エヴァの主人公が真ゲッターの竜馬だったら~参号機at EVA
エヴァの主人公が真ゲッターの竜馬だったら~参号機 - 暇つぶし2ch465:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 17:30:12
やっぱり東映祭り的に
「 ゲッターロボ 対 極道兵器 対 魔獣 」
豪ちゃん作品と違って本当に対決しそうな気がするのは気のせいだ!

466:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 18:47:46
>>465
最初の顔合わせの段階で、都市が幾つか壊滅しそうだ……
第一、共闘出来るのかコイツら?共通の敵が居ても各々、手前勝手に戦って勝ちそうなんだが。しかも、みんな戦う時に周りをそんなに気にしない連中だから敵を倒した時に日本も壊滅してるのは日を見るより明らか。

467:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 19:51:59
日本どころか世界規模の被害が出ていそう

468:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 20:07:49
そしてこちらの存在を感知する時天空のかけらとラ=グース細胞と昆虫人類と使徒

469:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 20:09:37
将造ならそのままでも使途殲滅しそうだなwww
何はともあれGJッ!

470:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 20:44:17
流石に時天空すら差し置いて石川賢漫画で最強候補に上げられる奴は違うな

471:名無しさん@お腹いっぱい
07/11/01 21:18:18
>>470
確かに、この人にゲッターを与えたらもうゲッターチームか慎一以外誰も止めることが
できませんな。

472:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 21:18:33
もはやエヴァに関係なくなっとる

473:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 21:33:14
最初に言っておく。
俺はロボヲタだからアニメのゲッターは好きだが、他の石川作品には全く興味が無い!

つまり何が言いたいかっつうとだ。
石川厨自重しろ

474:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 21:57:42
>>473
今日はやけに(ry
まあ自重はした方がいいかもしれんが、このスレの人間は皆お前のためにレスをしているのか?知らんかった

475:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 22:14:38
まあ石川作品はゲッター含め色々と繋がりがあるしな

476:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/01 22:18:32
>>473
俺が興味ないから黙れとな。お前がこのスレを見るのをやめるといいよ

477:つづき
07/11/02 00:25:26
 男は野太い声で一喝した。
 一声で辺りが瞬く間に静まりかえり、その中でゴロツキがうめいた。

「や、やべえ……あれは岩鬼組の……」
「おおよ。ワシは岩鬼将造じゃあ! ワシのシマで勝手な真似はさせねえっ」

 啖呵をきった男、岩鬼将造というらしい。
 ゴロツキの言葉からみれば、いわゆる極道の筋のもののようだ。名前からしても下っ端
ではなく、それなりに地位のあることが予想できる。
 このあたりの繁華街は、彼らの「シマ」なのであろう。

 なおシマとは、やくざことばで縄張りのことである。
 このシマをいかに広げられるかが、その組の実力となって現れるのだが、思うにそれは
戦国時代の様相に似ている。

 まあ、ともかく。それに竜馬が近づいていった。
 一瞬で周りが恐怖に凍り付いていく。
 野獣のような竜馬と筋者が喧嘩沙汰など起こせば、この辺り一体はシトの攻撃の前に灰
じんへと帰してしまうかもしれない。
 シンジなどは覚悟して眼を閉じたほどだった。
 だが、その予想は見事に裏切られることになる。

「よお。将造じゃねえか」
「んん……うおっ。ワレ竜馬けぇ! なにしてよるんじゃあ、こんなとこでェ」
「そりゃこっちのセリフだ」

 と、二人は親しげに挨拶代わりなのか、拳をがつんと付き合わせていた。
 しばらくその会話を追ってみよう。

「いつのまにガンボタレ共のお守りになりよった。似合わんのお!」
「うるせぇ。それより丁度いい、このバカ共のせいで騒ぎになった。警察の連中に因縁つ
けられると面倒くせえから、おめえで追い払っといてくれや」

478:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:26:50
なにいぃぃぃぃ!?

479:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:27:12
「アホンダラ。横着すなや」
「元はといえばてめえが、この辺りキチンと仕切ってねえのが悪ぃんだろーが」
「っかあ。けったくそ悪ぃのぉ……なら今度、酒に付き合わんかい。近頃はおもれぇ奴がおりゃぁせんのじゃ」
「ああいいぜ。おめえのオゴリでな」
「おどれ、たいがいにせえよコラぁ!」

 ……と、ほとんど喧嘩をしているようにしか聞こえないが、しかし、この二人に敵対意
識がないのは明らかであった。
 竜馬はニヤリと笑ってきびすを返すと、その後ろ手で「またな」という。
 将造も、腰巻きの中から手榴弾を取り出すとピンを口で引き抜いた金属音で応えとし、
おもむろに外へ向かい、だっ、と走り出していった。

 こうして竜馬は将造に後始末をすべて押しつけ、シンジ達をつれてゲームセンターを後にしていく。
 相変わらず凄まじい胆力である。
 やがて、すこし放れたところで、サイレンの音が鳴ったかと思うとほぼ同時に、盛大な爆音が響いてきた。
 それは幾重にも重なり、最後にはビルを爆破解体しているかのような轟音となって街中にこだました。
 将造なりの「後始末」の結果だろう。
 シンジ達は後ろを決して見返さないように、ぶるぶると怯えながら、今度は妙に機嫌が
よさそうな竜馬を見ておそるおそる聞いてみた。

「あ、あの……お友達なんですか?」

 竜馬は、ああと頷いていった。

「おめえに会う前に知り合った奴でな、岩鬼組の頭領だ。なかなか面白ぇ奴よ」

 この言葉に、いよいよシンジは竜馬に逆らうのをよそうと思った。
 というよりも誰が好きこのんで、組長と同等に振る舞える人間と争いたがるだろうか。
 ところで。

「な、なんであたしまで一緒に連れてこられてんのよっ。はやくネルフまで行かないといけないのにィッ」

480:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:28:45
 と、どさくさにまぎれて逃げ出そうとしたものの、竜馬に巻き込まれて失敗したさきほ
どの少女が悲鳴をあげる。
 騒動のもとは彼女なのだから、自業自得といえばそれまでだが、ネルフという単語にこ
の場の全員がぎょっと反応した。
 ネルフは秘密組織だ。普通の一般人であれば、その名称すらも知らないはずである。
 ここにいる、トウジやケンスケは特別なのだ。
 とすれば、少女はなんらかのカタチでネルフに関わりがあるということだ。

「ね、ネルフ……」

 シンジが驚愕の表情になる。
 だが、少女は逆にそれによって彼らがネルフのこともシトのことも、何も知らない一般
人だと判断し、同時にその無知が憎らしくなって喚いた。
 うっかり機密を喋ってしまったことに対する、持って行き場のない怒りの矛先を、むり
やり相手に向けた部分もある。

「なんでもないっ、あたしはいつまでもあんた達に構ってられないのっ。もう行かせてもらうわ!」

 と、怒りのせいで語気が荒い。
 しかし、よく見ると少女は先ほどの騒ぎにすっかり恐れをなしている様子で、一刻も早
くこの場を立ち去りたいといった感じだった。
 原因は間違いなく、竜馬と将造だろう。
 少女は身をひるがえしてグループから離れようとするが、無情にもその背中に彼女が信
じたくない言葉が投げかけられる。

「そのネルフの人間なんだよ、僕たちも。トウジとケンスケは違うけどね……」

 シンジの言葉に、今度は少女の方が驚愕の色に染まっていく。
 走り出した体にブレーキをかけて、腕を振り上げたままの体勢で固まると、サビついた
機械のようにギリギリと首を後ろに向けた。そして、

481:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:29:53
「うそ……でしょ?」

 哀願するように、いった。
 頼むから嘘だといってくれ、とその表情が語っている。
 だが、現実は非情だ。

「本当だ」

 竜馬の一言で、その願いは儚くもやぶられた。
 その瞬間に少女は積み木が崩れるかのような勢いで、へたりこんだ。
 なにやら、ひとりぶつぶつといっている。

「ウソだ……信じらんない……あんなケダモノと一緒に仕事しないといけないの……」

 茫然自失、といった感じだった。
 その背後にぬうっ、と竜馬の影がせまる。

「どうやらてめえと俺たち、お仲間のようだな。ほれ、行こうぜ。秘密基地に」
「いっ……イヤーッ!! 放して触らないでやだやだやだ、人さらいっ、変態ィイイイッ」

 脇目もふらず泣き叫ぶ少女を、竜馬は頭から抑えつけてそれ以上の怒号で制す。

「うるせぇッ!! てめえもネルフに見込まれたんだろ、運命と思ってあきらめな!」

 その騒ぎに、周りの人々がつぎつぎに集まってくる。
 かれらの目に映るのは、泣き叫ぶ少女をふん捕まえてがなる人相の凶悪な大男と、それ
に指をくわえて見ていることしかできない、少年たちだ。
 白昼堂々の拉致事件に以外には見えなかったであろう。いや、ある意味、拉致そのものだったかもしれない。
 誰かが通報をしている。
 しかし警察は、どんなに待っても来ない。

482:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:30:55
 そう。いま警察は、岩鬼将造という人間の姿をした魔物にせん滅させられている真っ最中なのだ。
 彼については、この後くわしく語る事になるだろう。
 ともかく。
 少女は竜馬に拉致され、そのまま引きずられるようにネルフ本部へと連行されていく。
 そのバタバタともがく脚が、さながらまな板の上で調理を待つ魚を連想させた憐れみを誘うのだった……。


・・・


 惣流・アスカ・ラングレー。
 生年月日二〇〇一年、一二月四日。現在一四歳。
 日系ハーフとゲルマン系ハーフの血を親に持ち、国籍はアメリカ合衆国。
 いわゆるクォーター児であるが、父方の血は精子バンクから流れてきており、人間とし
ての父親をもっていない。

 人工の天才として育てられたが、ある事件で母親をも亡くしており、その経緯が彼女の
幼い心に深い影を落としているのは、いうまでもあるまい。
 反動的に、彼女は自我の支えを己が実力に求めた。
 今現在にして、その果てにあるものがエヴァの操縦者としてのアスカなのだ。
 ゆえにそのプライドは突き抜けるほどに高く、同時に高すぎることの不安定さを持つ。
シンジとはベクトルが異なるが、本質では同じ種の弱さを持つ人間だった。

 そのアスカが、竜馬に引きずられながらネルフ本部までやってきた。
 ゲームセンターからネルフまでの道のり、お互いの素性はあるていど知ることができた
が、アスカの方は先ほどまでの電球のような明るさはどこかへ消えて、まるでロウソクの
ような暗さとなっている。

 それもそのはずだった。
 いま語ったように、彼女の自我は絶対唯一だった人類の希望、エヴァの操縦者であると
いう事実によって成り立っている。

483:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:32:04
 しかし、竜馬とゲッターの出現によってその構図は塗り替えられた。
 ゲッターは鬼神のような威力をもって、エヴァの活躍が無くなる勢いで並み居るシトを撃滅していった。
 その報が各国に飛んで話題の中心となったのは、想像に難くないだろう。
 当然アスカの耳にも入った。

 それを聞いて彼女は、落胆した。
 たしかに自分もシトを秒殺したとはいえ、たったの一体で、しかも情報を見てみれば兵
器としての性能はそれほど高くなかった、ガギエルである。
 それに比べて竜馬のやってきたことはといえば、今まで書いたとおりだ。

 ―じゃあ、なに。エヴァが無くったって、人類は大丈夫なの?

