07/06/14 00:38:33
このスレはXキャラがコズミック・イラにきたらどうなるかを語るスレです
新シャアでガンダムXについて語るならここでよろしく
現在、SS連載中+職人随時募集中
関連サイト等は>>2以降
荒れ防止のため「sage」進行推奨
SS作者には敬意を忘れずに、煽り荒らしはスルー
本編および外伝の叩きは厳禁
出来るだけ種キャラのみの話にならないように
ここがクロスオーバースレであることを考慮して下さい
スレ違いの話はほどほどに
本編と外伝、A.W.とC.E.両方のファンが楽しめるスレ作りに取り組みましょう
2:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/14 00:42:20
前スレ
ガロード達が種・種死世界に来たら -風景画9枚目-
スレリンク(shar板)
兄弟スレ
種・種死のキャラがX世界に来たら 月の公転3周目
スレリンク(shar板)
ガンダムクロスオーバーSS倉庫
URLリンク(wiki.livedoor.jp)
X運命まとめサイト
ガンダムX-Destiny (作品展示・雑談掲示板・絵板他)
URLリンク(gx-destiny.x0.com)
公式サイト
月は出ているか?-機動新世紀ガンダムX Web-
URLリンク(www.gundam-x.net)
GX-P
URLリンク(aw0015.hp.infoseek.co.jp)
3:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/14 00:45:12
艦橋にはただ重力に引かれて落ちるストライクとジン改、少し距離が離れた所にデュエルとバスターの姿があった。
数分前、フェイズスリーに移行する前にゼロの回収は終わった。
無事が確認されたメネラオスからも地球への避難シャトルがザフト艦への通達つきで降下された。
だが、ストライクとジン改は予定の時間を過ぎてもいつまでも戻ってこない。
艦橋では彼の友人達が彼の名前を悲鳴に近い声で連呼していた。
「あのまま降りる気か ? 」
ナタルが戸惑いながら言う。二機もこんな時に収容するなぞ不可能だ。
その時、射撃指揮のロメロ・パルが大声を上げる。
「本艦とストライク、並びにジンの突入角に差異 ! このままでは降下地点が大きくずれます ! 」
「キラ ! ガロード ! お願い !! 艦に戻って !! 」
「無理だ。あの二機のどちらの推力でも、もう……」
ナタルはこれ以上何も出来ない事に歯噛みしながらミリアリアに言う。
少し間のあった後、マリューが一つの指示を出した。
「艦を寄せて ! アークエンジェルのスラスターならまだ使える !! 」
「しかし、それでは降下地点が ! 」
「ストライクを見失って、本艦だけアラスカに降りても意味が無い ! 速く !!! 」
操舵をしていたノイマンの意見はぴしゃりと封じられた。
そしてゆっくりとアークエンジェルがスラスターを使ってストライクに近づく。
ジン改の方はイージスのシールドを蓑代わりに、そのまま行くようだが危なっかしいと言えばその通りだ。
ましてフェイズシフトが働いてないシールドが何処までこの突入に耐えられるか……
「降下予定地点を算出して ! 」
「待って下さい ! 今……」
パルが慌てて計算を始める。
「本艦降下地点は……アフリカ北部です !! 北緯35度5分、西経5度5分 !! 」
どこかしら上ずったようなその声の理由は次の瞬間、ブリッジに戦慄を走らせた事ではっきりした。
「ザフト軍、ジブラルタル基地の真正面ですッ !!! 」
4:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/14 00:46:45
投下終了します。
投下時間の遅刻とKB飛ばしてホントに済みませんでしたっ !!
竜頭蛇尾な話だなと言われても反論はしません。いつも通りお願いします。
次回はアスランがラスティと共にビッグな事を(ry
では、また後程。
5:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 00:47:57
2重の意味で乙でした
6:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 00:52:42
同じく乙。
しかしまぁとんでもないトコに落ちるなw
7:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 00:56:11
乙です!
ジブラルタルってザフト最大の基地だっけ?
8:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 00:57:30
なんと言うか超乙
ところでストライクのシールドはフェイズシフトじゃないと思ったけど、
イージスのシールドはフェイズシフトなのかい?
9:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 01:06:17
乙!
凸とラスティが次回で動くとあるが今回ガロに叱られたフレイが気になるな。
悪い方向に作用してとんでもない事するんじゃないか?
例えば凸達を手助けするとか。
10:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 01:11:44
「君は大したお嬢さんだ、ザフトに来るか?MSをやるよ」
11:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 01:17:03
2人とも重傷の身で無理するのか……(遠い目)
12:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 01:22:21
さてと… カ ー ニ バ ル の用意でもしとこうか…ネ?
13:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 01:24:09
「君は大したお嬢さんだ、ザフトに来るか?MSをやるよ」
喜び勇んでジンに乗り込むフレイ
直後 D O G E Z A
14:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 01:28:21
「アスラン・ザラだ」
「ラスティ・マッケンジー」
「2人併せて…………なんだろう?」
「なんだろうな?」
15:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 01:39:36
スレ立て・投下乙
前スレ904
【両四肢を格納庫の床についた彼女は絞り出す様な声で嗚咽を漏らす。 】
両四肢って言葉自体が怪しいが(本来四肢で二対の手と脚を指す)
あえて小難しい言葉を使う必要は無いかと?
以上、素人意見
16:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 02:22:51
いちいち添削うっとうしい
17:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 08:55:05
添削自体は役に立つぞ
問題はむしろ感想無しで添削だけしてる所だろ
18:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 13:00:53
専ブラ入れてあぼんすりゃいいのに。
19:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 13:15:23
公転スレの添削人か、それの真似してるだけなのか知らんが
わざわざ余所のスレまで出張るなよ。
20:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 13:38:15
あちらでは作者さんが容認されてるようだからまあいいとして、
今のところ確認の取れてないこちらではいかがなものか、
昨晩の廃棄スレといい、何事も先走りイクナイ。自重が肝要だべ。
21: ◆joNtVkSITE
07/06/14 20:07:34
添削事態については本人が何も言っていないのでそのままにしたほうがいいと思います
いらないのならいらないと言っていると思います
スレタイを変えたのは自分にはタイトルが思い浮かばなかったことでもありますし
名前を変える必要はないと前にかかれたので質問しても反対されるのではないかと思い独断でやりました
それと本来のXスレというのは他作品の叩きをしないということです
風景画1枚目からの住人ですがいくら新シャアだからといって本編の叩きをするのは
よくないのではと昔から考えてみました
結局歯止めが利かなくて最近になるまでラクシズ氏ね氏ねが収まらなかったわけですけど
意見をきかなかったった私にも落ち度があるのでこのスレを借りてお詫びします
勝手にスレの名前を変えてしまい皆様にご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんでした
22:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 20:08:33
別に潰す必要はなかったと思うがな
せっかくたてたんだし
23:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 20:25:24
新スレ立て乙+GJ!ジブラルタルってのは驚いたな
あと添削についているのかいらないのかちゃんと言ったほうが良い、こうやって一々面倒になっちゃたまらん
>>21
このスレの住人全人が本スレや公転スレを見てるとは限らないぞ
てか新スレ建てたのに乙もGJも言わないのはどうかと思うがな
落ち度があったって乙ぐらい言ったっていいだろうに・・・
まあこのスレを一緒に盛り上げていこうぜ、な?
24:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 20:35:45
トリップ詳細については本スレ
の意味がさっぱりわからん
25:トリップ違うんだし
07/06/14 20:54:24
それ多分過去ログ見ろって事じゃね?9枚目でそういってたうえGX-Pにまだ残ってんし
これを言うと分かっちまうかも、ヒントはシャア専用ブログ(今年から閉鎖されたがまだ見れる
ちなみに今のGX本スレ、今度からテンプレに入れよう
機動新世紀ガンダムX-43
スレリンク(x3板)
夫忘れるところだった、新スレ&投下乙
26:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 22:05:12
>>21
すまないが正直あの名前だけは勘弁して欲しかった
古傷を抉られたみたいでかなり痛い
27:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 22:12:57
いろいろあったもんなぁ
28:通常の名無しさんの3倍
07/06/14 23:19:11
>>21
同人アヌメ叩くこととラクシズ死ね死ねってのが同じかのように書いてあるがそもそも別の問題だろ
しかもラクシズ死ね死ねなんて今に始まったことじゃない
少なくとも新シャアにはもともとラクシズ死ねって奴が多いんたし
29:通常の名無しさんの3倍
07/06/15 03:02:25
>スレタイを変えたのは自分にはタイトルが思い浮かばなかったことでもありますし
>名前を変える必要はないと前にかかれたので質問しても反対されるのではないかと思い独断でやりました
こんなこと言っちゃうヤツまともに相手するだけアホらしいだろうに。
30:通常の名無しさんの3倍
07/06/15 13:39:31
反対されるのがわかっててスレタイ変えるとか意味が分からない。
そのまま使ってくれるとでも思ってたのか?
31:通常の名無しさんの3倍
07/06/15 19:25:58
この手のスレで一番やっちゃいけないこと
独断
まあ荒れる前に手を打とうじゃないか兄弟?w
32:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/15 20:51:45
第二十一話投下します。今回の話は厳密にはこの話とこの後の話の前後編編成になっています。
伏線結構あるので、色々考えても結構ですよ。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十一話「嫌だね。」
その一報が飛び込んだのは二月十四日の朝方だった。
ジブラルタル基地の一室で食後のハーブティーを啜る一人の黒服の青年将校はその報せに驚く。
「ここから南西方向約50km地点に連合軍の新造艦ですか ? 」
「ええ、大方ヴェサリウスから連絡のあった奴でしょうけど、それと前後してMSジンが一機基地の近海に落着しています。」
彼より明らかに年上の士官は彼に報告内容を淡々と告げる。
「大気圏突入時の影響が大きかったようです。機体はかなり損傷していて、メインフレームも大分痛んでました。それとコクピットには少年と少女が二人確認されていて、それも、地球軍のパイロットスーツを着ていました。」
そこまで聞いた時、将校のカップを持ち上げる手が半瞬止まる。
それに気づかない士官は更に続ける。
「意識が無かったのでこちらで回収しましたが宜しかったでしょうか ? 」
「ええ、良いですよ。二人の意識が戻って暫くしたら、こちらから会いに行っても良いですか ? 」
「勿論構いませんが……」
士官は言いよどむが、青年将校は微笑を浮かべて応対する。
「大丈夫です。捕虜への接し方についての注意事項くらいは把握していますから。」
「そうですか。では、また後程。」
士官はそのまま回れ右をして、部屋を出て行く。
青年将校は外の様子を見てふうっと溜め息を吐いた。
彼はフェブラリウスというプラントで、白皙で端正な顔をした三十手前の男に拾われた。遺伝子解析の専門家だと自負する彼が適職だろうと薦めた事もあり、殆ど成り行きでザフトに入隊してから、あちこちの戦場を駆けた。
彼自身今の所それしか食べていく道を知らないからである。
カーペンタリア、カサブランカ沖、スエズ……その時の成績は今自分が纏っている服の色と胸元にある勲章が良い証言者だ。
そして先日やっと終結したビクトリアでの戦いでも活躍した彼は、その日の内にジブラルタル基地にとんぼ返りしていた。
だが事後処理などが急に皺寄せの様にやって来て、ロクに眠る時間も与えられないまま、気がつけば東の空が白みかけていた。
上官になると色々と厄介な事が押し付けられるものだと思う。
実際その事後処理においても、先程来た士官でも十分処理出来る物があったからだ。
取り敢えず今の所自分の生活に文句は無い。
上からかなりの額の給料はしっかり貰っているし、居・食・住に関しても普通の将校より遥かに待遇が上だ。
ザフトの人間にしてみれば羨望の眼差しを一手に受ける存在。
しかし自分には目的がある。
この世界でただ安穏と暮らす事の出来ない大きな目的が。
その時扉がトントンと軽く音を立てる。
「入っても宜しいでしょうか ? 」
「どうぞ。」
部屋の戸が開くと、入ってきたのはやはり自分より年上の女性兵だった。
制服がグリーンだからか姿勢がかなりしゃっちょこばっている。
「報告します。本日未明に報告のあったクルーゼ隊の二名のパイロットが間も無くこちらに到着するようです。それと……こちらが先程捕縛したジンのパイロットの写真が入ったファイルです。こちらに置いておきます。」
「分かりました。クルーゼ隊のお二人は大気圏降下を行って随分と疲れていることでしょう。数日はきちんと休ませてあげて下さい。」
そう言うと、相手は了解しましたと言い部屋を出て行く。
彼は無造作に目の前のファイルに手を伸ばす。
それが彼にどれだけの衝撃を与えるか彼自身露程も知らずに。
33:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/15 20:52:50
青年将校が二つの報告を受け取る数時間前の真夜中、アークエンジェルは満天の星空の下、その存在を秘匿せんとばかりに静かにたたずんでいた。
アスランはテクスのいない医務室の中で悪態を吐き続けている。
体の擦り傷等はほぼ治っていたが、両足の骨折の癒え具合は、歩く事は出来ても戦闘に必要とされる機敏な動きは出来ない。
思い返せば何もかもがみっともない戦果だった。
ディンやシグーが配備されているこのご時勢に、前時代のMSで、しかもナチュラルの手によって撃墜されるなぞ、究極的な屈辱だった。
こちらは戦艦を易々と葬り去ることの出来る武器を装備していたMSに乗っていただけに腹立たしさも収まらない。
何より気に入らないのは月面都市コペルニクスで幼年学校時代を共に過ごしたキラが自分達を攻撃してきた事だ。
手も無くナチュラル共に騙されて、連中の争いに加担させられてるのではないかと考える度に、腸が煮えくり返る思いがしてきてならない。
お人よしもあそこまでいけば付ける薬もほとほとないものだ。
何があの船には友達が乗っている、だ。誰とでも仲良くなんかなって……と、内心で毒づく。
その、あの船と言っていたのが、自分の今乗っているこの船なのだが。
一度自分の見舞いに来た時は殆ど断腸の思いでキラを突き放したが、今は彼の境遇に対して塵一つの憐憫さも無ければ友情を感じる事も無い。
そしてついさっきまで自分の隣で高熱を上げて唸っていた。
大気圏降下が余程応えていたのだろうとは思っていたが、その時彼のお友達とやらが語った所によるとザフトからの追撃が降下前にまたあったとの事で、自分を拿捕したパイロットと共にまたも出撃したとの事である。
その時もやはり自分の仲間を討ったのだろう。
こうなるともう突き放すどころの話ではない。
過去の事は何もかも忘れて、キラをメッタ刺しにしてやりたかった。
暫くして彼は自室へ移されたので、そんな衝動に駆られる事も無くなったが。
その次に頭を過ぎるのはこれからの自分の立場に関してだ。
もし本国に戻っても父親が嘆息するのは目に見えているし、レッドからの降格は免れないだろう。
それもこれもナチュラルが母のいるプラントに核を打ち込んだからだ。
あれさえなければ、自分はザフトに入る事があっても今よりマシな生活が送れていただろうに。
休暇になれば、ニコルの所の様に円満な家庭という帰る場所があったはずなのだから。
むしゃくしゃして寝返りを打とうにも、両足は天井から吊ってあるのでそれすらままならない。
大体大気圏に降下する時何の説明も無かったのも苛立たしかったが。
「畜生ッ !! 」
苛々が最高潮に達し怒鳴ると、隣のベッドからクレームがついて来た。
34:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/15 20:54:48
「静かにしてくれよ、アスラン。2~3日前からずっとその調子じゃねえか。」
眠たげなラスティの声だった。
この意外な再会を二人が果たしたのはちょうど3日前の事だった。
彼はラスティがMIAだと聞かされていたので、思いもかけない再会にアスランは嬉しさがこみ上げて来た。
しかし、そんな雰囲気も1日目で潰れる。
アスランが始終この船のクルーに悪態を吐き、現状を打開するにはどうすれば良いかあらゆる権謀術数について考え込んでしまったからだ。
「お前は悔しくないのか ?! ここからさっさと出たいと思わないのか ??! 」
憤怒の形相も凄まじいアスランに怯む事無く隣のベッドにいたラスティは軽く受け流す。
「そりゃー俺だってここから出たいぜ。けど何も今焦る事じゃねえだろ ? お前はそんな身だし、俺だって明日下の独房に移されるから警戒が厳しいってのに。
そもそも捕虜の身柄の引渡しぐらいあるはずだろ ? 」
アカデミーで習った事が正確なら、いかに戦時中とはいえ人道に基づいた捕虜の引渡しが行われるはずである。
ラスティはそれを待っているのだった。
「まさか、むきになって脱走する気か ? 」
半ば冗談でアスランに質問した。二人の間に暫くの間沈黙が漂う。
ややあって、相手が話し出した。
「そうだよ。こんな所でいつまでも腐る気は無い。足は走れないだけだから相当無理しなければ首尾良く行くさ。」
それを聞いてラスティは深い溜め息を吐いてしまう。
「お前なあ、仮にもここは敵軍の戦艦だぞ。格納庫に行きつく前に問答無用の射殺が待ってるぜ ? 」
「ラスティ !! 俺達はコーディネーターだ !! ここはな、俺達にとっちゃ檻から解き放たれた猿がうろついている様な場所に過ぎないんだぞ !! 何を怖がる必要がある !
