07/02/16 12:34:22
エンドレスデュエルを発売日に買った俺が来ましたよ?
93:通常の名無しさんの3倍
07/02/16 17:25:08
ヘビーアームズが砲身で殴りかかって来るアレか
94:通常の名無しさんの3倍
07/02/16 19:57:13
>>83
そんなこと言ってるとスネ夫が来るだろーが!
俺は大歓迎だがな!
95:通常の名無しさんの3倍
07/02/16 20:03:32
>>92
エピオンが全身からエネルギー弾を発射するゲームですね?
96:通常の名無しさんの3倍
07/02/16 20:37:11
>>92
サンドロックがショテルブーメランするゲームでしたっけ?
97:通常の名無しさんの3倍
07/02/16 20:47:47
プラネットディフェンサーを投げつけて連続ヒットさせるゲームだよ
98:通常の名無しさんの3倍
07/02/16 20:51:09
ちがいます。
ヴァイエイトが「長い砲身にはこういう使い方もあるんだっ!!」って棍棒がわりに使うゲームです。
99:通常の名無しさんの3倍
07/02/16 20:51:48
ヴァイエイトが膝蹴りかますゲームですよ。
100:通常の名無しさんの3倍
07/02/16 21:16:49
デスサイズの無限コンボはやめましょう!
喧嘩の元です。
101:endless destiny ◆26fvVAiDE.
07/02/16 21:25:15
仕事が忙しくなって来たので今月は投下は無理そうです。申し訳ありません。
新職人様GJです。トロワのサーカス、良いですね。お互いに頑張りましょう。
102:72
07/02/16 21:43:20
>>101
いやはや、何て言えばいいのか…とりあえず、どうもです。無理をなさらないように。
そして、いやはや、幾多の感想のお言葉、感謝感激です。
ということで早速投稿。もちろん読みにくい点があれば何なりと。出来うる限り対処させていただきます。
しかし、ヒイロの言葉が少ないのはどうにも…。何か、想像出来ませぬ。
自分の仲間が自分と同じジレンマに悩まされているのも露知らず、ヒイロは自らの愛機の下へと急いでいた。
自分の犯すことが例えどれほど大それたことだろうと、この町の人々、この世界の人々が苦しく様を見たくはなかったのだ。
いつの間にかに、この世界のことを好きになっていた。それなのに、気づかないようにしていた。気づきたくなかったのかもしれない。
ここに来てまだ間もない頃、親身に助言をしてくれたり穴場のお店を教えてくれた23,4の若者。日用品を買いに行く時に笑顔でサービスし、少なからず世間話をした店主。
腕は下手だが、時々家に新鮮な魚を持って一緒に食べたこともある釣りの好きな八百屋の店主。公園でぼーっとしていた自分に花をプレゼントしてくれた少女。
精一杯に生きている彼らを、誰が苦しんでいる様を見て喜べるだろうか。
向こうの世界の人々となんら変わらない。精一杯生きているのだ。
そして、愛機の元へと走る彼の目の前で―ありえないことが起こった。地響きを立てて虚から出現した黒い巨人。
元いた世界では搭乗者を要さない自立操縦の元動いていた殺戮兵器。
「モビル・ドール」。そして―「ビルゴ」
「ビルゴが……何故……!?」
ビルゴは森林の中央に堂々と立っていた。その眼光に光は無い。混乱するヒイロに、更なる追い討ちが待っていた。
ヒイロを尻目にビルゴの眼光に光が点され、市街地の方へゆっくりと足を向ける。
その時、ヒイロにはいつもは平然と撃破していたビルゴが―酷く巨大な悪魔に見えた。
愛機の下へと全速力で駆ける。しかし少なくとも後二分は掛かる。起動に二分―ロックを厳重にしているせいだ―。その間にはビルゴは市街地に辿り着いてしまう。
何をするかは解らないが、たとえ自重が軽くとも、あんな物が市街地に出て歩き回れば住人の顔色は恐怖色に染まる。
もし、最悪の場合は―考えた瞬間、ヒイロは何か冷たい刃物のような物が首筋に当てられた気がした。
巧妙にカモフラージュされた愛機を見つけ、コックピットのロックを外す。キーを打ち込み、それを認証してまた入力。ロックが外れると同時に、コックピットに滑り込み起動。
姿勢を制御して無理やり機体を起こすと、市街地の方角を視界に納めた。
ビルゴの足は遅く、今まさに市街地の方へと踏み入らんというところだった。ほっとして、機体を操作しビルゴの方に機体を向けようとして―目を疑った。
「馬鹿な……ッ!」
なんともまぁ、ビルゴが転倒したのだ。気づいたときには機体を走らせていた。
ビルゴは乱暴に起き上がると、今度は走り始めた。市街地の端の方に辿り着いて、何かを思い出したかのようにビームキャノンを構え―森林部に上体部を突っ込ませた。
ウイングガンダムゼロが飛び蹴りをしたのだ。ビルゴは起き上がり、さしてダメージが無いかのように振舞い再びビームキャノンを構えた。
ヒイロは全てを瞬時に分析し、ビームサーベルを抜くと機体を走らせた。ビームキャノンが発射される。その時は上空に。上空から一直線に降下してコックピットめがけて一刺し。
ビルゴは糸の切れた操り人形のように膝を突いた。ほっとして外状況に目を走らせる。この世界に来た時から答えてはくれないゼロシステムを除けば、無傷だった。
「損害ゼロ。久々の戦闘に、して、は………………」
ヒイロの言葉はそこで途切れた。目は見開かれ、口は開きっぱなしだった。
目の前には―ビームキャノンが抉った町の傷跡だけがあった。
103:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 00:59:47
ガンダム無双では東方不敗の弟子になるようだし、
いっそドモン並とは言わんがアレンビー並の身体能力と流派東方不敗にふさわしい暑さを持ったスーパーテロリストとして登場させてみるのも……
正直想像できんな
104:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 01:03:54
ヒイロよりはごひのほうがいい
どっちにしろ想像できんが
105:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 06:18:17
>>102
GJ!平和→戦争の混乱がよく分かって良いです。
出来れば、コメントと作品を分けて投下して貰えると読みやすくていいです。
>>103-104
お前ら消えろ。ゲーム厨は巣に帰れ。
106:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 06:42:21
2chを勘違いしておるな
107:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 07:02:02
無理が通れば道理が引っ込む。いやなら道理を通して見せろ
108:72
07/02/17 12:42:03
質問なんですがウイングゼロが単機で大気圏を離脱するシーンって存在しましたっけ?
記憶力が悪くて覚えていなくて…
109:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 13:00:15
>>108
72氏>
単機での大気圏離脱シーンはありませんね。
宇宙に上がる際はHLVを使っていました。
テレビ最終回ではバード形体で大気圏から戻ってきたので
もしかした自力での大気圏突破も可能なのかもしれません。
燃料(推進剤)のことを考えてヒイロはHLVを選択していたのではないでしょうか。
110:72
07/02/17 13:33:24
お早い返信、どうもです。分かりました。そこんとこそれなりに工夫して頑張ってみます。
111:72
07/02/17 13:40:53
何時までそうしていただろうか。ほんの一瞬が一分になり、やがて一時間、やがて一日と―
ほとんど無意識のうちに膝をつかせてコックピットから飛び降り、素早く市街地に駆け込んだ。
ちょうど、町の人々が集まっていた。辺りには人であったものや腕らしき物が四散していた。
被爆現場にいた子供たちは泣き叫び、大人達はビームキャノンがえぐった場所を見つめて打ち震えていた。
「ヒイロ! 無事だったのか!」
23,4の若者だ。ヒイロは彼にこの町についてまだ間もない頃世話になった。
「アイツがお前を見てないって言ってさ、お前の家に行こうとしてさ……あの光の巻き添えに……でも、お前が無事でよかったよ」
「な、に……?」
ヒイロには最初どういう意味か分からなかった。
だが、意味を理解した瞬間、ヒイロの中で何かが音を立てて崩れた気がした。
彼の言うアイツとは、自分にこの世界がどういうものかを気づかせてくれた人物であり―彼の弟でもあった。
いつも家の仲で遠目から眺めていた。街の子供たちと公園で駆けている姿を見ると、本当に二十歳を超えているのかどうか疑いたくなる兄に、面倒見がよく弟。
そんな…馬鹿なことがあってたまるか。自分がもっと早く動いていれば―
「アイツ、本当にこの街が好きでさぁ、俺はここで永住だ! なんて言っててさ……それを……それを……あの黒いのは、悪魔かなんかなのかなぁ……」
ようやく町の人々が正気に戻って、救助活動を始めていた。残骸に埋められた人々もいる。
「兄さんって呼んでくれてさ……畜生……」
ヒイロはそっと離れた。自分がこの場にいてはいけない気がしたのだ。
ゼロの下まで戻ると、機体を起動させて、ビルゴの残骸を抱えて機体を飛び立たせた。
一刻も早くここ離れたかった。
街から離れた海の上で、ゼロは佇んでいた。
何時までそうしていたであろうか、ゼロは唐突に広大な海の上空から、ビルゴを手放すと同時に海へと降下していった。
どうすればいいかわからなかった。あの声さえ聞こえなければ、このまま海に直面していたであろう。
自分の名を呼ぶ声。少女の、呼ぶ声。
ヒイロはとっさに瞑っていた目を見開き機体を急上昇させた。冷静になって、状況を分析する。
「ゼロを宇宙に上げたからといって、燃料の方の危険性もある……しかし、危険な賭けだが、やるしかない」
ヒイロは機体をネオバード形態に変形させると、いまだ地球への落下コースを辿るユニウス・セブンに向けて発進させた。
失敗する要因は多い。だが、今のヒイロにはそんなことどうでもよかった。
地球への落下コースを辿るユニウス・セブンを消滅させることが出来るのならば。
それを、離れたオーブ近海の島で見ていたキラは、思わず目を疑った。
まるで鳥のような機体が宇宙(そら)に向かって飛んでいるように見えたのだ。
しかし、それも一瞬。すぐに視界から消え失せてしまい、キラは疲れているのかな、と思った。
「どうかしましたか、キラ?」
そんな様子を怪訝に思い、声を発した女性。
キラは、我に返ったように、
「え? あ、ああ。気のせいかな、鳥が、宇宙(そら)に向かって飛んでいるように見えてさ……」
「まぁ、本当ですか?」
女性は空を見上げ、必死に遠くを見ようとしている。
キラは、苦笑しつつも、気のせいかと割り切って再び空を見上げた。
112:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 18:41:42
>>111
GJ
敢えて我が儘を言うと投下の際はもっと文章量があると嬉しいです。
113:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 18:46:53
GJ
どっちかっつーと量はこのままでもいいから
最後に「続く」とか入れて欲しい
レスしていいかどうか悩む
114:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 18:52:22
GJ!
投下の分量は職人さんのお好きな様にして下さい。ワガママは言いません。
ただ、鳥なりタイトルを入れて貰えると嬉しいですね。
投下終了が分かるようにしてくれるともっと嬉しいです。
115:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 18:54:21
GJだぜ!
あとはタイトルだな。
116:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/17 19:58:11
なるほど…文章量ですか…出来うる限り善処いたします。
なにぶん、書きながらですので投下がばらばらになってしまって…今後は、まとめてから投稿、といった形式にいたします。
トリップはこんな感じでしょうかね?
117:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 20:04:45
>>116
おk
今後も楽しみにしていますノシ
118:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 20:05:10
鳥はOK、出来れば話数もつけてくれたら嬉しいですね。
分量については気にしないで下さい。職人さんのスタイルがあるでしょうし。
119:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/17 20:36:49
分かりました。文章の途中にタイトルと話数を挟み込む形式でよろしいでしょうか?
120:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 20:38:52
>>119
それで最後に「続く」って入れてくれればおk
楽しみにしてるぉw
121:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 20:45:46
エンドレスデュエルの技で戦ったら神。
122:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/17 20:55:48
>>120了解しました。
123:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 21:12:15
Endless Duel
URLリンク(www.youtube.com)
URLリンク(www.youtube.com)
MSが投げ技、エピオンがサマーソルトキックをwww
倒れた相手にも攻撃できるとは容赦ないゲームだ。
124:通常の名無しさんの3倍
07/02/17 21:16:14
>>123
懐かしいな…ってこれどうみてもガンダムファイトww
125:W-DESTINY 28話 1/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 00:54:59
「シン……アスカ?」
ステラは、目の前のMSのパイロットが名乗った名を口にする。すると自然に胸元に手が行っていた。
「え?……シン?」
パイロットスーツの下にあるペンダントから温もりが広がる。何かを思い出そうとしていると、マユの
声が入ってきた。
「このぉぉ! よくもノコノコと!」
そして、同時にデストロイの腕が飛んできて、目の前のMSは、それを避けるためにガイアの腕を放し、
距離を取った。
「あれがデストロイか……聞いてはいたけどホントにデカイな」
シンは腕を避けると、半端な覚悟では勝てないと気を引き締め、呼吸を整える。
「やってやる。制御してみせる!」
そう叫ぶと、あの時の感覚を引き出す。ルナやレイ、大切な者を失いたくない気持が起こす集中力。
リハビリと平行して、何時でも引き出せるように、同時に正気を保てるように訓練してきた。
そして、シンの中で何かが弾けた。その途端に熱と頭痛、そして狂気と呼べる感情が流れ込んでくる。
「くっ!……ふぅ~……やはり、あの中に居るのか、マユ」
シンは、それが流れてくる方向、デストロイに再び視線を移す。だが、プラントでの訓練と違い、マユが
近くにいると感情の流れが強い。マユから流れてくる感情は相変わらず苦しみに満ちていて、シンを
狂気へと誘おうとしてくる。その激しい誘惑に耐えかねていると、傷付いたインパルスからルナの声が
聞こえてきた。
「シンなの?」
「ルナ?」
ルナの無事な声に安堵し、狂気が和らぐ。ステラがルナを殺すという最悪の事態を回避できた事に喜びを
感じ、ルナに離脱を促す。
「ルナ、その状態じゃ戦闘は無理だ。コアスプレンダーで戻れ」
「でも……」
「大丈夫。絶対に後ろから墜とされたりさせないから」
「えっと、そうじゃなくて……」
「急いで、ここは危険だ」
「……うん」
ルナは、助けてくれた事への感謝や再会の喜びを伝えたかったが、目の前にガイアが、ステラが居ると
思うと、何だか邪魔者のような気分になり、上手く言葉に表せなかった。
「気を付けてね」
「ああ、それと助かった。ありがとう」
「え?」
助けられたのは自分なのに、逆に感謝されて戸惑ってしまう。しかし、すでに離脱の準備を開始している
ため、聞き返すことも出来ずにその場を立ち去るしかなかった。
126:W-DESTINY 28話 2/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 00:56:00
「さてと……これなら何とかなる」
シンはルナの声が聞こえた時から狂気が和らぎ、あの力を自在に使えそうだとルナに感謝していた。
そして戦況を分析する。すぐ側にはステラが居る。ガイアを戦闘不能にして中のステラを連れ出すのは
容易だったが、問題はマユのデストロイだ。ゼクスとレイの2人と対峙しながら、その意識をこちらに、
シンと、それ以上にステラの方に向けている。
「そんな事、黙って見逃してくれないよな」
シンはマユから流れてくる感情の中から、僅かに温もりも感じていた。
「そんなにステラが大事なんだな」
自分がルナの声で正気を保てたように、マユもステラ達との出会いで狂気から抜け出したのだろう。
そんな、マユのステラに対する想いを感じ取り、マユの目の前でステラの捕獲は困難だと知る。
「だったら……」
シンは一足飛びにガイアの懐に入ると、ガイアの右肘を掴む。
「ステラ、ゴメン! 戦場を離脱してくれ!」
そう言って、そのままパルマフィオキーナを発射すると、ガイアの右腕を破壊する。
「え?」
ステラは優しい声が聞こえたと思ったら、腕を破壊されて恐怖する。
「これで戦闘の続行は無理だ! 下がってくれ!」
だが、続けて下がれと言ってくる声は優しく温かかった。何処かで聞いたことのある声。
それに事実、片腕で無理に戦うべきでも無かった。
何処で聞いたかを懸命に思い出そうとしながら、何故か敵に返事をして撤退する。
「う、うん……」
撤退を始めるガイアを見ながら、これでステラが殺す事も殺される事も無くなったと安堵する。
所詮は問題の先送りだが、物事には優先順位があった。ここで無理にステラを救出しようとしても、
マユに阻まれるだろうし、放ってくのは彼女自身も、また味方のザフト兵も危険だった。
そしてデストロイに集中する。まずはマユから抑えるために。その時、ガイアを傷つけた事に激怒
したマユが攻撃を開始してきた。
「よくも! よくもぉ!」
「隊長、レイ、ここは俺が引き受ける!」
デスティニーの翼を広げ上昇すると、デストロイから砲撃が飛んできた。
「シン、1人では」
「大丈夫だ!」
レイが援護を申し出るが、ここは1人でやるべきところだ。個人的な行為のためにも、デスティニーの
存在理由、象徴としての戦闘力を知らしめるためにも。
「マユ、悪いけど……そいつを破壊する!」
127:W-DESTINY 28話 3/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 00:57:00
「ふざけたこと言ってぇぇ!」
マユが怒りの声を上げながら、スーパースキュラを放つ。その太い光線がデスティニーを貫いた。
「―っ!……え?」
直撃したと思った瞬間、喜びと悲しみが入り混じった複雑な気持に支配される。だが、貫かれたはずの
デスティニーが消えると、すぐ隣に無傷のデスティニーが現れていた。
慌てて攻撃を再開するが、再び同じ現象が繰り返される。
「な、なんなの? そんな……残像!?」
残像を残しながら高速移動をする機体に戸惑うが、両腕をデスティニーの周りで旋回させ、ツォーンを
発射させる。
「これなら!」
デストロイの口部から放たれたビームは、旋回する腕に装備された陽電子リフレクターで反射され、
正面からの攻撃から、四方からの攻撃へと変化する。
「くっ!」
回避が間に合わないと判断したシンがビームシールドを展開させて攻撃を防ぐと、今度は掴みかからんと
指を広げ接近してくる。
「握り潰してやる!」
「させるか!」
シンは背中から細身の反りの無い片刃の長刀、アロンダイトを引き抜くと、両手に持って構える。
マユはその剣を見て嘲笑した。
「そんな細い剣で……まずは弾き飛ばしてやる!」
PS装甲の腕に陽電子リフレクターを展開させたまま、デスティニーにぶつけようとする。
この加速と重量なら、あんな細い剣は簡単に折れ、機体にもダメージを与えられると確信を持っていた。
「うぉぉぉぉぉ!」
だが、シンが気合と共に振り下ろした一閃でデストロイの腕が叩き潰されるように斬られる。
「え?」
破壊されるはずの無いものを壊され、マユは呆然とした声を上げた。
それは、すぐ側で見ていたゼクスとレイも同じだった。
「あれは……まさか?」
ゼクスは、その強度に心当たりがあった。そして、何故デストロイの対策が大丈夫なのか、誰があれを
デスティニーに取り付けたかを察した。
「04と同質の武器か?……それにしては」
加熱した様子は無いから、単純に強度で勝るガンダニュウム合金で叩き切ったのだろう。
「強引な武器だな。カトルらしくない」
ゼクスは反りの無い日本刀のような剣を見ながら率直な感想を呟いた。
128:W-DESTINY 28話 4/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 00:57:59
「隊長。アレは?」
「ビルゴの装甲で作った剣だろう。この世界の材質より遥かに丈夫な武器だ」
「あれか……PS装甲でも無理なのか」
レイの脳裏に、カオスとカラミティの攻撃に全く動じなかったビルゴの恐怖が蘇る。
「だが、あれでは……」
デストロイの巨体に目を移す。いくら強度があってもサイズから斬撃では効果的なダメージは与え辛い。
よって、コクピットか動力への刺突が望ましいが。
「それではパイロットが……シン、どうする気だ?」
もう1本の腕を破壊すると、シンはデストロイへと接近する。
「この! 消えろっ! 消えろぉぉ!」
マユは近づけさせまいと、ツォーンとスキュラを乱射するが、シンはビームシールドを展開させると、
真っ直ぐに突っ込んでくる。
「正面からだけならっ!」
デスティニーの正面にビームシールドを翳し、ビームの雨を防ぐとデストロイの懐に飛び込む。
「シン! お前、まさか!」
レイの目にはシンがデストロイを刺突するかに見えて、妹を殺す気かと慌てて止めようと考える。
だが、デスティニーはデストロイの足元に着地し、剣を振りかぶった。
「斬撃?」
レイはシンの行動の意味が分からず呆然とした。斬撃では効果的なダメージは与えられないはずだ。
「くそっ! こんな奴に!」
マユが怒りに任せて、デスティニーを踏み潰そうと足を上げる。がだ、その瞬間、デスティニーの持つ
剣が縦に開き、刃先に隙間が生まれた。
「リミッター解除!」
シンはデストロイが足を上げるより速く、アロンダイトの封印を解除する。
すると、開いた隙間から薄い緑色のビームが発生し、巨大な刃と化した。
「あの光!」
ゼクスが驚きの声を上げる。アロンダイトから生まれたビームの刃は、この世界の対艦刀が放つものとは
違う。この世界の剣の刃のように真っ直ぐでは無い。どこか荒々しく無骨な感じの乱れた薄い緑の光。
それは、ゼクスの良く知るMSが放つビームの刃に似ていた。
「04では無く、エピオンの剣と同タイプなのか!」
129:W-DESTINY 28話 5/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 00:59:01
ゼクスの言葉を肯定するように、アロンダイトから発生した光の刃は、その長さをデスティニーの2倍
以上の長さまで伸ばした。
「マユ! 怪我しないように気を付けろ!」
シンが、マユを気遣いながら横薙ぎに一閃させると、デストロイは両足の付け根から両断され、その巨体
が地面に仰向けに倒される。
「なっ?……」
地響きを立てて倒れたデストロイを見たザフト兵から、歓声が沸き起こる。
先程まで圧倒的な存在感を誇っていたデストロイの破壊はザフト軍の士気を上げ、同時に連合軍の士気を
激減させた。
元々、この戦闘はザフトが圧倒的に優勢だったのを、カオスとデストロイが何とか互角に持ち込んでいた
状態だった。しかし、両機が破壊された今、決着は付いたも同然だった。
そして士気の勢いが、すぐに戦闘に反映されると、各所で連合軍が押され始め戦線は崩壊し始めていた。
「終ったな……」
その様子を見ながらシンはデストロイに目を映す。四肢を破壊され身動きの出来なくなったデストロイは
先程までもがいていたが、すでに大人しくなっている。
戦局が決まった以上は、多少の我侭は許されている。以前のミネルバのパイロットの1人であれば、
ゼクスかタリアの許可が無い限りは、無理だったが、今はフェイスのため基本的に命令権があるのは
デュランダルだけだった。
「さてと、コクピットを降りるのは無謀だよな」
そして、マユをどうやって捕獲するかを考える。ステラだったらデスティニーから降りて、コクピットを
開ければ良いが、マユ相手だと自殺行為になる。
「元気だったのは良いけど……逞しくなりすぎだよな」
そうやって悩んでいると、突然デストロイが背中のパーツにある20門のビーム砲を発射した。
「な、何考えてる!?」
周りに敵がいない状態では無意味だと思われる行為だったが、そのビームの熱で周囲の氷が溶けて水蒸気
が発生すると、シンはマユの行動の意味を悟った。
「目暗ましか!?……だけど!」
シンは水蒸気で視界を奪われた中で、マユがコクピットを抜け出し、逃げ出している事がわかった。
今はデストロイの左肩部分……そこから飛び降り、地面に降り立った。
「そこだな!」
「え?」
マユは目の前をデスティニーが立ち塞がったのを見て驚愕する。水蒸気で見えないはずなのに、何故だと
悩んでいると、デスティニーから、その中のパイロットから流れ込んでくる感覚に気付き、理由を悟る。
「そうか、感覚を追って!」
「正解! マユ、一緒に来てもらう」
130:W-DESTINY 28話 6/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:00:00
シンの言葉にマユは一瞬だけ呆気に取られるが、すぐに拒絶する。
「断る! 誰がアンタなんかと!」
かつて苦しんでる自分を見捨てた事は忘れない。そしてミネルバで拒絶した事も忘れない。
「その辺は、後々話し合うとしてだ。今は大人しく掴まれ。そうしないと死んでしまうぞ!」
「ハン! ここで殺すって事かい? 好きにしな!」
妹のヒネタ考え方と喋り方にシンは頭を抑える。あの懐かしい笑顔と、美味しい料理を作ってくれた
可愛い妹の面影が無くなっている。
「なんで、そんな娘に……前は俺のお嫁さんになるって」
その言葉にマユの記憶が珍しく簡単に呼び出される。兄から流れ込んでくる感覚の所為か、容易に昔の
事が思い出される。
「言ったけど! ……最初は、お兄ちゃんがマユは他所にはやらない、俺の嫁にするって言ってたの!
