07/11/04 11:15:22
ミサトもゲッターに取り込まれるのか
551:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 11:26:39
ひょっとしてシンちゃん、エヴァでまともに戦うの初めてじゃないか?
エヴァは飛べない、地面にもぐれない、分離もできない。忘れずに戦うんだぞぉ
552:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 12:22:59
平気だって!今にエヴァも飛べて、地面にもぐれて、分離も合体もできるようになるから♪
553:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 12:40:33
乙ー!!!
なんてまあ痛快な展開なんだあああああ
読んでる間中テンション上がりまくりでニヤニヤ笑いが
とまらんかったぞ
しかし脳内を『地球終了のお知らせ』が駆け巡るのは
なぜなんだぜ?
554:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 13:07:34
>>551
うっかりオープンゲットしようとして、初号機を三っつに引き裂いちゃうシンジ
555:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 14:24:29
>>551
それに感情を込めてもレバーを握っても出力は上がらないぞ。
むしろ初号機の中の人が嫌がってシンクロ率が下がりそうだ。
556:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 14:26:57
ぎゃあああああ!?敷島博士までいたあああああ!!
557:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 14:59:01
お母さんには、子供をゲッターから取り返す好機と頑張っていただきたいところ
558:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 16:02:03
このままシンジのゲッター汚染が進んだら、
母が居ると知った時に問答無用でエヴァから引きずり出しそうだな。
559:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 16:03:17
※高確率で動機が邪魔者扱いだと思うが
560:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 17:00:36
シンジは前回で自分の存在意義への疑問についてTV以上にドツボにはまったフシがある。
一方ゲンドウも威厳も発言権も相対的加速度的に収縮しており、竜馬はもとより
今のリツコやアスカ、更にはたぶん今後のミサトを統制する事も至難の業だろうとすると、
もう学園ネタでの新聞生返事ダメ親父路線しか残ってないのでは?
あるいは地獄兄弟の法則に則り、イジケ同士案外父子の絆が強固によみがえるとか?
561:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 17:09:22
なんかラストでシンジ・アスカ・レイの三人が真ゲッターに乗りそうww
562:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 17:22:22
敷島博士!!
そうか、その手があったか。
「なに、武器が欲しい?戦争でもやるんかよ!」
「おうよ!!」
そんな会話があったのかしら
563:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 17:37:07
>>561
むしろレイが真ドラゴンに乗って登場。
レイ「碇君」
シンジ「綾波!生きてたんだね」
レイ「私はあなたを守ると言ったもの」
シンジ「本当に 本当に良かった」
564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 18:09:16
何だこの超展開はwwwwwwwwwww
初号機がトマホーク使ったり使徒が同時に攻めてきたり敷島博士がいたりミサトさんがグルグルになったり展開がまったく読めないwwwwwwwGJ!!!
565:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 18:31:53
考えてみればスーパーロボットの中でも飛びぬけた汎用性を持つゲッターこそ、
汎用人型決戦兵器の名にふさわしいな。
566:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 18:45:21
>>565
ハン博士のお墨付きだからな
567:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 19:01:13
ゲッターとエヴァって比べてみるとどちらも乗れる人間がすごく限定されるんだけど
される理由がまったく逆だなと思った。
ゲッター 誰でも動かせるが動かした際の超加速に耐えられる肉体の持ち主がほとんどいない
エヴァ コピー元たる使徒かコアに取り込まれた魂の子供でなければどれだけ気合いれようとも
指一本動かないが肉体的には脆弱なシンジですら大丈夫
568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 19:20:39
数億年の歴史を持つ恐竜帝国ですら真似するほどだ。
陸海空だけでなく元はと言えば宇宙開発計画の産物だったから宇宙での行動もお茶の子さいさい。
マグマの中でもある程度は大丈夫と来てやがる。
何このバケモノマシーン
569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 19:34:37
まさか敷島博士がいるなんてwww
やっぱり岩城組の屋敷は完全武装の要塞なんですか?www
570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 19:44:01
もともとエヴァにも専用のオノ型武器はあったような気もするが…比較にもならんか。
571:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 19:55:11
>>565
むしろ汎用人型虐殺兵器
572:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 20:00:13
ゲッターは悪と賢ちゃんがいってたしな
573:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 21:13:32
微かに極道兵器風味アスカ覚悟完了しますたorz
って、鬼娘よりマシな程度ですが。
女の子にあのダボシャツは酷ですorz
URLリンク(77c.org)
ライフル弾ってどんなですか?orz
574:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 22:20:53
>>573
間違いない、やっぱりアンタは虚無から戻ってきたケンイシカワだな!?
575:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 09:09:49
石川作品って実は凄くクロスむけではないのだろうか?この作品を読んでつくづくそう思いました。
スパロボに石川版ゲッター(または新ゲッター)出せよ!!
576:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 09:41:55
石川版と限ることもあるまい。ゲッターはロボットアニメ史上初のクロスを、それも
制作者自らが劇場でぶちかました、記念碑的作品でもあるのだから。
577:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 18:09:36
>>575
その前に石川版ゲッターのアニメ化を…
「出たなゲッタードラゴン!」で終わってもいいから
578:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 21:15:30
ゲッターって考えてみるとエポックメイキングの塊だな
・初の本格的合体ロボ。それも、今に至るも追随者が数えるほどしかいない
複数の合体パターンを有するタイプ
・おそらく初の2号ロボへの乗り換え
・主役級のキャラが戦死してメンバー交代
・史上初のクロスオーバーを、グレートマジンガーとのコンビで実現
579:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 21:48:14
ロボットアニメそのものが始まったばかりの時代だし
580:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 21:51:51
>>576 >>578
揃って『マジンガーZ対デビルマン』はカウントしてないようだが、
「史上初のクロスオーバー」とはロボットアニメ同士のという条件付の話か?
581:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 21:52:43
ロボットアニメ以外にもかなりの影響を与えたと思うけど。熱血漢、クールでニヒル、三枚目のトリオとか
それ以前だと何かあったっけ
582:名無しさん@お腹いっぱい
07/11/05 22:05:01
いや、われらの年代では、やはりゲッターやマジンガーが元祖と考えても差し支えないでしょう。
583:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 22:07:00
ダイナミックプロは偉大だよな。まぁ手塚とか横山光輝とか水木とかもだけど
584:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 22:10:49
>>583の最後は漫画家と歌手とどっちだw
585:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 22:12:43
どっちもだぜ!
586:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 22:15:30
ゲッターロボ號が初ダイナミック作品な俺、参上!
587:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 22:59:02 mfBRiNu4
>>586
俺はネオw
588:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 23:28:48
自分はポコイダーだorz
589:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 00:45:19
なんでいきなりポコイダーだよw
590:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 00:45:55
チェンゲからですorz
591:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 03:22:16
>>588
ここでポコイダーをあげる君に敬意を表するッ!!
592:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 04:02:31
凄ノ王が初ダイナミックな俺は勝ち組なのか負け犬なのか
593:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 04:07:39
俺はもちろん違うが初めてが思い出のK君とかだったら凄いな
594:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 07:55:57
ワッフルワッフル
595:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 16:35:31
いやはや・・・南友・・・
596:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 16:59:55
あばしり一家だった…どんなお子様だったんだ自分…
それ以前になぜあばしり一家が家にあったんだ…
597:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 18:10:08
初の石川作品が餓狼伝説だった俺・・・・当時、6歳・・・
この作品が原因で石川作品にはまった・・・病気かな?
598:つづき
07/11/06 20:54:41
一方、地上。
ゲッターとサハクィエルの戦闘、いや、ゲッターの虐殺からやや時がさかのぼる。
苦戦する初号機の背後から、アスカの弐号機が海を蹴って走り、参戦してきた。その手
に持つのはスマッシュホークだった。
エヴァ用の戦斧である。超音波による極微超高速振動により、本来の素材を遙か上回る
切れ味を示すプログレッシブナイフの原理を、そのまま大型化したものだ。
ゲッタートマホークに比べた場合の威力は落ちるが、それでもビルのひとつやふたつは
真っ二つにできる代物である。
その弐号機を見て、シンジはイスラフェルから後退しながら叫ぶ。
「弐号機!? 誰が動かしてるんだ」
すると、初号機へ聞き覚えのある声が通信越しに響いてくる。
「弐号機アスカから初号機、碇シンジへ! 今からこのアスカ様が助太刀してやるから、
ありがたく戦いなさいっ」
「アスカって、この間のっ……も、戻ってきたんだ」
「いまそんなこと話してる場合じゃないッ、前むいてっ!」
「わ、わかってるよぉっ」
「敵は同時撃破しないと何度でよみがえるわ。あんたと私で、同時にぶった斬るわよ。タ
イミングを合わせなさい」
「り、了解っ」
と、ここで通信を終えるとそれぞれ斧を構えた初号機と弐号機が、じりじりと二体のイ
スラフェルと間合いを取る。
お互いに、攻撃方法は肉弾のみだ。
間合いに先に入ったほうが、打たれる。問題はイスラフェルの伸縮性だった。
明らかに、こちらの武器よりも有効範囲が長いのである。
それを避けて、しかも同時にタイミングを合わせて斬るのは至難の業であろう。
599:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 20:55:51
しばらくにらみ合ったのち、一回目が仕掛けられた。
「でやあぁぁぁッ」
「うわぁぁああッ」
と同時に叫んで突撃するが、それぞれ斧を振り上げた時にはもうイスラフェルのカマの
ような腕が伸びてくる。
捕まればどうなるか解ったものでないので、アスカはバク転動作で後退、シンジはその
まま飛び下がって回避した。
やはり間合いにおいて圧倒的に不利だった。再度、こう着状態にはいってしまう。
アスカが悪態をつく。
「ああもう、せめてソニックグレイブがあればっ」
「エヴァでもトマホークブーメランが使えればなぁ……なんで使えないんだろう」
シンジもぶつぶつと文句をいっている。
息が合わない。
無理もない、顔見せすらまともにしていない二人が突然、タイミングをぴったり合わせ
て戦うというなど不可能な話だ。
アスカもそれは重々承知している。戦闘がそんなに甘いものでないことは、将造の特訓
によって嫌というほどに思い知らされているからだ。
だが、いまは他に手段がないのだ。
(どうしよう……)
アスカは、ゲッターが帰還するまで戦闘を長引かせることをまず考えた。
しかし、
(たぶん、無理ね。二度も大気圏に突入して、そのまま戦えるとは限らないし……戦えても
中に確か、作戦部長と技術部長って二人も非戦闘員がいるんじゃあ)
600:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 20:58:01
と、弐号機に乗る前に冬月から与えられた、状況の詳細を思い返して
この案は却下した。つぎに、ネルフの戦闘部隊にシトの気をひくように攻撃してもらう
ことを考える。
だが、これも戦闘部隊を完全な捨て駒にする覚悟が要った。
さすがにアスカの立場で、そこまで命令することはできない。もっとも、
(パパならきっと問答無用でやらせるんだろうけど……)
そう思った時だった。
遙か後方から、ローター音が響いて一機の戦闘ヘリがやってくる。ネルフの所属機では
ない。AH-1コブラという、被弾対策でやけに細身で、正面からみると魚類のようにも見え
る旧式の戦闘ヘリだ。
「へ、ヘリコプター?」
シンジがそれに気づいてすっとん狂な声をあげる。
アスカも同じように、
「そんなポンコツでなにしに来たのよ、あんたバカァ!?」
とわめき散らすが、速度を落とさない戦闘ヘリはなおも接近してくる。
ローターが騒音を撒き散らす。
すると、戦闘ヘリから人影が覗いていることに、アスカは気づいた。
「なっ……あ、あれは……パパぁ!?」
「誰がバカじゃアホンダラぁっ!!」
と、聞こえるはずのないアスカの罵りになぜか反応した将造が、戦闘ヘリから身を乗り
出して左腕の得物を振り回していた。
途端、アスカがほとんど悲鳴をあげるかのようにいった。
601:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:00:14
「ダメ、来ちゃダメ、パパッ! そんなヘリじゃ撃墜されちゃうッ」
外部スピーカーの最大音量で騒いだ。
それも聞き届けたらしい、将造はしかし
「アスカぁっ。わしを誰じゃと思うとる! わしゃ、極道兵器やぞ!!」
とスピーカー同等以上の音量で叫ぶと同時に、戦闘ヘリの挙動が急激に変化した。
突然のように垂直に上下し始めたかと思うと、今度はピンボールが弾かれるがごとく左
右に動き、さらには機体をきりもみ回転させながら突っ込んでくる。
しかもその最中に、どこに搭載しているのか戦闘ヘリはミサイルをマシンガン並の勢い
で撃ち出してシトに弾幕ならぬ、ミサイル幕を張っていく。
戦闘ヘリから異様な声が鳴り響いた。
「ぐわはははは! ただのコブラじゃと思ったら大間違いじゃああっ。ゲッター級の機動
性を追求したヘル・コブラの実力、おもいしるがいぃ!!」
声の主は、敷島博士であった。
撃ち出されたミサイルは照準をまともにつけていないのか、シトに命中する以外にも周
囲へドワオドワオと爆散していく。
大きく外れた弾などは遠方の街や海域に被害までも及ぼすが、そんなことは敷島の知っ
たことではない。
ミサイルのパーティだった。
「ゲッター線ミサイルじゃ。バリアなんぞ軽く打ち破るわい!!」
なおも敷島は興奮しながら叫ぶ。
戦闘という麻薬に侵されているような姿だった。
602:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:01:17
そして将造ともなれば、戦闘ヘリから飛び降りるとミサイルの爆風に乗って滑空しなが
ら、腕の大砲を敵にむけている。
「うらぁっ! 敷島印のゲッタービームガンじゃぁ、しばきあげたるでーッ!!」
その叫びと共に、緑色の光線が将造の左腕から溢れるように放たれる。それは一列に並
んでいたシト二体を掃射して切断していく。
小さくともその威力は本物だ。
それを眼下にする、戦闘ヘリの操縦者だった敷島が高らかに笑いあげる。
「ヒャハハハ。超小型ゲッター炉心の威力はどうじゃ! 撃ってはよし、やられても炉心
誘爆で敵もろとも道連れじゃあ!!
