな形のパーツが多く使われている、時代の先鋭を走ったようなデザイン。
正規のザフト製MSではなく極秘開発されていたと噂されていた、そのMSの名前を彼は一度だけ周りの人間から聞いた事があった……ヴェルティゴ、と。
それはゆっくりと中に入って来た後、外部スピーカーを通じて大声を上げる。
『ガロード、ティファ ! 今です ! 』
すると次の瞬間、爆煙の中からあの傭兵二人の影がこちらに向かって走ってくるのが見えてきた。
こちらに向かってくるのを確認したニコルは、その場に立ち込める煙と塵に軽く咽ながらすかさず銃を構え威嚇射撃をするが、全く応えないかのように走り続ける。
威嚇が用を成さないと思った後、次に本気で二人の内少年の方に狙いをすまして撃ってみる。
しかしその一発は少女の方が少年と繋がれている方の手を引っ張った為に、すんでの所でかわされてしまう。
279:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/07/04 20:11:33
やっぱり、とニコルは思った。
戦場でどうしてあんな敵の動きを悉く先読み出来る様な動きが出来たのか、鍵を握っているのはあの少女の方だと。
とはいえ銃弾という物を避けるには距離にも方向にも、そして数にも限度がある筈だ。
そう思って試しに二人に向けて4発ほぼ同時に撃ってみる。
一発目は少年の方の頬を、二発目は少女と繋がれている手の真上を掠めていく。
しかし三発目と四発目はやはり少女の方が先に動き、弾をかわす絶妙のタイミングで咄嗟に少年の方に体を寄せつつ、横っ飛びに跳躍する。
そして若干スピードを落としたものの、自分の目の前にあるブリッツまであと5~6mという所にまで迫った。
その時になって漸く周りから保安要員や兵士等が銃を構える音が聞こえ始める。その数は一瞬聞こえただけでざっと20くらいだった。
だが全ては遅かった。こんな距離になっては彼にまで当たってしまうかもしれないし、煙と塵のせいで余計に照準が定まらないだろう。
かくなるうえは徒手格闘しかないと思い、ニコルは銃を捨て少年を気絶させるべく下腹の辺りに一撃を喰らわそうと拳を勢い良く前に出す。
だがその時、少女の方が先に半歩程少年の前に躍り出て、真正面からそれを下腹辺りに自ら受け止めた。
次の瞬間、「あうぅっ !! 」という高く小さな呻き声と共に少女はその場に崩折れ、そのまま気を失ってしまう。
まさかの出来事にニコルは刹那の間その場に固まってしまう。
少年はニコルが最初からティファを狙っていた様にでも見えたのだろうか、烈火の如く大声で怒鳴る。
「てめぇっ !!! よくもティファをっ !!! 」
「待って、ふか…… !!! 」
不可抗力だと言おうとしたが最後まで言い切る事が出来なかった。
信じられないほど素早く少年が前に向かって駆け出し、ハイキックで拳を握り締めたままの自分の顔の右側に蹴りを入れてきたからだ。
いつものニコルなら避けられない事も無い、所詮は全く脅威になりえないナチュラルの繰り出す蹴り。
しかし何故か彼はそれをまともに受けてよろめいてしまう。
それはどういった立場にしろ、女性に対してはあまり手を上げる様な乱暴な真似をしたくないというニコルの意識の裏打ちか。
ともかく少年にとってはその一瞬があれば十分だった。
彼は少女を抱え上げ近くにあったブリッツのコクピットに乗り込むべく、幸運にも下に降りていたワイヤーに足をかけ上に昇る。
やがて意識が薄れていき、そしていきなり強く床に叩きつけられたせいか体の節々が上手く動かないニコルが気を失う直前に見た物……それは調整中と言われた愛機のコクピットに吸い込まれていく二人の人影だった。
280:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/07/04 20:12:48
ガロードは頬と右手から流れる血を拭き取りながらブリッツのコクピットに座る。
気絶しているティファは自分の膝元に寝かせた状態にした。
その時、あのアークエンジェルから脱出したザフト兵ことアスランの仲間はつくづく碌な人間がいないのではと思わされる。
当の彼は言うまでも無く、ニコルだとかいった坊ちゃん育ちそうなやつも、理解力がありそうな顔をしてティファの体を思いっきり殴りつけた。
事態が事態だけに一発だけキックをお見舞いするだけにしたが、本当だったらコーディネーターだろうがなんだろうが関係無くボッコボコにしているところだった。
