07/01/10 00:06:30
時に西暦2015年
「本日12時30分、東海地方を中心とした関東中部全域に、特別非常事態宣言が発令されました」
油を敷いた直後の鉄板の上のように静まり返った町を一台の青いチェロキーが疾走していた
「くそ、よりによってこんな時に見失うだなんて参ったな」
チェロキーのオーナーである男は運転しながら独り言を言った
その男はノータイで細身の黒いスーツを着てティアドロップのサングラスをかけており、一見堅気の人間には見えない
「マジでヤバいな。俺が迎えに行くって言い出したのにこの様かよ。シンジ君に何て言い訳すりゃいいんだ…」
その男を戒めるかのように携帯の着信音が鳴った
「やべ、リツからだ」
そう言って男は携帯をとる
「ヒサト一尉状況を報告しろ」
インターホンからカミソリのような声が飛び出す
「すまん、まだ確保していない」
「お前な…。急げ。もう国連軍の航空隊が使徒と交戦状態に入ってるんだぞ」
「ああ、わかってる」
そう言ってヒサトと呼ばれた男は携帯を切った
「使徒、か…」