種・種死の世界にWキャラがやってきたら MISSION-07at SHAR
種・種死の世界にWキャラがやってきたら MISSION-07 - 暇つぶし2ch150:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 01:19:57
GJ!!

151:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 01:23:15
GJゥゥゥ!!!!!
マッテテヨカタ………
オキテテヨカタ………
シンジテヨカタ………
神は見捨ててなかった。
シンがちゃんと主人公してるよ(泣)
いつまでもお待ちしてるので、
そちらのペースで頑張って下さい。

152:260
07/02/18 01:31:48 7+L5iJGg
W-DESTINY 最高!!!!

153:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 01:32:52
GJ!!

154:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 02:00:26
乙!待ってました!
やっぱシンはシスコンじゃないとなw

155:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 02:04:46
GJ

濃厚な戦闘描写といい戦闘中の兄弟喧嘩といい…
お腹いっぱいでつ

シンは熱血さと冷静さを兼ね備えたましたな。


ごちそうさまでした。

156:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 03:08:31
おかえりなさい!GJ!
たしかにキラの戦い方って性格悪いなwww
ダイダロス基地で戦うことになるとドラグーンも注意しなきゃいけないし、前途多難だけど頑張れシン!
相変わらずW-DESTINYのシンは応援したくなる主人公だわw

157:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 03:22:27
GJ!GJ!GooooooooodJooooob!!


……ところでダ「ゴ」スタ君じゃなくてダ「コ」スタ君です。

158:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 04:17:09
GJ!GJ!GJ!!!!!!!
シンもすごいがキラも強い!
こういう熱い展開が欲しかった!
ありがとう!

159:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 10:35:41
キラもシンも頑張れ!と言いたくなる展開にGJ!!
アロンダイトがエピオンのビームソードを模してる展開にも燃えました

160:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 12:05:43
「これじゃあ俺が偉い人みたいだ」って、お前今はフェイスだろ?
この上司にしてこの部下有りという感じがして良いんだがw
真性シスコンとかお家芸発言とかの、シンらしさがそのままなのが良かった。

戦術眼があったり、不殺解除しなかったりと、ここのキラはガチで強敵だな。
…やはり敵(かたき)役にこそ華は必要だよなぁ。

161:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 13:51:06
一心不乱のGJを!!

……何故だろう、お嫁さん云々の流れで
田中理恵の声で
「二又(エッチなの)はいけないと思います!」
って幻聴が聞こえたのは?w

【ミーア自重しろ】

162:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 14:00:09
GJ!!!!!!

シンもいいですがキラもいいですね。
本編キラって、実は自分の命が危なくなると平気で不殺解除して「仕方ないよね」とか
自分がやられると「本気じゃなかった」とか言うけど、このキラは言わないね

163:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 14:22:27
次回のW-DESTINYではオーブに侵攻するザフト軍を前に
アスランとユウナの討論戦が再び見られそう。

春が楽しみだ。

164:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 15:10:03
キテター!!
自分イキテテヨカッター!!
GJ!!

次回もwktkしながら待ってます。

165:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 15:42:39
GJ!!
シンがこんなにも主人公してるよ。Wキャラの使い方も上手いし。
てか…マユかわいいよマユwww

166:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 17:40:52
このSSのキラ達はW組のMSがEW仕様で助けられてるな。

167:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 17:54:09
EW仕様は戦術が狭められた機体だからな

168:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 17:59:02
GJ!!本編ではクソの役にも立たなかった残像とパルマがちゃんと生きてる…シンが運命のスペックをしっかりモノにしてるよ…!!

169:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/18 19:55:56
GJ!!!シンが輝いてるよぉ…運命が輝いてるよぉ…
GJ!GJ!GJです!!


170:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 21:16:21
今このスレに気付いた
23話から先はどうやって読めば良いんだ・・・

171:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 21:23:14
>>170
wiki逝けば読める

172:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 22:08:08
>>171
読めたよありがとー

173:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 22:08:18
GJ

キラがかっこいい――
まぁ、ある意味キラにライバルができたようなものですからね。
男は競い合う相手がいてこそ輝くものなのだと再認。
親友となぁなぁの関係しか作り出せず、強敵に負けたら言い訳、
挙句の果てにはいMSがないと戦えないと言い出すようなやつとは違いますね。

――ん? そうなるとシンは一人相撲?
いと哀れなり。

174:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 23:08:31
GJです
相変わらず熱い展開にたまりません

追いかけるシンと、立ちはだかるキラ。この二人の実力差が絶妙なバランス
やっぱ強敵がいるからこそ主人公は輝くし、ライバルは超えるに相応しい強さと心意気をもってることが大切なんだとあらためて実感しました

まあ、なによりマユ可愛いよマユ(´ー`)

175:通常の名無しさんの3倍
07/02/18 23:19:00
蝶GJ!!
かつてここまで強敵として立ちはだかったキラがいただろうか
孤高の天才戦士VS努力と友情の戦士って構図はどうしてこうまで燃えるのだろう

次のインターミッションの回でのシン、アスラン、ゼクスの絡みが楽しみだ
勿論大穴(本命マユ対抗ステラ)ルナともね

176:通常の名無しさんの3倍
07/02/19 01:09:17
そういえばそうだ、シンの影に隠れてしまったがキラも相当熱くなってるな。
マジGJ

177:通常の名無しさんの3倍
07/02/19 01:59:18
ダコスタの扱いにワロスw

178:通常の名無しさんの3倍
07/02/19 02:06:59
そういや読んでて気になった。
×ダゴスタ
○ダコスタ


179:通常の名無しさんの3倍
07/02/19 09:25:19
ここのキラは納得できる強さを持っているからいいな。
シンとのライバル対決、今後を期待するぜ。

180:通常の名無しさんの3倍
07/02/19 09:56:38
ヒイロが漁師をしているのはパワーバランスの関係かな?

それはそれで面白い。

181:通常の名無しさんの3倍
07/02/20 00:32:16
>>180
萌えキャラ不足のためでは?

なんにせよSSGJ

182:通常の名無しさんの3倍
07/02/20 01:01:00
不殺の戦いってやつに嫌悪する人もいるけど
「なにがあろうともやり遂げる」のなら、そのキャラの魅力にもなり強さにもなる

本編のキラは危なくなると即座に路線変更するし、みっともない言い訳しまくり

このスレのキラは人形に嫉妬しつつも「自分の戦い」を曲げることなく信じる人のために戦う殉教者
こんなキラなら納得できる所もある

183:W-SEED
07/02/20 04:01:19
デュオとキラが公園のブランコに座りながら話をしている
 
「……」

マリューはキラに
「お前は来るな」
と言われたから少し離れた所からそれを見ていた

「…理解したぜ。つまりここは俺がいた世界とは違う世界なんだな」

「うん、だって…この世界の事何も知らないじゃない?
頭の良い僕が言うんだから間違いないよ。」

「…はぁ~、何で俺ってこんなについてないのかねぇ」

「…ところで、デュオはもちろん行く当てとかないんだよね?」

「あ?…ああ」

「じゃあさ、僕と一緒にあの船に乗らない?」
キラが指指した方向から、なんとアークエンジェルが飛び出してきた!

「…仕方ねえか!その話乗ったぜ」

「そうこなくっちゃ♪」

184:W-SEED
07/02/20 04:25:37
なんやんかんやでアークエンジェルはキラとデュオとその他諸々を乗せて宇宙に出た。


場所変わってザフト艦
仮面を着けた男が口を開いた。男の名前はラウル.クルーゼ

「あの艦を追う方向で行きたいが、どう思う?」

白髪のおかっぱ頭の少年が最初に答えた。名前はイザーク.ジュール

「えっ、と…良いと思いますけど」

続いて金髪日焼けが言う。名前はディアッか.エルスマン

「はっ!!自分は反対であります!敵新型艦は全くの未知でありますが故に、援護を待ってから慎重に行くべきだと考えております!」

「…ふむ、キミ達はどう思うかね?…アスラン、ニコル」

緑髪の幼顔、ニコル.アマルフィがガムをくちゃくちゃ噛みながら答えた。
「ディアッかに一票」
続いて、青髪の少年アスラン.ザラが答えた。

「…あそこには会いたくない奴がいるから…ゴニョゴニョ」

「…よく聞こえんな。もう一回言ってもらえるかな?」

「あ、いや…ははは!どっちでも良いっす」

「…そうか。最後にヒイロ、キミはどう思う?」

壁にもたれかかる様にして話を聞いていた少年はゆっくりと口を開いた
「…俺は、任務に従うだけだ。作戦は任せる」



…to be contineud

185:通常の名無しさんの3倍
07/02/20 05:13:47
GJww朝からコーヒー吹いたww
最初からアスランに嫌われてるのかキラw

186:通常の名無しさんの3倍
07/02/20 15:58:11
GJ!
お前は来るな、てw
キラ面白いぜ

187:通常の名無しさんの3倍
07/02/21 06:51:14
乙です!
なんか、すごくお久しぶりのような気がします

188:通常の名無しさんの3倍
07/02/21 14:38:19
GJ!

ノリだけで楽しめる!

189:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:43:48
 DESTENIY-WALTS 第2話
 
 一方その頃、ユニウス・セブンでの破砕作業は遅れていた。何故ならば破砕活動を妨害する謎の部隊の出現と、破砕活動に参加する予定のミネルバ隊が来ていないせいであった。
 ミネルバ隊が来ていない理由。それは前方に出現した三機のMSがミネルバの進行を妨げていたからである。
 黒い機体―モビル・ドールビルゴ―はありとあらゆる攻撃をはじき返す装甲を持ち、ビーム攻撃さえも機体の周囲に浮遊するぱっと見機雷の―プラネイトディフェンサー―バリア発生装置があるからだ。
 艦砲射撃さえも無効化してしまうこれに対し、タンホイザーで対応しようと考えたミネルバだが、そのすばしっこさになかなか照準が定められない。
「ちっくしょう! イキナリ攻撃してきて、そんな攻撃方法で、あんた達は何がしたいんだ!」
 だが、シンの言葉は無人のビルゴに届くことは無かった。
 だが、恐らくビルゴを見知っている者ならば、誰もが思うだろう。動きが妙なのだ。まるで、何かを忘れたかのような、ボロボロな動きだった。しかしそれでも、シン達赤服を圧倒する戦闘力を誇っていた。
『ちょっと、シン! もっと息合わせていかないと、倒せないわよ!』
『そうだぞ、少なくともこいつらを倒すには分が重過ぎる。一機一機慎重にいかねば―』
「分かってるよ! でも、そしたら他の機体に……ッ! 危ない、レイッ!!」
 ビルゴのビームキャノンがレイの乗るブレイズザクファントムを捉える。だがシンの言葉を聞いたレイはとっさに機体を退かせて、右腕を飲み込まれるに留める。
「ッ、助かった、シン」
 ミネルバの援護があるおかげでビルゴを抑えることは出来ているが、決定打は与えられない。それどころか、その圧倒的な火力で流れを断ち切っている。
「仕方が無いけれど、多少無理がある状況下でタンホイザーを起動させ―」
 その時、格納庫から緊急通信が入った。
『艦長! オーブの護衛が勝手にザクに!』
「ええっ!?」
 オーブ代表とタリア・グラディスの声が重なる。
 その時、今まで黙って戦況を見ていたギルバート・デュランダルが口を開いた。
「私が議長権限で特例として許可した。彼を行かせてはくれないだろうか? タリア」
 グラディス艦長とは言わずに、愛称でそう言ったデュランダル。
「ギル……しかし……いえ、何でもありません。彼を行かせてやって頂戴」
『はっ、はい!』

190:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:45:15
『ザクウォーリア、発進どうぞ!』
「アレックス―いや、アスラン・ザラ、ザク、出るっ!」
 今何もしないでただのうのうと戦況を見守ることなんて―出来ない!
 そう強く決心したミネルバから発進したアスランは、ビーム突撃銃を構えてビルゴに乱射した。
「俺が時間を稼ぐ! その間にミネルバは照準を!」
『感謝する!』
 ビルゴはプラネイトディフェンサーを展開してこれを防ぐ、が後方からシンの乗るインパルスがビームライフルを放ち隙を作らせる。
 そこに立て続けにナイトハルトが襲い掛かり、アスランはビームトマホークで相手の隙を突くと、そのまま肩でタックルした。
 その一方でルナマリアはオルトロス高エネルギー長射程ビーム砲をあまり動きが俊敏ではないビルゴに目掛けて放っていた。
 射撃の腕はよくないルナマリアだが、ビルゴはこちらがビーム攻撃を仕掛けたと判断するとすぐにあのバリアを展開してくれるので足止めが出来る、と踏んだのだろう。
 レイは左腕で上手くバランスを取りつつも、ファイヤビー誘導ミサイルを放って相手の足止めに専念していた。
 しかし、既に弾の消費が激しかった為すぐに弾が切れ、右手でビーム突撃銃を放つもビルゴはプラネイト・ディフェンサーを展開し迫ってくる。
 現在の分が切れたら例えカートリッジがあろうとしても弾倉を切り替えることは叶わない。
『レイはさがれ! このままじゃ落とされる!』
「すまない、シン!」
 レイが下がるということでビルゴが自由になり、次の獲物を求めて動き出す。
 ビルゴがアスランに狙いを定めたのかアスランの下へ急接近する。
 だが、ビルゴはそのままアスランを通り過ぎ―轟音と共にタンホイザーが発射され、アスランの攻撃でバランスを崩したビルゴを飲み込んでいく。
 後には、ビルゴの残骸だけ―かと思われた次の瞬間、皆の期待は絶望と共に裏切られることになる。
 ビルゴは健在していた。
 もう一機の飛び込んできたビルゴがプラネイトディフェンサーを展開したのだ。
 そしてそのままミネルバのブリッジに向けてビームキャノンを構え―たところでアスランがそのビルゴ目掛けて飛び蹴りを放とうとする。
 しかし、後方から放たれたビームキャノンを食らって右腕を失い、体制を崩したアスランはそこまで届かず、ビルゴがブリッジ目掛けてビームキャノンを放とうとチャージし―止まった。
 止まったのだ。一切の動作も。
 否、数瞬して、真っ二つに。少ししてアスランのザクの後方にいたビルゴも、胴体が二つに分かれた。
 思わず攻撃の手を休めたルナマリアにこれ好機と迫るビルゴ。接近しビームキャノンを構えて、だがしかし、それもいつの間にかに―真っ二つに。
 数秒して”それ”が姿を現した。
 両手には前大戦でフォビドゥンがもっていた鎌に酷似している―しかし、二つのビーム刃を展開する鎌を持ち、黒いマントを羽織る―Gがいた。死神のような、Gが。

191:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:46:28
「ええい! ミネルバ隊は何をしている! 何時になったら……ッ!」
『確かに、この数は、洒落になんないでダローが、よっ』
 ところ変わってユニウス・セブンではイザーク・ジュエルとディアッカ・エルスマンの二人がメテオブレイカーを守っていた。
 ジンハイマニューバ2型八機をゲイツR一機、スラッシュザクファントム一機とガナーザクウォーリア一機で相手していたのだ。
 既に仲間の多くが撤退、もしくは撃破されていた。分散してはいるが、この分では他の仲間も危うい。
 そんな時、やっとメテオブレイカーの一つが作動した。立て続けに仲間のメテオブレイカーも作動する。
 三人で残りの数を四機に減らしたところで―残りの四機が撤退していく。代わりに三機。いかにも腕が良いといわんばかりの気迫だった。
「ふん! 受けて立とう! シホの方の部隊もも、少し心配ではあるがなっ!」
『いざ参る!』
 スラッシュザクファントムとジンハイマニューバ2型が激突するのを合図に、両陣営の機体が激突しあう。
 イザークの方は圧していたが、ゲイツRの方はやや圧され気味。ディアッカはガナーウィザードなので、格闘戦は苦手としているせいか、やや圧され、しかし腕のせいもあり互角、といったところだろう。
『つ、強い! しかし、とぉぅりゃぁぁああっ!!』
「来いッ!」
 ジンハイマニューバ2型が斬機刀をまっすぐこちらに向けて突進してくる。イザークはすんでのところでそれを回避すると、ビームアックスを振り下ろした。
 それは見事なまでに相手の機体の腰を両断していた。すぐさま機体を離れさせる。数瞬置いてからジンハイマニューバ2型が爆破した。
 ゲイツRは両腕を切り落とされていたが、どうやら勝ったようだ。ディアッカの方はというと。
 なんとオルトロスを相手に叩き付けて、そのまま蹴り飛ばしたらしい。砲身があらぬ方向に曲がっていたが、相手の機体はコックピットへの衝撃が激しかったらしくそのまま浮遊していた。
「よし、俺たちはこのまま破砕活動に……チッ、もうじき時間か!どうやらシホの部隊もメテオブレイカーの作動に成功したようだな。他にも未確認だがいくつか成功したらしいし……残念だが、撤退する!」
『へぇ? もう少し食い下がると思ったんだけど―』
「俺だって引き際ぐらいは分かる!」
『冗談だよ。そうむきになんな』
 そう言いつつも、内心は後悔の念に満ち溢れていた。それを一蹴して、撤退体制に入る。そこで彼は見た。

192:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:47:18
 ―翼の生えた”G”を―

193:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:49:10
「八機目撃破。まさかこうも妨害してくるとはな……」
 肉眼で確認されたのが失敗だった。こちらの性能を見るや否や、十数機で取り囲んだのだ。
 そこまで強くは無い。もといた世界ではこの者達よりも強いものがわんさかといた。しかし、この者達には―気迫があった。
『我らが同志の眠るこの墓標、落とさねば世界は変わらぬ! それをなぜこうもっ!』
 ……落としてどうなる? 
『軟弱なクラインの後継者共に騙され、ザフトは変わった! 何故気付かぬッ!』
 ……関係ない。俺は俺だ。
『我等コーディネーターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しきものと!』
 ……知ったことではない。
 隊長機の気迫を感じつつも、十四機目を撃破。
 残り三機。
『応えよッ!』
 ややあって、ヒイロがその声に応えた。
「お前達は、そうやって血のバレンタイン以上の悲劇を繰り返そうとしている」
『こっ、子供ッ!?だが、しかし何をっ!』
「恨むなら勝手にしろ。だが、地球は関係ない。変えたければそれは連合に対して行え。地球ではなく!」
『ッ! しかし、現にナチュラルが―』
「お前達は自分達と同じものを増やそうとしているだけだ。悪意がないものでも、身内を災害で失くせば、コーディネーターのせいだと知れば、叫びたくもなる。銃を取りたくもなる」
『……だがっ!今更!』
 十六機目撃破。隊長機の気迫を感じながら、ビームサーベルを構える。
「……そうか、そういうことか。なら、俺はお前を殺さない」
『何ッ!?』
「お前は死に急いでいるだけだ。ただ単に同志達の下へ逝きたいと」
『……』
「だから、俺はお前を殺さない」
『待てッ! 確かにお前の言う通りかもしれない。ならば、せめて最後に戦ってくれ!』
「……一度だけ聞く。お前は勝つために、生きる為にそう言ったのか?」
『ああっ!』
「ならばその言葉……しかと聞き届けた」
 ヒイロと隊長機は互いに距離をとって、互いの得物を構えた。
 大気圏突入コースにに入りつつある状況下で、ヒイロはらしくない、と思った。
 刹那、両者の機体が弾き飛ぶ。両者の機体が入れ替わる。ヒイロの機体は無傷。しかし、隊長機の機体は―頭部がなかった。破壊されていた。
 隊長機は入れ替わりざまに、斬機刀を放った。相手のコックピットめがけて。しかしヒイロはそれを受け流し、ビームサーベルを頭部に突き刺した。
『見事ッ……情けは要らぬ。断ち切れ! 我の屍を乗り越えてゆけ!』
 ヒイロは、躊躇いが血に尋ねた。初めてだった。このような後味の悪さは。
「お前の……名は?」
『サトーだ……そなたは?』
「ヒイロ……ヒイロ・ユイだ」
『ヒイロ・ユイか……悔いは無い。やってくれ』
「……ああ」
 ヒイロは機体を動かして、隊長機……サトーの乗る機体に近付く。
 そして、躊躇わず一閃。
 最後のジンハイマニューバ2型は真っ二つになり、やがて爆散した。
 機体を翻して、ユニウス・セブンの最先端部を目指して機体を全速力で進ませる。
 ヒイロは気づいてはいなかったが、機体のダメージは蓄積されつつあった。向こうの世界での最後の戦いから今日まで、まともに整備をしたことが無かったからだ。だからこそ、簡単なチェックで済ませていたのが、仇になった。

194:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:50:38
 最先端部まで辿り着くと、既に機体は高温にさらされていた。
 しかしその先―ユニウス・セブンの最先端部からやや離れた位置に体制を維持させれる。ツインバスター・ライフルを構えさせて、チャージさせる。
 狙いを定めようとするが、全く定まらない。おかしい。ヒイロは咄嗟にそう思った。
 それどころか、体制を維持させることも出来ない。肩部が火を吹き、腕部はがたがたと震えていた。
 そんな状況で、時間が残り少ないのを悟ったヒイロは無理な体勢からツイン・バスターライフルを発射。左腕は吹き飛び翼は装甲が剥げ、そのまま地球に―
 ユニウス・セブンは半分以上が光に飲み込まれたものの消滅はせず、そのまま共に地球へ―

 一足早く翼の生えたG―ウイングガンダムゼロはオーブ近海へ。ユニウス・セブンは分断された僅かな残骸を伴って地球中に―
 招かれざる来訪者とユニウス・セブンは地球へと降下していった―

続く

195:Desteniy-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 19:54:35
誤字修正
修正前 しかしその先―ユニウス・セブンの最先端部からやや離れた位置に体制を維持させれる。ツインバスター・ライフルを構えさせて、チャージさせる。
修正後 しかしその先―ユニウス・セブンの最先端部からやや離れた位置に体制を維持させ、ツインバスター・ライフルを構えてチャージする。


196:通常の名無しさんの3倍
07/02/21 20:31:00
どうでも良いんだけど
destinyね

197:Destiny-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/21 20:37:13
あぁw恥ずかしい、こちらのミスです、申し訳ありませんm(__)m

198:通常の名無しさんの3倍
07/02/21 23:48:02
乙です!サトーとヒイロの一騎打ち燃えますた。続きを期待しております!

199:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 04:55:15
GJ

戦闘描写がとてもヨカタ

ところで職人さんはイザークのセカンドネームも混同している予感

イザーク・ジュールが正解ジャマイカ?

ジュエルってデュエルとのリミックスみたいでry
ヒイロとデュオにビルゴが見参しているわけか

200:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 08:21:31
デュオ「暗闇に紛れて俺、参上!」

201:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 11:40:13
W系MAD。PASSはメル欄
URLリンク(s-io.net)

202:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 12:38:13
>>200
レイ「俺はいつでもクライマックスだぜ!」

203:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 12:51:59
声優ネタウザイ

204:Destiny-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/23 20:15:10
あ、それは単なるミスです。申し訳ありませう

205:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 22:05:35
>>201
パスわかんないです・・・。メル欄って、どこ見ればいいんでしょうか?

206:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 22:12:42
声優オタ消えろ

207:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 23:18:23
>>205
つ質問板

208:通常の名無しさんの3倍
07/02/23 23:20:55
>>201
こーいうもん(URLリンク(www.youtube.com))を想像してて
がっかりした俺

209:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 00:12:18
自分で作れb(ry

210:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 04:17:20
>>208
それって全く面白くない

211:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 19:45:06
エレガントウザイの次は声優ウザイか・・・

もうウザイって言えればなんでもいいのね

212:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 19:54:46
はっきり言って声優ネタツマンネ。


213:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:00:16
>>212
言いたいだけ?

214:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:22:35
>>211
スルーせずにいちいち食いつくお前がウザイ

215:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:34:19
>>214
自らスルーしろとは・・・

この粘着はどうにかならんのかね

216:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:37:17
>>215
自分の荒らしを邪魔されるのが嫌なだけなんだよ

217:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:39:39
我等が腐女子職人edたんと添い遂げる不真面目な片割れの文章が似てる件について

218:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:40:22
オチスレから出てくるな

219:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 20:43:59
ええじゃないかー

220:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 23:04:15
まあ、確かに似てる所はあるかも知れんがな。取り合えず声優オタとスパ厨連れてヲチスレに帰れ

221:通常の名無しさんの3倍
07/02/24 23:27:21
>>220
とりあえずお前はスレ潰し工作をやめろ

222:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 01:12:56
ed氏が今月の投下は無理と宣言していたレスが
目に入らない人がいるようで…

223:26
07/02/25 04:20:26
そろそろ、投下してもよさげな時期かな……?

224:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 04:35:10
ぜひお願いしまーす!

225:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 04:38:50
おk正座待機

226:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 09:41:40
>>215-216
お前が工作員だろ。逐一反応すると見せかけてスレを荒らしたいだけの

227:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 10:39:53
>>226
はいはいラクシズ工作員は出てってね

228:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 11:31:08
添い遂げる不真面目な片割れがed氏と同一人物な件について

229:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 11:36:00
ぶっちゃけどうでも良い…

230:Destiny-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/25 12:37:52
最初からきちんと読み直してきて、流れが無茶苦茶なことに気がつきました。
各々の心理描写、戦闘シーンが適当だったりと…ヒイロの、街から海に行き、空に上がるまでの心境変化はおかしいとか、サトーの思惑の説明不足なども…ということで、いっぺんすべて書き直しいたします。
友人から助言を受けたりなどで、矛盾点などを無くす用にいたしますので再投稿は何時になるか…その時にPCが使えるかどうかすら怪しいものですが…
まことに申し訳ありません。

231:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 13:20:37
>>230
正座して待ちます。

232:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 13:43:04
PCが駄目なら携帯で投下すれば良いじゃない?

233:Destiny-Walts ◆JESTW0zUfg
07/02/25 14:51:54
>>232あ、その手がありましたか…どもです。では、もしPCが使えなくなった場合は携帯で投稿するという形式で…
何時投稿になるかは分かりませんが

234:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 17:04:11
>>228
マジで?

235:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 17:10:16
他スレでも振れまわってるみたいだけど、大した根拠のない話だよ

236:通常の名無しさんの3倍
07/02/25 22:08:17
>>223
投稿を期待してマツ

237:26
07/02/26 01:14:23
それでは、投下しよう。

238:26
07/02/26 01:21:28
「ウルカヌスが、消えた?」
 マリーメイア・バートンによる、真のオペレーション・メテオ終結から数日、戦いの疲
れを癒すガンダムチームに、プリベンターから不可解な報告が届いていた。その日は、偶々
『残ったガンダムをどうするか?』という話し合いをしており、カトルを中心に五人の意見
が出されていたのだが……
「消えたって、おいおい俺達は今、そう言う冗談は聴きたくない気分だぜ?」
緊張が走る室内で、デュオ・マックスウェルだけが極めて明るく、明るく振る舞おうと努力し、
報告者であるプリペンダーのサリィ・ポゥに詰め寄った。
「残念だけど、私もあんな事件の後、こんな冗談を言うほど意地の悪い性格はしてないつもりよ」
「つまり、誰かにウルカヌスが強奪された、ということか?」
 いち早く冷静を取り戻したトロワ・バートンがそう質問するが、サリィは首を振り、
「その可能性も含めて調査中……というしかないわね」
「どういうことだ?」
「それが……何ともおかしな話で……」
 サリィの話によると事の起こりはこうだ。
 元々廃棄資源衛星ウルカヌスは、カトル・ラバーバー・ウィナーによるガンダム廃棄計画に
よって太陽に送られたが、今回のマリーメイア動乱によって急遽戦力を必要としたガンダムチ
ームのため、やはりカトルの手によって再び地球圏へと帰還したものである。
 ガンダムが地球へ向けて発進した後は、とりあえずプリベンターの監視宙域に放置されてい
たのだが……
「マリーメイア一件の事後処理中に、そういえばウルカヌスはどうしましょうかって、プリベ
ンターの会議で議題に上がってね。とりあえず、直してまた太陽に送るにしても、今の状態を
知りたいからってプリベンターの巡洋艦が派遣されたの」
「それで?」
「そしたら、その宙域に着いてプリベンター巡洋艦からおかしな連絡が入って……『ウルカヌ
スが無い。消えてしまっている』って。まったく、驚いたわよ」
「そんなバカな、ウルカヌスは核融合炉が破壊されてますから、動けないはずです!」
 カトルは思わず声を荒げるが、無理もない事情がある。ウルカヌスは、元々とある事件の折
に発見された、OZの秘密工場を備えた衛星であり、その中には……
「誤認の可能性は?」
 今まで黙っていたヒイロ・ユイが、静かに口を開いた。
「私たちもそう思いたかったわ。でも、その報告を寄こしたのがね、プリベンターの技術部門
を総括してくれてる、ハワードなのよ」
「ハワード? あのピースミリオンのか? アロハシャツ来てる」
 発言したデュオを始め、ガンダムチームが何度も世話になっている技術屋ハワード。確かに
彼は、そんな冗談を言うタイプではなかった。
「それで、ハワードは具体的になんて言ってるんだ?」
「…………消えたわ」
「なに!?」
「連絡後すぐ、同じ宙域でプリベンター巡洋艦が、消えた」
 室内に衝撃が走った。
「撃墜されたのか?」
 五飛が、ポツリと、呟くように言う。その無神経な言葉に、デュオは一瞬睨み付けるが、
「違うわ。言葉通り、「消えた」のよ。影も形もなく、何処かにね」
「消えた……」
「だから、もしもの時のことを考えて、みんなにも伝えておこうと思って……」
 ウルカヌス内には、今だ多くの戦力が保持されている。それは、もうこの世に、宇宙であろ
うと地球であろうと、起動させてはいけない。そう言う代物だった。

239:26
07/02/26 01:25:13
「でも、僕たちのガンダムはもう……」
 カトルはチラリとヒイロを見る。
「ゼロ以外なら応急処置だけで動かすことは可能だ」
 ヒイロの乗るウイング・ゼロは、ほぼ大破に近い状態になっていた。他の四機はまだマシ
だが、いずれも今すぐに出撃できる状態ではない。
「どうせなら完全に修理したほうが良いだろう。ウルカヌスに収容されているアレは、この
前のサーペントより強力だ」
 トロワの意見に、デュオはやれやれと首を振る。
「折角最後の戦いにするつもりだったのによぉ……いやなことは続くもんだぜ」
「再びアレを使おうとする奴、そいつは悪だ」
 五飛は、そう断言する。
「サリィさん、僕らはこの通り今すぐにでることは出来ません。その間の事は……」
 カトルは、不安そうにサリィを見るが、サリィは笑って、
「安心して、みんなのガンダムが直るまではプリベンターが何とかするわ。今もその宙域に、
プリベンターの精鋭中の精鋭を派遣したから」
「プリベンター<風>って、やつかい?」
 デュオがからかい気味にいうが、サリィは首を振り、
「いいえ違うわ。プリベンター<ローゼンリッター>………薔薇の騎士よ」


 この世界、A.C.197年以降の戦いの歴史にガンダムを始めとしたモビルスーツの存在は確認
されていない。そして、同様にモビルドールもまた、その存在を遂に確認されることはなかった。
 そう、この世界では…………

              第1話『薔薇の騎士』



 プリベンター高速宇宙船の船内、操縦席には二人の男が座っていた。一人は、プリベンター
<ローゼンリッター>こと、ロッシェ・ナトゥーノ。もう一人は、民間資源コロニーMO-Ⅴ所属の
<技術屋>オデルバーネット。先のMO-ⅤとOZプライズを巡る事件で知り合った二人は、事件解決
後も度々顔を合わせる中であった。
 オデルは事件後、父の代から続くエンジン開発者の道を志し、その道の専門家であるハワードに
師事しており、今回、師が巻き込まれた事件を究明するため、ロッシェに同行をしていた。
「星を見ているのか、ロッシェ?」
「あぁ、星はいい……オデル、お前はそう思わないか?」
 ロッシェは、その中世の騎士のような服装で優雅にシートへ腰掛け、星々の海を眺めていた。
オデルはそんな、ロッシェにため息をつき、
「綺麗だとは思うが、私はお前ほど詩的な人間ではないさ」
「もっと、心に余裕を持て。心配なのはわかるが……」
 ロッシェはどこからともなく取り出した薔薇を一輪、ピッと投げ、
「過度の緊迫感や緊張は、人の判断を鈍らせると言うからな。まったく、お前ら兄弟は本当に対照
的だ。弟のほうは常に物事を前向きに考えているぞ?」
「それがアイツの良いところだ。私には、マネでない……」
「そういえば、最近はどうしてるんだ?」
「色々悩んでいるよ、前はモビルスーツの修理工になるのが夢だとか言ってたんが、この時代その
手の職種はほぼないからな……それこそ、お前たちのような職種でないと」

240:26
07/02/26 01:27:59
「フッ、プリベンターとてモビルスーツ戦力はそんなに保持していない。使えるのはこの前
ゼクスが使ったトールギスと、その女が乗るトーラス、そして……」
 ククッと、ロッシェは笑う。
「我が愛機だけだ」

 それから暫くして、プリベンター高速宇宙船は、問題のウルカヌス消失宙域まで来ていた。
そこは本当に何もなかった。周辺にコロニーはないし、衛星もない。だからこそ、カトルは
ウルカヌスをここに放置したのだが……
「……モビルスーツで出よう。万が一のこともある、このまま近づくのは危険だ」
「大丈夫か?」
「私が人形風情に後れを取るとでも?」
 不敵に笑い、ロッシェは後部モビルスーツ格納庫に向かった。そこには、前述のロッシェの
愛機が格納されている。
 リーオーをベースにカスタム化されたその機体は、頭部は西洋の兜のように角を生やし、肩
からはマントを纏い、特異な形のビームサーベルを腰に下げる、騎士であるロッシェの意向を
忠実に再現された機体となっていた。そして、その名は……
「ロッシェ・ナトゥーノ、レオス、出るぞ!」
 ハッチが開き、レオスはマントをはためかせながら宇宙へと飛び出した。

「付近に熱反応無し……レーダーにも、モニターにも衛星らしきものは発見できず、か。
レディ・アンから調査の依頼をされたときは絵空事を言うと思っていたが……」
『どうだロッシェ? こちらでは何も確認できないが』
「こちらもだ。もう少し中心部に行ってみる」
 ロッシェは、機体を動かし中心部へと進んでゆく。その後をゆっくりと、周囲の警戒をしな
がら付いてくる宇宙船。
「なんというのだったかな、こういうのを」
『なんだ?』
「私が以前、地上のローフフェラ財団本部にある図書室で、東洋の書物を読んでいたときだ。
東洋ではこんな風に突然ものが消えることに対し、面白い表現をしていた」
『ほう?』
「そう確か……神隠し、とか言ったか」
 その時、突然機体のモニターに異常が起きた。それまで映されていた映像が全て消え、けた
たましいノイズ塗れになった。
「なにっ、これは……」
 機体を動かそうと操作するが、一切受け付けなくなっている。
「オデル! オデル! くそっ、通信も出来ないのか!」
 呼びかけても、宇宙船との通信は遮断され、一向に繋がる気配がない。レオスは行動不能状
態になっていた。
「な、に?」
 それだけではない。今までノイズにまみれたモニターが、突如、白い光を映し出し、輝き始
めていた。
「これは……なんだ、なんだというのだ!?」

 そして、ロッシェ・ナトゥーノは、愛機レオスと共に、『この世界』から消えた。




241:26
07/02/26 01:29:54
 C.E73年、10月3日。
 100年単位安定軌道にあるはずだった、ユニウス・セブンが突如地球に向かって動き出
した。これは、現プラント政権に反感を持つ、ザフトの脱走兵によって編成された部隊が、
ナチュラルを殲滅せんとし行った、史上空前の規模のテロ行為だった。
 そして、今、ユニウス・セブンではテロリストとザフト軍による死闘が行われいた。
「我が娘のこの墓標、落として焼かねば世界は変わらぬ!」
 部隊の隊長であるサトーが叫びながら、アスラン・ザラの乗るザクへと斬りかかった。
「娘?」
 アスランは困惑しつつ、シールドで受けきる。
「此処で無惨に散った命の嘆き忘れ、討った者等と何故偽りの世界で笑うか! 貴様等は!」
「何を!」
「軟弱なクラインの後継者どもに騙されて、ザフトは変わってしまった! 何故気付かぬか
ッ!」
「くっ!」
 数の上ではミネルバ及び、ジュール隊がテロリストたちを圧倒していた。しかし、技量の
面では明らかに向こうが上手だった。
「こいつら……戦闘用タイプのコーディネーターかっ」
 現に、テロリストの部隊は数の差を補いながらも善戦している。このままでは、破砕作業
もままならない。
「我等コーディネーターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しきもの!」
 サトーは叫ぶと、一気に機体を上昇させていった。アスランは彼の言葉を聞き、完全に硬
直してしまっている。
 サトーの機体を中心に、テロリストに機体が集まってゆく。
『隊長、我が方の被害が無視出来ないレベルに達しました』
「…………むぅ」
 部下の報告にサトーは眉を顰める。
『このまま、玉砕覚悟で特攻をかければ、何とかなるかも知れませんが……』
「いや、我々の目的を忘れてはならん。特攻などという行為で、軽々しく命を無駄にするな。
今日のところは引くのだ」
 サトーはそう決定を下し、すぐさま撤退をはじめた。
 それを見た、ミネルバ所属のパイロット、シン・アスカは、
「逃げるのか!? くそっ、逃がすものか!」
 逃亡しようとする、テロリストに追撃を試みようと機体を動かし、
『馬鹿者ッ!!!』
「うぁっ!?」
 強烈な一喝に、硬直してしまった。
『貴様の任務は我々の支援のはずだ。今は破砕作業に従事しろっ!』
 その声の主、ジュール隊隊長イザーク・ジュールは、偶然にもアスランとサトーの接触通
信を聴いてしまい、不機嫌になっていた。彼には今だ固まったまま動けないでいるアスランの気持ちが、よく分かった。
『全機、破砕作業を進めろ。今ならまだ十分間に合う』


242:26
07/02/26 01:32:45
「やれやれ……なんとか大丈夫そうだな」
 ミネルバのブリッジにて、撤退してゆくテロリストの一団を見ていたデュランダルは安
堵のため息をついた。
「はい、このまま破砕作業が無事に進めば、地球にはほんの僅かな欠片も落ちることはないでしょう」
 こちらも同じく安心したように、タリアが笑顔を作って言った。
「フフ、このままあれの、欠片一つでも落ちていたら、ブルーコスモス辺りがうるさそう
だからな。強引に開戦と言うことも……おっと、失礼。あまり代表には気持ちのいい話で
はありませんでしたね」
 デュランダルは同じくブリッジにて、事の経過を見守っていたカガリ・ユラ・アスハに、
軽く詫びる。しかし、カガリは首を振り、
「いや、議長の仰るとおり、ブルーコスモスとはそう言う側面を持つ連中だ……何はとも
あれ、あれが地球に落ちることが無くてよかった」
 ミネルバのモニター上に、メテオブレイカーで次々に破砕されるユニウス・セブンが映
し出されている。かつての悲劇の地であり、平和を誓い合ったはずの場所が、砕かれてゆ
く。ミネルバのブリッジは、粛然とした雰囲気になった。
 暫くそれを見つめた後、デュランダルが切り出した。
「代表、私は取り急ぎプラントに戻る必要があります。落下を防ぐことは出来ましたが、
なんの発表もしないわけにはいきませんし、そしてそれは出来るだけ早いほうが良い」
「それはそうだろうな」
「ですが、代表も自国のことがおありでしょうし、すぐにでもお戻りになりたいはずです。
そこで、といってはアレですが、よろしければこのミネルバでオーブに向かっては?」
 デュランダルの突然の申し出に、カガリだけでなく、ブリッジの面々も驚きの声を上げ
るが、察していたタリアはそれを制止、
「私は別に構いません」
 っと、クルーの行動を決定づける一言を発した。
「しかし、それでは議長が?」
「いや、このミネルバにはボルテールという宇宙艇がありますので、私はそれでプラントに
戻れます。しかし、オーブに戻るには大気圏から、地球に降下する必要があります。幸いこ
のミネルバは、大気圏下でも活動できる万能艦です。」
 カガリはデュランダルの破格とも言うべき申し出に考えを働かせる。デュランダルとしては、
今回の事件の当事者であるカガリに、地上で何かと便宜を図って貰いたいという思惑があるの
だろうが、カガリもまた一国の代表として、はいそうですかと行為を受け取るわけにも行かな
い、そこで……
「いや、そこまでして貰うわけにはいかない。ミネルバもまた、事後処理等で必要だろう。
わざわざ地球に降下させることはない」
「では、どうなさるのですか?」
「代わりと言ってはなんだが、破砕作業終了後、この艦を<アメノミシハラ>に向けて欲しい。
オーブ所有の宇宙ステーションだ」
「あぁ、あのロンド・ミナ・サハク氏が管理している……」
「あそこなら降下用シャトルぐらいあるだろう。あまり会いたいとは思わないが、こういう事
態だ、仕方ない」
「わかりました、そのように取りはからいます」
 デュランダルは、タリアにアイコンタクトを送り、タリアもそれを了承した。