 その思考は、すなわち自我の否定へとつながっていく。
 ゲームセンターで暴挙に及んだのも、そのどうすることもできない心を、つかの間の遊
技に身を任せることで紛らわせようとしたのだろう。

 だが、自分を追い詰めた原因が目の前にいる。
 もはや空想に逃げてはいられない。彼女に現実という名の怪物が迫ってくる。
 しかし……これに平然と立ち向かえる強靱な精神が、アスカには無かった。
 消え入りそうな声で、確認するアスカ。

「あんたが、ゲッターロボのパイロット、流竜馬だっていうの」
「そうだ」

 と、竜馬がみじかくいった。

「なんで……」

 するとアスカは頭を深く垂れて、目に影が入るほどになる。
 力を溜めるようにその体勢でとどまった後、くわ、と頭を持ち上げて、

484:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:33:12
「なんで、あんたなんかが存在するのよ! あんたさえいなければ、私は私のままでいられたはずなのに……ッ!!」

 叫んだ。
 ゲームセンターの時とは違う、狂気じみた声色が、竜馬の耳をつんざくように走り抜けていく。
 これにはさしもの竜馬も目を丸くするが、すぐにいつものつりあがった目に戻ると、その場で腕をくむ。
 最近、考えて物をいうときの癖になっているのだろう。

「てめえのことなんざ、知ったこっちゃねえが……どうやら、俺が邪魔みてえだな」
「そうよ」
「なら」

 と竜馬はいって、ふところからバタフライナイフを取り出すとアスカの足下に放った。
 かしゃん、と金属的な音が響く。

「なによ、これ」
「ナイフだ。さっきのバカ共の一人が突き刺してきやがったから、ぶんどった」
「そんなの見ればわかるわよ!」
「殺せ」
「……は?」

 いわれていることが理解できなかった。
 いきなりナイフを落として、殺せ、とはどういうことであろうか。
 竜馬はつづけた。

「俺が気にくわねえんだろう。だったら、そいつで俺を殺ってみろ。お前の手で俺を消せば願いが叶うじゃねえか」
「なっ……なにいってんのよ! そんなことしたら殺人になっちゃうじゃない!」

 そもそも一四の少女が竜馬と格闘戦に臨んで勝利できるはずもないのだが、思考の混乱
するアスカは、ナイフから連想される結果の予想だけを口にする。
 だが、その答えに竜馬がぴくりと反応した。

485:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:34:31
「なんだと」

 ぬらり、と肉体が増長したかのような錯覚すら感じさせて、竜馬が一歩迫った。
 その迫力にアスカが「ひっ」と細い息をもらす。

「女でも戦場に身を置くってのは、死んでなんぼってことだ。手前の邪魔をするなら、味
方でも容赦なくブチ殺して前に進むってことだ。
 てめえは、その覚悟も無しにエヴァに乗って猿山の大将を気取るつもりだったのか」

 また一歩、竜馬が踏み出す。
 息を一呼吸おいたのち、竜馬の表情が阿吽の像のようになる。そして、

「ふざけるなっ!! そんな肝の小さえ奴が俺にケンカ売るなんざ百年早え!!
 いますぐ目の前から消えやがれっ、そうでなきゃ俺がてめえを……ぶっ殺すッ!!」

 その雄叫びと共に竜馬の目が得物を狙う、ハンターのそれへと変貌する。ぐわりと巨大
な体がアスカに襲いかかった。
 ここでやっとシンジが止めに入ろうとするが、彼にどうにかできる相手ではない。
 鬼のようになってアスカに迫る。

「ひいぃっ! やっ、やだッ、死にたくないッ。助けて、助けて! ママッ!!」

 アスカにとって、この瞬間の竜馬は、まさに鬼そのものに見えただろう。
 その場に尻餅をつくと、ごろりと転がってから泡を食って立ち上がると、さながら肉食
獣から逃げる草食動物のような仕草で、その場から消え去っていってしまう。
 竜馬は、追わなかった。
 そして影が小さくなるころ、シンジが今更のように抗議の声をあげる。

「ひどい、竜馬さん……いくら弐号機のパイロットだからって、女の子に、あんなひどい
事いうなんて見損なったよ!」
「黙って見てただけの、てめえがいえた義理か」
「ううっ」

486:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:35:55
「女だろうと兵士になった時点で、愛だの平和だのとは、かけ離れた世界に来るんだ。
 待つのは血みどろの果てしない戦いの日々だけよ。
 それに耐えられないような奴は、いまここで死なせてやった方が幸せってもんだ。そうでなきゃ……生き地獄を見る」

 独白のような竜馬の言葉に、シンジはなにも言い返すことができなかった。
 竜馬は、戦うために戦っている。
 では、自分は何なのか?

(僕は、あのアスカって娘のような意思もなければ、竜馬さんみたいに突き抜けることも
できない。僕はいったい、なんのために、ここにいるんだ)

 静かに、雨が降り出した。霧のような雨だった。

「シンジ、先いってろ。俺も後からいく」
「……はい」

 シンジが抑揚のない声で、地下へ消えていった。
 竜馬は、ネルフ本部の地上入り口前で、腕を組んだまま雨の中で突っ立っていた。


 そして、場面は同じ時間の、逃げ出したアスカの元に移る。
 あてもなく街の中をさまようアスカは、やがて降り出した雨にも気づかないほどに放心した様子だった。
 とぼとぼと水たまりを踏みつぶしていく足の先に、濡れた髪から水滴がしたたり落ちて跳ねる。
 行き交う人々は、それを避けるか、でなければ意にも介さない。
 他人とは、そういうものだ。
 這うように街を往き、そしていつか人気がない、どこかの鉄道橋の下にさしかかったときだった。

「いたっ」

 下を向いて歩いていたため前から来る人に気づかず、どんっ、とぶつかってしまう。

487:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:37:05
 ふと見上げた先には、

「……なんじゃワレ」

 先の、ゲームセンターに乗り込んできた将造の姿があった。
 じろりと己の顔を見回すその顔は、やはり凶悪で、アスカの目には竜馬の顔が幻となっ
て重ね合わされた。
 すぐに、さきほどの竜馬の言葉と動きが頭の中で再生されていく。

「こ、殺さないで……」
「あぁ?」
「許してぇっ。だってっ、エヴァに乗らなきゃ、一番でなきゃ、ママが、ママが……」
「……たしか、竜馬と一緒におったやつか。こりゃワヤになっとるのお。どうした」

 問うが、アスカから返答はない。
 だが、その尋常でない様子は、彼女が錯乱状態に陥っているのを理解するには十分だった。
 普段の将造であれば無視したところであろうが、このときばかりは、なぜかアスカから
目を離すことができなかった。
 理由はわからない。
 だが、そんなことは彼にいわせてみれば「極道のカンじゃ」という辺りで済ますだろう。

「竜馬のバカタレめ、また面倒ごと起こしよったな。今度会ったらしばきあげちゃる」
「うぐっ……」

 そこまでいうと、アスカが将造に倒れ込んできた。
 弾丸のように過ぎ去った出来事に、感情の処理が追いつかなくなったのと、雨の中を傘
もささずに歩いたことで体力を消耗したのであろう。

「……」

 将造は、しばらくそれをつまらなさそうに見ていたが、ふと背後に気配を感じる。

488:ここまで
07/11/02 00:38:16
「誰じゃあっ」

 ばっ、と振り向くと黒服に身を包んだ男たちが、いつの間にか将造を取り囲むように展
開しはじめていた。
 彼らは懐に手をやりながら、すこしずつ近づいてくる。
 その中のひとりがいった。

「我々はネルフ保安諜報部のものだ。おいチンピラ、その娘を渡せ。さもなくば」
「さもなきゃ、なんじゃ」
「死ぬことになる」
「ほーかよ」

 その言葉に、将造がアスカを背に隠してぐっ、と屈んだ。
 すると諜報員たちが一斉にに拳銃を取り出して将造に向け威嚇する。
 だが、将造は怯まない。

「貴様、正気か!」
「ワシを誰やと思うとる……」

 地の底から響いてくるような声で、将造はいった。

「ワシゃあ、極道兵器じゃぞぉぉ!!」

 ばくり、とその右膝が開くと、鈍く輝く弾頭があらわれた。

489:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 00:39:58
諜報員涙目wwwwwww
GJ!!

てか知り合いだったのかよwwwwwwww

490:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 01:30:47
知り合いか!つーかマブダチか!ポリス哀れwww殲滅てww
GJ!GJ!GJ!三度言っても足りんわww

491:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 02:09:46
諜報員逃げてぇー!!

492:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 02:33:13
ヤバすぎるwwwww



それにしても竜馬ってもっと基地外だと思ってたわ。

493:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 06:17:30
>>492
自分を殺せとあっさり言える時点で充分すぎるほど基地外だろww
あんまりにも狂いすぎると、もうただの格好悪い壊れた阿呆だよ。

にしても、このアスカは早い内から強制的に叩き直されそうだな…ご愁傷様。

494:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 07:22:18
まともな人間がゲッターに乗れるわけないからな。アスカ様は原作以上の狂気ぶりを
みせてくれるに違いない

495:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 07:36:37
「アスカの校しゃ」だな!

496:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 09:20:32
ここに全宇宙全次元最強のコンビが誕生した!!


497:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 10:28:41
使徒や量産型エヴァは勿論、宇宙怪獣も殲滅できそうな二人組みですねw

498:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 11:06:13
GJ!予想の斜め上を行く展開に目からドグラが落ちたwww
しかし極道兵器に喧嘩を売るなんて・・・それはハイレベルな死亡フラグなのにw個人だけでなく組織的にもw

竜馬、いくらなんでも高校生に過酷な要求を・・・って、本人達は高校生の頃から目だ耳だ鼻ギャンムオドワオしていたかw

499:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 17:05:35
>>498
でもミチルさんには優しかった筈w

まあそのなんだ、GJなんだが。
石川作品が出るのは確かに凄く嬉しいけど、エヴァにも活躍して欲しいんだぜ…

500:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 17:53:41
これからでしょ。

501:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 19:20:25
この世界ではエヴァはどういう位置づけになるのか気になるところだぜ

そうかこれが、補完…!ああ…!

502:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 19:56:41
将造なら体一つ(生身…とは言い切れんが)で使徒に飛び掛かり、
コアを生のまま齧り食い殺してS2器官を宿し、汎用人型決戦極道兵器に
自己進化しても驚かないよ。

503:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 22:18:55
ペンペンが転生したスカルキラー屁魏王はいつ登場しますか?

504:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 23:28:48
>>499
これから活躍してくれるさ

505:つづき
07/11/02 23:31:31
「ワシゃあ、極道兵器じゃぞぉぉ!!」

 彼の右脚が膝からばっくりと割れると、そこからミサイルの弾頭が覗いていた。
 それは将造の叫びと共に純粋な殺意と成って、空間を切り裂くように飛ぶと一人のはら
わたをぶち破り、さらに弧を描いて戻ってもう一人の頭部めがけて飛び、大爆発を起こし
て頭から体全体をスイカを砕くように飛散させた。
 将造は止まらない。
 その間にも己が口で左腕にがっぷり食いつくと、なんとそれがマネキン人形の腕のよう
にズルリと外れてしまい、中から焼鉄色も禍々しいサブマシンガンの砲身が現れる。
 立ち上がって腕をぐわりと振り上げて将造は、

「おどれら! あの世から出直してこいやああああッ!!」

 叫び、それがトリガーとなってサブマシンガンは爆裂音を連続させながら、大量の弾丸
を吐き出しばらまいていく。
 最初は諜報員の頭を中央から撃ち抜き、次に隣にいた者の脚を切断するように掃射する
と最後に残った一人が闇雲に撃ってきた。
 だが将造はそれにも恐れずアスカを背負ったまま突撃して、敵の口にサブマシンガンを
突っ込むと、そのまま撃ち抜いて脳髄と血液を飛び散らせた。

 あっという間の出来事である。
 辺りには、鼻をつく硝煙の香りと吐き気をもよおす鉄の臭いがミックスされて、異様な
臭気が漂っていた。

「あ……」

 すると、この騒ぎと異臭に気絶していたアスカが意識を取り戻す。
 そのぼんやりと戻ってくる視界に映ったものは、辺りに転がる死体におびただしい量の
血液、そして自分を背負う男の首筋であった。
 それが突然過ぎて、まだアスカには状況が飲み込めなかった。

506:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 23:33:37
 そんなときだ。

「うぐっ……」

 脚を弾に切り裂かれ大地に転がったが、まだ死には至っていなかった諜報員が呻く。
 これに気づいた将造はゆっくりと彼に近づくと、その頭を草履履きの足でだん、と踏み
つけて、いった。

「甘いのお。殺すときゃ、一発で殺らんかい」

 そういうと、踏みつける足にぎりぎりと力をこめていく。

「ぐっ、あっ、ギャアアアァアッ……」

 諜報員が断末魔の叫びをあげるが、将造はそれが勝利の酒の肴だといわんばかりに凄惨
なまでの笑みを浮かべて、そのまま頭蓋骨ごと踏み砕く。凄まじい脚力だった。
 やがて、ぐちゃり、と生理的嫌悪感を覚える音がして諜報員は息絶えた。

「けっ」

 将造は血まみれになった足を振る。
 すると、背中から空気が飲み込まれるような気配がして、ちらりと顔を向けた。

「起きよったか。おう、このみょうちくりんな奴らはなんじゃ。ネルフとかいいよった」

 と、聞くがアスカは声にならない声をあげると、あとは背中の上で震えるだけだった。
 無理もなかった。
 殺りくの日々に明け暮れる将造の世界を、心に深い傷があるといえど、普通の少女に過
ぎないアスカが、すぐに受け入れられるはずがない。
 思考停止状態に陥ってしまっているのだ。

507:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 23:35:14
 そのまま佇んでいると、だんだんと雨の勢いが鋭くなってきた。
 埒があかなくなった将造がひとりごとをいう。

「ち。しゃあねえ……乗りかかった船じゃ。どっか休めるトコ持ってくけぇの」

 そういい、アスカを背負ったまま灰色の街にのっそりと踏み出していくのだった。


・・・


 岩鬼将造。
 西日本方面にかつて、大きな勢力をもった「岩鬼組」組長の一人息子だ。
 その性格は狂暴そのものであり、組はおろか親ですらも持て余して勘当された後、南米
の紛争地帯に渡り、傭兵時代を過ごす。
 だが、そこでも襲い来る弾丸の雨の中を平然と突き進み、敵とみれば首を折って腹をさ
ばく、情け容赦なしの戦いぶりをみせ、捕虜すらもあっけなく惨殺することから部隊内で
も「狂犬」とあだ名され、恐れられた。
 あるとき、その将造に日本から父親が死亡したとの報せがはいる。

 岩鬼組が、潰され掛かったのだ。
 組長の跡取りとして、将造の帰還が待ち望まれた。岩鬼組もなりふり構っていられなく
なったのである。
 将造はそれに「狭い日本でのケンカなぞ興味がない」と耳を傾けなかったが、黒幕にデ
ス・ドロップと呼ばれる、米軍すら動かす力をもつ海外マフィア組織があることを知り、
より巨大な「ケンカ」を求めて彼は帰国した。