お前それでもザフトレッドか ?!! 馬鹿野朗 !! 」
「馬鹿はどっちだ ?! レッドでも出来る事と出来ない事がある事ぐらい分からないお前じゃないだろう ?! 」
「お前ッ…… ! 」
そこで二人の口喧嘩は一時的に止まる。
医務室の外に人が近づいてくる気配を察知したからだ。
中の言い合いは聞こえてなかったらしく、気楽な感じで話していた。
「しっかしマジで大丈夫なのかよ ? ジブラルタルから50km位しか離れてねえんだろ ? 」
「艦長も日が出る前に移動を開始するって本気かよ ? ストライクは回収できたけど、あの改造ジンは地中海の方に落ちていったって言うし……」
「どっちにしろ、足止めは確実かあ……」
会話はその後も続いていたようだったが、兵士達の足音は段々遠ざかっていった。
アスランは神妙な面持ちでラスティに話しかける。
「聞いたか ?! ジブラルタルは真正面だ。チャンスは今しかなさそうだ。俺はもうこれ以上こんな所に居たくないし、お前だってそうだろ ?! ……ラスティ、気乗りしないだろうが手伝ってくれ。」
ラスティの方に手がすっと差し伸べられる。
だが、当の彼はそれを冷ややかな視線で見つめた後、きっぱりと言う。
35:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/15 20:57:24
「嫌だね。」
アスランはその場で動きを止めてしまう。
そんな彼を見つめながら、ラスティは続けた。
「どう考えたってリスクが大きすぎる。さっきも言ったけどよ、碌な抵抗も出来ずにバァンだぜ。それにアスラン……お前のその目、ここに来る前の俺より質悪ィぜ。
ナチュラルなんか根絶やしにしちまえって感じがギンギンでさ。」
「そう考えて何が悪いっ !! 母を殺して、父を政治事漬けにした連中をそんな風にして何が悪い ?!! そうしなきゃ、コーディネーターにとっての平和なんか訪れるものか !! 」
口泡を飛ばしてまでこちらを捻じ伏せようとするアスランに彼はもう呆れた視線を送るしかなかった。
こんな奴が本当に自分達の仲間だったのか ?
小さな声を聞こうとも知ろうともせず、自分こそが一陣営の代表意見だとばかりにのたまう奴が。
だとすれば、自分の人を見る目のなさをつくづく反省せざるを得ない。
彼は自分で真実が何なのか見ようとも考えようともしないのだから。
その後アスランは足の辺りをごそごそと動かす。
傍で見ていたラスティは、彼が本気で足が重症の状態になっているのをおして、逃げようとしているのに気づいた。
「おい、冗談よせよ !! 死ぬぞ !! 」
「死ぬのが恐くて軍人をやれるかっ !! 」
アスランは十数分の格闘の末何とか両足を吊られている状態から解放する。
そして数分休んだ後、その両足をゆっくりと地面に下ろす。
固定されているとはいえ、かなりの痛みがアスランの体を電気の様に伝わった。
そして、その痛みを振り切る様に医務室の入り口まで、出来るだけ早歩きで移動する。
それから医務室のデスクに近づき、中をごそごそと漁っていた彼はサイレンサー付きの一丁の拳銃を見つけた。
マガジンを調べると中身は25発。
これから相手にする最少人数を頭の中で定めても無駄弾は一発たりとて許されない。
丸腰は流石に不味いので腰の辺りにそれを突っ込んだ。
そっと部屋から顔を出し辺りの雰囲気を確かめる。
怪我をしているとはいえコーディネーターを見張るには無用心だと思った。
入り口の警備には短機関銃を持った兵士二人しかいないからである。
先ずアスランは気配を殺してデスクに近づき、その上にあったペンを部屋の外に投げる。
二人の兵士は銃を構えて中に入るも、彼は有無を言わさず二人を銃で撃ち倒す。
彼らの動きは鈍く、全くの脅威になりえなかった。
彼は兵士達だった物の持っていた銃を奪い、外の様子を伺う。
どちらの通路からも誰も来ていない事を確認したアスランはもう一度だけラスティの方を振り向き、最後の説得をする。
「来い、ラスティ。これが最後だ。」
しかし、当の本人は終始冷ややかな視線を相手に向け答える。
「行きたいのならお前一人だけで行け。俺はこの船でちぃとばかし探し物があるんでな。」
その瞬間、ラスティの目の前には銃が突きつけられていた。
アスランのこの出方には相当驚かされたらしく、彼は目を見開く。
「減らず口を言うのも大概にしろ…… !! これでもか ? 」
「この状況で真っ当な判断した、同窓の人間に銃を突きつけるのがお前の正義かよ…… !! 」
ラスティはきっぱりと言った。
アスランは唾棄する様な目つきでラスティの方を見やり、彼に銃を向けるのは止めたが銃を構えたままそこを出て行く。
ラスティは再び横になり、眠りに落ちていった。
36:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/15 20:59:31
シミュレーターの操縦桿はじっとりと自分の汗で濡れていた。
ナチュラルのガロードに出来たのだからという自分でもという意識でやり始めた。
そして十回目の訓練が終わったが、一度も相手に一撃を喰らわせる事も出来ない。
それ以前に碌に機体を動かす事も出来なかった。
しかも難易度を最低にして、OSの反応を最適にしてもである。
背もたれに身を埋め、フレイはある一言を思い出す。
―戦場に一回も出た事のない自分が敵機を一機でも撃ち落せるって……あんたはホントにそう思ってるのかよ ?!!
ガロードが言った事は彼女にとってあまりにも屈辱的な物だったが、こんなに現実味を帯びて感じられるなど思いもしなかった。
あの格納庫での一件の後、彼女はナタルに呼び出され大目玉を喰らう事になった。
そして暫定的に生活班へ属する様に言われ、仕事も先程の事があってか他人より多めにされた。
それでも、空いた時間をこうやって訓練に当てているのに…… !
ガロードもあのティファという子も、はっきりと彼等自身が言った訳ではないがナチュラルだ。
自分達と同じ存在にあれだけ言われて、何も反論出来ないのが堪らなく悔しい。
そしてそれまでの彼等の戦果があれだけ言わせるのに十分な物だったから余計に悔しいし、果ては憎ったらしくさえ思えてくる。
ふと気がつくと、自分の頬に何かが伝う。
目から流れ出た涙だと分かるまでに暫くかかってしまった。
自分がこんなに取るに足らないちっぽけな存在だったなんて……
望む物も、世界も、自身の論拠も今は月にいる父が与えてくれた。
その父に気に入られようと、もっと高みを望んだ。
自分達の平穏を脅かすコーディネーターを追い払える事が出来るならやりたい。
追い払うなんてまだ生温い。
自分の世界から一人残らず消し去りたかった。
一人残らず……なら、キラはどうなる ?
自分達と道を共にし、同胞を撃ち続けるキラはどうなる ? どうなればいい ?
その結論が出る前に横から声がかかる。
37:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/15 21:00:10
「フレイ、もうそろそろ休んだらどう ? 」
はっと気がついて横を見ると、サイが気遣う様な視線で見ていた。
自分は心配されている……親同士が話だけとはいえ結婚を決めた仲だからか ?
呆けた調子で彼女はサイを見つめていたが、直ぐにシミュレーターに向かい直す。
それを見たサイはいきなりシミュレーターの電源を切った。
「もうやめろよ。君はMSに乗るわけじゃないだろ ? 何でそこまでむきになってこれをやろうとするんだ ? 」
彼なりに優しい言葉をかけたのだろう。
だが、フレイは凄まじい剣幕で言い返す。
「悔しいのよ !! あの子もナチュラルなのにMS動かせて私が動かせないのが !! 私だって守りたいものがあるのにッ !!! 」
その勢いの凄さにサイは一瞬たじろいでしまう。
どういった言葉をかけようかと逡巡していた時、それは唐突に告げられた。
「非常事態発生 ! 非常事態発生 ! 捕虜が一名逃亡した ! 各員白兵戦に備えよ ! 繰り返す ! 医務室より捕虜が一名逃亡した ! 各員白兵戦に備えよ !! 」
その言葉に二人はギョッとする。
この船に捕虜が二人いるとは聞いていたが、二人とも怪我をしていなかったか ?
内一人が両足をやられていた筈だが、まさかそっちの方が逃亡したのでは…… ?
そう考えると仮定とはいえ言い知れぬ恐怖に襲われる。
自分達はそういった連中を相手にしているのだ。
たちまちその場に足が接着剤で付いた様に二人は動けなくなる。
その時、居住区から格納庫への通路から固い物同士がぶつかり合う音が聞こえてくる。
そしてそれは段々自分達の方に近づいてくる。
やがてそこに現れたのは……顔を上気させ、汗に濡らせたアスランだった。
38:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/15 21:08:47
一旦投下終了します。番組ch(NTV)の鯖負荷耐久実験の様子が面白そうなので一時そっち行きます。
あと知っている人がいるとは思いますが一服の清涼剤をどうぞ。
つURLリンク(eg.nttpub.co.jp)
手に入れ方が分からんとです<´・ω・`>。
では、また後程。
39:通常の名無しさんの3倍
07/06/15 21:36:24
GJ
ガロードとティファがザフトの手に。
でもこの青年将校って口調からするとまさか……
40:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 00:47:55
GJ!しかし…
…凸ランもうだめかもわからんね
41:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 01:19:05
>>40
このまま何も無ければご退場確定かもな。
42:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 01:25:08
最悪のパターン:サイを撃ち殺して、フレイを人質に逃走
43:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 01:32:25
中途半端にウダウダやるよりもよっぽどいいと思うけど
44:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 12:00:31
屈辱怨恨空転非撃墜常連ジェリドとなるも
裏切常習自己正当化独善理不尽ホモになるなかれ、
てなところかな。
45:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 12:47:20
どうでもいいが捕虜しかいない医務室にサイレンサー付き拳銃置いとくとか、どんだけウカツなんだよw
46:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 12:50:16
これだけナチュラル嫌いの凸がフレイを連れて行くかな?
47:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 12:54:32
でもナヨナヨアスランよりかは見応えは有るな。
48:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 13:01:23
なんかプレデターみたいにナチュラルの脊柱飾ってる凸が見えそうだぜ
49:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 13:24:08
まぁプレデター程じゃなくても太平洋戦争時の米兵みたいに
ナチュラルの耳・鼻削いで酢漬けにしたり金歯抜いたりはしそうだな
50:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 13:35:59
それをプラントの少女にプレゼントして
さらに少女がお礼の手紙を書くんだな
51:通常の名無しさんの3倍
07/06/16 13:38:21
サイとフレイに危害を加えて脱出、ジブラルタル基地にたどり着いたものの
既に来ていたティファに何やらかしてきたか言い当てられて味方兵からも
ドン引きされる凸の未来が。
あるいはアルスター次官が復讐鬼と化して強硬路線がさらに悪化とか…
52:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/16 23:03:13
第二十二話投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十二話「お願いするわ。」
重い足を引きずりながらアスランはここまで来た。
来るまでに自分でも考え付く限りへまはしていない。
見つかりそうになったら反射的に物陰に隠れ、荒い息を必死で押し殺してやり過ごす。
見つかっても、それが一人だったとしても簡単に撃ち殺す訳にはいかない。
そうなれば騒ぎになって蜂の巣になるのは間違いないし、死体を隠すスペースも、血を拭く余裕もありはしない。
なるべく人の通らないような所を通る。
そうやって何とか危機的状況は回避してきた。
ましてや夜明けが近いとはいえこの夜中だ。
元から通路の人通りが少ないというのが彼にとって幸いした。
だが、今しがた自分の事が艦内に知れ渡った。
何故そうなったか。
見張り二人の死体を発見されたか、或いは自分と一緒にいた馬鹿が部屋に通りがかった敵に密告したか。
何れにせよ事態は急を要する事になった。
そして、今新たな逃げる足が自分の目の前に現れる。
それに乗って逃げようかとしていた矢先に、自分とほぼおない年位の人間に見つかった。
逃げようともせずぼうっと自分を見る地球軍の制服を着た連中を見て、彼の頭の中で一つの答えが出る。
討て、と。
彼は反射的に短機関銃を構え、相手を銃撃した。
彼等は咄嗟に身を翻し、何らかの機械の陰に転がり込もうとする。
遅いっ !!!
数発の銃弾が相手のどちらかを捉えた。
跳弾で散る火花がその周辺を数瞬だけ明るく照らし、直後に耳を劈く様な悲鳴が格納庫中に響き渡る。
だが、いちいち構ってやっている事は出来ない。
相手が隠れている以上無駄弾を撃てば、危機的状況が続いた時に上手く回避できなくなる。
両者共に一撃でしとめ切れなかったのは悔しいが。
彼は激痛の走る両足を必死に整備用ハンガーに引っかかっているイージスに向けて走らせる。
その時そのイージスに程近い所から、自分への銃撃が始まった。
それを見ると、とてもその方向に向かうのは無理だと判断して二機ある戦闘機の内の一つに向かう。
53:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/16 23:04:41
第八艦隊がこちらに送った大気圏用の流線型の戦闘機の名はスカイグラスパー。
アークエンジェルとストライクの支援用に製作されたこの戦闘機は、ストライクのパワーパックを搭載できるどころかそれを直に使う事も出来る。
実際には、電力消費の激しいストライクに新しいパワーバッテリーを付けるという役割があるのだが。
その戦闘機の動かし方をアスランは勿論知らない。
だが、知らないからと言って、ここまで来ておきながらおめおめと捕まるつもりも無い。
一瞬銃撃が止む。相手がこちらの弾が尽きたと判断したのだろうか。
アスランはタイミングを見計らい、その機体の方に駆け寄る。
当然だが銃撃は再会され、跳弾があちこちに向かって飛ぶ。
機体の陰に隠れながら、一発必中の覚悟で彼は短機関銃を撃つ。
兵士達が次々にばたばたと倒れていくのを確認しながら、ラダーを登り戦闘機のキャノピーを開け中に滑り込んだ。
説明書きは無い。マニュアルも誰かが持って行ったのだろうか存在しない。
目の前に広がるのは簡単な説明しか書かれていないボタンとレバーの付いた金属面だけである。
どれだ ? どれがエンジン始動ボタンなのだ ?!!
そうこうしている間に、あちこちから敵の兵士が出てくる。
その数はざっと50人程。
全員が戦闘機を目指して、威嚇射撃を一定のサイクルで行いながらじりじりと近づいて来た。
彼は半ば自棄を起こしたかのようにあらゆるスイッチとレバーを次々にオン状態にしていく。
その時願ってもいない事が起こる。エンジンの駆動音が聞こえてきたのだ。
あと少しでラダーを登ろうとしていた兵士の一人はびくっとして一旦2~3m程離れるが、自分の勇気を誇示するかのようにまた登ろうとする。
アスランは落ち着いてもう一度現状把握に努める。
目の前のカタパルトハッチは閉まっている。
この戦闘機の武装でハッチを吹き飛ばさなければ、考えるまでも無く戦闘機ごと吹っ飛ばされる。
どれかが火器に繋がるボタンなんだろうがどれなんだ ?
隅にあるボタンを片っ端から押していくとあるボタンを押した時、機体下部にあるビームライフルが火を噴いた。
そしてその火線はそのままハッチに向かい、強力な爆発が起きる。
但し、爆発が起こっただけであまり目立った損傷は確認されない。
突然の事にスタッフ達は先程より更に後ずさりする。
その様子を見てアスランは図らずも含み笑いをしてしまう。
そうだ。もっと怖がって呆然とそこから見ているが良い。こんな所は早い内におさらばするに限る。
そしてビームライフルを撃つボタンを真正面に向けて何度か押してみる。
始めの内変化は見られなかったが、内部からの火線の発射は考慮されていなかったのか5~6発撃った後、ハッチは耐えきれ無くなり大きな音と共に吹っ飛ぶ。
後はもう外に出るだけだ。
ふつふつと湧き上がる高揚感を抑えながら、アスランは操縦桿を思いっきり手前に引き機体を発進させる。
機体に取り付こうとしていた者達は皆一様に吹き飛ばされ、格納庫の床に叩きつけられた。
そしてそれっきり動かなくなる者も少なからずいる。
スカイグラスパーは猛スピードで朝日の輝くハッチから出て行った。
そしてあまりの出来事の連続に、濛々と煙のたちこめる格納庫の端にあるシミュレーターの陰にいたフレイは呆然自失状態になる。
何が起きたのだろう ? 自分は出来の悪いB級映画でも見せられているのだろうか ?
思考が元に戻ってきたフレイは自分の両手にぬるりと何かが付いているのに気づく。
真っ赤な……真っ赤な血。この血は誰の ?
そう思って、ふと隣を見ると右の脇腹に銃創を作ったサイが転がっている。
微かに息はあったが、そんな事も彼女の耳には聞こえて来はしない。
そして自分も膝から滲む様な血を流していた。
体は力を失い、操り手を失ったパペットの様にだらんとなる。
やがてそれは痺れた様にがくがくと震えだす。
「あ……ああっっ……イヤァァァッッ !!!! 」
フレイはただただ絶叫するしかなかった。
今自分の目の前で実際に『戦争』の片鱗が垣間見えた事を強く拒否するかのように……
54:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/16 23:06:35
「捕虜をいつまでも医務室に置いておいたのが間違いでした。」
ブリッジでナタルはいつもの様に事務的な言い方でマリューを婉曲的に糾弾する。
とはいえ、大気圏降下以降の出来事は殆ど予想の範疇を超えていたのだ。
まさか両足の自由が奪われた為に動けないだろうと思われていた捕虜が、第八艦隊から送られた戦闘機を奪って脱走するなど。
もう一人の方は眠っていたために気づかなかったと主張しているが、この船に乗った時の銃創が癒えてきていた彼の方が寧ろ脱走しやすい状況だった。
両足の自由が一部きかない脱走者が、自分を助けようとさせる為に、そして脱走を教唆する為に彼を起こしもしなかったのは些か疑問に残るが。
その脱走の際にはクルーの数名が死亡し、負傷した者達の中にはあのヘリオポリスの学生達が二名いた。
いや、もう学生ではなくてサイ・アーガイル二等兵とフレイ・アルスター二等兵の両名といった方が良いだろう。
二人とも今はあの医師の処置を受けているとは思われるが。
因みに野戦任官の二人が二等兵扱いになっているのは、今は月基地にいるであろうハルバートン提督の計らいでもあった。
それだけに自分達をあれだけ目にかけてくれていた提督に対し恩を仇で返した気がしてならない。
それに二人の傭兵……ガロード・ラン、ティファ・アディール両名の行方も全く掴めていない。
大気圏降下の最初の内は位置、機体の状況共に把握は出来ていた。
しかし通信は途絶し、自分達も敵が持つ最大の基地の真正面にいるという事が判明してから異常なまでの慌しさに追われる事になり、彼らの存在が頭から消えかかっていた。
だがもしかすると……という淡い期待がマリューの頭に取り付いて離れない。
何しろ、ザフトでも旧型といわれる機体を駆り、敵にかなりの損害を戦闘に出る度に負わせ、更に奪われたXナンバー機の奪還も成し遂げたのだから。
正規兵であれば本部はそれらの活躍を鑑み、二人を揃って士官の位置につけられたキラ・ヤマト少尉よりも高階級に昇進させるだろう。
それも二階級どころの話ではなく。
今の所ジブラルタル基地が近い事もあってか、そこに捕虜として捕えられている可能性もあった。
そうだとすれば、彼らもやはり今回自分達の船から脱走した兵の様に、無茶苦茶をやってここに戻ってくるのだろうか。
そんな考えを吹き飛ばす様にナタルは更に淡々と事実を告げていく。
「ましてやそこを一時でも無人にするとは……あのような事が起こり得ると認識しておくべきでした。」
55:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/16 23:07:34
その件に関してはファーゼンバーグ氏から直々に謝罪があった。
医薬品の不足に気づいた彼は艦長にそれを報告する為に、あの時五分ほど医務室を空けていたのだ。
その時、直ぐに戻るつもりだった為、軍から支給された護身用の銃が入った引き出しにロックをかけていなかったとの事である。
そしてその時ある事も言っていた。
捕虜は引き渡される事が条約でも定められているし、リハビリを始めるにはあと2~3日は安静が必要なのに、どうしてあんな事をしたのかと。
そしてナタルはナタルで自分がいちいち訊いているわけでもないのに、正論を口にし続ける。
「これではまるで捕虜に脱走してくれと言っている様なものです。……この件に関してはこちらから本部に報告しておきます。宜しいですね ? 」
「ええ……お願いするわ。」
最早感情抜きで自分の処理しきれる範囲を超えた事の連続に、つい投げやり気味な対応をしてしまう。
ナタルは怪訝な顔をしたものの、では、と言ってブリッジを出ようとする。
その時気になったことがあったのでマリューはもう一度声をかける。
「アーガイル、アルスター両二等兵の容態は ? 」
「アーガイル二等兵の手術は既に終了しました。アルスター二等兵は軽症でしたが精神的なショック症状が見られます。
両名は現在医務室にいますが、同室にいた捕虜は階下の独房に、同僚の脱走に関する尋問が終了したと同時に送りました。」
ナタルはあくまで事務的な態度を崩さない。
もう少し人間味のある言い方は無いものかと訊いた本人は思ってしまうが、彼女にそれを求めてもそれは詮無い事だと逆に思わされてしまった。
またストライクのパイロットことキラ・ヤマトは大気圏降下の際負った高熱はひいたものの未だに目を覚ましていない。
今回の一件が彼にとってどういった影響を及ぼすか、彼女にも正直な事をいえば想像がつきにくかった。
残酷な話ではあるが、今彼にパイロットを降りてもらっては困る。
頼るパイロットがムウしかいなくなってしまうからだ。
そんな事を気にも留めないかのように今度はナタルの方から質問が来た。
「アークエンジェルは何時発進するのでしょうか ? 」
敵の基地の直ぐ近くにいる事や、パイロットの事を複合してその事を考えようとしていたのに……
マリューは軽い頭痛さえ覚える様な感覚に襲われた。
56:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/16 23:08:46
ミリアリアはとてつもない寂寥感を感じていた。
トールが時折側に居てくれているとはいえ、心の中にぽっかりと開いた穴は早々簡単に埋まる物ではない。
先ず避難シャトルでカレッジの仲間であるカズイが地球に向けて先に降りた。
続いてキラが回収されたストライクから医務室が詰まっているという事で自室の方に運び込まれる。
そして今日は今日で捕虜が脱走し、その時サイが銃で撃たれ、連なる様にフレイがそのショックで寝込んでしまう。
宇宙にいた時に軍属に入るという事はどういう事かと覚悟はしていた。
が、まさかこうもたて続けにその覚悟を試すかのような出来事が起こるとは想像もつかなかった。
でも今更軍人をやめる訳にはいかない。
自分達は同じ道を歩む事を決めた仲間なのだから……
57:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/16 23:14:40
投下終了します。
次回は基地の一幕をお送りします。
青年将校の正体も明らかにしときますんで……
では、また後程。
58:通常の名無しさんの3倍
07/06/17 00:03:22
GJ!