243:26
07/02/26 01:37:06
 ボルテールに移乗したデュランダルは、長距離通信を飛ばし、プラントと連絡を取った。
「あぁ、私だ。これからそちらに戻る……あぁ、わかっている。勝手な行動を取って悪か
った。ところで、アーモリーワンの様子はどうだ?」
 アーモリーワンは、先日地球連合軍と思わしき部隊に襲撃された、プラントの軍事工廠
で戦闘によるかなりの被害を受けていた。
「私はすぐには戻れないからな……そうだ彼女を、『ラクス』を向かわせ……ほぅ、もう
行かせた? さすがに行動が早いな。あぁ、彼女が行けば動揺する市民をなだめることが
出来るだろう。私もなるべく早く戻るから、それまでよろしく頼む」
 通信を切り、デュランダルは息をついた。丁度ボルテールが発進する。
「しかし、未だに現プラント政権に不満を持つ輩もいるのか……私は、つくづく人気のな
い政治家だな、まったく」
 苦笑しながらも彼は砕かれ、破片とかしてゆくユニウス・セブンの残骸を、寂しげに見
つめていた。

 そして、その頃プラントでは、一台のシャトルが首都アプリリウスから、アーモリーワ
ンへと向かっていた。
「ねぇ~……なんでわざわざあたしが、そんなところ行かなきゃ行けないの~?」
 乗っているのは、議長のラクスこと、ミーア・キャンベル。
「いや、だからアーモリーワンにいる一般市民の動揺を防ぐために……」
「そんなの議長とかのお仕事でしょ~? なんで、あたしが?」
 声が非常に似ているという理由でラクス・クラインの影武者的存在になった彼女だが、
その性格は年相応で、かつてのラクスが持っていた不思議なカリスマに欠けていた。
「あーぁ、折角ラクス様になったのに歌ったり踊ったりもしないで、被災地訪問だなん
て……意外に地味よね」
「ラクス様は、貴女ですよ。あまりそういった発言はお控え下さい」
「はいはい、わかってるわよ……」
 ミーアは不機嫌そうにシャトルの窓から外を見る。遠くに見える星が、何とも綺麗だった。
(あんな星みたいに、あたしも輝けると思ったからラクス様になったのに……これじゃ
あ、まるでただの)
 その時、シャトルに警報音が鳴り響いた。
「な、なによこれっ!?」
 ミーアのお着きが、シャトルに同乗している兵士に確認を取る。
「そ、それが、突然シャトルの前方にモビルスーツが」
「な、なんだと!」
 冗談ではない話だった。プラント付近にザフト軍以外のモビルスーツがいるとは思え
ないが、昨日の今日である。連合だったとしたら折角用意したラクスの身に危険が……
「ねぇ、どうなってるのよ?」
 ミーアが不安そうに声を上げるが、ふと、窓の外から、そのモビルスーツが目に入った。
ふわふわと、ただ宇宙に浮かぶだけのそのモビルスーツは、軍事知識に乏しいミーアであっ
ても、それがザフトのものでないことを告げていた。そして……
「あっ」
 一瞬だが、ミーアはそのモビルスーツに見とれてしまった。そのモビルスーツは、彼女が
今まで見たどんな機体よりも特異的で、優雅だった。
「……騎士?」

 これが、ミーア・キャンベルと、薔薇の騎士ロッシェ・ナトゥーノの、出会いの瞬間だった。

                                        つづく

244:通常の名無しさんの3倍
07/02/26 01:37:48
同じテロリスト繋がりということで、生まれて初めてこんな物作ってしまった。
反省はしていない。

URLリンク(upload.3deg.net)

keyはメル欄

245:26
07/02/26 01:38:52
まずはこんなところ。タイトルは未定ですが、メインキャラはWサイドから、
ロッシェ・ナトゥーノ。種死サイドから、ミーア・キャンベルとアスラン・ザラに
なる予定。
種死をなぞるようで、全然違う話になる予定です。



246:通常の名無しさんの3倍
07/02/26 01:49:16
待望のG-UNIT物GJ

LOブースターじゃないのか
まあバランス的には丁度いいよな。

………ブルムには期待して良いんですか?

247:通常の名無しさんの3倍
07/02/26 01:59:07
26氏GJ!
予想の斜め上を行く展開ですね。
続きを期待していますよ。

248:通常の名無しさんの3倍
07/02/26 07:24:36
ハイドラまだー?

249:通常の名無しさんの3倍
07/02/26 08:57:40
G-UNITはさっぱり判らん
今入手可能でいい資料ない?

250:通常の名無しさんの3倍
07/02/26 09:37:22
>>26GJ!
っていっても自分もG-UNITわからん。なんか面白そうだから
探してみよう…と思ったらAMAZONで買えるな。

251:通常の名無しさんの3倍
07/02/26 11:16:17
ボルテール(ヴォルテール?)って遺作隊のナスカ級なんだが

252:26
07/02/26 12:48:42
>>251
あれ、ミネルバからプラントに帰るとき、議長が乗った宇宙艇の名前、
それじゃなかったけ?
どこで、勘違いしたんだろ……

253:26
07/02/26 13:00:20
あ、違う、あのシーンはミネルバ艦載機で、イザークの旗艦「ボルテール」に
移乗したっていうシーンだった。自己解決、自己解決。
つーことは、あの宇宙艇に名前はないのか。

254:通常の名無しさんの3倍
07/02/26 13:02:00
26氏GJ

ミーアが活躍しそうなSSだ

255:通常の名無しさんの3倍
07/02/26 19:36:27
やはりG-UNITはマイナーか。
連載当時はわくわくしながら次のボンボンを待ったもんだぜ。
コミックジャパンは永遠に2話が来なかったが…

256:通常の名無しさんの3倍
07/02/26 20:16:06
>>26氏GJ!
G-UNITを初めて知ったのはたしかGジェネFだったなぁ
この後の展開がとても楽しみです

257:26
07/02/26 22:48:26
一応、2話目出来てるけど少し書きためてから公開してこうと思います。
ストック溜まり次第投下するので、よろしくです。

258:通常の名無しさんの3倍
07/02/27 19:44:55
>>227
お前が帰れラクシズ厨

259:通常の名無しさんの3倍
07/02/27 22:45:32
何この自演の嵐

260:通常の名無しさんの3倍
07/02/27 23:07:30
お前らはツンデレ腐女子職人edたんが投下しないからって自演するなよ

261:通常の名無しさんの3倍
07/02/28 01:57:00
雑音はスルーで

262:通常の名無しさんの3倍
07/02/28 12:12:56
こんなんじゃ職人さん投下してくれないよ。

263:通常の名無しさんの3倍
07/02/28 12:17:59
ところでW-SEED氏の作品がWikiにうpされてないので
前の部分が読めないのだが・・・・

264:通常の名無しさんの3倍
07/02/28 12:23:02
すまんが三人目っていう職人を引き取ってくれないか?


265:26
07/02/28 13:22:51
こっそり、真っ昼間に投下してみよう。

266:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/02/28 13:27:02
 議長がミネルバを去った後も、ミネルバとジュール隊による破砕作業は続いた。テロリ
ストが早々引き上げてくれたこともあり、作業は思いのほか上手く進み、地球の引力圏に
はいる前に、完全に破砕することが出来た。
「よし、メテオブレイカーによる破砕作業はこの辺で良いだろう。後は本国から、破片を
回収する工作部隊を回させよう」
 ジュール隊隊長のイザークは、きびきびと指令を出した後、未だ魂が抜けたかのように
制止を続けるアスランのザクへと近づいていった。
「アスラン、おい、アスラン!」
 怒声とも思えるような声で、アスランに呼びかけるイザーク。
『……イザークか』
「そうだ、破砕作業は終了した。何をボケッと突っ立ている!」
『すまない、少し動揺してた』
「今のお前に戦場は無理だ。さっさとミネルバに戻れ」
 アスランは何か反論しようかとも思ったが、イザークの言うことは事実でもあったので、
やめた。確かに今の彼は戦場にはいられなかった。早く、ミネルバに、カガリの元に戻って、
パトリック・ザラの息子アスラン・ザラではない、アレックス・ディノに戻りたかった。

 ミネルバに帰還した『アレックス』に、ミネルバ所属のパイロット、ルナマリアが労いの
言葉をかけた。『アスラン』が戦闘で役に立ったかどうかは別としても、それぐらい礼儀だ
ろうと思ったからだ。しかし、彼はそれを無視して通り過ぎていった。
「なによあれ? 無視しちゃって」
 当然ルナは憤るが、レイがそれをなだめる。
「久々の実戦だったんだ……きっと身体に負担が掛かったに違いない」
「でも、一言ぐらい何か言うもんじゃないの?」
 彼が戦士アスラン・ザラだったなら、確かに答えていただろう。しかし、帰還した彼は、
護衛官アレックス・ディノだった。
「…………」
 シンはアスランの去った方向を、怪訝そうに、黙ってジッと見ていた。

 その後、<アメノミシハラ>に到着したミネルバは、そこでオーブ代表カガリ・ユラ・
アスハと、その護衛官アレックス・ディノを降ろして、プラントへと帰還していった。
カガリは、<アメノミシハラ>を管理する、ロンド・ミナ・サハクにオーブ帰還のための
シャトルを借り受けた。元々、家同士の仲が非常に悪く、さらにロンドが、カガリが尊敬
する亡き父、ウズミ・ナラ・アスハに対する侮蔑的発言をよく行っていたため、二人の面
会は極めて形式的で、感情の籠もらないものだった。
 しかし、それでも、建前は建前、二人は二言三言挨拶程度に会話をし、ロンドは「今回
のテロ行為に対して、オーブ本国は如何様に動くか?」と問うた。
 これに対しカガリは、「オーブが直接の被害に遭っていない、そして、地球上の主立っ
た諸国に被害が出ていないのであれば、私は特に積極的に動く気はない」と完結に答えた。
その答えにロンドが満足したのかはわからないが、ただ一言「そうか」とだけ答え、二人の
面会は終了した。


267:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/02/28 13:30:31
「とは言ったものの、このまま平穏に物事が進むとも思えないよな」
 帰還用の降下シャトルで、カガリはアレックスと話す。
「あぁ、防げたとはいえ、ユニウス・セブンが落ちるところだったんだから……しかも首
謀者は……」
 アレックスは、テロリストの隊長と思われる男の発言を思い出し、眉を顰めた。
「コーディネイターか……大西洋連邦の大統領、ジョゼフ・コープランドはかなりの穏健
派だから、あそこは心配いらないと思うんだけど」
「あぁ、確か『プラントを含めてた地球圏統一国家の樹立』を公約にしていたんだったな」
「実際、良い政治家だとウナトも評価してるさ。まあ、アイツは連邦寄りな一面もあるが、
ただお世辞を言うような奴じゃない」
「しかし、大西洋連邦は大丈夫でも、連合単位で考えると……」
「ん? ……そうだな」
 ブールコスモス。
 アレックスとカガリが互いに考えた組織の存在は、確かに無視できないものだった。
「ブルーコスモスの現盟主、ロード・ジブリールは何かに付けてプラント批判、コーディ
ネイター蔑視をする男だからな……今回も何かというんだろうけど」
「議長は何か言ってたのか?」
 アレックスが戻る前にデュランダルはミネルバを去っており、会うことが出来なかった。
「ユニウス・セブンが落ちてたら、無理矢理開戦に持ち込まれていたかも……なんて、怖
いこと言ってたけど、特に心配はしてない様子だったな。連中だって、完全に防がれたテ
ロ行為を理由にじゃ、押し切れないと思ったんだろ」
「だといいんだがな……」



              第2話「戦士だった男」


 オーブへと帰還したカガリは、すぐに行政府へと向かった。そこには既に、ユウナ・ロマ
・セイランを始めとした現オーブ政権の議員たちが集まっており、カガリの帰りを今か今か
と待ちわびている様子でもあった。
「では、大西洋連邦は遺憾の意を唱えただけなのだな?」
「はい。それとジョゼフ大統領は早急な事件解決を望む、とも。これが会見の際の映像です」
 映像では、ジョゼフ・コープランドによる緊急会見が行われていたが、特別大事にするつ
もりはないようで、あくまで形式的な発言が目立った。しかも、遺憾の意を唱えてはいるが、
それと同じくテロを未然に防いだザフトへの感謝の意も行っており、ジョゼフが穏健派の筆
頭であることを示していた。
「この事も含めた上で、今度、連合内で和平に向けての会議が行われそうですが、これには
中立国である我が国は関係ありません」
 映像を消しながら、ウナトがそう発言した。
「うむ、そうだな。それで、もう一度確認するが各国に被害などは出ていないんだな?」
「それはもう。ユニウス・セブンの欠片一つ、地球には落ちてきませんでしたよ」
 ウナトの子であり、カガリの『婚約者』でもあるユウナ・ロマ・セイランが言う。
「大統領の発言が抑え目なのも、これといった被害が出ていないからですね。まあ、落とそ
うとしたのもコーディネイターであり、防いだのもコーディネイターですから、そこのとこ
ろは難しいのでしょうが……」

268:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/02/28 13:32:40
 プラント内の内輪揉めと言ってしまえばそれで済むのかも知れないが、狙われたのはあ
くまで地球だ。プラントではない。そのことがまた、各国の対応を複雑にさせていた。
「代表、我がオーブとしましてはいかがするおつもりで?」
「あぁ、それは」
 カガリはロンドに言ったのと同じ説明をする。
「……まあ、今のところはそれが妥当でしょう。プラント側も事の経緯を細かく説明して
いますし、後はテロリストを逮捕するだけです」
 現在、プラントは全力を挙げて事件の究明と、テロリストの逮捕に専念しているという。
カガリが不可解だったのは、先のアーモリーワンへの襲撃事件について、プラントが何ら
発表をしないことだった。カガリも居合わせた人間として、あの事件が連合軍によるもの
と思っていたが、何故そのことを追求しないのか?
(事態悪化を防ぐためか? しかし、あの事とユニウスの一件は別問題だ。議長は一体何
を考えている?)
 カガリは悩むが、答えを出すことは出来なかった。
「代表、何か?」
 そんなカガリの様子に、ウナトが声をかけたが、
「いや、なんでもない。それより、オーブの方針を発表する会見についてだが」
「あぁ、その件については既にマスコミ各社に……」

 その頃プラントは、ごく一部のものだけに知らされた、衝撃の事件が起きていた。あの
ラクス・クラインが、未知のモビルスーツと遭遇し、これを救助したというものである。
無論、ラクスとはラクスに扮しているミーアのことだが、それを知る者が彼女をミーアと
呼ぶことはまず無い。
「なるほど、ラクスが……」
「はい、ラクス・クラインが漂流するモビルスーツと中のパイロットを見捨ててゆくなん
てするはずがない、と仰られまして」
「それは正しい判断だ。しかし……」
 デュランダルは渡された報告書を見て、ため息をつく。
「この未知のモビルスーツを救助したとあっては、宣伝にも使えないな」
 それはザフト及びプラントを揺るがせるような衝撃の事実が書かれた報告書だった。
ミーアがザフトに回収させたモビルスーツは、ザフト製・連合製ともにかけ離れたもの
であり、装甲に使われている材質も、動力源とされているものも、現在の科学技術では
到底実現できるものではなかった。
「パイロットが乗っていたというが、今どうしている?」
「今は、ラクス様が看ておられます」
「ラクスが?」
 自分の興味のあること意外には余り動こうとしない少女のことを思い出しつつ、デュ
ランダルは怪訝そうに聞く。
「えぇ、かなり興味がお有りのようで……まだ意識は目覚めておりませんが」
「ふむ……」
「変わった人物でしたよ。ノーマルスーツも着ずに、モビルスーツに乗っているのです
から。まあでも、コーディネイターだと思われますが」
「何か身分が確認できるものでも出てきたのかね?」
 いえ、そう言うわけでは、と部下はいいつつも、
「あれほどのたぐいまれな美貌の持ち主、ナチュラルのはずがありませんよ」
 笑ってそう答えた。

269:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/02/28 13:35:50
 一方でオーブへと帰還したアレックスは、ある男を、アスラン・ザラとして訪ねていた。

『我等コーディネーターにとって、パトリック・ザラの執った道こそが唯一正しきもの!』

 アスランは、ユニウス・セブンの一件で出会ったテロリストの発言に頭を悩ませていた。
パトリック・ザラ、それは彼の父親であり、かつてのプラント最高評議会議長であり、ザ
フトの総司令官だった偉大なる男。そして、憎しみの余り復讐鬼と化し、多くの同胞を巻
き込み死んでいった、愚かな男。
「未だにあの人の言葉を信じ、戦い続ける兵士がいる……それなのに俺は」

『貴様ぁっ! そんなところで何をやっている!』

 破砕作業の最中、イザークにいわれた言葉。そう、俺はこんなところで、祖国でもない
国で何をやっているのか?
「父上が正しかったとは今でも思えない、でも俺は父上を……」
 本当に、理解してやることが出来たのだろうか? 彼は彼なりに、プラントを愛し、家
族を愛し、妻を愛していた。俺がモビルスーツに乗って戦ったように、だ。
 やがてアスランは、海辺の屋敷へと車を走らせていた。
 会うのは何ヶ月振りになるだろうか? そんなに経っていないと思われたが、アスラン
には今回の訪問が、かなり久しぶりのように感じ、彼と会うのもまた、酷く懐かしく感じた。
「ラクス、彼はいるかい?」
 訪れたマルキオ邸。そこにはプラントのかつての歌姫、本物のラクス・クラインと、最
強の戦士と呼ばれた男が暮らしていた。
 ラクスはアスランの突然の訪問に、驚き、また喜びもしたが、『彼』に会いに来たとい
う事実を知ると顔を曇らせ、
「テラスの安楽椅子に……ここのところは毎日そこにいますわ」
「……そうか」
 彼女の口調から、彼とラクスの仲があまり上手くいっていないと感じたアスランだったが、
そのようなこと今は関係なかった。

「よぅ、キラ」
 キラ・ヤマト。かつて最強の戦士と呼ばれた前大戦の英雄。地球連合、オーブ、三隻同盟と
激闘の中を死ぬもの狂いで生き続けた彼は今、オーブにいる。
「…………アスラン」
 大戦後の彼は、一言で言えば『抜け殻』だった。何か大切なものを失ったかのように無気力
になり、さっさとオーブに隠遁してしまった。
(いや、実際にコイツは大切なものを失っている)
 アスランは、安楽椅子に腰掛けるキラの手が、ギュッと握られているのを見て、そう思った。
今の彼にかつての戦士の面影はどこにもない。彼は戦後、ザフトにフリーダムの返還を求めら
れたときも、猛反対するラクスを無視し、二つ返事で了承してしまった。
 彼は、極端に武器や兵器を嫌うようになった。
「久しぶり、かな。ゴメン、最後に会ったのがいつだか、憶えてないんだ」
 意外に明晰なその声は、しかしどこか頼りなく、覇気に欠けた。
「俺もだよ……なんだか、随分久しぶりで、懐かしい気もする」
 アスランはそう言うと、テラスにある椅子を持ってきて、キラの前に腰掛けた。

270:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/02/28 13:38:52
「珍しいよね。今日は、どんな用?」
「ニュースで見てないか? ほら、例のユニウス・セブンの……」
「あぁ、あの事件」
 キラの声は、それがどこか遠い世界の、他人事のように感じさせた。実際キラにとって
は他人事なのだが、アスランは違った。
「実は俺、あの現場にいたんだ」
「君が?」
「破砕作業を手伝うためにね。近くの艦に、カガリもいた」
「モビルスーツに、乗ったの?」
 キラの声は、少しだけ、アスランでないとわからない『怯え』が含まれていた。
「……乗ったよ。それで、テロリストとも戦った」
 アスランは事の始まりから終わりまでを、キラに話した。キラは黙って聞き、相づちも
何も入れず、目を瞑っていた。
「ショックだったよ。父のこととか、血のバレンタインのこととか、未だに引きずってる
奴らが居るってことにさ」
「…………」
「復讐心なんて、俺は前の戦争と一緒に捨てた。でも、捨てきれない奴はまだいるんだ。
そう思ったら俺、悩んでな」
 そしてその復讐者たちの行動理念は、自分の父の言葉なのだ。他人事ではない。
「俺は今、こうしてオーブにいる。カガリの護衛官なんて役職を貰ってはいるが、それ
だって俺が何か努力して手に入れた訳じゃない。ただ、周りに流されただけだ」
 カガリには勿論感謝している。極秘裁判とはいえ、ザフトを追放された自分を拾って
くれたのはカガリだ。恩義も感じているし、好意も持っている。しかし、彼女とどうこ
うというのはあり得ない。彼女はオーブの代表であり、自分はただの護衛官。
 現に彼女は、来月にはユウナ・ロマ・セイランと正式に結婚するのだ。
 ユウナ自身は「カガリの気持ちが他を向いているうちは、結婚なんてあり得ない。僕が
彼女を振り向かせてから、始めてその資格が生まれるんだ」と言ってはいるが、婚約も結
婚も昔から決まっていたこと、ただ時期が延びるだけだろう。
「アスラン、僕はね……」
 一通り話し終え、物思い耽っていたアスランに、キラが呟くように口を開いた。
「僕は前の戦争で、周りに流されるままに戦い続け、その結果大切なものを失い続けた」
 一人は親友、もう一人は……握る手に力が入る。
「僕の戦いの動機は、復讐心じゃなかった。こんな言い方をするのは悪いけど、僕は血の
バレンタインでも、ヘリオポリスが崩壊したときも、戦い始める前に失ったものは何もな
いんだ」
 テロリストの男は娘を失い、アスランは母を失ってモビルスーツに乗った。
「だから僕は復讐心で戦う人間のことを、理解できない。いや、理解しようがないのかな、
僕にはそういった部分の感情が死んでしまったから」
 キラは、前大戦で最大の強敵とも言える男と一騎打ちをし、これに勝っていた。だが後に
知ったことだが、そのアスランの元上司でもあった男は、キラの一番大切なものを、奪っていた。


271:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/02/28 13:42:06
「あの時、僕の中で何かが死んだ。彼に勝って、僕の最初で最後の復讐は終わったんだ」
「キラ……」
「君の悩んでることは、今の僕でも何となくわかる。でも、アスラン、僕は復讐者たちに
何か言える立場じゃないし、言うつもりもない。だけど……」
 一瞬だが、キラの目に、精気が籠もったような気がした。
「僕は戦いは否定するよ。人はもう戦っちゃいけない。もう兵器なんて捨てて、モビルス
ーツになんか乗るべきじゃないんだ」
「…………」
「人は血を流しすぎたよ……流しすぎたんだよ」
 いつの間にか開かれたキラの手の平には、女物の口紅があった……

 キラに別れを告げた後、アスランはもう一度ラクスに会った。アスランにとっては元婚
約者でもあるこの少女は、今もっとも複雑な立ち位置にいた。というのも、戦後の彼女は
全てを捨ててキラの元へ行った。キラを愛していたのだろう、少々無責任だとも思ったが、
彼女もキラと同じく、戦いに嫌気が差していたのだ。
 しかし、ここで一つの誤算が生じた。なんとキラ・ヤマトは別に、ラクス・クラインの
ことを愛してはいなかったのである。これにはアスランも驚いた。前大戦の時、何度かラ
クスと親密そうにしているキラを見ていたから、てっきりそうなのかと思ったのだが、キ
ラの心はずっと別の『少女』に向いていた。
 そして、その愛すべき少女はもう、この世にはいない……それでもキラは想い続け、贖
罪をし続けているという。守れなかった、大切な人に。
 だから今のラクスは、自分に振り向くことのない少年に甲斐甲斐しく世話を焼く、ある
意味哀れな少女だった。いつかは振り向いてくれると信じ、彼の悲しみを和らげることが
出来ると信じて……全てを捨ててきたというのに、結果が叶わぬ片思いとは、恋愛に疎い
アスランでも酷い話だと思ったが、キラに罪があるわけでもないし、非常に複雑だった。
「もうお帰りになるのですか?」
「あぁ、もう用は済んだよ」
「そうですか……」
 そんなこともあってか、アスランとラクスもまた、会話が少ない。ラクスにしてみれば、
アスランは一方的に振った男でもあるため、会話をする後ろめたさも少しあった。
 だが、しかし……


272:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/02/28 13:44:17
「アスラン、何か悩んでいらっしゃるのですね」
「えっ?」
「貴方の顔を見れば、それぐらいわかります。そしてそれはキラに話した後も、解消されて
はいない」
 アスランは、相変わらず高い洞察力を持つラクスに驚いていた。彼女はこの隠遁生活の間
も、自分を見失ってはいないようだ。
「プラントも、地球も、そしてオーブも、また何か大きな事が起こりそうでね」
 アスランは内心、自分があのテロリストたちに逮捕されて欲しくないと思っていることに、
気付いた。
「……もし、仮に、の話ですが」
 ラクスの声に、アスランは少しばかり怪訝な顔になった。今のラクスの声には、どこか、
『期待』するような響きがあったからだ。
「仮に大きな戦いがまた起こるのだとして、私はまた表舞台に立つべきなのでしょうか?」
「それは…………」
 君は表舞台に戻りたいのか? と、アスランは聞くことが出来なかった。
「そうだな、その時は……」
 だから彼は、
「その役目を今度負うのは、」
 新たな決意を持って、
「俺なのかも知れない」
                                   つづく

273:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/02/28 13:45:55
どうも、26です。スットクが溜まってきたので投下。

第2話どうだったでしょうか?
うちのキラとラクスは、こんな感じの奴ら。
悩んでたタイトルなんですが、『運命の歌姫』と言うのしました。
この作品の歌姫が誰かは、まあ読んでのお楽しみ。
今回はロッシェ出てきませんでしたが、次回また出てきます。
尚、ブルム・ブロックスについてはなんとかしようとは思ってますが、
何分死人のため、どう登場させるか、悩んでます。

274:通常の名無しさんの3倍
07/02/28 14:16:48
素晴らしいです。
キラのフレイへの想いが、そしてラクスの切ない想いがとても哀しいですね。
どうなるのか分からないですけど、続きが非常に楽しみです。

275:通常の名無しさんの3倍
07/02/28 21:30:08
これはこれで楽しみだね、wktkして待ってます

276:通常の名無しさんの3倍
07/02/28 21:38:09
GJです!
どのキャラもしゃんとしてて良いよ。
G-UNITキャラは知らないけど、W系らしい人物とMSみたいで
種キャラ達とどう絡むのか素直に楽しみにしてる。
議長とミーアもどう動くのか読めなくてwktkだ。

277:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 01:32:03
キラが切ないねえ…しかし抜殻であるがゆえに逆にある意味自我を保って
いられてるっぽいと言えなくもないのが皮肉というか。
しかしフリーダム返却に猛反対とか、表舞台への再起に意欲アリとか
本物ラクスの方は…いやこれも例えばキラが振り向いてくれない悲しみで
歪んだもの、とかいう事であればまだ理解できる範囲の話となるかな…?

