07/01/30 14:17:08 No/xuNox
スレ立ったらネタ考えてみるよ。
姉妹スレ
エヴァでシンジ以外甘えん坊だったら
スレリンク(eva板)l50
2:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 14:24:46 KQwnPEXJ
2ゲト
3:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 14:38:28
よーしよしシンジ君いい子だ、よしよしよしよし可愛いなぁよーしよしよしよしよし
4:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 14:47:47
シンちゃーん、料理も掃除も私がしてあげるからー
5:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 14:50:28
よしよしリーチですよぉ~
6:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 15:25:41
嫌だったら乗らないでもいいんだぜ!
7:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 16:18:32
シンちゃん学校行きたくなかったら行かなくていいわよ?
何か欲しい物あったら言ってちょうだいダッシュで買ってくるから!
8:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 18:14:02 JhLzeTO7
>>1
乙
9:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 18:22:20
>>3ムツゴロウっぽい
10:畑 正憲さん
07/01/30 19:34:26 8HCnQjyy
よーしよしよしよし ぁしぁしあしぁしぁしよしぁし
これはですね! シンジきゅんといいまして、ぁしぁし、
よーしよしよしよしよしよしよしぁしよ
シンジ「前歯全部折る」 ベキィ!!!!
…ぁしぁしょしよし よーしよしよしよし
ぁしぁしあしぁしぁしよしぁし(ry
11:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/01/30 19:50:35 No/xuNox
どこにこれだけの人が居たのか、などと言いたくなるほどの観衆が見守るなか、
歓迎パレードは大歓声の中で盛大に取り行われた。
バトントワラーが華やかな舞い、そして鼓笛隊の堂々たる演奏と共に、
ある一台のリムジンカーが戦自の誇る戦車部隊に守られながら、
歓迎式典までの道のりを人々の喝采を受けながらゆっくりと進み、遂に歓迎式典へと到着する。
そして、NERV作戦部長たる葛城ミサトのうやうやしい対応を受けてリムジンから降り立ったのは、
どこから見ても男子中学生にしか見えない只一人の少年、碇シンジである。
第三東京市市長、および来賓のゼーレ議長キールの祝福の言葉を受け、
科学の街らしくスーパーコンピュータであるMAGIによる前代未聞の開催宣言が行われた後に、
ついに碇シンジが観衆の前へと姿を現す。
飛び交う歓声、黄色い声援、そして万雷の拍手。
彼の登場と共に、「ゆけゆけ碇シンジ」などというテーマソングを歌っているのは、
一体どうやって調べたのだろうか、シンジがこよなく愛しS-DATで聞いている有名アーティストその人である。
その、どんな国賓クラスでもロックスターでも味わったことのない歓迎を受けて、
彼は目を白黒させてその場の状況を受け入れられずにいる。
いや、実のところは呼ばれた理由すらわかっていないのだ。
そして式典の中央にある巨大な代物。それこそは人型決戦兵器エヴァンゲリオン初号機。
碇シンジはやっとの思いで口を開き、側に立っている実の父親にしてNERV総司令碇ゲンドウに向き直る。
「父さん、これに乗れっていうの?見たことも聞いたこともないのに出来るわけがないよッ!」
「何も心配いらない。ややこしい説明なんぞ聞く必要もないのだ息子よ。」
「ただ、座っていればいいだけです。さ、エントリープラグはこちらですよ。」
父に続いて丁寧に、そしてにこやかに案内した女性はNERV技術部に所属する赤城リツコ博士である。
12:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/01/30 19:52:32 No/xuNox
そしてシンジは訳も判らぬまま手渡されたハサミで紙テープを切り、
ミス第三東京市より歓迎の花束と祝福のキスを受けエントリープラグに搭乗する。
くす玉が華々しく割られ、初号機には幾本ものドンペリが叩き付けられ、いよいよ起動開始である。
伊吹マヤのアナウンスと共に巨大パネルに表示される彼のシンクロ率、その素晴らしい数値に観衆は大爆発だ。
そして使徒が現れる。
あらかじめ用意されたポジションに間違えようもなく降り立ったのは第三使徒サキエル。
毒々しい姿ではあるが、おとなしく初号機が来るのを待っている。そう、碇シンジに倒されるのを待っているのだ。
弱点であるはずの胸部に赤々と輝くコアを隠そうともしないのが何よりの証拠。
そして赤城博士はシンジに指示をする。
「まず、歩くことだけを考えて。」
「あ、歩く……?」
そう彼がつぶやくが早いか、初号機がゆっくりと使徒に向かって歩き出した。
またもシンジの名を讃え喝采する人々。
実のところ、NERV技術部スタッフがリモコンのレバーを握りしめていたのだが、それは内緒の話だ。
「ではシンジ君。使徒をやっつけてしまいましょう!」
声高らかに作戦指示をだす葛城ミサト。その傍らで伊吹マヤが暴走ボタンのスイッチを押す。
「え……倒すって……どうやって……」
などとシンジが考え悩む暇も与えず、初号機は使徒に突進して輝くコアにストレートパンチを一閃。
割れるコア、吹き飛ぶ使徒、それを見て群衆の歓声は大爆発する。
こうして碇シンジの使徒との戦いが幕を開けた。
ここまで、シンジは何もしていないように見えるが、それは気のせいだ。
13:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 20:12:50 EIngJz8B
シンジきゅん・・・僕のチムポ舐めてw
14:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 20:15:29
しゃぶれだぁ?
しゃぶるよ!
15:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 20:18:42
>>11-12
バロス
ほとんど詐欺にあっているような気がw
16:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/01/30 20:49:30 No/xuNox
14歳男子中学生。言わずと知れた青い性に悩む年代である。
勿論、NERV本部は万全な対策を敷き、彼の欲望を満足させるべく勤めている。
「さあ、今日は射撃訓練です。よろしくお願いします。」
そう言って、またしてもシンジをボディラインもあらわな服装でリムジンから案内するのは、
作戦部長にして豪邸に住む碇シンジをメイド達と共に世話を焼く葛城ミサトである。
NERV本部の内部では、徹底的にシンジの視界から男という男が排除され、
エヴァの女性整備士ですら容姿のチェックが厳しく行われている有様だ。
そんな中を碇シンジ専属オペレーター伊吹マヤが、
ほらこれがおっぱいですよ触ってくださいとでも言うようにぴったり横に付き添い、
説明、というよりも観光でもするかのようにシンジの手を引き案内する。
そして、いざ初号機に搭乗する段にいたっては、
先行してテストパイロットを務めていた美少女綾波レイが、
一緒にLCLの液体に浸かり、手取り足取り操縦を教える。
その様は、次はマット洗いですかと聞きたくなる所だが、経験不足のシンジにはその発想はない。
そんな彼女たちが万一に備えて勝負下着を身につけているのはまだ内緒の話。
そんなこんなで、シンジの股間は万国びっくり博覧会のようなそりゃあもう大変な騒ぎで、
トイレの個室に籠もりきりになることは一日に一度や二度ではない。
彼が気の抜けたような顔つきでNERVスタッフに引きずり回されているのはその為である。
さて、いよいよ射撃訓練である。そこでは赤城博士がにこやかに指示をだす。
「標準は自動で合いますから引き金を引いてください。」
シンジはレイに手を添えられながら引き金を引く。ターゲットが吹き飛ぶ。拍手喝采。
いったい何の訓練か。人差し指の筋トレ?そう言いたかったが何だか怖くてシンジには口に出せずじまいだ。
で、訓練が終わりシャワーを浴びて家に帰れば、食べきれないほどの豪華な食事が待っている。
そんな生活が続くなか、訳のわからない恐怖に駆られて自室で腕立て伏せに精を出す碇シンジであった。
17:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 21:00:03
wktk
18:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 21:37:12
周りがアレなんで、シンジがしっかり者になるのか
19:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 22:33:59
これは間違いなく神
20:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/30 23:07:42
内緒の話ワラタw
21:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/31 03:10:42
ちょwww
これは間違いなく良スレwwww
22:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/31 12:12:06
シンジ以外甘えん坊のほうもそうなんだけどさ
甘えすぎ甘やかしすぎって、逆にシンジの逃げ場が
なくなっていっちゃうみたいに思えるね
23:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/31 13:27:59
なんだこのスレと思ったが不覚にもワロタ
24:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/01/31 17:09:27 vtauMUZT
しかし、シンジを嫌う者が居なかった訳ではない。
何と言ってもシンジは男子中学生である。
第三東京市にある中学校に転入され、普段はそこへ通うことになった。
「面倒なら通わなくて良いのよ」とミサトから言われたが、逃げるようにしてシンジは学校に向かう。
流石にそこではNERVの方策が届いては居なかったのだが、なんといっても有名人シンジである。
最初の朝礼で校長に紹介されて熱烈な歓迎を受け、
彼の周りには生徒達が群がるほどに大変な人気者となり、
昼休みには女子の手作り弁当が山と積み上げられた。
彼女が欲しいと思えば選り取り見取りで選べる状態で、
今の彼なら女子更衣室で着替えることも可能だろう。
そんな彼を快く思わない者が一人。そう、鈴原トウジである。
ぶん殴る算段で校舎裏までシンジを連れて行く、そんなけんか腰の険悪なトウジであったが、
もしかしたら喧嘩の末に友達になれるのでは?という淡い期待がシンジの胸中に沸く。
「わいは殴らなあかん。お前を殴らなあかんのや。」
実のところ、別に彼の妹は使徒との戦闘に巻き込まれた訳ではない。
当たり前だ。まるで設えられたような戦闘だったのだ。要するにシンジの人気に対するやっかみである。
で、殴ろうとしたのだが、その人気者シンジをかばうものが居ないはずはない。
かばうどころか、トウジはシンジファンの女子生徒に徹底的にボコられ、
監視していたNERV諜報部にこっそり病院送りにされてしまった。
「お兄ちゃんが独りぼっちになるから。」と見舞いに通うけなげな妹の姿があったことだけは、
余談ではあるのだが書き加えて置きたい。
学校にも逃げ場のないシンジ。節操のない女ったらしなら天国だが、
内気な彼には絶え間ない性欲地獄に落とされ、とろ火で延々と炙られている状態なのだ。
まさに人前で縛られてAVを見せられるようなもので、思春期でなくとも耐えられる男は居ない。
またしても「引き金を引くだけ」で倒せるはずの第4使徒シャムシエルの戦闘で、
もやもやした悩みを抱えたシンジがプログナイフで滅多刺しした様子から、
どうやら彼に精神汚染が始まっていることが判り始めた。
25:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/01/31 17:12:46 vtauMUZT
で、家出した。
書き置きを置いて街から去るシンジ。
街をさまよえる訳がない。なんといっても有名人なのだから。
ようやく人気のないところに出て変装を解き、ほっと一息をつくシンジ。
緑なす深い山々、空を赤く染める夕日を眺めながらシンジは考える。
これからどうやって生きていこう。既に自分は有名人だ。
お金の使える場所では必ずつきまとわれてちやほやされる。
もう嫌だ。あんな目に遭うのはこりごりだ。
そんな彼に声をかける者が一人。だれだろう。
それは、山ごもりまでして一人ミリタリーゲームにいそしむ同級生の相田ケンスケであった。
二人で焚き火を囲み、ケンスケの手持ちの食料を分けて貰って、ようやくシンジは心を落ち着けた。
みんなのようにちやほやしないケンスケ。どうやら彼なら良い友達に慣れそうだ。
だが、ちやほやしない理由はちゃんとある。
そう、トウジと同じく心の奥底でシンジをやっかんでいるのだ。
そして、ついそれを口に出してしまった。シンジが逃げてきた理由を聞いて、つい腹が立ったのだろう。
「俺はお前にあこがれて居るんだ。うらやましいよ、あんなにちやほや……ぐはっ」
どうやら付けてきていたNERV諜報部が手を下したらしい。
銃のグリップで殴られ倒れるケンスケの姿を見ながら、シンジは薬を嗅がされて意識を失う。
再び目を覚ますと、シンジは病院で手厚い看護を受けていた。
「ほら、スッキリしたでしょう?」と言いつつ彼の体を拭いているのは、
別の部分までスッキリさせかねない美人ぞろいの看護婦達である。
もう諦めきってうつろな目つきで看護を受けつつ、
しかし息子よ静まれと精神を集中するシンジであった。
26:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/31 17:16:19
この世界のエヴァはやたら高性能なのか…シンジの歓迎っぷりから、レイでは不便なのだろうが
27:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/31 20:12:57
シンジwwww
なんか、あまやかしすぎっていうのも可哀想な話だな
28:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/31 20:50:10
>>25
おもしろいなwww
29:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/31 21:00:31
このスレワロタが、続けられるのかこんな話?w
30:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/01/31 23:44:48
っていうかどんな街だよwwwww
31:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 00:10:23
>>24-25
甘やかし精神汚染wwwwww
32:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/01 00:21:22 sCEOW8ij
シンジには大事を取って数日間の休暇が与えられた。だが、これはシンジにとって良い迷惑なのだ。
休暇となると、色気を発散し続けるミサトに加えて、
選りすぐりのメイド達が世話を焼く豪邸の中で過ごすのだ。
内気で純真なシンジにとって、とても心休まる生活空間ではないらしく、
据え膳喰わぬは……という言葉通りに、さっさと好みの子に手を付けてしまえば良いものを、
ますます悶々とした思いに悩まされ、それを処理するためにトイレの中で引きこもり、
むしゃくしゃした頭を抱えて地獄のような筋トレを己の肉体に課す。これでは心も体も休まらない。
そんな遠慮深いシンジであったが、ただ一点、食事についてはあれこれと注文を付けた。
むろん贅沢が引き起こす肉体の変化に恐怖していることもあるのだが、
やはり日々の生活から肉体が欲求するらしい。
日々、数多く廃棄しなければならない息子達を大量生産するためと、
どこに役立てるのか判らない筋トレのために、
良質の高タンパク食品を中心としたヘルシーなメニューを切望した。
せっかくの彼のリクエストである。専属の栄養士とコック達は喜々として腕をふるい、
彼の健康管理のために、トイレにおける息子達の廃棄量まで推算しているらしいMAGIをも駆使して、
精神面はともかく肉体面は完全にバランスのとることに成功している。
お陰で彼の体は引き締まり、目つきは鋭く病的な表情を浮かべるストイックな彼を見て、
半ば職業的にチヤホヤしていた女達は、本気で半狂乱となって彼に媚を売り始め、
彼の寝込みを襲いかねない戦々恐々とした日々が続いている。
しかし、シンジは誰かを手を付けたりはせず、あいかわらず悶々とした日々を送り続ける。
正に天晴れと言いたくなる硬派なシンジの姿だが、やはりNERVから受けた贅沢が背景にあるので、
