07/11/17 21:55:32
「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう……っ」
呪詛を唱えるかの様に延々と怨嗟の言葉を呟くシンジを見つめ、自身を落としたことを責めるでも無くデルフリンガーは言った。
「相棒はこれまで十分頑張ったよ。いつも離れず相棒の傍にいた俺はそのことをよーく知ってる。辛いなら、何もしなければいい。みんな死んじまったし、今更、お前を責めたてる奴もいやしない」
「……え?」
「放っておけば、間もなく滅びの時が勃発する。苦しみや悲しみもそこで終わりさ。死んでしまえば、何も感じやしないからな」
シンジは床に転がるデルフリンガーを静かに見つめた。
「誤解の無いように言っとくが、皮肉や嫌味じゃないぞ。たった十四歳のガキがここまで踏ん張ったんだ。上出来さ。まあ、地上に着いたら、世界の終わりをのんびりと眺めようや」
まるでこれから舞台観賞に赴くかの如く、デルフリンガーは何処までも暢気に言った。
シンジはデルフリンガーを拾い上げ、光り輝く片刃の長剣を見遣る。
「……滅びの時が起きたら、どうなるの?」
「相棒だって知ってるだろ。間違いなくリリンは全滅さね。今度の滅びの時は、今までハルケギニアで起きてきた半端なものとは、全くの別物だからな」
296:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/17 21:55:49
支援する!
297:冴えない著者 ◆YUq/JXG2n2
07/11/17 21:57:12
「……ルイズさんは?」
「全滅は全滅だ。ルイズだけ、特別ってわけにはいかねーわな」
シンジは思い詰めたように俯いた。
「ルイズを救いたいのか……?」
「分からない……、何がしたいのか分からないんだ。まるで、自分が自分じゃないみたいで」
デルフリンガーは、そうか、と相槌をつくと、真摯な想いを感じさせる深く落ち着いた声で言った。
「なあ、相棒。見ての通り俺は武器だ。つまり、道具だ。情けない話だが、俺はお前に使われることしか出来ない。だけど、お前には、お前にしか出来ない、お前になら出来ることがあるはずだ。
俺はいつだってお前の味方だ。だから、俺は間違っても強制したりはしない。自分で考え、自分で決めろ、後悔の無いようにな」
「……デルフリンガー」
298:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/17 22:03:40 GLWU09u1
支援
299:冴えない著者 ◆YUq/JXG2n2
07/11/17 22:03:47
「もしも、お前さんが戦うと言うなら付き合うよ。何もしたくないと言うなら、それにも付き合おう」
「……まだ、間に合うのかな?」
「何にだい?」
「……今からでも、世界を救えるのかな?」
「お前さんがそんなことを考えているうちは、無理だろうな」
デルフリンガーは心底呆れたようにため息をついた。
「何もかも背負いこもうとするのは、もうやめろ。十四歳のガキの分際で生意気なんだよ。いいか、残された時間はほんのわずかだ。
だから、最後くらいは、自分の為だけに戦え。自分の為だけに剣(俺)を振るってくれ。自分がどうしたいのか、自分はどうありたいのか、自分の望む世界は何なのか。それだけを考えろ。
さっきも言ったろ、お前は人の為に十分頑張ったよ。この上ないくらいにな。そんなお前を責められる奴なんていやしないんだ。だったら!最後くらい、ガキのワガママ通してみろよ!!」
300:冴えない著者 ◆YUq/JXG2n2
07/11/17 22:06:10
少年の顔が一気に歪み、瞳からぽろぽろと涙が零れ落ちていった。
「……ありがとう、デルフリンガー。ぼく、やっぱり、戦うよ。やっぱり、ルイズさんを助けたいんだ…」
「……そうか。じゃあ、一緒にもうひと踏ん張りだな」
シンジは次々と溢れる涙を拭いながら、口を開いた。
「よく分かったよ。ぼくには何もない。力もない。勇気なんて、これっぽっちもない。支えてくれた人達も、もういない。大切な人だって、ぼくの傍にはいない。何もないんだ」
デルフリンガーは自嘲の言葉を並べる少年を心配しつつも、口を開こうとはしなかった。
「何もありはしないんだ。ぼくはゼロだ。ゼロのルイズの使い魔……」
少年が決意に染まる顔を上げた。
「そう、ゼロの使い魔、碇シンジだ……!」
301:冴えない著者 ◆YUq/JXG2n2
07/11/17 22:08:04
投下終了です。
失礼致します。
302:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/17 22:09:50
乙です
ついに決め台詞まで来てワクワクしております
303:冴えない著者 ◆YUq/JXG2n2
07/11/17 22:22:57
リアルタイム支援2レスキター。新記録更新。
ありがとうございました!