 日本に舞い戻った彼は、ビルを爆散させ、大地を割り、戦闘ヘリと生身で戦ったが瀕死
の大怪我を負ってしまう。だが、日本政府の秘密組織により極秘裏に救助兼・人体改造を
施されて一命をとりとめた。

508:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 23:36:24
 彼は、左腕にマシンガンをはじめ、交換可能なウェポン・アタッチメントを、右の脚に
は小型のミサイルランチャー、右目に照準レーザーサイトを備えた、人間極道兵器として
生まれ変わったのだ。

 なお、己が肉体を無断で改造されたことについて、将造は「よくも素晴らしい体にして
くれたのお!」と大喜びした経緯がある。
 これだけでも将造が、いかに常人とかけ離れた精神構造をもっているかが解る。

 そして最強のヒトとなった将造はさらに戦火を広げていき、挙げ句に核ミサイルをも相
手にした戦争を巻き起こしながら、やがて日本の首領を名乗ってデス・ドロップとの全面
抗争に入ろうとした。

「じゃが……」

 将造はいう。
 人工衛星をそのまま大気圏外からの戦術爆撃用の砲台とした、衛星兵器(ポジトロンビ
ーム砲が超巨大化したようなものと思えばいい)と、その開発者を巡った抗争の末、トリ
ガーを握っていた人間の暴走により衛星兵器が発動。
 争う将造と、デス・ドロップマフィアの真上から、衛星兵器のビームが降り注いだ。

「気づいてみりゃあ、ワシは見知らぬ街の路上に転がっておった……ま、おかげでこの世
界の組に討ち入りしながら新岩鬼組を建てていくんも、面白ぇ遊びじゃったがのう!」

 と、自らの経緯を恐ろしい声で語った。
 そう。彼は、シンジやアスカがいるこの世界の人間ではない。
 少なくとも話を信じるならば。パラレルワールドが実際に存在するのならば。
 岩鬼将造は、似ていてまったく異なる歴史を歩んだ地球からやってきた男ということに
なる。

509:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 23:37:34
 途方もない話であるし、信じろといわれて信じられる話ではないが、将造も竜馬と同様
に「この男がいうならば本当なのだろう」と、聞いている側に思わせてしまう、妙な迫力
というか説得力があった。

 そして、それを横で聞いているのは、アスカだ。
 将造が雨の中をさまよっていた彼女を成り行きで救出してしまってから、すでに一ヶ月
もの時が流れている。
 すでにその顔に恐れはなく、淡々としている様子だったが、少し頬が赤い。
 アスカは、将造の話を聞き終えると、目を閉じて静かにいった。

「……私なんか、比べものにならないほど辛い経験をしてきたのね。パパ」

 パパ。
 いきなり飛び出したこの敬称について、また行数をさかねばなるまい。

 まず、将造は岩鬼組の組長である。
 組織の中の人事は、いちおうはっきりとさせておかなければならない。
 そこで、この拾ってきたも同然のアスカをどうするか、将造は短く悩んだ。そういう頭
脳を回転させる仕事は苦手なのだ。
 だが、それだけに悩む時間も短い。
 見捨てることは、竜馬への義理立てと、なにか宿命めいたカンに阻まれた。
 そうして導きだされた結論は、

「こりゃあ、ワシの娘じゃあ!」

 と、見え見えのウソをついて、アスカをかくまううことであった。
 だが、やくざの世界は上が白といえば、黒いものも白くなるのが常識である。
 だれも将造の言葉に異を唱える者はいなかったし、そういっておくのが無難な対処法で
あっただろう。
 さらってきただとか、買ってきたなどというよりは。

510:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 23:38:51
 ただ、それであっても将造が年端も行かぬ少女に自身を「パパ」と呼ばせるような趣味
のある男でないことは明らかだ。
 アスカとて、見知らぬ男にそんな呼び方を行うような性格はしていない。
 では、彼女が将造をそう呼ぶようになったのはなぜか。まだすこし語らねばならない。

 さて。
 将造は、いまも語ったとおり奪い、殺し、争うためだけに生まれてきた狂気の男だ。
 彼のいくところに争いが起きる。
 たとえアスカがかくまわれていようとも、将造の側に居るだけで、寝ていようと起きて
いようと巻き込まれざるを得ない。

 この一ヶ月で、将造がねぐらにしている和風建築の岩鬼組本家(本家しかないが)に、
およそ一〇回もの騒動があった。
 その内、警察のガサ入れの一回をのぞいて、全てはネルフによる討ち入りだった。
 目的はむろん、エヴァ弐号機パイロット、惣流・アスカ・ラングレーの奪還である。
 もちろん最初から討ち入ったわけではない。
 まずはアスカへの接触を図って、ネルフへ帰還、というか正式配属されに来るように命
じたのだ。

 だがアスカは、これを拒否した。
 今や竜馬よりも格下の存在の自分が、おめおめと戻って恥をさらしてまで弐号機のパイ
ロットを務める意欲が湧かなかったのだ。
 彼女はナンバーワンであることが存在意義だったし、なによりも、竜馬に再び逢うのが
恐ろしかった。
 プライドを打ち砕いた相手を前にして、なお自我を保っていられる自信がなかった。

 また将造も、相手、つまりこのは愛はネルフの言葉を素直に聞き入れて従うような男で
はない。
 むしろ、それをはね付けることによって起こる争いを、心待ちにするような男だ。

511:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 23:39:57
「俺は取り返しのつかないことは、大好きなんだ!」

 とは、彼の弁である。
 これに当然のことながらネルフは強硬手段に打ってでようとする。
 だがその内容が、まさに物理的な討ち入りだったのには、理由がある。
 なぜなら岩鬼組だけは、ネルフも国連も根を伸ばしていない。いわば、治外法権区域と
なってしまっているのだ。
 ゆえに、あらゆる根回しが通用しない。

 しかも、岩鬼組の構成員は皆が将造に心酔しきっていて、彼のためなら命もとわずに突
撃してくるので、生半可なやり方では返り討ちにあってしまう。
 加えて、どこから流れて来るのか、その所持装備は小国の軍隊を凌駕するほどの戦力に
相当するものだった。
 さらに組長たる将造ともなれば、人間の限界を超えた極道兵器である。戦車をもってし
ても返り討ちに逢ったし、戦闘機も撃墜された。

 そしてこの全ての騒動の際、アスカはその身を将造の背に隠していた。
 隠れるところがない……というよりも、将造にくっついている状態がもっとも安全なのだ。
 他の場所は、砲撃を受けたり突入されたり毒ガスをまかれたり、散々な状況だった。

 アスカは最初、泣きわめくだけだったが、人間の適応力とは恐ろしいもので数回目にも
なると、彼女は将造の左腕の武器換装をサポートするほどになっていた。
 もともと、エリートパイロットになるべく生まれたアスカだから、飲み込みの早さは常
人のそれを軽々と超越していた。
 もっと慣れてくると騒動を将造と共にくぐり抜けていくのが、なによりもの楽しみとな
っていくほどだったのだ。
 この頃になると、慣れによって少女特有の、認めた相手と情報を共有したいという感情
が生まれる余裕が出てくる。
 その相手は、むろん将造だ。

512:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 23:41:00
 将造は多くを語りたがらなかったが、しかし、しつこく食い下がるアスカに辟易してや
がて、上記で書いたような己の過去をアスカに教えていった。
 それと同時に、アスカもまたそれまで他人にいったこともなかった、自らの生い立ちを
喋るようになっていったのだ。
 そうさせたのは、毎日が生か死かという感情のボルテージが高まる生活をしていたから
だったかもしれない。
 肉弾戦ほど、生死を明確に感じさせる戦闘方法はないのだ。

 お互いを知るにつれて将造はこの、血みどろの戦いをこなすアスカが気に入った。
 彼が最良の友とした、死に別れた男も異様なまでに戦いの出来る人間だった。それを少
し思い出したのかもしれない。
 ともかく。

 将造は、アスカに本格的な戦闘に耐えるだけの訓練を施してやることにした。
 その内容は剣林弾雨の中を命がけでくぐり抜けて、目標を撃破するような熾烈を極める
内容で、いままで彼女が経験してきたものなどとは比べものにならない凶悪さだった。
 アスカでなければ、途中で死んでいただろう。
 しかし彼女は耐えた。

 そのおかげで、わずか一ヶ月弱ほどの訓練でアスカは常人の数人は軽くひねり殺してや
れるほどの力を手に入れていた。
 銃器の扱い、殺すための格闘術、体力の維持、気配の殺し方、作戦の進め方、敵の士気
を落とす方法……さまざまな戦闘能力を授かった。
 さらに生来の努力することを惜しまない性格が、それを助長した。

 やがて、組の構成員たちもアスカのことを「若のお嬢さん」から「姐さん」と呼び名を
変えて敬意をこめ、接するようになっていった。
 ちなみに若とは将造への敬称だ。
 これがまたアスカへの大きな活性剤となった。
 自分の努力が、呼び名というはっきりとしたカタチで認められていくというのは、もっ
とも解りやすい賞賛だ。

513:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 23:42:05
 たとえそれが極道という、表の世界には出られない組織であっても、アスカは自我の拠
り所を岩鬼組に求めていったのだった。
 いつしかアスカは父親ということになっている将造を、彼女の母語でお父さん、と呼ぶ
ようになった。母語を使うのは彼女なりに本心だという意識の表しでもある。
 むろん、将造はこれを気味悪がって、

「やめいや。名前で呼べばええんじゃ、ワシゃそういうのは好かん」

 といって拒否したのだが、アスカが頑としていうことを聞かずに「パパ」と呼ぶために
彼も最近になって諦めた。
 そしていまや「岩鬼の親娘」といえば、最凶の極道親子として名を馳せている。
 名字が惣流でも「岩鬼の親娘」だ。
 将造が娘ときめれば、名前や顔や髪の色や血液型が違ったとしても、親娘なのだ。

 将造は、自分に「辛い経験した」といったアスカを見ていう。

「辛い? バカタレ、これほど痛快な人生、他にありゃあせんわい!」

 こういう精神構造の持ち主なので、それにずっと触れている内にアスカの心の持ちよう
も、少しずつだが変化していった。

「殺るときは殺る、死ぬときは死ぬ、その途中で邪魔するものは力ずくでぶっ壊す。それ
は全部楽しんでやる……かぁ。あたしすごい世界に来ちゃったな」

 それは彼女にとって幸せだったのか不幸だったのか、本人以外には知る由もなかったが
ともかくアスカは、肉体だけでなく精神までも強化されていった。
 そんな風になるころ、またネルフの人間が岩鬼本家までやってきた。一一回目である。
 アスカはいよいよ殺気だって自ら出陣しようとしたが、将造が引き留めた。

514:ここまで
07/11/02 23:43:45
「待ていや! 今日は様子がわやじゃ……一人しかおらん」

 今まで軍隊をも引き連れて攻撃に来たネルフが、この日に限ってたった一人だけをもっ
てやってきたのだ。
 将造は、

「ワシが出る」

 と、首をボキボキならして、応接にでた。
 将造が出て行くと入り口の門前に白髪となった初老の男が立っていた。
 彼は丁重に頭を下げると、

「私はネルフ副司令、冬月コウゾウという者だ。今までの非礼を詫びよう……だが、今度
こそは容易ならざる事態がおきた。海の方を見たまえ」

 といって、将造を引っ張り出して海を見させた。
 するとその方向には、

「そうか、あれがアスカのいいよるシトって奴けぇの……」

 巨大なカマの刃の部分から、人間の胴体が生えたような奇妙な姿の巨大生物が海をゆっ
くりと進行していた。
 将造の言葉に、冬月はうなずく。

「そうだ。我々は、あれを第七シト・イスラフェルと名付けた」


515:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/02 23:59:41
ええい神職人め!いよいよ始める気か!

516:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 00:01:54
乙!でございます
というか

何この 神 展 開

想像もしてなかった
読み進めていく内に鳥肌立って治まりつかなかったですよ
リアルタイムでこんな神作品に出会えるなんて…
作者と自分の運に感謝したい!



517:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 00:07:08
乙でありますッ!