やりやがったなアスラン…
主要人物に死者こそ出なかったものの、
これはどう転んでも本編のような和解は望めそうに無いな。(それが望ましいかどうかはともかく)
というかアスランがジブラルタルに辿り着く前に抜け出さないとガロティファが危険なんじゃ…
たぶん奴は二人を目の敵にしてるだろうし。
59:通常の名無しさんの3倍
07/06/17 00:06:35
GJ
黒服カリスの正体はともかく、クルーゼと同じ持病持ち
片や望まぬ生に付随の力、片や望んだ力の代償と楽しみな比較ダス
60:通常の名無しさんの3倍
07/06/17 06:27:28
進み具合いによっては、倅の暴走にヘキエキしてかえってパトリックの方が
軟着陸・停戦を模索し始めるという可能性さえ考えられるかも。(そして殺される)
61:通常の名無しさんの3倍
07/06/17 07:34:24
テクスが間抜け過ぎないか?
62:通常の名無しさんの3倍
07/06/17 08:24:39
ティファがいなくなって間抜け時空が発生してるから仕方ないよ。
なんせまともに走れない人間がたった5分で医務室から格納庫に到着して
何人も銃撃してきてるのに無傷で戦闘機に乗れちゃうんだぜ?
医者が護身用にサイレンサー付き、25発装填の拳銃持っててもどうってことないさ。
63:通常の名無しさんの3倍
07/06/17 08:50:29
別スレだがノリで書いてるから多少破綻しててもいい、と言い放って支離滅裂なSS書いてた人を思い出すな。
こっちのはそれに比べれば多少はマシだが。
64:通常の名無しさんの3倍
07/06/17 12:46:31
やっぱし創作でもある程度の一線は守って欲しいな
医者の最後の治療具はリボルバーとかの拘り
サイレンサーを配布する意味(音が出れば他者への警告になる@防衛側が持つ意味が無い)
副長の仕事は艦長チクる前に、艦内雑務全般だろとか
65:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/17 21:01:09
. . .... ..: : :: :: ::: :::::: ::::
/⌒ヽ. . . .: : :
/:彡ミ゛ヽ;)ー、 . ::
/ :::/:: ヽ、ヽ、 ::i . .::
/ :::/;;: ヽ ヽ ::l .
 ̄ ̄ ̄(_,ノ  ̄ ̄ ̄ヽ、_ノ ̄ ̄
ちと反省会を挟みます。
前スレから検索すると記号の使い方、言葉遣い、表現方法、C.Eの宇宙地理、~た。文の多用、原作と同部分の簡略化、時系列問題、ティファの力の扱い、バッテリー問題、機体スペック、脱走時の状況…………
今夜は何か特にない限り、投下はせずに回線切って首吊ってきます……
こういったスレでよく「誤字ハケーンって文学賞がかかっている訳じゃないんだから」とありますが、見直すと結構凹みます(苦笑)。
>>副長の仕事は艦長チクる前に、艦内雑務全般だろとか
「捕虜をいつまでも~」、「ましてやそこを~」、「これではまるで~」等の台詞は
種本編でディアッカが発狂ミリィとフレイに襲われた後のマリュー×ナタルの会話を基にしてました。
不味くはないと思ってアテにした自分が馬鹿だった……
66:通常の名無しさんの3倍
07/06/17 21:48:20
公転スレの保守氏もニコラを北米大陸にいかせたりしたし問題ないだろ
まあ気を落とさずに頑張れよ、まだこのスレとお前さんのSSがまとめにのってないんだし
67:通常の名無しさんの3倍
07/06/18 02:00:05
>>65
まあ気を落とすな
取り返しの付くところから取り返していこう
指摘されるのは多分に関心をもたれている証拠だし
68:通常の名無しさんの3倍
07/06/18 02:20:15
突っ込みたい点は数々あれど、25発ってどこのSMGだよと。
69:通常の名無しさんの3倍
07/06/18 17:37:32
Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw の物語をこのスレに入って初めてご覧になった方にお聞きします。
文章的に読みやすいですか?
読みやすくなってるなら、私も最初から読もうと思います。
70:通常の名無しさんの3倍
07/06/18 18:25:47
お前が読みやすいと思うかどうかなんて知らんがな。
71:通常の名無しさんの3倍
07/06/18 21:01:46
凸を脱走させるというストーリー展開のためだけにいろんなもんが犠牲になっとるなー。
連合の兵どもが怪我人相手にここまでボロ負けするほど無能なのは別に構わんのだが、
AWの世界を生き延びてきた医者がこれほど迂闊なのはちょっとw
72:通常の名無しさんの3倍
07/06/18 23:23:08
>>71
だよなー、ありえん。
73:通常の名無しさんの3倍
07/06/18 23:24:37
望む結果を出したいがためとはいえそれまでの過程を完全無視してるな。
74:通常の名無しさんの3倍
07/06/18 23:29:55
P-D.O.M.E「二人とも、ものは試しに別の世界へ行ってみないか?」
ガロ・ティ「「は?」」
P-D.O.M.E「心配はいらない、私も憑いていこう」
P-D.O.M.E「こちらD.O.M.E、ジェネシス、応答せよ」
ジェネシス「こちらジェネシス、感度良好」
P-D.O.M.E「これから2人ほどそちらへ送る。ゲートを開いておいてくれ」
ジェネシス「了解した。諸君らの来訪を歓迎しよう」
ガロード「お、おい……お前人んちでなにやってんだよ!」
ティファ「違う世界に……繋がる……?」
思いついただけでオチはない。
75:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/18 23:30:41
_ . || _
ヾフ⌒..||⌒くノ
〈ノリ))||〉)〉 さあ…逝くか… 色々構想あったけど……
!!! !!⌒ .ヽ
∪ Z/
∪∪ 欝だ死のう……
76:通常の名無しさんの3倍
07/06/18 23:32:30
>>75
どうした?
粗直してたらドツボにはまったか?
77:通常の名無しさんの3倍
07/06/19 00:19:11
とりあえずアレだ、新人スレあたりでテキトーにアドバイス受けつつ書いてみれば?
78:通常の名無しさんの3倍
07/06/19 00:39:42
>>75
X運命氏は初期の些細な設定ミスや誤解による捏造設定、
悪乗りによる筆のすべりやストーリーの穴といった数々の問題点を抱えながら書き続けました。
そういった問題点を後の話で伏線として生かすことで話に厚みを与えて行ったのです。
ここがXスレだからX運命氏を引き合いに出しましたが、
読者の支持を勝ち得ている二次創作書きはみなそういういい意味の図太さを持っています。
原作と違う点は「伏線だっ!」と言い切るたくましさを持ちましょう。
……おねがいだからもうちっと続けてみて。正直ここ二話ぐらいの展開は支持できないけど、
原作との違いが拡大してく時点で消えられると気になってしょうがないし。
79:通常の名無しさんの3倍
07/06/19 00:53:48
時間を巻き戻してリトライもアリだと思うよ
80:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/19 10:00:07
今日か明日に21と22話の修正部分出来たらその部分を投下します。
やっぱり銃関連、負傷の具合、時間の経ち具合が粗として上がってきているので。
一応今現在、まとめに載せる際の1~20話での些細な設定ミス、誤解による捏造設定、 悪乗りによる筆のすべりやストーリーの穴の大修正、23~26話の再校正、27~29話の執筆の全てを同時進行で行っています。
時間を巻き戻してってのもアリかとは思ったんですが、さすがに二度手間かつ読んでいる皆さんにはもどかしいかと。
(ほぼ全員の)支持を勝ち取らなければ、常に読者の予想の斜め上以上を行かなければと気負った節もあったと思います。
幸い、今日明日とバイト無いんで行ける所まで行こうと思います。
では、また後程。
81:livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g
07/06/19 10:22:50
>>80
今までうpした分なら、修正箇所を書いたメモ帳をうpロダにうpしてもらえればこっちで修正するけど如何?
82:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/19 12:46:56
>>81
有り難う御座います。
お気持ちは嬉しいですが、自分もlivedoorID持ちなので自力で何とかしようと思います。
83:livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g
07/06/19 13:51:05
>>82
了解です。頑張って下さい
84:通常の名無しさんの3倍
07/06/19 14:51:50
エデンの人なんてそれまでの新シャア板のSSスレの流れからして
同人SS痛がヘイトだ、なんだ、と嫌がり叩くと明らかにわかるものを
本スレの支持(とたぶんラクシズや負債、茸堕+同人SS痛への憎悪?)を支えに書き切ってたぞ。
万人から支持されるSSばかりじゃない。
85: ◆L1QckJlrlM
07/06/19 15:08:05
SSが万人向けじゃないってのは私も同意ですね
支持する人がいれば必ずといっていいほど批判する人もいます
私の場合あまりに矛盾が酷い場合を除き殆ど気にしてませんが…
それはそうと結構基本的な質問ですが…
バクゥやラゴゥのコクピットってあの頭の部分で良いんでしたっけ?
いや、どうも記憶が薄れたのか場所を忘れてしまって…
後小説ですが今週中を『目指して』頑張っています…
86:通常の名無しさんの3倍
07/06/19 15:46:14
バクゥのコクピットは腹部らしい>wikiより
ラゴゥも基本的には同じ位置でいいんじゃないかな?
……wikiの記述読んでると亀みたく引っくり返してコクピットぶち抜きたくなるのは俺だけじゃあるまいw
87:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/19 19:28:33
修正したのをwikiに載せました。
10話と16話がなぜか上手い事行かなかったんで、何とかします。
88:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 02:53:28
>>81さん
14話、21話、22話の修正部分をうpろだにうpします。
修正、出来るだけの範囲で良いんでお願いします。
89:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 03:12:28
追伸:ファイルナンバーは864675で受信passはtrickです。
ヨロシクお願いします。
90:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 08:30:36
うpろだだけじゃ分からんよ。
URLリンク(www.uploda.org)
91:livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g
07/06/20 11:08:57
>>88
すまないが、現在入社試験を受けるため移動中につき修正できない。
帰宅時間は15時半から16時くらいになると思うので、しばらく待ってほしい
92:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 12:58:42
そもそも一度謝絶してんだから
livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g氏に対して二言三言有るべきだろ?
用件いきなり切り出して、氏に対して失礼じゃないか?
93:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 13:20:11
>>92
風紀委員乙 お前の知ったこっちゃねーよ
94:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 13:29:21
>>93
だまれクズ
95:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 13:33:46
待てこれはエセ軍ヲタの罠だ!
96:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 13:35:39
あるいはおためごかしのラクシズ厨のかもな
97:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 14:20:46
いえ皆さんの仰るとおりです。
◆yb1J9t3X3gさんいきなりで本当に済みませんでした。これからは重々気をつけます。
皆さんにもスレの空気を険悪な物にしてしまい申し訳ございません。
今日これから23話投下して宜しいでしょうか ?
98:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 14:42:50
YES!YES!YES!
99:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 14:46:24
では第二十三話投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十三話「絶望は愚者の出す結論です。」
ガロードははっと目を覚ます。
ここは何処だろう ?
自分の体はベッドの上にあり、手足は四隅に拘束用のベルトできっちりと固定されている状態だ。
連合軍のパイロットスーツを着ていてこの待遇なら、ここはザフトの基地か連合軍に反旗を翻している組織の本部だろうと容易に想像はついた。
尤も今そのパイロットスーツは着ておらず、いつもの格好になってはいたが。
辺りを見回すと真っ白な壁に真っ白なタイル張りの床しか目に付かない。
天井から射す様な蛍光灯の光は、見ていて正直目と頭が痛くなってくる。
人が生活している雰囲気が感じられない程の殺風景な部屋でガロードは大気圏降下の時以降の事を順を追って思い出す。
そうだ、自分はジンに乗っていて、イージスのシールドを前に構えながら大気圏に突入して、機体が損傷しながら海面に衝突しちまうって時にシステムが次々に死んでいって……
そこまで考えた時重大な事を思い出す。
ティファは……彼女は何処にいるのだろう ? 酷い目に遭っていないだろうか ?
そう思うと、いてもたってもいられなくなりガロードは体を必死にがたがたと動かす。
が、ベルトは全く緩む気配すら見せず、床に固定されているベッドはギシギシと揺れるだけだった。
パイロットスーツの時でも身に付けていた万能道具は全て引っぺがされたのかいやに身軽に感じる。
散々やっても状況は好転する訳でもないので、いい加減じれったくなったがこんな所でぼやぼやしている間は無い。
無駄な努力かとも思われてもいい。
とにかくティファを助けに行かなければ !!
