エヴァの主人公が真ゲッターの竜馬だったら~参号機at EVA
エヴァの主人公が真ゲッターの竜馬だったら~参号機 - 暇つぶし2ch650:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:21:18
 竜馬に責任をかぶせる訳にもいかないので、その余波がすべてミサトに降りかかってきてしまうのだ。
 とんだ災難といえる。

「仕事中もビールでも飲まなきゃやってらんねーわよ!」

 そう叫びながら、彼女は食堂に足を踏み入れる。
 するとそう広くないスペースである、このときはあまり客入りも多くなかったのでその
全体がよく見渡せた。
 そしてその一角には、リツコと見覚えのある顔が同席しているのが見えた。
 長くなった髪を後ろにまとめ、よれよれのワイシャツとズボンを、さらに緩く着て、だ
らしないみなりの無精ヒゲの男だった。
 ただ、スタイルと顔はいい。

「あ、あれは……」

 ミサトが信じられない、といった様子でそちらをうかがう。
 以下は、彼女の耳にはいった会話である。

「相変わらず仕事の虫かい。それじゃ、まだ彼氏もできてないな」
「……そうでもないわよ」
「おや意外だねェ。せっかく俺が口説こうと思ってたのに。相手は誰? まさか碇司令とか、なあんてな」
「さあ、誰でしょう。あ」

 と、リツコの視界の先に黒い影が見えたかと思うと、男の後ろに剛速球でなにか回転す
るものが飛んでくるのが見えた。

「か、加持君っ」
「え……あぐぁッ!?」

 ぐあんっ、と音がするほどの勢いで加持の後頭部にスパナが当たり、彼はその場にもんどりうって倒れる。

「う、うぐぐぐ……」

651:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:22:36
 後頭部を必死に抑えてうめくが、さらに追い打ちを掛けるようにその頭に、足が踏みつけられた。
 男が抵抗しようとすると、その耳につんざくばかりの怒号が響く。

「あんたがどうしてここで、こんなことしてんのよォッ!!」
「よ、よぉ……か、葛城、ひさ、ひさしぶりだ……おおお、痛てててッ。やめろ、俺を殺
す気かっ、足をどけてくれえっ」
「なんなら殺してあげましょーか」
「か、勘弁してくれ、な」

 と、許しをこうとやっと、その頭から足がはなれていく。
 彼は顔と髪についたホコリや汚れを落としながら、よろけて立ち上がっていく。
 この軽口のような受け答えをするのは加持リョウジ。ネルフ特殊監察部の人間だ。
 と同時に、ミサトのかつての恋人でもある。
 ただ、すでに仲違いして疎遠になっていたのであるが……。

 生年月日、一九八五年六月一七日、三〇歳。
 飄々という言葉がもっとも似合う人物であり、やや女好きのきらいはあるが、それも演
技にすらみえる、雲のような言動でつかみ所のない性格をしていた。
 ネルフの特殊監察部というのは、要するにスパイ組織であって加持はネルフの情報源の
ひとつとして動いている。
 が、そのうえで先のゼーレのスパイであり、また日本政府のスパイであり、三重のスパ
イというなんとも矛盾した仕事をこなしている。

 彼に、思想はない。
 あるのは、人為的であったとウワサされつつ、誰も真実を知らない大災害・セカンドイ
ンパクトを究明したいという、ある意味、子供じみた願いだけだ。
 だが、彼をひとつの油断が即の死へとつながる所行へ走らせるのは、それそのものが主要因ではない。
 加持自身がセカンド・インパクトによる孤児であるのが大きかった。
 彼は孤児生活の中で、生きるために兄弟を犠牲にした過去がある。犠牲といっても食人
したというわけではないが、兄弟で組織だって食料の盗みにはしっていた最中、食料庫の
主にみつかり、制裁をうけたのだ。

652:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:23:58
 当時は食糧難の時代であって現代のわれわれの感覚で考えるよりも、はるかに食料に対
しての価値観が違った。
 それに無政府状態に近く、法律のまともな保護もなかった。

 よって制裁は、子供にも容赦はなく死の制裁となる。
 そのとき、自身が助かるために彼は兄弟の潜伏場所を吐いた。そうすれば自分だけは助
けてやるといわれて、身内を切ったのだった。
 結果、彼の兄弟たちは皆殺しとなった。

 だからセカンド・インパクトという理不尽に対して、激情に近い恨みを抱いている。
 逆恨みともとれるが、それが彼なりに兄弟へのつぐないになると考えているのだろう。
 その真実を探ることでセカンド・インパクトへ復讐するつもりだった。
 風変わりな復讐鬼である。
 父をシトに殺されたからシトに復讐する、という解りやすい動機をもつミサトとは、そ
の点、対照的といえる。
 ミサトは加持と関係をもった理由を姿に父を見たからと独白していたが、あるいは、こ
の対照的な部分において惹かれ逢ったのかもしれない。

 ともかく。

「ったく、なにしに来たってえのよ」
「ドイツからアスカのずい伴、の、はずだったんだけどね」
「もうそのこといわないで」
「解ってるよ……」

 と、加持はちらりと竜馬をみやった。
 彼はそれに気づき、逆にじろりと加持をにらみ返す。

「なんか用か」
「用はないけど、流竜馬って君のことだね。突然、虚空からあらわれてシトをバタバタと
なぎ倒していった、ゴリアテの戦士」

653:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:25:03
支援

654:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:25:08
「ゴリラだとてめえっ、ケンカ売ってんのか!!」
「上の人たちが君をそう呼んでるんだよ。あとゴリラじゃないから怒らないでくれ」

 なお、ゴリアテとは旧約聖書に登場する、巨人の名である。敵の兵士と戦い、かれらの
神をあざわらったが、羊飼いの少年ダビデによる投石を額にうけて倒れ、みずからの剣に
首をはねられ死んだという人物だ。
 日本人の感覚でわかりやすく例えるなら、一寸法師と鬼のはなしだろうか。
 ゼーレは、つまり竜馬とゲッターをこの鬼にあたる存在だと認識しているのだろう。
 どんなに強かろうとも、結局は討ち倒される存在である、と。
 それが自分たちの驕りであるともしらずに。

「わけのわからねえ事をいいやがって」
「すまんすまん、謝るよ。ところで」

 と、怒る竜馬をおさえて話題を変えるべく、そこで一呼吸おいてから聞く。

「竜馬君、君は葛城と同居してるんだって?」
「ああ? まあな」
「こいつ寝相悪いだろ」

 その言葉に、場が凍り付いた。
 いうまでもないが、大の異性同士がお互いの寝相を知るということは、つまり寝床を共
にする関係だということである。
 さっそくミサトが食って掛かった。

「うわああああッ! あんたなにいってんのぉぉぉっ!!」

 狂乱したような勢いだった。
 それはそうだろう、誰だって自分のプライベートを他人に知られたくはないものだ。
それが恥ずかしいことであれば、なおのことである。
 だが、加持や、そして竜馬にはそういう基本的な概念が欠如している。

655:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:26:19
「まあたしかに悪ぃやな。俺も人のことはいえねーが……」

 と、返す竜馬。
 それを聞いた加持は顔を崩してニヤけると、ミサトと竜馬を交互にみてからいった。

「お、もしかして葛城といい仲なのかい? 大変だぞ、こいつは」
「いいや。コイツがいつも飲んだくれて居間に転がってんの見てるだけだ」
「あっはははは。それは君も災難だったな」

 と、男二人が妙に下世話な話で盛り上がる中、ミサトは肩をぷるぷると振るわせる。
 あたりまえだ。
 異性に目の前で自分の恥部を話のネタにされて怒らない人間などいない。
 やがて耐えかねて、

「いいかげんにしろおーッ!!」

 と、叫んだ。

「三人とも静かにしなさい。ここは食堂よ」

 すると、親指の爪をかじりながらリツコが不愉快そうに注意した。
 もっともである。食事の場で騒ぐことをよしとするのは、宴会やカラオケをのぞいて不
作法の極みだ。
 ただ、リツコの不愉快はそれのみではないようだった。
 その目がふらふらと竜馬を追っている。
 それに感づいたのか、加持がリツコの肩をぽんと叩くと、

「そういや言い忘れてた。碇司令がお呼びだってさ。俺も呼ばれてるんだ、いこうぜ」

 といって、二人は連れだって食堂から消え去っていった。

656:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:27:22
 ところは変わり、第三新東京市、地上。
 シンジに焦点をあてる。
 彼は竜馬とアスカの意思を見たとき、改めて自分がネルフにいることの意義がわからな
くなっていた。
 ゲッターでシトは倒せる、さらにエヴァのパイロットも自分だけではない。
 その中で、あえて死の恐怖に耐えて戦う理由はなんなのか?
 父親に認めてほしいからか、それとも竜馬に認めてほしいからか。

(あの時は竜馬さんに流されてゲッターやエヴァに乗った。けど、結局僕は、胸を張るこ
となんかできやしない)

 と、真っ青な空に対して、少年の心の中は灰色の雲でおおわれていた。

「はあ」

 ため息と共に、とぼとぼと街を往く。
 しばらくいくと交差点にレイがぽつん、と立っているのがみえた。すでに信号は青へと
切り替わって人々は渡り初めているのに彼女は動こうとしない。
 みなが、不振げにすれ違っていく。

「あ、綾波……」
「碇君」

 シンジが呼びかけると、レイは待っていたかのごとく応えた。

「どうしたの、渡らないで」
「ここ、ネルフ本部にいく道だから。来ると思って待ってたの」
「えっ」

 シンジはとまどう。
 わざわざ、他人と道ずれになることを望むような娘ではなかったはずだ、と思考が錯綜していく。

657:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:28:24
 そんなシンジの心を知ってか知らずか、レイはいった。

「本部に行きましょう。碇君に、たぶん見せなきゃならないものがある」
「僕、に……?」

 レイは含めた言葉を残して、点滅しはじめた信号を小走りに渡っていく。
 シンジもそれを追いかけていく。
 後には、交通の音だけが残った。


 さらに場所は移り、ネルフ本部内、ゲンドウの執務室へ。
 広大な空間に一個だけ机が置かれた異様な部屋だった。天井と地面には、紋様があしら
われている。
 そこで彼が事務するべき内容は、組織内の維持についてのことだった。
 くわえて頭の中で竜馬の処遇を考えている。

 ネルフはアスカの捜索および奪回がむろん急務であったが、かといって通常業務の方を
おろそかにするわけにはいかない。
 この時点で、エヴァ零号機は大破修理中、初号機もやっとダメージが回復したばかりで
シンクロテストを重ねなければならない状態だった。
 必然、万が一シトが襲来した際の頼りはゲッターロボとなり、ネルフとしては非常に心
許ない状態である。
 戦力でなく、信頼性のことだ。
 もっとも制御に問題のあるエヴァも信頼性が高いとはいえないが、それでもゲッターの
ように完全に未知の存在なわけではない。

 しかも竜馬はシトが来れば戦いはするものの、命令を聞かないのは当然としてシンジな
ど本来エヴァ専属のパイロットや、果てはリツコのような非戦闘員を勝手にゲッターに乗
せていってしまう。

658:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:29:07
ダイナミックに支援

659:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:29:31
 しかも竜馬と触れるにつれて、その人間もだんだんと感化されていく始末だった。
 これでは組織としての規律が保たれない。
 ゲッターの戦力はエヴァが万が一、動けないときの保険としては魅力的であったがゆえ
に今まで放置されていたがゲンドウは、この目の上のたんこぶがいい加減、厄介に感じ始めていた。

「野次馬も、ほどほどにせねば劇は完遂しない」

 そう、漏らすほどに。
 とするならば、流竜馬さえいなければいいのである。

「奴を消せば、静かになる。それはゼーレの老人も歓迎することだ」

 だが、それこそ容易でないことはゲンドウがその身をもって思い知っていることだ。
 竜馬自身にバケモノじみた身体能力があり、SPが数人むらがっても子供のように蹴散ら
されてしまう。
 剣も銃も通用しない。
 まるで正義のヒーローを相手にする悪役の状態だったが、ひとつ竜馬がそのヒーローと
違うのは敵対する者は、何の容赦もなく殺りくすることである。

 これにゲッターが加われば、力押しではどうにもならなかった。
 仮に、シンジ達を煽動してエヴァの全機がかりでもって竜馬を潰そうとしても、下手を
すれば返り討ちの目にあう。
 ゲッターを奪うにしても無人のゲットマシンが自動操縦で動くなどからみて、竜馬の意
思に呼応しないとは限らない。
 現にエヴァがそういう存在なのだから。
 どちらにせよ竜馬を敵に回して殺害に失敗すれば、どうサイコロの目がでていくか予想
がつかなくなる。
 かれのシナリオからは、大きく逸脱することになるだろう。

「結局、ヒトの敵はヒト、か―」

660:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:39:04
どー見ても無駄な事と考えてるな~このマダオはW

661:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:45:18
・・・もしかして猿さん規制受けたのかな?