つーか、やっぱりアスカが叩き直される通り越して
染め上げられてるwww

518:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 00:11:00
極道兵器も転移組とはwwww
もうこの先の予想がまったくつきませんよ
次も楽しみです

519:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 00:11:50
思わずパパ!?と叫んじまったぜGJ!!
この一ヶ月でアスカは飛躍的に成長(?)したけど
竜馬シンジ組はどうだったんだろーか、続きが気になる。

520:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 00:25:51
赤虎さんがいないからどうしようもねーなーwww
竜馬はもともと興味なかったか、将造に任せれば問題ないと判断したのか。
後者かなー。しかし染めるの早ェーw

521:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 00:33:03
>>520
そこで赤木トラコですよ

522:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 00:43:41
エヴァのキャラは依存強いからなー
ある程度慣れてしまうと、簡単に染まってしまうのかもしれんw

523:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 01:07:22
ゲッター線だけでなくケンイシカワワールドがエヴァ世界に興味を示したようです
多分、喜んで受け入れるだろうな。監督的にw

そういや設定だとナディアと同時間軸なんだよな、エヴァって
だからミカエルやルシファー(全13基の衛星兵器)があるはずで・・・

524:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 01:23:20
スゲェ。


この位なら量産機をぶち殺せるだろうな

525:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 04:39:58
ここはぜひ>>400さんに岩鬼・アスカ・ラングレー姐さんを描いてもらわんと。

526:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 09:38:28
展開がよめねえ、本物の賢ちゃんみたいに虚無らないか心配になってきた

527:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 12:17:44
てか作者地獄から戻ってきた石川先生だろ

528:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 12:45:51
もしかして、慎一も転移してくるんじゃあ・・・・・・((((( ゚Д゚)))))

529:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 12:55:52
そこまできたらもうスーパーイシカワ大戦、3大狂獣大決戦、地球最後の日ってな感じだな

530:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 13:09:40 DJtmMuUu
>>529
>そこまできたらもうスーパーイシカワ大戦、3大狂獣大決戦、地球最後の日ってな感じだな
「宇宙最後の日」の方がふさわしいかと。
こいつら3人揃って戦ったら地球だけで納まると思えん。

531:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 15:04:10
お前らエヴァのことも忘れないでください

マリアを喰らってマリアを吸収した慎一
使徒を喰らうことでS2機関を取り込んだエヴァ

エヴァも魔獣だったのか…

532:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 15:14:06
>>531
そして更なる飛躍を

533:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 15:29:21
>>531
魔獣のエヴァへの影響の可能性は随分前から指摘されてたけどな

主人公
・エヴァ:シンジ 魔獣:慎一
親父
・エヴァ:ゲンドウ 魔獣:源三
黒幕
・エヴァ:ゼーレ 魔獣:十三使徒
黒幕の最終目的
・エヴァ:人類の補完 魔獣:人類の進化、選別

それ以外にも、母親との融合や、531が言ったことも上げられる。
エヴァは他にも色んな作品の影響をうけてる可能性があるしな(ガンダム、ウルトラマンなど)

534:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 15:34:17
>>533
そもそも庵野監督ってそういう人だったな、忘れてたわい

535:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 18:55:40
大体にして主人公とその親父の名前からして似てるしな。
「シンジ」と「ゲンドウ」
「シンイチ」と「ゲンゾウ」

536:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 19:22:31
庵野監督はトップをねらえラストシーンで武蔵の最後をまんまやってくれる人だからな。

537:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/03 20:52:06
シンイチ(1)とゲンゾウ、
シンジ(2)とゲンドウ
とくれば次は
シンゾウ(3)とゲンノウ?

538:つづき
07/11/04 09:40:50
「でてきよったな……わしのシマを荒らすデカブツめが」

 巨大なカマの刃の部分から、人間の胴体が生えたような奇妙な姿の巨大生物が海をゆっ
くりと進行していた。
 将造の言葉に、冬月はうなずく。
 むろん「わしのシマ」にうなずいたわけではない。

「そうだ。我々は、あれを第七シト・イスラフェルと名付けた」
「そんなんどうでもええ」
「まあ聞いてくれ。さらにシトはもう一体出現した。それは……」

 と、冬月は空の上を指さす。
 それにつられて将造もあごをぐいっと天へむけるが、もちろん入ってくるのは常夏のま
ぶしい日差しだけだ。
 雲ひとつ、なかった。それを見ながら、

「あぁ、なんじゃあ。まさか宇宙からシトが攻めてきたいうんかぁ」

 将造は冗談でいったつもりだったが、冬月はいたってまじめな顔で反応する。

「その通りだ。自らの巨体とA.Tフィールドを大質量爆弾とし大気圏外からの爆撃を行う
第八シト……サハクィエルと名付けた。
 放っておけば日本全土がやつのために焦土と化するだろう」
「すげーピカドンみてえなモンけぇ。ふざけた野郎じゃ!」
「ああ。だが、これには君の盟友、流竜馬が赤木博士と葛城一尉を引き連れてゲッター単
機で宇宙まで出撃していった……彼については勝利を信じよう。問題は」

 とそこまでいうと、海を往くイスラフェルにエヴァ初号機が天空より飛来してミサイル
のように当たって畳みかけた。
 激震が将造たちのいる場所にまで伝わってくる。
 もちろん、とっくに避難命令は出ているのだが岩鬼組の人間たちは治外法権的な存在だ
ということもあって、それを受け入れずにひたすら戦いを傍観していた。

539:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 09:43:50
 イスラフェルはA.Tフィールドを瞬く間に中和され、その後ゲッタートマホークの鋭い
振り下ろしと共に一刀両断にされた。

 ゲッタートマホーク。本来はゲッターロボの武装であるが、その素晴らしい威力に目を
付けたリツコがエヴァにも運用できるように、ゲッターから射出したままのブツをいくつ
かストックしていたのだった。
 ゲッターと背丈が同程度のエヴァは、すんなりとその手に馴染んだようである。
 シトはその一撃で撃滅されたかのように見えた。
 が、冬月はいう。

「奴の恐ろしい能力が明らかになった。あれは攻撃を受けると一時、二体に分離する」

 イスラフェルが、分断された内蔵や筋繊維が丸見えになった部分から、半分の身体を生
やして復活してしまう。
 丁度、冬月のいうとおり二体になった。

「その瞬間を狙って二体同時にとどめを刺さねば、いくらでも再生してしまうのだ。
 ゲッターならまだしも、エヴァ単機だけではどうにもならん。大破してしまった零号機
はいまだに再生も終わっていない。もはや頼りにできるのは弐号機だけなのだ」

 そこまでいうと、いつの間にか将造の影にアスカの姿があった。
 険しい顔でシトと初号機の戦いをみつめている。
 彼女をちらりとみて、冬月がいった。

「頼む、岩鬼さん。詫び入れならいくらでもしよう。弐号機パイロットを……いや、貴方
の義娘をネルフにやってくれ」
「そこまで調べよったか。覗き見の好きな連中じゃあ」

 と、皮肉めいていうと将造は冬月の腕をぐっ、と掴み顔を近づけて凄みを効かせる。

540:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 09:45:40
「あんだけやらかしたんじゃ。なら、冬月さんよ。
 ワシら極道じゃけん、それなりに詫び入れの方法がありよる。しかもワシの娘もってく
いうんなら、その前にケジメつけてもらわんとのぉ!?」

 指の一本も詰める覚悟できたんだろうな、といっているのだ。
 もはや、将造の定義ではアスカはネルフの人間ではなく、組長の一人娘であり、さらに女若頭だった。
 いまやアスカは将造と共に岩鬼組を率いる、天下御免のやくざ者なのだ。
 それと関係を持つならば、おまえも無傷ではいられないぞという脅しである。

 むしろ人の指一本で済むというなら、安い話だ。
 ネルフもそれは重々承知したうえで来ているから、副司令である冬月をよこして最低限
の儀礼はわきまえたのだろう。
 もっともゲンドウが出てこない以上は、完全に下手に出たわけではないが。

 あの竜馬の一件から、ここまで事態が発展してしまった。ネルフも相当に頭を抱えてい
ることであろう。
 なにしろ彼さえいなければ、アスカは正式配属前に脱走などという暴挙に出ることもな
く、彼らのもくろむシナリオ通りにことが運んだのだから。
 だが、腹黒い連中を困惑させることも将造の大好物である。彼は竜馬のやったことを、
「面倒ごと」と口ではいいながら、内心はこのうえなく楽しんでいた。

「……ああ、構わん。好きにしたまえ」

 冬月はぐっ、とこらえた様子でいった。
 将造はそれに「よおいった!」といおうとしたが、この時になってアスカがその腕を引
っ張り、彼の気を引いた。

「なんじゃ」
「その必要はないわ、あたし、自分の意思でいく。パパの国(シマ)に討ち入ってくるや
つらなんか弐号機で皆殺しにしてやる!」

541:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 09:46:44
 アスカの声が狂気に染まっていく。
 その心内は、彼女にとって安息が訪れていたとしても、他人からも見れば修羅の道に染
まった狂女の姿しかみえなかっただろう。
 それも心の拠り所が、もうこの世に存在しない母親から生きた将造にかわったせいだ。
 多分に宗教がかった心境の変化といえよう。 
 それほどまでに自分を認めてくれる場所をもてたことが、彼女の安息につながっていた
のだった。

 彼女の数十年の記憶による心理的不安を一ヶ月というわずかな期間で塗り替えた将造と
いう男の影響力は凄まじい。
 だからこそ舎弟たちは心酔し、将造のためならば命をもなげうっていくのだ。
 すでにアスカの返るべき場所は岩鬼組であり、それを死守することが彼女の目的と化し
ているフシがあった。

「パパと組の皆の敵は、あたしの敵」

 である。
 諜報からの報告以上に変わり果てていたアスカに、冷静なはずの冬月も言葉につまる。
 だが将造にとっては当たり前のことだ。つぎに彼は別の懸念をもちだした。

「あっこにゃあ、竜馬がおるぞ」

 将造とて、事のてん末を忘れてはいない。
 だがアスカはいう。

「いいの。パパの友達なんでしょ? なら信頼できる」
「ほうかい……なら好きなだけ暴れてこいやあ。アスカよ、こいつを持ってけ」

 と、将造は背中の白木鞘の刀を抜いてアスカに手渡した。
 ズシリと、鋼の重みがその手につたわる。

542:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 09:47:55
 白木鞘にあつらえ直されているものの、それはかつて日本軍が用いた軍刀の一種、村田
刀と呼ばれるものだった。
 刀身は約八三センチ。
 西洋サーベルの地金を用いて作られた刀剣で、軽くて錆びに強く切れ味も鋭く、しかも
安価というまさに実用刀として、高い性能を備えたものだった。

 日本刀としての価値はなくとも「武器は殺傷能力が高くてナンボじゃ」という将造の考
えに合った刀だった。
 そして、将造の村田刀はその地金にドイツ鋼を使用していたものだった。(試作品の一
振りであろう。量産品は和鋼とスウェーデン鋼の合成品が使用されている)
 まさしく日系とゲルマン系の血筋を引くアスカが持つに、相応しい刀であった。

「ヌシの邪魔するバカタレがおったら、そいつでぶった斬っちゃれや」

 ニカリと笑っていう。笑っていうセリフではない。
 アスカはそれに、

「おぅ!」

 と、威勢良く刀をもった腕を上げて応えた。
 それに組の若衆たちがどやどやと外に出てきて口々に、姐さん、姐さん、と声をかけてくる。
 なにしろアスカはアイドル級の容姿をもつ少女だ。その人気たるものは、組の中でも相
当のものだった。
 将造がアスカを拾ってきてからというもの組の結束は、より高まったといっても過言で
はないだろう。

「姐さん、あんバケモンの目ン玉のひとつもくりぬいてきよるんじゃあ!」
「ワシら岩鬼組ん恐ろしさ、見せつけてやりよってください!」

 そういう声援のようなものを背にし、アスカは冬月に連れられて……いや、冬月を置き
去りにしてネルフ本部のある方向へと走り去っていった。

543:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 09:49:00
 その背をみて将造がいった。

「ほいじゃあ、わしも愛娘のために一肌脱いじゃるけぇ。……のお、敷島博士よ!」

 ぐわり、と後ろを向く先には、さながら小柄なフランケンシュタインの怪物という表現
がぴったり合うような、異様な老人が立っていた。
 敷島というらしい。
 さきほど若衆が出てきたときに一緒だったのだろうが、背丈が小さくてだれも気づかな
かったのであろう。
 敷島は将造の呼びかけに、これまた異様な笑い声をあげて応えた。

「ウヒャひゃひゃ……宇宙に行った小僧に遅れをとっちゃいかん。わしのこさえた最新兵
器を極道兵器のおまえに存分、使ってもらうぞお!」

 その言葉に将造は、腕のウェポン・アタッチメントを露出させると、例の凄みの効いた
笑みを浮かべて敷島に見入るのだった。



 一方、竜馬達に場面を移す。
 地表から発進したゲッター1は一気に対流圏、成層圏、中間圏、そして、

「熱圏突破……ッ。シトを肉眼で確認、流君っ」

 と、駆け抜けるように上昇していった。
 これまでにない超高機動を行うため、竜馬も含めた各パイロットはかつての旧い宇宙服
をほうふつとさせる、巨大な耐圧スーツに身を包んでいた。
 といっても性能は雲泥の差である。ゲッター用特殊プラグスーツでも十分耐圧性能があ
るのだから、さらに運動性を無視してこれだけの厚みを持たせた耐圧スーツは、ゲッター
の連続フルパワー加速にも対応した。
 リツコ、技術の極みである。

544:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 09:50:07
「無事かリツコ」
「ええ、なんとかね……まだ鼻血が止まらないけど。ミサトは」

 と、いってもあくまで対応するのはスーツ着用者がゲッター操縦に慣れている場合である。
その発明者は一度ゲッターによる実践経験があるのと、アスカ不在の一ヶ月間、自ら
演習に参加してゲッターのパイロットを務めていたことで鼻血程度で済んでいたが、