それで仕方なくOKしたんでしょうが!」
「そ、そうだっけ?……って、そうじゃ無くて! お前だけじゃ無い。ステラとスティングも強化された
影響で長くは生きられないんだ!」
「ああ、それ……つーか、誤魔化したろ?」
「違う違う! って、知ってたのか?」
「ジブに聞いてる……ステラは知らないだろうけど、マユは知ってるよ。スティングは分かんない」
「だったら!」
「で? 投降したらどうなるの?」
「こっちで治療する」
「……じゃあ、ザフト側では治療法が見つかったんだ?」
「ああ……え?」
「情報アリガト♪ お陰で心置きなくザフトを叩きのめせる。その後で、ゆっくり治療法の研究成果を
奪わせてもらうね♪」
「ちょっと待て!」
「待たない。じゃね」
するとマユはデスティニーの脇を抜け、脱兎の様に走り去る。
「に、逃がすか!」
その後ろをデスティニーが追いかけ始めた。
「来んな変態! シスコン!」
「お前だってブラコンだろうが!」
131:W-DESTINY 28話 7/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:01:03
奇妙な兄妹の追いかけっこが起きている時、オーブの司令室となっている輸送機の中で、ユウナは憮然と
した表情で今後の事態を悩んでいた。
「まさか、アレがやられるなんて……オーブの科学力は何時の間にか、随分と取り残されたのかな?」
連合の切り札のはずのデストロイが、簡単に撃破されてしまった。破壊不可能と思われたデストロイを
倒すには、パイロットの疲弊を待つ戦法しか無いと思っていたのだが、どうやら認識が甘かったと認める
しか無かった。
「考えてみれば無敵の装甲なんて有史以来ありえないよな」
「だが、どうやって?」
キサカもデストロイを敵に回した場合の戦法はユウナと同じ方法しか思いつかなかった。
「そこまでは分かんないけどね。それよりも、これからさ」
ユウナの読みでは、連合は何かをオーブに要求してくるだろう。それを拒否するのは難しい。
しかし、当初の読み通り、この戦争はザフトの勝ちだと思っていた。
そのため、上手い負け方。どうやってザフトに降伏するかが重要になってくる。
「次に連合が要求してくるのは……カーペンタリアかな」
結局、その理由までは分からないが、連合は時間稼ぎをしたがっているのは明らかだ。
だが、アマギに声を掛けられ、その思考を中断させる。
「ユウナ様、連合が撤退を開始しました。我々にもです」
「撤退しろって?」
「は、はい……何か不信な点でも?」
「撤退を援護しろとは言ってこないの?」
「はい」
「不味いな……やはり、ここでは無く、別の場所で扱き使う気だな」
「ユウナ様?」
「ああ、ゴメン。撤退を開始しよう。大丈夫だね?」
「お任せください! 必ずや無事に…ん?」
「どうしたの?」
アマギが何事か話し込んでいると、驚いた表情でユウナに伝える。
「ユウナ様! アークエンジェルが現れました!」
「は?」
ユウナが愕然としながらモニターに目を移すと、そこにはアークエンジェルが映っていた。
そのオーブとは関りの深い戦艦の姿に呆然としながら呟く。
「何であれが……何しに来たの?」
132:W-DESTINY 28話 8/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:02:07
「ああ~~! もう! チョロチョロと!」
シンはマユの素早い動きに歯噛みした。何とかデスティニーの手に掴まえようとするのだが、力を
入れすぎてはマユを潰しかねない。しかし優しく掴まえようとして、ゆっくりと動かすと指の隙間など
から逃げ出してしまうのだ。
「どうすれば……ん?」
その時、デスティニーのコクピットに警告音が鳴り響く。
「な! 何でこんな時に!」
その警告音はシンの最大の任務を果たすべき相手が現れた事を伝えるものだった。
デスティニーに設置された最優先のターゲット、フリーダム、エターナル、そしてアークエンジェル。
それらが出現した事を知らせる警告音は、シンにマユの捕獲を諦めさせる。
「はぁ~~……マユ! お兄ちゃん、用事が出来たから……って、聞いちゃいないし」
後ろを振り向かず、一心に逃げ去る妹の姿に一抹の寂しさを抱え、シンはアークエンジェルに視線を
移す。
「アンタの所為で!」
シンは妹との時間を邪魔された怒りを込めて、アークエンジェルにデスティニーを向かわせた。
スティングは撤退を始める輸送機にカオスで入り込むと戦況を見つめる。そして、未だにステラとマユが
戻って来ないことに苛立ちを感じ始めていた。
「ネオ、援護に出るぞ!」
「待て、ガイアが戻ってきた」
ネオが言った通り、ガイアが輸送機の前まで来ていた。スティングは手を伸ばしてガイアの手を取り、
輸送機の中に収容する。
「ステラ、マユはどうなった!?……ステラ?」
デストロイの撃破は確認しているが、パイロットの安否は未だに不明だった。最後まで一緒にいたステラ
なら、何か知っているかと尋ねるが、ステラの様子がおかしい。
「あの声……思い出した……ディオキアの……シンの声……インパルスのパイロットの声」
震えながら何かに憑かれたかのように呟いている。そして、その単語を聞き取ったスティングの表情が
強張った。
「お前、知ってしまったのか?」
スティングは、ステラがアウルの仇と好きな相手が同一人物だと知ってしまった事に気付いた。
133:W-DESTINY 28話 9/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:03:00
「状況は?」
ラクスは戦場を見渡しながら、状況を確認する。
「連合は撤退を開始しています」
「そうですか」
ラクスは呟きながら、遅かったかと溜息を吐く。これでラクスの危惧するコーディネーターの支配する
世界が、また一歩近付いてしまった。
「連合の撤退を援護します」
こうなっては少しでも連合の被害を抑えるしか無いと判断した。
「了解しました。ビルゴを発進させます」
アークエンジェルからビルゴが出撃するのを見ながら、キラは自分もストライクフリーダムで待機する
ために、ブリッジを後にしようとすると、ラクスに呼び止められる。
「キラ……まさか?」
「フリーダムで待機する」
「そんな!」
「ラクス、僕は何のためにここにいるの?」
キラの唐突な質問にラクスは首を傾げた。ラクスにとってキラは側に居て欲しい相手であって、その気持
に一々理由などは無いのだから、そんな質問には答えようがない。
「万が一って事もあるからね。僕はMSで待機する」
「あ……キラ」
ラクスは何も言えないまま、キラを黙って見送るしか無かった。
「アレは来るのかな?」
キラはブリッジを出ると先日のアルトロンの事を思い出していた。まともに戦り合っても勝ち目は無い
だろうが、接近戦の武装しか持っていないようだし、牽制しながらアークエンジェルの脱出を促す事は
可能だと考える。
「ラクスは僕が守る」
ラクスは答えなかったが、自分がラクスの元にいられる理由は、ラクスを守る事が出来る戦士だからと
考えていた。
だから、ラクスを守るのは自分の使命であり、ビルゴなどには負けるわけにはいかなかった。
134:W-DESTINY 28話 10/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:04:04
シンがデスティニーをアークエンジェルに向けて進攻させると、4機のビルゴが発進していた。
かなりの強敵だが、あのMSを破壊出来るのはデスティニーしか無い。
「全機下がれ! そいつは俺がやる!」
シンはザフト全軍に向かって通信を入れる。先程特務隊と名乗っているので、ザフト軍は素直に従い道を
開けてくれる。
「な、何か恥ずかしいな……これじゃあ俺が偉い人みたいだ」
だが、その様子にシンは躊躇いを感じる。おそらくデュランダルが予定通り、自分を英雄として前面に
出し始めたら、さらに面映い気分になるだろう。
「ん? あれは……」
その時、上空からパラシュートを背負ったMSが降下しているのが目に入る。
「サンドロック! カトルが来たのか」
シンが降下前にデスティニーの最終チェックを受けた際に、カトルもアロンダイトのチェックをする為に
シンの乗ったデスティニーに搭乗していた。正確に言えば、カトルが搭乗するヴェステンフルス隊の
3番艦が、デスティニーの最終チェックのために近付いてきたのだ。
デスティニーが移動中に行った稼動、及び兵装チェックは、幾つかの不具合が見つかったため、カトルは
その修正をするのに労力を割いていた。
その間にシンが休憩をしているとデュオがやってきた。そこで彼から彼等の機体の説明とモビルドールの
ことを聞いた。カトルのMS、サンドロックは格納庫で見たし、さらに降下する際には、衛星軌道上で
待機するデュオ達の3機のガンダムも見ている。
「てっきり、3人の内の誰かだと思ってたけど」
彼等が衛星軌道上で待機していた目的は、戦場に現れたラクスが所有する残りのビルゴの破壊と、この機
に、ラクスへの増援を送るかもしれないクライン派の抑えのためだった。
普通なら、一仕事終えたばかりのカトルでなく、他の3人が降りてくるとは思っていた。
そこで、念のために確認をとろうと、サンドロックに通信を入れる。
「こちらシン、カトルなのか?」
「はい。そうですよ」
通信機から聞こえる温厚そうな人柄を思わせる声は、間違いなくカトルのものだった。
「何でお前が?」
「他の奴だと危ないからとハイネに頼まれまして……っと、こんな問答をしてる場合ではありませんよ」
「あ、悪い」
すでにアークエンジェルもサンドロックの存在に気付き、ビルゴを向かわせていた。もっとも、ビルゴが
サンドロックに向かうのはありがたいことではあった。
「それでは、いきます!」
カトルは一声気合を入れると、サンドロックのパラシュートを外し、眼下のビルゴに襲い掛かった。
135:W-DESTINY 28話 11/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:05:00
カトルは降下しながらヒートショテールを抜くと、一番手前にいたビルゴを切り裂いた。
ラクスは、それを見ながら、予想とは違う姿に戸惑いを感じていた。
「龍では無い? あれは?」
今回もアルトロンが来るのは覚悟していたが、違う機体のシルエットに驚きを覚える。
「ラクス・クライン! これ以上モビルドールを使わないで下さい!」
そして、そのMSから通信が入ってくる。龍のパイロットの苛烈さとは逆の優しい女性のような声。
しかし、その優しげな声とは反対に、その動きは豪快で、大きな蛮刀を振るい2機目のビルゴを破壊した。
「離れながら迎撃だ! バリアント、イーゲルシュテルン撃て!」
ダゴスタの指揮で、アークエンジェルはサンドロックから距離を取りながら攻撃を開始する。
「くっ!……さすがにこれでは」
カトルはビルゴのビームキャノンを優先的に避けているため、アークエンジェルの集中砲火を全ては
かわしきれずに、着弾の衝撃で体勢を崩してしまう。
「よし、今だ! ゴッドフリート撃て!」
そして、サンドロックに向け、ローエングリンに次ぐ威力を持ったゴッドフリートが発射された。
ダゴスタは直撃を確認したが、彼はサンドロックの装甲をビルゴと同じものだと想定していたので、
あれで破壊できるとは思っていなかった。
「手を休めるな! 続けてスレッジハマーを発射しろ!」
そして、対艦用のミサイル、スレッジハマーをMSに向けて発射させた。
「これなら……ビルゴを向かわせろ!」
スレッジハマーの直撃で、サンドロックが爆煙に隠れてしまう。だが、これほどの攻撃を与え続けたのだ。
ビルゴでも無事ではすまない威力のダメージを与えたと確信していた。
だが、煙の中から飛来した蛮刀がビルゴを突き刺さった事で、その予想が覆る。
「くっ…ビルゴより丈夫なのか! 攻撃を再開しろ!」
「あと1機!」
カトルがサンドロックの体勢を大きく崩しながら、もう1本のヒートショテールを投げつける。
しかし、その直前でアークエンジェルの砲撃が襲い掛かり、ヒートショテールの投擲の軌道が狂って、
目標を外れる。
「しまった!」
「よし! 奴は素手になったぞ!」
如何にサンドロックの防御力が優れていると言っても、ビルゴとアークエンジェルの集中砲火を受けては
ただでは済まない。
カトルは、落下したヒートショテールを取りに行かなければならないが、そうなっては空中のビルゴと
アークエンジェルに攻撃をするのが難しくなるのは目に見えていた。
136:W-DESTINY 28話 12/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:06:00
「ザフトのMSが1機、ビルゴに接近してきます!」
「ザフトの?」
ダゴスタはザフトの識別信号を発してるMSを見る。たしかにサイズから言ってビルゴや謎のMSと
異なりザフト製だと判断される。
「放っておけ! それよりも、あのMSだ!」
ダゴスタの中で、ビルゴとサンドロックらの戦闘に慣れ、ザフトや連合のMSを軽く見る気持が
知らないうちに生まれていた。
そして、アークエンジェルとビルゴの砲口が、一斉にサンドロックに向けられる。
それはシンにも確認されていた。
「こっちは無視かよ!」
シンは、降下中のサンドロックしか目に入っていないビルゴを見ながらアロンダイトを抜いた。
「そっちが、そういう態度なら……」
その時、アークエンジェルのカタパルトが開き始め、ダゴスタを動揺させる。
「何故勝手にカタパルトが!?」
「キラ様の指示だそうです」
「何で?」
「キラ様が出撃なさると」
その答えにダゴスタだけでは無く、ラクスも動揺する。
しかし次の瞬間、更なる衝撃が彼等を襲う事になる。
「……俺を無視した事、後悔するんだな!」
シンはアロンダイトのリミッターを解除し、ビームソードを展開すると、降下中のサンドロックに砲口を