ガロードがそう思っていたその時、部屋の扉がゆっくりと開き自分とおない年くらいの少年が入ってきた。
100:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 14:48:07
ガロードが目を覚ます数分前、一機の戦闘機がジブラルタル基地に近づきつつあった。
その機体の接近に基地は動きが慌しくなるになる。
それはザフトには登録どころか存在すらしていない代物だったからだ。
そんな戦闘機スタイルの機体がロールアウトされたという報告も無い。
しかし後続も無しに単機でジブラルタルの様な巨大な基地にのこのこ来るとは、相手が連合軍の人間なら殆ど自殺行為だ。
とはいえここは連合を成している国家の一つ、ユーラシア連邦が近くにあるので偵察や牽制の意味合いがあるなら油断も隙も無い。
直ぐに警報が発令され、管制塔からその機体に向け通信が入る。
『そこの未確認機体 !! そちらはザフト軍ジブラルタル基地の領空を侵犯している !! 直ちに転進せよ !! 転進しない場合攻撃意志のあるものとして迎撃する !! 繰り返す……』
何時でも迎撃出来るようMSの発進準備が整っていく緊迫した状況の中で、戦闘機の側から返信が帰ってきた。
「こちらはザフト軍クルーゼ隊所属認識番号二八五〇〇二、アスラン・ザラだ。現在事情あって連合軍の機体に乗っている。大至急基地責任者へ繋いでくれ !! 」
身元照会で問い合わせの間、焦る気持ちを抑えつつ待っていると、通信機から確認した、着陸を許可するとの連絡が入る。
それを聞いた彼は突進するかのように着陸態勢に入り、やがて滑走路に機体を走らせ、止まらせる。
機体が完全に止まったのを確認した後、アスランは感慨深い気持ちで目を閉じる。
やっと自分はいるべき場所に戻って来れたのだと。
自分は怪我をしているが戦えないという訳ではない。直ぐに治療してもらえば何とかなるだろう。
そんな事を思いつつキャノピーを開け、外に出ようとすると周りの様子に面食らってしまう。
数人の兵士がこちらに向けて銃口を向けているからだ。
いかに認識番号や声紋照合が本部で一致したとはいえ、実際にその本人なのかそうでないか裏が取れなければ安心してはいけないらしい。
相変わらずの厳重警戒だが、アスランは図らずも父から教えられた事を思ってしまう。そういう姿勢でいてこそザフトなのだと。
その時遠くから久しぶりに聞こえる声があった。
「アスラーンッ !! 貴様一体何処で何をしていた ?!! 」
同じクルーゼ隊に所属しているイザークがエレカに乗ってこちらに来ていた。
側には運転しながら、イザークに呆れ顔を向けているディアッカもいる。
その声と言葉に兵士達はアスランに向けていた銃口を下げ、二人の為に道を開ける。
ディアッカがエレカを止めると同時に、仏頂面のイザークがコクピットから降りたアスランの元に駆け寄る。
その表情にアスランは辟易した表情で応対した。
「ナチュラルの船に乗せられていただけだよ。そこから出て来ただけさ。……イージスは取り返せなかったけどな……」
取り返すというのも自分で言っておきながらなかなか笑えてくる表現だ。
元は向こうがこちらを討つ為に作った物をこっちが奪ったというのに。
その言葉を聞いてイザークは相手が負傷している事も忘れて、襟首を掴みながら乱暴に揺さぶる。
「だからこの機体で帰ってきたというのか ?! 」
「ああそうだよ……」
アスランはイザークの言葉を適当に受け流しつつ、ふらふらした足取りでエレカまで行き、座席に身を任せるかのようにどさりと座り込む。
後から乗ったイザークは後部座席に血が付いているのを見てぶっきらぼうに言う。
「後で貴様の冒険譚でも何でも聞いてやる !! 怪我の治療で後回しになりそうだがな !! 今はそこで寝ていろ !! 」
それが彼なりの気づかいの形だと気づくのに大分かかってしまう。
こいつは相変わらず素直じゃない奴だなと改めて思わされた。
101:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 14:50:00
そしてアスランは連合軍の船に乗って知り得たもう一つの事実を口にする。
「ナチュラルの船に乗っていて分かった事がある。……ラスティは捕虜になって生きている。」
「「ええっ ?!! 」」
次の瞬間前方の二人の声がかぶり、エレカもぐゎらと大きく左右に揺れた。
当然の反応だ。彼もアスランと同じ様に今の所MIA扱いになっているのだから。
そこでディアッカがアスランに一つ質問をぶつける。
「でもよ、それならどうしてお前と一緒に逃げなかったんだ ? 」
その質問に対しアスランは苦りきった表情をする。
思い出すのも忌々しいあの部屋から出る最後の瞬間に放たれたラスティの一言。
―俺はこの船でちぃとばかし探し物があるんでな。
あの時どれほど何も見つかりはしないと怒鳴ってやりたかったか……
「あいつは捕虜で居続ける事を選んだよ。ナチュラルの連中がさぞかし上手く丸めこんだんだろうな。あいつもあいつだよ。手も無く騙されてさ……」
「そうだったのか……」
ディアッカはやっとその一言だけを言う。
アスランは連合の機体を奪取した時から、仲間が手の中から次々に落ちていく様だった。
同じ隊に配属されたマシュー、オロール、ミゲル。そして生きているとはいえラスティさえも……
もうここに残っている面々しかいない。そう思った時、ある事に気づく。
イザークとディアッカがここにいるのなら同じ様に来ているであろうもう一人はどうしたのかと。
「なあ、ニコルはどうしたんだ ? 」
エレカが走り出すと同時に二人に向けられた質問は、ディアッカの方が答えた。
「俺達がここに来る少し前に近くの海でMSが発見されたっていう報せがあって、今はそこで回収されたMSパイロットに会いに行ってる。……お前がよく知ってる足つきに配備されてた特殊改造ジンのな。」
「何だって ?!! 」
それを聞いたアスランは驚いてしまう。
低軌道の会戦であのジンがこの近辺に落着しているだろうというのは容易に想像がついたが、このジブラルタル基地に収容されているとは……
それと同時に言いしれ様の無い感情が自身の中に渦巻いてくる。
ちらとしか知り得なかったが、あの二人のパイロットに関してはザフトレッドとして自分の持っていた矜持をズタズタにしただけでなく、自身を敵軍の捕虜にするという屈辱的な経験をさせたのだから八つ裂きの候補としてはキラの次に挙がっている。
何かの理由にかこつけてこの基地でさっさと消す事は出来ないか…… ?
「まあ、俺は止めといた方がいいぜって言ったんだけどな。仮にも敵兵だし。」
アスランの思い等全く知らない様にディアッカはニコルの行動が浅慮甚だしいとばかりにふふんと鼻で笑う。
格納庫に入ったエレカは軍施設への通用口の前で停止する。
それと同時にアスランはひらりとエレカから降り、そして脱兎の如く施設内に入っていく。
後ろからイザークが治療はどうするんだとか何か言っていたが、最早今の彼には何も聞こえて来ない。
会う人間に対し、手当たり次第にそのパイロットがいる場所を訊く。
その結果パイロットは男女で二人おり、少年の方が自分の今いる場所から程近いという事でその方向へ向かった。
逸る気持ちを必死で抑え、その部屋のドアの前に立つと先程のディアッカの言葉からある疑問が浮かんだ。
何故ニコルは自分達を何度も窮地に陥らせた敵兵と話がしたいと思ったのだろう ?
窮地に陥らせる事の出来た理由を訊くのなら頷けるが。
そう思いつつドアの前に立ち、インターフォンに向けて話しかける。
「ニコル。いるのなら入るぞ。」
目の前のドアがその問いに応えるかのごとくスライドする。
102:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 14:53:51
2~3歩中に入ってから室内を見ると、その中には寝台に横になっている少年に穏やかな表情で話しかけているニコルの姿があった。
そして、部屋に入ってきた人間が誰かというのをちらと見やった彼は、思わず椅子を勢い良く後ろに倒してしまう。
「ア、アスラン !!! あなた……どうしたんですか ?! 」
部屋の入り口へ振り向いた彼は改めて驚かされた。
MIA扱いになっていた人間が自分の前にひょっこり現れたのだから。
「あんたは……イージスのパイロットじゃねえか !! どうしてここに……まさか、アークエンジェルから脱走してきたって言うのかよ !!! 」
事情を知っているパイロットの少年―確かガロードとかいったか―も、アスランを見て驚かされた。
話しの内容を聞いてみようかという気も起きぬまま、アスランはその場ですぐに腰のホルスターからオートマチックを抜いて構えた後静かに言う。
「そこをどけ、ニコル。そのパイロットに俺達を苦しめた落とし前をつけさせてやる。」
その言葉でアスランがガロードの命を狙っていると分かるニコルはアスランの方に駆け寄る。
「止めてください ! 幾ら敵兵でも今捕虜ならその扱いはきちんとすべきです ! 身柄を引き渡す前に問答無用で射殺なんて条約違反ですよ !! 」
彼とて失った仲間の事を思えば悔しさが出てくる。
だが彼の性格上、今アスランがしようとしている事は絶対にしない。
だから相手の素性を穏やかな姿勢で訊こうとしていたが、それは死んだと思っていた戦友がいきなり表れあっさりと無しにした。
ニコルの言葉を全く意に介していない様にアスランは同じ姿勢のまま、更に険しく冷徹な声で続ける。
「こいつは正確には連合軍の兵じゃなくて、奴らに加担している傭兵だ。正規の軍人で無い者を射殺しようが、上への理由はどうとでも言える。
レッドの俺達、ましてやこいつらと少しでも同じ空間にいた俺の言い分くらいなら通してもらえるはずだ !! 」
そんな無茶苦茶なとニコルは言いかけたが、彼の目を見て言葉を失ってしまう。
その目は仲間を奪われた事による憎悪で輝いていたおり、表情も終始動かす事がなかったからだ。
本気だ。アスランは本気でガロードという少年を射殺しようとしているのだ。
単なる示威行為でも何でもなく、条約無視を知った上で。
103:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 14:56:39
その当の本人は同僚の内心に全く気を使う事無く、更に数歩前に出て銃のセーフティを外す。
「俺からすればお前はまだ甘いんだよ、ニコル……何故こいつをさっさと殺しておかなかった ? 尋問でも何でもやって素性を聞き出せば良いものを。」
その言葉と苛立たしげな口調はニコルを慄然とさせた。
やがて彼は今も逃げようと必死になっているガロードの直ぐ横にまでやって来て、こめかみに銃を突きつけた。
「お前も、もう諦めた方がいいと思うが…… ? 」
「うるせえ !! 俺はティファを助けに行かなきゃなんねえんだ。こんな所で時間喰ってるわけにはいかねえんだよっ !! 」
その横暴な言葉にアスランはトリガーに自分の指をかける。
「ナチュラルのくせに無駄な虚勢だとは思うが……一応、驚いておこうか。それはそうと非常に残念だ。お前は白馬の王子になる事が出来ずにここで斃れるんだからな。だが安心しろ。
別室にいる愛しのプリンセスも直ぐに身を緋色に染めてお前の元へ馳せ参じるだろう。あの世で無能なナチュラル同士幸せに暮らすがいい……」
「この野朗ッ !!! ティファに手を出すなァッッ !!! 」
アスランが並べ立てた言葉はガロードの怒りを爆発させるに十分な言葉だった。
状況が状況ならガロードはアスランをたこ殴りにしている所だ。
一刻も早くベッドから抜け出そうと更に身を捩じらせるが、全く効果は無い。
アスランは両の口端をふっと上げ、一片の憐憫さも無い冷徹な声で言う。
「何も出来ない事に絶望するんだな……さようなら……最大限の憐れみをもってお前を葬るよ……」
最後の瞬間が宣告されてもガロードは諦めたくなかった。
こんな所で死んでたまるか……ティファを死なせるもんか……っ !!!!
その時だった。
突然ドアが開き、その方向から銃弾が放たれた。
銃弾はアスランの拳銃を吹き飛ばし部屋の隅に追いやる。
銃弾を放った黒服の青年将校ははっきりとした口調でアスランに向かって言う。
「絶望は愚者の出す結論です。」
その場に居た三人はその方向を見る。
中でも一番驚いているのはガロードだった。
「お……お前……ええっっ ?!! 」
「御久し振りです。ガロード。」
青年将校は極めてにこやかに挨拶をする。
それが視界に入っていないのか、ガロードは相変わらず陸に上がった魚の様に口をパクパクとさせている。
何せその青年将校は、自分の元いた世界で剣を交えつつ解り合い、最後は共闘してくれる事になった頼もしい友なのだから。
アスランは衝撃で震える手を抑えつつやっと一言口にする。
「カリス……ノーティラス副司令殿……」
104:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 15:02:16
今の所はここまでにしておきます。
尚アスランの負傷の設定と医務室の一件については
両足の骨折→頭部の負傷のみ
サイレンサー付きの拳銃を奪う→医者と格闘戦をやらかし、勝ちはするもののデスクの下にあった警報機を押され、引き出しは全部ロック状態で得る物無し。
無傷で→銃撃戦の跳弾や流れ弾であちこち負傷。
という風に修正しました。
評価が非常に気になります。
では、また後程。
105:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 15:07:43
投下乙です。
何つーか最悪だな、凸さん
これは流石に遺作や炒飯でも引くだろ、常識で考えて…
106:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 15:13:50
んで、三人からハブられて孤立している凸にラクスもしくはクルーゼが近寄ってきて
洗脳されるというオチかもしれんw
107:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 15:32:09
パパの手となり足となり
アズラエル並みのぶち切れキャラになったりしてな
パトリックが逆にアスランに引いて冷静になりそうだw
108:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 15:49:15
パト「お前は知っているか、ウラジーミル・レーニンを」
凸 「レーニン?中世紀の人物ですね、それが何か?」
パト「革命家でな、世界を読みきれなかった男だ、
お前はそのレーニンの尻尾だな( 特 に 頭 )」
凸 「自分で組んだコーディネートを無視してよく仰る……(殺殺殺!)」
こうですか、わかりません!
109:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 16:19:28
>>108
特に頭ワロスw
110:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 18:36:18
GJ!
迂闊だな、アスラン・ザラ。
よりにもよってガロードの前でティファに危害を加えることを宣告するとは…
A.Wですらそれをして生き残ったのはたった二人しか居ない(それでも結構な後遺症付き)というのに。
そしてクロススレで初のカリス登場ktkr!
地位からすると少なく見積もっても2、3年前にはこっちに居たんだろうか。
まあシナップス・シンドロームのことをおけば棒立ちだらけのC.Eでは最上位にも食い込めそうな実力の持ち主だし、
手柄立て放題でもっと最近ということもあるかも試練が。
111:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 19:04:48
>「絶望は愚者の出す結論です。」
↑
これがガロードではなく己に向けられた言葉だという事を理解できるかどうかが
「アスラン」に立ち返れるか「凸」で固定のままかの分水嶺となる…かな?
GJ!
112:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 19:56:30
カリスは白服が似合うと思うけどな
113:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 20:00:25
>>112
幾らか成長した上で白服だと、
クル-ゼと若干被るからジャマイカ?
