シンジをとことん甘やかしてみるat EVA
シンジをとことん甘やかしてみる - 暇つぶし2ch185:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/12 13:01:39
既に試験場は戦自の戦車隊で一杯である。
上空にも航空隊が飛来してきている。最悪の場合、試験場ごと使徒を吹き飛ばす算段だ。
現れた輸送機に釣り下げられている参号機……いや、違う。
既に参号機は稼働している。そして体を揺すり、輸送機の翼を操っている様子が見て取れたのだ。
まるでメーヴェを操る某アニメキャラと同じ要領で輸送機を操作し、
凄まじい轟音と共に見事に着地する参号機。
幾分、滑走路を掘り下げる結果になってしまったが。
「使徒の反応無し……でも、輸送機は半壊状態ね。」
ミサトに向かってリツコが言う。未だ緊張状態のミサトは何も答えない。
やがて、参号機はその場にひざまづき、エントリープラグが排出される。
扉が開き、吹き出すLCLと共に現れたのは一人の少年。
「いや、危なかったよ。あと少し放電が必要だったら、もう参号機は動かせなくなっていたところだ。」
そう言って、作業員の助けを借りて地上に降り立つ。
微妙な表情のミサトに対して、ニヒルな笑顔を浮かべて彼は軽やかに挨拶をした。
「渚カヲルです。よろしく。」

これが、フォースチルドレンが使えなくなったため見事に繰り上げ当選となった、
フィフスチルドレンたる渚カヲルの早すぎる登場である。


186:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/12 13:03:12 Nk/4KO9w
つーわけで、そろそろまとめにかかります。
といっても、こっからの量も多くなるかも知れませぬ。
こっからさき、さらに甘やかしとお笑いが少なくなってしまいそうですが、
そうなったらすんませーん。

187:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/12 13:18:34
すまなくないGJ

188:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/12 13:37:20
GJです

カヲルキュンktkrww



189:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/12 14:53:18
ペースが早くて素晴らしいです
乙!

190:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/12 18:14:30
>>188
腐女子乙

>>1
GJ!

191:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/12 20:18:12
>>186
トウジカワイソス

カヲルが来たって事はやっぱり






うほっ

192:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/12 20:20:21
>左足を切断するほどの複雑骨折
ちょwwwwwトウジの見せ場なのにシンジ様のファンのせいかよwwwww

しかしGJ!!
本当ペース早いな

193:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/12 20:21:23
>>191
あえてそれはないんじゃないかと言ってみる

194:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/13 03:05:19
>>1様を甘やかしてみたくなるほどGJです

195:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/13 09:12:20
しかし、男性のサブキャラにはホント容赦ねーなw

196:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/13 13:57:14
レイがどうゆう風に動いていくのかが楽しみだな。

197:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/13 19:14:25
「ようこそ、NERVへ!」

歓迎式典、というほどでもないが、その場に居合わせた職員達の拍手によって、渚カヲルは迎え入れられた。
その中で、私の時はこんなに歓迎してくれなかったと、愚痴るアスカのことはまあいいだろう。
歓迎する職員の中央に碇シンジの姿がある。カヲルはシンジにまっすぐに向かい握手を求めた。
「君が碇シンジ君だね?僕はカヲル。渚カヲル。」
「あ、ああ、よろしく。渚く……」
「カヲルでいいよ。碇シンジ君?」
「ああ……僕も、えーと、シンジでいいよ。」
シンジに親しもうと柔らかい笑顔で接するカヲル、しかし何故かシンジの顔は引きつっている。
「それでは、NERV本部をご案内いたします。こちらへ……」
マヤがカヲルを連れてNERV観光へと向かおうとしたところ、
「……マヤ。所用があるから誰かに代わって貰って。」
そう言ったのは、しかめっ面でカヲルを睨んでいたミサトであった。
そしてマヤの側に近づき、耳元でささやく。
(なんか、嫌な予感がするの。マヤはシンジ様の付き人として離れてはダメ。)
(え……はぁ……)
(それから、やっぱりウチに引っ越しなさい。命令よ。とにかくシンジ様から離れないで。)
(……はい。)
カヲルはご機嫌な様子で手を振ると、花のように色めき崩れる女性職員達。
彼はなかなかの美貌の持ち主だし、無理からぬことではある、が……

198:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/13 19:16:17
(おかしい。シンジハーレムと呼ばれているこの本部がこんなに沸き立つなんて。)
怪しむミサト。なかなか具体的に判っていることはないが、嫌な予感がしてならないようだ。
(先の使徒の件。輸送機に残っていた乗組員も全員感電死していた。)
つまり、松代に無事に到着したのはカヲル一人だけだったのだ。
到着後にカヲルはその事実を知ったのだが、それでも平然としている性格が気にくわない。
(確かにあの状況下では、ああするしかなかったけれど……)
そう頭を悩ませていたミサトは、ふっとシンジの方を見る。
カヲルから離れた後、表情からは笑みが消え手に握ったボールで握力を鍛え続けるシンジ。
どうやら、以前に性のうっぷんで悶々としていた時とは別の何かが、彼をそうさせているらしい。
(下ごしらえが済んだから……鍋を火にかけたって所ね……)
しかし、具体的なことは何も判っていない。少々、焦りを感じ始めているミサトであった。

(ダメだな……やはり、碇ユイの記録はほとんど残っていない。)
鍵がそこにあるらしい、と巨大なMAGIのデータベースを虱潰しに探りを入れる加持リョウジ。
改めて、ユイの画像を見直す。シンジと共に笑顔で移る母、ユイ。
残っている物と言えばそれくらいである。
(……ん?)
何を思ったのか、別の画像を画面に開く。それはNERV司令、碇ゲンドウのものであった。
(……)
その3枚の画像を並べて何かを考えていた加持であったが、立ち上がって誰かを捜し出した。


199:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/13 19:17:03
「えーと、つまりDNA情報のコンペア……ですか?」
やっとマヤを捕まえた加持。
最近ではシンジにくっついていることが多く、一人で居るところを捕まえるのにかなり苦労をさせられた。
「ああ、そんな感じかな。頼めるかな……俺には難しくて。」
「簡単ですよ。フリーソフトでも探せば……ああ、この二つですね。」
「うん……」
しばらくして答えが出たようだ。画面の表示を見てマヤは加持に結果を告げる。
「赤の他人のようですね。」
「肉親では無い?」
「はい。肉親ならおおよその等親数が出るのですが……誰のです?」
「いや、判ったよ。ありがとう。」
そして、部屋からマヤとともに出る。
(だからといって……なんの足しにもならんかな……あ。)
またしても、である。
丁度シンジが通りかかり、二人が部屋から出てきたところを鉢合わせになってしまった。
それも、以前よりも怖い目つきだ。病的、と言っても良かった。
「何してたの?」
シンジはマヤに訪ねる。加持には挨拶もしなかった。
「い、いえ……加持さんにパソコンの操作のことで……いや、ホントです……」
そんな二人を見送りながら加持は考える。
(やはり、碇ゲンドウとシンジ君は肉親ではなかったのか。母親の物も手に入れたいところだが……)

200:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/13 19:18:11
その一件をミサトに告げた加持であったが、大して興味を示さなかったようだ。
「それがどうしたって言うの?」
「いや……葛城。何を調べても大した答えが出ない時には、こうしてパズルのピースを集めるしかない。」
「まだ、成果はそれだけ?」
「いや……セカンドインパクト、ゼーレ、NERV、シンジ君の両親、使徒、エヴァ、そして渚カヲル……」
「……?」
「それぞれを掘り下げれば、一つの線に繋がると思う。ゼーレの目的は一つだろう。」
「訳が判らないわよ。探偵さん。」
「あせっても仕方がない。が……急いだ方が良い。シンジ君がどうも気がかりだ。」
「……判ってるわよ。」

エヴァの格納庫。
そこを二人の少年が歩いている。それは勿論、シンジとカヲル。
その少し後ろにマヤがついてきていた。警告は受けていたものの、カヲルを咎める理由は見つからない。
「エヴァンゲリオン参号機……近接戦闘において、従来型を上回る強化がなされているらしい、が……」
虫も殺さないような笑顔でカヲルはシンジに話す。
シンジは笑って請け合っているが、なんとも微妙な苦笑いだ。
「僕自身は何だって出来そうな気がするよ。この参号機は最高だ。」
そう言ってシンジに微笑みかけるカヲル。
「僕は君の忠実なナイトとして敵から守る盾となるよ。安心してくれ、シンジ君。」
その時、カヲルは何を聞き取ったのか。シッと唇に指をあて、静かに、というアクションをして見せた。


201:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/13 19:19:02
しばらくして、本部内にサイレンが鳴り響く。
「どうやら、使徒が現れたようだ。行ってくるよ。」
そういって駆け出すカヲル。
「君は着替えずに司令部で見ていてくれ。」

騒然とする司令部。ミサトは必死であちこちに指示を飛ばし、司令塔のスタッフはかけずり回る。
「エヴァ機は全て起動準備!パイロットの搭乗準備、急いで!」
「まっすぐにこちらを目指しています!ああッ!第1から18装甲まで損壊!」
「馬鹿な!一撃で!?」
巨大な人型の第14使徒ゼルエルの姿がモニタに映し出される。
無駄なことは一切せず、必要に応じて目と思われる部分から閃光を放ち、邪魔な物は全て吹き飛ばす。
そして直進する先、すでにジオ・フロント内に侵入し目指すはNERV本部。

「焦っているのかな。さあ、来るが良い……目当ては僕なんだろ?」
そんなことをつぶやきながら、通信モニタのスイッチを入れるカヲル。
すると、司令部の混乱ぶりが伝わってくる。

「エヴァの発進準備はまだなの?アスカは?シンジ様は?」
「セカンドチルドレンは、いま本部に到着しました。シンジ様は……」
『僕なら準備OKだよ。』


202:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/13 19:20:29
スピーカーから聞こえるカヲルの声。既にプラグスーツに身を包んで、エントリープラグの中だ。
「……いけるの?すぐに初号機、弐号機も出撃させてバックアップするわ。」
『その必要はないんじゃないかな?ま、とりあえず見ていてよ。』
「ちょっと……」
そのカヲルの台詞、新参のパイロットが作戦部長に対して、とても叩けるものではない。
何て言って良いか判らなくなっているミサトを置いてきぼりにして、参号機は出撃する。
『多分、5分とかからないよ。行ってきます。』
そういって、邪魔なアンビリカルケーブルを外して出撃した。
そして、マイクには届かないほどの微かな声でつぶやいた。
「行くよ……人間というのが如何なるものか、見せてあげるよ。」

格納庫の扉が開き、まっしぐらに使徒へと突進する参号機。
武器は何も持っていない。プラグナイフすら抜こうとしない。
そのまま強烈な頭突きを喰らわし、使徒は吹っ飛ぶ。そして、
「腕が……伸びた……!?」
驚愕するミサト、そしてNERV司令部。
参号機の腕が無機物のように伸びて、使徒の肩と思われる部分を掴み強引に引き寄せつつ、
そして自らも再び突進し、更に強烈な頭突きが使徒の胸部、赤いコアへと襲った。
「……む?」
凄まじい衝撃と耳を突き破るほどの轟音の中でカヲルは眉をしかめる。


203:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/13 19:21:58
参号機が衝突する瞬間、コアの瞼が閉じて破壊されるのを防いだのである。
衝撃で再び倒れる使徒。しかし、よろめきながらも立ち上がる。
「なかなかやるね……シンジ君なら閉じようとはしなかったのかな?」
ニタリと笑うカヲル。それはもはや、シンジと話していた時の天使のような笑顔ではない。

再度、使徒を捕まえて腕と思われる部分を引きちぎる。
どのような生物にもない悲鳴を上げる使徒。構わず襲いかかる参号機。
コアが破壊できないなら構わない、というかのように徹底的に使徒を破壊しにかかった。
使徒の体を掴み、爪を食い込ませ、青い血しぶきを撒き散らせながら使徒を引き裂く。
「や、やめ……」
いつの間にか司令部に来ていたシンジは思わず叫ぶ。
使徒がもはや抵抗する力も無くしたように力を落とし、
参号機の目がスッと細められたように感じた、その時。

「使徒を……喰ってる……!?」
使徒の肉を食いちぎり、ズルズルと何かをすすり込み、グチャグチャとかみ砕く。
「うえぇッ!」
思わずシンジがえづいてうずくまった。
助け起こそうとするミサトもまた塩の塊にかぶりついたような顔をしている。


204:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/13 19:22:51
そんな機能が参号機のどこに有していたのか。
そんな疑問が浮かぶ中、それに答えるかのようにミサトは知っていることを唱え直す。
「エヴァンゲリオン……最初の使徒と呼ばれるアダムをコピーした……」
「参号機は制御を失っています!暴走状態です!」
モニタを眺めるマヤが叫ぶ。
もはやNERV司令部は何をしてよいのか、どう判断していいのか判らず固まってしまった。

「クックックッ……」
エントリープラグの中で笑うカヲル。
まるで部下に女を犯させて眺めている上官のようである。
さんざん使徒を食い散らかして悠然と格納庫に戻ってくるまでの時間は、
出撃から3分とかかっておらず、予備バッテリーを使う必要すらなかった。

「ねぇ……あのカヲルって何者なの?エヴァって一体……」
「……」
知ってるのか知っていないのか。ミサトの問いかけにリツコは何も答えなかった。


205:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/13 19:34:21 wv6C0uRO
とりあえず、ここまでー

206:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/13 20:21:14
イイヨーイイヨー(・∀・)

207:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/13 21:06:05
>>1
ちょwww
だんだん路線がずれてる気もするがGJ!

208:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/13 21:19:00
3号機→S2機関取得?

まぁGJ

209:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/13 21:25:43
なんだこれは……普通に面白え……

210:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/13 22:04:28
GJ!!!!
楽しみだ!!

211:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/13 23:08:25
ここまで考えて書いてるとは思わなかったよ。
ただのハーレムかと思ってた。

212:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/14 00:34:06
乙!!

213:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/14 04:56:16
普通に良作。
おもしれー。

214:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/14 12:24:36
「ああ、そうだね。そういう感じが良いかな。」
格納庫で整備士達に指示を出すカヲル。もうすっかり司令部ではいい顔になっている。
勿論、カヲルは専門的な知識を持ち合わせているわけではないが、
参号機の改修や装備のコンセプトで、どちらでも良い、という部分について彼が選択しているらしい。
パイロットだから当然と言えば当然なのだが、新参者にしては手慣れた様子だ。
恐らく、アメリカで鍛えられていたのだろうか。
「でも、アメリカ支部での活動経緯なんてまったく聞いてないんだけど?」
そう言って首をひねるミサト。そして、傍らにいるリツコは答える。
「情報は何も入ってこないの。かなり前から、彼は活動していたのかも。それにしても……」
「何?」
「使徒の捕食により、これまでにない機能が参号機に備わったらしいわね。研究中であったS2機関が。」
「あの……事実上、不可能と言われた永久機関の……」
「コアが破壊されない限り、自身で修復可能となる機能。これで……」
「これで?」
「開発中であった量産型への搭載が可能になるかも知れないわね。」
「……」
話には聞いていたミサトであったが、何やらゾクッとするものを感じて身を震わせた。
(使徒殲滅にこれ以上の戦力が必要だというの……一体何を考えて……)
カヲルはあいかわらず周囲に愛想を振りまきつつ本部内を闊歩している。
正に、シンジハーレムを我が物顔で、と言いたい有様だ。

215:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/14 12:26:28
「フゥ……」
思わず溜息をつくアスカ。現在、住んでいるマンションに帰る途中である。
最近の彼女は自分の居場所が無いように思えて仕方がない。
シンジに手を振り払われ、使徒との戦いにおいても出番がない。
これでは何しに日本へ来たのか判らない、というところだろう。
そんなアスカが憂鬱な顔をして駅のプラットホームに立っていると、車のクラクションが聞こえてくる。
「あれは……」

「あれは……アスカ?」
本部からの帰り道。リムジンに乗せられていたシンジであったが、
信号待ちの折でアスカの姿を見つけたらしい。
「……」
以前の経緯もある。同乗しているミサトは何も言わなかったが、
「……乗せてあげようか。運転手さん?」
「はっ」
シンジが命じたのをミサトは止めようというそぶりを見せたが、もう遅かった。
しばらくして誰かが凄い勢いで車の方に駆け寄ってくる。
「シンジィー!!嬉しいデェース!私をシンジんちに泊めてくれるのデスネー!?」
駅のプラットフォームに居たはずなのに凄まじい勢いである。
「あ、いや、あのそこまでは……」
うろたえるシンジ。思わず顔に手を当てて眉をしかめるミサト。しかしもう遅かった。

216:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/14 12:27:34
で、招かれざる、というか、そこまで招いてない客は上機嫌で食卓に着いた。
ナイフ、フォークを両手にチャキチャキならして、シンジ邸の料理に舌鼓をするアスカ。
ミサトは渋い顔をしていたが、お人好しのマヤはクスクス笑う。
で、無表情のレイは相変わらずの無表情。
「ま、まあいいじゃないか。一晩ぐらい……」
そんなふうにシンジが頼りなさげな主人ぶりを見せていたとき、
「シンジ様。加持という方がお届け物をしたいとお越しに……」
メイドの一人がシンジに近づき、告げる。
「ハイハーイ!私が出迎えマース!」
もう調子に乗ってるアスカは玄関口へと走り出す。
「ちょっと、アスカ?勝手にそんな……」
ミサトはそう言うが、もうアスカはかまってやしない。
やがて、アスカにズルズルと手を引かれて現れた加持。
「や、やあ、どうも皆さん……いや、すぐに帰るよ……」
シンジの機嫌を取るつもりか、手にぶら下げているのは4つものスイカ。もちろん入手元は内緒の話。
「ほらほら、突っ立ってないで座りなサーイ!メイドサン!もう一人前追加デース!」
断っておくが、ここは居酒屋ではないのだよ、アスカ。
「それじゃ、冷やしてデザートにいたしますね。」
メイドの一人がそう言ってスイカを下げようとしたが、アスカはその内の一つを取り上げて、
「こういうのは、こうやって食べるのが一番デェース!おりゃぁぁぁぁッ!!」
アスカの手刀一閃!そして!


217:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/14 12:29:06
「あいたたたたた……」
これには流石のミサトもブッと吹き出して笑う。
「ああ……それじゃ僕が……」
ここまで黙っていたシンジが前に進み出た。そして軽く両腕の親指を突き刺し、パカッ……
「おお!?凄いじゃないか、シンジ君!」
「見事デェース!無駄に鍛えてはいませんネー!」
「あ、あのねぇ……無駄っていうことは……」
大勢の人でこれほど笑いに包まれるシンジ邸の食卓は恐らく始めての、そして最後のことだろう。

やがて宴も果て、皆それぞれの部屋へと戻り、加持もまた帰宅する。
アスカも空き部屋に案内されようとしたときに、ミサトに一言。
「心配いりまセン。今夜一晩で帰りマス。」
「……ありがと、アスカ。」
ちょっぴり大人の空気をみせたアスカをミサトは黙って見送った。

(フヘヘヘヘ……ここに入ってしまえばコッチのものデェース……)
実はまったくもって大人げないアスカであった。まあ、14歳ではあるのだが。
間違いなく夜ばいをかけるつもりである。足跡を忍ばせ向かう先はシンジの部屋。
曲がり角から左右を見渡し、一気に突撃を開始する……はずだったのだが。
誰かが現れた。マヤである。

218:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/14 12:30:01
嫌な予感は的中する物である。
マヤがシンジの部屋に立ち、ノックする。扉が開いて、やがて招き入れられる。
(……)
しばらく呆然とその様を見ていたアスカであったが、
やがて大きな溜息をつき、背を向けてその場から立ち去った。
既に所用のために訪問する時間ではない。そこまでアスカは勘の鈍い訳ではない。
(まあ……当然と言えば当然デス……流石のシンジも……いつまでも一人で居るはずも……)

果たして、どのような経緯を経たのだろうか。
恐らく、最初にレイに押し込まれて以来、添い寝に通っていた挙げ句、という訳だろうか。
そのような細かい話はどうでもいいことである。
かといって、二人は男女の行為に及んでいた訳ではなかった。
黙ってシンジはマヤの手を引き、マヤはそれに従ってベッドに向かう。
二人は着衣のままである。
シンジはマヤに寄り添い、自分の胸にうずめるようにしてシンジを抱きしめるマヤ。
そうしてマヤは震えるシンジの体を沈めて一夜を明かすのである。
そのシンジを悩ませているもの。過去の記憶か、それとも未だ見えぬ明日への不安か。

そして、翌朝。シンジ邸は大変な騒ぎとなった。
「シンジ様が……シンジ様が目を覚まさないんです!」


219:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/14 12:31:14 SkwvjPIj
ひとまずここまでっすー。うーむ、終わらせるのにかなりかかりそう……

220:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/14 12:44:14
「哀れね…」の数日後

アスカ「シンジ、まだ怒ってる?」
シンジ「…」
アスカ「ゴメンね。私、どうかしてたわ。」
シンジ「…」
アスカ「それに誰をおかずにしてもあんたのプライベートだもんね。」
シンジ「…」
アスカ「見て、漁港の市場のオジサンみたいなエプロンでしょ?」
シンジ「?」
アスカ「シャンプーしてあげる。おいで、シンジ」

221:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/14 12:47:41
乙!

222:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/14 13:37:04
シンジの腕力はかなりのものになってきたみたいだなw
乙!

223:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/14 17:20:50
らんまの爆砕点穴みてえだなwwwwww

224:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/14 19:35:13
……オチがアンチェインなシンジによる筋肉理論に拠っての救済だったりしたら嫌だなあ……

225:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/14 20:03:47
鍛えすぎだろシンジw

226:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/14 22:18:07
アスカおもしれーw

227:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/15 00:06:00
このアスカはかなりいい

228:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/15 00:18:07
アスカ壊れすぎwwwwwwww

229:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/15 14:24:56
「目標は衛生軌道上からピクリとも動きません!」
「まいったわね……シンジ様が大変だと言う時に……」
巨大な使徒の姿がモニタに映し出される。
光り輝く翼を広げ、天空に立つ使徒の姿。それは正に……
(正に天使の降臨……これを見て昔の人が天使の似姿を描いたと言っても間違いではない。)
そう考えたのはミサトだけではないだろう。
(私達は……この戦いは本当に正しいのかしら……)
が、ミサトのやることは一つだ。
「ポジトロンライフルの最大出力で超々距離射撃!これしかないわ!」

別室で使徒の姿を見ているカヲル。すでにプラグスーツを着用している。
そして、その背後に立っている男、碇ゲンドウである。
その後ろのゲンドウに対して振り向かず、カヲルは独り言のようにつぶやく。
「もう物理的な破壊は無理だと判っているはず。となると……」
「となると?」
「狙いは僕自身に標準を合わせるでしょうね。さて、どんな手かな……」
「槍を使うか?」
「多分いりませんし、後で必要になるでしょ?今の参号機ならやれますよ。きっとね。」
そういって、カヲルは部屋を出た。


230:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/15 14:32:45
出撃したカヲルの参号機は巨大な砲座に立ち、ライフルに指をかける。
長距離からの射撃はこれまでシンジが勤めてきた役目である。
が、それがシンジの特技というわけではない。標準を合わせて引き金を引くだけだったのだから。
「さて……ん?来たか!」
突然に使徒から放たれる光線に包まれる参号機。
その狙いは参号機ではなく、自分で予想した通りにカヲル目掛けての物だった。が、
「あの光線は……!?敵の指向性兵器?」
「しかし、参号機、およびパイロットに影響は有りません!」
「熱エネルギーはありません。ATフィールドの可視波長と似ていますが。」
「どういうこと?いったい使徒は何を……」

エントリープラグ内のカヲル。
攻撃されているはずなのに、ゆったりと座席に座り笑みさえ浮かべている。
まったく使徒の攻撃は効いていないのか?いや、そうではなかった。
使徒の光を浴びたカヲルの脳裏に、怒濤の如く何かが駆けめぐっている。
それはカヲルの思いを、行いを、欲望を、その全てを暴き立て、見せつける光であったのだ。
それは目も背けたくなるほどの凄まじい過去であった。
哀願する者とそれを噛み砕く牙、血塗れの手を嘗める舌、自らを切り裂く刃の狂喜、
犯し犯されるおぞましい痴態、等々……

正に、ありとある禁忌と冒涜と、そして悪徳と……それこそがカヲルの本性であったのだ。


231:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/15 14:35:04
「成る程。自らの姿を見せつける精神の拷問、と言うわけだな。」
そう言いながらカヲルはニタリと笑う。
「ご苦労だったな。これで、その手の攻撃は僕に効かないことが判っただろう?」
そして、ゆっくりと引き金に指をかけた。
「その自分の姿、大いに満足しているよ……では、消えて貰おうか?」

(君は……誰?)
そうだな。誰と言われても困るよ、碇シンジ。
(誰……誰なんだ?)
そろそろ君と話がしたいと思ってね。今、君の中にいる。
(え……君は……)
これまで、我々は君がしたいと思った通りに、君に倒されてきた。
だが、君はそれが不満らしくてね。いろいろ手を加えては見たんだが。
(使徒!?)
そう君たちは呼んでいる。あるいは天使とも。
(何故、君たちは……その……)
君の望みを叶えるために来ているんだよ。君の望むことはなんなりと。
(そんな馬鹿な……君たちは僕たちを……滅ぼすために……)
君が望まない限り、我々はそんなことをするつもりはない。君の願いを聞きに来たんだよ。
君にはどのようなことでも与えてきた。我々自らの死でも。これまでのように。

232:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/15 14:36:10
(判らない……一体、君は何を言っているの?)
君の前の者がそれを望んだからだよ。
彼は自らを、そして彼を取り巻く環境を、その全ての消滅を願った。
その望みのままに、それに従った。
(……セカンド・インパクトのこと?)
そうだね。それでは君は何を願うの?
我々はそんなことをしに来たのではない、といったら何を願うの?
(……何故、僕の願いを?)
本当はね。君にこれを話すべきでは無いことなのだ。
君が我々の破滅を望むならそれを叶える。
でも、我々のことを話したおかげで、今まさに既に君の心が変わってしまった。
だから、本当は話すべきことではなかったのだよ。
(……教えてよ。何故、僕の願いを?)
この世界で生きている君が何を望むのか。
その望みに答えることが我々の為すべきことだ。
この世に投げ落とされ、この世界で生きてきた君の願いそのままに。
(……僕は。)
ん?
(僕はただ、使徒を倒さなければ世界が滅びると聞いたから……)
そして選んだのは君だ。そうすると決めたのは君自身なのだよ。


233:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/15 14:37:29
(誰かが望んだからと言って、なぜセカンド・インパクトを起こしたり、君たちが倒されたり……)
人に何かを与えるには、いろいろな形がある。
その人の幸せを願い与える場合と、その人を自分が望む通りにするために与える場合。
女性に花を贈り、友人に金を与え、あるいは親の労をねぎらう。
これらは全て与える側が満足をするために行うことだ。如何に相手のためのように見えてもね。
受け取った側は喜びを得ることは多いが、的が外れることが多い。
相手の意志を無視しているからね。これらは与える側の自己満足に過ぎないのだよ。
また、そして子供を叱り、道しるべを立て、生き方を説く。
時として怒りを買うことは多いが、全て受け取る側が生きていくために必要なことだ。
あるいは、望むままに誰かを殺し、あるいは望むままに自らを滅ぼす。
これは盲目的であり、時として破滅に及ぶが、それは相手の望みのまま叶えた結果だ。
(……判らない……判るようで……それがなんなの?)
君の疑問に対する答えだよ。
一番最後の答えが間違いのように聞こえるが、相手がもっとも必要としているものを与えることになる。
君たち人間は生きることを欲する存在だ。それは当然だよ。そう作られたのだから。
しかし、それを超えた選択を取らなければならないときに、君たちには困難な課題だ。
時には神の声を欲する者も居たが、君の前の者は破滅を願い、その結果がセカンド・インパクトとなった。
世界の破滅を望むように考えるならば、その世界は破滅させるべき世界なのだよ。
(……)
君は確かに我々の消滅を願ったのだ。言われるがままの選択ではなかった。
君は、時として大いなる破滅を及ぼす我々だからこそ、その消滅を願ったのだよ。


234:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/15 14:38:33
(君たちはそれでも構わないの?)
生と死は等価値なのだよ。我々にとってはね。
生きることを欲して、あらゆる手を尽くすように作られたリリンには理解できないことだろう。
僕たちが消え去るべき存在であるならば、それが正しいことであり、我々はそれに従う。
(リリン……?)
ああ、ごめんね。君たち人間のことだよ。
さて……君は、君自身が望むべきことを見失いかけているね。
君はかつて、他の人間達と同様に生きるべく行動をしていた。
そして、そのために我々の消滅を願った。そう願うならそれも構わないことなのだよ。
その願いを叶えるべく、君の前に姿を現した我々に疑問を抱き始めた。
次第に君は自分を見失い、望むべきことが何かを見失い始めたのだ。
そして、その君の意識は過去の甘い記憶へと向けられた。
(過去……)
君はもう覚えていないだろうね。君が見た過去の記憶は再び沈められたのだから。
甘い記憶、しかし苦痛の種子でもある。
君が望むままに甘い記憶を蘇らせたが、それは君にとって大いなる苦痛となったのだ。
今はまた深く沈められたが、君に大きな傷跡を残してしまった。
甘い記憶、それは君の失われた母との切ない思い出。
苦痛であるのは、それは失われたためではなく、決して戻らない過去であるからだ。
過去は既に存在せず、存在したという事実だけが残り、それが戻らないことを君は知っている。
だからこそ、大いなる苦痛となるのだよ。


235:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/15 14:39:24
(判らない……何も覚えていない……判らない……)
君は知らずして似姿を引き寄せ、自らをごまかし、癒してきた。
そして普段は心の奥底に沈み込ませ、心の平穏を保とうとしている。
(……僕の母って……昔に死んだとしか聞いてない……)
君の心の奥底にしまい込まれた、君自身が見ることが出来ない記憶だよ。
何人たりとも侵されざる聖なる領域。実はこれが君たちが呼ぶATフィールドの本性なんだけどね。
しかし、最初は我々の手でこじ開けられ、時として繰り返して蘇り、そして君を苦しめてきた。
(AT……判らない……一体……)
あの者が君に近づいている。
あの者は我々のことを知っている。
あの者は何故、我々が君の元に訪れるのか知っている。
そして、あの者を生み出した者共が、我々を利用しようとしている。
あの者共が我々を利用することを、君を利用することを欲している。
それは我々の破滅よりも許されないことだ。この世界の破滅よりも。
既に君の心は折れて、何を望むべきか見失いかけている。
もはや時間がない。
さあ、再び君の心の領域を、ATフィールドを解き放て。
その過去の苦しみの、その更に奥にある君の望みを見せてくれ。
君が何を願うのか。その成就によって、この世界の補完が……ああ!貴様はッ!!
「え……!?」


236:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/15 14:40:17
「出ました!使徒です!」
「急げ!早く、シンジ様から引きはがせ!」
「レーザー照射します!出力最大!」

気が付くと、シンジは数多くのライトに照らされて、数多くのNERV技術者に囲まれていた。
眩しくて何が何だか判らない状態が続いていたが、
どうやら手術台のような所で寝ていることにシンジは気付く。
しばらくしてシンジはえづき、むせかえる。
どうやってか判らないが、口から何かを吐き出したらしい。
しばらくすると、強烈な熱気が体に襲いかかる。
それは口から吐き出した何かにレーザーが放射され、その照り返しであったらしいのだ。
「シンジ様……大丈夫ですか!シンジ様!」
涙ながらにシンジにすがりつくミサト。その近くでリツコは冷静に計器を読み上げる。
「脈拍、血圧、脳波正常……まったく寝起きのような状態ね。どこも異常は認めず。」
その場に居合わせているマヤが歓喜の声を上げた。
「ああ……奇跡です!」
「本当ね。まさか、使徒が自分から姿を見せるなんて。」
どうにかしてシンジは体を起こすと、ベッド横の床に焼けこげた何かがあるのを見つけた。
螺旋状の蛇のような物体。それこそが第16使徒アルミサエルであったのだ。


237:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/15 14:41:46
ゆっくりとシンジは周りを見渡した。
シンジの無事を喜び歓喜する者、使徒の処理に追われ右往左往する者、そして……
(こいつが……)
すぐ側に渚カヲルが居ることに気が付いた。
手にゴム手袋を着用してすぐ側に立っていたのだ。
一体、シンジに何を施したのか。それを考えるだけでもおぞましい限りだ。
(そうだ。間違いない。こいつが……僕を……)
そのシンジの心を理解しているのか、カヲルはこのうえなく優しくシンジに微笑みかけていた。


238:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/15 14:45:53
そのうち、次書きまーす

239:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/15 20:31:31 wbMBvnsB
GJ!!!!


wktk

240:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/15 21:17:20 bKQPOqSj
何かすげぇよ
GJ

241:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/16 00:57:23
gj

242:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/16 02:02:20
GJ!!

243:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:27:51
o nein, dieses nicht, etwas anderes gefalliges ist es was ich fordere
(いや、これではいけない、もう少し違ったものを、快いものだ、私の求めているのは)

auch dieses nich, ist nicht besser, sondern nur etwas heiterer
(これもだめだ、良くはなっていない、ただいくらか晴れやかなだけだ)

auch deises es ist zu zartl. etwas aufgewecktes muss man suchen ……
(これも甘美に過ぎる。何か目を覚まさせるものを探さねば……)

Nein diese …… erinnern an unsre Verzweifl.
(いや、この …… はわれらの絶望を想い出させる)

Ha dieses ist es! Es ist nun gefunden!
(ハハハ、これだ!ついに見つけたぞ!)

(注)
ベートーベン交響曲 第9番第4楽章 バリトンのソロパートより抜粋(やや改変)
シラーの詩に入る前にベートーベンが加えた歌詞。


244:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:28:49
海岸を一人歩くアスカ。手には鞄が提げられている。
向かう先は港。出航まではまだ時間がある。
恐らく、傷心を抱えてのドイツへの帰途、というわけだろう。
(さて……帰りますか。もはや、私の居るべき場所はここには無い。)
(船の長旅もいいでしょう。帰りつくまで、たっぷりと泣きの涙を楽しめる。)
(笑うのはそれからでいいよ、アスカ……ん?)

「♪Freude, schoner Gotterfunken, Tochter aus Elysium ……」
アスカが振り返ると、首を失った巨像に一人の少年が座り、そして歌っていた。
「歌はいいねぇ……そう思わないかい?惣流アスカ・ラングレー。」
「あんたがドイツ語を話せるとはね、渚カヲル。」
「いや、英語のほうが好きだけどね。日本語よりも楽だ。」
「そう……何か用?」
「見送りだよ。迷惑だったかな?」
「迷惑千万、大きなお世話よ。あんたに見送られるなんて最上級の皮肉だわ。」
「そう……それじゃシンジ君ならどうだい?」
「……ここに?」
「さ、こっちにおいで。」
「あ……」
もはや是非もなく、カヲルの後に続くアスカであった。が……

245:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:29:37
NERV本部。
「重体!?アスカが?」
驚愕するミサトに、部下の一人が言いにくそうに報告する。
「はい……何者かに暴行を加えられて……その……」
「どうしたというの?」
「何者かに犯されたらしい跡が……」
「……一体、何者が。」
「それが、諜報部が発見した時には、その……」
「一体、諜報部は何をやってたのかしら……あ。」
シンジがいつの間にか側に来ていた。
「今のを……聞いておられたんですか。」
「それは本当なの?アスカが……そんな……」
ショックを受けるシンジを覆い被せるように、ミサトは言う。
「シンジ様、何やら悪い予感がします。今すぐご自宅へお戻り下さい。」
「え……でも。」
「構いません。使徒が現れても、渚カヲルが居ることですし。マヤ?」
「はい、あの……ミサトさん。」
「……なによ。」
「レイが居なくなったんです。本部に来てから行方が……」
「なんですって?」

246:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:33:00
薄暗い部屋に立つ碇ゲンドウ。そして、もう一人。
「カヲル。」
「……ここに。」
「手筈は?」
「上々ですよ。綾波レイは既に捕らえて処置を施してあります。」
「そうか。しかし、アスカをああまでする必要は……」
「いいでしょ?こういうスパイスも必要だよ。」
「まあいい……では、時が来た。」
「はい、それでは……」

「さ、急ぎましょう。」
そういってシンジの手を引くマヤ。とにかく本部にいては何が起こるか判らない。
レイのことはともかく、とにかくシンジ邸に急ぐこととなったのだ。
あそこなら、まだミサトの信頼できる者達が居る。
「……シンジ様?お早く。」
「え?ああ、うん……」
何かに心をとらわれているようなシンジ。そんな彼の様子を見てマヤは尚更あせる。
(使徒が現れても、渚カヲルが居ることですし……)
(渚カヲルが居ればそれでいい……)
(カヲルが……カヲルが……カヲルが……)
そんな言葉ばかりがシンジの脳裏を支配していた。そして、

247:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:34:14
「う……うう……」
「し、シンジ様!?」
思わず、その場にうずくまるシンジ。もう自分が何を考えているか判らなくなっている。
ズルリ、ズルリと音を立てて、これまでにない思惑が禍々しく頭の中でとぐろを巻いている。
その時である。
「あ、マヤさん。カヲル様をお見かけしませんでしか?」
「え?いえ……」
「そうですか。それでは……」
マヤに声をかけてきた一人の女性職員は、シンジ様がうずくまっているというのに構わず去っていった。
(あ……あ……あ……ああ……ああああッ!!)
思わず声を上げて、己の狂気をまき散らそうとした、その時。

「シンジ様、私が居ます。」
そういって、マヤはシンジの手を取る。
どの程度、シンジの心情を察したのかは判らない。
が、あっぱれとも言うべき勘の良さでシンジの思いを感じ取り、抱きしめるマヤ。
「私がついています。私はシンジ様から離れません。さ、お早く。」
「う、うん……」
ようやく正気を取り戻して歩き出すシンジ。しかし、行く先に待ちかまえていた者が一人。
渚カヲルである。


248:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:35:17
「あ……」
思わず声を上げたマヤ。その顔に緊張と恐怖が走る。
「シンジ君……大丈夫?顔色が悪いよ?」
虫も殺さぬ天使の笑顔で話しかけるカヲル。
「はい……あの、今すぐお連れして休ませようと……」
「そうだね、急いだ方が良い。大丈夫、後は僕に任せてくれ。シンジ君」
(あ……ああ……)
シンジの肩を抱き、大急ぎで立ち去ろうとするマヤ。
もしかしたら、そのまま行けばやり過ごせたかも知れない。
しかし、カヲルは見事な追い打ちを仕掛けた。
「うらやましいね……こんな可愛い人について貰えるなんて。さ、急ぎたまえ。」
普段ならお愛想混じりの社交辞令でしかない、さりげない台詞。
しかし、シンジの心は音を立てて壊れ始めた。
(お前がアスカを……そして……綾波も……まさか、マヤさんまでも……)
疑念と、嫉妬と、妬みと、恐怖と、怒りと……そして狂気が、シンジを突き動かす。
「し、シンジ様!?お止め下さい!シンジ様!」
(貴様が……貴様が……僕の……)
シンジはカヲルに掴みかかり、そして首に手をかける。
カヲルは抵抗をしない。尚も柔らかい笑顔でシンジに微笑みかける。
(貴様が……貴様が……)


249:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:36:46
カヲルの首を絞めるシンジ……いや、違う。
首に指を食い込ませている。その指は既にのど笛を突き破り、
既にシンジの顔は返り血を浴び始め、カヲルの首は血潮の噴水と化していた。
「貴様が……貴様が……貴様が……僕の……ッ!!」
もはやシンジは声に出していた。それでも、それでもカヲルは笑みを絶やさない。
むしろカヲルは悦楽の境地へと達していた。そして……

   ゴキッ……

食い破ったシンジの指が直接に頸椎を掴み、
これまで鍛え上げてきた恐るべき腕力がそれをへし折っていた。

ある森の中の小さな空き地。
そこには小さな小屋が建てられ、ささやかな畑が耕されている。
植えられているのはスイカ。そこで鼻歌交じりに水をまく一人の男。
加持リョウジである。
せっせと畑仕事に精を出すように見えて……その視線は別に注がれていた。
大きな切り株の上に乗せられた一台のノートPC。
それは地下にあるNERV本部の情報ケーブルに接続され、
物理的に情報を傍受し、画面に膨大なログを流し続けていたのである。


250:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:38:20
(やはり、暗号解析が甘いな……しかし、最近になって量が増えているのが問題だ。)
(使徒殲滅もいよいよ終焉に近づこうとしている。そうなると、はたして増えるものなのかどうか。)
(気になるのは、時々現れるこの文句……『処刑』……?)
カチリ……と、銃を握り直す音が背後から聞こえる。
「えーと、誰かな?困るよ、人の秘密の花園に勝手に踏み込まれては。」
「見事なスイカね。あなたにこんな趣味があったなんて。」
ここで後ろを振り向く加持。後ろに居たのは赤城リツコ博士だ。
「なんだ、リッちゃんか。久しぶりだな。」
「謎はとけて?」
「いや、さっぱりだ。人の秘密を知ったんだから、引き替えに教えて欲しいな。」
「そうね。死ぬ前に何が聞きたいの?」
「では……シンジ君の父親は?」
「もう知って居るんでしょ?『存在しない』が正解。」
「やはり……」
「そうした者が何百年か何十年かごとに生まれてくる。有名な人では二千年程前に生まれた、あのお方。」
「ああ……では、特務機関ネルフ、そしてゼーレはそうした者を追い求めていた、と。」
「ゼーレが結成される以前からそうした組織が存在していたの。あのお方が十字架に駆けられて以来。」
「……」
「そうした者……無原罪の御宿り、なんていう言葉があるわね。姦淫の原罪を知らず生まれたため……」
「それが聖なる証というわけか。シンジ君もその一人、と。」


251:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:39:49
「そう。しかし、原罪がどうの、というより誰が何の意図で産み落とさせたのかが問題。」
「ふむ……その結果が使徒の襲来?」
「これまでの歴史の中で、どのような形で使徒、つまり天使達が降臨してきたのかを彼らは追い求めてきた。」
「……」
「そして、それは何のためか。世界中を股にかけて数百年にわたり僅かばかりの情報をかき集めた結果。」
「それは?」
「その者に、こう尋ねるというの。『この世界で生きてきたお前が何を望むのか?』……と。」
「つまり天から派遣され、この世を目にした調査員に結果報告させてるって訳か。これは傑作だ。」
「彼らはそれに目を付けた。やがて世界は情報化が進み、そうした人物を捜し出すのが容易となり……」
「それを意図的に操作するのか。では、あのセカンド・インパクトは?」
「強烈なしっぺ返しを喰らった結果らしいわね。当時の組織の大半を滅ぼすために天使の力が使われた。」
「……」
「しかし、その後に奇跡が起きた。次に何時生まれてくるか判らない神の子が、その後にすぐ現れた。」
「……それが、シンジ君か。」
「今度は上手くやらなければならない。しかし、その神の子は世の常の子供とは違い、実に動かしがたい。」
「それで、あの巨大なハーレムを創設し、シンジ君に劇薬を投じた訳か。成る程ね。」
「幸い、壊滅の折りに共に倒れた使徒アダムの遺体が残され、ことを成し遂げるための用意は調えられた。」
「それを元に作られたのが使徒殲滅のためのエヴァンゲリオンか。しかし、どうして?」
「そうね。使徒が居なくなっては、その力を利用することができなくなる。」
「……」
「もはや通常の物欲といった単純な欲望などは彼らにはない。彼らがやろうとしていることは処刑。」

252:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:41:15
「何!?」
「彼らは、二千年前に行われた処刑をもう一度やり直そうとしている。この世界の有り様を変えるために。」
ここまで話していた彼らから、幾分はなれた所から騒々しい物音が聞こえてきた。
「あれは……戦自のジープか。装甲車、それに戦車まで……」
「それじゃ、お話はここまでよ。あなたに邪魔されては困るの。」
そうして銃を構え直すリツコ。
しばらくして、パンッ……という乾いた銃声が森の中をこだました。


253:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 10:42:02
まずここまでー。もう自分の立てたスレタイから遠く離れてるっぽいけど、ごめんねー。

254:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/16 11:06:01 yVOvSeF/
GJ

255:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/16 14:45:48
GJ!

256:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/16 16:28:35
おーい、この話はどこまで逝ってしまうんだよwすげぇなwww

257:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/16 17:21:24
>>253
気にすんな。ちゃんと風呂敷回収してくれるなら余程じゃない限り職人さんについてくぜ

258:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/16 20:25:53
しかし、シンジの筋トレは恐ろしい形で成果を出したなあ

259:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/16 20:53:07
首の皮突き破って骨折ったからな……
それにアスカも犯されたし…
痛がり怖がりな俺としては
今回ちょっとキツかったな…
もっと軽いスレだと思ってたから

260:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/16 23:59:10
「シンジ様ッ!!」
マヤに体を揺さぶられ、ようやく正気を取り戻してカヲルの首から手を離した。
ドサリ、と投げ出されるカヲルの遺体。
「あ……ああ……」
うめくシンジ。その後ろから静かで、そして恐ろしい声が彼を呼ぶ。
「シンジ。」
「あ、ああッ!!」
驚き振り返るシンジ。その顔はすでに蒼白である。
「お前は何をしたんだ、シンジ。」
そう尋ねたのは司令にしてシンジの『父』、碇ゲンドウである。

「あ……あの……」
ようやく言葉になりかけてきたシンジの声。
「あの……その……使徒……」
「使徒だと?」
「そ、そう……そうだ!使徒だ!カヲルは、カヲルは使徒だったんだ!」
「お前は……渚カヲルが使徒だと言い張るつもりなのか?」
「そうだ!使徒だったんだ!だから殺したんだ!そうしなければ、皆が死んじゃう……だから……」
あからさまな嘘を叫び、既に邪悪な形相で歪むシンジの顔。
殺人という破壊、虚偽、ずるがしさ、愚かしさなど、有りとある罪が既にシンジの体を支配し始めていた。


261:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 00:00:09
側に居たマヤはもう声も出せずにシンジの有様におののいていた。
(シンジ様……そんな……カヲルは人間だったのに……完全なただの人だったのに……)
(そんな見え透いた嘘を……この先、最後の使徒が現れたら……)
(ああ、助けて!お願いだから誰かシンジ様を助けて!)

「そうか……では、我々の念願は成就された訳だな。」
「え……?」
キョトンとしてゲンドウを見るマヤ。
「来い、シンジ。使徒を殲滅したからには、しなければならない仕事がある。」
「あ、あの……」
すでに引きずられるようにしてゲンドウに連れて行かれるシンジ。
その二人を、固まっていた体がようやく動き始めたマヤが追いすがる。
「あのッ!待ってください!シンジ様をどうする……」
そんな彼女を重装備の男達が立ちふさがる。
それは完全武装の戦略自衛隊の隊員だった。

リツコが引き金を引く少し前。
「じゃあね、探偵さん……」
そうして銃の狙いを定めようとしたその時、急激に絞られた視界が全て塞がれてしまった。
「す……スイカ!?」

262:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 00:01:42
彼女の動体視力は確かである。間違いなく飛んできたものはスイカであった。
引き金を引きスイカを見事に砕いたが、別の方角から強烈なタックルを受けて倒されてしまう。
「う……クッ……」
思わずうめき、起きあがろうとするリツコであったが、すでに加持は馬乗りで封じてしまった。
「ごめんね、リッちゃん。」
そう言いながら高々と振り上げられ、リツコの頭に振り下ろされたもの。
それもまた、当然ながらスイカであった。

気絶したリツコを縛り上げる加持。死んではいなかった。
「やーれやれ。可愛い子ちゃん達を二人も犠牲にしてしまったよ。」
そういいながら携帯電話を広げる。
「葛城?俺だよ。」
「何?……ちょっと待って。声のマスク化してくれない?傍受されるわ。」
「ああ、例の暗号でいいかな?……よし、聞こえているか?」
「OKよ……シンジ様ね?」
「いろいろなことが判ったんだが、とにかくシンジ君が危ない。とりあえず保護をして、話はそれからだ。」
「やはり……戦自が動き出したみたいね。」
「ああ、そちらに向かっている。何かをやらかすのかまでは見当も付かないが。」
「悪いけど、もう私はNERV本部じゃないの。今はシンジ邸よ。」
「なんだって……ではシンジ君は?」

263:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 00:03:05
「既に司令のゲンドウに連れて行かれたの。あんたの警告、今更だったわね。」
「そうか……では、助けに?勝ち目はないぞ?」
「私達に他にすることがあるとでもいうの?大丈夫、あんたに手伝えなんて言わないから。」
「……死ぬぞ?下手をすると世界中を相手にすることになるぞ。」
「上等よ。そのつもりでシンジ様に仕えてきたのだから。」
「葛城。」
「何?」
「もし、生きて再び出会えたら……8年前に言えなかった言葉を……」
「バァーカ!」
「え!?」
「もし無事だったら、シンジ様を皆で廻す祝賀会開くつもりなんだから、あんたとヨリを戻す余地は無いわよ。」
「ちょ……おい、葛城!」

パチンと携帯を閉じるミサト。側にいたメイドの一人がクスクス笑う。
「本当にそんなパーティー開くつもりなんですか?」
「あったりまえじゃない♪これまでの報酬はたっぷりノシを付けてシンジ様に払って貰うわよ。」
「ウフフ……そうですね。」
「楽しみにしてらっしゃい……ところで、今日の下着の色は?」
メイドはニヤリと笑ってスカートを引き上げた。
その下から覗かせたもの。それは、純白の愛らしくも艶めかしいパンティーとガーターベルト。
そして美麗な太ももに釣り下げられた短銃が一丁。

264:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 00:04:36
「なかなかセクシーじゃないの。でも、もう少しコーディネイトさせて貰うわよ。ほら!」
そう言ってミサトは自動小銃を投げつけた。
「似合わないなんて文句を言わないでね。さぁ、本部の大掃除を始めるから、全員招集!」

「さあ、来るんだ。」
そう言って、よろよろと歩くシンジを伴うゲンドウ。
連れて行かれた場所は広く薄暗い所であった。
そして、ゲンドウはどこかしらに合図を出す。一斉にライトが照らされ、映し出されたもの。
「エヴァンゲリオン初号機……」
「乗れ。おい!」
「ハッ」
自衛隊員の二人がシンジを両脇から抱えて連れて行く。
シンジはやや抵抗するそぶりを見せたが、しかし意気傷心した彼では力も入らない。
無駄に鍛えた筋肉では役に立たず、使い方もロクに知らない彼では為す術もなかった。
「う、うう……」
エントリープラグに押し込められ、慣れているはずなのにLCLにむせ返るシンジ。
そんな彼にゲンドウは容赦がない。
「シンジ……もう、判り切った嘘をつくのは止めろ。渚カヲルは使徒ではない。」
「……」
「が、それはいい。お前の言うとおりに世間に公表してやろう。辻褄は合わせてやる。」

265:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 00:05:59
「あ、あの……でも……」
「心配は要らん。最後の使徒は既に捉えてある。後は、ここで密かにお前が始末するだけだ。」
「あ……あれは!」
更に、ライトがあるものを照らし出す。
それは、巨大な試験管のようなカプセル。その中に一人の全裸の少女が浮かんでいた。
「あ、綾波!」
「これが……お前に近づき、取り入ろうとしてたらしい第17使徒、タブリスだ。」
あるNERVスタッフが計器を操作する。
そしてパネルに表示される文字。

           『 Blood Type Blue ・・・ 17th Angel 』

「あ……綾波が……」
「さあ、お前の手で倒すのだ。シンジ、それでお前は救われるのだ。」
そして、スタッフが言う。
「標準は既に合わせています。では……引き金を引いてください。」
その言葉。使徒との戦いを始めて以来、何度も従ってきたシンジへの命令。
(撃てば……僕は救われる……それで……僕は……)

シンジは取り付かれたように引き金に指をかけた。


266:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 00:07:04
とあるNERV本部の入り口。
既にシャッターが閉じられ、戦自の陸軍隊員が一人で銃を片手に警備をしていた。
その前に、ふと現れたのは一人の女性。
「……め、メイド!?」
場違いの登場に驚く隊員。そんな彼にメイドはニッコリ微笑みかけ、そして相手の口をふさぎ、
ドスッ……と何かを突き立てた。
「う……うう……」
うめきながら血を吹き出して倒れる隊員。メイドが手にしているのは血塗れの卓上ナイフである。
彼女は遺体を冷たく見下ろし、シャッターの開閉ボタンを操作する。
開らかれるシャッター。そして、その向こう側に現れたのは、
清楚な制服の上からマシンガン、バズーカーなどを背負った、完全武装のメイド達が数十人。
その中央に立つのは隊長の葛城ミサト。
「さあ、行くわよ!シンジ様のために!」


267:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 00:08:23 pMYaChze
皆さんどうもですー。続きが出来たら次を貼りまーす。

268:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 00:17:48
wktk


269:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 00:53:23
予想外です
そうくるか
wktk

270:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 01:07:16
スイカあなどれねぇwwwwww

271:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 12:41:47
wktk

272:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 13:02:02
GJGJGJGJGK!!

273:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 13:57:06
>>263の祝賀会で「廻す」は「輪姦す」ってことか?そりゃ楽しみだw

274:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 14:08:31
まさか綾波とは思いませんでした

275:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 20:50:42
(撃てば、僕は救われる……綾波を撃てば……僕は……)

(いや、ダメだ……撃ってはいけない……使徒は僕達を滅ぼしに来た訳じゃない……)

(でも……撃たなければ……撃たなければ……僕は……)

ドクン……ドクン……ドクン……ドクン……

もはやシンジの耳が引き裂かれるほどに響き渡る、彼の心臓の音。
引き金を指にかけたまま、動かない指。
しかし、ゲンドウは確信していた。シンジがレイを撃つことを。
NERV、そしてゼーレという巨大組織が、さりげなく、そして長年にわたり教育した碇シンジ。
エヴァンゲリオンの存在は知らせずとも、必ず使徒を殲滅しなければならない、と教えこまれたシンジ。
そして、もはやボロボロに汚された彼の心。
(勝ったな……)
その思いにゲンドウはニヤリと笑う。

その時、今まで閉じられていた使徒タブリスの……綾波レイの目が開かれた。
そして、モニタ越しにシンジと視線を絡め合う。
いくつもの壁を隔てて、交わされる声なき会話。
そして、その末にシンジは。

276:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 20:51:57
次第に戦場と変わりつつあるNERV本部。
今のところは、隠密行動のスタイルで進むミサト達。
(3人ね……よし!)
ミサトが首を掻き切るアクションをしてみせると、進み出て始末するメイド達。
自衛隊員にとても勝ち目はない。
彼らの役目は警備であり、メイド達の目的は殺戮であるのだから。
が、それも長くは続かない。

『警報!警報!本部内に武装集団が侵入!』
『各員、ただちに戦闘態勢に入れ!敵は全て女性の模様!』
『見つけ次第の射殺を許可する!繰り返す!見つけ次第……』

(チッ……お忍びもここまでのようね……ん?)
ミサトの携帯がブルブルと震えている。それは加持からの連絡だった。
「葛城?俺だ。」
「何よ、この忙しいときに!」
「戦自が増援が来るぞ。戦車からヘリまで続々とそちらに押し寄せている。」
「でしょうね。連中、こちらがエヴァを繰り出すことを想定しているでしょうし。」
「そして……それだけじゃない。怪しげな巨大輸送機が9機。」
「エヴァシリーズ?」

277:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 20:53:03
「恐らくそうだろう。あれが来たらもう手に負えない。いや、手遅れになるぞ。」
「……判ったわ。ありがと。」
「死ぬなよ、葛城。難しいが、退路を確保しておくよ。それじゃ。」
その言葉を聞いて、ミサトは加持との電話を切る。
そして、別の番号を呼び出し始めた。
「マヤ?いける?」

その頃、司令部ではマヤが一人で端末に向かい、必死で操作していた。
通常なら複数人で操作しなければいけないところを、
コマ付きの椅子をガラガラと転がしながら、鬼のような早さでキーボードを叩いて回る。
周囲には幾人もの死体が蹴り転がしている。が、それをしたのはマヤではない。
銃を片手に背後を守る職員が数名。恐らく、ミサトが目を付けていた仲間だろう。
そして、ドライブモードにしてあった机上の携帯からのミサトの声に、マヤは答えた。
「はいッ!発進準備オーケーです!アスカさん?」
そして、モニタに一人の女性が映し出された。それは包帯姿も痛々しいアスカであった。
エヴァの操作は神経接続によって行われる。重傷で体が動かなくとも操作は可能だ。
そして、モニタの向こうのアスカは弱々しく腕を上げて、親指を立ててポーズを決めた。
「……ハイル、シンジ!」
それを見たマヤは苦笑しつつも、端末を操作し絶叫する。
「エヴァンゲリオン弐号機、発進!」


278:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 20:54:10
その声を聞いたミサトは携帯を閉じてメイド達に振り返る。
「皆、こっから先はこちらにも死人が出るわよ。覚悟は良いわね?」
すると、メイド達は口々に答える。
「ご心配なく。まだ、私達も本気を出してはいません。」
「私達が本気を出したら、目を背けたくなる地獄のような光景になりますが……構いませんね?」
「ミサトさんこそ、ご覚悟を。」
頼もしい限りの花のような女達。いや、少女と言ってもいい者も居た。
一体どんな教育を施されたのだろう。
底知れぬシンジハーレムの恐ろしさにミサトは思わず体を震わせた。
「すごいわね。それでは、たっぷり拝見させて頂きますか。その地獄とやらを。」

「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!」
快進撃を続ける弐号機。
戦車達を踏みつぶし、戦闘ヘリを振り回し、破壊のかぎりを尽くすアスカ。
もはや戦自の増援は壊滅状態であった。
アスカは、怪我人とはとても言えない形相で弐号機を操作し、尚も殺戮を繰り返す。
「クッ……あれが、エヴァンゲリオン……」
「まさに悪魔だ……む、あれは?」
アスカの暴れっぷりに驚愕していた自衛隊員が、ふと上空を見上げた。
「あの攻撃機は……まさか!?我々を巻き添えにして……?」

279:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 20:55:41
そして、弐号機を中心に凄まじい衝撃と轟音が響き渡る。
攻撃機から投下されたN2爆雷は正確にアスカの弐号機へと着弾したのだ。しかし、
「無駄と言ってるデショ?弐号機には数千枚の特殊装甲と、ATフィールドがあるのデェース!」
もはや高笑いのアスカ。弐号機には傷一つついていない。
NERV本部は有る程度の距離を置いていたため巻き添えしなかったのだが、
周辺にいた自衛隊員は一人残らず消滅してしまった。
これで戦闘が終わったかに見えた……が、新たな敵が上空から現れる。

「それは……量産型のエヴァシリーズね。」
そう、アスカに教えたのはミサトである。
(S2機関搭載のエヴァシリーズ……とても、弐号機などに勝ち目はない……)
たとえそうであっても、引くわけにも行かない。
ミサトはそれが死刑宣告だと知りつつ、アスカに告げる。
「……全て倒しなさい。いいわね、アスカ。」
『判ったワ。ミサトもシッカリやるデスヨー!』
「あはは♪こっちは余裕よ、余裕。」

まさしくミサトの言うとおり、メイド達もまた快進撃を続けていた。
メイド達は有言実行し、圧倒的な強さで敵、戦自の隊員達を翻弄する。

280:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 20:57:06
「ルームサービスは如何っスかぁ?」などと言いながら隊員の居室に火炎放射を見舞うメイド。
「ワタクシが切り分けて差し上げますね。」といって首をナイフでかき切るメイド。
手榴弾を容赦なく投げつけ、降伏する者の頭を吹き飛ばし、みるも無惨な虐殺を繰り返す。
戦闘のプロであるはずの戦自相手に、子供を踏みにじるような大人げない戦闘ぶりを見せていた。
「あんた達、いい加減になさい!先へ急ぐわよ。私達は……」
「はいはい、シンジ様の救出ですよね。」
もうメイド達の統制などあったものではない。
残虐な彼女たちを叱り飛ばしつつ進むミサトであったが、彼女も然り。
「ほら、邪魔よ。悪く思わないでね。」
命乞いをさせる余裕も与えず、ミサトは突きつけた銃で相手の喉笛を吹き飛ばすのであった。

(ああ……撃ってしまった……僕は……綾波を撃ってしまった……)
初号機のライフルで撃ち抜かれたレイの体は、
もはや形を止めず、溶け出してジュクジュクと床に流れていく。
(これで……本当によかったのだろうか……本当に……え!?)

ガキッと何かが初号機を羽交い締めにした。
それは初号機とほぼ同じ全長を持つ、操縦できるパイロットが居ないはずの参号機であった。
その参号機には通常とは異なるエントリープラグが接続されている。
それは、エヴァシリーズにも搭載されている渚カヲルを模倣したダミープラグであった。

281:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 20:58:05
「ご苦労だったな、碇ゲンドウ。」
その場にホログラフが立ち上がる。それはゼーレのキール議長であった。
「さて、儀式を始めるとしよう。程なく、エヴァシリーズが到着する。」
彼らが居た巨大な空間。その天井が、ゴゥッ……という物音を立てて大きく開く。
そして差し込む光。はるか頭上は澄み切った美しい青空。
「では、始めるぞ。我らが二千年に及ぶ大いなる復讐を……」

「なんで……なんで倒れないんですカ!?」
その首をちぎり落としても、胴体を真っ二つに切り裂いても、
すぐさま体を修復して立ち上がり、弐号機に襲いかかるエヴァシリーズ。
もはや弐号機のアンビリカルケーブルは千切られて、バッテリーは底を突きかけていた。
「それでも……それでも!ここは通しまセンッ!!うおおおあああぁぁぁぁぁぁぁッ!!」
最後の力を振り絞り突撃する弐号機。
しかし、エヴァシリーズは翼を広げて上空高く舞い上がり、一斉に手にしていた武器を投げ下ろした。
それは、イエス・キリストの処刑に用いられたというロンギヌスの槍のレプリカであったのだ。

こうしてエヴァシリーズは弐号機にとどめを刺し、向かう先はNERV本部上空。
「来たか。それでは初号機を、碇シンジを曳航せよ。」
バサバサと翼を羽ばたかせて舞い降りる、その禍々しいまでに白いエヴァシリーズの姿は、
まるで飛来する怪しいハゲタカの様であった。


282:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 20:58:59
初号機の両腕、両足、胴体、首などに喰らいつき、そして天高く舞い上がる。
こうして初号機を引き渡した参号機は、あるものを手にしていた。
それはエヴァシリーズが持っていたレプリカとは異なる、真性のロンギヌスの槍であった。

「ああッ!!遅かったか!」
ようやく、ゲンドウ達が居る空間へと辿り着いたミサト達。
ミサトはゲンドウの姿を見つけて銃を構える。
「降ろしなさい!早くシンジ様を地上に降ろして!」
「無駄だ。もう既に儀式は始まっている。」
そう言って、ミサトに振り向くゲンドウ。
「この大事において俺の命など何ほどのことがあるものか。撃ちたければ撃て。」
「クッ……」
ミサトは周りを見渡す。恐らく参号機が儀式を司る中心となるだろう。それを破壊するのも手だ。
しかし、S2機関を宿した参号機を倒す方法など有るはずもない。

そんな中、朗々としたキール議長の声が響き渡る。
「数千年来、我ら人類を支配し続けた大いなる矛盾……」
「殺戮が罪であり、男女の交わりが淫らであり、獲物に食らい付き蝕となすことが強欲であり……」
「人が生きるための術が全て悪徳であり、罪なる行為とした大いなる矛盾、天の教え……」
「我らは、この全てを変える。この儀式を経て人類は生きるためにこれらを覆す。」
「全ては我らが生きるために。全ては我が人類が生き続けるために。」

283:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 21:00:52
「個を滅して群れを尊び、無用に生きる全てを廃し、」
「地上の、天の、全ての万物を我らが掴む。それは全て生きるが為。」
「生物として生まれ出でたはずの我々にとり、天にねじ曲げられた真理を、我らは取り戻す。」
「我らはその全てを正す。我らが新たなる真理を掲げる。」

尚も高く、初号機が天へと登る。
それを見上げ続けているミサトが驚愕の声を上げる。
「あれは!?」
「あれこそが生命の樹。それを守る使徒を全て倒して、我らが目指した到達地点。」
そう答えたのはゲンドウである。

エヴァシリーズからアンチATフィールドが展開され、上空に不可思議な文様が展開される。
それはキリストが磔に用いられたという一説がある生命の樹。
その姿を現したという、太古の錬金術師ロバート・フラッドにより描かれた聖なる魔方陣であった。

ゲンドウはミサトに言う。
「お前達のお陰で最高の舞台となるだろう。我々の思惑通り、お前達によって流された血によって。」
ミサトはキッとゲンドウを睨み、改めて銃を向ける。
しかし、ミサトは撃たない。ゲンドウを撃ったところで、もはや何の意味もない。
それに、ゲンドウは自分が裁くべきではない、と感じたからでもある。

284:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 21:02:47
なおもキール議長の詠唱は続く。
「さて、碇シンジよ。世界の富の上に胡座をかき、欲しいままに性と蝕を貪りし者。」
「処刑される貴様の姿が、不浄と呼ばれる人の真の姿である貴様の姿が象徴となり、世界を支配するだろう。」
槍の投擲体勢を取る参号機。標的は上空の初号機である。
「現れ出でよ、生命の樹。不浄にして真実なる人の血で、その天界の御柱を砕き……」

何が起こったのか。ここでキール議長の言葉は突然に途切れた。


285:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/17 21:07:41
ここまでっすー。結末まであともう少しー。

286:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 22:30:30
いちおつがんばって

287:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 22:38:57
スゴイとしか言いようの無い・・・
1の脳内はどうなっているのか

288:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 22:56:44
↑どっちの意味で?

289:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/17 23:35:49
最近の分を一気に読んだ。
NERV施設内の女たちのシンジへの媚は、あくまでゲンドウらの指示で上辺だけだったのか。
なんでマヤだけ違ったんだ?

290:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 02:22:16
すげぇな
ただその一言に尽きる

ちゅーか博識だな

291:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 04:28:52
アスカがDIO化したのはワロタwwwwww

292:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 08:03:24
GJ!

293:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 10:31:49
最初はシンジの回りにいる人が皆過保護なくらいちやほやするギャグ話かと思って読んでたけど…
ちゃんとシリアスな部分も混じっててよく考えてるなって思った。

>>1の文才に(´Д`)ハァハァ

294:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 11:52:47
それだけに、"照準"がことごとく"標準"なのが……

295:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 12:08:44
>>288
いい意味で

296:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 16:17:55
>>1の文才は凄いと思うだけに、誤字が気になる。

297:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 18:57:56
なんだかわからなくなってきたから誰か説明しt

298:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 22:21:50
補完計画の設定を>>1が根底から覆したんだよ

299:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/18 22:54:06
ドンッ

「うわああああぁぁぁぁぁぁ……」

そこに居た全ての者は、何が起こったのか訳が判らなかった。
突然、ゲンドウの足下に暗黒の空間が開き、彼を深い奈落へといざなったのである。
「な、何事だ。一体!?」
おののくキール議長。しかし、彼の内側から容赦ない声が響き渡る。

(だ、誰だ?お前は!?)
滑稽だな。そんなことで生命の樹が姿を現すとでも思っていたのか。
(……!)
17の使徒を倒せば樹が姿を現す?ハッ!貴様らが細々と伝承してきた天使の数など氷山の一角。
天界の楽園には数千の守護天使が常に羽ばたき、かの樹を守っているのだぞ。
仮に、それらを全て除いたところで全能なる父が許すと思ったか?愚か者め。
(お前は……お前は……)
お前達は我をこう呼んでいるな。第16使徒アルミサエルと。
(馬鹿な……貴様は我らが倒し……)
碇シンジが願わなければ我らを滅することなど出来ん。
例えアダムの形骸を用いて、この姿を滅ぼしたとしても。


300:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 22:55:40
つまり、近年稀にみる優スレってことさ

301:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/18 22:56:13
(そんな……馬鹿な……)
我は存在であり、肉体を滅しようとも精神が砕かれようと、例え虚無に帰しても尚も存在する者。
如何に千年も朽ちぬ肉体を有しても、存在無くして肉体は虚無に等しく意味を為さぬ。
物質世界でしか生きられぬ貴様らが、物理的な破壊を用いて我らを滅することなど根底から可笑しい話だ。
こんな時はどんな顔をすればいい。笑えばいいのか?貴様らを。
(うう……ううう……)
さて、語るも飽いたな。我々を利用し、冒涜を語り、碇シンジを辱めた代償は払って貰おう。
地獄の底で悟りを開くがいい。その時間は数千年からたっぷりあるぞ。
さて……後始末だな。ゼルエルにここを清めさせ、碇シンジの世話は引き続きタブリスに。
お前の始末は、あの悪戯小僧がやってくれるだろう。
あの者、既に自分が好ましい闇の底へと招待されたようだな。それとも元々の住処だったのか。
では、達者でな。

キールは、遠く離れた箇所から通信により指揮をとっていたのだが、
距離など天使の御手には無意味の様だ。
そこまで語り終えたアルミサエルの意識がキール議長から離れた瞬間、
彼の足下にも、ドンッ……と巨大な暗黒の深淵が広がる。
「あああッ!貴様は……貴様は……」
その暗黒から現れたもの、それは青白く血にまみれた渚カヲルの顔であった。
「あああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
そして墜ちてゆく。深く暗い闇の底へと。


302:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/18 22:57:26
やがて、天空にある初号機から光が放たれ、幾枚もの巨大な羽根が開かれる。
バカンッ……と、初号機を構成していた拘束具が飛び散り、使徒アダムの巨体が姿を現す。
そして胸元に掲げられた手の中に、碇シンジの姿があった。
そして、そこにもう一人居る……それは第17使徒タブリス、綾波レイである。

慌てふためくエヴァシリーズ。もはや統制を失い、初号機の周囲を乱れ飛んでいた。
が、それらを滅するのは初号機の仕事ではない。
地上では参号機が苦悶に陥っていた。
もがき苦しみ、頭を抱え、挙げ句の果てには爪を立てて自らを真っ二つに引き裂いてしまった。
そこから現れた者、それは参号機に食い散らされたはずのゼルエルである。
次々と閃光を放ち、エヴァシリーズを殲滅していく。
搭載されているはずのS2機関は何の意味も為さず、全て空中において蒸発していった。
そんな中を初号機はゆっくりと地上へ降りていく。

(綾波……いや、その、なんていったっけ。)
(ううん、綾波でいい……元々、名前というものは無いのだから……)
(うん……)
(怖がらなくていい……何も不安に思うことはない……あなたは何の罪も、汚れもない……)
(でも……)
(ん?)
(僕は綾波を……)


303:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/18 22:58:11
(私を撃っても私は死なない……あなたが願った通りに死なずにすんだ……だから……)
(……)
(だから、あなたは私を殺さなかったのと同じ……あなたが私を撃ったことなど無意味……)
(でも、僕は……)
(もう何も不安に思うことはない……あなたを悩ませていたことは、既に消え去った遠い過去……)
(……)
(さあ……あなたは何を願うの?……ただ、想うだけでいい……何を願うの?)
そして、シンジはスッと目を閉じた、その瞬間。

(あなたの願いは聞き届けられました……)

レイはそう言って優しく微笑み、姿を消した。
それは綾波レイが初めて見せた笑顔であった。

気が付くと、シンジは涙ながらのミサトやメイド達に取り囲まれていた。
ここは元のNERV本部。既にボロボロの瓦礫と化していた。
既に戦闘は終わっている。彼らを攻撃する敵など全て消え去っていた。
ミサト達は傷つきながらも全員無事である。はたして、これも使徒の計らいだろうか。
そこに今更、退路を確保した、などという加持リョウジが滑稽な姿を見せる。
ミサト達はそれを笑いながらも、あまりにもあっけない事態の収束を感じ始めていた。

304:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/18 22:59:02
一応、付け加えで無事だったもう一人のことを。
エヴァシリーズに嬲られ、投げ落とされた弐号機の残骸。
もはや肉塊でしかない弐号機からモゾモゾと這い出てきた者。
ズボッと天に向かって腕を突き出して立ち上がり、そして一喝。

「惣流アスカ・ラングレー!華麗にふッかぁぁぁぁつ!!」

しかし、そこは深い森の中。その復活を見届けた者は誰もいない。

「む、空しいデェース……」

305:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/18 23:01:16
ううう、まだまだ誤字脱字をチェックできてないみたい。私の目は節穴ですorz
勢いで書いちゃってるので、などという言い訳などいいですね……
次でさいしゅーかーい。

306:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/18 23:28:30
乙!
原作よりこっちのほうがスッキリするな

307:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 00:51:45
面白いな!
作者の>>1さん乙カレー

308:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 06:09:10
原作を見たことがないのでこの話が俺にとってのエヴァになりそうだW

309:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:05:04
エピローグ

巨大なベッドで、スルスルと白いシーツの上を滑らせる艶めかしい両脚。
そして、これ見よがしに豊かな胸を揺らして仰向けになったのは葛城ミサトであった。
「んふふふふー♪初めてにしては、なかなか良かったわよ?」
「そ、そうですか……どうも……」
顔を真っ赤にして横に寝ているのは、見事に童貞を奪われてしまった碇シンジであった。
事を済ませて一息尽くためか、ミサトは咥えた煙草に火を付ける。
「あ、ごめんね。済んだ後に必ず吸いたくなっちゃうのよ。シンちゃんケムイ?」
「いえ……どうぞ。あの、灰皿。」
「ん、アリガト。」
NERVは既に崩壊したためか、様も付けずに親しげに接するミサトであった。
「それにしてもさぁ、シンちゃん?不思議というかなんというか……」
「え?」
「神様や天使様って……私達の想像できる範囲を遙かに超えているのかもね……」
「そうです……ね……」
「まだ、現れるの?シンちゃんの所に。」
「えっと……その……もう……」
「そっかぁ……なんか寂しいね。それも。」
「そうですね……」


310:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:05:50
ふと、シンジの方を向いたミサトは、突然にシンジをグイッと引き寄せる。
「ほらほら、指咥えて見てないで遠慮無くさわんなさいって。好きでしょ?おっぱい。」
「え、いや、あの」
「一回やっちゃった相手に遠慮してどーすんの。これから毎晩おっぱい枕してもいいのよ?」
「え……あ……あの……」
「ンもう、まだまだウブいわねぇ。これから先、そう言うところも鍛えなきゃ……所でさ。」
「え?」
「天使様に何てお願いしたの?」
「あ、ああ……その……」
「うんうん、何て?」
顔を尚も赤らめながら、シンジは言う。
「共に生きる喜びを……全てのものへ……」
「……ふむ?」
「……」
「……成る程ね。悪くないわよ、それ。」
「そ、そうですか?」
「よし、ご褒美を上げよう……おー、まだまだ元気じゃない♪物足りないなら早く言ってよ。」
「あの……ああッ……そんなとこ、触らないで……」
「こーら!人のを触っておいて、触るな、は無いっしょ?よーし、いいこと思いついた。」
「え?」

311:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:07:06
「メイドのコを一人呼んであげる。大半が未経験だし、初心者に処女のお相手大変よ?手伝ったげる。」
「え……あの……ちょっ……」
「んーと、それともマヤがいい?あ、そうそう、腕を怪我しちゃったあのコが良いわね。」
「あ、あのねぇ……ミサトさん……」
「きっとシャワーはおろか、服脱ぐだけでも大変よ。よしよし、内線で……」
「ちょっと、ミサトさん!僕は女の人を手当たり次第になんて……」
「……シンジ君?」
「え?」
「あんたの為に命がけで戦ったあのコたちの想い……受け止めてあげて欲しいのよ……」
「あ……」
「みんなNERVに洗脳されてたのよ?もう、他の男は愛せないかも……」
「……」
「死んでいったコが他のみんなに託していったの。私の分までって……」
「……」
「……OK?」
「あ……はい、あの……あれ?」
「みんなにタダ働きさせようなんて、ぜっっったいに許さないから。もしもし?えっとね……」
「あの、ミサトさん……そう言えば、だーれも死んでないって自慢してたはずじゃ……」
「あれれ?シンちゃんってば更に元気になっちゃって……この子はヤル気まんまんじゃないのさ!」
「いや、あの、その、」
「しょーがないわねぇ……もしもーし!今言ったコに加えて2人前ほど追加ね!大至急!」


312:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:07:53
そんな訳で、NERV崩壊後の今になってシンジハーレムは本格始動した訳である。

それから先の数ヶ月。
各国政府や国連までも交えて大変な大騒ぎとなり、NERVおよびゼーレ崩壊の後始末が繰り広げられた。
世界の富を自由に操ってきた連中であったが、怪しい儀式のために注ぎ込んでいたことが露見され、
世界中が互いに攻撃と言い訳の押収でごった返すこととなった。

そんな騒ぎがようやく終息し始めた頃。
碇シンジのハーレム生活が遂に幕を閉じることとなる。
これから大人になろうという男に、何時までもそのような生活をさせておくわけにはいかない。
実は言うと、NERV崩壊後の数ヶ月はそのための準備期間でもあった訳である。