向け、こちらに背中を見せるビルゴを背後から擦れ違いざまに両断した。
「……まったく最後まで無視かよ……ん?」
最後のビルゴを破壊したシンが降下中のサンドロックに手を貸そうと思っていると、アークエンジェル
から飛び出したMSに気付く。そして同時に、コクピットに最大攻撃目標が現れた事を知らせる警告音が
鳴った。
「あれは!」
シンの脳裏に、忘れられない光景が蘇る。焼け爛れた大地、ちぎれた小さな腕、その先の変わり果てた
家族の身体。そして空を飛翔する蒼い翼を持ったMS。
「アイツが……出てきたのか……フリーダム」
現れたMSは細部こそ異なるが、何度も夢に見たMSフリーダムに酷似したシルエットを持っていた。
137:W-DESTINY 28話 13/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:07:03
「ゴ~ル♪」
マユは脱出する輸送機に走って駆け込むと、怪訝そうな顔のスティングに出迎えられた。
「どうしたの変な顔して、何かあった?」
マユは、スティングの怪訝そうな表情に首を傾げながら、何があったのか質問する。
「いや、あったと言えばあったんだが……お前の方こそ何だよ?」
「何が?」
「気付いてないのか? テメエ、嬉しそうだぞ」
スティングはマユのそんな表情を見たことが無かった。まるで遊びから帰ってきた子供の様な表情。
「え?」
そして、マユは呆気に取られる。自分では意識していなかった。
「そ、それは……」
だが、マユにとって、その事実は認めたくない事だった。そのため懸命に言い訳を考える。
スティングへのでは無く、自分のために。兄との触れ合いが楽しかったなどあってはならないのだ。
「そうだ!」
そして、兄に伝えられたエクステンデッドの治療方法をザフトが開発した事を思い出し、それを
伝えようとする。
「そ、それがね。え~と……」
「何だよ?」
「う~ん……これスティングに言っても良いのかな?」
「は?」
マユはエクステンデッドの寿命が短い事を知っているが、スティングが知っているかどうかは知らない。
だったら、言わない方が良いのかと悩んでいると、激しい感情が脳内に流れてきた。
「な、なに!?」
突然頭を抱えて蹲るマユに、スティングが慌てて声をかける。
「ど、どうした!?」
身体が震え、脂汗を滲ませている。その様子は明らかに何かに怯えている様子だった。
「何これ?……お、お兄ちゃん?」
マユの脳内に過去の記憶が蘇る。焼けた大地、ちぎれた自分の腕、息をしていない両親。
そして、泣くだけで自分を助けてくれずに去って行く兄。
「蒼い……翼!」
するとマユは毅然と立ち上がり、一点を見つめる。その強い眼差しは、すでに怯えの色は無く、怒りと
狂気が入り混じっていた。
「アイツが出たんだね……フリーダム!」
138:W-DESTINY 28話 13/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:08:00
キラはアークエンジェルを庇うようにデスティニーの前に立ち塞がると、ダゴスタに通信を入れる。
「撤退を始めてください」
「え?」
「そもそも、ビルゴが1機になった時点で撤退するべきでした。今回は、あのMSがたまたまビルゴを
破壊できる武器を所持していたから助かりました。僕はてっきりアークエンジェルを攻撃するもの
だと思いましたけど?」
「あ……も、申し訳……」
ダゴスタもキラの言い分が正しいと認めた。彼はザフトや連合のMSにはビルゴは破壊できないと
見下していたが、それなら母艦を破壊するのは当然の事では無いか。
自分はバルトフェルドの代わりにラクスを守らなければならないのに、最も重要な任務を忘れ、敵を
倒す事に意識を向けすぎたと反省した。
「だったら下がってさい! 敵は僕が引きつけますから!」
「了解しました。お気を付けて」
「……分かっています」
キラはラクスを崇める彼等を嫌いながらも、その善意までは否定出来なかった。基本的に、みんな好感を
持てる人ばかりなのだ。そのため、どうしても邪険に出来ずにいる。
「何でこうなるんだろうな」
自分の感情を持て余しながら、キラはアークエンジェルが下がるのを確認する。
そして、デスティニーを見つめた。
「何もしてこない?」
そして、サンドロックに視線を移す。すでに大地に降り立ち、その手には巨大な蛮刀が握られている。
そちらも警戒は緩めていなかったが、やはり何もしてこなかった。
そして、デスティニーがアロンダイトを収めるのが目に入った。
「攻撃の意思が無い?……わけは無いよね」
アロンダイトを収めた代わりに、ビームライフルを手にしたのを見てキラは苦笑を浮かべる。
ザフト軍が自分たちを見逃してくれるなど、虫の良い話は無いだろう。
「でも、僕にも譲れないものがある」
それはラクスの命。ラクスの意思。ラクスの全てを守るためなら、例え誰に罵られようと戦ってみせる。
その決意を込めて両腰からビームライフルを外すと、腰の後ろに回っていたレールガン、クスィフィアス
がサイドに回って戦闘体勢になる。
そして、真紅の翼から光を生みながら突進してくるMSがビームライフルの銃口を向けてきた。
キラも同様に2丁のビームライフルを構える。
139:W-DESTINY 28話 15/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:08:59
「シン、大丈夫ですか?」
シンの過去を知っているカトルは不安そうにシンに声をかける。考えてみれば、あの姿に動揺しない
訳が無い。
「ああ、大丈夫だ」
だがシンはカトルに力強い返事を返し、続けて大きく呼吸をする。
かつては夢に見続けて眠れない夜を過した事もあった。あの惨劇は今でも心に大きな傷を残している。
そして、マユが生きていた。そして自分に憎悪を向けている。
あの時、フリーダムが自分たち家族を撃ったから。
「違う、あれは俺の罪だ」
自分が弱かったから、あの時、マユに駆け寄っていれば良かったのだ。人に罪を擦り付けても意味は無い。
「これは復讐なんかじゃ無い。俺はマユに償わなければいけないんだ。そのためにも!」
シンはアロンダイトを収め、ビームライフルを手にする。
「フリーダム! いや、キラ・ヤマト! アンタを倒す!」
真紅の翼を広げ、フリーダムに向かう。そして射程に収めるとビームライフルの引き金を引いた。
「征くぞ!」
キラはビームの射線から機体をずらし、反撃のビームライフルを2丁同時に放つ。狙いは右腕と左足。
「悪いけど」
引き金を引いて、ビームが狙い通りに当たった事を確認する。
「これで……」
身を返そうとした瞬間、ビームに貫かれたデスティニーが消え、その横に無傷のデスティニーが現れた。
「……残像!?」
キラは舌打を打つと、もう1度ビームライフルを同じ様にに放つ。そして予想通り残像に当たり、別に
現れた瞬間にレールガンを放った。
「くっ!」
シンはレールガンの衝撃に軽く呻くと、反撃のビームライフルを打ち返す。
「くそっ! 埒が明かないか」
やはり避けられたのを見て舌打を打つと、左手にフラッシュエッジを抜いてビームライフルを放ちながら
接近を試みる。
キラも左手のビームライフルを収めると、代わりにビームサーベルを抜いて接近してくる。
お互いに、離れての撃ち合いではケリが付かないと判断していた。
そして、接近するにつれ、回避では間に合わないと判断したシンがビームシールドを展開しながら正面を
庇ってビームライフルを放つ。しかし、キラも右のビームシールドを展開して、さらに接近すると左手に
持ったビームサーベルをシールドを展開する左腕目掛けて一閃した。
140:W-DESTINY 28話 16/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:09:58
「このっ!」
シンは回避しながら、フラッシュエッジをサーベル状にして斬撃を振るう。
そうしながら、やはりキラはこちらの手足しか狙っていない事を確認していた。
「やはり慣れてる! それに比べこっちは……」
シンは相手の手足だけを狙う戦い方に慣れないが、キラは上手くそれをやっている。
キラは何時の間にか右手もビームサーベルに持ち替えていて、シンを圧倒してきた。
「くそぉ~~! さすが、不殺はアンタのお家芸だな!」
シンは一旦離れると、キラがサーベルを持っている内に、射撃戦での戦闘へと切り替えをはかり、背中の
長射程ビーム砲を展開させて放つ。
「避けろよ!」
その一撃はキラの回避力を念頭に入れたもので直撃コースを辿った。そして予想通りキラが回避したのを
確認しながら、右手のビームライフルを回避方向に放つ。
「これなら……って!」
だが、そのビームをキラはサーベルで弾くという離れ業で返すと、再び両手をビームライフルに持ち替え
シンがやったように時間差で、しかも3連射でビームライフルを放つ。
「こ、こいつ……」
シンは回避が間に合わないと見て、2発目以降をビームシールドで受け止めた。
「……これがアンタの戦い方かよ」
シンのキラに対する感想は最悪の性格の奴になった。自分の技量を見せ付けるように、難易度の高い方法
を使い、相手には出来ないだろうと思わせる事をやる。
さらに攻撃でも、こちらがやった以上の事をやってみせる。
腹立たしいが、同時に上手い方法だと感心もしていた。キラが相手を殺したくないという考えの持ち主
なら、そうやって実力を見せ付けて相手の戦意を奪う事が出来る。またプライドの高い人間ならバカに
されたと怒りで我を忘れ突進してしまうだろう。そうなった相手を倒すのは容易い。
「議長に感謝しないとな」
そして、以前の自分なら、この様な目に合わされたら冷静ではいられない。
それに悲壮感丸出しの人間なら、格上の相手だと相打ちを狙ってしまうだろう。
だが今は違う。事実は認めなくてはいけない。相手は自分より上なのだ。
「それならそれで、やりようはある!」
その上で勝つ方法を考える。幸いシンが乗っているのはデスティニーだ。デュランダルが設計に携わり、
今だ敵がその能力を知らないMS。
シンはビームライフルを腰に収め、無手のままで突進をかける。
「我を忘れた?」
141:W-DESTINY 28話 17/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:11:09
キラの目には無謀な突進に見える。今までにも興奮状態の相手が無謀な突進をしてきて、そうなった相手
を簡単に撃破したこともある。
しかし、素手になるのは初めてのことだった。
「だからって、いくらなんでも素手は?」
キラは不信感を持ちながらも、黙って見ているわけにもいかず、ビームライフルで迎撃を行う。
それに対するデスティニーは両腕を前で交差させると、ビームシールドを展開した。
「ビームシールドで突撃?」
キラが一瞬だけ動揺すると、デスティニーが両腕を思いっきり広げた。その時、手にはフラッシュエッジ
が持たれた事にキラは気付いた。
「ブーメラン?……くっ!」
だが、キラがそれに気付いた時には、デスティニーがアロンダイトを引き抜き、再びビームシールドを
展開させながら、更に接近してきた。
「これならぁぁ!」
シンが雄叫びを上げながら突進する。正面と両サイドの3方向からの同時攻撃、これなら避けようが
無いはず。
そしてストライクフリーダムが両手を大きく広げ、左右のフラッシュエッジにビームライフルの照準を
向け、引き金を引いた。
その一瞬の遅れで、シンはアロンダイトを頭部目掛けて振り下ろす。
それはシンにとって理想の展開。アロンダイトの一撃はストライクフリーダムの頭部を破壊するはず。
「え?」
だが、キラはフラッシュエッジを撃ち砕くとビームライフルを捨て真剣白刃取りでアロンダイトを
押さえ込んでいた。
「ウソだろ……っう!」
シンが一瞬だけ呆然とした間に、キラは右手でアロンダイト左方向に抑えながら回転すると、左手での
バックブローを打つように動く。だが、それはただのバックブローでは無く、回転している間にビーム
サーベルを手にした上での斬撃だった。
「このぉぉぉ!」
その首を両断せんと狙った一撃は、シンが慌てて後ろに下がった事で両断は避けたものの首筋にかすり、
装甲を大きく切り裂いた。
「モニターが!」
一瞬、モニターが消え、シンの背筋を冷やすが、再び点灯して安堵する。
「や、やばかった」
後方に下がりながら、息を整える。今の斬撃は人間の首だったら、大量の血が吹き出ているだろう。
シンは、自分のその姿を想像し、冷たい汗を流した。同時にキラの想像以上の戦闘力に戦慄を覚える。
「化け物かよ……」
142:W-DESTINY 28話 18/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:12:08
「あれも避けた?……彼はいったい」
一方、キラの方も普段とは勝手が違う事に戸惑っていた。先のフラッシュエッジを破壊した後の白刃取り
も、ビームライフルを収納した後にやりたかったのだが、予想より速い斬撃に対応するために、放棄する
しか無かった。その結果、相手がPS装甲のためレールガンが通用しない以上、有効な飛び道具を
無くしてしまった事になる。
いや、そんな事は無い。ストライクフリーダムには、デスティニーに通用する武器が内蔵されている。
「こうなったらパイロットが死んでしまうかもしれないけど……」
そして、その武器、カリドゥスの使用を考えた時、脳裏に呪いの言葉が蘇る。
―知れば誰もが願うだろう―
「ああっ!?」
身体が震え、冷たい汗が吹き出し始める。そして視界が歪み、吐き気がしてくる。
あの男の言葉。否定しようとした。しかし、結局は力で捻じ伏せるしか出来なかった。
力だけと言われた自分を否定しながら、力で応えるしか無かった。やはり、あの男の言葉は真実なのか?