さて奪取されたXナンバーの機体の一つを奪いかえしたはいいものの、ガロードにとってこれは当たり前だが未知の機体だった。
ザフト製のMSしか動かした事のないガロードにとって、イージスのコクピットをちらとも見なかったので連合のMSはどうすれば動きだすのか皆目見当がつかない。
また二人が乗った時にコクピットハッチが閉まったとはいえ早く起動させなければ、敵が無理矢理乗り込んできてあっという間にホールドアップになってしまう。
「ちくしょう ! どれだ ? どれが起動スイッチなんだよ ?!! 」
様々なボタンを押していると、外から短機関銃の音が止む事無しに鳴り始める。
早く何とかしなければ……
そしてそれは恐らく色々なボタンを50回近くは押した後だったろうか、不意にブンという駆動音がして様々な箇所に光が灯りだす。
それに伴いモニターも外の様子を映し出し始めた。
その直後自分の視界の左から右に多数の銃弾が流れて行き、右側でMSにでも当たったのか多くの爆発が起こる。
MSの頭部メインモニターをレバーで動かすと、ヴェルティゴが内蔵ビームライフルを構えていた。
更に外部スピーカーからカリスの声が聞こえてくる。
「ここは一旦僕がくい止めます !! 」
ガロードは無言で頷き、ゆっくりと目の前にあるレバーを動かしだす。
次にエンジンが低く唸るような音を立て始め、両足がぎこちなく動き出した。
全くといって良いほど整備を受けていない様なぎくしゃくとしたその動きに、どこかおかしいと思っていたガロードははっとする。
連合が開発したMSとはいえ、これのOSはコーディネーター用の調整が成されているのだ。
ナチュラルのガロードが動かした所で幼児並みの動きしか出来ないのは仕方がない。
と言った所で、こんな状況で直ぐにOSの書き換えなんか出来る訳が無い。
そんな事が出来るのは彼が知っている人物で思いつく限り、今はアークエンジェルにいるキラぐらいしかいない。
しかし、今は出来るだけの事をしなければ命の保証は無い。
自分でも出来るだけ精一杯の速さで色々なスロットルを動かすが、それでもかなり鈍い動きだ。
コーディネーター達が見れば鈍重とかそう言う前に不器用な方だと断じ切っているだろう。
2~3歩歩みだすと直ぐによろめいてしまう。
と、その様子を見ていたヴェルティゴが側まで駆けつけて両脇を抱える。カリスにもガロードが機体を上手く動かす事が出来ないと分かったらしい。
それから直ぐに通信が入った。
『ガロード !! 君達の仲間が居る場所はこちらでもある程度掴んでいます。機体の調整はそこに向かうまでに出来るだけの範囲で済ませられますか ? 』
「……やってみる !! 」
それ以上ガロードは答えないようにした。
OSの調整なんてこの世界に来てから片手の指を折って数えるぐらいしかやった事がないし、キラがそれをやっているであろう光景も感心しながら数秒目に留めている程度でしかない。
完全に勘の範疇で調整するしかなかった。
その間にもヴェルティゴはブリッツをその場から引き離し、スラスターを全開にして格納庫から出ようとする。
281:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/07/04 20:14:11
しかしそんな時、目の前に立ち塞がる者がいる。
格納庫の外に出たヴェルティゴとブリッツの視界の前に現れたのは後方に何十機ものジンやディン、シグーやザウート、バクゥを引き連れたバスターとデュエルだった。
多くの味方を引き連れているあたり、恐らく待ち伏せでもしていたのだろう。さすがに敵の地上一大拠点というあたり半端ではない。
そこから逃げる為に間合いを取るカリスと必死になって機体の調整を行うガロードに、耳を劈くような大声が音声通信で入ってくる。
『しれいか……いや、違うっ ! 貴様っ !! よくもニコルを人質にしたな ?!! 』
当然の事だが、バスターとデュエルに乗っているであろうニコルという人物の同僚は、先程の格納庫の顛末を見ていないので、ブリッツには違う人物がいるという事を知らないのだろう。
ガロードがそれは違うと言おうとしたが、それより先にカリスの方が相手に向かって通信を入れる。
『そこから一歩でも動いたり、こちらに向かって発砲したりするような事があればこのMSを破壊します。僕の力は良くご存知でしょう ? 簡単に同僚を失う事になってもいいのですか ? 』
その言葉の後に、ヴェルティゴは内蔵ビームライフルをブリッツのコクピット近くに突きつける。