ミサトが運転する一台の車に乗せられていくシンジ。
シンジは後部座席に、そしてミサトの隣の助手席にはマヤが座っている。
最後の時には泣きの涙で大変な騒ぎとなる……かと思いきや、意外とさっぱりした別れであった。
「これが全員の連絡先です。したくなったら何時でも呼んでくださいね♪」
そんな言葉と共にシンジに住所録が手渡され、笑いの渦でシンジハーレムは閉幕。
シンジは全員にバースデーカードを送ることを約束し、シンジ邸を後にした。
「で……これから、僕はどうなるんです?」
そういう聞き方も無理はない。何故なら世界規模の重要参考人であるのだから。
「うん、最後には名前も変えて、まったくの別人として生きていくことになるかもね。」

313:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:08:58
「そうですね……すっかり有名人になっちゃってますし。」
「でも、人里離れたところで生きて幾分には問題ないかも。」
「あの……僕はこれからそういう所に行くんですか?」
「そーよ。あら?言ってなかったっけ。」
「はい……で、住むところは?」
「はい、これが住所と地図。」
「あれ……あの……この名前……」
「そ。これからシンちゃんは洞木さんちのお世話になるのよ。」
「えぇ!?でも、僕は2、3回しか会ったことがなくて……」
「心配ないわ。私も話したけど、とってもいいコよ?それにシンちゃんのこと、ずっと心配してたみたい。」
「そ、そうなんですか。」
「んフフ、シンちゃん……ダメよ?いきなり餌食にしちゃ……」
「そ、そんなことしませんッてば!」
「そーね、もう散々やりたおしたし、溜まりっぱなしだったシンちゃんもスッキリしたでしょ?」
「もう、ミサトさん……」

やがて、付いた先は港であった。
「あの船よ。出航は一時間後。」
「はい……」
「それじゃね……ほら、マヤ!お別れのキスぐらいしてあげなきゃ!」
「え、そんな、ミサトさん……」

314:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:10:05
顔を真っ赤にしてうろたえるマヤであったが、
「当分会えないのよ?」
「……はい、あの……いい?シンジ君。」
ミサトに促されて、照れながらも済ませたマヤ。その後にミサトも続く。
「……ん……んんん?……ぷっはぁ……」
「この大人のキス……好きなコが出来たら、してあげなさいね。」
「……はい……今まで、有り難うございました。」

そうして船が出航するのを見送る二人。
「ミサトさん……シンジ君、上手くやっていけるでしょうか……」
「もう大丈夫っしょ!あんだけ皆に鍛えられたんだし。」
「そうですね。メイドのみんなに炊事洗濯、家事全般をみっちり仕込まれてましたし。」
「……まさか自分の送別会の料理を自分で作らされるとは思ってなかったみたい。」
「誰も思いませんよ。でも……」
「何?」
「いくらなんでも、銃火器の扱いから格闘技まで仕込むのはやり過ぎだったんじゃないですか?」
「そうねぇ……戦車やヘリの操縦よりも乗用車の方が役に立ったかも。」
「あの最後の遠足、あれは非道いですよ。ナイフ一本で山に放り込むだなんて。」
「あー、あれね。流石のシンちゃんも参ってたわね。蛇が不味くて嫌になったとか言って。」
「お塩ぐらい持たせてあげればよかったのに……」

315:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:11:18
「まーいいじゃないの。これでシンちゃん、世界中のどこでも生きていけるわ。そう言うあんたも……」
「え?な、なんですか?」
「あんなにスパルタで勉強おしえるこたぁないじゃないの。怒鳴り声が屋敷中ひびいてたわよ?」
「だ、だって、シンジ君めちゃくちゃ勉強が遅れちゃってたし……その……」
「で?その後でちゃんとお慰めした訳ね?シンちゃんの慰みものになっちゃって。」
「あ、あの……その……いいじゃないですか、せっかく二人きりだったし……」
「結局、マヤが一番だったのかな?あーあ……ま、いいわ。貰うもん貰ったし。」
そう言って自分のお腹をなでるミサト。
「あの、まさか……ミサトさんも?」
「ちょっと!『も』ってどういう意味?こら、そのお腹見せなさい!」
「ちょ、ちょっと、止めてください!流れちゃったらどうすんですか!」
「呆れた。私一人の大当たりだと思ってたのに。」
「他のコ達も居るから沢山出来ないし、ゴム無しの方がシンジ君気持ちいいだろうと思って……その……」
「で、貰っちゃった訳ね。まさか、狙い撃ち?」
「いや、私は偶然なんですけど、メイドのコ達は体温計片手にシフト調整したりして……」
「げーっ!!まさか、みぃーんなお持ち帰り?とんだ夜勤調整だった訳ね。」
「みたいです……最後まで外れたコは、無理矢理もう一回のお願いしに行ったらしくて。」
「ホントに!?」
「シンジ君に理由は内緒だから大変だったみたいです。それでも絶対に貰いたいって。」
「やーれやれ、十ヶ月後にはボコボコとシンちゃんジュニアが誕生する訳か。」


316:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:12:35
「で、ミサトさん。このことはシンジ君には?」
「言うわけ無いでしょ。あんたもメイドのコ達も漏らしてないわよね?」
「も、勿論ですよ!シンジ君の人生を私達で閉ざすなんて出来ません!」
「でもねぇ……大変よ?シングルマザーなんてさ。みんな本気で生む気かな?」
「それでも……」
「それでも?」
「私達のシンジ君への呪縛を解くには、これが一番じゃないですか?」
「……そうね。洗脳されちゃってる私達には、これしかないわね、やっぱり。」
「私、頑張ります!シンジ君から授かった子供は立派に育てて見せます!」
「……無理しないでね、協力するから。なんなら一緒に育てましょ?」
「ああ、それはいいですね……あら?」
「ん?」
「鳥か何かが空を飛んでいったような……」
「この夜に?ありえないっしょ。」
マヤの見間違いではなく、確かに何かが天空を飛来していた。
それこそ大いなる翼の持ち主、第15使徒アラエルの姿であったのだ。

シンジ。
(ん……あ、はい、アルミサエルさん。)
いよいよ、新しい生活が始まる訳だな。どうだ?気分は。
(何とも言えません。不安というか、なんというか……)

317:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:14:05
これまで、たびたび君と話を交わしてきたが、そろそろお別れをしようと思う。
(……そうですか。少し寂しくなります。)
そうだろう。君は本当に寂しがり屋だ。ま、私も話し好きではあるがな。
(あの……)
何かな。
(僕は本当にこれから上手くやっていけるのでしょうか……)
君がタブリスに告げた望み。あれは本当に悪くなかった。
(え、はい、いや、あの……)
いや、君の不安に答えるつもりで話しているのだ。君は、あのキールなどより遙かに高尚だよ。
あのキールの行っていた言葉。あまりの愚かしさのため忘れられないぐらいだ。
殺戮が罪と思わぬなら、自らが死滅しても構わぬ訳か?
個を滅して群れを尊ぶ?群れは何で出来ているのか判らぬというつもりか。
その後になって、人が生きるためだ、などと抜かす。矛盾があるのは貴様の方だ。
人も獣も、そして草木や花も、互いの存在無くしては成り立たぬ表裏に等しく、
(あ、あの……アルミサエルさん、ちょっと待っ)
自らの周囲にある者共を全て滅して喰らい尽くすことを欲するなど、己の尾に噛みつく畜生同然。
この天地に属していることを人が未だに解せぬと知れば、さぞや我が父が嘆くことだろう。
その真理を表したものこそ君の言葉と言うわけだ。「全てのもの」が天地自然の全てを指すならば。
下手な聖書や教典などを積み上げるより、君の望みが遙かに簡単明瞭で役に立つ。
泥をこねて塔を建て、石をもってそれを壊すことなど知恵などと誰も呼ばぬ。
そんなことのために、人は知恵の果実を盗み出したと我が父が知れば、さぞ……ああ、すまぬ。何かな?


318:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:16:22
(あの、なんだか話がずれてませんか?それに、全然判りません……)
君たちを罰するのは我々ではなく天地であり、そのために警告を送り、恐れよと言っているのだ。
君の不安、恐れ、それは当然のことだ。それでいい。それを抱く君は純真無垢より遙かに清らかだ。
ならば、周囲に溶けて親しみ、楽しめばいい。時には痛みを受けて苦しむこともあるだろう。
その時こそ、共に生きる喜びを求め、楽しめばいい。君自身の望み通りに。判るか?
(まったく判りません……そんな複雑なことを考えて言った覚えはないんですが……)
恐らく、寂しがり屋な君の心がそう言わせたのだろう。
君の望みは確かに聞き届けられたが、具体的な物事が存在せず、あまりにも範囲が広すぎる。
正直、何をすればよいのか、よく判らないのだ。
(あの……いいですか?ずいぶん、ミサトさん達や、そして僕も人を殺し……)
だからね。処罰というのは私達は行わない。ほっておいても天地自然が結果を出すだろう。
その摂理は……まあ、理解できなければ、なんとなく感じ取ればいい。
キール共を我々が闇に堕としたのは、それが処罰ではなく我々の対処と報復であったからだ。
君たちの言う神が存在するとすれば、それは我々を指している訳ではない、と言ったら驚くか?
我々も、そして我が父ですら大宇宙に属する君達と同様に一つの因子でしかないのだから。
(うう、やっぱり訳がわかんない……あと、一つだけ。)
なんだ?
(僕ってずいぶん沢山の女の人と、そのう……淫らというか……)
ああ……その……なんだ……そうだな……
(……?)
まあ、いいじゃないか。誰も不満に思う人がおらず、みな幸せそうだったじゃないか。

319:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:17:59
めずらしくも口ごもった彼であったが、再びアルミサエルは別れを告げた。
実は言うと、シンジが思い描いた願いを拡大解釈すると、
「全ての女の人を僕が妊娠させちゃっても大丈夫なようにしてください」と聞こえなくもない訳で、
そんなふうにタブリスが勘違いしたのでは、と感じ始めていたアルミサエルであったが……
シンジの周囲の女達の心情を察して、注意深く言わずにおいた彼であった。

船上のシンジは甲板で海をみていたが、あるとき鞄から何かを取り出した。
それは、ロボットを模した超合金。なんとなくエヴァンゲリオン初号機に似ていなくもない。
シンジは様々な思いを込めてそれを見つめていたが、最後には海へ投げ捨ててしまった。
そのオモチャこそ、母の死後に父を名乗ったゲンドウが買い与えたものであったのだ。
(さよなら、母さん。さよなら……父さん……)
たまにしか顔をあわすことがなく、『父』を名乗りシンジを利用しようとしたゲンドウ。
その父にどんな思いがあったのか。シンジ自身すら知らずして、思わず別れを告げたのである。

そして船は港に到着し、さらに教えられた住所へ向かうシンジ。
判りにくい田舎町を通り抜け、更に小さな村へと辿り着く。
僅かばかりの小さな土地に、数えるほどの家々。
そこがシンジの新しい生活の場所であった。やがてシンジは一軒の家に到着する。
ベルを鳴らすと、パタパタと軽い足音が聞こえくる。
そして出迎えたのはお下げ髪の女の子、洞木ヒカルである。
学校帰りで、着替える暇も惜しんで夕餉の支度をしていたらしく、制服の上にエプロンの姿だ。


320:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:19:20
「あ、あの……」
「碇君、やっと来たのね!さ、入って!」
「はい、あの……お邪魔します。」
「こらっ……今日からここはあなたの家なのよ?」
「え……その……」
やがてシンジは、はにかんだ笑みと共に言い直した。
「……ただいま。」
「ウン、お帰りなさい!」
そしてシンジが迎えられ、扉が閉じられた。

こうして歓迎されてもシンジはまだまだ不安だろう。しかし、
「それでは、行くわよッ!家事当番争奪!ジャンケンたいかーいっ!!」
家から響き渡る声。それとともに聞こえてくる姉妹達の拍手。どうやら、楽しくやっているようだ。
姉妹で下手にシンジを取り合うようなことにならなければ良いのだが……

時は流れて、シンジに大勢の人から頼りが届く。
まず、メイド達。どのコからも手紙には赤ん坊と一緒の写真。何も知らない単純なシンジは大喜びだ。
シンジはせっせと祝福の返事を送ったが、勘の鈍い彼には何一つ気付かないでいる。
ミサトとマヤは協力しあい、エヴァンゲリオン開発の基礎理論を切り売りして荒稼ぎをしている。
むろん、彼女たちも赤ん坊片手だ。好い加減に気付けよシンジ。


321:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:20:20
そして、ドイツからのエアメールの到着である。
その手紙にシンジは驚く。そこにはアスカと加持リョウジが腕を組んだ写真が同封されていたからだ。
どうやらアスカにつきまとわれ、同棲生活を余儀なくされたらしい。
アスカからは幸せ一杯の手紙が、そして、こっそり出されたらしい愚痴っぽい加持の手紙が一通。
最近ではジャガイモ作りに精を出しているらしい。
手紙に書かれていないが箱で届けられたため、それが判った。