「違う……それを肯定するわけにはいかないんだ」
―貴方はお優しいのですね―
そう言ってくれた人がいる。全てを捨ててまで自分の側にいる事を選んでくれた。
「ラクス……僕は……」
ここでクルーゼの言葉を認めるという事は、ラクスの言葉を否定することになる。
「絶対に殺さない! その上で君を守ってみせる!」
同じ轍は2度と踏むまいと心に決め、攻撃手段を練る。こちらに遠距離武器が無い以上は接近戦しか無い。
そして、相手の剣は対艦刀の類だ。破壊力はビルゴを破壊した事から、従来の対艦刀よりも遥かに上だ。
だが、対艦刀の欠点の取り回しの悪さは残っているはず。いや、通常の物より長いくらいだから
悪くなっててもおかしくは無い。
「それなら!」
キラはビームサーベルを右手に突進をかける。
「来た!?」
シンはストライクフリーダムの接近に気を引き締めると、アロンダイトを前に翳す。
「どうする気だ?」
シンがキラの行動に全神経を集中して、待ち構えるとストライクフリーダムが右手を上げ、斬撃の体勢に
入った。
「斬り合いなら!」
どちらかと言うと、撃ち合いよりも斬り合いを得意とするシンは、ストライクフリーダムとの斬り合いを
受けて立つ。
そして、接近するストライクフリーダムの頭部を目掛けて、斜め下から横薙ぎに払った。
143:W-DESTINY 28話 18/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:13:04
「もらった! えっ!?」
その斬撃は、例え敵が同時に斬撃を放っても、間合いに勝るアロンダイトなら、ストライクフリーダムの
腕ごと斬り飛ばすはずだった。
しかし、間合いギリギリでストライクフリーダムが急停止したため、空を切ることになった。
「懸かった!」
キラは自分の読みが勝った事に会心の声を上げながら、対艦刀を振り切った後に、最突進をかける。
いくら相手の武器が間合いも長くても、振り切った後に懐に入り込めば、今度はその間合いの長さが
仇となり、斬り返しが遅れてしまう。
キラも以前はストライクに搭乗していた時に対艦刀を使っていたため、その長所と短所を熟知していた。
そして、間合いに入り込みながら、デスティニーの両腕を切り裂く……
「なっ!?」
はずだったが、予想より速い、いや、ありえないスピードで斬り返しが始まり、こちらが、腕を斬る
間合いに入るよりも早く、剣が襲ってきた。
「これで!」
シンは、内心でガンダニュウム合金の軽さに舌を巻いていた。対艦刀の長さから言って、本来の材質なら
斬るつもりで振って空振りした後は体勢が崩れるはずだが、ガンダニュウム合金製の剣は、剣では無く
細い枝でも振るってるように取り扱えた。
そして、今度こそと思った斬撃は、
「―っ!……またかよ!」
咄嗟に右手のビームサーベルを捨てたストライクフリーダムが、右手を下に振り下ろし、左手を上げて
アロンダイトを挟み、再び白刃取りの要領で抑えていた。
「何て出鱈目な反射神経してるんだよ!?」
「こんな……事って」
キラは、咄嗟に抑える事に成功したものの、ビームサーベルを一本失い、もう後が無いと判断していた。
ここで仕留めなければ終わりだと、最後の攻撃に入る。
「決める!」
アロンダイトを抑えたまま、さらに間合いを詰めめて身体を密着させると、相手を押しながら素早く
アロンダイトを放すと、左手でデスティニーの右腕を持ち、右手にビームサーベルを握るとデスティニー
の背後から首を狩ろうと腕を廻す。
「させるかぁ!」
キラの行動を悟ったシンは、左手をアロンダイトから放し、背後に廻そうとするストライクフリーダムの
右腕を握ってサーベルが届くのを阻止した。
「くっ!」
「うぐっ!」
144:W-DESTINY 28話 20/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:14:00
互いに右手で相手の左手首を握った状態で対峙する。互いに有利な体勢に移ろうとするが、両機は互角の
パワーで膠着状態に陥ったまま睨みあう。
そして、シンとしては、コクピットの目の前にカリドゥスがあるため、相手がコクピットを狙わないと
知ってるとはいえ気が気では無かった。
「君はいったい?」
その時、接触回線でキラの声が入ってくる。優しそうな人の声だと思いながら、シンは強い意思で名乗り
をあげる。
「俺はシン! シン・アスカだ! キラ・ヤマト! アンタを倒してみせる!」
シンは、ここで決着をつけるべく左手のパルマフィオキーナを発動させる。
「これで……」
「なっ! そんな所に武器が!?」
掌から放たれたビームに右腕が破壊され、ついにキラは最後のビームサーベルも失った。
「……終わりだ!」
「くっ!」
ストライクフリーダムが頭部のバルカンを放つ。
「そんなものが!」
だがシンは意に介さなかった。バルカンではPS装甲に通じない。
シンとしては、追い詰められたキラがカリドゥスを放つ前に、止めのパルマフィオキーナを
ストライクフリーダムの頭部に放とうとする。
「何!? モニターが!」
だが、突然デスティニーのコクピット内で、モニターを始め、あらゆるセンサーが活動を止めて狼狽する。
「あ、あのバルカンが!?」
そして、その理由が先程放ったバルカンが、首の装甲の裂け目、先にキラの斬撃で切り裂かれた部分を
狙ったもので、頭部のセンサー類とコクピットを繋ぐ配線を破壊した事を悟った。
「そんなの……」
暗闇の中で、慌てながら操作して、ようやく予備モニターが生き返る。
その時は、すでにストライクフリーダムの姿は見えなくなっていた。
「……見逃してくれたのか?」
完全に無防備になっていた。その時の恐怖を思い返しながら、シンは自分が目指す相手に及ばない事を
噛み締めていた。
145:W-DESTINY 28話 21/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:14:59
「追ってこない……上手く行ったんだ」
キラは敵が追ってこない事を確認すると、ヘルメットを脱いで大きく息を吐いた。
「強かったな……シンって言ったかな?」
汗を拭いながら、先程まで戦っていたパイロットの事を考えた。どんな人間で何のために戦っているのか
様々な事に思いを馳せながら、彼の言葉から再び対峙することになるだろうと確信を抱いていた。
そして、次も上手く行くとは限らない。そもそも今回は一騎打ちになった事の方が不自然なのだ。
彼を相手にしながら、周りからも攻撃を受ければ、明らかに勝ち目は低かった。
「ラクス……どうにかならないかな?」
だが、それを言うわけにはいかない。自分がラクスと釣り合いが取れる人間である理由は強さしか
見当たらない。
そんな自分がラクスの側にいるには誰にも負けるわけにはいかないのだ。
「終ったの?」
マユは撤退する輸送機の中で、兄から流れる感情が消えたのを悟った。もしかしたらシンが死んだ可能性
もあるが、何となく生きてるだろうと感じていた。
「もう良いのか?」
先程から戸惑っていたスティングが、落ち着いたマユを見て声をかける。
「うん。心配かけてゴメン。ところでネオに伝えなくちゃいけない事があるんだけど」
「ああ、ネオなら……」
「どうしたの?」
言いよどむスティングの態度に不穏なものを感じ、緊張しながら尋ねる。
「ステラの記憶が戻った。今はゆりかごが無いからな、それでネオが宥めてる最中だ」
「記憶って、アウルの事?」
「……それだけじゃ無い」
「他に何かあるの?」
スティングは暫くの間、言い辛そうに黙っていたが、1つ溜息を吐くと一気に喋りきる。
「シンのディオキアでの記憶……それもアウルを殺したときのインパルスのパイロットの声も一緒にな」
146:W-DESTINY 28話 22/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:15:55
今回はステラもマユも確保するチャンスがあった。さらにキラも現れた。しかし、結果はキラを倒す
どころか、見逃してもらった形になり、ステラとマユは2人とも離脱してしまった。
「戦果ゼロかよ……」
シンはそう呟くと、ヘルメットを脱いで、それに頭を打ち付けた。勢い込んでプラントを出て、結局は
現実の困難さを見せ付けられただけに終った。
だが、分かっていた事だ。自分のやろうとしている事が容易でない事は。一度の失敗で諦めるわけには
いかない。少なくとも自分が生きていれば再度のチャンスが巡ってくるはずだ。
「……帰るか」
シンは、気持を切り替えるとサンドロックを探す。
「あそこか……カトル、ミネルバに戻るから一緒に行こうか」
シンはデスティニーをサンドロックに近付けながら通信を入れる。サンドロックには、飛行能力が無い
ためミネルバに行くのに苦労するだろうから、デスティニーが掴んで運ぶと提案した。
「助かります」
カトルは了承し、デスティニーの手を取ると、進路を任せた。
「アロンダイトを振ってた時も思ったけど、本当に軽いな」
「僕たちにはこれが普通なんですが……それにしても、惜しかったですね」
カトルが慰めるように語り掛けてきてシンは苦笑を漏らす。
「全然だろ。もう完敗ってやつさ……ちょっと不味いかな?」
デュランダルが新時代の象徴にと期待するデスティニーに泥を塗ったことを考えると、気持が滅入る。
「大丈夫ですよ。傍から見る分には、貴方が追い払ったように見えましたから」
「そうなの?」
「ええ、向うは片腕と武装を失っての撤退。貴方は見た目はダメージがありませんから」
「そうか……実際はセンサーがいかれて、攻撃はおろか回避だって難しい状態なんだがな」
「それが解る人は、あまりいませんよ。安心してください」
「一応は安心するか。どの道、リベンジマッチは挑まないとな……どう思う?」
カトルはシンの質問の意味が、彼がキラと再戦したときの予想を聞いてるのだと気付いた。
「……言いにくい事ですが、正直申し上げて、今の貴方ではキラには勝てません」
「やっぱりな」
「僕も驚きましたよ。ビルゴの戦闘データーは彼から取っていると判りましたし、そこから彼の動きを
予想はしていたのですが、遥かに上でした」
「そう言えば、出る前にデュオが言ってたよ。所詮モビルドールは人形だってさ」
「そうだったんですか。確かに彼はヒイロとトロワのデーターが入ったモビルドールを1人で倒した
実績があります」
147:W-DESTINY 28話 23/23 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:16:58
「その2人は強いのか?」
「強いですよ。僕たちの中でも1、2を争う腕です」
「ふ~ん……」
だが、そう言われても実感が掴めないので生返事で返すしか無かった。
「ですが、ビルゴとキラの回避の差、あそこまで差は無かったと思います」
「多分、ビルゴの回避力が良くない理由って防御力を過信して、データーの入力が甘かったんじゃ?
何と言っても、あの装甲だからな」
「そうかも知れませんね。おそらく攻撃、しかもコクピットを狙わない事に重点を置いたのでしょう」
「まあ、ビルゴに関しては、地上からは掃討したんだし、ここにある残骸を拾ったら、後はそっちに
任せるよ」
「そうしてください。それよりも貴方はキラの事を」
「分かってるって」
そして、近付いてきたミネルバを見ながら胸が熱くなってきた。
「懐かしいですか?」
そんなシンの気持を見透かしたようにカトルが尋ねる。
「ああ。それに、俺がキラに勝るものがある事を思い出した」
今回はキラに負けたと言える。そして実力差はハッキリとした。それも向うの方が上という形で。
今回の戦闘は、キラがパルマフィオキーナの存在を知らなかったから良かったが、次はあんな使い方では
通用しないだろう。
だったら通用する戦い方を考えれば良いのだ。幸い自分には鍛えてくれる上官がいる。作戦を思いつく
友人がいる。
「キラ、アンタにはいないだろう?」
そう呟いた後、シンは近付いてきたミネルバに着艦を求める。
「こちらシン、ミネルバに着艦を要請する」
「了解、誘導を開始します」
その懐かしい声に、シンの顔に笑みが浮かぶ。
「メイリン」
「お帰りなさい、シン」
「ああ、ただいま」
帰ってきた者と待っていた者。カトルは、その声を聞きながら羨ましさを覚えた。
自分にも待っている人がいる。帰りたい場所がある。しかし今は帰る手段すら見つからないまま、異郷の
地で争いを見続けている。
そんな自分の立場に苦笑を浮かべると、懐かしき人々の顔を思い浮かべ、元の世界へ思いをはせた。
148:W-DESTINY 28話 ◆K7Ld0w0CwU
07/02/18 01:17:55
久しぶりの投下ですが、頭がテンパってる……何かしっくりしない。
脳が完全に仕事一色の状態だから、SS書きに集中出来ないっす。
予定では3月いっぱいで落ち着くはずなので、落ち着いたら続きを書き始めます。
……仕事が落ち着いたら頭の切り替えが出来るとは思うけど、もしかしたら長引く可能性もあるので
その時はゴメンナサイ。
149:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 01:19:32
GJ!
150:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 01:19:57
GJ!!
151:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 01:23:15
GJゥゥゥ!!!!!
マッテテヨカタ………
オキテテヨカタ………
シンジテヨカタ………
神は見捨ててなかった。
シンがちゃんと主人公してるよ(泣)
いつまでもお待ちしてるので、
そちらのペースで頑張って下さい。
152:260
07/02/18 01:31:48 7+L5iJGg
W-DESTINY 最高!!!!
153:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 01:32:52
GJ!!
154:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 02:00:26
乙!待ってました!
やっぱシンはシスコンじゃないとなw
155:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 02:04:46
GJ
濃厚な戦闘描写といい戦闘中の兄弟喧嘩といい…
お腹いっぱいでつ
シンは熱血さと冷静さを兼ね備えたましたな。
ごちそうさまでした。
156:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 03:08:31
おかえりなさい!GJ!
たしかにキラの戦い方って性格悪いなwww
ダイダロス基地で戦うことになるとドラグーンも注意しなきゃいけないし、前途多難だけど頑張れシン!
相変わらずW-DESTINYのシンは応援したくなる主人公だわw
157:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 03:22:27
GJ!GJ!GooooooooodJooooob!!
……ところでダ「ゴ」スタ君じゃなくてダ「コ」スタ君です。
158:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 04:17:09
GJ!GJ!GJ!!!!!!!
シンもすごいがキラも強い!
こういう熱い展開が欲しかった!
ありがとう!
159:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 10:35:41
キラもシンも頑張れ!と言いたくなる展開にGJ!!
アロンダイトがエピオンのビームソードを模してる展開にも燃えました
160:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 12:05:43
「これじゃあ俺が偉い人みたいだ」って、お前今はフェイスだろ?
この上司にしてこの部下有りという感じがして良いんだがw
真性シスコンとかお家芸発言とかの、シンらしさがそのままなのが良かった。
戦術眼があったり、不殺解除しなかったりと、ここのキラはガチで強敵だな。
…やはり敵(かたき)役にこそ華は必要だよなぁ。
161:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 13:51:06
一心不乱のGJを!!
……何故だろう、お嫁さん云々の流れで
田中理恵の声で
「二又(エッチなの)はいけないと思います!」
って幻聴が聞こえたのは?w
【ミーア自重しろ】
162:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 14:00:09
GJ!!!!!!
シンもいいですがキラもいいですね。
本編キラって、実は自分の命が危なくなると平気で不殺解除して「仕方ないよね」とか
自分がやられると「本気じゃなかった」とか言うけど、このキラは言わないね
163:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 14:22:27
次回のW-DESTINYではオーブに侵攻するザフト軍を前に
アスランとユウナの討論戦が再び見られそう。
春が楽しみだ。
164:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 15:10:03
キテター!!
自分イキテテヨカッター!!
GJ!!
次回もwktkしながら待ってます。
165:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 15:42:39
GJ!!
シンがこんなにも主人公してるよ。Wキャラの使い方も上手いし。
てか…マユかわいいよマユwww
166:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 17:40:52
このSSのキラ達はW組のMSがEW仕様で助けられてるな。
167:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 17:54:09
EW仕様は戦術が狭められた機体だからな
168:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 17:59:02
GJ!!本編ではクソの役にも立たなかった残像とパルマがちゃんと生きてる…シンが運命のスペックをしっかりモノにしてるよ…!!
169:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/18 19:55:56
GJ!!!シンが輝いてるよぉ…運命が輝いてるよぉ…
GJ!GJ!GJです!!
170:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 21:16:21
今このスレに気付いた
23話から先はどうやって読めば良いんだ・・・
171:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 21:23:14
>>170
wiki逝けば読める
172:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 22:08:08
>>171
読めたよありがとー
173:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 22:08:18
GJ
キラがかっこいい――
まぁ、ある意味キラにライバルができたようなものですからね。
男は競い合う相手がいてこそ輝くものなのだと再認。
親友となぁなぁの関係しか作り出せず、強敵に負けたら言い訳、
挙句の果てにはいMSがないと戦えないと言い出すようなやつとは違いますね。
――ん? そうなるとシンは一人相撲?
いと哀れなり。
174:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 23:08:31
GJです
相変わらず熱い展開にたまりません
追いかけるシンと、立ちはだかるキラ。この二人の実力差が絶妙なバランス
やっぱ強敵がいるからこそ主人公は輝くし、ライバルは超えるに相応しい強さと心意気をもってることが大切なんだとあらためて実感しました
まあ、なによりマユ可愛いよマユ(´ー`)
175:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 23:19:00
蝶GJ!!
かつてここまで強敵として立ちはだかったキラがいただろうか
孤高の天才戦士VS努力と友情の戦士って構図はどうしてこうまで燃えるのだろう
次のインターミッションの回でのシン、アスラン、ゼクスの絡みが楽しみだ
勿論大穴(本命マユ対抗ステラ)ルナともね
176:通常の名無しさんの3倍
07/02/19 01:09:17
そういえばそうだ、シンの影に隠れてしまったがキラも相当熱くなってるな。
マジGJ
177:通常の名無しさんの3倍
07/02/19 01:59:18
ダコスタの扱いにワロスw
178:通常の名無しさんの3倍
07/02/19 02:06:59
そういや読んでて気になった。
×ダゴスタ
○ダコスタ
179:通常の名無しさんの3倍
07/02/19 09:25:19
ここのキラは納得できる強さを持っているからいいな。
シンとのライバル対決、今後を期待するぜ。
180:通常の名無しさんの3倍
07/02/19 09:56:38
ヒイロが漁師をしているのはパワーバランスの関係かな?
それはそれで面白い。
181:通常の名無しさんの3倍
07/02/20 00:32:16
>>180
萌えキャラ不足のためでは?
なんにせよSSGJ
182:通常の名無しさんの3倍
07/02/20 01:01:00
不殺の戦いってやつに嫌悪する人もいるけど
「なにがあろうともやり遂げる」のなら、そのキャラの魅力にもなり強さにもなる
本編のキラは危なくなると即座に路線変更するし、みっともない言い訳しまくり
このスレのキラは人形に嫉妬しつつも「自分の戦い」を曲げることなく信じる人のために戦う殉教者
こんなキラなら納得できる所もある
183:W-SEED
07/02/20 04:01:19
デュオとキラが公園のブランコに座りながら話をしている
「……」
マリューはキラに
「お前は来るな」
と言われたから少し離れた所からそれを見ていた
「…理解したぜ。つまりここは俺がいた世界とは違う世界なんだな」
「うん、だって…この世界の事何も知らないじゃない?
頭の良い僕が言うんだから間違いないよ。」
「…はぁ~、何で俺ってこんなについてないのかねぇ」
「…ところで、デュオはもちろん行く当てとかないんだよね?」
「あ?…ああ」
「じゃあさ、僕と一緒にあの船に乗らない?」
キラが指指した方向から、なんとアークエンジェルが飛び出してきた!
「…仕方ねえか!その話乗ったぜ」
「そうこなくっちゃ♪」
184:W-SEED
07/02/20 04:25:37
なんやんかんやでアークエンジェルはキラとデュオとその他諸々を乗せて宇宙に出た。
場所変わってザフト艦
仮面を着けた男が口を開いた。男の名前はラウル.クルーゼ
「あの艦を追う方向で行きたいが、どう思う?」
白髪のおかっぱ頭の少年が最初に答えた。名前はイザーク.ジュール
「えっ、と…良いと思いますけど」
続いて金髪日焼けが言う。名前はディアッか.エルスマン
「はっ!!自分は反対であります!敵新型艦は全くの未知でありますが故に、援護を待ってから慎重に行くべきだと考えております!」
「…ふむ、キミ達はどう思うかね?…アスラン、ニコル」
緑髪の幼顔、ニコル.アマルフィがガムをくちゃくちゃ噛みながら答えた。
「ディアッかに一票」
続いて、青髪の少年アスラン.ザラが答えた。
「…あそこには会いたくない奴がいるから…ゴニョゴニョ」
「…よく聞こえんな。もう一回言ってもらえるかな?」
「あ、いや…ははは!どっちでも良いっす」
「…そうか。最後にヒイロ、キミはどう思う?」
壁にもたれかかる様にして話を聞いていた少年はゆっくりと口を開いた
「…俺は、任務に従うだけだ。作戦は任せる」
…to be contineud
185:通常の名無しさんの3倍
07/02/20 05:13:47
GJww朝からコーヒー吹いたww
最初からアスランに嫌われてるのかキラw
186:通常の名無しさんの3倍
07/02/20 15:58:11
GJ!
お前は来るな、てw
キラ面白いぜ
187:通常の名無しさんの3倍
07/02/21 06:51:14
乙です!
なんか、すごくお久しぶりのような気がします
188:通常の名無しさんの3倍
07/02/21 14:38:19
GJ!
ノリだけで楽しめる!
189:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:43:48
DESTENIY-WALTS 第2話
一方その頃、ユニウス・セブンでの破砕作業は遅れていた。何故ならば破砕活動を妨害する謎の部隊の出現と、破砕活動に参加する予定のミネルバ隊が来ていないせいであった。
ミネルバ隊が来ていない理由。それは前方に出現した三機のMSがミネルバの進行を妨げていたからである。
黒い機体―モビル・ドールビルゴ―はありとあらゆる攻撃をはじき返す装甲を持ち、ビーム攻撃さえも機体の周囲に浮遊するぱっと見機雷の―プラネイトディフェンサー―バリア発生装置があるからだ。
艦砲射撃さえも無効化してしまうこれに対し、タンホイザーで対応しようと考えたミネルバだが、そのすばしっこさになかなか照準が定められない。
「ちっくしょう! イキナリ攻撃してきて、そんな攻撃方法で、あんた達は何がしたいんだ!」
だが、シンの言葉は無人のビルゴに届くことは無かった。
だが、恐らくビルゴを見知っている者ならば、誰もが思うだろう。動きが妙なのだ。まるで、何かを忘れたかのような、ボロボロな動きだった。しかしそれでも、シン達赤服を圧倒する戦闘力を誇っていた。
『ちょっと、シン! もっと息合わせていかないと、倒せないわよ!』
『そうだぞ、少なくともこいつらを倒すには分が重過ぎる。一機一機慎重にいかねば―』
「分かってるよ! でも、そしたら他の機体に……ッ! 危ない、レイッ!!」
ビルゴのビームキャノンがレイの乗るブレイズザクファントムを捉える。だがシンの言葉を聞いたレイはとっさに機体を退かせて、右腕を飲み込まれるに留める。
「ッ、助かった、シン」
ミネルバの援護があるおかげでビルゴを抑えることは出来ているが、決定打は与えられない。それどころか、その圧倒的な火力で流れを断ち切っている。
「仕方が無いけれど、多少無理がある状況下でタンホイザーを起動させ―」
その時、格納庫から緊急通信が入った。
『艦長! オーブの護衛が勝手にザクに!』
「ええっ!?」
オーブ代表とタリア・グラディスの声が重なる。
その時、今まで黙って戦況を見ていたギルバート・デュランダルが口を開いた。
「私が議長権限で特例として許可した。彼を行かせてはくれないだろうか? タリア」
グラディス艦長とは言わずに、愛称でそう言ったデュランダル。
「ギル……しかし……いえ、何でもありません。彼を行かせてやって頂戴」
『はっ、はい!』
190:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:45:15
『ザクウォーリア、発進どうぞ!』
「アレックス―いや、アスラン・ザラ、ザク、出るっ!」
今何もしないでただのうのうと戦況を見守ることなんて―出来ない!
そう強く決心したミネルバから発進したアスランは、ビーム突撃銃を構えてビルゴに乱射した。
「俺が時間を稼ぐ! その間にミネルバは照準を!」
『感謝する!』
ビルゴはプラネイトディフェンサーを展開してこれを防ぐ、が後方からシンの乗るインパルスがビームライフルを放ち隙を作らせる。
そこに立て続けにナイトハルトが襲い掛かり、アスランはビームトマホークで相手の隙を突くと、そのまま肩でタックルした。
その一方でルナマリアはオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲をあまり動きが俊敏ではないビルゴに目掛けて放っていた。
射撃の腕はよくないルナマリアだが、ビルゴはこちらがビーム攻撃を仕掛けたと判断するとすぐにあのバリアを展開してくれるので足止めが出来る、と踏んだのだろう。
レイは左腕で上手くバランスを取りつつも、ファイヤビー誘導ミサイルを放って相手の足止めに専念していた。
しかし、既に弾の消費が激しかった為すぐに弾が切れ、右手でビーム突撃銃を放つもビルゴはプラネイト・ディフェンサーを展開し迫ってくる。
現在の分が切れたら例えカートリッジがあろうとしても弾倉を切り替えることは叶わない。
『レイはさがれ! このままじゃ落とされる!』
「すまない、シン!」
レイが下がるということでビルゴが自由になり、次の獲物を求めて動き出す。
ビルゴがアスランに狙いを定めたのかアスランの下へ急接近する。
だが、ビルゴはそのままアスランを通り過ぎ―轟音と共にタンホイザーが発射され、アスランの攻撃でバランスを崩したビルゴを飲み込んでいく。
後には、ビルゴの残骸だけ―かと思われた次の瞬間、皆の期待は絶望と共に裏切られることになる。
ビルゴは健在していた。
もう一機の飛び込んできたビルゴがプラネイトディフェンサーを展開したのだ。
そしてそのままミネルバのブリッジに向けてビームキャノンを構え―たところでアスランがそのビルゴ目掛けて飛び蹴りを放とうとする。
しかし、後方から放たれたビームキャノンを食らって右腕を失い、体制を崩したアスランはそこまで届かず、ビルゴがブリッジ目掛けてビームキャノンを放とうとチャージし―止まった。
止まったのだ。一切の動作も。
否、数瞬して、真っ二つに。少ししてアスランのザクの後方にいたビルゴも、胴体が二つに分かれた。
思わず攻撃の手を休めたルナマリアにこれ好機と迫るビルゴ。接近しビームキャノンを構えて、だがしかし、それもいつの間にかに―真っ二つに。
数秒して”それ”が姿を現した。
両手には前大戦でフォビドゥンがもっていた鎌に酷似している―しかし、二つのビーム刃を展開する鎌を持ち、黒いマントを羽織る―Gがいた。死神のような、Gが。
191:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:46:28
「ええい! ミネルバ隊は何をしている! 何時になったら……ッ!」
『確かに、この数は、洒落になんないでダローが、よっ』
ところ変わってユニウス・セブンではイザーク・ジュエルとディアッカ・エルスマンの二人がメテオブレイカーを守っていた。
ジンハイマニューバ2型八機をゲイツR一機、スラッシュザクファントム一機とガナーザクウォーリア一機で相手していたのだ。
既に仲間の多くが撤退、もしくは撃破されていた。分散してはいるが、この分では他の仲間も危うい。
そんな時、やっとメテオブレイカーの一つが作動した。立て続けに仲間のメテオブレイカーも作動する。
三人で残りの数を四機に減らしたところで―残りの四機が撤退していく。代わりに三機。いかにも腕が良いといわんばかりの気迫だった。
「ふん! 受けて立とう! シホの方の部隊もも、少し心配ではあるがなっ!」
『いざ参る!』
スラッシュザクファントムとジンハイマニューバ2型が激突するのを合図に、両陣営の機体が激突しあう。
イザークの方は圧していたが、ゲイツRの方はやや圧され気味。ディアッカはガナーウィザードなので、格闘戦は苦手としているせいか、やや圧され、しかし腕のせいもあり互角、といったところだろう。
『つ、強い! しかし、とぉぅりゃぁぁああっ!!』
「来いッ!」
ジンハイマニューバ2型が斬機刀をまっすぐこちらに向けて突進してくる。イザークはすんでのところでそれを回避すると、ビームアックスを振り下ろした。
それは見事なまでに相手の機体の腰を両断していた。すぐさま機体を離れさせる。数瞬置いてからジンハイマニューバ2型が爆破した。
ゲイツRは両腕を切り落とされていたが、どうやら勝ったようだ。ディアッカの方はというと。
なんとオルトロスを相手に叩き付けて、そのまま蹴り飛ばしたらしい。砲身があらぬ方向に曲がっていたが、相手の機体はコックピットへの衝撃が激しかったらしくそのまま浮遊していた。
「よし、俺たちはこのまま破砕活動に……チッ、もうじき時間か!どうやらシホの部隊もメテオブレイカーの作動に成功したようだな。他にも未確認だがいくつか成功したらしいし……残念だが、撤退する!」
『へぇ? もう少し食い下がると思ったんだけど―』
「俺だって引き際ぐらいは分かる!」
『冗談だよ。そうむきになんな』
そう言いつつも、内心は後悔の念に満ち溢れていた。それを一蹴して、撤退体制に入る。そこで彼は見た。
192:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:47:18
―翼の生えた”G”を―
193:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:49:10
「八機目撃破。まさかこうも妨害してくるとはな……」
肉眼で確認されたのが失敗だった。こちらの性能を見るや否や、十数機で取り囲んだのだ。
そこまで強くは無い。もといた世界ではこの者達よりも強いものがわんさかといた。しかし、この者達には―気迫があった。
『我らが同志の眠るこの墓標、落とさねば世界は変わらぬ! それをなぜこうもっ!』
……落としてどうなる?
