07/10/08 21:31:43
力こそ全てだと思っていた。
野心の無い人間など、生きていても仕方が無いと思っていた。
幾多の殺気に包まれてなお、我が殺気はそれら全てを制する。
この疾風の拳で、カイオウなどいつでも呑み込んでくれよう。
身体の内に流れる血が、魂が、そうさせるのだ。
命を惜しんでの生などなんの価値もない。
そんな生き様など、我が視界の範疇には何人も許さぬ。
あの男に出会うまでは、そう思っていた。
無論、今でもその信念は変わっておらぬ。
だが…あの瞳を覗き込んだ瞬間…オレは別の何かを見たのだ…
何故、オレはあの男を生かしておいたのか…
そして何故、自らの居城近くに領地まであたえたのか…
その男の名はナイアル。羅将ハンの魂を動揺させる唯一の男。