あと、八話は時系列順にすると、十三話~十四話付近に相当します。
以前にも申し上げましたが、十五話完結予定ですので、物語としては佳境の話です。
一話、二話の時系列を逆転させた時と同様に、一応の意味を込めての展開です。
なので、まだまだ、先は長いですが、何卒、よろしくお願い致します。
304:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/17 22:52:07
>>303
乙カレー
シンジがんば!
305:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/17 23:47:01
いあ…
しかしおもしろいなこれWWW
シンジとデルフリンガーカッコヨス!!!!!
306:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/18 17:51:29
冴えない氏乙
これぞまさに「ゼロの使い魔」だ!!!
307:冴えない著者 ◆YUq/JXG2n2
07/11/18 19:31:37
纏めを更新いたしました。
今北の方は>>1のリンクからご覧下さい。
308:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/18 20:11:29
乙
309:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/19 13:37:38
冴えない氏乙です。
いきなり話が飛んだのはそういう構成だったんですね。安心しました。
310:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/20 16:26:23
お疲れ様
311:冴えない著者 ◆YUq/JXG2n2
07/11/21 03:53:35
まず、初めに宇宙人がいた。
【第一始祖民族】とも言われる人型種族は、銀河系の各地に生命の種をばら撒き始めた。
その理由が何だったのか、何を目的としてたのか、今となってはわからない。
はっきりしてる事は複数の種がばら撒かれたことである。
運の悪いことにそのうち二つがたまたま同じ星に落ちた。
白い月のアダム、そして黒い月のリリスである。
ガイナックスの公式設定っぽいものです。
312:冴えない ◆YUq/JXG2n2
07/11/21 16:29:36
直後、昇降籠内に耳を突く金属音が響き渡り、シンジの体を激しい振動が襲った。
目の前の扉が開かれ、その先には緑豊かな森林が広がっている。鳥のさえずりが耳に溶け、木立の隙間から差し込む朝の光が少年の体を照らした。
長い、本当に長かった夜が明けたのだ。
少年は片刃の長剣を握ったまま光りの指す方に向かって森の中を歩いた。ロングビルの言葉が正しければ、その先にトリスタニアがあるはずだ。
しばらくして、その森が小高い丘にあることが分かった。
眼下には、トリスタニアの街並みが広がり、その中央に位置するトリスタニア城からは濛々と白煙が立ち上っている。
威厳に満ち壮麗であったかつての名城も、今では見る影もない。焦げ付いた瓦礫の山を縫うように静々と血の川が流れていた。
「トリスタニア陥落、か。戦端が開かれてから、六日目。シナリオ通りってわけだ。教会の連中は残された一日で全ての片を付ける腹積もりなんだろうよ。神様気取りにも程があらぁ」
デルフリンガーの言葉には応えず、朝の陽光に映える澄み切った青空をシンジは静かに見上げた。
「ギーシュさんの言う通りだ。こんな時でも、空の青さだけは、変わらないんだな……」
青年の言葉がリフレインする。
【辛い時は空を見上げればいい。そして、ぼくの言葉を思い出せ】
枯れたはずの涙が再び溢れ、片刃の長剣を握る右手に一層の力を込めた。
「行こう。ゴルゴダの丘に……。ギーシュさんの言葉に応える為にも、そこで、ぼくはぼくの世界を作る……!」
313:冴えない ◆YUq/JXG2n2
07/11/21 16:31:48
第八話 涙 終わり
314:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/21 20:18:02
乙です
コレでまた話が元に戻るのか~wktkして待ってます
315:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/23 00:32:34
wktk