それほど褒められたものではない。
NERV本部は彼のそんな観察報告を受け、この上は強攻策に踏み切ることを決定した。
33:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/01 00:22:43 sCEOW8ij
強攻策。むろんシンジの性欲面でのフォローについてである。
なんだか、NERVはシンジの性欲対策以外の仕事をしていないように見えるが、その通りなのだからしょうがない。
食事や通常の生活に関してはシンジの欲求を引き出し、それに応えることに成功しつつあるのだが、
これまで選りすぐりの女性達を配置していながらも、食指をのばさないシンジの様子を見て、
押しの一手を打つことが決定したのだ。
当初は経験豊富な葛城ミサトが先陣を切ることを検討されていたのだが、
シンジが大人の色気に嫌悪感を感じる可能性が浮上したのだ。
恐らくトイレに籠もるタイミングや外見から計算した膨張率などをMAGIに計算させたのだろう。
作戦部長たるミサトはしぶしぶ計画を立て直し、同年代のレイに一番手をゆずる案を打ち立てた。
「えーと、シンジ君。これが新しいカードです……あら、これはレイのだわ。」
「ああ、それなら僕から渡しておくよ。」
「あら、そうですか。お手数をかけます。」
計画通りだ。むろん、第2、第3の手は用意していたらしく、
このやり取りの直後に、シンジの通り道に置かれた数十枚のカードが一斉に片付けられた。
シンジに直接、レイに渡してくださいと言えばいいのだが、
彼に頼み事をするなど許されていない行為だから仕方がない。
で、シンジはいつもの通りにリムジンでNERV本部に向かう途中で、
回り道してレイのマンションへとカードを届ける算段だ。
彼のリムジンを見送ったメイドは、ひそかに出発したことを通報し、
緊張した面持ちで連絡を受けたレイがマンションでシャワーを浴び始めた。
次の手筈はこうである。
部屋の中にシンジの注意を引く物を置いておく。いろいろ検討されたが眼鏡に決定した。
普段眼鏡をかけないレイにはありえない、そしてさりげないアイテムである。
それをシンジが手にしたときに、「偶然に」シャワーを浴び終えた裸のレイが、
取り返そうとしてシンジともみ合い、そのまま押し倒す。
見事な計画である。押し倒した後、どうするつもりなのかは少々疑問ではあるのだが。
34:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/01 00:23:43 sCEOW8ij
で、シンジが到着した。
こんなことはミサトにでも言いつければ良いものを、彼は自分の足でレイの部屋まで向かうようで、
これもシンジの内気で真面目な性格を計算した上である。既にシンジは罠に落ちた訳だ。
普段は何くれと世話を焼く護衛達が誰も「私が行きます」と言い出さない点に不振に思うべきなのだが、
やはりシンジは純真なのだろう。疑う様子もなくレイが住む部屋と駆けていった。
ドアをノックする音。鍵は開けたままだ。
シンジの呼ぶ声がするのだが、シャワーの音で聞こえないふりをして返事はしない。
そして彼が眼鏡を手にするのを待つ。ここまでは計画通りだ。
しかし、その時である。
「へくちっ」
「……?」
どうやらシャワーを浴びていた時間が長すぎたらしい。
シンジが驚いて振り向くと、タオル一枚で鼻をすするレイの姿がそこにあった。
妙なタイミングでくしゃみをしてしまったレイは完全に襲いかかる隙を逃してしまったのだ。
裸のレイにシンジは正直とまどったのだが、風邪を引かせては大変だと彼は必死になっていた。
「おーい、今すぐこっちに来てくれー。」
と、マンションの下で待たせているリムジンに呼びかけ、彼専属の看護婦に彼女の体調を見させる。
そして着衣をさせて、持ってきたカードを手渡した。
なんだか人助けをしたようなシンジは大満足なのだが、もちろん計画は丸つぶれだ。
しかし上機嫌な彼の様子を見て、ミサトの首はかろうじて繋がったのだが、
またしても新たな手段を講じなければならない。直接、彼女が押し倒してもかまわないと思うのだが。
この後、まるで止めていた発注を再開したかのように使徒が現れるのは、もうまもなくのことである。
35:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/01 00:25:00 sCEOW8ij
で、やってきた使徒は相変わらずである。
幾何学的な格好の青く輝く美しい第5使徒ラミエルの登場だ。
「さあ、シンジ様!宜しくお願いします。」
そう指示を受けてシンジは引き金に指をかける。
すると見ていたかのようにラミエルはパカパカ体を開いてコアをむき出しにする。
それがどんな姿かは想像しがたいところだが、ダーツの的のような姿とでも考えればいいだろう。
で、引き金を引く。使徒が吹っ飛ぶ。それをお茶の間のTVで見ていた観衆は大喝采だ。
え?停電?日本中の電力を?それは一体何の話だろうか。
正直、このバカバカしい作業になんの意味があるのか。シンジ少々疑問に思い始める。
なんだか判らない巨大人型兵器エヴァンゲリオン。
使徒のATフィールドを突破するために必要な兵器なのだと説明を受けたが、本当にそうなのだろうか。
そんなフィールドなど使徒は一度も展開したことが無いんじゃないか?
シンジにはそう感じられてならないのだが(実は言うとその通りの話なのだが)、
とりあえず周囲の者はシンジをなだめるために、
彼の力でATフィールドの展開を封じている、と説明してなんとかごまかした。
しかし、何も破壊活動を行わずなすがままに倒される使徒達に対する不信感はいっそうつのり、
シンジは無抵抗に股を開く淫乱な女達を想像してしまい、突然に嘔吐する事件が巻き起こった。
それはもう周囲の者共は大変な慌て振りで、大騒ぎした挙げ句にシンジを担ぎ上げて病院に放り込む。
これでは精神汚染はもちろんのこと、やがてシンジのリビドーは完全に破壊されてしまうだろう。
そんな彼を理解できないままに、NERV本部はさらなる強行手段を打とうとしていた。
そう、NERVドイツ支部の虎の子、惣流アスカ・ラングレーが投入されようとしているのだ。
36:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 01:12:23
ついにアスカ来日かw期待ww
37:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 04:53:27
ゲンパパ「シンジや、お菓子買ってあげるからロボに乗っとくれ」
38:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 05:39:41 WjDYQEF6
これは凄い!人間の想像力には感心させられるな。すでに限界まで掘られたと思っていたエヴァネタだがこんな発想をかます奴がいたとは。
39:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 06:31:49
シンジカワイソス
40:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 06:45:38
シンジを甘やかすなら、何故トウジとケンスケは甘やかさないんだよ
41:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 08:53:19
使徒までシンジを甘やかしている・・・
42:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 09:07:07
>>40
まー世界が全てって設定じゃないんだろう。
話に波が必要だし。
43:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 10:41:06
アスカ来日wktk
44:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 11:31:25
ここしばらく見たエヴァFFの中では、これが一番面白いわ。
すげぇ変則的なシンジハーレムものだなw
45:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 12:53:04
同意
クソオモシロス
46:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 13:01:36
アスカが来たらどうなるんだろう
47:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 13:41:23
シンジのために必死になって今流行のツンデレ気質を身につけるアスカ
48:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 13:41:53
某SS書き糞コテだが、ここは凄いと思った。
作者のセンスに嫉妬すら感じたよ(´・ω・`)
49:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 14:05:01
病んだロック・スターみたいだなw
壊れっぷりにも期待
50:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 14:16:39
最初の発想は良いというかあまりにもぶっとんでて面白いと思ったが
こういう話ってちゃんと展開していけるもんなんだろうか
51:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 14:46:17
>>48
まぁ、コテなんてそんなモン
にしてもこの甘やかし加減は凄いね
逆にシンジの心労が募るとは・・・
52:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 17:50:00
意外と良スレな件について
53:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 19:29:26
すごすぎる
54:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 19:53:30
シンジ君が悶々と筋トレしすぎてマッチョにならないか不安な件について
55:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 19:54:24
wktk
56:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/01 20:17:28
ついに我々はネ申を手に入れたようだ
57:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/02 16:29:03
左様
58:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/02 21:05:44
右様
59:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/02 21:48:59 5qbxs3Kx
エヴァ弐号機とセカンドチルドレンの引き渡しのため、国連軍の空母艦隊へと訪れたシンジ一行は、
艦橋に訪れ書類諸々の手続きを受けて、いよいよ引き渡し物品とのご対面へと手筈は進む。
そして彼らを待ち受けていたのは、パンチラも眩しいサマードレスに身を包んだ一人の少女。
彼女こそドイツ支部からやってきた惣流アスカ・ラングレーその人である。
「はーい♪私を歓迎してくれるのですネ!きゃー、その凛々しいお顔にアスカ惚れちゃいそうデース!」
この第一声に共に熱烈な抱擁、これではどっちが歓迎してるのか判らない。それに加えて、
「こら!相手と舌をからめなければキスとは言えませんよ!もう少し口を開けなサーイ!」
いや、お嬢さん。キスをするには話が早すぎるのだが。
「あー、今わたしのパンツ見ましたネ?他の所も見せますので、こっちに着てクダサーイ!」
いったい、ドイツでどんな教育を受けてきたのか。
どう考えても情熱の南国でしかあり得ないラテン系のノリだ。いや、それを通り越してお下劣だ。
こんな直球どころか核弾頭の剛速球を喰らったシンジは、欲情するどころか嫌悪感すら抱いたようだ。
「あ、どこに行くのですか!シンジ、待ちなサーイ!」
逃げ場のない空母の中で、もはや駆け足で逃げるシンジ。それを必死で追いかけるアスカ。
搭乗している海軍兵士達はそれを笑って眺めていたが、ミサトは眉をしかめて何やら考え込んでいる。
シンジ自身が望まない限り直接行動を禁じられているミサトにとって正直うらやましい光景なのだが、
そんな思いとは別に何やら疑問を抱いて頭を悩ませているようだ。
シンジに対する優遇ぶりが何もかも強烈すぎる。
彼のために用意されたシンジ・ハーレムと言うべき豪邸とネルフ本部。それに加えてアスカのこの有様。
それがシンジに対して悪影響を及ぼしているのではないかと、今更ながらに感づき始めたのである。
しかしミサトにはどうして良いか判らない。彼女もまた、シンジに与えられた手駒の一つなのだから。
さて、二人の追っかけっこが一段落したその折りに、お待ちかねの使徒の登場である。
シンジは九死に一生を得た思いで、この緊急事態の状況を把握しようと甲板へと躍り出た。
60:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/02 21:51:31 5qbxs3Kx
現れた使徒は、魚類の風貌をした第6使徒ギガエルである。
それほど破壊活動を行ってはいないのだが、イルカのようにピチピチと元気に跳ね回り、
国連軍艦隊は引っかき回され右往左往している状態だ。
これまでの経緯からしてほったらかしも構わないと思われたが、
しかしアスカによる訳の分からない危険から身を(貞操を)守らねばならない情況だ。
彼は率先して弐号機に向かい起動しようとする。が、それをアスカが呼び止める。
「使徒を退治するのですネ?流石はサードチルドレン!使命遂行に燃える姿が格好いいデス!」
「あー、私も一緒に乗りたいデース!シンジと一緒にLCLに浸かりたいデース!」
「シィット!プラグスーツがありませーん!こうなったら裸で乗るしかないですネー!」
一体どこの国から来たのか。ドイツ育ちならドイツ語使えと言いたいのだが、そんなことはどうでもいい。
もうシンジはアスカを蹴っ飛ばすようにして陰に隠したプラグスーツを奪い取り、
着替えようとしたその時、事件が起こった。
使徒が大きく跳ねて空母が揺らぎ、シンジがフラフラとよろめいたその時である。
ガシッと力強い腕がシンジを支えて、そして鋭い声が彼を叱りつけたのだ。
「ヘイ、ボーイ!この程度でフラついてどうするのだ!しっかりしないか!」
ひさしくNERVで甘やかされて聞くことがなかった、鋭く、そして嫌みのない神仏の鼓のような叱責。
彼の腕を掴んだのは一人の男性、サングラスが渋い光を放つ長身の海軍将校であったのだ。
シンジは面食らった。
これまで女性ばかりに囲まれてきた彼には、久方ぶりの同性とのコミュニケーションだったのだから。
「あ……」
「ほう?意外と鍛えているな。しかし筋肉だけでは男は成り立たんぞ。男は仕事で上げるものだ!」
「あ……あ……」
「そうか、貴様がエヴァパイロットだな。しっかりやれよ。貴様は世界を守れる唯一の人材なのだからな!」
「……はいッ!」
61:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/02 21:52:49 5qbxs3Kx
そういうのが早いか、颯爽と弐号機に飛び乗るシンジ。もうアスカなんぞは遠くに置き去りである。
プログナイフを片手に艦隊を足がかりにして飛び回る弐号機の勇ましい姿は、
これまでの戦闘から考えられない光景だ。
アスカに調整されているはずの弐号機にも関わらず、この日のシンクロ値は最高記録をマークした。
そして、今回の戦闘もまた、これまでとは違うものとなった。
近接戦闘にして、水中でもみあう大混戦となったのだ。
必死の思いで使徒に食らいつく弐号機。
それを逆手に巨大な口を開けて弐号機を飲み込もうとする使徒。
あわや飲み込まれたかに見えた末に、シンジは内部から使徒の息の根を止めることに成功したのだ。
実に危機一髪のエキサイティングな戦闘に、ミサトやシンジの取り巻き達は失神寸前まで陥り、
生還した彼の姿を見ては大粒の涙を流して天地に感謝し、シンジの勝利に狂喜した。
……が、それは実のところは見せかけだけと言えなくもない。
実は使徒の弱点である赤いコアは口の内部にあり、
「さあ、これがコアです。宜しくお願いします。」と言わんばかりに、あえて弐号機を飲み込んだ、
というのが正しい見方かもしれないのだが。
さて、何のために来たのかすっかり忘れてしまい、戦闘結果に大満足したシンジ一行は、
アスカをほとんど置き去りにして帰途についたことは良いとして、
シンジに新たな不安要素が芽生えていることに、ミサトは未だ気付いていないようであった。
62:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/02 22:04:05
アスカ、もちっとガンガレw
63:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/02 22:25:50
ちょ、シンジまさかお前…
64:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/02 23:49:02
うほっ
65:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/03 02:02:49
アッー!
66:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/03 02:02:58
何かオオタコーチがとっさに浮かんだ
67:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/03 02:57:59
ここで浮かびあがったシンジに対するひとつの疑惑
68:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/03 03:46:12
gj!
69:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/03 08:30:32
おおーメチャメチャ面白い!ラテン系なアスカもナイス!
そして海軍将校に感動した。
期待してます!
70:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/03 22:45:27 a930ppIx
さて、第7使徒イスラフェルとの対決だ。なんと、今回はシンジ達の完全な敗北となってしまったのだ。
「さあ、標準が合いましたので引き金を……」と、いつものようにコアを破壊したのはいいのだが、
なんと(周知の通り)今度の使徒は二つのコアを所持しており、片方を壊せば残りのコアがそれを修復してしまう。
で、そちらを壊せば逆のコアが……と、完全な永久機関となってしまったのだ。
誰かが「約束が違う」などと言い出しかねない展開だ。いったいどうしたことだろう。
仕舞いには二つに分離し、さんざんシンジを翻弄した挙げ句にどこかへと消え去ってしまった。
あいかわらず何も破壊せず去っていったことだけは幸いだが、NERV本部は驚きを隠せないようだ。
もしかしたら、これまで安直な戦いに嫌気がさしたシンジを楽しませるために込み入った戦闘をサービスした、
というところだろうか。まったくもって使徒達の意図は分からない。
この敗北を経て、NERV本部は初めてと言っても良い対策会議を開かざる終えなくなった。
使徒を倒す方法はただ一つ。二つのコアを完全に同時に破壊することだけ。
となると、シンジが乗る初号機とは別に、もう一台のエヴァ機を出動させる必要がある。
そこまでの課題が参加メンバーに説明された直後に、アスカが元気いっぱいに挙手して発言する。
来日当時に完全に放置された恨みを忘れてしまったように彼女は上機嫌だ。
「そうすると二人の息のあったコンビネーションが必要ですネ♪それじゃ私はシンジと一緒に寝泊まり……」
「2体のエヴァ機による高出力ライフルの同時射撃、これがもっとも安全確実な作戦かと思いますが。」
そんなふうにシンジに擦り寄ろうとするアスカの発言を封じてしまったのはミサトであった。
「それぞれ別のコアに標準を合わせ、シンジ様の操作によって二丁のライフルを同時発射……いかがでしょう?」
71:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/03 22:46:44 a930ppIx
「そ、そうだね。それが一番確実だね。」
鬼のような形相でミサトを睨むアスカ。そんな彼女を意識しながらもシンジは同意を示し、会議は幕を閉じた。
ミサトの言うことはまったく間違いではない。
が、意図的にアスカをシンジから遠ざけようとしているのは明白である。
むろん、それには理由があった。アスカを迎えに行ったその日からのシンジの変化が彼女には恐ろしくて仕方がなく、
彼に対する刺激を極力おさえたかったのである。
アスカを迎えて数日後、シンジ低での出来事である。
どうもシンジの様子がおかしい。何やら夢うつつの表情で何やらブツブツつぶやいている。
体調も悪くない。むしろ良好だ。筋トレの熱の入りようにも相変わらずだ。いや、いっそう熱が入っている。
そんなシンジにミサトは首を傾げていると、メイドの一人が側により、顔面蒼白で耳打ちした。
そのメイドは諜報部出身で、シンジの微かな唇の動きを読んだ、と言うのだ。
『ああ……あの将校の人……格好良かったなぁ……また会いたいなぁ……』
ミサトの表情もまた凍り付いた……何故?それは後述するが、これは大変な事態なのだ。
そして更に、珍しくもシンジが出したリクエストに大きく戸惑う。
パソコンを一台、そしてネットに接続が出来る環境が欲しいと言い出したのだ。
むろん躊躇している暇はない。シンジの出した要望は直ちに聞き届けられなくてはならない。
それがミサトに課せられた鉄則なのである。
72:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/03 22:47:52 a930ppIx
本当は今すぐにでもシンジに提供できる簡単なことではあったが、
「工事が必要となりますので今しばらくお待ち下さい。」と何とか押し止め、
セキュリティーソフトを活用した制限付きのネット環境を大急ぎで準備した。
そしてモニタリング出来るように「枝」のついたパソコンをシンジに差し出す。
本当はMAGIでそれを行うのが一番楽なのだが、この事態は上層部に知られたくなかったのだ。
というわけで、シンジは早速、ネットの閲覧を開始する。それをミサトは別室でモニタを始める。
結果は……恐れていたとおりであった。
検索しているキーワードは案の定である。「海軍」「将校」「士官」等々……
検索結果に表れたのは通常のミリタリー関連サイトばかりであるが、
それをミサトは規制されていない本物のネットで検索すると、怪しげなサイトが続々と姿を現す。
申し訳程度に制服をひっかけた半裸状態の男達、自動小銃片手に結合する男達、男、男、男……
そう、恐れていた事態とはシンジが同性愛に目覚めることだったのである。
思えば考えられる事態である。もはや彼を取り囲む女性達にシンジは嫌悪感すら示し始めている現状で、
シンジの性の対象が男に向けられたとしても無理からぬこと話だ。
実はミサトは知らないのだが、あの空母の中でなんらかの出会いがあった可能性が十分考えられる。
73:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/03 22:48:56 a930ppIx
が、しかしである。だからといって別に問題が有るわけではないのだ。
NERVはシンジが望むであろうものを与えることに終始している。シンジの満足さえ得られればそれでいいのだ。
今は、通常の男が望むと考えられるものをシンジに「とりあえず」与えられているだけであって、
好みがそうと判れば、家事に堪能な幼女のメイド達でも、勇猛果敢な老婆で構成する警備隊でも、
どのようなことでもNERVはシンジが望むままに取り揃える。
ミサトはそんなNERVの恐ろしさを十分に知っている。彼女もまた、そうして準備された「物」なのだから。
じゃあ、何がミサトにとって問題なのか。
確かに自らの保身が危ぶまれる訳ではあるのだが、女としてのプライド、という問題もある。
シンジのために準備された「物」として、この自体を安閑と見過ごす訳にはいかない。
……と、ミサトが苦悶に陥っていると、意外にもシンジ自身が彼女に光明をもたらた。
海軍遊覧も一段落した後、シンジは有名な女性アイドルなどの名を検索欄にタイプし始めたのだ。
そして表示される彼女たちの画像。輝く笑顔とささやかな胸のふくらみが画面に踊る。
比較的に着衣や水着のものが多く、せいぜいヘアヌード止まりの健全なエロサイトばかりだ。
ミサトは胸をなで下ろした。もしかしたら、自分の取り越し苦労だったのかもしれない、と。
しかも、画像をねぶるようなシンジの閲覧時間からして、かなり楽しんでいるようだ。
考えてみれば、あの国連軍艦隊でどんな出会いがあろうとも、
そう簡単に同性愛に墜ちるものではない。男が男に尊敬してあこがれる、ただそれだけのことなのだ。
ウルトラマンや仮面ライダーにあこがれたとしても言って性の対象にする男はそういないだろう。
そんな奴は、もとからそういう趣味だったと言わざるを得ない。
ミサトは気持ちを落ち着け、ずいぶんシンジを色眼鏡を通して見てしまったものだと苦笑した。
74:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/03 22:49:53 a930ppIx
もはや、ミサトはコーヒー片手に余裕の態度でシンジがネットサーフィンする様を楽しんだ。
あらあら、こういうのが趣味なのかな、ずいぶん時間を掛けてるわね、さてはこの子で抜く気かな?ウフフ……
などと、まるで息子のエロ本を見つけた母親が、クスクス笑いながら隠し直しているような心境だ。
しかし、それほどのんびりしている暇はない。
シンジの精神が破綻を来しかねない現状ならば、男に走る可能性もゼロとはいえないのだ。
何か手を打たなければ本当にそうなってしまう。しかし自分に出来ることは限られている。
が、やらねばならない。手段が限られているなら、限られていることをするだけだ。
ことが済んだであろうシンジがパソコンの電源を切るところまで見守った後、ミサトは行動を開始した。
ミサトは当直の者に命じて仮眠中のものをも含めて、今シンジ邸にいるメイド全員をかき集める。
事情を説明すると案の定、みな顔面蒼白でミサトが提示するシンジ邸の改革案を熱心に聞き入っている。
これまでシンジ争いにつばぜり合いを演じていた彼女達なのだが、敵の敵は最良の味方、という訳だろう。
シンジが翌日、目を覚ましてみるとメイド達の様子が一変していた。
まず、どこの電気店街に立っているメイドだろうかというミニスカートの制服は改まり、
ロングスカートにしっかりとしたエプロンを着用した慎み深い古風なスタイルにものへと変化している。
改革案とは、メイド達による過剰なセックスアピールを押さえて、シンジ邸内部だけでも正常化することだったのだ。
それぞれ自己主張していた髪型はきっちりと結い上げられ、まとわりつくようなメイド達の態度も改められた。
シンジはとまどい、「どうしたの?」と訪ねるが、メイド達は笑って「衣替えです」とだけ答える。
媚びはしないが、きっちり笑顔で対応する。流石は選り抜きのメイド達である。
75:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/03 22:51:37 a930ppIx
しかし、諜報部出身の者も居たことだし、中にはNERVの監視役が居ることは十分考えられる。
シンジの趣好を矯正するなど許されない行為であり、今回のミサトの行動はぎりぎりの危険なものであるが、
しかし、彼女たちのシンジへの思い入れは本物であることは知っている。
上手くやれば信頼できる組織を構築することが出来るかも知れない。
そして数日後、シンジの表情は目に見えて変わってきた。
目つきは和らぎ、メイド達と談笑するまでになっている。
筋トレの励み具合は相変わらずだが、ネットサーフィンの内容とセルフサービスの頻度は良好である。
NERV本部の過剰な性欲対策からの逃げ場所が成立すれば、アブノーマルな世界に墜ちることはないだろう。
かえってシンジの寵愛を受けやすくなるかも知れない、とメイド達も意気盛んだ。
さて、第7使徒イスラフェルとの対戦は、作戦が見事に図に辺り雪辱をはらすことに成功した。
今後の使徒との対決においても一筋縄ではいかないかも知れない。
以前の安直な戦闘に辟易していたシンジにも緊張感が伺える。
少しずつではあるが良い方向へと物事が進んでいるような、そんなふうに感じる日々が続いていたが……
「あらシンジ様、おはようございます。おつとめご苦労様です。」
ご出勤のシンジを出迎えた息吹マヤを見て驚愕した。どうやらNERV内部でも衣替えが行われたらしい。
横乳が美しいノースリーブへと制服が改められ、スカートの丈もより一層短くなっている。
そんな有様を見て、シンジとミサトはほぼ同時に肩を落としてため息をついた。
76:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 00:20:56
これは良スレ。期待してしまう
77:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 00:44:20
スレが500を越える頃にはシンジがムキムキだったらスレと合併しそうで不安w
筋トレしすぎだろwww
78:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 02:47:10
やべぇ、かなりおもしれぇwww
シンジがマッチョになるには500もいらないんじゃね?
