07/10/31 21:43:15
なにしろ自分たちより一回りは大きい巨漢が、恐ろしい形相で割り行ってくると次から
次へと問答無用に殴りかかってくるのだ。
その威力のひとつひとつが半端でなく、竜馬の一撃を喰らった者は空を舞って地に叩き
つけられるか、運が悪いとゲームセンター内の筐体に激しくぶつかって大怪我を負わせられる。
竜馬が叫ぶ。
「どうした小娘ぇ! さっきまでの勢いは!」
「あ、いや、あの」
答える間もなく、彼女が最初にぶつかったゴロツキを正面から殴り倒すと、返り血に染
まった鬼のような顔を少女に向けてくる。
(なんなのよコイツ!)
少女は胸の内で悲鳴をあげた。
そうこうしている内にも、ゴロツキ共はあらかた竜馬に締め上げられてしまい、ゲーム
センターは死屍累々の様相を呈していった。
他の客達は早々に逃げ出してしまっている。
そして、竜馬に逆らった者の誰もが地に伏して動けなくなった頃のことだ。
「……なんの騒ぎじゃあ、これはあっ」
と、竜馬にも負けず劣らず凶悪な人相の男が、複数の供をつれて騒ぎの場に割り込んできた。
その男はボロボロの帽子の上にサングラスをかけ、同じようにボロボロのシャツとズボ
ンを真ん中から腹巻きで止めた、貧相な服装だった。
だが、その体つきは服とは真逆だ。竜馬並に太い筋肉で覆われていて、貧相な服を着て
いるがゆえに、余計にそれが際だった。
そして男は辺りをじろりと見回すと、
「ワシらのシマで騒ぎよると、タダじゃおかんぞおどれラぁッ!!」
と、野太い声で一喝するのだった。