まあ今のカリスはガロードとの出会いの結果、
対極とも言える道を歩いているが。
114:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 20:05:47
Xでは濃いめのグレーじゃなかったっけか、カリス。
個人的には黒服のほうがしっくり来るかな。
115:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 20:09:24
てか評議会員みたいな薄紫。
116:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 20:21:27
それにしてもアスラン滅茶苦茶だな・・・
流石にニコルも幻滅するんじゃないか?
117:livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g
07/06/20 20:38:30
>Exceed4000氏
思ったより長引いてしまったせいか、さっき見たら流れてたので再うp願います。
あと、ガンダムクロスオーバーSS倉庫にもうpロダがあるので、そっちにうpして下さい。
URLリンク(www.uploda.org)は流れるのが早いので、お手数ですが宜しくお願いします。
118:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 20:59:59
>>116
ここのアスランは何気に心の奥底ではイザーク以上に差別意識が強かったんじゃないかな。
あるいはろくに知らない状態で植え付けられる差別意識や憎しみと、
何らかの実体験によって内から沸きあがるそれとでは根の深さが段違いという事なんだろうか。
119:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/20 22:54:07
>>117
ガンダムクロスオーバーSS倉庫にうpしました。
seed_uljp00015.txt
或いは
URLリンク(www3.uploader.jp)
です。
パスワードはTiffa 削除はXSEEDです。
前後の文章の脈絡をつける為に長大になってしまいましたが、何卒宜しくお願い致します。
120:通常の名無しさんの3倍
07/06/20 23:25:48
>>108 ソ連以降のロシア国家元首「フサ・ハゲの法則」思い出したw
121:livedoorID持ち ◆yb1J9t3X3g
07/06/21 10:28:31
修正しようとまとめ行ったら、
第10話~第15話、第17話、第19話~第20話がうpされてないことに気づいた|liorz
というわけで、だれか上記の話のログ持ってたら「ガンダムクロスオーバーSS倉庫」のうpロダに上げて下さいo......rz
122:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 12:35:43
>>84
お前は何を言っているんだ?論点はそこじゃないだろ。
明らかに不条理な展開に対してであって、内容の質についてじゃない。
123:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 13:53:19 s1uNDs8a
>>121
第3話が第16話に間違ってうpされてましたよ。
ちなみに第3話は第3話のままですから修正の必要はないです。
124:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 14:03:43
変態兄弟とザフトの変態仮面はウマが合いそうだ
125:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 14:55:40 6BzY42kC
s
126:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 20:26:42
カナードってプレアに出会わなければ、
行き着く先は変態兄弟だったのかなぁ・・・。
まあ、共通点はどっちも偽物扱いってだけだけどさ。
127:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 22:05:55
案外、キラをフツーに真正面から打ち破って
その後種後半の主人公になってたかもよ?
ってか、なれ
128:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 22:14:56
おーい、凸やーい。
ティファちゃんに手を出したらガロードだけじゃなくて俺たちティファファンクラブがお前の髪の毛を毛根も残らないほどに全て引っこ抜くからな!
129:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 23:25:00
>>128
禿同。だがそれだけで済ますな!!
ピンク色の髪を植毛してやれ。
130:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 23:27:12
>>127
確かに。
対デストロイで、キラの馬鹿さは普通に証明されたしな。
アルミューレ・レミエール(だっけ?)を破れるとは思えん。
131:通常の名無しさんの3倍
07/06/21 23:40:12
>>127
しかし、いいのかそれで?
あいつもナチュラルにDQNだぞ。(運命編に入っても)
まあ育った環境と憎しみのみを拠り所にして生きてきた過去がそうさせたのは分かるが…
子供がこうも悉くアレだとヒビキ夫妻の遺伝子にこそ、
種世界の不幸の元凶が詰まっていたような気がしてならない。
132:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 04:47:18
第二十四話投下します。
機動新世紀ガンダムXSEED 第二十四話「逃げろ ! 」
カリスはアスランに銃を突きつけたまま静かに続ける。
「そこを退いて下さい。この者の処分は司令官の次に僕がどうするか権限があります。レッドとはいえ貴方に彼をどうこうする権利はありませんよ。」
それは確かな事だった。
いかにアスランが友人を討たれたとか、僚艦をやられたとか個人的な恨みを持っているとはいえ、このジブラルタルでは他にもごまんといるレッドの一人に過ぎないのだ。
アスランは苦々しい表情をしてそこから数歩後ろに下がる。
そしてカリスは銃を降ろした後、ガロードの元へやって来てベルトを外した。
ベッドから降り、肩を2~3回叩いた後彼はカリスに向かって握手を希望する様に手を差し出す。
「サンキュー、マジで助かったぜ、カリス。流石の俺ももうやべえって思っちまったぜ。」
そういう割には結講明るめに話すガロードを見て、カリスはふっと微笑んで握手に応じる。
「君がここいる事は先程目にした資料で知りました。中の様子は分からなかったのですが、今一度の力を使いました。」
「そうだ !! ティファの居場所は分かるのか ?! 」
「……その話に関してはこの部屋を出た後で……僕自身あまりこの先の事については力を使うのは止しておきたいので……」
その後彼はくるりと振り向き、呆然としているアスランとニコルに対してぴしゃりと言い放った。
「このガロード・ランと別室にいるティファ・アディールの両名に関しては今のところは司令官の代わりに僕が待遇に関しての詳細を決定します !
アスラン・ザラは今すぐ医務室に向かい然るべき処置を受けた後、南方にいる連合軍の新造戦艦の調査をするように ! ニコル・アマルフィは……アスラン・ザラがここまで帰投するのに使った戦闘機の調査及び自機のメンテナンスに向かうように ! 良いですね ? 」
そこまで言い切った時、ガロードがこっそりと二人に聞こえない様に耳打ちを始める。
「チョイ待ち !! 間違いねえとは思うけどさあ……俺その連合軍の新造戦艦にいるんだわ、今。乗ってたジンもそこで改造を受けたんだよ。」
「本当ですか ?!! 弱りましたね……おまけにそのジンはフレームの芯まで破損が見られたのでどの道廃棄処分だとは思うのですが……」
「げっ……」
ガロードがショックで固まるのを余所にカリスは目を伏せてしばし沈思黙考する。
連合軍が極秘開発した新型MSとそれを運用する為に作られた新型戦艦の話は、ここジブラルタルでもそれがあるといわれていたヘリオポリスへの襲撃関係者や、本部との繋がりのあるトップ陣営の間で話され半月ほど前から騒がれていた事だ。
現在あてにしている司令官はビクトリア陥落直前に一足先にここに戻っていたが、ガロード達の乗っていたジンが地中海に落着したとの報告を受けるほんの一時間ほど前に、急用が出来た為ビクトリアの方に十数機のMSを連れて出てしまっていた。
なんでも本人から直に聞いた話では地元のレジスタンスが急激に力を付け始め、陥落に伴ってビクトリア周辺が喧しくなってきているとの事だった。
ここであまり不審がられてしまうのは得策ではない。
そう思っていた時、アスランが鋭い声でカリスに問いかける。
「副司令殿……まさか、とは思いますが、その傭兵と内通していたという事はありませんよね ? 先程から会話の口調や内容に関してそういった事を伺わせる物があるのですが……」
133:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 04:48:26
その言葉に二人は一瞬ひやりとさせられた。
そこで咄嗟にカリスは頭の中で既に用意していた上手い言い逃れの台詞を口にする。
「この者が傭兵であるというのは完全に虚偽の報告です。このガロード・ラン並びにティファ・アディールはザフトが連合側に民間人を装って潜入させたスパイなのです。」
そう言った時、ガロードは息をヒュッと吸い込むようにして驚いてしまう。
カリスは知らないのかもしれない……自分が既にそんな言い訳が通じないほどに、ジンを討ったり、アスランの仲間を窮地に陥らせたかを……
ジンに乗っていたという報告を鑑みれば多少は、或いは……
そして案の定、その嫌な予感は的中してしまった。
アスランが更にきつい口調になって続ける。
「スパイですか……では何故彼は私の、いえ、私達の同胞を討ったのですか ? 私が出て捕虜になった戦闘では戦艦まで討とうという雰囲気でしたよ ?
……敵を欺くには先ず味方からです、などという突拍子もない発言は幾ら私でも賛成致しかねますが…… ? 二重スパイであったのなら尚更です。」
カリスの表情は慌てふためいてはいなかったものの、その感情を押し殺したかのような硬いものだった。
恐らく彼としては二人が何事も無く戦闘に参加する事も無しにスパイの任務を終え、ザフト艦に戻ったとたんにその宙域で戦闘が始まり、着替える間も無くMSで戦闘に出てしまった後、そのまま大気圏降下に臨んだと思っていたのだろう。
そしてアスランは飛ばされた銃が転がっている方向に少しずつ足を動かしていく。
もう何の言い訳も効きはしない。
「逃げろ ! 」
アスランが銃を拾おうとしたのと、ガロードがカリスの手を引っ張って部屋の出入り口に向かったのはほぼ同時だった。
二人は出入り口のドアがスライドして自分達が部屋から出た後に、閉まったドアの向こう側から銃弾の当たった鋭い音が聞く。
その後はもう後ろを振り返ること無く、迷路の様な通路を右へ左へ追手を撹乱する様に走り続けた。
そう走り続けながら、ガロードは一番気になっている事をカリスに訊く。
「カリス ! ティファは……ティファは何処にいるんだ ? 」
「この基地の最下層、地下三階にある独房に収容されています ! そこに行くには先ずエレベーターホールまで行かなくては ! 」
「エレベーターホールって……何処にあるんだそれ ?! 」
「待ってください。ここからの最短ルートは……」
カリスは走りながら壁に表示されているプレート等を読み取りつつ、組み上げられたルートを必死で整理する
「この道を真っ直ぐ行って二つ目の角を右に曲がった後、地下一階に通じる階段を下って目の前です ! 」
「オッケー !! そこまで全速力で行くぜ !! 」
二人は通路を一陣の風の如く疾走し続ける。
息が上がってくるのも、人とぶつかりそうになるのももう気に留めたくなかった。
134:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 04:50:32
そしてカリスが言った通りの順路を辿ると、急に視界が開ける。
そこはエレベーターホールと言うだけあって、高さや広さだけで言うならさながら大きな教会の礼拝堂くらいはあった。
そして目の前には五基のエレベーターシャフトがあり、制服に身を包んだ人々が忙しなく歩き回っている。
その場で立ち止まっていると、不意にカリスの声が横から響く。
「最下層の地下三階に直通しているエレベーターは中央にあるやつです。着いたら目の前にある道を真っ直ぐ進んで『A-33』という独房に行って下さい !
今は交代の時間で警備は手薄な筈です !! 急いで下さい !! 」
「でもお前は……ッ ?!! 」
「君に加担したとばれた以上ここにいる事は出来ません。独房のキーを解除する為にここのホストコンピューターをクラッキングさせてきます !!
