07/12/03 22:40:35
全ての使徒を排除し、障害がなくなったことにより… 黒幕は部隊に姿を現す
Nervの陰に潜んでいた魂… SEELEが。
元々Nervというのはエヴァという強大な力を持ちながら、その性質ゆえに
極端に対人戦に疎いという弱点を突いてきた、戦略自衛隊の襲撃。
務めて感情を排する様に喋っていたが、やはり、どこかに嫌悪がにじみ出るのは
どうしようもないのか…? それはそうかも 後から思えば、戦略自衛隊は
決して真実を知って攻めてきたわけではあるまい。
彼らが知っていたのは、「Nervが使徒を全て殲滅し終わった後、その「特異」な思想をもとに
セカンドインパクト以上の惨劇をもたらそうとしている」という「事実」だったのだろう。
汚いやり口だ。「二つの善意の第三者」というわけか 自分達の手を汚さず
彼らはナプキンを巻いて銀の皿の前で待っていると言うわけだ。彼らの目的云々を抜きにしても、
そういったやり口を行う以上、性質が悪いとは言えるだろう
「……」
…いまだ「二人目」のレイさんも、 その事について眉をそばだたせておられる
「…しかし、Nervにしても、それを事前に察知できなかったのは大きいです」
彼らを擁護するわけではないが、これは言っておかなければならなかった レイさんの人生の足しに
なるだろうと思ったからだ 結果論的な要素も人生にはあるから
(あるいは、「察知はしていたが放置していた」のか…) そうも思うが、いたずらに複層化するのを避けるため
それは黙っていた。
448: ◆i6LROeveXU
07/12/03 22:46:51
第一陣は、デジタルな手段で。これは、例の事から来る「謹慎」から解かれた赤木博士が対応したことにより、
事なきを得た
だがまぁこれも前哨戦だったわけだ これですめば最良といったところだろう
「結果」は変わらないかもしれないが。戦自が突入することによって、それが遅いか早いか…
それだけの違いなのだろう あるいは… 「個人個人に終わる」か、「一斉に終わるか」の違いとも言えるか?
第ニ陣は極めてアナログな手段で来る。つまりは「直接」ということだ。
―その「直接」っぷりは、私はなるべく避けて話していたのだけれど、聞いているレイさんも、
その「直接」の内容を想像されたのか、顔色が更に白くなられていた。
『…相手は使徒じゃないのに。同じ人間なのに』
伊吹二尉の搾り出すような呟きが思い出される。
449: ◆i6LROeveXU
07/12/03 22:54:18
人間というのは、「大事なものを守るため」ならば、いくらでも残虐になれるといういい証左だろう
しかしそれもゼーレから伝わった偽りの事実。まこと、人は他人を100%理解することなどできはしない
その弊害がそこにはあった。ましてや、相手はそのことのプロだからな。どうにもならん
だがまぁ、それ自体は否定されるものではない、ということを、私はあえて言った
それはしかたのないことではある。その心を利用しけしかけるものこそ邪悪であるということも含めて。
私もかつて、初めてそれを見た日は、食欲があまり無かった、ような記憶もある
だから、このへんは簡潔にしておいて、(うっちゃっておいたともいう)
チルドレンのお話に話を移した。 といっても、前者の話題と完全に切り離せるわけでもなかったが。
450: ◆i6LROeveXU
07/12/03 23:05:47
私はミサトさんがうずくまるシンジ君に言った言葉を一字一句正確に覚えていたわけではないけれど…
これは全てのレイさんの世界の物事の根本に関わることだったので、特に時間を割いて
丁寧に説明した。 ミサトさんの言葉は、Nervのバックデーターから引き出したものだから、
かなり信憑性は高いだろう。そういって以下にまとめたことを言った
・セカンドインパクトは、アダムの覚醒を防ぐために仕組まれた事象だったこと
・人間は「アダムではなく」「リリスから生まれた」「18番目の」使徒であったこと
・他の使徒は別の可能性だったこと。つまりはありえたかもしれない人のカタチだったこと
・そして使徒の襲来は、その先にある「何か」を目指していたと言うこと。それはサードインパクト