まだまだレパートリーはあるぞ! この永遠に追尾しつづける、小型ゲッタードリルミ
サイルは命中したら最後、シトの体内を穴だらけにするまで掘り尽すぅ!!」
「うははははッ。そりゃ次の機会じゃ博士、親がカオ出しすぎるんは教育にならん~!!」
同じように将造も高らかな笑い声をあげると、急降下してきた戦闘ヘリの着陸脚に捕ま
って再び大空へと舞い上がっていった。
将造がさけぶ。
「いまじゃアスカぁっ、そのバカタレ共をぶち殺しちゃれやあッ!」
チャンス到来だ。
イスラフェルはゲッタービームの掃射によって受けたダメージで活動が停止している。
ぎらり、と弐号機の目が光った。
「シンジィッ! ダブルのトマホークでコアごと叩きつぶすのよ、かけ声合わせてッ」
「あ、ああっ」
アスカの号令に、二機のエヴァがそれぞれの得物を構えて力を溜めたあと、突出してイ
スラフェルに迫り二人同時に腕を振り上げて、二人同時に叫んだ。
603:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:02:27
「ダブル・トマホーーク!!」
雷のごとく振り下ろされる二つの戦斧。
ずあっ、と肉を切り裂く感触が伝わりながらイスラフェルの体を二つ、合計四つに切り
裂いていき、中心のコアを砕いて股下までくだった。
すれば、その場に崩れ落ちた二体のシトは、巨大な大爆発と共に水柱をあげて消滅していく。
勝利である。
「やったァッ」
アスカが、弐号機プラグ内で手を打って喜んだ。
その頭上を戦闘ヘリが通過しながら、将造が叫ぶ。もはや人間スピーカーといえる。
「よぉやったのお、アスカ」
「パパのおかげよ!」
「バアタレ、相手をぶち殺したなら何であろうと勝ちじゃあ!」
だが、その義理の親娘のかけあいに、状況が理解しきれないシンジが割ってはいる。
「あ、あのぉ、アスカ。そこのヘリの人は、君のお父さんなの? たしかこの間、ゲーム
センターに入ってきたヤク……じゃなくて任侠の人。ってことは君は」
「そーよ。仁義切ってあげるわ。
お控えなすって! 手前生国と発しますは西洋にござんす、性は惣流、名はアスカ、間
の名はラングレー。この度岩鬼組から助っ人に参りやした。以後お見知りおきくだせえ」
「いつの時代のヤクザだよ……」
「なんかいった?」
「いや、なんにも!」
過剰な挨拶に、シンジは肝を冷やした。
(まさかヤクザの娘がエヴァのパイロットだったなんて……でも外国にもヤクザっている
のかな?)
604:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:05:26
などと思っていると、今度は空からゲッター1がもの凄い勢いで降ってきた。
サハクィエルを撃破した後に、万一シンジが苦戦していることを考えて竜馬が、リツコ
に戦場のど真ん中に着水できるように落下計算を頼んだのだ。
むろん、リツコはこれに反対……しなかった。
したのはミサトだけである。
「そんなっ。一度の大気圏突破ですでにダメージがあるのに、無茶よ!」
いったが、
「バカ野郎。動けりゃあ、いいんだ、ダメージごときでびびってんじゃねえ!」
と、竜馬は相手にならない。
リツコもリツコで、
「ゲッターがどこまでやれるのか、知りたいところね」
と同調までした。
結局、大気圏突入はミサトの悲鳴と共に行われることになるのだった。
そうしてゲッター1そのまま隕石のように沖の方角に飛び入るように墜落すると、盛大
に水柱を立てたあとに浮かび上がってくる。みれば摩擦熱で、赤いはずのボディが真っ黒
に焼けこげていた。
「ピンポイントで着水か、大した計算じゃねえかリツコ。ま、もう終わっちまったみてえ
だが」
「これが仕事ですもの。それよりミサトは大丈夫かしら」
「……も、だめ……」
すでに戦闘が終了しているのを確認したゲッターは、ゆっくりと空に浮かびあがって、
近づいてくる。
605:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:06:55
それに将造の戦闘ヘリがまとわりつくように飛んでいった。通信が入る。
「竜馬ァ! おどれ、わしに厄介事ばかりおしつけよって、覚悟はええんじゃろなあッ」
「将造てめえ、空で聞いてたらいつからロリコン趣味になりやがった!」
「じゃかしいやあッ、ママゴトに熱あげてるおめぇにいわれる筋合いはないんじゃあ!」
「なんだとこの野郎!」
と拳をコクピットで振り上げる竜馬に、さらに通信に割り込んでくる。
「よう竜馬のガキ! 久しぶりじゃあのうっ」
「でやがったな敷島博士……なんで、あんたがここにいるんだっ」
「そんなこと、どうでもよいわ。わしゃ、この岩鬼と戦争するのが最近の楽しみでなぁ、
くれぐれも邪魔するんじゃねえぞ!」
「誰がするかっ」
「ならいい。よおし、帰るぞ将造よぉっ」
「オオヨ! アスカぁーっ、わしゃ帰るがヌシはヌシで好きにせえ、やりたい様にやるのが岩鬼の流儀じゃあっ」
というと、戦闘ヘリはまた空中回転すると後方に進路をとってあっという間に、この場
から姿を消し去ってしまった。
竜馬はそれに悪態をつきながら見送っていた。
そしてシンジとアスカは、
「……惣流、だっけ。帰らなくていいの?」
「あたしは助っ人に来たのよ。全部のシトをぶちのめすまでは、家の門はくぐらないのが筋ってもんなの!」
「そ、そう……」
と、シンジが終始振り回された形で会話しながらエヴァを帰投準備に入らせていた。
・・・
606:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:08:33
その後。
大事なことは、そのネルフにおけるアスカの処遇だった。
いま、アスカは岩鬼組の構成員になってしまっているのは書いたとおりだが、その組長
は、敷島と共に暴れに暴れまわった挙げ句に、アスカへ好きにしろとだけ言い残し、帰っ
ていってしまってその後、音沙汰がないのでネルフは困った。
有無をいわさず、岩鬼組から切り離し、彼女を再びネルフに組み入れてしまうことは可
能だが、それをすることで岩鬼組の神経を逆なですることは避けたかった。
というのも将造が好きにしろといったのは、アスカが好きにするのであって、ネルフが
好きにしていいということではないからだ。
自らのシマの内を絶対とし、外に対しては狂犬のごとく振る舞う男なのだ。
なにしろ、アスカを取り戻すための強硬手段を、全て返り討ちにされているのである。
小さくとも組織である分、竜馬とゲッターよりも始末に負えない相手だった。
結局、アスカは本人がいった様に「実家」へは戻らず、ネルフの管轄内に居を構えるこ
とにはなったが、身分は岩鬼組からの出向扱いである。つまりお客さんだ。
客が兵器のパイロットというのもおかしな話だが、便せん上そうしておくのが無難だと判断された。
その住居となるのは、ミサトの住むマンションだった。
しかも別室ではなく同室だ。
これもアスカたっての願いで、その理由も日本でのカタギの生活感もよく知っておきた
いということだったのだが……これにミサトは、
「なんで私ばっか割を食うのよ!」
と悲鳴をあげる。
しかし竜馬の「やくざの頼み事てえのは、そういうもんだ」の言葉にしぶしぶながらも
了承せざるを得なかった。
そして、
607:ここまで
07/11/06 21:09:42
「岩鬼組……若頭、惣流・アスカ・ラングレーです。このたびネルフに宿を借りることに
なりました。よろしくお願いします」
と、アスカはその挨拶の席でいうのだった。
目はすわって、その奥はぎらぎらと輝いていた。
体は小さいはずなのに、おかしな威圧感がある。
すでに極道の貫禄たるや十分で、最初にシンジ達とゲームセンターで遭遇したのとは別
人物のようにも見えたが、そう見させてしまうだけの学習能力こそ彼女がエースパイロットたり得た理由でもある。
組長の将造は骨のある人物が好きだし、そういうアスカを気に入ったのは必然だったの
かもしれない。
ちなみにマヤ、シゲル、マコトといったネルフの職員達はこれに終始、顔の筋肉をひきつらせていた。
特務機関の人間とはいえ、やくざは恐いらしい。
しかし。
日本を裏から操っているともいえるネルフが、やくざといえ、たかが一組織ごときにこ
こまでの遠慮をしなければならないとは、前代未聞の出来事である。
ゲンドウはこの判断に苦渋を舐める想いだったが、全てはみずからのシナリオを円滑に
進めるための手段として、抑えた。
「……ゼーレの老人共がうるさくなるな」
と、彼は独り漏らすのだった。
608:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:12:21
ゲッター支援!って、投下もう終わりかな?
しかし敷島博士の暴れっぷりにはもはや笑うしかないなあ…w
609:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:18:54
>撃ち出されたミサイルは照準をまともにつけていないのか、
>シトに命中する以外にも周囲へドワオドワオと爆散していく。
>大きく外れた弾などは遠方の街や海域に被害までも及ぼすが、
>そんなことは敷島の知ったことではない。
腹筋がwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
ところで 『便せん上』って『便宜上』と書きたかったと思うんだが、
これは『ベンギジョウ』と読むダス……
610:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:22:19
>>609
やっちゃったZE
すんません、覚えました。ありがとごぜます。
611:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:24:52
おめでとう!ゲッター1はブラックゲッターにしんかした!
612:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:28:32
ヘリに何したんだよ敷島博士・・・
613:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 22:11:21
ゲッターが焦げたー・・・吊ってくる
614:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 22:17:31
ああっ無敵だ!! 竜馬と正造が手を組んだらイデも時天空もなんぼのもんじゃい!!
この二人と敷島博士やはりスパロボに登場すべきだな。
615:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 23:23:40
あー・・・もうエヴァ、いやネルフは必要ないなこりゃ。少なくとも対使徒戦においてはw
問題は補完計画がどうなるのか・・・全人類グルグル目に進化しそうで怖いwww
616:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 23:26:54
いや、ここから先はイロウル、レリエル、バルディエルと、力押しでは勝てない
使徒が登場する…かもしれない。
617:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 00:07:48
もしも保管できても赤い海じゃなくて緑の光になりそうww
そして人類全員エンペrうわ誰か助けドワォ
618:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 01:28:52
>ドワオドワオと
地の文で出てこられると腹筋がwwwこんなに破壊力のある擬音だったとわww
619:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 01:30:10
ブラックゲッターになったら2・3はどうなるの?
あと、このすばらしい作品は、EmGみたいにどこかに保管されてるの?
されてるなら場所を教えてくだされ。
されてないならだれか保管所作ってくだされ。
他力本願スマソ
620:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 01:46:09
もしかしたらシンジとアスカを元に戻す為に竜馬と岩鬼を暗殺しそうだな>>>ゼーレ。
621:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 01:48:08
暗殺するとしたらどの方法なら上手くいくだろうか。大概の事じゃァ死なないだろうし
622:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 08:40:40
まさにBURN THE RUNの世界になるな
殺しても死なないというw
623:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 10:43:56
竜馬・岩鬼暗殺計画を企てるゼーレ。しかし嘗てのメンバーは皆暗殺されており
早乙女議長、コーウェン君、スティンガー君、ゴール、ブライ、ジャティーゴ、清明、
四天王に入れ替わっていた・・・。
624:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 15:00:45
地球\(^o^)/オワタ
625:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 15:52:28
超小型ゲッター炉心、ゲッタービームガン・・・・・・イスラフェルのATフィールドが弱いことを差し引いてもとんでもね~(汗)
ただでさえ、とんでもない極道兵器がゲッター線漏れで生身の部分まで進化しそうだ。
小型だけあってラミエル戦でのゲッタービームみたいな暴走はしそうにないが、そのぶん使いやすそう。戦自あたりから注文がきたりして?
626:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 17:54:55
シンジが染まってたくましくなってきたなぁと思ったところでアスカがブッちぎって霞んだな
逆転の目はあるのか、そもそも逆転すべきなのか?
627:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 19:40:57
ゲッターごとき、あと少しで使徒に乗っ取られて終了だろう
628:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 19:52:58
確かに使徒がゲッター線で進化するってのも考えられるよなぁ
629:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 19:56:54
そろそろゼーレの老人も対応策を考える頃だろう。ゲッターは目に見えるもの
型あるもの壊せるものにはくそ強いけど目に見えない形がなく壊せないものには
弱いイメージがある。そういえば残りの使途の中にそんなのいたな
630:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 20:41:30
漫画のほうだと魂とかも取り込んでたけどね
631:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 20:56:03
この竜馬は
・比較的落ち着いている(真・漫画寄り?)
・新宿(新)
・敷島博士(ネオ・漫画)
・青春時代はゲッター(ネオ・漫画)
・ゲッターそのもの(新寄り?)
・極道兵器(オマケ)
等のいろんな要素が絡まってるのでこれからも予想できないな…
632:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 21:22:13 9ridWy/2
>>627
ゲッターを「ごとき」といえるほどエヴァも使徒も強くない。
まして、乗ってるのが「乱暴者」竜馬だからな。
へたに侵食しようとしたら逆に「喰われる」のがオチ。
633:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:15:10
>>627
「ゲッターロボ」ならばシンプル構造のロートルマシンだし
大して苦もなく取り込めるだろうが、肝心のその後が大変だぞ。
あの奇怪な規格外エネルギー線が使徒に味方してくれると思うか?
634:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:25:26
むしろ使徒がゲッターに感化して・・・・・
635:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:29:02
第三次スパロボαでは終焉を望む第一始祖民族に対して、ゲッター線は最後の最後まで
人類の味方をしたんだっけ?
636:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:38:54
ところがWでは前の宇宙を滅ぼしてる
637:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:49:29
あまりに濃過ぎる人間に囲まれ疲れたシンジをゲッターダブリス(カヲル君)が癒すとか。
638:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:59:24
>>637
これはいい僕の気持ちをを裏切ってくれそうなカヲル君ですね
639:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:00:00
いやミサトさんたちの方が心労はあるでしょう。シンジはむしろたくましくなっているし。
640:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:06:52
ああ・・・そうか・・・そうだったのか・・・・・・
今・・・全てが解っ
641:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:07:31
ミサトさんは心労以前に体が保つのだろうか? リツコさんは既に取り憑かれてしまったようだから
心配するだけ無駄だろうけど。
642:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:08:54
リツコ=敷島化
トウジ、ケンスケ=竜馬の舎弟
アスカ=極道化
ミサト=暴走するリツコのツッコミ要員化
シンジ=成長はしているけど、ゲッターの進化に付いて来れていない
シンちゃんには癒してくれる相手が必要だと思う。
643:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:13:39
>>642
癒してくれる相手ですか…綾波か委員長くらいしか残ってないような。
意表を突いて冬月のおじいちゃんという手も?
644:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:16:11
ここで、カヲル君(ゲッターダブリス)ですよ。
645:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:58:08
使徒の中ではゼルエルとタブリスが一番ゲッター線に近い存在のような気がする
それぞれ力を司る天使と自由意志を司る天使だから、ある意味魔獣といい勝負
646:つづき
07/11/08 01:15:13
「……ゼーレの老人共がうるさくなるな」
と、彼は独り漏らすのだった。
さてゼーレという単語が出た。
これを掘り下げて語る必要性は今更ないかとは思うが、それでも物語の流れを解りやす
くするために、簡単に書いておこう。
ネルフの目的が人類補完計画なるところにあるのは最初に語ったが、いわばゼーレはこ
の上位組織にあたる。
それだけでなく全世界に強い影響力をもつ、地球の影の支配者だ。
こう書くとふざけた話に聞こえるかもしれないが事実である。
ゼーレはユダヤ教の考え方の根底を成す、旧約聖書の思想に骨の髄まで染まった、カル
ト集団であり、人類は不完全な生命体で神にしょく罪せねばならないという思想がある。
かれらは裏死海文書とよばれる予言所を所持しており、それに書かれた内容の通りに歴
史を動かそうとしていた。
事実、ゲッターロボが出現するまではそれはひとつの間違いもなく、本当の未来として
現出していたのだ。
それが最終的にもくろむ人類補完計画とは、地球の全生物に現在の肉体を捨てさせ、魂
と規定される概念の大量融合を強制的に果たさせ一個の生命体に成るというものだった。
むずかしいが要するに、原始の生命体に還るということだ。
生物の進化の否定といっていいかもしれない。
その「よりしろ」となる卵が広大な地下空間であるジオフロントそのものであった。
これは黒き月とも呼ばれている。
ゼーレは、海ではなくここから生命が発祥したと考えているようだった。発祥した地へ戻るというのだろう。
だがゲンドウは、この計画をそのまま実行するつもりはなかった。
これも最初に書いた通り彼の目的は、その妻ユイとの再会であって人類をどうこうしよ
うというのは、彼にとっては手段に過ぎない。
647:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:18:05
実はあの顔で人間の煮込みが主食のカヲル君とか…
648:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:18:12
凄まじいまでの自己中心ぶりだが、それだからこそネルフを動かせ、かつゼーレに造反
できるところもあるとおもわれる。
そして、エヴァ初号機にこそユイの魂は宿っている。
かつて初号機の初搭乗者として、彼女は初号機の内に取り込まれてしまったのだ。
エヴァは、あまりにシンクロ率が高くなると、搭乗者と一体になってしまうという隠さ
れた事実があった。
だからゲンドウは、自分を含めた人類の全てをエヴァ初号機の内に還元し、いわば神に
も等しい生命体になろうと企んでいる。
それをもってユイと相まみえようというのだろう。
どちらにせよ、現行の地球生命体は彼らによって存在を否定されようとしている。
だから、その計画を進めるための駒のひとつがやくざになろうが、予期せぬ駒が出現し
ようが、ゼーレ、そしてゲンドウにとっては障壁程度の認識にすぎない。
ところで。
人間のみならず、生命の進化の歴史は、お互いに食い合う、し烈な生存競争であること
は間違いないだろう。
いや、それどころか宇宙のことわりまで視点を拡大しても、星と星の食い合い、さらに銀河と
銀河の食い合いという超巨大な自然の争いが行われている。
生命の定義にもよるが、星も寿命のある存在だし、その集まりである銀河も秩序をもっている。
すべて永遠ではなく、崩壊するときもあれば誕生するときもあり、
さらに、それを内包している宇宙すら、何らかの法則によって動いて、生きている。
これらはダイナミックな生命といってもいいだろう。
生命は意識がなければならない、などというのはあくまでヒトの感覚による生命体の定
義にすぎないのだ。
いまこのときも、宇宙のどこかで星が生まれ、銀河が成立しつつ、そして滅んでいる。
壮大すぎるスケールで進行しつつある出来事だ。
はてしなく厳しいが、この競争に打ち勝った者にだけ存在の権利が確率される。
負けた者には容赦のない淘汰がまっている。弱肉強食である。
いってみれば、それがヒトをも含めた宇宙のシステムなのだ。
649:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:19:43
たかが、宇宙のほんの一部にすぎない人類がそれを拒否し、進化という競争をやめたと
ころで存在価値はあるのか。
残念ながら、答えは誰にもわからない。
が、少なくとも竜馬ならば「ふざけるな」の一言で済ますだろう。
彼は戦うために生まれたような男だ。
みずから可能性を潰えさせるような真似を、もっとも嫌う。
……生命を追い詰めようとする者は、追い詰められた生命たちの決死の反撃をその身へ
受けることになる。
だが、いまはそこに至るまでの、様々な状況を語っていかねばならない。
四
時間はすこしさかのぼって、ここではアスカが将造と共に岩鬼組で過ごしていた期間に
おいて、ネルフ側で起きたことについての流れを追っていく。
「あぁ、ったくもおぉぉッ!!」
と、ネルフの食堂へ歩きながら大声でどなり散らすのはミサトだった。
さらに横を竜馬がポケットに手を突っ込んだまま、無表情に歩きながら、いう。
「ちっと静かにしろや」
「誰のせいで荒れてると思ってンの!!」
と、竜馬に突っかかっていく。
セカンド・チルドレンであるアスカを脱走させてしまったことは、正式配属前だったと
いはいえミサトの頭を痛ませるのに十分すぎた。
650:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:21:18
竜馬に責任をかぶせる訳にもいかないので、その余波がすべてミサトに降りかかってきてしまうのだ。
とんだ災難といえる。
「仕事中もビールでも飲まなきゃやってらんねーわよ!」
そう叫びながら、彼女は食堂に足を踏み入れる。
するとそう広くないスペースである、このときはあまり客入りも多くなかったのでその
全体がよく見渡せた。
そしてその一角には、リツコと見覚えのある顔が同席しているのが見えた。
長くなった髪を後ろにまとめ、よれよれのワイシャツとズボンを、さらに緩く着て、だ
らしないみなりの無精ヒゲの男だった。
ただ、スタイルと顔はいい。
「あ、あれは……」
ミサトが信じられない、といった様子でそちらをうかがう。
以下は、彼女の耳にはいった会話である。
「相変わらず仕事の虫かい。それじゃ、まだ彼氏もできてないな」
「……そうでもないわよ」
「おや意外だねェ。せっかく俺が口説こうと思ってたのに。相手は誰? まさか碇司令とか、なあんてな」
「さあ、誰でしょう。あ」
と、リツコの視界の先に黒い影が見えたかと思うと、男の後ろに剛速球でなにか回転す
るものが飛んでくるのが見えた。
「か、加持君っ」
「え……あぐぁッ!?」
ぐあんっ、と音がするほどの勢いで加持の後頭部にスパナが当たり、彼はその場にもんどりうって倒れる。
「う、うぐぐぐ……」
651:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:22:36
後頭部を必死に抑えてうめくが、さらに追い打ちを掛けるようにその頭に、足が踏みつけられた。
男が抵抗しようとすると、その耳につんざくばかりの怒号が響く。
「あんたがどうしてここで、こんなことしてんのよォッ!!」
「よ、よぉ……か、葛城、ひさ、ひさしぶりだ……おおお、痛てててッ。やめろ、俺を殺
す気かっ、足をどけてくれえっ」
「なんなら殺してあげましょーか」
「か、勘弁してくれ、な」
と、許しをこうとやっと、その頭から足がはなれていく。
彼は顔と髪についたホコリや汚れを落としながら、よろけて立ち上がっていく。
この軽口のような受け答えをするのは加持リョウジ。ネルフ特殊監察部の人間だ。
と同時に、ミサトのかつての恋人でもある。
ただ、すでに仲違いして疎遠になっていたのであるが……。
生年月日、一九八五年六月一七日、三〇歳。