悪いことは言わない、ゼーレもゲンドウも無茶は止めておけ
下手に手を出すと滅茶苦茶でかい何かに地球ごとドワオされるw
それにしても「ダイナミックな生命」か・・・いい言葉だ

662:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:55:21
名前欄がまだ「ここまで」になってないから規制かな。
しかしゲンドウ、休むに似たりのバカの考えというか、
対リナ・インバース対策の無益な思考ループにはまった盗賊の頭のようだ。

663:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:01:01
暴君(将造、竜馬)は毒殺か。

664:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:03:52
効く毒があると思うのか

665:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:05:51
毒を喰らわば皿までを地で行くからな

666:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:09:09
皿に乗ってたら何でも食うだろうしな

667:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:21:38
皿にのってなくても食う奴も一人いるな、大雪山に
加えて言うならその男を除いては毒には強いが食中毒には弱いw

668:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:23:11
スカトロはやめてー><

669:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:36:36
ゴリアテのつもりがゼウスだったと

670:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 09:39:56
前半のモノローグとかすげえわくわくするな。

671:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 10:54:44
つーかもしかしてリツコは竜馬に惚れてるのかw
ゲンドウに想いを寄せるよりははるかに健全というか、本人的に楽な方向へ向かうとは思うが
面白いキャラになってきたなあw

672:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 12:16:07
伝説とかそういうのはよくわからんが、面白いからよし!

673:昨日の残り分
07/11/08 12:45:17
 ゲンドウはいいながら、その広大な部屋に入室してきた二人の人物に目をやった。
 一人はいつもの白衣に身を包んだリツコだ。
 そしてもう一人は……

「来たか」
「ええ、来ますとも。来ないわけにもいきません」

 加持はその手に持った、巨大なアタッシュケースをゲンドウの執務机の上にどすんと置
くと、おもむろに封印を解いて中身を明らかにしていった。
 その中には……

「確かに持ち帰りましたよ。固めてありますが、間違いなく生きてます。人類補完計画の
―かなめですね」
「ああ。最初の人間……第一のシト・アダムだよ」

 ゲンドウはケースの中のコハク色のベークライト(フェノール樹脂)で固められた胎児
のようなものを見て、普段みせない笑みを浮かべてつぶやいた。

「そのコピー品がエヴァとは、よくいったものですわね」

 リツコもそれを見ながらつぶやくようにいった。
 ゲンドウはそれに頷いたような仕草をみせると、つぎにいった。

「ところで加持君……ネルフに停電が起こらないといいのだがな」

 その言葉にぎく、と加持の動きが止まる。
 彼は苦笑いを顔にうかべながら、

674:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 12:46:28
「ハハ……人類の科学の粋をあつめたネルフが停電なんて」

 というが、ゲンドウはぴくりとも動かずに

「その、人の手によるならば話は別だ。聡明な君のことだ……私が君の正体に感づいてい
るのは承知のうえのことだろう」

 といった。

「……」

 加持は、答えない。
 答えるわけにはいかなかった。どう答えようとも、ゲンドウの言葉を認めるようなもの
だからだ。
 しかしゲンドウは返答を待たずにつづける。
 そして、その先にある言葉は、加持を驚愕させるに十分すぎるものだった。

「構わんさ」

 加持の目が見開かれる。
 ゲンドウはそれを認めると、いつもの机につっぷして掌をくむ仕草になった。

「君の欲しがっている情報のひとつやふたつは、くれてやるさ」
「……ずいぶんと、気前のいい話ですな」
「君と交渉したい」
「私と」
「そうだ。流竜馬にはもう会っただろう」
「ええ」
「奴は計画の邪魔になる……君にとってもそうだ。あの異常にカンの鋭い男がネルフに
いてはいろいろと動きづらかろう。
 施設がしばらく止まるのには目をつむろう……だが代わりに」

675:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 12:47:30
「殺れと。私は暗殺者ではないんですがね」
「必要とあらば行うだろう」
「……まあ。しかし、彼にいどんで勝てるとは思えませんな。無駄死には嫌ですよ」
「そのために赤木リツコ君を呼んでいる」

 ふと、ゲンドウがリツコをみやる。
 その視線にさらされる彼女は、複雑な表情を浮かべてたたずんでいたのだった。


・・・


 暗い部屋の中、一対の男女が組み合うようにして寝具の上に重なっている。
 宿直室かなにかだろうか。それほど広くはない。
 男の方はガタイが良く、まさに丈夫という言葉が合うほどの大男で、逆に女の方は細身
のシルエットを映し出していた。

「で……この停電時に、なんの酔狂でこんなことをしやがった。リツコ」

 と、その男、竜馬が異様なまでに鋭い眼光でもって、自身に組み付くリツコを射貫くと
呻くようにしていった。
 リツコは頭を下げることでその視線を避けるようにするだけで、なにもいわない。
 だが竜馬は無視してつづける。

「力でダメなら女で、てえのか。あのヒゲジジィの考えそうなこった」

 というと、その言葉にリツコの肢体がビクリと反応する。
 それに竜馬は確信した様に、

「あれがおめぇと出来てることぐらい、見抜けん俺じゃねえぞ。おまえがヒゲジジィを見
てるときだけ、目が違っていた。ゲッターを見る目とも違う」

676:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 12:48:37
 と、畳みかけた。
 するとリツコはいよいよ震え、竜馬のむなぐらに頭をなすりつけるかようにしたあと、
ぽつりぽつりと語り始める。

「そうよ。これは碇司令の差し金……」
「やはりな……目的は俺の命か、ゲッターか……いや両方か」
「ええ」
「大それた野郎だ。そいじゃこの停電もてめえらの自演ってわけか」
「ええ」

 リツコは力なく答えるだけだ。

「で、俺を道連れに、この部屋ごと自爆でもする気か」
「その通り。私がいけにえで、処刑役は加持君」
「あの野郎はなんか異様な感じがしたがそういうことか。しかし、てえした奉仕の精神だな。
俺がお前ならゴメンこうむるぜ」
「何の見返りがなくても、あの人のためなら、何でもできるつもりだったわ。
 だけどね、流君」

 というと、リツコはぐい、と竜馬の胸にあごを滑らせるようにして顔を上げる。
 その大きな黒目で覗きこむようして竜馬を見つめると、眉が下がったままの笑顔で凄みかけた。
 白目が、赤く充血していた。
 リツコはおもむろに、ベッドの下に手を伸ばして拳銃を取り出すと竜馬に向ける。

「……」

 しばらくそのまま黙していたが、やがてふ、っと息を吐くと瞬時、猫のような身軽さで
体をひねると拳銃を天井へ向けて数発撃ち出して、さらにベッドの下に落ちていた衣服の
中から取りだしたリモコンのようなものを、空中に放ってからそれを撃ち落とした。
 がしゃり、とガラクタになったリモコンが地に転がる。

677:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 12:49:45
 天井から透明なプラスチック破片のようなものが、ぱらりと落ち、硝煙の香りが密室の中にただよう。
 暗闇の中に、リツコの白い上半身が一杯に映った。
 彼女は竜馬を見返して言う。

「あなたカンは鋭いけど、自分がどう見られてるかはもう少し考えるべきね」

 と。
 その言わんとしていることは、竜馬にもわかる。が、

「うるせぇ」

 そっぽをむいて悪態をつく。
 実際、こういう愁嘆場は彼のもっとも苦手とするところのひとつであった。それがゲンドウ
にも見抜かれていたから、こういう手段に打って出られたのであろう。
 犯罪の影には女と金。よくいったものである。
 だがリツコは再び竜馬におおい被さると、彼の両肩を細い手でぎゅっとつかんで、

「体も心も、すごく軽いのよ。ゲッターに、そしてあなたに逢ってから。
 私を利用するだけの男を見限って、あなたみたいな人を選んで何が悪いっていうの……
助けてとはいわない。けれど付いていくぐらい、許してくれたっていいでしょう!
 もう、救いのない苦しみにあがくのは嫌なのよ!!」

 ほとんど叫ぶように言った。
 竜馬も再び視線を戻す。

「頭のいいくせに、変なトコにこだわるやつだ。こうなった以上、俺に味方し続ければ、
いずれはネルフを裏切ることになるぜ。それともこれもヒゲのもくろみの内ってか?」
「私を信じる信じないは、あなたの自由」

678:ここまで
07/11/08 12:50:50
 いいながら、リツコは銃の先端を手にもちながら、竜馬へとそっと渡した。
 その手の内に金属のごろりとした感触が一杯に広がっていく。
 信じないなら殺せ、という意味であろう。
 それをもって、竜馬は、

「……上等だ。信じてやる。二回目だな」

 といって、リツコを押してむくりと起き上がりながら、

「どうせ加持の野郎が張ってんだろう。あいつも連れてこいや、おめえらに見せてやる。
俺がこの世界に来た理由をな」

 そういって、いまリツコから渡された銃を「持っておけ」と突き返すのだった。



察しのとおり、規制くらったです。
せっかく支援してもらったのに、ごめん。

679:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 13:32:58
お疲れ様っすー。災難でしたね。
そういえばこの話の竜馬っていくつくらいなんだろうか。

680:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 13:50:04
いつにも増して乙です

どんどん話が確信へと近付いているようですね
マジでドキドキする
どんな風に話がオチていくのか本当に楽しみ
でも面白すぎて終わって欲しくもないような…フクザツw

しかし今回の竜馬…
ちゃんと据え膳食うんだーw
特にチェンゲや新ゲの竜馬なんかだと目の前の据え膳に
気付きもしないっつーか気付いても全然興味持たなそうな
イメージがあるからw

でもまさか竜馬ってばリツコさんが初めてうわなにをするドワオ


681:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 13:57:50
何を言っている、拓馬がいるんだからそんなわけないだろう
しかしこのままリツコに手を出したら「裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!」と拓馬君が乱入して親子喧嘩しそうだw

関係ないけど竜馬の奥さんってゲッター斬のパイロットに似ていると思った

682:680
07/11/08 15:44:57
あ…拓ちゃんのことうっかりしてた
申し訳ない
OVAの女に縁のなさすぎる竜馬が刷りこまれ過ぎてたようです

683:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 16:49:18
女に縁がないっつーか、女が出てこないからなぁ。
まぁゲッターに女は必要ないけど。
賢ちゃんも女の子書くの苦手って言ってたしね。

684:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 17:30:05
竜馬って孕ませた事知らずに死んでったんだよな
結婚する気もなかったみたいだし
これだけだとなんか違うベクトルに外道だなw

685:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 17:41:20
なにげに竜馬はもてる。
新ゲッター1話のフィリピーナの言葉をかりるなら「可愛い」らしい。

686:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 18:09:48
チェンゲだとミチルさん以外興味無し
ネオゲだと奥さん有り一応恋愛とかは出来るらしい
新ゲだと女としてよりダチとして見てた感の有る頼光位か?ミチルさんとはそんなに絡まなかったし
OVAは確かに女っ気にかけるな。
無印とGは何だかんだと有った記憶はある

687:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 19:41:38
>>684
といってもガスや水道代も払えない貧乏寺で酒かっくらってごろごろしてた
生活破綻者だから結婚してもうまくいかんだろう。

688:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 19:45:48
しかし何だな、ゲンドウは自分の死刑執行命令書にてめえでサインしたようなもんだな。
竜馬は明確に敵対行動を取らない限り自分から手は出さないのに、よりによって
恐らく一番嫌悪するような方法で小細工を仕掛けてきたんだからな。
もっとも誠心誠意腹を割って包み隠さず説得したところで補完計画なんぞ
絶対に乗らないだろうから仕方ないのかもしれないがいずれにせよオワタな。

689:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 20:20:10
誠心誠意腹を割って「惚れた女を取り戻すためだ。邪魔してくれるな」と言った方が
明らかに成功率高いと思う。

690:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 20:32:24
>>689
その場合、そんな回りくどい事してんじゃねぇ!と、初号機からユイを引き摺り出しそうなんだが・・・物理的に

あれ?もしかしてこれハッピーエンド?

691:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 20:35:32
>>689
その場合、そんな回りくどい事してんじゃねぇ!と、ユイを初号機から引き摺り出しそうなんだが・・・もちろん物理的に










あれ?もしかしてこれハッピーエンドフラグ?

692:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 20:41:43
劇中で見る限りゲンドウって決して有能な人間じゃないからな
臆病だから他人を突き放す言動=冷徹な命令が出来るってだけ
代えのきかないパイロットのメンタルケアは一切無しとか、他組織との関係を悪化させてばかりとか
どう考えてもトップじゃなかったら間違いなくクビにされる失態じゃないか

693:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:02:50
まあマダオだしな。声とか

694:つづき
07/11/08 21:11:23
 竜馬は軽く身仕舞いをすると、デニムジャケットを羽織って部屋の出入り口に近づく。
重い扉を力任せに横へ引っ張っぱると、障子の戸のごとく、すぱっと開いた。
 普通なら人力で開けるのには数十秒かかる扉である。
 あらためて竜馬の怪力がどれほどのものか、よくわかる場面であった。

 現在、ネルフは加持の手によってMAGIなど一部の最重要機能維持に必要な電源をのぞい
て全館において停電してしまっている。
 ただしその真実を知っているのは加持に行動を示唆したゲンドウと、共謀者のリツコ、
いまそれを彼女から聞いた竜馬、そして副司令の冬月だけだ。

 加持は竜馬とリツコを端末で監視しながら、自分が求める真実に向かってジオフロント
の地下の地下へと入り込もうとしている。
 もっともその端末から監視できるはずのカメラは、さきほどリツコの手によって破壊さ
れてしまったので、現在、加持はその異変に気づいているだろう。
 だが彼は止まらない。

 竜馬の暗殺計画が失敗に終わったとしても、それは加持にとって重要なことではない。
ネルフの隠し持つ秘密を、少しでも知ることが目的なのだから。
 頭をかかえるのはゲンドウだけだ。
 竜馬を追って部屋から出てきたリツコが、白衣を片手に、やや乱れた着衣のまま竜馬にいう。

「待って。あなたの秘密を聞く前に、ターミナルドグマまで案内するわ。先にネルフの真
実を教えましょう……加持君も、そこへ近づいている」

 だが、

「ああ、俺もそこへ行くつもりだ。場所も知ってる」

 と、ぶっきらぼうに返した。
 これにはリツコも、ぱさりと片手の白衣を落として固まってしまった。

 ―なぜ、あなたが知っている。

695:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:12:27
 その驚き様は、さきほどまで朱に染まっていた頬の色が、一瞬にして青ざめていったほ
どだった。
 ターミナルドグマは、機密保持空間と研究施設をかねたジオフロント深部・セントラル
ドグマよりもさらに下がり、地下七〇〇〇メートルの場所に位置する、ジオフロントのコ
アと呼べる場所だ。
 ここはネルフの中でもその創設に関わったほんの一握りの人間しか、存在を知らないは
ずだった。
 だが、竜馬はそれを知っている。
 カマをかけているわけでもなさそうだった。 

「流君……あなたは、いったい」
「黙ってついてきな」

 と、竜馬はリツコに背を向けたまま、暗闇の中をどんどん進んでいってしまう。まるで
この施設のルートが、全て頭の中に入っているかのようだった。
 リツコはあわてて落とした白衣を拾って羽織ると、その背を追いかけていった。

 二人は、やや足早にぐねぐねと迷路のように曲がりくねったネルフの通路を進み、途中
で閉ざされた扉を開け、あるいは力ずくで破壊して歩いていく。
 終始、無言であった。
 竜馬にしてみれば無駄な会話は面倒くさいだけで、リツコにとっては竜馬があるいはゼ
ーレかなにかの使者なのではないか、という疑念にかられて、言葉を発せない。
 ただ、さきほどの自分を撃たなかったという彼の行為を信じるだけであった。

 幾重もの階層をくだって、さらにそこから電源の生きていたエレベーターに乗って下っ
ていくと、やがて電光の消えた案内表記にかすかに「立入禁止区域」と書かれた区画まできた。
 そこにも電源の生きている扉があるのが見えた。
 ロックを解除するためのカードリーダーの緑色のLED光が、きらきらと自己主張していた。


696:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:14:09
 だが、この場所まで迷うことなくやってくるということは、間違いなく竜馬はターミナ
ルドグマの存在を知っているということだった。

 竜馬が、ここで初めて口を開いた。

「リツコ、開けてくれ。さすがにここだけは俺の力でもどうにもならねえ」

 と話した。
 はて、とリツコは思った。存在を知っていて、しかし侵入する方法はもっていないとは
どういうことであろうか。
 だがいまは、それを疑って悩んでいる場合ではない。
 竜馬の暗殺に失敗して、なお彼と行動を共にしていることがゲンドウに発覚すれば、そ
の命はない可能性が高い。
 もはや、リツコはどうあろうとも、その運命を竜馬と共にする気であった。

「ええ」

 それだけいうと、懐からカードキーを取り出すと読み取りにかけてロックを解除する。
 すれば扉は重い音をあげながら、上下に口を開いて二人を迎え入れた。
 その先に見えたものは……

「こいつか……」

 あらわれたものは、広大な空間にそびえ立つ巨大な十字架にイエスよろしく、はりつけ
にされた巨人の姿だった。
 全身が真っ白で、その下半身は引きちぎられたかのように無く、そこから無数の人間の
足が生えているような不気味な物体だった。
 さらにその顔の仮面のような部分(仮面ではなく、これが素顔かもしれない)には、そ
れぞれ向かって左に三つ、右に四つの目玉が縦に並んでいた。
 顔だけはまるで、日本妖怪の百目のようだった。

697:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:15:13
 その異様さに目を奪われるが、足下にはリツコのいった通りに加持とミサト、
それにシンジがいた。
 みな、一様にして巨人の姿に見入って身じろぎひとつしておらず、竜馬とリツコの侵入
にも気づいていないようであった。
 なにも音がしない。
 竜馬が踏み出すと固い床をかつん、と蹴る音が辺りに鳴り響く。
 はっ、とミサトが振り向いた。

「……リョウ君、それに、リツコ」
「おめえも来てたか。さては加持の野郎をつけてたな」
「そんなことどうでもいいわ。あなたまで、知ってたの……?」

 ミサトが放心したかの様子でいう。
 竜馬は短く、ああ、とだけいうと空間の中央へと歩を進めていく。
 そして加持のよこに近づくと、ぎろりとそちらを睨んだ。
 加持も煙草をくわえたままちらり、と竜馬に目を流す。
 しばらくそのままだったが、先に口を割ったのは加持だった。

「やれやれ……リッちゃんの目がおかしかったから、ひょっとしたらと思ってたけどね。
司令はどうも人の心を知るのは、苦手らしいな」
「んなこたどうでもいい」
「……おや、許してくれるのかい。もっと恐い人だと思ってたよ」
「リツコがカメラをぶっ壊した時に爆破しなかっただろ。
 そっちからでもできるようにヒゲなら、しむけてたはずだ。てめえ初めから奴の言う
ことなんざ聞くつもり、なかったな」
「バレバレか」
「いいのか。たぶん命取りになるぜ」
「もとより覚悟のうえさ」
「へっ、言うじゃねえか……気に入った。いいことを教えてやる、てめえがアダムだと思
ってるこのバケモンの正体はリリスってんだ。アダムじゃねえ」
「なにっ……!?」

698:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:16:21
 竜馬のことばに、それまで雲のような態度をくずさなかった加持が、その口からタバコ
をぽろりと落としてはじめて動揺した。
 そして、今度は体全体を竜馬にむけて問い詰めるようにいった。

「ど、どういうことだ」
「おめえの持ち帰ったアダムの胎児は、あのヒゲがまだ持ってる。そんなに早くは再生で
きねえよ……こいつはまったく別の生命体、リリスだ。初号機のオリジナルよ」

 ふっ、と加持もミサト同様に脱力したようだった。
 竜馬が知りすぎていることに、思考の整理がつかなくなっているのだろう。

「しかし、俺の荷物まで知ってるとはな……デタラメじゃないだろうな」
「ホラなんざ吹いたところで何にもならねえ。証拠をみせてやる……おおい!!」

 と、竜馬がさけんだ。
 するとあまりにも広くここだけは電気が通って照明もついているはずなのに、暗く染ま
って見えない空間の奥から、風がうごいた……かと思うと、すぐさま突風となりここにい
る人間全員の肌を叩いた。
 そして、闇をつらぬき菱形につり上がった二つの黄色い巨大な目が空間に現れる。
 ゲッター1だった。
 それは空間を縫うように飛ぶと、やがてゆっくりと竜馬たちの側へと着地する。
 ずずん、と地が響いた。

「げ、ゲッターロボ……なんでここに。誰が動かしてるんだ」

 これには、それまでずっと黙っていたシンジが、つぶやいた。
 どうやってこんな地下までゲッターが来たのかも謎である。
 シンジはふと「ゲッター2でここまで潜ってきたのか」とラミエルと戦ったときのこと
を思いだしたが、そういうことを聞いている余裕は自分にも、周りにもなさそうだった。

699:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:17:50
 ゲッター1は、しばらくその場にたたずんでいたが、やがて右腕をその肩にやるとゲッ
タートマホークを射出する体勢になった。
 まさか、このバケモノを斬るつもりなのか、と誰もがおもった瞬間だった。
 しかし……

「ロンギヌス、ランサーッ!!」

 ゲッター1から、聞き覚えのある少女の声が響くと、本来ゲッタートマホークが射出さ
れるはずのポイントから、二叉の長大な槍がぎゅんと飛び出た。
 ゲッター1は飛び上がってそれをキャッチすると、ぐわりと両手で振り回して、さらに
リリスと呼ばれた白い巨人の腹に突き刺した。
 ぐっ、とリリスがうめいたようだった。
 だがそれに驚くよりも、ゲッターから響いた声にシンジは反応する。

「こ、この声……まさか綾波っ」

 すれば、その声に呼応するかのように、ゲッター1のコクピットハッチが開け放たれる
と、そこからレイの姿があらわれた。
 やはり、ゲッター1を操縦していたのは彼女であったのだ。

「……途中まで一緒にいたのに突然消えたと思ったら、どうしてここに!?」

 シンジの呼びかけに、しかしレイは応じない。
 それどころか、レイはコクピットからぐい、と身をのりだすと、そのまま飛び上がって落ちていく。

「あ、綾波ぃぃっ!!」

 シンジの悲鳴があがった。
 だが、レイは空中で身を軽くひるがえして、さながら棒高跳びの選手のように約四〇メ
ートル下の地面へと片ひざをついて着地した。
 そして、何事もなかったかのように身を起こす。

700:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:19:05
 それを見ていた竜馬をのぞいた、全員が絶句する。
 四〇メートルの高さから落ちて平気な人間など普通はいない。竜馬や将造ならば
ともかくとして、ただの人間は間違いなく死に至れる衝撃を受けるはずなのだ。
 だがレイは涼しい顔で、すたすたと歩いてきた。
 みなが圧倒される中、竜馬だけがその姿にぱちぱちと拍手をおくる。

「あざやかな操縦じゃねえか」
「流さん」

 レイはそれを受けたのか、竜馬に寄るが、すっと腕をあげてその肩の後ろをさした。

「碇司令が、来たわ」

 と、いった。
 その言葉に全員が振り向く。
 すれば、開け放たれたままだった扉の入り口に、うつむき加減のゲンドウの姿がいつのまにかあった。
 彼にしては珍しく、怒りの感情が走っているようだった。
 まず、ゲンドウはリツコをみる。
 彼のかけたサングラス越しに鋭い視線がなげかけられるが、リツコは金に染めた髪をかきあげるだけで動じない。
 ゲンドウがいった。

「赤木リツコ君……君に問いたい。なぜ、命令を無視した」
「いつまでも女の心をつなぎ止めておけると思ったら、大間違いですわ。かわりにダミー
システムは、あなたとの別れ金としてキチンと完成してさしあげます」
「……君には失望した」
「私には、初めから何の期待も望みも持たなかったくせに」

 それだけいうと、リツコは竜馬の腕をとるような仕草をみせた。
 シンジがそれに嫌なものを見るような表情になっていたが、彼女は相手にしない。
 リツコなりの、復讐だったのであろう。竜馬は黙ったままだ。

701:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:20:18
つづいて、加持が前に進み出た。

「司令。私もあなたを裏切りましたが、しかしおかげでこれが、アダムでないことも解り
ましたよ。リリスとはなんです」

 ミサトが心配そうに見ていた。
 だが、加持の言葉にゲンドウは反応しない。
 そして彼はいよいよ自身の計略によって殺害を試みた相手、竜馬に目を向けた。
 すれば、竜馬はかっとその目を見開いて、天地をも張り裂けんばかりの形相でゲンドウ
のまなこをつらぬいた。
 見えない弾丸が飛んだようであった。
 その勢いに、ゲンドウも体をびくりと震わせて戦慄する。
 だが、それでもなお彼はいった。

「なぜだ……なぜ、貴様がロンギヌスの槍を持っている。なぜレイが貴様に協力する」

 そういったが、竜馬は答えない。
 かわりにだっとゲンドウの元へと走り寄って、

「黙りやがれぇッ!!」

 と、助走の勢いのまま腰をひねってそのアゴにむかい、強烈なアッパーを撃ち込む。
 ゲンドウが悲鳴をあげる間もなく、凄まじい威力の拳に体ごと弾かれて、空を舞うと地
面へと叩きつけられた。
 彼の脳裏に最初、竜馬と争った記憶がよみがえるが、つぎの瞬間にはその腹を竜馬の足
にふみつけられた。
 げっ、とおかしな声があがった。