「こ、こんなん……なんれもないはよ……ひ、ひとを、このれで、やっちゃるんら……」

 フルパワー抽出のための三人目パイロットとして連れてこられたミサトは、ゲッターは
ほぼ未経験がゆえにレバーを握るのがやっと、という有様だった。
 本来、この三人目は零号機大破で手の空いていたレイが担当するはずだったのだが、紆
余曲折を経てミサトが担当することになった。
 作戦部長が作戦時に不在になるというのだから相当なことなのだが、今はそれを説明し
ているヒマがない。
 この件については、後に補足することになるだろう。

 ともかく、ミサトは積年の願いである父の復讐をその手で果たすため、ベアー号に乗り
込んだ。
 対してイーグル号が竜馬、ジャガー号がリツコである。
 なおジャガー号のパイロットをつとめることになったリツコ曰く、

「ジャガー号、そしてゲッター2がメカとしては一番美しいわ」

 と、いたくお気に入りの様子だった。ゲッター2のドリルで相手を突きやぶって殺す、
というやや陰湿な戦い方も好みなのかもしれない。
 ともかくともかく、竜馬はふらふらになっているミサトに、

「血ィ吐きながらいっても説得力ねえぞ! だがここまで来たら一蓮托生よ、オヤジのカ
タキ討ちだと思って気合いいれろっ」

545:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 09:51:09
 と激をいれるとミサトも、

「は……はぅッ!!」

 と、瀕死ながらも応じた。
 だがこんな、のんきな会話に興じていられるのも、漆黒の世界に巨大で赤い目玉焼きが
浮いているような、このサハクィエルが落下だけに特化したようなシトで、宇宙での直接
戦闘能力をもっていなかったからだった。

 シトにも学習能力はあるとされているのだが、これはおそらく、エヴァだけを相手にす
ることを考えたシトだったのだろう。
 だから巨大ではあるが、そもそも自身の質量以上に質量を発生させる理論無視のゲッタ
ー相手には意味を成さない。

 ゲッター1がびゅんと飛んで、サハクィエル目がけてゲッタービームを撃ち込むとその
威力でA.Tフィールドは消滅する。
 すれば、

「チェンジ、ゲッター2!」

 と、瞬時にリツコのゲッター2に変形し、足のバーニアを吹かしながらドリルを正面に
向けて一気に突進していく。
 コクピットの視界一杯に目玉が映り込むが、リツコは気にせずそのまま目玉へとドリル
を突き刺して回す。
 宇宙だから音はしないが、ドリルによって目玉を削られるシトは血の涙を噴きだしてい
く。さらに回転を続けるとついに穴が空き、ゲッター2の体ごと貫通した。
 ずわっ、とシトの裏側に噴きだした血液と共に出る。もはや敵は虫の息だった。
 シトとはいえ無抵抗では惨殺されるのみだ。
 ここで、ミサトが叫ぶ。

「は、はたしにもやらせれッ!! むお、ちぇんじぃっ、げったぁすりぃっ!」

546:ここまで
07/11/04 09:52:33
 と、舌が回らない状態でゲットマシンを操作すると宇宙空間に重戦車型のゲッター、ゲ
ッター3が出現する。
 キャタピラは無視してその背後のバーニアによって機動すると向きをくるりとかえ、瀕
死のシトにむかってその蛇腹式の太いアームを伸ばす。

「この……このっ、このっ、このっ、おとうさんのカタキらっ、死ねぇっ!!」

 ミサトが錯乱したようにサハクィエルをやたらめったらと殴りつけては、その無限に伸
びる腕で締め上げて、また殴ってと、恨みの限りをぶつけつづける。
 だが、どうもそれだけではないようだ。コクピットの彼女を見るに、溜めにためた、様
々なストレスを全てシトに注ぎ込んでから殺してやる、という風情だった。
 見れば、ミサトの目も先のリツコのように渦が巻いていた。

「うひゃ、うひゃひゃははひゃあっ」

 酒に酔ったようなハイテンションだった。
 作戦部長の知的さもかなぐり捨てて恥も外聞もなく暴れる友人に、リツコは、

「無様ね」

 と漏らすしかなかった。
 やがて、怪力にコアをもひねり、叩きつぶされたサハクィエルはその身を盛大に爆散さ
せて果てた。
 爆炎と太陽光をあびて、血まみれのゲッター3の姿が宇宙空間に浮かび上がる。

「はーっ、はーっ……」
「第八シト撃滅確認。本当はこの言葉、あなたがいうのよミサト」
「まあいいじゃねえか、倒したんだ。地球に帰るぜ」

 ミサトのせいで幾分か影が薄くなっていた竜馬がゲッター1に変形すると、ゲッターウ
イングに身をくるんで重力に引かれながら、再び大気圏へ突入していくのだった。

547:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 10:08:18
今回はミサトがベアー号搭乗で宇宙空間でゲッター3すかw







んなことはどうでもいい!敷島博士あんたもいたんかい!!!
一体どんな最新兵器を出すんだか・・・・・地球は無事で済むのか。?otz

548:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 10:31:52
敷島博士と極道兵器・・・

正に「混ぜるなキケン」が混ざってしまった!!

549:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 11:00:20
ギャーこれ以上危険な奴を投入してどうするつもりじゃーww
ある意味では本編より健全に進んでるのかも知れんが、デストロイぶりでは遙かに上回ってしまうぞww
補完が起こらなくても地球が壊滅しそうなww

550:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 11:15:22
ミサトもゲッターに取り込まれるのか

551:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 11:26:39
ひょっとしてシンちゃん、エヴァでまともに戦うの初めてじゃないか?
エヴァは飛べない、地面にもぐれない、分離もできない。忘れずに戦うんだぞぉ

552:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 12:22:59
平気だって!今にエヴァも飛べて、地面にもぐれて、分離も合体もできるようになるから♪

553:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 12:40:33
乙ー!!!
なんてまあ痛快な展開なんだあああああ
読んでる間中テンション上がりまくりでニヤニヤ笑いが
とまらんかったぞ

しかし脳内を『地球終了のお知らせ』が駆け巡るのは
なぜなんだぜ?

554:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 13:07:34
>>551
うっかりオープンゲットしようとして、初号機を三っつに引き裂いちゃうシンジ

555:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 14:24:29
>>551
それに感情を込めてもレバーを握っても出力は上がらないぞ。
むしろ初号機の中の人が嫌がってシンクロ率が下がりそうだ。

556:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 14:26:57
ぎゃあああああ!?敷島博士までいたあああああ!!

557:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 14:59:01
お母さんには、子供をゲッターから取り返す好機と頑張っていただきたいところ

558:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 16:02:03
このままシンジのゲッター汚染が進んだら、
母が居ると知った時に問答無用でエヴァから引きずり出しそうだな。

559:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 16:03:17
※高確率で動機が邪魔者扱いだと思うが

560:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 17:00:36
シンジは前回で自分の存在意義への疑問についてTV以上にドツボにはまったフシがある。
一方ゲンドウも威厳も発言権も相対的加速度的に収縮しており、竜馬はもとより
今のリツコやアスカ、更にはたぶん今後のミサトを統制する事も至難の業だろうとすると、
もう学園ネタでの新聞生返事ダメ親父路線しか残ってないのでは?
あるいは地獄兄弟の法則に則り、イジケ同士案外父子の絆が強固によみがえるとか?

561:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 17:09:22
なんかラストでシンジ・アスカ・レイの三人が真ゲッターに乗りそうww

562:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 17:22:22
敷島博士!!
そうか、その手があったか。

「なに、武器が欲しい?戦争でもやるんかよ!」
「おうよ!!」

そんな会話があったのかしら

563:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 17:37:07
>>561
むしろレイが真ドラゴンに乗って登場。

レイ「碇君」
シンジ「綾波!生きてたんだね」
レイ「私はあなたを守ると言ったもの」
シンジ「本当に 本当に良かった」

564:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 18:09:16
何だこの超展開はwwwwwwwwwww
初号機がトマホーク使ったり使徒が同時に攻めてきたり敷島博士がいたりミサトさんがグルグルになったり展開がまったく読めないwwwwwwwGJ!!!

565:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 18:31:53
考えてみればスーパーロボットの中でも飛びぬけた汎用性を持つゲッターこそ、
汎用人型決戦兵器の名にふさわしいな。

566:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 18:45:21
>>565
ハン博士のお墨付きだからな

567:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 19:01:13
ゲッターとエヴァって比べてみるとどちらも乗れる人間がすごく限定されるんだけど
される理由がまったく逆だなと思った。

ゲッター 誰でも動かせるが動かした際の超加速に耐えられる肉体の持ち主がほとんどいない
エヴァ  コピー元たる使徒かコアに取り込まれた魂の子供でなければどれだけ気合いれようとも
      指一本動かないが肉体的には脆弱なシンジですら大丈夫

568:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 19:20:39
数億年の歴史を持つ恐竜帝国ですら真似するほどだ。
陸海空だけでなく元はと言えば宇宙開発計画の産物だったから宇宙での行動もお茶の子さいさい。
マグマの中でもある程度は大丈夫と来てやがる。

何このバケモノマシーン

569:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 19:34:37
まさか敷島博士がいるなんてwww
やっぱり岩城組の屋敷は完全武装の要塞なんですか?www

570:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 19:44:01
もともとエヴァにも専用のオノ型武器はあったような気もするが…比較にもならんか。

571:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 19:55:11
>>565
むしろ汎用人型虐殺兵器

572:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 20:00:13
ゲッターは悪と賢ちゃんがいってたしな

573:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 21:13:32
微かに極道兵器風味アスカ覚悟完了しますたorz
って、鬼娘よりマシな程度ですが。
女の子にあのダボシャツは酷ですorz
URLリンク(77c.org)

ライフル弾ってどんなですか?orz

574:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/04 22:20:53
>>573
間違いない、やっぱりアンタは虚無から戻ってきたケンイシカワだな!?

575:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 09:09:49
石川作品って実は凄くクロスむけではないのだろうか?この作品を読んでつくづくそう思いました。
スパロボに石川版ゲッター(または新ゲッター)出せよ!!

576:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 09:41:55
石川版と限ることもあるまい。ゲッターはロボットアニメ史上初のクロスを、それも
制作者自らが劇場でぶちかました、記念碑的作品でもあるのだから。

577:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 18:09:36
>>575
その前に石川版ゲッターのアニメ化を…
「出たなゲッタードラゴン!」で終わってもいいから

578:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 21:15:30
ゲッターって考えてみるとエポックメイキングの塊だな
・初の本格的合体ロボ。それも、今に至るも追随者が数えるほどしかいない
 複数の合体パターンを有するタイプ
・おそらく初の2号ロボへの乗り換え
・主役級のキャラが戦死してメンバー交代
・史上初のクロスオーバーを、グレートマジンガーとのコンビで実現



579:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 21:48:14
ロボットアニメそのものが始まったばかりの時代だし

580:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 21:51:51
>>576 >>578
揃って『マジンガーZ対デビルマン』はカウントしてないようだが、
「史上初のクロスオーバー」とはロボットアニメ同士のという条件付の話か?


581:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 21:52:43
ロボットアニメ以外にもかなりの影響を与えたと思うけど。熱血漢、クールでニヒル、三枚目のトリオとか
それ以前だと何かあったっけ

582:名無しさん@お腹いっぱい
07/11/05 22:05:01
いや、われらの年代では、やはりゲッターやマジンガーが元祖と考えても差し支えないでしょう。


583:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 22:07:00
ダイナミックプロは偉大だよな。まぁ手塚とか横山光輝とか水木とかもだけど

584:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 22:10:49
>>583の最後は漫画家と歌手とどっちだw

585:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 22:12:43
どっちもだぜ!

586:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 22:15:30
ゲッターロボ號が初ダイナミック作品な俺、参上!

587:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 22:59:02 mfBRiNu4
>>586
俺はネオw

588:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/05 23:28:48
自分はポコイダーだorz

589:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 00:45:19
なんでいきなりポコイダーだよw

590:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 00:45:55
チェンゲからですorz

591:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 03:22:16
>>588
ここでポコイダーをあげる君に敬意を表するッ!!

592:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 04:02:31
凄ノ王が初ダイナミックな俺は勝ち組なのか負け犬なのか

593:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 04:07:39
俺はもちろん違うが初めてが思い出のK君とかだったら凄いな

594:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 07:55:57
ワッフルワッフル


595:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 16:35:31
いやはや・・・南友・・・

596:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 16:59:55
あばしり一家だった…どんなお子様だったんだ自分…
それ以前になぜあばしり一家が家にあったんだ…

597:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 18:10:08
初の石川作品が餓狼伝説だった俺・・・・当時、6歳・・・
この作品が原因で石川作品にはまった・・・病気かな?