飄々という言葉がもっとも似合う人物であり、やや女好きのきらいはあるが、それも演
技にすらみえる、雲のような言動でつかみ所のない性格をしていた。
ネルフの特殊監察部というのは、要するにスパイ組織であって加持はネルフの情報源の
ひとつとして動いている。
が、そのうえで先のゼーレのスパイであり、また日本政府のスパイであり、三重のスパ
イというなんとも矛盾した仕事をこなしている。
彼に、思想はない。
あるのは、人為的であったとウワサされつつ、誰も真実を知らない大災害・セカンドイ
ンパクトを究明したいという、ある意味、子供じみた願いだけだ。
だが、彼をひとつの油断が即の死へとつながる所行へ走らせるのは、それそのものが主要因ではない。
加持自身がセカンド・インパクトによる孤児であるのが大きかった。
彼は孤児生活の中で、生きるために兄弟を犠牲にした過去がある。犠牲といっても食人
したというわけではないが、兄弟で組織だって食料の盗みにはしっていた最中、食料庫の
主にみつかり、制裁をうけたのだ。
652:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:23:58
当時は食糧難の時代であって現代のわれわれの感覚で考えるよりも、はるかに食料に対
しての価値観が違った。
それに無政府状態に近く、法律のまともな保護もなかった。
よって制裁は、子供にも容赦はなく死の制裁となる。
そのとき、自身が助かるために彼は兄弟の潜伏場所を吐いた。そうすれば自分だけは助
けてやるといわれて、身内を切ったのだった。
結果、彼の兄弟たちは皆殺しとなった。
だからセカンド・インパクトという理不尽に対して、激情に近い恨みを抱いている。
逆恨みともとれるが、それが彼なりに兄弟へのつぐないになると考えているのだろう。
その真実を探ることでセカンド・インパクトへ復讐するつもりだった。
風変わりな復讐鬼である。
父をシトに殺されたからシトに復讐する、という解りやすい動機をもつミサトとは、そ
の点、対照的といえる。
ミサトは加持と関係をもった理由を姿に父を見たからと独白していたが、あるいは、こ
の対照的な部分において惹かれ逢ったのかもしれない。
ともかく。
「ったく、なにしに来たってえのよ」
「ドイツからアスカのずい伴、の、はずだったんだけどね」
「もうそのこといわないで」
「解ってるよ……」
と、加持はちらりと竜馬をみやった。
彼はそれに気づき、逆にじろりと加持をにらみ返す。
「なんか用か」
「用はないけど、流竜馬って君のことだね。突然、虚空からあらわれてシトをバタバタと
なぎ倒していった、ゴリアテの戦士」
653:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:25:03
支援
654:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:25:08
「ゴリラだとてめえっ、ケンカ売ってんのか!!」
「上の人たちが君をそう呼んでるんだよ。あとゴリラじゃないから怒らないでくれ」
なお、ゴリアテとは旧約聖書に登場する、巨人の名である。敵の兵士と戦い、かれらの
神をあざわらったが、羊飼いの少年ダビデによる投石を額にうけて倒れ、みずからの剣に
首をはねられ死んだという人物だ。
日本人の感覚でわかりやすく例えるなら、一寸法師と鬼のはなしだろうか。
ゼーレは、つまり竜馬とゲッターをこの鬼にあたる存在だと認識しているのだろう。
どんなに強かろうとも、結局は討ち倒される存在である、と。
それが自分たちの驕りであるともしらずに。
「わけのわからねえ事をいいやがって」
「すまんすまん、謝るよ。ところで」
と、怒る竜馬をおさえて話題を変えるべく、そこで一呼吸おいてから聞く。
「竜馬君、君は葛城と同居してるんだって?」
「ああ? まあな」
「こいつ寝相悪いだろ」
その言葉に、場が凍り付いた。
いうまでもないが、大の異性同士がお互いの寝相を知るということは、つまり寝床を共
にする関係だということである。
さっそくミサトが食って掛かった。
「うわああああッ! あんたなにいってんのぉぉぉっ!!」
狂乱したような勢いだった。
それはそうだろう、誰だって自分のプライベートを他人に知られたくはないものだ。
それが恥ずかしいことであれば、なおのことである。
だが、加持や、そして竜馬にはそういう基本的な概念が欠如している。
655:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:26:19
「まあたしかに悪ぃやな。俺も人のことはいえねーが……」
と、返す竜馬。
それを聞いた加持は顔を崩してニヤけると、ミサトと竜馬を交互にみてからいった。
「お、もしかして葛城といい仲なのかい? 大変だぞ、こいつは」
「いいや。コイツがいつも飲んだくれて居間に転がってんの見てるだけだ」
「あっはははは。それは君も災難だったな」
と、男二人が妙に下世話な話で盛り上がる中、ミサトは肩をぷるぷると振るわせる。
あたりまえだ。
異性に目の前で自分の恥部を話のネタにされて怒らない人間などいない。
やがて耐えかねて、
「いいかげんにしろおーッ!!」
と、叫んだ。
「三人とも静かにしなさい。ここは食堂よ」
すると、親指の爪をかじりながらリツコが不愉快そうに注意した。
もっともである。食事の場で騒ぐことをよしとするのは、宴会やカラオケをのぞいて不
作法の極みだ。
ただ、リツコの不愉快はそれのみではないようだった。
その目がふらふらと竜馬を追っている。
それに感づいたのか、加持がリツコの肩をぽんと叩くと、
「そういや言い忘れてた。碇司令がお呼びだってさ。俺も呼ばれてるんだ、いこうぜ」
といって、二人は連れだって食堂から消え去っていった。
656:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:27:22
ところは変わり、第三新東京市、地上。
シンジに焦点をあてる。
彼は竜馬とアスカの意思を見たとき、改めて自分がネルフにいることの意義がわからな
くなっていた。
ゲッターでシトは倒せる、さらにエヴァのパイロットも自分だけではない。
その中で、あえて死の恐怖に耐えて戦う理由はなんなのか?
父親に認めてほしいからか、それとも竜馬に認めてほしいからか。
(あの時は竜馬さんに流されてゲッターやエヴァに乗った。けど、結局僕は、胸を張るこ
となんかできやしない)
と、真っ青な空に対して、少年の心の中は灰色の雲でおおわれていた。
「はあ」
ため息と共に、とぼとぼと街を往く。
しばらくいくと交差点にレイがぽつん、と立っているのがみえた。すでに信号は青へと
切り替わって人々は渡り初めているのに彼女は動こうとしない。
みなが、不振げにすれ違っていく。
「あ、綾波……」
「碇君」
シンジが呼びかけると、レイは待っていたかのごとく応えた。
「どうしたの、渡らないで」
「ここ、ネルフ本部にいく道だから。来ると思って待ってたの」
「えっ」
シンジはとまどう。
わざわざ、他人と道ずれになることを望むような娘ではなかったはずだ、と思考が錯綜していく。
657:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:28:24
そんなシンジの心を知ってか知らずか、レイはいった。
「本部に行きましょう。碇君に、たぶん見せなきゃならないものがある」
「僕、に……?」
レイは含めた言葉を残して、点滅しはじめた信号を小走りに渡っていく。
シンジもそれを追いかけていく。
後には、交通の音だけが残った。
さらに場所は移り、ネルフ本部内、ゲンドウの執務室へ。
広大な空間に一個だけ机が置かれた異様な部屋だった。天井と地面には、紋様があしら
われている。
そこで彼が事務するべき内容は、組織内の維持についてのことだった。
くわえて頭の中で竜馬の処遇を考えている。
ネルフはアスカの捜索および奪回がむろん急務であったが、かといって通常業務の方を
おろそかにするわけにはいかない。
この時点で、エヴァ零号機は大破修理中、初号機もやっとダメージが回復したばかりで
シンクロテストを重ねなければならない状態だった。
必然、万が一シトが襲来した際の頼りはゲッターロボとなり、ネルフとしては非常に心
許ない状態である。
戦力でなく、信頼性のことだ。
もっとも制御に問題のあるエヴァも信頼性が高いとはいえないが、それでもゲッターの
ように完全に未知の存在なわけではない。
しかも竜馬はシトが来れば戦いはするものの、命令を聞かないのは当然としてシンジな
ど本来エヴァ専属のパイロットや、果てはリツコのような非戦闘員を勝手にゲッターに乗
せていってしまう。
658:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:29:07
ダイナミックに支援
659:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:29:31
しかも竜馬と触れるにつれて、その人間もだんだんと感化されていく始末だった。
これでは組織としての規律が保たれない。
ゲッターの戦力はエヴァが万が一、動けないときの保険としては魅力的であったがゆえ
に今まで放置されていたがゲンドウは、この目の上のたんこぶがいい加減、厄介に感じ始めていた。
「野次馬も、ほどほどにせねば劇は完遂しない」
そう、漏らすほどに。
とするならば、流竜馬さえいなければいいのである。
「奴を消せば、静かになる。それはゼーレの老人も歓迎することだ」
だが、それこそ容易でないことはゲンドウがその身をもって思い知っていることだ。
竜馬自身にバケモノじみた身体能力があり、SPが数人むらがっても子供のように蹴散ら
されてしまう。
剣も銃も通用しない。
まるで正義のヒーローを相手にする悪役の状態だったが、ひとつ竜馬がそのヒーローと
違うのは敵対する者は、何の容赦もなく殺りくすることである。
これにゲッターが加われば、力押しではどうにもならなかった。
仮に、シンジ達を煽動してエヴァの全機がかりでもって竜馬を潰そうとしても、下手を
すれば返り討ちの目にあう。
ゲッターを奪うにしても無人のゲットマシンが自動操縦で動くなどからみて、竜馬の意
思に呼応しないとは限らない。
現にエヴァがそういう存在なのだから。
どちらにせよ竜馬を敵に回して殺害に失敗すれば、どうサイコロの目がでていくか予想
がつかなくなる。
かれのシナリオからは、大きく逸脱することになるだろう。
「結局、ヒトの敵はヒト、か―」
660:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:39:04
どー見ても無駄な事と考えてるな~このマダオはW
661:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:45:18
・・・もしかして猿さん規制受けたのかな?
悪いことは言わない、ゼーレもゲンドウも無茶は止めておけ
下手に手を出すと滅茶苦茶でかい何かに地球ごとドワオされるw
それにしても「ダイナミックな生命」か・・・いい言葉だ
662:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:55:21
名前欄がまだ「ここまで」になってないから規制かな。
しかしゲンドウ、休むに似たりのバカの考えというか、
対リナ・インバース対策の無益な思考ループにはまった盗賊の頭のようだ。
663:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:01:01
暴君(将造、竜馬)は毒殺か。
664:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:03:52
効く毒があると思うのか
665:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:05:51
毒を喰らわば皿までを地で行くからな
666:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:09:09
皿に乗ってたら何でも食うだろうしな
667:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:21:38
皿にのってなくても食う奴も一人いるな、大雪山に
加えて言うならその男を除いては毒には強いが食中毒には弱いw
668:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:23:11
スカトロはやめてー><
669:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 02:36:36
ゴリアテのつもりがゼウスだったと
670:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 09:39:56
前半のモノローグとかすげえわくわくするな。
671:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 10:54:44
つーかもしかしてリツコは竜馬に惚れてるのかw
ゲンドウに想いを寄せるよりははるかに健全というか、本人的に楽な方向へ向かうとは思うが
面白いキャラになってきたなあw
672:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 12:16:07
伝説とかそういうのはよくわからんが、面白いからよし!
