07/02/23 08:54:34
「これ以上、オーブ国民に犠牲を強いるのは常識にも外れるのではないか。オーブ国民は負担に耐えかねているのだ」
「『他国に侵略せず、他国の侵略を許さず、他国の争いに介入せず』これは我国の理念だ。それを理解しようとしないの事なかれ主義者に迎合する必要はない。そもそも犠牲なくして大事業が達成された例があるか!」
「その犠牲が大きすぎるのではないか、と国民は気づき始めたのだ、ウズミ」
「どれほど犠牲が大きくとも、たとえオーブ国民が死に絶えたとしても、守るべき理念がある!」
「そ、それは政治家の論理ではない!」
「我々には崇高な理念があるのだ。オーブ国民のみの利益にこだわって、その大義を忘れはてるのが、はたして大道を歩む態度と言えるのか!」
─彼は40代後半の、堂々たる髭を持つ男性で、その声には魅力的な響きがあった。
それだけに、コトーが感じた危険は一段と大きかった。
彼こそ、安っぽい英雄願望に足首をつかまれているのではないか─