『軟弱なクラインの後継者共に騙され、ザフトは変わった! 何故気付かぬッ!』
……関係ない。俺は俺だ。
『我等コーディネーターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しきものと!』
……知ったことではない。
隊長機の気迫を感じつつも、十四機目を撃破。
残り三機。
『応えよッ!』
ややあって、ヒイロがその声に応えた。
「お前達は、そうやって血のバレンタイン以上の悲劇を繰り返そうとしている」
『こっ、子供ッ!?だが、しかし何をっ!』
「恨むなら勝手にしろ。だが、地球は関係ない。変えたければそれは連合に対して行え。地球ではなく!」
『ッ! しかし、現にナチュラルが―』
「お前達は自分達と同じものを増やそうとしているだけだ。悪意がないものでも、身内を災害で失くせば、コーディネーターのせいだと知れば、叫びたくもなる。銃を取りたくもなる」
『……だがっ!今更!』
十六機目撃破。隊長機の気迫を感じながら、ビームサーベルを構える。
「……そうか、そういうことか。なら、俺はお前を殺さない」
『何ッ!?』
「お前は死に急いでいるだけだ。ただ単に同志達の下へ逝きたいと」
『……』
「だから、俺はお前を殺さない」
『待てッ! 確かにお前の言う通りかもしれない。ならば、せめて最後に戦ってくれ!』
「……一度だけ聞く。お前は勝つために、生きる為にそう言ったのか?」
『ああっ!』
「ならばその言葉……しかと聞き届けた」
ヒイロと隊長機は互いに距離をとって、互いの得物を構えた。
大気圏突入コースにに入りつつある状況下で、ヒイロはらしくない、と思った。
刹那、両者の機体が弾き飛ぶ。両者の機体が入れ替わる。ヒイロの機体は無傷。しかし、隊長機の機体は―頭部がなかった。破壊されていた。
隊長機は入れ替わりざまに、斬機刀を放った。相手のコックピットめがけて。しかしヒイロはそれを受け流し、ビームサーベルを頭部に突き刺した。
『見事ッ……情けは要らぬ。断ち切れ! 我の屍を乗り越えてゆけ!』
ヒイロは、躊躇いが血に尋ねた。初めてだった。このような後味の悪さは。
「お前の……名は?」
『サトーだ……そなたは?』
「ヒイロ……ヒイロ・ユイだ」
『ヒイロ・ユイか……悔いは無い。やってくれ』
「……ああ」
ヒイロは機体を動かして、隊長機……サトーの乗る機体に近付く。
そして、躊躇わず一閃。
最後のジンハイマニューバ2型は真っ二つになり、やがて爆散した。
機体を翻して、ユニウス・セブンの最先端部を目指して機体を全速力で進ませる。
ヒイロは気づいてはいなかったが、機体のダメージは蓄積されつつあった。向こうの世界での最後の戦いから今日まで、まともに整備をしたことが無かったからだ。だからこそ、簡単なチェックで済ませていたのが、仇になった。
194:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:50:38
最先端部まで辿り着くと、既に機体は高温にさらされていた。
しかしその先―ユニウス・セブンの最先端部からやや離れた位置に体制を維持させれる。ツインバスター・ライフルを構えさせて、チャージさせる。
狙いを定めようとするが、全く定まらない。おかしい。ヒイロは咄嗟にそう思った。
それどころか、体制を維持させることも出来ない。肩部が火を吹き、腕部はがたがたと震えていた。
そんな状況で、時間が残り少ないのを悟ったヒイロは無理な体勢からツイン・バスターライフルを発射。左腕は吹き飛び翼は装甲が剥げ、そのまま地球に―
ユニウス・セブンは半分以上が光に飲み込まれたものの消滅はせず、そのまま共に地球へ―
一足早く翼の生えたG―ウイングガンダムゼロはオーブ近海へ。ユニウス・セブンは分断された僅かな残骸を伴って地球中に―
招かれざる来訪者とユニウス・セブンは地球へと降下していった―
続く
195:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:54:35
誤字修正
修正前 しかしその先―ユニウス・セブンの最先端部からやや離れた位置に体制を維持させれる。ツインバスター・ライフルを構えさせて、チャージさせる。
修正後 しかしその先―ユニウス・セブンの最先端部からやや離れた位置に体制を維持させ、ツインバスター・ライフルを構えてチャージする。
196:通常の名無しさんの3倍
07/02/21 20:31:00
どうでも良いんだけど
destinyね
197:Destiny-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 20:37:13
あぁw恥ずかしい、こちらのミスです、申し訳ありませんm(__)m
198:通常の名無しさんの3倍
07/02/21 23:48:02
乙です!サトーとヒイロの一騎打ち燃えますた。続きを期待しております!
199:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 04:55:15
GJ
戦闘描写がとてもヨカタ
ところで職人さんはイザークのセカンドネームも混同している予感
イザーク・ジュールが正解ジャマイカ?
ジュエルってデュエルとのリミックスみたいでry
ヒイロとデュオにビルゴが見参しているわけか
200:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 08:21:31
デュオ「暗闇に紛れて俺、参上!」
201:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 11:40:13
W系MAD。PASSはメル欄
URLリンク(s-io.net)
202:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 12:38:13
>>200
レイ「俺はいつでもクライマックスだぜ!」
203:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 12:51:59
声優ネタウザイ
204:Destiny-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/23 20:15:10
あ、それは単なるミスです。申し訳ありませう
205:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 22:05:35
>>201
パスわかんないです・・・。メル欄って、どこ見ればいいんでしょうか?
206:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 22:12:42
声優オタ消えろ
207:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 23:18:23
>>205
つ質問板
208:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 23:20:55
>>201
こーいうもん(URLリンク(www.youtube.com))を想像してて
がっかりした俺
209:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 00:12:18
自分で作れb(ry
210:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 04:17:20
>>208
それって全く面白くない
211:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 19:45:06
エレガントウザイの次は声優ウザイか・・・
もうウザイって言えればなんでもいいのね
212:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 19:54:46
はっきり言って声優ネタツマンネ。
213:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:00:16
>>212
言いたいだけ?
214:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:22:35
>>211
スルーせずにいちいち食いつくお前がウザイ
215:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:34:19
>>214
自らスルーしろとは・・・
この粘着はどうにかならんのかね
216:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:37:17
>>215
自分の荒らしを邪魔されるのが嫌なだけなんだよ
217:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:39:39
我等が腐女子職人edたんと添い遂げる不真面目な片割れの文章が似てる件について
218:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:40:22
オチスレから出てくるな
219:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:43:59
ええじゃないかー
220:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 23:04:15
まあ、確かに似てる所はあるかも知れんがな。取り合えず声優オタとスパ厨連れてヲチスレに帰れ
221:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 23:27:21
>>220
とりあえずお前はスレ潰し工作をやめろ
222:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 01:12:56
ed氏が今月の投下は無理と宣言していたレスが
目に入らない人がいるようで…
223:26
07/02/25 04:20:26
そろそろ、投下してもよさげな時期かな……?
224:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 04:35:10
ぜひお願いしまーす!
225:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 04:38:50
おk正座待機
226:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 09:41:40
>>215-216
お前が工作員だろ。逐一反応すると見せかけてスレを荒らしたいだけの
227:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 10:39:53
>>226
はいはいラクシズ工作員は出てってね
228:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 11:31:08
添い遂げる不真面目な片割れがed氏と同一人物な件について
229:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 11:36:00
ぶっちゃけどうでも良い…
230:Destiny-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/25 12:37:52
最初からきちんと読み直してきて、流れが無茶苦茶なことに気がつきました。
各々の心理描写、戦闘シーンが適当だったりと…ヒイロの、街から海に行き、空に上がるまでの心境変化はおかしいとか、サトーの思惑の説明不足なども…ということで、いっぺんすべて書き直しいたします。
友人から助言を受けたりなどで、矛盾点などを無くす用にいたしますので再投稿は何時になるか…その時にPCが使えるかどうかすら怪しいものですが…
まことに申し訳ありません。
231:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 13:20:37
>>230
正座して待ちます。
232:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 13:43:04
PCが駄目なら携帯で投下すれば良いじゃない?
233:Destiny-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/25 14:51:54
>>232あ、その手がありましたか…どもです。では、もしPCが使えなくなった場合は携帯で投稿するという形式で…
何時投稿になるかは分かりませんが
234:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 17:04:11
>>228
マジで?
235:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 17:10:16
他スレでも振れまわってるみたいだけど、大した根拠のない話だよ
236:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 22:08:17
>>223
投稿を期待してマツ
237:26
07/02/26 01:14:23
それでは、投下しよう。
238:26
07/02/26 01:21:28
「ウルカヌスが、消えた?」
マリーメイア・バートンによる、真のオペレーション・メテオ終結から数日、戦いの疲
れを癒すガンダムチームに、プリベンターから不可解な報告が届いていた。その日は、偶々
『残ったガンダムをどうするか?』という話し合いをしており、カトルを中心に五人の意見
が出されていたのだが……
「消えたって、おいおい俺達は今、そう言う冗談は聴きたくない気分だぜ?」
緊張が走る室内で、デュオ・マックスウェルだけが極めて明るく、明るく振る舞おうと努力し、
報告者であるプリペンダーのサリィ・ポゥに詰め寄った。
「残念だけど、私もあんな事件の後、こんな冗談を言うほど意地の悪い性格はしてないつもりよ」
「つまり、誰かにウルカヌスが強奪された、ということか?」
いち早く冷静を取り戻したトロワ・バートンがそう質問するが、サリィは首を振り、
「その可能性も含めて調査中……というしかないわね」
「どういうことだ?」
「それが……何ともおかしな話で……」
サリィの話によると事の起こりはこうだ。
元々廃棄資源衛星ウルカヌスは、カトル・ラバーバー・ウィナーによるガンダム廃棄計画に
よって太陽に送られたが、今回のマリーメイア動乱によって急遽戦力を必要としたガンダムチ
ームのため、やはりカトルの手によって再び地球圏へと帰還したものである。
ガンダムが地球へ向けて発進した後は、とりあえずプリベンターの監視宙域に放置されてい
たのだが……
「マリーメイア一件の事後処理中に、そういえばウルカヌスはどうしましょうかって、プリベ
ンターの会議で議題に上がってね。とりあえず、直してまた太陽に送るにしても、今の状態を
知りたいからってプリベンターの巡洋艦が派遣されたの」
「それで?」
「そしたら、その宙域に着いてプリベンター巡洋艦からおかしな連絡が入って……『ウルカヌ
スが無い。消えてしまっている』って。まったく、驚いたわよ」
「そんなバカな、ウルカヌスは核融合炉が破壊されてますから、動けないはずです!」