300くらいですでにマッチョだろうよww
79:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 10:44:05
wktk
80:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 11:28:24 UaeAK0Ag
わくてか
81:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 13:10:57
こういう良スレがあるからエヴァ板は止められない
82:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 15:10:14
こうではない糞スレがあるからエヴァ板は止められる
83:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 16:41:59
まちがいなくカヲ×シンオチでFA
84:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/04 19:16:19 /sFKG+rU
「シンジィー!一緒に泳ぎに行きましょーっ!」
アスカは相変わらずだ。なかば強引に市内のアスレチックプールへとシンジを引っ張り込んでいく。
「あーん、水着が上手くきれませーん!ちょっとおっぱい持っててクダサーイ!」
「水着ないのですかー?スッポンポンでもいいですよー!私もスッポンポンになるから恥ずかしくありませーん!」
「ほら!シンジも早く脱ぐデス!股間押さえて何処に行くデスカー!」
「ああ、シンジ様。おトイレはこちらですよ。」
力ずくのセックスアピールを続けるアスカのお陰で暴発寸前のシンジを引きはがし、トイレへと伴うミサト。
そしてアスカに水着を付けなおさせ、やれやれと溜息をつく。
しかし、アスカの立場がどんなものなのかがサッパリ判らない。
これほど強引にモーションをかけることなど他の者には許されていないのだ。
プールを手配したのはアスカだが、支払いを見てみると宛名はNERV本部となっている。
つまり、NERV内部でかなりの権限を持っているわけだ。もしかしたらシンジの次ぐらいかもしれない。
(一番わからないのはNERVと、その背後に立つゼーレの意図……シンジ様を一体どうするつもりだろう……)
そんなことを頭に巡らせているミサトに、伊吹マヤが近づいてささやく。
(今、シンジ様が使用しているのは20キロのダンベルです。かなりストレスが溜まっているようですね……)
(そうね……ああ、しゃがんじゃ駄目よ?シンジ様、露骨なパンチラはお好きじゃないみたい。)
(そ、そうなんですか。気を付けます。)
シンジのNERV本部における付き人にして、MAGIのメインオペレーター伊吹マヤ。
ミサトにとって出来れば味方に付けたい人材だ。素朴な雰囲気がシンジの股間にもウケが良い。
しかし、赤城リツコ、司令であるシンジの実父ゲンドウ、そしてゼーレという連なりが気がかりではあるのだが。
85:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/04 19:17:09 /sFKG+rU
アスカは尚もシンジに対して強引だ。
「ほら、ダンベルばっかりじゃ筋肉のバランスに悪いですヨー?一緒に泳ぐデース!」
そういってシンジの手を引こうとするアスカ。
上下にきっちりとしたジャージを着込んでいるシンジは、花も恥じらう処女のようだ。
本当は手当たり次第に女達をはべらせることは可能な立場なのに、
彼自身の純真さがそうはさせまいと頑張っているのだろうか。
今度はシンジにどうやって助け船を出せばいいだろう、と悩むミサト。
下手な口出しは禁止事項に抵触する。やりづらさを感じながら周りを見渡していたが……
「あ……」
何故かシンジ一行に付いてきていた綾波レイが、プールサイドでクタクタと崩れるように床に倒れたのだ。
慌ててミサトは側に駆け寄る。そして助け起こそうと彼女の体に手を触れた時、
(……ん?)
ミサトは眉をしかめる。やがて、シンジも駆けつけ、以前と同様に専属の看護婦を呼び寄せる。
そして看護婦もまた気付いたらしく、ミサトだけに聞こえる小声でささやいた。
(ミサトさん……仮病です。)
(判っているわ。この子に調子を合わせて。)
(……はい。)
そしてシンジは、この場を逃れるチャンスとばかりに期待通りの命令を下した。
「綾波、病弱なのかな……よし、今日はお開きにして車で送って行こう。」
86:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/04 19:18:36 /sFKG+rU
今日は上手く逃れることが出来たのだが、今後のことを考えると頭が痛む。
シンジの側に使えて作戦部長として使徒との戦いを命じられた葛城ミサト。
しかし、今では何と戦っているのか訳がわからない状態だ。
シンジに対する苛烈な待遇、そのおかげで破綻しかねないシンジの精神と性癖、そして、アスカ。
それらをシンジから守ることを考えると、百万匹の使徒と単身で戦う方がよっぽどましだ。
つかみどころがなく、最終的に何を狙っているのか訳がわからない。
とりあえず、意外にも綾波レイが気遣いを見せてくれたことがミサトにとって心強い限りであった。
シンジ邸へと帰り着き、あいかわらず悩み続けるミサトにメイドの一人が問いかける。
「ミサト様。本部から使徒が発見されたとの報告ですが、シンジ様はトイレでオナニー中です。」
「それじゃシンジ様が達したあと10分後にお茶をお出しして。シンジ様への報告は更に30分後。」
「かしこまりました。」
優秀なメイド達だ。
どんな用件でシンジがトイレに向かったのか、さらに射精するタイミングまで把握していることだろう。
しかし、シンジが気の毒でしかたがない。
これほどの女達に囲まれながら、何が悲しくて自己処理で済ませなければならないのか。
できればトイレに踏み込み手伝ってやりたい思いで一杯だし、メイド達も同じ心境だろう。
しかしミサト達にはシンジが望まない限り許されない行為であり、内気なシンジでは言い出しにくそうだ。
このままでは本当にシンジの性癖がおかしくなってしまう……なおいっそう、ミサトの悩みはつのるばかりだ。
87:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/04 19:19:49 /sFKG+rU
さて、使徒戦である。
「はいはーい♪私がマグマに潜るデース!シンジに格好いいとこ見せたいデース!」
と、アスカが張り切って挙手し、初号機のシンジを出すにはあまりに危険との判断もあり、
今度の作戦は弐号機主体で行われることが認められた。
発見されたのは浅間山の火口の中に、局地決戦用に装備された弐号機でさっそうと飛び込むアスカ。
「キーッ!使徒、硬いですぅー!コアってどれなんですかァー!きゃーッ噛みつかれましたァーッ!!」
これまでにない使徒の凶暴ぶりにミサトを含む司令部は騒然とする。
「リツコ……なんだか主人でないと判って牙をむいた飼い犬みたいね。」
「どういう例えなのよ、ミサト……ああっシンジ様!駄目です!いけません!」
アスカの危機と見て、初号機でシンジが飛び込んだのだ。
結果は面倒なので簡単に説明すると、
初号機を見て使徒はアスカを離して小躍り状態、コアを開いて「さあどうぞ」、コアを破壊して使徒殲滅、以上。
「きゃーっシンジありがとォーッ!!お礼は近くの温泉でゆっくり……」
「シンジ様、どうかしましたか?これは大変、すぐに帰って手当をしなければ!誰か車を!」
「え?え?別に僕はそれほど……あの、ちょっと……」
たたみ掛けるようにしてアスカを遮り、シンジを車に引っ張るミサト。
シンジの体調が悪いとなれば、天下御免でシンジ自身の意志を無視できる。
むろん、シンジは怪我一つしていないのだが。
(この手に限る……あんまり繰り返して使えないけれど……)
88:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/04 19:23:08 /sFKG+rU
そうやってシンジを車に押し込み、ほっと一息ついたミサトに後ろから声をかける男が一人。
「ハハハ。良い判断だな、ミサト。」
「え……?」
「あの温泉、NERVの発注で混浴風呂へと改造されていたからな。正にシンジ君の貞操の危機だったよ。」
「……なんで、あんたがここにいるのよッ!」
「どうも♪」
ミサトに声をかけたのは、遅ればせながら登場した加持リョウジであった。
89:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 19:40:52
>>1 乙。楽しませて貰ってる。
が、一つだけ指摘させてくれ。
×:標準が合いました
○:照準(しょうじゅん)が合いました
誤変換とかじゃなさそうなんで、一応。
90:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/04 19:49:09
>>89
ありがとです。
一応、エディタで作成後にチェックしてるつもりだったんだけど、
他にも文字抜けとかやっちゃってます。ごめんなさいです。
これから気を付けまっす。
91:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 20:10:39
>>1 GJ!
アスカがあまりにも別人すぎてセリフのイメージ浮かばないんだがw
92:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 21:52:14
ワロタW
93:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 22:06:36
アスカのダメっぷりがいい
アラエル戦はどうすんのか見物www
94:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/04 23:41:42
>>1あくまで現時点でだけれどこんなにも責任感のあるやつだとは思わなかった
95:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/05 00:10:11
シンジって、2ch内で一番マスターベーションしている
キャラクターだね。
96:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/05 01:57:50
あのAAの普及っぷりを見る限りでも間違いない
97:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/05 02:02:43 TeZxwnXv
10年ほど前、日本中のシンジ君は
「センズリ野郎」と言われていた。
良くても「バカシンジ」。
98:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/05 05:11:31
20キロのダンベルクリアーか…末恐ろしいな
99:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/05 05:33:15
>>1 GJ!
ついでながら、エヴァFFにもっとも多く出演するオリキャラ、赤城女史にはご注意召されよ。
でもって、加持リョウジがミサトに呼びかける時は、ファミリーネームの「葛城」ですね。
100:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/05 05:37:12
100
>>1乙
101:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/05 20:09:06
>>99
あ゛……
すみませぬ。ちゃんとチェックしているようで実は作りが甘いようです。
精進します……orz
102:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/05 20:48:09
>>1
>>99 じゃないけど、もう二つ、「息吹」マヤも時々いるようです。
第六使徒も「ギガエル」(正しくは"ガギエル")になってました。
どっかに転載とかするときには直してあげてください。
103:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/06 22:16:20
>>102
ありがとです。
今まで、勢いで作って投げ込んじゃってたので、アラが多くなっちゃったかも。
これからは有る程度寝かせてからにしてみようと思うところではありますが、
対して変わってなかったらごめんなさいです……
104:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/06 22:17:21
(本当にハーレムだな。こりゃまいった。)
NERV本部の中をシンジと共に談笑しながら歩く加持。
どうにも軟派な笑顔が鼻につく男であったが、シンジにはなかなか好印象であるらしい。
「へえ……ミサトさんの知り合いなんですか。」
「ああ、実はね……どう?葛城の悪さは治ってる?」
「え?いや、ミサトさんの寝ているところは見たこと無いので……」
(成る程、ミサトはおろか誰とも寝たりしてないんだろうな。)
「では、起動試験が有りますので。」
そう言って初号機に向かうシンジを見送る加持リョウジ。
そんな彼に後ろからずっと睨んでいたミサトが声をかける。
「この紫禁城に男のあんたが入れるなんて……ちゃんとチンチン切り落として来たんでしょうね?」
「お、恐ろしいことを言うなぁ、葛城は……ほら、シンジ君の父上に貰った正式な辞令だよ。」
「……何しに来たのよ。」
「君の補佐。そしてシンジ君の相談役と監視役。好みを調べて必要なら背中を押せってさ。」
「あのね。下手にシンジ様を刺激して貰っては困るの。あの方、すごく壊れやすくて。」
「しかも内気で純粋で経験不足のウブな少年……おいおい。」
「こら、銃を下ろしなさい……ここでシンジ様を侮辱したら死ぬわよ?」
銃を引き抜いた後ろの部下をたしなめながらも、ミサトは加持に向かってすごむ。
「おお、怖い……」(ちょっと内緒話がある。ちょっとこっちへ。)
105:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/06 22:18:31
(何よ、いったい……)
(もっと組織作りは慎重に。俺が止めなきゃメイド達は総入れ替えされているところだ。)
(……!?)
(大丈夫、その手の情報は流さないようにしてるよ。ずいぶん前から君たちを監視しているのは俺だ。)
(いったい、あんたたちの狙いはなんなのよ?シンジ様をどう……)
(シンジ様、ね。君たちへの教育は完璧な訳だな。)
(私達をここの売女どもと一緒にしないで。)
(実は俺にもよく判ってないんだよ。ただ……)
(ただ?)
(シンジ君をここの奴らにおぼれさせるな。狙いは判らんが、とにかく連中は彼が墜ちるのを待っている。)
(……)
(見たところ、まるで親父向けの週刊誌のような下品なハーレムに目がくらんでいないみたいだけどね。)
(……でも)
(そうだな。確かにこのままでは時間の問題だ。シンジ君はどうも孤独に悩まされているようだし。)
(孤独?)