成程ね……とガロードは納得した。
つまり傭兵である自分達はヴェルティゴにカリスと共に乗っている事にして、このブリッツにニコルという人物を乗せたまま人質にした状態でここから逃亡しようというのである。
それなら下手に相手は手を出す事は出来ない。
カリスの目論見は当たったらしく、敵は武器を構えたままその場に立ちつくす。
それを確認したヴェルティゴはスラスターを吹かして滑走路の方へ向かう。
相手が撃ってくる気配が無い事からガロードは一瞬上手くいったと思った。
ところがその場から飛び立つ直前、一発の砲弾がヴェルティゴの機体の横を掠めた。
ガロードとカリスがぎょっとしてその方向を見ると、一機のディンが空中に上がった状態でこちらに狙いをすましていた。
そしてそのディンから一つの怒号が聞こえてくる。銃で足を撃ち抜かれたはずのアスランのものだった。
『それに本当にニコルが乗っているのか ? なら通信の一つでもこちらに入れてくるはずじゃないのか ? 』
『僕は彼がこの機体の中で気絶しているだけだと思いますが、それが何か ? 』
それにはカリスが凛とした声で反論する。
実際、彼は本当に気絶していた。カリスとガロードのいる所から150m程背後にある格納庫の中でだが。
また、その場にアスランがいる事にやはり味方内も驚いたらしく、心配した同僚と、怒鳴る様なそれへの応対の様子がその場に駄々漏れになる。
『アスラン、お前銃で撃ちぬかれたって……』
『撃たれたのは足の甲だけだ ! それに片足だけででもMSの操縦くらいは出来る ! それと、聞こえなかったのか ! 敵に買われた傭兵と共に副指令殿が逃走したんだぞ ! 』
いや、そうだとしても……
イザーク達はそう思ってその場で判断を鈍らせてしまう。
だが、そんな風にしている者達に対し焚きつける様なアスランの声が再び響く。
『気絶していなければニコルだって伊達に赤を着ている訳じゃないんだぞ ! 反抗できない訳は無いだろう ! ……元副指令殿の乗った機体を落とせ ! 』
しかし、その場に居る全員にとってはいかに彼が赤を纏っているとはいえ、一介の兵士にしか過ぎない彼がどれだけ喚いたとてそこにいる兵が動きはしない。
だがその様子に業を煮やしたディンはその方向に向かって飛び立ち、MMI-M7S 76mm重突撃機銃、MMI-M1001 90mm対空散弾銃、6連装多目的ランチャーの全てを乱れ打ちしてヴェルティゴに迫った。
282:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/07/04 20:16:33
それと同時にアスランは再び全周波で全員に再び挑発する様な通信を入れる。
『人質を取っている敵というのはな……その間にほぼ無防備になる。人質に当たらない様に撃つ事が出来ないほどお前達の射撃の腕は下手なのか ?! 』
『なっ ! 何をーっ ?! アスラン貴様よくも言ったなァーッ !! 』
『落ち着け、二人とも !! ……チィッ !! 言われなくたってやってやるよ !! 』
先ず挑発に反応したのはイザークで高エネルギービームライフルを撃ち出し、続く様にバスターが遅れて高エネルギー収束火線ライフルと6連装ミサイルポッド、更にジンとシグーが重突撃機銃、
ターレットオプション武装を施したバクゥが2連装レールガンか13連装ミサイルポッド、ディンがアスランと同じ武装で、挙句にザウートが全ての砲を乱れ打ちしてヴェルティゴとブリッツを襲い始める。
ブリッツを抱えている為にヴェルティゴは上手いこと素早く動く事が出来ないので、必死で避け続けてはいるもののあちこち被弾していく。
これでは反撃するどころの話ではない。
ガロード達のいた世界では軽く頑丈な事で知られるルナ・チタニウム装甲で守られているとはいえ、このままでは墜とされてしまう。
その時ガロードは通信機越しにカリスの低く小さな、しかし苦々しげな声を聞いた。
『仕方ありませんね……これはあの戦闘の時既に修理は出来ていましたが、体の事もあってこっちに来てから使うのを憚っていました。でも……今また使わせて頂きます !! 』
その直後ヴェルティゴの腕部アーマーの辺りから小さい粒の様な機械が射出される。
それを見た瞬間ガロードはあっと小さく叫んでしまう。
かつて彼自身をA.W世界でカリスと初めて対峙した際、大いに苦しめた小型無人ビーム砲台、ビット。
死角という物が存在せず、全方位の敵に対し、その敵機を中心に全方位から攻撃できる兵器をカリスは使うのだから。