673:昨日の残り分
07/11/08 12:45:17
ゲンドウはいいながら、その広大な部屋に入室してきた二人の人物に目をやった。
一人はいつもの白衣に身を包んだリツコだ。
そしてもう一人は……
「来たか」
「ええ、来ますとも。来ないわけにもいきません」
加持はその手に持った、巨大なアタッシュケースをゲンドウの執務机の上にどすんと置
くと、おもむろに封印を解いて中身を明らかにしていった。
その中には……
「確かに持ち帰りましたよ。固めてありますが、間違いなく生きてます。人類補完計画の
―かなめですね」
「ああ。最初の人間……第一のシト・アダムだよ」
ゲンドウはケースの中のコハク色のベークライト(フェノール樹脂)で固められた胎児
のようなものを見て、普段みせない笑みを浮かべてつぶやいた。
「そのコピー品がエヴァとは、よくいったものですわね」
リツコもそれを見ながらつぶやくようにいった。
ゲンドウはそれに頷いたような仕草をみせると、つぎにいった。
「ところで加持君……ネルフに停電が起こらないといいのだがな」
その言葉にぎく、と加持の動きが止まる。
彼は苦笑いを顔にうかべながら、
674:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 12:46:28
「ハハ……人類の科学の粋をあつめたネルフが停電なんて」
というが、ゲンドウはぴくりとも動かずに
「その、人の手によるならば話は別だ。聡明な君のことだ……私が君の正体に感づいてい
るのは承知のうえのことだろう」
といった。
「……」
加持は、答えない。
答えるわけにはいかなかった。どう答えようとも、ゲンドウの言葉を認めるようなもの
だからだ。
しかしゲンドウは返答を待たずにつづける。
そして、その先にある言葉は、加持を驚愕させるに十分すぎるものだった。
「構わんさ」
加持の目が見開かれる。
ゲンドウはそれを認めると、いつもの机につっぷして掌をくむ仕草になった。
「君の欲しがっている情報のひとつやふたつは、くれてやるさ」
「……ずいぶんと、気前のいい話ですな」
「君と交渉したい」
「私と」
「そうだ。流竜馬にはもう会っただろう」
「ええ」
「奴は計画の邪魔になる……君にとってもそうだ。あの異常にカンの鋭い男がネルフに
いてはいろいろと動きづらかろう。
施設がしばらく止まるのには目をつむろう……だが代わりに」
675:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 12:47:30
「殺れと。私は暗殺者ではないんですがね」
「必要とあらば行うだろう」
「……まあ。しかし、彼にいどんで勝てるとは思えませんな。無駄死には嫌ですよ」
「そのために赤木リツコ君を呼んでいる」
ふと、ゲンドウがリツコをみやる。
その視線にさらされる彼女は、複雑な表情を浮かべてたたずんでいたのだった。
・・・
暗い部屋の中、一対の男女が組み合うようにして寝具の上に重なっている。
宿直室かなにかだろうか。それほど広くはない。
男の方はガタイが良く、まさに丈夫という言葉が合うほどの大男で、逆に女の方は細身
のシルエットを映し出していた。
「で……この停電時に、なんの酔狂でこんなことをしやがった。リツコ」
と、その男、竜馬が異様なまでに鋭い眼光でもって、自身に組み付くリツコを射貫くと
呻くようにしていった。
リツコは頭を下げることでその視線を避けるようにするだけで、なにもいわない。
だが竜馬は無視してつづける。
「力でダメなら女で、てえのか。あのヒゲジジィの考えそうなこった」
というと、その言葉にリツコの肢体がビクリと反応する。
それに竜馬は確信した様に、
「あれがおめぇと出来てることぐらい、見抜けん俺じゃねえぞ。おまえがヒゲジジィを見
てるときだけ、目が違っていた。ゲッターを見る目とも違う」
676:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 12:48:37
と、畳みかけた。
するとリツコはいよいよ震え、竜馬のむなぐらに頭をなすりつけるかようにしたあと、
ぽつりぽつりと語り始める。
「そうよ。これは碇司令の差し金……」
「やはりな……目的は俺の命か、ゲッターか……いや両方か」
「ええ」
「大それた野郎だ。そいじゃこの停電もてめえらの自演ってわけか」
「ええ」
リツコは力なく答えるだけだ。
「で、俺を道連れに、この部屋ごと自爆でもする気か」
「その通り。私がいけにえで、処刑役は加持君」
「あの野郎はなんか異様な感じがしたがそういうことか。しかし、てえした奉仕の精神だな。
俺がお前ならゴメンこうむるぜ」
「何の見返りがなくても、あの人のためなら、何でもできるつもりだったわ。
だけどね、流君」
というと、リツコはぐい、と竜馬の胸にあごを滑らせるようにして顔を上げる。
その大きな黒目で覗きこむようして竜馬を見つめると、眉が下がったままの笑顔で凄みかけた。
白目が、赤く充血していた。
リツコはおもむろに、ベッドの下に手を伸ばして拳銃を取り出すと竜馬に向ける。
「……」
しばらくそのまま黙していたが、やがてふ、っと息を吐くと瞬時、猫のような身軽さで
体をひねると拳銃を天井へ向けて数発撃ち出して、さらにベッドの下に落ちていた衣服の
中から取りだしたリモコンのようなものを、空中に放ってからそれを撃ち落とした。
がしゃり、とガラクタになったリモコンが地に転がる。
677:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 12:49:45
天井から透明なプラスチック破片のようなものが、ぱらりと落ち、硝煙の香りが密室の中にただよう。
暗闇の中に、リツコの白い上半身が一杯に映った。
彼女は竜馬を見返して言う。
「あなたカンは鋭いけど、自分がどう見られてるかはもう少し考えるべきね」
と。
その言わんとしていることは、竜馬にもわかる。が、
「うるせぇ」
そっぽをむいて悪態をつく。
実際、こういう愁嘆場は彼のもっとも苦手とするところのひとつであった。それがゲンドウ
にも見抜かれていたから、こういう手段に打って出られたのであろう。
犯罪の影には女と金。よくいったものである。
だがリツコは再び竜馬におおい被さると、彼の両肩を細い手でぎゅっとつかんで、
「体も心も、すごく軽いのよ。ゲッターに、そしてあなたに逢ってから。
私を利用するだけの男を見限って、あなたみたいな人を選んで何が悪いっていうの……
助けてとはいわない。けれど付いていくぐらい、許してくれたっていいでしょう!
もう、救いのない苦しみにあがくのは嫌なのよ!!」
ほとんど叫ぶように言った。
竜馬も再び視線を戻す。
「頭のいいくせに、変なトコにこだわるやつだ。こうなった以上、俺に味方し続ければ、
いずれはネルフを裏切ることになるぜ。それともこれもヒゲのもくろみの内ってか?」
「私を信じる信じないは、あなたの自由」
678:ここまで
07/11/08 12:50:50
いいながら、リツコは銃の先端を手にもちながら、竜馬へとそっと渡した。
その手の内に金属のごろりとした感触が一杯に広がっていく。
信じないなら殺せ、という意味であろう。
それをもって、竜馬は、
「……上等だ。信じてやる。二回目だな」
といって、リツコを押してむくりと起き上がりながら、
「どうせ加持の野郎が張ってんだろう。あいつも連れてこいや、おめえらに見せてやる。
俺がこの世界に来た理由をな」
そういって、いまリツコから渡された銃を「持っておけ」と突き返すのだった。
察しのとおり、規制くらったです。
せっかく支援してもらったのに、ごめん。
679:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 13:32:58
お疲れ様っすー。災難でしたね。
そういえばこの話の竜馬っていくつくらいなんだろうか。
680:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 13:50:04
いつにも増して乙です
どんどん話が確信へと近付いているようですね
マジでドキドキする
どんな風に話がオチていくのか本当に楽しみ
でも面白すぎて終わって欲しくもないような…フクザツw
しかし今回の竜馬…
ちゃんと据え膳食うんだーw
特にチェンゲや新ゲの竜馬なんかだと目の前の据え膳に
気付きもしないっつーか気付いても全然興味持たなそうな
イメージがあるからw
でもまさか竜馬ってばリツコさんが初めてうわなにをするドワオ
681:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 13:57:50
何を言っている、拓馬がいるんだからそんなわけないだろう
しかしこのままリツコに手を出したら「裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!」と拓馬君が乱入して親子喧嘩しそうだw
関係ないけど竜馬の奥さんってゲッター斬のパイロットに似ていると思った
682:680
07/11/08 15:44:57
あ…拓ちゃんのことうっかりしてた
申し訳ない
OVAの女に縁のなさすぎる竜馬が刷りこまれ過ぎてたようです
683:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 16:49:18
女に縁がないっつーか、女が出てこないからなぁ。
まぁゲッターに女は必要ないけど。
賢ちゃんも女の子書くの苦手って言ってたしね。
684:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 17:30:05
竜馬って孕ませた事知らずに死んでったんだよな
結婚する気もなかったみたいだし
これだけだとなんか違うベクトルに外道だなw
685:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 17:41:20
なにげに竜馬はもてる。
新ゲッター1話のフィリピーナの言葉をかりるなら「可愛い」らしい。
686:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 18:09:48
チェンゲだとミチルさん以外興味無し
ネオゲだと奥さん有り一応恋愛とかは出来るらしい
新ゲだと女としてよりダチとして見てた感の有る頼光位か?ミチルさんとはそんなに絡まなかったし
OVAは確かに女っ気にかけるな。
無印とGは何だかんだと有った記憶はある
687:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 19:41:38
>>684
といってもガスや水道代も払えない貧乏寺で酒かっくらってごろごろしてた
生活破綻者だから結婚してもうまくいかんだろう。
688:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 19:45:48
しかし何だな、ゲンドウは自分の死刑執行命令書にてめえでサインしたようなもんだな。
竜馬は明確に敵対行動を取らない限り自分から手は出さないのに、よりによって
恐らく一番嫌悪するような方法で小細工を仕掛けてきたんだからな。
もっとも誠心誠意腹を割って包み隠さず説得したところで補完計画なんぞ
絶対に乗らないだろうから仕方ないのかもしれないがいずれにせよオワタな。
689:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 20:20:10
誠心誠意腹を割って「惚れた女を取り戻すためだ。邪魔してくれるな」と言った方が
明らかに成功率高いと思う。
690:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 20:32:24
>>689
その場合、そんな回りくどい事してんじゃねぇ!と、初号機からユイを引き摺り出しそうなんだが・・・物理的に
あれ?もしかしてこれハッピーエンド?
691:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 20:35:32
>>689
その場合、そんな回りくどい事してんじゃねぇ!と、ユイを初号機から引き摺り出しそうなんだが・・・もちろん物理的に
あれ?もしかしてこれハッピーエンドフラグ?
692:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 20:41:43
劇中で見る限りゲンドウって決して有能な人間じゃないからな
臆病だから他人を突き放す言動=冷徹な命令が出来るってだけ
代えのきかないパイロットのメンタルケアは一切無しとか、他組織との関係を悪化させてばかりとか
どう考えてもトップじゃなかったら間違いなくクビにされる失態じゃないか
693:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:02:50
まあマダオだしな。声とか
694:つづき
07/11/08 21:11:23
竜馬は軽く身仕舞いをすると、デニムジャケットを羽織って部屋の出入り口に近づく。
重い扉を力任せに横へ引っ張っぱると、障子の戸のごとく、すぱっと開いた。
普通なら人力で開けるのには数十秒かかる扉である。
あらためて竜馬の怪力がどれほどのものか、よくわかる場面であった。
現在、ネルフは加持の手によってMAGIなど一部の最重要機能維持に必要な電源をのぞい
て全館において停電してしまっている。
ただしその真実を知っているのは加持に行動を示唆したゲンドウと、共謀者のリツコ、
いまそれを彼女から聞いた竜馬、そして副司令の冬月だけだ。
加持は竜馬とリツコを端末で監視しながら、自分が求める真実に向かってジオフロント
の地下の地下へと入り込もうとしている。
もっともその端末から監視できるはずのカメラは、さきほどリツコの手によって破壊さ
れてしまったので、現在、加持はその異変に気づいているだろう。
だが彼は止まらない。
竜馬の暗殺計画が失敗に終わったとしても、それは加持にとって重要なことではない。
ネルフの隠し持つ秘密を、少しでも知ることが目的なのだから。
頭をかかえるのはゲンドウだけだ。
竜馬を追って部屋から出てきたリツコが、白衣を片手に、やや乱れた着衣のまま竜馬にいう。
「待って。あなたの秘密を聞く前に、ターミナルドグマまで案内するわ。先にネルフの真
実を教えましょう……加持君も、そこへ近づいている」
だが、
「ああ、俺もそこへ行くつもりだ。場所も知ってる」
と、ぶっきらぼうに返した。
これにはリツコも、ぱさりと片手の白衣を落として固まってしまった。
―なぜ、あなたが知っている。
695:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:12:27
その驚き様は、さきほどまで朱に染まっていた頬の色が、一瞬にして青ざめていったほ
どだった。
ターミナルドグマは、機密保持空間と研究施設をかねたジオフロント深部・セントラル
ドグマよりもさらに下がり、地下七〇〇〇メートルの場所に位置する、ジオフロントのコ
アと呼べる場所だ。
ここはネルフの中でもその創設に関わったほんの一握りの人間しか、存在を知らないは