278:W-SEED
07/03/01 04:10:53

「艦長!おやすみの所すみません!至急ブリッジに来て下さい!」
アークエンジェル、マリューの部屋に通信が入った。どうやらマリューは休憩で寝てたようだ
「…ん、どうしたの?」
寝惚け眼で答えるマリュー。素っぴんだ

「…うわ」
チャンドラはビックリした。素っぴんのマリューは思いの外酷いらしく「…うわ」と言っちゃうほどだ

「…?どうしたの?報告はしっかりとね」

「…あ!すみません!ブリッジで喧嘩が起きてるんです!キラとサイが…」

「…私じゃなく、ナタルにお願いできない?」
マリューはすっごい嫌そうな顔をして言った。キラが苦手なのだ

「…バジルール少尉はすでに止めに入ったんですが…、とりあえず来て下さい!」
チャンドラはマリューの言葉を待たずに通信を切った
「…あー、まぢ行きたくねー」
マリューはバッチリ化粧してからブリッジに向かって行った。
ブリッジに向かう途中に腕を押さえながら医務室に向かうナタルに会った。
ナタルは
「…艦長、腕にお気をつけ下さい」
と言い医務室に向かって行った。

マリューがブリッジに入った瞬間、凄惨な光景が目に入ってきた
キラがサイの腕を捻あげているのだ!
止めに入る者はことごとく腕を捻あげられて行く!そしてまたサイの腕を捻あげるのだ

「ちょっ、一体何があったのよ!?キラ君やめなさい!」

マリューはあとちょっとでサイの腕が折れると直感的に察知した。…そう、諸君が思ったようにニュータイプなのかもしれない。

279:W-SEED
07/03/01 04:21:45

「黙れ脳なし」

場を一瞬で凍らせる一言。マリューの心はズタズタだ
だが、引き下がる訳には行かない。なんてったってサイの腕が折れそうなのだ。

「ホワッ!ホワッ!マジやばい!マジやばい!ギブギブ!!」

サイはもうマジやばいのだ。意を決したマリューは無理矢理キラの腕をサイから離そうとした
…が、案の定マリューの腕が捻あげられてしまった
「ちょっイタタタタ!」
「お前の腕は…遠慮なく折る!」
キラが叫ぶ、マリューは恐怖する
あ、折られる。マリューが直感的に思った時警報がなった。
「レーダーに反応です!…これは!先刻のザフト艦です!」

「助かった…じゃなくて、振りきれそう!?」
「無理です!前方と後方を挟まれてます!」
「くっ!!…キラ君とデュオ君、フラガ大尉は各機体で待機!
各員戦闘準備よ!」

マリューが腕を抑えながら叫ぶ

「この前の艦ってことは…アスラン、追ってくるなんてバカじゃないの?」

キラはMSデッキへと歩いて行った。
サイは泣きながら医務室に向かって行った。
「…ところで、さっきのキラ君どうしてあんなに怒ってたの?」

「あぁ、何かサイがキラのベッドに悪戯でエロ本置いてたらしく、それを見たデュオがキラの事バカにしたんですよ。それでキラが怒って…」

「…サイ君、バカね」



…to be contineud

280:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 05:13:43
このスレ活気出てきたな
職人さん達GJ!

281:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 15:24:21
GJ!相変わらずキラブチ切れてるなw
つまんねーことでケンカするなw

282:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 16:01:52
ちょっww面白すぎるw次回はディアッか達が出てくるのかww
職人さんGJ!

283:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 16:37:46
>>「黙れ脳なし」
 テラワロタ。GJ!

284:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 16:51:06
馬鹿にしたデュオはイの一番に逃げたんだろうな・・・

285:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 17:09:05
向かって来ても普通に倒せるだろ

286:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 17:50:20
このキラならわからんとか思っちゃう俺。

287:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 22:34:50
腕捻あげられるデュオしか想像できねえww

288:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 23:17:28
あの5人の中で運の悪さならピカ一だからな、2番君は
ほかの4人は捻られなくても、2番だけはなんか油断した隙に捻られそう

289:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 23:37:10
>>「黙れ脳なし」
一瞬、ヘイトスレに紛れ込んだのかと思った。キラ様降臨かと・・・

290:通常の名無しさんの3倍
07/03/01 23:43:06
>>287
はいはいラクシズ厨は出てってね

291:通常の名無しさんの3倍
07/03/02 00:04:27
こいつぁケンコウのキラ以上だなw
ガンガレ凸超ガンガレ

こんな危険人物と一緒にいなきゃならないのを不運とみるべきか
敵に回らずにすんで珍しくラッキーとみるべきか……ww>2番

292:通常の名無しさんの3倍
07/03/02 01:31:40
>>288
デュオのやられっぷりは異常だよなww
それだけにヴァイエイト・メリクリウス戦は燃えたが。

293:通常の名無しさんの3倍
07/03/02 02:34:58
明らかにネタで言ってんだろ。ラクシズ廚に敏感になるなよ
スレが荒れる

294:通常の名無しさんの3倍
07/03/02 03:28:09
とりあえずワロタww

295:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/02 16:01:44
投下します。

296:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/02 16:05:22
「本気ですか? 大統領?」
 ブルーコスモス盟主ロード・ジブリールは、スクリーン越しに映る男、大西洋連邦大統
領ジョゼフ・コープランドと対峙していた。
「いや、正気と言い直すべきですかね、プラントとの相互理解のための和平会議? この
私に向かってそんなものに出席なされと、貴方はそういうのですか?」
 苦々しげに毒づくジブリールに、ジョゼフはやれやれと首を振る。
「ジブリール、議場での君の扱いは軍事関係者と言うことになる。君は連合軍のあの部隊の
トップとして……」
「勝手に話を進めて貰っては困る。私はまだ出席するとはいっていない!」
「いや、出席して貰う。君も連合に身を置く物ならば拒否はさせん」
 ジョゼフは、反戦派の筆頭、穏健派の鑑と言われる稀代の政治家で、大西洋連邦大統領と、
連合軍最高顧問を兼任する謂わば地球圏の実質的リーダーだった。
 彼は、その役職に就任した当初、世界各国で毎年消費されている『軍事費』を計算し、
その国一つ買えるかも知れないという『莫大な無駄遣い』を大々的に公表した。
 これは、彼なりの作戦の一環で、実質的な数字を見せることによって反戦や和平にイ
マイチピンと来ないであろう一般民衆の関心を買うことに成功していた。反戦や和平な
ど政治家が決めることと思っている民衆も、自分たちの支払っている税金が、軍事費削
減によって幾分か『マシ』になるかも知れないと聞けば、少しは耳を貸すようになる。
「私はこのまま、全世界で軍備の縮小が進められ、最終的に一般的な治安維持以外の兵
力が無くなることを期待している」
「フン、世迷い言を……そんなことが出来ると思っているんですか?」
「私の夢は、公約通りだ。その為にもこれからは軍事力などではなく、対話によって完
全な平和の道へと進まねばならん」
「コーディネイターどもと? 危険な発想ですな」
「君よりはマシだ……ジブリール、私は他人の主義主張にとやかく言いたいとは思わな
いが、君や君の仲間たちは少々異常だよ。君が今回私の元に送りつけてきた『意見書』
と、やらもだ」
 ジョゼフがなるべく会いたくもないようなこの男と、多忙な時間を割いて会話をして
いるのには事情があった。というのも、先のユニウス・セブンのテロ未遂事件について、
ブルーコスモス及び軍事複合大体ロゴスから意見書とは名ばかりの、命令書が届いたの
だ。その内容というのがまた驚きで、現プラント政権及びザフトの解体、地球側に被害
も出ていないのに莫大な額の補償金を要求、ジョゼフなどは項目の二つめを読む頃には
頭を抱えてしまった。こいつらに常識はあるのか? と。
「ジブリール、君は何か勘違いをしている。我々連合は、他国であるプラントの政権に
対して、何ら介入する権限など有りはしないのだ。内政干渉など、考えただけでも馬鹿
馬鹿しい」
「奴らが満足にコーディネイターどもを統率できないから、今回のような事件が起こっ
たのですぞ? これは謂わば、自衛のためですよ」
「拒否すれば戦争をすればいい、とでも言い出すんだろうな、君ならば」
「ブルーコスモスも、そしてロゴスも、全面的にバックアップいたしますぞ? その為
に奴らのような存在もいるのだ」
 ブルコースモス、そしてそのバックにいるロゴスの声をジョゼフが無視できないでい
るのは、彼が『戦争景気』によって誕生した軍需産業複合体だからである。
 一言で言ってしまえば『一番税金を払っている連中』であり、全てのメンバーが世界
経済の中枢にいる。会社で言えば大株主のような存在だ。


297:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/02 16:08:03
「残念だが私にそんな気は毛頭無い。君らのように何でも武力で解決しようという考え方
の連中がいるから、戦争がなくならんのだ」
「…………」
「あの、故ムルタ・アズラエル氏も、最初は交渉から入ったものだぞ?」
 その名をジョゼフが口にした途端、ジブリールに異変が起きた。ワナワナと震え、歯ぎ
しりをする。
「死人の名など出さないで貰いたい!」
「その様子だと未だにブルーコスモスは迷走中のようだな。君ではアズラエル氏のように
自身の持つカリスマ性で信者を統率する、と言うことが出来ないらしい」
「私があの男に劣っているとでも言うのか!」
「極端なナチュラル原理主義者、コーディネイター根絶原理主義者である君よりは、幾分
かマシな男ではあったよ」
 事実、大統領になる以前、上院議員時代のジョゼフは、アズラエルにあまり悪い印象は
持っていなかった。彼は常に理知的で、打算で行動をしない、彼が自身の会社を放棄して
政治家にでもなっていれば、今頃大統領は彼だったかも知れない。
「ジブリール、私は今度の和平会議の議題として、ブルーコスモスとロゴス、そしてその
お抱え部隊である彼らの問題について話すつもりだ」
「なんですと!?」
「君は自信があるようだが、世界は常に変化し、進歩している。君ご自慢の部隊も、早々
に解散ということになるだろう」
「たいした自信ですな。大統領……」
「当たり前だ、私は大西洋連邦大統領ジョゼフ・コープランドだからな」
 そして、時代を平和へと導く使命を持った男は、ジブリールとの通信を終えた。ジブリ
ールは、苛立ち紛れに酒の入ったグラスを床に叩き付けようかと思ったが、床に寝ころぶ
猫を見て、その手を止めた。そして暫く精神集中をした後、もう一度通信機のスイッチを
入れた。
「私だ、ファントムペインのネオ・ロアノーク大佐を呼べ」



            第3話「ファントムペイン」


 プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルは、元々は遺伝子工学の研究を専門
とする学者から政治観に転向した男で、人並み以上に節度と常識を持っていると自他共に
いわれる男だった。プラント、と言うよりもコーディネイターが抱える遺伝子的な問題は
深刻で、最高評議会議長自らがその問題に率先して挑むという姿は、プラント市民にとっ
ては決して悪い物ではなかった。研究者としての実績もある。
 しかし、そんなコーディネイターのことを人一倍知り尽くしている男でも、受け入れが
たい現実というものは存在するらしい。
 それは人間誰しもが持つ固有の感情『嫉妬心』というものである。

298:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/02 16:10:10
 人間自分より優れた存在、容姿にしろ頭脳にしろ、それを持ち得る存在に、自身の持つ
些細な優越感を崩され、劣等感を抱く。それは対抗心や、嫉妬心、果ては憎悪にまで変貌
するというが、デュランダルがこの時受けたのは、圧倒的なまでの敗北感による嫉妬だった。
「では、ロッシェ……君は本当に異世界から来たというのだね?」
 軍病院の一室、高級士官用の応接室にてギルバート・デュランダルは、先日議長のラク
スことミーア・キャンベルが救助した、謎のモビルスーツのパイロットと面会していた。
「あぁ、そうらしいな。俄には信じがたい話だが」
 優雅な口調で、紅茶のカップを口元に運ぶその姿は、気品に満ちていた。中世の貴族の
ような立ち振る舞いに、デュランダルは始終圧倒されていた。
「それはこちらの台詞だよ……しかし、あんなものを見せられれば、納得するしかないな」
「あんなもの、とは?」
「君のモビルスーツだよ。この世界の技術力ではとてもじゃないが作れる物じゃない」
 しかし、デュランダルを一番『驚愕』させたのはそんな事実ではなかった。彼にとっては
未知の技術に驚き、唖然とさせられている技術者たちよりも、目の前の『ナチュラル』であ
るロッシェに受けた衝撃のほうがずっと大きかった。
「おかしいなものだな、宇宙があり、地球があり、人もいるというのに歩んできた道はまる
で違うという……平行世界とはまた違うらしい」
 愉快そうに笑うロッシェには、今の境遇に対しての驚きや、動揺がほとんど見られなかっ
た。全く大した精神力だとデュランダルは思う。
(そしてこの容姿……こんな『人間』が異世界にはいるのか)
 氷のような美貌と、薔薇のような気高さを持つ男……黄金色の髪、端麗な鼻梁と唇、そし
て耳によく通る声が、彼を一種の芸術作品のようにも思わせた。
「危険だな……」
 ポソリと、デュランダルは呟いた。別に彼はコーディネイター原理主義者ではない。しか
し彼は、コーディネイターがナチュラルよりも優れているということを学術的観点で知って
いたし、またその事実は彼が密かに進めている『ある計画』にとって必要不可欠だった。
 だが目の前にいる青年はどうだろうか? 何ら遺伝詩的操作をしていないナチュラルであ
りながら、その容姿は完成されきっている。そして恐らくモビルスーツパイロットとしての
腕も……
「それで? 君はこれからどうするつもりなんだ?」
 デュランダルは自身の考えに溜息をつきながら、ロッシェに尋ねた。
「それを決める権利が私にあるのかな?」
 不敵な笑みで返してくるロッシェ。
「……私個人としては君の存在は余り歓迎できるものではないな。正直、天地がひっくり返
るどころの騒ぎではないよ」
「なら拘禁でもするか? それとも……」
 デュランダルもその先はわかっている。もっとも単純で、確実な方法がある。しかし、安
易にその方法をとることが、彼には正しくないようにも思えた。
 と、その時。

299:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/02 16:11:41
「ロッシェ! ロッシェはここにいるの?」
 応接室の扉が勢いよく開き、ミーア・キャンベルが飛び込んできた。
「これは、これは……ミーア嬢ではありませんか」
 ロッシェはソファに腰掛けたまま、うやうやしく頭を下げる。
「ラクス、君がどうして……そして何故ロッシェが君の、その」
 デュランダルは突然のミーアの来訪と、ロッシェが彼女の元々の名前を知っている事実
に困惑した。が、当のミーアはけろりとして、
「だって、ラクス様のことを知らない異世界の男性に、ラクス様を名乗ったところで無意
味でしょ? 知らないんだから」
「それはまあ、そうだが……」
 確かにこの世界におけるラクス・クラインの影響力など、異世界の住人であるロッシェ
には皆無である。しかし、だからといってあっさり正体をばらすのもどうかとデュランダ
ルには思われた。
「それより、今日はお早いですね」
「仕事が早く終わったの。それであなたの病室に寄ったら、応接室で議長に会ってるって
言うんだもの」
 笑いあう二人の雰囲気に違和感を感じながら、デュランダルはロッシェの言葉からある
ことに気付いた。
「今日は? ラクス、君は毎日この病院に来てるのか?」
「そうですけど?」
 これまたけろりとした表情でいうミーア。ミーアは、ロッシェを助けたあの日以来、異
世界からの訪問者である彼に、色々な意味で興味津々だった。
「ラクス様としての活動はちゃんとやってますし、問題はないでしょ?」
「むぅ……それはそうだが」
 ラクスとしての活動と、その秘密さえ守ればプライベートにはなるべく干渉しない、と
いうのがデュランダルとミーアが交わした契約だった。
「それより、お話しはもう終わったの?」
 ミーアはロッシェに向き直る。
「さぁ? 私は議長の質問に答えているだけですから。あぁ、そういえばこれからの身の
振り方をどうするか、でしたか?」
 ロッシェは微笑を浮かべ、デュランダルを見る。その美しい笑みに、デュランダルは目
を逸らしたい衝動に駆られる。
「お互い知るべき事は山ほどある。とりえず、ロッシェ、君の言うことを信じるためにも
君がここの世界に来てしまった経緯等を、詳しく教えて貰いたいね」
「いいでしょう。時間はタップリある」

300:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/02 16:13:10
 その頃、ユニウス・セブンでの破砕作業を終えて帰還したミネルバとジュール隊にそれ
ぞれ国防委員会からの次の指令が待っていた。ミネルバに対しては、当初の予定通り月軌
道への配備。進水式に関しては、予算の都合上改めてやるつもりはないようだった。
 そしてジュール隊への指令は先の事件を起こしたテロリストの捜索という物だった。
「捜索、でありますか?」
 その言い慣れぬ単語を、イザークは少々不快そうに口にする。
「君たちはあのテロリストどもと遭遇し、戦闘も行っている部隊だ。捜索任務というのは
確かに地味な仕事ではあるが、君も軍人である以上は拒否権はない」
 国防委員長は、端的に事実だけを述べる。
「しかし、この発見次第抹殺も許可するというのは……」
「行動は迅速かつ的確に。生死問わず、テロリストどもを始末できれば今回の一件は終わ
る。上はそう判断したのさ」
 イザークとて僅かな期間ではあるものの政治の世界にいたことがある人間だ。テロ行為
に対して国というのは、どんな方法でも早期解決を目指さなければ行けないと言うことぐ
らい知っている。しかし、イザークはなるたけテロリストは逮捕し、大々的に裁判にでも
かけたほうが良いのではないかとも思う。内々に処理しては帰って疑惑を生む。
(それとも、生きていられると困る事情でもあるのか?)
 イザークはこの可能性が決して低くはないと思った。いくらザフトの脱走兵とはいえ、
独自にカスタマイズされたモビルスーツを持ち、安価とはいえ大型フレアモーターを持ち
出してテロ行為走るなど、彼らだけで出来るとは思えない。故にバックに政治家や企業が
付いていたとしても、不思議ではない。
(だから裁判を恐れる。ボロを出させないために、か)
 しかし、イザークはそれ以上何も言うつもりはなかった。軍人に戻った以上、彼には政
治に対して発言をする権利などないのだ。
「ジュール隊、任務了解。直ちに出動します」


301:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/02 16:14:56
 ロッシェは自分の事情を説明するに当たって、なるべくウルカヌスの件について触れな
いように心がけた。デュランダルがどう言った種類の人間であるか、まだ明確に見定めら
れない以上、あの存在を軽はずみに話すのは憚られた。
(この世界の技術力がどの程度かは知らんが、カスタムタイプのレオスに驚愕しているよ
うでは、アレの中身はもっと危険だ)
 例えデュランダルが善人であったとしても、欲や野心というのは人を変えてしまう。
そして、ロッシェはそれを身内からの裏切り行為という形で、よく知っていた。
「つまりこの世界に、君の他にも異世界から来たであろう人間がいると?」
 デュランダルはロッシェの話に愕然としていた。ロッシェのような人間がこの世界に複
数人来ているという事実は、彼にとっては無視できない事実だったのである。
「少なくとも私と行動を共にしていた男は来ている可能性が高い。そして私とそいつが行
方を追っていた男もまた……」
「その人も、ロッシェみたいな感じの人なの?」
 当然のようにその場に残っていたミーアが、そうロッシェに尋ねる。
「みたいな感じ、というと?」
「ロッシェみたいに、なんていうのか……そう、貴族的って言うか」
「貴族的も何も、私は貴族ですよ、ミーア嬢」
「えっ! そうなの?」
 デュランダルは頭を抱えたくなった。何が貴族だ馬鹿馬鹿しい。
が、そう思いつつも既に自分は、目の前の青年が異世界の皇帝陛下だと言われても納得し
てしまいそうなほど圧倒されまくっていた。
「まあ、財団が崩壊して以来飾りのような物ですが、爵位も持ってましたよ」
「じゃあ、その一緒にいたお友達も?」
 友達、自分にとってオデルは友達なのだろうか? ミーアの言葉に、そんなことを考え
たロッシェだったが、フッと笑うと、
「アイツは民間の技術屋です。今頃でどこで何をしているのか……」
 しかし、ロッシェはそんなに心配はしていなかった。時としてオデルの行動力は自分な
どの予想以上のものだからだ。……仮面にマントを羽織っていたときは、密かにそのセン
スを疑ったが。
「議長、行動の自由をいただけるのであれば、私は仲間を捜したい」
「むぅ……それは、しかし……」
 ロッシェの頼みに、デュランダルは眉を顰める。害意のある人間ではない、そんなこと
はこの会話の中から容易にわかることだ。しかし、行動の自由を与えるにしても、ある程
度の監視下に置いておく必要はある。こんな企画外れの容姿を持つナチュラルを、野放し
にしておくのは余りにも危険だ。
「こちらの条件を呑むのならば、ある程度自由は保障しよう」
「ほぅ……その条件とは?」
 ロッシェの瞳が探るように、ミーアの瞳が覗くように、デュランダルを見る。
「それは……」


302:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/02 16:16:39
 ネオ・ロアノークは常に仮面を被っている男だ。人が仮面を被る理由は、顔を隠すため
であり、顔を隠す理由は様々だ。傷や火傷、跡の残る外的損傷を人に見せないため、醜い
容姿を隠すため、そして、他人に顔を知られてはいけないため。しかし、この時ネオの仮
面はいつもとは違った効果を発揮していた。もっともそれは、嫌いな上司からの嫌な命令
に対して、表情を隠す、というものだったが。
「お話の内容は分かりました……しかし、この作戦、本気で行うのですか?」
 ネオは、ジブリールから渡された、ある作戦の計画書に一通りの目を通すと、率直な感
想を漏らした。作戦自体は見事な物だと思う。とてもこの盟主が一人で考えたのだとは思
えないが、確かにこれならば成功率は高い。しかし……
「この作戦、成功した場合、また戦争が起こるのでは?」
「それがどうした? 我々は戦争をしたいのだ。コーディネイターどもと和平などとあり
得ん妄想を抱き続ける偽善者どもを排除し、宇宙にある砂時計を全て消滅させるためにな」
 それはある意味、ユニウス・セブンのテロリストと同じ発想と意見なのだが、ジブリール
はそんなことを知る由もない。
「なるほど、如何にもブルーコスモスとロゴスの考えそうなことです」
 タップリと皮肉を込めていってやったつもりだが、ジブリールは堪えた様子もなく不敵に
笑っている。ネオに元より拒否権がないことを知っているのだ。
「ファントムペインを総動員するとして、間に合うか?」
 ジブリールの問いに、ネオは嫌々ながらも計画書を捲り、
「ギリギリ、といったところですかね。まあ、宇宙はダイダロスにいるイアンに任せるとし
て……」
「地上の実働兵力は貴様とホアキンに任せる。必要な資材があればなんでもいえ」
「必要なのは資材ではなく人材ですよ、盟主」
 ネオは、苦々しげにそう言うと、すぐに細部の調整にはいるためジブリールとの協議を始
めた。所詮自分はこんな風にしか生きられないのだ。拾われた死に損ないは、拾ってくれた
飼い主に忠誠を尽くす。例えそいつがどんなに嫌な奴であっても、だ。


303:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/02 16:18:25
 翌日、ジブリールは改めて大西洋連邦ジョゼフ・コープランドと通信による会話を交わ
し、和平会議へ正式に出席することを述べた。ジョゼフはこの心変わりを不審に思ったが、
自分から呼んでおいて怪しいから来るな、ともいえず、とりあえず形式的な感謝をし、通
信を終わらせた。
 通信後、ジブリールは笑いを堪えるのに必死だったという。彼はこの先起こるであろう
出来事と、始まる新たな時代に対して驚喜の笑い声を上げたくて、堪らなかった。
「いよいよだ。いよいよ、我らファントムペインが歴史の表舞台に立つときが来た」
 そして、憎らしきコーディネイターを、ザフトを、プラントを、今度こそ完全消滅させ
ることが出来る。
「アズラエル、私は貴様のような甘さは持たんぞ。貴様が怯え、震え、実行できなかった
作戦だろうと、勇気と冷酷さ持って実行してやる」
 この時、未だ世界は平和を維持することが出来ていた。それは大西洋連邦大統領ジョゼ
フコープランドを始めとした、地球連合内に広がりつつある反戦と和平を望む穏健派たち
の存在、オーブ代表カガリ・ユラ・アスハを始めとした中立国群の存在、そして今のとこ
ろは反戦派であるプラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの存在が、その平和
の均衡を保つため、存在の大きさを見せていたからだ。

 それから数日後、プラント国防委員会諜報部が、驚くべき機密情報の入手に成功した。
それはあのブルーコスモスが、今回のテロ行為に対する『報復』を目的とした極秘総会を
開き、プラントに対してすぐにでも核攻撃を行うという内容であった。


304:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/02 16:19:43
以上、第3話。
ある意味で、この作品は次から大きく動いてゆく、
といった感じでしょうか?
現在第6話まで書き上がっていますが、書きためつつ、
小出し小出しで投下していこうかと思います。
次回は少々長くなるかも知れません。

305:通常の名無しさんの3倍
07/03/02 16:23:30
う、生まれてはじめてのリアルタイムだ。
ディ・モールトGJッ!!
長くなっても全然かまいません。楽しみにしてます。
ロッシェとミーアいいなぁ・・・・・・(*´ω`*)


306:通常の名無しさんの3倍
07/03/02 16:25:30
GJ!
議長はロッシェ相手に圧倒されっぱなしか。

307:通常の名無しさんの3倍
07/03/02 16:56:58
乙!
そしてブルムさーん!

308:通常の名無しさんの3倍
07/03/02 17:08:53
>>293
工作員乙

309:通常の名無しさんの3倍
07/03/02 17:19:49
この議長がヴァルダーに会ったら飲み込まれるな。

310:通常の名無しさんの3倍
07/03/02 20:51:14
「暗黒の破壊将軍」ってニックネームを聞くだけでも卒倒しそうだ。

311:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 06:41:12
GJ

ギルを手玉に取るロッシェがカッコヨス

312:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 08:00:08
コープランドとジブリのやり取りを見ると
彼も伊達に選挙の洗礼を受けていないねw

313:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 09:30:50
ただジブリールはファントムペインじゃないけどな

314:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 09:56:22
つーかジブリはPPの親玉だから、
盟主王がドミニオンを好き勝手に使っていたのと同義。

私兵です罠

315:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 10:01:15
>>310
マジンガーに出てきそうな名前だな……あちらは暗黒大将軍だが。

316:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 10:10:09
バスタードとか

317:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 10:13:00
星屑の騎士団(スターダストナイツ)もなw

318:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 10:14:52
歌姫の騎士団といい勝負じゃん

319:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 10:28:29
歌ハゲの氣志團

320:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 10:31:56
ここはやはり新生星屑の騎士団の結成を…

321:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/03 11:27:16
私の認識ではジブリールって、
ブルーコスモスの親玉で、ロゴス内で強い発言力があり、
私兵ファントムペインを意のままに操れる男って感じな
んだけど……違うの?(汗)


322:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 11:28:57
>>321
そんなもんでいいと思う。他に分かってんのは金融関係の人だというだけだし。

323:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 11:43:07
>「いよいよだ。いよいよ、我らファントムペインが歴史の表舞台に立つときが来た」
ここがおかしいと思ったんじゃない

324:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/03 12:09:32
>>323
あー、その台詞か……
んーっと……私の作品のコンセプトが関わってくるんだけど、
それ話しちゃおうとネタバレにもなるからなぁ……
一応、次の第4話で私の作品が何をやりたいのかは明確になる
んですけど、書き上がってるとはいえ昨日投下したばっかだ
しなぁ。

325:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 12:15:26
まあいいじゃないか
キラの設定も多少変わってるんだし、本編と違う部分があってもそれはそれこれはこれって事で

326:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 16:25:33
うんうん、おkおk

327:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 18:08:53
URLリンク(zip.2chan.net)
ウイングゼロすげー!!

328:通常の名無しさんの3倍
07/03/03 19:25:21
太陽系wwwwwwwwwwww
∀並にスゲーwwwwwwwwww

329:通常の名無しさんの3倍
07/03/04 01:02:07
wikiに登録されている作者さん以外で誰が書いてるか一覧が欲しいのだけど頼めるかな?

330:通常の名無しさんの3倍
07/03/04 01:04:59
連投失礼。今現在、現スレの>>237まで登録済み。
現スレの26氏はwikiに登録されている26氏とは別人でいいのかな?
このスレの26氏=運命の歌姫 ◆1gwURfmbQUさん?

331:通常の名無しさんの3倍
07/03/04 01:37:30
太陽系オワタ\(^o^)/
こりゃC.E.聖剣伝説も目じゃねぇぜ

332:通常の名無しさんの3倍
07/03/04 03:31:25
セルじゃないんだからw

333:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/04 04:41:26
>>330
私はwikiの登録の仕方知らなかったので違います。
もう保管してくださった方がいるんですね。
でも、ちょっと、直したい誤字脱字があるんですが、
wikiに登録って、どうやるのでしょうか?

334:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/04 04:45:13
と思ったら、保管はされてないのか(勘違い)
まあ、1,2,3話ともお恥ずかしいことに、
誤字脱字がちょっとあるので、私の方でも編集
出来れば……と思ってます。

335:通常の名無しさんの3倍
07/03/04 04:58:16
ライブドアID取って該当ページ上部の編集タブ押せばいいだけ。
編集終了したらそのページ下部の「保存する」ボタン押せば反映する。

個人情報出すの嫌がってID取りたがらない人とかは
ぶっちゃけ偽名使えばいいじゃないと時々思う

336:通常の名無しさんの3倍
07/03/04 06:21:56
>>335

今はID取らなくても登録作業に協力する事できるよ。
詳しくはwikiのTOPページにある編集方法の項目を見てちょ

337:通常の名無しさんの3倍
07/03/04 10:20:54
今は荒しがあった為にID取得しないと編集できないようになっています。
別の方法としてはtxtでもhtmlでもいいので修正した内容をUPロダ(トップページからいけます)に上げ、掲示板(これまたトップページから)で上書きするよう言って頂ければ編集しておきます。
っちなみに運命の歌姫さんの作品は夕方5時頃登録予定です。

338:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/04 14:58:48
>>337
了解しました。
とりあえず、今日はこれから出掛けるので、
帰ってきてから、編集等については考えます。

後、第4話は、今日の夜にでも投下します。

339:通常の名無しさんの3倍
07/03/04 15:02:20
>>327
この設定でクロスさせたらエライことになるなwww

340:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/04 22:15:11
帰宅。
投下します~

341:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/04 22:18:41
 プラント最高評議会は12名の評議員によって構成されている。議長、副議長、国防委
員長等の役職に就いている彼らは、プラント12の市から各一人ずつ互選制によって選ば
れたメンバーだ。最新のコンピューター技術の発達により個々の能力や実績から「政治
家としての適正」を判断された彼らは、時として本人の意思とは関係なくこの道にくる
べき事がもある。しかし、少なくとも最高評議会議長ギルバート・デュランダルは、自
身がくるべくしてこの道に入ったと思っている。
 彼は、自分が将来的に成立目指すある計画と、このプラント最高評議会の評議員選出
方法は似ていると思っていた。コンピューターによってその適正を判断され、その職に
就くというのは彼には願ってもないことだ。
「いずれ、政治家だけでなく他の職種もこのような形になってゆくだろうさ。最高評議
会、国のトップでさえこのような選出方法なのだから」
 これはデュランダルが、今のところもっとも信頼している被保護者である少年に語っ
たという言葉だが、確かにこのまま彼が最高評議会議長の座に居座り、計画を推し進め
ることが出来れば、それは可能だったであろう。故に彼は、他の議員たち以上に、自分
の地位と権力を愛していた。だからこそであろうか? 彼は自分の進退にも影響を及ぼ
すような重大な議題が議会に上がると、途端に慎重になった。
 世間ではそんなデュランダルの態度を、「常に沈着冷静で、軽はずみな決断と決定を
しない」と評価することもあれば「難局に対しての行動力に欠ける」と非難することも
あった。どちらもそれなりに理のある表現ではあったが、歴代の議長が必ずしも優れて
いたわけではないことを考えれば、デュランダルの評判はそれほど悪い物ではなかった。

 薄暗く窓一つ無い会議室は、ドーナツ上となっており、中央の円卓に最高評議会の委
員長クラスの議員たちがそれぞれ腰掛けている。
 この日の議題は、国防委員会より提出された、『ブルーコスモスによるプラントへの
核攻撃の可能性』についての対策についてであった。これは昨日、国防委員会の諜報部
が入手することに成功したブルーコスモスの最重要機密であり、近々行われるらしいブ
ルーコスモス全体総会の承認待ちという案件だった。
「では、ブルーコスモスは今すぐにでも我らプラントに対し核攻撃を行う、国防委員長
はそう仰るのか?」
 まず口火を切ったのは、デュランダルであった。形式上、議長がまず意見なり質問な
りをして会議を推し進めるのは最高評議会の通例であり、デュランダルが特別論戦派と
いうわけではない。
「少なくとも、彼らは我々に対する口実を欲しています。戦争か、攻撃か、そこに格好
の名目を手に入れた」
 国防委員長は、資料を広げながら溜息をついた。彼は昨日から今日の会議にかけてま
での時間を諜報部がもたらした情報の真実性、つまり裏付けを取ることに費やしており、
そしてその結果、「92%以上の確立で真実である」というものに頭を悩ませ続けていた。
「口実と言っても、ユニウス・セブンにおける一連のテロ騒動は防いだではないか!」
 女性議員の一人が、言いがかりだと言わんばかりな剣幕で発言するが、国防委員長は諦めたように首を振る。

342:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/04 22:21:39
「彼らは政治家でもなければ軍人でもない、ただの主義者です。人の持つ常識とか良識に
は無縁の立ち位置にいるのですよ。まあ、少なからず残っていた見識が今まで彼らの行動
を抑えていたのでしょうが、今回我々がテロという弱みを見せてしまったが為に、そこに
つけ込もうと必死なのでしょう」
「それでブルーコスモスの連中が納得しても、地球の各国は? 一方的な攻撃を許すとい
うのか?」
「許しはしないでしょう。だからこそ彼らは極秘に事を進めている……そう、いつかの血
のバレンタインのように」
 国防委員長の、本人としては何気なく言ったつもりの一言が、議員たちをしんと静まり
返した。そうだ、ブルーコスモスはあの血のバレンタインを起こした連中だ。何をするか
などをわかったものではない。
「しかし、国防委員長、事態が急を要することはわかるが、君の対応策は少々強引ではな
いか? 衛星軌道上からブルーコスモスの総会が行われる連合軍基地に制圧部隊を送り、
これを逮捕または抹殺する、と言うのは」
 デュランダルは国防委員会が提出した作戦書を見ながら険しい表情で言う。しかし、国
防委員長はそれを制止、
「確かな情報を持ちながら、後手に回るというのですか? 議長、今また核を撃たれれば、
プラント市民の反戦意識は著しく低下しますぞ? ただでさえ、ユニウス条約への不満が
残っているのが現状です」
「プラント市民が、民意レベルで戦争を望むと? 我々はそこまで愚かでは……」
「だが、血のバレンタインの時は違った。市民は地球へ、ナチュラルへの報復を叫び、デ
モや集会を繰り返した。結果、当時の最高評議会は開戦を決意した、違いますか?」
 デュランダルはその反論に口をつぐんだ。それは事実であり、当時のプラントが民意に
よって動かされた結果でもあった。
「国防委員会としては、我々コーディネイター最大の驚異であるブルーコスモスを、これ
を機に一網打尽にしたいと思っております。テロ行為を名目に、プラントに対し核攻撃を
行おうとしている彼らこそテロリストではないか!」
 国防委員長の一際高い声に、会議室の議員たちは自己の決断を迫られ始めた。
 そして、国防委員会諜報部より新たな情報が来たのはこの時だった。連合軍の月基地ダ
イダロスに異変アリ。出撃準備をしている傾向にあるというのだ。
「……では、早急に議題を可決しましょうか?」
 それ見たことか、と言わんばかりの国防委員長の声に議員たちは早期議決することを決
定し、投票用のボタンにそれぞれ指を伸ばした。
 結果、過半数の議員が賛成を押した。評決の結果ザフトによるブルーコスモス総会への
制圧作戦が可決された。デュランダルはこの時、反対の票を入れていた。



              第4話「時代の変革」




343:運命の歌姫 ◆1gwURfmbQU
07/03/04 22:24:19
 月軌道に配備予定だったミネルバに、ブルーコスモス総会制圧の命が下ったのは最高評
議会の作戦決定から僅か14時間後のことだった。ただ降下部隊を降ろすよりも戦艦による
奇襲攻撃をかけ、敵の抵抗力を一気に殺ぐ、というのが国防委員会と軍部の狙いであっり、
ミネルバは大気圏突入が可能な最新鋭艦だ。
「グラディス艦長、君の艦のクルーは新進気鋭の若者たちが多いが、だからといって失敗
が許される任務ではない。心して作戦を実行してくれたまえ」
「わかっております。クルー一同、最善を尽くします」
 国防委員長から直接指令を受けたとき、タリアは彼が自分に余りよくない印象を持って
いるということに気付いた。面白くないのであろう、国防委員会と軍部が威信をかけて作
り上げた最新鋭艦の艦長を、女の自分に取られたのだから。取られた、と言うのは正確な
言い方ではないが、タリアが艦長になった裏には、ギルバート・デュランダル最高評議会
議長の後押しと推薦があったと言われ、事情を知る一部の者、国防委員長クラスともなれ
ば、余りいい気はしないのだ。
 しかし、迅速さが求められる今回の作戦に、足自慢でもある快速戦艦のミネルバは絶対
に必要であり、また能力も決して低いわけではないので、渋々の決断、といったころか。
「というわけで、ミネルバはこれより地球に向けて出発。衛星軌道上から艦を降下させ、
連合軍基地制圧の任務に当たります。何か質問は?」
 艦に戻ったタリアは、ブリーフィングルームにクルーを集め、今回の作戦内容を説明した。
「よろしいですか、艦長?」
「なに? レイ」
 モビルスーツパイロット、レイ・ザ・バレルが質疑の挙手をあげた。
「この度の作戦の重要性は理解できました。しかし、何故ミネルバだけなのですか?」
 レイの隣に座るシンは、もっともな質問だと思った。自分たちの力が足りないとは思わ
ないがこの作戦は絶対に失敗が許されないものだ。それをミネルバ一隻で、というのはい
ささか心細いのではないか?
「基地を制圧するにしても、もっと大部隊を投入すれば、より早く、確実に済むと思うの
ですが?」
「えぇ、確かにそうね。でもね、今回のブルーコスモスの総会はかなり極秘裏に進められ
ている物なの。それに対して大部隊を動かせば、向こうに察知される可能性がある、少な
くとも上はそう考えたようよ」
 隠密にことを進めろ、つまりはそう言いたいのだろう。
「ですが、艦長」
 同じくモビルスーツパイロット、ルナマリア・ホークが挙手と共に発言する。
「ミネルバは先の戦いで、その、モビルスーツパイロットを二人、失いました。補充員も
ないままでは、戦艦一隻にモビルスーツ3機で基地制圧をすることになります」
 レイの言いぐさではないが、戦いは数だとルナマリアは思っている。エースなどと呼ば
れてはいるが、自分たちは未だ実戦経験の少ない青二才の集団に過ぎない。


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