598:つづき
07/11/06 20:54:41
 一方、地上。
 ゲッターとサハクィエルの戦闘、いや、ゲッターの虐殺からやや時がさかのぼる。
 苦戦する初号機の背後から、アスカの弐号機が海を蹴って走り、参戦してきた。その手
に持つのはスマッシュホークだった。

 エヴァ用の戦斧である。超音波による極微超高速振動により、本来の素材を遙か上回る
切れ味を示すプログレッシブナイフの原理を、そのまま大型化したものだ。
 ゲッタートマホークに比べた場合の威力は落ちるが、それでもビルのひとつやふたつは
真っ二つにできる代物である。
 その弐号機を見て、シンジはイスラフェルから後退しながら叫ぶ。

「弐号機!? 誰が動かしてるんだ」

 すると、初号機へ聞き覚えのある声が通信越しに響いてくる。

「弐号機アスカから初号機、碇シンジへ! 今からこのアスカ様が助太刀してやるから、
ありがたく戦いなさいっ」
「アスカって、この間のっ……も、戻ってきたんだ」
「いまそんなこと話してる場合じゃないッ、前むいてっ!」
「わ、わかってるよぉっ」
「敵は同時撃破しないと何度でよみがえるわ。あんたと私で、同時にぶった斬るわよ。タ
イミングを合わせなさい」
「り、了解っ」

 と、ここで通信を終えるとそれぞれ斧を構えた初号機と弐号機が、じりじりと二体のイ
スラフェルと間合いを取る。
 お互いに、攻撃方法は肉弾のみだ。
 間合いに先に入ったほうが、打たれる。問題はイスラフェルの伸縮性だった。
 明らかに、こちらの武器よりも有効範囲が長いのである。
 それを避けて、しかも同時にタイミングを合わせて斬るのは至難の業であろう。

599:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 20:55:51
 しばらくにらみ合ったのち、一回目が仕掛けられた。

「でやあぁぁぁッ」
「うわぁぁああッ」

 と同時に叫んで突撃するが、それぞれ斧を振り上げた時にはもうイスラフェルのカマの
ような腕が伸びてくる。
 捕まればどうなるか解ったものでないので、アスカはバク転動作で後退、シンジはその
まま飛び下がって回避した。
 やはり間合いにおいて圧倒的に不利だった。再度、こう着状態にはいってしまう。
 アスカが悪態をつく。

「ああもう、せめてソニックグレイブがあればっ」
「エヴァでもトマホークブーメランが使えればなぁ……なんで使えないんだろう」

 シンジもぶつぶつと文句をいっている。
 息が合わない。
 無理もない、顔見せすらまともにしていない二人が突然、タイミングをぴったり合わせ
て戦うというなど不可能な話だ。
 アスカもそれは重々承知している。戦闘がそんなに甘いものでないことは、将造の特訓
によって嫌というほどに思い知らされているからだ。
 だが、いまは他に手段がないのだ。

(どうしよう……)

 アスカは、ゲッターが帰還するまで戦闘を長引かせることをまず考えた。
 しかし、

(たぶん、無理ね。二度も大気圏に突入して、そのまま戦えるとは限らないし……戦えても
中に確か、作戦部長と技術部長って二人も非戦闘員がいるんじゃあ)

600:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 20:58:01
 と、弐号機に乗る前に冬月から与えられた、状況の詳細を思い返して
 この案は却下した。つぎに、ネルフの戦闘部隊にシトの気をひくように攻撃してもらう
ことを考える。
 だが、これも戦闘部隊を完全な捨て駒にする覚悟が要った。
 さすがにアスカの立場で、そこまで命令することはできない。もっとも、

(パパならきっと問答無用でやらせるんだろうけど……)

 そう思った時だった。
 遙か後方から、ローター音が響いて一機の戦闘ヘリがやってくる。ネルフの所属機では
ない。AH-1コブラという、被弾対策でやけに細身で、正面からみると魚類のようにも見え
る旧式の戦闘ヘリだ。

「へ、ヘリコプター?」

 シンジがそれに気づいてすっとん狂な声をあげる。
 アスカも同じように、

「そんなポンコツでなにしに来たのよ、あんたバカァ!?」

 とわめき散らすが、速度を落とさない戦闘ヘリはなおも接近してくる。
 ローターが騒音を撒き散らす。
 すると、戦闘ヘリから人影が覗いていることに、アスカは気づいた。

「なっ……あ、あれは……パパぁ!?」
「誰がバカじゃアホンダラぁっ!!」

 と、聞こえるはずのないアスカの罵りになぜか反応した将造が、戦闘ヘリから身を乗り
出して左腕の得物を振り回していた。
 途端、アスカがほとんど悲鳴をあげるかのようにいった。

601:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:00:14
「ダメ、来ちゃダメ、パパッ! そんなヘリじゃ撃墜されちゃうッ」

 外部スピーカーの最大音量で騒いだ。
 それも聞き届けたらしい、将造はしかし

「アスカぁっ。わしを誰じゃと思うとる! わしゃ、極道兵器やぞ!!」

 とスピーカー同等以上の音量で叫ぶと同時に、戦闘ヘリの挙動が急激に変化した。
 突然のように垂直に上下し始めたかと思うと、今度はピンボールが弾かれるがごとく左
右に動き、さらには機体をきりもみ回転させながら突っ込んでくる。

 しかもその最中に、どこに搭載しているのか戦闘ヘリはミサイルをマシンガン並の勢い
で撃ち出してシトに弾幕ならぬ、ミサイル幕を張っていく。
 戦闘ヘリから異様な声が鳴り響いた。

「ぐわはははは! ただのコブラじゃと思ったら大間違いじゃああっ。ゲッター級の機動
性を追求したヘル・コブラの実力、おもいしるがいぃ!!」

 声の主は、敷島博士であった。
 撃ち出されたミサイルは照準をまともにつけていないのか、シトに命中する以外にも周
囲へドワオドワオと爆散していく。
 大きく外れた弾などは遠方の街や海域に被害までも及ぼすが、そんなことは敷島の知っ
たことではない。
 ミサイルのパーティだった。

「ゲッター線ミサイルじゃ。バリアなんぞ軽く打ち破るわい!!」

 なおも敷島は興奮しながら叫ぶ。
 戦闘という麻薬に侵されているような姿だった。

602:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:01:17
 そして将造ともなれば、戦闘ヘリから飛び降りるとミサイルの爆風に乗って滑空しなが
ら、腕の大砲を敵にむけている。

「うらぁっ! 敷島印のゲッタービームガンじゃぁ、しばきあげたるでーッ!!」

 その叫びと共に、緑色の光線が将造の左腕から溢れるように放たれる。それは一列に並
んでいたシト二体を掃射して切断していく。
 小さくともその威力は本物だ。
 それを眼下にする、戦闘ヘリの操縦者だった敷島が高らかに笑いあげる。

「ヒャハハハ。超小型ゲッター炉心の威力はどうじゃ! 撃ってはよし、やられても炉心
誘爆で敵もろとも道連れじゃあ!!
 まだまだレパートリーはあるぞ! この永遠に追尾しつづける、小型ゲッタードリルミ
サイルは命中したら最後、シトの体内を穴だらけにするまで掘り尽すぅ!!」
「うははははッ。そりゃ次の機会じゃ博士、親がカオ出しすぎるんは教育にならん~!!」

 同じように将造も高らかな笑い声をあげると、急降下してきた戦闘ヘリの着陸脚に捕ま
って再び大空へと舞い上がっていった。
 将造がさけぶ。

「いまじゃアスカぁっ、そのバカタレ共をぶち殺しちゃれやあッ!」

 チャンス到来だ。
 イスラフェルはゲッタービームの掃射によって受けたダメージで活動が停止している。
 ぎらり、と弐号機の目が光った。

「シンジィッ! ダブルのトマホークでコアごと叩きつぶすのよ、かけ声合わせてッ」
「あ、ああっ」

 アスカの号令に、二機のエヴァがそれぞれの得物を構えて力を溜めたあと、突出してイ
スラフェルに迫り二人同時に腕を振り上げて、二人同時に叫んだ。

603:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:02:27
「ダブル・トマホーーク!!」

 雷のごとく振り下ろされる二つの戦斧。
 ずあっ、と肉を切り裂く感触が伝わりながらイスラフェルの体を二つ、合計四つに切り
裂いていき、中心のコアを砕いて股下までくだった。
 すれば、その場に崩れ落ちた二体のシトは、巨大な大爆発と共に水柱をあげて消滅していく。
 勝利である。

「やったァッ」

 アスカが、弐号機プラグ内で手を打って喜んだ。
 その頭上を戦闘ヘリが通過しながら、将造が叫ぶ。もはや人間スピーカーといえる。

「よぉやったのお、アスカ」
「パパのおかげよ!」
「バアタレ、相手をぶち殺したなら何であろうと勝ちじゃあ!」

 だが、その義理の親娘のかけあいに、状況が理解しきれないシンジが割ってはいる。

「あ、あのぉ、アスカ。そこのヘリの人は、君のお父さんなの? たしかこの間、ゲーム
センターに入ってきたヤク……じゃなくて任侠の人。ってことは君は」
「そーよ。仁義切ってあげるわ。
 お控えなすって! 手前生国と発しますは西洋にござんす、性は惣流、名はアスカ、間
の名はラングレー。この度岩鬼組から助っ人に参りやした。以後お見知りおきくだせえ」
「いつの時代のヤクザだよ……」
「なんかいった?」
「いや、なんにも!」

 過剰な挨拶に、シンジは肝を冷やした。

(まさかヤクザの娘がエヴァのパイロットだったなんて……でも外国にもヤクザっている
のかな?)

604:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:05:26
 などと思っていると、今度は空からゲッター1がもの凄い勢いで降ってきた。
 サハクィエルを撃破した後に、万一シンジが苦戦していることを考えて竜馬が、リツコ
に戦場のど真ん中に着水できるように落下計算を頼んだのだ。

 むろん、リツコはこれに反対……しなかった。
 したのはミサトだけである。

「そんなっ。一度の大気圏突破ですでにダメージがあるのに、無茶よ!」

 いったが、

「バカ野郎。動けりゃあ、いいんだ、ダメージごときでびびってんじゃねえ!」

 と、竜馬は相手にならない。
 リツコもリツコで、

「ゲッターがどこまでやれるのか、知りたいところね」

 と同調までした。
 結局、大気圏突入はミサトの悲鳴と共に行われることになるのだった。
 そうしてゲッター1そのまま隕石のように沖の方角に飛び入るように墜落すると、盛大
に水柱を立てたあとに浮かび上がってくる。みれば摩擦熱で、赤いはずのボディが真っ黒
に焼けこげていた。

「ピンポイントで着水か、大した計算じゃねえかリツコ。ま、もう終わっちまったみてえ
だが」
「これが仕事ですもの。それよりミサトは大丈夫かしら」
「……も、だめ……」

 すでに戦闘が終了しているのを確認したゲッターは、ゆっくりと空に浮かびあがって、
近づいてくる。

605:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:06:55
 それに将造の戦闘ヘリがまとわりつくように飛んでいった。通信が入る。

「竜馬ァ! おどれ、わしに厄介事ばかりおしつけよって、覚悟はええんじゃろなあッ」
「将造てめえ、空で聞いてたらいつからロリコン趣味になりやがった!」
「じゃかしいやあッ、ママゴトに熱あげてるおめぇにいわれる筋合いはないんじゃあ!」
「なんだとこの野郎!」

 と拳をコクピットで振り上げる竜馬に、さらに通信に割り込んでくる。

「よう竜馬のガキ! 久しぶりじゃあのうっ」
「でやがったな敷島博士……なんで、あんたがここにいるんだっ」
「そんなこと、どうでもよいわ。わしゃ、この岩鬼と戦争するのが最近の楽しみでなぁ、
くれぐれも邪魔するんじゃねえぞ!」
「誰がするかっ」
「ならいい。よおし、帰るぞ将造よぉっ」
「オオヨ! アスカぁーっ、わしゃ帰るがヌシはヌシで好きにせえ、やりたい様にやるのが岩鬼の流儀じゃあっ」

 というと、戦闘ヘリはまた空中回転すると後方に進路をとってあっという間に、この場
から姿を消し去ってしまった。
 竜馬はそれに悪態をつきながら見送っていた。
 そしてシンジとアスカは、

「……惣流、だっけ。帰らなくていいの?」
「あたしは助っ人に来たのよ。全部のシトをぶちのめすまでは、家の門はくぐらないのが筋ってもんなの!」
「そ、そう……」

 と、シンジが終始振り回された形で会話しながらエヴァを帰投準備に入らせていた。


・・・

606:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:08:33


 その後。
 大事なことは、そのネルフにおけるアスカの処遇だった。

 いま、アスカは岩鬼組の構成員になってしまっているのは書いたとおりだが、その組長
は、敷島と共に暴れに暴れまわった挙げ句に、アスカへ好きにしろとだけ言い残し、帰っ
ていってしまってその後、音沙汰がないのでネルフは困った。
 有無をいわさず、岩鬼組から切り離し、彼女を再びネルフに組み入れてしまうことは可
能だが、それをすることで岩鬼組の神経を逆なですることは避けたかった。

 というのも将造が好きにしろといったのは、アスカが好きにするのであって、ネルフが
好きにしていいということではないからだ。
 自らのシマの内を絶対とし、外に対しては狂犬のごとく振る舞う男なのだ。
 なにしろ、アスカを取り戻すための強硬手段を、全て返り討ちにされているのである。
小さくとも組織である分、竜馬とゲッターよりも始末に負えない相手だった。