さて、生き残った使徒達である。
実は言うと、アルミサエルは今だにシンジの中に居た。
どうやら居心地がいいらしい。もうシンジに語りかけることは無かったが、じっとシンジを見守り続ける。
地上に生きる人々の行く末を見定めようというのか、アラエルは相も変わらず天空を飛び続ける。
相変わらず人々の目にとまり天使の降臨と驚かせているのだろうか。あるいはそれを楽しんでいるのか。

さて、物理攻撃最強と唱われたゼルエルは?
もし一朝事あらば大魔神気取りで姿を現すつもりか、彼もまた人々の間で生きている。
この前に設立された「使徒襲来記念館」に置かれた似姿が、
実は体を縮小した本物が入れ替わっている、と判れば世間は大騒ぎすることだろう。
こうして「共に生きる喜び」を自ら実践しているわけだが、果たしてどれほど役に立つことなのか。


322:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:21:10
他にも戦いの末に生き残っている使徒は居たのだが、タブリスの話で幕を閉じる。
今だに彼女は姿を見せないのだが、果たして何をするつもりなのか。
実を言うと、登校するシンジをトースト咥えて狙い撃ちする魂胆なのだが、それはまだ内緒の話。
あれだけの女とやり倒した彼だが、そこは神の子シンジである。
ぱんつ一枚で彼の股間は確変確定の大フィーバー間違い無しだ。

果たしてシンジは誰に落ち着くのか。
まだまだ彼を甘やかす女達は後を絶たないようである。
このエロゲのような話は尽きそうもないが、とりあえずはこの辺でお開きとさせて頂きたい。

~ Fin ~

323:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/19 12:23:09 gZBxyHc+
これでもって最終回にします。
読んでくれた皆様。レスを付けていただいた皆様。
叩こうと思えばいくらでも叩けるはずなのに、皆様にとことん甘やかして頂いたからこそ、
ここまでこぎつけたのだということは疑いの余地もありませぬ。
皆々様方、本当に有り難うございました。

一応、申し上げておきますと、いろいろと使徒アルミサエルに小難しいことを言わせておりますが、
なんというか、それっぽいことを言わせたかったので適当に言葉を組み合わせただけであって、
決して、俺様の持論を聞けとか、こういう主張をしたかったとか、
まったくもってそういう訳じゃございませんので、くれぐれも適当にざっと流して頂けると幸いです。
ゼーレとかNERVがやろうとしたことも、つまるところシンジハーレムの始末をつけるためのこじつけであって、
簡単に言えば、宗教が造った道徳や社会の常識を都合の良いように書き換えようというのが主旨なんですが、
それもこれもこじつけるための適当なものでしかなく、ツッコミどころ満載であろう事は重々覚悟いたしております。
>>297様が理解できなくとも全然問題ないし重要でも無いのでお気楽に。
んーと、それから>>289様の仰るマヤについてなんですが、
最後の最後で裏切らせようとか色々考えてましたが、徐々にミサトが味方にひっぱりこんだと思って頂ければ、と。
まー、それも流れと勢いで成り行き任せで最後まで進めてしまったので、
マヤについても含めて、ろいろ整合性がとれていないところがありそうで、正直言って怖い限りであります。
その他、幾たびも指摘を頂いた誤字やら脱字が満載で本当に申し訳ありませぬ。
また、並びに作家気取りでこんな後書きっぽいものまで書いちゃったりして恥ずかしく思う次第でありますが、
とりあえずは、まとめ、ということで。それでは皆さん、どーも、ありあとやんしたー。


324:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 12:25:57


325:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 12:41:15
乙! また気が向いたら他のも書いてよね

326:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 12:48:23 6pOkVmw0
おつー
半勃起で読みますた

327:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 12:59:27
レイは結局、原作のような化け物・人外の者として終わる事になるのかなぁ…と心配していただけに、最後のオチでホッとしました。

とにかく乙!
そしてGJ!

328:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 13:16:48
>>312アゲアシだけれども

×攻撃と言い訳の押収→~の応酬○


329:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 13:20:25
アスカはシンジの周りからは除外されちゃったか。
アホキャラで面白かっただけにちょっと残念だった。

でもGJ!

330:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 13:28:10
アスカの「デェース!」は案外壷だった

331:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 14:26:02
やっぱり最後は童貞奪われて終わるんだな。

あれだけ女に手だせなかったシンジが補完直後(?)既にセックル済なのに呆気にとられた。

個人的にはレイと初セックルして欲しかったなあ…
カジはミサトとくっつかないのかw

332:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 14:37:22
うわあああああああ!!!

なんかすごいよかったぞ!!

333:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 15:03:07
個人的には妊娠Endなのがよかった

334:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 15:37:05
この終わり方好きだわ

>>1
GJGJ

335:七号機 ◆9Vhhtv.dG6
07/02/19 17:50:24
>>1を尊敬する
この一言に尽きる

336:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 19:15:27
だれかまとめないか?
とりあいず>>1乙!!!!!!!!!

結構楽しかったし、新しい職人さんでも待ちます・・・

>>1のGHな文章を誰かm

337:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 20:38:30
シンジが異様に逞しくなったみたいだから
近々空母の軍人さんと再会することもあり得るのか?

兎に角GJ!

338:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 21:21:30
なんだこのご都合主義の展開の連続は!


と思った方はスレタイを見ていただくと、納得していただけると思います。

339:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 21:41:06
そうかそうか、最後は皆妊娠か、いいな( ̄ー ̄)ニヤニヤ

340:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 22:15:17
しかし、なぜにアスカだけシンジとの関係から排除されてるんだ?

341:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 22:19:58
>>340
あまり、そういうことは気にするな

342:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 23:15:09
GJ、一気に完結させた作者の力量に拍手。

343:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 23:19:57
―完結おめでとう―

344:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 23:27:19
よかった!GJ!
完結おめでとう

345:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/19 23:37:12
>>1さん、楽しませていただきました。
ありがとう。

346:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/20 00:18:56
>>1GJ
まだまだ甘やかすぜぇ!

347:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/20 00:51:12
GJ!マジGJ!

348:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/20 12:07:26
ところでリツコはどうなったんだろ?
他の生き残ったゼーレやネルフ関係者と共に牢獄行きか、
それともゲンドウやキール議長のように虚無空間逝きかな。
(本編同様に計画に深く関わっていたなら、使徒達の怒りを買いそうだし。)

349:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/20 21:05:34
もう何だか>>1の人気に嫉妬

350:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 00:46:50
で、このスレこれからどうすんの?

351:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 03:28:27
この落ち着いた流れは維持したいな。

352:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 07:44:06
お前らさ、サラッと流してるけど

ハーレムから外れるのには触れても

アスカがレイプされたことには1レスしか触れないんだな

353:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 07:53:50 4TnT3o4z
>>1
カヲルは人間だったってことで桶?

354:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 18:35:40
>>352
シリアスパートに入っても扱いが悪かったから
これは殺されるんじゃないかと思ってたし

355:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 20:10:01
>>352
ここハーレムスレじゃないしぃ
シンジがちやほやさえされてたら無問題だろ

356:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 20:23:18
いやレイプは普通にいらんかったと思ったが

357:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 20:32:54
残忍さとかあるだろ。

358:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 20:34:38
しかし、新しいタイプのSSだったな
その上、面白かったし完結したしいいもん見たな

359:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 20:41:38
>>357
色んな感想があるだろ。

いちいちマンセー以外には絡む→なにがどうダメだったかより長文な反論来る→また反論→はい議論沸騰。荒れ。

↑このパターンを望んでるのか?

360:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 21:35:15
面白くて一気に読めちゃったよ
最後の見事なハッピーエンドにも安心した。

361:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/21 23:34:17 vZtq42TI
みなさん、こんばんわー。読んでいただいて大変有り難く思ってます。
えーと、いろいろとご指摘を頂いてるアスカとかリツコも含めて、
フォローというか、成り行きも作っておこうと思ったり考えたので、後日談を書いてみますた。
ただ、ダラダラと適当に作ってたら長くなっちゃったので、ここには貼りません。
あと、その他で指摘を頂いた誤字やなんかの補正もしたかったので、
以下にまとめてあります。

URLリンク(www28.atwiki.jp)

思えば、本当に思ったまんまに書いちゃってるので、
恐らく、私の中でアスカやリツコ、そして男性キャラがどうでもいいキャラらしく、
成り行きとかを適当にしちゃったのでしょう。
で、しかも結末がLRS風味なのも私の好みなのかなぁ、というのが否めません。
ということは、カヲルを私は悪魔のように見ているのでしょうか?自分でも不思議な感じです。
で、カヲルのレイプについてですが、
私の中で「男が女に乱暴する」となるとレイプしかないと思ってしまっているようです。
特にカヲルを残忍なキャラに追いやってしまったので、そういうことをさせてしまいました。というわけで……

ここまで話を広げてしまったので、恐らく私からはもう粉も出ないでしょう。
誤字脱字程度の補正はするかもしれませんが、これについてはもう終わりとします。
このスレは自由に新ネタの展開や再利用にお使い下さい。どうも、ありあとやんしたー。

362:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/21 23:49:20
シリアス展開でのレイプ自体がダメつーより、この話でのアスカにそこまで押し付けんなよ的な指摘かと。でラストがあれだからね。
ぶっちゃけ、アスカ以外だったらあまり言われなかったかも。
まぁこのスレではマターリとマンセーが基本になってるから、あんまし詳しく書かないけど、万一気になるならハーレムスレとかに行ってみては。

とにかく乙。神作品だったのは間違いないです。
次作がんがって。

363:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/22 00:18:11
俺も大体>>362と同意見。でも、ここまでの分量を一気に投下できたのは
素直に凄いと思うし内容もオモロイから、また気が向いたらなんか投下してね~

364:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/22 00:42:30
一気に書いた&完結させたところが一番凄い

365:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/22 02:26:15
まとめサイトをお気に入りに登録しますた!!


作者さん。マジで乙でした!!

366:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/22 09:49:20
スゲェェェェェ
作者様乙でした!!
中盤からの流れが神
Sカヲルもまたよし。

367:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/22 10:55:30
名作でした!!また機会があれば書いてほしいです

368:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/22 18:48:53
>>1

次のを待ってるお

369:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/22 20:56:25
>>1
遅くなったがGJ!!

370:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/22 22:45:14
おっきした

371:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/23 06:04:44
ほしゆ

372:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/23 20:08:25
>>1
乙乙乙乙乙乙
    乙
   乙
 乙乙
乙乙
乙乙    乙
 乙乙乙乙乙

373:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/26 21:22:39
一気に過疎スレと化したなwww

374:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/26 22:52:21
だって、>>1が自分の作品宣伝するために新スレまで立てたってスレだろここ。
それが終わったらやる事ない。

375:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/26 23:05:18 DLjiXUGK
次スレ

シンジをほどよく虐待してみる
スレリンク(eva板)

376:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/26 23:34:42
>>374
いまだかつてないバカシンジと同じ手法か

377:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/27 01:48:43
誰かが新たにネタ書けばいいのさ

378:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/27 10:48:28
どうせ仕事終わったらいつも暇なんで>>1には及ばないが、
ちょっと違った観点で書いてみる。

今日の夜くらいからやるんでつまんなかったらスルーしてくれ。

379:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/27 14:08:40
勇者現る
応援するぜ

380:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/27 22:23:27
>>378
普通に詰まらない程度以上の出来なら誉めて使わす(ォィ

381:378
07/02/27 23:18:36
それはこの話の主人公の元に届いた分厚い封筒が届いた時から始まった。
主人公シンジの元に届いた一通の封筒。中身は父であるゲンドウの筆跡でただ
”何もしないから”とだけ書かれた意味不明な手紙と金額欄に何も書いてない
小切手が一冊入っていただけだった。

               ~第一話   来てちょうだい~

目的地の第三新東京市で彼を出迎えたのは人っ子一人いない閑散極まり無い
街だった。どうやら非常召集が出されているらしく、公衆電話も繋がらない。受話器を
置こうとした時、彼は柔らかい視線を感じる。その視線の方に目をやると一人の少女と
目が合った。その少女は徐に、どこからともなく伸びている紐を引くと発砲音に似た
音が響いたと思うとシンジの頭上にある玖珠球が割れ
”碇シンジ様  ようこそ第三新東京市へ”
と書かれた垂れ幕が彼に覆い被さった。
歓迎されるのは別段悪い気はしない。だが、この街の有様には疑問と不快感を感じる。
そんな事をぼんやり考えていると、その玖珠球の少女の姿を見失ってしまった。不思議に
思いながらも、とにかく今はこの街の状況を把握する事が先決であろう。彼は街の
中心部に向かい歩き出していた。
しばらく歩いただろうか、先の公衆電話のあった駅から曲がり角一つ曲がったところに
猛スピードで掛けて来る黒塗りのロールスロイスがある。その車はシンジの傍に寸分の
狂いも無く停車し、中から一人の女性が降りてきた。
「大変お待たせしました、シンジ様。貴方様の父上であるゲンドウ氏の代理としてお伺い
させていただきました葛木ミサトと申します」
一目で軍人とわかる出で立ちで現れたその女性ははっきりとした口調で丁寧な敬語を
流暢に使いこなしシンジの前で背筋を伸ばした。



これじゃあ内容は>>1氏と同じだなorz


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch