種・種死の世界にWキャラがやってきたら MISSION-07at SHAR
種・種死の世界にWキャラがやってきたら MISSION-07 - 暇つぶし2ch102:72
07/02/16 21:43:20
>>101
いやはや、何て言えばいいのか…とりあえず、どうもです。無理をなさらないように。

そして、いやはや、幾多の感想のお言葉、感謝感激です。
ということで早速投稿。もちろん読みにくい点があれば何なりと。出来うる限り対処させていただきます。
しかし、ヒイロの言葉が少ないのはどうにも…。何か、想像出来ませぬ。

 自分の仲間が自分と同じジレンマに悩まされているのも露知らず、ヒイロは自らの愛機の下へと急いでいた。
 自分の犯すことが例えどれほど大それたことだろうと、この町の人々、この世界の人々が苦しく様を見たくはなかったのだ。
 いつの間にかに、この世界のことを好きになっていた。それなのに、気づかないようにしていた。気づきたくなかったのかもしれない。
 ここに来てまだ間もない頃、親身に助言をしてくれたり穴場のお店を教えてくれた23,4の若者。日用品を買いに行く時に笑顔でサービスし、少なからず世間話をした店主。
 腕は下手だが、時々家に新鮮な魚を持って一緒に食べたこともある釣りの好きな八百屋の店主。公園でぼーっとしていた自分に花をプレゼントしてくれた少女。
 精一杯に生きている彼らを、誰が苦しんでいる様を見て喜べるだろうか。
 向こうの世界の人々となんら変わらない。精一杯生きているのだ。
 そして、愛機の元へと走る彼の目の前で―ありえないことが起こった。地響きを立てて虚から出現した黒い巨人。
 元いた世界では搭乗者を要さない自立操縦の元動いていた殺戮兵器。

 「モビル・ドール」。そして―「ビルゴ」

「ビルゴが……何故……!?」
 ビルゴは森林の中央に堂々と立っていた。その眼光に光は無い。混乱するヒイロに、更なる追い討ちが待っていた。
 ヒイロを尻目にビルゴの眼光に光が点され、市街地の方へゆっくりと足を向ける。
 その時、ヒイロにはいつもは平然と撃破していたビルゴが―酷く巨大な悪魔に見えた。
 愛機の下へと全速力で駆ける。しかし少なくとも後二分は掛かる。起動に二分―ロックを厳重にしているせいだ―。その間にはビルゴは市街地に辿り着いてしまう。
 何をするかは解らないが、たとえ自重が軽くとも、あんな物が市街地に出て歩き回れば住人の顔色は恐怖色に染まる。
 もし、最悪の場合は―考えた瞬間、ヒイロは何か冷たい刃物のような物が首筋に当てられた気がした。
 巧妙にカモフラージュされた愛機を見つけ、コックピットのロックを外す。キーを打ち込み、それを認証してまた入力。ロックが外れると同時に、コックピットに滑り込み起動。
 姿勢を制御して無理やり機体を起こすと、市街地の方角を視界に納めた。

 ビルゴの足は遅く、今まさに市街地の方へと踏み入らんというところだった。ほっとして、機体を操作しビルゴの方に機体を向けようとして―目を疑った。
「馬鹿な……ッ!」
 なんともまぁ、ビルゴが転倒したのだ。気づいたときには機体を走らせていた。
 ビルゴは乱暴に起き上がると、今度は走り始めた。市街地の端の方に辿り着いて、何かを思い出したかのようにビームキャノンを構え―森林部に上体部を突っ込ませた。
 ウイングガンダムゼロが飛び蹴りをしたのだ。ビルゴは起き上がり、さしてダメージが無いかのように振舞い再びビームキャノンを構えた。
 ヒイロは全てを瞬時に分析し、ビームサーベルを抜くと機体を走らせた。ビームキャノンが発射される。その時は上空に。上空から一直線に降下してコックピットめがけて一刺し。
 ビルゴは糸の切れた操り人形のように膝を突いた。ほっとして外状況に目を走らせる。この世界に来た時から答えてはくれないゼロシステムを除けば、無傷だった。
「損害ゼロ。久々の戦闘に、して、は………………」
 ヒイロの言葉はそこで途切れた。目は見開かれ、口は開きっぱなしだった。
 目の前には―ビームキャノンが抉った町の傷跡だけがあった。


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