 結局、アスカは本人がいった様に「実家」へは戻らず、ネルフの管轄内に居を構えるこ
とにはなったが、身分は岩鬼組からの出向扱いである。つまりお客さんだ。
 客が兵器のパイロットというのもおかしな話だが、便せん上そうしておくのが無難だと判断された。
 その住居となるのは、ミサトの住むマンションだった。
 しかも別室ではなく同室だ。
 これもアスカたっての願いで、その理由も日本でのカタギの生活感もよく知っておきた
いということだったのだが……これにミサトは、

「なんで私ばっか割を食うのよ!」

 と悲鳴をあげる。
 しかし竜馬の「やくざの頼み事てえのは、そういうもんだ」の言葉にしぶしぶながらも
了承せざるを得なかった。
 そして、

607:ここまで
07/11/06 21:09:42
「岩鬼組……若頭、惣流・アスカ・ラングレーです。このたびネルフに宿を借りることに
なりました。よろしくお願いします」

 と、アスカはその挨拶の席でいうのだった。
 目はすわって、その奥はぎらぎらと輝いていた。
 体は小さいはずなのに、おかしな威圧感がある。
 すでに極道の貫禄たるや十分で、最初にシンジ達とゲームセンターで遭遇したのとは別
人物のようにも見えたが、そう見させてしまうだけの学習能力こそ彼女がエースパイロットたり得た理由でもある。

 組長の将造は骨のある人物が好きだし、そういうアスカを気に入ったのは必然だったの
かもしれない。
 ちなみにマヤ、シゲル、マコトといったネルフの職員達はこれに終始、顔の筋肉をひきつらせていた。
 特務機関の人間とはいえ、やくざは恐いらしい。

 しかし。
 日本を裏から操っているともいえるネルフが、やくざといえ、たかが一組織ごときにこ
こまでの遠慮をしなければならないとは、前代未聞の出来事である。
 ゲンドウはこの判断に苦渋を舐める想いだったが、全てはみずからのシナリオを円滑に
進めるための手段として、抑えた。

「……ゼーレの老人共がうるさくなるな」

 と、彼は独り漏らすのだった。

608:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:12:21
ゲッター支援!って、投下もう終わりかな?
しかし敷島博士の暴れっぷりにはもはや笑うしかないなあ…w

609:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:18:54
>撃ち出されたミサイルは照準をまともにつけていないのか、
>シトに命中する以外にも周囲へドワオドワオと爆散していく。
>大きく外れた弾などは遠方の街や海域に被害までも及ぼすが、
>そんなことは敷島の知ったことではない。

腹筋がwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww

ところで 『便せん上』って『便宜上』と書きたかったと思うんだが、
これは『ベンギジョウ』と読むダス……

610:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:22:19
>>609
やっちゃったZE

すんません、覚えました。ありがとごぜます。

611:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:24:52
おめでとう!ゲッター1はブラックゲッターにしんかした!

612:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 21:28:32
ヘリに何したんだよ敷島博士・・・

613:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 22:11:21
ゲッターが焦げたー・・・吊ってくる

614:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 22:17:31
ああっ無敵だ!! 竜馬と正造が手を組んだらイデも時天空もなんぼのもんじゃい!!
この二人と敷島博士やはりスパロボに登場すべきだな。

615:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 23:23:40
あー・・・もうエヴァ、いやネルフは必要ないなこりゃ。少なくとも対使徒戦においてはw
問題は補完計画がどうなるのか・・・全人類グルグル目に進化しそうで怖いwww

616:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/06 23:26:54
いや、ここから先はイロウル、レリエル、バルディエルと、力押しでは勝てない
使徒が登場する…かもしれない。

617:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 00:07:48
もしも保管できても赤い海じゃなくて緑の光になりそうww

そして人類全員エンペrうわ誰か助けドワォ

618:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 01:28:52
>ドワオドワオと
地の文で出てこられると腹筋がwwwこんなに破壊力のある擬音だったとわww

619:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 01:30:10
ブラックゲッターになったら2・3はどうなるの?

あと、このすばらしい作品は、EmGみたいにどこかに保管されてるの?
されてるなら場所を教えてくだされ。
されてないならだれか保管所作ってくだされ。
他力本願スマソ

620:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 01:46:09
もしかしたらシンジとアスカを元に戻す為に竜馬と岩鬼を暗殺しそうだな>>>ゼーレ。

621:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 01:48:08
暗殺するとしたらどの方法なら上手くいくだろうか。大概の事じゃァ死なないだろうし

622:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 08:40:40
まさにBURN THE RUNの世界になるな
殺しても死なないというw

623:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 10:43:56
竜馬・岩鬼暗殺計画を企てるゼーレ。しかし嘗てのメンバーは皆暗殺されており
早乙女議長、コーウェン君、スティンガー君、ゴール、ブライ、ジャティーゴ、清明、
四天王に入れ替わっていた・・・。

624:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 15:00:45
地球\(^o^)/オワタ

625:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 15:52:28
超小型ゲッター炉心、ゲッタービームガン・・・・・・イスラフェルのATフィールドが弱いことを差し引いてもとんでもね~(汗)
ただでさえ、とんでもない極道兵器がゲッター線漏れで生身の部分まで進化しそうだ。
小型だけあってラミエル戦でのゲッタービームみたいな暴走はしそうにないが、そのぶん使いやすそう。戦自あたりから注文がきたりして?

626:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 17:54:55
シンジが染まってたくましくなってきたなぁと思ったところでアスカがブッちぎって霞んだな
逆転の目はあるのか、そもそも逆転すべきなのか?

627:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 19:40:57
ゲッターごとき、あと少しで使徒に乗っ取られて終了だろう

628:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 19:52:58
確かに使徒がゲッター線で進化するってのも考えられるよなぁ

629:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 19:56:54
そろそろゼーレの老人も対応策を考える頃だろう。ゲッターは目に見えるもの
型あるもの壊せるものにはくそ強いけど目に見えない形がなく壊せないものには
弱いイメージがある。そういえば残りの使途の中にそんなのいたな

630:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 20:41:30
漫画のほうだと魂とかも取り込んでたけどね

631:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 20:56:03
この竜馬は
・比較的落ち着いている(真・漫画寄り?)
・新宿(新)
・敷島博士(ネオ・漫画)
・青春時代はゲッター(ネオ・漫画)
・ゲッターそのもの(新寄り?)
・極道兵器(オマケ)
等のいろんな要素が絡まってるのでこれからも予想できないな…

632:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 21:22:13 9ridWy/2
>>627
ゲッターを「ごとき」といえるほどエヴァも使徒も強くない。
まして、乗ってるのが「乱暴者」竜馬だからな。
へたに侵食しようとしたら逆に「喰われる」のがオチ。

633:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:15:10
>>627
「ゲッターロボ」ならばシンプル構造のロートルマシンだし
大して苦もなく取り込めるだろうが、肝心のその後が大変だぞ。

あの奇怪な規格外エネルギー線が使徒に味方してくれると思うか?

634:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:25:26
むしろ使徒がゲッターに感化して・・・・・

635:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:29:02
第三次スパロボαでは終焉を望む第一始祖民族に対して、ゲッター線は最後の最後まで
人類の味方をしたんだっけ?

636:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:38:54
ところがWでは前の宇宙を滅ぼしてる

637:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:49:29
あまりに濃過ぎる人間に囲まれ疲れたシンジをゲッターダブリス(カヲル君)が癒すとか。

638:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/07 23:59:24
>>637
これはいい僕の気持ちをを裏切ってくれそうなカヲル君ですね

639:名無しさん氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:00:00
いやミサトさんたちの方が心労はあるでしょう。シンジはむしろたくましくなっているし。

640:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:06:52
ああ・・・そうか・・・そうだったのか・・・・・・
今・・・全てが解っ

641:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:07:31
ミサトさんは心労以前に体が保つのだろうか? リツコさんは既に取り憑かれてしまったようだから
心配するだけ無駄だろうけど。

642:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:08:54
リツコ=敷島化
トウジ、ケンスケ=竜馬の舎弟
アスカ=極道化
ミサト=暴走するリツコのツッコミ要員化
シンジ=成長はしているけど、ゲッターの進化に付いて来れていない
シンちゃんには癒してくれる相手が必要だと思う。

643:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:13:39
>>642
癒してくれる相手ですか…綾波か委員長くらいしか残ってないような。
意表を突いて冬月のおじいちゃんという手も?

644:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:16:11
ここで、カヲル君(ゲッターダブリス)ですよ。

645:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 00:58:08
使徒の中ではゼルエルとタブリスが一番ゲッター線に近い存在のような気がする
それぞれ力を司る天使と自由意志を司る天使だから、ある意味魔獣といい勝負

646:つづき
07/11/08 01:15:13
「……ゼーレの老人共がうるさくなるな」

 と、彼は独り漏らすのだった。

 さてゼーレという単語が出た。
 これを掘り下げて語る必要性は今更ないかとは思うが、それでも物語の流れを解りやす
くするために、簡単に書いておこう。
 ネルフの目的が人類補完計画なるところにあるのは最初に語ったが、いわばゼーレはこ
の上位組織にあたる。
 それだけでなく全世界に強い影響力をもつ、地球の影の支配者だ。
 こう書くとふざけた話に聞こえるかもしれないが事実である。

 ゼーレはユダヤ教の考え方の根底を成す、旧約聖書の思想に骨の髄まで染まった、カル
ト集団であり、人類は不完全な生命体で神にしょく罪せねばならないという思想がある。
 かれらは裏死海文書とよばれる予言所を所持しており、それに書かれた内容の通りに歴
史を動かそうとしていた。
 事実、ゲッターロボが出現するまではそれはひとつの間違いもなく、本当の未来として
現出していたのだ。

 それが最終的にもくろむ人類補完計画とは、地球の全生物に現在の肉体を捨てさせ、魂
と規定される概念の大量融合を強制的に果たさせ一個の生命体に成るというものだった。
 むずかしいが要するに、原始の生命体に還るということだ。
 生物の進化の否定といっていいかもしれない。

 その「よりしろ」となる卵が広大な地下空間であるジオフロントそのものであった。
 これは黒き月とも呼ばれている。
 ゼーレは、海ではなくここから生命が発祥したと考えているようだった。発祥した地へ戻るというのだろう。

 だがゲンドウは、この計画をそのまま実行するつもりはなかった。
 これも最初に書いた通り彼の目的は、その妻ユイとの再会であって人類をどうこうしよ
うというのは、彼にとっては手段に過ぎない。

647:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:18:05
実はあの顔で人間の煮込みが主食のカヲル君とか…

648:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:18:12
 凄まじいまでの自己中心ぶりだが、それだからこそネルフを動かせ、かつゼーレに造反
できるところもあるとおもわれる。
 そして、エヴァ初号機にこそユイの魂は宿っている。
 かつて初号機の初搭乗者として、彼女は初号機の内に取り込まれてしまったのだ。
 エヴァは、あまりにシンクロ率が高くなると、搭乗者と一体になってしまうという隠さ
れた事実があった。

 だからゲンドウは、自分を含めた人類の全てをエヴァ初号機の内に還元し、いわば神に
も等しい生命体になろうと企んでいる。
 それをもってユイと相まみえようというのだろう。
 どちらにせよ、現行の地球生命体は彼らによって存在を否定されようとしている。
 だから、その計画を進めるための駒のひとつがやくざになろうが、予期せぬ駒が出現し
ようが、ゼーレ、そしてゲンドウにとっては障壁程度の認識にすぎない。

 ところで。
 人間のみならず、生命の進化の歴史は、お互いに食い合う、し烈な生存競争であること
は間違いないだろう。
 いや、それどころか宇宙のことわりまで視点を拡大しても、星と星の食い合い、さらに銀河と
銀河の食い合いという超巨大な自然の争いが行われている。
 生命の定義にもよるが、星も寿命のある存在だし、その集まりである銀河も秩序をもっている。
 すべて永遠ではなく、崩壊するときもあれば誕生するときもあり、
 さらに、それを内包している宇宙すら、何らかの法則によって動いて、生きている。

 これらはダイナミックな生命といってもいいだろう。
 生命は意識がなければならない、などというのはあくまでヒトの感覚による生命体の定
義にすぎないのだ。
 いまこのときも、宇宙のどこかで星が生まれ、銀河が成立しつつ、そして滅んでいる。
 壮大すぎるスケールで進行しつつある出来事だ。
 はてしなく厳しいが、この競争に打ち勝った者にだけ存在の権利が確率される。
 負けた者には容赦のない淘汰がまっている。弱肉強食である。
 いってみれば、それがヒトをも含めた宇宙のシステムなのだ。

649:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:19:43
 たかが、宇宙のほんの一部にすぎない人類がそれを拒否し、進化という競争をやめたと
ころで存在価値はあるのか。
 残念ながら、答えは誰にもわからない。
 が、少なくとも竜馬ならば「ふざけるな」の一言で済ますだろう。
 彼は戦うために生まれたような男だ。
 みずから可能性を潰えさせるような真似を、もっとも嫌う。

 ……生命を追い詰めようとする者は、追い詰められた生命たちの決死の反撃をその身へ
受けることになる。
 だが、いまはそこに至るまでの、様々な状況を語っていかねばならない。