片方の腕から6基ずつ、計12基放たれたビットは非常に正確な攻撃で数多くの敵を撃墜していく。
それは突然前後左右から発射されたビームと言ってもいい。
なす術も無く四散した機体のパイロットは、何が起こったかも分からないまま機体と運命を共にしたことだろう。
目にした事も無い異様な攻撃の様子に敵兵達は一瞬たじろぐが恐れる事無く砲撃を再開する。
そしてあと僅かで真下は滑走路の端だという時、ビットを操っていたカリスは息を飲んでしまう。
味方の砲撃、ビットの攻撃を避け続けたアスランの乗ったディンがビームを発射する寸前のビットの一基を、エネルギーの逆流を利用したのか一発の砲弾で撃ち落としたからだ。
しかし残ったビットも負けんとばかりにディンの武装や装甲を次々に撃ち落していく。
そしてそれが最後と言わんばかりにヴェルティゴは一つ欠けた全てのビットを再び機体の中に格納し、その場から飛び去って行った。
283:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/07/04 20:17:30
ヴェルティゴとブリッツの二機が水平線の彼方に消えたのを見たアスランは、ディンを地上に降ろしコクピットから降りた。
その時になって自分の右足の甲を疼痛が襲い始める。
パイロットスーツの下に着ていたシャツの一部を無理に破って作った、足に巻いた止血用の布は真っ赤に染まっていた。
気づけば顔にもじっとりとした脂汗が浮かんでいる。
よくこんな状態でMSを操縦し、あんな動きをしたものだと自分でも感心してしまう。
元々このディンは足をやられた彼が、ブリッツ等があるところとは別の格納庫で整備員を怒鳴りつけて殆ど無理矢理借りてきた物だ。
整備員は手負いの彼を乗せる事は丁重に拒否したかったが、鬼気迫る彼には無駄であった。
だが冷静になって考えれば、それも含めかなりの無茶をしたと言える。
捕虜の殺害未遂、人質がいる状況でそれの命を無視した敵機への攻撃。
激情に駆られた行動でレッド降格は免れないか……と、ぼんやりと思う。
後ろではヴェルティゴの正体不明とも言える攻撃でやられた機体への消火活動が続いている。
撃墜された機体は全部で20から30、損傷を負わされた機体に至ってはそれ以上に及ぶだろう。
あの攻撃が再びこのジブラルタルになされたらと考えると彼ですら身震いがしてくる。
そうなれば言うまでも無く壊滅は間違いないからだ。
そう考えてふと10m程先を見ると自分が破壊した謎に包まれたヴェルティゴの攻撃端末の破片が転がっていた。
他の破片は海にでも落ちたのだろうかそこにあるのはその一片きりである。
負傷した足を無理矢理動かしてそこまで来たアスランは、その破片に指先で数回触れてみた。
既に熱くはなってない事を確認して拾い上げる。
大きさはCD-R程、厚さは一般的な電話帳くらいあった。
それにも拘らず重さはとてつもない軽さ。同じ形の物で例えてみるならアルミニウムと良い勝負をしているかもしれない。
しかしアルミだとすればMSの装甲に使える訳が無い。使っていたならヴェルティゴは跡形も無く破壊されていた筈だ。
だがあれは大量に被弾しても碌に傷つく事無く飛行し続けていた。ますます不思議な事だ。
そう思いアスランはポケットに手を突っ込んである物を出す。
それは基地の出入り口近くで傭兵を狙撃した際に、散らばった少女の方の毛髪の一筋。
別に彼女に対して危ない趣味が出た訳ではない。自身そういった物を持っている訳でもない。
彼はあの直後少しだけ冷静になって頭をフル回転させていた。
以前ナチュラルが、こちらから鹵獲したジンを戦場にそのまま流用しているのを見た事があった。
だがその動きは敵なりの整備を受けていたとはいえあまりにも鈍重で唯の的だと言ってもおかしくはなかった。
だからナチュラルが自分達と同程度にMSを操るなど出来はしない。
しかしキラというコーディネーターが連合についているという例があるのだから、MSを使って自分達を苦しめた二人の内どちらかがコーディネーターかもしれないという疑念があった。
どちらかといえば少年の方からは言動からあまりそういった雰囲気はしなかったが、少女の方がその雰囲気が感じられた。
その結果として今自分の手の中にその手懸かりがある訳なのだが。
遺伝子を調整していれば必ず痕跡が専門家によって見つかる筈……
アスランは二機の去った方向を忌々しげに見つめた後、再びディンに乗って格納庫に向かって行った。