「俺はてめえの様な、コソコソと裏で動く野郎が一番嫌いなんでぇ! 本当だったら、
この場でぶっ殺してやるところよ……だがな」

702:ここまで
07/11/08 21:22:06
 と、竜馬はシンジと、そしてレイに顔をむけた。

「それでも、妻と子の前で、父親を殺したくはねえ」

 そういった。あとは足を話すと、さっと後ろにひいて腕をくむ。

「おめえが説明してくれや、ユイ。俺だと手がでちまう」

 と、レイに向かっていった。
 だが彼女を、竜馬はユイと呼んだ。レイにそのようなあだ名はない。では……

「うぐっ……ゆ、ゆい、だとっ!」

 その言葉に真っ先に反応したのは、誰在ろう息も絶え絶えのゲンドウだった。
 ゆっくり歩を進めるレイは仰向けに倒れふすゲンドウの真上にくると、ゆっくりと腰をかがめてしゃがんだ。
 そして、

「本当は、私もここで流さんに殴られなくてはならない。あなた」

 といった。
 その声色がきゅうに低くなり、少女のものでなくなる。
 大人の女のものだった。
 ゲンドウがうめく。

「ば、ばかな。ユイは、ユイは、エヴァに……初号機に、取り込まれたはずだ。そう、あ
のときおまえは初号機の中にっ……」
「今も、彼女は初号機の中にいます。私は……はるか未来の碇ユイであり、同時に綾波レ
イ・リリスでもある。魂の複合体。そしてゲッター線の使徒」
「……ウソをつくな。流竜馬、レイになにをした、何を吹き込んだッ」

「あなた、落ち着いてください。今から、真実を明かします」

703:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:26:05
なっなんだってぇぇぇぇぇっ!?
ユイさんがエンペrドワォ

704:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:44:08
話が急展開してる。

705:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:47:05
これは「俺たちの戦いはこれからだ」フラグだな

706:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:50:40
そこまで忠実に賢ちゃんを再現しなくても。号虎はダイナミックお得意の「俺たちの戦いはこれからだ」
エンドじゃ読者に怒られるよと編集長に言われてちゃんと完結までもっていったんだから。
・・・まあある日更新の気力がつきて尻切れトンボよりは「俺たちの戦いはこれからだ」
でもいいけど

707:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 22:00:24
レイがタイール化している!?
これはまさkドワオ分かったぞ早乙女!ゲッターの意思とは!おお、進化とは!

708:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 23:06:39
急にして超展開自体もさる事ながら、ゲンドウざまぁwwwwwwwだけで
ご飯三杯はイケるGJですた。
種死系のSSでラクシズが報いを受けるタイプの噺を読んだ時に似た
溜飲の下がり方というか。
ただあちらだとファンも多いのであまり喝采していると反発もあるわけだが。
エヴァの改変・クロスものはこのスレのしか読んでいないのでわからないのだが
他にもこういう見せ場を持ってくるSSはあるの?

709:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 23:55:25
最初に言っておく。
以下の発言は、かーなーり、板違いだ。

>>708
ラクシズを憎むのも結構だが、ラクシズが虐殺されるのを見て拍手喝采するのって
結局あんたは負債と同じレベルってことだぞ?

710:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 23:59:27
まったくスレと関係ない作品挙げてる時点でもう救い様の無い種アンチとしかね…
空気読むことと場所を選ぶことを覚えろと

711:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:11:25
>>709-710
俺はボインちゃんが大好きでな!

712:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:23:54
>686
ネオゲに奥さん出てたっけ?

713:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:25:17
>>709
別に虐殺だとか書いてないんだがお前さんも過剰反応気味だぞ。

714:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:26:21
ロンギヌスランサーで盛大に吹いたところでド肝を抜く急展開。
予想とか無粋以前に不可能。もはや次回を待つだけの俎上の鯉。

715:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:41:36
>>713
ごめんね、侑斗も心の中じゃ皆に謝りたいと思ってる。

[ ゜◇ ゜]⊃[>@<]  デネブキャンディーだ!これから皆仲良くしてね。

716:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:50:24
漫画の竜馬は真ゲッターの啓示をあっさり受け入れて、全てを取り込み
火星に飛び立つという補完計画の親戚みたいな挙に出て、またゲッペラーを
司っているのもどうやら本人らしいが、正直違和感があると言ったらドワオされるだろうか。
個人的には反骨心剥き出しで果てしない戦いを挑む新の方がまだ納得がいくのだが、
ここの竜馬はどんな選択をしたのか…

717:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:53:51
>>712
出てないお
奥さん出てくるのはアークの回想シーンのみ

718:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:59:57
>>716
「あの竜馬を納得させるだけのすげえ真理があったんだろうなあ、すげえぜ賢ちゃん!」って思ってました。ごめんなさい。

719:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 01:13:52
>>716
全てを取り込みつーほどじゃないような。みんな持っていってしまったとシュワルツは
言ったけどアークみれば持っていったもののほうが少ないとおもう。
恐竜帝国も存在してたし。

720:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 01:14:39
>>716
ゲッター線なんか凄いからちょっとノリノリだっただけだと思ってる
運命に従うのも運命なら逆らうのも運命とかいってたのもその場のノリだろう
基本的にテンションに任せて行動してたイメージがある

721:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 01:32:17
原作じゃ竜馬死んでしまったん?

後「俺達の闘いはこれからだ」ENDにはならんでしょ。

722:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 01:34:59
>>721
何をもって原作というのか難しいからなあ・・・できれば具体的なタイトルを挙げてくれると皆判り易い。

竜馬が死んだENDの作品ってあったっけ?

723:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 02:36:30
桜多吾作が手がけたコミカライズでは、最終回でゲッターGが百鬼要塞島ごと
自爆して百鬼一族全員道連れに三人とも死んで終わったバージョンがあるそうな。
ちなみに掲載誌は小学二年生か三年生だったはず……

724:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 03:07:56
そして永遠に出番のない来栖丈・・・

725:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 06:27:46
>>723
それは大都社の決戦!ゲッターロボGに載ってるぜ。
ゲッターチームがゲッター線増幅装置を早乙女研究所から奪って百鬼要塞島へ特攻して死んでしまう最期。
しかも小学三年生連載。あの人は石川賢とは別の方向でとんでもない才能の持ち主だな。

726:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 06:56:45
>>716
同感です。だから、私は新の竜馬が一番好きなんですよ。新ゲも終わり方は虚無ってるけど
なんとなくきれいにまとまっているし。新ゲがOVAでは一番好きです。

727:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 19:55:23
>>718
アレじゃね? ゲッター線が正直に「時天空ぶっ殺さないと宇宙がヤバイから協力しろ」って竜馬に言ったんじゃないの。

728:つづき
07/11/09 20:50:22
「あなた、落ち着いてください。今から、真実を明かします」

 レイが立った。
 彼女はゆっくりと顔をシンジへむけていう。

「シンジ……これから話すことは、とても大事なこと。今は受け入れられなくても、けっ
して耳を塞がずに聞いて」

 と、つらつら話すレイにシンジが待ったをかける。

「ちょっと、待ってよ……綾波が母さんって、どういうことなんだ」
「おねがい聞いて、シンジ。人類補完計画を止めなければ、世界が滅んでしまう」

 レイがいった。
 ここから先は、彼女にかわって代筆しよう。
 レイ……いや、ここでは彼女をユイと呼ぼう。
 ユイのいうとおり、この世界は未来において滅んでいる。
 その理由は、以下に説明する長い経緯によるものとなる。

 さて。
 A.Tフィールドというものが何度も登場してきたが、これは単なる物理障壁ではない。
 わかりにくいが、いってみれば心の壁を具現化した存在なのだ。他者を拒否したいとい
う心の防壁が、現実のものとなって世に現れたと思えばいい。
 エヴァやシトだけでなく、全ての生命がもっている。物質化できるほどに強力なのが上の二体なだけだ。

 これこそがヒトや、その他の生物の自我と肉体のカタチを構成するために不可欠のもの
であって、それが根本から失われるとアンチA.Tフィールドが発生して、その生物はLCL
(羊水に近い物質)なる原始の生命に還ってしまう。
 壁があるからこそ、他者との差ができ、よってカタチも造られるのだという。
 生きようという意思もあらわれるのだという。

729:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:51:35
 そして今、ゲッター1が持ってきたロンギヌスの槍。
 いつの頃から地球圏に存在するこの槍は、そのA.Tフィールドを根本から失わせる力があった。

 この世界が終局をむかえるとき、ゼーレは初号機を中心に一二体の量産型エヴァを、オ
リジナル一本と、一二本にコピーしたロンギヌスの槍で、一斉に処刑した。
 これによって地球の全土に、巨大なアンチA.Tフィールドが発生し、ヒトを含めた全生
命体をLCLへと還して計画は遂行されたのである。

 この、エヴァの元となったのがリリスとアダムだ。

 リリスは、この世界にあっては人類の始祖とされていた。
 その肉体のコピーが、エヴァンゲリオン初号機である。制御の効かないリリスの代わり
であり、これに選ばれた子(シンジのこと)を乗せて動かし、最終的にロンギヌスの槍に
よってアンチA.Tフィールドを発生させるための、柱であった。
 なお、この魂を碇ユイのクローンに移植したものが綾波レイの正体である。
 
 その他のエヴァは、加持がとどけたあのアダムのコピーだ。
 アダムとはなにか。
 それははるか数億年のむかし、リリスに地球での生存権を奪われ、月に隔離されて永い
時を眠りについやした現在の地球にすむ生命体とは、別個の生命体の始祖であった

 初号機以外のエヴァは、アダムからコピーされたヒトのしもべに過ぎない。
 いけにえとなる地球生命は、ひとつでいいのである。
 ほかは、いわゆる王の埋葬の際の副葬的な存在だと考えていい。

 アダムは生存権の獲得に敗北して、月で眠りについていたが、それでも地球による生存
を諦めなかった。
 数億年の時を経て、かれは再び地球に舞い戻り、リリスから生存権を奪い返すべく戦い
を仕掛けてくる。
 だが、すでにこのとき地球にはその子孫の中で最大の知識をもつ生命体、人類がいた。
 そしてアダムが最初に遭遇した人類こそゼーレ、そしてそれと深い関連をもつユイだっ
たのである。

730:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:53:16
 ゼーレはアダムを捕獲するべくロンギヌスの槍を持ち出してかれを突いたが、予想以上
にアダムの発生するアンチA.Tフィールドが強大になり、当時その舞台だった南極をLCLの
海と化し、さらに余波で世界中に爆風の大打撃を与えた。
 これがセカンド・インパクトの正体である。

 アダムはこれにより、胎児にまで還元してしまい自分で動く力を失った。
 そして、しぶとく生き残ったゼーレに捕獲されることとなる。

 ちなみに、これまで現れたシトの正体についても言及しておこう。
 それはセカンド・インパクトによって胎児に還ってしまったアダムの、新たな抵抗の手
段であった。

 アダム自身には、すでに戦う力がない。
 そこで、月に残したみずからの眠り場所、月のジオフロント「白い月」から子供たちを
呼び寄せてリリス、そして人類、地球生命体を打倒しようと考えた。
 それが、今まで戦ったシトの正体である。
 かれらは人類の始祖との生存競争に、負けてしまった者の末裔なのだ。

 ともかく、リリスの分身・初号機を核に、副葬としてアダムの分身、初号機以外のエヴ
ァを用いて、世界中を巻き込むアンチA.Tフィールドの発生……サード・インパクトを起
こして地球生命体をLCLと化させ、地球のジオフロント、つまり黒き月に融合させて新た
な生命とする。

 ここまでがゼーレの計画であった。
 だが、神にしょく罪せねばならないという妄想にかられるゼーレと違い、ユイの目的は
さらにその上をいっていた。

 黒き月に人類を融合させて神へしょく罪するのではなく、リリスのコピー、初号機その
ものに融合させ、人類みずから神となって宇宙を永遠にさまようことを企んだ。
 それで人類の記憶が永遠たりえると考えたのだ。
 そのために、自らがエヴァ初号機と一体となり、さらにその思考の支配下にゲンドウを
おいて、間接的に息子を自分の中へ乗せるように仕組んだ。

731:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:54:24
 ゼーレ案とユイ案は最後まで拮抗したが、最終的にはユイ案が打ち勝ち、人類、そして
地球生命体はエヴァ初号機と共に神となり、永遠に宇宙をさまようこととなる。 

 ともかく……これが、現行の地球生命体が滅亡した未来の出来事だった。
 ユイは満足だったであろう。
 なにしろ、己が願いを果たして永遠の命となって宇宙をさまようことができるようにな
ったのだから。

 だが。
 それをよしとしない存在があった。
 ゲッター線である。
 これはリツコも調べていたとおり、ただのエネルギーではない。
 意思がある。
 はるかな時空の先にある「大いなる意思」と呼ばれる存在によって生み出されたエネル
ギーだった。

 なお、この物語では「時空」は「次元」と考えてもらっていい。
 たとえばこのシンジたちのいる宇宙と、竜馬や将造の宇宙は、別の時空にある宇宙同士
である。
 本来は、平行世界であり干渉することはできない。