ずだった。
だが、竜馬はそれを知っている。
カマをかけているわけでもなさそうだった。
「流君……あなたは、いったい」
「黙ってついてきな」
と、竜馬はリツコに背を向けたまま、暗闇の中をどんどん進んでいってしまう。まるで
この施設のルートが、全て頭の中に入っているかのようだった。
リツコはあわてて落とした白衣を拾って羽織ると、その背を追いかけていった。
二人は、やや足早にぐねぐねと迷路のように曲がりくねったネルフの通路を進み、途中
で閉ざされた扉を開け、あるいは力ずくで破壊して歩いていく。
終始、無言であった。
竜馬にしてみれば無駄な会話は面倒くさいだけで、リツコにとっては竜馬があるいはゼ
ーレかなにかの使者なのではないか、という疑念にかられて、言葉を発せない。
ただ、さきほどの自分を撃たなかったという彼の行為を信じるだけであった。
幾重もの階層をくだって、さらにそこから電源の生きていたエレベーターに乗って下っ
ていくと、やがて電光の消えた案内表記にかすかに「立入禁止区域」と書かれた区画まできた。
そこにも電源の生きている扉があるのが見えた。
ロックを解除するためのカードリーダーの緑色のLED光が、きらきらと自己主張していた。
696:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:14:09
だが、この場所まで迷うことなくやってくるということは、間違いなく竜馬はターミナ
ルドグマの存在を知っているということだった。
竜馬が、ここで初めて口を開いた。
「リツコ、開けてくれ。さすがにここだけは俺の力でもどうにもならねえ」
と話した。
はて、とリツコは思った。存在を知っていて、しかし侵入する方法はもっていないとは
どういうことであろうか。
だがいまは、それを疑って悩んでいる場合ではない。
竜馬の暗殺に失敗して、なお彼と行動を共にしていることがゲンドウに発覚すれば、そ
の命はない可能性が高い。
もはや、リツコはどうあろうとも、その運命を竜馬と共にする気であった。
「ええ」
それだけいうと、懐からカードキーを取り出すと読み取りにかけてロックを解除する。
すれば扉は重い音をあげながら、上下に口を開いて二人を迎え入れた。
その先に見えたものは……
「こいつか……」
あらわれたものは、広大な空間にそびえ立つ巨大な十字架にイエスよろしく、はりつけ
にされた巨人の姿だった。
全身が真っ白で、その下半身は引きちぎられたかのように無く、そこから無数の人間の
足が生えているような不気味な物体だった。
さらにその顔の仮面のような部分(仮面ではなく、これが素顔かもしれない)には、そ
れぞれ向かって左に三つ、右に四つの目玉が縦に並んでいた。
顔だけはまるで、日本妖怪の百目のようだった。
697:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:15:13
その異様さに目を奪われるが、足下にはリツコのいった通りに加持とミサト、
それにシンジがいた。
みな、一様にして巨人の姿に見入って身じろぎひとつしておらず、竜馬とリツコの侵入
にも気づいていないようであった。
なにも音がしない。
竜馬が踏み出すと固い床をかつん、と蹴る音が辺りに鳴り響く。
はっ、とミサトが振り向いた。
「……リョウ君、それに、リツコ」
「おめえも来てたか。さては加持の野郎をつけてたな」
「そんなことどうでもいいわ。あなたまで、知ってたの……?」
ミサトが放心したかの様子でいう。
竜馬は短く、ああ、とだけいうと空間の中央へと歩を進めていく。
そして加持のよこに近づくと、ぎろりとそちらを睨んだ。
加持も煙草をくわえたままちらり、と竜馬に目を流す。
しばらくそのままだったが、先に口を割ったのは加持だった。
「やれやれ……リッちゃんの目がおかしかったから、ひょっとしたらと思ってたけどね。
司令はどうも人の心を知るのは、苦手らしいな」
「んなこたどうでもいい」
「……おや、許してくれるのかい。もっと恐い人だと思ってたよ」
「リツコがカメラをぶっ壊した時に爆破しなかっただろ。
そっちからでもできるようにヒゲなら、しむけてたはずだ。てめえ初めから奴の言う
ことなんざ聞くつもり、なかったな」
「バレバレか」
「いいのか。たぶん命取りになるぜ」
「もとより覚悟のうえさ」
「へっ、言うじゃねえか……気に入った。いいことを教えてやる、てめえがアダムだと思
ってるこのバケモンの正体はリリスってんだ。アダムじゃねえ」
「なにっ……!?」
698:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:16:21
竜馬のことばに、それまで雲のような態度をくずさなかった加持が、その口からタバコ
をぽろりと落としてはじめて動揺した。
そして、今度は体全体を竜馬にむけて問い詰めるようにいった。
「ど、どういうことだ」
「おめえの持ち帰ったアダムの胎児は、あのヒゲがまだ持ってる。そんなに早くは再生で
きねえよ……こいつはまったく別の生命体、リリスだ。初号機のオリジナルよ」
ふっ、と加持もミサト同様に脱力したようだった。
竜馬が知りすぎていることに、思考の整理がつかなくなっているのだろう。
「しかし、俺の荷物まで知ってるとはな……デタラメじゃないだろうな」
「ホラなんざ吹いたところで何にもならねえ。証拠をみせてやる……おおい!!」
と、竜馬がさけんだ。
するとあまりにも広くここだけは電気が通って照明もついているはずなのに、暗く染ま
って見えない空間の奥から、風がうごいた……かと思うと、すぐさま突風となりここにい
る人間全員の肌を叩いた。
そして、闇をつらぬき菱形につり上がった二つの黄色い巨大な目が空間に現れる。
ゲッター1だった。
それは空間を縫うように飛ぶと、やがてゆっくりと竜馬たちの側へと着地する。
ずずん、と地が響いた。
「げ、ゲッターロボ……なんでここに。誰が動かしてるんだ」
これには、それまでずっと黙っていたシンジが、つぶやいた。
どうやってこんな地下までゲッターが来たのかも謎である。
シンジはふと「ゲッター2でここまで潜ってきたのか」とラミエルと戦ったときのこと
を思いだしたが、そういうことを聞いている余裕は自分にも、周りにもなさそうだった。
699:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:17:50
ゲッター1は、しばらくその場にたたずんでいたが、やがて右腕をその肩にやるとゲッ
タートマホークを射出する体勢になった。
まさか、このバケモノを斬るつもりなのか、と誰もがおもった瞬間だった。
しかし……
「ロンギヌス、ランサーッ!!」
ゲッター1から、聞き覚えのある少女の声が響くと、本来ゲッタートマホークが射出さ
れるはずのポイントから、二叉の長大な槍がぎゅんと飛び出た。
ゲッター1は飛び上がってそれをキャッチすると、ぐわりと両手で振り回して、さらに
リリスと呼ばれた白い巨人の腹に突き刺した。
ぐっ、とリリスがうめいたようだった。
だがそれに驚くよりも、ゲッターから響いた声にシンジは反応する。
「こ、この声……まさか綾波っ」
すれば、その声に呼応するかのように、ゲッター1のコクピットハッチが開け放たれる
と、そこからレイの姿があらわれた。
やはり、ゲッター1を操縦していたのは彼女であったのだ。
「……途中まで一緒にいたのに突然消えたと思ったら、どうしてここに!?」
シンジの呼びかけに、しかしレイは応じない。
それどころか、レイはコクピットからぐい、と身をのりだすと、そのまま飛び上がって落ちていく。
「あ、綾波ぃぃっ!!」
シンジの悲鳴があがった。
だが、レイは空中で身を軽くひるがえして、さながら棒高跳びの選手のように約四〇メ
ートル下の地面へと片ひざをついて着地した。
そして、何事もなかったかのように身を起こす。
700:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:19:05
それを見ていた竜馬をのぞいた、全員が絶句する。
四〇メートルの高さから落ちて平気な人間など普通はいない。竜馬や将造ならば
ともかくとして、ただの人間は間違いなく死に至れる衝撃を受けるはずなのだ。
だがレイは涼しい顔で、すたすたと歩いてきた。
みなが圧倒される中、竜馬だけがその姿にぱちぱちと拍手をおくる。
「あざやかな操縦じゃねえか」
「流さん」
レイはそれを受けたのか、竜馬に寄るが、すっと腕をあげてその肩の後ろをさした。
「碇司令が、来たわ」
と、いった。
その言葉に全員が振り向く。
すれば、開け放たれたままだった扉の入り口に、うつむき加減のゲンドウの姿がいつのまにかあった。
彼にしては珍しく、怒りの感情が走っているようだった。
まず、ゲンドウはリツコをみる。
彼のかけたサングラス越しに鋭い視線がなげかけられるが、リツコは金に染めた髪をかきあげるだけで動じない。
ゲンドウがいった。
「赤木リツコ君……君に問いたい。なぜ、命令を無視した」
「いつまでも女の心をつなぎ止めておけると思ったら、大間違いですわ。かわりにダミー
システムは、あなたとの別れ金としてキチンと完成してさしあげます」
「……君には失望した」
「私には、初めから何の期待も望みも持たなかったくせに」
それだけいうと、リツコは竜馬の腕をとるような仕草をみせた。
シンジがそれに嫌なものを見るような表情になっていたが、彼女は相手にしない。
リツコなりの、復讐だったのであろう。竜馬は黙ったままだ。
701:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:20:18
つづいて、加持が前に進み出た。
「司令。私もあなたを裏切りましたが、しかしおかげでこれが、アダムでないことも解り
ましたよ。リリスとはなんです」
ミサトが心配そうに見ていた。
だが、加持の言葉にゲンドウは反応しない。
そして彼はいよいよ自身の計略によって殺害を試みた相手、竜馬に目を向けた。
すれば、竜馬はかっとその目を見開いて、天地をも張り裂けんばかりの形相でゲンドウ
のまなこをつらぬいた。
見えない弾丸が飛んだようであった。
その勢いに、ゲンドウも体をびくりと震わせて戦慄する。
だが、それでもなお彼はいった。
「なぜだ……なぜ、貴様がロンギヌスの槍を持っている。なぜレイが貴様に協力する」
そういったが、竜馬は答えない。
かわりにだっとゲンドウの元へと走り寄って、
「黙りやがれぇッ!!」
と、助走の勢いのまま腰をひねってそのアゴにむかい、強烈なアッパーを撃ち込む。
ゲンドウが悲鳴をあげる間もなく、凄まじい威力の拳に体ごと弾かれて、空を舞うと地
面へと叩きつけられた。
彼の脳裏に最初、竜馬と争った記憶がよみがえるが、つぎの瞬間にはその腹を竜馬の足
にふみつけられた。
げっ、とおかしな声があがった。
「俺はてめえの様な、コソコソと裏で動く野郎が一番嫌いなんでぇ! 本当だったら、
この場でぶっ殺してやるところよ……だがな」
702:ここまで
07/11/08 21:22:06
と、竜馬はシンジと、そしてレイに顔をむけた。
「それでも、妻と子の前で、父親を殺したくはねえ」
そういった。あとは足を話すと、さっと後ろにひいて腕をくむ。
「おめえが説明してくれや、ユイ。俺だと手がでちまう」
と、レイに向かっていった。
だが彼女を、竜馬はユイと呼んだ。レイにそのようなあだ名はない。では……
「うぐっ……ゆ、ゆい、だとっ!」
その言葉に真っ先に反応したのは、誰在ろう息も絶え絶えのゲンドウだった。
ゆっくり歩を進めるレイは仰向けに倒れふすゲンドウの真上にくると、ゆっくりと腰をかがめてしゃがんだ。
そして、
「本当は、私もここで流さんに殴られなくてはならない。あなた」
といった。
その声色がきゅうに低くなり、少女のものでなくなる。
大人の女のものだった。
ゲンドウがうめく。
「ば、ばかな。ユイは、ユイは、エヴァに……初号機に、取り込まれたはずだ。そう、あ
のときおまえは初号機の中にっ……」
「今も、彼女は初号機の中にいます。私は……はるか未来の碇ユイであり、同時に綾波レ
イ・リリスでもある。魂の複合体。そしてゲッター線の使徒」
「……ウソをつくな。流竜馬、レイになにをした、何を吹き込んだッ」
「あなた、落ち着いてください。今から、真実を明かします」
703:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:26:05
なっなんだってぇぇぇぇぇっ!?
ユイさんがエンペrドワォ
704:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:44:08
話が急展開してる。
705:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:47:05
これは「俺たちの戦いはこれからだ」フラグだな
706:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 21:50:40
そこまで忠実に賢ちゃんを再現しなくても。号虎はダイナミックお得意の「俺たちの戦いはこれからだ」
エンドじゃ読者に怒られるよと編集長に言われてちゃんと完結までもっていったんだから。
・・・まあある日更新の気力がつきて尻切れトンボよりは「俺たちの戦いはこれからだ」
でもいいけど
707:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 22:00:24
レイがタイール化している!?
これはまさkドワオ分かったぞ早乙女!ゲッターの意思とは!おお、進化とは!
708:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 23:06:39
急にして超展開自体もさる事ながら、ゲンドウざまぁwwwwwwwだけで
ご飯三杯はイケるGJですた。
種死系のSSでラクシズが報いを受けるタイプの噺を読んだ時に似た
溜飲の下がり方というか。
ただあちらだとファンも多いのであまり喝采していると反発もあるわけだが。
エヴァの改変・クロスものはこのスレのしか読んでいないのでわからないのだが
他にもこういう見せ場を持ってくるSSはあるの?
709:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 23:55:25
最初に言っておく。
以下の発言は、かーなーり、板違いだ。
>>708
ラクシズを憎むのも結構だが、ラクシズが虐殺されるのを見て拍手喝采するのって
結局あんたは負債と同じレベルってことだぞ?
710:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 23:59:27
まったくスレと関係ない作品挙げてる時点でもう救い様の無い種アンチとしかね…
空気読むことと場所を選ぶことを覚えろと
711:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:11:25
>>709-710
俺はボインちゃんが大好きでな!
712:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:23:54
>686
ネオゲに奥さん出てたっけ?
713:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:25:17
>>709
別に虐殺だとか書いてないんだがお前さんも過剰反応気味だぞ。
714:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:26:21
ロンギヌスランサーで盛大に吹いたところでド肝を抜く急展開。
予想とか無粋以前に不可能。もはや次回を待つだけの俎上の鯉。
715:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:41:36
>>713
ごめんね、侑斗も心の中じゃ皆に謝りたいと思ってる。
[ ゜◇ ゜]⊃[>@<] デネブキャンディーだ!これから皆仲良くしてね。
716:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:50:24
漫画の竜馬は真ゲッターの啓示をあっさり受け入れて、全てを取り込み
火星に飛び立つという補完計画の親戚みたいな挙に出て、またゲッペラーを
司っているのもどうやら本人らしいが、正直違和感があると言ったらドワオされるだろうか。
個人的には反骨心剥き出しで果てしない戦いを挑む新の方がまだ納得がいくのだが、
ここの竜馬はどんな選択をしたのか…
717:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:53:51
>>712
出てないお
奥さん出てくるのはアークの回想シーンのみ
718:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 00:59:57
>>716
「あの竜馬を納得させるだけのすげえ真理があったんだろうなあ、すげえぜ賢ちゃん!」って思ってました。ごめんなさい。
719:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 01:13:52
>>716
全てを取り込みつーほどじゃないような。みんな持っていってしまったとシュワルツは
言ったけどアークみれば持っていったもののほうが少ないとおもう。
恐竜帝国も存在してたし。
720:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 01:14:39
>>716
ゲッター線なんか凄いからちょっとノリノリだっただけだと思ってる
運命に従うのも運命なら逆らうのも運命とかいってたのもその場のノリだろう
基本的にテンションに任せて行動してたイメージがある
721:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 01:32:17
原作じゃ竜馬死んでしまったん?
後「俺達の闘いはこれからだ」ENDにはならんでしょ。
722:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 01:34:59
>>721
何をもって原作というのか難しいからなあ・・・できれば具体的なタイトルを挙げてくれると皆判り易い。
竜馬が死んだENDの作品ってあったっけ?
723:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 02:36:30
桜多吾作が手がけたコミカライズでは、最終回でゲッターGが百鬼要塞島ごと
自爆して百鬼一族全員道連れに三人とも死んで終わったバージョンがあるそうな。
ちなみに掲載誌は小学二年生か三年生だったはず……
724:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 03:07:56
そして永遠に出番のない来栖丈・・・
725:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 06:27:46
>>723
それは大都社の決戦!ゲッターロボGに載ってるぜ。
ゲッターチームがゲッター線増幅装置を早乙女研究所から奪って百鬼要塞島へ特攻して死んでしまう最期。
しかも小学三年生連載。あの人は石川賢とは別の方向でとんでもない才能の持ち主だな。
726:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 06:56:45
>>716
同感です。だから、私は新の竜馬が一番好きなんですよ。新ゲも終わり方は虚無ってるけど
なんとなくきれいにまとまっているし。新ゲがOVAでは一番好きです。
727:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 19:55:23
>>718
アレじゃね? ゲッター線が正直に「時天空ぶっ殺さないと宇宙がヤバイから協力しろ」って竜馬に言ったんじゃないの。
728:つづき
07/11/09 20:50:22
「あなた、落ち着いてください。今から、真実を明かします」
レイが立った。
彼女はゆっくりと顔をシンジへむけていう。
「シンジ……これから話すことは、とても大事なこと。今は受け入れられなくても、けっ
して耳を塞がずに聞いて」
と、つらつら話すレイにシンジが待ったをかける。
「ちょっと、待ってよ……綾波が母さんって、どういうことなんだ」
「おねがい聞いて、シンジ。人類補完計画を止めなければ、世界が滅んでしまう」
レイがいった。
ここから先は、彼女にかわって代筆しよう。
レイ……いや、ここでは彼女をユイと呼ぼう。
ユイのいうとおり、この世界は未来において滅んでいる。
その理由は、以下に説明する長い経緯によるものとなる。
さて。
A.Tフィールドというものが何度も登場してきたが、これは単なる物理障壁ではない。
わかりにくいが、いってみれば心の壁を具現化した存在なのだ。他者を拒否したいとい
う心の防壁が、現実のものとなって世に現れたと思えばいい。
エヴァやシトだけでなく、全ての生命がもっている。物質化できるほどに強力なのが上の二体なだけだ。
これこそがヒトや、その他の生物の自我と肉体のカタチを構成するために不可欠のもの
であって、それが根本から失われるとアンチA.Tフィールドが発生して、その生物はLCL
(羊水に近い物質)なる原始の生命に還ってしまう。
壁があるからこそ、他者との差ができ、よってカタチも造られるのだという。
生きようという意思もあらわれるのだという。
729:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:51:35
そして今、ゲッター1が持ってきたロンギヌスの槍。
いつの頃から地球圏に存在するこの槍は、そのA.Tフィールドを根本から失わせる力があった。
この世界が終局をむかえるとき、ゼーレは初号機を中心に一二体の量産型エヴァを、オ
リジナル一本と、一二本にコピーしたロンギヌスの槍で、一斉に処刑した。
これによって地球の全土に、巨大なアンチA.Tフィールドが発生し、ヒトを含めた全生
命体をLCLへと還して計画は遂行されたのである。
この、エヴァの元となったのがリリスとアダムだ。
リリスは、この世界にあっては人類の始祖とされていた。
その肉体のコピーが、エヴァンゲリオン初号機である。制御の効かないリリスの代わり
であり、これに選ばれた子(シンジのこと)を乗せて動かし、最終的にロンギヌスの槍に
よってアンチA.Tフィールドを発生させるための、柱であった。
なお、この魂を碇ユイのクローンに移植したものが綾波レイの正体である。
その他のエヴァは、加持がとどけたあのアダムのコピーだ。
アダムとはなにか。
それははるか数億年のむかし、リリスに地球での生存権を奪われ、月に隔離されて永い
時を眠りについやした現在の地球にすむ生命体とは、別個の生命体の始祖であった
初号機以外のエヴァは、アダムからコピーされたヒトのしもべに過ぎない。
いけにえとなる地球生命は、ひとつでいいのである。
ほかは、いわゆる王の埋葬の際の副葬的な存在だと考えていい。
アダムは生存権の獲得に敗北して、月で眠りについていたが、それでも地球による生存
を諦めなかった。
数億年の時を経て、かれは再び地球に舞い戻り、リリスから生存権を奪い返すべく戦い
を仕掛けてくる。
だが、すでにこのとき地球にはその子孫の中で最大の知識をもつ生命体、人類がいた。
そしてアダムが最初に遭遇した人類こそゼーレ、そしてそれと深い関連をもつユイだっ
たのである。
730:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:53:16
ゼーレはアダムを捕獲するべくロンギヌスの槍を持ち出してかれを突いたが、予想以上
にアダムの発生するアンチA.Tフィールドが強大になり、当時その舞台だった南極をLCLの
海と化し、さらに余波で世界中に爆風の大打撃を与えた。
これがセカンド・インパクトの正体である。
アダムはこれにより、胎児にまで還元してしまい自分で動く力を失った。
そして、しぶとく生き残ったゼーレに捕獲されることとなる。
ちなみに、これまで現れたシトの正体についても言及しておこう。
それはセカンド・インパクトによって胎児に還ってしまったアダムの、新たな抵抗の手
段であった。
アダム自身には、すでに戦う力がない。
そこで、月に残したみずからの眠り場所、月のジオフロント「白い月」から子供たちを
呼び寄せてリリス、そして人類、地球生命体を打倒しようと考えた。
それが、今まで戦ったシトの正体である。
かれらは人類の始祖との生存競争に、負けてしまった者の末裔なのだ。
ともかく、リリスの分身・初号機を核に、副葬としてアダムの分身、初号機以外のエヴ
ァを用いて、世界中を巻き込むアンチA.Tフィールドの発生……サード・インパクトを起
こして地球生命体をLCLと化させ、地球のジオフロント、つまり黒き月に融合させて新た
な生命とする。
ここまでがゼーレの計画であった。
だが、神にしょく罪せねばならないという妄想にかられるゼーレと違い、ユイの目的は
さらにその上をいっていた。
黒き月に人類を融合させて神へしょく罪するのではなく、リリスのコピー、初号機その
ものに融合させ、人類みずから神となって宇宙を永遠にさまようことを企んだ。
それで人類の記憶が永遠たりえると考えたのだ。
そのために、自らがエヴァ初号機と一体となり、さらにその思考の支配下にゲンドウを
おいて、間接的に息子を自分の中へ乗せるように仕組んだ。
731:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:54:24
ゼーレ案とユイ案は最後まで拮抗したが、最終的にはユイ案が打ち勝ち、人類、そして
地球生命体はエヴァ初号機と共に神となり、永遠に宇宙をさまようこととなる。
ともかく……これが、現行の地球生命体が滅亡した未来の出来事だった。
ユイは満足だったであろう。
なにしろ、己が願いを果たして永遠の命となって宇宙をさまようことができるようにな
ったのだから。
だが。
それをよしとしない存在があった。
ゲッター線である。
これはリツコも調べていたとおり、ただのエネルギーではない。
意思がある。
はるかな時空の先にある「大いなる意思」と呼ばれる存在によって生み出されたエネル
ギーだった。
なお、この物語では「時空」は「次元」と考えてもらっていい。
たとえばこのシンジたちのいる宇宙と、竜馬や将造の宇宙は、別の時空にある宇宙同士
である。
本来は、平行世界であり干渉することはできない。
その大いなる意思は、ひとつの宇宙に君臨する神を超越する存在だ。ゆえにすべての時
空に干渉する力をもっていた。
だが、その彼らも存在の消滅の危機にひんしていた。
かれらをおびやかした敵の名を「時天空」という。
時空を超えた宇宙の外からやってくる、ほぼ無限の浸食体と大いなる意思は判断した。
宇宙のすべてを司ることのできるかれらにも、どれほどの大きさがあるのか、わからな
いほど、途方のない敵だった。
732:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:55:27
明らかなのは放っておけば、あらゆる時空の宇宙が時天空に飲み込まれて、全ては無に
なってしまうことだった。逃げ場など、どこにもない。
ゲッター線は、大いなる意思によってこれに対抗するために生み出されたエネルギーで
あり、地球の人類を筆頭に機械・生命とわず進化、あるいは融合させて、対時天空用の兵
器とするための存在だった。
人類は大いなる意思の期待通り、他の生命体を蹴散らして進化し、さらにゲッター線の
器として最大の威力を引き出すことのできる機械、ゲッターロボをも発明した。
やがてゲッターロボは他者を喰って進化する力を身につけ、竜馬を乗せたまま気の遠く
なるほどの時間、進化を重ねていった。
そして、とうとう太陽系をも飲み込む大きさの「ゲッターエンペラー」となるが、それ
でも進化はとまらず、ついには一つの宇宙を飲み込んでしまうほどになっていく。
それでも無数にある時空のすべてを飲み込む時天空には、ほど遠い存在だった。
そのため、竜馬はエンペラーをより巨大に進化させるため、いよいよ他の時空に干渉し
はじめた。
そこでユイやシンジと出会うことになるのだ。
すでに宇宙そのものの大きさまで進化していたエンペラーには、宇宙をさまようユイが
どこいるかなど、関係がない。
だが、戦うために進化した竜馬の世界の人類と違い、シンジの世界の人類はLCLの神と
なって滅亡していたのは書いた通りである。
これに触れた、エンペラー率いるゲッター艦隊は、一部がLCLと化しはじめる。
シンジの世界の影響が、竜馬の世界に及んできたのだ。
むろん、エンペラーの力ならば、まだまだ小さなこれを強制的に切り離して消滅させる
ことは可能だった。しかし。
エンペラーの戦わねばならない相手は、時天空である。
この程度の相手を取り込めず、撃破しなければならないということは、仮に時天空や、
現時点でのエンペラーよりも巨大な敵と戦えば、為す術もなく飲み込まれるということである。
733:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:56:32
ゆえに竜馬は引かなかった。
エンペラーの力で浸食を抑え込むと、その核であるユイの意思を見つけ出して強制的に
引きずりだし、コンタクトした。
そして竜馬は、ユイに時天空の存在を説く。
ユイもそれによって真理を知ると、自らの行為が過ちであったと悔いた。
どうすればいい、というユイの意思に、竜馬はエンペラーの力でこの宇宙の過去に飛ん
で歴史をねじ曲げて修正するという荒技を提案する。
時間軸をいじったことのよって起こる時空の歪みが発生し、この宇宙ごとエンペラーが
吹き飛ぶ可能性もあったが、竜馬はためらわなかった。
彼女は、すべての出来事は自分の責任だと竜馬の案を呑み、自らの魂を初号機から切り