カトルは思わず声を荒げるが、無理もない事情がある。ウルカヌスは、元々とある事件の折
に発見された、OZの秘密工場を備えた衛星であり、その中には……
「誤認の可能性は?」
今まで黙っていたヒイロ・ユイが、静かに口を開いた。
「私たちもそう思いたかったわ。でも、その報告を寄こしたのがね、プリベンターの技術部門
を総括してくれてる、ハワードなのよ」
「ハワード? あのピースミリオンのか? アロハシャツ来てる」
発言したデュオを始め、ガンダムチームが何度も世話になっている技術屋ハワード。確かに
彼は、そんな冗談を言うタイプではなかった。
「それで、ハワードは具体的になんて言ってるんだ?」
「…………消えたわ」
「なに!?」
「連絡後すぐ、同じ宙域でプリベンター巡洋艦が、消えた」
室内に衝撃が走った。
「撃墜されたのか?」
五飛が、ポツリと、呟くように言う。その無神経な言葉に、デュオは一瞬睨み付けるが、
「違うわ。言葉通り、「消えた」のよ。影も形もなく、何処かにね」
「消えた……」
「だから、もしもの時のことを考えて、みんなにも伝えておこうと思って……」
ウルカヌス内には、今だ多くの戦力が保持されている。それは、もうこの世に、宇宙であろ
うと地球であろうと、起動させてはいけない。そう言う代物だった。
239:26
07/02/26 01:25:13
「でも、僕たちのガンダムはもう……」
カトルはチラリとヒイロを見る。
「ゼロ以外なら応急処置だけで動かすことは可能だ」
ヒイロの乗るウイング・ゼロは、ほぼ大破に近い状態になっていた。他の四機はまだマシ
だが、いずれも今すぐに出撃できる状態ではない。
「どうせなら完全に修理したほうが良いだろう。ウルカヌスに収容されているアレは、この
前のサーペントより強力だ」
トロワの意見に、デュオはやれやれと首を振る。
「折角最後の戦いにするつもりだったのによぉ……いやなことは続くもんだぜ」
「再びアレを使おうとする奴、そいつは悪だ」
五飛は、そう断言する。
「サリィさん、僕らはこの通り今すぐにでることは出来ません。その間の事は……」
カトルは、不安そうにサリィを見るが、サリィは笑って、
「安心して、みんなのガンダムが直るまではプリベンターが何とかするわ。今もその宙域に、
プリベンターの精鋭中の精鋭を派遣したから」
「プリベンター<風>って、やつかい?」
デュオがからかい気味にいうが、サリィは首を振り、
「いいえ違うわ。プリベンター<ローゼンリッター>………薔薇の騎士よ」
この世界、A.C.197年以降の戦いの歴史にガンダムを始めとしたモビルスーツの存在は確認
されていない。そして、同様にモビルドールもまた、その存在を遂に確認されることはなかった。
そう、この世界では…………
第1話『薔薇の騎士』
プリベンター高速宇宙船の船内、操縦席には二人の男が座っていた。一人は、プリベンター
<ローゼンリッター>こと、ロッシェ・ナトゥーノ。もう一人は、民間資源コロニーMO-Ⅴ所属の
<技術屋>オデルバーネット。先のMO-ⅤとOZプライズを巡る事件で知り合った二人は、事件解決
後も度々顔を合わせる中であった。
オデルは事件後、父の代から続くエンジン開発者の道を志し、その道の専門家であるハワードに
師事しており、今回、師が巻き込まれた事件を究明するため、ロッシェに同行をしていた。
「星を見ているのか、ロッシェ?」
「あぁ、星はいい……オデル、お前はそう思わないか?」
ロッシェは、その中世の騎士のような服装で優雅にシートへ腰掛け、星々の海を眺めていた。
オデルはそんな、ロッシェにため息をつき、
「綺麗だとは思うが、私はお前ほど詩的な人間ではないさ」
「もっと、心に余裕を持て。心配なのはわかるが……」
ロッシェはどこからともなく取り出した薔薇を一輪、ピッと投げ、
「過度の緊迫感や緊張は、人の判断を鈍らせると言うからな。まったく、お前ら兄弟は本当に対照
的だ。弟のほうは常に物事を前向きに考えているぞ?」
「それがアイツの良いところだ。私には、マネでない……」
「そういえば、最近はどうしてるんだ?」
「色々悩んでいるよ、前はモビルスーツの修理工になるのが夢だとか言ってたんが、この時代その
手の職種はほぼないからな……それこそ、お前たちのような職種でないと」
240:26
07/02/26 01:27:59
「フッ、プリベンターとてモビルスーツ戦力はそんなに保持していない。使えるのはこの前
ゼクスが使ったトールギスと、その女が乗るトーラス、そして……」
ククッと、ロッシェは笑う。
「我が愛機だけだ」
それから暫くして、プリベンター高速宇宙船は、問題のウルカヌス消失宙域まで来ていた。
そこは本当に何もなかった。周辺にコロニーはないし、衛星もない。だからこそ、カトルは
ウルカヌスをここに放置したのだが……
「……モビルスーツで出よう。万が一のこともある、このまま近づくのは危険だ」
「大丈夫か?」
「私が人形風情に後れを取るとでも?」
不敵に笑い、ロッシェは後部モビルスーツ格納庫に向かった。そこには、前述のロッシェの
愛機が格納されている。
リーオーをベースにカスタム化されたその機体は、頭部は西洋の兜のように角を生やし、肩
からはマントを纏い、特異な形のビームサーベルを腰に下げる、騎士であるロッシェの意向を
忠実に再現された機体となっていた。そして、その名は……
「ロッシェ・ナトゥーノ、レオス、出るぞ!」
ハッチが開き、レオスはマントをはためかせながら宇宙へと飛び出した。
「付近に熱反応無し……レーダーにも、モニターにも衛星らしきものは発見できず、か。
レディ・アンから調査の依頼をされたときは絵空事を言うと思っていたが……」
『どうだロッシェ? こちらでは何も確認できないが』
「こちらもだ。もう少し中心部に行ってみる」
ロッシェは、機体を動かし中心部へと進んでゆく。その後をゆっくりと、周囲の警戒をしな
がら付いてくる宇宙船。
「なんというのだったかな、こういうのを」
『なんだ?』
「私が以前、地上のローフフェラ財団本部にある図書室で、東洋の書物を読んでいたときだ。
東洋ではこんな風に突然ものが消えることに対し、面白い表現をしていた」
『ほう?』
「そう確か……神隠し、とか言ったか」
その時、突然機体のモニターに異常が起きた。それまで映されていた映像が全て消え、けた
たましいノイズ塗れになった。
「なにっ、これは……」
機体を動かそうと操作するが、一切受け付けなくなっている。
「オデル! オデル! くそっ、通信も出来ないのか!」
呼びかけても、宇宙船との通信は遮断され、一向に繋がる気配がない。レオスは行動不能状
態になっていた。
「な、に?」
それだけではない。今までノイズにまみれたモニターが、突如、白い光を映し出し、輝き始
めていた。
「これは……なんだ、なんだというのだ!?」
そして、ロッシェ・ナトゥーノは、愛機レオスと共に、『この世界』から消えた。
241:26
07/02/26 01:29:54
C.E73年、10月3日。
100年単位安定軌道にあるはずだった、ユニウス・セブンが突如地球に向かって動き出
した。これは、現プラント政権に反感を持つ、ザフトの脱走兵によって編成された部隊が、
ナチュラルを殲滅せんとし行った、史上空前の規模のテロ行為だった。
そして、今、ユニウス・セブンではテロリストとザフト軍による死闘が行われいた。
「我が娘のこの墓標、落として焼かねば世界は変わらぬ!」
部隊の隊長であるサトーが叫びながら、アスラン・ザラの乗るザクへと斬りかかった。
「娘?」
アスランは困惑しつつ、シールドで受けきる。
「此処で無惨に散った命の嘆き忘れ、討った者等と何故偽りの世界で笑うか! 貴様等は!」
「何を!」
「軟弱なクラインの後継者どもに騙されて、ザフトは変わってしまった! 何故気付かぬか
ッ!」
「くっ!」
数の上ではミネルバ及び、ジュール隊がテロリストたちを圧倒していた。しかし、技量の
面では明らかに向こうが上手だった。
「こいつら……戦闘用タイプのコーディネーターかっ」
現に、テロリストの部隊は数の差を補いながらも善戦している。このままでは、破砕作業
もままならない。
「我等コーディネーターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しきもの!」
サトーは叫ぶと、一気に機体を上昇させていった。アスランは彼の言葉を聞き、完全に硬
直してしまっている。
サトーの機体を中心に、テロリストに機体が集まってゆく。
『隊長、我が方の被害が無視出来ないレベルに達しました』
「…………むぅ」
部下の報告にサトーは眉を顰める。
『このまま、玉砕覚悟で特攻をかければ、何とかなるかも知れませんが……』
「いや、我々の目的を忘れてはならん。特攻などという行為で、軽々しく命を無駄にするな。
今日のところは引くのだ」
サトーはそう決定を下し、すぐさま撤退をはじめた。
それを見た、ミネルバ所属のパイロット、シン・アスカは、
「逃げるのか!? くそっ、逃がすものか!」
逃亡しようとする、テロリストに追撃を試みようと機体を動かし、
『馬鹿者ッ!!!』
「うぁっ!?」
強烈な一喝に、硬直してしまった。
『貴様の任務は我々の支援のはずだ。今は破砕作業に従事しろっ!』
その声の主、ジュール隊隊長イザーク・ジュールは、偶然にもアスランとサトーの接触通
信を聴いてしまい、不機嫌になっていた。彼には今だ固まったまま動けないでいるアスランの気持ちが、よく分かった。
『全機、破砕作業を進めろ。今ならまだ十分間に合う』
242:26
07/02/26 01:32:45
「やれやれ……なんとか大丈夫そうだな」
ミネルバのブリッジにて、撤退してゆくテロリストの一団を見ていたデュランダルは安
堵のため息をついた。
「はい、このまま破砕作業が無事に進めば、地球にはほんの僅かな欠片も落ちることはないでしょう」
こちらも同じく安心したように、タリアが笑顔を作って言った。
「フフ、このままあれの、欠片一つでも落ちていたら、ブルーコスモス辺りがうるさそう
だからな。強引に開戦と言うことも……おっと、失礼。あまり代表には気持ちのいい話で
はありませんでしたね」
デュランダルは同じくブリッジにて、事の経過を見守っていたカガリ・ユラ・アスハに、
軽く詫びる。しかし、カガリは首を振り、
「いや、議長の仰るとおり、ブルーコスモスとはそう言う側面を持つ連中だ……何はとも
あれ、あれが地球に落ちることが無くてよかった」
ミネルバのモニター上に、メテオブレイカーで次々に破砕されるユニウス・セブンが映
し出されている。かつての悲劇の地であり、平和を誓い合ったはずの場所が、砕かれてゆ
く。ミネルバのブリッジは、粛然とした雰囲気になった。
暫くそれを見つめた後、デュランダルが切り出した。
「代表、私は取り急ぎプラントに戻る必要があります。落下を防ぐことは出来ましたが、
なんの発表もしないわけにはいきませんし、そしてそれは出来るだけ早いほうが良い」
「それはそうだろうな」
「ですが、代表も自国のことがおありでしょうし、すぐにでもお戻りになりたいはずです。
そこで、といってはアレですが、よろしければこのミネルバでオーブに向かっては?」
デュランダルの突然の申し出に、カガリだけでなく、ブリッジの面々も驚きの声を上げ
るが、察していたタリアはそれを制止、
「私は別に構いません」
っと、クルーの行動を決定づける一言を発した。
「しかし、それでは議長が?」
「いや、このミネルバにはボルテールという宇宙艇がありますので、私はそれでプラントに
戻れます。しかし、オーブに戻るには大気圏から、地球に降下する必要があります。幸いこ
のミネルバは、大気圏下でも活動できる万能艦です。」
カガリはデュランダルの破格とも言うべき申し出に考えを働かせる。デュランダルとしては、
今回の事件の当事者であるカガリに、地上で何かと便宜を図って貰いたいという思惑があるの
だろうが、カガリもまた一国の代表として、はいそうですかと行為を受け取るわけにも行かな
い、そこで……
「いや、そこまでして貰うわけにはいかない。ミネルバもまた、事後処理等で必要だろう。
わざわざ地球に降下させることはない」
「では、どうなさるのですか?」
「代わりと言ってはなんだが、破砕作業終了後、この艦を<アメノミシハラ>に向けて欲しい。
オーブ所有の宇宙ステーションだ」
「あぁ、あのロンド・ミナ・サハク氏が管理している……」
「あそこなら降下用シャトルぐらいあるだろう。あまり会いたいとは思わないが、こういう事
態だ、仕方ない」
「わかりました、そのように取りはからいます」
デュランダルは、タリアにアイコンタクトを送り、タリアもそれを了承した。
243:26
07/02/26 01:37:06
ボルテールに移乗したデュランダルは、長距離通信を飛ばし、プラントと連絡を取った。
「あぁ、私だ。これからそちらに戻る……あぁ、わかっている。勝手な行動を取って悪か
った。ところで、アーモリーワンの様子はどうだ?」
アーモリーワンは、先日地球連合軍と思わしき部隊に襲撃された、プラントの軍事工廠
で戦闘によるかなりの被害を受けていた。
「私はすぐには戻れないからな……そうだ彼女を、『ラクス』を向かわせ……ほぅ、もう
行かせた? さすがに行動が早いな。あぁ、彼女が行けば動揺する市民をなだめることが
出来るだろう。私もなるべく早く戻るから、それまでよろしく頼む」
通信を切り、デュランダルは息をついた。丁度ボルテールが発進する。
「しかし、未だに現プラント政権に不満を持つ輩もいるのか……私は、つくづく人気のな
い政治家だな、まったく」
苦笑しながらも彼は砕かれ、破片とかしてゆくユニウス・セブンの残骸を、寂しげに見
つめていた。
そして、その頃プラントでは、一台のシャトルが首都アプリリウスから、アーモリーワ
ンへと向かっていた。
「ねぇ~……なんでわざわざあたしが、そんなところ行かなきゃ行けないの~?」
乗っているのは、議長のラクスこと、ミーア・キャンベル。
「いや、だからアーモリーワンにいる一般市民の動揺を防ぐために……」
「そんなの議長とかのお仕事でしょ~? なんで、あたしが?」
声が非常に似ているという理由でラクス・クラインの影武者的存在になった彼女だが、
その性格は年相応で、かつてのラクスが持っていた不思議なカリスマに欠けていた。
「あーぁ、折角ラクス様になったのに歌ったり踊ったりもしないで、被災地訪問だなん
て……意外に地味よね」
「ラクス様は、貴女ですよ。あまりそういった発言はお控え下さい」
「はいはい、わかってるわよ……」
ミーアは不機嫌そうにシャトルの窓から外を見る。遠くに見える星が、何とも綺麗だった。
(あんな星みたいに、あたしも輝けると思ったからラクス様になったのに……これじゃ
あ、まるでただの)
その時、シャトルに警報音が鳴り響いた。
「な、なによこれっ!?」
ミーアのお着きが、シャトルに同乗している兵士に確認を取る。
「そ、それが、突然シャトルの前方にモビルスーツが」
「な、なんだと!」
冗談ではない話だった。プラント付近にザフト軍以外のモビルスーツがいるとは思え
ないが、昨日の今日である。連合だったとしたら折角用意したラクスの身に危険が……
「ねぇ、どうなってるのよ?」
ミーアが不安そうに声を上げるが、ふと、窓の外から、そのモビルスーツが目に入った。
ふわふわと、ただ宇宙に浮かぶだけのそのモビルスーツは、軍事知識に乏しいミーアであっ
ても、それがザフトのものでないことを告げていた。そして……
「あっ」
一瞬だが、ミーアはそのモビルスーツに見とれてしまった。そのモビルスーツは、彼女が
今まで見たどんな機体よりも特異的で、優雅だった。
「……騎士?」
これが、ミーア・キャンベルと、薔薇の騎士ロッシェ・ナトゥーノの、出会いの瞬間だった。
つづく