07/09/26 03:47:47
はたしてブチャラティには、石によってもたらされる「死」と、自らの意思で戦いの中で朽ちゆく「死」と、
どちらが幸福であったろうか…?
荒木先生は、単純に「運命は切り開いていくもの」ということだけを言っているのではない。
「運命は避けがたいもの」という視点も持っているということだ。運命論者にとって二律背反する
この定義を荒木先生が独自に飲み下し、著した結果が、第五部には凝縮されていると思う。
「……『石』には逆らわず…受け入れた方が…楽なのに…」(スコリッピ)
もしかしたら、石によってもたらされた死は、ブチャラティにとってはより幸福なことかもしれない
(とりあえず他の二人も死なないかもしれない)
極論で言えば人間はいつか死ぬ。どんな高潔な人間でも憎まれる犯罪者でもそれは変わらぬ。
だから、人はその必ず来る死の前に、何かをなそうとするのではないか?と思うが…
「ジョルノ…オレは…生き返ったんだ。故郷…ネアポリスでお前と出会った時…
組織を裏切った時に…に…な…。ゆっくりと死んでいくだけだった…オレの心は…生き返ったんだ…
お前のおかげでな…。幸福というのはこういうことだ…
これでいい。気にするな…みんなによろしくと言っておいてくれ…」(ブチャラティの死の寸前のセリフ)