離して竜馬の道案内となり、同時にロンギヌスの槍をゲッターに託すことにした。
そして竜馬は滅亡に至った要因を修正し、全時空の命運をかけた戦いに、この時空をも
参加させるために竜馬はエンペラーのカケラに乗って、過去の地球へ旅立った。
現在のレイの正体は、この未来のユイの魂がレイの肉体に融合した存在である。
レイをよりしろに選んだのは、エヴァ初号機にはかつての己の魂が宿っており、思考が
異なりすぎて同居できず共に消滅してしまう可能性が高かったことと、レイの肉体は自身
のクローンであること、さらに魂がリリスだという理由からだった。
ユイは綾波レイの魂に、同居の協力をもとめたのだ。
レイは、すべてを理解し承諾した。
だからこのレイは、綾波レイとしての記憶もあるし、未来のユイとしての記憶もある。
そして最後に、ここが大事なところになるが、竜馬はただ、大いなる意思に従ってゲッ
ター線を享受し、時天空と戦うだけの存在になるつもりはなかった。
「俺たちをいいように使ってくれたんだ。時天空をぶちのめしてから、ゲッターもろとも
大いなる意思なんてやつらは、消滅させてやる。
そうでなきゃ、今までゲッターに取り込まれていった奴らに対する申し訳がたたん」
734:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:58:04
これが、竜馬の最終目的だ。
真実は定かでない。しかし、彼は信じたことのために戦い続けるというのだった。
……長くなってしまったが、竜馬の世界とシンジの世界、この二つをつなげた物語は、
以上のような内容となる。
ここで場面を、ターミナルドグマに戻そう。
レイに支えられたゲンドウが、うめくままにいった。
「そんな……途方もない話をされたところで、今の我々に理解できるはずがない」
もっともである。
すでに人間が知覚できる限界をこえた話だ。
「でも」
とユイはつづけた。
「本当のことです。私は大きな過ちを犯しました。時天空を倒さない限り、私達が宇宙を
さまよったところで、それはなんの意味も成さない。
だから、人類補完計画は止め、私たちもゲッター線と共にゆかなければ」
「……本当だったとしても、ユイ。おまえに再会したいというだけで、ここに来るまで様
々な人間を犠牲にした私が、いまさら罪をつぐなうために改心するなどと……誰が許してくれる」
といった。
だがユイはかぶりをふって、
「誰にも許してもらえないのは、私も同じ。だからって何もしないのはもっと罪なこと。
たとえ誰にも許してもらえなくても、つぐなうべきです」
と説得するようにいう。
その言葉に、ゲンドウはしばし目をとじたまま思考をめぐらしてから、
735:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 20:59:22
「……各員、今日起きたことは部外秘だ。もし、時間軸云々が真実だとするなら、いたず
らに既存のシナリオを動かせば、なにが起こるかもわからん。
決断は、する。流竜馬……命を狙っておきながら恥を承知でいう。私に時間をくれ」
そういった。
みなが竜馬がどう反応するかと視線を集中させたが、その答えはしごく単純なものだっ
た。
「ああ、いいぜ」
アスカ帰還の、数日前の出来事であった。
五
ネルフでの停電騒動と、第七、第八シトとの交戦劇からしばらくが経った。
相変わらず第三新東京市は常夏の太陽がてらし、うだるような暑さがつづいている。
ゲンドウは、あれからいまだ答えを出さずに態度を保留していた。
いい加減に竜馬もしびれをきらしている頃だったが、自身の秘密を明かしてしまった以
上は待つしかない。
可能な限り、この世界での出来事を変動させずに人類補完計画を阻止しなければならないのだ。
もっとも竜馬がゲッターロボで暴れまくっている時点で、変動もなにもないと考えるこ
ともできるのだが……。
竜馬をいら立たせるのはそれだけではなかった。
「ぬるぃ! なによこのおフローーーッ!!」
736:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:00:35
竜馬がその寝床としている、ミサトのマンションで焼いたイワシを頭からボリボリとか
じっていると、風呂場の方からアスカの怒号が響いてくる。
すぐにドタドタと足音がひびいて、弐号機と同じ赤色のバスタオルを巻いた姿のアスカ
が居間に飛び出してくる。
「シンジぃっ、おフロぬるすぎなのよ!! あんたこんな温度で入ってるわけ!?」
と、彼女はシンジがわざわざ沸かした湯の温度が気にくわなかったらしく、その格好の
まま文句をわめきちらしていた。
竜馬やシンジがいるのだからもう少し、羞恥心があってもよさそうなものだが、そうい
う目では二人とも見てはもらえていないのだろうか。
それはそうと、彼女の希望でミサトの同居人が三人に増えたまではよかったが、問題な
のが部屋割りのことだ。
3LDKであり、部屋割りは一一畳ほどの居間に七畳半の和室、六畳の洋室、納屋、そして
ミサトのペット、温泉ペンギンの「ペンペン」が住まう、居間に鎮座する巨大冷凍庫という構成だった。
このうち和室がミサト、洋室がシンジ、納屋が竜馬という割り当てだったのだがアスカ
が増えたことにより、シンジの洋室は彼女に乗っ取られてしまう。
「あんたはペンペンの冷凍庫で暮らしたら?」
などと暴言を吐かれたものだが、そんなことが物理的にも精神的にもできるはずがなく
シンジは仕方なく竜馬の納屋をさらに半分に仕切ってもらうことになった。
いかに竜馬が住む場所にこだわらないといっても、もともとせまい納屋がさらにせまく
なれば寝るにも息苦しい状態だった。
そのおかげで、竜馬の機嫌は日に日に悪くなっていく始末であった。
「うるせえ赤猿ッ、湯の温度ごときでわめくんじゃねえっ」
赤猿とは、竜馬がつけたアスカのあだ名だ。
737:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:01:41
だが当然プライドの高い彼女は、これをよしとするわけもない。
しかも、彼女は最初竜馬に嫌というほど脅された恨みつらみがある。
竜馬の言葉に、まさに猿のように顔を真っ赤にさせて怒ると、濡れた足のまま洋室に駆
けると例の軍刀を取り出してきて、しゃらん、と抜きはなつ。
「もっぺん言ってみろおっ、タマとったるぅぅーー!!」
「上等だコラ、ちっとばかし将造に鍛えられたからっていい気になるんじゃねえッ」
と、売り言葉に買い言葉となり、もう夕刻なのに二人はそのままベランダに躍り出ると
極道映画よろしく、大立ち回りを演じはじめた。
それをビールを片手に、ペンペンを膝の上に抱いたミサトがその頭をぺしぺしとやりながら、
「元気ねぇ」
と、つぶやいていた。
ターミナルドグマでで真実を知った者たちは、これから自分たちを待ち受ける運命に戦
慄しているはずだったのだが、どうも竜馬と関わっていると、そう言う気分が抜け落ちて
いってしまう。
「アスカも、あれから話を聞いたはずなのにへこたれないですね」
と、シンジがいう。
ゲンドウは部外秘だといったが、竜馬の独断でアスカとその保護者である、将造にはこ
の話が伝わっている。
将造は敷島博士という、竜馬の世界の人間と行動を共にしているし、アスカはその義娘だ。
738:ここまで
07/11/09 21:02:45
なにか、切れぬ縁のようなものを感じたのだろう。
話をきいた将造とアスカは驚くどころか「なんて面白そうな話なんだ」と釣り餌にくい
ついた魚のごとき反応をしめしていた。
精神構造が、普通の人間とは違うらしい。
「ミサトさん。初号機、いや、母さんと僕が、本当にこの世界を滅ぼす原因なってしまう
んでしょうか。僕は……最近、この生活が少し楽しく感じていたのに。
ネルフでの居場所のなさを感じるのは、別として」
「う~ん。私に聞かれても、ちょっち……加持君があのあと、偵察の対象をゼーレに絞っ
たみたいなんだけど、よく解らないってとこかしら……」
「そ、そうですよね」
シンジは、はからずして母親と再会した。
それそのものは内心、嬉しさを感じていたことだったが同時に、つきつけられた運命は
過酷なものだった。
おそらく、人類補完計画を進めていたゲンドウとても、似たような心境であろう。
「父さん、どうするつもりなんだろう……」
739:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:08:38
GJ!
エンペラーやら時天空やらいろいろ起こり過ぎてもう思考がドワォ
740:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:18:00
これはいよいよ虚無る気がしてきましたね
741:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:18:34
なんという和やかな団欒の雰囲気…これはハッピーエンドの予感
742:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 21:18:47
>「俺たちをいいように使ってくれたんだ。時天空をぶちのめしてから、
> ゲッターもろとも大いなる意思なんてやつらは、消滅させてやる。
> そうでなきゃ、今までゲッターに取り込まれていった奴らに対する申し訳がたたん」
そうだ!それでこそ流竜馬!
そしてこれこそがずっと待っていて、しかしもう実現不可能と半ば諦めていた
ゲッターサーガの結論でありオトシマエだ!!
やっぱり石川賢の魂は地獄から舞い戻ってこのスレの職人各位に宿っているのだ…!
743:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 22:01:18
ここまできたら隼人・武蔵・弁慶・號・早乙女も登場しても驚かない。
744:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 22:48:59
兜、剣、デューク、ひろしもだ!
745:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 22:54:45
俺達の戦いは終わらないのさ!
746:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 22:56:55
>>745
そんな事言ったら物語が強制的に終わってしまうからやめてくれ!
747:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 23:17:44
>>742正にそのとおりです!!
うおおおおおおおおおおおおおおーーーーーーーーーーー!!
何だこの神展開は!!
これぞ、真の竜馬だ!! 流竜馬だ!!
天元突破を超えたぜ!! まさに石川先生の書きたかったものこれに違いない!!
石川作品の結論であることに激しく同意します!!
そして必ず勝てる!! 正造と竜馬がいれば!!
748:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 23:19:18
>>747
興奮する気持ちも分かるが一々他作品を引き合いに出すな、マヌケ
749:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 23:54:33
神だ…
このスレには今まさに神が降臨している…!
こんな素晴らしい状況にリアルタイムで参加できるなんて!
できればハッピーエンドになってほしいな
竜馬のおかげでみんなとっても前向きになってるから、
このまま人生全うさせてあげたい…
750:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/09 23:56:01
残念だが・・・お前たちにはもっと残酷な未来が待っているんだ!
751:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:05:31
時天空っていきなりスケールがでかくなったなぁw
ふと思ったんだけどチェンゲのラストで出たエンペラーに居た竜馬と漫画に出たエンペラーに居た竜馬って同一人物?
752:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:17:56
何をもって同一人物とするのかわからないが
チェンゲエンペラーの中の人は来留間慎一スタイルっぽい反重力マフラーしてたから
同一人物ではなくチェンゲのオリジナルじゃないか?
753:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:26:28
>>747
もともと天元突破(笑)はゲッターを超えてない
754:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:32:10
>>753
いちいちアンチ活動する奴はお断りしてるぜ
755:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:38:49
なんだか知らんがいちいち天元突破とやらをもって来るな
最近ゲッター系のスレでよく話に出て困る
756:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/10 00:41:55
>>751 >>752
スパロボD萌えスレにあったネタ思い出した
868 :名無しさん@お腹いっぱい。 :2007/02/07(水) 18:07:24 V/Qu3nXH
ゲッターエンペラー内
漫画竜馬「じゃ、次の議題な。えー…『グラキエースの寿命が3年だなんてあんまりだ! 謝罪と賠償を要求する!』…なんじゃこりゃ?」
真! 竜馬「ああ、それ持ってきたの俺だ。ちょいと知り合いがな」
新竜馬「へっ! 一番獰猛な『俺』が助命嘆願たぁ、お笑いだな!」
真! 竜馬「うるせえ! 『助命嘆願』も漢字で書けそうにねえ馬鹿は黙ってろ!」
新竜馬「ああ!? 舐めんなよオッサン! 俺だってそんくらい…そんくらい!」
リョウ「止めるんだ二人とも! 今は新竜馬君の頭の足りなさは関係ない!」
新竜馬「おう、そうだぜオッサン! 話逸らしてんじゃねえ!」
真! 竜馬「チッ、煽って来たのはテメェだろうが…で、どうなんだ?」
リョウ「詳しい事情が解らない以上何とも言えないが、原則として死は絶対だ。ゲッターと言えども簡単に覆していいものじゃない」
真! 竜馬「チッ…まあそりゃそうだけどよ」
ネオ竜馬「事情によっちゃあ生き返らせんのもありだが、今回の件はあんましゲッターとは関係ねえしなぁ」
漫画竜馬「強いて言うなら破滅の侵攻を事前に食い止められなかったことくらいか? それにしたってなぁ…」
新竜馬「オッサンがちゃんと出向いてたんだしな」
真! 竜馬「チッ…」
リョウ「まあそう気を落とすな。決定を下すのは詳しい事情が解ってからだ。可能性が無いわけじゃない」
漫画竜馬「ウム。では次の議題…」