の後に来るなにかであること
言っているうちにホットチョコレートが固まってしまった。まぁ、暖めなおす暇も無いけれど
「そういった意味では… レイさんにも、シンジ君にも、他の人にも、なんら違いは無いと言うことにも
なるでしょう そういう考えかたもあります」
換骨奪胎とはこのことだが まぁそいう見方が出来ることは確かだ
「私」を含まなかったのは あくまで私はちがう世界の人間だからな… そういう枠にないのかもしれない
451: ◆i6LROeveXU
07/12/03 23:16:52
「………!」
レイさんが驚いておられる そうまで驚かれることでは… とあわてたとき 私は改めて
私の世界とレイさんの世界が違うことに気付いた。レイさんにしてみれば、
自分のレーゾン・デートルに深く関わる事であろうから。
「……同じ…」
レイさんは、しばらくその事実を胸の中で繰り返し確かめておられるようでしたが…
ふと、その顔に険しいものがよぎった。
レイさんが正確に何を考えていたのかはわからなかったが、私は先手をきって言葉を紡いだ
「ミサトさんも言いました、使徒はお互いを拒絶するしかなかった哀しい生命体だったと。
しかしそれも我々人の側から見た感傷とでも言うべきものですから、一概にそれについて
どうこう思うのも、どうかな、とは思います ただ一ついえるべきことは……」
そこで私は一回言葉を切って、慎重に言葉を選んでレイさんに言った。
「レイさんが、他の皆さんを大切に思えたからこそ、レイさんは、使徒というものと戦ったのでしょう。
ですから、それ自体は間違ってはいないと私は思います。レイさんたちがいなければ、
ほかの人びとも…」
そこまで言って私は咄嗟に言葉に詰まった。考えすぎかもしれないが、もしやレイさんが、
先ほど話したような、Nervの皆さんの「直接」な受けっぷりとこの言葉を重ねて考えてしまえば、
余計に(言わなければよかったと思うほど)心を沈ませてしまうのではないか、とも思ったからだ
例えるならば、末期癌の患者に延命措置を施すような… あくまで「治療」ではない…
いや、そういうものでは断じて無いだろう。私はそう思うが… しかしレイさんは…
452: ◆i6LROeveXU
07/12/03 23:21:51
「… そう… そうね」
レイさんは完全には納得していない、というような顔だったけれど、なんとか折り合いを付けられたようで、
そうおっしゃられた。
…やれやれ、どうやらまた私の考えすぎだったらしい。どうも私は穿って考えるクセがある。悪い癖だな
だがまぁ気付かないよりはいいのかな… そんなことも思う。
レイさんにしても、今まで戦ってきたのは、皆さんを守るためで、先ほど話したような目にあわせるためでは
ない、断じてないと思っていらっしゃるなら、私としては安心できるのだけれども。 …今はそれはいい。
とりあえず私は話を進めた。
戦自の攻撃によって目覚めたアスカさん、ミサトさんによってケイジへと送り出されたシンジ君
(ミサトさんについては、送り届けたというところで切っておいた 今更なんだ、と思うのだが、
やはり改めて言うのはキツいものだ 優柔不断のそしりを受けるに値するが、ね…)
453: ◆i6LROeveXU
07/12/03 23:36:05
ここまで「三人目」のレイさんには触れていなかったが、ここまでくるとイヤでも触れなければならなくなる
(あくまでこれはありえたかもしれない未来 今のレイさんには関係のないことだ)
そう思えばこそ、ゲンドウとともにリリスの前にたたずむレイさんのことも話せる
「……司令は…」
レイさんも何を言っていいかわからない様子だった
心の中で思っていたことが、つい口についたのかもしれない
―今のレイさんは二人目のレイさん。三人目のレイさんの心のうちはわかるまい。
そんなふうに思う私はどうだろうか?
もしかしたら、私が「分かりたくない」だけなのかもしれないが。
しかし、その思いが私の心の大切な部分を形成している。 勝手な思い込みと言えばそれまでだけれど、
それが人を信じる、ということなのではないのだろうか。
…それを「身勝手」というならば、いくらでも言うがいいさ…。