(ああ……多分、本人も気付いてないんじゃないかな。それじゃ……)
「あ……」
そこまで言い終えて、加持はミサトの元を離れていった。
106:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/06 22:20:05
果たして信用して言いものかどうか。
でも、言っていることは腑に落ちることばかりだ。
孤独。これだけの人々に崇め祭られ従えている彼には意外に聞こえる言葉だが、
対等に向き合う人間が一人も居ないのが実情である。
何気ない会話をミサトやメイド達と交わすことは出来ても、
本心から気持ちを伝えられる相手が居なくては、孤独を感じるのも無理はない。
もしかしたら、加持がそうした相手となり得るかもしれないのだが……
しかし、制約された中でもシンジのために心を砕いてきたミサトにとって、
シンジが孤独に落ちているという結果が、そして自分のふがいなさが呪わしいばかりであった。
話は変わって、碇シンジの朝。
シンジ邸の朝は早い。シンジは午前5時に目覚め、洗顔の後に特設のアスレチックルームに向かう。
悶々とした股間を抱えたまま、腕立て伏せやスクワット、腹筋などの朝の軽いメニューをこなすシンジ。
もやもやした感情を沈めるために始めた筋トレだが、どうやら最近では逆に利用しているらしい。
それが終わればシャワーを浴びつつ、そこでやっと自己処理を済ませるのが日課だ。
そのとき、何を脳裏に描きつつ自分を慰めているのか、それを知るものは誰もいない。
その後、柔らかいバスローブに身を包み食卓に向かえば、
タイミングよく朝食の準備を終えたメイド達が一斉に挨拶する、という訳だ。
107:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/06 22:21:39
シンジが朝食をしたためていると、既に制服を着込んだミサトが現れる。
その様子はまるで、参謀長官が朝の挨拶に伺う大統領の食卓のようだ。
「お早うございます、シンジ様。」
「ミサトさん、お早う……あれ?ミサトさん、綾波が何でここにいるの?」
「実は、今日からここにお預かりすることをシンジ様にお願いに上がったのです。レイ?ご挨拶を。」
「……お早うごさいます。」
「あ、あのね?レイ。なんていうかその……もっとハキハキとした……」
「ああ、いいんだよミサトさん。でも、今まで住んでいた所はどうしたの?」
「同じエヴァパイロットですし、一人で住むよりもこちらで面倒を見た方がよろしいかと。」
「う、うん……空いてる部屋は幾らでもあるし、みんなの手間じゃないんなら……」
「よろしいのですか?ありがとうございます。ほら、レイもお礼を。」
「……ありがとう。」
「あのねぇ……レイ……」
「いや、いいんだってば……ごちそうさま。ん?何かな?」
シンジが食事を終えた所を見計らい、メイドの一人が割り込んできた。
「シンジ様、レイ様、お話の所を失礼いたします。シンジ様?そろそろ足の爪を切らなくては……」
「ああ、いいよ。自分でやるから……え?ちょっと、綾波?」
「メイドさん……私にやらせて……」
「いや、いいんだってば……あ。」
「ここに足を乗せて……」
108:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/06 22:23:30
シンジの足からスリッパを脱がせて、レイは自分の膝に乗せる。
「あの……綾波……その……」
思わずうめき声を上げるシンジ。しかし、レイは構わず爪を切りヤスリをかける。
そして、レイがその仕事を終えるのが早いか、シンジはいそいそと立ち上がる。
「あ、ありがと……ちょっとごめんね。トイレに……」
「はい。」
そんな彼を笑顔で見送ったミサトは、思わず声を潜めてメイドにささやく。
(意外とツボだったみたいね。)
(ですね……シンジ様、朝は必ずお抜きになるのに、二度目とは……)
(本当ね。もし、膝枕で耳かきなんかやったら大変なことになってしまうのかな。)
(あたし、それ狙ってたんですが……駄目ですか?やっぱり。)
(止めた方が良いわね。片方の耳が終わらないうちにシンジ様が暴発しても知らないから。)
(そ、そうですか……不思議ですね。本部であれほど刺激を受けておいでなのに。)
(フェチズムは難しいわよ?単なる素っ裸だけじゃ面白みが……)「何?騒がしいわね。」
「はッ!本部の伊吹マヤが緊急につき、今すぐシンジ様にお伺いしたいとのことです。」
「こら、あんたは今はメイドよ?軍隊口調は止めなさい……すぐ、お通しして。」
「はッ!……じゃなくて、えーと、かしこまり……」
「失礼します!伊吹です!ああ、ミサトさん、シンジ様は?」
「マヤも皆も静かにして。今、シンジ様はオナニー中よ?」
「え?え?あの、その……」
109:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/06 22:24:48
聞き慣れない言葉を聞いて、顔を真っ赤にしながら謝罪するマヤ。
そんな彼女を横目にメイドの一人がさらりと言う。
「シンジ様が達するまで、あと2、3分というところです、ミサト様。」
「そう……二度目だからそんなところね。で、マヤ。いったいどうしたの?」
「はい、あの……使徒が現れたのです。発見は午前4時なのですが。」
「えー?今まで、こっちに連絡もしないで何やってたのよ。」
「それが、本部だけでなく第三東京市で全面的な停電が発生して……」
「ああ、ここは自家発電だから判らなかったのね。」
「で、アスカさんを叩き起こして現在交戦中ですが、かなり手こずっているという次第でして。」
「当然よ。今までの経緯からシンジ様じゃないと倒せないことぐらい判ってるはずよ?」
「はい、そう言うわけで初号機をここまで持ってきました。弐号機がもうすぐここに引きつけて……」
「だからぁ、シンジ様はお忙しいっていってるでしょ?まったく……アスカと通信できる?」
「はい、これで……あの、ちょっと……」
(ガガッ)「アスカ、聞こえる?ちょっと時間を稼いでくれないかしら。」
「ちょ、ちょっとミサトさん。それは無茶……」
(ガガッ)「ほら、ゴチャゴチャ言ってないで、浅間山にデンしてから戻ってきて。それじゃ。」(ブチッ)
「ミサトさん、無茶ですよ……バッテリーがそこまで持ちません……」
「なーに言ってるの。使徒なんかにシンジ様のオナニーの邪魔をさせてたまるもんですか!」
「ちょ、ちょっとミサトさんの方が声が大きい……ああッ!来ますッ!」
「こっちに来るの?この屋敷を壊すつもりじゃ……」
110:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/06 22:25:51
しばらくして、遠方から物凄い絶叫が聞こえてきた。
「…………ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああッ!!」
弐号機の内部から響き渡るほどにすさまじい悲鳴。
その雄叫びから如何にアスカが大変な目に遭っているかがよく判る。それもそのはずである。
その弐号機の上を、使徒がボタボタと溶解液をまき散らしながら凄まじい勢いで追いかけて来たのだ。
弐号機はシンジ邸をややかすめるほどの距離を通り過ぎたのだが、
やけに足の長い巨大な使徒は、まるで「シンジ邸を踏まないように」走っているかのようだ。
「ああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ…………」
一応、ミサトの命令を守っているらしく、ドップラー効果を加えながら弐号機は去っていく。
さて、事を済ませたシンジが使徒の出現を聞いたのはそれから10分後。
彼が朝食後の軽い運動として使徒を打ち抜いた時には、
せっせと使徒が溶解液を注ぐ中で、すでに機能停止した弐号機が半壊状態になっている所だった。
危うく死にかけるほどに戦ったアスカの労をねぎらいながらも、
近いというのに絶対にシンジ邸に招き、休ませようとはしないミサトであった。
111:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/06 22:32:43
>「ああ、ここは自家発電だから判らなかったのね。」
シンジのことかと思ったぜ
112:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/06 22:39:24
シンちゃん・・・・・・早いのね。
113:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/07 00:04:30 0VZPX+ay
アスカがけなげだ…。
114:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/07 01:05:35
>「…………ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああッ!!」
シンジ様が達したのかと思ったぜ
115:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/07 01:37:53
シンジ様甘やかされすぎwwwwwww
116:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/07 02:27:50
意外にもネタだけじゃなくてストーリーがあるのなw
117:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/07 20:49:01
ところで現時点でのシンジの体型はどれ位なんだろう
もうトウジくらいとならガチで殴り合っても勝てそうだ
118:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/07 23:38:49
>シンジ様、朝は必ずお抜きになるのに、二度目とは……
アンタほんとにオモロイなwww
119:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/08 02:31:15 Nytxq7EI
メイドさん・・・あくまでも静観ですかw
120:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/08 14:13:21
>>117
身体能力なら漫画版アスカ以上では?
続きwktk(・∀・)
121:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/08 22:17:00
「キーッ!なんなのこの配置!ミサトは私を殺ス気デスカー!?」
「これが最良の布陣よ。シンジ様に危ない橋を渡れと言うつもり?」
確かに死ねというような配置だ。
大気圏外に現れた巨大な使徒サハクィエルの推定落下位置には弐号機。
初号機と零号機は、そこから幾らか離れた場所に配置されている。
「……じゃあ、なぜファーストは初号機の側なんですカァー?」
「シンジ様の追加バッテリーを持たせるからしょうがないの。それ以上の仕事は零号機には無理。」
「ぶぅー……」
むくれっつらのアスカ。そんな彼女を一応なだめようとシンジは口を出す。
「あのぅ……やっぱり、その役は僕が……」
「失礼ながら、シンジ様には囮ではなく使徒をしとめる役に着いていただかないと。」
「でも……」
そんなふうにシンジとミサトがやりとりしていると、アスカは業を煮やして、
「アーッ!もういいデース。その代わりにシンジには私と食事して頂きマース!」
「え、あの……食事?」
「そうデース!とびきりぶ厚いステーキ奢ってもらいマース!いいですネ!」
シンジの返事を禄に聞かずに、アスカはものすごい音を立ててドアを閉めて去っていった。
「僕は……魚のほうがいいなぁ……」
「あたし、お肉嫌い……」
「まったく、ドイツ育ちのくせに考えがアメリカンなんだから……」
122:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/08 22:18:41
で、作戦開始。
「ミサトさん!使徒が地面に着弾してしまいますよ!発射の合図はまだ出さないんですか!」
絶叫するマヤ。しかし、もはや目を血走らせているミサトには通じない。
「そうよ!着弾してからじゃないと正確な狙いが付けられないわ!」
「で、でも、それではアスカさんが!アスカさんを殺す気ですか!」
「そう簡単に弐号機は壊れやしないわ。ダメならアスカには死んで貰うしかないわね。」
「そ、そんな……ミサトさーんッ!」
「シンジ様に、二度打ちの手間なんてさせるもんですか!」
この日、極限に達したアスカの恐怖により初めてのATフィールドが展開されたという。
むろんシンジが見事に使徒を打ち抜き、使徒殲滅を達成したことは言うまでもない。
で、シンジはアスカを伴い市内のレストランへと向かう。
ミサトはすっぽかせば良い、アスカの約束を承認したわけではない、と引き留めたのだが、
よせばいいのに、酷い仕打ちを受けているアスカが流石に気の毒になったらしい。
そのおかげか、あと一歩で死ぬところだったはずのアスカは上機嫌だ。
「美味しいですゥー!シンジがおごってくれたお肉は最高ですゥー!」
「そ、そう……よかったね……」
リクエスト通りにアスカに特大のステーキを注文し、
自分はといえば、お相伴程度に野菜のソテーとパンを頼んでつつき回した。
アスカも有る程度はNERVの予算を使い込める立場にある。
食べたいなら幾らでも食べれるはずなのだが、とにかくシンジから何かをして貰いたかったのだろう。
123:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/08 22:20:20
何故かは判らないが、いつもの破廉恥なノリは今日のアスカからは見られない。
せっかくのデートだから、とシンジが逃げ出さないよう押さえているのだろうか。
デートとはいえ、店の出入り口付近では怖い顔をしたミサトが見張っているのだが。
ある時、尚も肉を頬張りながらアスカはシンジに訪ねる。
「シンジ……」
「え?」
「シンジは……私のこと、スキですカ?」
「……あ、あの。」
「じゃ、キライですカ?」
「うーん、その……キライじゃないよ。うん。その……」
「スキなんですネ?それじゃワタシとセックスしまショウ!」
「いいぃ!何でそうなるんだよ!?」
「ダメですカ?オトコはスキじゃない女でもチンチンは立つって聞いてマース。」
「あのねぇ……」
「じゃ、良いデース。お別れにキスしてくれたら今日は勘弁してあげマース。」
「……」
「舌を入れろなんて言いまセーン。」
「……」
「……シンジ?」
124:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/08 22:22:04
「アスカ。僕は特別な相手とじゃなければ、そういうことは出来ない。好きとかいうレベルではなく。」
「……」
「男は確かに女を見て、そ、その、チンチンは立つけど、僕はだからといってそういうことはしない。」
「……」
アスカはナイフとフォークをテーブルに置いて、シンジに向き直った。
「じゃ、ワタシはシンジにとって特別な相手じゃナイ?」
「……悪いけど。」
「……」
「……あの。」
「ナンデスカ?」
「この次に使徒が来たら、僕が先行して戦う。約束する。」
「借りは返すって訳デスカ?」
「そんなんじゃない。その次も僕が前に出る。もうアスカには危ない目には遭わせない。」
「でも、特別ジャナイ?」
「……そう。」
「……」
「……」
「……Danke」
そう言ってアスカは席を立ち、シンジと食べかけの肉を残して去っていった。
125:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/08 22:23:47
「へぇ~、そんなやりとりがあったんですか。」
ここはNERV本部での実験作業中、せっせとMAGIの端末を操作するマヤは、
ミサトからデートの結果報告を受けていた。
「ええ……シンジ様、潔癖性かもね。それではあれだけ奮い立ってるチンチンが可哀想。」
「ま、まあ……大人しい14歳の男の子じゃ仕方ないですよ。」
「……それにしても、あんたのその格好なに?まるでレースクィーンじゃないの。」
「仕方ないですよ。なんか、どんどん制服が過激になって行くんです。」
「一体、衣替えにどれほどお金をかけてるのかしら。この間はチャイナドレスだったし。」
「なんか、あっちの方が恥ずかしかったです。腰までスリットが入ってて常に下着が見えそうで。」
「あれはまだシンジ様の股間には好評だったけど……」
「そ、そんなことまで判るんですか?」
「シンジ邸じゃ常識よ。あんたも好い加減ウチにいらっしゃいな。」
「え……シンジ様のお宅に、ですか?」
「そ。あんたのメイド服姿ならシンジ様よろこぶかもよ?」
「で、でも……オペレーターが手不足になっちゃうし。」
「そういえば、管制塔でMAGIを操作してるのあんたとリツコだけね。」
「最初は男性の方が二人いたんですけど、男子禁制になってから首になっちゃって。」
「ありゃま。」
「パターン青のアナウンスとか、エアギターなんて訳分かんないことまで私に引き継いで去っていきました。」
「あ、あはは……」
126:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/08 22:25:14
そんな会話をしていたミサトは、ふと何かに気付く。
「あれ何?ほら、あの風呂のカビみたいなの。」
「ああ、あの変質している壁ですか?。なんか使徒が浸食してるみたいです。」
「いいぃっ!ちょっと、警報ぐらいならしなさいよ。」
「いや、作業員がこそぎ落とそうとしたけど、どうにもならなくて。もしやと思ってセンサー向けたら……」
「パターン青だったって?」
「はい。恐らくシンジ様じゃなきゃ無理だろうってことになって、この次に来られたついでに落として頂こうかと。」
「ついでにって……ほっといて良いの?MAGIをハッキングして本部を破壊しようとしたりとか……」
「まさかそんなぁ……変な映画やアニメでも見過ぎですか?ミサトさん。」
「そんな言い方しなくても……それにしても、使徒って一体何しに来てるのかしら。」
「さぁ……私も最近よく判りません。本当にサードインパクトなんて起こるんでしょうか?」
「このハーレムの存在意義もね。シンジ様、可哀想。こっちが手出しして良いなら幾らでもお慰めするんだけど。」
「そ、そうですねぇ……でも、こちらからの働きかけは絶対禁止だし。」
「奥手の14歳にゃ無理よ。一言でも『したい』って言ってくれりゃあ、その場で押し倒してガッツンガッツン……」
「ミサトさん、こんなところで変なこと言わないでくださいよ……それにシンジ様の好みに合わなきゃ……」
「だからウチにおいでって。だいぶ、シンジ様の好みが判ってきたし。」
「え、あの、でも……」
「メイドやれなんて言わないわよ。むしろ、うちのメイドに世話させてあげる。」
「はぁ……考えておきます。」
「……あんた。」
127:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/08 22:27:08
「え?なんです?」
「本当はシンジ様としたくないんじゃないでしょうねぇ……?」
「そ、そんなことないですよ。シンジ様がお求めなら私だって幾らでも……」
「命令だから?」
「何いってんですか!シンジ様のためなら私は肉便器にでもなってみせますッ!」
「……そ、そんなことを大声で言わないでよ。ほら、みんな引いちゃってるわよ。」
「え、あ、ごめんなさい……でも、NERVで伊達にシンジ様にお仕えしている訳では……」
「判ったわよ。ごめんね……」
(かといって、どこまで本気かしらね……)
実のところ、マヤはもちろん本気だろう。
彼女を含むNERV職員に課せられた教育は完全だ。ミサト自身もそうなのだ。
NERVに対し疑問視するミサトは、もしかしたらその教育が行き過ぎた結果、と言えなくもない。
しかし、本当に使徒との対戦を目的とした組織なのだろうか。
自らもこのエロゲのような世界を構成する因子でありながら、
それらを否定的に捉え始めているミサトであった。
128:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/08 22:31:55 qgY8b/7h
皆様、私のくだらないネタに付き合っていただいてありがとです。
スレを自ら立てておいて、こんなことを言うのもなんなんで有りますが、
話の流れを作ってしまっている以上、最後には終結させねばなりますまい。
そーなると、甘やかし要素が少なくなったり、
結末とかチープなものになってしまったりしそうで不安で一杯です。
つまらなくなってしまったら申し訳ないです...
129:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/08 22:46:08 qDnVHLyx
ここは今から>>1をとことん甘やかしてみるスレになりました
130:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/08 22:47:26
>>128
いや、なんつかね。
もう鉱脈はあらかた掘り尽くされたとか他ジャンルからは言われるエヴァ二次創作だけど、
まだまだ新しい切り口ってのはあるんだなぁと思いながら読んでるよ。
とにかく乙。
今後も楽しみにしてます。
131:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/08 23:07:48
俺はこれがスゲー楽しみなんだ。どんな形でもいいから最後までやってくれ。
つ まごころ
132:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/08 23:09:54
おいはEOEよりもセカチュウで終わらせて欲しい
最後にシンジ様が誰かを襲った瞬間に皆でオメデトウとか
133:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/08 23:50:24
誰も何も言わないが、青葉と日向の冥福を祈るよ
134:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/09 02:19:21 EP7Efgny
バルディエル戦を甘やかすのは難しそうだな。
135:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/09 02:35:46
マヤ「>>1様の肉便器にだってなります!」
さぁ皆もっと>>1様を甘やかせ
136:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/09 02:47:34
ユイ「>>1様のあむ・・・ぁっ・・・ちゅぱ・・・とってもおいひぃでふ・・・」
137:ライ ◆FcqEpew8s6
07/02/09 06:05:07 iONg2g7N
劇場版の碇シンジくん! わたしの勘違いでなければ、病室であなた何してるの?
こんな男の子は、甘やかすと何するか分かんないから、甘やかすのはダメです!
138:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/09 09:04:44
折角の名スレなのに変な糞コテが沸いてきたな(´・ω・`)
139:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/09 10:15:11
気長に1を待とうか。投下できる準備できたらいつでもいいから。
そして人がいる時間帯は基本sageで。
140:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/09 19:28:19
「じゃ、綾波はここで待ってて。」
「はい……」
綾波を置いて、軍用のVTOL輸送機から降り立ったのはシンジただ一人。
そこは広大な共同墓地である。
セカンドインパクトの折、あまりにも多くの死者が発生したため、
墓標の形状は全て規格化され、決められた間隔を開けて無機質な行列を作っている。
シンジは教えられた座標を辿り、ある一つの墓の前に立つ。
その墓の名は碇ユイ。シンジが幼少の頃にこの世を去った母親である。
そこに現れたもう一人の男。NERV司令にしてシンジの父、碇ゲンドウであった。
「やあ、父さん。」
「……」
シンジが第三東京市に迎えられて以来の対面だ。
「ねぇ……母さんって、どんな人だったの。」
「鏡を見ることだ。お前はユイに良く似ている。」
「へえ……そうなんだ……」
あまり顔を合わすことの無かった親子である。会話を弾ませることなど無理というものだ。
ぼそり、ぼそりとシンジが話しかけ、ゲンドウはそれに答えるだけだ。
実は誘ったのはシンジの方である。そうでもなかったらゲンドウはここに来なかったかも知れない。
「それじゃ……」
「ああ……」
141:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/09 19:29:05
シンジが帰るそぶりを見せたと同時に、背後の輸送機がエンジンを起動させる。
その窓からチラリと見える綾波レイの顔。
それをゲンドウは見逃さなかった。
「会えてよかったよ。それじゃ……」
そんなおざなりの社交辞令を残してシンジは乗り込む。
ただ一度だけ輸送機を振り返った後、ゲンドウはトボトボと歩いて帰途についた。
「それでは、こちらで今しばらくお待ち下さい。」
「はい……」
応接室に案内された洞木ヒカリは、出された紅茶とケーキを目の前にして大人しく待っていた。
豪華な調度品。壁には教科書で見覚えのある絵画が並ぶ。
どの程度、使用されているか判らない応接室の金のかかりようは半端ではない。
「……」
落ち着かない様子で10分程まっていただろうか。ようやくシンジが姿を現した。
「えーと……洞木さん、だっけ。ごめんなさい、学校には一度しか行かなかったから。」
「ううん、いいの。なんか……雰囲気変わったわね。その、精悍になったというか。」
「はは……」
その印象の変化は筋トレの成果だろう。
しかし本当の所は、シンジの暗い目つきの方が気になって仕方がなかった。
142:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/09 19:29:58
ヒカリはくつろげない様子で、ケーキはおろか紅茶にも手を付けては居なかった。
「ああ、この家のパティシエが焼いたんだって。遠慮しないで食べてよ。」
「そう……でも、プリント届けに来ただけだから……」
自分ち、とは言わずに「この家」と称するところから、シンジの心情が伺える。
自分の居場所、つまり気持ちの落ち着けどころがない、と言ったところか。
「なんなら、後で包ませるから……学校はどう?」
「なんか変なの……生徒がどんどん転校していっちゃって。」
「そ、そうなんだ。使徒襲来の影響で逃げちゃったのかな。」
「でもね。時折、女の子が転入してくるの。変だと思わない?」
「……」
「で、妙な人がうろうろしていて、何やら生徒たちをチェックしているの。」
「……そうなんだ。」
「私はギリギリ合格なんだって。何だか気味が悪い。」
「……」
「えっと……それじゃ、私は帰るね。」
「あ、ああ、今日はありがとう。」
「いいの。委員長としての公務だし……でも、もう会えないかもね。」
「え?」
「私も引っ越すことにしたの。お姉ちゃん達と相談してね。なんだか、この街に居たくないって……」
「……」
143:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/09 19:31:08
そしてヒカリは席を立ち、シンジは玄関口まで見送った。
「遠慮しないで車で送ってもらってね。」
「ありがとう。あの……碇君?」
「え?」
「このまま、学校に来ない方がいいかもしれない。そして……」
スッとヒカリはシンジに近づき、ささやいた。
「ここから逃げた方が良いと思う……多少の無理をしてでも。」
そう言い終えると、ヒカリはリムジンに乗せられ去っていった。
当然、ミサトはこのやり取りを聞いていた。
「優しい子ね。一度ぐらいしかシンジ様に会ったことが無いというのに。」
そんなミサトの呟きを聞いて、側にいたメイドは答える。
「素朴で真面目そうな良い子ですね。ああいう子がシンジ様の側に……」
「ダメよ。あの子を巻き込んだら、シンジ様はきっとお怒りになるわ。」
「そ、そうですね。失礼しました。」
(ロクに通っても居ない学校にまで手を入れ始めた……いったい連中はどこまで……)
「ん?あれは……」
ふと、ミサトは耳を澄ました。ゆるやかな低い音色がシンジ邸に響き渡る。
「シンジ様がチェロを奏でておいでのようです。」
「筋トレ好きのシンジ様には意外な特技ね……せっかくだから、このまま鑑賞させて頂きますか。」
「はい。それじゃお茶をお入れしますね。」
144:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/09 19:32:14
ゼーレ最高幹部会議。それはコンピュータにより作成された疑似空間で行われる。
そこに遠隔地に点在する幹部のメンバーが通信により集結する、と言うわけだ。
キール議長を中心に取り囲まれるようにして審議を受けているのは、NERV司令たる碇ゲンドウ。
「あまり成果は上がっておらぬようだな?碇ゲンドウ。」
「しかし、使徒の殲滅は確実に行っております。問題はありません。」
「そちらのシナリオなど問題ではない。あの碇シンジのことだ。」
「は……」
「一向に我々の餌に食らい付こうとはせんではないか。」
キール議長に続いて、幹部の面々達は次々とゲンドウを責め立てる。
「これまで君の息子に与えた莫大な女の数と予算の出費、大変な損害だよ。」
「全ての使徒が倒されたとき、碇シンジがあのままでは意味が無いのだ。」
「自分の息子の趣味ぐらい把握できんのかね?ゲンドウ。」
が、ゲンドウは済まして言う。
「言うまでもなく、シンジは実の息子では無いのですが?」
「ふん……」
「そしてこれを……これもある種の趣向と言っても良いかと。」
幹部各員に転送される資料。それは日々のシンジの自慰回数の累計を示すグラフであった。
それを見てキール議長は言い放つ。
「成る程。よかろう、碇ゲンドウ。しかし、それではまだ足らぬことは判っておろうな?」
「は……」
「それについては、こちらで一考しよう。碇、ご苦労だった。」
145:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/09 19:33:12
シンジの居間。
机に向かい、カチカチとマウスを操作しながらパソコンに向かうシンジが一人。
ある時、誰かがドアをノックする。
「は、はい!誰?」
そう言いながら、そんなに慌てなくても良いのにガタガタと騒々しく操作して開いていたブラウザを閉じた。
「碇君……お茶……」
そう言って入ってきたのはレイだった。
トレイ片手の無表情なレイはシンジの机に向かい、お茶のセットを並べた。が……
「……」
「あ、あの……レイ、何かな?」
シンジの様子が落ち着かない。股間がお祭り中の男が落ち着ける訳がない。
そんなシンジを見て、レイは一言。
「……する?」
「え!?な、何を……」
「……しないの?」
「な、何いってるのさ、レイ。あはは……」
「そう……それじゃ……」
「あ……」
部屋から出るレイ。シンジは何だか、釣れた魚を何故リリースしてしまったのか判らないような心境だ。
手を出す勇気が無いなら自分でしたら?と冷たく突き放されたような気分だが、
それでもやっぱりトイレに向かい、ほっとしたように握りしめるシンジであった。
146:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/09 19:35:50
あ、シンジ→レイの呼称は綾波だった。嗚呼...orz
147:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/09 20:32:07
>>146乙カレー('∀≦*)~☆
ヒカリも出てきたしゼーレのシンジに対する思惑が気になる…!!
148:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/09 21:03:50
GJ!
しかしヒカリが萌えるんだが、もう退場?
149:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/09 23:07:39
>>141
ちょwwwシンジとゲンドウ逆wwwwww
150:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/09 23:48:27
>>1さん乙!
ゼーレの目的は原作とは違う方向からの補完だろうが
これからそれぞれの人間模様がどこに向かうか楽しみだ。
151:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/09 23:58:48
おいらの股間もお祭り中www
152:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/10 01:19:00
面白いっすよ~
153:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/10 13:32:32
乙だす!
154:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/10 22:16:45
「戦いは男の仕事!」
ビシッとポーズを決めて、出撃するシンジ。さて、いよいよ第12使徒レリエルとの対戦である。
中空に浮かぶ不気味な姿で得体の知れない所はあるが、
アスカとの最前の約束もある。壁のシミのような第12使徒イロウルとの戦いも正直言って肩すかしだった。
だからこそ、空元気にも見えるシンジの意気込みようも無理はない。
その勇み足の結果は、とてつもない危機的状況へと陥った。
使徒の影と思われていた地面の暗黒へと、初号機が取り込まれてしまったのだ。
(なんとしてでも、お止めするべきだった。作戦部長失格ね……これじゃ……)
ミサトの後悔は遅すぎた。これまでの使徒の傾向からして、このような展開になるとは考えても見なかった。
絶叫するミサト。迷走するアスカの弐号機。混乱するNERV司令部。
そんな中で、何故か綾波レイだけは落ち着き払っていた。
現場に緊急の司令部が設置され、主だった者達が集められる。
ホワイトボードに複雑な数式と図式を描き、解説とは言えない推論ばかりを並べているのは、
NERV技術部の第一人者、赤城リツコである。
「あの中空に浮び、使徒と思われていたゼブラの球体。あれが使徒の影でしかないと言えるかも知れません。」
「言えるかも?知れません?……それじゃ、シンジ様を取り込んだ地面の黒い影こそ本体ってこと?」
いらだっているミサトがズケズケとした調子でリツコに食いつく。何かアラが有れば殴りかかりそうな状態だ。
「そう考える他はないわね。あの、極薄の黒い影……別の宇宙空間に繋がっているのじゃないかしら。」
「聞いたこともないわね!そんなSF科学小説なんて!」
155:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/10 22:17:47
リツコも負けじと怒鳴り返す。
「考えられることを答えているだけよ!聞きたくないならいいわ。唯一、初号機を救出する方法は一つだけ。」
「……何よ。」
「現存するエヴァ2体のATフィールドを1000分の1秒だけ干渉させ、全てのN2爆雷をその瞬間に……」
つまり、考えられる限りの破壊力を全て注ぎ込む訳だ。
「何ですってッ……!」
思わずミサトはリツコの胸ぐらを掴む。
「何よそれッ!そんなことをしたら、シンジ様がどうなるか……」
「いえ……シンジ様のことは、自らを滅ぼしてでも使徒が守るわ。それが狙い……」
「……え!?」
ミサトはリツコのその言葉に驚きを隠せない。
きょとんとした表情で、リツコを掴んでいた手をゆるめる。
「どういうこと……ねぇ!使徒って何なの!?そしてシンジ様は一体……」
「あなたに渡した資料が全てよ!ミサト……私を信じて……」
「……」
ほぼ街全体を包み込むかのような地面の黒い影。そして中空に浮かぶ不気味なゼブラの球体。
地上ではNERV職員が奔走し、上空では戦略自衛隊の航空隊が結集しつつある。
これまでの楽天的な使徒との戦闘が一変して、正に総力戦と姿を変えつつあった。
そして使徒内部の初号機と、シンジである。
156:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/10 22:18:44
「生命維持モードに切り替えてから10時間……僕の命もあと数時間、か……」
生命維持モード。それは、まさか使うことになろうとは思っても見なかった初号機の機能だ。
「でも……何故だろう。あたたかい……いや……懐かしい……?」
何故かシンジは苦痛を感じることなく……むしろ、表情が和らいでいた。
「そうだ……何故か懐かしい……この感覚……そうだ……」
それは、シンジがすっかり忘れていた母ユイとの記憶であった。
「今帰ったわよシンジ!待たせちゃってごめんね!」
「あー、ママ!おかえりなさーい!」
「ごめんなさい。お腹がすいちゃったでしょ?」
科学者としての仕事を終え、預けていたシンジの元に帰り着いたユイ。
四六時中、一緒にいられないだけに互いの思いはひとしおだろう。
「シンジ、体を洗うからこっちにいらっしゃい。ほら、おちんちんもちゃんと洗わなくっちゃ。」
「きゃはは、ママやだ、くすぐったいよぅ」
「ウフフ……あらヤダ、そんなにママのおっぱい見つめちゃ恥ずかしいわ。」
「ねぇママ……おっぱい吸ってもいーい?」
「もう……赤ちゃんじゃないのよ?……ううん、いいのよシンジ……好きなだけ吸って……」
「ありがと、ママ……だいすき……」
「私もよ、可愛いシンジ……」
157:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/10 22:19:40
ユイはシンジを思う様に溺愛し、シンジもまた自分の気持ちの全てをユイにぶつけた。
何時までも続くかに見えた、とろけるように甘い日々。
だが、終わりは必ず来る。ユイは母親ではあるが科学者でもあり、そして女でもある。
「何だ?扉が開いてるぞ?」
「ねむれないよぅママ……あれ?このひとだれ?ねぇ!ママとなにやってるの!?」
「おい、なんとかしてくれよ。ユイ……」
「ご免なさい……ほら、シンジ?もう遅いから寝ましょうね……」
「ねぇママ、だれなの?ママとはだかでなにやってたの?」
「ほら、この間言ったでしょ?あの人がシンジのパパよ。」
「ぱぱ?なにそれ。ねえ、あのひととなにしてたの?」
そんな風にユイを困らせたこともあった。
(そうだ……思い出した……あの時の男こそゲンドウ……僕の父さん……)
初号機の中で夢うつつだったシンジの顔が、次第に苦痛で歪み始める。
「また、このおじさんがママをつれていくの?やだよママ、いっちゃやだ!」
「シンジ君……俺は君のパパなんだよ。な?パパを信じてくれ。」
「そうよ、シンジ。ここでおとなしく待っててね。」
「では、いいか?ユイ。」
「はい、やります。シンジの為に……そして、世界の為に……」
158:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/10 22:20:57
そして……初号機の起動試験が終わり……
「ねぇ!ママはいつになったらかえってくるの?ねぇ!ママをどこにつれていっちゃったの?」
「シンジ。もう、ママは帰ってこないんだよ。」
「うるさい!おまえなんてしらない!ママをかえして!ねぇ、ママはどこなの!」
「ママはちょっと遠くに行ったんだよ。ほら、新しいオモチャを買って来たよ。これなんか……」
「ぼくを……ぼくを……」
脳裏に蘇る記憶の映像がシンジを怒りの頂点へといざなった、その時。
(あれは!?)
全天真っ白だったレーダーに何か写っている。
赤く輝く球体。言わずと知れた使徒のコア。
さあ、これが出口ですよ、と言わんばかりの。
「ぼくを…………ぼくを………………僕をバカにするなァァァァァァァァァァァァァァッ!!!」
激怒したシンジに呼応して初号機が吠え猛り、何もない虚無空間に鋭い爪をかけ、
そして!
159:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/10 22:22:38
「あれは……?」
浮かんでいた球体に突然の異変が起こり、ミサトやリツコが驚愕の声を上げる。
「そんな……何もしていないはずよ……?」
「まさか、シンジ様が……」
「そんな馬鹿な!初号機のエネルギーはゼロなのよ!?」
バリバリと使徒は引き裂かれ、その裂け目から姿を現す初号機。
その血しぶきを上げる使徒の姿は、うかつにもシンジの記憶を呼び覚まし、その逆鱗に触れた結果だろうか。
いや、あえてシンジを怒りの頂点へといざなうことが使徒の意図であった、とも……
虚無とも影とも言われた球体の使徒を粉々に砕き、すさまじい轟音と共に初号機は地上に降り立つ。
吠える初号機。その姿に驚愕し、恐怖するNERVスタッフ。
リツコも又、恐怖に顔をゆがませながら思わずつぶやく。
「なんてこと……これがエヴァの力……いや、これが碇シンジの……」
「……」
そんなリツコを怪しげに見つめながらも己の職務に立ち返り、シンジの保護のため奔走するミサト。
こじ開けられるエントリープラグ。病院へと担ぎ込まれるシンジの体。
その彼の尚も強ばり続ける怒りの表情のため、指を触れることもためらうミサト。
しかし、母に対するシンジの思いは誰も知らない。
160:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/10 22:23:59
「う……くッ……」
ベッドの上で苦悶の表情を続けるシンジ。そんな彼を見舞う二人の少女。
アスカと綾波レイである。
譫言とも言えない苦痛を漏らしながら悶えるシンジを見つめていたレイは、ふとアスカに振り返る。
「ご免なさい……少し席を外して……」
「えぇ!?」
アスカは不審がったが、しかし以前よりシンジに対する横暴は和らいでいる。
ふっと肩をすくめて、意外にも素直に病室から去っていった。
アスカがドアを閉めたのを見越して、はたして何を思ったのか。
突然に服を脱ぎ、胸をはだけて苦しむシンジに寄り添ったのだ。
「ん……んん……」
そして、未だ幼い自分の乳房をシンジに含ませる。夢うつつのシンジはそれに夢中でむしゃぶりついた。
そのレイの表情……あいかわらずの無表情だが、仕草だけはこよなく優しかった。
(ああ、ママ……やっと帰ってきたんだね……ママ……)
やがてシンジの表情は和らぎ、そして深い眠りにつく。
そんな彼を見て、レイは服を直して病室を出た。
(私には……シンジ様のお相手は無理かもね……とても、あの子の様に母親代わりには……)
シンジの思いを知ってか知らずか。
そんなことを考えながら、ミサトはシンジの病室にある監視モニタを停止させ、立ち去っていった。
161:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/10 22:28:41
今日はここまでっす。
162:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/10 22:51:08
モツカレー様です
163:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/11 01:10:41
シリアスなのも面白いな 乙
164:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/11 14:57:03
乙ですな
165:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/11 22:30:37
さて、引っ越しを終えた洞木ヒカリは台所で牛乳を飲みつつ、慌ただしい朝食の準備をしている。
まだまだ開けていない段ボール箱で一杯だ。今日も片付けに丸一日費やさなくてはならないだろう。
ふと振り返ってみると、妹のノゾミがTVのリモコンを片手に電源を入れている。
そして映し出された画面を見て、ヒカルは思わず口に含んだ牛乳をブッと吹き出してしまった。
『シンジ・アルバム』
見れば、冴えない顔をしたシンジ様で画面が一杯だ。
『本日、開催されたアジア陸上競技大会にシンジ様はご出席され……』
チャンネルをひねってみれば、これまたシンジ様のご登場。
『ここはシンジ様が幼少の頃すごされたこともあり、もっともシンジ様に近い街として……』
『エヴァパイロット・碇シンジの朝は一杯の果物ジュースで始まる。』
『ええ……健康には気を遣って……』
ハッとなって飲んでいた牛乳瓶を見てみると、愛想笑い満面のシンジ様の顔がそこにある。
実を言えば、これがNERV広報部の仕事であり、その手を日本中いや世界中に伸ばしつつあったのだ。
あ、シンジ様だ、と画面にかじりつくノゾミ。
これでは引っ越しした意味がない、と悪態をつきながら、TVのスイッチを乱暴に切る姉コダマ。
驚愕と恐怖に歪ませていたヒカリの顔は、次第に悲しい表情を浮かべてつつあった。
(逃げて、碇君……なんとしてでも……どんなことをしてでも……)
166:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/11 22:31:55
「シンジ様、こちらになります。」
机上のシンジに向かい、机の上に書類を置くマヤ。
が、マヤはその書類から手を離そうとはせず、何故か動きを止めている。
「あ……ご、ごめんなさい。」
思わず赤面しながら、横を向いてマヤから視線を外すシンジ。
マヤはシンジの視線が自分の胸に注がれていることに気づき、彼のために動かずにいたのである。
「い、いえ……いいんですよシンジ様……その……幾らでも……」
下手に誘い文句になってしまうと禁止事項に抵触する。
ましてや、ミサトから忠告を受けている。露骨に媚を売られることはシンジ様はお嫌いになる、と。
慌ててマヤは口ごもり、彼女もまた、顔を真っ赤にして部屋を立ち去る。
やっと一人になったことを確認したシンジは、
何故こんなに自分の執務室が広いのかと悪態を付きながら、トイレへと駆け込んでいった。
(シンジ様の様子が変わった……変、というか……肩の力が抜けた、というか。)
そんなことを思いながらNERV本部を歩くマヤ。先程のエピソードについて考えていたのだろう。
(でも、最近は夢見がちな様子もあるし……すこし、気を抜いておられただけかな……)
そのように、遠慮がちに自分をなだめようとする。自分に魅力を感じたわけではないのだろう、と。
しかし、実のところシンジの白羽の矢が立つのはマヤ、というのがもっぱらの噂が立っている。
マヤ自身もそれを耳にしている。しかし、それはシンジと共に行動することが多いだけの話で……
そんな、どうどう巡りの思いの果てに、マヤは大きな溜息をついた。
167:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/11 22:33:08
そんなマヤを察したのか。
ある男がマヤに声をかけてきた。本部内に居る男性は極めて限られている。
シンジでも司令のゲンドウでもなければ残るは一人、加持リョウジである。
冬月?まあ、日本のどこかでモグリの医者を続けていると考えて頂ければいいだろう。
「あいかわらず、ここの制服は男を楽しませてくれるね。」
「ああ、加持さん。お疲れ様……ちょっと、そんなにジロジロ見ないでください。」
抱えた書類で隠そうとするが、胸を隠してなんとやら、だ。
どんどん過激になるNERVの制服。この次にはビキニしかないだろうという有様である。
「私だって恥ずかしいんです。」
「つれないねぇ……でも、相手にしてくれてないんだろう?お堅いシンジ様は……」
「あの、止めてください。ホントに……ミサトさんに言いつけますよ?言いつけたら……」
「殺される……か?その前に君の……あ。」
トイレから出てきたらしいシンジの姿がそこにあった。
「し、シンジ様。参りましょう。さ、こちらに……」
慌ててシンジをなだめるのように腕を取るマヤ……が、ギロリとシンジは加持を睨んだままだ。
「やあ、シンジ君。えーと、どうだい?お茶でも。」
「……僕をバカにするんですか。」
その一言だけを残して、シンジはマヤを伴い去っていった。
168:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/11 22:34:35
(やれやれ。さてと……パスワードは……)
個室でMAGIの端末に向かい、何かを調べている加持。
実は、マヤですら許されていない権限をも彼には与えられている。
シンジに対する傾向と対策のために彼が赴任してきたのだから、当然と言えば当然だ。
そして画面に踊る画像の数々。それはシンジが自宅で閲覧しているお気に入りのものである。
(ふーん……あまり過激なものは好みではないんだな……)
実は、以前にミサトがモニタリングしたものとほぼ同じ内容なのだが、やはり男の見る目とは違いがある。
加持の頭の中で次第に集約され、そして行き着いた先。
(ん……そうだ、確か……)
全く別の画像を巨大なデータベースから引きずり出す。
それは幼いシンジと共に写る母である碇ユイの画像であった。
(なるほどね……それでかな?シンジ君の側にいることが多いのはショートカットの綾波レイ、そして……)
思わず頭をかく加持リョウジ。
(マヤちゃんにちょっかい出したのはまずかったかな……)
「あー、何エッチな画像見てるんですカー?」
何時の間にやら背後に立っていたのは、惣流アスカ・ラングレーであった。
「こ、こら!子供が見るもんじゃない!」
「それじゃ、しばらく留守にします。」
そういって、荷物を片手にシンジに挨拶するミサト。
169:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/11 22:36:13
保護者役のミサトが側を離れるのも珍しいが、前回の件を経て使徒との戦いが困難なものと成りつつある。
新たな戦略を組むために、作戦部長たるミサトは様々な活動を行わなければならないのだろう。
向かう先は松代の第2実験場。そして、その内容は?