それに、君の手でティファを救い出した方が良いでしょう。彼女もそれを望んでいるようですし……上手くいったら同じエレベーターで一階まで来てください。その時に僕がMSで助けにも行きます。
その時はこのレーザー通信機で外にある格納庫に来るよう呼び出します。さあ、早く !! 」
「すまねえ !! 恩に着るぜ !! 」
言うが早いか、ガロードはカリスが投げた通信機を空中で受け取りながら、扇状になった十段ほどの階段を下り始める。
その時、中央のエレベーターに何人かが乗り込もうとしていた。
いちいち途中で止まっていれば、アスランが追手を何人もこちらにさし向ける。
無駄に出来る時間はなかった。
「そいつに誰も乗るんじゃねえーっ !!! 」
いきなり聞こえて来た大声に、中央エレベーターに乗ろうとしていた全員は数秒の間ぎょっとしてその場に立ちすくしてしまう。
その数秒があれば十分だった。
集まっている人々を掻き分け、最後は滑り込むようにしてエレベーターの中に乗り込む。
それと同時にエレベーターの扉はゆっくりと閉まった。
それを見届けたカリスはホストコンピューターのある中央制御室に向けて再び走り出す。
「ガロード……無事にまた会いましょう…… !! 」
135:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 04:51:48
鉄格子の外の天井にある弱々しい蛍光灯の光以外存在し得ない独房に彼女、ティファ・アディールはいた。
目を覚ましたのは今から三十分程前のこと。
着ていたパイロットスーツは誰がそうしたのかは分からないが、今は元着ていた落ち着いた色の服になっていた。
また両腕には彼女の力では絶対に外す事の出来ない頑丈な手錠がかけられている。
足音が聞こえてきたので外を見ると、ひょろりとした保安要員が少しばかり驚いた様な目をしながらこちらに向かって歩いてきていた。
こんな少女が一体何をやらかしたのだろうかといわんばかりに。
今は人が替わったものの、つい先程までは銃を持った厳つい保安要員がこちらを胡散臭そうにじろじろと見ながら警戒に当たっていた。
普通こんな所にいれば誰とて感じる物は絶望感ぐらいしかない。
正直な事を言えば、彼女自身大気圏突入前の戦闘に参加する段で自分がこうなる事は分かってはいた。
だが彼女は強く信じていた。
自分がそうなるというのと同時に、自分を助けに来てくれる存在がもう間も無く目の前に現れる事を……
ニュータイプという形である事を否定された力……ガロードがそう謳われた彼女の力による予見を覆した事は多かったが、今彼女が予見した物は彼以外のほかの誰にも覆されたくなかった。
その予見が間違いでなければ、保安要員がこの人物に替わって間もなくして事態は好転するはずだったからだ。
そしてそれはそう思った瞬間に的中した。
遠い方向からチン ! とエレベーターで誰かが来た事を示す音がなる。
保安要員がその方向を見てSMGを構えて走り出すが、直ぐに彼はティファのいる独房の前まで殴られた音付きで飛ばされる。
低い声で暫く呻いた後、眠ったような表情になった所を見ると、どうやら気絶しただけの様だ。
そして鉄格子の外に待ち焦がれていた顔が、荒い息と共にひょっこりと出た。
「ティファ !! 大丈夫か ?!! 」
「私は大丈夫。ガロードは……怪我とかは無い ? 」
「ああ、俺も大丈夫だよ。」
その時、鉄格子の電子ロックがカシャッと軽い音をたてて外れる。上にいるカリスが上手くやったようだった。
ティファは自分から牢の外へ出る。
その時クスリと笑って彼女はガロードに聞き覚えのある言葉を言った。
「待って……いました。」
紛れも無い。彼女が彼に初めて会った時に彼女から言った最初の言葉。
それにガロードは若干照れた調子で頭を掻きつつ答える。
「二度目だなぁ……それ聞くのさ。」
しかしその時、ガロードはティファの手元を見て表情を一瞬で曇らせた。
「ティファにこんな事……酷い事しやがるなあ……」
かけられていた手錠が金属の鍵を使って開錠する型の物だった為に、いつも手元にあるはずの便利道具が無いのは非常にもどかしい気がした。
だが今はそれに拘ってグズグズしている暇は無い。一刻も早くカリスと合流してこの基地から脱出しなければ。
136:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 04:54:47
「こっちだ !! 」
ガロードがティファの身をかばうような姿勢になった後、二人は必死で走り、エレベーターに乗り込む。
しかしその時、気絶していた保安要員が目を覚まし、SMGを構えて直ぐにエレベーターの方向にそれを乱射しながら猛然と走ってきていた。
ガロードは自分の身とティファを、外とエレベーターの死角に入れた後『閉』のボタンを押し、同時に『1』のボタンも押す。
軍配はガロードの方に上がった。
保安要員がエレベーターのボタンに辿り着く前に扉は閉まり、二人を乗せたそれは移動を開始し始めたからだ。
自分達の後ろにある壁が穴だらけのエレベーター内で、二人は束の間の一息を入れる。
「怖かった ? 」
「ううん……ガロードなら絶対、大丈夫だと信じていたから……」
ガロードの何気ない一言にティファの頬がぽおっと赤くなる。ガロードも半瞬遅れて顔が真っ赤になった。
しかしそんな雰囲気は次の瞬間、目的の階に着いたエレベーター特有の現象で終わりを告げる。
扉が開くと目の前に現れるロビーと思しき場所は騒然としていた。
職員らしき者達が重そうな書類を腕にしつつ、顔に殺気を顕にしながらあちこち走り回り、その他の兵士達はレッドもグリーンも関係なく大声で何かを話し合っている。
「ホストコンピューターがコントロール不能になってどれぐらいだ ?! 」
「最新型のウィルス駆除システムがどれも効かないだと ? そんな馬鹿な話がある物か !! 」
「副司令殿の居場所はまだ掴めんのか ?!! 」
切迫したやり取りの雰囲気はその場では明らかに場違いな格好をした二人を隠すのには十分すぎるほどだった。
だがボーッとしていれば捕まるのは時間の問題だ。
その時丁度通信機が振動を始める。外に出ろという合図だ。
「行くぞっ、ティファ !! 」
「ええ !! 」
二人はそこから外へ続く玄関口に向かって走り出す。
137:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 05:26:41
しかし、その時後ろからそれを阻害せんと兵士達を「退けっ ! 」と突き飛ばしながら、走ってロビーに出てきた一つの影があった。アスランである。
息も絶え絶えに後ろからは多くの兵士がついて来ていた。
そしてアスランはその場でオートマチックを構え、「止まれ」といった警告も無しに躊躇い無く引き金を三回引く。
「ガロード !!!! 」
その直前にティファがガロードを押し倒す様に倒れ掛かる。
その為に銃弾は二人をほぼ逸れたが、内一発はティファの髪を縛っている紐を千切り飛ばし、更に彼女の頬辺りの髪を幾筋か吹き飛ばし地面に散らせた。
狙いとしてはどちらでも良かったが、結局しとめる事が出来なかった彼はその場で銃を構えたまま、チッと小さく舌打ちをする。
その場に倒れたままになっている二人にアスランは早歩きで近づくが、それがいけなかった。
倒れて気絶していたと思われていたガロードが、信じられないスピードと低姿勢さでこちらに向かって走り出し、アスランの腹に一発のパンチを決めようかという体勢になる。
「このヤロォーッ !! よくもティファをっ !!!! 」
「……女一人ぐらいでギャアギャアと甘ったれがっ !! 」
そう叫んで突っ込んでくるガロードをアスランは軽くひらりひらりとかわす。
しかし、ガロードの狙いはそれではない。
何度かかわされた後アスランの銃を持っている右手に捕まり、そこに下に向かって全体重をかける。
そこにあるのはアスランの右足の甲。
「やめろぉーッ !!! 」
有無を言わさず、ガロードはしがみついている右手の銃のトリガーをアスランの指がかけられたまま引く。
至近距離から足を撃たれたアスランは短く低く呻きその場に倒れた。
彼がもうあまり動けない事を確認したガロードはその場から猛然とダッシュする。
しかし彼等二人を地獄へ引きずり込まんとする声は、苦しさを交えながら周りの人間に命令した。
「何をぼさっとしてるんだ !!! 奴等は連合に買われた傭兵だ !! 躊躇う必要は無い !!! さっさと撃たないかっ !!! 」
明らかに上官とも言える者もいたが、今は気にしているわけにはいかない。
一方、一斉に銃の構えられた音が耳に入り、ガロードはティファに近づこうとする兵士達を押し退け、蹴り退け、踏み退けながら彼女を姫様抱えで抱え上げた後、更に走るスピードを上げる。
そしてガロードが玄関口を出るのと爆発が起こったかのように背後の窓ガラスが自分達に向かって砕け散るのはほぼ同時だった。
その時、抱えられていたティファが目を覚まし、ガロードの服の袖をぐいぐいと引っ張る。
「んあ ? どうしたんだ、ティファ ?!! 」
「あそこに……向かってください。」
ティファはすっとある方向に向けて指を指す。
走ってなら行けなくもない遠めに見えたその場所はMSの格納庫だった。
そしてそこには、今まで使っていたジンがオダブツになったとカリスに聞かされたガロードにとって願ってもいない物があった。
奪取されたXナンバーの機体の一つがあるパイロットの整備下にあったのだ。
138:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 05:54:46
投下終了します。連投規制引っかかってしまいました。
よくここのアスランってという意見が聞かれますが、母親を殺されて、父親仕事漬けにされて、おまけに友人や同僚を殺されたとあっては、
ナチュラルにそういう感情を抱かないのが不思議ですし、個人的には軍というシステムに入っているのに途中であっさり陣営を変えるという行為が信じられません。
あと、軍で上官が新兵に罵詈雑言浴びせて罵倒するシーンがありますが、
あれは新兵の人の生死に関する感覚を狂わせてさっさと殺人マシンに仕立て上げる為の正当法なのだとか。
更に数年前にテレビで見た広島の原爆被害者と原爆を落とした飛行機のパイロットとの対談であったのですが、
原爆被害者が慰霊碑に一言の謝罪をと言ったのに対し、パイロット側は我々はあくまで仕事でやったのだと言い、共通の合言葉‘リメンバー・パール・ハーバー'を忘れないと返しました。
ここのアスランがイザーク以上のナチュラルヘイト且つ、旧友のキラについて葛藤するまでも無く突き放した設定になっているのは、
上記の様な人間感情と軍のシステムに則って変えたというところにあります(腐的な要素を極力廃したという事も有りますが)。
ですから、父親も排他的政策を緩める事はないでしょうし、
その息子、凸にしてもここではナチュラルを人質にするなんて事をしないでしょうし、するぐらいだったらさっさと撃ち殺してます。
で、責任追及されたら「軍人の仕事だから仕方ない」と言い切るでしょう。今の彼の前では恐らく戦時国際法は紙切れ同然の代物ではないかと。
あと、凸と髪の毛の関連とか女難とかそういった物は自分の中では一切取り扱わない事を信条にしています。
ここまで折角真面目にやって来てその雰囲気をパーにするのもなんですし。
全くスレの雰囲気らしからぬ話題をして御免なさい。
今回の後盤のティファの一件は書いていて勇気が要りました。色々と……
では、また後程。
139:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 10:19:52
GJッス。
しかし凸、流れ弾が他の人に当たる可能性とか考えなかったんだろうか。
……うん、考えなかったんだろうね。完全に視野狭窄に陥ってるし。
まあ、コーディネイター、特にエリート階層の人間は少なからず
「下等なナチュラルごときがコーディネイター様に逆らいやがって。粛正してやる」
みたいな認識をもってるでしょうしねえ……。
とはいえ、ティファに手ぇ出した時点で凸の運命は決まった気がしますが。
ともあれ、今後も期待しております。
140:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 10:58:37
「GJ!右足の甲だけですんでありがたいと思いやがりくされ凸」
だけで1000まで行くかもなスレと聞いて飛んできました。GJ!
141:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 11:49:20
よかったよ、続き頑張ってくれ!
あと凸はこっちで処分しておくから
142:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 12:01:22
次回でたぶんガロティファ、うまくすればカリスも一緒に脱出し、
ザフト側からすれば捕虜脱走、副指令ご乱心で大騒ぎになった所で
凸が反ナチュ感情をあおりつつ自分の都合のいいように事態の掌握を
謀ると見た。んで一応成功はするだろうが、金角銀角はともかく少なくとも
ニコルの不信感だけは逆に深まるとか…
143:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 12:41:55
カガリと出会って改心することもなさそうだな>凸
144: ◆L1QckJlrlM
07/06/22 13:37:12
遅レス失礼
>>86
確認しました…
もし機会があれば翼を手足ともどもぶった切ってひっくり返したいですね…
取りあえず現在作成中…
なんとしてもカガリの登場までは!! と頑張っています。
145:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 14:16:58
なんという種死並の展開
悪いがGJ出来ない
146:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 14:38:35
どの辺りがそうなのかkwsk
147:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 14:45:12
なんという厨並の批判
悪いが賛同出来ない
ピンクじゃないんだから批判は具体的にやろうぜ。
種死並みって言うんなら、作者を嫁レベルから引き上げると思ってさ。
と、今さっきSS倉庫でガロード IN DESTINYを読破した俺が言ってみる。
148:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 17:07:23
まあどいつもこいつも賢くは生きてらんねぇってなとこで
アスランが多少頭に血の上った行動しても仕方ないといえば仕方ない
ただ、作者の人もあとがきでフォローする必要のないくらいに
本文の描写を頑張っていただけるとありがたい
149:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 18:24:11
ガロードも後先考えて話をしろよw
150:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 18:35:52
ガロードと話する前に何で凸たち部屋から叩き出さないんだよカリス。
お偉いさんなんだからそれくらい出来るんじゃねーの?
迂闊なヤツがまた一人増えたのかい…。
151:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 18:52:01
真面目な話、EXceed氏は一旦時間を置いて推敲してから投下したほうがいいのでは?
少々遅くなっても自分は構いません。
152:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 19:27:04
ちょっと投稿を休止します。
盛り上げる場を作るが為にあちこちに穴と言える大ポカをやらかしてしまい、考慮と推敲をやった上で投下したのですが欠陥がやはり目立つ様で……
再投稿は一週間以内に行えたら良いと考えております。
では、また後程。
153:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 20:33:28
>>148
後書きは楽屋話程度に留めておくべきで、本編の補完にあるんじゃねえからなあ。
なんで作中でやらなかったの?ってなる。
154:Exceed4000 ◆mGmRyCfjPw
07/06/22 20:52:00
次回投稿は2007/07/05(木) 20:10:18に行います。
_、_ 間を取るというのもあるのですが、
( ,_ノ` ) 理由はもう一つあります。
ζ
[ ̄]'E
 ̄
_、_ コーヒースレからの住人の方は何と無しの解るとは思いますが、
( ,_ノ` )
[ ̄]'E 執筆はコーヒーを飲みながら、とりあえず落ち着きつつやります。
 ̄
_、_
( ◎E
_、_ そして、 2007/07/05(水) 20:10:18以降は一話ずつ隔日で投下します。
( ,_ノ` )
皆様が、今以上にこのスレを楽しめる様に……。
[ ̄]'E
155:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 21:43:59
前も言われてたけどさぁ、きっちりした投下予告とか出さないほうがいいんじゃねぇの。
予告どおりに投下出来てないことのほうが多いだろ。
156:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 22:16:06
気取るほどのこともなし
傭兵だからこそ知己でもおかしくないのに
わざわざ嘘ついて窮地に陥るカリス萌え
傭兵ならどんな展開ができるだろう?
青枠のコウモリぶりを見るに
ガロティファ捕縛尋問
契約が切れていることの確認
ないし報酬の未払いを盾に契約の無効を立証すれば
ザフト側と契約することにして身柄の安全をとれそうな気がする
157:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 22:28:11
>>147
なぜそこでガロIN運命を引き合いにだす?
158:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 22:38:21
カリスの微妙な迂闊さが良い感じ
159:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 22:45:15
微妙ってレベルじゃねーぞw
160:通常の名無しさんの3倍
07/06/22 22:48:05
引き合いに出てはいない気もするが。
批判は建設的にしろってことじゃね?
161:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 00:58:59
明日ランの境遇から考えるに、ここで『悪いほうに変わってしまう』ことに不自然さは感じない。
ただ、キャラクターにはそれなりの『らしさ』というか個性があるはずで、
これがイザークやシンなら感情をむき出しにするだろうし、ディアッカなら表面は軽そうに韜晦するだろう。
ニコルなら冷静に黒いことを考えそうだし、レイならば理詰めで怒りをつのらせるだろう。
そういう意味でアスランらしくないというか種死で見せた『追い詰められたアスラン』とはかけ離れてると感じた。
もちろんTVのアスランを「そんなヤツいねぇ!」と思ったならこの改変もありだが。
……と思った。
162:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 02:13:18
そう考えると、ガロIN運命の各キャラはそれぞれのキャラらしかったんじゃマイカ?(レイのキャラは新鮮だったが)
扱いが同人アヌメと違うのはテロリストが賛美されるか否かの違いくらいで。
163:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 02:36:20
俺的にはレイのキャラはガロードの熱が伝わったってことでアリかな。
それよりも虎にはカガリを連れてさっさと脱走してほしかった。
164:通常の名無しさんの3倍
07/06/23 07:13:30
私はもう少しアスランにはザフトレッドとして、
また最高幹部の息子として自覚をもった行動をして欲しいです。
なんか反応が末端の兵士のそれと同じように感じられてなりません。
あとカリスもガロード達が傭兵と言われているのだから、
前の仕事で知り合ったとう言えばいいのになぜにそんなばれる様な言い訳を…
と、思うばかりです
165: ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:15:11
何とか期限までに間に合ったか?
投稿します
166: ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:16:02
「あ、あち~~!!」
「あふ…」
ガロードとティファはストライクから出るとその場でへなへなと座り込んだ。
「おめえ達、もうすぐたんか持ってくっからちょっと待ってろ!」
「あ~、頼むわ」
「…」
ガロードとティファは互いにパタパタと風を送りあいながら先ほどの戦闘の事を考えていた。
ストライクはゼロと共に早期に出撃、決死艦を抜けたMSの相手をしていた。
その時イージスのパイロットが色々と通信を繋げていたが、ガロード、ティファ共に無視を決め込んでいた。
しばらくイージスとデュエルの相手をしているとアークエンジェルより帰艦命令が来た。
とはいえこちらは2対1、重力圏に入ってすぐイージスは帰って行ったがデュエルはしつこくガロード
達に付いて行った。
その為デュエルの攻撃を避けている内にアークエンジェルに単身で帰還する事は困難となり、
アークエンジェルが移動、ガロード達を拾う事となる。
その時キラのプログラムが良かったのか、コクピットは少し熱くなる程度で済んだ。
もっともそれが長い時間続いたので二人とも暑さでダウンしているのだ。
「おめえら取りあえず病室行けよ」
「りょ~か~い」
ガロードがそう言うとガロードとティファは一つの担架に乗せられて運ばれた。
167: ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:17:08
「マニュアルは昨夜見たけど、なかなかたのしそうな機体だねぇ。
しかしまぁ、ストライカーパックも付けられますってのは、俺は宅配便か?」
「はっはっはっは。大尉なら、じゃねぇや、少佐ならどんなとこにもお届けできますってね」
「それに下手な戦闘機よりも火力が強力ですし」
「ま~な…ハルバートン提督の計らいとはいえ、この状況で昇進してもなぁ。
給料上がんのは嬉しいけどさぁ、いつ使えんの?」
「この坊主の調整のお陰で明日の朝には…」
マードックはそういいながらキラの頭をぐりぐりと撫でた。
「やめてくださいよ、けどいくら調整しても実際に飛ばしてみないと何とも言えませんね」
「確かにな」
「あ~、うん…そうだな」
フラガは何ともいえない顔でマードックとキラのやり取りを見ていた。
はたから見てもキラの能力は抜きに出ていたしナチュラルではありえない。
しかしその能力はアークエンジェルに欠かす事の出来ないものだし、
フラガも助かっているのだが人間だからといってすぐ納得できるものではない。
なのにマードックはキラの能力を認めていて、自らもそれに学ぼうという姿勢だった。
「ああいう奴が世の中に多かったら戦争は起きなかったのかねぇ?」
168:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:18:20
「ふー、少佐!今日はこれくらいにしときましょうや」
「調整はほぼ完璧ですが飛ばしてみないと解らない問題はありますね」
「ガロードも一晩寝てすっかり良くなったのはいいが…」
「あの嬢ちゃんはそうは行かないみたいだな」
フラガやマードックが言うようにガロードは大気圏突入の翌日けろっと直ったが、ティファは今だだる
そうにベットで寝ている。
ガロードはそれでもストライクのOSを宇宙用から陸戦用に切り替える為格納庫へ来ているが、
その間の看病はブリッチ要員をお払い箱になったミリアリアがおこなっている。
「こう言っちゃあなんだが…俺達ってダメな大人だね~」
「…そうですね」
ガロードはいつものように元気いっぱいと言う風に装っているが、実際は心ここにあらずといった感じ
だ。
それでもこのアークエンジェルにとってガロードの力の重要性は解っているので、
己を奮い立たせて調整をおこなっている。
「そういえばあのジンは使えるの?」
フラガはストライクの横に設置してある鹵獲したジンを指差した。
「取りあえずOSはガロードの坊主用に書き換えてありますがまだ調整が…」
「ふ~ん…俺でも乗れるの?」
「少佐用に調整すれば乗れない事もないと思いますが…結構慣れるのに時間がかかるんじゃ」
「けど俺も乗れるようにしないとね、MS…坊主達ばっかに戦闘を押し付けてちゃまずいっしょ」
「ですね」
フラガとマードックはそうしみじみと言った。
169:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:25:37
「ミリィ、ティファの調子は…」
「アハハハ、でねぇ…トール?」
トールが雑用<トール、ミリアリアは雑用係になっていた>を終えて病室に来るとミリアリアとティファの笑い声が響いていた。
「その調子なら大丈夫そうだな」
「はい」
「お医者さんの話じゃサウナに長時間入ってのぼせた状態だってさ」
「ふ~ん、なら平気か」
トールがそう言うとティファはこくりと頷いた。
「そっか」
「けど大事を取ってしばらく寝てなさいだって、それなら部屋でもいいのに」
「ティファ立てるのか?」
トールがそう聞くとベット端に背を預けていたティファはこくんと頷いた。
その後トールとミリアリアが面白おかしくアカデミー時代の話をして、
それを聞いてティファが笑うという構図ができていた。
「ティファ、大丈夫か?」
しばらくしてMSの調整が済んだガロードが病室に入ってきた。
ここまで走ってきたのか息を切らしていたが、ティファがミリアリア達と笑っているの見てほっと息を吐いた。
「大丈夫よ、ね? ティファ」
「はい、ガロード、私は大丈夫だから心配しないで?」
「そっか、うん」
ガロードはティファにそう言われ顔を赤くしながら頷いた。
それをこの前の逆襲とばかりにミリアリアとトールが攻め、ガロードはたじたじになっていた。
勿論ティファは顔をうつむかせて真っ赤になっていた事も追記する。
170:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:27:26
『第二戦闘配備発令! 繰り返す! 第二戦争配備発令!』
「とうとう来たか!」
「確かここってザフト圏だったんだっけ?」
「ああ、そんじゃ俺は言ってくっから、ティファはまだ大人しく寝ててくれよな!」
「私も…」
「「「駄目」」」
戦闘準備の放送が来ると病室はにわかに慌しくなった
ティファは今まで同様ストライクに自分も乗る為に起き上がろうとしたが、
それをミリアリア、トールそしてガロードに駄目だしを受けた。
その声が重なった為ティファは一瞬きょとんとしたが、意味を受けとると俯いた。
それに動揺したガロードであるがミリアリアに速く行くよう言われしぶしぶその場を後にした。
「大丈夫だって、ガロードはそん所そこらのザフトになんか負けないって」
「それにティファがここにいるんだから絶対帰って来るさ」
そんなティファをミリアリアとトールは励ました。
ティファはそんな二人を見て微かに頷いた。
171:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 07:28:40
「坊主! エールはまだ大気圏突入の時にブースターの回路の一部が焼けちまって使えねえ!」
「了解、そんじゃ…ソードとマシンガンをよろしく!」
「わかった」
「ガロード、一応照準は出る様にしているけど射撃はOSの補助は無いから気をつけてね!」
「俺はそっちの方がなれてっから大丈夫だよ」
ガロードはそういって手を挙げるとストライクのコクピットの中に入っていった。
『敵は戦闘ヘリだ、行けるな!?』
「へ、そんなもん余裕だぜ!」
『先に少佐のスカイグラスパーを出す! 重力に気をつけろよ?」
「俺は元々そっちの方が得意なんだよ」
『ふ、そうか。ハッチ開放、スカイグラスパー、ストライク発進!』
『先に行ってるぜ?』
ブリッチとの交信パネルとは別にもう一つのパネルが開き、フラガがそう言って来た。
「へ、おっちゃんこそ落とされんなよ?」
『お兄さんと呼べ! ああもう、スカイグラスパー、ムウ・ラ・フラガ、出るぞ!』
フラガがそう言うとストライクの横をスカイグラスパーが発信して行った。
『続いてストライク、発進どうぞ!』
「おう! ガロード・ラン、ソードストライク、いくぜ!」
それに続くようにストライクは発進した。
172:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 08:24:52
「よっ…は、っと!」
ガロードはフラガと共に難なくアークエンジェルの上に乗ったまま戦闘ヘリを落としていった。
「へへ、こんくらいなら楽勝だぜ」
『そうも言ってられなくなったぞ、お客さんだ!』
フラガがそう言うと、四足のキツネの様なロボットが3機地を這うように高速で来た。
「なんだありゃ?」
『TMF/A-802…ザフト軍モビルスーツ、バクゥと確認!』
「あれがモビルスーツ~?」
『そうだ! 陸戦用に特化しているから気をつけろ!』
「了解!」
ガロードはそう言うと右手に持つマシンガンでバクゥを牽制、
バクゥは1機がそのまま突進し、2機が左右にわかれた。
「そりゃ!」
ガロードはそんな掛け声と共にアークエンジェルを飛び降りた…が、
「うおっとっとっと…」
着地に失敗し砂に足を取られ、体制が崩れる。
しかしそれでも右手に持つマシンガンは正面バクゥに向けられていた。
そのバクゥは一度右に機体を流すと背中に背負っているミサイルランチャーを撃つ。
ガロードはそのミサイルをマシンガンとバルカンで迎撃すると、
バクゥとストライクの間に煙幕ができた。
バクゥはその場で煙幕の方を向いているとそこから一本のワイヤーが伸びてきて、
バクゥの右前足を掴み、ワイヤーは巻き戻った。
抵抗するように背中のミサイルランチャーを撃つも、
それを無視するかのようにストライクは右手を対艦刀に持ち換え、片腕でバクゥを切り裂いた。
173:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 08:25:43
「ますは一つ! ってね」
ガロードがそう言い砂漠を歩こうとするも足を砂に取られ、なかなか上手くいかなかった。
「くそ! どうす…うわ!」
アークエンジェルから離れるようにのたのた歩いているストライクを、
残りのバクゥ2機は取り囲んで攻撃を開始する。
その衝撃でコクピットが揺れたがダメージはさほど無いようだ。
「つってもこれじゃあ…ん?」
砲撃が一時やみ、バクゥが煙を上げている。
よく見るとバクゥの近くにジープが何台書いてバクゥを攻撃しているようだ。
「…にしては威力が弱いな~」
ガロードの世界では車に積む火器は大抵が対MS用の物だ。
これは総じて威力が高く命中精度も上がっている。
これは装甲が硬いMSの少しでも弱い所を狙えるようにそうなっているのだが…
ジープの攻撃はどう見ても嫌がらせ程度であり、当っている場所も装甲が厚そうな場所だ。
ジープはストライクにワイヤーガンを放つと、
『そこのモビルスーツのパイロット! 死にたくなければ、こちらに指示に従え!
そのポイントにトラップがある! そこまでバクゥを誘き寄せるんだ!』
そう言ってジープは走り出した。
「…それ以外の手も無いし…いっちょ乗ってみるか!」
ガロードはそう言うと機体をジャンプさせた。
指定のあった場所渓谷でそこまで行くとバクゥもそれを追ってきたが、
ガロードは崖の上へワイヤーを伸ばしてジャンプ、その数瞬後にその場所一体は爆風に包まれた。
174:ガンダムXSEED 新たなる道 (作 ◆L1QckJlrlM
07/06/23 08:31:39
「え~と、空は俺達の知って…いや、知らない空だな」
「え?」
「あそこになんか浮いてる」
ガロードが指差す先には砂時計状のコロニー、プラントがあった。
ガロードとティファは砂漠に抱き合って寝転んでいる。
時間を少し戻して、バクゥを追い払うことに成功したアークエンジェルは、
それに協力したレジスタンス『明けの砂漠』と武器を持ったまま話し合った。
それにより協力体制を一時取る事になったのだが、
話がまとまりガロードがストライクから降りると、
「ガロード!」
という声と共によこから誰かがタックル…もとい抱きつく。
ガロードは反応できず、しかし辛うじてティファと解るとティファが正面から倒れないよう自分を下敷きにした。
これに周囲も唖然となったが、それを無視してティファがガロードを気遣った。
それにガロードが大丈夫と答え、その後まが持たずにガロード達は先ほどの会話をした。
そこに金髪の少女が覗き込むように抱き合っている二人を見た。
「…大丈夫か?」
「平気平気…ティファ、起き上がるからそろそろ」
「…はい」
ガロードがそう言うとティファはしぶしぶという感じに起き上がった。
金髪の少女、レジスタンスのリーダーから『カガリ』と呼ばれた少女はそれを溜息を付いてみていた。