07/01/30 00:21:42
レイ「ところでずっと尋ねたかったんだが、何故この村にはぱふぱふ屋がないんだ!?」
ニコル「ぱふぱふ屋さんですか。昔は公園の周りに店を構えていたんですけどね」
レイ「今は一体どうしているんですか、そのぱふぱふ屋は」
ニコル「急に海賊になる!とか言って村を出ちゃって……。なんかドムドムの実を食べたとかなんだとか。
『ラクス様のためにアタシも西の大陸で頑張るよ!』とかいってましたっけ。
もしかしたら今頃は財宝でも見つけて西にアジトを構えているんじゃないでしょか」
レイ「(海賊の財宝か……。その中に伝説のオーブが混じっているかもしれない)」
他にも二人が他愛もない話を続けているともうすぐ朝日が昇ってくる気配がした。
ニコル「もうすぐ夜が明けますね」
そういうニコルの体はどことなく透けているような気がする。
ニコル「夜が明けてしまう前にコレを渡しておかないと」
レイ「グリーンオーブ…」
ニコル「本当は不安だったんです。このオーブを渡す前に、村がなくなって、そのまま行方知れずになって
しまうんじゃないかって。でも、今夜使命を果たすことができて、本当によかったです。
1日でも早くこの世界に平和が戻ってくることを祈っています」
『生きているうちに私が持っているオーブを誰かに渡したかったのに……』
昼間見た、この言葉がレイの頭の中で反芻する。
レイ「(……今の言葉は重過ぎるな)」
ニコル「あと、今の時間帯は魔物もあまり活性してないので、今のうちに船まで戻った方がいいですよ。
入り口にある荷馬車を使って行けば早いと思います」
レイ「何から何まで本当に世話になった。グリーンオーブのことはシン達が起きたら俺の口から説明して
おきます」
そういいながらレイは寝ているシン達を馬車に押し込み、馬を引く。
昇る朝日に汗が光る反面、ニコルや他の村人たちの体はかなり透明に近くなってきた。
レイ「この村の思いとグリーンオーブ、しかと受け取りました。必ずバラモスを倒し、世界に平和を取り戻します」
振り返らずにそういって、馬車を出した。
レイたちが出てった後、テドンの牢屋の壁の文字は、『生きているうちにオーブを渡すことができてよかった』
に変化したのだが、このことを知るのはまだ随分先の話である。