「エヴァ参号機!?」
驚くシンジ。そんな彼を落ち着かせようとミサトはシンジに説明する。
「はい。戦力強化のためにアメリカで建造されていた参号機をこちらで引き取ることになったのです。」
「……」
「心配は要りません。私の留守の間は……」
その時、玄関からバタバタという足音が聞こえてきた。
「お、おはようございます!あ、あの……」
現れたのは、手荷物片手のマヤであった。
「……彼女がお世話をさせて頂きます。マヤ?よろしくね。」
ニッコリとミサトがマヤに微笑みかける。
「なんなら、荷物をまとめて引っ越してくれば良かったのに。手配しようか?」
「いえ、そんな、あの……よろしくお願いします。」
口ごもり、赤面しながらもシンジ向かい慌ただしいお辞儀をするマヤ。
とはいえ、お世話するといっても大したことがある訳ではない。生活面はメイド達がまかなっている。
あるといえば、NERV本部との連絡係ぐらいなのだが。
シンジと言えば、訳の分からぬ状態で頭をかくばかりである。
170:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/11 22:37:21
今日はここまでっすー
171:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/11 23:05:30
ヒカリキタ━━━(゚∀゚)━━━ !!
172:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/11 23:20:38 55DFzkG+
冬月・・・w
173:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/11 23:21:54
参号機誰が乗るんだろ・・・
174:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/11 23:29:03
流れ的にはヒカリじゃね?
おっと言い忘れた。相変わらずGJ!!
175:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/12 08:18:17
なるほど。
つまり危機に陥ったところを救われて惚れてしまうことで、まともな感性でシンジを気遣っていたヒカリが死んでしまうと言うことか。
勿論登場時に薬物誘導やら催眠やら何やら掛けられて戦場に出たときにはとっくにお亡くなりになっているんだがなw
176:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/12 10:13:40
アンソロ本でヒカリがエヴァに騎乗するのがあったの思い出しわ
177:名無しが氏んでも代わりはいるもの
07/02/12 11:08:54
??日本語でおk
178:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/12 12:54:19
クルナ
…… ニ チカヅクナ
オマエ ハ ジャアク
オマエ ガ …… ヲ クルシメル
オマエ ガ …… ヲ オトシメル
クルナ
チカヅクナ
サモナクバ……
179:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/12 12:55:18
「遅いわね。」
松代に到着し、参号機を待つミサト。
「そうね……何か有ったのかしら……」
その傍らで、リツコは落ち着き払ってノートPCに向かい、コーヒー片手にタイプを続けている。
その片手でフルキーボードをタッチタイプする様は実に年季が入ったものだ。
「ところで、リツコ。この松代で行う起動試験って……パイロットを使うの?」
「当然よ。パイロット無しではエヴァは動かないわ。」
「でも、シンジ様も居ないし、レイやアスカも連れてきていないわよ?」
「……あなた、何にも知らないでここまできたの?参号機に向けて新たにパイロットが選定されたわ。」
「では、4人目?」
「第4位は残念ながらボツ。ほら、シンジ様の学校で病院送りにされた子よ。」
「ああ……諜報部も酷いことしたわね。名前は……なんていったっけな。」
「聞いた話では大怪我をさせたのはシンジ様のファン達らしいわ。左足を切断するほどの複雑骨折。」
「嘘……そんな……」
「シンジ様への信仰心だから咎めるのも心苦しい、というわけで諜報部がしたことにしたんですって。」
(異常だわ……本当に、この連中はシンジ様をどうするつもりなのかしら……)
そんなことをミサトは考えていたが、気を取り直してリツコに訪ねる。
「で、リツコ。新しいパイロットって……」
リツコは一枚の資料をミサトに示した。
「参号機と一緒に輸送機でこちらに向かっているはずよ。名前は……」
180:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/12 12:56:09
シンジ邸。
「シンジ様が、差し支えなければ夕食をご一緒に、と申しております。」
マヤが与えられた部屋にメイドの一人が訪れ、礼儀正しく応対する。
「そうですか……何時から?」
「よろしければ7時に食堂へお越し下さい。献立はこちらになりますが、お嫌いな物があれば……」
「いえ……好き嫌いはありません。」
「そうですか。何かご用件がありましたら鈴を鳴らしてください。では、失礼いたします。」
マヤはシンジの世話役の代理としてやってきたのだが、完全にお客様扱いだ。
そして、マヤを迎えての夕食となる。
細長いテーブルの上座には当然シンジが座る。その両サイドにはレイとマヤ。
「……やっぱり、そういう服の方がいいな。マヤさんは。」
「そ、そうですか。ありがとう御座います……」
その日のマヤは、白いブラウスにパンツをはいたシンプルなものである。
女性らしいスタイルが映えるが、肌の露出は実に少ない。
やはりシンジは、本部の乱痴気ぶりに呆れていたのだろう。
(NERV職員を辞めて、本当にここでメイドをしたくなっちゃうな……)
見ていると、料理を運んでくるメイド達に対し、シンジは微笑みさえ浮かべて接している。
さっきのように服装に関して褒められたのも(今までの制服のセンスはともかくとして)初めてのことだ。
何だか、心の中にグラリと揺らぐものを感じて仕方がない。
181:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/12 12:56:58
しかし、その傍らでお相伴程度にお皿を突いている綾波レイは、相変わらずの無表情ぶりだ。
シンジがたまに話しかけるが、軽く頷き返すだけなのだが……
(あ……)
その瞬間、マヤは思わず声を上げそうになった。
ある時、レイがナプキンを手に取り、シンジの口元を拭いた。
それに対してシンジは言う。なんだか母親に拭いて貰ったみたいだ、と。
するとレイは微かに赤面して、しどろもどろに席に戻った。
実に微笑ましい光景である。マヤはそんな様を見て、ふっと溜息混じりの苦笑いを浮かべていた。
自室へ戻り、持ち込んだノートPCに向かい一仕事を終えた後、
マヤはシャワーを浴びて柔らかい部屋着に着替え、パタンとベッドに体を投げだす。
言いつければどんな飲み物でも持ってこさせる、という。
しかし初日から遠慮がちなマヤではなかなか言い出しづらい。
あらかじめ部屋に置いてある水を飲んで一息ついた。
なんだか水まで物が違うんだな、などと感じながら。
(でも……コンビニで自分で買ってきたペットボトルの方が気安くていいなぁ……)
シンジ様も、慣れないうちはこんな心境だったのだろうか、と考えていた時のこと。
(とんとん……)
誰かがドアをノックする。出てみると、そこに居たのはレイであった。
182:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/12 12:58:00
「レイ、どうしたの……え、あの、ちょっと……」
レイはマヤの手を取り、どこかに引っ張っていこうとする。そして一言。
「碇君、うなされているみたい。」
「え……でも、それが……」
マヤは何か言おうとするが、レイは取り合おうとしない。
ある扉の前に来るとノックもせずにドアをあけ、薄暗い部屋の中をどんどん進んでいく。
(あ、ここは……シンジ様の寝室?)
(入って……)
(ええ!?)
レイはシンジが潜り込んでいる毛布をめくり、指し示した。
ベッド上では、シンジは胎児の格好でうずくまっていた。
(入って……)
半ば押し込むようにして、レイはマヤを強引にシンジのベットへといざなった。
(あ……)
そして、レイは毛布をかけ直して扉から閉めて去っていった。
マヤは硬直して動けない。今の状態、シンジを背中から抱きしめるような格好になっている。
緊張のあまり、自分の脈が耳に響き渡たる中、ふと、微かな声を耳にした。
(ママ……)
急速に静まりかえるマヤの心。思わずシンジに身を寄せて、改めて後ろから抱きしめた。
183:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/12 12:59:05
やがて、穏やかな寝息が聞こえてくる。どうやら、より深い眠りへと入ったのだろう。
(もう、いいかな……)
そう考えたマヤはベッドを抜け出し、そっと部屋から出て行った。
何故、レイは自分にこの役を与えたのだろう。
実を言うと、病室でレイがシンジを慰めていた一件をミサトから聞いていた。
レイこそがシンジと連れ合う相手で、彼女もそれを望んでいるのだろう、と思っていたが……
(つまり、シンジ様をいたわることさえ出来るなら、どうでもいいのかな?……)
でも、何か腑に落ちない感じがする。
部屋へ戻り、何気なくノートPCを開く。
いつもの癖でMAGIに接続し、各部署の状況にざっと目を通した。
が、驚いて目を見開き、モニタを見直す。
「え……使徒!?」
「使徒ですってッ!?」
驚いたミサトはリツコに聞き直す。
「間違いないわ。パターン青……参号機とほぼ同じ座標ね。状況は?」
すると、輸送機に搭乗しているパイロットと思われる声が無線機のスピーカーから聞こえてくる。
『それが……(ガガッ)……機体が言うことを聞かな……(ガガッ)……あああッ』(ブチッ)
184:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/12 13:00:10
松代の司令部が沈黙に沈み込む。
もはや無線機からは、ザーッという音しか聞こえてこない。
「やられた……?」
そう言うミサトにリツコは冷たく答える。
「まだ、輸送機は飛行中だけど……恐らくは、ね。」
「こうなっては、ここに到着させる訳にはいかないわね。輸送機が操られている可能性がある。」
ミサトは苦悶の表情を浮かべていたが、意を決して指示を下す。
「参号機、およびその輸送機を破棄します。戦自の航空隊に連絡、空中にてN2爆雷の……」
その時、沈黙していたかに見えた無線機から、先程とは全く別の声が聞こえてきた。
『それは待ってくれないか。一つだけ試したいことがある。』
どうやらマイクのスイッチが入りっぱなしで、ミサトの声が聞こえていたらしい。
こんな状況だというのに落ち着き払った涼やかな声。
「誰……?」
尋ね返すミサト。だが、無線機はもう答えない。
しばらくして、リツコが言う。
「……レーダーから使徒の反応が消失。もしや……殲滅した?」
「ええ!?」
やがて、輸送機の姿が肉眼でも見え始めた。
使徒の反応が消えたとはいえ油断は出来ない。試験場に緊張が走る。
185:>>1 ◆LRvRIPAn.s
07/02/12 13:01:39
既に試験場は戦自の戦車隊で一杯である。
上空にも航空隊が飛来してきている。最悪の場合、試験場ごと使徒を吹き飛ばす算段だ。
現れた輸送機に釣り下げられている参号機……いや、違う。
既に参号機は稼働している。そして体を揺すり、輸送機の翼を操っている様子が見て取れたのだ。
まるでメーヴェを操る某アニメキャラと同じ要領で輸送機を操作し、
凄まじい轟音と共に見事に着地する参号機。
幾分、滑走路を掘り下げる結果になってしまったが。
「使徒の反応無し……でも、輸送機は半壊状態ね。」
ミサトに向かってリツコが言う。未だ緊張状態のミサトは何も答えない。
やがて、参号機はその場にひざまづき、エントリープラグが排出される。
扉が開き、吹き出すLCLと共に現れたのは一人の少年。
「いや、危なかったよ。あと少し放電が必要だったら、もう参号機は動かせなくなっていたところだ。」
そう言って、作業員の助けを借りて地上に降り立つ。
微妙な表情のミサトに対して、ニヒルな笑顔を浮かべて彼は軽やかに挨拶をした。
「渚カヲルです。よろしく。」
これが、フォースチルドレンが使えなくなったため見事に繰り上げ当選となった、
フィフスチルドレンたる渚カヲルの早すぎる登場である。