07/02/09 19:29:05
シンジが帰るそぶりを見せたと同時に、背後の輸送機がエンジンを起動させる。
その窓からチラリと見える綾波レイの顔。
それをゲンドウは見逃さなかった。
「会えてよかったよ。それじゃ……」
そんなおざなりの社交辞令を残してシンジは乗り込む。
ただ一度だけ輸送機を振り返った後、ゲンドウはトボトボと歩いて帰途についた。
「それでは、こちらで今しばらくお待ち下さい。」
「はい……」
応接室に案内された洞木ヒカリは、出された紅茶とケーキを目の前にして大人しく待っていた。
豪華な調度品。壁には教科書で見覚えのある絵画が並ぶ。
どの程度、使用されているか判らない応接室の金のかかりようは半端ではない。
「……」
落ち着かない様子で10分程まっていただろうか。ようやくシンジが姿を現した。
「えーと……洞木さん、だっけ。ごめんなさい、学校には一度しか行かなかったから。」
「ううん、いいの。なんか……雰囲気変わったわね。その、精悍になったというか。」
「はは……」
その印象の変化は筋トレの成果だろう。
しかし本当の所は、シンジの暗い目つきの方が気になって仕方がなかった。