07/08/30 21:58:54
作者の意思と関係なく筋が展開し、
終わってみると予定していたゴールとは、かなり外れていることも珍しくありません。
『のび太と夢幻三剣士』はゴール大はずれの極端な一例です。
最初に考えたのは「夢の暴走」です。
楽しく夢を見るための機械がコントロールを失い、
夢の中の妖怪たちが現実世界へとなだれ込んでくる。
つまり夢と現実が、次第にグチャグチャになっていく恐怖を描けたら…と思ったわけです。
ところが、これがなかなかむつかしい。
ドラえもんシリーズには一つの約束ごとがあります。
どんな大事件が起きても、それはなるべく仲間内で解決し、
周りの一般社会に、一切影響を残さないということです。
例えば『鉄人兵団』。
あのときは宇宙から襲来したロボット軍団のために、
人類が滅びるかどうかという騒ぎになったのに、
ついにのび太のママさえ気づかないまま事件は終わったのです。
当然、のび太と夢幻三剣士達にも、その他の登場人物、
妖精や怪物達にもこのルールは守ってもらわなければなりません。
夢世界の境界を越えて、果てしなく暴走しようとするたびに
「そこまでやって、後始末は大じょうぶかな」という声がブレーキをかけ…。
ついに夢は夢の世界にほとんどおさまりっぱなしという結果でした。