 その大いなる意思は、ひとつの宇宙に君臨する神を超越する存在だ。ゆえにすべての時
空に干渉する力をもっていた。
 だが、その彼らも存在の消滅の危機にひんしていた。

 かれらをおびやかした敵の名を「時天空」という。

 時空を超えた宇宙の外からやってくる、ほぼ無限の浸食体と大いなる意思は判断した。
 宇宙のすべてを司ることのできるかれらにも、どれほどの大きさがあるのか、わからな
いほど、途方のない敵だった。

732:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:55:27
 明らかなのは放っておけば、あらゆる時空の宇宙が時天空に飲み込まれて、全ては無に
なってしまうことだった。逃げ場など、どこにもない。
 ゲッター線は、大いなる意思によってこれに対抗するために生み出されたエネルギーで
あり、地球の人類を筆頭に機械・生命とわず進化、あるいは融合させて、対時天空用の兵
器とするための存在だった。

 人類は大いなる意思の期待通り、他の生命体を蹴散らして進化し、さらにゲッター線の
器として最大の威力を引き出すことのできる機械、ゲッターロボをも発明した。

 やがてゲッターロボは他者を喰って進化する力を身につけ、竜馬を乗せたまま気の遠く
なるほどの時間、進化を重ねていった。
 そして、とうとう太陽系をも飲み込む大きさの「ゲッターエンペラー」となるが、それ
でも進化はとまらず、ついには一つの宇宙を飲み込んでしまうほどになっていく。

 それでも無数にある時空のすべてを飲み込む時天空には、ほど遠い存在だった。
 そのため、竜馬はエンペラーをより巨大に進化させるため、いよいよ他の時空に干渉し
はじめた。
 そこでユイやシンジと出会うことになるのだ。
 すでに宇宙そのものの大きさまで進化していたエンペラーには、宇宙をさまようユイが
どこいるかなど、関係がない。

 だが、戦うために進化した竜馬の世界の人類と違い、シンジの世界の人類はLCLの神と
なって滅亡していたのは書いた通りである。
 これに触れた、エンペラー率いるゲッター艦隊は、一部がLCLと化しはじめる。
 シンジの世界の影響が、竜馬の世界に及んできたのだ。

 むろん、エンペラーの力ならば、まだまだ小さなこれを強制的に切り離して消滅させる
ことは可能だった。しかし。
 エンペラーの戦わねばならない相手は、時天空である。
 この程度の相手を取り込めず、撃破しなければならないということは、仮に時天空や、
現時点でのエンペラーよりも巨大な敵と戦えば、為す術もなく飲み込まれるということである。

733:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:56:32
 ゆえに竜馬は引かなかった。
 エンペラーの力で浸食を抑え込むと、その核であるユイの意思を見つけ出して強制的に
引きずりだし、コンタクトした。
 そして竜馬は、ユイに時天空の存在を説く。
 ユイもそれによって真理を知ると、自らの行為が過ちであったと悔いた。

 どうすればいい、というユイの意思に、竜馬はエンペラーの力でこの宇宙の過去に飛ん
で歴史をねじ曲げて修正するという荒技を提案する。
 時間軸をいじったことのよって起こる時空の歪みが発生し、この宇宙ごとエンペラーが
吹き飛ぶ可能性もあったが、竜馬はためらわなかった。

 彼女は、すべての出来事は自分の責任だと竜馬の案を呑み、自らの魂を初号機から切り
離して竜馬の道案内となり、同時にロンギヌスの槍をゲッターに託すことにした。
 そして竜馬は滅亡に至った要因を修正し、全時空の命運をかけた戦いに、この時空をも
参加させるために竜馬はエンペラーのカケラに乗って、過去の地球へ旅立った。

 現在のレイの正体は、この未来のユイの魂がレイの肉体に融合した存在である。
 レイをよりしろに選んだのは、エヴァ初号機にはかつての己の魂が宿っており、思考が
異なりすぎて同居できず共に消滅してしまう可能性が高かったことと、レイの肉体は自身
のクローンであること、さらに魂がリリスだという理由からだった。

 ユイは綾波レイの魂に、同居の協力をもとめたのだ。
 レイは、すべてを理解し承諾した。
 だからこのレイは、綾波レイとしての記憶もあるし、未来のユイとしての記憶もある。

 そして最後に、ここが大事なところになるが、竜馬はただ、大いなる意思に従ってゲッ
ター線を享受し、時天空と戦うだけの存在になるつもりはなかった。

「俺たちをいいように使ってくれたんだ。時天空をぶちのめしてから、ゲッターもろとも
大いなる意思なんてやつらは、消滅させてやる。
 そうでなきゃ、今までゲッターに取り込まれていった奴らに対する申し訳がたたん」

734:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:58:04
 これが、竜馬の最終目的だ。
 真実は定かでない。しかし、彼は信じたことのために戦い続けるというのだった。
 ……長くなってしまったが、竜馬の世界とシンジの世界、この二つをつなげた物語は、
以上のような内容となる。
 ここで場面を、ターミナルドグマに戻そう。
 レイに支えられたゲンドウが、うめくままにいった。

「そんな……途方もない話をされたところで、今の我々に理解できるはずがない」

 もっともである。
 すでに人間が知覚できる限界をこえた話だ。
 
「でも」

 とユイはつづけた。

「本当のことです。私は大きな過ちを犯しました。時天空を倒さない限り、私達が宇宙を
さまよったところで、それはなんの意味も成さない。
 だから、人類補完計画は止め、私たちもゲッター線と共にゆかなければ」

「……本当だったとしても、ユイ。おまえに再会したいというだけで、ここに来るまで様
々な人間を犠牲にした私が、いまさら罪をつぐなうために改心するなどと……誰が許してくれる」

 といった。
 だがユイはかぶりをふって、

「誰にも許してもらえないのは、私も同じ。だからって何もしないのはもっと罪なこと。
 たとえ誰にも許してもらえなくても、つぐなうべきです」

 と説得するようにいう。
 その言葉に、ゲンドウはしばし目をとじたまま思考をめぐらしてから、

735:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:59:22
「……各員、今日起きたことは部外秘だ。もし、時間軸云々が真実だとするなら、いたず
らに既存のシナリオを動かせば、なにが起こるかもわからん。
 決断は、する。流竜馬……命を狙っておきながら恥を承知でいう。私に時間をくれ」

 そういった。
 みなが竜馬がどう反応するかと視線を集中させたが、その答えはしごく単純なものだっ
た。

「ああ、いいぜ」


 アスカ帰還の、数日前の出来事であった。







 ネルフでの停電騒動と、第七、第八シトとの交戦劇からしばらくが経った。
 相変わらず第三新東京市は常夏の太陽がてらし、うだるような暑さがつづいている。
 ゲンドウは、あれからいまだ答えを出さずに態度を保留していた。

 いい加減に竜馬もしびれをきらしている頃だったが、自身の秘密を明かしてしまった以
上は待つしかない。
 可能な限り、この世界での出来事を変動させずに人類補完計画を阻止しなければならないのだ。
 もっとも竜馬がゲッターロボで暴れまくっている時点で、変動もなにもないと考えるこ
ともできるのだが……。
 竜馬をいら立たせるのはそれだけではなかった。

「ぬるぃ! なによこのおフローーーッ!!」

736:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:00:35
 竜馬がその寝床としている、ミサトのマンションで焼いたイワシを頭からボリボリとか
じっていると、風呂場の方からアスカの怒号が響いてくる。
 すぐにドタドタと足音がひびいて、弐号機と同じ赤色のバスタオルを巻いた姿のアスカ
が居間に飛び出してくる。

「シンジぃっ、おフロぬるすぎなのよ!! あんたこんな温度で入ってるわけ!?」

 と、彼女はシンジがわざわざ沸かした湯の温度が気にくわなかったらしく、その格好の
まま文句をわめきちらしていた。
 竜馬やシンジがいるのだからもう少し、羞恥心があってもよさそうなものだが、そうい
う目では二人とも見てはもらえていないのだろうか。

 それはそうと、彼女の希望でミサトの同居人が三人に増えたまではよかったが、問題な
のが部屋割りのことだ。
 3LDKであり、部屋割りは一一畳ほどの居間に七畳半の和室、六畳の洋室、納屋、そして
ミサトのペット、温泉ペンギンの「ペンペン」が住まう、居間に鎮座する巨大冷凍庫という構成だった。
 このうち和室がミサト、洋室がシンジ、納屋が竜馬という割り当てだったのだがアスカ
が増えたことにより、シンジの洋室は彼女に乗っ取られてしまう。

「あんたはペンペンの冷凍庫で暮らしたら?」

 などと暴言を吐かれたものだが、そんなことが物理的にも精神的にもできるはずがなく
シンジは仕方なく竜馬の納屋をさらに半分に仕切ってもらうことになった。

 いかに竜馬が住む場所にこだわらないといっても、もともとせまい納屋がさらにせまく
なれば寝るにも息苦しい状態だった。
 そのおかげで、竜馬の機嫌は日に日に悪くなっていく始末であった。

「うるせえ赤猿ッ、湯の温度ごときでわめくんじゃねえっ」

 赤猿とは、竜馬がつけたアスカのあだ名だ。

737:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:01:41
 だが当然プライドの高い彼女は、これをよしとするわけもない。
 しかも、彼女は最初竜馬に嫌というほど脅された恨みつらみがある。
 竜馬の言葉に、まさに猿のように顔を真っ赤にさせて怒ると、濡れた足のまま洋室に駆
けると例の軍刀を取り出してきて、しゃらん、と抜きはなつ。

「もっぺん言ってみろおっ、タマとったるぅぅーー!!」
「上等だコラ、ちっとばかし将造に鍛えられたからっていい気になるんじゃねえッ」

 と、売り言葉に買い言葉となり、もう夕刻なのに二人はそのままベランダに躍り出ると
極道映画よろしく、大立ち回りを演じはじめた。
 それをビールを片手に、ペンペンを膝の上に抱いたミサトがその頭をぺしぺしとやりながら、

「元気ねぇ」

 と、つぶやいていた。
 ターミナルドグマでで真実を知った者たちは、これから自分たちを待ち受ける運命に戦
慄しているはずだったのだが、どうも竜馬と関わっていると、そう言う気分が抜け落ちて
いってしまう。

「アスカも、あれから話を聞いたはずなのにへこたれないですね」

 と、シンジがいう。
 ゲンドウは部外秘だといったが、竜馬の独断でアスカとその保護者である、将造にはこ
の話が伝わっている。
 将造は敷島博士という、竜馬の世界の人間と行動を共にしているし、アスカはその義娘だ。

738:ここまで
07/11/09 21:02:45
 なにか、切れぬ縁のようなものを感じたのだろう。
 話をきいた将造とアスカは驚くどころか「なんて面白そうな話なんだ」と釣り餌にくい
ついた魚のごとき反応をしめしていた。
 精神構造が、普通の人間とは違うらしい。

「ミサトさん。初号機、いや、母さんと僕が、本当にこの世界を滅ぼす原因なってしまう
んでしょうか。僕は……最近、この生活が少し楽しく感じていたのに。
 ネルフでの居場所のなさを感じるのは、別として」
「う~ん。私に聞かれても、ちょっち……加持君があのあと、偵察の対象をゼーレに絞っ
たみたいなんだけど、よく解らないってとこかしら……」
「そ、そうですよね」

 シンジは、はからずして母親と再会した。
 それそのものは内心、嬉しさを感じていたことだったが同時に、つきつけられた運命は
過酷なものだった。
 おそらく、人類補完計画を進めていたゲンドウとても、似たような心境であろう。

「父さん、どうするつもりなんだろう……」

739:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:08:38
GJ!
エンペラーやら時天空やらいろいろ起こり過ぎてもう思考がドワォ

740:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:18:00
これはいよいよ虚無る気がしてきましたね

741:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:18:34
なんという和やかな団欒の雰囲気…これはハッピーエンドの予感

742:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:18:47
>「俺たちをいいように使ってくれたんだ。時天空をぶちのめしてから、
> ゲッターもろとも大いなる意思なんてやつらは、消滅させてやる。
> そうでなきゃ、今までゲッターに取り込まれていった奴らに対する申し訳がたたん」

そうだ!それでこそ流竜馬!
そしてこれこそがずっと待っていて、しかしもう実現不可能と半ば諦めていた
ゲッターサーガの結論でありオトシマエだ!!
やっぱり石川賢の魂は地獄から舞い戻ってこのスレの職人各位に宿っているのだ…!

743:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 22:01:18
ここまできたら隼人・武蔵・弁慶・號・早乙女も登場しても驚かない。

744:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 22:48:59
兜、剣、デューク、ひろしもだ!

745:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 22:54:45
俺達の戦いは終わらないのさ!

746:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 22:56:55
>>745
そんな事言ったら物語が強制的に終わってしまうからやめてくれ!

747:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 23:17:44
>>742正にそのとおりです!!

うおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーー!!
何だこの神展開は!! 
これぞ、真の竜馬だ!! 流竜馬だ!!
天元突破を超えたぜ!! まさに石川先生の書きたかったものこれに違いない!!
石川作品の結論であることに激しく同意します!!
そして必ず勝てる!! 正造と竜馬がいれば!!

748:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 23:19:18
>>747
興奮する気持ちも分かるが一々他作品を引き合いに出すな、マヌケ

749:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 23:54:33
神だ…
このスレには今まさに神が降臨している…!
こんな素晴らしい状況にリアルタイムで参加できるなんて!

できればハッピーエンドになってほしいな
竜馬のおかげでみんなとっても前向きになってるから、
このまま人生全うさせてあげたい…

750:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 23:56:01
残念だが・・・お前たちにはもっと残酷な未来が待っているんだ!

751:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:05:31
時天空っていきなりスケールがでかくなったなぁw

ふと思ったんだけどチェンゲのラストで出たエンペラーに居た竜馬と漫画に出たエンペラーに居た竜馬って同一人物?

752:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:17:56
何をもって同一人物とするのかわからないが

チェンゲエンペラーの中の人は来留間慎一スタイルっぽい反重力マフラーしてたから
同一人物ではなくチェンゲのオリジナルじゃないか?

753:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:26:28
>>747
もともと天元突破(笑)はゲッターを超えてない

754:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:32:10
>>753
いちいちアンチ活動する奴はお断りしてるぜ

755:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:38:49
なんだか知らんがいちいち天元突破とやらをもって来るな
最近ゲッター系のスレでよく話に出て困る

756:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:41:55
>>751 >>752
スパロボD萌えスレにあったネタ思い出した


868 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/07(水) 18:07:24 V/Qu3nXH
ゲッターエンペラー内
漫画竜馬「じゃ、次の議題な。えー…『グラキエースの寿命が3年だなんてあんまりだ! 謝罪と賠償を要求する!』…なんじゃこりゃ?」
真! 竜馬「ああ、それ持ってきたの俺だ。ちょいと知り合いがな」
新竜馬「へっ! 一番獰猛な『俺』が助命嘆願たぁ、お笑いだな!」
真! 竜馬「うるせえ! 『助命嘆願』も漢字で書けそうにねえ馬鹿は黙ってろ!」
新竜馬「ああ!? 舐めんなよオッサン! 俺だってそんくらい…そんくらい!」
リョウ「止めるんだ二人とも! 今は新竜馬君の頭の足りなさは関係ない!」
新竜馬「おう、そうだぜオッサン! 話逸らしてんじゃねえ!」
真! 竜馬「チッ、煽って来たのはテメェだろうが…で、どうなんだ?」
リョウ「詳しい事情が解らない以上何とも言えないが、原則として死は絶対だ。ゲッターと言えども簡単に覆していいものじゃない」
真! 竜馬「チッ…まあそりゃそうだけどよ」
ネオ竜馬「事情によっちゃあ生き返らせんのもありだが、今回の件はあんましゲッターとは関係ねえしなぁ」
漫画竜馬「強いて言うなら破滅の侵攻を事前に食い止められなかったことくらいか? それにしたってなぁ…」
新竜馬「オッサンがちゃんと出向いてたんだしな」
真! 竜馬「チッ…」
リョウ「まあそう気を落とすな。決定を下すのは詳しい事情が解ってからだ。可能性が無いわけじゃない」
漫画竜馬「ウム。では次の議題…」






757:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:47:23
グレンラガンなんかほっとけよ

758:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:48:11
作品比較はしないのがマナー

竜馬だけで話し合いをする時点で何かが決定的に間違っているwww
エンペラー2にいるであろう隼人sが足りないと碌な事になりそうにないwww

759:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:50:50
グレンラガンの話題を振る奴も便乗してこき下ろす低脳アンチもまとめてドワオだ!

760:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:52:41
>>756
カオス過ぎる。テレビの竜馬も何気にひどい事いうあたり竜馬だよな。最近テレビ版初めて見て、あぁこいつもまごう事なき竜馬なんだなと思った

761:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:58:19
かつてゲッターが切り開いた、旧き道を辿ってきたルーキーアニメさ。
そいつに魅了された奴が自惚れて、何にも知らずに暴れてる。

そもそもコンセプトからしてゲッターの模倣だ。
後ろから着いて来ただけでは、超えることは出来ない。               と思う。

762:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 01:01:52
お前ら隼人のボインでも見て落ち着け
そして>>758を読め

763:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 01:04:54
>>762
先生!全然癒されません!>隼人のボイン

764:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 01:26:12
じゃあ隼人の失禁シーンでも見て和むとするか・・・
あれどこからか目鼻耳ぎゃ(ry

765:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 01:30:00
じゃあこれでも聞いて和みやがれ
URLリンク(www.nicovideo.jp)

766:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 01:32:19
エンペラーの内部って食堂とかあるのかなあ

767:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 01:33:10
もしあったとしても調理するのは竜馬だぞ多分

768:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 01:36:14
食材はゲッター線に汚染されてるのか

769:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 01:37:19
丸焼き系のレパートリーしか思い浮かばない。

770:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 01:49:47
そうか、わかったぞ!
シンジをゲッターに乗せた理由が!

竜馬はシンジにゲッペラー食堂wでおさんどんさせるつもりだったんだよ!

771:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 02:11:15
シンジは家庭科自体は出来るかもしれんが、本人の食が細そうだし
好みも味付けも淡白そう。とてもゲッペラー艦隊のバケモノ連中を満足させる
料理が作れるとは…

772:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 02:15:16
皆大人だなぁ



しかしこの作者ってまさか石ドワオ

773:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 02:34:16
いよろけん座から電波を受信した

レイ「私が死んでも、代わりはいるもの」
武蔵「おう、お前さんもかい!お互いドジで何回死んだか分かんねぇよな!わははははは!」

774:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 03:09:28
>>773
ムサシ、つきぬけすぎワロタw

775:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 06:25:50
実際そんなノリだしなw

776:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 09:41:25
>>773
エンペラーの進化がきわまれば将来的にはそうなるでしょうね。ああ先が楽しみです。

777:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 11:51:53
エンペラー艦隊って天文学的なゲッターが積まれていると思うが
それが1体1対、真ゲッタークラス・・・つまり、ゲッターチームみたいな奴ら(肉体的な意味で)が天文学的・・・

お前ら、素手で戦えよ!
まさか、あれか!武蔵みたいに他のメンバーもクローンが大量か?
天文学的な数の原作隼人軍団とか?

778:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 12:17:34
さあ、慎一が出て来るまで待とうか。

今流行りの裸正座で。

779:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 12:23:48
>>777
チェンゲの量産ゲッターG軍団みたいな隼人か

「「目だ!」」

「「「耳!」」」

「「「「「「鼻だ!!」」」」」」

みんな揃って返り血浴びてニヤリ

780:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 14:09:54
怖いわw

だが凄く見てみたい光景だ

781:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 14:46:30
いかがかな?我が神隼人軍団の威力は

782:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 15:41:26
>>779-780
しかしまだその段階の隼人だと、認識力の限界を超えた事態に際して
一斉にチビrぎ  ゃ  ん  ! !




冗談はさておきマジレスすれば隼人はゲッペラー軍には居ない気がする。
いや不死に近い存在に進化はしてるかもしれないが、あの時代においても
前線から一歩下がらされ、あるいは地球から見届ける役を運命付けられてるのでは。

783:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 16:40:34
常に置いてかれてこそという気はするな

784:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 17:10:22
ゲッター勢に対して、人間代表って感じするからね。

785:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 19:17:01
よく読んだら竜馬の乗ってたゲッターはエンペラーそのものじゃないか?

786:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 20:26:59
エンペラーのカケラ、とあるから、外見はチェンゲ版初代っぽいけど
まぎれもなくエンペラーの一部ではあるな。
例えは悪いけど早乙女チームのメタルビーストドラゴンみたいなものかな?

787:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 20:39:14
例えがグレンラガンですまんがオリジナルのゲッペラーを超銀河グレンラガンとすれば
このSSのゲッペラーはアークグレンラガン的な存在かな?

788:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 20:45:31
グレンラガン見てないからその辺のをゲッターでたとえてくれ

789:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 20:48:17
ラグースの細胞みたいなもんだろう

790:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 20:54:24
>>787
まったくわからん

791:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 20:58:42
ゲッターエンペラーを理解する際は、
「漫画・真ゲッターロボ」で登場した時点では太陽系サイズだったというだけで、
その後も際限なく進化していってる存在だと考えればいい。

792:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 21:06:32
テレ東系列圏外の者も少なくない事を考慮してもらえるとありがたい…

793:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 21:15:34
俺の地域でもやってなかったなぁ…

794:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 22:30:26
てかグレンラガンは話題に出さないで欲しい
何が風呂敷を畳むだよ

795:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 22:35:45
上の行には同意するが下の行は余計だな。
いちいち煽るな

796:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 23:03:35
ここはエヴァらしく童心に返って仲良くしようじゃないか
手始めにマグネットロボで遊ぼうぜ、勿論公園の砂場でだ

797:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 23:07:19
俺の鋼鉄ジーグがひどい事になったトラウマがあるのでやめてください

798:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 23:11:21
まぁまぁ、それならリボルテックがあるじゃないか
ゲッターもエヴァもあるし、それなりに安価だし

799:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 23:12:43
リボルテックはゲッター多くてかなりお世話になったなぁ
というわけで真ゲ2と3もだしてほしい

800:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 00:29:06
エンペラーを立体化してほしい

801:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 00:46:16
>>800
もちろん、完全変形でな。

802:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 00:52:54
何分の一だよw

803:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 01:14:08
8分の1

804:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 01:19:17
でかすぎでかすぎ。太陽よりでかいって

805:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 01:40:07
では太陽を大きくしましょう

806:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 01:42:53
>>805




807:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 02:58:34
太陽大きい
エンペラー大きくない


ふしぎ!

808:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 13:28:54
でも戦いを重ねるたびに進化するとしたら…?

809:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 13:56:43
また太陽よりでかくなる→太陽大きくする→太陽またでかく

無限ループって怖くね?

810:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 14:05:13
エンペラー「太陽ウマー」

811:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 17:27:21
真面目な話、エンペラーが立体化されたとして何京分の1サイズだ?

812:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 19:57:49
スケールモデルは無理なんじゃね?
ノンスケールにせざるを得ないようなw

813:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 20:00:24
今計算してみたが十京分の一で12cmぐらいだ

814:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 20:16:45
ゲッペラー総統∩(´・ω・`)∩バンジャーイ

815:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 20:26:41
「隼人の校しゃ」で検索するとウィルスが検出されるんだが何これ

816:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 21:39:37
隼人がテロの為に作ったウィルスに違いない

817:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 22:12:12
サイバーテロとはやるな隼人

818:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 22:27:22
小説ゲッターロボの隼人はインテリな上に資産家
無性に悔しく思えるが反抗すると眼だ!(以下略)だろう

819:つづき
07/11/11 22:55:21
「父さん、どうするつもりなんだろう……」

 そう、シンジがつぶやいたときだった。
 食卓のうえに置かれた、やや古めのプッシュホン式電話がコールを鳴らす。
 ミサトがすこし構えてとった。

「……はい、葛城です。あ、加持君」

 電話の相手は、ゼーレの偵察に態度を決め込んでから、しばらく音沙汰のなかった加持
であった。ミサトの顔が、ぱっと明るくなる。
 以下、会話の内容である。

「よう、しばらくぶりだな葛城。元気そうじゃないか」
「あんたこそね」
「まあな。なんせ、心強い味方もついたことだし」
「心強い?」
「史上最強の極道さ」
「げっ……まさか」
「そう嫌ったもんじゃないだろうよ。蛇の道は蛇ってね、俺にとっては居心地が悪いとい
うこともないのさ。それはそうと、司令の腹が決まったみたいだぜ」
「ほんと」
「ああ……だがこれ以上のことを本部や電話で話すと盗聴の危険があるからな、こっちで
場所を用意させてもらったよ。今晩、そこへみんなを集めて来てくれ。
場所は流君に「例のトコへ集合だ」っていってくれりゃ解る」
「あ、うん……」
「じゃな」

 と、そこで加持は通話を終えた。
 あとにはツー、ツーと、トーンの音だけが残る。
 やや不可解な表情になるミサトが、それを確認して受話器を静かにおくと、まだベラン
ダでアスカと乱闘に興じていた竜馬に顔をむけて、大きく叫んだ。

820:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 22:56:40
「リョウ君! 碇司令の態度が決まったみたいよ、今晩、例の所へ集まれって!!」

 そうすれば竜馬は頭上に振り下ろされたアスカの軍刀を片腕で受け取めながら応じた。
 一歩間違えれば、脳天からざっくりとやられて死んでいただろう。
 アスカも仕込み親が仕込み親だけに、一度ケンカを始めると容赦がないのだ。
 殺るか、殺られるか、である。
 だが竜馬のそれと、アスカのそれでは年季が違う。
 アスカが刀の柄に渾身の力をこめて押そうとするが竜馬はぴくりともしなかった。
 やがて彼女は、

「くしゅっ」

 と、小さくクシャミをひとつする。
 水に濡れた状態にバスタオル一枚で大暴れしたせいだ。
 それをみて竜馬が、刀をはじき返して飛び下がると、いった。

「おら、遊びは終わりだ。とっとと着替えて準備しやがれ」
「あたしに命令しないでよっ」
「置いてくぞ」

 と、竜馬は居間に戻るとボロのデニムジャケットを羽織ると、あとはひとりで外に出て行こうとする。
 あわててミサトが引き留めた。
 どこに集まればいいのか、まだ聞いていない。
 ミサトに問われた竜馬はくるりと振り向いて、

「あ? 知らねえのかよ、例のトコってのは「酔いどれ亭」って居酒屋だ」

 といった。
 しかしミサトは、

「いざかやぁ?」

821:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 22:57:42
 と素っとん狂な声をあげた。
 電話はもとよりネルフ本部をも遠ざけたい会合だというのに、よりにもよって街の居酒
屋でやるとは、どういうことだろうか。
 もしスパイがまぎれていたら、情報など筒抜けになってしまうではないか。
 そう思って問いただした。
 すると、

「そこぁ、岩鬼組で経営してんだよ。必要となりゃ、貸し切りにできる」

 そんな答えが返ってきた。
 ミサトの脳裏にさきほどの加持の言葉が思い出される。

(なるほど。そういうこともあって岩鬼組に接触したのね)

 しかし、だからといってスパイを防げる理由にはならない。
 店に潜まなくとも、他に諜報の術はいくらでもあるのだ。居酒屋は密室ではない。
 だが、その疑問にも竜馬は快刀乱麻を断つようにして答えた。

「不用意に近づいた野郎は、護衛の組員がぶち殺すから心配すんな」

 これにミサトは、

(ムチャクチャだ!!)