 時間はすこしさかのぼって、ここではアスカが将造と共に岩鬼組で過ごしていた期間に
おいて、ネルフ側で起きたことについての流れを追っていく。

「あぁ、ったくもおぉぉッ!!」

 と、ネルフの食堂へ歩きながら大声でどなり散らすのはミサトだった。
 さらに横を竜馬がポケットに手を突っ込んだまま、無表情に歩きながら、いう。

「ちっと静かにしろや」
「誰のせいで荒れてると思ってンの!!」

 と、竜馬に突っかかっていく。
 セカンド・チルドレンであるアスカを脱走させてしまったことは、正式配属前だったと
いはいえミサトの頭を痛ませるのに十分すぎた。

650:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:21:18
 竜馬に責任をかぶせる訳にもいかないので、その余波がすべてミサトに降りかかってきてしまうのだ。
 とんだ災難といえる。

「仕事中もビールでも飲まなきゃやってらんねーわよ!」

 そう叫びながら、彼女は食堂に足を踏み入れる。
 するとそう広くないスペースである、このときはあまり客入りも多くなかったのでその
全体がよく見渡せた。
 そしてその一角には、リツコと見覚えのある顔が同席しているのが見えた。
 長くなった髪を後ろにまとめ、よれよれのワイシャツとズボンを、さらに緩く着て、だ
らしないみなりの無精ヒゲの男だった。
 ただ、スタイルと顔はいい。

「あ、あれは……」

 ミサトが信じられない、といった様子でそちらをうかがう。
 以下は、彼女の耳にはいった会話である。

「相変わらず仕事の虫かい。それじゃ、まだ彼氏もできてないな」
「……そうでもないわよ」
「おや意外だねェ。せっかく俺が口説こうと思ってたのに。相手は誰? まさか碇司令とか、なあんてな」
「さあ、誰でしょう。あ」

 と、リツコの視界の先に黒い影が見えたかと思うと、男の後ろに剛速球でなにか回転す
るものが飛んでくるのが見えた。

「か、加持君っ」
「え……あぐぁッ!?」

 ぐあんっ、と音がするほどの勢いで加持の後頭部にスパナが当たり、彼はその場にもんどりうって倒れる。

「う、うぐぐぐ……」

651:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:22:36
 後頭部を必死に抑えてうめくが、さらに追い打ちを掛けるようにその頭に、足が踏みつけられた。
 男が抵抗しようとすると、その耳につんざくばかりの怒号が響く。

「あんたがどうしてここで、こんなことしてんのよォッ!!」
「よ、よぉ……か、葛城、ひさ、ひさしぶりだ……おおお、痛てててッ。やめろ、俺を殺
す気かっ、足をどけてくれえっ」
「なんなら殺してあげましょーか」
「か、勘弁してくれ、な」

 と、許しをこうとやっと、その頭から足がはなれていく。
 彼は顔と髪についたホコリや汚れを落としながら、よろけて立ち上がっていく。
 この軽口のような受け答えをするのは加持リョウジ。ネルフ特殊監察部の人間だ。
 と同時に、ミサトのかつての恋人でもある。
 ただ、すでに仲違いして疎遠になっていたのであるが……。

 生年月日、一九八五年六月一七日、三〇歳。
 飄々という言葉がもっとも似合う人物であり、やや女好きのきらいはあるが、それも演
技にすらみえる、雲のような言動でつかみ所のない性格をしていた。
 ネルフの特殊監察部というのは、要するにスパイ組織であって加持はネルフの情報源の
ひとつとして動いている。
 が、そのうえで先のゼーレのスパイであり、また日本政府のスパイであり、三重のスパ
イというなんとも矛盾した仕事をこなしている。

 彼に、思想はない。
 あるのは、人為的であったとウワサされつつ、誰も真実を知らない大災害・セカンドイ
ンパクトを究明したいという、ある意味、子供じみた願いだけだ。
 だが、彼をひとつの油断が即の死へとつながる所行へ走らせるのは、それそのものが主要因ではない。
 加持自身がセカンド・インパクトによる孤児であるのが大きかった。
 彼は孤児生活の中で、生きるために兄弟を犠牲にした過去がある。犠牲といっても食人
したというわけではないが、兄弟で組織だって食料の盗みにはしっていた最中、食料庫の
主にみつかり、制裁をうけたのだ。

652:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:23:58
 当時は食糧難の時代であって現代のわれわれの感覚で考えるよりも、はるかに食料に対
しての価値観が違った。
 それに無政府状態に近く、法律のまともな保護もなかった。

 よって制裁は、子供にも容赦はなく死の制裁となる。
 そのとき、自身が助かるために彼は兄弟の潜伏場所を吐いた。そうすれば自分だけは助
けてやるといわれて、身内を切ったのだった。
 結果、彼の兄弟たちは皆殺しとなった。

 だからセカンド・インパクトという理不尽に対して、激情に近い恨みを抱いている。
 逆恨みともとれるが、それが彼なりに兄弟へのつぐないになると考えているのだろう。
 その真実を探ることでセカンド・インパクトへ復讐するつもりだった。
 風変わりな復讐鬼である。
 父をシトに殺されたからシトに復讐する、という解りやすい動機をもつミサトとは、そ
の点、対照的といえる。
 ミサトは加持と関係をもった理由を姿に父を見たからと独白していたが、あるいは、こ
の対照的な部分において惹かれ逢ったのかもしれない。

 ともかく。

「ったく、なにしに来たってえのよ」
「ドイツからアスカのずい伴、の、はずだったんだけどね」
「もうそのこといわないで」
「解ってるよ……」

 と、加持はちらりと竜馬をみやった。
 彼はそれに気づき、逆にじろりと加持をにらみ返す。

「なんか用か」
「用はないけど、流竜馬って君のことだね。突然、虚空からあらわれてシトをバタバタと
なぎ倒していった、ゴリアテの戦士」

653:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:25:03
支援

654:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:25:08
「ゴリラだとてめえっ、ケンカ売ってんのか!!」
「上の人たちが君をそう呼んでるんだよ。あとゴリラじゃないから怒らないでくれ」

 なお、ゴリアテとは旧約聖書に登場する、巨人の名である。敵の兵士と戦い、かれらの
神をあざわらったが、羊飼いの少年ダビデによる投石を額にうけて倒れ、みずからの剣に
首をはねられ死んだという人物だ。
 日本人の感覚でわかりやすく例えるなら、一寸法師と鬼のはなしだろうか。
 ゼーレは、つまり竜馬とゲッターをこの鬼にあたる存在だと認識しているのだろう。
 どんなに強かろうとも、結局は討ち倒される存在である、と。
 それが自分たちの驕りであるともしらずに。

「わけのわからねえ事をいいやがって」
「すまんすまん、謝るよ。ところで」

 と、怒る竜馬をおさえて話題を変えるべく、そこで一呼吸おいてから聞く。

「竜馬君、君は葛城と同居してるんだって?」
「ああ? まあな」
「こいつ寝相悪いだろ」

 その言葉に、場が凍り付いた。
 いうまでもないが、大の異性同士がお互いの寝相を知るということは、つまり寝床を共
にする関係だということである。
 さっそくミサトが食って掛かった。

「うわああああッ! あんたなにいってんのぉぉぉっ!!」

 狂乱したような勢いだった。
 それはそうだろう、誰だって自分のプライベートを他人に知られたくはないものだ。
それが恥ずかしいことであれば、なおのことである。
 だが、加持や、そして竜馬にはそういう基本的な概念が欠如している。

655:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:26:19
「まあたしかに悪ぃやな。俺も人のことはいえねーが……」

 と、返す竜馬。
 それを聞いた加持は顔を崩してニヤけると、ミサトと竜馬を交互にみてからいった。

「お、もしかして葛城といい仲なのかい? 大変だぞ、こいつは」
「いいや。コイツがいつも飲んだくれて居間に転がってんの見てるだけだ」
「あっはははは。それは君も災難だったな」

 と、男二人が妙に下世話な話で盛り上がる中、ミサトは肩をぷるぷると振るわせる。
 あたりまえだ。
 異性に目の前で自分の恥部を話のネタにされて怒らない人間などいない。
 やがて耐えかねて、

「いいかげんにしろおーッ!!」

 と、叫んだ。

「三人とも静かにしなさい。ここは食堂よ」

 すると、親指の爪をかじりながらリツコが不愉快そうに注意した。
 もっともである。食事の場で騒ぐことをよしとするのは、宴会やカラオケをのぞいて不
作法の極みだ。
 ただ、リツコの不愉快はそれのみではないようだった。
 その目がふらふらと竜馬を追っている。
 それに感づいたのか、加持がリツコの肩をぽんと叩くと、

「そういや言い忘れてた。碇司令がお呼びだってさ。俺も呼ばれてるんだ、いこうぜ」

 といって、二人は連れだって食堂から消え去っていった。

656:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:27:22
 ところは変わり、第三新東京市、地上。
 シンジに焦点をあてる。
 彼は竜馬とアスカの意思を見たとき、改めて自分がネルフにいることの意義がわからな
くなっていた。
 ゲッターでシトは倒せる、さらにエヴァのパイロットも自分だけではない。
 その中で、あえて死の恐怖に耐えて戦う理由はなんなのか?
 父親に認めてほしいからか、それとも竜馬に認めてほしいからか。

(あの時は竜馬さんに流されてゲッターやエヴァに乗った。けど、結局僕は、胸を張るこ
となんかできやしない)

 と、真っ青な空に対して、少年の心の中は灰色の雲でおおわれていた。

「はあ」

 ため息と共に、とぼとぼと街を往く。
 しばらくいくと交差点にレイがぽつん、と立っているのがみえた。すでに信号は青へと
切り替わって人々は渡り初めているのに彼女は動こうとしない。
 みなが、不振げにすれ違っていく。

「あ、綾波……」
「碇君」

 シンジが呼びかけると、レイは待っていたかのごとく応えた。

「どうしたの、渡らないで」
「ここ、ネルフ本部にいく道だから。来ると思って待ってたの」
「えっ」

 シンジはとまどう。
 わざわざ、他人と道ずれになることを望むような娘ではなかったはずだ、と思考が錯綜していく。

657:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:28:24
 そんなシンジの心を知ってか知らずか、レイはいった。

「本部に行きましょう。碇君に、たぶん見せなきゃならないものがある」
「僕、に……?」

 レイは含めた言葉を残して、点滅しはじめた信号を小走りに渡っていく。
 シンジもそれを追いかけていく。
 後には、交通の音だけが残った。


 さらに場所は移り、ネルフ本部内、ゲンドウの執務室へ。
 広大な空間に一個だけ机が置かれた異様な部屋だった。天井と地面には、紋様があしら
われている。
 そこで彼が事務するべき内容は、組織内の維持についてのことだった。
 くわえて頭の中で竜馬の処遇を考えている。

 ネルフはアスカの捜索および奪回がむろん急務であったが、かといって通常業務の方を
おろそかにするわけにはいかない。
 この時点で、エヴァ零号機は大破修理中、初号機もやっとダメージが回復したばかりで
シンクロテストを重ねなければならない状態だった。
 必然、万が一シトが襲来した際の頼りはゲッターロボとなり、ネルフとしては非常に心
許ない状態である。
 戦力でなく、信頼性のことだ。
 もっとも制御に問題のあるエヴァも信頼性が高いとはいえないが、それでもゲッターの
ように完全に未知の存在なわけではない。

 しかも竜馬はシトが来れば戦いはするものの、命令を聞かないのは当然としてシンジな
ど本来エヴァ専属のパイロットや、果てはリツコのような非戦闘員を勝手にゲッターに乗
せていってしまう。

658:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:29:07
ダイナミックに支援

659:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/11/08 01:29:31
 しかも竜馬と触れるにつれて、その人間もだんだんと感化されていく始末だった。
 これでは組織としての規律が保たれない。
 ゲッターの戦力はエヴァが万が一、動けないときの保険としては魅力的であったがゆえ
に今まで放置されていたがゲンドウは、この目の上のたんこぶがいい加減、厄介に感じ始めていた。

「野次馬も、ほどほどにせねば劇は完遂しない」

 そう、漏らすほどに。
 とするならば、流竜馬さえいなければいいのである。

「奴を消せば、静かになる。それはゼーレの老人も歓迎することだ」

 だが、それこそ容易でないことはゲンドウがその身をもって思い知っていることだ。
 竜馬自身にバケモノじみた身体能力があり、SPが数人むらがっても子供のように蹴散ら
されてしまう。
 剣も銃も通用しない。
 まるで正義のヒーローを相手にする悪役の状態だったが、ひとつ竜馬がそのヒーローと
違うのは敵対する者は、何の容赦もなく殺りくすることである。

 これにゲッターが加われば、力押しではどうにもならなかった。
 仮に、シンジ達を煽動してエヴァの全機がかりでもって竜馬を潰そうとしても、下手を
すれば返り討ちの目にあう。
 ゲッターを奪うにしても無人のゲットマシンが自動操縦で動くなどからみて、竜馬の意
思に呼応しないとは限らない。
 現にエヴァがそういう存在なのだから。
 どちらにせよ竜馬を敵に回して殺害に失敗すれば、どうサイコロの目がでていくか予想
がつかなくなる。
 かれのシナリオからは、大きく逸脱することになるだろう。

「結局、ヒトの敵はヒト、か―」


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