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38話 風向きが変わる時(前編)
ミリュウへ母親から手紙が来た。
それを読むなり彼は、ジェンに留守を頼むとマシェルのところへ出かけていく。
彼の様子に、とんでもないことがあったと感じたジェンは、様子を探りに師匠の後を追う。
出迎えた子竜達にミリュウのことを尋ねると、カディオとマシェルを連れて外へ行ったという。
家ではできないような相談と知り、ますます不安になるジェン。
ナータが暗竜術で捜せるというので、彼を抱えて3人を捜すことに。
その頃、ミリュウに手紙を見せられたカディオ達は驚いていた。
それには「ミリュウへ 妹がいるよ。跡継ぎする?」とだけ書かれていて、他の説明は何も無し。
肝心なことは何もわからない。
本当に母の血をひく娘なら風竜達は喜んで、すぐにでも風竜術士に迎えるだろう。
そんな話をしている時、ジェンが3人を見つけ、そっと彼らの話を伺っていた。
風竜術士は、ずっと最初の竜術士とロッタルクの子孫が担ってきた。
でも、それもミリュウの代で終わりだろうと思われていたのだ。
混血の子どもの場合、母方の血が優先される。
しかし、エカテの子どもは男であるミリュウだけだからだ。
そういうわけで、最初の竜術士の血筋以外にまかせるなら、
竜王の竜術士並みの人間がいいということで、
実はいまだにマシェルも次期風竜術士候補なのだという。
ミリュウは、母が自分の幼い頃の夢をかなえようとしているのかな、と話す。
兄弟がほしいと言ったからマシェルを、同じ年の友達がほしいと言ったからカディオを、
それぞれ連れてきたように。それと同じなら、
「コーセルテルの外へ行きたい。竜術士にはなりたくないって言ったからかな」
マシェルは「今はもう思ってないでしょ?」と聞くが、ミリュウの答えは期待したものとは違った。
「思ってるよ、ずっと…」「でも…」