 と心の中で叫んだ。
 あの岩鬼組なら、不用意に近づいたのがスパイであれ罪のない一般人であれ、何のため
らいもなく抹殺するだろう。

「MAGIによる市政も、岩鬼組にとっちゃ有って無いようなものね」
「機械なんぞに支配されてたまるかよ」

822:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 22:58:53
 その言葉に、ミサトはなにか思うところがあったようだ。
 ふと、竜馬がエンペラーの主となる前の出来事を聞きたくなった。

「……そうかもね。リョウ君、あなたがいた地球はどんな所だったの?」
「官房長官が勝手に研究所襲撃を命令するような、ふざけた所だったぜ」
「どっちも、どっちだわ……」

 竜馬の珍しい世間話を聞きながら、ミサトは急いで支度をはじめる。
 普段はずぼらで通っていても化粧、その他の見つくろいを欠くような女ではない。
 二人が話している間に、いつのまにかシンジとアスカも支度を調えていたようだ。

 シンジは平常心と大きな筆文字がプリントアウトされたシャツに、ベージュのハーフパ
ンツといういでたちで、アスカは、例のスカート部が花のように広がった黄のワンピース
姿だった。
 二人とも一応、怪しまれないように普段着を着ている。

「ミサトー、早くぅ」

 着替えに入ったミサトの和室の前でアスカが急かすと、

「は、早いわねあなたたち」

 と、いいながらミサトも急いで身じまいを整えていく。
 彼女の服装は紺のタンクトップに、ジーンズといったものだった。
 だが、ミサトが和室から飛び出すころには、竜馬はもとよりシンジとアスカも外に出て
いってしまっていた。
 ミサトは愛車のキーを掴むと、あわをくって追いかけていくのだった。

823:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 22:59:55
 ところは変わり第三新東京市内、国道上。
 度重なる破壊で都市としての機能が麻痺しつつあるこの土地では、あまり多くの交通量はない。
 その空いた道路を矢のような勢いで飛ばして走る車が一台あった。
 車種はロータス・エランS2。
 旧いイギリスのオープンカー型スポーツモデルであり、排気量は一六〇〇cc。
 その助手席に乗っていたのは、ゲンドウだった。
 珍しく地味な色の背広に身を包んでいる。私服なのだろう。
 ドアの縁にひじをかけて過ぎゆく景色をみながら、運転席側に向かって話しかける。

「加持君。君も、物好きだな」
「車はいいですよ。走ることで自らは限りなく静止に近づき、世界は動き出す」

 と、答える加持の姿はいつものよれたワイシャツとスラックスであった。仕事着と私服
が同化しているのだろう。
 スパイとしては、身なりから人物を想像できないようにすることで重要な意味がある。
 加持の言葉に、ゲンドウは薄ら笑いをうかべていった。

「世を見渡す心境になれるということか。それは私に対する皮肉かね」
「とんでもない」
「……ああ。すぐ邪推するのが私の悪い癖だ。しかしその邪推ついでにいうが、どうも行
く先が、あけぼの亭の方角とは違うようだが」

 あけぼの亭というのは、第三新東京市内の料亭の名だ。
 政治家の会合などにも使われる事のある場所で、ゲンドウも懇意にしている。
 なお、幕末の頃から京都に同じ名の料亭兼宿場があり、こちらは坂本の方の龍馬にとっ
てゆかりのある場所である。
 だが加持の握るハンドルは、あけぼの亭とはまったく違う先を目指していた。

「そりゃそうでしょう。だって行く先は酔いどれ亭って居酒屋なんですから」
「な、なに?」

824:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:01:11
「料亭なんざじゃ、息苦しくて仕方がない。ここはぱっと一つ、居酒屋でやろうと思いま
してね。勝手に予定変更させてもらいました」
「正気か……それでは情報がだだ漏れになる」
「ご心配なく。酔いどれ亭は岩鬼組が直接経営してるところですから。ただの居酒屋なん
かじゃありません」
「……」

 加持の説明にゲンドウは一瞬、息につまったような感覚を覚えた。
 なにしろ岩鬼組は、ネルフにとってはアスカを奪還しようと戦争沙汰まで引き起こした
相手である。
 その実力、凄まじさはゲンドウが一番よくわかっていた。

「明日には命がないかもしれんな」

 そう、いった。
 だが加持はからからと笑ってハンドルを切る。
 もうすぐ目的地だった。

「今日は組長の客人という扱いですから大丈夫。そのあたりの仁義は通す方々ですよ……
見えてきたな。おや、もう集まってる」

 ゲンドウの心配をよそに、エンジンを吹かす加持の目に酔いどれ亭の姿があらわれた。
姿形は、木造で旧い日本家屋を模したような、いかにもといった風情だった。
 だが、そこかしこに、物々しい機械や蒸気を吹く正体不明の何かが覗いていて、単なる
木造の建築物でないのは確かである。
 いや、そもそも木に見えるものが本当に木材であるかどうかも疑わしかった。
 まあそれはともかく……。
 加持の車のヘッドライトが、その駐車スペースとなっている区画にすでに集いつつあっ
た竜馬の乗ってきたバイク「隼」を照らし出す。
 時速三〇〇キロ以上で走れるスーパーバイクである。

825:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:02:18
 ちょうどその後部座席から、シンジが飛び降りたところだった。
 さらにその横にミサトとアスカを乗せたオープンカーが停車している。
 加持はゆっくり車を進めると、隣に横付けして停車した。
 ミサトが運転席から加持に顔をむける。
 笑顔であった。

「丁度ね、加持君」

 というが、当の加持の目線はミサト本人よりも車体に注がれているようだった。
 その理由は、

「また買ったのか。しかもフェラーリ328とはなぁ」
「アルピーヌじゃどう頑張っても、リョウ君に置いてけぼりにされちゃうのよ」
「隼が相手じゃ、それでも辛いだろ。せめてテスタロッサにしときゃよかったのに」
「それじゃ如何にもって感じで嫌じゃない。それに乗ってて息苦しいのよ、あれ」

 この通りである。
 フェラーリ。知らない人はいないであろう。ミサトのものは、そのなかで328GTSという
やや旧いモデルであり、性能よりも運転の軽快さを重視したオープンカーであった。
 それにしても、普通の車に乗っている人間がだれもいない。
 すべてが異様な重低音でアイドリングしていたのだった。

 やがて、加持が車から降りるとゲンドウもつづいて降りると、あとは自動的にそれぞれ
店の戸をあけて入店していく。
 その入り口には、リツコとレイを従えた将造が待ちかまえていた。

「地獄の一丁目によう来たのう。これからでけー戦争の話をするそうじゃねえの!」

 といった。
 それにゲンドウがしかめっ面をして、

「部外秘だったはずだが……」

826:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:03:27
やあ作者さん作者さん
支援はいるかい?

827:支援ども。10超えて失敗したらごめん
07/11/11 23:05:33
 と、アスカを見たあと、加持をちらりとサングラス越しに見た。
 だが彼はどこ吹く風だ。
 その代わりに、将造がゲンドウのむなぐらを掴むと

「いいか。日本は、いや地球はわしのシマじゃけえ……シマの人間達を全滅させるような
ことは、命を張ってでもさせん。それが、」

 将造、ぐっ、と力をため、

「それが、シマを預かるドンのつとめだからじゃあッ!!」

 と叫んだ。
 ゲンドウを上下左右に揺さぶりながら、大口をあけて唾を飛ばす勢いである。
 要するに、人類補完計画の阻止に俺たちも参加させろという事だ。
 ゲンドウは将造からなんとか離れると、咳き込みながら、

「あ、ああ、わかっている。君たちがどういう存在かは……迷惑とはいっていない」
「わかりゃあ、ええんじゃ」

 そのやりとりの後、それぞれは畳の座敷に通されていった。
 なお、配置としては二〇畳ほどの座敷に大きな座卓が二台おかれ、床の間中央の上席に
将造が座り、左片面にゲンドウ、竜馬、リツコ、の順に並んでいる。
 その向かいが上席寄りにシンジ、アスカ、ミサト、加持の順だった。

 他に客はいないようで、加持のいう通り今日は完全な貸し切りの状態だった。
 準備は整っていたようで着席すると、すぐに料理や酒が振る舞われていく。
 一応、やくざらしく将造の仕切りで軽い仁義切りのような挨拶が終えると、あとはゲン
ドウの舞台となり、それぞれは今後のネルフの動向を彼より聞いた。

 まず、人類補完計画の阻止は絶対として、その方法だ。

828:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:06:35
 いますぐ全勢力をもってゼーレを叩いてしまうということも考えられたが、竜馬やレイ
がいう、歴史を必要以上に動かすことは、宇宙が消滅する原因にも成りかねないという説
明から極力、歴史の改変を無しに進めることとなった。
 もとより裏死海文書なるものの、内容通りに進んでいる世界だ。これから起こる事があ
る程度予測できる分、対策そのものは講じやすいといえた。

 だが、人類補完計画が実行されてしまうぎりぎりまでタイミングを見て、最終段階にお
いてゼーレを含めた、その配下の組織から人員までを一掃しようというのである。
 実行するには極めてむずかしい計画だった。
 阻止計画を有利に進めるべく、味方を多く引き入れようとすれば、ゼーレにたちどころ
に感づかれることとなるし、味方が少なければ、その戦力でいかに彼らのシナリオに従っ
たふりをしつつ、反撃するかが問題になる。
 そうなれば、

「結局は、ゲッターに頼らざるを得んか……」

 ゲンドウがいった。
 だが、加持がそこで手をあげた。

「エヴァを改良して戦力の増強につとめてはいかがでしょう」

 といった。
 それにゲンドウはむずかしい、といった後につけくわえていう。

「まず予算の問題がある。それに、改良といってもどうするつもりだ」

 もっともな疑問だった。
 そもそもエヴァは完成されている存在である。これ以上の性能強化は、根本からエヴァ
というものを考え直さなければなるまい。
 そんな問題に、リツコから提案があった。

829:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:07:38
初リアルタイム支援!

830:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:07:42
「そこですが……」

 と、言いかけたがその途端に座敷のふすまをぐわらりと開けて、フランケンシュタイン
の怪物のような老人が現れる。
 敷島博士であった。
 彼は座敷の中央にずい、と進むと、なぜか手に抱えたサブマシンガンのようなものを天
井にかかげながらいった。

「あっと待ったぁ、その先はワシに説明させるがいい。ええか、わしもこの赤木君の協力
でエヴァンゲリオンなるものの詳細がちっとは解ってきた。
 なかなか面白いが、兵器としては破壊力とケーブル断絶の際の稼働時間に問題がある。
そこでじゃ、内部電源をプラズマボムスに切り替えることで出力・稼働時間共に大幅に増
大させる。
 この設計図を見よ! なづけてエヴァンゲリオン號じゃあ。うわははははッ」

 と、敷島は興奮しながらいう。
 よくみるとサブマシンガンは安全装置が解除されていた。
 撃たれてはかなわない、とばかりにほとんどの人間が身を引きはじめる。
 リツコが勝手に外部の人間に、エヴァの機密を話していたという問題を、誰もが問題と
して提起することを忘れさせてしまう迫力だった。

 なお、プラズマボムスとはおそらくプラズマエンジンの一種であろう。
 プラズマとは、気体・液体・固体のどれにも属さない状態の物質をさし、たとえばゲッ
ター線のような一個のエネルギーのことではない。
 プラズマエンジンとは、主に宇宙機などに使われる推進用エンジンであり、その推進剤
を極高温化させた事で発生するプラズマを推進力として用いるものだ。

 しかし、このシステムは要するに燃費を極限に追求したもので、単に出力の点でいえば
化学燃料を燃やした方が、よほど高出力を追求できる。
 が、ひらひらと舞う、いまどき珍しい紙の設計図を手に取ったゲンドウがそれを一読す
ると緻密なプラズマボムスの構造が記してあった。

831:規制だったらここまで
07/11/11 23:08:47
 書かれていた発案者の名が「神隼人」となっており、どうやら敷島による発明ではなか
ったようだったが原子炉より高出力を発揮し、なお従来の化学燃料よりも信頼できるシス
テムであった。
 それは、

(これはすごい。たしかに、これなら稼働時間の問題は解消できるうえ、エヴァに本来以
上の力を発揮させることもできる。あとはエヴァそのものが耐えられるかどうか)

 と、自身も科学者であるゲンドウに思わせるほどだった。
 しかし、懸念もある。生産やコストのことだ。設計はできても実際に造るとなると、膨
大な資金が必要になってくる。

「……予算がおりまい。新しい設備も必要だ。無理にやればゼーレに感づかれてしまう」

 と懸念を示したが
 リツコが、

「一基だけなら既に」

 と割り入った。
 どこでどうやって資金と設備を調達して造ったのかゲンドウにすら想像できなかったが
敷島と岩鬼組をみていると、やれて不思議ではない気分になってしまう。
 じっさい、一基つくっているのだ。
 ゲンドウはひとこと「そうか……」と答えただけであったが、十二分に驚愕しているの
が固まった姿勢から読み取れた。
 敷島はつづける。

「まだまだあるぞ! 現行のエヴァの専用火器は手ぬるい。まず、通常兵器でいくならこ
の設計図のようにN2弾頭を用いた、ミサイルマシンガンくらいは欲しいなあ。
 月ぐらいはふっとばせるようにせにゃあ、つまらんではないか!!
 あ? なんじゃ、将造、なにをするっ」

832:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:10:14
 だんだん暴走しはじめる敷島に呆れた将造が「ひっこんで護衛でもしていろ」と彼を持
って退場していった。
 一同、唖然としている。
 しばらくして将造が戻ってきても、まだ場が沈黙していて、それからさらに一分ほど経
ってから、ふたたび口を開いたのはミサトだった。

「……まあN2マシンガンは論外として、プラズマボムスは良さそうですね。でも一基だけ
か。どのエヴァに搭載するべきか」

 この言葉に真っ先に反応したのがアスカだった。

「はい!! 弐号機にください。聞けば、なんか初号機はわけわかんない力があるし、零号
機だって乗ってるのがファーストじゃないファーストなんて、反則じみてるわ!
 私だけおいてけぼりなんて、嫌よっ」

 といった。
 いささか子供じみた、というより子供だから仕方ないのだが、そんな理論を展開するア
スカに、しかしミサトは同意した。

「言葉はともかくとして、まあもっともね。エヴァのパイロットとしての技量は彼女がト
ップだし、底上げを図るにはいいかもしれないわ」

 ということだ。
 ただ、それに少しうつむき加減だったシンジの顔に気づいたアスカが、

「もっともシンクロ率じゃ、シンジには負けてるけどさ……」

 と、最近のシンクロテストでの結果をネタに、フォローを入れる。
 本来はそんなことを気づかう性格はしていないのだが、やくざ社会で妙な序列の感覚を
身につけた彼女は、立場的バランス調整の術をかつて以上にこなせるようになっていた。
 ゲンドウが場を制した。

833:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:11:37
「まあいいとしよう。赤木博士、できるか」
「ええ。ゲッター炉心に比べれば圧倒的に制御しやすい逸品です。もしも量産に成功すれ
ば発電所なんていらなくなる。エネルギー革命が起きるでしょうね……。
 もっとも、きっと発明者は平和利用なんて頭の隅にも考えていないでしょうけれど」
「ん。おいリツコ、隼人を知っているのか?」

 と、それまで会話に加わっていなかった竜馬がいった。
 どうやら、プラズマボムスの発案者に深い関わりがあるようだった。

「ええ、敷島先生と交流していたとき、一度会ったことがあるわ。
 でも「竜馬って奴に後のことは頼むぜと伝えてくれ」と私にいったあと、
どこかへ消えてしまって。そういえば言い忘れていたわね。ごめんなさい」

「隼人はもとより、いつから敷島のジジィと知り合いになってたんだよ」
「あれだけ異常な機動のヘリを見せつけられたら、一度は会ってみたくなるわ」

 彼女がいうのは、イスラフェル戦で将造が乱入してきた時に乗っていた、ヘリコプター
のことである。
 たしかに敷島本人も「ゲッター並の機動性を追求した~」と、わざわざスピーカーを通
して大演説していたくらいだから、自信作だったのだろう。

「そんなもんか、科学者ってえのは……しかし」

 竜馬は、隼人という人物のことを思い返していたようで、笑いながらいった。

「野郎、相変わらずスカしてやがる。どこからどうやってここまで来たのやら」

 この男が、まるで旧友に再会したかのような笑みを浮かべるのは、今までにもないことだった。

834:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:12:49
 そして。
 この後もゲンドウを中心に、議題はいくつかに分けて話し合われたが、基本となる趣旨
はすでに出た。
 ゲッターとエヴァによる戦力を中心に、これまで通りシトの撃滅を行うのと同時に、人
類補完計画の最終局面による発動を絶対阻止すること。
 簡単に説明できるが、実行は困難である問題だった。
 だが、やるしかない。
 総員で意思を固める時間であった。

 固まれば、あとは居酒屋にふさわしく酒に飲んで呑まれての饗宴に染まるのみである。
 最初こそはシラフの状態で、ゲンドウという上司が手前にあることもあって、竜馬と将
造以外は、ややぎこちない風を崩さなかったが、酒が回ってくるにつれて、それぞれ本性
をあらわしはじめる。
 まず、もっとも酒量の多いミサトがとなりに座っていた加持にからんだ。

「あたしはね、もうね、三佐なのよ。あんたごときに、こけにされるおぼえは、ないんだから、ぬぇっ」
「おいおい、ハナから飛ばし過ぎだぜ葛城……帰りどうすんだよ」

 そんな具合であった。
 ちなみに本人のいうとおり、ミサトはイスラフェル戦のごたごたの後、急きょ三佐に昇
進している。
 通常軍隊でいうところの少佐にあたる。
 とりたてて何かしたわけではないのだが、ゲンドウの「階級が高いほうが動きやすかろ
う」という配慮でそうなった。
 いや、竜馬の面倒を見続けた功労としては不足だったかも知れないが……だいぶ、ゲン
ドウも動きが変わったといえよう。

 そのゲンドウは、酒に口をつけず喧騒にも触らず、独りもくもくと出される料理に口を
つけているだけだった。
 息子のシンジも同様である。

835:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:13:00
ハヤトォォォォォ!!支援

836:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:13:52
 他はすでに騒ぎはじめているのだが、この二人のみはA.Tフィールドを張っているかの
ごとく、その体の周囲において空間が静かだった。
 それを見つけたアスカがシンジにからむ。
 なお彼女は将造と共にいる間に、未成年のくせの酒の味を覚えてしまったらしい。

「どうしてアンタはいっつもそう、じめじめ暗いのよぉキノコ生えちゃうじゃない」
「や、やめてよアスカ……僕は、あんまり好きじゃないんだよ、こういうの……」
「うるさいうるさいっ。加持さんはミサトにべったりだし、ゲッターのせいで弐号機の活
躍は奪われるし、呑まなきゃやってらんないわよぉッ。だからアンタも呑むのッ!!」
「理屈になってない……」
「いいから飲めっ」

 と、まずシンジが強制的に酒を注いだコップに口を付けさせられた。
 ゲンドウがそれをちらり、と見るがなにもいわない。
 それになぜか、将造がからんだ。
 酒癖の悪い人間ばかりである。実際に遭遇したらたまったものではないだろう。

「うお、オッサン! どーしょんならぁっ。おどりゃーオセがそがあな風にしょーるんじ
ゃあ、いかんけぇ飲まんかい。こーいう時ぁ、飲んでつばえりゃええんじゃあ!」

 酔いのせいか、完全に広島弁になっている。
 ゲンドウには将造が何を言っているか、半分ほどにもわからなかった。

「……標準語で話してくれ」

 と呻くようにいった。
 訳せば「大人がそんなでどうする、飲んで騒げばいいんだ」という意味になるのだが、
将造が聞き入れるものではない。

「じゃかあしいやあッ!!」

837:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:14:56
 というと、アスカがシンジにやったように無理矢理ゲンドウをひっ捕まえると、その口
に入ろうが入るまいが一升瓶を逆さに、浴びせるように飲ませようとする。
 この義親あってこの義娘ありといったところか。

 さすがにゲンドウも酒に衣服をずぶ濡れにされてはかなわないと思って、それを受け取
って飲みに入るが、さほど強くないのであろう。
 数杯、コップを空ける内には言葉数こそ変わらないものの、明らかに顔が赤くなって動
きがふらふらと、怪しくなっていた。

 みれば、シンジも同様であった。
 すでに頭が回っていないうえに、あうあうと、ろれつも回っていない。
 そのシンジが、サングラスをぬぐうためにそれを外したゲンドウと目があった。
 ゲンドウがサングラスを手に持ったままの体勢で、

「……なんだ、シンジ」

 と聞くが、シンジは答えずにしばらく父の目を見続けたあとに、突如、ぐわっ、とゲン
ドウに躍りかかるとすがりつくようになって叫んだ。

「なんだよぉ!! 見てちゃいけないかよ! 僕は、僕はっ、父さんを見返してやりたいの
と認められたいってだけでゲッターにもエヴァにも乗ってきたのに、父さんはいっつも変
な顔して命令するばっかりで!!
 竜馬さんにいわれたんだ、無視したら殴ってでも応答させてやれって。今日こそ殴って
やる、前歯折ってやるぅっ……」

 と流れるように喋って拳を振るおうとするが、酔って動きが定まらずにそのまま、ゲン
ドウからずり落ちるようにして畳の上にはいつくばるだけだった。
 未成年で、隠れて酒を飲むような悪ガキでもない彼にとって、強烈なアルコールによる
酔いの症状は耐え難いものだあったのだろう。

838:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:20:51
バイバイさるさん?

839:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:22:37
             -‐ '´ ̄ ̄`ヽ、    
             / /" `ヽ ヽ  \  
         //, '/     ヽハ  、 ヽ 
         〃 {_{       リ| l.│ i|  
         レ!小lノ    `ヽ 从 |、i|  しえーん
          ヽ|l ●   ●  | .|ノ│  
            |ヘ⊃ 、_,、_,⊂⊃j  | , |.  
          | /⌒l,、 __, イァト |/ | 
.          | /  /::|三/:://  ヽ |

840:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:27:56
かかっちゃったか。続きは明日だな

841:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:37:39
隼人も確実に超人類化しているな・・・。この人たちがでるスパロボは作れないのだろうか?

842:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:41:20
なんというか…なんというほのぼのw

843:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:45:27
どうなったの?

844:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/11 23:55:15
前歯ww

845:残り
07/11/12 00:01:24
 と流れるように喋って拳を振るおうとするが、酔って動きが定まらずにそのまま、ゲン
ドウからずり落ちるようにして畳の上にはいつくばるだけだった。
 未成年で、隠れて酒を飲むような悪ガキでもない彼にとって、強烈なアルコールによる
酔いの症状は耐え難いものだあったのだろう。
 ゲンドウはしばらくシンジを見ていたが、やがてサングラスを置いてシンジの身を起こ
してやりながら、いった。

「私が……お前の側にいても、お前を傷つけてしまうだけだ。だから私の背を見るのはや
めろ。自分の足で地に立って歩け。私自身も、そうしてきたのだ。それに、今のお前には
他に心の支えになる人間が、いるだろう」

 といって、向こう側の席でなぜか騒がず静かに飲んでいる竜馬や、逆に騒ぎまくるミサ
トを見ていった。
 だがシンジは、

「うるさいっ!! そんな理屈なんか聞きたくない!! 父さん以外は父さんにはなれないん
だ、どうしてこんな僕にもわかる簡単なことがわかんないんだよ!」

 と、泣きわめくようにいった。
 その涙が雨のように畳の上へ落ちいき、それを濡らしていくが、ゲンドウはどうしてい
いか解らない風にうろたえてしまう。
 普段なら、これすらも冷淡に突き放すのだろうが、酒はそういう演技力を人から奪いさ
っていく効能がある。
 そこに、先ほどから後ろで静かに座っていたレイがふわりと立つと、ゲンドウに寄って
いった。

「あなた」

 発した言葉はそれのみである。
 それだけいって、またレイは下がってしまった。


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