07/09/18 19:41:28
綾波に恋し、喪のまま結婚する事無く八十数才になった俺
近所からは危ない老人、キチガイ老人と若い頃と同じく迫害され続ける俺
訪れる人といえば市の職員が死んでねーか?と来るくらい
ある日風邪をこじらせた俺の家の玄関をトントンと叩く馬鹿がいる
ブチ切れた俺は「誰だ!フォルァァ!」と扉を激しく開ける
そこには50年以上前に心の底から愛し恋い焦がれた綾波の姿があった
彼女は何ら変わらぬ優しい笑顔で俺に手を差し伸べ
「…待たせて悪かったわ、行きましょう」
震えた、涙が止まらなかった
それから数日後、俺の家を訪ねた市の職員は玄関先で倒れた俺を発見する
すでにこと切れていた
警察や役所は風邪をこじらせた独居老人の孤独死と結論を出す
しかし色んな孤独死を見てきた市の職員は不思議に思っていた
これ程の満面の笑みで亡くなった老人を彼は知らない
最後の最後でこの孤独な老人にいったいどんな奇跡が起きたのだろうか
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